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特許7152829獣医療支援システム、獣医療支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】獣医療支援システム、獣医療支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20221005BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20221005BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022542950
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2022007732
【審査請求日】2022-07-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515158272
【氏名又は名称】株式会社PECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-67247(JP,A)
【文献】特開2020-87315(JP,A)
【文献】特開2020-30525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を輸送する移動体の定員を記憶する移動体情報記憶部と、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付ける受付部と、
前記動物患者ごとに前記動物患者の動物種及び品種を記憶する動物患者情報記憶部と、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定する判定部と、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約する予約部と、
を備え、
前記判定部は、前記動物種及び品種に応じた前記比較数を前記定員と比較すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
【請求項2】
動物を輸送する移動体の定員を記憶する移動体情報記憶部と、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付ける受付部と、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定する判定部と、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約する予約部と、
前記比較数が前記定員を超え、かつ、前記動物患者の数が前記定員以下である場合に、前記飼主は前記移動体とは異なる移動手段により移動することを提案するメッセージを出力するメッセージ出力部と、
備えることを特徴とする獣医療支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の獣医療支援システムであって、
前記判定部は、前記動物患者の数に前記飼主の数を加算して前記比較数を算出すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
【請求項4】
動物を輸送する移動体の定員を記憶する移動体情報記憶部と、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付ける受付部と、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定する判定部と、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約する予約部と、
動物種ごとに係数を記憶する係数記憶部と、
前記動物患者ごとに前記動物患者の前記動物種を記憶する動物患者情報記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記動物患者の数に、前記動物患者に対応する前記動物種に対応する前記係数を乗じた数と、前記飼主の数とを合計して前記比較数を算出すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
【請求項5】
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記動物患者ごとに前記動物患者の動物種及び品種を記憶するステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
をコンピュータが実行し、
前記判定するステップにおいて、前記動物種及び品種に応じた前記比較数を前記定員と比較することを特徴とする獣医療支援方法。
【請求項6】
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
前記比較数が前記定員を超え、かつ、前記動物患者の数が前記定員以下である場合に、前記飼主は前記移動体とは異なる移動手段により移動することを提案するメッセージを出力するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする獣医療支援方法。
【請求項7】
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
動物種ごとに係数を記憶するステップと、
前記動物患者ごとに前記動物患者の前記動物種を記憶するステップと、
をコンピュータが実行し、
前記判定するステップにおいて、前記動物患者の数に、前記動物患者に対応する前記動物種に対応する前記係数を乗じた数と、前記飼主の数とを合計して前記比較数を算出すること、
を特徴とする獣医療支援方法。
【請求項8】
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記動物患者ごとに前記動物患者の動物種及び品種を記憶するステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記コンピュータにさらに、前記判定するステップにおいて、前記動物種及び品種に応じた前記比較数を前記定員と比較させるためのプログラム。
【請求項9】
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
前記比較数が前記定員を超え、かつ、前記動物患者の数が前記定員以下である場合に、前記飼主は前記移動体とは異なる移動手段により移動することを提案するメッセージを出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
動物種ごとに係数を記憶するステップと、
前記動物患者ごとに前記動物患者の前記動物種を記憶するステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記コンピュータにさらに、前記判定するステップにおいて、前記動物患者の数に、前記動物患者に対応する前記動物種に対応する前記係数を乗じた数と、前記飼主の数とを合計して前記比較数を算出させること、
を特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獣医療支援システム、獣医療支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には動物の緊急搬送を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-342461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通院時には飼主が同行するところ輸送手段に同乗できる人数には制限がある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、確実に動物を輸送することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、獣医療支援システムであって、動物を輸送する移動体の定員を記憶する移動体情報記憶部と、来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付ける受付部と、前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定する判定部と、前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約する予約部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、確実に動物を輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】獣医療支援システムの全体構成例を示す図である。
図2】管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
図3】管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】管理サーバ20の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
動物を輸送する移動体の定員を記憶する移動体情報記憶部と、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付ける受付部と、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定する判定部と、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約する予約部と、
を備えることを特徴とする獣医療支援システム。
[項目2]
項目1に記載の獣医療支援システムであって、
前記動物患者ごとに前記動物患者の動物種及び品種を記憶する動物患者情報記憶部を備え、
前記判定部は、前記動物種及び品種に応じた前記比較数を前記定員と比較すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目3]
項目1に記載の獣医療支援システムであって、
前記比較数が前記定員を超え、かつ、前記動物患者の数が前記定員以下である場合に、前記飼主は前記移動体とは異なる移動手段により移動することを提案するメッセージを出力するメッセージ出力部をさらに備えること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目4]
項目1ないし3のいずれか1項に記載の獣医療支援システムであって、
前記判定部は、前記動物患者の数に前記飼主の数を加算して前記比較数を算出すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目5]
項目1ないし3のいずれか1項に記載の獣医療支援システムであって、
動物種ごとに係数を記憶する係数記憶部と、
前記動物患者ごとに前記動物患者の前記動物種を記憶する動物患者情報記憶部と、
をさらに備え、
前記判定部は、前記動物患者の数に、前記動物患者に対応する前記動物種に対応する前記係数を乗じた数と、前記飼主の数とを合計して前記比較数を算出すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目6]
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする獣医療支援方法。
[項目7]
動物を輸送する移動体の定員を記憶するステップと、
来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付けるステップと、
前記飼主の数及び前記動物患者の数に応じた比較数を前記定員と比較して前記移動体による輸送が可能か否かを判定するステップと、
前記輸送が可能と判定された場合に前記移動体を前記動物患者の輸送のために予約するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0011】
<システムの概要>
以下、本発明の一実施形態に係る獣医療支援システムについて説明する。本実施形態の獣医療支援システムは、自宅と獣医療時間との間で動物患者1(及び飼主2)を輸送する移動体3の予約(移動体3を特定の期間中、動物患者1(及び飼主2)のために利用可能に設定することをいう。)を行う。移動体3は例えば自動車である。
【0012】
