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特許7152787表面をコーティングするための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】表面をコーティングするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20221005BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20221005BHJP
   H01L 41/053 20060101ALI20221005BHJP
   H01L 41/083 20060101ALI20221005BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20221005BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20221005BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20221005BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B05C5/00 101
H01L41/09
H01L41/053
H01L41/083
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B05C11/00
B05C11/10
【請求項の数】 74
(21)【出願番号】P 2019554394
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 AU2018050298
(87)【国際公開番号】W WO2018176102
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】62/601,809
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519347915
【氏名又は名称】ヴァクザス ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シ
(72)【発明者】
【氏名】ユンガー,マイケル カール
(72)【発明者】
【氏名】カンダサミー,サシカラン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ニール
(72)【発明者】
【氏名】フレイム,クリストファー
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-114561(JP,A)
【文献】特開2013-043034(JP,A)
【文献】特開平8-238763(JP,A)
【文献】特開2010-241115(JP,A)
【文献】特開2007-216226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00-21/00
B05D1/00-7/26
B41J2/01-2/215
F04B43/00-47/14
H01L27/20
41/00-41/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をコーティングするための装置であって、
a)圧電アクチュエータと、
b)膜プレートと、
c)変形クリアランスプレートと、
d)リストリクタポンプ室プレートと、
e)ノズルプレートとを備え、
前記リストリクタポンプ室プレートは、1つ以上の通気設備を備える装置。
【請求項2】
前記圧電アクチュエータは、信号によって作動され、前記膜プレートに動作可能な形で連結されており、前記圧電アクチュエータが前記信号によって作動するとき、前記膜プレートが前記変形クリアランスプレートを介して変形され、前記膜プレートが前記リストリクタポンプ室プレートによって規定されるリストリクタポンプ室内の流体に接触し、前記流体が前記リストリクタポンプ室から押し出され、前記ノズルプレートの複数のノズルを介して前記基板上に押し出される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧電アクチュエータが前記膜プレートに接合されて第1のサブアセンブリを形成し、前記変形クリアランスプレートと、リストリクタポンプ室プレートと、前記ノズルプレートとが、互いに接合されて第2のサブアセンブリを形成し、前記第1のサブアセンブリと第2のサブアセンブリとが、互いに接合されて前記装置を形成する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧電アクチュエータは、
a)圧電積層アクチュエータと
b)圧電ユニモルフアクチュエータ
とのうち少なくとも1つである請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記圧電アクチュエータと、膜プレートと、変形クリアランスプレートと、リストリクタポンプ室プレートと、ノズルプレートとを収容するハウジングをさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記リストリクタポンプ室プレートが、流体入口および流体出口を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記リストリクタポンプ室プレートが、1つまたは複数のリストリクタをさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記膜プレートは、厚さが約100μm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記変形クリアランスプレートは、厚さが約20μm~約60μmである、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ノズルプレートは、複数のノズルプレート孔を含み、前記複数のノズルプレート孔から流体が分配される、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ノズルプレートは、2次元アレイ状に形成された複数のノズルを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記2次元アレイのノズルの数は、500~5000である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各次元におけるノズルの数が同一である、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記ノズルプレートのノズル間の間隔が約50~約500マイクロメートルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
基板をコーティングするための装置であって、
a)圧電アクチュエータと、
b)膜プレートと、
c)変形クリアランスプレートと、
d)リストリクタポンプ室と、
e)ノズルプレートとを備え、
前記ノズルプレートは、複数の通気孔を備える装置。
【請求項16】
前記複数の通気孔は、直径が50μm未満である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の通気孔は先細りしておらず、前記複数の通気孔は高い流動抵抗を生成する、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の通気孔は前記ノズル孔よりも直径が小さい、請求項1517のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、流体リザーバをさらに備える、請求項1~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記流体リザーバは、前記装置と一体である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流体リザーバは、前記装置から離れて配置されている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記流体リザーバはバイオプロセッシングバッグである、請求項1921のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
基板をコーティングするための装置であって、
a)圧電アクチュエータと、
b)膜プレートと、
c)変形クリアランスプレートと、
d)リストリクタポンプ室と、
e)ノズルプレートとを備え
流体を混合するための手段をさらに含む、装置。
【請求項24】
前記流体を混合するための手段は、電磁石で構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
基板をコーティングするための装置であって、
a)流体が収容されるポンプ室と、
b)前記ポンプ室に取り付けられたノズルプレートであって、流体を分配するための複数のノズルを備えるノズルプレートと、
c)膜プレートと、
d)圧電アクチュエータであって、流体が前記複数のノズルを通って分配されるように、膜プレートを押す圧電アクチュエータと、
e)前記流体を混合するための装置と、
を備える装置。
【請求項26】
前記圧電アクチュエータは、
a)圧電積層アクチュエータと、
b)圧電ユニモルフアクチュエータと、
のうち少なくとも1つである、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記装置がハウジングをさらに備える、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
基板をコーティングするための装置であって、
a)流体が収容されるポンプ室と、
b)前記ポンプ室に取り付けられたノズルプレートであって、流体を分配するための複数のノズルを備えるノズルプレートと、
c)膜プレートと、
d)圧電アクチュエータであって、流体が前記複数のノズルを通って分配されるように、膜プレートを押す圧電アクチュエータと、
を備え
前記装置がハウジングをさらに備え、
前記ハウジングは、冷却装置を含む、装置。
【請求項29】
基板をコーティングするための装置であって、
a)流体が収容されるポンプ室と、
b)前記ポンプ室に取り付けられたノズルプレートであって、流体を分配するための複数のノズルを備えるノズルプレートと、
c)膜プレートと、
d)圧電アクチュエータであって、流体が前記複数のノズルを通って分配されるように、膜プレートを押す圧電アクチュエータと、
を備え
前記ノズルプレートは、1つ以上の流体ポートをさらに備え、流体ポートによって、前記流体が前記ポンプ室内に押し出される、装置。
【請求項30】
前記ノズルプレートは、2つの流体ポートを有する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記複数のノズルは、
a)エッチングされたシリコンと
b)電鋳されたニッケルと、
のうち少なくとも1つから製造される、請求項2530のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記複数のノズルは、二次元アレイで製造される、請求項2531のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記二次元アレイ内のノズルの数は500~5000である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
各次元におけるノズルの数が同一である、請求項32または33に記載の装置。
【請求項35】
ノズル間の間隔が約50~約500マイクロメートルである、請求項2534のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
各ノズルが約100~1000ピコリットルの流体を分配する、請求項2535のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
前記複数のノズルは、
a)耐久性と、
b)疎水性と、
のうち少なくとも1つを高めるためにコーティングされている、請求項2536のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記流体が生物学的物質である、請求項1~37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記流体がワクチンである、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記ポンプ室が成型されている、請求項1~39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記装置が、プライミング溶液で予めプライミングされている、請求項1~40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記膜プレートがステンレス鋼でできている、請求項1~41のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記装置が無菌である、請求項1~42のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
前記複数のノズルが無菌である、請求項1~43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記装置が使い捨て式である、請求項1~44のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
前記ノズルプレートが使い捨て式である、請求項1~45のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
前記リストリクタポンプ室が使い捨て式である、請求項1~46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
前記装置が、前記基板を生物学的流体でコーティングするためのものであり、前記生物学的流体が無菌状態に保たれている、請求項1~47のいずれか1項に記載の装置。
【請求項49】
前記装置が、前記基板をワクチンでコーティングするためのものであり、前記ワクチンが無菌状態に保たれている、請求項1~48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項50】
微小突起アレイをコーティングするための方法であって、
a)各ノズルが微小突起上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイ上に、請求項1~49のいずれか1項に記載の装置を整列させるステップと、
b)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に流体を押し出すようにし、それにより前記微小突起アレイをコーティングするステップと、
を含む方法。
【請求項51】
微小突起アレイ上の微小突起を、所定の体積分までコーティングする方法であって、
a)各ノズルが微小突起上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイ上に、請求項1~49のいずれか1項に記載の装置を整列させるステップと、
b)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に流体を押し出すようにするステップと、
c)工程(b)を繰り返して、前記複数の微小突起を所定の体積分までコーティングするステップと、
を含む方法。
【請求項52】
微小突起アレイ上の微小突起をコーティングする方法であって、
a)各ノズルが、コーティングされていない微小突起の第1のセットの上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイの上に、請求項1~49のいずれか1項に記載の装置を整列させるステップと、
b)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第1のセット上に流体を押し出し、微小突起がコーティングされるステップと、
c)前記装置に対して前記微小突起アレイを移動させ、コーティングされていない微小突起の第2のセットの上に前記複数のノズルが整列するようにするステップと、
d)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第2のセット上に流体を押し出し、前記微小突起がコーティングされるステップと、
を含む方法。
【請求項53】
前記方法が、前記複数の微小突起から約50~約500マイクロメートルに、前記複数のノズルを位置合わせすることを含む、請求項5052のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記微小突起アレイ上の前記装置の位置合わせが、カメラを利用することによって達成される、請求項5053のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
微小突起アレイ上の微小突起をコーティングする方法であって、
a)各ノズルが、コーティングされていない微小突起の第1のセットの上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイの上に、請求項1~49のいずれか1項に記載の装置を整列させるステップと、
b)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第1のセット上に第1の流体を押し出し、前記複数の微小突起がコーティングされるステップと、
c)前記装置に対して前記微小突起アレイを移動させ、コーティングされていない微小突起の第2のセットの上に前記複数のノズルが整列するようにして、
d)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第2のセット上に第2の流体を押し出し、前記複数の微小突起がコーティングされるステップと、
を含む方法。
【請求項56】
微小突起アレイ上の微小突起をコーティングする方法であって、
a)各ノズルが、微小突起の上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイの上に、請求項1~49のいずれか1項に記載の装置を整列させるステップと、
b)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に第1の流体を押し出すステップと、
c)前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に第2の流体を押し出すステップと、
を含む方法。
【請求項57】
微小突起アレイ上の1つ以上の微小突起をコーティングするための装置であって、
a)ハウジングと、
b)圧電アクチュエータと、
c)リストリクタプレートと、
d)膜プレートと、
e)ポンプ室と、
f)下降プレートと、
g)ノズルプレートとを含み、
前記圧電積層アクチュエータは、前記圧電積層アクチュエータが作動するとき、前記圧電積層アクチュエータが前記膜プレートを押すように、前記膜プレートに動作可能な形で連結されている、装置。
【請求項58】
前記ポンプ室に取り付けられた1つ以上のポートをさらに備える、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
第2のリストリクタプレートをさらに備える、請求項57または58に記載の装置。
【請求項60】
微小突起アレイ上の1つ以上の微小突起をコーティングするための装置であって、
ノズルプレートに取り付けられた下降プレートに取り付けられたポンプ室に連結されたハウジングを備え、
前記ハウジングと前記ポンプ室との間には、圧電積層アクチュエータが作動するとき前記圧電積層アクチュエータが膜プレートを押すように、前記膜プレートに動作可能に連結された圧電ユニモルフアクチュエータがある、装置。
【請求項61】
前記ポンプ室に取り付けられた1つ以上のポートをさらに備える、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
第2のリストリクタプレートをさらに含む、請求項60または61に記載の装置。
【請求項63】
基板上に材料を印刷するための装置であって、
a)取り付け可能に連結された単一の入口穴および単一の出口穴を含む上部プレートと、
b)取り付け可能に連結された1つ以上のリザーバを含む流体分配プレートと、
c)圧電装置および前記圧電装置の下の膜を含む圧電膜プレートであって、前記圧電装置が作動するとき、前記膜が変形される、取り付け可能に連結された前記圧電膜プレートと、
d)取り付け可能に連結された圧電変形クリアランスプレートと、
e)取り付け可能に連結されたポンプ室プレートと、
f)流体材料を前記基板上に吐出することができる複数のノズルを含むノズルプレートと、備え、
前記ポンプ室プレートは、複数の通気孔を有する、装置。
【請求項64】
前記上部プレート、流体分配プレート、圧電膜プレート、圧電変形クリアランスプレート、ポンプ室プレート、およびノズルプレートは、すべてハウジング内に収容されている、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記ノズルプレートは、約400~500μmの厚さである、請求項63または64に記載の装置。
【請求項66】
前記ポンプ室は、厚さが0.3mm未満である、請求項6365のいずれか1項に記載の装置。
【請求項67】
前記ノズルプレート内の前記複数のノズルの前記ノズル幾何学的形状は連続的であり、特異点を有しない、請求項6366のいずれか1項に記載の装置。
【請求項68】
基板上に材料を印刷するための装置であって、
a)取り付け可能に連結された単一の入口穴および単一の出口穴を含む上部プレートと、
b)取り付け可能に連結された1つ以上のリザーバを含む流体分配プレートと、
c)圧電装置および前記圧電装置の下の膜を含む圧電膜プレートであって、前記圧電装置が作動するとき、前記膜が変形される、取り付け可能に連結された前記圧電膜プレートと、
