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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】熱発生熱放射装置用の断熱ハウジング
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20221005BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20221005BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221005BHJP
【FI】
C01B3/38
H01M8/04 Z
H01M8/0612
H01M8/04 N
H01M8/12 101
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021510701
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019048469
(87)【国際公開番号】W WO2020047036
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】62/724,287
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516134213
【氏名又は名称】ワット・フューエル・セル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】WATT FUEL CELL CORP.
【住所又は居所原語表記】402 EAST MAIN STREET, SUITE 800, MOUNT PLEASANT, PA 15666, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】フィンナーティ,ケイン,エム
(72)【発明者】
【氏名】デワルト,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンバーグ,マシュー
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-541410(JP,A)
【文献】特表2017-528882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0170516(US,A1)
【文献】特表2018-515734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0053953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/38
H01M 8/04
H01M 8/0612
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包囲された熱発生熱放射装置のための断熱ハウジングであって、
互いに接続された側方、上方及び下方パネルを備える第1ハウジングを備え、
前記パネルは対向する内面と露出される外面とを備え、
これらパネルは、前記熱発生熱放射装置を完全に包囲するように寸法設定されて構成され、
第1ハウジングパネルの前記内面には、少なくも一つの耐火断熱アセンブリ、又は、そのようなアセンブリの組み合わせが付着され、
前記各断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせは、予め寸法設定され予め成形された耐火断熱セクションの重ね合わされた層から成る少なくとも一つの構造体を形成し、
前記断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの一方の側が各第1ハウジングパネルの内面に付着され、前記断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの他の側が前記熱発生熱放射装置に面し、
前記断熱アセンブリのそれぞれ又は断熱アセンブリの組み合わせの寸法、構成及び最高使用温度は、前記第1ハウジングの全てのパネルの内面を実質的に完全かつ連続的にライニングするものであって、それによって、前記包囲された熱発生熱放射装置からの熱損失を所定範囲まで抑制し、前記各断熱アセンブリは、前記熱発生熱放射装置からのIR放射の流れのための直接経路を除去し、各第1ハウジングパネルの前記外面上に最高所定表面温度を維持する、断熱ハウジング。
【請求項2】
断熱セクションは、別の断熱セクションの長手エッジに沿って配設された対応のスロットとのロック係合のために前記長手エッジに沿って間隔を置いて配設された単数または複数のタブを有する請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項3】
互いに接合された断熱パネルの端部は互いに対して段状関係を呈する請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項4】
各断熱パネルは、断熱ボードからレーザ切断される請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項5】
断熱構造は、互いに重ね合わせられた断熱セクションの連続ライニングである請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項6】
断熱構造は、互いに対して端部同士が閉じる関係にある複数の断熱アセンブリを含むライニングである請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項7】
前記包囲された熱発生熱放射装置は、その改質物排出端部が燃料電池の水素含有改質物受け入れ端部に接続され、前記燃料電池からの使用済みガスがアフターバーナセクションとガス流連通状態にあり、前記使用済みガスが、その内部で燃焼され、その結果得られる燃焼ガスがそこから排出される、改質器である請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項8】
高温アフターバーナ排気ガス流がガス流方向変換部材との接触によって変更される請求項7に記載の断熱ハウジング。
【請求項9】
前記ガス流方向変換部材は、高温アフターバーナ排気ガス流が、その排気カウルとガス流連通する単数または複数のアフターバーナ燃焼ガススロットを通ってアフターバーナから排出される時に、これら高温アフターバーナ排気ガス流を包囲しその向きを変更するための排気カウルを含む請求項8に記載の断熱ハウジング。
【請求項10】
前記ガス流方向変換部材は、前記排気カウルの上方及び側方面に形成されたルーバー付き排ガスベントを含む請求項9に記載の断熱ハウジング。
【請求項11】
前記排気カウルの側面に配設されたルーバー付き排ガスベントを通して排出されるガス流は、前記排気カウルの側面に固定された排気ガス流方向変換部材によって形成されるガス流路へと向きを変更される請求項10に記載の断熱ハウジング。
【請求項12】
前記包囲された熱発生熱放射装置は、その改質物排出端部がマルチ筒状SOFCの改質物受け入れ端部に接続された、スチーム、オートサーマル、マルチ筒状CPOX改質器である請求項7に記載の断熱ハウジング。
【請求項13】
前記第1ハウジングが第2ハウジング内に実質的に包囲されている請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項14】
前記第2ハウジングは、内側および露出した外面を有する、互いに接続された側方、上方及び下方パネルを含み、前記第2ハウジングは、ファイアウォールによって、高温ゾーンと低温ゾーンとに内部分離され、前記高温ゾーンは、前記第1ハウジングを実質的に完全に包囲するのに十分な容積のものである請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項15】
