(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/43 20200101AFI20221005BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20221005BHJP
D06F 33/44 20200101ALI20221005BHJP
D06F 34/06 20200101ALI20221005BHJP
D06F 34/08 20200101ALI20221005BHJP
D06F 103/04 20200101ALN20221005BHJP
D06F 103/08 20200101ALN20221005BHJP
D06F 103/34 20200101ALN20221005BHJP
D06F 103/38 20200101ALN20221005BHJP
D06F 103/46 20200101ALN20221005BHJP
D06F 105/28 20200101ALN20221005BHJP
D06F 105/58 20200101ALN20221005BHJP
【FI】
D06F33/43
D06F25/00 Z
D06F33/44
D06F34/06
D06F34/08
D06F103:04
D06F103:08
D06F103:34
D06F103:38
D06F103:46
D06F105:28
D06F105:58
(21)【出願番号】P 2018183943
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓馬
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143900(JP,A)
【文献】特開2015-070945(JP,A)
【文献】特開2014-053802(JP,A)
【文献】特開平11-114295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00 - 34/34
D06F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を洗濯する洗濯槽と、
前記洗濯物の残留物の有無を検知する検知手段と、
前記
残留物があることを報知する報知手段と、
前記洗濯槽で前記洗濯物を洗濯した後、前記検知の結果に基づいて、前記
報知手段により前記洗濯槽
に前記残留物があることの報知を制御する制御手段と、
を有
し、
前記検知手段は、前記洗濯槽を回転させた状態で、前記残留物までの距離を測定し、測定した前記距離の変動幅が所定の閾値を超えた際に、前記残留物の存在を検知することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記検知手段は、前記洗濯槽外から前記洗濯槽の周壁の一部までの距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記検知手段は
更に、前記洗濯槽を駆動するモータの電流に基づき、前記残留物の有無を検知することを特徴とする請求項1
または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知の結果に基づいて、乾燥手段により前記洗濯槽の乾燥動作を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記検知手段は
更に、前記洗濯槽内の空気の湿度に基づき、前記残留物の有無を検知することを特徴とする請求項
4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記検知手段は
更に、前記乾燥手段により前記洗濯槽の乾燥動作を開始した後、前記洗濯槽内の空気の湿度に基づき、前記残留物の有無を検知する請求項
5記載の洗濯機。
【請求項7】
前記洗濯槽内の空気の湿度に基づき、前記残留物の
存在を検知した場合には、前記制御手段は、前記乾燥動作を停止させることを特徴とする請求項6記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、洗濯機内の洗濯槽にかびが発生することを防止すために、洗濯運転終了後、洗濯槽を閉じる蓋の開閉があったと判断された後、洗濯槽を乾燥させる洗濯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献の洗濯機は、蓋の開閉があったと判断された場合であっても、洗濯槽内にユーザが靴下等の小物の洗濯物を取り忘れる場合がある(以下、取り忘れた洗濯物を「残留物」という)。かかる場合、当該洗濯機はそのまま洗濯槽を乾燥させており、洗濯槽を十分乾燥させることができない場合がある。