d)取り付け可能に連結された圧電変形クリアランスプレートと、
e)取り付け可能に連結されたポンプ室プレートと、
f)流体材料を前記基板上に吐出することができる複数のノズルを含むノズルプレートと、備え、
前記ノズルプレートは、複数の通気孔を有する、装置。
【請求項69】
前記複数のノズルプレート通気孔は、複数のポンプ室通気孔に接続されている、請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記複数の通気孔は、直径が50μm未満である、請求項6369のいずれか1項に記載の装置。
【請求項71】
基板上に材料を印刷するための装置であって、
a)取り付け可能に連結された単一の入口穴および単一の出口穴を含む上部プレートと、
b)取り付け可能に連結された1つ以上のリザーバを含む流体分配プレートと、
c)圧電装置および前記圧電装置の下の膜を含む圧電膜プレートであって、前記圧電装置が作動するとき、前記膜が変形される、取り付け可能に連結された前記圧電膜プレートと、
d)取り付け可能に連結された圧電変形クリアランスプレートと、
e)取り付け可能に連結されたポンプ室プレートと、
f)流体材料を前記基板上に吐出することができる複数のノズルを含むノズルプレートと、備え、
前記ポンプ室プレートは、2つのリストリクタを有する、装置。
【請求項72】
基板上に材料を印刷するための装置であって、
a)取り付け可能に連結された単一の入口穴および単一の出口穴を含む上部プレートと、
b)取り付け可能に連結された1つ以上のリザーバを含む流体分配プレートと、
c)圧電装置および前記圧電装置の下の膜を含む圧電膜プレートであって、前記圧電装置が作動するとき、前記膜が変形される、取り付け可能に連結された前記圧電膜プレートと、
d)取り付け可能に連結された圧電変形クリアランスプレートと、
e)取り付け可能に連結されたポンプ室プレートと、
f)流体材料を前記基板上に吐出することができる複数のノズルを含むノズルプレートと、備え、
前記ノズルプレートは、下降プレートを含む2つのプレートを備える、装置。
【請求項73】
基板をコーティングするための装置であって、
a)圧電アクチュエータと、
b)膜プレートと、
c)変形クリアランスプレートと、
d)リストリクタポンプ室と、
e)ノズルプレートと
を備える装置によって分配された材料の質量を検証する方法であって、
1)前記ノズルプレートの近くに計量容器を配置するステップと、
2)前記容器内に1つ以上のノズルから1つ以上の液滴を収集し、前記1つ以上の液滴の重さを量るステップと、
を含む方法。
【請求項74】
前記計量容器は、捕捉液体を含み、前記捕捉液体は、前記液滴の蒸発速度を低下させ、前記液滴よりも密度が低く、蒸気圧が低く、表面張力および粘度が低く、前記液滴が前記捕捉液体の層の下に迅速に捕捉されるように、分配された液体と適切なレベルの混和性を有する、請求項73に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置の表面を含む表面をコーティング、特に、微小突起アレイ上の微小突起のコーティングするための装置および方法に関する。本発明は、また、微小突起アレイのような製品を製造するための、ならびに、微小突起アレイの表面をコーティングするための、プリントヘッド装置とそれらの製造とプリントヘッド装置を使用する方法とに関する。本発明は、また、本発明のプリントヘッドを使用する高処理印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における、以前の刊行物(またはそれから派生した情報)への、またはあらゆる既知の事柄への言及は、以前の刊行物(またはそれから派生した情報)または既知の事柄が、本明細書に関する努力分野において、共通の一般的知識の一部を成すことへの認容、承認、または任意の形態の示唆である、と解釈されない、もしくは、そのように解釈されるべきではない。
【0003】
近年、ワクチン接種および他の目的のために、薬物および他の生物活性物質を供与する新しい方法を考案する試みがなされており、これは、筋肉内注射および皮内注射のような慣習的な投与経路に対して、より便利であり、かつ/または性能が増強された代替物を提供する。皮内注射の限界には、医療従事者における針刺し損傷による交差汚染;針および注入器による注射恐怖症;そして最も重要なことに、その比較的大規模な投与の結果、およびその投与方法の結果として、針および注入器は外皮層中の重要な細胞を標的とすることができないことが含まれる。これは、一連の治療不能な疾患の予防、治療、およびモニタリングを行うための、多くの既存のおよび新たな戦略に対する深刻な制限となる。また、材料の毒性に起因して、あるいは製造が困難または高価であるために材料を節約する必要性があることに起因して、供与される物質の量を減少させる必要性もある。
【0004】
上記で参照された問題のいくつかを解決するための努力として、微小突起アレイまたはマイクロニードルアレイが、皮膚を通して様々な物質を供与するために利用されてきた。例えば、国際公開第2005/072630号には、生体活性物質および他の刺激を生細胞に供与するための装置が記載されている。上記装置は、生体活性物質または刺激を所定の部位に供与するように皮膚を貫通することができる複数の突起を含む。上記突起は、中実であってもよく、突起の供与端は標的細胞または皮膚上の特定の部位に挿入され得るように設計される。中実または生分解性のいずれかの微小突起および/またはマイクロニードルを利用する他の装置が、以下に記載される。
【0005】
マイクロニードルおよび/または微小突起を含む装置を使用する課題の1つは、突起をコーティングする必要性である。アレイを塗布液中に浸漬すること、またはコーティングを突起上に噴霧することなどの様々なコーティング技術が記載されている。例えば、Gill and Prausnitz、J.Controlled Release(2007)、117: 227-237には、微小突起アレイに従って間隔を空けて配置された浸漬孔を通して、微小突起を塗布液リザーバに浸漬することによるコーティング微小突起が記載されている。Cormier et al、J.Controlled Release(2004)、97: 503-511には、活性化合物およびポリソルベートを含有する水溶液中に部分的に浸漬することによるマイクロニードルアレイのコーティングが記載されている。国際公開第2009/079712号には、微小突起を噴霧コーティングし、噴霧された水溶液を気体で乾燥させることによって微小突起アレイをコーティングする方法が記載されている。
【0006】
インクジェット印刷は、薬学的合成物を様々な装置および媒体上に堆積させるために使用されてきた。例えば、Wu et al.(1996)、J.Control.Release 40: 77-87には、モデル薬物を含む装置を製造するためのインクジェットの使用が記載されている; Radulescu et al.(2003)、Proc.Winter Symposium、および11th International Symposium on Recent Advance ins Drug Delivery Systemsには、圧電インクジェットプリンタを用いたパクリタキセルを含む小径ポリ(乳酸‐グリコール酸共重合体)ナノ粒子の調製が記載されている; Melendez et al.(2008)、JPharm.Sci.97: 2619-2636は、プレドニゾロンの固体投薬形態を提供するために、インクジェットプリンタを利用している; Desai et al.(2010)、Mater.Sci.Eng.B 168: 127-131は、ローダミンR6G染料を含有するアルギン酸ナトリウム水溶液を、塩化カルシウムの表面上に堆積させるために、圧電インクジェットプリンタを使用している; Sandler et al.(2011)、J.Pharm.Sci.100: 3386-3395は、多孔質紙基板上に種々の医薬化合物を堆積させるために、インクジェット印刷を使用している; Scoutaris et al.(2012)、J.Mater。Sci.Mater.Med.23: 385-391には、2つの薬理学的作用物質および2つのポリマーを含むドットアレイを製造するための、インクジェット印刷の使用が記載されている。また、インクジェット印刷は、ステント上に種々の医薬化合物を堆積させるために使用されている(Tarcha et al.(2007)Ann.Biomed.Eng.35: 1791-1799)。最近、圧電インクジェットプリンタが、マイクロニードルをコーティングするために使用されている。Boehm et al.(2014)Materials Today 17(5): 247-252には、メチルビニルエーテル基と無水マレイン酸基とを交互に含む生分解性酸無水物複合体から調製されたマイクロニードルを、ミコナゾールでコーティングするための、インクジェットプリンタの使用が記載されている。
【0007】
DNAマイクロアレイのスポットは伝統的に、ペン装置(ペンデバイス)を担持するヘッドを有するコンピュータ制御xyz運動ステージを使用して、マルチウェルプレートから水溶液の小滴を拾い上げ、それらを表面上に転写およびスポットすることによって達成される。これらのスポッティングペンは、クイルタイプのインクペンから適合された、精巧な設計である。ペンプリントは、平坦な固体表面基板を使用するとき、信頼性があり、再現性がある。不均一な膜タイプの基板を使用するとき、接触技術に問題が生じる可能性がある。平坦でない基板は、表面領域が印刷ペンのバンク内の1つまたは複数のペンのレベルよりも低いときに、スポットの欠落をもたらす可能性がある。膜上へのスポッティングは、膜がスポッティング溶液をあまりにも迅速に吸収する場合、許容できない表面のくぼみおよび不均一なスポッティングをもたらす可能性がある。他の欠点としては、印刷される各スポットの体積制御の範囲が限られていること、およびスポットされた流体の交差汚染の危険なしにオーバープリントすることができないことが挙げられる。全ての電流噴射及び印刷プラットフォームの設計は、作業面の上方に可動ガントリを有する。これは、作業面の上方に微粒子が発生するため、無菌又はGMP製造にとって有害である。
【0008】
正圧変位は、流体の堆積のためにシリンジシステムまたはバルブジェットを利用する別のスポッティング方法である。バルブジェット技術では、開口部またはノズルは、ソレノイドバルブに取り付けられ、ソレノイドバルブは、迅速に開閉して、加圧された流体から断続的な液滴のストリームを生成する。シリンジシステムは、サンプルのくぼみから流体をピックアップし、次いで、正圧変位を使用して基板上に流体を分配する。これらのシステムは、分配に対する流体特性の影響が、圧電マイクロ分配に対する影響よりも小さいので、信頼性が高い。しかしながら、これらの正圧変位のマイクロ分配システムは、より低い容積能力で分配するとき、より低い再現率を有し得る。これらのシステムにおいて、下限の堆積容積は、ナノリットル範囲である。
【0009】
ドロップオンデマンド圧電マイクロ分配装置では、流体は、周囲圧力に維持され、圧電変換器は、必要なときにのみ液滴を生成するために使用される。上記変換器は、流体に容積変化を生じさせ、その結果、圧力波が生じる。圧力波は開口部に進み、流体速度に変換され、その結果、液滴が開口部から噴射される。あるいは、上記圧電変換器は、開口部における流体メニスカスプロファイルを変更する音響パルスを生成する。
【0010】
非接触印刷プロセスとして、インクジェット分配の精度は、分配の最中に流体を基板上に「接触させる」ペン移送システムまたは正圧変位の場合のように、流体がどのように基板を濡らすかによって影響されない。したがって、流体源は、すでに基板上にある流体によって、または基板物質によって汚染され得ない。したがって、交差汚染の危険なしに、異なる試薬または生体液を使用して、複数のスポットをオーバープリントすることが可能である。最後に、ミリメートル以上にわたって流体の液滴を自由に飛ばす能力は、流体が複数のくぼみまたは他の基板特徴部に分配されることを可能にする。
【0011】
微小突起アレイを含む医療装置をコーティングするために使用される、現在のインクジェットシステムは、XYZガントリシステムを利用する。XYZガントリシステムは、微小突起上にコーティングを供与する、単一のノズル、または個別にアドレス指定可能な複数のノズルのアレイのいずれかを位置決めするために利用される。プリントヘッドは、ターゲット基板の全域にわたってラスタされ、これはプリントされる各ラインにおける軸の加速および減速を伴う。市販のプリントヘッドは微小突起アレイの間隔と一致しないので、プリントヘッドは、複数のノズルを使用するときに利用可能な速度増加を行うために、セイバー(すなわち、ある角度で配置)されなければならず、また液滴の吐出に対して可変のタイミングを有さなければならない。単一のノズルでは、ラスタ運動は時間がかかり、微小突起アレイをコーティングするのに必要な時間の50%までを運動が消費する小型基板にとっては、重要な要因である。既存のノズルアレイでは、所望の結果を達成するために可変データを使用しなければならず、これはシステムの複雑さ、したがってコストを増大させる。より安価で、より複雑でなく、より正確で、かつ効率的な、微小突起アレイのような医療デバイス基板を含む基板をコーティングするための新規な装置および方法が必要とされている。また、これらの装置は、コーティングされる製品の汚染がないように、無菌である必要がある。現在、市販の医薬品質の製造のために特に設計された、表面上に物質を分配するためのシステムは存在しない。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、医療装置の表面を含む表面をコーティングするための装置及び方法、特に、微小突起アレイ上の微小突起のコーティングに関する。また、本発明は、微小突起のような粒子を製造するための、ならびに微小突起アレイの表面をコーティングするための、プリントヘッド装置およびそれらの製造、ならびにプリントヘッド装置を使用する方法に関する。また、本発明は、本発明のプリントヘッドを利用して、微小突起アレイを含む多数のコーティングされた基板を製造する高処理(スループット)装置に関する。一般的な意味において、本発明は、基板上に物質を堆積させるための装置及び方法に関する。本発明の装置および方法は、材料(物質)、特に流体材料を、基板上に印刷、コーティング、被覆または堆積するために使用することができる。本発明の装置及び方法は、ステントをコーティングすること、または微小突起アレイの微小突起をコーティングすることなど、基板上に流体をコーティングするために使用することができる。本発明は、改善された効率および3次元基材の正確なコーティングを提供し得る、微小突起アレイ上への医薬および生物学的物質を含む流体の印刷またはコーティングのための装置に関する。本発明の装置は、無菌環境における薬理学的品質の生物学的材料の同時二次元堆積を提供する。これらの印刷装置は、微小突起アレイの異なる微小突起上への異なる抗原のコーティングを提供する。また、本発明の装置は、微小突起アレイ上のあらゆる微小突起上に、異なる抗原および異なるアジュバントまたは賦形剤を堆積させることができる。このような生物学的流体には、活性物質が1~10mg/mlのような低濃度でのみ利用可能であり得るという点で、コーティングのためのさらなる課題を提起する、ワクチンおよびバイオ医薬品が含まれる。つまり、目標治療用量を達成するために、これは、各特徴における物質の投与間の乾燥時間を伴う、物質の複数回の投与を必要とし得る。供与される全流体(の液滴の数)が比較的高いので、基板をコーティングするための全時間が過剰にならないように、物質(材料)を効率的に堆積させることが重要である。
【0013】
微小突起アレイパッチ、あるいは他のワクチンおよび生物学的プラットフォームのインクジェットコーティングは、制御された投与で、プラットフォーム上の個々の突起を標的とする生物学的製剤の正確な投与および割り当てを可能にする。典型的には、マイクロプロジェクションアレイのプラットフォームが20mm未満の長さおよび幅を有し、均等に間隔をあけた2次元突起アレイを有する。各方向の突起数は典型的には100未満であり、従って、アレイ上の突起の密度は、2000~10000個/cmの間である。有効投与に必要な物質の量は、典型的には突起当たり約500~1000ピコリットルである。現在、利用可能なプリンタ技術は、医薬品質の物質を印刷するように作られておらず、また、現在の技術は、各突起上に適切な量の材料を提供するために必要とされる精度で印刷することもできない。商業的に入手可能なマルチノズルプリンタヘッドは、可変データアドレス指定能力、一次元での高いDPI、及び小滴サイズ(典型的には30ピコリットル未満)に焦点を当てた文書及びグラフィック印刷用に設計されている。これらの特性は、微小突起アレイのインクジェットコーティングを製造するために必要な要件に適合しない。さらに、市販のプリンタヘッドは、コーティングプロセスの間、生物学的物質が安定したままであることを可能にする冷却および混合機能を提供しない。
【0014】
第1の広範な形態において、本発明は基板をコーティングするための装置を提供し、この装置は、ポンプ室と、ノズルプレートと、圧電アクチュエータと、膜プレートとを備える。
【0015】
第2の広範な形態において、本発明は基板をコーティングするための装置を提供し、この装置は、流体が収容されるポンプ室と、前記ポンプ室に取り付けられたノズルプレートであって、流体を分配するための複数のノズルを備えるノズルプレートと、膜プレートと、流体がノズルを通して分配されるように、アクチュエータが前記膜プレートを押し付ける圧電アクチュエータとを備える。
【0016】
典型的には、前記圧電アクチュエータは圧電積層アクチュエータである。
【0017】
典型的には、前記圧電アクチュエータは圧電ユニモルフアクチュエータである。
【0018】
前記装置は、前記流体を混合するための装置をさらに備える。
【0019】
前記装置は、ハウジングをさらに備える。
【0020】
前記装置のハウジングは、冷却装置を含むことができる。
【0021】
前記ポンプ室プレートは、前記流体が前記ポンプ室内にポンピングされる1つ以上の流体ポートをさらに備える。
【0022】
典型的には、前記ノズルプレートは複数の流体ポートを有する。
【0023】
典型的には、前記複数のノズルはエッチングされたシリコンから作られる。
【0024】
典型的には、前記複数のノズルは電鋳ニッケルで作られる。
【0025】
典型的には、前記複数のノズルはEDMステンレス鋼で作られる。
【0026】
典型的には、前記複数のノズルは機械的に打ち抜かれたステンレス鋼で作られる。
【0027】
典型的には、前記複数のノズルはレーザー穿孔されたステンレス鋼で作られる。
【0028】
典型的には、前記複数のノズルは2次元アレイで作られる。
【0029】
典型的には、前記ノズルの直径は約30μm~200μmである。
【0030】
典型的には、前記二次元アレイにおけるノズルの数は100~5000である。
【0031】
典型的には、各次元(各寸法)におけるノズルの数は同一である。
【0032】
典型的には、前記複数のノズル間の間隔は約80~約800マイクロメートルである。
【0033】
典型的には、各ノズルは約30~3000ピコリットルの流体を分配する。
【0034】
典型的には、前記複数のノズルは耐久性を高めるためにコーティングされる。
【0035】
典型的には、前記複数のノズルは疎水性を高めるためにコーティングされる。
【0036】
典型的には、前記流体は生物学的物質である。
【0037】
典型的には、前記流体はワクチンである。
【0038】
典型的には、前記ポンプ室は成型される。
【0039】
典型的には、前記装置はプライミング溶液で予めプライミングされる。
【0040】
典型的には、前記膜プレートはステンレス鋼で作られる。
【0041】
典型的には、前記装置は無菌である。
【0042】
典型的には、前記複数のノズルは無菌である。
【0043】
典型的には、前記装置は使い捨てである。
【0044】
典型的には、前記ノズルプレートは使い捨てである。
【0045】
典型的には、前記ポンプ室は使い捨てである。
【0046】
典型的には、前記生物学的流体は無菌状態に保たれる。
【0047】
典型的には、前記ワクチンは無菌状態に保たれる。
【0048】
第3の広範な形態において、本発明は微小突起アレイをコーティングするための方法を提供し、この方法は、各ノズルが微小突起上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイ上に、請求項1の装置を整列させるステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に流体を押し出すようにし、それにより前記微小突起アレイをコーティングするステップとを含む。
【0049】
第4の広範な形態において、本発明は微小突起アレイ上の微小突起を、所定の体積分までコーティングするための方法を提供し、この方法は、各ノズルが微小突起上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイ上に、請求項1の装置を整列させるステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に流体を押し出すようにするステップと、前のステップを繰り返して、前記複数の微小突起を所定の体積分までコーティングするステップとを含む。
【0050】
第5の広範な形態において、本発明は微小突起アレイ上の微小突起をコーティングするための方法を提供し、この方法は、各ノズルが、コーティングされていない微小突起の第1のセット上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイ上に、請求項1の装置を整列させるステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第1のセット上に流体を押し出し、微小突起がコーティングされるステップと、前記装置に対して前記微小突起アレイを移動させ、コーティングされていない微小突起の第2のセットの上に前記複数のノズルが整列するようにするステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第2のセット上に流体を押し出し、前記微小突起がコーティングされるステップとを含む。