前記第1ハウジングが断熱第2ハウジング内に包囲されている請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項16】
断熱アセンブリは、耐火断熱シートを含む請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項17】
断熱アセンブリを含む各断熱シートは、所定の長さ及び幅寸法にレーザ切断される請求項16に記載の断熱ハウジング。
【請求項18】
重ね合わせられた所定の寸法で所定の構造の耐火断熱層から成る断熱アセンブリにおいて、断熱パネルのエッジは、下方にある断熱パネル上又は内に形成された対応のスロットと密フィット関係でアラインメントし嵌合する少なくとも一つのタブを有する請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項19】
前記熱発生熱放射装置に向く断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの面には、アルミニウムとマイラとから成るグループから選択される、少なくとも1つの熱反射コーティング、膜又は層が付着されている請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項20】
前記熱発生熱放射装置に向く断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの面が、当該熱発生熱放射装置から空間的に分離した、請求項1に記載の断熱ハウジング。
【請求項21】
包囲された熱発生熱放射装置のための断熱ハウジングであって、
互いに接続された側方、上方及び下方パネルを備える第1ハウジングを備え、
前記パネルは対向する内面と露出される外面とを備え、
これらパネルは、前記熱発生熱放射装置を完全に包囲するように寸法設定されて構成され、
第1ハウジングパネルの前記内面には、少なくも一つの耐火断熱アセンブリ、又は、そのようなアセンブリの組み合わせが付着され、
前記各断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせは、予め寸法設定され予め成形された耐火断熱セクションの重ね合わされた層から成る少なくとも一つの構造体を形成し、
前記断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの主要面が前記熱発生熱放射装置に面し、
前記断熱アセンブリのそれぞれ又は断熱アセンブリの組み合わせの寸法、構成及び最高使用温度は、前記第1ハウジングの全てのパネルの内面を実質的に完全かつ連続的にライニングするものであって、それによって、前記包囲された熱発生熱放射装置からの熱損失を所定範囲まで抑制し、前記各断熱アセンブリは、前記熱発生熱放射装置からのIR放射の流れのための直接経路を除去し、各第1ハウジングパネルの前記外面上に最高所定表面温度を維持する、断熱ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱発生熱放射装置、特に、水素リッチ改質物の製造用の触媒部分酸化(CPOX)改質器と、固体酸化物燃料電池(SOFC)のスタックと、そのような改質物の電気および別のタイプの熱発生熱放射装置である燃料電池の副産物水蒸気(スチーム)への電気化学的変換用の組み合わせられるアフターバーナユニットと、の統合システム用の断熱ハウジング又はエンクロージャ、に関する。
【背景技術】
【0002】
気体又は液体改質可能燃料の水素リッチ一酸化炭素含有気体混合物、「合成ガス」又は「シンガス」と一般的に呼ばれている生産物、への変換は、水蒸気改質、乾式改質、自己熱改質、及び触媒部分酸化(CPOX)改質等の従来式又はその他公知の燃料改質操作のいずれかによって行うことができる。これら燃料改質プロセスのそれぞれには、それ自身の明確な化学的性質と要件があり、そのそれぞれが他のものに対する特徴的な利点と欠点とによって特徴付けられる。
【0003】
改良された燃料改質器、燃料改質器コンポーネント、及び改質プロセスの開発は、主動力装置(MPU)や補助動力装置(APU)等の一般的用途での大幅に拡張された役割を果たすため、燃料電池、即ち水素、水素と一酸化炭素との混合物等を電気に使用し、電気化学的に酸化可能な燃料の電気化学的変換のための装置の潜在的能力により、相当な研究の焦点であり続けている。燃料電池は、又、特殊用途、例えば、電気自動車用の車載発電装置や、住宅用装置のためのバックアップ電源、レジャー用、アウトドア用の、主電源、およびその他の、電源の無い場所におけるその他の電力消費装置、および携帯バッテリパック用の軽量、高電力密度、環境温度依存独立代替品(リプレースメント)といったものにも使用することができる。
【0004】
水素の大規模で経済的な生産、その流通のために必要なインフラ、およびその貯蔵のための実用的手段(特に、輸送燃料として)はまだ道が遠いものとして広く考えられているので、現在における研究開発は、電気化学的酸化可能燃料、特に、水素と一酸化炭素との混合物、のソースとしての燃料改質器と、それらの燃料の電気への変換装置としての、燃料電池「スタック」と一般的に呼ばれている燃料電池アセンブリの改善と、燃料改質器と燃料電池とを、電気エネルギ生産用の、よりコンパクトで、信頼性が高く、効率的な装置への統合、に向けられている。
【0005】
燃料電池スタック、例えば100ワットから100キロワットの公称電力定格及びこれらの間のすべての電力定格を有するものに水素リッチ改質物を供給する方法として、CPOX改質又は単純にCPOXが特に注目を集めている。CPOX改質の利点の一つは、外部熱源を必要とする吸熱反応であるスチーム改質や乾式改質と異なり、その反応が発熱性であることにある。
【0006】
更にCPOX反応は、一般に他の改質反応よりも速く、これによって高速起動と負荷の変動に対する迅速な反応とが可能な比較的小型の改質器を構築することが可能である。CPOX改質器は、また、水と水蒸気との取り扱いを必要とする改質器、例えば水用の貯蔵ユニット、スチーム製造用の加熱ユニット、吸熱改質反応を駆動するために熱を供給するためのバーナ又はその他の燃焼ユニット、および、それらに関連する流体ルーティング及び運転モニタリング及び制御装置、を必要とするスチーム改質器及びオートサーマル改質器よりも、構造がより単純である傾向がある。
【0007】
公知の従来式改質器においては、それらの熱発生及び熱放出コンポーネントが、酸化をサポートするための酸素含有気体(通常、周囲温度及び圧力の大気として提供される)の余熱や、適切に予熱された気体状空気及び気体CPOX反応混合物を提供するためのディーゼル等の液体燃料の気化、および、家庭での熱水の必要性を満たすのに役立たせるために、そのような熱を利用するための燃料電池が取り付けられている燃料電池スタックの前記アフターバーナユニットからの排熱の回収、といったそのような改質器運転での利用のために排熱を保存し回収するために、有効な断熱性を備えることが必須の要件である。そして、もちろん実際問題として、それがなければそのような装置の熱運転効率を大幅に低減させるであろう熱損失を回避するために、改質器、燃料電池およびその内容全体をここに参照として合体させる共有の米国特許第9,624,104号明細書、米国特許第9,627,700号明細書、米国特許第9,627,699号明細書及び米国特許第9,627,701号明細書に記載されているもののような統合改質器および燃料電池システム、のために断熱を提供することが必要である。改質器、それらに伴う燃料電池及びアフターバーナユニット、更に、その他の熱発生熱放射装置は、通常、エンクロージャ又はハウジング内に設置される。このようなエンクロージャ又はハウジングは、そのハウジングの外面が触れられた時に比較的低温であるように、断熱性を備えることがその必須要件である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9,624,104号明細書
