(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】レベルワウンドコイルの積載保持体及びレベルワウンドコイルの梱包体並びにレベルワウンドコイル積載保持体用敷板
(51)【国際特許分類】
B65D 85/04 20060101AFI20221005BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B65D85/04
B65D81/05 400
(21)【出願番号】P 2022546444
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2022018446
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2021073032
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311014705
【氏名又は名称】NJT銅管株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】水藤 謙輔
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241453(JP,A)
【文献】特開2013-237457(JP,A)
【文献】特開2007-145538(JP,A)
【文献】特開2010-001072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/04
B65D 81/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の管体を整列巻きして形成されるコイル層の複数を、隣接する一方のコイル層の管体が他方のコイル層の管体間の凹所に嵌め込まれるようにして、積層してなる構造のレベルワウンドコイルを、そのコイル軸方向が垂直となるように、平坦な敷板上に載置せしめてなるレベルワウンドコイルの積載保持体であって、
前記敷板が、前記レベルワウンドコイルの載置される板状の上側プレートと、該上側プレートに対して下方に所定距離を隔てて相対向して位置する板状の下側プレートと、それら上側プレートと下側プレートとを連結して、互いに平行に延びる複数のリブとを備え、それら複数のリブによって、前記上側プレートと前記下側プレートとの間の空間が仕切られて、該複数のリブの延設方向に延びる複数の中空部が、互いに平行に形成されている板状の緩衝プレートを含んで構成されてなり、且つ前記レベルワウンドコイルが載置される前記上側プレートの表面に、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条が形成されていると共に、それら互いに平行な複数の凹条が前記レベルワウンドコイルの円環形状の下端部をそれぞれ横切るように、該レベルワウンドコイルが該緩衝プレート上に載置されて、該複数の凹条部位において、該レベルワウンドコイルと該緩衝プレートとの間に所定の隙間がそれぞれ形成されていることを特徴とするレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項2】
前記複数の凹条が、それぞれ、前記リブの延設方向に対して平行となるように、前記上側プレートの表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項3】
前記複数の凹条が、それぞれ、前記上側プレートに対する前記リブの連結部位に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項4】
前記リブが、その高さ方向の中間部に、少なくとも一つの屈曲部を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項5】
前記緩衝プレートが、プラスチック材質にて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項6】
前記敷板が、その下面に滑り止め部を有し、該滑り止め部に対して、該敷板の下方に配置されるレベルワウンドコイルの上部が当接せしめられるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項7】
前記滑り止め部が、滑り止めシートの貼着によって形成されていることを特徴とする請求項6に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの積載保持体の一つ若しくはその複数を積み重ねてなり、且つその少なくともレベルワウンドコイル部分が梱包されてなることを特徴とするレベルワウンドコイルの梱包体。
【請求項9】
金属製の管体を整列巻きして形成されるコイル層の複数を、隣接する一方のコイル層の管体が他方のコイル層の管体間の凹所に嵌め込まれるようにして、積層してなる構造のレベルワウンドコイルが、そのコイル軸方向が垂直となるようにして載置せしめられて、レベルワウンドコイル積載保持体を構成する敷板であって、
前記レベルワウンドコイルの載置される板状の上側プレートと、該上側プレートに対して下方に所定距離を隔てて相対向して位置する板状の下側プレートと、それら上側プレートと下側プレートとを連結して、互いに平行に延びる複数のリブとを備え、それら複数のリブによって、前記上側プレートと前記下側プレートとの間の空間が仕切られて、該複数のリブの延設方向に延びる複数の中空部が、互いに平行に形成されている板状の緩衝プレートを含んで構成されてなり、且つ前記レベルワウンドコイルが載置される前記上側プレートの表面に、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条が形成されていると共に、それら互いに平行な複数の凹条が前記レベルワウンドコイルの円環形状の下端部をそれぞれ横切るように、該レベルワウンドコイルが該緩衝プレート上に載置せしめられることによって、該複数の凹条部位において、該レベルワウンドコイルと該緩衝プレートとの間に所定の隙間がそれぞれ形成されるようになっていることを特徴とするレベルワウンドコイル積載保持体用敷板。
