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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ゲーム用具
(51)【国際特許分類】
   A63B 67/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A63B67/00 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018139381
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020014660
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】柘植 辰也
(72)【発明者】
【氏名】田口 あゆ子
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-084669(JP,U)
【文献】特開2016-107038(JP,A)
【文献】特開2011-078777(JP,A)
【文献】実開平04-088974(JP,U)
【文献】実開昭51-147556(JP,U)
【文献】実開昭57-076661(JP,U)
【文献】実開昭53-023360(JP,U)
【文献】米国特許第05100152(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 43/00
A63B 63/00 - 67/22
A63H 33/10
A63H 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投擲物(4)と標的からなるゲーム用品(1)であって、
前記投擲物(4)は、全体形状が多面体であり、スポンジ(41)とその外側を覆う面ファスナ(42,43;42A,43A)で形成されており、
前記標的は標的本体(3)と標的支持部(2,2A,2B)からなり、
前記標的本体(3)は全体形状が立方体であり、スポンジとその外側を覆う面ファスナ(34)で形成されており、
前記標的本体(3)の立方体は、少なくとも一部の稜線部分が面取り部分(31,32,33)となっている
ことを特徴とするゲーム用品。
【請求項2】
前記投擲物(4)の面ファスナ(42,43)が雌雄混在型のものである請求項1に記載のゲーム用品。
【請求項3】
前記投擲物(4)の面ファスナが雄型ファスナ(42A)と雌型ファスナ(43A)を、それぞれ位置を変えて1つの投擲物の表面上に設けたものである請求項1又は2に記載のゲーム用品。
【請求項4】
前記標的本体の面ファスナ(34)が雌雄混在型、雄型、雌型のいずれかである請求項1~3のいずれかに記載のゲーム用品。
【請求項5】
前記投擲物(4)の前記多面体が、スポンジ(41)からなる立方体の外側を2枚のテープ状面ファスナ(42,43)で覆って形成されているものである請求項1~4のいずれかに記載のゲーム用品。
【請求項6】
前記標的支持部(2,2A,2B)に揺動手段を設けた請求項1~5のいずれかに記載のゲーム用品。
【請求項7】
前記揺動手段が揺動スプリング(25)である請求項6記載のゲーム用品。
【請求項8】
前記揺動手段が前記標的支持部(2A)の基礎台(21A)に設けた起き上がりこぼし構造である請求項6記載のゲーム用品。
【請求項9】
前記標的支持部(2,2A)の長さ調節が可能である請求項1~8のいずれかに記載のゲーム用品。
【請求項10】
前記標的支持部(2B)がクレーン(5)により上方から支持されており、前記標的本体(3)が前記標的支持部(2B)により上方から吊り下げられている請求項1~7,9のいずれかに記載のゲーム用品。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかのゲーム用品において使用する前記標的本体(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム用具に関する。特に、標的に向かって投擲物を手で投げ、標的の表面上に付着した投擲物の個数や付着場所に応じて得点を競うゲームにおいて使用する用具に関する。
【背景技術】
【0002】
標的に向かって玉や矢などの投擲物を投げて標的の表面上に付着させる競技は多数知られている。例えば、特開2016―107038では、プレーヤーが「スティックボール」と呼ばれる面ファスナボールを相手選手に向かって投げ、付着部位に応じて得点を競う。特開2017―176615では、プレーヤーが粘着性のスクリーンに向かってボールを投げ、付着した領域に応じて得点を競う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016―107038
【文献】特開2017―176615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のゲームではいずれも付着性の投擲物としてボール(球体)を使用する。しかし、面ファスナを使用してボール表面を付着性にするのは、上記特開2016―107038で紹介されているが、そのような製品は市場には見当たらず、実際に製造するのは非常に困難である。なぜなら、面ファスナ表面は比較的に硬く、球体に加工しにくいからである。そのため、大抵のボール競技では、標的を面ファスナ雄部材(いわゆるA面)で形成し、ボールは面ファスナ付着性の生地(いわゆるB面)で形成している。
