(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】電位治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/10 20060101AFI20221005BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20221005BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61N1/10
A47C7/74 B
A47C7/62 Z
(21)【出願番号】P 2017224894
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-271231(JP,A)
【文献】実開平06-038698(JP,U)
【文献】特開2010-110637(JP,A)
【文献】特開2013-022406(JP,A)
【文献】特開2003-325624(JP,A)
【文献】特開2012-035716(JP,A)
【文献】特開2013-164295(JP,A)
【文献】特開平08-196380(JP,A)
【文献】特開2008-132904(JP,A)
【文献】特開2006-055448(JP,A)
【文献】実開昭61-034999(JP,U)
【文献】特開2000-271232(JP,A)
【文献】特開2007-000570(JP,A)
【文献】特開2008-136835(JP,A)
【文献】特開2015-000070(JP,A)
【文献】特開2016-073484(JP,A)
【文献】特開2017-000416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/10
A47C 7/74
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面の左右中央部が最も後方に位置するように窪んだ湾曲面を有した背凭れ部と、
上面が前記背凭れ部に向けて下方に傾斜する座部と、
前記背凭れ部又は前記座部に設けられた電極と、
を備え、
前記座部の上面には、面状に疎密に配線されたヒーター線を有するヒーター部材が設けられ、
前記ヒーター線が疎に配線された前記ヒーター部材の領域に前記電極が重ねられていることを特徴とする電位治療器。
【請求項2】
前記電極は接触型であることを特徴とする請求項
1に記載の電位治療器。
【請求項3】
前記電極は前記座部の上面に設けられていることを特徴とする請求項1
及び2のいずれか1項に記載の電位治療器。
【請求項4】
前記座部は、前面の左右中央部に後方向に窪んだ窪み部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電位治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電位治療器は、座部、背凭れ部、座部に着座した使用者の頭部上方に位置する頭部電極(機能部)、及び頭部電極の下側に位置する足部電極(機能部)を備えている。この電位治療器は高電圧発生装置(制御部)で生じた高電圧を頭部電極と下部電極とに印加して、頭部電極と下部電極との間で高電界を発生させて、使用者を高電位とすると共に、使用者を高電界内に入れることによって使用者に電位治療を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この電位治療器は、背凭れ部、及び座部が左右方向に直線状に形成されている。このため、この電位治療器に使用者が着座する場合、使用者の姿勢が左右に旋回したり、左右に傾いたりするおそれがある。つまり、使用者がこの電位治療器に着座した場合、使用者の姿勢が良好でない状態になるおそれがある。
電位治療器に着座した人の姿勢が良好でない状態になると、使用者の背中や首の回りの筋肉が緊張し、使用者の血流が良好でなくなり、頭痛や肩こりが発症したり、自律神経が不安定になり使用者がリラックスした状態でなくなるため不眠症が発症したり、使用者の腹部が圧迫された場合、使用者の腸の運動(分節運動や蠕動運動等)が行われ難くなり便秘の症状が発症したりたりするおそれがある。
このため、この電位治療器は、姿勢が良好でない状態で着座した使用者に電位治療を施した場合、電位治療の作用を使用者に効果的に与えられないおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、正しい姿勢で着座することができ、頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状をより良好に緩和することができる電位治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の電位治療器は、前面の左右中央部が最も後方に位置するように窪んだ湾曲面を有した背凭れ部と、
上面が前記背凭れ部に向けて下方に傾斜する座部と、
前記背凭れ部又は前記座部に設けられた電極と、
を備え、
前記座部の上面には、面状に疎密に配線されたヒーター線を有するヒーター部材が設けられ、
前記ヒーター線が疎に配線された前記ヒーター部材の領域に前記電極が重ねられていることを特徴とする。
第2発明の電位治療器は、前面の左右中央部が最も後方に位置するように窪んだ湾曲面を有した背凭れ部と、
上面が前記背凭れ部に向けて下方に傾斜する座部と、
前記背凭れ部又は前記座部に設けられた電極とを備え、
前記背凭れ部の左右両側縁の上側は、前方に向けて延びて形成されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明及び第2発明の電位治療器は、座部に使用者が着座すると、背凭れ部に向けて下方に傾斜する座部によって、使用者の臀部が背凭れ部から離れ難くなる。これにより、使用者の腸骨や腰椎が背凭れ部の前面に沿う。さらに、背凭れ部の湾曲面によって使用者の体が左右に旋回したり、左右に傾いたりすることが抑えられ、正しい姿勢で使用者が着座することができ、使用者の背中や首の回りの筋肉の緊張が緩和されるため、血流が良好になる。これにより、使用者の頭痛や肩こりの症状を緩和することができる。さらに、自律神経が安定し使用者がリラックスした状態になるため、使用者の不眠症を緩和することができる。また、腸骨が背凭れ部の前面に沿うことによって使用者の腹部が圧迫され難くなるため、使用者の腸の運動(分節運動や蠕動運動等)が行われ易くなり、使用者の便秘の症状を緩和することができる。
また、第1発明及び第2発明の電位治療器は、背凭れ部の湾曲面と、背凭れ部に向けて下方に傾斜する座部とによって、電極の位置に使用者の体の位置を案内することができる。また、第1発明及び第2発明の電位治療器は、背凭れ部に向けて下方に傾斜する座部によって、使用者が深く着座することができる。これにより、電位治療器を使用することを意識することによって生じる使用者の緊張を緩和することができる。
さらに、第1発明及び第2発明の電位治療器は電極で電圧が生じると、この電圧によって使用者に電位治療を施すことができる。これにより、使用者が座部に着座した状態で電位治療器の電極で電圧が生じると、使用者の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状を緩和することができる。
つまり、第1発明及び第2発明の電位治療器は、座部に着座した使用者が正しい姿勢になった状態で電位治療を施すことによって、使用者の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状をより良好に緩和することができる。また、電極に接触するヒーター線の長さが長くなると、電極で生じる電圧が所望の大きさに到達しないおそれがある。このため、第1発明の電位治療器は、ヒーター線が疎に配線された前記ヒーター部材の領域に電極を重ね、電極に接触するヒーター線の長さを抑えることによって、電極で生じる電圧が所望の大きさに到達し易くすることができる。
【0008】