【請求項10】
前記緩衝プレートが、プラスチック材料の押出成形品であることを特徴とする請求項9に記載のレベルワウンドコイル積載保持体用敷板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベルワウンドコイルの積載保持体とレベルワウンドコイルの梱包体とレベルワウンドコイル積載保持体用敷板とに係り、特に、エアコン等の空調機用の伝熱管等に使用される銅又は銅合金管やアルミニウム又はアルミニウム合金管等の金属製の管体からなるレベルワウンドコイルが、敷板を介して、支持されてなる形態のレベルワウンドコイルの積載保持体の改良された構造と、そのようなレベルワウンドコイル積載保持体の幾つかが梱包されたレベルワウンドコイルの梱包体と、かかるレベルワウンドコイル積載保持体に用いられる敷板の新規な構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアコン等の空調機器における平滑管や内面溝付き管等の伝熱管として、また建築用の給湯配管や給水配管等として、銅又は銅合金管(以下、銅管と総称する)やアルミニウム又はその合金からなる管(以下、アルミ管と総称する)等の金属製の管体が用いられてきているのであるが、それら銅管やアルミ管等は、その製造工程において、一般に、レベルワウンドコイル(LWC)と称されるコイル状に巻き取られ、そして焼鈍によって、所定の調質が施された後、梱包されて、エアコンメーカー等に搬送出荷され、更に、エアコンメーカー等においては、それを解梱し、そしてLWCから銅管やアルミ管等を巻き解いて、それぞれの用途に用いられ得るようになっている。
【0003】
そこにおいて、かかるLWCは、例えば、
図1に示されるように(なお、ここでは、図示の簡略化のために、管の断面を円で示している。以下同じ。)、銅管等の管体10をボビン12に整列巻きして、複数段(列)の形態において積層されるようにして、形成されることとなる。より具体的には、取り外し可能な内筒14と側板16とから構成されるボビン12を、その軸方向が水平方向又は垂直方向となるようにして、所定の回転装置に取り付け、回転駆動せしめる一方、ボビン12の内筒14の外周面に、先ず、ボビン軸方向の一端側の位置(
図1において、左端の位置)を始端10aとして、反対側の端部に向かって(ここでは、右方向に)整列巻きすることにより、円筒形状を呈する一層目のコイル層が形成される。そして、図において、右端まで管体10が来て、一層目の巻回が終了した後、今度は、右端から左端に向けて二層目のコイル層が巻回されるのであるが、その際、一層目のコイル層における隣接する管体10,10間に形成される凹所に嵌るようにして、二層目の管体10が、一層目のコイル層上に相互に接触するように、且つ密に巻回されて、二層目のコイル層が形成され、更にその後、管体10が逆方向に整列巻きされることによって、三層目のコイル層が形成され、以下同様にして巻回して、複数層のコイル層を積層形成する、所謂トラバース巻きの手法によって、LWC18が、形成されることとなるのである。
【0004】
一方、かくの如きLWC18から管体10を繰り出す(取り出す)方法として、近年、ETS(eye to the sky)方式と称されるコイルの巻き解き方法が提案され、注目を受けている。このETS方式は、LWC18からボビン12を取り外して、LWC18を敷板にて支持させた後、かかるLWC18の内周側から管体10を繰り出すことにより、巻き解いて行く方法であるが、そのようなETS方式にて、例えば、
図1において得られたLWC18を巻解する場合、一層目のコイル層から二層目のコイル層の管体10を繰り出すときに、最下部の管体が、それを支持する敷板と、かかる管体の直上に位置する管体との間に挟まれた状態となる。そして、それらの管体を含むコイル層の自重に基づいて、直上の管体から及ぼされる押圧作用により、最下部の管体の敷板に対する摺動抵抗が増大し、しかも、管体自体が軟質で肉厚の薄い銅管等からなるために、管体のキンク(折れ)等のトラブルが発生する問題を、内在している。
【0005】
そこで、特開2002-370869号公報(特許文献1)等においては、
図1に示されるLWC18の如く、各層(各列)におけるコイル(管体10)の巻き数:nを同数とすることなく、
図2に示されるように、例えば、奇数層目のコイル(10)の巻き数をnとしたときに、偶数層目のコイル(10)の巻き数を(n-1)として巻回してなるLWC22を用いて、
図3に示される如く、かかるLWC22の右側を下側に配置した状態で、矢印で示される方向に従って、管体10を繰り出すことが、提案されている。そして、それらのLWC22を用いると、例えば、
図3に示されるように、一層目のコイルを繰り出した後、二層目のコイルを繰り出すときに、それら二層目又は三層目の最下部に位置する管体10b(コイル)は、その下側の敷板20との間に、管径の1/2程度の大きさの空間が存在することとなるところから、その上方に位置するコイル(管体10c)からの押圧作用を受けることがなく、従って、抵抗なく繰り出すことが出来るために、キンク等のトラブルの発生も、良好に解消され得ることとなるとされている。
【0006】
ところが、
図2に示されるLWC22にあっても、次のような問題が内在しているのである。即ち、
図4に示されるように、LWC22では、ボビンの内筒(14)側となる内側のコイル層から、それに隣接する外側のコイル層に、管体10が巻回されるときに、内側コイル層の巻終端の管体部分11aと、外側コイル層の管体10,10間の凹所への嵌込み始端の管体部分11bとの間に、側板16と接触する内側コイル層の管体部分11cを乗り越えるのに、かかる管体部分11cとコイル軸直角方向に並んで配置される乗越え管体部分11dが、側板16と接触するように位置せしめられることとなる。なお、
