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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】筋肉電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017088040
(22)【出願日】2017-04-27
(65)【公開番号】P2018183481
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-045696(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105916548(CN,A)
【文献】特表2010-519003(JP,A)
【文献】特開2017-018516(JP,A)
【文献】再公表特許第2009/072437(JP,A1)
【文献】特開2016-202409(JP,A)
【文献】特表2014-533525(JP,A)
【文献】米国特許第06445955(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0004261(US,A1)
【文献】米国特許第08938303(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下肢または上肢の被装着部の周囲に沿って装着される装着面を有する本体部を備え、
前記装着面は、被装着部を周回するX方向と、X方向に直交するY方向と、に延在し、
前記本体部には、Y方向に離間して配置された一対の電極が設けられ、
前記一対の電極のそれぞれは、X方向の範囲がY方向の範囲より大きい帯状であり、被装着部に当該被装着部の筋繊維の延伸方向に沿って電流を流すように配置され、
前記本体部にはX方向の一端から他端に向かう隙間が設けられており、前記一対の電極は前記隙間で隔てられたそれぞれの領域に設けられており、
前記本体部は、前記隙間のY方向の中心を通りX方向に延びる直線に対して線対称に形成され、
前記本体部には、前記一対の電極に電圧を供給する制御ユニットがX方向の他端側に配置されていることを特徴とする筋肉電気刺激装置。
【請求項2】
前記一対の電極のそれぞれの長手方向は、平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載の筋肉電気刺激装置。
【請求項3】
前記一対の電極の間の距離は、方向の一端から他端に向かって漸減するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の筋肉電気刺激装置。
【請求項4】
前記本体部は、第1基材と、第2基材と、カバー部材と、を含み、
前記第1基材には、前記一対の電極を露出させる開口が設けられ、
前記第2基材には、前記一対の電極が設けられ、
前記カバー部材は、前記第2基材の前記第1基材とは反対側に積層されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の筋肉電気刺激装置。
【請求項5】
前記本体部には、ベルト部材を取付けるための一対の連結部が設けられており、
前記一対の連結部の一方に前記ベルト部材の一端部を連結して、前記本体部を被装着部に巻いた状態において、前記一対の連結部の他方は、前記ベルト部材の他端部が周回可能な範囲に位置しており、
前記ベルト部材は、前記本体部を被装着部に巻いた状態において、下肢または上肢を周回可能な長さを持つことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の筋肉電気刺激装置。
【請求項6】
前記本体部には、前記一対の電極に電圧を供給する制御ユニットが設けられ、
前記一対の電極のそれぞれは、前記制御ユニットに対して対称に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の筋肉電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉電気刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筋肉をトレーニングするための装置の一例として、筋肉電気刺激装置がある。筋肉電気刺激装置は、筋繊維に電流を流して筋肉を緊張および弛緩させる。これにより、筋肉が肥大することが期待される。例えば特許文献1に記載されるような筋肉電気刺激装置が提案されている。特許文献1に記載の筋肉電気刺激装置は、腹部などに取付けてそこの筋肉を刺激する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-6644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、筋肉電気刺激装置について以下のような認識を得た。
筋肉電気刺激装置は、トレーニング時の上肢や下肢の自由度を確保するためにコードレスで使用可能なことが望ましい。このため、筋肉電気刺激装置に一次電池や二次電池を内蔵して、その電池によって筋肉電気刺激装置を駆動することが考えられる。電池容量を消費する時間が短い場合には、電池の交換や充電のサイクルが短くなり、ユーザの使い勝手が悪化することが考えられる。
【0005】
電池の交換や充電のサイクルを長くするために、内蔵する電池の容量を大きくすることが考えられる。しかし、筋肉電気刺激装置は、身体に装着するという観点から小型・軽量化が望まれており、内蔵する電池の容量を大きくすると、電池の大きさや重量が増加して、小型・軽量化のニーズに反するおそれがある。
このことから、本発明者は、筋肉電気刺激装置には、効率的に筋肉に電気刺激を与える観点で改善すべき課題があることを認識した。
【0006】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的に筋肉に電気刺激を与えることが可能な筋肉電気刺激装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の筋肉電気刺激装置は、下肢または上肢の被装着部の周囲に沿って装着される装着面を有する本体部を備える。装着面は、被装着部を周回するX方向と、X方向に直交するY方向と、に延在し、本体部には、Y方向に離間して配置された一対の電極が設けられ、一対の電極のそれぞれは、X方向の範囲がY方向の範囲より大きい帯状であり、被装着部に当該被装着部の筋繊維の延伸方向に沿って電流を流すように配置される。
【0008】
この態様によると、X方向の範囲がY方向の範囲より大きい帯状の電極により、被装着部に筋繊維の延伸方向に沿って電流を流すことができる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方向、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、効率的に筋肉に電気刺激を与えることが可能な筋肉電気刺激装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】被装着部に装着した一対の電極の周辺を示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置を用いたトレーニングシステムを示す模式図である。
図3図2のトレーニングシステムの機能構成を示すブロック図である。
図4図2の筋肉電気刺激装置の正面図である。
図5図2の筋肉電気刺激装置の平面図である。
図6図2の筋肉電気刺激装置の背面図である。
図7図2の筋肉電気刺激装置のリード部の配置の一例を示す背面図である。
図8図2の筋肉電気刺激装置を上腿部の裏側に装着した状態を示す模式図である。