したがって、本発明の電位治療器は、正しい姿勢で着座することができ、頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状をより良好に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のカバー部材に覆われていない状態の電位治療器の正面図である。
【
図2】実施例1のカバー部材に覆われていない状態の電位治療器の平面図である。
【
図3】実施例1のカバー部材に覆われていない状態の電位治療器を左方からみた側面図である。
【
図5】実施例1の電位治療器に対する制御部、及び機能部の取り付け位置を示す斜視図である。
【
図6】(A)は第1ヒーター部材、及び電極が着座部の上側に位置する表面クッション部材の上面に貼着された状態を示す平面図であり、(B)は(A)における矢示C-C断面図である。
【
図7】(A)は
図2における矢示B-B断面図であって、第2ヒーター部材が背凭れ部の前側に位置する表面クッション部材の前面に貼着された状態を示し、(B)は(A)における矢示D-D断面図である。
【
図8】実施例1における、制御部、機能部、操作部、及びブランケットの構成を示した概略図である。
【
図9】
図1における矢示A-A断面図であって、設置面に配置された絶縁部材の上面に載置された実施例1の電位治療器に使用者が着座した状態を示す。
【
図10】電極で生じる電圧の大きさの変化を示すグラフである。
【
図13】実施例1の操作部を用いて電位治療器の制御部や機能部を操作する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の電位治療器の電極は接触型であり得る。この場合、この電位治療器は、電極の一部が使用者に接触するのみで、電極で生じた電圧を使用者の体全体に一様に付与することができる。
【0011】
本発明の電位治療器の電極は座部の上面に設けられ得る。この場合、使用者が座部に着座した状態において、使用者の臀部や太腿の付け根部分は座部から離れる機会が少ない。このため、電極を座部の上面に設けることによって使用者の体に電極をより確実に接触させることができる。
【0013】
本発明の座部は、前面の左右中央部に後方向に窪んだ窪み部が設けられ得る。この場合、この電位治療器は、座部に着座した使用者が立ち上がる際に、窪み部に足を配置することによって、使用者の重心の位置を使用者の足の上に移動させ易くすることができるため、使用者が立ち上がり易い。
また、この電位治療器を設置面に設置する場合、電気伝導性を有さない絶縁部材を介して設置面に設置する必要がある。そして、絶縁部材は、座部の前側から前方に、使用者の足を配置する所定の領域を設ける必要がある。つまり、この電位治療器は、窪み部によって使用者の足を配置する所定の領域をより広くすることができる。これにより、電位治療器に着座した使用者が立ち上がる場合、窪み部に足を配置することによって使用者の足が所定の領域内に留まり易くすることができ、使用者の足が設置面に接触する機会を抑えることができる。
【0014】
次に、本発明の電位治療器を具体化した実施例1について、
図1~13を参照しつつ説明する。
【0015】
<実施例1>
実施例1の電位治療器10は、
図1~5に示すように、座部である着座部11、背凭れ部16、表面クッション部材14、制御部70、機能部75、操作部80、カバー部材20、及び絶縁部材21を備えている。電位治療器10は、着座部11に着座した使用者50の臀部51、太腿の付け根部分53、及び背中52を暖めたり、使用者50に対して電位治療を施したりする(
図9参照。)。
【0016】
着座部11は、座部本体11E、第1座部クッション部材12、及び第2座部クッション部材13を有している。
座部本体11Eは、例えば、多孔質体であり、発泡樹脂である公知の発泡スチロール等で形成されている。つまり、座部本体11Eは多孔質体である発泡スチロールで形成されている。
【0017】
座部本体11Eの底面は平面状に形成されている(
図1、3、4参照。)。座部本体11Eは、
図2に示すように、上方(上下は、
図2における、手前側、奥側である)からの平面視において、左右方向(左右は、
図2における左側、右側である)の寸法が後端より前端が僅かに大きいほぼ台形形状をなしている。また、着座部11の座部本体11Eの前面(前後は、
図2における下側、上側である)の左右中間部に後方向に窪んだ窪み部11Fが形成されている(
図4、5、9参照。)。これにより、着座部11に着座した使用者50が立ち上がる際に窪み部11Fに足を配置することによって、使用者50の重心の位置を使用者50の足の上に移動させ易くすることができるため、使用者50が立ち上がり易い(
図9参照。)。
また、座部本体11Eの前端面の上端部は、下端部より前方向に突き出している(すなわち、オーバーハングしている。)。
また、座部本体11Eの上面は、
図4に示すように、前後方向において下方向に窪んでおり、前端から前後中央部に向けて後方向に下降して傾斜し、前後中央部から後端部に向けて上昇して傾斜している。つまり、着座部11は上面が背凭れ部16に向けて下方に傾斜している。これにより、
図9に示すように、着座部11に使用者50が着座すると、使用者50の臀部51が後述する背凭れ部16に近づき易くなり、背凭れ部16から離れ難くなる。すると、使用者50の腸骨54が背凭れ部16の前面に沿う。また、座部本体11Eの上面の左右両端部には、前後方向に延びて上方向に突出した一対の凸部11Dが設けられている(
図1、5参照。)。
【0018】
また、
図1、3、5に示すように、座部本体11Eの左側の下側には溝11Aが形成されている。具体的には、溝11Aは左右方向に所定の幅を有して前後方向に延びており、座部本体11Eの底面に開口して上方向に窪んで形成されている(図示せず。)。また、溝11Aは後側の面が上方向に向けて前側に傾斜して形成されており、前端面が上方向にほぼ垂直に形成されている(
図3、5参照。)。つまり、溝11Aは左方又は右方から見た側面視においてほぼ台形状である(
図3参照。)。また、溝11Aには、溝11Aが成す空間とほぼ同じ形状であり、平板状をなした固定板19が着座部11の下方から上方向に挿入されて座部本体11Eに対して固定されている(
図5参照。)。固定板19は例えば木製である。
また、座部本体11Eの左側の側面の下部には右方向に窪んで形成された凹部11Bが設けられている。つまり、凹部11Bは座部本体11Eの左側の側面に形成されており、一方向(左方向)に開口している。凹部11Bには後述する制御部70が収納される。凹部11Bは前後方向に長いほぼ直方体状をなしている。また、
図3に示すように、ほぼ直方体状をなした凹部11Bを形成する四つの面のそれぞれが固定板19の平板状に拡がる面の領域内に位置している。また、凹部11Bの奥側(
図3における奥側)には固定板19の左側(
図3における手前側)の面が露出する。
【0019】
第1座部クッション部材12は、例えば、多孔質体であり、発泡樹脂である公知のチップウレタン等で形成されている。第1座部クッション部材12は、
図4、5に示すように、座部本体11Eの上面の前後中央部を覆っている。また、第1座部クッション部材12は座部本体11Eの一対の凸部11Dの間に配置されている(
図5参照。)。第1座部クッション部材12の表面の後端は後述する背凭れ部16の前面の下端部に連続するように形成されている(
図4参照。)。
【0020】
また、第1座部クッション部材12には、
図2、4、5に示すように、第1機能部収納部12A、及び一対の第2機能部収納部12Bが設けられている。第1機能部収納部12Aには後述する機能部75である接続ボックス71が収納される。また、各第2機能部収納部12Bのそれぞれには、後述する機能部75である一対の振動ユニット78の一部であるモータ78Aが1つずつ収納される。
具体的には、第1機能部収納部12Aは、
図2、4に示すように、座部本体11Eの上面の左右中央部の左側であって、背凭れ部16の近傍の第1座部クッション部材12に厚み方向に貫通して形成されている。第1機能部収納部12Aは左右方向に長いほぼ直方体状をなしている。
また、第1機能部収納部12Aと座部本体11Eの凹部11Bとは、
