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特許7152822ペット診療相談支援システム、ペット診療相談支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ペット診療相談支援システム、ペット診療相談支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20221005BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221005BHJP
【FI】
A01K29/00 B
G06Q50/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022081157
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522007853
【氏名又は名称】株式会社Emyu
(74)【代理人】
【識別番号】100194342
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 美恵
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特許第6999995(JP,B1)
【文献】特開2012-093936(JP,A)
【文献】特開2021-056623(JP,A)
【文献】特開2020-205126(JP,A)
【文献】特開2020-140537(JP,A)
【文献】国際公開第2022/038648(WO,A1)
【文献】特許第6989997(JP,B1)
【文献】特許第7049030(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/00-50/34
A01K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してサーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムであって、
前記サーバは、
少なくとも相談対象ペットに関する飼い主情報、前記相談対象ペットに関する動物の種類を含むペット情報および前記相談対象ペットの現在の症状に関する相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付ける相談依頼情報受付部と、
前記相談依頼情報と、前記相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報を記憶する第1の記憶部と、
前記相談対象ペットの過去の診療情報および他の飼い主のペットに関する過去の診療情報に基づいて、前記相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成する相談支援情報生成部と、
前記相談支援情報生成部で生成された前記相談支援情報を記憶する第2の記憶部と、
前記相談依頼情報受付部で前記相談依頼情報が受け付けられた場合に、その相談内容に関連する前記相談支援情報を前記第2の記憶部から抽出して前記飼い主の端末装置の表示部に表示させる制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記飼い主の端末装置の表示部に表示された前記相談支援情報の中の所定の症状が前記飼い主の端末装置の入力部を介して選択された場合に、当該症状に関する対応情報を、応急処置情報、診療予約情報、緊急連絡情報に分けて選択可能に表示させる、
ことを特徴とするペット診療相談支援システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記相談依頼情報受付部で前記相談依頼情報が受け付けられた場合に、助言者の端末装置を介して助言者コメントをするか否かを促し、助言者コメントの情報が確認された場合に、前記飼い主の端末装置の表示部に前記助言者コメントを表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のペット診療相談支援システム。
【請求項3】
ペット心音情報取得部、ペット体温情報取得部およびペット血糖値情報取得部の少なくとも一つを有し、
前記制御手段は、前記ペット心音情報取得部、前記ペット体温情報取得部および前記ペット血糖値情報取得部の少なくとも一つによって取得されたペット心拍数、ペット体温およびペット血糖値の少なくとも一つと、取得日時情報とに基づいてグラフを表示させ、
取得された前記ペット心拍数、前記ペット体温および前記ペット血糖値の少なくとも一つがあらかじめ設定された所定の閾値を超えた場合に、ペットの現在の症状種別を選択させる症状種別選択画面を前記飼い主の端末装置の表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のペット診療相談支援システム。