図9図2の筋肉電気刺激装置のベルト部材の一例を示す平面図である。
図10図2の筋肉電気刺激装置の動作を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置の正面図である。
図12図11の筋肉電気刺激装置の構成を示すブロック図である。
図13図11の筋肉電気刺激装置の装着機構の周辺を模式的に示す側面図である。
図14図11の筋肉電気刺激装置に台紙を貼付けた状態を示す背面図である。
図15】第4変形例に係るベルト部材を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者は、上肢や下肢に装着される筋肉電気刺激装置について、筋肉を効率的に刺激する観点から考察し、以下のような知見を得た。
【0013】
多くの場合、上肢と下肢は、先端に向かってやや細くなる円筒形と見なすことができる。図1は、円筒状の被装着部41に装着した一対の電極43の周辺を示す模式図である。被装着部41の主な筋肉44mは、円筒形の周方向(以下、X方向という。)に沿った筋肉幅44wと、円筒形の延伸方向(以下、Y方向という。)に沿った筋肉長44dと、を有する。筋肉44mは、その筋繊維が2つの関節部41nの間において中心付近の骨の正面側と背面側とに沿ってY方向に延びている。筋肉44mの筋肉幅44wは被装着部41の半周分の幅41wよりやや狭く、筋肉長44dは2つの関節部41nの間の距離41dよりやや短いと考えられる。このような筋肉44mには、筋肉を支配する神経44sが通じており、筋肉44mを鍛えるには、筋肉幅44wと筋肉長44dの範囲に分布している神経44sに電流刺激を与えることが効果的である。これらから、電極43の配置領域のX方向の幅(以下、領域幅43wという。)を、筋肉幅44wより大きく、例えば上肢や下肢の半周分の幅41wに対応して設定することが考えられる。
【0014】
次に、電極43の配置領域のY方向長さ(以下、領域長43dという。)について考察する。領域長43dを筋肉長44dの範囲に設定することが考えられる。しかし、電極43が被装着部近傍の関節部41nに接近し過ぎると、その関節部41nを曲げた際に電極43が関節部41nを強く圧迫するおそれがある。このため、領域長43dを筋肉長44dより一定程度短い範囲に設定することが望ましい。一対の電極43は、これらの条件によって決定される領域幅43wおよび領域長43dの矩形範囲内に入るように形成されてもよい。
【0015】
本発明者の検討によると、電極43のY方向の長さ(以下、電極長43pという。)が過度に長い場合には身体に感じる刺激が弱くなることがある。これは、電極長43pを長くすると、筋肉44mを支配する神経44sを刺激する電流はあまり増えないためと考えられる。また、電極長43pを長くすると、身体に流れる電流は増加して電池の通電可能時間が短くなることが考えられる。つまり、電極長43pは筋肉を支配する神経44sをカバーできる範囲内に設定することが望ましい。
【0016】
Y方向で広い範囲の神経44sに電流を流す観点からは、電極長43pを短くして、その分一対の電極43の対向エッジの間の距離43eを長くする方が有利である。しかし、電極長が短すぎると身体との接触が不安定になるため、電極長43pは接触が不安定にならない範囲で小さく設定することが望ましい。これらから、一対の電極43のそれぞれは、X方向の範囲がY方向の範囲より大きい帯状とすることが考えられる。つまり、一対の電極43が被装着部41にY方向の電流を流すように、一対の電極43のそれぞれの長手方向がX方向に沿うように配置されてもよい。このように電極を配置することによって、被装着部41にその筋繊維の延伸方向に沿って電流を流すことができる。なお、一対の電極43それぞれの形状は、実質的に帯状であればよく、例えば、ひょうたん形など周囲に凹凸や湾曲部を含む形状、テーパ形状や台形など非平行な対向辺を含む形状、楕円や長円など楕円弧や円弧を含む形状など様々な形状であってもよい。
【0017】
次に、一対の矩形状の電極43の配置角度について考察する。神経44sに電流刺激を与えうる範囲を広げる観点から、一対の電極43それぞれの長手方向は、図1に示すように、実質的にX方向に平行に配置されることが望ましい。しかし、筋肉44mや関節部41nの立体形状に沿うようにするため、一対の電極43を傾斜させて配置することも考えられる。この場合の一例として、一対の電極43の間の距離は方向の一端から他端に向かって漸減するように設定されてもよい。つまり、一対の電極43の一方の端同士を接近させ、中央の先端部が欠けたV字状に配置することが考えられる。一対の電極43の長手方向が為す角度が大きすぎると、一対の電極43の一方の端が過度に接近することによって、電流分布が偏り、神経44sを刺激できる範囲が狭くなることが考えられる。一対の電極43の長手方向が為す角度が90度以下の範囲では、これらの観点において、実用範囲の特性が得られることが確認されている。
【0018】
電極のX方向の幅である電極幅43vについてさらに考察する。現実的には、一対の電極は絶縁性を有するシート上に固定されて、被装着部41の例えば半周に周回される。このシートを被装着部41に安定的に固定するために、このシートにベルトなどを連結することが考えられる。このため、電極幅43vは、ベルトを連結するための部材の分だけ短くすることが望ましい。つまり、電極幅43vは、被装着部41の半周分の幅41wからベルトを連結する部材の幅を除いた長さにしてもよい。電極幅43vは領域幅43wと同一に設定されてもよい。
【0019】
上述の観点に基づいて一対の電極43の形状を設定することによって、効率的に太ももの大腿四頭筋など複数の筋肉44mを広範囲に効果的に鍛えることが可能になる。このような電極を用いることによって、被装着部41の表側の筋肉と裏側の筋肉のそれぞれを鍛えることができる。
各実施形態はこのような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0020】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0021】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10について、図2図10を参照して説明する。筋肉電気刺激装置10は、上腕二頭筋や上腕三頭筋などの上肢の筋肉と、大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋などの下肢の筋肉をトレーニングするための装置である。以下、下肢の筋肉をトレーニングする例を説明する。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10を用いたトレーニングシステム100を示す模式図である。図2において、(a)は下肢6を正面から視た状態を示し、(b)は下肢6を背面から視た状態を示している。特に、筋肉電気刺激装置10は、上腿部6aの大腿四頭筋などの前側の筋肉7b、上腿部6aのハムストリングスなどの後側の筋肉7c、下腿部6bの下腿三頭筋などの筋肉7eに使用することができる。図2の例では、筋肉電気刺激装置10はユーザの上腿部6aに装着され、筋肉7bに電気刺激を与える例について説明する。第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10は、下腿部6bの筋肉7eにも同様に使用することができる。
【0023】
図3は、筋肉電気刺激装置10を用いたトレーニングシステム100の機能構成を示すブロック図である。トレーニングシステム100は、筋肉電気刺激装置10と、遠隔制御装置12と、を備える。
【0024】