図4においては、乗越え管体部分11dの配置状態の理解を容易とするために、外側コイル層の一部が省略され、また、各段の管体10における乗越え管体部分11dの配置位置が、実際とは異なって、周方向の同一箇所に位置するように描かれていることが、理解されるべきである。
【0007】
それ故、
図4の縦断面を示す
図5から明らかなように、LWC22の内側から二層目以降のコイル層の全てに、乗越え管体部分11dが、管体10の1周分における周方向の一箇所に必ず存在することとなる。そして、そのようなLWC22を、ボビン12が取り外された状態において、敷板としての支持プレート20にて支持させた際には、乗越え管体部分11dと支持プレート20との間に、空間が出来ない場合がある。そのため、LWC22をETS方式にて巻解する場合に、管体10が最下部から繰り出されるコイル層から、かかるコイル層の最下部に位置する乗越え管体部分11dを繰り出すときに、乗越え管体部分11dが、それを支持する支持プレート20と、乗越え管体部分11dの直上に位置する管体10との間に挟まって、直上の管体10からの押圧作用により、支持プレート20に対する摺動抵抗が増大してしまうことがあるのである。従って、最下部に位置する管体10と支持プレート20との間に空間が存在するように巻回されてなるLWC22にあっても、結局、管体10(乗越え管体部分11d)にキンク(折れ)等のトラブルが発生するといった恐れが、未だ存在していたのである。
【0008】
かかる状況下、特開2006-290619号公報(特許文献2)には、レベルワウンドコイルの支持プレート(パレット)との接触による損傷等を防止するために、それらレベルワウンドコイルと支持プレートとの間に介在せしめられる緩衝シートのレベルワウンドコイル側の面に、窪みを設け、この窪みに対して、前記せる乗越え管体部分が位置せしめられるようにしたレベルワウンドコイルの積載保持体(公報には、レベルワウンドコイルのパレット載置体と称されている)が、開示されている。そして、このような構造を有する緩衝シートを用いれば、乗越え管体部分(11d)の直下に、窪みによる空間が形成されるために、そのような乗越え管体部分(11d)の繰り出し時において、かかる乗越え管体部分(11d)の直上に位置する管体(10)からの押圧作用による抵抗が軽減され、以て、キンク等のトラブルの発生防止が図られ得ることが指摘されている。
【0009】
しかして、かくの如き窪みを備えた緩衝シートを、レベルワウンドコイルと支持プレートとの間に介在せしめて、レベルワウンドコイルの積載保持体を形成した場合、レベルワウンドコイルの重量が極めて大きいものであるために、レベルワウンドコイルを形成する管体が、自重により、緩衝シートの窪みに対応した部分において撓み、それによって、レベルワウンドコイルからの繰出し前の管体において、曲がり等の部分的な変形が生ずる恐れがあったのである。
【0010】
このため、特開2010-1072号公報(特許文献3)においては、LWCと支持プレートとの間に介在せしめられる緩衝シートが、かかるLWCを形成する管体との間の摺動抵抗が小さな低摩擦部を有するように構成すると共に、その低摩擦部を、支持プレート上に配置されるベースシートと、このベースシートに互いに間隔を開けて突設された、鉤型の先端部からなる接触部において管体に接触する可撓性の多数の突起を含んで、構成してなるLWCの積載保持体が提案されており、これによって、LWCからの管体の繰出しが、トラブルなく、スムーズに実施され得るようになることが、明らかにされている。
【0011】
しかしながら、そのような積載保持体に用いられる緩衝シートにおける低摩擦部は、多数の鉤型の突起をベースシートに植設してなる構造を採用するものであるところから、その製造に手間が掛かり、またその製造コストが高くなる問題を内在していると共に、それら多数の突起の間にゴミ等が入り込んだときに、それを除去する作業が面倒となる等、メンテナンス上において、少なからぬ問題を内在するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2002-370869号公報
【文献】特開2006-290619号公報
【文献】特開2010-1072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、LWCを敷板上に載置せしめてなるLWCの積載保持体において、かかるLWCからの管体の繰出し時におけるキンク等のトラブルの発生が、安価な構造において、効果的に防止され得るようにすることにあり、また、そのようなLWCの積載保持体の幾つかからなるLWCの梱包体や、かかるLWCの積載保持体に用いられる新規な構造の緩衝プレートを含んでなる敷板を提供することをも、その解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、本発明にあっては、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能であることは、言うまでもないところである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0015】
そこで、本発明は、先ず、前記した課題を解決すべく、金属製の管体を整列巻きして形成されるコイル層の複数を、隣接する一方のコイル層の管体が他方のコイル層の管体間の凹所に嵌め込まれるようにして、積層してなる構造のLWCを、そのコイル軸方向が垂直となるように、平坦な敷板上に載置せしめてなるLWCの積載保持体であって、前記敷板が、前記LWCの載置される板状の上側プレートと、該上側プレートに対して下方に所定距離を隔てて相対向して位置する板状の下側プレートと、それら上側プレートと下側プレートとを連結して、互いに平行に延びる複数のリブとを備え、それら複数のリブによって、前記上側プレートと前記下側プレートとの間の空間が仕切られて、該複数のリブの延設方向に延びる複数の中空部が、互いに平行に形成されている板状の緩衝プレートを含んで構成されてなり、且つ前記LWCが載置される前記上側プレートの表面に、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条が形成されていると共に、それら互いに平行な複数の凹条が前記LWCの円環形状の下端部をそれぞれ横切るように、該LWCが該緩衝プレート上に載置されて、該複数の凹条部位において、該LWCと該緩衝プレートとの間に所定の隙間がそれぞれ形成されていることを特徴とするLWCの積載保持体を、その要旨とするものである。