図5に示すように、連通孔11Cで連通している。具体的には、連通孔11Cの一方の端が第1機能部収納部12Aの内側であって、第1機能部収納部12Aを形成する面の内の左側の面に開口しており、第1座部クッション部材12、及び座部本体11Eを経由して、他方の端が凹部11Bを形成する面の内の上面の後端部に開口している。
一対の第2機能部収納部12Bは、
図2、5に示すように、それぞれが第1座部クッション部材12の左右両端部であって、第1座部クッション部材12の前後中央部に設けられている。第2機能部収納部12Bはほぼ直方体状をなしている。第2機能部収納部12Bは第1座部クッション部材12を厚み方向に貫通している(図示せず。)。
【0021】
第2座部クッション部材13は、例えば、多孔質体であり、発泡樹脂である公知の低反発の発泡ウレタン等で形成されている。第2座部クッション部材13は、
図4、5に示すように、座部本体11Eの上面の前端部を覆っている。また、第2座部クッション部材13は座部本体11Eの一対の凸部11Dの間に配置されている。第2座部クッション部材13の上面の後端は第1座部クッション部材12の上面の前端にほぼ面一である。また、第2座部クッション部材13の上面の前端部は、前方上側に湾曲し、座部本体11Eの前面の上端にほぼ面一に形成されている(
図4参照。)。
【0022】
背凭れ部16は、例えば、多孔質体であり、発泡樹脂である公知の発泡スチロール等で形成されており、座部本体11Eと一体的に形成されている。つまり、背凭れ部16は多孔質体である発泡スチロールで形成されている。
背凭れ部16は、
図2に示すように、背凭れ部16の左右中央部を構成する第1支持部17と、背凭れ部16の左右両側縁部を構成する左右対称な一対の第2支持部18を有している。第1支持部17は座部本体11Eの後端部から上方向に延びている。各第2支持部18は、第1支持部17の左右両側縁から前方に向けて互いの間隔が拡がるように斜め前方へ延びて形成されている。これにより、背凭れ部16は、上方からの平面視において、前面の左右中央部が最も後方に位置するように窪んだ湾曲面16Aを形成している(
図2参照。)。また、各第2支持部18の下側は、下方向に向かうに従い、後方向に傾斜している。これにより、着座部11に着座した使用者50が立ち上がる場合、着座部11の上面に手を添えることができ、立ち上がり易い。また、各第2支持部18は着座部11に着座した使用者50の背中52の左右両側部の一部に当たるのみであるため、使用者50の背中52の左右両側部が蒸れ難くなり、さらに、使用者50が圧迫感を感じ難くすることができる。また、背凭れ部16の第1支持部17の前面は、
図4に示すように、上側に向かうに従い後方向に傾斜する度合いが大きくなっている。これにより、着座部11に使用者50が着座すると、第1支持部17、及び第2支持部18に寄りかかり易くなる。このため、使用者50の体重を第1支持部17、及び第2支持部18にも分散させることができる。さらに、使用者50の胸部が圧迫され難くなり、より深く呼吸することができ、これにより、使用者50がリラックスした状態で着座することができる。そして、第1支持部17の前後方向の厚みは座部本体11Eから上方向に離れるに従い小さく形成されている。つまり、背凭れ部16の第1支持部17の前面は上下方向において前方向に湾曲している。
このため、
図9に示すように、着座部11に使用者50が着座すると、使用者50の臀部51が背凭れ部16に近づき易くなり、背凭れ部16から離れ難くなる。すると、使用者50の腸骨54及び腰椎55が背凭れ部16の前面の前方向の湾曲に沿う。このとき腰椎55はS字状になる。
また、使用者50が着座部11に着座すると、背凭れ部16の湾曲面16Aによって使用者50の体が左右に旋回したり、左右に傾いたりすることが抑えられる。こうして使用者50は正しい姿勢になる。これにより、使用者50の背中52や首の回りの筋肉の緊張が緩和されるため、使用者50の血流が良好になり、使用者50の頭痛や肩こりの症状を緩和することができる。さらに、自律神経が安定し、使用者50がリラックスした状態になるため、使用者50の不眠症を緩和することができる。また、腸骨54が背凭れ部16の前面に沿うことによって使用者50の腹部が上下方向に広がり圧迫され難くなるため、使用者50の腸の運動(分節運動や蠕動運動等)が行われ易くなり、使用者50の便秘の症状を緩和することができる。
なお、第2支持部18の上面の上下方向の位置が、着座部11に着座した使用者50の胸椎の下部を支持する位置より上方に位置する場合、電位治療器10に着座した使用者50が圧迫感を感じるおそれがある。また、第2支持部18の上面の上下方向の位置が、着座部11に着座した使用者50の胸椎の下部を支持する位置より下方に位置する場合、電位治療器10に着座した使用者50の体が左右に旋回したり、左右に傾いたりし易くなるおそれがある。このため、第2支持部18の上面の上下方向の位置は、着座部11に着座した使用者50の胸椎の下部を支持する位置が好ましい。これにより、着座部11に着座した使用者50は、各第2支持部18の上面に肘を掛けることができ、第2支持部18の上面に肘を掛けつつ、読書等をすることができる。また、電位治療器10に着座した使用者50が立ち上がる場合、各第2支持部18の上面に手を添えることができ、容易に立ち上がることができる。
【0023】
湾曲面16Aの左右中央部である第1支持部17の前面は、着座部11に着座した使用者50の背中52の左右中央部が当たり得る領域である(
図2、9参照。)。湾曲面16Aの左右両側部である各第2支持部18の前面は、着座部11に着座した使用者50の背中52の左右両側部が当たり得る領域である(
図2、9参照。)。また、各第2支持部18の前端部を使用者50が把持することによって、電位治療器10を容易に運搬することができる。
【0024】
表面クッション部材14は、例えば、多孔質体であり、発泡樹脂である公知の発泡ウレタン等で形成されている。表面クッション部材14は第1座部クッション部材12の第1機能部収納部12Aに後述する接続ボックス71が収納され、一対の第2機能部収納部12Bのそれぞれに、後述する一対の振動ユニット78の一部であるモータ78Aが収納された後に取り付けられる。
表面クッション部材14は、座部本体11Eの前面、座部本体11Eの一対の凸部11Dの上面、第2座部クッション部材13の上面、第1座部クッション部材12の上面、及び背凭れ部16の前面及び上面に沿ってこれらの面を覆っている。背凭れ部16の上面を覆う表面クッション部材14の後端面は背凭れ部16の後側の面の上端にほぼ面一である。また、座部本体11Eの前面を覆う表面クッション部材14の下端面は座部本体11Eの底面の前端にほぼ面一である。
【0025】
電位治療器10は、着座部11に使用者50が着座すると、表面クッション部材14、第1座部クッション部材12、及び第2座部クッション部材13が変形し、使用者50の臀部51、太腿の付け根部分53、及び背中52に表面クッション部材14の表面が密着する(
図9参照。)。これにより、電位治療器10は使用者50の臀部51、太腿の付け根部分53、及び背中52が密着する表面クッション部材14に使用者50の体重を満遍なく分散させることができる。
【0026】
制御部70は、
図8に示すように、第1筺体70A及び第1基板70Bを有している。第1筺体70Aは、例えば、合成樹脂で形成され、ほぼ直方体状をなした箱である。第1筺体70Aの外形は座部本体11Eの凹部11Bが成す空間の形とほぼ同じである(
図5参照。)。第1基板70Bは第1筺体70Aに収納されており、実装された様々な電子部品によって電気回路が形成されている。制御部70は商用電源(図示せず)から第1基板70Bに電源コード76Jを介して電力が供給され、この電力に基づいて動作する。制御部70は後述する操作部80を操作することによって、後述する機能部75の動作を制御することができる。つまり、制御部70は機能部75の動作を制御する。制御部70は、凹部11Bに収納され、奥側の面を固定板19の左側の面に当接させて固定板19に固定されている。また、第1筺体70Aにはソケット70Cが設けられている。ソケット70Cには後述するブランケット77のプラグ77Gを差し込むことによって、ブランケット77に電力を供給することができる。