【0051】
典型的には、前記複数のノズルは、前記複数の微小突起から約50~約2000マイクロメートルにある。
【0052】
典型的には、前記微小突起アレイ上の前記装置の位置合わせは、カメラを利用することによって達成される。
【0053】
第6の広範な形態において、本発明は微小突起アレイ上の微小突起をコーティングするための方法を提供し、この方法は、各ノズルが、コーティングされていない微小突起の第1のセットの上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイの上に装置を整列させるステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第1のセット上に第1の流体を押し出し、前記複数の微小突起がコーティングされるステップと、前記装置に対して前記微小突起アレイを移動させ、コーティングされていない微小突起の第2のセットの上に前記複数のノズルが整列するようにするステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記微小突起の第2のセット上に第2の流体を押し出し、前記複数の微小突起がコーティングされるステップとを含む。
【0054】
第7の広範な形態において、本発明は微小突起アレイ上の微小突起をコーティングするための方法を提供し、この方法は、各ノズルが、微小突起の上に整列するように、複数の微小突起を含む微小突起アレイの上に、請求項1の装置を整列させるステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に第1の流体を押し出すステップと、前記アクチュエータを作動させて、前記膜プレートが、前記複数のノズルを通って前記複数の微小突起上に第2の流体を押し出すステップとを含む。
【0055】
第8の広範な形態において、本発明は、微小突起アレイ上の1つ以上の微小突起をコーティングするための装置を提供し、この装置は、ハウジングと、圧電アクチュエータと、リストリクタプレートと、膜プレートと、ポンプ室と、下降プレートと、ノズルプレートとを含み、前記圧電積層アクチュエータは、前記圧電積層アクチュエータが作動するとき、前記圧電積層アクチュエータが前記膜プレートを押すように、前記膜プレートに動作可能な形で連結される。
【0056】
典型的には、前記ポンプ室に取り付けられた1つ以上のポートがある。
【0057】
前記装置は、第2のリストリクタプレートをさらに備えることができる。
【0058】
第9の広範な形態において、本発明は微小突起アレイ上の1つ以上の微小突起をコーティングするための装置を提供し、この装置は、ノズルプレートに取り付けられた下降プレートに取り付けられたポンプチャンバに連結されたハウジングを備え、前記ハウジングと前記ポンプ室との間には、圧電積層アクチュエータが作動するとき前記圧電積層アクチュエータが膜プレートを押すように、前記膜プレートに動作可能に連結された圧電積層アクチュエータがある。
【0059】
典型的には、前記ポンプ室に取り付けられた1つ以上のポートがある。
【0060】
前記装置は、第2のリストリクタプレートをさらに備えることができる。
【0061】
第10の広範な形態において、本発明は基板上に材料を印刷するための装置を提供し、この装置は、流体分配プレートに取り付け可能に連結された単一の入口穴および単一の出口穴を含む上部プレートと、圧電膜プレートに取り付け可能に連結された1つ以上のリザーバを含む流体分配プレートと、圧電装置および前記圧電装置の下の膜を含む圧電膜プレートであって、前記圧電装置が作動するとき、前記膜が変形される、圧電変形クリアランスプレートに取り付け可能に連結された前記圧電膜プレートと、ポンプ室プレートに取り付け可能に連結された圧電変形クリアランスプレートと、ノズルプレートに取り付け可能に連結されたポンプ室プレートと、流体材料を前記基板上に吐出することができる複数のノズルを含むノズルプレートとを備える。
【0062】
典型的には、前記上部プレート、流体分配プレート、圧電膜プレート、圧電変形クリアランスプレート、ポンプ室プレート、およびノズルプレートは、すべてハウジング内に収容される。
【0063】
典型的には、前記ノズルプレートは約200~500μmの厚さである。
【0064】
典型的には、前記ポンプ室の厚さは1mm未満である。
【0065】
典型的には、前記ノズルプレート内の前記複数のノズルのノズル幾何学的形状は連続的であり、特異点を有しない。
【0066】
典型的には、前記ポンプ室プレートは複数の通気孔を有する。
【0067】
典型的には、前記ノズルプレートは複数の通気孔を有する。
【0068】
典型的には、前記複数のノズルプレート通気孔は、前記複数のポンプ室プレート通気孔に接続される。
【0069】
典型的には、前記複数の通気孔は、直径が50μm以下である。
【0070】
典型的には、前記ポンプ室プレートは2つのリストリクタを有する。
【0071】
典型的には、前記ノズルプレートは、下降プレートを含む2つのプレートを備える。
【0072】
第11の広範な形態において、本発明は単一のプリントヘッドコーティング装置であって、この装置は、微小突起アレイを取り付けることができるX、Y並進ステージと、LED照明(LED光)を有する基準カメラと、回転プリントヘッドが取り付けられるZステージとを備える。
【0073】
プリントヘッドコーティング装置は、前記ステージが取り付けられる基部をさらに備えてもよい。
【0074】
典型的には、前記並進ステージは、±1μmの位置精度を有する。
【0075】
典型的には、前記並進ステージは、500mm/sまでの速度で移動することができる。
【0076】
典型的には、記並進ステージは、5000mm/sまでの加速度を有する。
【0077】
本発明の広範な形態およびそれらそれぞれの特徴は、併せて、互換的に、および/または独立して使用され得、別個の広範な形態への言及は、限定することを意図しないことが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本発明の様々な例および実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の分解概略正面図である。
図2】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の分解概略部分側面図である。
図3】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の分解概略正面図である。
図4】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の分解概略部分側面図である。
図5】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の分解概略正面図である。
図6】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の分解概略部分側面図である。
図7A】ポンプ室の一実施形態の図である。
図7B】ポンプ室の一実施形態の図である。
図8】ノズルプレートの一実施形態の概略図である。
図9】圧電積層アクチュエータの一実施形態の概略図である。
図10A】組み立てられたプリントヘッドの一実施形態の側面図である。
図10B】組み立てられたプリントヘッドの一実施形態の回転側面図である。
図11】本発明のプリントヘッド装置の一実施形態の模式図である。
図12】本発明のプリントヘッド装置におけるリストリクタプレートの一実施形態の模式図である。
図13】本発明のプリントヘッドの一実施形態の概略等角図である。
図14A】本発明のプリントヘッドの一実施形態の概略等角図である。
図14B】本発明のプリントヘッドの一実施形態の概略底面図である。
図14C】本発明のプリントヘッドの一実施形態の概略側面図である。
図15A】本発明のプリントヘッドの一実施形態の概略側面図である。
図15B】本発明のプリントヘッドの一実施形態の概略上面図である。
図16A】ノズルプレートの一実施形態の写真である。
図16B】ノズルプレートの一実施形態の背面の高倍率写真である。
図16C】ノズルプレートの一実施形態の正面の倍率写真である。
図16D】ノズルプレートと下降プレートとの間の相互作用の一実施形態の概略図である。
図17】本発明のプリントヘッドの一実施形態を示す。
図18A】ポンプ室プレートの一実施形態のポンプ室プレートの上面図である。
図18B】ポンプ室プレートの一実施形態のアセンブリの上面図である。
図18C】移動する接触線のエッジの速度を遅らせるために、移動する接触線のためのピン止め点を生成する鋭利なエッジを有するポンプ室の一部の詳細図である。
図19A】通気孔を示すプレートアセンブリの上面図である。
図19B図19Bは、通気孔を示すノズルプレートの上面図である。
図20A】チャンバを充填する連続図である。
図20B】チャンバを充填する連続図である。
図20C】チャンバを充填する連続図である。
図21】質量検査機能の一実施形態の図である。
図22A】1つの特異点を有する不連続内部プロファイルを有するノズル幾何学的形状の概略図である。
図22B】2つの特異点を有する不連続内部プロファイルを有するノズル幾何学的形状の概略図である。
図22C図13Cは、連続内部プロファイルを有し、特異点を有さないノズル幾何学的形状の概略図である。
図23A】特異点を有する不連続内部プロファイルを有するノズルプレートおよび下降プレートの幾何学的形状の概略図である。
図23B】特異点を有さない連続内部プロファイルを有するノズルプレートおよび下降プレートの幾何学的形状の概略図である。
図24A】特異点を有さない連続内部プロファイルを有するノズルプレートおよび下降プレートの幾何学的形状の概略図である。
図24B】特異点を有さない連続内部プロファイルを有するノズルプレートおよび下降プレートの幾何学的形状の写真である。
図25】メニスカス振動波形の一実施形態を示す。
図26】増幅器に基づくPZTドライバの一実施形態の図である。
図27】増幅器に基づくPZTドライバの一実施形態の図である。
図28】PZT信号フィードバック設計の一実施形態の図である。
図29】単一プリントヘッド高速コーティング装置の一実施形態の図である。
図30A】マット凝集のための面外平面挿入ダブテールコネクタ、すなわちダブテールを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図30B】マット凝集のための面外平面挿入ダブテールコネクタ、すなわちダブテールを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図30C】マット凝集のための面外平面挿入ダブテールコネクタ、すなわちダブテールを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図31A】マット凝集のための面外平面挿入コネクタを積み重ねるための十字形端部スピゴットを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図31B】マット凝集のための面外平面挿入コネクタを積み重ねるための十字形端部スピゴットを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図32A】マット凝集のための面内摩擦嵌合コネクタを積み重ねるための十字形端部スピゴットを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図32B】マット凝集のための面内摩擦嵌合コネクタを積み重ねるための十字形端部スピゴットを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。
図33A】コンパクトなスタックにおけるマットの強力な凝集が六角形および複数のスピゴットで達成される実施形態を示す。
図33B】コンパクトなスタックにおけるマットの強力な凝集が六角形および複数のスピゴットで達成される実施形態を示す。
図34A】ガイドシャフト(スピゴット)を有さず、代わりに面内摩擦嵌合コネクタを使用する実施形態を示す。
図34B】ガイドシャフト(スピゴット)を有さず、代わりに面内摩擦嵌合コネクタを使用する実施形態を示す。
図34C】ガイドシャフト(スピゴット)を有さず、代わりに面内摩擦嵌合コネクタを使用する実施形態を示す。
図35A】マットを形成するために互いに突き合わせるパッチ実施形態の様々な方位を示す。
図35B】マットを形成するために互いに突き合わせるパッチ実施形態の様々な方位を示す。
図35C】マットを形成するために互いに突き合わせるパッチ実施形態の様々な方位を示す。
図36】100個のパッチを有するパッチマットの一実施形態を示す。
図37A】2つの積み重ねられたパッチの単一の列の表現を示す。
図37B】マット内において5つの積み重ねられたパッチの10列の断面図を示す。
図38】カバー内に含まれる一体化された流体リザーバを有するプリントヘッドの一実施形態の概略図である。
図39】一体化された流体リザーバを有するプリントヘッドの一実施形態の概略図である。
図40A】一体型流体リザーバの一実施形態の生体処理バッグ流体リザーバの正面図である。
図40B】一体型流体リザーバの一実施形態の生体処理バッグ流体リザーバの側面図である。
図41】プリントヘッドの一体化された流体リザーバの実施形態の下部の概略図である。
図42】プリンタ接続の一実施形態の概略図である。
図43】供給ラインがプリントヘッドから外部リザーバまで延在する外部流体リザーバの一実施形態の概略図である。
図44】供給ラインがプリントヘッドから撹拌機構を提供する外部リザーバまで延在する外部流体リザーバの一実施形態の概略図である。
図45】プリントヘッドの動作を制御するためのシステムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
マイクロアレイプロジェクションまたはマイクロアレイパッチ(MAP)または微小突起アレイパッチは、現在開発中の多数の異なる装置を包含する。これらの装置についての他の専門語としては、マイクロニードルアレイ、マイクロプロジェクションパッチおよびマイクロニードルパッチを含む。これらのパッチは、物質が皮膚の外層を通して投与される方法を提供することによって、皮膚または筋肉内注射によるワクチンおよび他の薬理学的物質の投与の代替になり得る。ワクチンまたは薬理学的溶液自体から形成された突起部をパッチするために、パッチは、金属形成パッチから高分子成形パッチまでの様々な形態をとる。これらのパッチの製造は、乾燥した薬物溶液またはワクチンを、高いスループット(処理量)および高い精度で微小突起の先端に沈着させる能力に依存する。患者へのコーティングされた物質の供与が一貫している必要があるので、突起を正確にコーティングすることは重要である。供与される物質が少なすぎると、治療の有効性が損なわれる。物質が多すぎると、過剰投与につながるか、または少なくとも高価なワクチンまたは薬物を浪費する可能性がある。パッチを迅速にコーティングする能力は、市販の製品を製造するために必要である。パッチの製造は関与する方法にかかわらず、医薬品ガイドライン(例えば、PICのGMPコード)に従って行わなければならない。製造業者および規制当局の両方を満足させるために、製品品質が常に十分に理解、管理され、出力された製品が不適合製品および性能傾向について100%監視されるという、完全なプロセス管理が必要とされる。無菌製造に必要な条件下での大規模な高速高精度の沈着は、従来技術のコーティングプロセスではこれまで検証困難であった。高いコーティング速度でのプロセス出力の検証方法は、産業界によって未だに取り組まれていない。一例として、規制当局は、以下の重要な品質属性を有するプロセス分析技術(PAT)に出会うことを予期するのであろう:1)分配された物質の質量/体積が測定される;2)基板の全域にわたってコーティングの均一性が維持される;3)突起上のコーティングの位置が検証される;4)不適合製品が認識され、除去される;および5)プリントヘッド性能(液滴サイズ、液滴位置、アレイ均一性)が監視される。
【0080】
市販のインクジェット印刷システムは、生体適合性材料から製造されておらず、GMPガイドラインに従わず、医薬または生物学的材料を印刷するために必要とされるのと同じレベルのプロセス制御および性能立証を必要としない。本発明の装置および方法は、新規なプリントヘッドおよびノズルプレートの設計および製造と、新規なプロセス制御と、新規なPZT駆動波形と、プロセス制御および品質出力が常に維持されることを保証する本発明のプロセスステップとを使用する、統合制御システムに関する。本発明の方法および装置は無菌としてラベル付けされる組み合わせ医療装置の製造に許容されるコーティングシステムの設計を含み、グローバル規制機関によって提供される基準に準拠する制御システムを提供する。
【0081】
本発明は、基板上に材料(物質)を堆積させるための装置及び方法に関する。本発明は、デバイスを製造するため、またはデバイスをコーティングするために、材料を堆積させるための装置及び方法に関する。本発明は、微小突起アレイを含む医療デバイスをコーティングするための装置及び方法に関する。本発明は膜プレートを押し、ポンプ室内の流体が2次元のノズルアレイを通して分配されるようにするために、駆動コンポーネントとして圧電積層アクチュエータを利用する、新規なプリントヘッド設計に関する。分配された流体は、ノズルがアレイ上の微小突起に合わせて整列することによって、微小突起アレイ上の微小突起上にコーティングされる。二次元方向の各々におけるノズルの数は100個未満であってもよく、さらに、ノズルの数はコーティングされるマイクロニードルアレイにおける突起の数によって均等に分割されるか、もしくはコーティングされる突起の数と同じ数であってもよい。ノズル間の間隔は、微小突起アレイの微小突起間の間隔の整数倍であってもよい。本発明の装置及び方法は、各液滴吐出サイクルがノズル当たり30~3000ピコリットルの範囲の総体積を有する単一の液滴、または一連の液滴を全てのノズルが同時に吐出することを可能にするように提供される。本発明の装置及び方法は、各液滴吐出サイクルが単一のノズル又はノズルのサブセットが単一の液滴、または一連の液滴を吐出することを可能にするように提供される。
【0082】
本発明の装置および方法は、プリントヘッドを提供する。プリントヘッドにおいて、ノズルプレートは、材料を分配するためのノズルの二次元アレイを提供する。
【0083】
[プリントヘッド装置]
本発明のプリントヘッド装置の一実施形態を図1および図2に示す。プリントヘッド装置の本実施形態では、圧電積層アクチュエータが使用される。図1において、ハウジング(101)は、分配される流体が貯蔵されるポンプ室(ポンピングチャンバー)(106)に接続されている。流体は、1つ以上のポート(107)を通ってポンプ室に流入する。圧電積層(102)は作動(活性化)され、2つのリストリクタプレート(規制板)(103および105)の間に保持されたプレート膜(104)に衝突する。圧電積層(102)が作動されると、流体はプレート膜(104)によって押し出され、下降プレート(108)を通り、ノズルプレート(109)内のノズルを通って出て、微小突起上に分配されるように、下降プレート(108)はノズルプレート(109)に取り付けられる。この実施形態では、ハウジング(101)、第1のリストリクタプレート(103)、膜プレート(104)、第2のリストリクタプレート(105)を通ってポンプ室(106)にねじを通すことによって、プリントヘッドが組み立てられる。膜プレート(104)上の積層PZT(102)に予め負荷される力は、直流力ゲージを使用して設定される。予め負荷された力は、最適な性能が達成され得るように、異なるプリントヘッド組立体の性能を微調整するために使用される。プリントヘッドのこの実施形態では膜プレートより上部の構成要素(すなわち、ハウジング(101)、積層PZT(102)、および第1のリストリクタプレート(103))は、流体がその部品には接触せず、滅菌され、再使用され得る。膜プレートより下部、および膜プレートの構成要素は、使い捨てであってもよい。リストリクタプレートは、生物学的流体が前記リストリクタを通って膜プレートの下の領域に流れる内部流体導管として働くことができる。
【0084】
図3~6は、ユニモルフ圧電ユニットが使用される、本発明のプリントヘッド装置の代替実施形態を提供する。図3において、ハウジング(301)は、分配される流体が貯蔵されるポンプ室(305)に接続されている。流体は、1つ以上のポート(306)を通ってポンプ室に流入する。ユニモルフ圧電装置(302)は作動(活性化)され、1つのリストリクタプレート(304)によって保持されたプレート膜(303)に衝突する。ユニモルフ圧電体(302)が活性化されると、流体はプレート膜(303)によって押し出され、下降プレート(307)を通り、ノズルプレート(308)内のノズルを通って出て、微小突起上に分配されるように、下降プレート(307)はノズルプレート(308)に取り付けられる。
【0085】
図5には、ハウジング(501)が、流体をポンプ室(506)に導くためのポート(501)を有しているような、実施形態が示されている。ユニモルフPZT(503)は、リストリクタプレート(505)によって適所に保持されたプレート膜(504)に衝突する。これらの部品の全ては、ハウジング(506)及び下降プレート(507)及びノズルプレート(508)と共に組み立てられる。ユニモルフPZTを利用する実施形態は、生体適合性エポキシを使用して組み立てられる。ユニモルフPZTは、積層PZTより、かなり安価であり、したがって、製造コストを下げて、完全に使い捨て可能なプリントヘッドを提供することができる。ユニモルフPZTは、その性能のばらつきが少ないので、製品性能のばらつきはよりタイトになり得る。ユニモルフPZTはより小さいので、プリントヘッドのフットプリントもより小さくすることができる(例えば、30×30×30mm)。最後に、ユニモルフPZTのコンプライアンスは積層PZTのコンプライアンスよりも高く、その結果、ジェット性能は積層PZTバージョンのものよりも良好に調整され得る。図9は、圧電積層アクチュエータの一実施形態の概略図を示す。
