(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20221005BHJP
B41K 3/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41K3/02
(21)【出願番号】P 2018120851
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-03-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】須賀 広道
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-164949(JP,A)
【文献】特開2012-061634(JP,A)
【文献】特開2009-286555(JP,A)
【文献】特開2013-111816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0022845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体の印字結果を検査する検査装置であって、
前記印字媒体の印字面の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得した画像に基づいて、前記印字媒体の印字結果の合否を判定する判定部と、
前記判定部により前記印字結果が不合格であると判定された場合、前記印字結果のうち不合格である部分の前記印字面上の位置を特定する位置特定部と、
前記印字面と対向して配置され、前記印字面と水平方向に移動可能なスタンプを有し、前記スタンプを前記位置特定部によって特定された位置に押印する押印部と、
を備えた検査装置。
【請求項2】
前記押印部は、
前記印字媒体の印字面に含まれる複数の領域の各々に割り当てられた2以上のスタンプを有し、前記2以上の前記スタンプのうち、前記位置特定部によって特定された位置が含まれる領域に割り当てられたスタンプを用いて押印する、
請求項1に記載された検査装置。
【請求項3】
前記押印部は、
前記判定部により判定される不合格に関連する情報によって割り当てられた2以上のスタンプを有し、
前記2以上の前記スタンプのうち、前記判定部により判定される不合格に関連する情報によって割り当てられたスタンプを用いて押印する、
請求項1に記載された検査装置。
【請求項4】
印字媒体の印字結果を検査する検査方法であって、
前記印字媒体の印字面の画像を取得し、
前記取得した画像に基づいて、前記印字媒体の印字結果の合否を判定し、
前記印字媒体の前記印字結果が不合格であると判定された場合、前記印字結果のうち不合格である部分の前記印字面上の位置を特定し、
前記印字面と対向して配置され、前記印字面と水平方向に移動可能なスタンプを、前記特定された位置に押印する、
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザからのラベル等の印字媒体の発行枚数を受け付け、受け付けられた発行枚数の印字媒体を印字するように構成されたプリンタが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特定の分野、例えば医療分野において医薬品の包装等に貼付されるラベル(印字媒体)の印字内容は、厳しい精度が要求される。そのため、印字済みのラベルを対象として、ラベルの印字内容に不具合がないか否かについて全数検査を行うことが慣行となっている。
しかし、検査装置によって全数検査を行ったとしても印字内容のうちどの部分が不具合であるのかユーザにとって一見してわからない場合がある。そのような場合、ユーザは今後の対策のために、印字内容において不具合となった箇所を目視で見つけなければならず面倒である。
【0005】
そこで、本発明は、印字媒体の印字内容の不具合箇所の視認性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、印字媒体の印字結果を検査する検査装置であって、前記印字媒体の印字面の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得した画像に基づいて、前記印字媒体の印字結果の合否を判定する判定部と、前記判定部により前記印字結果が不合格であると判定された場合、前記印字結果のうち不合格である部分の前記印字面上の位置を特定する位置特定部と、前記印字面と対向して配置され、前記印字面と水平方向に移動可能なスタンプを有し、前記スタンプを前記位置特定部によって特定された位置に押印する押印部と、を備えた検査装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、印字媒体の印字内容の不具合箇所の視認性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る検査システムのシステム構成図である。
【
図2】実施形態に係る検査システムで使用される連続紙の例を示す図である。
【
図3】
図3A~3Dの各々は、NGラベルの一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る検査システムにおいて使用される例示的な撮像装置(開放状態)の斜視図である。
【
図6】実施形態に係る検査システムのブロック図である。
【
図7】実施形態に係る検査システムで表示される画面例を示す図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ実施形態に係る検査システムで表示される画面例を示す図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bはそれぞれ実施形態に係る検査システムで表示される画面例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る検査システムのシーケンスチャートである。
【
図11】実施形態に係る検査システムのシーケンスチャートである。
【
図12】