【請求項4】
ネットワークを介してサーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムにおけるペット診療相談支援方法であって、
前記サーバを構成する相談依頼情報受付部が、少なくとも相談対象ペットに関する飼い主情報、前記相談対象ペットに関する動物の種類を含むペット情報および前記相談対象ペットの現在の症状に関する相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付けるステップと、
前記サーバを構成する第1の記憶部が、前記相談依頼情報と、前記相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報を記憶するステップと、
前記サーバを構成する相談支援情報生成部が、前記相談対象ペットの過去の診療情報および他の飼い主のペットに関する過去の診療情報に基づいて、前記相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成するステップと、
前記サーバを構成する第2の記憶部が、前記相談支援情報生成部で生成された相談支援情報を記憶するステップと、
前記サーバを構成する制御手段が、前記相談依頼情報受付部で前記相談依頼情報が受け付けられた場合に、その相談内容に関連する前記相談支援情報を前記第2の記憶部から抽出して前記飼い主の端末装置の表示部に表示させるステップと
前記制御手段が、前記飼い主の端末装置の表示部に表示された前記相談支援情報の中の所定の症状が前記飼い主の端末装置の入力部を介して選択された場合に、当該症状に関する対応情報を、応急処置情報、診療予約情報、緊急連絡情報に分けて選択可能に表示させるステップとを有する、
ことを特徴とするペット診療相談支援方法。
【請求項5】
コンピュータに、ネットワークを介してサーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムにおける処理を実行させるプログラムであって、
前記サーバを構成する相談依頼情報受付部が、少なくとも相談対象ペットに関する飼い主情報、前記相談対象ペットに関する動物の種類を含むペット情報および前記相談対象ペットの現在の症状に関する相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付けるステップと、
前記サーバを構成する第1の記憶部が、前記相談依頼情報と、前記相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報を記憶するステップと、
前記サーバを構成する相談支援情報生成部が、前記相談対象ペットの過去の診療情報および他の飼い主のペットに関する過去の診療情報に基づいて、前記相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成するステップと、
前記サーバを構成する第2の記憶部が、前記相談支援情報生成部で生成された相談支援情報を記憶するステップと、
前記サーバを構成する制御手段が、前記相談依頼情報受付部で前記相談依頼情報が受け付けられた場合に、その相談内容に関連する前記相談支援情報を前記第2の記憶部から抽出して前記飼い主の端末装置の表示部に表示させるステップと、
前記制御手段が、前記飼い主の端末装置の表示部に表示された前記相談支援情報の中の所定の症状が前記飼い主の端末装置の入力部を介して選択された場合に、当該症状に関する対応情報を、応急処置情報、診療予約情報、緊急連絡情報に分けて選択可能に表示させるステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット診療相談支援システム、ペット診療相談支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動物病院において、コンピュータを用いた様々な診療支援が行われている。例えば特許文献1には、施術内容、所見といったコメントを獣医師が入力する機能をもち、当該コメントをペットのカルテ情報と併せて表示する診療支援装置が記載されている。
【0003】
動物医療分野においては、特許文献2に、獣医師の専門分野によってペットの飼い主が獣医師を検索して選択し、動物の種類や年齢、性別、体重、病歴、動画等の情報を送信することで、遠隔相談を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-24406号公報
【文献】特開2006-215967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、飼い主が相談する際に飼い主のペットの現在の症状とその症状における治療法および当該治療の効果等が事前に把握されていれば相談を円滑に行うことができ、ひいては診療時間の短縮を図ることができる。しかしながら、上記した従来技術でペット現在の症状とその症状における治療法および当該治療の効果等を相談前に(実際の診療前)に飼い主(相談者)は把握することができず、円滑な相談を図ることはできない。
