(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】シール材吐出ノズルおよびシール材吐出装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20221005BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221005BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20221005BHJP
B05B 1/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B12/00 A
B05B1/00 Z
(21)【出願番号】P 2018192789
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 洋平
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-038556(JP,A)
【文献】特開2018-143951(JP,A)
【文献】特開昭56-115650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C5/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル本体と、
前記ノズル本体に設けられ、前記ノズル本体の中心軸に沿って延在する貫通孔と、
前記ノズル本体の端面に設けられる前記貫通孔の開口であって、前記中心軸と直交する第1方向の幅よりも、前記中心軸および前記第1方向と直交する第2方向の幅が小さい吐出口と、
前記吐出口に対し前記第1方向の一方側に形成された切り欠き部と、
前記第2方向において前記吐出口の両側に配され、互いの間隔が前記吐出口から離隔するほど大きくなるように前記中心軸に対して傾斜した一対のテーパ面を有するノズル位置決め部と、
を備えるシール材吐出ノズル。
【請求項2】
前記吐出口に対し前記一方側とは反対の他方側に形成された整形部を備える請求項1に記載のシール材吐出ノズル。
【請求項3】
前記第2方向において前記ノズル位置決め部の両側に配され、前記一対のテーパ面よりも前記中心軸に対する傾斜角度が小さい一対のテーパ面を有する余剰シール均し部を備える請求項
1または2に記載のシール材吐出ノズル。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載のシール材吐出ノズルと、
前記シール材吐出ノズルを着脱可能な保持装置と、
前記保持装置に接続された駆動装置と、
前記保持装置に取り付けられ、前記シール材吐出ノズルの係合溝と係合可能な係合ピンと、
を備えるシール材吐出装置。
【請求項5】
前記シール材吐出ノズルは、前記駆動装置の進行方向とは反対側に傾斜した状態で前記保持装置により保持される請求項
4に記載のシール材吐出装置。
【請求項6】
ノズル本体と、
前記ノズル本体に設けられ、前記ノズル本体の中心軸に沿って延在する貫通孔と、
前記ノズル本体の端面に設けられる前記貫通孔の開口であって、前記中心軸と直交する第1方向の幅よりも、前記中心軸および前記第1方向と直交する第2方向の幅が小さい吐出口と、
前記吐出口に対し前記第1方向の一方側に形成され、前記第2方向において中央部に近づくほど前記吐出口から離隔する距離が大きくなる形状を有する切り欠き部と、
前記吐出口に対し前記一方側とは反対の他方側に形成された整形部と、
を備えるシール材吐出ノズルと、
前記シール材吐出ノズルを着脱可能な保持装置と、
前記保持装置に接続された駆動装置と、
を備え、
前記シール材吐出ノズルは、前記駆動装置の進行方向とは反対側に傾斜した状態で前記保持装置により保持され、
前記切り欠き部は、前記吐出口に対し進行方向前方側に形成され、
前記整形部は、前記吐出口に対し進行方向後方側に形成される、
シール材吐出装置。
【請求項7】
前記保持装置に取り付けられ、前記シール材吐出ノズルの係合溝と係合可能な係合ピンをさらに備える請求項6に記載のシール材吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材吐出ノズルおよびシール材吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットアームを用いて、2つの部材の間に形成された角部にシール材を塗布するシール材吐出装置について開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、細いビードのシール材を塗布する際に、小径の円形吐出口のノズルが使用される。しかし、小径の円形吐出口のノズルは、管路抵抗が大きく、シール材の吐出量の制御が困難であった。そのため、シール材を塗布する際の作業性が低下していた。
【0005】
本発明は、シール材を塗布する際の作業性を向上させることが可能なシール材吐出ノズルおよびシール材吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシール材吐出ノズルは、ノズル本体と、ノズル本体に設けられ、ノズル本体の中心軸に沿って延在する貫通孔と、ノズル本体の端面に設けられる貫通孔の開口であって、中心軸と直交する第1方向の幅よりも、中心軸および第1方向と直交する第2方向の幅が小さい吐出口と、吐出口に対し第1方向の一方側に形成された切り欠き部と、第2方向において吐出口の両側に配され、互いの間隔が吐出口から離隔するほど大きくなるように中心軸に対して傾斜した一対のテーパ面を有するノズル位置決め部と、を備える。