遠隔制御装置12は、ユーザにより操作される種々の端末である。遠隔制御装置12は、例えば、PC、タブレット端末、スマートフォンであってもよい。遠隔制御装置12は、ユーザの操作に応じて筋肉電気刺激装置10の動作を制御する。遠隔制御装置12は、筋肉電気刺激装置10から動作状況の検知結果を受信する。一例として、筋肉電気刺激装置10は、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信により、遠隔制御装置12に装置情報を送信し、遠隔制御装置12から操作情報を受信してもよい。
【0025】
筋肉電気刺激装置10は、筋肉電気刺激装置10の動作状況を検知して、その検知結果を無線または有線により遠隔制御装置12に出力する。
【0026】
遠隔制御装置12は、筋肉電気刺激装置10から取得した動作状況に基づき、そのタッチパネルに所定の表示をする。ユーザは、遠隔制御装置12のタッチパネルの表示を視ることによって筋肉電気刺激装置10の動作状況を認識することができる。遠隔制御装置12は、そのタッチパネルによってユーザの操作を検知することができる。ユーザは、タッチパネルに指で1回軽く押すタップ操作や、タッチパネルを指で押しながら一定方向へ動かすスワイプ操作などによって、所定のタッチ操作を入力することができる。遠隔制御装置12は、ユーザのタッチ操作に基づいて操作情報を生成して筋肉電気刺激装置10に送信することができる。
【0027】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10は、図2に示すように、下肢6の上腿部6aの周囲に沿って装着された状態で使用される。筋肉電気刺激装置10は、装着された際に上腿部6aの周囲に沿って装着される装着面10bを有する。装着面10bが平面に沿って展開した状態において、装着面10bは、X方向と、X方向に直交するY方向と、に延在する。なお、X方向およびY方向は、装着面10bの面方向を定義しているに過ぎず、装着面10bは、Y方向に対して傾斜する方向に延びる部分を含んでもよい。また、図2では表記していないが、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。Z方向は装着面10bに直交している。
【0028】
図2の例では、筋肉電気刺激装置10は、装着面10bのY方向が下肢6の延伸方向(上下方向)に沿い、装着面10bのX方向が上腿部6aを回る方向に沿うように装着されている。以下、Y方向を上方向あるいは下方向と、Z方向を厚み方向と表記することがある。このような方向の表記は筋肉電気刺激装置10の使用姿勢を制限するものではなく、筋肉電気刺激装置10は任意の姿勢で使用されうる。
【0029】
筋肉電気刺激装置10は、本体部20と、Y方向に離間して設けられる2つのベルト部材50と、を含む。本体部20は、上腿部6aの正面側または背面側を周方向に回る。ベルト部材50は本体部20の一端から上腿部6aの背面側または正面側を周方向に回り本体部20の他端に連結される。ベルト部材50については後述する。
【0030】
本体部20には、制御ユニット30と、ベルト連結部42と、Y方向に離間して配置される一対の電極32と、が設けられる。制御ユニット30は、一対の電極32に筋肉刺激用の電圧を供給する電子ユニットである。ベルト連結部42は、2つのベルト部材50を本体部20に連結する部材である。一対の電極32は、身体に筋肉刺激用の電圧を供給するシート状の電極である。一対の電極32は、Y方向に離間して設けられる第1電極32bと、第2電極32cと、を含む。本例では、第1電極32bおよび第2電極32cは、その長手方向がX方向に平行になるように設けられている。
【0031】
本体部20は、X方向に延びる2つの帯状体20b、20cがY方向に配列されて、全体として略矩形状に形成されている。本体部20は、略正方形状に形成されてもよい。2つの帯状体20b、20cは、一部が連結され、残りの部分が分離されてもよい。ベルト連結部42は、2つの帯状体20b、20cそれぞれのX方向の両端部に一対ずつ設けられてもよい。
【0032】
制御ユニット30は、本体部20のY方向の中央位置においてX方向の一方の端部側に寄って設けられてもよい。制御ユニット30は、その中心が、本体部20をY方向に二等分してX方向に延びる直線M1上に位置するように配置されてもよい。制御ユニット30は、本体部20の端部からX方向に張り出した張出部20eに設けられてもよい。本体部20は、2つの帯状体20b、20cを含むことによって、制御ユニット30に対して対称に形成されてもよい。特に、本体部20は、直線M1に対して線対称に形成されてもよい。一対の電極32は、制御ユニット30に対して対称に配置されてもよい。特に、一対の電極32は、直線M1に対して線対称に配置されてもよい。このような対称形状を有することによって、筋肉電気刺激装置10を上肢または下肢に用いる際には、装置の向きを反転するだけでそれぞれの部位に合わせて使用することができる。
【0033】
本例では、本体部20は、上腿部6aに装着される。一対の電極32は、上腿部6aの筋肉7bにY方向に沿って筋肉刺激用の電流を流すように構成されている。つまり、一対の電極32は、筋繊維の延伸方向に沿って上腿部6aの筋肉7bに電流を流すように配置されている。
【0034】
図4は、筋肉電気刺激装置10の正面図である。図5は、筋肉電気刺激装置10の平面図である。図6は、筋肉電気刺激装置10の背面図である。図7は、筋肉電気刺激装置10のリード部37の配置の一例を示す背面図である。図4図7は、筋肉電気刺激装置10を展開して、各部の装着面10bを正面視した図である。図4図7に示すように、展開した状態では、下肢6の周回方向に対応するX方向および下肢6の上下方向に対応するY方向は、矢印X、Yのように直線状に示される。
【0035】
(本体部)
本体部20は、層構造を備えてもよい。一例として、本体部20は、第1基材14と、第2基材15と、カバー部材16と、を含んでいる。第1基材14は、下肢6に装着される部材であり、展開時には平坦なシート状を呈する。第1基材14の背面には、上腿部6aに接触する装着面10bが設けられる。第1基材14は、一対の電極32を装着面10b側に露出させる開口14bを有している。第1基材14は、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。本例の筋肉電気刺激装置10は、第1基材14を有しない場合に比べてリード部37の耐久性を高くすることができる。
【0036】
第2基材15は、一対の電極32とリード部37とを支持する部材であり、展開時には平坦なシート状を呈する。第2基材15は、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。本例の第2基材15は、本体部20に対応する部分が一体に構成されている。第2基材15の背面には、一対の電極32が設けられている。一対の電極32は、例えば、銀ペーストなどの導電材料を印刷することによって形成することができる。一対の電極32は、エッチングにより形成されてもよい。第2基材15には、一対の電極32に電気的に接続されるリード部37が設けられている。リード部37は、例えば、銀ペーストなどの導電材料を印刷することによって形成することができる。リード部37は、エッチングにより形成されてもよい。リード部37は配線パターンと称されることがある。
【0037】
カバー部材16は、第2基材15の第1基材14とは反対側に積層される部材である。カバー部材16は、展開時には平坦なシート状のシート部16bと、シート部16bの外縁から厚み方向(Z方向)で第2基材15側に延出するエッジカバー部16cとを含む。カバー部材16のシート部16bの外面部10cには制御ユニット30が設けられる。カバー部材16は、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。本例のカバー部材16は、本体部20を一体に覆うように構成されている。