【0016】
なお、かかる本発明に従うLWCの積載保持体の好ましい態様の一つによれば、前記複数の凹条が、それぞれ、前記リブの延設方向に対して平行となるように、前記上側プレートの表面に形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に従うLWCの積載保持体にあっては、有利には、前記複数の凹条が、それぞれ、前記上側プレートに対する前記リブの連結部位に形成されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明に従うLWCの積載保持体の好ましい態様の他の一つによれば、前記リブは、その高さ方向の中間部に、少なくとも一つの屈曲部を有しており、また、前記緩衝プレートが、プラスチック材質にて構成されていることを特徴とする。
【0019】
加えて、本発明の望ましい態様の別の一つによれば、前記敷板が、その下面に滑り止め部を有し、該滑り止め部に対して、該敷板の下方に配置されるLWCの上部が当接せしめられるようになっていることを特徴とする。また、そのような滑り止め部は、有利には、滑り止めシートの貼着によって形成されることとなる。
【0020】
また、本発明にあっては、上述の如きLWCの積載保持体の一つ若しくはその複数を積み重ねてなり、且つその少なくともLWC部分が梱包されてなることを特徴とするLWC梱包体をも、その要旨とするものである。
【0021】
さらに、本発明にあっては、金属製の管体を整列巻きして形成されるコイル層の複数を、隣接する一方のコイル層の管体が他方のコイル層の管体間の凹所に嵌め込まれるようにして、積層してなる構造のLWCが、そのコイル軸方向が垂直となるようにして載置せしめられて、LWC積載保持体を構成する敷板であって、前記LWCの載置される板状の上側プレートと、該上側プレートに対して下方に所定距離を隔てて相対向して位置する板状の下側プレートと、それら上側プレートと下側プレートとを連結して、互いに平行に延びる複数のリブとを備え、それら複数のリブによって、前記上側プレートと前記下側プレートとの間の空間が仕切られて、該複数のリブの延設方向に延びる複数の中空部が、互いに平行に形成されている板状の緩衝プレートを含んで構成されてなり、且つ前記LWCが載置される前記上側プレートの表面に、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条が形成されていると共に、それら互いに平行な複数の凹条が前記LWCの円環形状の下端部をそれぞれ横切るように、該LWCが該緩衝プレート上に載置せしめられることによって、該複数の凹条部位において、該LWCと該緩衝プレートとの間に所定の隙間がそれぞれ形成されるようになっていることを特徴とするLWC積載保持体用敷板をも、その要旨とするものである。
【0022】
なお、上述の如きLWC積載保持体用敷板における緩衝プレートは、好ましくは、プラスチック材料の押出成形品にて構成されることとなる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明に従うLWCの積載保持体にあっては、LWCが載置、支持される敷板が、上側プレートと下側プレートとが互いに平行な複数のリブにて連結されて、それら複数のリブ間に、複数の中空部が互いに平行に配設されてなる構造とされていることにより、それら複数の中空部上に位置する上側プレート部位が、LWCの重量によって、複数のリブの配設部位よりも撓み易くなっているように構成されていると共に、かかる上側プレートのLWCが載置される表面に、複数の凹条が互いに平行に配設されて、それら複数の凹条部位においては、LWCの下端部に位置する管体との間に、所定の隙間がそれぞれ形成されるようになっているところから、例えば、ETS方式で、LWCから管体を繰り出す際に、所定のコイル層の最下部に位置して、敷板を構成する緩衝プレートの表面に接触する管体が、上部プレート部位の適度な撓みや隙間の存在によって、容易に摺動せしめられ得て、小さな摺動抵抗にて取り出され得ることとなるのであり、それによって、そのような上側プレートの表面に接触する管体が、たとえ、その直上に位置する管体からの押圧作用を受けていたとしても、かかる管体において、上部プレートとの間の大きな摺動抵抗に起因したキンク等のトラブルを生ずることが、有利に回避乃至は軽減され得るようになるのである。
【0024】
しかも、かかる本発明に従うLWCの積載保持体において、敷板として、又はその一部として用いられる緩衝プレートは、上側プレートと下側プレートとそれらを連結する複数のリブとから構成され、そして上側プレートの表面に、複数の凹陥した凹条が形成されている、比較的簡単な構造を呈するものであって、それは、プラスチックの押出成形等によって極めて容易に製造され得るものであるところから、その製造コストが有利に低減せしめられ得る特徴も有しているのである。
【0025】
従って、かくの如き本発明に従うLWCの積載保持体にあっては、LWCのコイルの巻き姿の如何に拘わらず、LWCからの管体の繰出し時におけるキンク等のトラブルの発生が効果的に防止され得るだけでなく、その繰出し前の状態での管体の撓みによる部分的な変形も有利に解消され得ることとなる。そして、その結果として、LWCから、全ての管体が、良好な品質をもって繰り出され得て、かかる管体の歩留まりが、極めて効果的に高められ得ることとなるのである。