そこで、本発明による洗濯機は、洗濯物の残留物の有無を検知して、残留物がある場合には表示部などに洗濯物を取り忘れている旨を表示して報知し、ユーザに取り忘れている洗濯物を取り出させることができる。このことで、残留物がない状態で洗濯槽を乾燥させ、洗濯槽にかびが発生することを防止できる洗濯機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の洗濯機は、洗濯物を洗濯する洗濯槽と、洗濯物の残留物の有無を検知する検知手段と、洗濯槽を乾燥させる乾燥手段と、洗濯槽で洗濯物を洗濯した後、検知結果に基づいて、乾燥手段により洗濯槽の乾燥動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態にかかる洗濯機の外観の斜視図である。
【
図2】
図1の洗濯機を側方から見た概略側面断面図である。
【
図4】第1の実施形態における制御部の動作のフローの一例を示す図である。
【
図5】モータ電流センサの信号に基づき、残留物を検知する方法を説明する図である。
【
図6】測距センサの信号に基づき、残留物を検知する方法を説明する図である。
【
図7】湿度センサの信号に基づき、残留物を検知する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
図1は、第1の実施形態にかかる洗濯機外観の斜視図である。
図2は、
図1の洗濯機を側方から見た概略側面断面図である。
【0009】
まず、
図1に基づいて本実施形態にかかる洗濯機の外部構成について説明する。洗濯機100は、例えば、縦型洗濯機であり、外箱101、蓋102、操作パネル103、操作部104、表示部105、及び接続ジョイント106を含む。
【0010】
外箱101は、例えば、上下が開放された直方体形状に成形されている。蓋102は、外箱101の上部を覆う。操作パネル103は、例えば、蓋102の前方に設けられる。当該操作パネル103には操作部104、表示部105が設けられる。なお、操作部104、及び表示部105の詳細については後述する。接続ジョイント106は、例えば、洗濯機100の背面側上部に設けられ、市水を供給するパイプ(図示せず)が接続される。
【0011】
次に、
図2に基づいて本実施形態にかかる洗濯機の内部構成について説明する。洗濯機100の内部構成は、洗濯物投入口200、水槽201、洗濯槽202、シール部材203、バランサ204、パルセータ205、駆動ユニット206、モータ207、クラッチ・ブレーキ部208、給水弁209、及び乾燥部210を含む。
【0012】
洗濯物投入口200は、洗濯機100内に設けられ、蓋102によって開閉される。ユーザは蓋102を、例えば、蓋102の前方端を引き上げ、洗濯物投入口200を開くことにより、後述する洗濯槽202に洗濯物を投入し、洗濯槽202から洗濯物を取り出すことができる。水槽201は、上部が開口し、底を有した筒状に形成される。そして、外箱101の内部に設けられ、洗剤を溶かした水又はすすぎ用の水(以下これらを総称して「洗濯水」という)を溜める。
【0013】
洗濯槽202は、上部が開口し、底を有した筒状に形成される。そして、水槽201の内部に設けられ、脱水槽を兼ねている。水槽201及び洗濯槽202は、各々軸線を垂直にして水槽201を外側、洗濯槽202を内側とする形で同心的に配置される。シール部材203は、例えば、水槽201の外面上部と外箱101の内面コーナー部とを連結する形で配備され、水槽201の外に洗濯水などが漏出することを防ぐ。
【0014】
バランサ204は、例えば、環状形状を有し、洗濯槽202の上部開口部の縁に設けられる。洗濯物の脱水のため洗濯槽202が回転したときの振動を抑制する働きをする。パルセータ205は、例えば、洗濯槽202の底部に設けられ、パルセータ205が回転することにより、洗濯水を撹拌する。
【0015】
駆動ユニット206は、例えば、水槽201の下面に取り付けられる。駆動ユニット206は後述するモータ207及びクラッチ・ブレーキ部208を有している。モータ207は、例えば、後述するクラッチ・ブレーキ部208を介して洗濯槽202及びパルセータ205又はパルセータ205のみに択一的に連結される。モータ207は連結された洗濯槽202又はパルセータ205を回転させる。
【0016】
クラッチ・ブレーキ部208は、洗濯槽202及びパルセータ205又はパルセータ205のみを択一的にモータ207に連結する。さらにクラッチ・ブレーキ部208は、洗濯槽202の回転にブレーキを掛けるとともに、ブレーキを解除する。
【0017】