【0006】
そこで本発明の課題は、円滑な相談を図ることができるペット診療相談支援システム、ペット診療相談支援方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るペット診療相談支援システム1の一側面は、ネットワークを介してサーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムであって、サーバは、少なくとも相談対象ペットに関する飼い主情報、相談対象ペットに関する動物の種類を含むペット情報および相談対象ペットの現在の症状に関する相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付ける相談依頼情報受付部と、相談依頼情報と、相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報を記憶する第1の記憶部と、相談対象ペットの過去の診療情報および他の飼い主のペットに関する過去の診療情報に基づいて、相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成する相談支援情報生成部と、相談支援情報生成部で生成された相談支援情報を記憶する第2の記憶部と、相談依頼情報受付部で相談依頼情報が受け付けられた場合に、その相談内容に関連する相談支援情報を第2の記憶部から抽出して飼い主の端末装置の表示部に表示させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るペット診療相談支援システム1の他の側面は、制御手段は、飼い主の端末装置の表示部に表示された相談支援情報の中の所定の症状が飼い主の端末装置の入力部を介して選択された場合に、当該症状に関する対応情報を、応急処置情報、診療予約情報(予約可能な日時等の情報)、緊急連絡情報に分けて選択可能に表示させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るペット診療相談支援システム1の他の側面は、制御手段は、相談依頼情報受付部で相談依頼情報が受け付けられた場合に、助言者の端末装置を介して助言者コメントをするか否かを促し、助言者コメントの情報が確認された場合に、飼い主の端末装置の表示部に助言者コメントを表示させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るペット診療相談支援システム1の他の側面は、ペット心音情報取得部、ペット体温情報取得部およびペット血糖値情報取得部の少なくとも一つを有し、制御手段は、ペット心音情報取得部、ペット体温情報取得部およびペット血糖値情報取得部の少なくとも一つによって取得されたペット心拍数、ペット体温およびペット血糖値の少なくとも一つと、取得日時情報とに基づいてグラフを表示させ、取得されたペット心拍数、ペット体温およびペット血糖値の少なくとも一つがあらかじめ設定された所定の閾値を超えた場合に、ペットの現在の症状種別を選択させる症状種別選択画面を飼い主の端末装置の表示部に表示させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るペット診療相談支援方法の一側面は、ネットワークを介してサーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムにおけるペット診療相談支援方法であって、サーバを構成する相談依頼情報受付部が、少なくとも相談対象ペットに関する飼い主情報、相談対象ペットに関する動物の種類を含むペット情報および相談対象ペットの現在の症状に関する相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付けるステップと、サーバを構成する第1の記憶部が、相談依頼情報と、相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報を記憶するステップと、サーバを構成する相談支援情報生成部が、相談対象ペットの過去の診療情報および他の飼い主のペットに関する過去の診療情報に基づいて、相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成するステップと、サーバを構成する第2の記憶部が、相談支援情報生成部で生成された相談支援情報を記憶するステップと、サーバを構成する制御手段が、相談依頼情報受付部で前記相談依頼情報が受け付けられた場合に、その相談内容に関連する相談支援情報を第2の記憶部から抽出して飼い主の端末装置の表示部に表示させるステップとを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るプログラムの一側面は、コンピュータに、ネットワークを介してサーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムにおける処理を実行させるプログラムであって、サーバを構成する相談依頼情報受付部が、少なくとも相談対象ペットに関する飼い主情報、相談対象ペットに関する動物の種類を含むペット情報および相談対象ペットの現在の症状に関する相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付けるステップと、サーバを構成する第1の記憶部が、相談依頼情報と、相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報を記憶するステップと、サーバを構成する相談支援情報生成部が、相談対象ペットの過去の診療情報および他の飼い主のペットに関する過去の診療情報に基づいて、相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成するステップと、サーバを構成する第2の記憶部が、相談支援情報生成部で生成された相談支援情報を記憶するステップと、サーバを構成する制御手段が、相談依頼情報受付部で相談依頼情報が受け付けられた場合に、その相談内容に関連する相談支援情報を第2の記憶部から抽出して飼い主の端末装置の表示部に表示させるステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、円滑な相談を図ることができるペット診療相談支援システム、ペット診療相談支援方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態におけるペット診療相談支援システムの機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態における相談支援サーバを構成する制御手段の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態においてペット診療相談支援システム1における処理の概略を示したフローチャートである。
図4】本発明の実施形態においてペット診療相談支援システム1における表示制御処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明に係るペット診療相談支援システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0016】
例えば、本実施形態ではペット診療相談支援システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、コンピュータプログラム等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータにプログラムをインストールすることができる。ここで、プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0017】
本発明においてペットとは、飼い主により飼育される動物等、相談の対象となる動物を指し、飼育の形態や動物の種類は問わない。例えば屋外で放し飼いしている動物や、一般的に愛玩用の動物として認識されない動物であっても、本発明のペットに該当する。また、野生の動物の健康や検査等についての相談をする場合も想定され、このような場合には相談主が本発明の飼い主に該当し、当該野生の動物がペットに該当する。
【0018】
また、本発明における相談は、ペットに関するあらゆる相談や診察、診療を含む。例えば本実施形態では、ペットのしつけ等に関する相談や、健康状態の簡易的な確認、対面で診察を受けたことのある症状についての経過相談及び、処方、投薬等を想定する。また、法律やその他の規定において許容される場合には、初診を含む遠隔診療において本発明が用いられてもよい。
【0019】
また本発明において助言者とは、ペットに関する相談を受ける相談相手のことを指す。本実施形態では、動物病院の獣医師を想定するが、これに限られず、例えば個人の有資格者あるいは無資格者であってもよい。具体的には、ペットシッターやトリマー、訓練士、ペットマッサージ師等が想定される。
【0020】
[ペット診療相談支援システムの構成]
図1は、本実施形態に係るペット診療相談支援システムの機能構成を示す図である。図2は、相談支援サーバを構成する制御手段の構成を示す図である。ペット診療相談支援システム1は、少なくとも相談支援サーバ10および飼い主端末40を有して構成されている。相談支援サーバ10は、飼い主端末40にネットワーク20を介して通信可能に構成されている。なお、相談支援サーバ10は、後述するペット情報等を記憶する記憶部15を有しているが、ペット情報等を記憶する外部のデータベース(図示せず)と有線又は無線で接続されるようにしてもよい。
【0021】
