(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】転がり軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 33/38 20060101AFI20221005BHJP
F16C 19/16 20060101ALI20221005BHJP
F16C 33/44 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
F16C33/38
F16C19/16
F16C33/44
(21)【出願番号】P 2017198282
(22)【出願日】2017-10-12
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】林 工
(72)【発明者】
【氏名】徳田 篤史
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-074963(JP,A)
【文献】特開2007-292117(JP,A)
【文献】特開2008-151181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/38
F16C 19/16
F16C 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道輪である内輪および外輪と、この内輪および外輪との間に配置される複数の転動体と、該複数の転動体を円周方向に所定の間隔を持って保持する保持器とを備え、該保持器が
軸方向片側の前記外輪に案内される
片側式の外輪案内方式の転がり軸受であって、
前記保持器は、
合成樹脂からなる樹脂製保持器であり、該保持器の外周面に、前記外輪に案内される外輪案内部
を有するとともに、該外輪案内部側の外周面にのみ、該外輪案内部の外径よりも小径に形成された切欠部を有し、
前記切欠部は、前記保持器の幅面に開口していない凹状の溝部であり、該溝部の両側は前記外輪案内部を構成することを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
軌道輪である内輪および外輪と、この内輪および外輪との間に配置される複数の転動体と、該複数の転動体を円周方向に所定の間隔を持って保持する保持器とを備え、該保持器が
軸方向片側の前記内輪に案内される
片側式の内輪案内方式の転がり軸受であって、
前記保持器は、
合成樹脂からなる樹脂製保持器であり、該保持器の内周面に、前記内輪に案内される内輪案内部
を有するとともに、該内輪案内部側の内周面にのみ、該内輪案内部の内径よりも大径に形成された切欠部を有し、
前記切欠部は、前記保持器の幅面に開口していない凹状の溝部であり、該溝部の両側は前記内輪案内部を構成することを特徴とする転がり軸受。
【請求項3】
前記転がり軸受が、工作機械の主軸を支持するアンギュラ玉軸受であることを特徴とする請求項1
または請求項2記載の転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受に関し、より詳細には、工作機械主軸やコンプレッサ等に適用される高速回転可能なアンギュラ玉軸受に関する。
【0002】
転がり軸受の中でもアンギュラ玉軸受は、ラジアル荷重と比較的大きなアキシアル荷重とからなる合成荷重を受け止めることができる。このため、工作機械、医療機器、建設機械、農業機械など、重負荷下で、その加重方向がさまざまである環境下でも高速回転することが必要とされる用途に用いられることが多い。
【0003】
このようなアンギュラ玉軸受の保持器として、外輪または内輪案内方式の保持器と転動体案内方式の保持器が知られている。このうち、例えば、外輪案内方式の保持器を備えたアンギュラ玉軸受では、外輪に接触する保持器の案内部と外輪の接触面との間にすきま(案内すきま)が設けられている。この案内すきまは、外輪の内周面の直径と保持器の外周面の直径の差に相当している。一方、該アンギュラ玉軸受では、保持器が形成するポケットと転動体との間にもすきま(ポケットすきま)が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のアンギュラ玉軸受では、樹脂製の保持器を用い、案内すきまの大きさを保持器の案内径に対して規定するとともに、ポケットすきまの大きさを該案内すきまの大きさに対して規定している。このように、案内すきまなどの大きさを規定することで、軸受回転時における保持器の振れ回りの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、転がり軸受が回転する際には、保持器の案内部と軌道輪の接触面とが摺動することによって熱が生じる。さらに、軸受が高速回転する場合には、その発熱量は大きくなり、例えば特許文献1のアンギュラ軸受においても、摺動に伴って発熱量が大きくなると考えられる。