給水弁209は、洗濯機100の背面側上部に設けられ、一端は接続ジョイント106を介して市水を供給するパイプ(図示せず)に接続される。そして、給水弁209を開くことによって、給水弁209の他端から洗濯槽202に給水が行われる。給水弁209は、制御部300からの信号を受け取り、開閉される。なお、給水弁209は接続ジョイント106に組み込まれていても良い。
【0018】
乾燥部210は、洗濯槽202の乾燥を行う(以下、洗濯槽202を乾燥させる運転を「乾燥運転」という)。乾燥部は、例えば、ヒータや熱交換器、送風機(図示せず)を含み、洗濯機内の空気を加熱し循環させ、乾燥を行う。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ヒータ、送風機によらず、モータ207により洗濯槽202を回転させることによって乾燥させてもよい。なお
図1及び
図2は、一例にすぎない。
【0019】
図3は洗濯機100の制御ブロック図である。洗濯機100には各部を制御する制御部300が設けられる。制御部300は制御基板(図示せず)を有し、例えば、外箱101の背面上部に配される。制御部300にはモータ207、クラッチ・ブレーキ部208、給水弁209、乾燥部210、操作部104、表示部105、蓋開閉検知部301、モータ電流センサ302、測距センサ303、湿度センサ304及び記憶部305が接続される。
【0020】
制御部300は、例えばMCUであって記憶部305に格納されるプログラムに従って各種の情報処理を実行する。モータ207、クラッチ・ブレーキ部208、給水弁209及び乾燥部210は、すでに述べた通りである。モータ207、クラッチ・ブレーキ部208、給水弁209、及び乾燥部210は、駆動回路(図示せず)を介して、制御部300からの信号によって駆動される。
【0021】
操作部104は、例えば、電源キー、スタートキー、コース選択キー(図示せず)等各種操作ボタンを備えている。ユーザからの操作部104の入力により制御部300がプログラムの実行を行う。表示部105は、制御部300によって制御され、例えば、洗濯機100の操作画面や動作状態を表示する。
【0022】
蓋開閉検知部301は、蓋102の開閉状態を検知する。蓋開閉検知部301は、例えば、機械式スイッチであって、蓋102が開状態のときONとなり、閉状態のときOFFとなる。制御部300は、例えば、当該機械式スイッチの状態を読み取り、蓋102が開状態か、閉状態かを検知する。
【0023】
モータ電流センサ302は、モータ207を流れる電流(以下、モータ電流という)を検知するセンサである。制御部300は、モータ電流センサ302からの信号を受け取る。モータ電流を検知するセンサは種々の形式のセンサを用いることができる。例えば、電流トランスを用いるセンサ、モータ電流を駆動するトランジスタの駆動電圧等から間接的に求めるセンサでも良いが、これらに限定されるものではない。
【0024】
測距センサ303は、例えば、外箱101の背面上部の洗濯槽202を臨む位置に設け、測距センサ303から洗濯槽202内の残留物又は洗濯槽202が露出した部分までの距離を測定する。制御部300は、距離に応じた信号を出力する測距センサ303からの測定した距離を示す信号を受け取る。測距センサ303は、例えば、光を用いた光センサでも良いし、超音波を用いた超音波センサでもよい。
【0025】
湿度センサ304は、洗濯機内に設け、洗濯槽202内の空気の湿度を測定するセンサである。制御部300は、湿度に応じた信号を出力する湿度センサ304からの信号を受けとる。記憶部305は、例えば、フラッシュメモリやRAMであって、制御部300によって実行されるプログラムや、各種データ保持する。なお、
図3は、一例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図4は、本実施形態における制御部300の動作のフローの一例を示す図であり、洗濯機100が洗濯を行ったのち、乾燥運転を終了するまでのフローを示している。
図5(a)は、残留物が洗濯槽に残留する一例を示す図であり、
図5(b)は、モータ電流の経時的変化の一例を示す図である。
【0027】
図6(a)は、測距センサ303の位置の一例、及びセンサが照射した光が残留物に反射するときの光路の一例を示す図であり、
図6(b)は、測距センサ303から残留物までの距離の経時的変化の一例を示す図である。
図7(a)は、湿度センサ304の位置の一例を示す図、
図7(b)は、洗濯槽202の湿度の経時的変化の一例を示す図である。
図4乃至
図7に基づき本実施形態における制御部の動作を説明する。
【0028】
制御部300は、給水、洗濯、脱水等の工程を含む洗濯運転が終了したことを示す情報を取得する(S101)。例えば、給水、洗濯、脱水等の工程を含む洗濯運転のステップが終了した時点で、制御部300が、自己に通知することで取得する。