【0086】
図10AおよびBは、組み立てられたプリントヘッド装置の一実施形態の図を示す。図11は、本発明のプリントヘッドの追加の実施形態を提供する。プリントヘッドのこの実施形態の部品は、圧電装置(1103)、膜プレート(1104)、変形クリアランスプレート(1101)、リストリクタポンプ室(1102)、およびノズルプレート(1108)を含む。変形クリアランスプレートは、膜プレートとポンプ室プレートとの間にある。膜プレートは圧電アクチュエータによって変形クリアランスプレートに向かって変形され、膜プレート内の最大変形可能面積は変形クリアランスプレートによって定められる。この例では、変形クリアランスプレート(1101)が前記例のリストリクタプレート(105)と同様に機能している。一方、リストリクタポンプ室(1102)は、上記の例のポンプ室(106)と広義で同等の機能を提供する。したがって、特定の専門用語への言及は、必ずしも限定を意図するものではなく、提供される機能の単なる説明であることが理解されるのであろう。図12は、リストリクタポンプ室の一実施形態の上面図の模式図を提供する。
【0087】
図13は、カートリッジキャップ(1310)、カートリッジ本体(1311)およびアダプタプレート(1312)を含むハウジング内の、図11に示されるプリントヘッド組立体の概略図を、提供する。アダプタプレートは、ノズルアレイの交換を可能にするように取り外し可能であってもよい。図14A~Cおよび15AおよびBは、ハウジング内のプリントヘッド組立体の種々の図を示す。
【0088】
プリントヘッドの様々な部分は、拡散接合、エポキシ接合、レーザー溶接、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な方法で組み立てることができる。拡散溶接では、プリントヘッド組立体の複数の部品が結合層(例えば、金)でコーティングされ、整列され、次いで拡散接合される。拡散接合は、接着剤が穴に漏れることによる漏れおよび穴閉塞の傾向がより少ない、より永久的なアプローチであるため、好ましい場合がある。エポキシ接合では、接着剤の薄い層(約3μm)を各表面に塗布し、部品を治具内で整列させ、次いで圧力および熱下に置いて結合させる。レーザー溶接では、最終組み立てを行うために、水密結合を必要とする領域が、レーザー溶接される。例えば、図11に関して、圧電装置(1103)は、膜プレート(1104)に接着結合されて、1つのサブアセンブリを形成し得る。変形クリアランスプレート(1101)と、リストリクタポンプ室(1102)と、ノズルプレート(1108)とは第2のサブアセンブリを形成するために、互いに拡散結合され得る。これらの2つのサブアセンブリは次に、プリントヘッドを形成するために、一緒に接着結合され得る。あるいは変形クリアランスプレート(1101)、リストリクタポンプ室(1102)およびノズルプレート(1108)は共にレーザー溶接され、このサブアセンブリは圧電装置(1103)と膜プレート(1104)からなるサブアセンブリに接着結合される。別の選択肢としては、全ての部品を一緒に接着結合することである。
【0089】
本発明のプリントヘッドの一実施形態では、プリントヘッドは以下のように機能する。プリントヘッドはリザーバからの流体源を有し、このリザーバは一体型であってもよいし、外部に配置されていてもよい。最初に、リザーバからノズルへの流体は静止状態、すなわち、流れがない状態にある。リザーバとノズルとの間には、マイクロ流体導管およびポンプ室がある。マイクロ流体導管は、リザーバからポンプ室へ流体を補充する役割を果たす。ポンプ室は、ノズルから流体を排出する役割を果たす。ノズル出口にはノズル出口の形状によって定められるメニスカスまたは液体/気体境界面があり、これはいくつかの実施形態では丸いメニスカスを形成する。静的な状態ではメニスカスは凹形状を有する。上記凹形状が、毛細管圧を発生させ、ポンプ室内の流体がノズルから漏れないように維持する手段を提供する。ある時刻t=0において、圧電アクチュエータは、電気駆動信号によって加圧される。t=t1で、圧電アクチュエータの動作が完了する。次いで、作動された圧電アクチュエータは、膜プレートを押して、ポンプ室内に正の圧力波を生成する。ポンプ室内の流体は圧力波を全ての方向に伝播する、すなわち、ノズルを通ってノズルメニスカスに伝播し、また流体導管を通ってリザーバに伝播する。リザーバに伝播される圧力波は、リザーバが大きな自由表面(多くのコンプライアンスを有する大きな液体/気体境界面)を有するので、減衰される。圧力波はt=t2でノズル出口に伝播され、波圧力が毛細管圧を超える場合、流体はノズルメニスカスを変形させ、メニスカスを凹形状から凸形状に変化させる。圧力波がノズルメニスカスの毛細管圧よりもはるかに大きい場合、波は、ノズルを通して流体を押し続け、凸状メニスカスを液体リガメント内に押し込む。液体リガメントは、主に、圧力波自体によって誘起されるレイリー不安定性のために、t=t3にノズル出口で、壊れる。この作用は、基板に向かって典型的には1m/sを超える速度で単一または複数の液滴を形成する。リガメントがノズル出口で破壊された後、残留流体は振動して戻り、凹状ノズルメニスカスを形成する。上述の液滴形成プロセスでは質量保存の法則のために、リザーバ内の流体は液滴体積に等しい量で流体導管、ポンプ室、およびノズル孔を補充しなければならない。補充プロセスはクリープ流動現象を含み、すなわち、流体は、リザーバとノズルメニスカスとの間の空間にゆっくりとクリープする。この現象はt=t4で完了する。残留圧力波は依然としてポンプ室内で振動しているが、振幅が毛細管圧よりも小さいので、追加の滴下は発生しない。t=t5において、残留圧力波は最終的に減衰してなくなる。システム全体は、圧電アクチュエータを作動させる次の電気信号に備えて、静的状態に戻る。上記は、1つのプリントヘッド液滴形成サイクルを説明する。このサイクルの逆は、噴射周波数を規定する。典型的には、t1は数マイクロ秒未満であり、t2-t1は数マイクロ秒未満であり、t3-t2は数十マイクロ秒未満であり、t4はt3とほぼ同じであり、t5は約数百秒であり得る。
【0090】
下降プレートおよびノズルプレートを有するプリントヘッドの実施形態では、下降プレートおよびノズルプレートの位置合わせはプリントヘッドの性能における重要な要因である。位置合わせツールを使用して、各下降プレートおよびノズルプレートの穴が互いに位置合わせされるように、これらの2つのプレートを位置合わせすることができる。
【0091】
いくつかの代替実施形態では、プリントヘッドが上述のように変形クリアランスプレートまたはその機能的等価物なしで構成されてもよい。変形クリアランスプレートは流体を押す際に使用されない膜の部分を適所に保持するために使用されてもよいが、同様の結果は必ずしも分かれた変形クリアランスプレートを必要としない他の技術を使用して、例えば、厚くされた膜またはポンプ室プレートによって、達成されてもよいことが理解されるのであろう。いくつかの例では、変形クリアランスプレートについて説明した機能がプレートの使用を必然的に伴う代替の構造的配置によって提供されてもよい。
【0092】
したがって、プリントヘッド装置の別の形態は流体を収容するリストリクタポンプ室と、リストリクタポンプ室に流体連通する複数のノズルを含むノズル構成と、圧電アクチュエータと、圧電アクチュエータに隣接して設けられ、リストリクタポンプ室からは離された膜とを含むものとして広く定義することができ、圧電アクチュエータの作動によって膜はリストリクタポンプ室内の流体と接触するようにされ、それによって流体がノズル内に押し込まれ、それによってコーティング液が基板上に噴射される。
【0093】
[ノズル]
二次元方向の各々におけるノズルの数は、100個未満のノズル、または90個未満のノズル、または80個未満のノズル、または70個未満のノズル、または60個未満のノズル、または50個未満のノズル、または40個未満のノズル、または30個未満のノズル、または20個未満のノズル、または10個未満のノズルであってもよい。所与の方向におけるノズルの数は、10~100個のノズル、または10~90個のノズル、または10~80個のノズル、または10~70個のノズル、または10~60個のノズル、または10~50個のノズル、または10~40個のノズル、または10~30個のノズル、または10~20個のノズル、または20~100個のノズル、または20~90個のノズル、または20~80個のノズル、または20~70個のノズル、または20~60個のノズル、または20~50個のノズル、または20~40個のノズル、または20~30個のノズル、または30~100個のノズル、または30~90個のノズル、または30~80個のノズル、または30~70個のノズル、または30~60個のノズル、または30~50個のノズル、または30~40個のノズル、または40~100個のノズル、または40~90個のノズル、または40~80個のノズル、または40~70個のノズル、または40~60個のノズル、または40~50個のノズル、または50~100個のノズル、または50~90個のノズル、または50~80個のノズル、または50~70個のノズル、または50~60個のノズルであってもよい。
【0094】
ノズルは以下の間隔で配置され得る:約50~500マイクロメートル、または約50~450マイクロメートル、または約50~400マイクロメートル、または約50~350マイクロメートル、または約50~300マイクロメートル、または約50~250マイクロメートル、または約50~200マイクロメートル、または約50~150マイクロメートル、または約50~100マイクロメートル、または約100~500マイクロメートル、または約100~450マイクロメートル、または約100~400マイクロメートル、または約100~350マイクロメートル、または約100~300マイクロメートル、または約100~250マイクロメートル、または約100~200マイクロメートル、または約100~150マイクロメートル、または約150~500マイクロメートル、または約150~450マイクロメートル、または約150~400マイクロメートル、または約150~350マイクロメートル、または約150~300マイクロメートル、または約150~250マイクロメートル、または約150~200マイクロメートル、または約200~500マイクロメートル、または約200~450マイクロメートル、または約200~400マイクロメートル、または約200~350マイクロメートル、または約200~300マイクロメートル、または約200~250マイクロメートル、または約250~500マイクロメートル、または約250~450マイクロメートル、または約250~400マイクロメートル、または約250~350マイクロメートル、または約250~300マイクロメートル、または約300~500マイクロメートル、または約300~450マイクロメートル、または約300~400マイクロメートル、または約300~350マイクロメートル、または約350~500マイクロメートル、または約350~450マイクロメートル、または約350~400マイクロメートル、または約400~500マイクロメートル、または約450~500マイクロメートル。
【0095】
ノズルアレイ内のノズルの密度は1cm当たり以下の個数であってもよい:約1000~10000ノズル、または約1000~9000ノズル、または約1000~8500ノズル、または約1000~8000ノズル、または約1000~7500ノズル、または約1000~7000ノズル、または約1000~6500ノズル、または約1000~6000ノズル、または約1000~5500ノズル、または約1000~5000ノズル、または約1000~4500ノズル、または約1000~4000ノズル、または約1000~3500ノズル、または約1000~3000ノズル、または約1000~2500ノズル、または約1000~2000ノズル、または約1000~1500ノズル、または約1500~10000ノズル、または約1500~9000ノズル、または約1500~8500ノズル、または約1500~8000ノズル、または約1500~7500ノズル、または約1500~7000ノズル、または約1500~6500ノズル、または約1500~6000ノズル、または約1500~5500ノズル、または約1500~5000ノズル、または約1500~4500ノズル、または約1500~4000ノズル、または約1500~3500ノズル、または約1500~3000ノズル、または約1500~2500ノズル、または約1500~2000ノズル、または約2000~10000ノズル、または約2000~9000ノズル、または約2000~8500ノズル、または約2000~8000ノズル、または約2000~7500ノズル、または約2000~7000ノズル、または約2000~6500ノズル、または約2000~6000ノズル、または約2000~5500ノズル、または約2000~5000ノズル、または約2000~4500ノズル、または約2000~4000ノズル、または約2000~3500ノズル、または約2000~3000ノズル、または約2000~2500ノズル、または約2500~10000ノズル、または約2500~9000ノズル、または約2500~8500ノズル、または約2500~8000ノズル、または約2500~7500ノズル、または約2500~7000ノズル、または約2500~6500ノズル、または約2500~6000ノズル、または約2500~5500ノズル、または約2500~5000ノズル、または約2500~4500ノズル、または約2500~4000ノズル、または約2500~3500ノズル、または約2500~3000ノズル、または約3000~10000ノズル、または約3000~9000ノズル、または約3000~8500ノズル、または約3000~8000ノズル、または約3000~7500ノズル、または約3000~7000ノズル、または約3000~6500ノズル、または約3000~6000ノズル、または約3000~5500ノズル、または約3000~5000ノズル、または約3000~4500ノズル、または約3000~4000ノズル、または約3000~3500ノズル、または約3500~10000ノズル、または約3500~9000ノズル、または約3500~8500ノズル、または約3500~8000ノズル、または約3500~7500ノズル、または約3500~7000ノズル、または約3500~6500ノズル、または約3500~6000ノズル、または約3500~5500ノズル、または約3500~5000ノズル、または約3500~4500ノズル、または約3500~4000ノズル、または約4000~10000ノズル、または約4000~9000ノズル、または約4000~8500ノズル、または約4000~8000ノズル、または約4000~7500ノズル、または約4000~7000ノズル、または約4000~6500ノズル、または約4000~6000ノズル、または約4000~5500ノズル、または約4000~5000ノズル、または約4000~4500ノズル、または約4500~10000ノズル、または約4500~9000ノズル、または約4500~8500ノズル、または約4500~8000ノズル、または約4500~7500ノズル、または約4500~7000ノズル、または約4500~6500ノズル、または約4500~6000ノズル、または約4500~5500ノズル、または約4500~5000ノズル、または約5000~10000ノズル、または約5000~9000ノズル、または約5000~8500ノズル、または約5000~8000ノズル、または約5000~7500ノズル、または約5000~7000ノズル、または約5000~6500ノズル、または約5000~6000ノズル、または約5000~5500ノズル、または約5500~10000ノズル、または約5500~9000ノズル、または約5500~8500ノズル、または約5500~8000ノズル、または約5500~7500ノズル、または約5500~7000ノズル、または約5500~6500ノズル、または約5500~6000ノズル。
【0096】
最も単純な場面では、ノズルの数が微小突起アレイ上の突起の数に直接一致する。例えば、2次元ノズルアレイが38×38のノズル(全ノズル1444個)を有する場合、微小突起アレイは、1対1の対応のためにノズルアレイと同じ空間配置で1444個の突起を有する。この場合、微小突起アレイ上の微小突起の間隔は、ノズルの間隔と同じである。場合によっては、微小突起の間隔がノズルの間隔よりも近くてもよい。例えば、微小突起アレイ上の微小突起間の間隔が120マイクロメートルである場合、ノズルの間隔はノズルが1つおきの微小突起を被覆するように、240マイクロメートルであってもよい。このような場合、微小突起に対するノズルの対応関係は1対2である。例えば、微小突起アレイ上の微小突起間の間隔が120マイクロメートルである場合、ノズルの間隔はノズルが3つおきの微小突起をコーティングするように、480マイクロメートルであってもよい。このような場合、微小突起に対するノズルの対応関係は1対4である。
【0097】
ノズルのピッチを突起のピッチと等しくし、突起アレイと一致するように、複数のノズルにおいて同じ2Dアレイを生成することによって、設計は均一な正方形または長方形アレイに限定されず、抽象的な幾何学的形状(笑顔、円形など)を印刷することができる。また、アレイ上でプリントヘッドを移動させる必要がなく、上記アレイは、プロセスを高速化し、目標設定精度を改善する。
【0098】
本発明の装置および方法のいくつかの実施形態ではプリントヘッドのノズル配列がコーティングのために設計されたすべての微小突起を一回の通過でコーティングするわけではなく、例えば、ノズル配列が38×38のノズルを有する2次元アレイであり、微小突起アレイが76×76アレイとして配置された5776個の微小突起を有する場合、ノズルは微小突起アレイに対して移動する必要があり得る。そのような場面で、微小突起アレイは、各々1444個の微小突起の象限を4つ有するものとして、見ることができる。アレイ全体の突起をコーティングするために、ノズルを担持するプリントヘッドは、各象限がコーティングされ得るように、最初の位置決めの後に3回、微小突起アレイに対して移動され得る。あるいは、微小突起アレイがプリントヘッドに対して移動され、そして再び、4つの象限がコーティングされ得る。同様に、ノズルの数の整数倍の数だけ微小突起を持った任意の微小突起アレイは、ノズルが象限ごとに微小突起上に整列するように、プリントヘッドまたは微小突起アレイを互いに対して移動させることによって、プリントヘッドによってコーティングされ得る。また、上述のように、微小突起アレイの複数の微小突起は、プリントヘッドのノズルよりも近接して配置されることも可能である。例えば、微小突起アレイは11552個を有してもよく、ノズル配列は1つおきの微小突起に対して揃って配置された38×38ノズルを有する。ノズル配列は第1または4象限内の1つおきの微小突起をコーティングし、次いで、第2の微小突起アレイ象限をコーティングするように、また同様に、1つおきにコーティングされた微小突起を有する微小突起アレイ全体がコーティングされるように、微小突起アレイおよびノズル配列を互いに対して移動することが出来る。
【0099】
ノズルは図16A~Dに示すように、ノズルプレートに配列することができる。ノズルの二次元アレイはエッチングされたシリコンまたは電鋳ニッケルなどの材料から製造することができるが、これらに限定されない。ノズルプレートは下降プレート(図16D)に取り付けることができ、下降プレートは、ポンプ室(図7)に取り付けられ、ノズルプレート/下降プレートとポンプ室との組み合わせが密封され、流体の流入がノズルプレート内のノズルを通って分配されることを可能にする。シリコンが使用される場合、またはステンレス鋼プレートが使用される場合、下降プレートおよびノズルプレートは、直接結合によって取り付けることができ、次いで、エポキシ結合または拡散接合のいずれかが使用され得る。代替的に、下降プレートのない単一のノズルプレートがあってもよい。ポンプ室プレートの下に1つのプレートのみがある場合、それはノズルプレートと呼ばれる。しかしながら、ノズルプレートを作るために2つのプレートが使用される場合、上部プレートは下降プレートと呼ばれ、下部プレートはノズルプレートと呼ばれる。
【0100】
一実施形態では、ノズルプレートおよび下降プレートが20×20mmの正方形である。一実施形態では、ノズルプレートの厚さは0.05~0.1mmであり、下降プレートの厚さは0.10・0.25~1.0mmである。ノズルプレートは、耐久性および疎水性を高めるためにコーティングされてもよい。また、ノズルプレートは、プレートに成型または機械加工された流体ポートを有してもよく、これにより、コーティングの過程中にポンプ室を充填し、流体を再循環させることができる。(図8)コーティングの過程中の流体の再循環は、流体の混合を提供し得る。
【0101】
液滴サイズは、液滴質量のエネルギーによって決定され得る。液滴が大きすぎる場合、液滴は突起の頂部に残らず、基板に向かって突起を滑り落ちる。液滴が大きすぎる場合、液滴は2つ以上の突起に及ぶこともある。液滴が小さすぎる場合、上記プロセスは非効率的になる。安定性データは、より小さい、また、より速く乾燥する液滴が、より長い保存寿命(有効期限)を提供し得ることを示す。液滴サイズは、500pl未満、または400pl未満、または300pl未満、または200pl未満、または100pl未満とすることができる。液滴サイズは約10pl~約500pl、約10pl~約400pl、約10pl~約300pl、約10pl~約300pl、約10pl~約200pl、約10pl~約100pl、約10pl~約50pl、約50pl~約500pl、約50pl~約400pl、約50pl~約300pl、約50pl~約200pl、約50pl~約100pl、約100pl~約500pl、約100pl~約400pl、約100pl~約300pl、約100pl~約200pl、約200pl~約500pl、約200pl~約400pl、約200pl~約300plの範囲であってもよい。液滴サイズは、約100pl、または105pl、または110pl、または115pl、または120pl、または125pl、または130pl、または135pl、または140pl、または145pl、または150plであってもよい。
