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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】流体荷役継手および流体荷役装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/075 20060101AFI20221005BHJP
   F16L 25/00 20060101ALI20221005BHJP
   B67D 9/02 20100101ALI20221005BHJP
【FI】
F16L59/075
F16L25/00 Z
B67D9/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017254139
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019120286
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508173901
【氏名又は名称】TBグローバルテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅村 友章
(72)【発明者】
【氏名】河合 務
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-019531(JP,A)
【文献】仏国特許発明第01399258(FR,A)
【文献】実開昭60-091889(JP,U)
【文献】実開昭59-004888(JP,U)
【文献】特開2014-043261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/075
F16L 25/00
B67D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイベル継手である流体荷役継手であって、
第1真空二重管の先端に設けられる第1ハーフであって、第1内管、前記第1内管との間に真空空間が形成される第1外管、前記第1内管と前記第1外管との間を閉塞する第1閉塞部材、および前記第1外管を回転可能に保持する筒状のホルダを含む、前記第1内管の末端に第1内側フランジが設けられた第1ハーフと、
第2真空二重管の先端に設けられる第2ハーフであって、第2内管、前記第2内管との間に真空空間が形成される第2外管、および前記第2内管と前記第2外管との間を閉塞するとともに前記第1閉塞部材との間にガスが充填されるガス空間が形成される第2閉塞部材、を含む、前記第2内管の末端に第2内側フランジが設けられ、前記第2外管の末端に前記ホルダに締結される外側フランジが設けられた第2ハーフと、
前記第1内側フランジと前記第2内側フランジとの間に介在する環状の内側絶縁材と、
前記ガス空間を隔てて前記内側絶縁材を取り囲む、前記ホルダと前記外側フランジとの間に介在する環状の外側絶縁材と、
前記第1内側フランジと前記第2内側フランジとの間に介在し、前記第2内側フランジに締結されるとともに前記第1内側フランジに対して摺動するスペーサと、を備え、
前記内側絶縁材は、前記スペーサと前記第2内側フランジとの間に挟持されている、流体荷役継手。
【請求項2】
請求項に記載の流体荷役継手を含む流体荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空二重管同士を接続する流体荷役継手およびその流体荷役継手を含む流体荷役装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、港湾などに設置される、液化水素用の流体荷役装置(ローディングアーム)が開発されつつある。このような流体荷役装置には、断熱性能の高い真空二重管が用いられる。真空二重管は、内部に液化水素が流れる導管と、この導管を収容する収容管を含み、導管と収容管の間の空間が真空引きされる。
【0003】
真空二重管同士を接続する流体荷役継手にも、真空二重管と同様に高い断熱性能が求められる。例えば、特許文献1には、図5に示すような流体荷役継手100が開示されている。この流体荷役継手100はスイベル継手であり、第1真空二重管101の先端に設けられる第1ハーフ110と、第2真空二重管102の先端に設けられる第2ハーフ120を含む。
【0004】
第1ハーフ110では、第1内管111と第1外管112の間に第1真空空間113が形成されるとともに、第1内管111と第1外管112の間が第1閉塞部材114で閉塞されている。また、第1ハーフ110は、第1外管112を回転可能に保持する筒状のホルダ116を含む。
【0005】
第2ハーフ120では、第2内管121と第2外管122の間に第2真空空間123が形成されるとともに、第2内管121と第2外管122の間が第2閉塞部材124で閉塞されている。また、第2外管122の末端には外側フランジ126が設けられており、この外側フランジ126がボルト130によって第1ハーフ110のホルダ116に締結されている。