本実施形態の獣医療支援システムでは、移動体3は、大きさの違いや備える設備の違いなどを含む複数の異なる種類が存在することを想定する。なお、同一の獣医療機関が複数種類の移動体3を備えるようにしてもよいし、所定のエリア内の複数の獣医療機関で複数異なる種類の移動体3を備えるようにすることもできる。
【0013】
図1は、獣医療支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の獣医療支援システムは、管理サーバ20を含んで構成される。管理サーバ20は、ユーザ端末10及び獣医療機関端末30と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0014】
ユーザ端末10は、飼主2が操作するコンピュータであり、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。ユーザ端末10はカメラ機能を備えることができる。飼主2はユーザ端末10を操作して管理サーバ20に対して動物患者1を移動体3により獣医療機関まで輸送する依頼(以下、輸送依頼という。)を送信することができる。また、飼主2は、ユーザ端末10を操作して問診に対する回答を行うことができる。
【0015】
獣医療機関端末30は、獣医療機関の従業者が操作するコンピュータであり、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。獣医療機関の従事者は、例えば、獣医師4、看護師5、スタッフ6などを含む。獣医療機関端末30は管理サーバ20からのメッセージを受信して従事者に対して出力することができる。
【0016】
管理サーバ20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。管理サーバ20は、ユーザ端末10からの輸送依頼に応じて、問診を行い、問診結果を獣医療機関端末30に送信することができる。
【0017】
本実施形態の獣医療支援システムでは、移動体3の予約を行うにあたり、飼主2の人数も考慮して手配する移動体3を決定する。
【0018】
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0019】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ装置20の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ20の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0020】
図3は、管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ20は、飼主情報記憶部231、動物情報記憶部232、医療機関情報記憶部233、従事者情報記憶部234、移動体情報記憶部235、係数記憶部236、輸送予約情報記憶部237,受付部211、判定部212、予約部213、メッセージ出力部214、を備える。
【0021】
<記憶部>
飼主情報記憶部231は、飼主2に関する情報(以下、飼主情報という。)を記憶する。飼主情報には、飼主2を特定する飼主IDに対応付けて、飼主2の氏名、住所、連絡先などを含めることができる。
【0022】
動物情報記憶部232は、動物患者1に関する情報(以下、動物情報という。)を記憶する。動物情報には、動物患者1を特定する動物IDに対応付けて、当該動物患者1の飼主2を示す飼主ID、動物患者1が受診する獣医療機関を示す医療機関ID、ならびに動物患者1の名前、動物種及び品種などを含めることができる。
【0023】
医療機関情報記憶部233は、獣医療機関に関する情報(以下、医療機関情報という。)を記憶する。医療機関情報には、獣医療機関を特定する医療機関IDに対応付けて、獣医療機関の名称や住所を含めることができる。
【0024】
従事者情報記憶部234は、獣医療機関の従事者に関する情報(以下、従事者情報という。)を記憶する。従事者情報記憶部234は、獣医療従事者ごとに、獣医療従者が対応可能な動物種及び作業内容を記憶する。従事者情報記憶部234が記憶する従事者情報には、従事者を特定する従事者IDに対応付けて、従事者の氏名、従事者が所持している資格(獣医師、看護師、麻酔、検査機器の操作などを含む。)、対応可能作業を含めることができる。対応可能作業には、動物患者1の状態の判断、動物患者1に対して行うことが可能な処置の種類、検体の回収、移動体1の運転などを含めることができる。
【0025】
移動体情報記憶部235は、移動体3に関する情報(以下、移動体情報という。)を記憶する。移動体情報には、移動体3を特定する移動体IDに対応付けて、移動体3が待機している場所(待機場所)、移動体3の定員、移動体3が備える機能を含めることができる。移動体3の定員は、例えば、人間の定員としてもよいし、動物種ごとに定員を設定するようにしてもよいし、人間の人数(飼主の数)に対応付けて、動物種毎の動物の数の定員を設定するようにしてもよい。移動体3の機能は、例えば、人工呼吸器や検査装置の有無など、動物患者1の自宅において、又は自宅から獣医療機関までの道中に動物患者1に対して施す必要のある処置に用いる各種の機能の有無を設定することができる。
【0026】
係数記憶部236は、動物が移動体3に乗車するにあたり人間の何人分にあたるかを算出するための係数を記憶する。係数記憶部236は、動物種及び品種に対応付けて係数を記憶することができる。
【0027】
輸送予約情報記憶部237は、移動体3の予約に関する情報(以下、輸送予約情報という。)を記憶する。輸送予約情報には、移動体3を特定する移動体IDに対応付けて、獣医療機関を示す医療機関ID、飼主2を示す飼主ID、来院フラグ、乗車日時、乗務員IDを含めることができる。来院フラグは、自宅から獣医療機関への輸送であるか否かを示す。例えば、来院フラグが「真」である場合には、自宅から獣医療機関への輸送であること、すなわち、飼主IDに対応する飼主情報の住所から、医療機関IDに対応する医療機関情報の住所までの輸送であることを示し、来院フラグが「偽」である場合には、獣医療機関から自宅への輸送であること、すなわち、医療機関IDに対応する医療機関情報の住所から飼主IDに対応する飼主情報の住所までの輸送であることを示す。乗車日時は、出発地点(自宅の住所又は獣医療機関の住所)において移動体3に動物患者1を乗せる予定の日時である。乗務員IDは、移動体3に乗車する予定の獣医療機関の従事者を示す従事者IDである。例えば、移動途中に何らかの処置を行ったり、検体を回収したりする場合には、獣医師4や看護師5が乗務員としてアサインされる必要がある。