図12A~12Dの各々は、NGラベルに対してNGスタンプが押印された状態を示す図であり、それぞれ
図3A~3Dに対応している。
【
図13】実施形態の変形例に係るスタンプの構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様に係る検査システム1について図面を参照して説明する。
【0010】
(1)システム概要
以下、本発明の一態様に係る検査システム1について、
図1~3を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る検査システム1のシステム構成図である。
図2は、実施形態に係る検査システム1で使用される連続紙CPの例を示す図である。
図3A~3Dの各々は、NGラベルの一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、検査システム1は、管理装置2(情報処理装置の一例)、プリンタ3、撮像装置4、検査処理装置5、および、巻き取り機6を備える。管理装置2とプリンタ3は配線C1によって接続される。管理装置2と検査処理装置5は配線C2によって接続される。撮像装置4および検査処理装置5は配線C3によって接続される。プリンタ3および撮像装置4は配線C4によって接続される。なお、
図1では、各装置が有線で通信する場合が例示されているが、その限りではなく、各部の通信は無線で行われてもよい。
プリンタ3および撮像装置4は、レール100aを備えた台100に載置される。撮像装置4は、レール100a上を前後に移動可能であり、適切な位置に固定配置することができる。
【0012】
図2に示すように、連続紙CPは、帯状の台紙PMと、台紙PM上に予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを備えている。連続紙CPは、プリンタ3内でロール状に巻回されたロール紙の状態で収容されており、印字が行なわれるときにはロール紙から引き出される。なお、印字媒体がロール紙の状態で収容されていることは例示に過ぎず、その限りではない。
ラベルPL(印字媒体の一例)は、例えば医薬品の包装に貼付され、その印字内容は、厳しい精度が要求される。そのため、検査システム1では、ラベルPLの印字内容が適切か否かについての検査(後述する検査モードでの検査)を行う直前に、検査を行なう検査装置が正常に機能しているか否かの検査(後述する準備モードでの検査)が行なわれる。
【0013】
図1の検査システム1では、プリンタ3がラベルPLに印字して発行する。発行されたラベルPLは撮像装置4に搬送される。撮像装置4では、ラベルPLの印字内容の画像データが生成され、検査処理装置5に送信される。検査処理装置5は、画像データに基づいてラベルの印字内容の検査を行う。
すなわち、検査システム1では、印字されたラベルの検査を撮像装置4および検査処理装置5によって行なう。本実施形態では、撮像装置4および検査処理装置5が検査装置の一例を構成する。
【0014】
撮像装置4および検査処理装置5によって行なわれる検査は、ラベルPLに印字された印字結果が所定の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、印字内容に含まれる文字が認識可能か否かの検査、および、印字内容(例えば、
図2の「品名」、「使用期限」、「製造番号」)が正規のデータと一致しているかの照合を含む。さらに、撮像装置4および検査処理装置5によって行なわれる検査は、台紙PM上にラベルPLの有無の検査、および、ラベルPLの印字の有無等の異常がないか等の検査を含む。
検査処理装置5は、検査結果を管理装置2に通知する。巻き取り機6は、撮像装置4を通過した連続紙CPをロール状に巻き取るように構成されている。
【0015】
図3A~3Dは、
図2に示した正規のラベル(「OKラベル」ともいう。)に対応した、それぞれ異なる種類のNGラベルの例を示している。NGラベルとは、印字内容が適切ではないラベル(つまり、検査で不合格となるラベル)を意味する。
具体的には、
図3Aは、品名の誤り(欠陥d1で示す箇所;正しくは「薬剤 A#03」)を原因とするNGラベルの一例である。
図3Bは、使用期限の誤り(欠陥d2で示す箇所;正しくは「2018/8/15」)を原因とするNGラベルの一例である。
図3Cは、バーコードの一部が欠けた状態であること(欠陥d3で示す箇所)を原因とするNGラベルの一例である。
図3Dは、バーコードの一部に異常な記号若しくはマーク等が付加されていること(欠陥d4で示す箇所)を原因とするNGラベルの一例である。
本実施形態の検査システム1では、
図3A~3Dの各NGラベルは、撮像装置4および検査処理装置5において検査されて「検査NG」(後述する)と判定される。
【0016】
(2)撮像装置4の構成
次に、
図4および
図5を参照して、撮像装置4の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る検査システム1において使用される例示的な撮像装置4の開放状態の斜視図である。
図5は、
図4の撮像装置4の概略断面図である。
【0017】
図4に示すように、撮像装置4は、全体として直方体状をなしており、上側筐体40Uおよび下側筐体40Lを有する。
図5に示すように、撮像装置4は、上側筐体40Uおよび下側筐体40Lを閉塞させた状態で動作させる。この状態では、上側筐体40Uと下側筐体40Lの間隙に、プリンタ3から排出される連続紙CPを受け入れる受入口410と、撮像装置4から巻き取り機6に向かって排出される連続紙CPの排出口411とが形成される。
【0018】
下側筐体40Lには、撮像装置4の内部で連続紙CPを受入口410から排出口411に向かう方向に搬送させる駆動ローラ401F,401Rと、各駆動ローラに対して従動回転する従動ローラ402F,402Rとが設けられる。駆動ローラ401F,401Rは、モータ47の回転を伝える歯車機構(図示せず)に連結されている。駆動ローラ401F,401Rの間には、撮像ユニット405がラベルPLの印字面と対向するために上側筐体40U側に配置される。