【文献】米国特許第9,627,700号明細書
【文献】米国特許第9,627,699号明細書
【文献】米国特許第9,627,701号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明に依れば、熱発生熱放射装置のための断熱ハウジングが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に依れば、熱発生熱放射装置のための断熱ハウジングが提供され、これは以下を有する。
【0011】
互いに接続された側方、上方及び下方パネルを備える断熱第1ハウジングを備え、
前記パネルは対向する内面と露出される外面とを備え、これらパネルは、前記熱発生熱放射装置を完全に包囲するように寸法設定されて構成され、
第1ハウジングパネルの前記内面には、少なくも一つの耐火断熱アセンブリ、又は、そのようなアセンブリの組み合わせが付着され、
前記各断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせは、予め寸法設定され予め成形された耐火断熱構造の重ね合わされたセクションから成る少なくとも一つの構造体を形成し、各断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの主要面(major side)が各第1ハウジング側パネルの内面と、前記包囲された熱発生熱放射装置に面し、かつ、それから空間的に分離した各断熱アセンブリ又は断熱アセンブリの組み合わせの主要面(major side)に付着され、
前記断熱アセンブリのそれぞれ又は断熱アセンブリの組み合わせの寸法、構成及び最高使用温度は、前記第1ハウジングの前記側方パネルの内面を実質的に完全かつ連続的にライニング(line)するものであって、断熱材またはそれらの組み合わせによって、前記包囲された熱発生熱放射装置からの熱損失を所定範囲まで抑制し、前記各断熱アセンブリ又はそれらの組み合わせは、前記熱発生熱放射装置からのIR放射の流れのための直接経路を除去し、それによって、各第1ハウジングパネルの前記外面上に最高所定表面温度を維持しつつ、前記熱発生熱放射装置からの熱損失を所定程度防止する。
【0012】
上記第1ハウジングの前記断熱アセンブリは、公知の断熱ハウジングが受けうるいくつかの技術的問題、すなわち、それらの断熱構造がRI放射ベクトルの直接的で遮られることのない流れを許す単数または複数の直線経路を提供することによる包囲された熱発生熱放射装置からの比較的急速な熱損失、に対して有効に対処する。ここに記載の断熱アセンブリの断熱アセンブリ特性のユニークな構成によって効果的に解消される第2の技術的問題は、オプションの、第2の又は外側のハウジングのすべての外面において比較的低温の接触状態を維持する能力にあり、これによって、長期にわたる連続運転中又はその後においても、例えばフィールド輸送(もちろん、これは包囲された熱発生熱放射装置がポータブルであることを前提としている)を含む、安全な取り扱いが可能となる。ここに記載の前記第1ハウジングをライニングする前記断熱アセンブリ又はそれらアセンブリの組み合わせは、第1の、断熱ハウジング及び包囲された熱発生熱放射装置、即ちIR放射装置、のある組み合わせに対する所定の使用を満たす断熱能力を提供するために丁度必要な量の断熱材料を使用することを可能にするので、これらの断熱アセンブリは、コスト的に有利に製造することが可能である。
【0013】
前記断熱アセンブリ内の個々の断熱部材のユニークなインターロック構成は、断熱アセンブリ、それ自身および前記第1ハウジングの内部パネルの両方の、保持のために追加の機械的な固定構造を必要とする問題を解決する。自立支持構造を備え、機械的固定構造の必要性を除去することによって、装置の携帯性を改善しつつ、全体の重量及び追加コストが低減される。
【0014】
前記熱発生熱放射装置が統合マルチ筒状気体燃料部分酸化(CPOX)改質器及びマルチ筒状固体酸化物燃料電池(SOFC)及びアフターバーナシステム(「断熱システム」)であるここに開示の前記断熱ハウジングの実施例において、そのシステムは、高温のアフターバーナ排ガスを、以後に説明するように、そうでなければその排ガスカウルの不在においては断熱システム内において発生する内部ガス流バイアスから生じるベルヌーイ作用を低減又は軽減するように向きを変える排ガスカウルハウジングを備える。
【0015】
下記の図面は、例示目的のみのものであることが銘記されなければならない。これらの図面は、必ずしも縮尺通りではなく、全体的に、本発明の教示の原理を説明することに重点が置かれている。これらの図面は、いかなる点においても本発明の教示の範囲を限定することを意図するものではない。類似の数字は一般に類似のパーツを指す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本教示による断熱第1ハウジングとオプションの第2ハウジングとの一実施例の長手方向斜視図であり、第2ハウジングの上方、下方及び側方パネルは、実質的に完全に包囲された断熱第1ハウジングと、その実質的に完全に包囲された熱発生熱放射装置、具体的には、図7A-7Dの統合マルチ筒状気体燃料部分酸化(CPOX)改質器およびマルチ筒状固体酸化物燃料電池(SOFC)及びアフターバーナシステム400を図示するために除去されている。
図1B図7A-7Dの断熱統合CPOX改質-SOFC及びアフターバーナシステム400の一部分の半断面長手図を示し、前記断熱第1ハウジング内で包囲されたここに開示の図2に図示のタイプ200-1ないし200-4の断熱アセンブリの配置を示した図である。
図1C図1Aの統合CPOX改質器およびアフターバーナシステム400と排ガスカウル500の内部構造詳細の半断面長手図である。
図1D】高温アフターバーナは排ガスの経路を変化させるべく協働する部材の内部構造詳細を示すべくその上側が除去された、排ガスカウル500の内部構造(図1Aと1Cに図示)の平面図である。
図1E】高温アフターバーナ排ガス流の経路の向きを変えるための外部構造部材の平面図である。
図2】個別的に、又は、他のものと組み合わせで、断熱第1ハウジングの内壁をライニングする耐火断熱アセンブリの構造に使用されるのに適した市販の耐火断熱構造の受け取ったままのボード平面の倍率400の走査式電子顕微鏡によって撮られた顕微鏡写真である。
図3図2に図示のもののいずれか等のこの材料のボードからカットされた正確に寸法設定された耐火断熱セクションの複数の実施例を示した図である。
図4A】断熱第1ハウジング100の隣接する壁パネルの内面に付着された、レイヤー状、又は層状の、耐火断熱ライニングアセンブリの製造方法に使用される工程のシーケンスの一実施例の斜視図である。
図4B】断熱第1ハウジング100の隣接する壁パネルの内面に付着された、レイヤー状、又は層状の、耐火断熱ライニングアセンブリの製造方法に使用される工程のシーケンスの一実施例の斜視図である。
図4C】断熱第1ハウジング100の隣接する壁パネルの内面に付着された、レイヤー状、又は層状の、耐火断熱ライニングアセンブリの製造方法に使用される工程のシーケンスの一実施例の斜視図である。
図4D】断熱第1ハウジング100の隣接する壁パネルの内面に付着された、レイヤー状、又は層状の、耐火断熱ライニングアセンブリの製造方法に使用される工程のシーケンスの一実施例の斜視図である。
図4E】断熱第1ハウジング100の隣接する壁パネルの内面に付着された、レイヤー状、又は層状の、耐火断熱ライニングアセンブリの製造方法に使用される工程のシーケンスの一実施例の斜視図である。
