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特許7152903二次電池の充電制御方法及び充電制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】二次電池の充電制御方法及び充電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221005BHJP
   G01R 31/36 20200101ALI20221005BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221005BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H02J7/00 M
G01R31/36
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018154789
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020031470
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】近田 尚章
【審査官】麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-331769(JP,A)
【文献】特開2011-175859(JP,A)
【文献】特開2000-228832(JP,A)
【文献】特開平07-263033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G01R 31/36
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の満充電容量と、前記二次電池に供給される充電電流及び前記二次電池から放出される放電電流を測定し、これら充電電流及び放電電流の値から求めた前記二次電池に蓄えられている容量と、を基に前記二次電池の充電率を演算し、得られた演算充電率が予め規定した下限値に達した時点で充電を開始し、得られた演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で充電を停止することにより前記二次電池の充電を制御する、二次電池の充電制御方法において、
任意のタイミングで、前記演算充電率の値を補正する補正作業を行う補正ステップを備えており、
前記補正作業は、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で充電を停止する制御を一旦中断した状態で充電を継続し、その間、前記二次電池の内部の圧力の値である電池内圧値を測定し、前記電池内圧値が予め設定した設定圧力値に達した時点で前記充電を停止するとともに、前記設定圧力値に達した時点での前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する、二次電池の充電制御方法。
【請求項2】
前記新規の充電率は、予め把握しておいた前記電池内圧値と前記二次電池の実際の充電率との対応関係から求めた、前記設定圧力値に対応する実際の充電率であり、
前記設定圧力値は、前記二次電池の前記実際の充電率が100%の場合に対応する前記電池内圧値以上、且つ、予め把握しておいた前記二次電池を充電した際の前記二次電池の電圧と前記電池内圧値との関係から求めた、前記電圧の極大値に対応する前記電池内圧値以下の範囲の圧力値に設定されている、請求項1に記載の二次電池の充電制御方法。
【請求項3】
前記任意のタイミングは、前記充電の回数が予め規定した回数に達した時点である、請求項1又は2に記載の二次電池の充電制御方法。
【請求項4】
前記任意のタイミングは、前記二次電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、前記補正作業を行った時点からの経過時間が、予め規定した時間に達した時点である、請求項1又は2に記載の二次電池の充電制御方法。
【請求項5】
二次電池に供給される充電電流及び前記二次電池から放出される放電電流を測定する電流測定部と、前記二次電池の内部の圧力の値である電池内圧値を測定する圧力測定部と、前記二次電池の充放電を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、
前記電流測定部により測定された前記充電電流及び前記放電電流の値から求めた前記二次電池に蓄えられている容量を求め、得られた容量と、予め求めておいた前記二次電池の満充電容量とを基に前記二次電池の充電率を演算して演算充電率を得る処理と、
前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で外部電源からの前記充電電流の供給を停止するとともに、前記二次電池を負荷に対し放電が可能な状態とする処理と、
前記演算充電率が予め規定した下限値に達した時点で前記負荷から前記二次電池を切り離すとともに、前記二次電池を前記外部電源に接続して前記充電電流を供給し充電を開始する処理と、
任意のタイミングで行う、前記演算充電率を補正する補正処理であって、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で前記外部電源からの前記充電電流の供給を停止することを一旦中断して、前記演算充電率が予め規定した上限値を超えても充電を継続し、前記圧力測定部で測定した前記二次電池の内部の圧力が予め設定した設定圧力値に達した時点で前記外部電源からの前記充電電流の供給を停止するとともに、前記設定圧力値に達した時点での前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する補正処理と、を実行する、二次電池の充電制御システム。