連続紙CPの搬送経路において、駆動ローラ401F,401Rが撮像ユニット405の前後に配置されているため、連続紙CPが安定した状態で搬送され、安定した画像の取得が可能である。
【0019】
連続紙CPの搬送経路において、撮像ユニット405の位置よりも下流側に押印部45が設けられる。押印部45は、スタンプ451およびスタンプ駆動部452を備え、ラベルPLの印字面と対向するために上側筐体40Uに配置される。
本実施形態では、スタンプ451は、検査処理装置5による検査が不合格であることを示すためのゴム製の印章であり、着脱可能である(以下の説明では、「NGスタンプ」ともいう)。スタンプ451は、スタンプ駆動部452により水平方向(ラベルPLの印字面と平行な方向)および垂直方向(印字面と直交する方向)に移動させることが可能となるように構成されている。
【0020】
上側筐体40Uには回路基板407が配置される。回路基板407には、後述する制御部41、記憶部42等が実装されている。
図5では、回路基板407と各部とが電気的に接続されていることを概念的に点線で示してある。
【0021】
(3)検査システム1に含まれる各部の電気的構成
次に、
図6を参照して、検査システム1に含まれる各部の電気的構成について説明する。
【0022】
(3-1)管理装置2
図6に示すように、管理装置2は、制御部21、記憶部22、操作入力部23、表示部24、および、通信インタフェース(通信I/F)25を備える。通信インタフェース25は、プリンタ3および検査処理装置5の各々との間で通信を行う。
管理装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ等の装置である。
【0023】
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、管理装置2の全体を制御する。例えば、制御部21に含まれるマイクロプロセッサは、記憶部22に記録されている管理プログラムをロードして実行する。管理プログラムを実行することで行なわれる処理については、例えば、以下の処理(a-1)~(a-6)を含む。
【0024】
(a-1) ユーザ操作に応じて、印字対象のラベルをデータベースの中から検索すること
(a-2) ユーザ操作に応じて、ラベルに印字すべき印字内容を決定すること
(a-3) 印字内容とラベルレイアウトを特定した印字用情報を生成すること
(a-4) 各ラベルに印字すべき印字用情報をプリンタ3へ送信すること
(a-5) 検査処理装置5から検査結果を受信すること
(a-6) 当該検査結果を表示部24に表示すること
【0025】
表示部24は、例えばタッチ入力機能を備えた液晶表示パネルを含み、上記管理プログラムの実行結果を表示する。この場合、表示部24のタッチ入力機能は、操作入力部23の一部を構成する。
通信インタフェース25は、プリンタ3および検査処理装置5のうち少なくともいずれかと通信を行なう。
【0026】
記憶部22は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)であってもよい。記憶部22には、上記管理プログラムのほか、ラベルのデータベースを記憶する。ラベルのデータベースは、各レコードが「品目コード」、「品目名称」、「ラベル名称」、「ラベルレイアウト」のフィールドを含むデータであり、各レコードが検査対象のラベルを特定する情報である。
【0027】
(3-2)プリンタ3
図3に示すように、プリンタ3は、制御部31、搬送部32、印字部33、記憶部34、および、通信インタフェース(通信I/F)35を備える。通信インタフェース35は、管理装置2および撮像装置4との間で通信を行う。プリンタ3には、連続紙CPが巻回されたロール紙が収容されている。
プリンタ3は、据置き型プリンタであってもよいし、携帯型プリンタであってもよい。
【0028】
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、記憶部34に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。例えば、制御部31は、管理装置2から受信した印字用情報に基づく印字データの生成、印字のための搬送部32および印字部33に対する制御等を行う。
【0029】
記憶部34は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDであってもよい。記憶部34には、上述したファームウェアのほか、管理装置2から送信される印字用情報に含まれるラベルレイアウトに対応する様々な形式のデータが記録されている。
【0030】
本実施形態のプリンタ3では、制御部31は、所定枚数のラベルを印字発行する場合、印字予定のすべてのラベルに対応する印字用情報を好ましくは一括して、管理装置2から受信し、記憶部34に保存する。そして、制御部31は、各ラベルに対するラベル発行指示(印字指示の例)を都度、撮像装置4から受信して印字、発行を行う。
【0031】
搬送部32は、図示しないプラテンローラ、モータ駆動回路、および、ステッピングモータを含み、プリンタ3内の連続紙の搬送を行う。例えば、制御部31による搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
【0032】
制御部31は、印字データに基づきラベルPLに印字する場合、ラベルレイアウトに対応する形式のデータを記憶部34から読み出す。制御部31は、読み出したデータに、印字用情報に含まれる文字情報および/またはバーコードを埋め込むことにより印字データを生成し、印字データのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部33へ送出する。
印字部33は、図示しないサーマルヘッドおよびヘッド駆動回路を含む。サーマルヘッドは上記プラテンローラとの間で連続紙を挟む。ヘッド駆動回路は、制御部31によって順次送出されるラインデータに基づき、サーマルヘッドの各発熱素子に対して選択的に電流を流すことで、印字を行う。
【0033】
(3-3)撮像装置4
