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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】中空構造物の製造方法及び中空構造物
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20221005BHJP
   A43B 3/12 20060101ALI20221005BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20221005BHJP
   A45C 3/00 20060101ALI20221005BHJP
   A45C 13/36 20060101ALI20221005BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A43B13/14 D
A43B3/12 J
A43B23/02 109
A45C3/00 V
A45C13/36 E
A45C11/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021063209
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2021-09-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517021628
【氏名又は名称】株式会社アルジェント
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】正木 勝欣
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3223495(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02446766(EP,A1)
【文献】特開平01-262802(JP,A)
【文献】中国実用新案第200990903(CN,Y)
【文献】実開平04-019204(JP,U)
【文献】特表2005-520611(JP,A)
【文献】登録実用新案第3011292(JP,U)
【文献】特開2016-137040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14
A43B 3/12
A43B 23/02
A45C 3/00
A45C 13/36
A45C 11/00
B65F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースの周縁の一部又は全部に、下縁部が接合され前記ベースの上方にあるいは上方を覆うように拡がるカバーとを備える中空構造物の製造方法であり、
底板材の上側に前記底板材の外周縁に沿って断面矩形状のベルト部材を接着して、底板部と、その上側に該底板部の外周縁に沿って延びる環状壁部とが設けられたベース材を形成する工程と、
前記環状壁部の外周面側に周方向に延び外向きに開口する凹状溝を形成するよう切削して、前記ベースを形成する工程と、
前記ベースの凹状溝内に前記カバーの下端部を取り付ける工程と、
前記ベースと前記カバーの下端部の取付部が、該カバーの内側に隠れるように該カバーを折り返す工程と、を備えることを特徴とする、中空構造物の製造方法。
【請求項2】
前記ベースの凹状溝内に前記カバーの下端部を取り付ける工程は、前記凹状溝内に前記カバーの下端部を挿入した状態で縫製する工程である、
請求項1記載の中空構造物の製造方法。
【請求項3】
前記ベースがソールを構成し、前記カバーがアッパーを構成し、前記中空構造物が履物を構成する、
請求項1又は2に記載の中空構造物の製造方法。
【請求項4】
前記ベースが底部を構成し、前記カバーが袋部を構成し、前記中空構造物がかばんを構成する、
請求項1又は2に記載の中空構造物の製造方法。
【請求項5】
前記ベースが底部を構成し、前記カバーが前記ベースの周縁から上方に立設されている側部を構成し、前記中空構造物がゴミ箱又はボトルケース又は鉢植えケースを構成する、
請求項1又は2に記載の中空構造物の製造方法。
【請求項6】
ベースと、前記ベースの周縁の一部又は全部に、下縁部が接合され前記ベースの上方にあるいは上方を覆うように拡がるカバーと、を備え、
前記ベースは、底板部と、前記底板部の上側に前記底板部の外周縁に沿って設けられる環状壁部とを有し、前記底板部と前記環状壁部とが接着されていて、
前記環状壁部は、断面矩形状のベルト部材の外周面側に周方向に延び外向きに開口する凹状溝が形成され、
前記凹状溝内に、前記カバーの下端部が取り付けられていて、
前記ベースと前記カバーの下端部の取付部が、該カバーの内側に隠れるように構成されていることを特徴とする、
中空構造物。
【請求項7】
前記環状壁部は,内周面側にも周方向に延びる凹状溝が形成されている、
請求項6に記載の中空構造物。
【請求項8】
前記外周面側の凹状溝への前記カバーの取り付けが、縫製によりなされている、
請求項6又は7に記載の中空構造物。
【請求項9】
前記ベースがソールを構成し、前記カバーがアッパーを構成し、前記中空構造物が履物を構成する、
請求項6又は7に記載の中空構造物。
【請求項10】
前記ベースが底部を構成し、前記カバーが袋部を構成し、前記中空構造物がかばんを構成する、
請求項6又は7に記載の中空構造物。
【請求項11】