【0007】
吐出口に対し一方側とは反対の他方側に形成された整形部をさらに備えてもよい。
【0009】
第2方向においてノズル位置決め部の両側に配され、一対のテーパ面よりも中心軸に対する傾斜角度が小さい一対のテーパ面を有する余剰シール均し部をさらに備えてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のシール材吐出装置は、上記シール材吐出ノズルと、シール材吐出ノズルを着脱可能な保持装置と、保持装置に接続された駆動装置と、保持装置に取り付けられ、シール材吐出ノズルの係合溝と係合可能な係合ピンと、を備える。
【0011】
シール材吐出ノズルは、駆動装置の進行方向とは反対側に傾斜した状態で保持装置により保持されてもよい。
上記課題を解決するために、本発明のシール材吐出装置は、ノズル本体と、ノズル本体に設けられ、ノズル本体の中心軸に沿って延在する貫通孔と、ノズル本体の端面に設けられる貫通孔の開口であって、中心軸と直交する第1方向の幅よりも、中心軸および第1方向と直交する第2方向の幅が小さい吐出口と、吐出口に対し第1方向の一方側に形成され、第2方向において中央部に近づくほど吐出口から離隔する距離が大きくなる形状を有する切り欠き部と、吐出口に対し一方側とは反対の他方側に形成された整形部と、を備えるシール材吐出ノズルと、シール材吐出ノズルを着脱可能な保持装置と、保持装置に接続された駆動装置と、を備え、シール材吐出ノズルは、駆動装置の進行方向とは反対側に傾斜した状態で保持装置により保持され、切り欠き部は、吐出口に対し進行方向前方側に形成され、整形部は、吐出口に対し進行方向後方側に形成される。
保持装置に取り付けられ、シール材吐出ノズルの係合溝と係合可能な係合ピンをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シール材を塗布する際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、シール材吐出装置の構成を説明する図である。
【
図2】
図2は、シールガンの構成を説明する図である。
【
図5】
図5は、ノズル本体が対象物にシール材を塗布している状態を示す図である。
【
図6】
図6は、ノズル本体を吐出口側から見た図である。
【
図7】
図7は、
図5に示すノズル本体を進行方向後方側から見た図である。
【
図9】
図9は、比較例としてのノズル本体が対象物にシール材を塗布する状態を示す図である。
【
図10】
図10は、比較例としてのノズル本体により対象物に形成されたシール材を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態のノズル本体により対象物に形成されたシール材を示す図である。
【
図12】
図12は、ノズル本体をシールガンに取り付ける状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、シール材吐出装置1の構成を説明する図である。なお、
図1中、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0016】
図1に示すように、シール材吐出装置1は、シールガン(保持装置)3、ロボットアーム(駆動装置)5および制御装置7を含んで構成される。シールガン3は、制御装置7の制御に基づいて、対象物Tにシール材を塗布する。なお、シールガン3の構成について、詳しくは後述する。
【0017】
ロボットアーム5は、複数の関節を有し、先端にシールガン3が接続される。ロボットアーム5は、関節にアクチュエータがそれぞれ設けられている。ロボットアーム5は、制御装置7の制御に基づいてアクチュエータを駆動することで、シールガン3を任意の位置および速度で移動させる。
【0018】
制御装置7は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなる。制御装置7は、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することで、移動制御部9および吐出制御部11として機能する。
【0019】
移動制御部9は、ロボットアーム5の各関節に設けられたアクチュエータの駆動制御を行う。これにより、ロボットアーム5は、シールガン3を任意の位置および速度で移動させることができる。
【0020】
吐出制御部11は、シールガン3から対象物Tに対してシール材を吐出させる際に、シール材の吐出量を制御する。
【0021】
図2は、シールガン3の構成を説明する図である。
図3は、シールガン3の部分断面図である。
図2および
図3に示すように、シールガン3は、支持板13、レール15、カートリッジ受け部17、カートリッジ19、ノズルチャック21、ノズルアダプタ23、ノズル(シール材吐出ノズル)25、アクチュエータ27、ロッド31、プッシャー33および押さえプレート35を含んで構成される。シールガン3は、カートリッジ19、ノズルアダプタ23およびノズル25を着脱可能に保持する。なお、以下では、プッシャー33が移動する方向を摺動方向として説明する。
【0022】
支持板13は、摺動方向に直交する方向に延在する板状に形成されている。支持板13の中央には、摺動方向に貫通する貫通孔13aが形成されている。支持板13は、ロボットアーム5(
図1参照)の先端に支持されている。つまり、シールガン3は、支持板13を介してロボットアーム5に取り付けられている。