この場合、発熱量の増加により保持器や軌道輪の温度が上昇すると、保持器の溶融や軌道輪の焼付きが発生するおそれがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高速回転時においても、保持器や軌道輪の温度上昇を抑えることにより、保持器の溶融や軌道輪の焼付きを防止することができる転がり軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内輪および外輪との間に配置される複数の転動体と、該複数の転動体を円周方向に所定の間隔を持って保持する保持器とを備え、該保持器が上記外輪に案内される転がり軸受であって、上記保持器は、該保持器の外周面に、上記外輪に案内される外輪案内部と、該外輪案内部の外径よりも小径に形成された切欠部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内輪および外輪との間に配置される複数の転動体と、該複数の転動体を円周方向に所定の間隔を持って保持する保持器とを備え、該保持器が上記内輪に案内される転がり軸受であって、上記保持器は、該保持器の内周面に、上記内輪に案内される内輪案内部と、該内輪案内部の内径よりも大径に形成された切欠部とを有することを特徴とする。
【0010】
上記切欠部は、上記保持器の幅面に開口していない凹状の溝部であることを特徴とする。また、上記保持器は、合成樹脂からなる樹脂製保持器であることを特徴とする。また、上記転がり軸受が、工作機械の主軸を支持するアンギュラ玉軸受であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内輪および外輪との間に配置される複数の転動体と、該複数の転動体を円周方向に所定の間隔を持って保持する保持器とを備え、該保持器が外輪に案内されるものであり、上記保持器は、該保持器の外周面に、外輪に案内される外輪案内部と、該外輪案内部の外径よりも小径に形成された切欠部とを有するので、切欠部がない場合に比べ、回転時において保持器の外周面と外輪とが接触する面積が小さくなる。その結果、保持器の外周面と外輪が摺動することによる温度上昇を抑えることができ、保持器の溶融や外輪の焼付きを防ぐことができる。これにより、高速回転下でも該転がり軸受を使用することができ、工作機械の主軸を支持するアンギュラ玉軸受として好適である。
【0012】
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内輪および外輪との間に配置される複数の転動体と、該複数の転動体を円周方向に所定の間隔を持って保持する保持器とを備え、該保持器が内輪に案内されるものであり、上記保持器は、該保持器の内周面に、内輪に案内される内輪案内部と、該内輪案内部の内径よりも大径に形成された切欠部とを有するので、切欠部がない場合に比べ、回転時において保持器の内周面と内輪とが接触する面積が小さくなる。その結果、保持器の内周面と内輪が摺動することによる温度上昇を抑えることができ、保持器の溶融や内輪の焼付きを防ぐことができる。これにより、高速回転下でも該転がり軸受を使用することができ、工作機械の主軸を支持するアンギュラ玉軸受として好適である。
【0013】
上記切欠部は、凹状の溝部であるので、溝部の両側では軌道輪と接触することができる。そのため、軸受回転時において保持器の振れ回りを抑制しつつ、接触面積の減少によって温度上昇を抑えることができる。また、この溝部は、保持器の幅面に開口していないので、該溝部に潤滑油などを保持でき、潤滑特性に優れる。
【0014】
上記保持器は、合成樹脂からなる樹脂製保持器であるので、摺動による温度上昇によって機械的強度の低下が懸念されるが、上記のとおり本発明の転がり軸受は、温度上昇が抑制されるため、高速回転時においても保持器の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一例に係るアンギュラ玉軸受の一部断面図である。
【
図2】従来の一例に係るアンギュラ玉軸受の一部断面図である。
【
図3】切欠部の他の形態を示した断面模式図である。
【
図4】本発明の他の一例に係るアンギュラ玉軸受の一部断面図である。
【
図5】本発明のアンギュラ玉軸受を用いたスピンドルを示す図である。
【
図6】実施例と比較例における回転数と温度上昇の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の転がり軸受であるアンギュラ玉軸受の一実施例について、
図1に基づき説明する。
図1は、本発明のアンギュラ玉軸受として、切欠部を有する樹脂製保持器を組み込んだアンギュラ玉軸受の一部断面図である。
図1に示すように、アンギュラ玉軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪2と外輪3との間に介在する複数の転動体である玉4と、この玉4を周方向に一定間隔で保持する保持器5とを備えている。内輪2および外輪3と、玉4とは径方向中心線に対して所定の角度θ(接触角)を有して接触しており、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を負荷可能となっている。なお、玉4の周囲には、必要に応じてグリースなどの潤滑剤が封入されている。