【0038】
第1基材14および第2基材15を薄く形成すると、その外周エッジ14e、15eも薄くなる。筋肉電気刺激装置10を下肢6に装着した状態では、外周エッジ14e、15eが下肢6に接触して、ユーザに不快な触感を与えることが考えられる。そこで、本例のカバー部材16は、第1基材14および第2基材15の外周エッジ14e、15eを覆うエッジカバー部16cを有している。この構成によれば、エッジカバー部16cが外周エッジ14e、15eを覆っているので、本体部20と下肢6との接触面積を広くすることができ、装着の触感を向上させることができる。本例のエッジカバー部16cは、外周エッジ14e、15eを囲む帯状に形成されている。本例のカバー部材16は、エッジカバー部16cを有しない場合に比べて剛性を高くすることができる。また、筋肉電気刺激装置10を身体に装着すると、外周エッジ14e、15eが肌に食い込む可能性がある。エッジカバー部16cを設けることにより、そのときの肌への刺激や痛みを抑制することができる。
【0039】
第1基材14および第2基材15の素材は、絶縁性と下肢6に巻き付け可能な程度の可撓性とを備える材料であれば特別な制限はない。本例の第1基材14および第2基材15は、ポリエチレンテレフタレート系の樹脂などのエラストマで形成されている。カバー部材16の素材は、絶縁性と下肢6に巻き付け可能な程度の可撓性とを備える材料であれば特別な制限はない。一例として、カバー部材16は、第1基材14および第2基材15より硬い樹脂材料で形成することができる。本例のカバー部材16は、シリコン樹脂などのエラストマで形成されている。この場合、カバー部材16は、第1基材14および第2基材15を保護し、取り扱いによる傷付きを抑制し、本体部20に適度な剛性を付与することが可能になる。筋肉電気刺激装置10を使用することにより、体温がシリコン樹脂に伝達され、そこに蓄熱される。このため、使用中に温かく感じられ、温熱効果によって血流を改善することが期待される。
【0040】
本体部20は、例えば、下肢6の上腿部6aの筋肉7bに対応する位置に装着される。本体部20は、X方向及びY方向に延在してZ方向に薄く形成される。本体部20には、Y方向に離間して配置された一対の電極32が設けられる。上述したように、一対の電極32は、上腿部6aの筋肉7bに周方向に直交する方向に電流を流すように構成されている。本体部20は、正面視で、長手方向がX方向に沿って配置された実質的に矩形状とみなせる形状を有する。以下、本明細書において、実質的に矩形状とみなせる形状には、全長の30%以上の長さを有する一対の対辺を備える形状を含む。
【0041】
トレーニング中の発汗により、筋肉電気刺激装置10と上腿部6aとの間が蒸れることが考えられる。そこで、本例の本体部20には、一対の電極32を避けた位置に形成された1または複数の通気孔23gが設けられる。図4に示すように、通気孔23gは、電極とリード部とを避けた位置に設けられている。この場合、通気孔を有しない構成に比べて、筋肉電気刺激装置10と上腿部6aの間の蒸れが緩和される。また、通気孔23gを設けることにより、本体部20の可撓性が向上する。通気孔23gの数や配置を変えることにより、本体部20の可撓性を調整することができる。
【0042】
多くの場合、上腿部6aの周面は、曲率半径が根元側に行くにつれて大きくなる円錐面のような形状を有する。このため、分岐部を備えない本体部20が上腿部6aに装着されると、一部に皺部が形成された状態で上腿部6aに装着される。皺部が形成された状態では、一対の電極32が上腿部6aの周面に対して傾斜し、その一部が浮いて接触が不安定になることが考えられる。このため、異なった曲率半径に対応するように、本体部20のX方向の一部はY方向に複数に分岐されていてもよい。一例として、本体部20は、X方向の一部が隙間24gによってY方向に隔てられた二股形状を有している。つまり、本体部20は、隙間24gによって隔てられた2つの帯状体20b、20cを含んでいる。帯状体20bは、縁部20mが隙間24gに接している。帯状体20cは、縁部20nが隙間24gに接している。つまり、隙間24gは、縁部20m、20nによってY方向に挟まれた領域である。帯状体20b、20cと、は一部が連結されて、残りの部分は分離されている。本例の帯状体20b、20cは、それぞれX方向寸法がY方向寸法より大きい帯状に形成されている。隙間24gは、本体部20のX方向の端部20aからX方向内側に向かって形成されている。
【0043】
本例の本体部20は、隙間24gのY方向の中心を通りX方向に延びる直線に対して線対称に形成されている。本例では、一対の電極32は、本体部20の隙間24gで隔てられたそれぞれの領域に設けられている。本体部20の隙間24gで隔てられた帯状体20b、20cが独立して上腿部6aの周囲に巻かれているから、皺が生じにくく、身体との接触を安定させることができる。二股形状を有しているので、上腿部6aのように太さが変化する場合でも、二股形状の帯状体20b、20cそれぞれが別々に湾曲するので、皺の発生を減らすことができる。二股形状の切込み深さである隙間24gのY方向寸法は、下肢の上腿部を装着対象とする場合は深く、上肢を装着対象とする場合は浅くしてもよい。
【0044】
制御ユニット30が身体の外側に配置されていると、移動する際に机の脚などに衝突させて壊す可能性が高くなる。そこで、本例の筋肉電気刺激装置10は、上腿部6aの表側および裏側のいずれに装着される場合でも、制御ユニット30が身体の内側に配置することが可能なように構成されている。具体的には、本体部20は、制御ユニット30に対して対称な形状に形成されている。図8は、筋肉電気刺激装置10を上腿部6aの裏側に装着した状態を示す模式図である。筋肉電気刺激装置10は、図8の状態で上腿部6aの裏側の筋肉7cを鍛えることができる。この例では、本体部20が、図2の例と上下逆に装着されている。このように装着することによって、制御ユニット30が身体の内側に配置されるので、制御ユニット30を机の脚などに衝突させて壊す可能性を小さくすることができる。
【0045】
図2図7に戻る。隙間24gによって隔てられた二股形状を有する場合には、本体部20の隙間24gの最奥部に接する部分に応力が集中し、その部分にクラックなどの不具合が生じるおそれがある。そこで、本例では、本体部20の隙間24gに接する部分には、肉厚に形成された肉厚部24hが設けられている。特に、肉厚部24hは、本体部20の隙間24gの最奥部に接する部分の周辺に設けられてもよい。肉厚部24hの形状は、所望の耐久性に応じてシミュレーションによって設定することができる。
【0046】
(リード部)
本例のリード部37は、図7に示すように、第2基材15の背面15bに設けられている。リード部37は、配線37bと、配線37cと、を含む。配線37bは、端子38bと第1電極32bとを電気的に接続する。配線37cは、端子38cと第2電極32cとを電気的に接続する。
【0047】
(一対の電極)
上述したように、一対の電極32は、Y方向に離間して配置される第1電極32bと第2電極32cを含む。一対の電極32それぞれの長手方向はX方向に平行に配置される。一対の電極32それぞれは、X方向の範囲がY方向の範囲より大きい帯状に形成される。一対の電極32それぞれの形状は、実質的に帯状であればよく、例えば、ひょうたん形など周囲に凹凸や湾曲部を含む形状、テーパ形状や台形など非平行な対向辺を含む形状、楕円や長円など楕円弧や円弧を含む形状など様々な形状であってもよい。本例では、一対の電極32それぞれは略矩形状に形成されている。一対の電極32それぞれは上腿部6aの周方向であるX方向に配置され、上腿部6aの筋肉7bにY方向の電流を流す。一対の電極32は、第2基材15上に設けられ、第1基材14に設けられた開口14bから装着面10bに露出する。第1電極32bは配線37bにより端子38bに電気的に接続され、第2電極32cは配線37cにより端子38cに電気的に接続される。