【0026】
そして、本発明に従うLWC積載保持体用敷板を用いることによって、上記せる優れた作用・効果が、極めて有利に享受され得るのである。
【0027】
また、本発明に従うLWCの梱包体にあっても、前記したLWCの積載保持体において奏され得る優れた作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有利に享受され得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】管体の整列巻きによって形成されるLWCの一つの巻回方式を示す断面説明図である。
【
図2】管体を整列巻きして形成されるLWCの他の異なる巻回方式を示す断面部分説明図である。
【
図3】LWCを巻き解き、管を取り出すときの形態を示す断面部分説明図である。
【
図4】一般的なLWCの側面の一部を示す説明図である。
【
図6】本発明に従う構造を有するLWCの積載保持体の一例を示す斜視説明図である。
【
図7】
図6に示されたLWCの縦断面説明図である。
【
図8】
図6に示されるLWCの積載保持体に用いられている緩衝プレートの上面説明図である。
【
図9】
図8におけるB-B断面の部分説明図、及びその一部拡大説明図である。
【
図10】
図9に示される断面形態において、異なる位置に管体が載置されてなる状態を示す説明図であって、(a)は、緩衝プレートにおけるリブ間に位置する上側プレート部位に管体が載置された状態を示すものであり、(b)は、リブが配設されてなる上側プレート部位に管体が載置された状態を示すものである。
【
図11】上側プレート及び下側プレートとリブとの接続部位を更に拡大して示す断面説明図である。
【
図12】本発明に従うLWCの梱包体(三段積みの状態)の一例を示す断面説明図である。
【
図13】本発明に従う構造を有するLWCの積載保持体に用いられている緩衝プレートの下面に形成される滑り止め部の配設形態を示す説明図であって、(a)及び(b)は、それぞれ、その異なる例を示している。
【
図14】本発明に従う構造を有するLWCの積載保持体に用いられている緩衝プレートの上面に形成される滑り止め部の配設形態の一例を示す、
図8に対応する上面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0030】
先ず、
図6には、本発明に従う構造を有するLWCの積載保持体の一実施形態が、その斜視図において示されており、また
図7には、その縦断面形態において、概略的に示されている。そして、それらの図から明らかなように、本実施形態のLWC(レベルワウンドコイル)の積載保持体は、LWC24と、それが載置されてなる、敷板としての緩衝プレート26とを有して、構成されている。
【0031】
より具体的には、LWC24は、銅管やアルミ管等の管体10を整列巻きして形成されるコイル層の複数を、隣接する一方のコイル層の管体10が他方のコイル層の管体10,10間の凹所に嵌め込まれるように積層してなる、内側から巻き解かれる公知の構造を有している。即ち、かかるLWC24は、例えば、前述せる
図1に示される如きトラバース巻きによる通常の整列巻き方式にて、管体10が、ボビン12に巻き回された後、ボビン12が取り外されることによって、形成されることとなる。
【0032】
そして、その得られたLWC24が、コイル軸方向を上下方向とし、且つ管体10の巻回開始端10aを上部に位置せしめた状態で、かかる管体10の巻回開始端10a側とは反対側のコイル軸方向端面において、緩衝プレート26上に載置されて、かかる緩衝プレート26にて支持されている。
【0033】
なお、ここでは、そのようなLWC積載保持体を構成するLWC24が、
図2に示されるLWC22と同様な巻き姿とされている。これにより、LWC24が緩衝プレート26上に支持された状態下において、LWC24の内側から数えて偶数列目のコイル層の最下部に位置する管体10と緩衝プレート26との間に、管体10の外径の1/2程度の大きさの空間が、形成されている。また、LWC24の内側から数えて奇数列目のコイル層の巻終端の管体部分11aと、かかるコイル層の外側に隣接位置するコイル層の管体10の一部分である、該奇数列目の管体10,10間の凹所への嵌込み始端の管体部分11bとの間には、緩衝プレート26(
図5では支持プレート20)と接触する、該奇数列目のコイル層の管体部分11cを乗り越えるのに、かかる管体部分11cとコイル軸直角方向に並んで配置される乗越え管体部分11dが、緩衝プレート26と接触するように、位置せしめられている(
図4参照)。
【0034】
そして、本実施形態のLWC積載保持体においては、LWC24が載置せしめられる緩衝プレート26が、
図8や
図9に示される如き構造とされているのである。即ち、緩衝プレート26は、
図8に示される平面形態から明らかな如く、全体として、LWC24の外径よりも所定寸法大きな外径を備えた円形の平板形状を呈していると共に、その中心部に円形の中心孔28が設けられてなる円板状のプレート部材から構成されている。そして、そのような緩衝プレート26のLWC24が載置される上面には、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条30が、所定深さでそれぞれ形成されている。なお、
図6や
図8において、そのような複数の凹条30は、それぞれ、一本の実線にて、簡略的に示されている。
【0035】
より詳細には、敷板としての緩衝プレート26は、
図8に示される平面形態や