【0005】
しかし、ボールでは対象物との接触が点接触となるため、よほど軽く小さなボールでなければ付着しないで落ちてしまう。そのような軽く小さなボールでは、ゲームとしての面白さやスポーツとしての醍醐味に欠ける。
【0006】
本発明は、この問題を解決するために投擲物を球体ではなく、多面体、特にキューブ(立方体)とすることにより、上記問題を解決しようとすることを目的とする。また、あわせてこのゲームにおいて使用する新規な標的も提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のゲーム用品は、投擲物と標的からなるゲーム用品1であって、前記投擲物4は、全体形状が多面体であり、スポンジ41とその外側を覆う面ファスナ42,43で形成されており、前記標的は標的本体3と標的支持部2からなり、前記標的本体3は全体形状が多面体であり、スポンジとその外側を覆う面ファスナ34で形成されており、前記標的本体3の立方体は、少なくとも一部の稜線部分が面取り部分31,32,33となっていることを特徴とする。


【0008】
好ましくは、前記投擲物4の多面体が立方体であり、前記標的本体3の多面体も少なくとも一部の稜線部分を面取り部分31,32,33とした立方体である。
【0009】
前記投擲物4の前記立方体は、スポンジ41からなる立方体の外側を2枚のテープ状面ファスナ42,43で覆って形成されているものであることが好ましい。
【0010】
好ましくは、前記投擲物4の面ファスナ42,43が雌雄混在型のものである。しかし、別の実施態様では、雌型ファスナ42A、雄型ファスナ43Aとして、それぞれ位置を変えて1つの投擲物の表面上に設けることもできる。
【0011】
前記標的本体の面ファスナ34も雌雄混在型のものとすることが好ましい。しかし、別の実施態様では、雌型ファスナや雄型ファスナとすることもできる。
【0012】
また、前記標的支持部2には揺動手段を設けるのが好ましい。
【0013】
前記揺動手段としては、揺動スプリングとすることができる。
【0014】
別の態様では、前記揺動手段は前記標的支持部2の基礎台21に設けた起き上がりこぼし構造とすることもできる。
【0015】
さらに、好ましくは前記標的支持部2の長さ調節が可能であることである。
【0016】
前記標的本体は支持部により下方から支持するだけでなく、クレーン5等を使用して上方から支持して吊り下げることもできる。
【0017】
本発明は、前記ゲーム用品において使用する前記投擲物4及び前記標的それぞれを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、付着性の投擲物を球体ではなく、多面体、特にキューブ(立方体)で構成している。そのため、製造が容易である。また、標的支持部に揺動手段を設ければ、投擲物が付着しにくくなると共に、付着した投擲物4が振り落されることもあるので、ゲームやスポーツとして興趣が尽きない。
【0019】
また、競技が終了して得点を数えるときや後片付けをするときに、ボールと異なり、キューブであれば数を数えるのが容易になる。
【0020】
例えば得点を数えるときには、参加者の面前で縦横5列に並べた25個のキューブを積み上げていくことで誰でも視覚的に容易に得点を計算することができる。そのため、得点公表の時間が短縮化されると共に採点者の勘違いやごまかしがないことが視覚的に理解できる。
【0021】
後片付けのときにも、例えば全体の使用個数が125個であるとき、全部を収納しようと思えば、縦横5列に並べた25個のキューブを5段積み上げればよく、時間が短縮化されると共に紛失する可能性を減らすことができる。さらに、ボールと異なり、キューブは収納箱にきちんと隙間なく納まるので、収納や運搬に便利である。
【0022】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明実施例1のゲーム用品を使用してゲームを行っている状態の斜視図である。
図2】本実施例1で使用するキューブの分解図である。
図3】本実施例1で使用するキューブの完成状態の斜視図である。
図4】本実施例1で使用する標的の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)背面図、(e)左側面図、(f)右側面図である。
図5】標的本体を第1支持部(実施例1)に取り付けた状態の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
図6】標的本体を第2支持部(実施例3)に取り付けた状態の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
図7】実施例2で使用するキューブの分解図である。
図8】標的本体をクレーンにより上方から吊り下げるタイプの標的(実施例4)の正面図である。
【実施例1】
【0024】
図1に示すように、本実施例1のゲーム用具1は、支持部2の上に載置された標的本体3に向かって多面体、図示の実施例1では立方体(キューブ)4を手で投げ、標的本体3の表面上に付着したキューブ4の個数や付着場所に応じて得点を競うゲームにおいて使用する。
【0025】
<キューブ>
実施例1の投擲物は図3に示すようなキューブ4である。大きさや重さは手で握って投げやすいことが求められ、一辺の長さ3~8cm、重量5~20g程度であることが好ましい。
【0026】