【0017】
図1において、保持器5は、一対のリング部6と、これら一対のリング部6を連結する複数の柱部(図示は省略する)とを有している。そして、一対のリング部6と隣接する柱部同士の間にポケット部7が形成されており、このポケット部7に玉4が収納されている。保持器5は、外輪案内方式であり、該保持器の外周面5aの一部に、外輪3に案内される外輪案内部5bを有している。アンギュラ玉軸受1は、軸方向片側の外輪3に案内される片側式の外輪案内方式であり、外輪案内部5bは、玉4からみて軸方向片側に設けられている。この構成では、外輪案内部5bが外輪3の内周面3aと接触することで、保持器5が外輪3に案内される。
【0018】
本発明のアンギュラ玉軸受1に係る保持器5は、外輪案内部5b側の外周面5aに、切欠部5cを有している。切欠部5cは、外輪案内部5bから連続して構成され、外輪案内部5bから内径方向に向かって切り欠けられた構造をしている。つまり、切欠部5cは、外輪案内部5bの外径よりも小径に形成されている。
図1の保持器5の切欠部5cは、一方のリング部6の外輪案内部5bから幅面5dにかけて形成されている。切欠部5cは、保持器の幅面5dに開口している。なお、切欠部5cは、保持器5の周方向に沿って、全周にわたり連続して形成されていてもよく、断続的に形成されていてもよい。また、
図1の保持器5は、外輪案内部5b側(図中右側)の外周面5aにのみ切欠部5cが設けられているが、他方の側(図中左側)の外周面5aに、同様の切欠部5cが設けられていてもよい。
【0019】
ここで、
図2に、従来のアンギュラ玉軸受の一部断面図を示す。
図2のアンギュラ玉軸受11は、内輪12と、外輪13と、内輪12と外輪13との間に介在する複数の転動体である玉14と、この玉14を周方向に一定間隔で保持する保持器15とを備えている。
図2のアンギュラ玉軸受11に係る保持器15は、
図1のアンギュラ玉軸受1に係る保持器5と同様に、片側式の外輪案内方式である。ここで、
図2に示すように、保持器15は、外輪案内部15b側の外周面15aに切欠部を有していない。言い換えると、外輪案内部15b側の外周面15aは、外径差がないように形成されている。これに対して、本発明に係るアンギュラ玉軸受(
図1)は、アンギュラ玉軸受11の外輪案内部15bの一部が切り欠けられた構成となっている。これにより、従来の構成に比べ、回転時において保持器の外輪案内部と外輪の内周面とが接触する面積が小さくなる。その結果、これらが摺動することによる温度上昇を抑えることができ、保持器の溶融や軌道輪の焼付きを防ぐことができる。
【0020】
切欠部5cの寸法は、適宜変更することができる。例えば、
図1に示すように、切欠部5cの寸法として、径方向高さをH、軸方向長さをLとし、これらを適宜変更することができる。例えば、径方向高さHは、保持器材質や保持器の径サイズにもよるが、0.1~1.0mm程度で十分であり、径方向高さHがそれ以上であると保持器の断面積が小さくなり、保持器強度が低下するため好ましくない。また、軸方向長さLは、外輪案内部をできる限り小さくして、外輪の内周面(案内面)との接触面積を小さくした方が好ましいので、L={(保持器幅)-ポケット径}/2を最大として、保持器強度や発熱との兼ね合いで適宜小さくすることが好ましい。
【0021】
切欠部5cの形状としては、外輪案内部5bの外径よりも小径に形成されていれば、特に制限されない。切欠部5cの形状について他の形態を
図3に示す。なお、
図3は、本発明のアンギュラ玉軸受1から玉4および保持器5を抜き出した断面模式図である。
図3(a)は、切欠部5cとして凹状の溝部を形成している。溝部の両側は、外輪案内部5bで構成される。この構成では、軸受回転時において溝部両側の外輪案内部5bが外輪3の内周面3aに接触するため、回転時の保持器5の振れ回りが抑制される。また、この溝部となる切欠部5cは、保持器の幅面に開口していないので、該溝部内に潤滑油などを保持できる。このため、保持器回転時にも幅面からの潤滑油の抜けを防止でき、案内部に潤滑油を安定して供給できる。
【0022】
図3(b)は、切欠部5cとして、外輪案内部5bから所定の角度(傾斜角α)で傾斜した傾斜面を形成している。該傾斜面は、外輪案内部5bと幅面5dを接続している。傾斜面とすることで、案内部において
図1の場合と同等に接触面積を低減させつつ、
図1の場合よりもリング部の切欠き樹脂量を少なくできる。これにより、切欠部の形成による保持器強度の低下を抑制できる。なお、
図1および
図3では、切欠部を平面で構成したが、曲面で構成してもよい。
【0023】
本発明のアンギュラ玉軸受の他の実施例について
図4に基づき説明する。
図4に示すアンギュラ玉軸受1に係る保持器5は、軸方向片側の内輪2に案内される内輪案内方式である。保持器5は、該保持器の内周面5eに、内輪案内部5fを有している。内輪案内部5fは、玉4からみて軸方向片側に設けられている。この場合、内輪案内部5fが、内輪2の外周面2aと接触することで内輪3に案内される。