図4F】断熱第1ハウジング100の隣接する壁パネルの内面に付着された、レイヤー状、又は層状の、耐火断熱ライニングアセンブリの製造方法に使用される工程のシーケンスの一実施例の斜視図である。
図5A】それぞれ、図4Eと4Fに図示の断熱アセンブリの、一部断面図と平面図である。
図5B】それぞれ、図4Eと4Fに図示の断熱アセンブリの、一部断面図と平面図である。
図5C】断熱第1ハウジング及びはSOFCユニットの一端部の完全断面図である。
図6A】耐火断熱ライニングの構造の斜視図を示し、ここで、図3A-3C及び3Dに図示のように寸法設定され構成された耐火断熱セクションのボードが図示の方法で単純なラップジョイントによって互いに接続され、それによって、図7A-7Dの統合CPOX-SOFCシステム400から逃げ出す熱によって作り出されるオプションの第2ハウジング200の外面の過度な高温からの、IR放射の流れ、従って、熱損失、を促進する曲がりくねった経路ではなく、直接的な経路を提供している。
図6B】本教示による断熱第1ハウジングの一実施例の平面図を示し、ここで、ハウジングパネルの内面は図2に図示されているもののような重ねられた耐火断熱材料の多重層によってライニングされ、これらの層は、図7C及び7Dに図示されているように互いに対して段状に構成され、これによって、IR放射の直接流が除去され、したがって、包囲された熱発生熱放射装置によって作り出される熱をより良好に保存し、オプションの第2ハウジングパネルの外面が不快で潜在的に危険な温度レベルに達することを防止する。
図7A】熱発生熱放射装置、具体的には、本教示による、断熱統合気体燃料マルチ筒状CPOX改質器マルチ筒状固体酸化物燃料電池(SOFC)と組み合わせのアフターバーナシステムの公知の実施例(ここにその開示全体を参照のために合体させる同じ譲渡人の米国特許第9,627,699号)の一実施例の長手方向断面図である。
図7B図7Aに図示の前記統合気体燃料CPOX改質器-燃料電池システムの気体燃料CPOX改質器部分の側方(長手軸心に対して垂直)断面図である。
図7C図7Aに図示の統合液体燃料CPOX改質器-燃料電池システムの気体燃料CPOX改質器部分の一部の平面断面図である。
図7D図7Aに図示の前記統合気体燃料CPOX改質器-SOFCシステムの、断熱発熱保温チャンバ、イグナイタ、筒状CPOX反応器チューブのCPOX反応ゾーン、の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
ここに開示の本教示は、“include”,“includes”,“including”,“have”,“has”,“having”,“contain”,“contains”,又は“containing”及びそれらの文法的均等物の使用に限定されるものではなく、一般的に開放端部として、非限定的に解釈されなければならず、特に銘記されない限り、たとえは、追加の記載されていない要素又は工程、を除外するものではない。
【0018】
ここでの単数形の使用、例えば、“a”,“an”及び“the”は、特に銘記されない限りその複数も含む(その逆も真)。
【0019】
数値の前に用語“about(約)”が使用される場合、本教示は、特に銘記されない限り、その具体的数値自身をも含む。ここでの使用において、用語“about”は、特に銘記されない限り、その数値からの±10%のバリエーションを含む。
【0020】
いくつかのアクションを実行する順序又は順番は、本教示が実施可能である限りにおいて重要ではない。例えば、ここに記載の方法は、特に銘記されないかぎり、或いは、特にそのコンテクストからはっきりと矛盾しない限りにおいて、すべての任意の順序で行うことが可能である。更に、二つ以上の工程又はアクションを同時に行うことも可能である。
【0021】
本明細書の様々な箇所において、値は、グループ又は範囲で開示される。特に、ここに開示の値の範囲には、その範囲又はその副範囲内のおのおののすべての値を含む。例えば、0から40の範囲の数値は、0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39及び40と、それらの任意の副範囲、例えば、0から20、10から30、20から40、等を含む。
【0022】
ここに提供される任意のすべての実施例又は例示的文言、例えば、「等」、の使用は、単に本教示をよりよく例示することを意図するものであって、特に銘記されない限り本発明の範囲に対する限定を提示するものではない。本明細書におけるいなかる文言も、本教示の実施のために必須のクレームされていない要素を示すものと解釈されてはならない。
【0023】
「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」、「水平」、「垂直」等の空間向き、又は姿勢を示す用語及び表現は、特に銘記されない限り、いかなる構造的、機能的又は作動的重要性を有するものと解釈されてはならず、単に、添付の図面のうちのいくつかに図示されている本教示の気体燃料CPOX改質器の種々の図の任意に選択された向きを示すものに過ぎない。
【0024】
用語「セラミック」は、その当該技術において認められている意味に加えて、ガラス、ガラスセラミック、およびセメント(すなわち、セラミック金属複合材)を含むものと解釈されなければならない。
【0025】
「断熱シート」という表現と「断熱ボード」という表現はここでは相互交換可能に使用される。
【0026】
ここで使用される「熱発生」という表現は「IR発生」と本質的に同義であり、同様に、「熱放射」という表現は、ここでは「IR放射」と本質的に同義なものと解釈されなければならない。
【0027】
表現「気体透過性」は、ここでのCPOX反応器ユニットの壁に適用される場合、気体CPOX反応混合物と、限定無く、前記気体CPOX反応混合物の気体改質可能燃料成分と前記生成物改質物の水素成分を含む気体生成物改質物とに対して透過性を有する壁構造を意味するものとして解釈されなければならない。
【0028】
表現「気体改質可能燃料」は、STP条件で気体である改質可能炭素及び水素含有燃料、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジメチルエーテル、それらの混合物、例えば、主としてメタンである天然ガス又は液化天然ガス(LNG)、そして、主にプロパン又はブタンであるが、主としてプロパンとブタンから成るすべての混合物を含むである石油ガス又は液化石油ガス(LPG)、等、であり、改質されると、水素リッチ改質物に変換されるもの、を含むものであると解釈されなければならない。
【0029】
表現「液体改質可能燃料」は、標準温度及び圧力(STP)条件下で液体である改質可能炭素及び水素含有燃料、例えば改質されて水素リッチ改質物に変換されるメタノール、エタノール、ナフサ、留出物、ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル、バイオディーゼル、等、を含むものと解釈されなければならない。表現「液体改質可能燃料」は、更に、それらが液体状態であっても、気体状態、即ち蒸気であってもよいそのような燃料を含むものと解釈されなければならない。
【0030】
表現「CPOX反応」は、触媒部分酸化改質又は、改質可能燃料から水素リッチ改質物への変換中に起こる反応(単数または複数)を含むものと解釈されなければならない。
【0031】
表現「気体CPOX反応混合物」は、気体改質可能燃料及び酸素含有気体、例えば、空気、を含む混合物をいう。ここでの使用において、気体CPOX反応混合物は、気体改質可能燃料と酸素含有気体、例えば空気を含む、又は、から実質的になる、又は、から成る。本教示の前記CPOX反応混合物は、蒸気状態の液体改質可能燃料、例えば気化ディーゼル、又は、気体液体改質可能燃料、再び、例えば気化ディーゼル、を含む。
【0032】