【0048】
筋肉電気刺激装置10を身体に装着して使用する際、各電極と身体との間にはゲルパッド82(図6を参照)が配置される。ゲルパッド82は、粘着性を備えている。ゲルパッド82は、その粘着力によって、身体と各電極との間の導通を確保する役割を果たしている。ゲルパッド82は、筋肉電気刺激装置10の各電極に貼付けられる。筋肉電気刺激装置10は、ゲルパッド82を貼付けた状態で身体に装着される。筋肉電気刺激装置10は、ゲルパッド82の粘着性により身体に支持される。本例では、ゲルパッド82は、図6に示すように、一対の電極32それぞれに1つずつ貼り付けて使用する。
【0049】
(制御部)
次に制御ユニット30について説明する。図3に示す制御ユニット30および後述する制御ユニット70の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0050】
制御ユニット30は、ハウジング30mに収容されている、制御部30aと、スイッチ部20jと、20kと、充電端子20gと、電池20hと、を含む。ハウジング30mは、本体部20の中央に設けられ、制御ユニット30の外殻をなす。ハウジング30mは、種々の樹脂材料で形成することができる。スイッチ部20j、20kは、制御ユニット30の正面に設けられる。スイッチ部をSW部と表記することがある。スイッチ部20j、20kは、押下げ操作されたことを検知して検知結果を制御部30aに出力する。スイッチ部20j、20kは、例えば、非操作時はクローズであり、押下げ操作されたときにオープンに変化する電気接点を含んでもよい。本例のスイッチ部20jの表面にはプラスの記号が表示され、本例のスイッチ部20kの表面にはマイナスの記号が表示される。
【0051】
電池20hは、制御部30aに電気的に接続され、制御部30aに電力を供給する。電池20hは、一次電池であってもよいが、本例では繰り返し充電可能なリチウムイオン電池を採用している。電池20hは、交換可能であってもよいが、本例では内臓タイプを採用している。充電端子20gは、電池20hを充電するための電力を受電して制御部30aに出力する。充電端子20gには、種々のコネクタを用いることができるが、本例ではUSB(登録商標)規格のコネクタを採用している。充電端子20gは、例えば、制御ユニット30の底面に設けられる。電池20hは、充電端子20gで受電した電力により充電される。電池20hは、ワイヤレス充電などの非接触式の充電システムによって充電されるように構成されてもよい。
【0052】
制御部30aは、通信部30bと、肌検知部30cと、操作取得部30dと、電気刺激制御部30eと、充電制御部30gと、を含む。通信部30bは、筋肉電気刺激装置10の動作状況を遠隔制御装置12に送信することができる。遠隔制御装置12は、通信部30bから取得した動作状況を表示する。通信部30bは、遠隔制御装置12に入力されたタッチ操作に基づく操作情報を受信する。制御部30aは、通信部30bを介して取得した操作情報に応じて筋肉電気刺激装置10の動作を制御する。
【0053】
操作取得部30dは、スイッチ部20j、20kから操作の検知結果を取得する。操作取得部30dは、各スイッチ部の抵抗値に応じた電圧を検知して、検知電圧が閾値以上のときにスイッチ部は押下げ操作されたと判定し、検知電圧が閾値未満のときにスイッチ部は操作されていないと判定する。制御部30aは、各スイッチ部の押下げ状況の組合せや、押下げ時間の長さなどに応じて筋肉電気刺激装置10の制御方法を決定する。
【0054】
遠隔制御装置12による操作がされている場合には、スイッチ部20j、20kの操作を禁止するようにしてもよい。本例の筋肉電気刺激装置10は、遠隔制御装置12による操作がされている状態でも、スイッチ部20j、20kによる操作を許容するようにしている。この場合、ユーザが遠隔制御装置12から離れた位置にいることにより、遠隔制御装置12を操作できない場合でも、スイッチ部20j、20kにより筋肉電気刺激装置10を操作することができる。
【0055】
肌検知部30cは、電極が肌に接しているか否かを検知する。肌検知部30cは、一対の電極32の間の抵抗値を検出し、検出した抵抗値が閾値未満のときに電極が肌に接していると判定し、検出した抵抗値が閾値以上のときには電極が肌に接していないと判定する。
【0056】
電気刺激制御部30eは、肌検知部30cによって電極が肌に接していることが検知されると、所定の動作時間(例えば20分)、所定の周期で、設定された出力電圧に応じた電力を一対の電極32に供給する。つまり、この動作時間にユーザの上腿部6aに電気刺激を与える。出力電圧は、遠隔制御装置12またはスイッチ部20j、20kを操作することによって変更することができる。この例の電気刺激制御部30eでは、スイッチ部20jが押下される度に出力電圧が上昇し、スイッチ部20kが押下される度に出力電圧が低下する。
【0057】
充電制御部30gは、充電端子20gで受電した充電用の電力を制御して電池20hに供給する。充電制御部30gは、電池20hの充電率に応じて電池20hに供給する電流の大きさを制御する。例えば、充電率が低い場合には電池20hに供給する電流を大きくして、充電率が高い場合には電池20hに供給する電流を小さくする。充電制御部30gは、充電した電荷量に対する充電率の増加幅が小さい場合、電池の故障として充電を中止する。
【0058】
(ベルト連結部)
本体部20には、2つの帯状体20b、20cそれぞれに、ベルト部材50を取付けるための一対のベルト連結部42が設けられている。図9は、筋肉電気刺激装置10に連結された2つのベルト部材50の一例を示す平面図である。図9では、理解を容易にするために本体部20はX方向に延ばした状態とし、上腿部6aを実際の比率より小さく表示している。一対のベルト連結部42の一方にベルト部材50の一端部50bを連結して、本体部20を被装着部である上腿部6aに巻き付けた状態で、一対のベルト連結部42の他方にベルト部材50の他端部を連結する。具体的には、上腿部6aの一部を周回させたベルト部材50の両端を本体部20の一対のベルト連結部42に取付ける。
【0059】
筋肉電気刺激装置10は、身体に容易に装着可能なことが望ましい。そこで、本例では、一対のベルト連結部42の一方にベルト部材50の一端部50bを連結して、本体部20を被装着部に巻いた状態において、一対のベルト連結部42の他方は、ベルト部材50の他端部が周回可能な範囲に位置している。具体的には、一対のベルト連結部42は、X方向に離隔して2つの帯状体20b、20cそれぞれに設けられている。本体部20をX方向に巻いた状態では、一対のベルト連結部42はX方向に並んでいる。このため、一対のベルト連結部42の一方に連結されたベルト部材50の他端部は、自然と一対のベルト連結部42の他方に位置するので、これらを容易に連結することができる。
【0060】
ベルト連結部42は、一対の角管部材42kを含む。角管部材42kは、ベルト部材50を通す孔部42hを囲む角管状の部材である。角管部材42kは、正面視で、長手方向がY方向に伸びる略矩形状を呈し、中央にY軸方向に長い略矩形状の孔部42hが設けられている。角管部材42kは、例えば、樹脂材料で形成されてもよい。一対の角管部材42kは、X方向に離隔して2つの帯状体20b、20cそれぞれに取り付けられている。角管部材42kを用いることによって、ベルト部材50から受ける力を角管部材42kで受けるので、角管部材42kを用いない場合と比べて、第1基材14、第2基材15およびカバー部材16に加わる荷重が分散され、ベルト部材50の裂けや外観の変形などの発生を抑制することができる。また、第1基材14、第2基材15およびカバー部材16の層構造のずれも抑制することができる。