【0027】
機能部75は、接続ボックス71、一対の振動ユニット78、ヒーター部材である第1ヒーター部材72、第2ヒーター部材73、及び電極74を有している。
接続ボックス71は第2筺体71A、及び第2基板71Bを具備している。
第2筺体71Aは、例えば、合成樹脂で形成され、ほぼ直方体状をなした箱である。第2筺体71Aの外形は第1座部クッション部材12の第1機能部収納部12Aが成す空間の形とほぼ同じである。
第2基板71Bは第2筺体71Aに収納されており、実装された様々な電子部品によって電気回路が形成されている。第2基板71Bと第1基板70Bとは、互いに並列な2本のケーブル76A,76Bを介して電気的に接続されている。ケーブル76Aは4本のハーネスが互いに並列をなして束ねられている。また、ケーブル76Bは5本のハーネスが互いに並列をなして束ねられている。
【0028】
こうして構成された接続ボックス71は第1機能部収納部12Aに収納されている(
図4参照。)。そして、ケーブル76A,76Bは連通孔11Cに挿通されて、第2基板71Bと第1基板70Bとを電気的に接続している。接続ボックス71は第1基板70Bから第2基板71Bに電力が供給されると、後述する一対の振動ユニット78、後述する第1ヒーター部材72、後述する第2ヒーター部材73、及び後述する電極74のそれぞれに電力を分配して供給する。
【0029】
一対の振動ユニット78のそれぞれは、モータ78A及びモータ固定板78B具備している。モータ78Aは、例えば、公知のアンバランスモータ等で構成されており、電力が供給されると回転子が回転して振動する。モータ78Aは第2基板71Bに対して、互いに並列な2本のハーネス76Cを介して電気的に接続されている。モータ固定板78Bはほぼ正方形状をなした平板である。モータ固定板78Bは、例えば、合成樹脂で形成されている。各モータ固定板78Bにはモータ78Aが1つずつ、それぞれの回転子の回転が妨げられないように固定されている。こうして構成された各振動ユニット78は一対の第2機能部収納部12Bのそれぞれに各モータ78Aを1つずつ収納し、各モータ固定板78Bで各第2機能部収納部12Bの開口を塞ぐように各モータ固定板78Bが第1座部クッション部材12の上面に貼着されている(
図2参照。)。
【0030】
第1ヒーター部材72は、
図6(B)に示すように、基材72A、ヒーター線である電線72B、不織布72Cを具備している。基材72Aは長方形状をなしたフエルト製である。電線72Bには、例えば公知のコードヒーターが用いられる。不織布72Cは基材72Aとほぼ同じ大きさをなした布である。第1ヒーター部材72は電線72Bが基材72Aの一方の面に面状に蛇行状に配線されている。不織布72Cは電線72Bが配線された基材72Aの一方の面に、電線72Bを覆って貼着されている。
第1ヒーター部材72は、一対の凸部11Dの間であって、第1機能部収納部12Aの前端より前方に位置する表面クッション部材14の上面に貼着される(
図6(A)参照。)。
【0031】
使用者50が着座部11に着座すると、第1ヒーター部材72、表面クッション部材14、第1座部クッション部材12、及び第2座部クッション部材13が変形する。特に、第1ヒーター部材72の中央部は使用者50の体重が掛かり易く、最も沈み込む。このため、第1ヒーター部材72の中央部に電線72Bを配線すると、電線72Bが基材72Aに対してずれたり、断線したりするおそれがある。
電線72Bが基材72Aに対してずれたり、断線したりすることを防止するため、第1ヒーター部材72が表面クッション部材14の上面に貼着された状態において、電線72Bは、
図6(A)に示すように、長方形状をなした基材72Aの左右両端部、及び後端部に配線されており、基材72Aの中央部、及び前端部の左右中央に配線されていない。つまり、第1ヒーター部材72が表面クッション部材14の上面に貼着された状態において、後側が前側に比べて電線72Bが面状に密に配線され、前側が後側に比べて面状に疎に配線されている。つまり、第1ヒーター部材72は着座部11の上面に位置する表面クッション部材14の上面に面状に疎密に電線72Bが配線されている。
【0032】
また、電線72Bの両端は、基材72Aの左端部の後端から引き出されている。引き出された電線72Bの両端のそれぞれは、互いに並列な2本のハーネス76Dを介して第2基板71Bに電気的に接続されている。これらハーネス76Dは、接続ボックス71の近傍の表面クッション部材14に厚み方向に貫通して設けられた貫通孔(図示せず)を経由して、第1ヒーター部材72の電線72Bの両端のそれぞれと、第2基板71Bとを電気的に接続している。
こうして形成された第1ヒーター部材72は変形自在であり、電線72Bに電力が供給されると電線72Bが発熱する。
【0033】
第2ヒーター部材73は、
図7(B)に示すように、基材73A、電線73B、不織布73Cを具備している。基材73Aは長方形状をなしたフエルト製である。電線73Bには、例えば公知のコードヒーターが用いられる。不織布73Cは基材73Aとほぼ同じ大きさをなした布である。第2ヒーター部材73は電線73Bが基材73Aの一方の面に蛇行状に配線されている。不織布73Cは電線73Bが配線された基材73Aの一方の面に、電線73Bを覆って貼着されている。
第2ヒーター部材73は、背凭れ部16の左右中央部であって、第1機能部収納部12Aの後端より上方の表面クッション部材14の前面に貼着されている(
図7(A)参照。)。
【0034】
また、電線73Bの両端は、長方形状をなした基材73Aの左端部の下端から引き出されている。引き出された電線73Bの両端それぞれは、互いに並列な2本のハーネス76Eを介して第2基板71Bに電気的に接続されている。これらハーネス76Eは、接続ボックス71の近傍の表面クッション部材14に厚み方向に貫通して設けられた貫通孔(図示せず)を経由して、第2ヒーター部材73の電線73Bの両端のそれぞれと、第2基板71Bとを電気的に接続している。
こうして形成された第2ヒーター部材73は変形自在であり、電線73Bに電力が供給されると電線73Bが発熱する。
【0035】
電極74は、接続ボックス71を介して制御部70から電力が供給されると、供給された電力に基づいて所定の電圧を生じることができる。
電極74は、
図6(B)に示すように、導電材74A、及び両面テープ74Cを具備している。導電材74Aはほぼ長方形状をなし、電気伝導性を有した繊維が織り込まれた布である。電極74は、導電材74Aの一方の面を表面クッション部材14に貼着された第1ヒーター部材72の上面に対向させて、第1ヒーター部材72の上側に両面テープ74Cを用いて貼着されている(
図4、5、6(B)参照。)。また、電極74は電線72Bが面状に疎に配線された第1ヒーター部材72の前側の領域に重ねられている。つまり、電極74は着座部11の上面であって、前側に設けられている。これにより、電極74に接触する電線72Bの長さを抑えることができ、電極74で生じる電圧が所望の大きさに到達し易くすることができる。また、導電材74Aの上面は、後述する絶縁物でないカバー部材20で覆われているのみである。つまり、電極74は接触型の電極である。
また、使用者50が着座部11に着座した状態において、使用者50の臀部51や太腿の付け根部分53は着座部11から離れる機会が少ない。このため、電極74を着座部11の上面に設けることによって使用者50の体に電極74をより確実に接触させることができる(
図9参照。)。ここで、接触とは、電極74が使用者50に対して直接的又は間接的に接触する状態であって、電極74と使用者50とが絶縁物でない使用者50の着衣(図示せず)や後述する絶縁物でないカバー部材20等を介して近づいている状態である。
【0036】
電極74は導電材74Aに1本のハーネス76Fの一端が電気的に接続されている。また、ハーネス76Fの他端は第2基板71Bに対して電気的に接続されている。ハーネス76Fは、接続ボックス71の近傍の表面クッション部材14に厚み方向に貫通して設けられた貫通孔(図示せず)を経由して、電極74と第2基板71Bとを電気的に接続している。