【0006】
上述した第1閉塞部材114は第1ハーフ110の継手面よりも奥まった位置に位置しており、第2閉塞部材124は第2ハーフ120の継手面よりも奥まった位置に位置している。そして、第1閉塞部材114と第2閉塞部材124の間には、ガス空間140が形成されている。ガス空間140には、ポート部材150を通じてヘリウムガスが充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-19531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
流体荷役装置の特定箇所に配置される流体荷役継手に対しては、第1ハーフと第2ハーフとを電気的に絶縁することが求められる。しかしながら、第1ハーフと第2ハーフとの間に一枚の環状の絶縁シートを挟み込んだだけでは、その絶縁シートを通じた熱伝導により外部の熱が流路内に侵入するため、断熱性能が劣化するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、第1ハーフと第2ハーフとを電気的に絶縁可能で、かつ、断熱性能が高い流体荷役継手、およびこの流体荷役継手を含む流体荷役装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の流体荷役継手は、第1真空二重管の先端に設けられる第1ハーフであって、第1内管、前記第1内管との間に真空空間が形成される第1外管、および前記第1内管と前記第1外管との間を閉塞する第1閉塞部材、を含む第1ハーフと、第2真空二重管の先端に設けられる第2ハーフであって、第2内管、前記第2内管との間に真空空間が形成される第2外管、および前記第2内管と前記第2外管との間を閉塞するとともに前記第1閉塞部材との間にガスが充填されるガス空間が形成される第2閉塞部材、を含む第2ハーフと、前記第1内管と前記第2内管との間に介在する環状の内側絶縁材と、前記ガス空間を隔てて前記内側絶縁材を取り囲む、前記第1外管と前記第2外管との間に介在する環状の外側絶縁材と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、第1内管と第2内管の間に内側絶縁材が介在し、第1外管と第2外管の間に外側絶縁材が介在するので、第1ハーフと第2ハーフとを電気的に絶縁することができる。しかも、内側絶縁材と外側絶縁材とがガス空間を隔てて離間しているので、外側絶縁材から内側絶縁材へ外部の熱が伝達されることが抑制される。従って、高い断熱性能を得ることができる。
【0012】
例えば、前記第1内管の末端には、第1内側フランジが設けられており、前記第2内管の末端には、第2内側フランジが設けられており、前記内側絶縁材は、前記第1内側フランジと前記第2内側フランジの間に介在してもよい。
【0013】
前記流体荷役継手はスイベル継手であり、前記第1ハーフは、前記第1外管を回転可能に保持する筒状のホルダを含み、前記第2外管の末端には、前記ホルダに締結される外側フランジが設けられており、前記外側絶縁材は、前記ホルダと前記外側フランジとの間に介在してもよい。この構成によれば、外側フランジのホルダへの締結構造を利用して外側絶縁材を固定することができる。
【0014】
前記流体荷役継手は、前記第1内側フランジと前記第2内側フランジとの間に介在し、前記第2内側フランジに締結されるとともに前記第1内側フランジに対して摺動するスペーサをさらに備え、前記内側絶縁材は、前記スペーサと前記第2内側フランジとの間に挟持されていてもよい。この構成によれば、スペーサによって摺動部のクリアランスを小さく保ちつつ、簡単な構造で内側絶縁材を固定することができる。
【0015】
例えば、前記流体荷役継手は固定継手であり、前記第1外管の末端には、第1外側フランジが設けられており、前記第2外管の末端には、前記第1外側フランジに締結される第2外側フランジが設けられており、前記内側絶縁材は、前記第1内側フランジと前記第2内側フランジとの間に挟持されており、前記外側絶縁材は、前記第1外側フランジと前記第2外側フランジとの間に挟持されていてもよい。
【0016】
前記流体荷役継手は、前記内側絶縁材の径方向の移動を拘束する位置決め機構をさらに備えてもよい。この構成によれば、内側絶縁材を正規の位置に維持することができる。
【0017】
また、本発明の流体荷役装置は、前記流体荷役継手を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1ハーフと第2ハーフとを電気的に絶縁可能で、かつ、断熱性能が高い流体荷役継手が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る流体荷役継手の断面図である。
図2図1の一部の拡大図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る流体荷役継手の一部の拡大断面図である。