【0061】
(ベルト部材)
ベルト部材としては、紐状や帯状など種々の構成による部材を採用することができるが、本例のベルト部材50は、両面に面ファスナを有する布製の帯状の部材である。
【0062】
本例では、一対の角管部材42kの一方にファスナ部材50cが取付けられており、ベルト部材50は、一対の角管部材42kの他方からファスナ部材50cに架け渡される。本例では、ファスナ部材50cは面ファスナを有する布製の帯状の部材である。ファスナ部材50cは、角管部材42kの孔部42hを通った状態で折り返され、その両端部が面ファスナ51bによって連結されている。ファスナ部材50cは、ベルト部材50より短く形成されてもよい。
【0063】
ベルト部材50の一方の端部は、他方の角管部材42kの孔部42hを通った状態で折り返されて、ベルト部材50の中間部に面ファスナ51cによって連結されている。ベルト部材50の他方の端部は、長さ調整のために折り返された部分(以下、折返し部50eと表記する。)に形成される。ベルト部材50の他方の端部である折返し部50eは、ベルト部材50の別の中間部に面ファスナ51dによって連結されている。
【0064】
折返し部50eは、面ファスナ51eによってファスナ部材50cに連結することができる。筋肉電気刺激装置10は、折返し部50eがファスナ部材50cから離れた状態で、ユーザの上腿部6aの周囲に沿って装着される。筋肉電気刺激装置10は、上腿部6aの周囲に沿って装着された状態で、折返し部50eをファスナ部材50cに連結することによって上腿部6aに装着される。折返し部50eの折り返し位置を変更することで容易に、周方向の長さを調整することができる。
【0065】
以上のように構成された筋肉電気刺激装置10の動作を説明する。図10は、筋肉電気刺激装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、ユーザが筋肉電気刺激装置10を上腿部6aに装着した状態で電源をオンにし、上腿部6aへの電気刺激を開始してから終了するまでの処理S100を示している。
【0066】
処理が開始されると、制御部30aは、スイッチ部20jが押下げられたか否かを判定する(ステップS102)。スイッチ部20jが押下げられていない場合(ステップS102のN)、制御部30aは、処理をステップS102の先頭に戻し、ステップS102を繰り返し実行する。スイッチ部20jが押下げられている場合(ステップS102のY)、制御部30aは、所定の経過時間T1を経過したか否かを判定する(ステップS104)。
【0067】
経過時間T1を経過していない場合(ステップS104のN)、制御部30aは、処理をステップS102の先頭に戻し、ステップS102~S104を繰り返し実行する。経過時間T1を経過した場合(ステップS104のY)、制御部30aは、ステップS106に移行する。ステップS104における経過時間T1は所望の仕様に応じて設定することができる。本例の経過時間T1は2秒に設定されている。つまり、ユーザはスイッチ部20jを2秒間押下することにより筋肉電気刺激装置10の電源をオンにすることができる。
【0068】
ステップS106において、制御部30aは、電極が肌に接しているか否かを判定する(ステップS106)。電極が肌に接していない場合(ステップS106のN)、制御部30aは、所定の待機時間待機してから処理をステップS106の先頭に戻す。
【0069】
電極が肌に接している場合(ステップS106のY)、制御部30aは、ユーザの上腿部6aに電気刺激の付与を開始する(ステップS108)。このステップで、電気刺激制御部30eは、一対の電極32に所定の周期で変化する電力を供給する。
【0070】
ステップS108を実行した制御部30aは、所定の経過時間T2を経過したか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110における経過時間T2は所望のトレーニング時間に応じて設定することができる。本例の経過時間T2は20分に設定されている。つまり、ユーザは20分間が経過するまでトレーニングを継続することができる。経過時間T2を経過していない場合(ステップS110のN)、制御部30aは、電極が肌に接しているか否かを判定する(ステップS112)。
【0071】
電極が肌に接している場合(ステップS112のY)、制御部30aは、処理をステップS108の先頭に戻し、電気刺激の付与を継続する。電極が肌に接していない場合(ステップS112のN)、制御部30aは、電気刺激の付与を停止して処理S100を終了する。つまり、経過時間T2を経過していない場合でも、電極が肌から離れた場合には、制御部30aは、電気刺激の付与を終了する。経過時間T2を経過した場合(ステップS110のY)、制御部30aは、電気刺激の付与を停止して処理S100を終了する。
【0072】
処理S100は一例に過ぎず、この処理に他の処理を追加したり、ステップを削除・変更したり、ステップの順序を入れ替えたりしてもよい。
【0073】
以上のように構成された第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10の作用・効果を説明する。
【0074】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10は、下肢または上肢の被装着部の周囲に沿って装着される装着面10bを有する本体部20を備え、装着面10bは、被装着部を周回するX方向と、X方向に直交するY方向と、に延在し、本体部20には、Y方向に離間して配置された一対の電極32が設けられ、一対の電極32のそれぞれは、X方向の範囲がY方向の範囲より大きい帯状であり、被装着部に当該被装着部の筋繊維の延伸方向に沿って電流を流すように配置されている。この構成によれば、電極のX方向の範囲が相対的に大きいから、X方向に幅広い範囲の筋肉を効果的に刺激することができる。また、電極のY方向の範囲が相対的に小さいから、この範囲が大きい場合に比べて、身体に流れる電流を抑制して電池の通電可能時間を長くすることができる。被装着部にY方向の電流を流すから、筋肉の延伸方向に電流を流すことができ、筋肉を支配する神経を効率的に刺激して効率的に筋肉を鍛えることができる。これらにより、効率的に筋肉に電気刺激を与えることができる。
【0075】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、一対の電極32のそれぞれの長手方向は、実質的に平行に配置されている。この構成によれば、被装着部の広い範囲の筋肉を刺激することができる。
【0076】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、本体部20に、一対の電極32を避けた位置に形成された通気孔23gが設けられる。この構成によれば、通気孔を有しない構成に比べて、筋肉電気刺激装置10と上腿部6aの間の蒸れが緩和される。
【0077】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、本体部20は、第1基材14と、第2基材15と、カバー部材16と、を含み、第1基材14には、一対の電極32を露出させる開口14bが設けられ、第2基材15には、一対の電極32が設けられ、カバー部材16は、第2基材15の第1基材14とは反対側に積層される。この構成によれば、第1基材14を有しない場合に比べてリード部37の耐久性を向上させることができる。