こうして形成された電極74は変形自在であり、電力が接続ボックス71を介して制御部70から供給されると、供給された電力に基づいて所定の電圧を生じる。
電極74は接触型である。このため、着座部11に使用者50が着座すると、電極74と使用者50の太腿の付け根部分53とが接触する。この状態において電極74で電圧が生じると、使用者50の着衣や後述するカバー部材20を介して使用者50に電圧が付与され、使用者50の体全体に一様に電圧を付与することができる。電極74から使用者50には、電流が流れることが抑えられる構成となっている。これにより、電位治療器10は使用者50に電位治療を施すことができる。電位治療器10は着座部11に着座した使用者50に電位治療を施すことによって、使用者50の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状を緩和することができる。
このように、機能部75である接続ボックス71、一対の振動ユニット78、第1ヒーター部材72、及び第2ヒーター部材73、及び電極74は電気によって動作する。
【0037】
操作部80は、第3筺体80A、及び第3基板80Bを有している。
第3筺体80Aは、例えば、合成樹脂で形成され、ほぼ直方体状をなした箱である。
第3基板80Bは第3筺体80Aに収納されており、表示部80Cや複数の押しボタン80D等の電子部品が実装され、電気回路が形成されている。第3基板80Bと第1基板70Bとは、1本のケーブル76Gを介して電気的に接続されている。ケーブル76Gは4本のハーネスが互いに並列をなして束ねられている。こうして操作部80は形成されている。
【0038】
ここで、表示部80C、及び複数の押しボタン80Dの構成について、
図12を参照しつつ説明する。表示部80Cは、例えば、液晶表示素子で構成されている。表示部80Cは、電位ランプ81A、モータ振動マーク81B、タイマー時間表示部81C、人マーク81D、選択枠81E,81F,81G、強さ表示部81P,81Q,81R、背中表示81T、お尻表示81U、膝表示81V、及びその他表示部81Sを具備している。表示部80Cのこれら表示は、制御部70の電源がオフ状態のときには消灯されている。
【0039】
電位ランプ81Aは、電極74で電圧が生じているときに点灯し、電極74で電圧が生じていないときに消灯する。
モータ振動マーク81Bは、振動ユニット78のモータ78Aが振動しているときに点灯し、モータ78Aが振動していないときに消灯する。
タイマー時間表示部81Cは電極74で電圧が生じる時間を表示する。タイマー時間表示部81Cには、制御部70の電源がオフ状態からオン状態に切り替わると、初期値として"60"(分)と点滅して表示される。
【0040】
人マーク81Dは、外枠81J、頭部81K、背中部81L、臀部81M、及び膝部81Nを具備している。人マーク81Dは、第1ヒーター部材72、第2ヒーター部材73、及び後述するブランケット77のオン/オフの状態を表示することができる。
外枠81Jは、制御部70の電源がオフ状態からオン状態に切り替わると点灯し、制御部70の電源がオン状態からオフ状態に切り替わると消灯する。
背中部81Lは、第2ヒーター部材73がオン状態のときに点灯し、第2ヒーター部材73がオフ状態のときに消灯する。
臀部81Mは、第1ヒーター部材72がオン状態のときに点灯し、第1ヒーター部材72がオフ状態のときに消灯する。
膝部81Nは、後述するブランケット77のプラグ77Gが制御部70のソケット70Cに差し込まれ、且つオン状態のときに点灯し、ブランケット77のプラグ77Gが制御部70のソケット70Cに差し込まれていない、又はオフ状態のときに消灯する。
【0041】
選択枠81E,81F,81Gは、背中部81Lに対応する第2ヒーター部材73、臀部81Mに対応する第1ヒーター部材72、膝部81Nに対応するブランケット77の内、現在オン状態にすることができ、且つ温度を調節することができる部位を示すことができる。具体的には、選択枠81Eが点灯している場合、第2ヒーター部材73をオン状態にすることができ、且つ温度を調節することができ、選択枠81Fが点灯している場合、第1ヒーター部材72をオン状態にすることができ、且つ温度を調節することができ、選択枠81Gが点灯している場合、ブランケット77をオン状態にすることができ、且つ温度を調節することができる。
強さ表示部81P,81Q,81Rはそれぞれが3つの表示領域で構成されている。
強さ表示部81Pは選択枠81Eの枠内に配置されており、3つの表示領域が点灯する数を0~3つに変更することによって、第2ヒーター部材73の調節された温度の大きさをオフ、低、中、高の4段階で示すことができる。
強さ表示部81Qは選択枠81Fの枠内に配置されており、3つの表示領域が点灯する数を0~3つに変更することによって、第1ヒーター部材72の調節された温度の大きさをオフ、低、中、高の4段階で示すことができる。
強さ表示部81Rは選択枠81Gの枠内に配置されており、3つの表示領域が点灯する数を0~3つに変更することによって、ブランケット77の調節された温度の大きさをオフ、低、中、高の4段階で示すことができる。
背中表示81T、お尻表示81U、及び膝表示81Vは、表示部81に表示される情報を使用者50が把握し易くするためのものであり、制御部70の電源がオフ状態からオン状態に切り替わると点灯し、制御部70の電源がオン状態からオフ状態に切り替わると消灯する。なお、膝表示81Vはブランケット77のプラグ77Gが制御部70のソケット70Cに差し込まれていない場合には点灯しない。
【0042】
その他表示部81Sは、表示部81に表示される情報を使用者50が把握し易くするためのものであり、制御部70の電源がオフ状態からオン状態に切り替わると点灯し、制御部70の電源がオン状態からオフ状態に切り替わると消灯する。
【0043】
複数の押しボタン80Dは、電源ボタン82A、左ボタン82B、右ボタン82C、モータ振動オン/オフボタン82D、ヒーターボタン82E、及びエンターボタン82Fを具備している。
電源ボタン82Aは、押下すると制御部70の電源のオン/オフを切り替えることができる。
左ボタン82B、及び右ボタン82Cは、押下すると電極74で電圧が生じる時間を30分、又は60分に切り替えたり、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、又はブランケット77の内、現在選択されている部分の温度をオフ、低、中、高の4段階のいずれかに変化させたりすることができる。
モータ振動オン/オフボタン82Dは、押下すると振動ユニット78のモータ78Aを振動させたり、振動を停止させたりすることができる。
ヒーターボタン82Eは、押下すると、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、ブランケット77のいずれかを選択することができる。また、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、ブランケット77のいずれも選択しない状態にすることもできる。
エンターボタン82Fは、押下すると電極74で電圧が生じ、且つ振動ユニット78のモータ78Aを振動させることができる。
【0044】
着座部11に着座した使用者50は、表示部80Cに表示された情報を確認する。表示部80Cには、現在の制御部70の電源のオン/オフの状態、第1ヒーター部材72、及び第2ヒーター部材73の温度やそれぞれのオン/オフの状態、及び電極74で電圧が生じる時間や電極74のオン/オフの状態等の情報が表示される。そして、使用者は表示部80Cに表示されたこれらの情報を把握し、その後、複数の押しボタン80Dのいずれかを押下する。これにより、使用者50は制御部70の電源のオン/オフの状態、第1ヒーター部材72、及び第2ヒーター部材73の温度やそれぞれのオン/オフの状態、及び電極74で電圧が生じる時間や電極74のオン/オフの状態等を所望の状態に変更したり切り替えたりすることができる。