【0023】
支持板13の下面13bには、レール15が2つ取り付けられている。2つのレール15は、支持板13において貫通孔13aを挟んで対称の位置に設けられ、摺動方向に延在している。
【0024】
2つのレール15は、支持板13とは反対側の端に、カートリッジ受け部17が取り付けられている。カートリッジ受け部17の中央には、摺動方向に貫通する貫通孔17aが形成されている。貫通孔17aには、カートリッジ19が支持板13側から挿入される。
【0025】
カートリッジ19は、円筒形状に形成されるとともに、先端部19aが半球状に形成されている。また、先端部19aの中央には、円筒形状に突出した突出部19bが形成されている。
【0026】
カートリッジ19の内部には、シール材Sが収容されている。また、カートリッジ19には、プランジャ19cが摺動方向に移動可能に設けられている。カートリッジ19は、プランジャ19cとともにシール材Sを密閉する。シール材Sは、例えば、異なる2液が混合することにより硬化する2液混合型のシール剤である。
【0027】
カートリッジ受け部17の貫通孔17aは、カートリッジ19の先端部19aの形状に合わせて半球状に窪んだカートリッジ受け溝17bが形成されている。また、カートリッジ受け溝17bの中央には、テーパ部17cが形成されている。
【0028】
カートリッジ受け部17の下面17dには、ノズルチャック21が固定されている。ノズルチャック21は、摺動方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。貫通孔21aの軸中心は、カートリッジ受け部17の貫通孔17aの軸中心と同軸上に位置している。ノズルチャック21の貫通孔21aには、ノズルアダプタ23が挿通されている。
【0029】
ノズルアダプタ23は、円筒形状に形成されている。ノズルアダプタ23におけるカートリッジ19側の一端部23aは、カートリッジ19の突出部19b内に挿入されている。また、ノズルアダプタ23は、摺動方向に貫通した貫通孔23bが形成されている。貫通孔23bは、カートリッジ19の内部空間と連通している。
【0030】
ノズルチャック21の貫通孔21aの内壁面には、複数のボール溝21bが形成されている。また、ノズルアダプタ23の外周面には、ノズルチャック21のボール溝21bと対向する位置にそれぞれボール溝23cが形成されている。ボール溝23cは、ボール溝21bよりも摺動方向に長く形成されている。ボール溝21bとボール溝23cとの間には、ボール23dが配置されている。ノズルアダプタ23は、ボール23dを介してノズルチャック21に、摺動方向に移動可能に支持されている。
【0031】
ノズルアダプタ23は、カートリッジ19とは反対側の端に、ノズル25が接続されている。ノズル25は、摺動方向に貫通した貫通孔25aが形成されており、全体として円筒形状に形成されている。貫通孔25aは、ノズルアダプタ23の貫通孔23bと連通している。ノズル25の形状について、詳しくは後述する。
【0032】
支持板13の上面13cには、アクチュエータ27が取り付けられている。アクチュエータ27は、支持板13の貫通孔13aに先端が挿入されている。アクチュエータ27の内部には、ロッド31が摺動方向に移動可能に収容されている。アクチュエータ27は、吐出制御部11の制御に基づいて駆動し、ロッド31を摺動方向に移動させる。
【0033】
ロッド31の先端には、プッシャー33が取り付けられている。プッシャー33は、カートリッジ19の内径よりも小さい直径であり、半球状に形成されている。プッシャー33は、ロッド31の移動に伴って、カートリッジ19のプランジャ19cを吐出方向に押圧する。
【0034】
また、プッシャー33の内部には、先端側(プランジャ19c側)に連通した空間が形成されている。プッシャー33は、内部に形成された空間が不図示の真空ポンプに接続されている。プッシャー33は、真空ポンプが駆動することにより、プランジャ19cを吸引可能である。
【0035】
2つのレール15は、押さえプレート35に挿通されている。押さえプレート35は、摺動方向に直交する方向に延在する板状に形成されている。押さえプレート35は、レール15が挿通される貫通孔35aが形成されており、レール15に沿って移動可能である。また、押さえプレート35は、プッシャー33の外径よりも大きく、かつ、カートリッジ19の外径よりも小さい直径を有する貫通孔35bが摺動方向に沿って形成されている。
【0036】
押さえプレート35は、不図示のアクチュエータによって移動制御されており、摺動方向に移動することで、カートリッジ19をカートリッジ受け部17とともに保持する。
【0037】
このような構成でなるシールガン3は、吐出制御部11の制御に基づいてプッシャー33がノズル25側(図中、下方向)に移動されると、カートリッジ19の内部に収容されたシール材Sがプランジャ19cを介して押圧される。そうすると、シール材Sは、プッシャー33による押圧力によって、貫通孔23bおよび貫通孔25aを通って、ノズル25のノズルアダプタ23とは反対側の先端部25bから吐出される。
【0038】
また、シールガン3には、計測器支持部37、計測器39およびノズル支持部41が設けられている。計測器支持部37は、カートリッジ受け部17のノズル25側に取り付けられている。計測器支持部37のカートリッジ受け部17とは反対側の先端には、計測器39が取り付けられている。
【0039】