図9に示される断面形状から明らかな如く、板状の上側プレート32と、この上側プレート32に対して下方に所定距離を隔てて相対向して位置する板状の下側プレート34と、それら上側プレート32と下側プレート34とを連結して、互いに平行に延びる複数のリブ36とを備えており、それら複数のリブ36によって、上側プレート32と下側プレート34との間の空間が仕切られて、それら複数のリブ36の延設方向に延びる複数の中空部38が、互いに平行に形成されてなる形態において構成されており、且つLWC24が載置される上側プレート32の表面(上面)には、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条30が、ここでは、リブ36による上側プレート32と下側プレート34の連結部位に位置するように、それぞれ、形成されているのである。なお、リブ36には、その立設方向における中間部位の2箇所に、それぞれ、逆方向にくの字状に僅かに屈曲する屈曲部36a,36bが形成されており、この屈曲部36a,36bにおいて、荷重が加わった際に、リブ36が屈曲して、該リブ36の連結された上側プレート32部位が撓み易くなっている。
【0036】
また、かくの如き横断面形状を有する緩衝プレート26は、有利には、プラスチック材質にて構成され、例えば、所定のプラスチック(樹脂)材料を用いた押出成形操作にて、容易に製造が可能であり、これによって、そのような緩衝プレート26の製造コストを効果的に低減せしめることが出来る。なお、ここで、有利に用いられるプラスチック材質としては、緩衝プレート26の表面における、LWC24を構成する管体10の滑りを良好にする上において、ポリプロピレンの如きポリオレフィン系材料が、有利に用いられることとなる。
【0037】
特に、本実施形態において採用される、上側プレート32や下側プレート34に対するリブ36の連結部位に、それぞれ、凹条30,30が形成されてなる構造は、プラスチック材料の押出成形操作によって有利に実現されることとなる。即ち、プラスチック材料の押出成形時に、かかる上側/下側プレート32,34とリブ36との連結部位に、プラスチック材料の成形収縮を充分に生ぜしめて、プレート表面に凹陥した所定深さの凹所が形成されるように、押出成形操作を進行させることによって、目的とする凹条30が、リブ36に沿って、その延設方向に、それぞれのプレート32,34の表面に効果的に形成され得るのである。勿論、それら凹条は、そのような凹条を形成するダイスを用いた通常の押出成形操作によって形成することも可能であり、その場合において、凹条30は上側/下側プレート32,34の任意の位置に形成することが可能である。
【0038】
そして、LWC24が、そのような
図8や
図9に示される如き表面形態を有する緩衝プレート26上に、
図6や
図7に示される如く、そのコイル軸方向が垂直となるように載置せしめられると、緩衝プレート26の表面(上面)の互いに平行な複数の凹条30が、LWC24の円環形状の下端部を、それぞれ、横切るように位置することとなるのであり、これによって、それら複数の凹条30部位において、LWC24と緩衝プレート26との間には、所定の隙間が、それぞれ形成されるようになり、以て、LWC24と緩衝プレート26との間の接触面積が効果的に低減せしめられ得ることとなると共に、リブ36の配設位置よりも、リブ36,36間に位置する上側プレート32部位、換言すれば中空部38上に位置する部位が撓み易くなっているところから、LWC24における管体10の重量の作用によって適度の撓みが惹起されるようになるのである。
【0039】
従って、緩衝プレート26上に載置されたLWC24から、その各コイル層の管体10が、例えば、前述せる如きETS方式にて繰り出される場合において、緩衝プレート26上に位置するコイル層の最下部に位置する管体10が、緩衝プレート26の表面に沿って引っ張られて、横方向に移動せしめられる際に、管体10が、緩衝プレート26の表面の接触部上を、小さな摺動抵抗において、従って比較的小さな力にて、引き出(繰り出)され得ることとなるのである。
【0040】
それ故に、緩衝プレート26上に配置されたコイル層の最下部に位置する管体10が、例え、その直上に位置する管体10から、コイル層の重量荷重による押圧作用を受けていたとしても、管体10の引出しが比較的小さな力にて実現され得るところから、緩衝プレート26との間の大きな摺動抵抗に起因するキンク等のトラブルの発生が、有利に回避乃至は軽減され得るようになるのである。しかも、緩衝プレート26においては、従来技術とは異なり、コイル層の最下部に位置する管体10に対する、その直上に位置する管体10からの押圧作用を軽減するために、大きな凹み等が、何等設けられておらず、互いに平行な複数の凹条30が、それぞれ、LWC24の円環形状の下端部をそれぞれ横切るように設けられているものであるところから、そのような大きな凹みの存在によって、管体10が撓んで、部分的に曲げ変形してしまうようなことも、何等惹起されることがないのである。
【0041】
具体的には、LWC24が緩衝プレート26上に載置されると、LWC24の各コイル層の最下部に位置する管体10は、緩衝プレート26の表面に対して、
図10(a)や(b)に示される如き形態において接触するようになるのであるが、その何れの場合においても、緩衝プレート26の多孔構造や凹条30の存在に基づいて、撓みや隙間を効果的に発生せしめて、最下部の管体10の繰出しが容易となるのである。
【0042】
すなわち、
図10(a)に示されるLWC24の接触構造においては、管体10が、緩衝プレート26における二つのリブ36,36間(中空部38上)に位置する上側プレート32部分に接触した状態が示されているが、その場合にあっては、管体10上に積層されるコイル層の重量を受けて、当該上側プレート32部分が適度に撓むようになると共に、そのような接触管体10は、LWC24の下端部において、円形の平面形状において位置するものであるところから、
図6に示される形態より明らかな如く、複数の凹条30が横切る形態となり、これによって、管体10と緩衝プレート26の上側プレート32との間には、多数の隙間が形成されることとなるところから、管体10の繰出し抵抗力が効果的に低減せしめられ得て、そのような下端管体10の横方向(水平方向)への繰出しが容易に行なわれ得ることとなるのである。
【0043】
また、