また、操作部80は、後述するブランケット77が制御部70に電気的に接続されている場合、ブランケット77の温度の表示や変更、及びオン/オフの状態の表示や切り替え等もすることができる。
【0045】
カバー部材20は布製である。カバー部材20の厚みは全領域にわたりほぼ同じである。カバー部材20は、
図4、
図11に示すように、表面クッション部材14の表面、座部本体11Eの左右両側及び後側の面、背凭れ部16の左右両側及び後側の面の形状に沿う形状に縫製されている。こうして形成されたカバー部材20は表面クッション部材14の表面、座部本体11Eの左右両側及び後側の面、背凭れ部16の左右両側及び後側の面に沿ってこれらの面を覆う。
【0046】
また、カバー部材20の座部本体11Eの左側の面を覆う部分の前側には、
図11に示すように、ポケット20Aが設けられている。ポケット20Aは、四角形状をなした布である。ポケット20Aはカバー部材20の座部本体11Eの左側の面に前端縁、後端縁、及び下端縁が縫いつけられ、上端縁が縫いつけられていない。ポケット20Aには縫い付けられていない上端縁から操作部80等を挿入して収納することができる。操作部80をポケット20Aに収納しておくことで、電位治療器10を容易に運搬することができる。また、カバー部材20の座部本体11Eの左側の面を覆う部分の後側の下端部には開口孔20Bが形成されている。制御部70には、開口孔20Bを介して電源コード76J、ケーブル76G、及びケーブル77Cが接続される。
【0047】
カバー部材20は、第1座部クッション部材12、第2座部クッション部材13、及び表面クッション部材14が弾性変形すると、この弾性変形に追従して変形する。こうして電位治療器10は構成されている。また、着座部11の上面に位置する表面クッション部材14の表面に位置するカバー部材20の表面と、第1支持部17の前面に位置する表面クッション部材14の表面とがなす角度θはおよそ75°~90°が好ましく、より好ましい角度θはおよそ80°である(
図4参照。)。
なお、カバー部材20は着脱自在である。これにより、電位治療器10はカバー部材20を取り外すことによって制御部70や機能部75を容易にメンテナンスすることができる。また、取り外したカバー部材20は洗濯することもできる。
【0048】
絶縁部材21は、
図9に示すように、平板状をなして形成され、電気伝導性を有さない材料で形成されている。絶縁部材21は、設置面Lに設置され、上面に着座部11の座部本体11Eの底面が当接される。絶縁部材21は、着座部11の前側から前方に、使用者50の足を配置する所定の領域Sが設けられている。絶縁部材21は、電極74で生じた電圧が付与された使用者50が設置面Lに触れることによって、使用者50を介して電極74と設置面Lとの間で電流が流れることを防止するものである。また、電位治療器10は、座部本体11Eの窪み部11Fによって、所定の領域Sをより広くすることができる。これにより、電位治療器10に着座した使用者50が立ち上がる場合、窪み部11Fに足を配置することによって、使用者50の足が所定の領域S内に留まり易くすることができ、使用者50の足が設置面Lに接触する機会を抑えることができる。
【0049】
ここで、操作部80を用いて電位治療器10の制御部70や機能部75を操作する方法について、
図12、13等を参照しつつ説明する。
【0050】
先ず、使用者50が電位治療器10に着座し、そして、操作部80の電源ボタン82Aを押下する(ステップS1)。すると、ステップ2に移行して、制御部70の電源がオフ状態からオン状態に切り替わり、表示部80Cの人マーク81Dの外枠81J、背中表示81T、お尻表示81U、及び膝表示81V、及びその他表示部81Sが点灯する。なお、ブランケット77のプラグ77Gが制御部70のソケット70Cに差し込まれていない場合、膝表示81Vは点灯しない。また、タイマー時間表示部81Cには、初期値として"60"(分)と点滅して表示される。また、タイマー設定モードがオン状態になる。また、ステップS1において、電源ボタン82Aを押下しない場合、ステップS1に移行する。
【0051】
次に、左ボタン82B又は右ボタン82Cを押下する(ステップS3)。すると、ステップS4に移行して、タイマー時間表示部81Cの初期値の表示が"60"(分)又は"30"(分)のいずれかに切り替わる。なお、"60"(分)及び"30"(分)は点滅して表示されている。また、ステップS3において、左ボタン82B又は右ボタン82Cを押下しない場合、ステップS5に移行する。
【0052】
次に、エンターボタン82Fを押下する(ステップS5)。すると、ステップS6に移行して、電極74で電圧が生じると共に、振動ユニット78のモータ78Aが振動を開始する。このとき、電位ランプ81A、及びモータ振動マーク81Bが点灯する。また、ステップS5において、エンターボタン82Fを押下しない場合、ステップS3に移行する。
そして、ステップS7に移行してタイマーのカウントを行う。また、このとき、タイマー時間表示部81Cの"60"(分)又は"30"(分)の表示は点滅した状態から点灯した状態に切り替わる。タイマー時間表示部81Cの表示は1分毎に1ずつ減少し、タイマー時間表示部81Cの表示が"60"(分)の場合、およそ60分経過するとタイマー時間表示部81Cの表示は"0"(分)になり、タイマー時間表示部81Cの表示が"30"(分)の場合、およそ30分経過するとタイマー時間表示部81Cの表示は"0"(分)になる。
【0053】
次に、ヒーターボタン82Eを押下する(ステップS8)。すると、ステップS9に移行して、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、ブランケット77のいずれかを選択することができる。また、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、ブランケット77のいずれも選択しない状態にすることもできる。具体的には、ヒーターボタン82Eを押下する毎に、選択枠81E,81F,81Gが1つずつ交互に点灯し、選択枠81Gが点灯した状態でヒーターボタン82Eを押下すると選択枠81E,81F,81Gが全て消灯し、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、及びブランケット77のいずれも選択しない状態になる。
また、ブランケット77のプラグ77Gが制御部70のソケット70Cに差し込まれていない場合、ヒーターボタン82Eを押下してもブランケット77を選択することができなく、選択枠81Gを点灯させることができない。この場合、選択枠81Fが点灯した状態でヒーターボタン82Eを押下すると選択枠81E,81Fが全て消灯し、第2ヒーター部材73、及び第1ヒーター部材72のいずれも選択しない状態になる。
また、ステップS8において、人マーク81Dの頭部81K、背中部81L、臀部81M、及び膝部81Nは消灯している。また、強さ表示部81P,81Q,81Rも消灯している。また、ステップS8において、ヒーターボタン82Eが押下されない場合、ステップS12に移行する。
【0054】
次に、左ボタン82B又は右ボタン82Cを押下する(ステップS10)。すると、ステップS11に移行して、ステップS9において選択された第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、ブランケット77の内のいずれかの温度をオフ、低、中、高の4段階のいずれかに変化させる。
ステップS9において第2ヒーター部材73が選択されていた場合、人マーク81Dの背中部81Lが点灯し、第2ヒーター部材73がオン状態になる。第1ヒーター部材72が選択されていた場合、臀部81Mが点灯し、第1ヒーター部材72がオン状態になる。ブランケット77が選択されていた場合、膝部81Nが点灯し、ブランケット77がオン状態になる。また、背中部81L、臀部81M、膝部81N、及び強さ表示部81P,81Q,81Rは、第2ヒーター部材73、第1ヒーター部材72、ブランケット77のそれぞれにおいて設定された温度が低、中、高(すなわち、強さ表示部81P,81Q,81Rの3つの表示領域の内、少なくとも1つが点灯した状態)である場合、ヒーターボタン82Eを押下しても消灯しない。また、人マーク81Dの頭部81Kは、背中部81L、臀部81M、膝部81Nのいずれかが点灯している間点灯する。また、ステップS10において、左ボタン82B又は右ボタン82Cを押下されない場合、ステップS12に移行する。