前記表現「開放気体流通路」は、それ全体を通してガスの通過のための、多孔質固体又は材料を含む固体が、その導管又は通路の全断面に渡って不在である、即ち多孔質固体を含み固体が存在しない、導管又は通路を指す。例えば、CPOX反応器ユニットの場合、モノリス等の多孔性触媒を含むCPOX触媒は、筒状CPOX反応器ユニットの長手軸心に対して垂直な内部断面全体に渡って存在することができない。そのような構造は、多孔性触媒で充填された通路と区別される。開放気体流通路も、中空ボア、又は、その長手軸心に沿って中空ボアを形成する筒状基材、を形成するチューブとして形成可能なCPOX反応器ユニット内に存在しうる。これら実施例の説明において、前記中空ボアは、開放気体流通路と見なすことができる。開放気体流通路は、通常、CPOX反応器ユニットの長手軸心に沿って延出することができるが、本教示によって、曲がりくねった導管又は通路も考えられ、それは、その曲がりくねった導管又は通路が前記CPOX反応器ユニットの断面に渡って固体を有さないものとすることを条件として、開放気体流路を備えうる。又、開放気体流通路の断面寸法(単数または複数)は、その長手軸心に沿って、又は、前記曲がりくねった導管又は通路に沿って、可変とすること可能であると、理解されなければならない。
【0033】
燃料の圧力を前記改質器への導入に適したものへと低減するレギュレータ、又は、その他のガスメーターユニットを備える例えば、加圧タンク内の昇圧。気体燃料が大気圧又は、穏やかな昇圧状態で保存される場合、インペラポンプ又はその他の気体駆動装置を利用して、前記気体燃料の圧力を改質器の運転に適したレベルにまで高めることができる。
【0034】
本教示による断熱気体燃料CPOX改質器は、単数または複数の改質器運転をモニタし制御するための単数または複数のセンサアセンブリを備えることができる。センサアセンブリの具体例は、流量計、熱電対、サーミスタ、抵抗温度検出器が含まれる。本教示の気体燃料CPOX改質器は、更に、改質器の運転を、その起動、定常状態、および/または、停止モード、において自動化するためのコントロールシステムを備えることができる。前記コントロールシステムは、コントローラと通信する複数のセンサアセンブリを備えることができる。
【0035】
前記表現「高温アフターバーナ燃料ガス」及び「高温アフターバーナ排ガス」等の表現は、実質的に同義と見なされる。
【0036】
図1Aを参照すると、例えばシートメタルから形成される断熱第1ハウジング110は、例えば、統合断熱CPOX改質器-SOFCシステム400(これはシステムのアフターバーナユニット400cを含む)(図7Aに詳細に図示され、その拡大された一部が図7Bに図示されている)によって代表される、熱発生熱放射装置を完全に包囲する。前述したように、本発明の原理により有効に断熱することが可能なその他の熱発生熱放射装置は、内燃エンジン、ボイラ、オーブン、窯、及び炉、等を含む。図1Aは、又、前記断熱第1ハウジング100を、その完全に包囲されたCPOX改質器及びSOFCシステム400と共に完全に包囲する第2の通常の非断熱第2ハウジング200も図示している。一般に、オプションの第2ハウジング200を含むパネルの内面に、第1断熱ハウジング100と同様に断熱ライニングを備えることによって大きな利益を得ることは出来ないが、ここでは、特定のケースにおいて、IR放射の直接流を除外する単数または複数の断熱アセンブリから構成されたそのような断熱構造を設けることが可能であると理解される。図1Aに図示の第2ハウジング200の実施例において、第2ハウジングは、システム希釈空気ファン240によって分離された高温ゾーン220に分割され、低温ゾーン230高温ゾーン220は、バランスオブプラント(BOP)コンパートメントを形成するシートメタルファイアウォール250から分離されているものと理解される。高温ゾーン220はブロワユニット240と、統合CPOX改質器およびSOFCスタック....を、図1B及び7A-7Dのそのアフターバーナユニット400と共に包囲するのに少なくとも十分な容積を有する。
【0037】
その包囲された統合CPOX改質器およびSOFCシステム400を備える断熱第1ハウジング100は、有利には、ファイアウォール250に接続された支持脚260によってファイアウォール250の上方に持ち上げられている。
【0038】
その耐火断熱構造とは別に、前記断熱第1ハウジング100、および、オプションとしての、第2ハウジング200の構造の材料は、特に重要ではなく、機械、電子装置、等を構築するために使用される、任意の従来又はその他公知の材料から製造することができる。例えば、スチール、チタン、アルミニウム、それらの合金、又は、他の金属の合金、等のシートメタルを、前記第1及びオプションの第2ハウジングの両方の製造材料として有利に使用することができる。適度の高温に長期に晒された後においても、寸法及び機械的安定性を維持することが可能なポリマー材料を使用することができる。両ハウジングは、その結果得られるハウジングが、特定の寸法の断熱熱発生熱放射装置を実質的に完全に包囲するのに十分な内部容量を有することを条件として、例えば、平面視で、四角形や矩形(図示されているような)などの正多角形、或いは、例えば円形又は卵形底部の曲線を備える、様々な幾何学形状のものとすることができる。前記両ハウジングが恒久的にはシールされないことか特に好適である。したがって、前記第1および/または第2ハウジングの少なくとも一つのパネルが、前記装置の必要な又は望ましい検査又はサービスがより容易に達成可能であるように、包囲された熱発生熱放射装置への簡便なアクセスが可能となるように、取り外し可能又はヒンジ止めされていることが有利である。
【0039】
図1A,1C,1D及び1Eに図示されているように、高温アフターバーナ高温排ガスカウル500は、それぞれ前面と後面503,504、それぞれ側面505と506、および、それぞれ底プレート507bと対向する上面507aを有する。例えばシートメタルから作られるガス流偏向プレート501,502、スペーサ部材514を含むファスナ513によって前記排ガスカウル500の前記面505及び506に固定され、それぞれ、アフターバーナ排ガス流通路516,517を提供している(図1D及び1Eに図示されているように)。排ガスカウル500は、ファスナ、例えば、ベースプレート507bから延出しているそれらの延出部材510a,510bのそれぞれに位置するリベットや溶接、によって第1ハウジング100に固定されている。
【0040】
図1D及び1に図示されていように、排気カウル500の上面507aは、ベースプレート507bに形成された高温アフターバーナ排ガススロット508と、その側面505及び506が、複数の類似形状のルーバー付きアフターバーナ排ガスベント522bを備える、排気カウル500の上面507a上の複数のルーバー付き排ガスベント523を有する。リベット又は溶接によって、ベースプレート507bに取り付けられたアングル偏向バッフル522によって、排ガススロット508を通って排出された高温アフターバーナ排ガスの流れを偏向する。アフターバーナ排ガススロット508とルーバー付き排ガスベント523とを通って排出された前記偏向アフターバーナ排ガスの流路が、図1D及び1Eにおいて破線と矢印とによって示されているように、アフターバーナ排ガスバッフル522によって偏向される。
【0041】