【0024】
図4のアンギュラ玉軸受1に係る保持器5は、内輪案内部5f側の内周面5eに、切欠部5gを有している。切欠部5gは、内輪案内部5fから連続して構成され、内輪案内部5fから外径方向に向かって切り欠けられた構造をしている。つまり、切欠部5gは、内輪案内部5fの内径よりも大径に形成されている。
図4の保持器5の切欠部5gは、一方のリング部6の内輪案内部5fから幅面5hにかけて形成されている。なお、切欠部5cは、保持器5の周方向に沿って、全周に形成されていてもよく、断続的に形成されていてもよい。また、
図1、
図3に示す外輪案内方式の場合と同様に、切欠部5gの寸法や形状を適宜変更することができる。
【0025】
本発明の軸受に係る保持器5は、樹脂組成物を射出成形して得られる樹脂製の保持器が好ましい。特に射出成形であれば、金型で保持器案内部を形成できるため、より好ましい。樹脂組成物に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂などが用いられる。これらのうち、ガラス転移温度が高く、剛性や、自己潤滑性、低摩擦特性に優れている点で、PA樹脂を用いることが好ましい。これにより、高速回転時においても、玉4と保持器5との摩擦による発熱量を小さくでき、軌道輪の温度上昇を抑えることができる。なお、樹脂組成物に、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維や、他の添加剤を配合してもよい。また、保持器として、フェノール樹脂保持器のように機械加工で作製される保持器を用いてもよい。この場合、機械加工で保持器案内部を加工し、発熱量を小さくできる。
【0026】
本発明のアンギュラ玉軸受1は、回転時において、軌道輪と保持器の摺動による発熱を抑えることができるため、高速回転用途に特に適している。好ましくは10000min-1以上、より好ましくは20000min-1以上回転可能な高速回転装置に適用される。例えば、工作機械主軸やコンプレッサに適用される。
【0027】
図5は、アンギュラ玉軸受1を工作機械主軸(スピンドル)に取り付けた態様を示す図である。スピンドルユニット21は、2個のアンギュラ玉軸受1を有している。
図5において、定位置予圧で予圧した背面取り付けのアンギュラ玉軸受1で主軸22を支持している。2個のアンギュラ玉軸受1は、内輪側と外輪側とに、それぞれ介在する内輪間座23と外輪間座24とによって位置決めされている。また、スピンドルユニット21の外筒25には、冷却液通路26が設けられており、運転時のユニットの過度の温度上昇を防止している。その他、工作機械主軸における上記軸受の潤滑方法としては、例えば、グリース潤滑、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑、ジェット潤滑などの方法があり、いずれも採用できる。
【実施例】
【0028】
実施例
軸受として、内径70mmのアンギュラ玉軸受(HSE014)を使用した。この軸受の保持器には、射出成形により得られたPA樹脂製の保持器を用いた。該保持器は、片側の外輪案内方式の保持器であり、
図1に示すように、保持器の外周面の一部に切欠部を有している。切欠部の寸法は、H=0.5mm、L=1mmである。
【0029】
比較例
図2に示すような保持器の外周面に切欠部を有していない、片側の外輪案内方式の保持器を用いた以外は、実施例1と同様のアンギュラ玉軸受を使用した。
【0030】
実施例、比較例それぞれのアンギュラ玉軸受を用いて回転試験を実施した。各アンギュラ玉軸受を定圧予圧で組み立て、スピンドルユニットとした。主軸に対し増速器を介して設置されたモータを駆動させることで、主軸を20000~30000min
-1まで回転させた。この範囲内の各回転数において外輪の温度を測定した。 結果を
図6に示す。
【0031】
図6では、回転数が大きくなるほど、実施例と比較例との間における外輪の温度上昇の差が大きくなっている。例えば、回転数30000min
-1では、実施例の方が、比較例よりも外輪の温度上昇が5℃抑えられている。このように、切欠部を有する保持器を備えたアンギュラ玉軸受を用いることで、高速回転時における軌道輪の温度上昇を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の転がり軸受は、高速回転時においても、摺動による温度上昇を抑えることにより、保持器の溶融や軌道輪の焼付きを防止することができるので、高速回転可能な装置の軸受として広く利用できる。特に、工作機械の主軸を支持するアンギュラ玉軸受として好適である。
【符号の説明】
【0033】
1 アンギュラ玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 玉
5 保持器
6 リング部
7 ポケット部
11 アンギュラ玉軸受
12 内輪
13 外輪
14 玉
15 保持器
21 スピンドルユニット
22 主軸
23 内輪間座
24 外輪間座
25 外筒
26 冷却液通路