【請求項6】
前記新規の充電率は、予め把握しておいた前記電池内圧値と前記二次電池の実際の充電率との対応関係から求めた、前記設定圧力値に対応する実際の充電率であり、
前記設定圧力値は、前記二次電池の前記実際の充電率が100%の場合に対応する前記電池内圧値以上、且つ、予め把握しておいた前記二次電池を充電した際の前記二次電池の電圧と前記電池内圧値との関係から求めた、前記電圧の極大値に対応する前記電池内圧値以下の範囲の圧力値に設定されている、請求項5に記載の二次電池の充電制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記充電の回数をカウントするカウンタを更に含んでおり、前記カウンタでカウントした回数が予め規定した回数に達したタイミングで前記補正処理を実行する、請求項5又は6に記載の二次電池の充電制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、経過時間を計測できるタイマを更に含んでおり、前記タイマを用いて、前記二次電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、前記補正処理を行った時点からの経過時間を計測し、当該経過時間が予め規定した時間に達したタイミングで前記補正処理を実行する、請求項5又は6に記載の二次電池の充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充電制御方法及び充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充電が可能な電池であり、充電することにより繰り返し使用することができる。このため二次電池には、携帯型電子機器の電源、電気自動車の電源、非常用電源などの色々な用途が見出されており、その用途は益々増えている。
【0003】
このような二次電池の一種として、例えば、電解液にアルカリ水溶液を用いるアルカリ二次電池が挙げられる。このアルカリ二次電池の一般的な充電方法としては、定電流充電法が用いられる。この充電方法では、充電開始時から常に一定の電流を供給して充電を行い、当該アルカリ二次電池が蓄えることができる最大の容量までの充電がされたとみなされたときに電流の供給を停止し、充電を終了させる制御が行われる。ここで、当該アルカリ二次電池が蓄えることができる最大の容量までの充電がされた、すなわち、満充電されたとみなし、その時点で充電を終了させる制御方法としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0004】
まず、アルカリ二次電池が満充電された状態に達すると当該電池の電圧が極大値に達した後、数mV低下する現象が起こるので、電池電圧が極大値を示した後に数mV低下したことを検出した時点で電流の供給を停止して充電を制御する方法がある。以下、この制御方法を-ΔV制御という。
【0005】
次いで、アルカリ二次電池が満充電された状態に達すると当該電池の温度が急激に上昇する現象が起こるので、電池温度の単位時間当たりの上昇率を把握し、電池温度の上昇率が所定値に達した時点で電流の供給を停止して充電を制御する方法がある。以下、この制御方法をdT/dt制御という。
【0006】
ところで、-ΔV制御及びdT/dt制御において、満充電状態と認定できる現象が発生するのは、過充電状態がかなり進んだ場合である。このように、アルカリ二次電池が過充電状態となると、電池内ではガスの発生量が増加し、内圧が上昇する。つまり、電池の充電を行っていて、電池電圧が極大値を示した後に数mV低下する現象を把握できる領域に入る、あるいは、電池温度の上昇率が変化したことを把握できる領域に入ると、電池の内部では圧力が急激に上昇する。
【0007】
ここで、電池によっては、構造的に、上昇した電池内圧が許容できない場合がある。また、電池の内圧上昇に伴い電池の安全弁が開き、ガスとともに電解液が外部に放出されてしまい、電池寿命の低下を招く場合がある。このような不具合を回避するためには、これら-ΔV制御及びdT/dt制御は、使用できない。
【0008】
また、上記した-ΔV制御及びdT/dt制御は、定電流充電法を用いることが前提条件である。このため、一定電流での充電を行わない場合も、これらの制御を用いることはできない。
【0009】
そこで、ガス圧が上昇する領域にならないと満充電を認識できないような上記した-ΔV制御及びdT/dt制御とは異なる電池の充電制御方法が種々提案されている。そのうちの1つとして特許文献1等で用いられているような電池の充電状態(State Of Charge:以下、SOCという)を把握して充電の制御を行う方法(以下、SOC制御法という)が知られている。
【0010】
SOCは、満充電容量に対する電池に蓄えられた容量の比率であり、充電率とも呼ばれる。基本的に、SOCが0%の場合、電池に蓄えられている容量は空の状態であり、SOCが50%の場合、蓄えられている電池の容量は満充電の半分の状態であり、SOCが100%の場合、電池は満充電の状態である。
【0011】
SOCの把握の仕方としては、二次電池の充放電電流を計測し、その電流値を積算することにより充放電容量を算出し、この充放電容量から二次電池のSOCを算出する。
【0012】
SOC制御法は、上記のようにして求めたSOCの値が0%もしくは予め設定した下限値になったところで充電を開始し、SOCの値が100%となったところで充電を終了する制御である。つまり、SOC制御法では、充電量から満充電となったか否かを判断する。このため、SOC制御法は、電池が過充電状態となる前に充電を終了させることが可能であるとともに、一定電流での充電に限らず採用可能である。よって、SOC制御法は、上記した-ΔV制御及びdT/dt制御を採用した場合の不具合を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2005-269824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、SOC制御法の場合、充放電時の電流値を測定し、その積算値からSOCを算出するので、充電効率と放電効率との差、電流値の測定誤差、自己放電等により、電流の積算値に誤差が蓄積されていくことがある。これは、充放電の回数が増えるほど、また放置した時間が長いほど誤差の蓄積量は多くなる。