【0102】
各液滴吐出サイクルは、総量が以下の範囲である、単一の液滴または一連の液滴を、全てのノズルが同時に分配することを可能にする。上記総量の範囲は、20~3000ピコリットル、または20~2500ピコリットル、または20~2000ピコリットル、または20~1500ピコリットル、または20~1000ピコリットル、または20~900ピコリットル、または20~800ピコリットル、または20~700ピコリットル、または20~600ピコリットル、または20~500ピコリットル、または20~400ピコリットル、または20~300ピコリットル、または20~200ピコリットル、または20~100ピコリットル、または20~90ピコリットル、または20~80ピコリットル、または20~70ピコリットル、または20~60ピコリットル、または20~50ピコリットル、または20~40ピコリットル、または20~30ピコリットル、または30~3000ピコリットル、または30~2500ピコリットル、または30~2000ピコリットル、または30~1500ピコリットル、または30~1000ピコリットル、または30~900ピコリットル、または30~800ピコリットル、または30~700ピコリットル、または30~600ピコリットル、または30~500ピコリットル、または30~400ピコリットル、または30~300ピコリットル、または30~200ピコリットル、または30~100ピコリットル、または30~90ピコリットル、または30~80ピコリットル、または30~70ピコリットル、または30~60ピコリットル、または30~50ピコリットル、または30~40ピコリットル、または40~3000ピコリットル、または40~2500ピコリットル、または40~2000ピコリットル、または40~1500ピコリットル、または40~1000ピコリットル、または40~900ピコリットル、または40~800ピコリットル、または40~700ピコリットル、または40~600ピコリットル、または40~500ピコリットル、または40~400ピコリットル、または40~300ピコリットル、または40~200ピコリットル、または40~100ピコリットル、または40~90ピコリットル、または40~80ピコリットル、または40~70ピコリットル、または40~60ピコリットル、または40~50ピコリットル、または50~3000ピコリットル、または50~2500ピコリットル、または50~2000ピコリットル、または50~1500ピコリットル、または50~1000ピコリットル、または50~900ピコリットル、または50~800ピコリットル、または50~700ピコリットル、または50~600ピコリットル、または50~500ピコリットル、または50~400ピコリットル、または50~300ピコリットル、または50~200ピコリットル、または50~100ピコリットル、または50~90ピコリットル、または50~80ピコリットル、または50~70ピコリットル、または50~60ピコリットル、または60~3000ピコリットル、または60~2500ピコリットル、または60~2000ピコリットル、または60~1500ピコリットル、または60~1000ピコリットル、または60~900ピコリットル、または60~800ピコリットル、または60~700ピコリットル、または60~600ピコリットル、または60~500ピコリットル、または60~400ピコリットル、または60~300ピコリットル、または60~200ピコリットル、または60~100ピコリットル、または60~90ピコリットル、または60~80ピコリットル、または60~70ピコリットル、または70~3000ピコリットル、または70~2500ピコリットル、または70~2000ピコリットル、または70~1500ピコリットル、または70~1000ピコリットル、または70~900ピコリットル、または70~800ピコリットル、または70~700ピコリットル、または70~600ピコリットル、または70~500ピコリットル、または70~400ピコリットル、または70~300ピコリットル、または70~200ピコリットル、または70~100ピコリットル、または70~90ピコリットル、または70~80ピコリットル、または80~3000ピコリットル、または80~2500ピコリットル、または80~2000ピコリットル、または80~1500ピコリットル、または80~1000ピコリットル、または80~900ピコリットル、または80~800ピコリットル、または80~700ピコリットル、または80~600ピコリットル、または80~500ピコリットル、または80~400ピコリットル、または80~300ピコリットル、または80~200ピコリットル、または80~100ピコリットル、または80~90ピコリットル、または90~3000ピコリットル、または90~2500ピコリットル、または90~2000ピコリットル、または90~1500ピコリットル、または90~1000ピコリットル、または90~900ピコリットル、または90~800ピコリットル、または90~700ピコリットル、または90~600ピコリットル、または90~500ピコリットル、または90~400ピコリットル、または90~300ピコリットル、または90~200ピコリットル、または90~100ピコリットル、または100~1000ピコリットル、または100~900ピコリットル、または100~800ピコリットル、または100~700ピコリットル、または100~600ピコリットル、または100~500ピコリットル、または100~400ピコリットル、または100~300ピコリットル、または100~200ピコリットル、または200~1000ピコリットル、または200~900ピコリットル、または200~800ピコリットル、または200~700ピコリットル、または200~600ピコリットル、または200~500ピコリットル、または200~400ピコリットル、または200~300ピコリットル、または300~1000ピコリットル、または300~900ピコリットル、または300~800ピコリットル、または300~700ピコリットル、または300~600ピコリットル、または300~500ピコリットル、または300~400ピコリットル、または400~1000ピコリットル、または400~900ピコリットル、または400~800ピコリットル、または400~700ピコリットル、または400~600ピコリットル、または400~500ピコリットル、または500~1000ピコリットル、または500~900ピコリットル、または500~800ピコリットル、または500~700ピコリットル、または500~600ピコリットル、または600~1000ピコリットル、または600~900ピコリットル、または600~800ピコリットル、または600~700ピコリットル、または700~1000ピコリットル、または700~900ピコリットル、または700~800ピコリットル、または800~1000ピコリットル、または800~900ピコリットル、または900~1000ピコリットルである。個々の液滴の液滴サイズは、以下の通りにすることができる:約100~200ピコリットル、または100~190ピコリットル、または100~180ピコリットル、または100~170ピコリットル、または100~160ピコリットル、または100~150ピコリットル、または100~140ピコリットル、または100~130ピコリットル、または100~120ピコリットル、または100~110ピコリットル、または110~200ピコリットル、または110~190ピコリットル、または110~180ピコリットル、または110~170ピコリットル、または110~160ピコリットル、または110~150ピコリットル、または110~140ピコリットル、または110~130ピコリットル、または110~120ピコリットル、または120~200ピコリットル、または120~190ピコリットル、または120~180ピコリットル、または120~170ピコリットル、または120~160ピコリットル、または120~150ピコリットル、または120~140ピコリットル、または120~130ピコリットル、または130~200ピコリットル、または130~190ピコリットル、または130~180ピコリットル、または130~170ピコリットル、または130~160ピコリットル、または130~150ピコリットル、または130~140ピコリットル、または140~200ピコリットル、または140~190ピコリットル、または140~180ピコリットル、または140~170ピコリットル、または140~160ピコリットル、または140~150ピコリットル、または150~200ピコリットル、または150~190ピコリットル、または150~180ピコリットル、または150~170ピコリットル、または150~160ピコリットル、または160~200ピコリットル、または160~190ピコリットル、または160~180ピコリットル、または160~170ピコリットル、170~200ピコリットル、または170~190ピコリットル、または170~180ピコリットル、または180~200ピコリットル、または180~190ピコリットル、または190~200ピコリットル。
【0103】
液滴を分配する周波数は、以下の通りである:約1Hz~約1000Hz、または約1Hz~約900Hz、または約1Hz~約800Hz、または約1Hz~約700Hz、または約1Hz~約600Hz、または約1Hz~約500Hz、または約1Hz~約400Hz、または約1Hz~約300Hz、または約1Hz~約200Hz、または約1Hz~約100Hz、または約1Hz~約90Hz、または約1Hz~約80Hz、または約1Hz~約70Hz、または約1Hz~約60Hz、または約1Hz~約50Hz、または約1Hz~約40Hz、または約1Hz~約30Hz、または約1Hz~約20Hz、または約1Hz~約10Hz、または約10Hz~約100Hz、または約10Hz~約90Hz、または約10Hz~約80Hz、または約10Hz~約70Hz、または約10Hz~約60Hz、または約10Hz~約50Hz、または約10Hz~約40Hz、または約10Hz~約30Hz、または約10Hz~約20Hz、または約20Hz~約100Hz、または約20Hz~約90Hz、または約20Hz~約80Hz、または約20Hz~約70Hz、または約20Hz~約60Hz、または約20Hz~約50Hz、または約20Hz~約40Hz、または約20Hz~約30Hz、または約30Hz~約100Hz、または約30Hz~約90Hz、または約30Hz~約80Hz、または約30Hz~約70Hz、または約30Hz~約60Hz、または約30Hz~約50Hz、または約30Hz~約40Hz、または約40Hz~約100Hz、または約40Hz~約90Hz、または約40Hz~約80Hz、または約40Hz~約70Hz、または約40Hz~約60Hz、または約40Hz~約50Hz、または約50Hz~約100Hz、または約50Hz~約90Hz、または約50Hz~約80Hz、または約50Hz~約70Hz、または約50Hz~約60Hz、または約60Hz~約100Hz、または約60Hz~約90Hz、または約60Hz~約80Hz、または約60Hz~約70Hz、または約70Hz~約100Hz、または約70Hz~約90Hz、または約70Hz~約80Hz、または約80Hz~約100Hz、または約80Hz~約90Hz、または約90Hz~約100Hz。
【0104】
場合によっては、バーストモードプライミング手順が、高周波数、例えば、10バースト(連発)に対して約1kHzで実行されてもよい。より高い周波数では、このようなプライミングモードがメニスカスの位置および形状を再確立するために使用され得る。
【0105】
図17は上部プレートが100μm未満であり、流体の再循環を提供することができる、1つの入口および1つの出口を有する、本発明のプリントヘッドの実施形態を示す。プリントヘッドは、単一の入口(1712)および排気口(1713)を有する上部プレート(1711)を有する。上部プレート(1711)の下には、印刷流体用のリザーバ(1715)を有する流体分配プレート(1714)がある。流体分配プレートの下には圧電装置(1716)があり、その下に圧電膜(1717)を有しており、その両方が圧電膜プレート(1718)内にある。圧電膜プレート(1718)の下には圧電変形クリアランスプレート(1719)があり、その下にはポンプ室プレート(1720)がある。ポンプ室プレート(1720)の下には、ノズルプレート(1721)がある。入口および出口の両方を使用して、プリントヘッドに流体を充填することができる。分配プレートは2mmまでの厚さとすることができ、ポンプ室からリストリクタを通って伝達される音波を減衰させるのに役立つ2つのリザーバを提供する。リザーバの体積が大きいほど、液滴サイズおよび液滴速度を維持するための、減衰および周波数応答が良好になる。プレートの中心リングは、ピエゾの直径よりも直径が少なくとも1mm大きいべきである。これは、PZTが依然として変形できるように、簡易的に支えられた梁構造を有しているPZT膜プレートを留める(挟む)ために使用される。PZTプレートは、液滴形成のための音響エネルギーを提供する。PZTは、膜を押す電気信号によって作動され、膜は次に、膜の下の流体に圧力変化を生成する。本発明のプリントヘッドの好ましい実施形態において、膜プレートは、厚さが約100μm未満である。PZT変形クリアランスプレートは、厚さが約20~60μmであるべきである。
【0106】
図18Aおよび18Bは、本発明のプリントヘッドのポンプ室プレートの好ましい実施形態を開示する。図18Aはポンプ室プレートの上面図であり、18Bは、組み立て品の上面図である。流体は流体入口(1801)から流入し、次いで、リストリクタ1(1802)を通ってポンプ室の領域に流入する。ポンプ室が流体で満たされた後、流体はリストリクタ2(1803)を通って流体出口(1804)に流れる。ポンプ室(チャンバ)の寸法は、ノズルアレイの寸法よりもわずかに大きくなければならない。図18Bに見られるように、上記チャンバが満たされると、ポンプ室の各領域の空気が逃げるための別個の導管(チャネル)を有するように、ポンプ室を取り囲むいくつかの通気設備(1805)がある。流体経路は、ポンプ室への圧力衝撃を低減し、ポンプ室を充填する過程で低いレイノルズ数の流れを維持するために、丸みを帯びた輪郭を有する。図18Cに示される鋭利なエッジは、移動接触線のエッジの速度を遅らせるために移動接触線に対する固定点を作り出す。
【0107】
全ての開口部が液滴形成のために使用される従来のノズルプレートとは異なり、本発明のノズルプレートは、ポンプ室プレート内の各通気設備に接続される通気孔(通常、直径50μm未満)を提供することができる(図19Aおよび19B)。好ましい実施形態では、これらの通気孔は、PZT作動中に液滴の形成を停止させるために高い流動抵抗を生成するように、先細りのない真っ直ぐな孔となっている。通気孔の直径は、漏れを防止するためにノズル孔の直径よりも小さくなければならない。図20A~Cは、チャンバ充填の一連の図を示す。
【0108】
ポンプ室は、ホウケイ酸ガラスまたは石英ガラスの単一の固体成形体から製造することができる。このようにして、最小数の部品を使用することができ、それゆえ、製造コストおよび複雑さを低減することができる。膜プレートはポンプ室内に配置され、ステンレス鋼、酸化ケイ素、およびポリイミド(Kapton)から製造され得るが、これらに限定されない。圧電積層アクチュエータは電気的に作動されると、上記積層がポンプ室内の流体に対して膜を押し込み、ノズルプレート内のノズルが微小突起アレイの微小突起上に二次元アレイの液滴を分配するように、膜プレートへ解放可能な形で取り付けられている。装置全体は、ポンプ室に取り付けられたハウジングによって囲まれていてもよい。流体の温度を4℃まで低下させるために、冷却装置を圧電アクチュエータのハウジング内に組み込むことができる。代替の実施形態では、冷却ユニットがポンプ室の外側にあってもよい。
【0109】
分配される流体の温度制御を維持することに加えて、混合によって流体を均一に保つことが望ましい。流体の混合は、磁気撹拌機、または蠕動ポンプ、または別個のPZTによって駆動される微小流体チャネル、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない機構によって達成されてもよい。
【0110】
生物学的または治療上の材料(物質)の高速印刷での出力は、高速印刷装置を使用して製造またはコーティングされるあらゆる製品の品質を保証するために、分配される材料の量が特定され得るように監視されることが望ましい。高速印刷装置の出力をリアルタイムで監視する能力は、コスト及び時間を節約する利点を提供する。ノズルからの出力を監視する1つの方法は、分配される材料の重量を測定することである。別の方法は供与される量が予め設定された(一つまたは複数の)分配パラメータ内に入るように、多数の分配の抵抗を測定する方法である。単一の液滴に対応する圧電ユニットの単一のパルスの測定が望ましいが、分配される材料の量が正確であるか否かを判定するために、多数の分配を測定し、その結果を平均する必要がある場合がある。いくつかの実施形態において、測定される分配の数は、2~10、または2~9、または2~8、または2~7、または2~6、または2~5、または2~4、または2~3である。いくつかの実施形態において、測定される分配の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15または20である。
【0111】
高速印刷装置から分配される流体の特性を監視できることが望ましい。例えば、任意の時点における流体の分量、不均一性、pH、タンパク質含量、粘度または温度をモニターすることは、分配される材料の品質を確実にする。
【0112】
[ドロップマス分配チェック(Drop Mass Dispense Check)]
医薬品の投与量の確認は、任意のコーティングプロセスにおいて有用な測定である。高速印刷装置を使用して製造またはコーティングされる任意の製品の品質を保証するために、プリントヘッド性能を特徴付けることができることが望ましい。印刷性能の2つの予測因子は、液滴の均一性および滴下速度である。本発明のプリントヘッドでは、定期的なチェックにより、プリントヘッドから分配されたものの質量を測定し、分配された量が許容公差内にあることを保証するために監視することができる。本発明のプリントヘッドは、ノズルアレイの作動毎に少量の流体しか分配されない(例えば、1,600個のノズルがそれぞれ約150pLの液滴を発射する=~240nL=~0.24mg)ので、課題を提供する。(表面積による)上記の小さな液滴からの蒸発の速度が比較的高いことと相まって、質量を確実に測定することは困難である。小さな液滴の体積および蒸発の問題は、測定される質量を増加させ、蒸発の影響を減少させることによる、2つのアプローチ(ならびにアプローチの組み合わせ)によって克服することができる。
【0113】
一実施形態は同じ基板上により多くの液滴を迅速に連続して分配することであり(例えば、通常のパッチコーティングとは異なる分配プロファイル)、これは、連続した滴下間の乾燥速度を増加させる。急速に連続して複数の液滴を分配することは液滴の合体をもたらし、これは体積に対する表面積の割合を減少させ、また、質量を増加させる。測定すべき液滴の数は、例えば下降層流アイソレータ内で18~24℃とすることができる製造環境において正確に測定することが十分できる範囲内に、その質量があるように、選択することができ、理想的には各パッチ上に印刷されることが意図される液滴の数に一致するであろう。一例として、80μgの四価インフルエンザHAをコーティングするためには、3.7mg/mLである貯蔵製剤がおよそ21.6μL必要であろう。分配される全液体は、およそ21.6mgの質量を有する。体積はまた、単一のパッチが受け取るよりも大きくなるように選択されてもよいが、なお平均分配サイクルの代表値である。10~200mgの範囲が、測定されるべき材料の量をカバーし得る。
【0114】
第2の実施形態は、蒸発を最小限に抑えることを目的とする多くの特性を備え得るプロセスに、計量チェック容器を導入することによって、蒸発をさらに最小限に抑えるためのものである。第2の実施形態は、a)壁を有する小さな容器(または凹部を有する表面)、b)蓋、c)凹んだ内部を有する容器、d)液面と空気との境界面がノズル吐出プレートに非常に近接してもたらされ、液滴が液体(「捕捉液体」と呼ばれる)によって「捕捉」されない確率を最小限に抑える容器、を使用することを含むが、これらに限定されない。計量チェック容器内の捕捉液体は、分配される材料の蒸発速度をさらに低下させるように選択することができる。したがって、捕捉液体は以下に限定されるものではないが、以下のような液体であってもよい:a)分配された液体よりも密度が低い(その結果、それは液体-気体境界面上に自然にある)、b)製造環境の条件(温度および圧力)において低い蒸気圧を有する(蒸発損失を最小限にするため)、c)低い表面張力および粘度を有する(液体への滴下浸透を促進する)、およびd)分配された液体が捕捉液体の層の下に迅速に捕捉されるように、分配された液体との適切な水準の混和性を有する。図21は、本発明の機器の質量検査機能の一実施形態を示す。IPC質量容器は、蒸発による材料の損失を最小限に抑えるために、プリントヘッドの下に、できるだけプリントヘッドに近接して配置することができる。IPC容器は、所定量のコーティング材料をプリントヘッドから低蒸気圧液体の中に分配することができる低蒸気圧液体を収容することができる。プリントヘッド材料がIPC容器内の低蒸気圧液体の中に分配されると、容器の蓋が閉じられ、容器は秤量所に移送される。そして、次のパッチトレーを取り付けることができ、微小突起アレイのコーティングを継続することができる。IPC容器は、50秒未満、最適には30秒未満の間、天秤上に置かれ、IPC容器は天秤から取り外され、次のプリントヘッド重量検査のために準備されることができる。1つの秤量から次の秤量への質量の差が、分配されるコーティング材料の量に関する情報を提供するので、IPC容器を空にする必要はない。