前記ベースが底部を構成し、前記カバーが前記ベースの周縁から上方に立設されている側部を構成し、前記中空構造物がゴミ箱又はボトルケース又は鉢植えケースを構成する、
請求項6又は7に記載の中空構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造物の製造方法及び中空構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
中空構造物の一つである靴として、革もしくは人工合成革材からなる本底と、クッション性を有し前記本底に設置される中物と、アッパーと、からなり、前記本底は、靴底の外周に沿って一定の位置にリブが立設されるように中央に嵌合凹部を削設し、前記アッパーの周縁を縫糸によって前記リブに縫い付けてアッパーを本底に固定する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記を含め従来の靴は、靴底の製造においては、まず靴底を成型するための金型を製造し、その金型を用いて靴底を成型する方法が一般的である。
【文献】特開2017-38746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載のものは、前記アッパーの周縁を縫糸によって前記リブに縫い付けてアッパーを本底に固定するので、製造が困難である。
【0005】
また、従来の靴における金型を製造してから靴底を成型する方法では、金型の製造から始めるため靴底の完成に1ヶ月以上を要し、また金型を製造するために多大なコストが必要であった。
【0006】
そこで、発明者は、凹状溝を利用して、アッパーを取り付けるようにすれば、アッパーの縫い付け部分(取付位置)を明確にすることで、製造が容易になることを見出し、本発明をなした。さらに、本発明であれば、金型を用いた従来の方法よりも、靴底及び靴が完成するまでの時間を短縮でき、コストの削減が可能となる。また、本発明は、中空構造物であれば、靴はもちろんのこと、それ以外の物も容易に製造することが可能となることを見出した。
【0007】
本発明は、製造が容易である中空構造物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一の態様に係る中空構造物の製造方法は、ベースと、前記ベースの周縁の一部又は全部に、下縁部が接合され前記ベースの上方にあるいは上方を覆うように拡がるカバーとを備える中空構造物の製造方法であり、底板材の上側に前記底板材の外周縁に沿って断面矩形状のベルト部材を接着して、底板部と、その上側に該底板部の外周縁に沿って延びる環状壁部とが設けられたベース材を形成する工程と、前記環状壁部の外周面側に周方向に延び外向きに開口する凹状溝を形成するよう切削して、前記ベースを形成する工程と、前記ベースの凹状溝内に前記カバーの下端部を取り付ける工程と、前記ベースと前記カバーの下端部の取付部が、該カバーの内側に隠れるように該カバーを折り返す工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、環状壁部の凹状溝は目印となり、カバーの下端部をベースに取り付けることができるので製造が容易である。また、カバーの下端部が凹状溝にはまり込むことにより、凹状溝がない状態で取り付けた場合よりも強度が向上する。また、底板材と環状壁部となるベルト部材を接合してベースを形成できるので、ベースの金型を製造することなく、環状壁部を備えたベースを容易に製造することができ、従来よりもコストと時間を抑えることができる。
【0012】
また、この中空構造物の製造方法は、前記ベースの凹状溝内に前記カバーの下端部を取り付ける工程は、前記凹状溝内に前記カバーの下端部を挿入した状態で縫製する工程である。このようにすれば、カバーの下端部を凹状溝内にはめ込んだのち、ベースとカバーが縫糸によってしっかりと結合させて取り付けることができるので強度が高い。
【0013】
また、この中空構造物の製造方法は、前記ベースがソールを構成し、前記カバーがアッパーを構成し、前記中空構造物が履物を構成する。
【0014】
また、この中空構造物の製造方法は、前記ベースが底部を構成し、前記カバーが袋部を構成し、前記中空構造物がかばんを構成する。
【0015】
また、この中空構造物の製造方法は、前記ベースが底部を構成し、前記カバーが前記ベースの周縁から上方に立設されている側部を構成し、前記中空構造物がゴミ箱又はボトルケース又は鉢植えケースを構成する。
【0016】
また、本発明の一の態様に係る中空構造物は、ベースと、前記ベースの周縁の一部又は全部に、下縁部が接合され前記ベースの上方にあるいは上方を覆うように拡がるカバーと、を備え、前記ベースは、底板部と、前記底板部の上側に前記底板部の外周縁に沿って設けられる環状壁部とを有し、前記底板部と前記環状壁部とが接着されていて、前記環状壁部は、断面矩形状のベルト部材の外周面側に周方向に延び外向きに開口する凹状溝が形成され、前記凹状溝内に、前記カバーの下端部が取り付けられていて、前記ベースと前記カバーの下端部の取付部が、該カバーの内側に隠れるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、この中空構造物は、前記環状壁部が、内周面側にも周方向に延びる凹状溝が形成された構成としてもよい。このようにすれば、例えば、ベースとカバーをミシンなどにより縫着する場合、環状壁部に厚みがある時に、外側の凹状溝のみでカバーの端部をはめ込み縫着する場合など、外側の凹状溝が深すぎることとなるところ、内側にも凹状溝を設けることで、外側の凹状溝の深さを調整できる。また、ベースとカバーをミシンなどにより縫着する場合には、内側の凹状溝がミシンを使用する際のガイドとなり、縫着がスムーズに行える。