【0015】
このように演算したSOCに誤差が蓄積されると実際の電池のSOCと乖離が生じる。例えば、演算したSOCに対して実際の電池のSOCが小さい値となった場合、演算結果は未だ電池の容量が残っていることを示しているにもかかわらず、実際には電池の容量が不足しており、電圧低下が起こり放電できなくなる不具合が生じるおそれがある。
【0016】
このため、上記のような不具合を回避することができるようにSOC制御法を改良することが望まれている。
【0017】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、従来のSOC制御法の不具合の発生を抑制することができる二次電池の充電制御方法及び充電制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明によれば、二次電池の満充電容量と、前記二次電池に供給される充電電流及び前記二次電池から放出される放電電流を測定し、これら充電電流及び放電電流の値から求めた前記二次電池に蓄えられている容量と、を基に前記二次電池の充電率を演算し、得られた演算充電率が予め規定した下限値に達した時点で充電を開始し、得られた演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で充電を停止することにより前記二次電池の充電を制御する、二次電池の充電制御方法において、任意のタイミングで、前記演算充電率の値を補正する補正作業を行う補正ステップを備えており、前記補正作業は、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で充電を停止する制御を一旦中断した状態で充電を継続し、その間、前記二次電池の内部の圧力の値である電池内圧値を測定し、前記電池内圧値が予め設定した設定圧力値に達した時点で前記充電を停止するとともに、前記設定圧力値に達した時点での前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する、二次電池の充電制御方法が提供される。
【0019】
また、前記新規の充電率は、予め把握しておいた前記電池内圧値と前記二次電池の実際の充電率との対応関係から求めた、前記設定圧力値に対応する実際の充電率であり、前記設定圧力値は、前記二次電池の前記実際の充電率が100%の場合に対応する前記電池内圧値以上、且つ、予め把握しておいた前記二次電池を充電した際の前記二次電池の電圧と前記電池内圧値との関係から求めた、前記電圧の極大値に対応する前記電池内圧値以下の範囲の圧力値に設定されている構成とすることが好ましい。
【0020】
また、前記任意のタイミングは、前記充電の回数が予め規定した回数に達した時点である構成とすることが好ましい。
【0021】
また、前記任意のタイミングは、前記二次電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、前記補正作業を行った時点からの経過時間が、予め規定した時間に達した時点である構成とすることが好ましい。
【0022】
また、本発明によれば、二次電池に供給される充電電流及び前記二次電池から放出される放電電流を測定する電流測定部と、前記二次電池の内部の圧力を測定する圧力測定部と、前記二次電池の充放電を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記電流測定部により測定された前記充電電流及び前記放電電流の値から求めた前記二次電池に蓄えられている容量を求め、得られた容量と、予め求めておいた前記二次電池の満充電容量とを基に前記二次電池の充電率を演算して演算充電率を得る処理と、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で外部電源からの前記充電電流の供給を停止するとともに、前記二次電池を負荷に対し放電が可能な状態とする処理と、前記演算充電率が予め規定した下限値に達した時点で前記負荷から前記二次電池を切り離すとともに、前記二次電池を前記外部電源に接続して前記充電電流を供給し充電を開始する処理と、任意のタイミングで行う、前記演算充電率を補正する補正処理であって、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で前記外部電源からの前記充電電流の供給を停止することを一旦中断して、前記演算充電率が予め規定した上限値を超えても充電を継続し、前記圧力測定部で測定した前記二次電池の内部の圧力が予め設定した設定圧力値に達した時点で前記外部電源からの前記充電電流の供給を停止するとともに、前記設定圧力値に達した時点での前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する補正処理と、を実行する、二次電池の充電制御システム。
【0023】
前記新規の充電率は、予め把握しておいた前記電池内圧値と前記二次電池の実際の充電率との対応関係から求めた、前記設定圧力値に対応する実際の充電率であり、前記設定圧力値は、前記二次電池の前記実際の充電率が100%の場合に対応する前記電池内圧値以上、且つ、予め把握しておいた前記二次電池を充電した際の前記二次電池の電圧と前記電池内圧値との関係から求めた、前記電圧の極大値に対応する前記電池内圧値以下の範囲の圧力値に設定されている構成とすることが好ましい。
【0024】