【0029】
S101で洗濯が終了した事を示す情報を取得したのち、制御部300は、蓋開閉検知部301の信号に基づいて、蓋102が開かれたか否かをまず判断する(S102)。具体的には、例えば、制御部300は、S101の後、次に蓋開閉検知部301から、蓋102が開かれた状態を示す信号を受け取った場合、蓋102が開かれたと判断し、S103に進む。一方、制御部300は、蓋102が開かれた状態を示す信号を受け取とらなかった場合、蓋102が開かれていないと判断し、S102に戻る。
【0030】
次に制御部300は、蓋開閉検知部301の信号に基づいて、蓋102が閉じられたか否かを判断する(S103)。具体的には、例えば、制御部300は、S102の次に蓋開閉検知部301から、蓋102が閉じられた状態を示す信号を受け取った場合、蓋102が閉じられたと判断しS104に進み、信号を受け取とらなかった場合、蓋102が閉じられていないと判断しS103に戻る。
【0031】
乾燥運転するには、洗濯槽202から洗濯物が取出され空になる必要がある。ユーザは洗濯物を取出すために、一度、蓋102を開き洗濯物を取り出したうえで、再び蓋102を閉じることから、制御部300は、S102、S103を行うことで、洗濯槽202が空になっていることを間接的に検知する。
【0032】
S103で蓋102が閉じられたと判断された場合には、制御部300は、まず、モータ207をスタートさせ、洗濯槽202及びパルセータ205を回転させる(S104)。S104で制御部300が洗濯槽202を回転させた後、制御部300は、次に、モータ電流センサ302からモータ電流を示す情報の取得を開始し、予め設定した期間のモータ電流を示す情報を取得する(S105)。モータ電流を示す情報は、例えば、モータ電流の電流値(以下、モータ電流値という)である。
【0033】
S105で制御部300が予め設定した期間のモータ電流を示す情報を取得後、制御部300は、予め設定した期間のモータ電流が予め設定した閾値以下か否かを判断する(S106)。残留物は、例えば、
図5(a)に示すように洗濯槽202の内壁に残置する。残留物が残置した洗濯槽202を回転させようとすると、より大きな力が必要となり、モータ電流は増加する。
【0034】
モータ電流の経時的変化の一例は
図5(b)である。
図5(b)のグラフの縦軸はモータ電流値、横軸は時間tを示す。
図5(b)の実線(1)は残留物がある場合のモータ電流値を示し、点線(2)は残留物がない場合のモータ電流値を示す。具体的には、例えば、制御部300は、取得した予め設定した期間のモータ電流値の最大値が予め決められた閾値より大きいと判断した場合、S116に進み、制御部300は、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示ように指示する(S116)。一方、制御部300が予め設定した期間のモータ電流値の最大値が予め決められた閾値以下と判断した場合、S107に進む。
【0035】
なお、上記説明では、洗濯槽202及びパルセータ205を回転させる例で説明したが、パルセータ205のみを回転させてもよい。残留物が洗濯槽202の内壁に残置した場合には、洗濯槽202及びパルセータ205を回転させたほうが、残留物による洗濯槽202の重心の偏りによるモータ電流の増加が顕著となるため好ましい。一方で、残留物が洗濯槽202の中央付近に残置した場合には、残留物による洗濯槽202の重心の偏りが少ない。この場合には、パルセータ205のみを回転させることでモータ207の負荷を下げてモータ電流を低下させると、残置物によるモータ電流の増加率が上がるため、残置物の検出精度を上げることができる。したがって、洗濯槽202及びパルセータ205の回転とパルセータ205のみの回転の両方を行うことが好ましいが、通常の洗濯運転は脱水工程で終了することが多く、脱水後の洗濯物は洗濯槽202の内壁に寄っていることが多いため、小さな残留物の場合、残留物が洗濯槽202の内壁に残置し、パルセータ205での検知に失敗する場合があるので、洗濯槽202及びパルセータ205を回転させる方を優先することが望ましい。
【0036】
制御部300が予め設定した期間のモータ電流の最大値が予め決められた閾値以下と判断した場合には、次に制御部300は、まず、測距センサ303からの信号を受け取る(S107)。制御部300は、測距センサ303からの信号に基づき、残留物があるか否かを判断する(S108)。具体的には、例えば、制御部300は、予め設定した期間、洗濯槽202を回転させ、測距センサ303が出力する距離を示す情報(以下、距離情報という。)を受け取る。
【0037】
洗濯槽202内に残留物がある場合には、