【0055】
次に、モータ振動オン/オフボタン82Dを押下する(ステップS12)。すると、ステップS13に移行して、ステップS6において振動を開始した振動ユニット78のモータ78Aの振動が停止すると共に、モータ振動マーク81Bも消灯する。また、モータ78Aの振動が停止した状態でモータ振動オン/オフボタン82Dを押下すると、モータ78Aは再び振動を開始すると共に、モータ振動マーク81Bも再び点灯する。また、ステップS12において、モータ振動オン/オフボタン82Dを押下しない場合、ステップS14に移行する。
【0056】
次に、タイマーのカウントが"0"(分)かどうか判別する(ステップS14)。具体的には、ステップS7で開始したタイマーのカウントが"0"(分)かどうかを判別する。そして、タイマーのカウントが"0"(分)である場合は、ステップS15に移行して、制御部70の電源をオフ状態にし、表示部81に表示されていた表示を全て消灯する。こうして、操作部80を用いて電位治療器10の制御部70や機能部75を操作することができる。また、ステップS14において、タイマーのカウントが"0"(分)でない場合、ステップS7に移行して、タイマーのカウントを継続して行う。
【0057】
着座部11に使用者50が着座すると、使用者50の姿勢が正しい姿勢になり、使用者50の背中52や首の回りの筋肉の緊張が緩和されるため、血流が良好になり、使用者50の頭痛や肩こりが緩和される。また、自律神経が安定し使用者50がリラックスした状態になるため、使用者50の不眠症が緩和される。さらに、正しい姿勢になることによって使用者50の腹部が圧迫され難くなるため、使用者の腸の運動(分節運動や蠕動運動等)が行われ易くなり、使用者の便秘の症状が緩和される。
こうして、着座部11に使用者50が着座すると使用者50は正しい姿勢で着座することができ、これにより、頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状を緩和することができる。
さらに、使用者50が着座部11に着座した状態で電極74をオン状態にすると、電位治療器10は電極74で電圧を生じ、使用者50にこの電圧を付与することによって電位治療を施すことができる。これにより、使用者50が着座部11に着座した状態で電極74をオン状態にすると、使用者50の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状を緩和することができる。
つまり、電位治療器10は、使用者50が着座部11に着座して正しい姿勢になった状態で電位治療を施すことによって、使用者50の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状をより良好に緩和することができる。
また、使用者50が着座部11に着座して正しい姿勢になると、使用者50の神経の働きが良好になる。この状態で使用者50に電位治療を施すことによって、使用者50に電位治療の作用をより効果的に与えることができる。
【0058】
また、電位治療器10にはブランケット77を電気的に接続することができる。ブランケット77は、
図8に示すように、電線77A、芯地77B、ケーブル77C、内袋77D、及び外カバー77Eを有している。
【0059】
電線77Aは、例えば、公知のコードヒーター等が用いられる。
芯地77Bは布製でありほぼ長方形状をなしている。また、芯地77Bの一方の面にはサンゴの砂が充填された袋が縫いつけられている(図示せず。)。この袋は充填されたサンゴの砂が片寄らないようにするため、複数の領域に区分けされており、区分けされた各領域にサンゴの砂が充填されている。また、電線77Aは芯地77Bの他方の面に蛇行状に配線されている。また、芯地77Bの他方の面には、電線77Aと共にサーミスタ77Fが貼着されている。
【0060】
ケーブル77Cは4本のハーネスが互いに並列をなして束ねられている。ケーブル77Cの一方の端に位置する各ハーネスのそれぞれは、電線77Aの両端、及びサーミスタ77Fの両端に1本ずつが電気的に接続されている。また、ケーブル77Cの他方の端にはプラグ77Gが設けられている。プラグ77Gには4つの端子77Hが設けられており、これら端子77Hのそれぞれにケーブル77Cの各ハーネスが1本ずつ電気的に接続している。プラグ77Gは、制御部70に設けられたソケット70Cに差し込むことによって、電線77A及びサーミスタ77Fのそれぞれと、制御部70の第1基板70Bとをケーブル77Cを介して電気的に接続する。
【0061】
内袋77Dは布製で長方形状をなした袋状であり、長方形状の内の一辺が開口している。内袋77Dの外形は芯地77Bの外形より僅かに大きい。内袋77Dは電線77Aが配線された芯地77Bの全体を覆っている。
外カバー77Eは布製で長方形状をなした袋状であり、長方形状の内の一辺が開口している。外カバー77Eの外形は内袋77Dの外形より僅かに大きい。外カバー77Eは芯地77Bを覆う内袋77Dの全体を覆っている。
【0062】
こうして構成されたブランケット77は、プラグ77Gを制御部70のソケット70Cに差し込むことによって電線77A及びサーミスタ77Fのそれぞれに電力を供給することができる。そして、電線77Aは供給された電力に基づいて発熱する。また、サーミスタ77Fは電線77Aの発熱によって暖められた芯地77Bの温度に応じて電気抵抗値が変化し、この電気抵抗値がケーブル77Cを介して制御部70の第1基板70Bに伝達される。制御部70はこの電気抵抗値に基づいて電線77Aの発熱によって暖められた芯地77Bの温度を得ることができる。
【0063】
使用者50が電位治療器10に着座すると、臀部51、及び太腿の付け根部分53が着座部11によって下から支えられ、背中52が背凭れ部16により後方から支えられる。
そして、使用者50が操作部80の表示部80Cに表示された情報を確認して現在の電位治療器10の機能部75の状態を把握した後、複数の押しボタン80Dのいずれかを押下する。これにより、使用者50は、制御部70の電源のオン/オフの状態、第1ヒーター部材72、及び第2ヒーター部材73の温度やそれぞれのオン/オフの状態、及び電極74で電圧が生じる時間や電極74のオン/オフの状態等を所望の状態に変更したり切り替えたりする。
そして、ブランケット77のプラグ77Gが制御部70のソケット70Cに差し込まれている場合、使用者50は操作部80を用いて、ブランケット77の温度やオン/オフの状態を確認したり、ブランケット77の温度やオン/オフの状態を所望の状態に切り替えたりすることもできる。
【0064】
ここで、使用者50が電極74をオンの状態に切り替えた際に電極74で生じる電圧Eは、
図10に示すように、所定の時間T毎に、大きさが0V(ボルト)から-Vpに矩形状に変化する矩形波である。-Vpは、例えば-600V(ボルト)である。また、電極74がオン状態(すなわち、使用者50が操作部80を用いて電極74の状態をオン状態に切替えて、オン状態を保持している間)のとき、振動ユニット78のモータ78Aを間欠的に駆動してモータ78Aを間欠的に振動させる。これにより、使用者50に電極74がオン状態であることを報知することができる。
【0065】
このように、電位治療器10は、着座部11に使用者50が着座すると、背凭れ部16に向けて下方に傾斜する着座部11によって、使用者50の臀部51が背凭れ部16から離れ難くなる。これにより、使用者50の腸骨54や腰椎55が背凭れ部16の前面に沿う。さらに、背凭れ部16の湾曲面16Aによって使用者50の体が左右に旋回したり、左右に傾いたりすることが抑えられ、正しい姿勢で使用者50が着座することができ、使用者50の背中52や首の回りの筋肉の緊張が緩和されるため、血流が良好になる。これにより、使用者50の頭痛や肩こりの症状を緩和することができる。さらに、自律神経が安定し使用者50がリラックスした状態になるため、使用者50の不眠症を緩和することができる。また、腸骨54が背凭れ部16の前面に沿うことによって使用者50の腹部が圧迫され難くなるため、使用者50の腸の運動(分節運動や蠕動運動等)が行われ易くなり、使用者50の便秘の症状を緩和することができる。