また、前記制御部は、前記充電の回数をカウントするカウンタを更に含んでおり、前記カウンタでカウントした回数が予め規定した回数に達したタイミングで前記補正処理を実行する構成とすることが好ましい。
【0025】
また、前記制御部は、経過時間を計測できるタイマを更に含んでおり、前記タイマを用いて、前記二次電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、前記補正作業を行った時点からの経過時間を計測し、当該経過時間が予め規定した時間に達したタイミングで前記補正処理を実行する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る二次電池の充電制御方法は、二次電池の充放電における任意のタイミングで、演算充電率を、二次電池の実際の充電率に合わせる補正作業を行う補正ステップを備えており、前記補正作業は、前記二次電池の内部の圧力の値である電池内圧値を測定し、前記電池内圧値が予め設定した設定圧力値に達するまで充電を継続し、前記設定圧力値に達した時点で充電を停止するとともに前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する作業である。このような補正作業により、演算充電率と、二次電池の実際の充電率とのずれが補正される。
【0027】
よって、本発明によれば、従来のSOC制御法の不具合の発生を抑制することができる二次電池の充電制御方法及び充電制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施形態に係る充電制御システムの構成を概略的に示したブロック図である。
図2】ニッケル水素二次電池を充電する際の電池の電圧、電池の温度及び電池の内部の圧力の変化とSOCとの関係を示したグラフである。
図3】本発明の第2の実施形態に係る充電制御システムの構成を概略的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施形態]
本発明に係る二次電池の充電制御方法を用いた充電制御システム2を含む電源装置4について図面を参照しながら以下に説明する。
【0030】
電源装置4は、駆動対象である負荷6の第1ケーブルK1が接続される第1出力端子部8と、負荷6の第2ケーブルK2が接続される第2出力端子部10と、充電のための電力を供給する外部電源12の第1ケーブルK3が接続される第1入力端子部14と、外部電源12の第2ケーブルK4が接続される第2入力端子部16と、外部電源12の制御信号入力端子13から延びる制御信号線15が接続される電源用端子17と、を備えている。ここで、負荷6としては、特に限定されるものではなく、例えば、モータ、電子機器等が挙げられる。また、外部電源12としては、特に限定されるものではなく、例えば、発電機等が挙げられる。
【0031】
電源装置4には、負荷6に電力を供給するための電源であるとともに充電対象である二次電池と、充電制御システム2とが含まれている。この充電制御システム2には、この二次電池の状態を把握する各種のセンサ、上記したセンサからの情報を基に各種演算を行い充電の制御を行う制御装置、及び、得られた演算結果を基に制御装置から出力された指令により電流の流れを切り替えるスイッチが含まれている。
【0032】
二次電池としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル水素二次電池18が挙げられる。このニッケル水素二次電池18としては、容器20の中に、正極及び負極がセパレータを介して重ね合わされて形成された電極群19がアルカリ電解液とともに収容されており、当該容器20が、封口体により密封されている、密閉型のニッケル水素二次電池18が用いられる。本実施形態においては、上記した容器20に、一端部が容器20の内部に挿入されているチューブ22が取り付けられている。そして、このチューブ22の他端部には、ニッケル水素二次電池18の内部の圧力を測定することができる圧力センサ24が取り付けられている。圧力センサ24としては特に限定されるものではなく、例えば、ダイヤフラムゲージ等を用いることができる。この圧力センサ24は、測定されたニッケル水素二次電池18の内部の圧力値の情報を出力する圧力値出力端子26を有している。なお、当該チューブ22の一端部は、気密性及び液密性を保持した状態で容器20に挿入されている。
【0033】
このニッケル水素二次電池18は、第1出力端子部8と第1入力端子部14との間に延びる第1配線28の途中に設けられたスイッチ44に、正極端子32が正極側配線34を介して接続されており、第2出力端子部10と第2入力端子部16との間に延びる第2配線36の途中に設けられた第1接点38に、負極端子40が負極側配線42を介して接続されている。
【0034】
ここで、スイッチ44は、ニッケル水素二次電池18を、負荷6及び外部電源12の何れか一方に接続することの切り替えをする。このスイッチ44は、接続先を切り替える指令の信号が入力される切替信号入力端子74を有している。
【0035】
また、ニッケル水素二次電池18に供給される充電電流及びニッケル水素二次電池18から放出される放電電流を測定することができる電流センサ48が、負極側配線42の部分に配設されている。なお、電流センサ48は、正極側配線34の部分に配設されても構わない。この電流センサ48としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホール電流検出器型センサ、シャント抵抗器型センサ等を用いることができる。この電流センサ48は、ニッケル水素二次電池18に供給される充電電流及びニッケル水素二次電池18から放出される放電電流の測定値の情報を出力する電流値出力端子50を有している。
【0036】