このキューブ4は、図2で示すように、スポンジ41からなる立方体の外側を2枚のテープ状面ファスナ42,43で覆って形成されている。具体的には、正面、左側面、右側面を1枚のテープ状面ファスナ42で覆い、背面、平面、底面をもう1枚の面ファスナ43で覆って形成されている。面ファスナ42,43とスポンジ41は接着剤で固着されている。
【0027】
キューブ4の中のスポンジ41としては、例えば、ポリウレタンスポンジ、ポリエチレンスポンジ、クロロプレンラバー等を用いることができる。キューブはスポンジが主体であり、軽く柔らかいので、直接、人に当たってもけがをさせるようなことはない。
【0028】
このキューブ4において使用する面ファスナ42,43は、実施例1では、雌雄混在型面ファスナである。そのようなファスナの一例が「フリーマジック」(登録商標)という名称で株式会社クラレから販売されている。
【0029】
キューブ4は単独でも自己付着性を有するので、図1に示すように、キューブ4同士が付着して連続したり枝分かれしたりすることがある。このような付着に高得点を配分することを考えてもよい。また、そのこのようなキューブの性質を利用して幼児用の積み木ブロックおもちゃとすることもできるであろう。
【0030】
<標的>
図1に示したように、実施例1の標的は標的本体3と標的支持部2からなる。標的本体3は投擲物のキューブを巨大化したようなものということができる。この標的本体3が標的支持部2により支持されている。
【0031】
標的本体3の大きさは一辺の長さが20~40cm程度で、重さは1~2kg程度である。標的本体3は、図4に示すように、完全な立方体ではなく、稜線が3か所で面取りされている。この面取り部分31~33を設けた理由は、このように狭い部分にキューブ4が付着するのは困難なので、それにふさわしい高得点を配分するためである。
【0032】
標的本体3もキューブ4と同様に、スポンジ(図示せず)からなる立方体の外側を面ファスナ34で覆って形成されている。標的本体は必ずしも2枚の面ファスナで形成する必要はなく、各面1枚使用してもよい。
【0033】
標的本体3のスポンジと面ファスナ34はキューブ4と同じ素材を使用することができる。キューブと標的は、同時に製造、梱包、運搬することが多いので、なるべく同じ素材で形成するのが経済的である。
【0034】
図1図5、6に示すように、標的支持部2は、基礎台21とこの基礎台21から直立する細長い棒22からなる。図5、6に矢印で示すように、棒22の長さは調節可能となるように調節部23を設けておくことが好ましい。標的本体3の高さを変更することにより、この競技は子供から大人まで楽しむことができる。
【0035】
標的本体3を標的支持体2に固定するには、標的本体3のコーナー部35を標的支持部2の頂上受け座24に取り付けることが好ましい。このように取り付けることにより、標的本体3の付着面は斜め下のプレーヤーPから見てすべて斜面となり、付着の困難性を高めることができる。
【0036】
付着の困難性をさらに高めるために、標的支持部2を動きやすくするのが好ましい。図1図5の実施例1では、標的支持部2の棒22に揺動スプリング25を設けている。標的本体3はキューブ4が当たるたびにゆらゆらと揺れるので、キューブ4が付着しにくくなると共に、付着したキューブ4が振り落されることもある。このようにしてゲームやスポーツとして難易度を高めることができる。
【実施例2】
【0037】
実施例2で使用するキューブにおいては、図7に示すように、面ファスナとしては雄型ファスナ42Aと雌型ファスナ43Aを使用し、それぞれ位置を変えて1つのキューブ表面上に設けている。具体的には、正面、左側面、右側面を1枚の雄型面ファスナ42Aで覆い、背面、平面、底面をもう1枚の雌型面ファスナ43Aで覆って形成されている。このとき、標的側の面ファスナは雄型ファスナのみ、雌型ファスナのみ、雌雄混在型といずれであってもよい。このようにすることにより、キューブが標的にあたっても雄型同士又は雌型同士の接触であれば付着しない。このことにより、ゲームやスポーツとして難易度を高めることができる。
【実施例3】
【0038】
実施例3で使用する標的においては、図6に示すように、標的支持部2Aの棒22Aに板バネを設けると共に、基礎台21Aの下面を半球状として一種の起き上がりこぼし構造としている。このようにすることにより、標的本体3はキューブ4が当たるたびにゆらゆらと揺れるので、キューブ4が付着しにくくなると共に、付着したキューブ4が振り落されることもある。このことにより、ゲームやスポーツとして難易度を高めることができる。
【実施例4】
【0039】
実施例4で使用する標的においては、図8に示すように、クレーン5により上方から支持されている。クレーン5先端に取り付けられた標的吊り下げ棒2Bには揺動スプリング24Bが取り付けられている。前記実施例と同様に、標的本体3はキューブ4が当たるたびにゆらゆらと揺れるので、キューブ4が付着しにくくなると共に、付着したキューブ4が振り落されることもある。
【符号の説明】
【0040】
1 ゲーム用品
2,2A,2B 標的支持部
21、21A 基礎台
22、22A 棒
23 調節部
24 受け座
25 揺動スプリング
3 標的本体
31,32,33 面取り部分
34 面ファスナ
35 コーナー部
4 投擲物
41 スポンジ
42,43 雌雄混在型面ファスナ
42A 雄型ファスナ
43A 雌型ファスナ
5 クレーン
P プレーヤー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8