計測器39は、レーザーを発射するとともに、発射したレーザーを受光することで、レーザーが反射した位置までの距離が計測可能な測距センサである。計測器39は、ノズル25の先端部25b、より詳しくは、ノズル25から吐出されたシール材Sに向けてレーザーを照射する。シールガン3では、ノズル25から吐出されたシール材Sまでの距離を計測することにより、シール材Sの吐出量を計測可能である。
【0040】
ノズル支持部41は、一端が計測器支持部37に取り付けられているとともに、他端がノズル25に係止されている。これにより、ノズル支持部41は、ノズル25の移動を抑制する。以下、ノズル25の具体的な構成について説明する。
【0041】
図4は、ノズル25の構成を説明する図である。
図4に示すように、ノズル25は、ノズル本体100を備える。ノズル本体100は、略円筒形状である。
図4において、両矢印Wは、ノズル本体100の幅方向を示す。矢印Uは、幅方向Wに直交し、ノズル本体100の上方向(高さ方向)を示す。矢印Lは、幅方向Wに直交し、ノズル本体100の下方向(高さ方向)を示す。
【0042】
ノズル本体100の内部には、貫通孔25aが形成されている。貫通孔25aは、ノズル本体100の中心軸方向(長手方向)に延在する。貫通孔25aは、ノズル本体100を貫通する。貫通孔25aは、ノズル本体100の内面102を形成する。貫通孔25aの一端には導入口104が形成され、他端には吐出口106が形成されている。
【0043】
導入口104は、ノズルアダプタ23の貫通孔23b(
図3参照)に接続される。導入口104には、ノズルアダプタ23を介して、カートリッジ19(
図3参照)から供給されたシール材Sが導入される。貫通孔25aは、導入口104から導入されたシール材Sを流通させる。吐出口106は、貫通孔25aを流通したシール材Sをノズル本体100の外部に吐出する。吐出口106は、略楕円形状である。
【0044】
ノズル本体100は、ノズル位置決め部108と、切り欠き溝(切り欠き部)110と、整形部112と、余剰シール均し部114と、係合溝(係合部)116と、一対のテーパ面118とを備える。ノズル位置決め部108と、切り欠き溝110と、整形部112と、余剰シール均し部114と、一対のテーパ面118は、ノズル本体100の先端部25b(吐出口106側の端部)に形成される。係合溝116は、ノズル本体100の側面(外周面)に形成される。係合溝116は、ノズル本体100の長手方向に延在する。ノズル位置決め部108、切り欠き溝110、整形部112、余剰シール均し部114、および、係合溝116について、詳しくは後述する。
【0045】
図5は、ノズル本体100が対象物Tにシール材Sを塗布している状態を示す図である。
図5において、矢印Fは、ノズル本体100の進行方向を示す。
図5に示すように、対象物Tは、第1被塗布部材202と、第2被塗布部材204とを備える。第1被塗布部材202は、略平板形状である。第2被塗布部材204は、略L字形状である。
【0046】
第2被塗布部材204は、平行部204aと、垂直部204bとを備える。平行部204aは、第1被塗布部材202と略平行に配され、第1被塗布部材202に接続(連結)される。垂直部204bは、第1被塗布部材202と略垂直に配され、第1被塗布部材202と略垂直な方向に立設する。
【0047】
ノズル本体100は、第1被塗布部材202と第2被塗布部材204との間に形成される角部にシール材Sを塗布する。このとき、ノズル本体100のノズル位置決め部108は、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204に当接する。ノズル位置決め部108は、略平面形状である。ノズル位置決め部108は、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204に当接することで、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204に対し、ノズル本体100を位置決めする。
【0048】
ノズル位置決め部108は、第1当接面108aと、第2当接面108bとを備える。第1当接面108aは、第1被塗布部材202の表面と当接する。第2当接面108bは、第2被塗布部材204の垂直部204bの表面と当接する。第1当接面108aは、第2当接面108bと略直交する面である。第1当接面108aが第1被塗布部材202の表面に当接し、第2当接面108bが第2被塗布部材204の垂直部204bの表面に当接することで、ノズル本体100は、対象物Tに対し位置決めされる。
【0049】
このとき、ノズル本体100は、対象物Tに対し進行方向F後方側に略45度傾斜している。具体的に、ノズル本体100は、第1被塗布部材202に対し進行方向F後方側に略45度傾斜している。また、ノズル本体100は、第2被塗布部材204の垂直部204bに対し進行方向F後方側に略45度傾斜している。本実施形態では、ノズル本体100は、進行方向Fに対して反対側(進行方向F後方側)に略45度傾斜した状態でシールガン3(
図1参照)により保持されている。
【0050】
ここで、ノズル本体100が第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の垂直部204bに対し垂直に配される場合、対象物Tにシール材Sを塗布する際には、ノズル本体100に対して、進行方向F前方側あるいは進行方向F後方側に傾倒させる力が作用する。その結果、ノズル本体100は、対象物Tに安定してシール材Sを塗布することが困難になる。
【0051】