図6に示すように、撮像装置4(画像取得部の一例)は、制御部41、記憶部42、光学機構43、イメージセンサ44、押印部45、モータ47、および、通信インタフェース(通信I/F)48を備える。
【0034】
撮像装置4は、プリンタ3から発行される連続紙CPを受け入れ、連続紙CPに含まれる各ラベルPLの印字面の画像を取得し、画像データを順次、検査処理装置5に送信する機能を備える。撮像装置4は、特定のラベルを対象として検査処理装置5から押印指示を受信すると、当該ラベルに対してスタンプを押す機能を備える。
制御部41は、マイクロプロセッサを主体として構成され、上記各機能を実現するために撮像装置4の全体を制御する。
例えば、制御部41は、各ラベルPLの画像を取得するに際し、隣接するラベルPLの隙間部分の位置とイメージセンサ44の位置とを一致させてから画像の取得を開始するように制御する。制御部41は、イメージセンサ44から各ラベルPLの画像データを取得すると、順次、通信インタフェース48を介して検査処理装置5に送信する。
制御部41は、検査処理装置5から押印指示を受信すると、ラベルPL上において押印する位置の情報(「押印位置情報」という。)を含む押印指示をスタンプ駆動部452に与える。
制御部41は、検査処理装置5からラベル発行指示を受信すると、プリンタ3に対してラベル発行指示を送信する。
【0035】
光学機構43は、光源と、1または複数の光学レンズとを含む。光学機構43は、光源による出射光がラベルPLの印字面を照射し、その反射光がイメージセンサ44で結像するように構成される。
イメージセンサ44は、例えばCCD(Charge Coupled Device)方式のラインセンサあるいはエリアセンサである。高解像度の画像が得られる点で、イメージセンサ44はラインセンサであることが好ましい。また、イメージセンサの視野角の範囲から外れた位置にスタンプ451(後述する)を配置しなければいけないところ、ラインセンサは視野角が比較的狭いため、スタンプ451の配置自由度を高くすることができるという利点もある。また、ラベルサイズ(長手方向・幅方向)による視野角・解像度の調整も、ラインセンサであれば、特に長手方向(ラベルPLの搬送方向)の視野角・解像度の調整が不要となり、制限がないという利点もある。
イメージセンサ44は、反射光を光の強弱を表す電気信号に変換する。
【0036】
押印部45は、
図5に示したように、スタンプ451およびスタンプ駆動部452を含む。押印部45は、制御部41から押印位置情報を含む押印指示を受信すると、スタンプ駆動部452を駆動させ、スタンプ451により連続紙CP上のラベルPLの印字面に押印する。
スタンプ駆動部452は、押印位置情報に基づいてスタンプ451を水平方向(すなわち、ラベルPLの印字面と平行な方向)に移動させるとともに、スタンプ451を垂直方向(印字面と直交する方向)に移動させる。
スタンプ駆動部452の駆動方式は、スタンプ451を水平方向の任意の位置に移動させ、かつスタンプ451を垂直方向に移動させることが可能である限り、如何なる方式でもよい。押印位置情報は、所定の位置を原点とした極座標により定義されてもよい。例えば、スタンプ駆動部452は、スタンプ451を水平方向の所望の位置に位置決めするための制御装置およびサーボモータを備えてもよい。
【0037】
モータ47は、駆動ローラ401F,401Rを回転駆動させるためのアクチュエータである。モータ47の回転速度は、制御部41により制御される。
通信インタフェース48は、プリンタ3、および、検査処理装置5のうち少なくともいずれかと通信を行なう。
【0038】
(3-4)検査処理装置5
図6に示すように、検査処理装置5は、制御部51、記憶部52、操作入力部53、表示部54、および、通信インタフェース(通信I/F)55を備える。記憶部52は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDである。通信インタフェース55は、管理装置2、および、撮像装置4の少なくともいずれかとの間で通信を行う。
【0039】
検査処理装置5は、撮像装置4から送信される各ラベルの画像データを基に検査を行い、「検査OK」(検査合格)、「検査NG」(検査不合格)、「ラベルなし」、「印字なし」のうちいずれかの検査結果を管理装置2へ送信する。
検査処理装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ等の装置である。
【0040】
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、各ラベルの検査を行うために検査処理装置5の全体を制御する。例えば、制御部51に含まれるマイクロプロセッサは、記憶部52に記録されている検査プログラムをロードして実行する。
表示部54は、例えばタッチ入力機能を備えた液晶表示パネルを含み、上記検査プログラムの実行結果を表示する。この場合、表示部54のタッチ入力機能は、操作入力部53の一部を構成する。
検査プログラムを実行することで行なわれる処理については、例えば、以下の処理(b-1)~(b-4)を含む。
【0041】
(b-1) 撮像装置4から取得した画像データに基づいて各ラベルの検査を行うこと
(b-2) 各ラベルの検査結果を管理装置2に送信すること
(b-3) ラベルの検査結果が「検査NG」である場合に、当該ラベルにNGスタンプを押印するための押印指示を撮像装置4に送信すること
(b-4) 新たなラベルを発行するためのラベル発行指示を、撮像装置4を介してプリンタ3に送信すること
【0042】
処理(b-1)および処理(b-2)は、具体的には以下のようにして行われる。
制御部51は、各ラベルの画像データから文字情報を1文字単位で抽出し(切り出し)、文字認識処理を行う。その際、文字が欠けている、あるいは文字に線が重なっている等によって文字認識ができない場合には、検査不合格と判定される。また、制御部51は、印字された罫線や枠線等の認識を行い、かすれや線切れなどがある場合に、検査不合格と判定しても良い。制御部51はさらに、当該画像データからバーコードを切り出し、切り出したバーコードからデータを抽出する処理を行う。