相談支援サーバ10は、例えばサーバコンピュータであり、CPU(CentralProcessingUnit)やGPU(GraphicsProcessingUnit)等の演算装置、RAM(RandomAccessMemory)等の主記憶装置、HDD(HardDiskDrive)やSSD(SolidStateDrive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置、ネットワーク20への接続手段を含む種々の入出力装置等を備えて構成されている。
【0022】
相談支援サーバ10は、相談依頼情報受付部11と、相談支援情報生成部12と、制御手段13と、表示部14と、記憶部15と、通信部16とを備える。相談依頼情報受付部11、相談支援情報生成部12、制御手段13、表示部14、記憶部15および通信部16はシステムバス17を介して電気的に接続されている。
【0023】
相談依頼情報受付部11は、飼い主端末40を介して、相談者であるペットの飼い主の氏名、住所、連絡先を含む飼い主情報と、ペットの名前、性別、生年月日の他、犬や猫等の動物の種類、犬種等の更に細かい詳細種類を含むペット情報と、ペットの現在の症状に関する相談情報とを有する相談依頼情報を受け付け(取得し)、当該相談依頼情報を記憶部15に登録(記憶)させる。記憶部15には、相談依頼情報以外にも相談対象ペットの過去の治療情報および処方内容を含む過去の診療情報が記憶されている。なお、このときの記憶部15は請求項1に記載の第1の記憶部に相当する。また、飼い主情報、ペット情報および相談情報は相談依頼情報受付部11によって受け付けられた後に後述する制御手段13によって記憶部15に登録(記憶)させるようにしてもよい。
【0024】
また、上記した情報以外にも、例えば、あらかじめペットに振動データ取得機能を有する首輪型ペット見守りデバイスを装着させ、首輪型ペット見守りデバイスから飼い主端末40に送信される振動データの情報も含まれる。首輪型ペット見守りデバイスは、取得した振動データに基づいてペットの行動を推測(例えばAIによる判定)し、その動作の情報に基づいてペットの日常生活を監視するという機能を有しているが、当該技術は公知あるので詳細な説明は省略する。この振動データは、飼い主情報、ペット情報および相談情報とともに相談依頼情報として相談依頼情報受付部11に受け付けられ、相談依頼情報受付部11によって記憶部15に登録(記憶)される。なお、以下の説明では、用語を区別する必要がない場合には、説明の便宜上飼い主情報、ペット情報および相談情報をまとめて相談依頼情報と呼ぶことがある。
【0025】
相談支援情報生成部12は、少なくとも飼い主からの相談依頼情報を受けて当該相談依頼情報に基づくペットの現在の症状と当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成し、その関連付けられた相談支援情報は制御手段13を介して記憶部15に記憶される。なお、このときの記憶部15は請求項1に記載の第2の記憶部に相当する。
【0026】
ペットの種別ごとの種々の症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果の情報はあらかじめ記憶部15に関連付けられて記憶されており、症状とその治療方法および治療効果の情報は診療が終了するごとに助言者端末30を介して入力され、その情報は記憶部15に記憶され更新される。
【0027】
ここで、相談支援情報152には、飼い主の識別情報(ID情報)、ペットの識別情報(ID情報)に加えてそのペットの過去の症状、治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果の識別情報(ID情報)が登録(付与)されており、それらの情報は、それらの識別情報によって互いに関連付けられている。なお、更新によって症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果が更新された場合にはその更新された情報にも識別情報を付与し、新たな更新情報が関連付けられた相談支援情報が生成される。
【0028】
制御手段13は、図2に示すように記憶制御部131と表示制御部132を有して構成されている。記憶制御部131は、記憶部15への各種情報の記憶、および記憶部15内の各種情報の読み出しを制御する。記憶制御部131は、相談依頼情報151、相談支援情報152等の情報を関連付けて記憶部15に記憶させる。
【0029】
記憶制御部131は、相談依頼情報受付部11からの配信要求に対応した相談依頼情報151および相談支援情報152を記憶部15から読み出し、読み出した相談依頼情報151および相談支援情報152を表示制御部132に出力する。この配信要求は、後述する飼い主端末40から入力部43に相談依頼情報が入力されたタイミングで相談支援サーバ10を構成する記憶制御部131に送信される。
【0030】