そこで、ノズル位置決め部108は、ノズル本体100が対象物Tに対し進行方向F後方側に略45度傾斜して配置されるように、ノズル本体100を位置決めする。具体的に、第1当接面108aは、ノズル本体100が進行方向F後方側に略45度傾斜した際に、第1被塗布部材202の表面と当接する。また、第2当接面108bは、ノズル本体100が進行方向F後方側に略45度傾斜した際に、第2被塗布部材204の垂直部204bの表面と当接する。これにより、ノズル本体100は、対象物Tに対して安定してシール材Sを塗布することができる。
【0052】
ノズル本体100は、ノズル位置決め部108が第1被塗布部材202および第2被塗布部材204と当接した状態で、ロボットアーム5(
図1参照)により進行方向Fに沿って移動される。ノズル本体100は、進行方向Fに沿って移動しながら、吐出口106からシール材Sを吐出する。
【0053】
図6は、ノズル本体100を吐出口106側から見た図である。
図6に示すように、貫通孔25aの吐出口106は、ノズル本体100の進行方向Fに延在する略楕円形状に形成される。貫通孔25aの内面102は、上面102aと、一対の側面102bと、下面102cとを備える。上面102aおよび下面102cは、貫通孔25aの吐出口106側に形成され、ノズル本体100の中心軸(長手方向)に沿って延在する略円弧形状である。一対の側面102bは、貫通孔25aの吐出口106側に形成され、ノズル本体100の中心軸(長手方向)に沿って延在する略平面形状である。上面102aは、貫通孔25aの上方向U側に形成される。一対の側面102bは、貫通孔25aの幅方向W側に形成される。下面102cは、貫通孔25aの下方向L側に形成される。
図6に示すように、ノズル本体100の端面に設けられる貫通孔25aの開口である吐出口106は、上方向U(進行方向F)あるいは下方向Lの幅よりも、幅方向Wの幅が小さい。換言すれば、貫通孔25aの吐出口106は、ノズル本体100の中心軸と直交する第1方向(上方向Uあるいは下方向L)の幅よりも、第1方向と直交する第2方向(幅方向W)の幅が小さい。
【0054】
ノズル本体100の切り欠き溝110は、
図4および
図6を参照して分かるように、貫通孔25aの下面102c(吐出口106)に対しノズル本体100の進行方向F前方側(
図6中、上方向U側)に形成される。切り欠き溝110は、略U字形状である。切り欠き溝110は、幅方向Wの中心よりも外側が先端側にある。切り欠き溝110は、貫通孔25aの内面102(吐出口106)と隣接し、貫通孔25aと連通する。切り欠き溝110は、貫通孔25aの一部を外部に露出させる。
【0055】
切り欠き溝110は、略U字形状の傾斜面110aを有する。傾斜面110aは、ノズル本体100の長手方向と直交する面に対し、吐出口106側から導入口104側に傾斜している。傾斜面110aは、ノズル本体100が対象物Tに対し位置決めされたとき、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の垂直部204bの表面に対し、略垂直な面を形成する。また、切り欠き溝110の形状は、幅方向Wにおいて中央部(中心軸)に近づくほど吐出口106から離隔する距離が大きくなる。
【0056】
図5に戻り、貫通孔25aを流通するシール材Sは、吐出口106から吐出される。また、シール材Sは、貫通孔25aから切り欠き溝110に流入する。切り欠き溝110に流入したシール材Sは、切り欠き溝110の形状(すなわち、略U字形状)に沿って堆積する。
【0057】
このとき、ノズル本体100が進行方向Fに移動すると、吐出口106から吐出され、対象物Tに塗布されたシール材Sは、ノズル本体100の進行方向F前方側とは反対の進行方向F後方側に相対移動する。略U字形状に堆積したシール材Sは、進行方向F後方側に相対移動するシール材Sの流れに沿って移動し、
図5中、曲線矢印で示すように、円弧状に回転移動する。略U字形状に堆積したシール材Sが回転移動することで、シール材Sは、
図5に示すように、略双円錐形状(略菱形形状)に形成される。第1被塗布部材202と第2被塗布部材204の間の角部は、略双円錐形状に形成されたシール材Sにより充填される。
【0058】
再び
図6に戻り、ノズル位置決め部108は、貫通孔25aの下面102c(吐出口106)に対し、幅方向Wの両側(外側)に形成される。具体的に、貫通孔25aの下面102c(吐出口106)の幅方向Wの両側には、第1当接面108aおよび第2当接面108bが形成される。第1当接面108aおよび第2当接面108bは、ノズル本体100の中心軸方向において、互いの間隔が吐出口106から離隔するほど大きくなるように、ノズル本体100の中心軸に対し傾斜した一対のテーパ面である。
【0059】
ノズル本体100の整形部112は、第1当接面108aおよび第2当接面108bの間に形成される。整形部112は、略平面形状である。整形部112は、貫通孔25aの内面102(吐出口106)と隣接する。整形部112は、貫通孔25aの下面102c(吐出口106)に対しノズル本体100の進行方向F後方側(
図6中、下方向L側)に形成される。換言すれば、ノズル本体100の切り欠き溝110は、貫通孔25aの下面102cに対し一方側に形成され、整形部112は、貫通孔25aの下面102cに対し一方側とは反対の他方側に形成される。整形部112の幅は、幅方向Wにおいて、吐出口106の幅と大凡等しい。整形部112は、吐出口106から吐出されたシール材Sを整形する。
【0060】