【0078】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、本体部20は、X方向の一部が隙間24gによってY方向に隔てられた二股形状を有し、本体部20の隙間24gに接する部分には肉厚に形成された肉厚部24hが設けられている。この構成によれば、隙間24gに接する部分の強度を向上させることができ、その部分でのクラックなどの不具合の発生を低減して耐久性を向上させることができる。
【0079】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、本体部20に、ベルト部材50を取付けるための一対のベルト連結部42が設けられている。一対のベルト連結部42の一方にベルト部材50の一端部50bを連結して、本体部20を被装着部に巻いた状態において、一対のベルト連結部42の他方は、ベルト部材50の折返し部50eが周回可能な範囲に位置している。この構成によれば、一対のベルト連結部42の一方に連結されたベルト部材の折返し部50eは、自然と一対のベルト連結部42の他方の近傍に位置するので、容易に身体に装着することができる。
【0080】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、本体部20に、一対の電極32に電圧を供給する制御ユニット30が設けられ、一対の電極32のそれぞれは、制御ユニット30に対して対称に配置されている。この構成によれば、被装着部の表側の筋肉を鍛えるときも、裏側の筋肉を鍛えるときも、制御ユニット30を身体の内側に配置した状態で本体部20を装着することができる。また、制御ユニット30が身体の内側に配置されることによって、机の脚などに衝突させて壊す可能性が低くなる。また、制御ユニット30が身体の内側に配置されることによって、ユーザはいつも身体の内側に制御ユニット30が存在することを意識することができ、制御ユニット30を探す煩わしさが緩和される。
【0081】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60について、図11図13を参照して説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0082】
第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10では、制御ユニット30が本体部20に一体に連結されている例について説明したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、本体部は制御ユニットを備えておらず、制御ユニットは別体の装置として構成されてもよい。制御ユニットは、本体部に設けられた着脱用の機構により着脱可能に構成されてもよい。
【0083】
図11は、第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60の本体部62の正面図である。筋肉電気刺激装置60は、第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10よりも小型であり、上腕二頭筋や上腕三頭筋などの上肢の筋肉や細身の下肢の筋肉に好適に使用することができる。図12は、筋肉電気刺激装置60の構成を示すブロック図である。図13は、筋肉電気刺激装置60の装着機構64の周辺を模式的に示す側面図である。図13は、筋肉電気刺激装置60に装着可能な制御ユニット70の一例を示している。
【0084】
第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60は、本体部62に制御ユニットを備えず、装着機構64および受電端子部38を備える。制御ユニット70は、本体部62とは別体の装置として構成され、装着機構64により本体部62に取り付けられる。制御ユニット70は、給電端子部72を備える。制御ユニット70が本体部62に取り付けられたとき、給電端子部72は受電端子部38と接触して、受電端子部38に電気刺激用の電力を供給する。
【0085】
第2実施形態の本体部62は第1実施形態の本体部20に対応し、制御ユニット30以外のすべての構成と特徴とを備える。制御ユニット70は、一対の電極32に電圧を供給する。制御ユニット70は、第1実施形態の制御ユニット30に対応し、制御ユニット30のすべての構成と特徴とを備える。
【0086】
(接触力低減部)
筋肉電気刺激装置60を上肢や下肢に装着した状態で関節を曲げると、本体部のY方向の外縁部の中央付近が関節部に強く当りユーザに不快な触感を与えることが考えられる。特に、上肢に装着したときのように、本体部62の外縁部から肘関節までの距離が短い場合には、肘関節を曲げたときに外縁部20dが肘関節に強く接触することが考えられる。そこで、第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60では、本体部62の外縁部のうち、被装着部近傍の関節部が屈曲したときに当該関節部に接触する領域に、当該関節部との接触力を低減させる接触力低減部26が設けられている。
【0087】
接触力低減部26は、例えば、外縁部の関節の中心に対向する領域に当該関節から遠ざかる方向に後退する後退部を含んでもよい。本例の本体部62では、接触力低減部26は、弧状に後退した形状の弧状後退部26b、26cを含んでいる。弧状後退部26b、26cを有することにより、外縁部20d、20fは、図11に示すような湾曲形状を呈する。弧状後退部26b、26cは、本体部62のY方向における両方の外縁部20d、20fに設けられている。このため、本体部62が上下反対向きに装着された場合でも接触力を低減することができる。
【0088】
(装着機構)
本体部62は、装着機構64および受電端子部38を備える。装着機構64は、本体部62に制御ユニット70を着脱可能に装着するための機構である。装着機構64は、工具を使用して着脱する構成であってもよいが、工具を使用せずに人手によって制御ユニット70を着脱できることが望ましい。本体部62の装着機構64としては、汎用のファスナなど種々の原理に基づく装着機構を採用することができる。採用可能な装着機構64の一例としては、磁気的吸引力を用いる機構、フックとフックに係合する凹部を含む機構、雄ねじと雌ねじを含む機構、面ファスナを含む機構、スナップボタンを含む機構などが挙げられる。
【0089】
本例の装着機構64では、制御ユニット70はマグネット76を備え、本体部62はマグネット76の磁極と磁気的に引き合う磁性部材68を備える。マグネット76の磁極と磁性部材68との磁気的吸引力により、制御ユニット70は本体部62に保持される。マグネット76の吸引力を超える力を制御ユニット70に作用させたとき、制御ユニット70は本体部62から外れる。図13の(a)は、制御ユニット70が装着されていない状態の筋肉電気刺激装置60を示す。図13の(b)は、制御ユニット70が装着されている状態の筋肉電気刺激装置60を示す。
【0090】
(受電端子部)
受電端子部38は、本体部62の所定の間隔で配列された2つの端子38b、38cを含んでいる。第1実施形態と同様に、端子38b、38cは一対の電極32の第1電極32b、第2電極32cに接続されている。端子38b、38cは、電極面の防錆のために、貴金属メッキなどの表面処理が施されていてもよい。受電端子部38は、給電端子部72との接触圧を安定化するために、スプリング性を備えていてもよい。
【0091】
(給電端子部)
給電端子部72は、受電端子部38の端子38b、38cに対応する位置に配置された端子72b、72cを含んでいる。端子72b、72cは、例えば、スプリング性を備えていてもよい。端子72b、72cは、電気刺激のための電力を端子38b、38cに供給する。