図4】第2実施形態の変形例を示す図である。
図5】従来の流体荷役継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1および図2に、本発明の第1実施形態に係る流体荷役継手1Aを示す。この流体荷役継手1Aは、液化水素運搬船などと接続される液体水素用の流体荷役装置(ローディングアーム)10の一部を構成する。
【0021】
流体荷役継手1Aは、第1真空二重管11と第2真空二重管14とを接続する。本実施形態では、流体荷役継手1Aがスイベル継手である。流体荷役継手1Aは、第1真空二重管11の先端に設けられる第1ハーフ2と、第2真空二重管14の先端に設けられる第2ハーフ3を含む。
【0022】
第1真空二重管11は、内部に液化水素が流れる第1導管12と、この第1導管12を収容する第1収容管13を含み、第1導管12と第1収容管13の間の空間が真空引きされる。同様に、第2真空二重管14は、内部に液化水素が流れる第2導管15と、この第2導管15を収容する第2収容管16を含み、第2導管15と第2収容管16の間の空間が真空引きされる。
【0023】
第1ハーフ2は、第1内管21と、この第1内管21を収容する第1外管22を含む。第1内管21の基端(第2ハーフ3と反対側の端)には第1導管12が溶接などにより接合され、第1外管22の基端には第1収容管13が溶接などにより接合される。第1内管21と第1外管22との間には、第1真空空間23が形成される。なお、第1内管21の基端と第1外管22の基端の位置は軸方向にずれていてもよい。
【0024】
同様に、第2ハーフ3は、第2内管31と、この第2内管31を収容する第2外管32を含む。第2内管31の基端(第1ハーフ2と反対側の端)には第2導管15が溶接などにより接合され、第2外管32の基端には第2収容管16が溶接などにより接合される。第2内管31と第2外管32との間には、第2真空空間33が形成される。なお、第2内管31の基端と第2外管32の基端の位置は軸方向にずれていてもよい。
【0025】
第1外管22および第2外管32のそれぞれは、基端側部分を除いて拡径されている。本実施形態では、上述したように流体荷役継手1Aがスイベル継手であり、第1ハーフ2が可動側、第2ハーフ3が固定側である。このため、第2外管32の末端の内径は、第1外管22の末端の内径よりも大きい。
【0026】
第1ハーフ2は、第1内管21と第1外管22との間を閉塞する環状の第1閉塞部材41をも含む。本実施形態では、第1閉塞部材41が、第1ハーフ2の継手面(後述する第1内側フランジ24の末端側端面およびホルダ25の末端側端面)よりも奥まった位置に位置している。また、本実施形態では、第1閉塞部材41の内側の端部が、第1内管21の末端に設けられた第1内側フランジ24の基端側端面に接合されている。第1閉塞部材41の外側の端部は、第1外管22の末端(第2ハーフ3側の端)よりも僅かに基端側で第1外管22の内周面に接合されている。
【0027】
第1閉塞部材41は、第1内管21に沿って第1真空空間23内に窪む少なくとも1つの環状溝42を有する。ただし、第1閉塞部材41が断面視で蛇腹状となるように同心状の複数の環状溝42が設けられることが望ましい。本実施形態では、第1閉塞部材41が、同心状の2つの環状溝42を有する。環状溝42の深さは、なるべく深いことが望ましい。例えば、環状溝42の深さは、第1閉塞部材41が存在する位置での第1内管21から第1外管22までの間の距離よりも大きくてもよい。
【0028】
第1閉塞部材41と第1内管21の間、第1閉塞部材41と第1外管22の間、および第1閉塞部材41の環状溝42同士の間は、上述した第1真空空間23である。一方、環状溝42の内部には、後述するようにヘリウムガスが充填される。このため、第1閉塞部材41によって、径方向に真空層とヘリウムガス層が交互に形成される。
【0029】
同様に、第2ハーフ3は、第2内管31と第2外管32との間を閉塞する環状の第2閉塞部材43をも含む。本実施形態では、第2閉塞部材43が、第2ハーフ3の継手面(後述する第2内側フランジ34の末端側端面および第2外側フランジ35の末端側端面)よりも奥まった位置に位置している。また、本実施形態では、第2閉塞部材43の内側の端部が、第2内管31の末端に設けられた第2内側フランジ34の基端側端面に接合されている。第2閉塞部材43の外側の端部は、第2外管32の末端(第1ハーフ2側の端)よりも僅かに基端側で第2外管32の内周面に接合されている。
【0030】
第2閉塞部材43は、第2内管31に沿って第2真空空間33内に窪む少なくとも1つの環状溝44を有する。ただし、第2閉塞部材43が断面視で蛇腹状となるように同心状の複数の環状溝44が設けられることが望ましい。本実施形態では、第2閉塞部材43が、同心状の3つの環状溝44を有する。環状溝44の深さは、なるべく深いことが望ましい。例えば、環状溝44の深さは、第2閉塞部材43が存在する位置での第2内管31から第2外管32までの間の距離よりも大きくてもよい。