【0115】
2次元ノズルアレイの各ノズルから単一の液滴を単一の圧電パルスで疎水性表面上へ行う印刷は、プリントヘッドが液滴を分裂させることなく、できるだけ疎水性基板に物理的に近い(例えば、約80μmの液滴直径に対しては、約100μm)と仮定して、各ノズルの位置合わせをチェックする。滴下速度は、単一のパルスアレイを印刷しながら疎水性基板を移動させることによって特定することができる。基板を直交方向に連続的に移動させながら分離した複数のアレイを印刷し、その結果を静的アレイで得られた結果と比較することにより、滴下速度および角度の均一性を評価することができる。もしノズルからの液滴の速度が予測された速度よりも小さい場合、液滴間の間隔が異なっているだろう。上記方法により許容差を決定することができ、合格・不合格の基準を装置に適用することができる。
【0116】
高速印刷装置から分配される流体の特性を監視できることが望ましい。例えば、任意の時点における流体の分量、不均一性、pH、タンパク質含量、粘度または温度をモニターすることは、分配される材料の品質を確実にする。液滴の重量に関する上記のアプローチは、上記に列挙したように、溶液の様々な特性の測定に適用することができる。溶液の特性は、インラインまたはオフラインのいずれかで測定することができる。
【0117】
[プリントホールド機能]
微小突起アレイなどのデバイス上に医薬または生物学的材料をコーティングすることは、非無菌環境では遭遇しない独特の課題を提示する。しばしば、医薬または生物学的製剤は滅菌することができず、したがって、密閉され制御された環境で製造しなければならない。市販のプリントヘッドは定期的に拭いてヘッドを清浄にし、ノズルプレートの湿潤を防止する必要がある。代替的に、プリントヘッドは、印刷プロセスを停止している場合に、乾燥したプリンタインクによってノズルが詰まるのを防止するために、キャップを被せることができる。生物学的材料の無菌プリントでは、ノズルを詰まらせる可能性のある汚染または粒子の生成の危険性があるので、これらのプロセスのいずれも望ましいものではない。プリントヘッドを清浄にし、無菌環境においてプリントを中断する装置の使用はプロセスを複雑にし、製品の完全性を危険にさらすだろう。しかしながら、本発明の方法は、プリントをある期間停止することを必要とする。本発明の方法はノズルの拭き取りまたはキャッピングを必要としない解決策を提供し、したがって、無菌またはGMP製造に適合する無接触印刷またはコーティング方法を提供する。
【0118】
プリントヘッドの機能中、ノズルプレートは流体で満たされ、毛細管作用および液体-気体境界面により、ノズル出口にメニスカスが形成される。周囲環境に曝されたとき、流体中の溶媒(例えば、水)はメニスカスから蒸発し、溶質はノズル出口に残る。溶剤が蒸発する静的な状態では、溶質はノズル出口に蓄積し、それによって出口を詰まらせ、噴射プロセス中にノズルから液滴を形成する能力を損なう。GMPまたは無菌条件に基づいていない特定の工業プロセスでは、溶媒が蒸発するときでさえ、溶質が「柔らかい」ままであることを可能にする湿潤剤を流体に添加し得る。医薬または生物学的材料への湿潤剤の添加は望ましくない。ノズル出口に溶媒をもたらすメニスカスを振動させるために、プリントヘッド内の圧電機構を作動させることも可能である。そうすることで、メニスカスをリフレッシュし、ノズル出口での溶質の蓄積を防止することができる。振動の程度は、ノズル出口からノズル内部のプロファイルと不連続である第1の点までの距離として定義されるノズルプレートの厚さによって影響される。図22A、B、Cは、図22Cのみが連続的な内部プロファイルを有する3つの異なるノズル形状を示す。図22Aおよび22Bのノズルは、特異点を有するノズル形状を有する。図23Aおよび23Bは、それぞれ不連続的な内部プロファイルおよび連続的な内部プロファイルがあるノズルプレートおよび下降プレートの図である。ほとんどの市販のプリントヘッドの幾何学的形状では、ノズルの連続プロファイルは100μm未満である。その結果、メニスカス振動が高すぎる場合には、メニスカスの接触線がノズルプレート内部プロファイル内に後退し、特異点に接触し、接触線の運動の停止または接触線の運動の破壊のいずれかにつながる。接触線が特異点で停止するとき、凹状メニスカスは長い時間をかけてノズル内に後退し得る。そして、メニスカスの中心が振動してノズルに戻る前に、上記ノズルは既に閉鎖されてしまう。この結果、ノズル内部に空気が閉じ込められ、流体の分配の失敗につながる可能性がある。接触線がノズル内の特異点で破壊されると、エアガルピング(空気の飲み込み)と呼ばれる現象が生じる。破壊されたメニスカス接触線は気泡がノズルの上方のショルダー領域に侵入することを可能にし、印刷不良につながる。その結果、圧電波形のための空間設計は、結果として生じるメニスカス接触線振動が、ノズル板の厚さ以内で、低い境界条件を有する必要があるという事実によって制限される。本発明のノズルプレートでは、ノズルプレートは1000μmまでの厚さを有し、ノズルは連続的な内部プロファイルを有することができる。これにより、ノズルプレート内のメニスカス接触線が気泡を捕捉する危険なしに、1000μmまでの総移動空間で上下に移動することができる。(図24Aおよび24Bを参照のこと)。
【0119】
圧電作動波形は、メニスカス振動を生成する。一実施形態では、液滴形成プロセスを作動させるために圧電ユニモルフ構造が使用される。本実施形態では、ピエゾが約1~20nFの容量性負荷を有し、約-200V~+200Vのピーク・ツー・ピーク(最大振幅)電圧を有する波形を使用して駆動される。図25は、メニスカス振動を可能にするために使用される波形を示す。液滴形成を生成するために使用される波形とは異なり、メニスカス振動波形は、液滴を形成するような、ポンプ室内の正圧を生成する、+200Vまでの高電圧を有さない。代わりに、メニスカス振動波形は、メニスカス振動の高調波周波数で圧力波を生成するために、主に負の電圧範囲で動作する。印刷される流体での音速と、厚さを含むノズルプレートの幾何学的形状とに応じて、波形は異なる形状を取り得る。図25に記載された波形を実行する周波数は、1000Hzまでであってもよい。メニスカス振動波形において考慮すべき別の要因は、1つの電圧値から別の電圧値に変化する速度であるスルーレートである。メニスカス振動波形の一実施形態では、スルーレートは150V/μsを超えるべきである。高いスルーレートはピエゾ寸法の急速な変化を可能にし、ポンプ室圧力の急速な変化をもたらす。20nFまでの容量性負荷に対して高いスルーレートを達成するために、ピエゾは以下の特性を有するべきである:150V/μsの最小スルーレート、20nFまでの容量性負荷、3Aのピーク電流、波形の内部周波数100Hz、および1000Hzまでの波形のグローバル周波数。本発明の印刷装置のいくつかの実施形態では、ポンプ室の厚さは0.3mm未満である。より薄いポンプ室はより小さいポンプ室流体体積を提供し、したがって、より少ない等価流体キャパシタンスおよび流体圧力変化に対するより速い応答を提供する。
【0120】
本発明のノズルプレートにおいて、ノズルプレートは、100μm、もしくは150μm、もしくは200μm、または300μm、または400μm、または500μm、または600μm、または700μm、または800μm、または900μm、または1000μmまでの厚さを有することができる。本発明のノズルプレートにおいて、ノズルプレートは以下の厚さを有することができる:約100μm~1000μm、または約150μm~1000μm、または約200μm~1000μm、または約250μm~1000μm、または約300μm~1000μm、または約400μm~1000μm、または約500μm~1000μm、または約600μm~1000μm、または約700μm~1000μm、または約800μm~1000μm、または約900μm~1000μm、または約100μm~900μm、または約150μm~900μm、または約200μm~900μm、または約250μm~900μm、または約300μm~900μm、または約400μm~900μm、または約500μm~900μm、または約600μm~900μm、または約700μm~900μm、または約800μm~900μm、または約100μm~800μm、または約150μm~800μm、または約200μm~800μm、または約250μm~800μm、または約300μm~800μm、または約400μm~800μm、または約500μm~800μm、または約600μm~800μm、または約700μm~800μm、または約100μm~700μm、または約150μm~700μm、または約200μm~700μm、または約250μm~700μm、または約300μm~700μm、または約400μm~700μm、または約500μm~700μm、または約600μm~700μm、または約100μm~600μm、または約150μm~600μm、または約200μm~600μm、または約250μm~600μm、または約300μm~600μm、または約400μm~600μm、または約500μm~600μm、または約100μm~500μm、または約150μm~500μm、または約200μm~500μm、または約250μm~500μm、または約300μm~500μm、または約400μm~500μm、または約100μm~500μm、または約150μm~500μm、または約200μm~500μm、または約250μm~500μm、または約500μm~600μm、または約100μm~400μm、または約150μm~400μm、または約200μm~400μm、または約250μm~400μm、または約100μm~300μm、または約150μm~300μm、または約200μm~300μm、または約250μm~300μm、または約100μm~200μm、または約150μm~200μm、または約100μm~150μm。ノズル板厚さを厚くすることにより、空気の飲み込みに関連する問題を生じることなく、ノズル出口の十分上方(ノズルプレートの下降部分)でのメニスカスの後退及び振動を大きくすることができる。メニスカスの後退および振動は、液体-気体境界面の全域にわたって、完全な材料混合を可能にするほど大きい。完全な物質混合は、液体-気体境界面における全ての分子の化学ポテンシャルを最小化し液体中のものと等しくする。
【0121】
印刷材料の乾燥を防止するために、ピエゾ波形を変化させて流体材料の液滴を形成させるが、ノズルからは吐出させない、「ティックリング」機能がプリントヘッド装置によって提供される。この機能はある期間メニスカス層の「跳ね返り」を提供することができる。もし、次の印刷サイクルの前にノズルが清浄されるならば、液滴メニスカスからの流体のより完全な混合が、不定期間の印刷の停止を可能にするように、ノズルの形状を設計することができる。「ティックリングされた」流体はノズル形状内で再循環させることができ、ノズルからの流体の分配は、ピエゾの印刷波形に戻ることによって再開することができる。
【0122】
市販のプリントヘッドにおけるノズルプレートの厚さは100μm未満である。本発明のノズルプレートは、約50μm~約5mmの厚さを有することができる。好ましくは、ノズルプレートが約200μm~約500μm、または約250μm~約500μm、または約300μm~約500μm、または約350μm~約500μm、または約400μm~約500μm、または約450μm~約500μmである。ノズルプレートの厚さを増大させることにより、空気の飲み込みを生じさせることなく、ノズルプレートの下降部分内に高い後退メニスカス運動を生じさせることができる。ノズルプレートの厚さが増加した本発明の装置では、後退メニスカス運動がノズルにおけるメニスカス接触線を破壊するのに十分な大きさであり、それによって、メニスカス表面全体にわたる完全な流体材料の混合を引き起こす。市販のプリントヘッドに見られるような薄いノズルプレートでは、接触線を完全に破壊することができない。その理由は、これが空気飲み込み問題を引き起こし、メニスカス全体にわたる完全な流体材料の混合を妨げるからである。波形には、ポンプ室内に負の圧力波を生成することが要求され、上記圧力波はメニスカス振動の高調波周波数である必要がある。
【0123】
[ランドライプリントヘッド]
本発明のプリントヘッドのいくつかの用途においては、微小突起アレイなどの医療デバイス上にコーティングされる流体材料の製剤は高価であり、プライミングおよびコーティング中の材料の損失を最小限に抑えることが利点である。注射器用の液体充填システムはかなりの量の残留流体を有し、充填を維持するためにある水準の流体を必要とし、それによって材料の損失につながる。本発明の装置は、装置が「ラン・ドライ」し、したがってコーティングプロセス中の材料の損失を最小限に抑えることができるように設計される。本発明のプリントヘッド装置は、ピエゾと流体境界面との間に流動抵抗がないときに生じる、反射ピエゾ信号の監視と、波形変化の識別とを提供する。この監視および信号識別は流体材料が消耗するときを検出することができ、したがって、プリントを停止することができる。この監視および信号識別方法は、また、プリントヘッドのノズルプレートの部分的または完全な閉塞を検出するために使用されてもよい。
【0124】
[プリントヘッド/ノズルプレートの製造]
現在市販されているプリントヘッドのノズルプレートは、EDMプロセスを用いて製造されている。このプロセスはノズルプレートに、良好な仕上げ、高水準の精度、及びノズル間のばらつきの少ないノズル形状を提供する。EDMプロセスは時間がかかり、また、費用がかかり、また、高レベルの使い捨てプリントヘッドまたはノズルプレートを製造する効率的な方法ではない。本発明のプリントヘッド/ノズルプレートは、複数の穴がレーザー穿孔され、互いに結合された2つのプレートから構成されてもよい。上部プレートは、下部プレートの複数の穴よりも大きい複数の穴を有する。上部プレートの複数の穴は、約2μm~2000μm、好ましくは約100μ~約250μmのオーダーであり得る。流体が最終的に分配される下部プレートは上部プレートの複数の穴に対応する複数の穴を有するが、穴はより小さい。下部プレートの複数の穴は、約20μm~約200μm、または約30μm~約200μm、または約40μm~約200μm、または約50μm~約200μm、または約60μm~約200μm、または約70μm~約200μm、または約80μm~約200μm、または約90μm~約200μm、または約100μm~約200μm、または約110μm~約200μm、または約120μm~約200μm、または約130μm~約200μm、または約140μm~約200μm、または約150μm~約200μm、または約160μm~約200μm、または約170μm~約200μm、または約180μm~約200μm、または約190m~約200μmのオーダーであるべきである。2つのプレートは下部プレートの小さい方の複数の穴が上部プレートの大きい方の複数の穴の中心に位置するように、エポキシまたは拡散接合またはレーザー溶接を含むが、これらに限定されない方法によって一緒に接合され得る。2つのプレートの位置合わせおよび結合はEDM製造されたノズルプレートで得られるものと同様の流れを可能にする最終形状を提供するが、この方法はより速く、より安価である。本発明のプリントヘッド/ノズルプレートを形成するために、レーザー穿孔とEDM製造の組み合わせを使用することもできる。代替的に、下降プレートのない単一のノズルプレートがあってもよい。ポンプ室プレートの下に1つのプレートのみがある場合、それはノズルプレートと呼ばれる。しかしながら、ノズルプレートを作るために2つのプレートが使用される場合、上部プレートは下降プレートと呼ばれ、下部プレートはノズルプレートと呼ばれる。
【0125】
[乾燥プライミング]
市販のプリンタは、出荷または使用前に事前充填され、事前準備されるように設計されている。プライミングは、非常に複雑であり得、脱気濾過ユニットまたは長期間、真空下であることを必要とする。このような方法は医薬または生物学的材料には適切ではなく、したがって、乾燥滅菌状態でのプライミングを可能にし、流体の損失を最小にし、事前にパックされた滅菌ユニットの製造を可能にする方法が好ましい。流体の分配に影響を及ぼす可能性のある気泡を生成することなく、乾燥滅菌プリントヘッドに医薬または生物学的流体材料を充填することができる方法を有することが望ましい。プリントヘッドは、予備プライミングまたは脱気なしに流体を満たすことができる。流体は乾燥滅菌プリントヘッドに流入し、液滴を分配することなく自動的に流れ、液滴の形成に影響を及ぼす可能性のある空気を除去する。この状態は、プリント期間を通じて維持される。本発明のプリントヘッドの好ましい実施形態では、プリントヘッド内部の流体通路の長さの下端が0.50mm未満のスケールである。プリントヘッド内部の流体通路の長さは、約0.50mm未満、または約0.45mm未満、または約0.40mm未満、または約0.35mm未満、または約0.30mm未満、または約0.35mm未満、または約0.20mm未満、または約0.15mm未満、または約0.10mm未満、または約0.05mm未満であってもよい。プリントヘッド内部の流体経路の長さは以下のようであってもよい:約0.05~0.50mm、または約0.05~0.45mm、または約0.05~0.40mm、または約0.05~0.35mm、または約0.05~0.30mm、または約0.05~0.25mm、または約0.05~0.20mm、または約0.05~0.15mm、または約0.05~0.10mm、または約0.10~0.50mm、または約0.10~0.45mm、または約0.10~0.40mm、または約0.10~0.35mm、または約0.10~0.30mm、または約0.10~0.25mm、または約0.10~0.20mm、または約0.10~0.15mm、または約0.15~0.50mm、または約0.15~0.45mm、または約0.15~0.40mm、または約0.15~0.35mm、または約0.15~0.30mm、または約0.15~0.25mm、または約0.15~0.20mm、または約0.20~0.50mm、または約0.20~0.45mm、または約0.20~0.40mm、または約0.20~0.35mm、または約0.20~0.30mm、または約0.20~0.25mm、または約0.25~0.50mm、または約0.25~0.45mm、または約0.25~0.40mm、または約0.25~0.35mm、または約0.25~0.30mm、または約0.30~0.50mm、または約0.30~0.45mm、または約0.30~0.40mm、または約0.30~0.35mm、または約0.35~0.50mm、または約0.35~0.45mm、または約0.35~0.40mm、または約0.40~0.50mm、または約0.40~0.45mm、または約0.45~0.50mm。重力静水圧ではなく毛細管力が、これらの寸法における流体の三相インターフェーズ(空気-液体-固体)の濡れ挙動を支配する。濡れ挙動は、移動する空気-液体-固体接触線からなる。理想的な場合には、接触線は、線が流体通路の空間全体を占め、したがって空気を捕捉しないように移動する。例えば、液体は、ドライプリントヘッドの充填中に空気の全てを押し出すように見える。典型的な市販のプリントヘッドでは、インクがプリントヘッドを満たすための1つの液体入口があり、空気が逃げるための複数の出口がある。これらの複数の出口は、各々が液体入口と接続するための、それ自身の経路を有する噴射ノズルである。個々の流体通路長さの寸法は、0.5mm未満のオーダーである。背圧を加えると、流体がプリントヘッド入口内に押し込まれ、ポンプ室内に気泡を作ることなくノズルが流体で満たされるように、ノズルをプライミングすることができる。本発明のプリントヘッドでは、流体通路長さの下限が0.5mm未満であっても、寸法の上限はポンプ室の寸法である約20mmまでである。このような高いアスペクト比の形状における一方向のみの移動接触線は、毛管力によって支配される。本発明のプリントヘッドでは、流体は入口チャネルからポンプ室に流入する。入口チャネルの数は、1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10とすることができる。ポンプ室内での接触線の形成中、各個別チャネルの液体流量に応じて、結果として生じる液体接触線は、任意の形状を形成することができる。また、同じ理由で、移動接触線を伴うポンプ室液体充填プロセスは、特定の機構に依存せず、チャネル流動抵抗、表面エネルギー不均一性、および局所表面トポグラフィを含む多数の因子のランダムな結果に依存する。この問題は、2次元ノズルアレイがポンプ室に接続された複数の出口チャネルを有するので、本発明のプリントヘッドでは複雑になる。ポンプ室を通る印刷用流体の再循環を容易にし、流体混合を容易にし、流体中に溶解または懸濁したあらゆる材料の沈殿を低減するように、出口は設計される。この構成の結果として、液体接触線が1つの出口チャネルを移動する間に、最も低い抵抗経路を有する出口チャネルが、他の出口チャネルよりも先に到達することになる。最初に到達するチャネルは、流体が上記出口を通ってポンプ室を出ることを可能にする。その結果、ポンプ室は、流体で完全には満たされず、チャンバ内に気泡を有する。この問題は流体を脱気し、ポンプ室を通して脱気された流体を再循環させて、捕捉された気泡を溶解させることによって解決することができるが、このプロセスは時間およびコストを増大させ、プロセスおよび装置の複雑さを増大させる。さらに、医薬または生物学的材料を脱気することは、分解を引き起こし得るので望ましくない。流体への真空の適用も選択肢であるが、単純で安価な結果を提供しない。最後に、この問題はプリントヘッドを真空にすることによって対処することができるが、これは流体を沸騰させることにつながる可能性があり、これも望ましくない。したがって、本発明のプリントヘッドの好ましい実施形態では、流体がポンプ室に入るための単一のチャネルと、流体がポンプ室から出るための単一のチャネルとがある。このような設計はポンプ室に出入りする流体の競合を排除し、空気混入の低下をもたらす。さらに、本発明のプリントヘッドの好ましい実施形態では、ポンプ室の入口開口部と出口開口部との間にある、複数のノズル周りのポンプ室プレートの全ての境界が、接触線の失速を防止するための複数の通気口を有する。
【0126】
[PZT信号生成]
PZT(ピエゾ)を駆動するために供給される波形は流体に作用し、分配される流体滴下の特性を決定する。液滴サイズは、典型的には120pLであり、ノズル配列は、典型的には2,500~7,500ノズル/cmである。液滴の均一性と、液滴の形状およびサイズと、衛星(付随)液滴の排除と、流体界面(メニスカス)を操作する能力、したがってメニスカスの振動によって印刷を停止する能力とはすべて、この信号によって制御される。PZTドライバの2つの例を図26および27に示す。増幅器Apex Microtechnology PA96に基づくPZTドライバは、250V/μsまでのスルーレートおよび±140150Vの最大電圧で、PZTの優れた高速制御を提供する。増幅器Apex Microtechnology PA96に基づくPZTドライバは速度および歪みに関してわずかに低い性能を提供するが、優れた電力消費を有する。PA79増幅器はピエゾ素子を駆動するのに十分な電流を供給することができず、したがって、出力は1組のバイポーラトランジスタを追加することによって増幅される。この回路は、プリントヘッド組立体に含まれるように、設置面積を十分に小さく、小型化することができる。
【0127】
[PZT信号フィードバック]
PZTを駆動し、ノズルの境界面で液滴を生成するために、制御信号が生成され、PZTがその休止位置に戻るとき、第2の戻り信号波形が生成される。上記波形は、システムが適切に動作しているかどうかを判定するために、調べられ得る(問い合わせられ得る)。例えば、ポンプ室内に流体が存在しない場合、または閉じ込められた空気が存在する場合、またはノズルが監視を遮断した場合、戻り信号が問題を特定することができ、適切な処置をとることができる。
【0128】
信号フィードバックは、PZTに直接接続するためにRLCメータを使用して達成することができる。例えば、12.5kHzの正弦波をPZTに送ることができる。このような正弦波の下で、プリントヘッドは振動し、摩擦を発生し、熱を失う。センサとしてのPZT自体は熱損失を感知し、RLCメータへのフィードバック、すなわちESR値を生成する。しかしながら、ポンプ室内に気泡が存在する場合、エネルギー損失は著しく高くなる。気泡の存在の有無にかかわらず、ESR値は著しく異なる。システムが純粋に容量性負荷である場合、正弦波信号の位相シフトは90度であるが、純粋な容量性負荷ではないので、上記信号は90度に近い。しかしながら、気泡が出ると、上記シフトは90度からさらに離れる。あるいは、ドーナツ状の形状を有する主PZTの内側に、第2の小径で薄い部位である「敏感な」PZTを取り付けることができる。内側PZTは駆動されないが、故障状態の間にモニターされた戻り波プロファイルを記録する。(図28参照)。
【0129】
無菌性および清浄性は、微小突起アレイなどのデバイス上に医薬製剤をコーティングする、インクジェット技術を使用する際に重要である。したがって、医薬製剤と接触するプリントヘッドの各構成要素が、ステンレス鋼、ガラス、テフロン(登録商標)、およびナイロンなど(しかし、これらに限定されない)の生体適合性で滅菌可能な材料から製造されることが重要である。生物学的材料は最終的には滅菌することができず、したがって、包装前の最終的な製造プロセスは制御された「清浄」環境で行われなければならない。これは、高水準の環境制御を提供するアイソレータの領域内で行われる。この空間内のすべての装置は、厳格な製造および規制ガイドラインに準拠しなければならない。
【0130】
上述したように、本発明のプリントヘッド装置は、使い捨て可能な1つ以上の構成要素を有し得る。例えば、プリントヘッド装置は、圧電積層アクチュエータが再使用可能である一方で、ポンプ室および/またはノズルプレートが使い捨て可能であるように構成されてもよい。プリントヘッド装置は、その全体が使い捨てであってもよい。無菌環境を維持するために、プリントヘッドは滅菌の前に流体で予めプライミングされる必要があり、これは、製造プロセスを設定するために必要とされるプロセスを最小限にする。プライミング液は活性生物学的作用物質(すなわち、ワクチン)を含有しないことを除いて、印刷流体と同様であってもよい。プライミング液の目的は流体チャネルの内面を完全に濡らし、能動的な印刷流体が開始されるまでこの気泡のない状態を維持することである。使用され得る1つのプライミング液は、注射用水(WFI)である。滅菌は、医薬滅菌プロセスの当業者に知られている多くの方法で行うことができる。これらの方法は典型的にはガンマ線照射、エチレンオキシド、アルデヒドベースの滅菌剤、および気化した過酸化水素を含む(しかし、これらに限定されない)。
【0131】
本発明のプリントヘッド装置は、無菌包装で提供され得る。装置のプリントヘッド全体またはサブアセンブリは、上述のようにプリントヘッドがプライミング溶液で満たされた無菌包装で供給され得る。好ましい実施形態では、プリント前にプライミング溶液の残留の完全な除去を確認することが困難であるため、プリントヘッドは、プライミング溶液を含まない。また、分配された製剤に対するプライミング溶液の残留の影響を確認することは困難であろう。次に、プリントヘッド装置は、無菌筐体内のパッケージから取り外される。プリントヘッドは所定の位置に取り付けられ、バルク溶液供給システムからの供給ラインはプリントヘッド上の供給ポートに接続される。プライミング溶液が使用される場合、パージ(除去)サイクルを実施して、基質に送達されるべき溶液(例えば、微小突起アレイ上の微小突起へのワクチン溶液)をプライミングすることができる。乾燥プリントヘッドの場合、プリンタをプライミングするためにパージする必要はない。言い換えれば、流体を節約し、機械汚染のリスクを低減するために、プライミングプロセス中に流体を噴射する必要がない。次いで、試験サイクルは、溶液を標的上に分配することによって実行され得る。視覚システムは、試験サイクルを検査して、位置合わせおよび位置公差が満たされていることを確実にし得る。例えば、プリントヘッドが非多孔質ポリマー基板の上に配置され、プリントヘッドが10回作動される場合、理想的な場合には、10個の小滴が各ノズルから基板上に分配される。次に、ライン走査カメラが、小滴が印刷される基板を走査する。走査された画像を分析して、1)いくつのノズルが発射しているか、2)位置決め誤差(x、y、および回転)を識別することができる。ライン走査カメラと基板との相対位置は、上述のプロセスの前に較正される。ライン走査カメラは、走査プロセスの間、1-D並進ステージによって駆動され得る。一旦開始されると、プリントヘッドはノズル先端での乾燥を防止するために、アイドル分配で連続的に動作する。プリントヘッドは、定期的にパージ/クリーンサイクルを実行し得る。通常の使用において、コーティングされる微小突起アレイはバッチごとに製造される。ここで、バッチとは溶液材料(例えば、ワクチン)の単一供給ロットであり、そして製造において使用されるプリントヘッドのためのシリアル番号である。プリントヘッドは、使い捨てであってもよい。
【0132】
図29は、微小突起アレイを取り付けることができるX、Yステージと、LED光を有する基準カメラと、回転プリントヘッドが取り付けられるZステージとを備える高速単一プリントヘッドコーティング装置の一実施形態を示す。安定性を確保するために、装置全体を基部(例えば花こう岩基部)に取り付けることができる。並進ステージは、ステージの移動によって生成される微粒子による汚染を最小限に抑えるために、コーティング高さより下に配置される。ステージの位置精度は+/-1μmであり、5000mm/sの加速で500mm/sまでの速度で移動できる。上記設計は、層空気流が最適化されて、コーティングプロセスにおいて粒子が干渉する危険性をさらに低減するように最適化されている。
【0133】
従来技術はMAP設計を記載しているが、現在の技術は、低コストで無菌方法を用いて高処理量の製造をするために、厳しい要件を満たすことができない。例えば、インフルエンザに対する季節的なワクチン接種は、3ヶ月で5000万単位(=約23000単位/時)の無菌製造処理量を必要とする。安全性および経済的な実行可能性を確保しながらこれらの数字を経済的に満たすには何らかの革新が必要である。その革新とは、どのようにして製品が、包装され、組み立てられ、無菌製造機械で投入されたと提示され、迅速かつ正確にコーティングされるか、そして、一般的には、より正確には、無菌環境においても、どのように廃棄物が発生するか、といったことに関する革新である。費用効果的な方法で微小突起アレイをコーティングするために、高処理量コーティングシステムは、多数の微小突起アレイを高速でコーティングすることに対する、リアルタイム性能の完全なシステム制御および検証を提供する。このような高処理量システムのためには、2台以上のプリントヘッド装置を使用する必要がある。このような高スループット装置は、2台、または3台、または4台、または5台、または6台、または7台、または8台、または9台、または10台、またはそれ以上のプリントヘッドを利用し得る。
【0134】
[パッチの位置合わせ]
標的基板の位置合わせ不良は基板の有効性の欠如につながる可能性があり、コーティング材料を無駄にする可能性がある。標的基板、特に微小突起アレイを整列させるための1つの方法は、コンピュータビジョン、画像処理およびカスタムソーティングアルゴリズムを使用して、微小突起アレイ上の各微小突起についての位置データを確立する。取得されたデータは、様々なモータ制御部が、正確な移動座標を制御するために使用される。様々なモータ制御部は、上記座標を使用して微細な調整を行い、ノズルによるコーティングを最大にするように、微小突起アレイを配向する。これらの調整は微小突起アレイごとに特有であり、微小突起アレイが印刷装置に装填される時に生じたかもしれない、いかなるずれまたは回転にもかかわらず、一貫した基準でプリントヘッドが各微小突起アレイに直交することを可能にする。
【0135】
[パッチマット]
上記のように、本発明の器具、装置及び方法は、微小突起アレイをコーティングおよび送るための高スループットの解決策を提供する必要がある。これは、パッチが容易にコーティングされ、輸送され得るようなフォーマットを用いて、コーティングされる複数のパッチを有することを含む。より商業的な生産に優しい形態であるパッチを提供する方法の1つは、積み重ねることで、最小限のパッケージングを必要とする単一のコンパクトな塊にすることができる複数のコンパクトなマットの中に、個々のMAP(マップ)を相互接続することである。複数のマットは無菌環境で個別に操作することができ、より正確には、マットが1つのユニットとしてコーティングすることができ、それによって、プリントヘッドに既に揃えられたMAPを提供し、器具の設置面積を最小限に抑えることができる。本発明のこの態様は面外へのパッチのわずかな個々の自由な運動を可能にしながら、複数のパッチが上記面内結合を得るための手段を提供する。上記フォーマットは、各パッチがコーティングベースと完全につがいになることを可能にする。パッチは、ピック・アンド・プレース・ロボットによって個別にマットから取り外すことができる。マットフォーマットのいくつかの実施形態は、コーティングベース上へのプリントヘッドの過剰噴霧および次のマットのさらなる汚染を防止するパッチ間のギャップを最小にする設計を提供する。
【0136】
MAP設計は、複数のパッチが以下を提供する、複数の部品の1つのマットとして接続されることを可能にする。結合性マットは最もコンパクトな輸送体積を可能にし、輸送および取扱い中に微粒子の発生の危険性を減らし、複雑な支持構造および外部パッキング(シリンジタブ)の必要性を排除し、個々の部品としてより、むしろ1つのマットとして、塊で製造するようにMAPが取扱われ、そして結合性マット構造は、プリントヘッドの衛星滴下による汚染からコーティング機械接触部品を保護する。図30~34は、本発明のパッチのためのマットフォーマットの様々な実施形態を提供する。図30は、マット凝集(結合)のための面外平面挿入ダブテールコネクタを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。図31は、マット凝集のための面外平面挿入コネクタと、上記複数のマットを積み重ねるための十字形端部スピゴットとを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。図32は、マット凝集のための面内摩擦嵌合コネクタと、上記複数のマットを積み重ねるための十字形端部スピゴットとを特徴とする凝集設計を有する実施形態を示す。図33は、コンパクトなスタックにおける上記複数のマットの強力な凝集が六角形および複数のスピゴットで達成される実施形態を示す。図34は、ガイドシャフト(スピゴット)を有さず、代わりに面内摩擦嵌合コネクタを使用する実施形態を示す。
【0137】
本発明のマットはまた、個々のパッチの物理的インターロックがなく、むしろ複数のパッチが図35~37に示されるように単に互いに接合される設計で形成されてもよい。複数のパッチは、輸送および取扱いのために、非常にコンパクトなブロックを形成するように積み重ねることができる複数のタイルを形成する(図37)。最終的にパックされた形態は、ポリエチレンまたは同様のもので収縮包装された、頂部および底部カバーのための成型トレイを有するだろう。
【0138】
インライン滅菌のために、アレイの面を下にして、外部パッケージおよび底部カバートレーを取り外すことができる。一旦滅菌されると、100個のパッチの第1の層は、100個のパッチを持ち上げる真空プレートによって持ち上げられる。次に、突起が上を向いた状態で、真空プレートはプリントヘッドの下に配置される。パッチは、パッチ間に目に見える隙間がない状態で上記真空プレート上のプリントヘッドに提示され、そうでなければ、コーティングされる次の装填物に「過剰噴霧」が接触することによる汚染を防止するために、使い捨てのトレイまたはカバー/ライナーが必要とされる。コーティングの次には、コーティングされたパッチを有した真空プレート全体を品質管理ステーションに移動させ、また、パッチアプリケータへ挿入するために移動させることができる。パッチは、パッチがアレイから任意の順序で押し上げられることを可能にする、真空プレートの下に配置された空気圧ピンのシステムによって取り出されてもよい。次いで、真空トレイは、次のピックアップのために戻される。一実施形態では、10,000個のパッチは、100mmの正方形が積み重なり、高さが~300mmとなっている。
【0139】
[流体リザーバ]
上記のように、微小突起アレイの生物学的コーティングのための無菌/殺菌の条件の必要性は、医薬分野において重要である。プリントヘッドに流体を供給する使い捨て方法を有することは、微小突起アレイをコーティングするための無菌/殺菌された材料を提供することに関する柔軟性を提供する。一実施形態では、プリントヘッドによって分配される流体がプリントヘッド装置の一部である一体化されたサプライ容器またはフィード容器によって提供される。代替の実施形態は、プリントヘッド装置と一体ではなくむしろ装置から離れている外部流体源を含む。流体は、一連の管を含む様々な手段によってリザーバからプリントヘッドに流れることができる。
【0140】
プリンタ本体の基部には、流体制御のための制御ソフトウェアおよび圧力感知が埋め込まれている。主コーティング及び組立機械への電力及び接続は、電気的接点を搭載したバネを介して達成することができる。
【0141】
流体リザーバからプリントヘッドへの流体の流れは、様々な方法で制御することができる。一実施形態では、流体は、内蔵型流体ポンプによって制御される。図38は、プリントヘッド(3830)に接続された一体型流体リザーバの一実施形態を示す。この実施形態では、リザーバは、射出成型ポリマーカバー(3831)内に収容された生体処理バッグである。生体処理バッグ内の流体の流体レベル(流体面)は、生体処理バッグをプリンタ本体に接続するカバー内の透明な窓(3832)を通して見ることができる。バーコード/IDラベル(3833)は、ユニットが追跡され得るようにカバーに取り付けられ得る。プリンタドック(3834)は最終コーティング及び組立装置の一部であり、プリンタへの接続点である。
【0142】
図39は、流体リザーバを包囲するカバーのない一体型流体リザーバの別の実施形態を示す。この実施形態では、リザーバは、流体レベル窓(3932)が接合(密着)されるバイオプロセッシングバッグ(3935)である。その他の点では、図38で使用されているものと同様の参照番号が、同様の特徴を示すために使用されているが、参照番号が100だけ増加されている。
【0143】
図40Aおよび40Bは、流体リザーバのこの実施形態の詳細な斜視図を示す。流体リザーバは、流体リザーバ(4040)を外部流体源に接続するための無菌コネクタ(4041)を有することができる。リザーバは、流体をサンプリングすることができるサンプリングポート(4042)と、ベント(4043)とを有することができる。さらに、リザーバ(4040)は流体を再循環させて均一性を維持することができるように、蠕動再循環ループ(4044)を有することができる。透明な成型流体レベル窓(4032)は、結合部(4036)を介してリザーバ(4040)に取り付けられる。透明な成型流体レベル窓(4032)は、リザーバ内の流体レベルを監視するための窓を設けることができ、接続を容易にするために孔(4037)が設けられる。窓は、プリントヘッドへの接続を容易にする縁(4038)を含むことができる。リザーバは圧力制御を有し、周囲大気に通気することができる。射出成形された本体は、組み込まれた電子機器、圧力センサ、およびファームウェアを含むことができる。
【0144】
この実施形態では、プリンタが両方向に回転することができ、プリンタヘッドが各パッチに対して個々の位置合わせを行うことを可能にする。接続ドックは、取り付けアーム内で回転する。図41は、プリントヘッドにインタフェースで接続された一体型流体リザーバの一実施形態の模式図である。磁気リテーナ(4151)はデバイスを所定の位置に保持し、流路(4152)は、層空気流を方向転換する。プリンタプレート(4153)およびノズルヘッド(4154)は、装置の底部にある。通信/電気ポート(4155)はプリントヘッドに電力を供給し、制御するために提供される。図42は、プリンタ取り付けアーム(4234)内で回転して、プリントヘッドノズルをパッチ及びX、Yステージに対して整列させるプリンタ接続部(コネクタ)(4261)の模式図である。上記コネクタは、プリントヘッドの接続を容易にするために、複数の位置決め磁石(4263)と、係合ランプと、通信/電気ポート(4264)とを有し、磁石と通信ポートとが整列されている。
【0145】
別の実施形態では、プリンタから露出した可撓性チューブ(4371)を作動させるプリンタの取り付けアーム(4334)に収容された流体ポンプによって、流体は制御される(図43)。図44は、流体を撹拌するための電磁アレイ(4472)を含み得る、外部リザーバの実施形態を示す。取り付けアームに再使用可能な非接触型ポンプを取り付けることは、より安価で済むが、プリンタの成型体にポンプを有するほど人間工学的ではない。しかしながら、蠕動ポンプまたはソレノイドポンプなどの非接触型ポンプのコストは、使い捨て品としては、高価であり得る。
【0146】
プリントヘッドの動作を制御するためのシステムが図45に示されている。広義には、システムは、使い捨てプリントヘッドシステムと、プリントヘッドの動作を制御する噴射制御システムと、プリントヘッドの動作をパッチの位置制御と同期させるコンピュータシステムなどの補助システムとを含む。
【0147】
この例では、プリントヘッドシステムは、生体処理バッグなどのリザーバ4540を含む。リザーバ4540は、供給ライン4571を介してプリントヘッド4530に結合されている。再循環ライン4544は、流体がリザーバ4540を通って再循環されることを可能にし、流体がよどみ、凝固するのを防止するために、提供される。
【0148】
供給ライン4571、4544を通る流れは、供給ポンプ4581と再循環ポンプ4582とによって誘導される。供給ポンプ4581と再循環ポンプ4582とは、典型的には、駆動およびポンプホイールを含む蠕動ポンプであり、噴射制御システムの一部を形成する。供給ポンプ4581と再循環ポンプ4582とは、それぞれのポンプ速度コントローラ4583、4584からの信号によって駆動される。次に、これらのコントローラは、噴射制御システムの動作を調整するマイクロコントローラ4585に結合される。マイクロコントローラ4585は、供給ライン4571内の圧力センサ4586から複数の圧力センサを受け取り、これを使用して供給ポンプ4581を制御することができる。
【0149】
マイクロコントローラ4585は、また、バーコード/IDラベル4533を感知するセンサ4587に結合される。バーコード/IDラベル4533は、マイクロコントローラ4585が分配されている流体を示すものを特定することを可能にする。これは、典型的には、ポンプの動作を制御するときに使用される、制御パラメータにアクセスするために使用される。制御パラメータとしては、例えば、定義されている再循環要件、必要な圧力、PZT動作パラメータなどが挙げられる。
【0150】
マイクロコントローラ4585は、波形発生器4588に結合される。波形発生器4588は、PZT素子4590に印加される前に、増幅器4589によって増幅される駆動信号を生成して、流体を分配させる。
【0151】
動作中、信号は補助システムから受信され、マイクロコントローラ4585と波形発生器4588との動作を始動させる。その結果、パッチおよびプリントヘッドが正しく位置合わせされると、補助コントローラは、流体を分配させることができる。
【0152】
リザーバからの流体を制御する好ましい方法では、流体が供給蠕動ポンプまたはソレノイドポンプ(4581)を介して、リザーバからノズルプレートに供給される。ノズルプレートとポンプ(4581)との間の圧力センサ(4586)は、ノズルプレートへの流体圧力を監視し、流体が必要なときにポンプ(4581)と連動(スイッチオン)する。次いで、所望の限界に到達したときに、ポンプが連動解除される(スイッチオフされる)。また、ポンプは、ヘッドをパージするために使用され得るか、または、ポンプは、負圧を生成し得る。