【0092】
第1実施形態で説明したのと同様に、本体部62は、制御ユニット70に対して対称に配置されてもよい。特に、本体部62は、直線M1に対して線対称に形成されてもよい。一対の電極32は、制御ユニット70に対して対称に配置されてもよい。特に、一対の電極32は、直線M1に対して線対称に配置されてもよい。
【0093】
(保管方法)
次に、図14を参照して、筋肉電気刺激装置60の保管方法の一例について説明する。図14は、筋肉電気刺激装置60にシート状の台紙80を貼付けた状態を示す背面図である。筋肉電気刺激装置60を使用した後は、背面側にゲルパッド82を貼付けた状態で保管することがある。このため、ゲルパッド82の背面側に所定の剛性を有するシート状の台紙80を貼付けるようにしてもよい。
【0094】
台紙80は、本体部62より一回り大きく例えば矩形状に形成されてもよい。ベルト部材50を取付けたままで保管可能であることが望ましい。このため、台紙80には、角管部材42kおよびベルト部材50が当たる領域に切り欠き部80bが設けられる。切り欠き部80bが設けられることによって、台紙80は、角管部材42kおよびベルト部材50を逃げて、ゲルパッド82に密着することができる。台紙80は、四隅の切り欠き部80bを除いた部分が、X方向で両側に延びる延出部80c、80dを構成している。台紙80の表面には、平滑化のため表面コーティングが施されていてもよい。
【0095】
筋肉電気刺激装置60は、台紙80に貼付けられた状態で収容袋に収容して保管することができる。収容袋は、例えば、布や樹脂製のシートなどから形成することができる。このように保管することによって、ゲルパッド82を取付けたままで保管することができ、またゲルパッド82に異物や袋が貼付く可能性を低くすることができる。
【0096】
以上のように構成された第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60は、制御ユニット70を装着したとき、第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10と同様に動作する。
【0097】
第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60は、第1実施形態に係る筋肉電気刺激装置10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60は、以下の作用・効果を奏する。
【0098】
第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60では、本体部62の外縁部のうち、被装着部近傍の関節部が屈曲したときに当該関節部に接触する領域に、当該関節部との接触力を低減させる接触力低減部26が設けられている。この構成によれば、接触力低減部を有しない場合に比べて、関節部が屈曲した状態での関節部との接触力を小さくすることができる。接触力に起因する被装着部の不快な触感を緩和することができる。
【0099】
第2実施形態に係る筋肉電気刺激装置60では、本体部62に、一対の電極32に電圧を供給する制御ユニット70を着脱可能に装着するための装着機構64が設けられている。この構成によれば、1つの制御ユニットによって、種類の異なる本体部を切り替えて使用することができる。また、本体部が故障した場合に、本体部のみを交換することができる。このため、制御ユニットを交換できない場合に比べて、経済的であり、省資源に資する。
【0100】
以上、各実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0101】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0102】
(第1変形例)
各実施形態では、ベルト部材50を用いて筋肉電気刺激装置を身体に装着する例について説明したが、これに限られない。筋肉電気刺激装置はゲルパッドの粘着力を用いて、身体に装着されてもよい。
【0103】
(第2変形例)
各実施形態では、制御ユニット30が、X方向の端部側に寄って設けられる例について説明したが、これに限られない。制御ユニット30は本体部20のX方向の中間領域に配置されてもよい。特に、制御ユニット30は、その中心が、本体部20をX方向に二等分した位置に配置されてもよい。
【0104】
(第3変形例)
各実施形態では、一対の電極32のそれぞれの長手方向は、実質的に平行に配置される例について説明したが、これに限られない。一対の電極は、互いに傾斜して配置されてもよい。一例として、一対の電極の間の距離は、方向の一端から他端に向かって漸減するように設定されてもよい。このように構成することによって、一対の電極それぞれを被装着部の筋肉や関節の立体形状に沿うように配置することが容易になる。例えば、一対の電極の一方の端同士を接近させ、中央の先端部が欠けたV字状に配置するようにしてもよい
【0105】
この場合、一対の電極の長手方向が為す角度が大きすぎると、一対の電極の一方の端同士が過度に接近することによって、電流分布が偏り、神経を刺激できる範囲が狭くなることが考えられる。このため、一対の電極の長手方向が為す角度は、90度以下に設定することができる。この範囲では、実用範囲の特性が得られることが確認されている。
【0106】
(第4変形例)
各実施形態では、2つの帯状体20b、20cそれぞれにベルト部材50が設けられ、2つのベルト部材50が独立して被装着部に巻き付けられる例について説明したが、これに限られない。ベルト部材は、2つの帯状体20b、20cに対して1つのベルト部材が設けられてもよい。図15は、第4変形例に係るベルト部材150を説明する模式図である。図15において、(a)は正面視の模式図を示し、(b)は背面視の模式図を示す。図15に示すように、第4変形例では、ベルト部材150が二股のY字部分を有しており、ベルト部材150のY字部分のそれぞれが2つの帯状体20b、20cに連結され、1つのベルト部材150によって、2つの帯状体20b、20cが被装着部に装着される。この例のように、Y字部分を有するベルト部材150を用いることによって、身体追従性の高い二股構造の本体部を一度に装着することが可能になる。
【0107】
(第5変形例)
各実施形態では、遠隔制御装置12は、表示およびタッチ操作可能なタッチパネルを備える例について説明したがこれに限られない。遠隔制御装置12は、タッチパネル以外の表示デバイスに表示された画像に基づき、タッチパネル以外の操作デバイスによって操作入力されてもよい。このような表示デバイスとしては液晶表示装置が挙げられ、操作デバイスとしてはキーボードなどのキースイッチが挙げられる。
【0108】
上述の各変形例によれば、各実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0109】
上述した各実施形態同士および各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0110】
6・・下肢、 6a・・上腿部、 10・・筋肉電気刺激装置、 10b・・装着面、 14・・第1基材、 15・・第2基材、 16・・カバー部材、 16c・・エッジカバー部、 20・・本体部、 23g・・通気孔、 24h・・肉厚部、 26・・接触力低減部、 30・・制御ユニット、 30a・・制御部、 32・・電極、 37・・リード部、 42・・ベルト連結部、 50・・ベルト部材、 64・・装着機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15