制御部51は、画像データから文字認識された文字と、バーコードから抽出されたバーコードとが正規のデータであるか否かを判断する(つまり、印字結果の合否を判定する)。制御部51は判定部の一例である。この判定に当たって制御部51は、予め管理装置2から検証用データ(正規の文字データ、および、バーコードから抽出されるべき正規のデータ)を、通信インタフェース55を介して予め受信して記憶部52に記録する。制御部51は、上記判断を行うときに記憶部52から検証用データを読み出し、読み出した検証用データと、画像データから文字認識された文字、およびバーコードから抽出されたバーコードとの照合を行なう。
【0043】
制御部51は、上記画像データに基づいて、ラベルの有無、および、印字の有無についても判断する。ラベルの有無の判断に当たって制御部51は、画像データに基づいて、台紙上のラベルの端の有無を判別する。また、制御部51は、画像データから文字およびバーコードを切り出すことができない場合にラベル上に印字がされていないと判断する。
制御部51は、通信インタフェース55を介して、「検査OK」、「検査NG」、「ラベルなし」、「印字なし」のうちいずれかの検査結果を、管理装置2へ送信する。
【0044】
処理(b-3)は、具体的には以下のようにして行われる。
ラベルの検査結果が「検査NG」である場合、制御部51は、当該ラベルにおいて検査不合格の原因となった位置を、撮像装置4においてNGスタンプを押印するときに参照される押印位置情報として特定する。制御部51は位置特定部および特定部の一例である。押印位置情報は、ラベルの基準位置(例えば、四隅のいずれかの位置)を基に特定される。
押印位置情報は、例えば、検証用データと、画像データから文字認識された文字、およびバーコードから抽出されたバーコードとの照合を行なった結果、一致しないと判断したラベル上の位置の情報である。バーコードの場合には、コードが異常である場合(例えば、バーコードの高さや左右のマージン量等が基準を満たさない場合)は、その異常な位置が押印位置情報として特定される。
制御部51は、押印位置情報を含む押印指示を、通信インタフェース55を介して撮像装置4に送信する。
【0045】
上記処理(b-4)において、制御部51は、N番目のラベルの検査結果が得られた場合、撮像装置4を介してN+M番目のラベルに対するラベル発行指示をプリンタ3に送信する。
好ましくは、制御部51は、N番目のラベルの検査結果が「検査OK」である場合に限り、撮像装置4を介して、N+M番目のラベルに対するラベル発行指示をプリンタ3に送信する。換言すれば、制御部51は、N番目のラベルの検査結果が「検査NG」である場合には、N+M番目のラベルに対するラベル発行指示がプリンタ3に送信されないようにする。それにより、プリンタ3による連続紙CPの搬送が停止するため、ユーザは、検査不合格であるラベルを目視で確認し、あるいは検査不合格であるラベルを直ちに除去する等の作業を行うことができる。つまり、検査システムの画面やパトランプでエラー(不合格)の発生を認識できても、検査スピードや搬送速度によっては、どのラベルが検査NGラベルか把握しにくいが、NGスタンプが押印されていれば、どのラベルが検査NGラベルか容易に把握することができる。
【0046】
(4)検査システムにおいて表示される画面例
次に、検査システム1において、管理装置2の検査プログラムが実行されたときに表示部24に表示される画面の例を、
図7~10を参照して説明する。
図7は、ユーザが管理装置2を起動して検査プログラムを実行し、ユーザがログインを行なった後に表示される画面G1を示している。画面G1は、ログインユーザ表示領域101、検査対象ラベル検索領域102、および、ラベル検索結果表示領域103を含む。ログインユーザ表示領域101は、ログインユーザ(以下、単に「ユーザ」という。)を表示する領域(図示の例では、ログインユーザ:T.SATO)である。
【0047】
検査対象ラベル検索領域102は、ユーザが、品目コード、品目名称、ラベル名称、ラベルレイアウトのうち少なくともいずれかをキーとして、検査対象のラベルをデータベースから検索するための領域である。例えば、品目コードとして「JY01」を指定し、ボタンb1(「検索」)を操作すると、品目コードが「JY01」であるすべてのラベルのリストがラベル検索結果表示領域103に表示される。ラベル検索結果表示領域103の1行分のデータは、データベースに記録されている1レコード分のデータに相当する。ボタンb2(「選択」)は、ラベル検索結果表示領域103に表示されるラベルのリストからいずれかのラベルを選択するためのボタンである。ボタンb2(「選択」)が操作されると、
図8Aに示す画面G2が表示される。
【0048】
画面G2は、印字対象ラベル表示領域104、ユーザ入力領域105、および、プレビュー表示領域107を含む。印字対象ラベル表示領域104には、画面G1で選択されたラベルの情報が表示される。ユーザ入力領域105は、ラベルに印字されるべき追加の情報をユーザが管理装置2の操作入力部23を介して入力するための領域であり、
図8Aに示す例では、製造年月日、使用期限、製造番号、連番開始値、検査OK枚数の各項目の情報を含む。
ここで、連番開始値とは、複数枚のラベルを印字する場合に当該複数枚のラベルに印字される、連続する番号(連番)である。連番開始値を印字することは必須ではないが、ユニークIDが各ラベルに付されることになるため、偽造防止になる。
検査OK枚数は、印字されたラベルのうち検査処理装置5の検査に合格したラベルの数を意味する。
印字対象ラベル表示領域104および/またはユーザ入力領域105に含まれるデータは、検査処理装置5による検査結果の基礎となる上記検証用データに対応する。
【0049】
ユーザ入力領域105に各項目の情報を入力後、ボタンb3(「プレビュー」)を操作することで、プレビュー表示領域107には、印字対象ラベル表示領域104およびユーザ入力領域105の内容に合致するラベルのプレビューが表示される。ボタンb5(「戻る」)は画面G1に戻るためのボタンである。ボタンb4(「ラベル発行」)を操作することでラベルの印字内容が確定し、
図8Bの画面G3が表示される。
【0050】