【0028】
<機能部>
受付部211は、動物患者の輸送の依頼(以下、輸送依頼という。)を受け付ける。受付部211は、ユーザ端末10から輸送依頼を受信する。輸送依頼には、動物患者1を特定する動物IDと、同行する飼主2の人数とが含まれる。また、複数の動物患者1を同時に輸送する場合には、複数の動物患者1のそれぞれについての動物IDが設定されるものとする。なお、診察予定がない動物が同行する場合にも、当該動物についての動物IDが設定されるものとする。動物ID、飼主2の人数の少なくともいずれかが輸送依頼に含まれていない場合には、受付部211はユーザ端末10に対してこれらを問い合わせるようにすることができる。輸送依頼には、受診希望日時(又は希望する期間)が設定されていてもよい。
【0029】
判定部212は、動物患者1ならびに飼主2(及びその他同行する動物)が移動体3に同乗できるかどうかを判定する。
【0030】
判定部212は、飼主の数(以下、飼主数という。)及び動物患者の数(以下、患者数という。輸送依頼に含まれる動物IDの数とすることができる。)に応じた比較数を計算する。判定部212は、例えば、患者数と飼主数とを加算して比較数を算出することができる。また、判定部212は、動物患者1の動物種及び品種に対応する係数を係数記憶部236から読み出し、読み出した係数に患者数を乗じた数に、飼主数を加算して比較数を算出することができる。
【0031】
判定部212は、上記のようにして計算した比較数と、移動体3の定員(移動体情報に含まれる定員)とを比較して、当該移動体3に動物患者1(及び同行する動物がいる場合にはその動物)と飼主2とが移動体3により輸送可能か否かを判定する。
【0032】
予約部213は、患者動物1を輸送する移動体3を予約する。移動体3の予約とは、移動体3を特定の動物患者1を特定の日時に輸送可能な状態に確保することをいう。予約部213は、輸送予約情報を作成して輸送予約情報記憶部237に登録することができる。予約部213は、すぐに移動体3を使用する場合にも、現在日時を設定した予約をすることができる。予約部213は、判定部212が輸送可能と判断した場合に、移動体3の予約を行うことができる。
【0033】
メッセージ出力部213は、判定部212が輸送不能と判断した場合に、その旨をユーザ端末10に送信することができる。メッセージ出力部213は、比較数が定員を超えていても、患者数(患者数に係数をかけた値でもよい。)が定員以下である場合には、飼主は移動体3とは異なる移動手段により移動することを提案するメッセージを出力することもできる。
【0034】
<動作>
図4は、管理サーバ20の動作について説明する図である。
【0035】
管理サーバ20は、動物患者1の飼主2のユーザ端末10から輸送依頼を受信すると(S301)、輸送依頼に設定されている動物患者1の動物IDに対応する係数を係数記憶部236から読み出し(S302)、患者数に係数を乗じた値に飼主の数を加算して比較数を算出する(S303)。
【0036】
比較数が移動体3の定員以下である場合(S304:YES)、管理サーバ20は移動体3を予約する(S305)。ここで比較する定員は、当該医療機関を待機場所として設定している移動体情報の定員であってよい。また、近隣(当該医療機関から所定距離内)を待機場所とする移動体情報のそれぞれについて処理を行うようにしてもよい。また、輸送予約情報記憶部237に予約が設定されている移動体3についての移動体情報は処理対象としないようにすることができる。
【0037】
比較数が移動体3の定員を超える場合(S304:NO)、患者数に係数を乗じた値(複数の動物種及び品種の動物患者1が存在するときは、動物種及び品種ごとに動物患者1の数に係数を乗じた値を合計する。)が定員以下であるときには(S306:YES)、管理サーバ20は、飼主は移動体3とは異なる別の移動手段で移動することを提案するメッセージをユーザ端末10に送信することができる(S307)。
【0038】
比較数が移動体3の定員を超える場合(S304:NO)、患者数に係数を乗じた値も定員を超える場合には(S306:NO)、管理サーバ20は、移動体3を予約できない旨を示すメッセージをユーザ端末10に送信することができる(S308)。
【0039】
以上のようにして、本実施形態の獣医療支援システムによれば、動物患者1が移動体3に乗れることを確認した上で移動体3を予約することができる。したがって、確実に動物患者1を輸送することができる。
【0040】
また、飼主の数が多いような場合に、動物患者1だけであれば移動体3に乗れるときには、動物患者1を移動体3で輸送しつつ、飼主には別の移動手段で移動するように提案することができる。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0042】
例えば、図4のステップS307において、患者数に係数を乗じた値を定員から引いた値(飼主乗車可能数)が1以上である場合には、飼主乗車可能数以下の飼主であれば同乗できる旨を伝えるメッセージをユーザ端末10に送信することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 動物患者
2 飼主
3 移動体
4 獣医師
5 看護師
6 スタッフ
10 ユーザ端末
20 管理サーバ
30 獣医療機関端末
【要約】
【課題】確実に動物を輸送することができるようにする。
【解決手段】獣医療支援システムであって、動物を輸送する移動体の定員を記憶する移動体情報記憶部と、来院する動物患者の数及び飼主の数を含む移送の依頼を受け付ける受付部と、飼主の数及び動物患者の数に応じた比較数を定員と比較して移動体による輸送が可能か否かを判定する判定部と、輸送が可能と判定された場合に移動体を動物患者の輸送のために予約する予約部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4