図6(a)に示すように、残留物がない場合に比べて測距センサ303から残留物までの距離は近くなる。そして、洗濯槽202内に残留物がある場合には、残留物までの距離を測定する際に、洗濯槽202が回転するので、測距センサ303から残留物までの距離は経時的に変動し、距離情報も経時的に変化する。
【0038】
一方、洗濯槽202内に残留物がない場合には、洗濯槽202が露出した部分までの距離はほぼ一定なので、距離情報もほぼ一定になる。距離情報の経時的変化の一例は
図6(b)である。
図6(b)のグラフの縦軸は距離情報、横軸は時間を示す。
図6(b)の実線(1)は残留物がある場合の距離情報を示し、点線(2)は残留物がない場合の距離情報を示す。
【0039】
制御部300は、予め設定した期間に受け取った距離情報の最小値と最大値の幅(以下、変動幅という。)が予め決めた閾値より大きい場合には、制御部300は残留物があると判断し、S116に進み、制御部300は、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示ように指示することでユーザに報知する。
【0040】
一方、変動幅が予め決めた閾値以下の場合には、制御部300は、残留物がないと判断して、S109に進み、制御部300は乾燥運転をスタートさせる。
【0041】
制御部300がモータ電流に基づいて残留物の有無を検知する場合、制御部300は残留物が軽すぎると残留物の検知に失敗する場合がある。測距センサ303から残留物までの距離の情報に基づくことによって、靴下やハンカチ等の軽い残留物であっても、残留物まで距離が変動するので制御部300は残留物を検知し得る。また、制御部300は、クラッチ・ブレーキ部208に指示することで洗濯槽202を回転させることにより、洗濯槽202の内部を、広範に残留物を検知し得る。そして、制御部300は変動幅から残留物の有無を判断することから洗濯槽202が振動した場合等でも安定的に残留物の有無を判断し得る。
【0042】
S108で測距センサ303の信号が示す情報が予め決めた閾値以下の場合には、制御部300は、残留物がないと判断して、次に、乾燥部210に乾燥運転の開始信号を送り、乾燥運転をスタートさせる(S109)。
【0043】
一方、S106又はS108で残留物があると制御部300が判断した場合には、制御部300は、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示ように指示する(S116)。具体的には、例えば、制御部300は、表示部105に洗濯槽内に残留物があると判断した事を示す情報、例えば「洗濯機内に洗濯物が残っているようです。洗濯機の中を確認してください。」と表示させるように表示部105へ指示をしても良い。
【0044】
例えば、本発明は制御部300が、音声によって残留物があること示す情報を出力するようにスピーカ等の音声提示部(図示せず)に指示をしても良い。制御部300は、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示等するように指示をした後、S102に戻る。なお、制御部300は、S112で残留物ありと判断し、S115で乾燥運転を停止した場合にも、S116の処理を実行し、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示ように指示する。
【0045】
S109で洗濯機の乾燥運転を開始した後、次に制御部300は、所定時間、例えば5分間、経過したか否か判断する(S110)。制御部300が所定時間経過していないと判断した場合は、制御部300は本S110の処理を繰り返す。一方、制御部300が所定時間経過したと判断した場合は、制御部300は、湿度センサ304から洗濯槽202の空気の湿度を示す情報を取得する(S111)。
【0046】
次に制御部300は、湿度センサ304からの情報に基づき、湿度センサ304からの情報が示す湿度が予め設定した閾値より小さいか否かを判断する(S112)。具体的には、乾燥運転が開始されると洗濯槽202の内部の湿度は時間の経過とともに低下する。
【0047】
湿度の低下の経時的変化の一例を
図7(b)に示す。
図7(b)のグラフの縦軸は湿度、横軸は時間tを示す。
図7(b)の実線(1)は残留物がある場合の洗濯槽202内の空気の湿度を示し、点線(2)は残留物がない場合の洗濯槽202内の空気の湿度を示す。
【0048】
洗濯槽202内に残留物を残したまま乾燥運転をした場合、残留物から蒸発した水分により、湿度の低下は残留物がない場合に比べ、残留物がある場合の方が緩やかになる。より具体的には、例えば、制御部300は、湿度が予め設定した閾値より大きい場合、残留物があると判断し、S115に進み、制御部300は乾燥運転を停止するように乾燥部210に指示をする。