画面G3は、準備モードの場合に表示される画面である。画面G3には、ボタン群b11~b16が表示される。準備モードの場合には、ボタン群b11~b16のうち、ボタンb11(「1枚検査」)、ボタンb12(「準備完了」)、およびボタンb16(「検査終了」)が有効となっており、その他のボタンは無効となっている。
ボタンb11(「1枚検査」)は、撮像装置4および検査処理装置5が正常に機能しているか否かを検査することを指示するためのボタンである。ボタンb11(「1枚検査」)は、準備モードの処理の実行を開始する操作入力を受け付けるための操作対象の例である。
ボタンb12(「準備完了」)は、撮像装置4および検査処理装置5が正常に機能しているか否かの検査を完了させ、後述する検査モードに移行するためのボタンである。ボタンb12(「準備完了」)は、準備モードの処理を終了させる操作入力を受け付けるための操作対象の例である。
ボタンb16(「検査終了」)は、検査自体を終了してログイン画面(図示せず)に戻るためのボタンである。
【0051】
準備モードでは、ユーザが、印字済みであって、かつ未検査のラベルの印字面に対して例えばペンで上書きすることでNGラベルを生成して、検査する。また、ユーザが、印字済みであって、かつ未検査のラベルの印字内容を目視で確認してOKであると判断したOKラベルを検査する。そして、撮像装置4によるNGラベルに対する検査結果が「検査NG」であり、検査処理装置5によるOKラベルに対する検査結果が「検査OK」である場合、撮像装置4および検査処理装置5が正常に機能していると判断することができる。
【0052】
ユーザは、撮像装置4が正常に機能していることを確認した場合、画面G3においてボタンb12(「準備完了」)を操作する。すると、準備モードが終了して検査モードに移行する。
図9Aの画面G4は、検査モードにおいて最初に表示される画面である。検査モードの場合には、ボタン群b11~b16のうち、ボタンb13(「連続検査」)、ボタンb14(「一時停止」)、およびボタンb16(「検査終了」)が有効となっており、その他のボタンは無効となっている。
ボタンb13(「連続検査」)は、検査に合格したラベルの数が、画面G2(
図8A参照)においてユーザが入力した検査OK枚数に達するまで、連続的にラベルに対する印字を行うように指示するためのボタンである。
ボタンb14(「一時停止」)は、検査モードにおいて連続的にラベルに印字を行っている途中で印字および搬送を一時的に停止することを指示するためのボタンである。
【0053】
画面G4においてボタンb13(「連続検査」)を操作した後の画面の表示例が、
図9Bに示す画面G5である。検査に合格したラベルの数が検査OK枚数に達すると、印字および搬送が終了して、画面G5の検査結果表示領域108に例示するように、「検査OK」、「検査NG」、「ラベルなし」、「印字なし」の各検査結果に該当するラベルの枚数が表示される。
画面G5に示すように、検査に合格したラベルの数が検査OK枚数に達すると、ボタンb15(「白紙送り」)およびボタンb16(「検査終了」)のみが有効となり、他のボタンは無効となる。ボタンb15(「白紙送り」)はフィードボタンである。ボタンb15(「白紙送り」)は、印字済みであるが未検査のラベルをフィードするために設けられている。
【0054】
(5)検査システム1の動作
次に、
図10~12を参照して、本実施形態の検査システム1の動作について説明する。
図10は、実施形態に係る検査システム1のシーケンスチャートであり、検査OKの場合の処理を示している。
図11は、実施形態に係る検査システム1のシーケンスチャートであり、検査NGの場合の処理を示している。
図12A~12Dの各々は、NGラベルに対してNGスタンプが押印された状態を例示する図であり、それぞれ
図3A~3Dに対応している。なお、
図10の例では、N枚目以降のラベルに対する処理を示している。
【0055】
(5-1)検査OKの場合の処理(
図10)
図10のステップS2以降の処理は、例えば、画面G4(
図9A参照)のボタンb13(「連続検査」)が操作されたことをトリガとして行われる。
所定枚数のラベル(つまり、所定の検査OK枚数のラベル)を発行しようとする場合、管理装置2は先ず、当該所定枚数のラベルの印字用情報をプリンタ3に送信する(ステップS2)。プリンタ3は、管理装置2から所定枚数ラベルの印字用情報を受信すると、印字用情報を記憶部34に格納する(ステップS4)。
次いで、管理装置2から検査処理装置5に対して検査開始要求が送信され(ステップS6)、当該要求に応じて検査処理装置5が管理装置2に対してACK信号を返す(ステップS8)ことで、ラベルの発行の準備が整う。
【0056】
なお、
図10に示す例では、管理装置2は、印字用情報をプリンタ3に送信してから検査開始要求を検査処理装置5に送信する例を示したが、その限りではない。管理装置2は、検査開始要求を検査処理装置5に送信してから、印字用情報をプリンタ3に送信してもよい。
【0057】
撮像装置4は、N番目のラベルに対するラベル発行指示をプリンタ3に送信する(ステップS10)。プリンタ3は、ラベル発行指示を受信すると、N番目のラベルに対する印字用情報を記憶部34から読み出して印字データを生成し、N番目のラベルを印字、発行する(ステップS12)。プリンタ3は、N番目のラベルの発行が完了すると検査処理装置5に対してラベル発行完了メッセージを送信する(ステップS14)。
発行されたN番目のラベルは撮像装置4に搬送される。撮像装置4は、搬送されたラベルの印字面の画像データを取得し、検査処理装置5に送信する(ステップS16)。
【0058】
検査処理装置5は、ステップS16で受信した画像データに基づいて、N番目のラベルの検査を実行し(ステップS18)、検査結果を管理装置2に送信する(ステップS20)。ここでは、検査結果が「検査OK」である場合を想定している。
管理装置2は、検査結果を受信すると、当該検査結果に対する集計処理を行う(ステップS22)。集計処理とは、「検査OK」、「検査NG」、「ラベルなし」、「印字なし」の検査結果ごとの数を積算する処理である。なお、集計処理の最終的な結果は、検査処理装置5の画面上の検査結果表示領域108(