更に、必要に応じてニッケル水素二次電池18の電圧を測定する電圧センサ52を配設することが好ましい。この電圧センサ52としては、一般的に用いられているものであれば特に限定されない。電圧センサ52は、一方のプローブ54が正極側配線34に接続され、他方のプローブ56が負極側配線42に接続されている。この電圧センサ52は、測定されたニッケル水素二次電池の電圧値の情報を出力する電圧値出力端子58を有している。
【0037】
制御装置60は、リード線62を介して圧力センサ24の圧力値出力端子26と接続されている圧力信号入力端子64と、リード線66を介して電流センサ48の電流値出力端子50と接続されている電流信号入力端子68と、リード線70を介して電圧センサ52の電圧値出力端子58と接続されている電圧信号入力端子72と、リード線76を介してスイッチ44の切替信号入力端子74と接続されている切替信号出力端子78と、リード線77を介して電源用端子17と接続されている制御信号出力端子79と、充電の回数をカウントできるカウンタ86と、時間を計測できるタイマ88と、電流センサ48から送られてきた電流値を積算し、得られた積算値からニッケル水素二次電池18の充電率(SOC)を演算処理する演算処理部90と、を備えている。
【0038】
次に、本発明に係る充電制御システム2を用いてニッケル水素二次電池18を充電する際の充電制御方法について説明する。
【0039】
まず、ニッケル水素二次電池18のSOCが0%であるとする。この状態から充電を開始する場合、最初の充電モードとして、制御装置60は、スイッチ44に、ニッケル水素二次電池18と外部電源12とを接続させるための指令の信号を送る。これにより、スイッチ44は、ニッケル水素二次電池18と負荷6との間は切り離し、ニッケル水素二次電池18と外部電源12との間を接続した状態とする。その後、制御装置60は、外部電源12に向けて駆動開始の指令の信号を送る。なお、外部電源12が、発電機でない場合(例えば、電池、ソーラーバッテリー等の場合)は、駆動開始の指令の信号を送る必要はない。これにより、外部電源12からニッケル水素二次電池18に充電電流が供給され充電が行われる。この充電の間、電流センサ48は、充電電流を測定し、得られた充電電流値を制御装置60に送る。制御装置60の演算処理部90は、電流センサ48からの電流値を積算し、得られた積算値から充電された容量を演算するとともに、当該ニッケル水素二次電池18の満充電時の容量の値に対する充電された容量の比率を演算し、充電中のニッケル水素二次電池18のSOCを把握する。ここで、ニッケル水素二次電池18の満充電時の容量は、予め測定して求めておくか、当該ニッケル水素二次電池18の定格容量を用いる。
【0040】
上記のように演算して求めたSOCの値が100%になった時点で、制御装置60は、ニッケル水素二次電池18が満充電の状態となったと判断し、外部電源12に向けて駆動を停止する指令の信号を送る。なお、外部電源12が、発電機でない場合(例えば、電池、ソーラーバッテリー等の場合)は、駆動を停止する指令の信号を送る必要はない。次いで、制御装置60は、スイッチ44に対し、ニッケル水素二次電池18と外部電源12との間を切り離し、ニッケル水素二次電池18と負荷6との間を接続させるための指令の信号を送る。スイッチ44は、当該信号を受け、ニッケル水素二次電池18と外部電源12とを切り離し、ニッケル水素二次電池18と負荷6とを接続した状態とする。これにより、充電を終了させると同時に放電が可能な状態となる。
【0041】
放電中は、電流センサ48により、放電電流を測定し、得られた放電電流値を制御装置60に送る。制御装置60の演算処理部90は、電流センサ48からの電流値を積算し、得られた積算値から放電された容量を演算するとともに、当該ニッケル水素二次電池18の満充電時の容量の値に対する放電された容量の比率を演算し、放電中のニッケル水素二次電池18のSOCを把握する。つまり、放電中は、SOCが100%である満充電状態からどの程度の容量が消費され、現在のSOCが何%であるかを把握する。
【0042】
その後、放電が進み、上記のようにして演算して求めたSOCの値が、例えば、0%となった時点で、制御装置60は、スイッチ44に対して、ニッケル水素二次電池18の接続先を負荷6から外部電源12に切り替える指令を送る。この指令を受けたスイッチ44は、ニッケル水素二次電池18を負荷6から切り離された状態とすると同時に、ニッケル水素二次電池18を外部電源12に接続された状態とする。その後、制御装置60は、外部電源12に向けて駆動開始の指令の信号を送る。なお、外部電源12が、発電機でない場合(例えば、電池、ソーラーバッテリー等の場合)は、駆動開始の指令の信号を送る必要はない。これにより、外部電源12からニッケル水素二次電池18に充電電流が供給され充電が行われる。
【0043】
ここで、充電を開始するタイミングとしては、上記のように、SOCが0%となった時点に限定されない。ある程度の放電が可能な容量を残した状態から充電を開始するために、SOCが0%に到達する前の状態、例えば、SOCが10%や20%といった状態で充電を開始しても構わない。
【0044】
また、電圧センサ52から得られたニッケル水素二次電池18の電圧を参照して充電を開始するタイミングを見計らうことも可能である。例えば、ニッケル水素二次電池18の電圧が0Vとなった情報が制御装置60に送られた時点で、制御装置60は、スイッチ44に対してニッケル水素二次電池18の接続先を負荷6から外部電源12に切り替える指令を送る。これにより、ニッケル水素二次電池18が負荷6と切り離されるとともに、ニッケル水素二次電池18が外部電源12に接続された状態となる。この状態から充電を開始する。なお、電圧値を参照して充電を開始するタイミングを見計らう場合、充電を開始する電圧値は、上記のように、電圧が0Vとなった時点に限定されず、接続された負荷6の最低駆動電圧値に設定しても構わない。
【0045】