【0031】
第2閉塞部材43と第2内管31の間、第2閉塞部材43と第2外管32の間、および第2閉塞部材43の環状溝44同士の間は、上述した第2真空空間33である。一方、環状溝44の内部には、後述するようにヘリウムガスが充填される。このため、第2閉塞部材43によって、径方向に真空層とヘリウムガス層が交互に形成される。
【0032】
第1内側フランジ24と第2内側フランジ34との間には、環状の内側スペーサ61および環状の内側絶縁材51が介在している。第1外管22と第2外管32との間には、筒状のホルダ25、環状の外側スペーサ62および環状の外側絶縁材52が介在している。
【0033】
ホルダ25は、第1ハーフ2の構成要素であり、第1外管22をベアリング26を介して回転可能に保持する。一方、第2外管32の末端には、第2外側フランジ35が設けられている。外側スペーサ62および外側絶縁材52はホルダ25と第2外側フランジ35との間に介在している。より詳しくは、外側絶縁材52は、外側スペーサ62と第2外側フランジ35との間に挟持されている。
【0034】
第2外側フランジ35は、ボルト91によりホルダ25に締結されている。外側絶縁材52および外側スペーサ62には、ボルト91用の挿通穴が設けられている。本実施形態では、ホルダ25にボルト91と螺合するネジ穴が設けられているが、ネジ穴の代わりに挿通穴が設けられ、ナットが用いられてもよい。
【0035】
内側スペーサ61は、外側スペーサ62の内側に配置されており、外側スペーサ62と同じ厚さを有している。ただし、内側スペーサ61と外側スペーサ62の厚さは異なっていてもよい。内側スペーサ61および外側スペーサ62は金属からなる。
【0036】
内側絶縁材51は、外側絶縁材52の内側に配置されており、外側絶縁材52と同じ厚さを有している。ただし、内側絶縁材51と外側絶縁材52の厚さは異なっていてもよい。内側絶縁材51および外側絶縁材52は絶縁材料(例えば、汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックなどの樹脂)からなる。
【0037】
内側スペーサ61は、ボルト92により第2内側フランジ34に締結されており、第1内側フランジ24に対して摺動する。第1内側フランジ24と内側スペーサ61との間には、それらの間の隙間を通じた液化水素のリークを防止するためのシール部材71が配置されている。なお、第1内側フランジ24と内側スペーサ61との間には僅かなクリアランスが確保されており、第1内側フランジ24に保持されたシール部材71が内側スペーサ61上を摺動する。また、本実施形態では、内側のシール部材71を内側から覆い隠すようにリング46が第1内管21の末端に嵌め込まれている。
【0038】
内側絶縁材51は、内側スペーサ61と第2内側フランジ34との間に挟持されている。内側絶縁材51には、ボルト92用の挿通穴が設けられている。内側スペーサ61と内側絶縁材51の間および内側絶縁材51と第2内側フランジ34との間には、それらの間の隙間を通じた液化水素のリークを防止するためのシール部材72,73が配置されている。
【0039】
内側スペーサ61と外側スペーサ62の間の隙間および内側絶縁材51と外側絶縁材52の間の隙間は、第1内管21と第1外管22の末端同士の間の第1閉塞部材41を底とする空間、および第2内管31と第2外管32の末端同士の間の第2閉塞部材43を底とする空間と連通している。これらの隙間および空間は、ガス空間45を構成する。換言すれば、第1閉塞部材41と第2閉塞部材43との間にはガス空間45が形成されており、外側スペーサ62および外側絶縁材52はそれぞれガス空間45を隔てて内側スペーサ61および内側絶縁材51を取り囲んでいる。
【0040】
ガス空間45には、ヘリウムガスが充填される。ホルダ25には、第1外管22とホルダ25の間の隙間を通じてガス空間45へヘリウムガスを供給するためのポート部材27が取り付けられている。
【0041】
第1外管22とホルダ25の間には、外部からの水分の侵入を防止するためのシール部材74が配置されている。また、ホルダ25、外側スペーサ62、外側絶縁材52および第2外側フランジ35の間には、万が一に液化水素がシール部材71,72,73を超えてガス空間45へリークしたとしても水素ガスが外部へリークするのを防止するためのシール部材75~77が配置されている。これらのシール部材74~77は、ヘリウムガスの外部へのリークを防止する役割も果たす。
【0042】
第2外側フランジ35をホルダ25に締結する上述したボルト91は金属製である。従って、外側絶縁材52および外側スペーサ62に設けられた、上述したボルト91用の挿通穴には、絶縁材料からなるスリーブ81が挿入されている。また、ボルト91の頭部と接するワッシャ83と第2外側フランジ35との間には、絶縁材料からなるシート(seat)82が配置されている。
【0043】