ノズル本体100の余剰シール均し部114は、ノズル位置決め部108に対し、ノズル本体100の幅方向Wの両側(外側)に形成される。余剰シール均し部114は、略平面形状である。なお、余剰シール均し部114について、詳しくは後述する。
【0061】
図7は、
図5に示すノズル本体100を進行方向F後方側から見た図である。
図7に示すように、ノズル本体100は、整形部112と、第1被塗布部材202と、第2被塗布部材204とにより、目標となるシール断面形状(本実施形態では、略三角形状)を形成する。
【0062】
図8は、
図7に示すVIII-VIII断面図である。
図8に示すように、ノズル本体100の内部には、貫通孔25aが形成されている。貫通孔25aは、第1円形路25aaと、第2円形路25abと、楕円路25acとを備える。第1円形路25aaは、流路断面形状が略円形であり、ノズル本体100の長手方向に延在する。第1円形路25aaは、一端がノズル本体100の導入口104に接続され、他端が第2円形路25abに接続される。
【0063】
第2円形路25abは、流路断面形状が略円形であり、ノズル本体100の長手方向に延在する。第2円形路25abは、一端が第1円形路25aaに接続され、他端が楕円路25acに接続される。第2円形路25abの内径は、第1円形路25aaの内径より小さい。第1円形路25aaおよび第2円形路25abは、流路断面形状が略円形であるため、シール材Sが流通する際の管路抵抗を小さくすることができる。
【0064】
楕円路25acは、流路断面形状が略楕円形であり、ノズル本体100の長手方向に延在する。楕円路25acは、一端が第2円形路25abに接続され、他端がノズル本体100の吐出口106に接続される。
【0065】
本実施形態では、ノズル本体100は、対象物Tに細いビードのシール材Sを塗布する。ノズル本体100の吐出口106が小径の円形状である場合、小径の円形吐出口を形成する円形路の管路抵抗が大きく、シール材Sの吐出量の制御が困難になる。その結果、シール材Sを塗布する際の作業性が悪化する。
【0066】
そこで、本実施形態のノズル本体100は、楕円路25acを形成し、吐出口106を略楕円形状にしている。楕円路25acは、短手方向の幅が等しい円形路に対し、流路断面積を拡大することができる。これにより、楕円路25acは、短手方向の幅が等しい円形路よりも、シール材Sが流通する際の管路抵抗を小さくすることができる。
【0067】
また、楕円路25acのうち吐出口106側の端部は、切り欠き溝110によりノズル本体100の進行方向F前方側の外部に露出している。楕円路25acを流通するシール材Sは、一部が吐出口106から吐出され、他の一部が切り欠き溝110に流入する。切り欠き溝110に流入したシール材Sは、ノズル本体100の進行方向F前方側への移動および切り欠き溝110の形状により、略双円錐形状(略菱形形状)に形成される。これにより、ノズル本体100の進行方向F前方側には、対象物T上にシール材Sの双円錐形状部Saが形成される。双円錐形状部Saの外周面には、
図5に示すように、内角が大凡直角となる突起Saaが形成される。突起Saaの内角は、第1被塗布部材202と第2被塗布部材204の間の角部の角度と大凡等しい。
【0068】
双円錐形状部Saは、ノズル本体100が進行方向F前方側へ移動すると、
図8中、曲線矢印方向に回転移動し、突起Saaが第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の間の角部と密着する。つまり、双円錐形状部Saは、ノズル本体100が進行方向F前方側へ移動すると、第1被塗布部材202と第2被塗布部材204(
図7参照)の間の角部を封止する。
【0069】
ここで、対象物T上に円形断面あるいは矩形断面の断面形状のシール材Sが形成された(つまり、双円錐形状部Saが形成されない)場合、シール材Sは、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の間の角部と密着し難くなる。つまり、シール材Sは、双円錐形状部Saが形成されない場合、第1被塗布部材202と第2被塗布部材204の間の角部を封止し難くなる。その結果、対象物Tに塗布したシール材Sに空気(気泡)が混入し易くなる。
【0070】
一方、対象物T上に双円錐形状部Saが形成された場合、シール材Sは、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の角部と密着し易くなる。つまり、シール材Sは、双円錐形状部Saが形成された場合、第1被塗布部材202と第2被塗布部材204の間の角部を封止し易くなる。その結果、対象物Tに塗布したシール材Sに気泡が混入し難くなる。
【0071】
第1被塗布部材202と第2被塗布部材204の間の角部を封止したシール材Sは、ノズル本体100の進行方向Fへの移動に伴い、ノズル本体100の進行方向F後方側に相対移動する。吐出口106の進行方向F後方側には、整形部112が配されている。整形部112は、ノズル本体100の長手方向に対し略45度に傾斜して配される。
【0072】
図7に戻り、吐出口106より進行方向F後方側に相対移動したシール材Sは、整形部112により第1被塗布部材202および第2被塗布部材204側に押し付けられる。整形部112と、第1被塗布部材202と、第2被塗布部材204との間には、略三角形状の空間が形成される。
【0073】
整形部112は、シール材Sを、整形部112と第1被塗布部材202と第2被塗布部材204とで囲繞された空間内に収容するように押し潰す。これにより、整形部112は、シール材Sを、断面形状が略三角形状の帯状に整形する。