図9B参照)に表示される。
【0059】
N番目のラベルの検査結果を管理装置2に送信した後、検査処理装置5は、撮像装置4を介して、N+M番目のラベルに対するラベル発行指示をプリンタ3に送信する(ステップS23、およびステップS23に続くステップS10)。以降のラベルに対しても、ステップS10~S23の処理が行われる。
以後、管理装置2において集計される「検査OK」のラベルの枚数が、所定の検査OK枚数に達するまでステップS10~S23の処理が繰り返し行われる。このとき、本実施形態の検査システム1においては、検査処理装置5は、N番目のラベルに対する検査結果が得られた場合に、N+M番目のラベルに対するラベル発行指示をプリンタ3に行うように構成したため、各ラベルの発行が迅速に行われる。
なお、Mは、1以上の整数であり、プリンタ3と撮像装置4の間を通過中のラベルのラベルピッチ等に基づく数である。具体的には、
図1に示すプリンタ3と撮像装置4との搬送路上に複数枚のラベルが存在する場合があるため、N番目を基準に搬送路上に存在する1以上の印刷媒体の数をMとし、N+M番目のラベルに対する印字をプリンタ3に実行させる。
【0060】
従来、N番目の検査結果が得られた場合に、管理装置2がN+1番目の印字用情報をプリンタ3に送信し、プリンタ3がN+1番目の印字データを生成して印字、発行していたため、N番目のラベルとN+1番目のラベルを発行する間の時間が多く掛かっていた。それに対して本実施形態では、印字予定のラベルの印字用情報をプリンタ3に格納させておき、検査処理装置5は、検査が終了すると直ちに撮像装置4を介してプリンタ3に対してラベル発行指示を送るように構成した。そのため、N番目のラベルとN+M番目のラベルを発行する間の時間を従来よりも短縮させることができることから、所定の検査OK枚数のラベルを発行するのに掛かる時間が少なくて済むという利点がある。
【0061】
なお、本実施形態では、管理装置2がプリンタ3に対して、印字予定のラベルに対応する印字用情報を一括して送信する場合について説明したが、その限りではない。管理装置2がプリンタ3に対して、印字予定のラベルに対応する印字用情報を分割して送信してもよい。
【0062】
(5-2)検査NGの場合の処理(
図11)
図11において、ステップS2~S18の処理は、
図10のステップS2~S18と同じであるため、重複説明を省略する。
ステップS18において、検査処理装置5は、ステップS16で受信した画像データに基づいて、ラベルの検査を実行し(ステップS18)、検査結果を管理装置2に送信する(ステップS20a)。ここでは、検査結果が「検査NG」である場合を想定している。管理装置2は、当該検査結果を受信すると、検査結果が「検査NG」の数を1つ加算するようにして集計処理を行う。
【0063】
検査処理装置5は、ステップS18において検査不合格の原因となった位置を押印位置情報として特定し、押印位置情報を含む押印指示を撮像装置4に送信する(ステップS24)。撮像装置4は、押印指示を受信すると、押印指示に含まれる押印位置情報に対応するラベルの印字面の位置にスタンプ451(NGスタンプ)を移動させて押印を行う(ステップS26)。
【0064】
図12Aに示すように、品名の誤りを原因とするNGラベルの例では、誤りと判断された品名の部分にNGスタンプが押印される。
図12Bに示すように、使用期限の誤りを原因とするNGラベルの例では、誤りと判断された使用期限の部分にNGスタンプが押印される。
図12Cに示すように、バーコードが欠けた状態であることを原因とするNGラベルの例では、欠損していると判断されたバーコードの部分にNGスタンプが押印される。
図12Dに示すように、バーコードに異常な記号若しくはマーク等が付加されていることを原因とするNGラベルの例では、異常な記号若しくはマーク等が付加されていると判断されたバーコードの部分にNGスタンプが押印される。
【0065】
NGラベルに対して押印を行うことで、NGラベルであることがユーザに直ちに認識させることができる。そのため、ラベルが例えば医薬品の製品自体(つまり、個装された状態の医薬品)に貼付される場合等、ラベルの品質が厳重に管理される用途において、NGラベルが誤って使用されるという状況を確実に防止することができる。
【0066】
また、本実施形態の検査システム1では、検査不合格の原因となった位置(つまり、印字内容の不具合箇所)にNGスタンプが押印されるため、検査不合格となった原因をユーザが直ちに認識できるようになるという利点がある。そのため、ユーザは検査不合格となった原因に対する対策を立て易くなる。
なお、
図11に示す例では、押印処理を行った後にはラベル発行指示がプリンタ3に送信されずラベルの搬送が停止する場合を想定しているが、その限りではない。管理装置2によって1枚検査を実行することによって、NGラベルに続くラベルの検査を行いながらNGラベルを搬送させて取り出すように構成してもよい。
【0067】
(6)実施形態の変形例
以下、上述した実施形態において、スタンプの押印についての変形例について、
図13~15を参照して説明する。
図13は、本実施形態の変形例に係るスタンプの構成について説明する図である。
図14A,14Bおよび
図15A,15Bはそれぞれ、本実施形態の変形例に係るスタンプの印影を示す図である。
【0068】
(6-1)変形例1(
図13)
上述した実施形態では、撮像装置4の押印部45において、単一のスタンプ451が設けられている場合について説明したが、その限りではなく、2以上のスタンプが設けられていてもよい。
図13に示す変形例1では、押印部45が2つのスタンプ4511,4512を有する場合の例である。
図13は、撮像装置4の押印部45において、押印されるべきラベルPLの印字面に対して直交する方向から見たときの2つのスタンプ4511,4512の配置例を示している。