ニッケル水素二次電池18は、上記したような充電作業及び放電作業が順次繰り返し行われることにより、負荷6の駆動のために使用される。
【0046】
ところで、充電及び放電を繰り返し行っていると、電流値の積算値を基に演算して求めているSOCの値と、実際の電池のSOCの値との間にずれが生じることがある。このようなずれが生じる要因としては、充電した分だけの容量を放電できないといった充電効率と放電効率との差、電池の自己放電、制御装置60に含まれる各種メモリーやコンピュータの稼働に用いられる電流(暗電流)の存在等が挙げられる。これらの要因により消費された分の容量が減算されたものが実際に蓄えられている容量となるので、実際の電池の残容量と、電流値を積算して演算して得られた残容量とを比べるとずれが生じる。
【0047】
上記のように、演算したSOCと実際のSOCとがずれていると、例えば、演算したSOCは電池の容量がまだ残っていることを表示していても、実際のSOCはその表示よりも低下していることがあり、この場合、電池の電圧が見積もりよりも早期に低下して放電できなくなってしまうことがある。このため、SOCのずれを補正することが重要となる。
【0048】
補正作業の手順としては、制御装置60は、充放電における任意のタイミングで、SOCが100%に到達しても充電停止の指令は行わず、充電を継続する。このとき、制御装置60は、圧力センサ24によりニッケル水素二次電池18の内部の圧力を監視し、この圧力の値が、予め設定した設定圧力値に達した時点で、外部電源12に対して充電を停止する指令の信号を送る。これにより、充電を終了させる。そして、制御装置60は、スイッチ44に対し、ニッケル水素二次電池18の接続先を外部電源12から負荷6へ切り替える指令を送る。これにより、ニッケル水素二次電池18は、外部電源12と切り離され、負荷6と接続された状態となり、放電が可能な状態となる。
【0049】
ここで、本発明においては、ニッケル水素二次電池18について、充電を行っている際の、実際のSOCの変化と、電池内部の圧力(電池内圧値)、電池の温度及び電池の電圧の変化との関係を調べておく。その結果を図2に示す。この図2から、電池内圧値と実際のSOCとの対応関係が把握できるので、電池内圧値を測定すれば、実際のSOCの値がわかる。よって、電池内圧値が予め設定した設定圧力値に達した時点で、演算したSOCの値を電池内圧値から把握できる実際のSOCの値に書き換えると、演算したSOCの値と実際のSOCの値とのずれを補正することができる。
【0050】
上記した設定圧力値については、以下の範囲内で設定する。
まず、下限については、実際のSOCの値が100%に対応する電池内圧値に設定する。一方、上限については、図2において、電池の電圧が極大値Mを示したときのSOCに対応する電池内圧値に設定する。この範囲内であれば、実際のSOCは100%を超えて満充電の状態となり、且つ、電池内圧値が高くなり過ぎる前に充電を終了できる。
【0051】
ここで、図2を基に、-ΔV制御及びdT/dt制御と比較して、より詳しく本発明に係るSOC制御法について説明する。
【0052】
-ΔV制御では、電池の電圧を監視し、電圧値が極大値Mを示した後、数mV低下する現象、つまり、図2中Aで示された領域に現れる現象を捉えて充電を終了する。
【0053】
dT/dt制御では、電池の温度を監視し、温度の上昇率が急激に高くなる現象、つまり、図2中Aで示された領域に現れる現象を捉えて充電を終了する。
【0054】
これら-ΔV制御及びdT/dt制御において、充電を終了させる段階では、SOCが100%の状態(満充電の状態)を超え、大幅に過充電状態となっており、電池の内部圧力が上昇しきった状態である。つまり、電池に対しては過酷な状態となっている。
【0055】
これに対し、SOC制御法は、電池に供給される電流量を測定し、その積算値から充電容量を計算し、この充電容量と満充電容量との比率を演算し、SOCを求め、このSOCが100%になったところ、つまり、図2中のBで示した満充電になった時点で充電を終了する。SOCが100%であれば、図2から明らかなように、電池の内部の圧力の上昇度合いは僅かであり、電池に対して過酷な状態とはなっていない。
【0056】
しかしながら、SOC制御法では、最初のうちは、演算したSOCの値と実際のSOCの値との間にずれはそれほど無いものの、充放電を繰り返すうちに演算したSOCの値と実際のSOCの値との間のずれが大きくなり、演算したSOCの値が100%の満充電を指し示していても、実際には満充電になっていない不具合が生じることがある。
【0057】
そこで、SOC制御法では、演算したSOCの値と実際のSOCの値とのずれを修正する補正作業が必要となる。この補正作業は、演算したSOCの値が100%を超えても充電を継続させる。そして、電池の圧力が、図2のPの範囲内において予め設定しておいた所定の圧力値(設定圧力値)に達した時点で充電を終了させる。そして、この充電を終了させた時点で、演算していたSOCの値を設定圧力値に対応する実際のSOCの値に書き換えて補正する。
【0058】
この補正作業では、電池の内部の圧力がある程度高くなるまで充電を行うが、上記した設定圧力値は、-ΔV制御で到達するAの領域に相当する圧力よりも低い圧力値に設定している。詳しくは、設定圧力値は、実際のSOCが100%を示す図2中のB線で示した部分(電池の圧力曲線の上昇率が高くなり始める部分)に相当する圧力値(図2中においてB線と圧力曲線とが交差するE点で示される圧力値)から、電池の電圧が極大値Mを示しているときのSOCを表す図2中のC線で示した部分に相当する圧力値(図2中においてC線と交差するD点で示される圧力値)の間(図2中においてPで示される範囲内)に設定することが好ましい。
【0059】
このように、補正作業で採用する設定圧力値は、-ΔV制御で到達するAの領域に相当する圧力値よりも低いので、電池に対する負担は-ΔV制御の場合に比べて低い。