【0049】
一方湿度が予め設定した閾値以下の場合、制御部300は、残留物がないと判断して乾燥運転を継続しS113に進む。湿度センサからの情報に基づいて、残留物の形態、重量、残留物が残置する位置によらず、制御部300は残留物を検知し得る。
【0050】
また、制御部300は、洗濯機100の乾燥運転を開始する時点の湿度を予め測定し、乾燥を開始し所定時間経過後の湿度との差(ΔRn、ΔRa)に基づいて、残留物の有無を判断してもよい。具体的には、例えば、制御部300は、乾燥を開始する時点の湿度と、所定時間経過後の湿度を取得し、乾燥を開始する時点の湿度と所定時間経過後の湿度との差を求める。
【0051】
そして、制御部300は、当該差が予め設定した値より小さい場合には、残留物があると判断してもよい。乾燥を開始する時点の湿度と所定時間経過後の湿度との差を用いることで、外気湿度、脱水工程後の洗濯物の吸湿状態、または洗濯運転終了からユーザが蓋102を開閉するまでの経過時間等に起因した残留物の有無の判断誤りを抑制し得る。
【0052】
制御部300が残留物なしと判断した場合には、制御部300は、乾燥運転を継続し、例えば、所定時間経過するのを待ち(S113)、または、湿度センサ304からの情報が示す湿度が予め設定した値より小さくなるのを待って、乾燥運転を終了する(S114)。一方、S112で制御部300が残留物ありと判断した場合には、制御部300は、乾燥運転を停止し(S115)、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示ように指示し(S116)、S102に戻る。なお、制御がS102に戻った際には、既に制御部300は、S106でモータ電流を判断し、S108で距離情報を判断しているので、S104乃至S108は省略してもよい。
【0053】
本実施形態によれば、洗濯槽に残留物がある場合でも、表示部などに洗濯物を取り忘れている旨を表示して報知し、ユーザに取り忘れている洗濯物を取り出させることができる。このことで、残留物がない状態で洗濯槽を乾燥させ、より効率的に洗濯槽にかびが発生することを防止できる洗濯機を実現することができる。なお、S112で、制御部300は、湿度センサ304の信号に基づき、残留物があると判断した場合に、表示部105に対し残留物があることを示す情報を表示ように指示することでユーザに報知するが、ユーザが洗濯槽の内部を確認したにもかかわらず、残留物がない場合がある。
【0054】
当該場合には、水漏れが起きている可能性があるので、制御部300は、例えば、ユーザに対し、水漏れが生じている可能性があることを示す情報「水漏れが生じている可能性があります。取扱説明書を確認又はお客様窓口に連絡してください。」と表示部105に対し表示ように指示してもよい。具体的には、例えば、連続してS106で2回以上、制御部300が、湿度センサ304の信号に基づき、残留物があると判断した場合に、制御部300は、表示部105に対し水漏れが生じている可能性があることを示す情報を表示ように指示することでユーザに報知する。なお、
図4は、一例にすぎず、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0055】
本発明は、種々の変形が可能である。例えば、上述の構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0056】
上記説明では、制御部300は、モータ電流センサ302、測距センサ303、湿度センサ304の信号に基づき、残留物の有無を判断していたが、制御部300は、少なくとも1つのセンサの情報に基づき、残留物の有無を判断してもよい。
【0057】
また、モータ電流センサ302によって残留物を検知するS106と、測距センサ303によって残留物を検知するS108は、逆に、または同時実行してもよい。さらに、洗濯槽202を乾燥させる例で説明したが、水槽201、洗濯槽202を含む洗濯機100の内部を乾燥させてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100……洗濯機、101……外箱、102……蓋、103……操作パネル、104……操作部、105……表示部、106……接続ジョイント、200……洗濯物投入口、201……水槽、202……洗濯槽、203……シール部材、204……バランサ、205……パルセータ、206……駆動ユニット、207……モータ、208……クラッチ・ブレーキ部、209……給水弁、210……乾燥部、300……制御部、301……蓋開閉検知部、302……モータ電流センサ、303……測距センサ、304……湿度センサ、305……記憶部。