アフターバーナ排ガススロット508、ルーバー付きベント523、バッフル522及びガス偏向プレート501,502の上述したその構成を備える高温アフターバーナ排ガスカウル500を有する断熱統合改質器SOFCスタックシステム400が、不要なベルヌーイ作用によるシステム希釈ファン211によって引き起こされる傾向がある内部ガス流バイアスを最小化するために設けられる。前記ベルヌーイ作用は、より高速の希釈空気が前記SOFC高温アフターバーナルーバー付きベント522a,522b,522cを横切って垂直に通過する時に起こる。これによって、システム400の内圧が低下し、その結果、前記統合改質器-SOFCシステム400とアフターバーナ400c内での反応物流の流速が増加する。上述した内部ガス流バイアスは、システム希釈ファン211によって駆動された時に、システム400を非特異的角度で通過する、前記システム希釈空気のピッチによって、システム400内で引き起こされる。この角度を有する流れによって、他方との比較においてシステム400の片側でのより低い圧力および/または高い反応物速度が生じる。前記内部ガス流バイアスによって、SOFCセクションの低い圧力の部分において反応物流の滞留時間が短くなることにより、システム400が望ましくない条件で作動する可能性がある。そのようなガス流バイアスによって、前記SOFCセクション全体の内部における個々のSOFC反応器ユニットの過剰利用によるシステム400に対する不可逆的なダメージが生じうる。個々のSOFC反応器ユニットのそのような過剰利用は、公知の劣化運転状態であって、これはSOFC部分の潜在的構造的故障をもたらす。排ガスカウル500は、アフターバーナユニット400cの外側に、高温排ガスがシステム希釈空気と混合される前に冷却および収縮することを可能にする開放チャンバ511を作り出すことによって、そのようなガス流バイアスを大きく緩和する。そのような開放チャンバ511は、前記高温アフターバーナ排ガス通路の長さを増大させ、それによって緩衝ゾーン512を作り出すように機能する。前記緩衝ゾーン512は、背圧流通を制限し、それによって、システム400全体を通して均一な反応物流および/または運転圧を維持することを助け、これによって、過剰利用運転状態が作り出される可能性が阻止又は低減される。排気カウル500内のベースプレート507b上に配置されたアングルバッフル522は、その内部において高温アフターバーナ排ガスを拡散させる。高温アフターバーナ排ガスのこの偏向は、排ガスから前記排ガスカウル本体を通る周囲のシステム低温希釈空気への熱伝達に役立つ。そのような冷却中には体積変化が起こるので、排ガスがシステム希釈空気との混合の前に可能な限り冷却されることが重要である。もしも、排ガスがそのアフターバーナ400cからの励起温度でシステム希釈空気(これはほぼ室温である)と混合するならば、それから生じる急速な冷却によって、排ガスに急速な体積変化が生じ、システム400の急速な圧力変化も生じる。システム希釈空気との混合前に排ガスカウル500を介して排ガスを冷却することによって、急速な圧力変化が緩和される。前記排ガスカウルは、又、システム希釈空気を排ガスカウル500内及びその上面を介して導くことに役立つ二つのガス流偏向プレート501及び502を備えて構築されている。これら偏向プレート501及び502は、排ガスカウル500を、従って、その内部に存在するアフターバーナ排ガスを、より効率的に冷却するための熱伝達フィンとして機能する。その後、冷却された排ガスは、排ガスカウル500の外面505及び506に配置された複数のルーバー付きベント522a及び522bを通って排ガスカウル500から出て、ここで、類似の温度のシステム希釈空気と混合される。
【0042】
図2A-2Dは、特に、その内部に断熱アセンブリを構築するのに有用な、4つの具体的タイプの耐火断熱シート、又はボードに特徴的な耐火繊維および耐火粒子のインターロック係合を図示する顕微鏡写真である。
【0043】
これらの4つの具体的タイプの耐火断熱構造の詳細は以下の通りである。
【0044】
断熱シートタイプ
【0045】
断熱材タイプ1 商品名:Thinsheet 1000R 供給業者:Promat Inc.(図2Aの270a)。
【0046】
高純度高温レート(1000℃のピーク温度評定)微孔性断熱ボード:フィラメント強化発熱性シリカのブレンド、厚み3mm+/-0.5mm、長さと幅は「最終使用目的に依存」。
【0047】
断熱材タイプ2 商品名:Thinsheet 1200A 供給業者:Promat Inc.(図2Bの270b)。
【0048】
97%高純度アルミナ断熱ボード:ピーク運転温度1200℃(厚み3mm/±0.5mm(98重量%よりも多いアルミナと2重量%未満のシリカ)長さと幅は最終使用目的に依存。
【0049】
断熱材タイプ3 商品名:T-Cast AA45 供給業者:Unifrax(図2Cの270c)
【0050】
高純度アルミナ断熱ボード(98重量%よりも多いアルミナと2重量%よりも少ないシリカ):ピーク運転温度1650℃、厚み5mm/±0.5mm:長さと幅は最終使用目的に依存。
【0051】
断熱材タイプ4 商品名:RS-3000 Felt 供給業者:ZIRCAR Refractory Composites, Inc.(図2Dの270d)。
【0052】
97%高純度アルミナファイバ(3重量%未満のシリカ)、微量要素1重量%未満。このセラミックフエルトは、繊維が有機バインダで保持された強力でフレキシブルな材料であって、3mm(1/8インチ)及び1mm(1/32インチ)の受け取り(as-received)厚みで1650℃の温度定格を有する。
【0053】
次に、図3A-3Hを参照すると、図2A-2Dに記載の4つのタイプの断熱構造270a-270dの単数または複数のボードからの具体的寸法及び構成300の個々の断熱セクションの切り取りが浅い斜視図で概略図示されている。これらの正確にカットされ構成されたセクションを作り出すために、任意の従来又はその他公知の切断装置を使用することができる。例えば、ダイ切断又はウォータージェット切断装置を使用して切断を達成することができる。但し、前記断熱セクションは、Trotec Speedy300二酸化炭素レーザ又は類似の能力の他のレーザ切断装置などのレーザ切断装置によって断熱ボードからカットされることが好ましい。レーザ切断は、非常に良好に規定された切断線と、おそらくより重要なこととして、それによって得られる非常にクリーンな切断エッジに沿った、ファイバ及び粒子の熱シール又は溶融融着、の利点を有する。又、このことによって、が所望の断熱アセンブリ構成を形成するために、個々にカットされた断熱セクションの非常に正確および正確な配置および組み立てが可能となる。前記タブ及びスロットの機能について、図4A-4Fに概略図示されている耐火断熱アセンブリステップの説明との関連で以下に説明する。
【0054】
次に、本発明の教示による断熱第1ハウジングを提供するための耐火断熱ライニングの一実施例を組み立てるための図4A-4Fに概略図示されている工程の順序を参照すると、耐火断熱セクションが、この目的のための公知で市販の、種々の適当な耐火接着又はセメント剤、例えば商品名:Resbond 940 供給業者:Cotronics、を使用して、図1の断熱第1ハウジングの一つの面を含む前記4つのパネルのうちの一つの内面に接着されている。更に、図3A-3Hに図示の断熱セクションの切断から残されたスクラップ
から耐火接着剤またはセメントを準備し、これらスクラップを粉砕し、得られた粉体をバインダ、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニールアルコール(PVA)、グリセロール、及び、エタノール、イソプロピルアルコール又はアセトン等の流体キャリア、と組み合わせてスプレッド可能な耐火接着ペーストを形成することも本発明の範囲内である。当業者によって認識されているように、耐火粉体、選択されるバインダ及び選択される流体媒体キャリアの重量特性は大幅に変化可能であって、それらの最適量は、ルーチン実験テスト、例えば1:3重量,PEG:1000R(粉砕)等によって容易に測定される。第1又はオプションの第2ハウジングパネルの内面に対する断熱セクションの確実な接着を得るために利用される耐火接着ペーストの最適重量、例えば1~5グラム、或いは、下にある断熱セクション、例えば1~5g、は、ルーチン実験テストを使用して特定の断熱アセンブリに対して当業者によって容易に決定することが可能である。