【0060】
次に、補正作業を行う任意のタイミングの決め方としては、演算したSOCと実際のSOCとのずれが無視できない程度に大きくなるようなタイミングとすることが好ましい。演算したSOCと実際のSOCとのずれの大きさは、基本的に、充放電の回数に比例する。このため、例えば、充電の回数が所定回数経過したことを補正が必要となる条件とすることが好ましい。具体的には、制御装置60は、カウンタ86で充電を行った回数をカウントし、得られた回数が予め設定した回数に到達した時点で補正が必要であると判断し、補正作業を開始する。具体的な回数については、電池の種類や使用環境によるので、予め試験を行い、データを収集して適切な回数を把握しておくことが好ましい。なお、一例として、定格容量が250Ahのニッケル水素二次電池と消費電力が9Wの制御装置との組み合わせにおいては、充電の回数が20回に達した時点で補正作業を行うことが好ましい。
【0061】
また、演算したSOCと実際のSOCとのずれの大きさは、時間の経過にも比例する。詳しくは、ニッケル水素二次電池18は、時間の経過とともに、自己放電が進み、実際の容量は減る。特に、負荷6の駆動を行わず、ニッケル水素二次電池18を放電させずに長期間放置した場合などは、自己放電は進む。このため、経過時間が長くなるほど、演算したSOCと実際のSOCとのずれは大きくなる。よって、電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、補正作業を行った時点からの経過時間が所定時間に達したことを補正が必要となる条件とすることが好ましい。具体的には、制御装置60は、最初にニッケル水素二次電池18を満充電とした時点からの経過時間、又は、補正作業を行った時点からの経過時間をタイマ88で計測し、得られた経過時間が予め設定した時間に達した時点で補正が必要であると判断し、補正作業を開始する。具体的な時間については、電池の種類や使用環境によるので、予め試験を行い、データを収集して適切な時間を把握しておくことが好ましい。なお、一例として、定格容量が250Ahのニッケル水素二次電池と停止時の消費電力が0.2Wの制御装置との組み合わせにおいては、最初に満充電とした時点からの経過時間、又は、補正作業を行った時点からの経過時間が1000時間に達した時点で次の補正作業を行うことが好ましい。
【0062】
ここで、充電回数が所定の回数に達していない場合でも、経過時間が所定時間に達した場合は、経過時間を優先させて補正作業を行うことが好ましい。
【0063】
[第2の実施形態]
本発明に係る二次電池の充電制御方法を用いた充電制御システム102を含む電源装置104について図3を参照しながら以下に説明する。なお、第2の実施形態に係る電源装置104を説明するに当たり、既に説明した第1の実施形態に係る電源装置4と同じ構成については、第1の実施形態に係る電源装置4と同じ参照符号を付してその詳細な説明は省略し、第1の実施形態に係る電源装置4と異なる部分について詳しく説明する。
【0064】
電源装置104においては、第1の実施形態の電源装置4におけるスイッチ44を省略し、正極側配線34が第1配線28に直接接続されている。更に、電源装置104においては、第1配線28の途中にON・OFFスイッチ106が配設されている。このON・OFFスイッチ106は、電池18と外部電源12とが接続された状態と、電池18と外部電源12とが切り離された状態との切り替えを行う。制御装置60は、リード線176を介してON・OFFスイッチ106の切替信号入力端子174と接続されている切替信号出力端子178を備えている。
【0065】
電源装置104を用いて充電を行う場合、まず、負荷6の第1ケーブルK1及び第2ケーブルK2を電源装置104の第1出力端子部8及び第2出力端子部10からそれぞれ外した状態とする。この状態のとき、制御装置60は、ON・OFFスイッチ106へニッケル水素二次電池18と外部電源12とを接続させるための指令の信号を送る。ON・OFFスイッチ106は、ニッケル水素二次電池18と外部電源12とを接続させる。その後、制御装置60は、外部電源12に向けて駆動開始の指令の信号を送る。これにより、外部電源12からニッケル水素二次電池18に充電電流が供給され充電が行われる。
【0066】
充電を終了させる場合、制御装置60は、外部電源12に対して充電を停止する指令の信号を送る。これにより、充電は終了する。そして、制御装置60は、ON・OFFスイッチ106へニッケル水素二次電池18と外部電源12とを切り離すための指令の信号を送る。これにより、ニッケル水素二次電池18は、外部電源12と切り離され、電源装置104は、放電可能状態となる。
【0067】
放電可能状態となった電源装置104には、第1出力端子部8及び第2出力端子部10に負荷6の第1ケーブルK1及び第2ケーブルK2がそれぞれ接続される。これにより、負荷6へ電力が供給される。
【0068】
上記したような充電作業において、第1の実施形態と同様なSOCに基づく充電制御が行われる。また、第1の実施形態と同様に任意のタイミングでSOCの補正作業が行われる。
【0069】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上記した実施形態では、圧力センサ24は、ニッケル水素二次電池18と別体としたが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、例えば、圧力センサ24をニッケル水素二次電池18に内蔵させても構わない。
また、本発明において二次電池としては、ニッケル水素二次電池のほか、ニッケルカドミウム二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であってもよい。
【0070】
<本発明の態様>
【0071】