表示制御部132は、相談依頼情報151および相談支援情報に基づいて相談支援画像(図示せず)を生成し、生成された相談支援画像を通信部16を介して飼い主端末40に出力する。なお、表示制御部132は、飼い主端末40において相談支援画像をウェブブラウザ上で閲覧することを可能にするためにウェブ配信用の画面データの形式で出力する。ウェブ配信用の画面データの形式については公知であるのでここではその説明は省略する。
【0031】
なお、表示制御部132は、飼い主の端末装置の表示部に表示された前記相談支援情報の中の所定の症状が飼い主端末40の入力部43を介して選択された場合に、上述の相談支援情報に対応する相談支援画像以外に、上記した当該症状に関する対応情報として、例えば当該症状が緊急を要するような症状である場合に、応急処置情報、診療予約情報(予約可能な日時等の情報)、助言者や動物病院の緊急連絡情報に分けて選択可能に飼い主端末40の表示部41に表示させるようにしてもよい。これにより、飼い主は相談する前において緊急事態に直面した場合でも容易に対応することができる。
【0032】
以下に、飼い主端末40の構成について説明する。飼い主端末40は、飼い主の端末であり、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワーク20への接続手段や、ディスプレイ、入出力装置等を備えた、一般的なコンピュータ装置や携帯端末を利用することができる。本実施形態では、スマートフォンやタブレット端末等を利用する場合を想定するが、この他にも例えばPC(PersonalComputer)等のような任意のコンピュータ装置を利用することができる。
【0033】
飼い主端末40は、表示部41と、制御部42と、入力部43と、記憶部44と、通信部45とを有して構成されている。表示部41、制御部42、入力部43、記憶部44および通信部45はシステムバス46を介して電気的に接続されている。入力部43に相談依頼情報が飼い主によって入力されると、制御部42は相談依頼情報を通信部45を介して相談支援サーバ10の通信部16に送信する。当該相談依頼情報は通信部16を介して相談依頼情報受付部11に入力される。相談支援サーバ10において、相談支援情報生成部12により相談支援情報152が生成され、生成された相談支援情報152に基づく相談支援画像が通信部45を介して飼い主端末40の制御部42に送信される。制御部42は、相談支援画像を表示部41に表示させる。
【0034】
[ペット診療相談支援システム1における処理]
以下に、図3を参照して、ペット診療相談支援システム1における処理の概要を説明する。図3はペット診療相談支援システム1における処理の概略を示した図である。
【0035】
ステップS101において、相談依頼情報受付部11が飼い主からの相談依頼情報を受け付ける。ステップS102において、相談支援情報生成部12が相談支援情報を生成する。ステップS103において、制御手段13が通信部16を介して相談支援情報を飼い主端末40に送信する。ステップS104において、制御手段13が相談支援情報を飼い主端末40の表示部41に表示させる。
【0036】
次に、図4を参照して、ペット診療相談支援システム1における表示制御処理を説明する。図4は、ペット診療相談支援システム1における表示制御処理の一例を示した図である。
【0037】
相談依頼情報受付部11が飼い主からの相談依頼情報を受け付けた場合に、ステップS201において、表示制御部132は、ペットの現在の症状種別を選択させる症状種別選択画面を表示部41の第1表示領域に表示させ、症状種別ごとの治療方法および処方を表示する治療方法表示画面を表示部41の第2表示領域に表示させ、治療方法および処方を実施した後の治療および処方の効果を表示する治療効果表示画面を表示部41の第3表示領域に表示させる。なお、症状種別選択画面、治療方法表示画面および治療効果表示画面は3つの表示領域に分けて表示させる以外に、例えば、最初に症状種別選択画面だけ表示させておいて、後述する飼い主による症状種別の選択(入力)がされた場合に、その選択された症状に対応する治療方法および処方が表示された治療方法表示画面と当該治療方法を実施した後の治療効果および処方が表示された治療効果表示画面を表示させるようにしてもよい。上記表示方法は一例であってこれに限定されない。
【0038】
ステップS202において、表示制御部132は、症状種別選択画面において飼い主に症状種別項目の中から現在の症状を特定するための選択を促す。なお、症状種別選択画面に表示された複数の症状種別の中から選択を促すしてもよいし、現在の症状を入力させて入力されたキーワードに基づき最も近い症状を抽出して表示させて飼い主に「はい」、「いいえ」で選択させるようにしてもよい。
【0039】