【0074】
このとき、シール材Sは、整形部112に押し潰されることで、一部が第1当接面108aおよび第2当接面108bより外径側にはみ出ることがある。そのため、ノズル本体100は、整形部112より外径側に余剰シール均し部114を備えている。余剰シール均し部114は、第1均し面114aと、第2均し面114bとを備える。第1均し面114aおよび第2均し面114bは、ノズル本体100の中心軸方向において、互いの間隔が吐出口106から離隔するほど大きくなるように、ノズル本体100の中心軸に対し傾斜した一対のテーパ面である。第1均し面114aおよび第2均し面114bは、第1当接面108aおよび第2当接面108bよりもノズル本体100の中心軸に対する傾斜角度が小さい。
【0075】
第1均し面114aは、第1当接面108aより外径側に配され、第1当接面108aと隣接する。第1均し面114aは、第1被塗布部材202と非接触である。つまり、第1均し面114aは、第1被塗布部材202から離隔して配される。第1均し面114aと第1被塗布部材202との間の角度は、第1当接面108aが第1被塗布部材202と当接している状態で、例えば、約5度である。第1均し面114aは、第1当接面108aより外径側にはみ出したシール材Sを第1被塗布部材202に押し付け、シール材Sを第1被塗布部材202に対して滑らかに密着させる。
【0076】
第2均し面114bは、第2当接面108bより外径側に配され、第2当接面108bと隣接する。第2均し面114bは、第2被塗布部材204と非接触である。つまり、第2均し面114bは、第2被塗布部材204から離隔して配される。第2均し面114bと第2被塗布部材204との間の角度は、第2当接面108bが第2被塗布部材204と当接している状態で、例えば、約5度である。第2均し面114bは、第2当接面108bより外径側にはみ出したシール材Sを第2被塗布部材204に押し付け、シール材Sを第2被塗布部材204に対して滑らかに密着させる。
【0077】
図9は、比較例としてのノズル本体100Aが対象物Tにシール材Sを塗布する状態を示す図である。
図9に示すように、比較例としてのノズル本体100Aには、
図7に示す余剰シール均し部114が形成されていない。
図9では、本実施形態のノズル本体100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図9に示すように、シール材Sの一部が第1当接面108aおよび第2当接面108bより外径側にはみ出ると、第1当接面108aおよび第2当接面108bの外径側には、余剰シール部Sbが形成される。
【0079】
図10は、比較例としてのノズル本体100Aにより対象物Tに形成されたシール材Sを示す図である。
図10に示すように、余剰シール部Sbは、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の表面から離隔する方向に突出する突起を形成する。したがって、比較例としてのノズル本体100Aにより形成されたシール材Sは、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204から離隔する方向に突出する余剰シール部Sb(突起)により剥離するおそれがある。
【0080】
図11は、本実施形態のノズル本体100により対象物Tに形成されたシール材Sを示す図である。
図11に示すように、第1当接面108aおよび第2当接面108bより外径側にはみ出たシール材Sは、第1均し面114aおよび第2均し面114bにより押し潰され、余剰シール部Scが形成される。
【0081】
余剰シール部Scは、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の表面から離隔する方向に突出する突起を形成する。しかし、余剰シール部Scは、第1均し面114aおよび第2均し面114bにより第1被塗布部材202および第2被塗布部材204側に押し潰されている。そのため、余剰シール部Scは、
図10に示す比較例における余剰シール部Sbよりも、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204から離隔する方向の高さが低くなっている。したがって、本実施形態のノズル本体100により塗布されたシール材Sは、余剰シール部Scに起因する第1被塗布部材202および第2被塗布部材204からの剥離を低減することができる。
【0082】
なお、
図4に示すように、ノズル本体100には、一対のテーパ面118が形成される。一対のテーパ面118は、切り欠き溝110より導入口104側に配される。一対のテーパ面118は、吐出口106側の端部が切り欠き溝110に接続され、幅方向Wの両側の端部が余剰シール均し部114に接続される。ノズル本体100の幅方向Wにおいて、一対のテーパ面118の間隔は、吐出口106側から導入口104側に向かって大きくなる。
【0083】
ノズル本体100が進行方向F前方側に移動すると、シール材Sの一部は、切り欠き溝110から一対のテーパ面118に導入される。一対のテーパ面118は、切り欠き溝110から導入されたシール材Sを余剰シール均し部114に導く。ここで、一対のテーパ面118が形成されていない場合、ノズル本体100の先端部25bにシール材Sが堆積し易くなる。ノズル本体100の先端部25bにシール材Sが堆積すると、対象物Tにシール材Sを塗布した後で、堆積したシール材Sを除去する作業が必要になる。ノズル本体100は、一対のテーパ面118を備えることで、ノズル本体100の先端部25bに堆積したシール材Sの除去作業を低減させることができる。