一方、内側スペーサ61を第2内側フランジ34に締結する上述したボルト92は絶縁材料からなる。ただし、ボルト92が金属からなり、ボルト91と同様の絶縁対策がボルト92に対しても採用されてもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の流体荷役継手1Aでは、第1内管21と第2内管31の間に内側絶縁材51が介在し、第1外管22と第2外管32の間に外側絶縁材52が介在するので、第1ハーフ2と第2ハーフ3とを電気的に絶縁することができる。しかも、内側絶縁材51と外側絶縁材52とがガス空間45を隔てて離間しているので、外側絶縁材52から内側絶縁材51へ外部の熱が伝達されることが抑制される。従って、高い断熱性能を得ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、外側絶縁材52がホルダ25と第2外側フランジ35の間に介在しているので、第2外側フランジ35のホルダ25への締結構造(すなわち、ボルト91)を利用して外側絶縁材52を固定することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、内側絶縁材51が内側スペーサ61と第2内側フランジ34との間に挟持されているので、内側スペーサ61によって摺動部のクリアランスを小さく保ちつつ、簡単な構造で内側絶縁材51を固定することができる。
【0047】
(第2実施形態)
図3に、本発明の第2実施形態に係る流体荷役継手1Bを示す。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0048】
本実施形態では、流体荷役継手1Bが固定継手である。このため、第1ハーフ2と第2ハーフ3は互いに対称な形状を有している。
【0049】
具体的に、第1ハーフ2では、第1外管22の末端に第1外側フランジ28が設けられている。そして、第2外管32の末端に設けられた第2外側フランジ35がボルト91およびナット93により第1外側フランジ28に締結されている。本実施形態では、ナット93と第1外側フランジ28の間にもワッシャ83および絶縁材料からなるシート(seat)82が配置されている。
【0050】
本実施形態では、内側絶縁材51が第1内側フランジ24と第2内側フランジ34との間に挟持されており、外側絶縁材52が第1外側フランジ28と第2外側フランジ35との間に挟持されている。第1内側フランジ24と内側絶縁材51の間および内側絶縁材51と第2内側フランジ34との間には、それらの間の隙間を通じた液化水素のリークを防止するためのシール部材72,73が配置されている。
【0051】
本実施形態では、第1閉塞部材41と第2閉塞部材43との間に形成されるガス空間45に、水素ガスが充填されている。この水素ガスは、第1内側フランジ24と内側絶縁材51の間の隙間および内側絶縁材51と第2内側フランジ34の間の隙間を通じてリークした液化水素が気化したものである。そして、第1外側フランジ28と外側絶縁材52の間および外側絶縁材52と第2外側フランジ35との間には、それらの間の隙間を通じた水素ガスのリークを防止するためのシール部材75~77が配置されている。
【0052】
さらに、本実施形態では、内側絶縁材51の径方向の移動を拘束する位置決め機構55が採用されている。本実施形態の位置決め機構55は、内側絶縁材51の外周縁部に設けられた、第2内側フランジ34の外周面に沿って突出する突起56である。
【0053】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、第1ハーフ2と第2ハーフ3とを電気的に絶縁することができるとともに、高い断熱性能を得ることができる。さらに、本実施形態では、位置決め機構55が採用されているので、内側絶縁材51を正規の位置に維持することができる。
【0054】
なお、位置決め機構55は、必ずしも内側絶縁材51の外周縁部に設けられた突起56である必要はない。例えば、位置決め機構55は、図4に示すように第1内側フランジ24に設けられた、内側絶縁材51の外周面と係合する突起57であってもよい。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0056】
例えば、第1実施形態において外側スペーサ62が省略され、第1外管22と第2外管32のどちらか一方が外側スペーサ62の厚さ分だけ長くなっていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B 流体荷役継手
10 流体荷役装置
2 第1ハーフ
21 第1内管
22 第1外管
23 第1真空空間
24 第1内側フランジ
25 ホルダ
28 第1外側フランジ
3 第2ハーフ
31 第2内管
32 第2外管
33 第2真空空間
34 第2内側フランジ
35 第2外側フランジ
41 第1閉塞部材
43 第2閉塞部材
45 ガス空間
51 内側絶縁材
52 外側絶縁材
55 位置決め機構
61,62 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5