ステップS203において、表示制御部132は、飼い主によって症状種別に中から現在の症状に該当する症状が選択(特定)されたか否かを判定する。症状種別に中から現在の症状に該当する症状が選択された場合には、ステップS204において、その選択された症状に対応する治療方法および処方が表示された治療方法表示画面と当該治療方法および処方を実施した後の治療効果および処方効果が表示された治療効果表示画面を表示させる。なお、記憶制御部131は、その選択された症状と、選択された症状に対応する治療方法および処方と、当該治療方法および処方を実施した後の治療効果および処方効果を関連付けて記憶部15および飼い主端末40の記憶部44に記憶させる。これによって飼い主および助言者は後からいつでもこれら情報を読み出して表示させることができる。一方、ステップS203において症状種別に中から現在の症状に該当する症状が選択されなかった場合には、ステップS202の処理に戻る。なお、表示された症状種別に該当する症状がなかった場合には、飼い主コメントにその旨を入力するよう促す。その後は後述するS205の処理に移行する。
【0040】
選択された症状に対応する治療方法および処方、ならびに当該治療方法および処方を実施した後の治療効果および処方効果が表示された後に、表示制御部132は飼い主に対してコメントを行うか否かを促す画面を表示させる。その後ステップS205において、飼い主から飼い主端末40の入力部43を介してコメントがされたか否か(飼い主コメントの有無)を判定する。飼い主コメントがあると判定された場合には、制御部42によってその飼い主コメントが相談支援サーバ10の制御手段13に送信される。その後、制御手段13は飼い主コメントを助言者端末30に送信される。その後、ステップS206において助言者に対して当該飼い主コメントに対する助言コメントをするように促す。この助言コメントを促す方法は、助言者端末30の表示部(図示せず)にポップアップさせて通知する方法でもよいし、助言者のメールアドレス宛にメールで通知するようにしてもよい。一方、ステップS205において飼い主からの飼い主コメントがないと判定された場合には、ペット診療相談支援システム1における表示制御処理は終了する。
【0041】
制御手段13は、助言者端末30からの助言コメント情報(コメントのアップロード情報)を監視し、ステップS207において、助言者からの助言コメントが確認されたか否か(助言コメントの有無)判定する。助言者からの助言コメントがある場合には、制御手段13は、ステップS208においてその助言コメントを飼い主端末40の表示部41に表示させてペット診療相談支援システム1における表示制御処理は終了する。一方、ステップS207において助言者からの助言コメントがないと判定された場合には、ペット診療相談支援システム1における表示制御処理は終了する。
【0042】
したがって、本実施の形態に係るペット診療相談支援システムによれば、飼い主は相談したいときや相談予約をする際に、ペットの現在の症状について治療方法および処方やその治療方法および処方による治療効果に関する知識を得られるので、緊急の場合には即時対応ができ、相談する際にも事前の知識に基づいて相談を円滑に実施することができる。また、飼い主の相談依頼情報を受けて助言者からのコメントがある場合に飼い主はそのコメントを参照して相談する内容を一歩進んだ状態で吟味でき助言者との相談をさらに円滑に行うことが可能となる。これは、助言者との相談の円滑な実施によって最終的に相談時間の短縮を図ることができ、より多くの飼い主との相談や診療を実施することが可能となる。
【0043】
[他の実施の形態]
また、他の実施形態としては飼い主端末40に出力可能な心音計測器として機能するペット心音情報取得部(図示せず)、ペット体温情報取得部(図示せず)およびペット血糖値情報取得部(図示せず)の少なくとも一つが設けられる構成が挙げられる。
【0044】
以下に、ペット心音情報取得部を設けた例について説明する。飼い主によって定期的にペット心音情報取得部を用いて計測された心音情報(心拍数データ)が、併せて計測された計測日時の情報とともに通信部45を介して飼い主端末40の制御部42に送信され、記憶部44に記憶されるとともに相談支援サーバ10の制御手段13に送信され、記憶部15に記憶される。なお、心音情報および計測日時情報は、有線または無線を介して制御部42に送信されるが、飼い主端末40の入力部43を介して飼い主が直接心音情報および計測日時情報を入力するようにしてもよい。
【0045】
ここで、ペット心音情報取得部は、例えば、数を加算する入力を受け付けてその数をカウント(計数)するとともに、計数結果に基づいて所定時間当たりの数を算出する、いわゆるカウンター装置(例えば心音計)であり計数開始とともにカウントダウンを行う。カウンタ装置は飼い主端末40に上記した計数処理を実行可能なアプリケーションをインストールして使用してもよいし、外付けの専用カウンター装置を使用してもよい。具体的には、計数時間中にカウンター装置を介して1加算する入力を随時受け付けることで計数を行う。計数時間が終了すると、最終的に計数された数に、所定時間を計数時間で割った数を乗ずることで、所定時間あたりの数を算出する。本実施形態では、例えば飼い主が、表示された計数器を用いて例えば20秒間における心拍数を数え、その後に3を乗ずることにより、1分間当たりの心拍数を算出すること等に用いられる。