【0055】
次に図4Aを参照すると、断熱セクションが、断熱すべき第1ハウジングの4つの側方パネルの一つの内面に接着によって固定されている。セクションが確実に位置固定されると、断熱セクションが、そのセクションのタブが図4Bに結果が示されているセクションのスロット内に正確に取り付けられた状態で、前記第1ハウジングの隣接する内壁の表面に接着され、これによって、別体の機械的ファスナの必要性無く、前記二つの断熱セクションの機械的結合が固定される。図4Cに図示されているように、図7A及び7Bに図示されているアセンブリ工程を、断熱セクションを接着取り付けすることによって実質的に繰り返して、図4Dに図示の断熱セクションの段状構成(端部から見て)を提供する。これらのアセンブリ工程に引き続き、そして、図4Eに図示されているように、断熱セクションが図示の配置が得られるように接着によって設置され、断熱アセンブリの断面端部及び平面図がそれぞれ図5A及び5Bに図示され、そのハウジングの完全な断熱ライニングが図5Cの平面図に図示されている。前記オプションの第2ハウジング200において断熱ライニングを設置することが望まれる場合には、そのようなライニングを、断熱第1ハウジングと同じように、又、図4A-4Fに概略図示したようにして構成することが好ましいかもしれない。但し、第1断熱ハウジング100の場合のような曲がりくねった通路構成を達成することは通常必須ではないので、このオプションの断熱ライニングのためにはより単純な構築方法を利用することが好ましいかもしれない。
【0056】
又、前記熱発生熱放射装置に面する断熱アセンブリ又はそのようなアセンブリの組み合わせの表面に追加の熱反射層を適用し、それが少なくとも一つのアルミニウムやマイラ(mylar)等の熱反射コーティングフィルム又は層を備えるようにすることも考えられる。
【0057】
図6は、公知のタイプの断熱ハウジングとその包囲された熱発生熱放射装置との平面図を示している。断熱ライニングは、個々の断熱セクションを接続するために、但し、図6Bの平面図に図示の断熱ハウジングライニングの構成に使用される断熱セクションのタブと対応のスロット無しで、単純なラップジョイントを使用して、図2に図示のいずれか等の断熱ボードから組み立てられる。これらのタブとそれらの受け入れスロットとは、いくつかの重要で有利な機能を果たす。その一つとして、それらは、それらの長手軸心に沿って互いに接続されるべき断熱セクションの正確なプレースメントと正確なアラインメントとを容易にする。もう一つの点として、前記スロットは、それらの対応のスロットに取り付けられた時に、隣接する断熱セクション間の接続部分が、統合CPOX-SOFCシステム400等の包囲された熱発生熱放射装置の潜在的に急速なオン・オフサイクルを反映する変化する温度レジメ全体を通じて、より強力かつより高い機械的安定性を有する構造となる。
【0058】
図6に図示されているように、放射IRベクトルが、前記ハウジングの断熱ライニングを含む断熱セクションの隣接する端部から形成されるコーナーに向けられている。これらのIRベクトルは、そこで、それらが前記ハウジングの壁パネルに当たりこれらを通過する、断熱アセンブリの隣接端部によって形成される直接経路に沿って移動している状態が図示されている。断熱ライニングを通過するこれらの直接経路によって、熱発生熱放射装置からの放射熱は、放射IRベクトルがハウジングから抜け出ることが出来る前に曲がりくねった経路に従わなければならない図6Aの断熱ライニングの構造と対象的に、図6Bに図示の組付けられた断熱セクションの隣接端部からよりも、それからより迅速かつより容易に失われ、その結果、熱発生熱放射装置からの熱損失が遥かに少なくなる。
【0059】
ここでの前記包囲された熱発生熱放射装置の代表は、図7Aの断熱統合気体燃料CPOX改質器およびSOFCスタック400である。図7Aに図示されているように、通常は環境温度の、酸素含有気体としての空気が、導管404の入口403を通して遠心分離ブロアシステム402を介してプリセットされた質量流速率で導入される。燃料ライン441と燃料入口442とを介して導管404にプロパンガスが導入される。前記プロパンと空気とは、導管404の混合ゾーン420において混合を開始し、気体CPOX反応混合物を提供する。任意の種類のミキサ、例えば、混合ゾーン420内に配設されたスタティクミキサー、および/または、導管404の螺旋溝付き内壁面とを設けて、それらが無い場合に混合ゾーン420において形成されるであろうものよりも、より組成均一性の高い気体CPOX反応混合物を提供することができる。
【0060】
前記オプションのスタティクミキサーを通過する、および/または、混合ゾーン420内に配置された螺旋溝と接触した後、気体CPOX反応混合物は出口425を通って導管404から出て、筒状CPOX反応器ユニット408への又はその内部の前記反応混合物のより均一な分布を提供するように構成されたマニホールド426のガスディストリビュータ427に入る。そのような構成又は本教示内のその他の構成によって、任意の二つのCPOX反応器ユニット内の気体CPOX反応混合物の流速の差が、約20パーセント未満、例えば、約10パーセント未満、又は、約5パーセント未満、である気体CPOX反応混合物の分布を提供することができる。
【0061】
図7Aを参照すると、関連の筒状CPOX反応器ユニット408との組み合わせで前記マニホールド426は、その内部において、気体CPOX反応混合物(気体)ディストリビュータ427が、導管404の出口425に接続されているマニホールドチャンバ429を形成するマニホールドハウジング、又はエンクロージャ428を有する。出口425を通って導管404から出た気体CPOX反応混合物は、その後、前記ガスディストリビュータの底部又は下方部分に位置する開口(例えば、穴やスロット)430を外側に通過してガスディストリビュータ427に入り、ガスはその後、前記ディストリビュータの外面の回りからその頂部又は上方部分へと流れ、そこから、筒状CPOX反応器ユニット408の入口431に入る。それが開口430を通過して入口431に入る前記気体CPOX反応混合物の経路が図7Bに図示されている。
【0062】
気体CPOX反応混合物のCPOX反応器ユニットへのより均質な分布を促進するその機能を達成するためのマニホールド426の構成の最適化に関連しうるいくつかの具体的要因は、そのハウジング428の構成、そのチャンバ429の容量、その開口430の数、構成及び配置を含むガスディストリビュータ427の寸法を含む。そして、これらの要因は、導管内の気体CPOX反応混合物の標的流速率、CPOX反応器ユニット408の数と構成、CPOX反応器ユニット408の入口431の形状及び寸法、およびそれらに類似の考慮事項、などの改質器の設計および操作上の要因に依存する。本教示による特定の気体燃料CPOX改質器に関する最適な燃料-空気分布パフォーマンスのマニホールドは、ルーチンテスト方法を用いて当業者によって容易に構築可能である。
【0063】
CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンが、反応器ユニットの長さと実質的に同一の広がりを持つ場合、マニホールドハウジング428は、CPOX改質において典型的な高温においても熱的及び機械的安定性を維持する材料から製造することができる。これらの実施例において、カーボンファイバーおよび/またはグラスファイバー強化セラミックス等の耐火複合材を含む種々の耐火材が、前記マニホールドハウジングを製造するために好適である。構築の好適な材料は、種々の既知のタイプのアルミナ、再結晶アルミナ、アルミノケイ酸塩、窒化ホウ素、ガラス-セラミック、酸化マグネシウム、硫酸ジルコニウム、等の高密度セラミックス、ニッケル-クロムベース超合金、ハステロイ超合金、等の金属を含む。但し、これら及びその他の耐火材料は、比較的高コストである傾向があり、特に、比較的複雑な構造を有する製品を製造する場合においては、取り扱いが困難でもありうる。