本発明の第1の態様は、二次電池の満充電容量と、前記二次電池に供給される充電電流及び前記二次電池から放出される放電電流を測定し、これら充電電流及び放電電流の値から求めた前記二次電池に蓄えられている容量と、を基に前記二次電池の充電率を演算し、得られた演算充電率が予め規定した下限値に達した時点で充電を開始し、得られた演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で充電を停止することにより前記二次電池の充電を制御する、二次電池の充電制御方法において、任意のタイミングで、前記演算充電率の値を補正する補正作業を行う補正ステップを備えており、前記補正作業は、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で充電を停止する制御を一旦中断した状態で充電を継続し、その間、前記二次電池の内部の圧力の値である電池内圧値を測定し、前記電池内圧値が予め設定した設定圧力値に達した時点で前記充電を停止するとともに、前記設定圧力値に達した時点での前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する、二次電池の充電制御方法である。
【0072】
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記新規の充電率は、予め把握しておいた前記電池内圧値と前記二次電池の実際の充電率との対応関係から求めた、前記設定圧力値に対応する実際の充電率であり、前記設定圧力値は、前記二次電池の前記実際の充電率が100%の場合に対応する前記電池内圧値以上、且つ、予め把握しておいた前記二次電池を充電した際の前記二次電池の電圧と前記電池内圧値との関係から求めた、前記電圧の極大値に対応する前記電池内圧値以下の範囲の圧力値に設定されている、二次電池の充電制御方法である。
【0073】
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1又は2の態様において、前記任意のタイミングは、前記充電の回数が予め規定した回数に達した時点である、二次電池の充電制御方法である。
【0074】
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第1又は2の態様において、前記任意のタイミングは、前記二次電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、前記補正作業を行った時点からの経過時間が、予め規定した時間に達した時点である、二次電池の充電制御方法である。
【0075】
本発明の第5の態様は、二次電池に供給される充電電流及び前記二次電池から放出される放電電流を測定する電流測定部と、前記二次電池の内部の圧力を測定する圧力測定部と、前記二次電池の充放電を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記電流測定部により測定された前記充電電流及び前記放電電流の値から求めた前記二次電池に蓄えられている容量を求め、得られた容量と、予め求めておいた前記二次電池の満充電容量とを基に前記二次電池の充電率を演算して演算充電率を得る処理と、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で外部電源からの前記充電電流の供給を停止するとともに、前記二次電池を負荷に対し放電が可能な状態とする処理と、前記演算充電率が予め規定した下限値に達した時点で前記負荷から前記二次電池を切り離すとともに、前記二次電池を前記外部電源に接続して前記充電電流を供給し充電を開始する処理と、任意のタイミングで行う、前記演算充電率を補正する補正処理であって、前記演算充電率が予め規定した上限値に達した時点で前記外部電源からの前記充電電流の供給を停止することを一旦中断して、前記演算充電率が予め規定した上限値を超えても充電を継続し、前記圧力測定部で測定した前記二次電池の内部の圧力が予め設定した設定圧力値に達した時点で前記外部電源からの前記充電電流の供給を停止するとともに、前記設定圧力値に達した時点での前記演算充電率を新規の充電率に書き換えて補正する補正処理と、を実行する二次電池の充電制御システムである。
【0076】
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第5の態様において、前記新規の充電率は、予め把握しておいた前記電池内圧値と前記二次電池の実際の充電率との対応関係から求めた、前記設定圧力値に対応する実際の充電率であり、前記設定圧力値は、前記二次電池の前記実際の充電率が100%の場合に対応する前記電池内圧値以上、且つ、予め把握しておいた前記二次電池を充電した際の前記二次電池の電圧と前記電池内圧値との関係から求めた、前記電圧の極大値に対応する前記電池内圧値以下の範囲の圧力値に設定されている、二次電池の充電制御システムである。
【0077】
本発明の第7の態様は、前述した本発明の第5又は6の態様において、前記制御部は、前記充電の回数をカウントするカウンタを更に含んでおり、前記カウンタでカウントした回数が予め規定した回数に達したタイミングで前記補正処理を実行する、二次電池の充電制御システムである。
【0078】
本発明の第8の態様は、前述した本発明の第5又は6の態様において、前記制御部は、経過時間を計測できるタイマを更に含んでおり、前記タイマを用いて、前記二次電池を最初に満充電にした時点からの経過時間、又は、前記補正作業を行った時点からの経過時間を計測し、当該経過時間が予め規定した時間に達したタイミングで前記補正処理を実行する、二次電池の充電制御システムである。
【符号の説明】
【0079】
2 充電制御システム
4 電源装置
6 負荷
12 外部電源
18 ニッケル水素二次電池
24 圧力センサ
48 電流センサ
52 電圧センサ
60 制御装置
86 カウンタ
88 タイマ
図1
図2
図3