【0084】
図12は、ノズル本体100をシールガン3に取り付ける状態を示す図である。
図12に示すように、シールガン3は、計測器支持部37およびノズル支持部41を備えている。また、ノズル支持部41は、位置決めピン(係合ピン)41aを備える。位置決めピン41aは、略円柱形状であり、ノズル本体100の係合溝116と係合可能である。位置決めピン41aは、ノズル本体100がシールガン3に取り付けられる際に、ノズル本体100の係合溝116と係合する。
【0085】
図13は、
図12に示すXIII矢視図である。
図13では、計測器支持部37およびノズル支持部41の図示を省略している。
図13に示すように、ノズル本体100の幅方向Wにおいて、位置決めピン41aの幅(径)は、係合溝116の幅と大凡等しい。そのため、ノズル本体100は、位置決めピン41aと係合溝116とが係合したとき、幅方向Wへの移動が規制される。ノズル本体100は、位置決めピン41aと係合溝116とが係合したとき、係合溝116の延在方向(すなわち、ノズル本体100の長手方向)にのみ移動可能となる。
【0086】
ノズル本体100は、ノズル本体100の長手方向に移動し、シールガン3に接続されると、ノズル本体100の長手方向への移動が規制される。また、ノズル本体100は、位置決めピン41aにより、ノズル本体100の周方向(中心軸周り)への移動が規制される。このように、位置決めピン41aは、ノズル本体100がシールガン3に接続された後、中心軸周りへの回転を規制することができる。
【0087】
本実施形態によれば、ノズル本体100は、楕円路25ac(略楕円形状の吐出口106)と、切り欠き溝110とを備える。楕円路25acは、短手方向の幅が等しい円形路に対し、流路断面積を拡大することができる。これにより、楕円路25acは、短手方向の幅が等しい円形路よりも、シール材Sが流通する際の管路抵抗を小さくすることができる。管路抵抗が小さくなることで、シール材Sの吐出量の制御が容易になる。その結果、シール材Sを塗布する際の作業性を向上させることができる。
【0088】
切り欠き溝110は、ノズル本体100がシール材Sを吐出しながら進行方向F前方側に移動した際に、双円錐形状部Saを形成する。双円錐形状部Saは、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の間の角部に密着する。つまり、本実施形態のノズル本体100は、第1被塗布部材202および第2被塗布部材204の角部に塗布するシール材Sの密着性を高めることができる。これにより、対象物Tに形成されたシール材Sに気泡が混入し難くなる。
【0089】
また、整形部112は、切り欠き溝110により形成された双円錐形状部Saを押し潰す。整形部112が双円錐形状部Saを押し潰すことで、シール材Sを目標とするシール断面形状に整形することができる。つまり、ノズル本体100は、整形部112を備えることにより、ヘラ部材を用いて対象物Tに塗布されたシール材Sを整形する整形作業が不要になる。このように、本実施形態のノズル本体100は、対象物Tにシール材Sを塗布する際の作業性を向上させることができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
上記実施形態では、切り欠き溝110が略U字形状である例について説明した。しかし、これに限定されず、切り欠き溝110は、例えば、略V字形状など他の形状であってもよい。
【0092】
上記実施形態では、ノズル本体100が整形部112を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、ノズル本体100は、整形部112を備えていなくてもよい。
【0093】
上記実施形態では、ノズル本体100がノズル位置決め部108を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、ノズル本体100は、ノズル位置決め部108を備えていなくてもよい。
【0094】
上記実施形態では、ノズル本体100が余剰シール均し部114を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、ノズル本体100は、余剰シール均し部114を備えていなくてもよい。
【0095】
上記実施形態では、ノズル本体100が位置決めピン41aと係合する係合溝116を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、ノズル本体100は、係合溝116を備えていなくてもよい。例えば、ノズル本体100が位置決めピン41aを備え、ノズル支持部41が係合溝116を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、シール材吐出ノズルおよびシール材吐出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0097】
1 シール材吐出装置
3 シールガン(保持装置)
5 ロボットアーム(駆動装置)
25 ノズル(シール材吐出ノズル)
41a 位置決めピン(係合ピン)
100 ノズル本体
106 吐出口
108 ノズル位置決め部
110 切り欠き溝(切り欠き部)
112 整形部
114 余剰シール均し部
116 係合溝
202 第1被塗布部材
204 第2被塗布部材
T 対象物
S シール材