図13に示す例では、ラベルPLの概ね左半分の領域A1の中の不具合についてスタンプ4511が割り当てられ、ラベルPLの概ね右半分の領域の不具合についてスタンプ4512が割り当てられている。すなわち、検査処理装置5から送信される押印指示に含まれる押印位置情報が領域A1内の位置に対応する場合、撮像装置4の制御部41は、スタンプ4511を水平方向移動させて押印するようにスタンプ駆動部452を制御する。他方、検査処理装置5から送信される押印指示に含まれる押印位置情報が領域A2内の位置に対応する場合、撮像装置4の制御部41は、スタンプ4512を水平方向移動させて押印するようにスタンプ駆動部452を制御する。それによって、単一のスタンプを備える場合よりも短時間で押印処理を完了させることができる。
【0069】
また、複数のスタンプの割り当ては、
図13に示す左右(あるいは上下)の領域に割り当てる場合に限られず、他の基準で割り当てることもできる。
例えば、
図7の検査対象ラベル検索領域102で示した検索キー(品目コード、品目名称等)が表示される領域ごとに複数のスタンプを割り当ててもよい。その場合、ラベル上の品目コードや品目名称等のそれぞれに異なるスタンプが割り当てられて、品目コードの内容に不具合がある場合、品目コードに割り当てられたスタンプによって押印される。
図7の検査対象ラベル検索領域102で示したそれぞれの検索キーの組合せの数や検索キーの内容に応じて複数のスタンプの各々を割り当ててもよい。あるいは「罫線のかすれ」、「印字位置のずれ」等の検査内容、若しくは検査対象項目に応じて2以上のスタンプを割り当ててもよい。
すなわち、本変形例では、不合格に関連する情報によって割り当てられた2以上のスタンプを有し、当該2以上のスタンプのうち、不合格に関連する情報によって割り当てられたスタンプを用いて押印してもよい。ここで、「不合格に関連する情報」は、例えば、不具合の項目(上記品目コード等)や検査内容等の情報である。
なお、押印部45が備えるスタンプの数は2個に限られず、3個以上の任意の数であってもよい。
【0070】
(6-2)変形例2(
図14)
図12A~12Dの各図に示したNGラベルの例は、不具合箇所(不合格である箇所)が1つである場合について示したが、1つのラベルに不具合箇所が2以上存在する場合もある。そのような場合には、検査処理装置5から送信される押印指示には、2以上の押印位置情報が含まれる。
2以上の押印位置情報が含まれる押印指示を受信した場合、撮像装置4は、
図14Aに例示するように、当該2以上の押印位置情報が対応する押印位置に2以上のNGスタンプを押印してもよい。この場合、2以上の異なるスタンプを設けてそれぞれ異なる押印位置に押印するように構成してもよいし、単一のスタンプによって2以上の押印位置に押印する(同一スタンプを使用して2回以上押印する)ように構成してもよい。
あるいは、撮像装置4は、
図14Bに示すように、ラベルPLの余白領域(印字面のうち印字されていない部分)にNGスタンプを押印してもよい。余白領域にNGスタンプを押印することで、2以上のNGスタンプによる煩雑な印影を回避することができる。また、予め余白領域に不具合の数に応じてNGスタンプを押印することもできる。1箇所の不具合の場合であっても、不具合箇所(不合格である箇所)に代えて、余白領域に押印してもよい。
なお、押印指示に所定数以上の押印位置情報が含まれる場合に、余白領域にスタンプを押印するようにすることが好ましい。ここで、所定数の値は適宜設定してよいが、複数のNGスタンプによる印影が煩雑であるか否かの観点から設定することができる。
【0071】
(6-3)変形例3(
図15)
本変形例では変形例1と同様に、撮像装置4の押印部45において、2以上のスタンプが設けられる。2以上のスタンプのうち第1スタンプは、スタンプ451と同様に、検査処理装置5から送信される押印指示に含まれる押印位置情報に基づいて押印される。
本変形例において、上記2以上のスタンプのうち第2スタンプは、ラベルPLの余白領域に押印される。第2スタンプの内容(つまり、印影)は、例えば、不具合あるいは検査と関連付けられた情報である。一例として、
図15A及び
図15Bに示すように、ユーザ(例えば検査員)を特定する情報とすることができる。
図15Aの例では第2スタンプの印影はユーザの名称(「佐藤」)であり、
図15Bの例ではスタンプの印影はユーザの名称の最初のアルファベット(「S」)である。それによって、NGラベルとユーザを紐付けることができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0073】
例えば、上述した実施形態では、管理装置2および検査処理装置5をそれぞれ別体としたが、一体で構成してもよい。上述した実施形態では、撮像装置4および検査処理装置5をそれぞれ別体としたが、一体で構成してもよい。
本実施形態では、ラベル上の不具合箇所に押印するスタンプの印が「NG」である場合について例示したが、その限りではない。スタンプの印影は適宜設定することができ、例えば、上述したようにユーザ(例えば検査員)を特定する情報としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…検査システム、2…管理装置、21…制御部、22…記憶部、23…操作入力部、24…表示部、25…通信インタフェース、3…プリンタ、31…制御部、32…搬送部、33…印字部、34…記憶部、35…通信インタフェース、4…撮像装置、40U…上側筐体、40L…下側筐体、401F,401R…駆動ローラ、402F,402R…従動ローラ、405…撮像ユニット、407…回路基板、410…受入口、411…排出口、41…制御部、42…記憶部、43…光学機構、44…イメージセンサ、45…押印部、451…スタンプ、452…スタンプ駆動部、47…モータ、48…通信インタフェース、5…検査処理装置、51…制御部、52…記憶部、53…操作入力部、54…表示部、55…通信インタフェース、6…巻き取り機、C1~C4…配線、G1~G7…画面、b1~b5,b11~b16…ボタン、100…台、100a…レール、101…ログインユーザ表示領域、102…検査対象ラベル検索領域、103…ラベル検索結果表示領域、104…印字対象ラベル表示領域、105…ユーザ入力領域、106…故障有無表示領域、107…プレビュー表示領域、108…検査結果表示領域、PL…ラベル、PLn…連番、PM…台紙、CP…連続紙