【0064】
POX反応器ユニット408の気体透過性壁は、その長さに沿って、実質的にCPOX触媒が無い、その燃料-空気混合物入口431からスタートする第1又は上流側領域と、第1領域の最後から始まり、触媒的有効量のCPOX触媒を含む、前記反応器ユニットの製品改質物排出出口で終端するか近接する第2の、又は下流側の領域とに分割されている。図7AのCPOX改質器400の定常状態運転中、この実施例のCPOX反応器ユニット408は、高温CPOX反応ゾーン409を、主にそれらの第2領域に限定し、それらの実質的にCPOX触媒が無い第1領域が遥かに低い温度、例えば、周囲温度から約350℃までの範囲に、特に、CPOX反応器ユニット408の燃料-空気混合物入口431とマニホールドハウジング428との結合部において、留まらせる。
【0065】
その温度が多くの熱可塑性樹脂の溶解温度よりも低く、多くの熱硬化性樹脂の熱劣化温度未満である、CPOX触媒フリー壁セクションゾーンの前記低い温度によって、マニホールドハウジング428の製造のために複数のファミリの熱可塑性及び熱硬化性樹脂のいずれかを利用することが実用的かつ有利となる。マニホールドハウジングの製造のために使用可能な熱可塑性及び熱硬化性樹脂の具体的タイプは、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリアリルエーテルケトン(PAEK)、フェノールホルムアルデヒド樹脂等を含む。これら及びその他の熱安定性樹脂は、それらの比較的低い材料コストに加えて、低コスト製造手順を使用して複雑な形状へと容易に成形可能であるという追加の利点を有する。
【0066】
図7Aを参照すると、マニホールド426から、気体CPOX反応混合物がCPOX反応器ユニット408の入口431に入り、更にCPOX反応ゾーン409に入って、そこで、その反応混合物は、気相CPOX反応を受けて、水素リッチ一酸化炭素含有改質物を提供する。前記起動モードにおいて、単数または複数のイグナイタ(点火装置)435がCPOXを開始する。CPOXが自立的(self-sustaining)になると、例えば前記反応ゾーンの温度が約250℃ないし約1100℃に達した時に、現在の自立CPOX反応を維持するためにもはや外部点火は必要でないので、前記イグナイタを閉じることができる。例えば微孔性又はアルミナベースの耐火タイプの、断熱構造410が、これらコンポーネントからの熱損失を低減するべく前記CPOX改質器のそれらの部分を包囲している。
【0067】
図7A-7Dは、二つのイグナイタ435(各列に一つ)を使用して改質器400の運転の前記起動モード中にチャンバ436内のCPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409内でCPOX反応を開始する本教示の実施例を図示している。図7C及び7Dに図示されているように、CPOX反応器ユニット408が、二つの別々の2x7の平行な列に配置され、各列は、チャンバ436内に配設され、列の一方は導管404の片面の側方に位置し、他方の列は導管404の他方の面の側方に位置している。列の周囲がチャンバ436の開放空間438と断熱構造410との間の境界をマーキングしている。それらのCPOX反応ゾーン409の少なくとも一部に対応するCPOX反応器ユニット408の壁の外面437が、開放空間438内に露出している。もしも水素バリアが存在するならば、その水素バリアは、CPOX反応器ユニットの露出した外面でありうる。電気抵抗型、例えば、10ないし80ワット又はそれ以上の定格のイグナイタ435がチャンバ436の両側端部に配設され、そこで、それらの放射熱発生素子439が、CPOX反応器ユニット408の外面437の近傍で、但し、それらから物理的に分離された状態で、配設されている。CPOX反応ゾーン409の温度をモニタし、図3Aに図示の制御システム300との関連で記載した改質器制御入力を提供するために、チャンバ436のイグナイタ435と反対側の端部に熱電対440が配設されている。イグナイタの作動によって、放射熱が単数または複数の近傍のCPOX反応器ユニットの壁へと、そしてこれらの壁を通して伝達され、これによって、CPOXが、これら反応器ユニット(単数または複数の)のCPOX反応ゾーン内で開始される。その後、これら近傍CPOX反応器ユニットの前記CPOX反応ゾーン(単数または複数の)から放出される熱放射によって、図7Cに波矢印によって図示されているように前記列内の残りのCPOX反応器ユニットの反応ゾーン内でCPOXを開始することができる。
【0068】
CPOX反応器ユニット408との直接的接触を回避する単数又はせいぜい数個のイグナイタを設けることによって、各CPOX反応器ユニットがそれ自身の物理的に取り付けられた又は統合されたイグナイタを備えるCPOXイグナイタシステムに対していくつかの利点が提供される。後者の点火システムの使用も本教示によって考えられるが、動作不能なイグナイタを同定することが厄介である可能性があり、それがその一部であるCPOX反応器ユニットにダメージを与えることなく、および/または、列内の他の反応器ユニットを邪魔することなく、それを取り外しおよび交換することは困難でありうる。したがって、CPOX反応器ユニットの列又は複数内に適切に配置された単数又は少数のイグナイタしか存在しないことにより、故障した又は欠陥のあるイグナイタのCPOX改質器400からの同定と抽出、そして、作動可能なイグナイトとのその交換、を容易かつ単純にすることができる。
【0069】
CPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409内でCPOX反応を開始するために二つのイグナイタが使用されている図7C及び7Dに図示されているように、特に二つのチャンバ間での相当な熱のやりとりがありうる場合においては、チャンバの他方の側のイグナイタ435と熱電対440の位置に対して、チャンバ436の片側のイグナイタ435と熱電対440の位置を反転させることが有利でありうる。このような構成は、それによって、CPOX反応器ユニットのそれぞれ別個の列のCPOX反応ゾーン内でのCOPXのより急速な開始をもたらすことが観察されている。但し、チャンバ内に適切に寸法構成され配置されたCPOXユニットを使用することにより、チャンバ内のCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でのCPOXを開始するために単一のイグナイタを使用することが可能であることが理解されなければならない。
【0070】
ここに記載した統合液体燃料CPOX改質器-燃料電池システムと、その運転原理の実施例を考慮に入れて、ルーチン的実験手順を使用することによって当業者は、所望の液体改質可能燃料変換及び電力出力特性、構造特徴及び、本教示による機械的特性の、具体的な統合CPOX改質器-燃料電池システムの設計を容易に最適化することができる。
【0071】
本教示は、その要旨又は必須の特徴構成から逸脱することなく、他の具体的形態での実施例を含むものである。したがって、以上の実施例は、ここに記載した本教示に対して限定的なものではなく、そのすべての態様において、例示的なものと見なさなければならない。したがって、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく、添付の請求項によって示されるものであって、これら請求項の意味及び均等の範囲内に含まれるすべての変更がその中に含まれるものとして意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D