さらに、電位治療器10は電極74で電圧が生じると、この電圧によって使用者50に電位治療を施すことができる。これにより、使用者50が着座部11に着座した状態で電極74で電圧が生じると、使用者50の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状を緩和することができる。
つまり、電位治療器10は、着座部11に着座した使用者50が正しい姿勢になった状態で電位治療を施すことによって、使用者50の頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状をより良好に緩和することができる。
また、電位治療器10は、背凭れ部16の湾曲面16Aと、背凭れ部16に向けて下方に傾斜する着座部11とによって、電極74の位置に使用者50の体の位置を案内することができる。また、電位治療器10は、背凭れ部16に向けて下方に傾斜する着座部11によって、使用者50が深く着座することができる。これにより、電位治療器10を使用することを意識することによって生じる使用者50の緊張を緩和することができる。
【0066】
したがって、本発明の電位治療器10は、正しい姿勢で着座することができ、頭痛、肩こり、不眠症、及び便秘の症状をより良好に緩和することができる。
【0067】
また、電位治療器10の電極74は接触型である。このため、電位治療器10は、電極74の一部が使用者50に接触するのみで、電極74で生じた電圧を使用者50の体全体に一様に付与することができる。
【0068】
また、電位治療器10の電極74は着座部11の上面に設けられている。使用者50が着座部11に着座した状態において、使用者50の臀部51や太腿の付け根部分53は着座部11から離れる機会が少ない。このため、電極74を着座部11の上面に設けることによって使用者50の体に電極74をより確実に接触させることができる。
【0069】
また、着座部11の上面には、面状に疎密に配線された電線72Bを有する第1ヒーター部材72が設けられ、電線72Bが疎に配線された第1ヒーター部材72の前側の領域に電極74が重ねられている。電極74に接触する電線72Bの長さが長くなると、電極74で生じる電圧が所望の大きさに到達しないおそれがある。このため、電位治療器10は電線72Bが面状に疎に配線された第1ヒーター部材72の前側の領域に電極74を重ね、電極74に接触する電線72Bの長さを抑えることによって、電極74で生じる電圧が所望の大きさに到達し易くすることができる。
【0070】
また、着座部11は前面の左右中央部に後方向に窪んだ窪み部11Fが設けられている。このため、電位治療器10は、着座部11に着座した使用者50が立ち上がる際に、窪み部11Fに足を配置することによって、使用者50の重心の位置を使用者50の足の上に移動させ易くすることができるため、使用者50が立ち上がり易い。
また、電位治療器10を設置面Lに設置する場合、電気伝導性を有さない絶縁部材21を介して設置面Lに設置する必要がある。そして、絶縁部材21は、着座部11の前側から前方に、使用者50の足を配置する所定の領域Sを設ける必要がある。つまり、電位治療器10は窪み部11Fによって、使用者50の足を配置する所定の領域Sをより広くすることができる。これにより、電位治療器10に着座した使用者50が立ち上がる場合、窪み部11Fに足を配置することによって使用者50の足が所定の領域S内に留まり易くすることができ、使用者50の足が設置面Lに接触する機会を抑えることができる。
【0071】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1の電位治療器は、座部本体と背凭れ部が一体的に形成されたものであるが、別体で成形された座部本体と背凭れ部とを組み付けて構成されるものであってもよい。これにより、梱包したり、運搬したりする時に、よりコンパクトにすることができる。
(2)実施例1では、座部本体、及び背凭れ部が発泡スチロール製であったが、座部本体、及び背凭れ部を積層した段ボールや、ハニカム構造体等の他の材料で形成してもよい。また、これらの材料を併用してもよい。
(3)実施例1では、制御部と操作部とがケーブルで電気的に接続されているが、操作部を電池による駆動として、制御部と操作部とのそれぞれに無線を送受信する送受信部を設け、制御部と操作部とを無線で通信させてもよい。これにより、より外観をすっきりさせることができ、さらに運搬し易くなる。
(4)実施例1では、電極を着座部の上側に設けられた第1ヒーター部材の上面に貼着しているが、電極を背凭れ部の前側に設けられた第2ヒーター部材の前面や、座部本体の前面に位置する表面クッション部材の前面に貼着してもよい。
(5)実施例1では、機能部として、接続ボックス、一対の振動ユニット、第1ヒーター部材、第2ヒーター部材、及び電極を設けているが、使用者の体温、脈拍、血圧等の生体情報を読み取ったり、使用者が着座した際に本体部に掛かる圧力を検知したりする圧力センサーを機能部として設け、これらセンサーから得られた情報を操作部の表示部に表示させてもよい。また、使用者に施術を行う場合、これらセンサーから得られた情報に基づいて、使用者の体の状態に最適な施術を行うことができる。また、マッサージ器や、電気刺激装置等の装置を機能部として設けてもよい。
(6)実施例1では、第1座部クッション部材に形成された第1機能部収納部に接続ボックスが収納され、第2機能部収納部に振動ユニットが収納されているが、座部本体の上面に、座部本体の上面から底面に向けて窪んで第1機能部収納部、及び第2機能部収納部を形成してもよい。これにより、使用者の臀部から操作ボックスをより離すことができ、使用者の臀部に操作ボックスの感触を伝え難くすることができる。また、使用者の臀部から一対の振動ユニットまでの距離を調節する幅を拡げることができるため、使用者に伝わる振動ユニットの振動の感覚をより様々に変化させることができる。また、第1機能部収納部、及び第2機能部収納部を座部本体の側面に形成してもよい。つまり、第1機能部収納部及び第2機能部収納部を座部本体に窪んで設けて、機能部である接続ボックスや一対の振動ユニットの少なくとも一部を収納する。
(7)実施例1では、電極で生じる電圧は0Vから-600Vで矩形状に変化するが、0Vに限らず、0Vより大きくてもよく、小さくてもよい。また、-600Vに限らず、-600Vより大きくてもよく、小さくてもよい。また、電圧の変化が矩形状に変化しなくてもよく、正弦波等の他の波形形状にしてもよい。
(8)実施例1では、固定板が木製であるが、合成樹脂等の他の材料であってもよい。
(9)実施例1では、電極に電気伝導性を有した繊維が織り込まれた布で形成された接触型の電極であるが、合成樹脂製の第1シートの一方の面に金属製の網目状のパターンを設け、このパターンの表面の全体を覆うように合成樹脂製の第2シートを第1シートの一方の面に貼着した非接触型の電極を用いてもよい。
(10)実施例1では、座部本体の上面が、前後方向において下方向に窪んでおり、前端から前後中央部に向けて後方向に下降して傾斜し、前後中央部から後端部に向けて上昇して傾斜しているが、前端から後端部に向けて後方向に下降して傾斜して、前後中央部から後端部に向けて上昇して傾斜していなくてもよい。これにより、着座した使用者の臀部をより背凭れ部から離れ難くすることができる。
(11)実施例1では、制御部が凹部に収納されているが、制御部の一部を凹部に収納してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…電位治療器
11…着座部(座部)
11F…窪み部
16…背凭れ部
16A…湾曲面
72…第1ヒーター部材(ヒーター部材)
72B…電線(ヒーター線)
74…電極