【0046】
相談支援サーバ10の表示制御部132は、カウンタ装置で取得されたペットの心音情報(心拍数情報)および計測日時情報に基づいて、例えば横軸を時間、縦軸を心拍数とする棒グラフ、折れ線グラフ等のグラフを表示させる。相談支援サーバ10の表示制御部132は、取得された心音情報を示す心拍数があらかじめ設定された所定の閾値(基準値)を超えた場合に、ペットの現在の症状種別を選択させる症状種別選択画面を飼い主端末40の表示部41の所定領域に表示させる。この症状種別選択画面を表示部41へ表示させることによって注意を喚起させ、飼い主に対して相談を促すことができるので、ペットの体調に異変が起きた場合でも相談依頼から実際の相談予約までの処理を円滑にすることができる。なお、症状種別選択画面の表示部41への表示に続いて、症状種別ごとの治療方法を表示する治療方法表示画面、治療方法を実施した後の治療効果を表示する治療効果表示画面が表示部41に表示される点は上記した実施形態と同様であるが、それ以外にも飼い主に対してコメントを行うか否かを促す画面を表示させるようにしてもよい。なお、所定の閾値(基準値)はペットの種別ごとに決められ体調が良好であるときの心拍数の値を設定するものとする。
【0047】
上記の例は、ペット心音情報取得部で心拍数を取得した場合の例であるが、ペット体温情報取得部で体温データが取得された場合や、ペット血糖値情報取得部で血糖値データが取得された場合においても、上記と同様にペット体温情報取得部で取得された体温データ、ペット血糖値情報取得部で取得された血糖値データが、計測日時の情報とともに通信部45を介して飼い主端末40の制御部42に送信され、記憶部44に記憶される。そして取得された体温データおよび血糖値データは、相談支援サーバ10の制御手段13に送信され、記憶部15に記憶される。なお、体温データ、血糖値データおよび計測日時情報は、有線または無線を介して制御部42に送信されるが、飼い主端末40の入力部43を介して飼い主が直接体温データ、血糖値データおよび計測日時情報を入力するようにしてもよい。
【0048】
そして、相談支援サーバ10の表示制御部132は、取得された体温データ、血糖値データおよび計測された計測日時情報に基づいて、例えば横軸を時間、縦軸を体温、血糖値とする棒グラフ、折れ線グラフ等のグラフを表示させる。ここで、体温および血糖値はそれぞれ同じ画面領域に2つのグラフで表示させてもよいし、当該2つのグラフを1グラフ単位で別画面に遷移させて表示させてもよい。なお、心拍数、体温および血糖値の3つが取得されている場合にはそれぞれ同じ画面領域に表示させてもよいし、上記同様にそれぞれのグラフを別画面に遷移させて表示させてもよい。そして表示制御部132は、取得された体温データを示す体温および血糖値データを示す血糖値において、それぞれあらかじめ設定された所定の閾値(基準値)を超えた場合に、ペットの現在の症状種別を選択させる症状種別選択画面を表示部41の所定領域に表示させる。なお、所定の閾値(基準値)はペットの種別ごとに決められ体調が良好であるときの体温、血糖値の値を設定するものとする。
【0049】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ペット診療相談支援システム
10 相談支援サーバ
11 相談依頼情報受付部
12 相談支援情報生成部
13 制御手段
14 表示部
15 記憶部(第1の記憶部、第2の記憶部)
16 通信部
17 システムバス
20 ネットワーク
30 助言者端末
40 飼い主端末
41 表示部
42 制御部
43 入力部
44 記憶部
45 通信部
46 システムバス
131 記憶制御部
132 表示制御部
151 相談依頼情報
152 相談支援情報
【要約】
【課題】円滑な相談を図ることができるペット診療相談支援システム、ペット診療相談支援方法およびプログラムを提供することである。
【解決手段】サーバに接続された飼い主の端末装置からのペットに関する相談を支援するためのペット診療相談支援システムであって、サーバは、飼い主情報、ペット情報および相談情報が関連付けられた相談依頼情報を受け付ける相談依頼情報受付部と、相談対象ペットの過去の診療情報を記憶する第1の記憶部と、相談対象ペットの現在の症状、当該症状に対する治療方法および処方、ならびに、当該治療方法および当該処方による効果を関連付けて相談支援情報を生成する相談支援情報生成部と、相談支援情報を記憶する第2の記憶部と、相談依頼情報受付部で前記相談依頼情報が受け付けられた場合に、相談支援情報を抽出して飼い主の端末装置の表示部に表示させる制御手段とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4