図10(b)に示される接触形態は、LWC24における最下端の管体10が、緩衝プレート26の上側プレート32に形成された凹条30上に位置して、支持されている状態を示しているのであるが、そこにおいて、最下部の管体10を含んで、その上に形成されるコイル層の重量を受けると、図示の如く、上側プレート32は撓むと共に、ここでは凹条30が、リブ36の連結部上に位置するように設けられているところから、かかるリブ36も、その屈曲部36a,36bの存在にて撓むようになるのであるが、凹条30によって、上側プレート32とLWC24の最下部の管体10との間に形成される隙間は、依然として存在すると共に、リブ36の連結部位よりも、中空部38上に位置する上側プレート32部位の方がより大きく撓み得ることとなり、これによって、大きな摺動抵抗を惹起することなく、最下部管体10の横方向への引出しが、比較的小さな力にて実現され得ることとなり、以て、キンク等のトラブルの発生が効果的に抑制乃至は阻止され得ることとなるのである。
【0044】
ところで、かくの如きLWC24が載置される緩衝プレート26において、その厚さとなる上側プレート32と下側プレート34との間の高さ:hや、リブ36,36間のピッチ:p
1 、上側プレート32、下側プレート34及びリブ36のそれぞれの厚さ:t
1 ,t
2 ,t
3 、更には、凹条30の深さ:aや幅:w、凹条30,30間のピッチ:p
2 (
図11参照)等にあっては、LWC24のサイズやそれを構成する管体10の外径等に応じて、適宜に決定されることとなる。
【0045】
例えば、エアコン等の空調機器における平滑管や内面溝付管等の伝熱管として、また、建築用の給湯配管や給水配管等として利用される銅管やアルミ管等からなる、LWC24における管体10の外径は、一般的に4~10mm程度とされているところから、緩衝プレート26における上側プレート32と下側プレート34との間の高さ:hとしては、一般に1~20mm程度、好ましくは3~10mm程度が採用され、また、リブ36,36間のピッチ:p1 としては、一般に1~20mm程度、好ましくは2~15mm程度が採用され、更に、上側プレート32、下側プレート34及びリブ36のそれぞれの厚さ:t1 ,t2 ,t3 としては、一般に2mm程度以下、好ましくは0.1~1.0mm程度のサイズが採用されることとなる。
【0046】
また、かかる緩衝プレート26における上側プレート32や下側プレート34に形成される凹条30についても、そのサイズは、管体10の外径等に応じて、適宜に決定され、例えば、
図11に示される基準において、凹条30の深さ:aとしては、一般に3~200μm程度、好ましくは5~100μm程度が採用され、また、幅:wとしては、一般に0.1~4.0mm程度、好ましくは0.2~2.0mm程度が採用され、更にそれら凹条30,30間のピッチ:p
2 としては、一般に1~20mm程度、好ましくは2~15mm程度が採用されることとなる。このような範囲内の深さ:a、幅:w及びピッチ:p
2 を採用することによって、本発明の目的が有利に達成され得ることとなるのであり、また、実用的な緩衝プレート26として、敷板そのものとして或いは敷板の一部として、有利に用いられ得ることとなるのである。
【0047】
なお、上記した実施形態においては、緩衝プレート26のみにて敷板が構成され、かかる緩衝プレート26上に、LWC24が載置されて、目的とするLWC24の積層保持体が構成されているのであるが、かかる緩衝プレート26の下側に、補強等の目的にて、所定厚さの支持プレートを配置し、それら緩衝プレート(26)と支持プレートとを、接着剤等によって固定、一体化せしめてなる敷板構造を採用することも可能である。
【0048】
そして、上述の如くして、LWC24を緩衝プレート26上に載置して得られる、
図6に示される如き積載保持体は、従来と同様にして、その少なくともLWC24部分を樹脂フィルム等によって包装したり、また、金属製や樹脂製のバンドを用いて、コイルの巻き姿を固定したり、更には、LWC24と緩衝プレート26とを、適当なバンドにて、緊縛したりする等して梱包され、LWC24の梱包体とされて、出荷、運搬、保管されることとなるのである。また、そのような梱包体が、搬送先のエアコンメーカー等のユーザーの下において開梱され、そして、前述せるように、LWC24が巻き解かれて、管体10が取り出され、目的とする用途に供されることとなるのである。
【0049】
ところで、かかる梱包体は、単に、LWC24の一つが、敷板を構成する緩衝プレート26上に載置されてなる形態を対象とするのみならず、LWC24の複数を段積みしてなる形態においても構成することは可能であるが、その場合においては、
図6や
図7に示される積載保持体の形態において、二段、三段、或いはそれ以上の段積みが行われることとなる。
【0050】
図12には、LWC24を三段積みした場合の形態が示されているが、そこにおいて、各LWC24は、何れも、敷板としての緩衝プレート26上に支持された形態において、下段のLWC24の上に上段の積載保持体の緩衝プレート26が、直接に積み重ねられているのである。なお、ここでは、そのような三段積みのLWC24の搬送のために、最下段のLWC24の積載保持体を支持するべく、その下方に位置するように、搬送用のパレット50が配置されている。そして、このような三段積みの構造において、従来と同様な梱包が施されて、梱包体とされ、目的とする場所に搬送され得るようになっているのである。なお、パレット50は、LWC24の複数を段積みする場合に用いられる他、一つのLWC24を載置して、搬送せしめる場合においても、有利に用いられ得ることは、言うまでもないところである。
【0051】