【0019】
また、この中空構造物は、前記外周面側の凹状溝への前記カバーの取り付けが、縫製によりなされている。
【0020】
また、この中空構造物は、前記ベースがソールを構成し、前記カバーがアッパーを構成し、前記中空構造物が履物を構成する。
【0021】
また、この中空構造物は、前記ベースが底部を構成し、前記カバーが袋部を構成し、前記中空構造物がかばんを構成する。
【0022】
また、この中空構造物は、前記ベースが底部を構成し、前記カバーが前記ベースの周縁から上方に立設されている側部を構成し、前記中空構造物がゴミ箱又はボトルケース又は鉢植えケースを構成する。
【発明の効果】
【0023】
上記した本発明によれば、中空構造物の製造が容易となる。また、ベースの金型の製造を必須としないため、完成までのコストと時間を従来よりも抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る中空構造物の製造方法の説明図である。
図2】(a)は前記中空構造物の製造方法の説明図、(b)は図2(a)のA-A線断面図である。
図3】(a)は前記中空構造物の製造方法の説明図、(b)は図3(a)のB-B線断面図である。
図4】(a)は前記中空構造物の製造方法の説明図、(b)は図4(a)のC-C線断面図である。
図5】中空構造物であるゴミ箱の説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係る中空構造物の基本となる基本構造物の別の例を示す斜視図である。
図7】本発明の別の実施形態に係る中空構造物の製造方法の説明図である。(a)は中空構造物の斜視図、(b)はD-D線断面図である。
図8】中空構造物が履物の場合のベースが靴底の場合の斜視図である。
図9】中空構造物が履物の場合の製造方法の説明図である。
図10】中空構造物が履物の場合の製造方法の説明図である。
図11】中空構造物がサンダルの場合の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものでない。まず、本発明に係る中空構造物の製造方法を、工程毎に順に説明する。ここでは、中空構造物が円筒状のゴミ箱の場合である。
【0026】
<実施形態1>
(工程1)
まず、図1に示すように、ベース1の前提となるベース材2は、円板状の底板材3の上側に、底板材3の外周長さに対応する長さに切断されているベルト部材4を、底板材3の外周縁に沿って接合して、ベルト部材4の端部同士を最終的に接合して形成される。なお、接合は例えば接着や熱融着などによる。また、予め端部が接合されて環状となっているベルト部材4を、底板材3の上側に接合するようにしてもよい。
【0027】
(工程2)
図2(a)(b)に示すように、ベルト部材4の外周面の上下方向中央部において、一定幅の凹部を削って、周方向に延びる凹状溝4aを形成してベース1とする。なお、ベルト部材4の凹状溝4aを予め形成した後に、底板材3の上側に接合するようにすることもできる。
【0028】
(工程3)
図3(a)(b)に示すように、ベルト部材4の凹状溝4a内にカバー材5の一端部を折り込み挿入して、他端部を垂らした状態で全周に亘って、ミシンなどを用いて縫製により取り付ける。カバー材5は、例えば、帆布、織布、合皮、皮革など可撓性を有するものである。
【0029】
(工程4)
図4(a)(b)に示すように、カバー材5の他端部を、底板材3が下になり環状のベルト部材4を包み込むように上方に持ち上げて折り返し、外周壁となるカバーとする。そして、カバー材5の上側部分については、ゴミ箱(中空構造部)の外観形状に応じて、必要な仕上げ処理を施す(図5参照)。
【0030】
このようにして、ベース1と、ベース1の外周縁に下端部が接合されベース1の上方に拡がるカバー(カバー材5)とを備え、ベース1は、平板状の底板部3と、底板部3の上側に底板部3の外周縁に沿って設けられる環状壁部(ベルト部材4)とを有するものであり、環状壁部(ベルト部材4)は、外周面側に周方向に延びる凹状溝4aが形成され、凹状溝4aに、カバー(カバー材5)の下端部が取り付けられている中空構造物としてのゴミ箱を製造することができる。
【0031】
なお、例えばペットボトルケースや鉢植えケースなど、上方が開放された中空構造物であれば、上記と同様の方法で製造できる。また、ランプシェードなど、下方が開放された中空構造物も上記と同様の方法で製造できる。
【0032】
<実施形態2>
次に、実施形態2の製造方法について説明する。実施形態2と実施形態1との主な違いは、工程1のベース1の製造方法の違いであるため、実施形態2のベース1Aの製造工程について説明する。
【0033】
(工程1)
図6に示すように、厚肉円板状の基材11(ベース材)の中央部分を切除して、中央部分に凹部を形成する。これにより、平板状の底板部12の上側に、その外周縁に沿って環状壁部13が形成されたベース1Aとなる。なお、工程2以降については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
<実施形態3>
また、上記した実施形態1、2は、ベース1の環状壁部の環状凹部が外側のみの場合の例であるが、図7に示すように、内側にも環状凹部が形成されたベース1Bのような構成としてもよい。すなわち、図7に示すベース1Bは、底板材3Bの上に、ベルト部材(環状壁部)4Bが設けられていて、外周面及び内周面の双方に凹状溝4Baが設けられている。