【0153】
特定の実施形態において、混合は、流体の均質性を維持するために使用される。一実施形態では、成型プリンタ本体に埋め込まれた電磁石の円形アレイによって駆動される、リザーバ(生体処理バッグ)に組み込まれた磁気撹拌器がある。別の混合方法は、再循環ポンプ(4582)によって行われる。再循環ポンプは、より安価であり、供給業者からの典型的な撹拌器の選択肢は、大きなバッグ容量に限定されるので、より容易な代替物である。
【0154】
流体リザーバ(4540)の1つのタイプは、0.2umフィルタを介して周囲大気に通気する生体処理バッグである。好ましい実施形態では、生体処理バッグがサンプリングポートを有する。いくつかの実施形態では、リザーバが以下の寸法を有する:事前充填リザーバ-幅110mm×深さ125mm×高さ250mm。遠隔リザーバ-直径90mm×高さ97mm。
【0155】
流体リザーバを使用することの利点には、無菌性、使用の容易さ、柔軟性、およびコストの低減が含まれる。生体処理バッグで予め充填されたプリントヘッドは、コールドチェーン保存で世界的に出荷することができる。現場で、外側パッケージが取り除かれ、ユニットがアイソレータに通されると、最終層パッケージが取り除かれ、プリントヘッドは、コーティング機械に固定されたドックに取り付けられる。プリントヘッドは、リザーバを有さずに無菌状態で供給されるので、リザーバはコーティング場所において無菌状態で充填されることができる。リザーバおよびプリントヘッドの両方は無菌状態で、またはアイソレータの内側で、現場で組み立てることができる。無菌プリンタは、外部供給に複数の供給ラインを取り付けるように構成され、供給されてもよい。プリントヘッドは、より大きな生体処理供給源または外部タンクに接続される供給ラインおよびアイソレータの内部に持ってきてもよい。複数のプリントヘッドを同じ供給源に接続することができる。複数のプリントヘッドは、大規模なコーティングおよび組立機械で使用することができる。もしくは、単一のプリントヘッドは、より小さなデスクトップユニットに使用することができる。
【0156】
[プリントヘッドを用いた装置の製造]
本発明の実施形態の多くは、微小突起アレイ上の微小突起のコーティングに関するものだが、複数のプリントヘッドとプリントヘッド装置と高処理(スループット)機器とは、微小突起アレイ以外の物体のコーティングを含む、様々な処理に使用することができる。本発明のプリントヘッドは、生物学的製剤または医薬品以外のコーティング材料と共に使用することができる。さらに、本発明のプリントヘッドと装置と器具とは、ポリマーを含む(がこれに限定されない)様々な材料を使用して、他の装置を製造するために使用されてもよい。本発明のプリントヘッドは、ポリマーを型に分配し、それにより、微小突起アレイを含む微細構造の製造を可能にすることによって、微小突起アレイを製造するために使用され得る。
【0157】
[コーティング]
好ましい実施形態では、本発明のプリントヘッド装置が微小突起アレイの複数の微小突起をワクチン抗原製剤でコーティングする。抗原は、病原性生物に由来してもよい。病原性生物は、ウイルス、細菌、真菌寄生虫、藻類および原生動物およびアメーバを含むが、これらに限定されない。例示的なウイルスとしては、疾患に関与するウイルスが挙げられる。疾患に関与するウイルスは、麻疹、おたふくかぜ、風疹、ポリオ、A型肝炎、B型肝炎(例えば、GenBank受託番号E02707)、およびC型肝炎ウイルス(例えば、GenBank受託番号E06890)、その他同様の肺炎ウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス(例えば、タイプ4および7)、狂犬病(例えば、GenBank受託番号M34678)、黄熱病、エプスタイン-バーウイルスおよびパピローマウイルスのようなその他のヘルペスウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、日本脳炎(例えば、GenBank受託番号E07883)、デング熱(例えば、GenBank受託番号M24444)、ハンタウイルス、センダイウイルス、呼吸器合胞体(RS)ウイルス、オルトミクソ、小胞性、口内炎ウイルス、ビスナウイルス、サイトメガロウイルスあるいはヒト免疫不全ウイルス(HIV)(例えば、GenBank受託番号U18552)を含むが、これらに限定されない。このようなウイルスに由来する任意の適切な抗原は、本発明の実施において有用である。例えば、HIVに由来する例示的なレトロウイルス抗原としては、gag、pol、およびenv遺伝子の遺伝子産物などの抗原、Nefタンパク質、逆転写酵素、あるいは他のHIV成分が含まれるが、これらに限定されない。肝炎ウイルス抗原の説明に役立つ例としては、B型肝炎ウイルスのS、M、およびLタンパク質などの抗原、B型肝炎ウイルスのpre-S抗原、あるいは他の肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎)ウイルス成分(例えば、C型肝炎ウイルスRNA)が含まれるが、これらに限定されない。インフルエンザウイルス抗原の説明に役立つ例としては、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼのような抗原、あるいは他のインフルエンザウイルス成分が含まれるが、これらに限定されない。麻疹ウイルス抗原の例示的な例としては、麻疹ウイルス融合タンパク質、あるいは他の麻疹ウイルス成分などの抗原が含まれるが、これらに限定されない。風疹ウイルス抗原の例としては、タンパク質El、E2、および他の風疹ウイルス成分のような抗原;VP7sc、および他のロタウイルス成分のようなロタウイルス抗原が含まれるが、これらに限定されない。サイトメガロウイルス抗原の例としてはエンベロープ糖タンパク質Bおよび他のサイトメガロウイルス抗原成分などの抗原が含まれるが、これらに限定されない。呼吸器合胞体(RS)ウイルス抗原の非限定的な例としては、RSV融合タンパク質、M2タンパク質、および他の呼吸器合胞体ウイルス抗原成分などの抗原が含まれる。単純ヘルペスウイルス抗原の例としては、即時初期タンパク質、糖タンパク質D、および他の単純ヘルペスウイルス抗原成分などの抗原が含まれるが、これらに限定されない。水痘帯状疱疹ウイルス抗原の非限定的な例としては、9PI、gpII、および他の水痘帯状疱疹ウイルス抗原成分などの抗原が含まれる。日本脳炎ウイルス抗原の非限定的な例としては、タンパク質E、M-E、M-E-NS 1、NS1、NS 1-NS2A、80%E、および他の日本の脳炎ウイルス抗原成分などの抗原が含まれる。狂犬病ウイルス抗原の代表的な例としては、狂犬病糖タンパク質、狂犬病核タンパク質、および他の狂犬病ウイルス抗原成分などの抗原が含まれるが、これらに限定されない。パピローマウイルス抗原の例示的な例としては、L1およびL2キャプシドタンパク質、同様に、子宮頸癌に関連するE6/E7抗原が含まれるが、これらに限定されない(ウイルス抗原のさらなる例として、Fundamental Virology、Second Edition、eds.、Fields、B.N.およびKnipe、D.M.、(1991)、Raven Press、New Yorkを参照のこと)。
【0158】
真菌の例示的な例としては、以下の通りである:Acremonium種、Aspergillus種、Basidiobolus種、Bipolaris種、Blastomyces dermatidis、Candida種、Cladophialophora carrionii、Coccoidiodes immitis、Conidiobolus種、Cryptococcus種、Curvularia種、Epidermophyton種、Exophiala jeanselmei、Exserohilum種、 Fonsecaea compacta、Fonsecaea pedrosoi、Fusarium oxysporum、Fusarium solani、Geotrichum candidum、Histoplasma capsulatum変種、capsulatum、Histoplasma capsulatum変種、duboisii、Hortaea werneckii、Lacazia loboi、Lasiodiplodia theobromae、Leptosphaeria senegalensis、Madurella grisea、Madurella mycetomatis、Malassezia furfur、Microsporum種、Neotestudina rosatii、Onychocola canadensis、Paracoccidioides brasiliensis、Phialophora verrucosa、Piedraia hortae、Piedra iahortae、Pityriasis versicolor、Pseudallesheria boydii、Pyrenochaeta romeroi、Rhizopus arrhizus、Scopulariopsis brevicaulis、Scytalidium dimidiatum、Sporothrix schenckii、Trichophyton種、Trichosporon種、Zygomcete菌、Absidia corymbifera、Rhizomucor pusillus、そして、Rhizopus arrhizus。従って、本発明の構成および方法において使用され得る代表的な真菌抗原としてはカンジダ真菌抗原成分;熱ショックタンパク質60(HSP60)および他の組織血漿真菌抗原成分のような組織血漿(ヒストプラスマ)真菌抗原;莢膜多多糖類および他の酵母状不完全真菌抗原成分のような酵母状不完全(クリプトコッカス)真菌抗原;球状抗原および他のコクシジウム真菌抗原成分のようなコクシジウム真菌抗原;ならびにトリコフィチンおよび他のコクシジウム真菌抗原成分のような白癬真菌抗原が含まれるが、これらに限定されない。
【0159】
疾患に関与する細菌を含む細菌の例示的な例としては以下を含むが、これらに限定されない:ジフテリア(例えば、Corynebacterium diphtheria)、百日咳(例えば、Bordetella pertussis、GenBank受託番号M35274)、破傷風(例えば、Clostridium tetani、GenBank受託番号M64353)、結核(例えば、Mycobacterium tuberculosis)、肺炎菌(例えば、Haemophilus influenzae.)、コレラ(例えば、Vibrio cholerae)、炭疽菌(例えば、Bacillus anthracis)、腸チフス、ペスト、シゲラ菌(例えば、Shigella dysenteriae)、ボツリスム(例えば、Clostridium botulinum)、サルモネラ症(例えば、GenBank受託番号L03833)、消化性潰瘍(例えば、Helicobacter pylori)、レジオネラ症、ライム病(例えば、GenBank受託番号U59487)。他の病原性細菌としては、Escherichia coli、Clostridium perfringens、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、およびStreptococcus pyogenesが含まれる。従って、本発明の構成および方法において使用され得る細菌抗原としては、以下を含むが、これらに限定されない:百日咳細菌抗原(例えば、百日咳毒素、フィラメント状赤血球凝集素、ペルタクチン、FIM2、FIM3、アデニル酸シクラーゼ、および他の百日咳細菌抗原成分);ジフテリア細菌抗原(例えば、ジフテリア毒素または類毒素、および他のジフテリア細菌抗原成分);破傷風細菌抗原(例えば、破傷風毒素または類毒素、および他の破傷風細菌抗原成分);連鎖球菌性抗原(例えば、Mタンパク質、および他の連鎖球菌細菌抗原成分);グラム陰性桿菌性抗原(例えば、リポ多糖、および他のグラム陰性細菌抗原成分);Mycobacterium tuberculosis細菌抗原(例えば、ミコール酸、熱ショックタンパク質65(HSP65)、30kDa主要分泌タンパク質、抗原85A、および他のマイコバクテリア抗原成分);Helicobacter pylori細菌抗原成分、肺炎細菌抗原(例えば、ニューモリシン, 肺炎球菌性莢膜多糖類、および他の肺炎球菌性抗原成分);Haemophilus influenza細菌抗原(例えば、莢膜多糖類 、および他 Haemophilus influenza細菌抗原成分);炭疽菌性抗原(例えば、炭疽菌防御抗原、および他の炭疽菌性抗原成分);リチッケア細菌抗原(例えば、リケッチアrompA、および他のリケッチア細菌抗原成分)。本明細書に記載される細菌抗原には、任意の他の細菌(マイコバクテリア、マイコプラスマ、リケッチア、またはクラミジア抗原)も含まれる。
【0160】
疾患に関与する原生動物を含む原生動物の例示的な例としては以下を含むが、これらに限定されない:マラリア(例えば、GenBank受託番号X53832)、フックワーム、オンコセルカ症(例えば、GenBank受託番号M27807)、住血吸虫症(例えば、GenBank受託番号LOS198)、トキソプラスマ症、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、ジアルディア症(GenBank受託番号M33641)、アメーバ症、フィラリア症(例えば、GenBank受託番号J03266)、ボレリア症、および旋毛虫症。従って、本発明の構成および方法において使用され得る原虫抗原は、以下を含むがこれらに限定されない:プラスモジウムマラリア原虫抗原(例えば、メロゾイト表面抗原、スポロゾイト表面抗原、スポロゾイト周囲抗原、配偶子細胞/配偶子表面抗原、血液段階抗原pf155/RESA、および他のプラスモディアル抗原成分);トキソプラスマ原虫抗原(例えば、SAG-1、p30、および他のトキソプラスマ抗原成分);住血吸虫抗原(例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、パラミオシン、および他の住血吸虫抗原成分);リーシュマニア主要抗原、および他のリーシュマニア抗原(例えば、gp63、リポホスホグリカンおよびその関連タンパク質、および他のリーシュマニア抗原成分);トリパノソーマクルージ抗原(例えば、75-77kDa抗原、56kDa抗原、および他のトリパノソーマ抗原成分)。
【0161】
プリントヘッド装置およびプリントヘッド装置を使用する方法は、微小突起アレイを含む様々な装置の製造のために、ポリマーなどの材料を型に堆積させるといった、プリントヘッド装置の使用を含む。本発明の一実施形態では、本発明のプリントヘッドは、ポリマーまたは他の材料を、窪みを有する予め形成された型に堆積させることができる。ポリマー材料は、微小突起アレイを形成するために、プリントヘッドから型に分配され得る。ポリマー材料は、すべての熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル―ブタジエンスチレン、およびポリカーボネート、同様に、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリサーミド、ポリエチレンテレフタレート、およびそれらの混合物)を含むが、これらに限定されない。
【0162】
本開示の範囲内で、特徴が任意であることを示す、あらゆる指示は、任意の特徴を参照して、閉鎖言語、排他言語、または否定言語を含む、特許請求の範囲のための適切なサポート(例えば、35U.S.C.112またはEPCのArt.83および84の下)を、提供するように意図される。排他的な言語は、特に、特定の列挙された特徴が、あらゆる追加の主題を含むことを除外する。例えば、Aが薬物Xであり得ることが示される場合、そのような言語は、AがXのみからなることを明示的に指定するクレーム、またはAがX以外の他の薬物を含まないことを明示的に指定するクレームを支持することを意図する。「否定」言語は任意の特徴自体をクレームの範囲から明示的に除外する。例えば、素子AがXを含むことができることが示される場合、そのような言語は、AがXを含まないことを明示的に指定するクレームを支持することを意図する。排他的または否定的な用語の限定的でない例としては、「only(のみ)」、「solely(単独で)」、「consisting of(・・・からなる)」、「consisting essentially of(本質的に・・・からなる)」、「alone(単独で)」、「without(なしで)」、「in the absence of(不在で)(例えば、同じタイプ、構造、および/または機能である他のアイテム)」、「excluding(除外する)」、「not including(含まない)」、「not(含まない)」、「cannot(含み得ない)」、またはそのような言語の任意の組み合わせおよび/または変形が含まれる。
【0163】
同様に、「a」、「an」、「said」、または「the」などの指示対象は、文脈が別段の指示をしない限り、単一および/または複数の存在の両方をサポートすることを意図する。例えば、「a dog」は、1匹のイヌ、1匹以下のイヌ、少なくとも1匹のイヌ、複数のイヌなどのためのサポートを含むことが意図される。単数形を示す適切な用語の、限定的でない例としては、「a single(単一)」、「one(1つ)」、「alone(単独)」、「only one(1つのみ)」、「not more than one(1つ以下)」などが含まれる。(潜在的に、または実際に)複数形を示す適切な用語の、限定的でない例としては、「at least one(少なくとも1つの)」、「one or more(1つ以上の)」、「more than one(1つ以上の)」、「two or more(2つ以上の)」、「a multiplicity(多数の)」、「a plurality(複数の)」、「any combination of(任意の組み合わせ)」、「any permutation of(任意の入れ替え)」、「any one or more of(任意の1つ以上の)」などが含まれる。あるグループの1つまたは複数のメンバーの間に、「or(または)」を含む特許請求の範囲または説明は、相反することが示されている場合、またはそうでなければ、文脈から明らかである場合を除いて、グループのメンバーの1つ、1つ以上、または全てが所定のプロダクトもしくはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそうでなければ、関連する場合に、満たされていると考えられる。
【0164】
範囲が本明細書に与えられる場合、終点が含まれる。さらに、別の指示があるか、またはそうでなければ、文脈および当業者の理解から明らかである場合を除いて、範囲として表される値は、文脈が明確に別の指示をしている場合を除いて、その範囲の下限値の単位の10分の1まで、本発明の種々の態様において、記載される範囲内の任意の特定の値または部分的範囲を想定し得ることが理解される。
【0165】
各刊行物または特許が具体的に、また個々に、参照により組み入れられていることを示されるのと同様に、本明細書で引用されている刊行物および特許はすべて、参照により本明細書に組み入れられる。任意の刊行物の引用は、提出日に先立つその開示のためであり、本発明が、先行発明の効果によってこのような刊行物に実際よりも前に日付を付ける権利を与えられるためではないことの容認として解釈されるべきではない。
【0166】
本発明はその例示的な実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更がその中でなされ得ることが、当業者によって理解されるのであろう。
【0167】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体にわたって、文脈が別途必要としない限り、単語「comprise(備える)」、および「comprises(備える)」、「comprising(備える)」などの変形は、記載された整数、または整数のグループ、または工程の包含を意味するが、任意の他の整数または整数のグループの排除を意味しないことが理解されるのであろう。本明細書で使用されるように、および特に明記されない限り、用語「約」は、±20%を意味する。
【0168】
明細書および添付の請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は文脈が明確に別途指示しない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「a support」への言及は、複数のサポートを含む。本明細書および以下の特許請求の範囲において、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義される多数の用語が参照される。
【0169】
当然のことながら、上記は本発明の例示的な例として与えられているが、当業者には明らかなように、他の補正や変形も、本明細書に記載されている本発明の広範な範囲および範囲内に入るものと見なされる。

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図7B
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図10B
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図15B
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図20A-20C】
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図22A
図22B
図22C
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図23B
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