そして、かくの如くLWC24の複数を段積みする場合において、緩衝プレート26からなる敷板には、その下面に、滑り止め部が設けられて、この滑り止め部において、緩衝プレート(敷板)26の下方に配置されるLWC24の上部が当接せしめられることにより、運搬時のLWC24の滑りによる荷崩れが惹起される恐れが有利に解消され得ることとなる。このように、緩衝プレート26(敷板)の下面に滑り止め部を設けて、下方のLWC24の運搬時における荷崩れの防止を図る一方、かかる緩衝プレート26の上面においては、そこに載置されたLWC24からの管体10の繰出しが円滑に行なわれ得て、キンク等の問題の発生が有利に回避し得ることとなることにより、複数のLWC24の段積み搬送が、実用的に有利に実現され得ることとなったのである。
【0052】
なお、
図13には、そのような滑り止め部の形成パターンの異なる例が示されており、
図13(a)においては、下段に位置するLWC24の円環形状を呈する上面の全体に接するように、円環形状の滑り止め部60が形成されている。また、
図13(b)においては、所定幅の帯状の滑り止め部60の4つが、90°の位相差をもって、敷板である緩衝プレート26の下面に放射状に設けられており、LWC24の上面の4箇所において滑り止め作用が発揮され得るようになっているのである。
【0053】
また、そのような敷板(緩衝プレート26)の下面に設けられる滑り止め部60は、従来から、滑り止めシート乃至は防滑性シートとして市販もされている公知の滑り止めシートを用いて、それを、接着剤等によって敷板に貼着することにより、容易に形成することが出来る。そのような滑り止めシートは、例えば、合成樹脂製の布状態の片面又はその両面に、エチレン-α-オレフィン共重合体等からなる防滑層が形成されてなる構造を有しており、パイオラン等の商品名にて市販されているノンスリップシートが、有利に用いられることとなる。
【0054】
さらに、上述の如き滑り止め部60は、緩衝プレート26の下面のみならず、緩衝プレート26の上面にも、本発明の目的が達成され得る限度において、配設することが可能であり、その一例が、
図14に示されている。そこでは、帯状の滑り止め部60の4つが、
図13(b)の場合と同様に、それぞれ90°の位相差をもって配設されており、これによって、緩衝プレート26の上面に積載されるLWC24の運搬時等における移動(滑り)が有利に抑制乃至は阻止され得るようになっている。なお、そのような滑り止め部60は、ここでは、図示の如く、LWC24の径方向における外周側の一部のみに位置するように設けられており、LWC24の半径の全長に亘って位置しないようになっている。
【0055】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0056】
例えば、例示の実施形態では、緩衝プレート26が、円形の外形形状を呈するものとして、構成されているが、そのような円形形状に限られるものではなく、矩形や五角形、六角形、八角形等の多角形形状を呈するものとして構成されていても、何等差支えない。
【0057】
また、例示の実施形態においては、緩衝プレート26の上側プレート32の表面に形成される凹条30が、上側プレート32と下側プレート34を連結するリブ36の連結部位上に位置するように形成されているが、隣接するリブ36,36間に位置する上側プレート32部位に設けられていても、何等差支えなく、加えて、凹条30,30間のピッチ:p2 にあっても、隣接するリブ36,36のピッチ:p1 とは異なるピッチにおいて、それら凹条30が配設されていても、何等差支えない。勿論、かかる凹条30は、上側プレート32の表面に形成されているだけで充分であり、下側プレート34の表面に形成されている必要はない。しかし、緩衝プレート26の両面を自由に選択使用する上において、例示の如く、上側プレート32と共に、下側プレート34の表面にも凹条30を形成しておくことは、実用上において有効である。
【0058】
さらに、リブ36の形状にあっても、例示の如く、その高さ方向の中間部に屈曲部36aや36bを設けることが、管体10の重量が作用したときに、容易に撓み変形を惹起させ得る点において有効ではあるものの、単に、そのような屈曲部36a,36bを設けることなく、垂直方向にストレートな形状を呈するようなリブ形状のものであっても、何等差支えなく、また、互いに異なる方向に傾斜するリブを交互に配置して、台形形状において、上側プレート32と下側プレート34とを連結せしめる構造のものであっても、本発明においては、採用可能である。
【0059】
更にまた、例示の実施形態においては、LWC24の内周側のコイル層から管体10を巻解する方式が示されているが、LWC24の外周側のコイル層から、管体10を巻解するようにしても、何等差し支えない。
【0060】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において、実施され得るものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0061】
10 管体 11d 乗越え管体部分
12 ボビン 14 内筒
16 側板 20 支持プレート
18,22,24 レベルワウンドコイル(LWC)
26 緩衝プレート 28 中心孔
30 凹条 32 上側プレート
34 下側プレート 36 リブ
36a,36b 屈曲部 38 中空部
50 パレット 60 滑り止め部
【要約】
レベルワウンドコイル(LWC)からの管体の繰出しがトラブル無くスムーズに実施され得るLWCの積載保持体を提供する。
LWC24が載置される緩衝プレート26において、上側プレート32と下側プレート34と複数のリブ36とにより、複数の中空部38が互いに平行に形成されている板状の緩衝プレート26を含んで構成されてなり、且つLWC24が載置される上側プレート32の表面に、所定距離を隔てて互いに平行に凹陥して延びる複数の凹条30が所定深さで形成されていると共に、それら複数の凹条30がLWC24の円環形状の下端部をそれぞれ横切るように、LWC24が緩衝プレート26上に載置されて、複数の凹条30部位において、LWC24と緩衝プレート26との間に所定の隙間がそれぞれ形成されるよう構成した。