【0035】
このようにすれば、例えば、ベースとカバーをミシンなどにより縫着する場合、環状壁部に厚みがある時に、外側の凹状溝のみでカバーの端部をはめ込み縫着する場合など、外側の凹状溝が深すぎることとなるところ、内側にも凹状溝を設けることで、外側の凹状溝の深さを調整できる。また、ベースとカバーをミシンなどにより縫着する場合には、内側の凹状溝がミシンを使用する際のガイドとなり、縫着がスムーズに行える。
【0036】
<実施形態4>
次に、実施形態3の製造方法について説明する。実施形態1又は実施形態2との主な違いは、中空構造物がかばんであり、工程4のカバーの仕上げの違いであるため、実施形態3のカバーの仕上げの工程について説明する。
【0037】
(工程4)
実施形態1又は2は、上方が開放されたものであるが、実施形態3はかばんであるため上方が開放していない。また、ベースの製造工程やベースとカバーとの取付については、工程1乃至3と同様のため説明を省略する。
【0038】
図4(a)(b)に示すように、カバー材5の他端部を、底板材3が下になり環状のベルト部材4を包み込むように上方に持ち上げて折り返す。そして、カバー材5の上側部分については、かばん(中空構造部)の外観形状に応じて、必要な仕上げ処理を施す。必要な仕上げ処理とは、例えば、開き口の縁に紐を通すなどして、紐を縛って開き口を閉じるようにして、かばんとする仕上げ処理を行う。
【0039】
このようにして、ベース1と、ベース1の外周縁に下端部が接合されベース1の上方に拡がるカバー(カバー材5)とを備え、ベース1は、平板状の底板部3と、底板部3の上側に底板部3の外周縁に沿って設けられる環状壁部(ベルト部材4)とを有するものであり、環状壁部(ベルト部材4)は、外周面側に周方向に延びる凹状溝4aが形成され、凹状溝4aに、カバー(カバー材5)の下端部が取り付けられている中空構造物としてのかばんを製造することができる。
【0040】
<実施形態5>
次に、実施形態4の製造方法について説明する。実施形態1、2、3との主な違いは、中空構造物が履物であり、ベースがソール20となり、カバーがアッパー21となる。具体的には、上記したベース1は円形状であるところ、図8に示すように、靴底形状の底板部22と、凹状溝23aが形成された環状壁部23とを有するソール20(ベース)となる。
【0041】
そして、図9に示すように、このソール20に、あらかじめ成形したアッパー21の端部を、凹状溝23aに折り込み、これにアッパー21の端部の全周を縫着する。
【0042】
その後、図10に示すように、アッパー21を上方に折り返して、アッパー21の仕上げ処理を行う。アッパー21の仕上げ処理は、例えば、ソール20の中央の凹みにクッション材24を挿入し、その上から中敷25を設置して、履物を完成させる。
【0043】
なお、上記した履物は、ソール20の外周縁の全周に亘る環状壁部に、全周に亘ってアッパー21の端部を縫着して、足を包み込む履物であるが、次のようにしてサンダルとすることも可能である。サンダルの場合、図11に示すように、ソール20の環状壁部の一部に、アッパーの端部を縫着する。そして、アッパーを折り返し、仕上げ処理して、サンダルが完成する。また、ソール20の環状壁部についても、サンダルとなるアッパーを縫着する部分のみ、すわなち、ソール20の外周縁の一部にのみ設ける構成としてもよい。
【0044】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。
【0045】
(i)ベースを構成することになる底板材や基材は、円板状である必要はなく、例えば角板状など中空構造物の形状に応じて各種の形状とすることができる。
(ii)カバー材5は、ベース1の外周縁の全部に亘って下端部を接合する必要はなく、中空構造物の形状や上記したサンダルなどの場合、一部だけ接合する構成とすることもできる。
(iii)カバー材5は、ベースの上方に拡がるだけでなく、例えば、中空構造物がランプシェードの場合などは、ベースが上方にきてカバー材が下方に拡がるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1、1A、1B ベース
2 ベース材
3、3B 底板材
4、4B ベルト部材(環状壁部)
4a、4Ba 凹状溝
5 カバー材
11 基材
12 底板部
13 環状壁部
13a 凹溝部
20 ソール
21 アッパー
22 底板部
23 環状壁部
23a 凹溝部
24 クッション材
25 中敷
【要約】
【課題】製造が容易である中空構造物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ベース1は、円板状の底板材3の上側に、底板材3の外周縁に沿って、断面矩形状のベルト部材4を接合して形成する。ベルト部材4の端部同士は接合されて、環状壁部とされている。環状壁部の外周面の上下方向中央部において、一定幅の凹部を削って、環状壁部(ベルト部材4)に対して周方向に延びる凹状溝4aを形成する。ベルト部材4(環状壁部)の凹状溝4a内に、カバー材5の一端部を挿入し、縫製により取り付ける。カバー材5の他端部を、底板材3が下になりベルト部材4を包み込むように上方に持ち上げて、外周壁となるカバーとする。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11