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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】スイッチング電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018230997
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020058211
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2018164148
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018179904
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 省治
(72)【発明者】
【氏名】永里 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】立石 哲夫
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-72992(JP,A)
【文献】特開2007-129849(JP,A)
【文献】特開2007-20352(JP,A)
【文献】特開2010-154706(JP,A)
【文献】特開2011-4550(JP,A)
【文献】特開2008-141845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/303800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力トランジスタをオン/オフしてキャパシタを充電することにより入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力回路と、
1回のスイッチングによる前記キャパシタへの充電電荷が下限値に制限されて前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が所定の基準電圧から持ち上がったときに前記スイッチング出力回路の駆動を停止する制御回路と、
前記スイッチング出力回路の駆動期間に前記下限値を可変制御する下限値設定回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記下限値設定回路は、スイッチング回数が増えるほど前記下限値を引き上げることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記下限値設定回路は、負荷が重いほど前記下限値を引き上げることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記下限値設定回路は、前記スイッチング出力回路に流れるインダクタ電流の検出値と所定の基準電流値とを比較して下限値設定信号を生成することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【請求項5】
前記下限値設定回路は、前記基準電流値を変化させて前記下限値設定信号のパルス生成タイミングを可変制御することを特徴とする請求項4に記載のスイッチング電源。
【請求項6】
前記出力電圧又は前記帰還電圧と前記基準電圧の誤差信号を生成するエラーアンプと、
所定のスイッチング周波数でパルス駆動されるオン信号を生成するオシレータと、
前記誤差信号とランプ信号を比較してオフ信号を生成するPWMコンパレータと、
をさらに有し、
前記制御回路は、前記オン信号のパルス生成タイミングで前記出力トランジスタをオンし、前記オフ信号のパルス生成タイミングと前記下限値設定信号のパルス生成タイミングのいずれか遅い方で前記出力トランジスタをオフすることを特徴とすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のスイッチング電源。
【請求項7】
前記制御回路は、前記出力電圧または前記帰還電圧が前記基準電圧から持ち上がっているときに前記スイッチング出力回路の駆動と停止を繰り返す間欠駆動モードとなることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【請求項8】
前記出力電圧または前記帰還電圧と所定の上側閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと、
前記出力電圧または前記帰還電圧と前記上側閾値電圧よりも低い所定の下側閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと、
をさらに有し、
前記制御回路は、前記第1比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を停止する一方、前記第2比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を再開することを特徴とする請求項7に記載のスイッチング電源。
【請求項9】
前記上側閾値電圧及び前記下側閾値電圧は、それぞれ、前記基準電圧に1よりも大きい係数を乗じた電圧値であることを特徴とする請求項8に記載のスイッチング電源。
【請求項10】
前記スイッチング出力回路は、降圧型、昇圧型、昇降圧型、または、反転型であることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【請求項11】
出力トランジスタをオン/オフしてキャパシタを充電することにより入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力回路と、
1回のスイッチングにより前記キャパシタに供給される充電電荷の下限値を設定する下限値設定回路と、
前記下限値設定回路の働きにより前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が所定の基準電圧から持ち上がっているときに前記スイッチング出力回路の駆動と停止を繰り返す間欠駆動モードとなる制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記間欠駆動モードにおける前記出力電圧のリップル周波数が前記キャパシタからノイズ音を生じない周波数となるように、前記スイッチング出力回路の駆動停止タイミング及び駆動再開タイミングの少なくとも一方を制御することを特徴とするスイッチング電源。
【請求項12】
前記制御回路は、前記スイッチング出力回路の駆動中に、前回の駆動停止タイミングから所定の上限時間が経過したときには、前記スイッチング出力回路の駆動を強制的に停止することを特徴とする請求項11に記載のスイッチング電源。
【請求項13】
前記制御回路は、前記スイッチング出力回路の停止中に、前回の駆動再開タイミングから所定の上限時間が経過したときには、前記スイッチング出力回路の駆動を強制的に再開することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のスイッチング電源。
【請求項14】
前記上限時間は、ヒトの可聴上限周波数の逆数よりも短いことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のスイッチング電源。
【請求項15】
前記制御回路は、前記スイッチング出力回路の駆動を停止した後に前記出力電圧又は前記帰還電圧の傾斜判定を行い、その判定結果に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を停止し続けるか否かを決定することを特徴とする請求項11に記載のスイッチング電源。
【請求項16】
前記制御回路は、前記帰還電圧の傾斜が所定値より急峻な場合、前記スイッチング出力回路の駆動を強制的に再開することを特徴とする請求項15に記載のスイッチング電源。
【請求項17】
前記制御回路は、前記帰還電圧の傾斜が所定値よりも急峻でない場合、前記スイッチング出力回路の駆動再開に必要な一部の回路を除いて電力供給が遮断された省電力モードに移行することを特徴とする請求項15または請求項16に記載のスイッチング電源。
【請求項18】
前記出力電圧または前記帰還電圧と所定の上側閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと、
前記出力電圧または前記帰還電圧と前記上側閾値電圧よりも低い所定の下側閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと、
をさらに有し、
前記制御回路は、前記第1比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を停止する一方、前記第2比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を再開することを特徴とする請求項11~請求項17のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【請求項19】
前記上側閾値電圧及び前記下側閾値電圧は、それぞれ、前記基準電圧に1よりも大きい係数を乗じた電圧値であることを特徴とする請求項18に記載のスイッチング電源。
【請求項20】
前記スイッチング出力回路は、降圧型、昇圧型、昇降圧型、または、反転型であることを特徴とする請求項11~請求項19のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なアプリケーションの電源手段として、入力電圧から所望の出力電圧を生成するスイッチング電源(いわゆるDC/DCコンバータ)が用いられている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-107551号公報
【文献】特開2010-088218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスイッチング電源では、更なる効率改善の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、高効率のスイッチング電源を提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、従来のスイッチング電源では、出力電圧のリップル成分により出力キャパシタから耳障りなノイズ音を生じるおそれがあった。
【0008】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、ノイズ音を生じにくいスイッチング電源を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的を達成するために、本明細書中に開示されているスイッチング電源は、出力トランジスタをオン/オフしてキャパシタを充電することにより入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力回路と、1回のスイッチングによる前記キャパシタへの充電電荷が下限値に制限されて前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が所定の基準電圧から持ち上がったときに前記スイッチング出力回路の駆動を停止する制御回路と、前記スイッチング出力回路の駆動期間に前記下限値を可変制御する下限値設定回路と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0010】
なお、上記第1の構成から成るスイッチング電源において、前記下限値設定回路は、スイッチング回数が増えるほど前記下限値を引き上げる構成(第2の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記の第1または第2の構成から成るスイッチング電源において、前記下限値設定回路は、負荷が重いほど前記下限値を引き上げる構成(第3の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1~第3いずれかの構成から成るスイッチング電源において、前記下限値設定回路は、前記スイッチング出力回路に流れるインダクタ電流の検出値と所定の基準電流値とを比較して下限値設定信号を生成する構成(第4の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第4の構成から成るスイッチング電源において、前記下限値設定回路は、前記基準電流値を変化させて前記下限値設定信号のパルス生成タイミングを可変制御する構成(第5の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第4または第5の構成から成るスイッチング電源は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記基準電圧との差分に応じた誤差信号を生成するエラーアンプと、所定のスイッチング周波数でパルス駆動されるオン信号を生成するオシレータと、前記誤差信号とランプ信号を比較してオフ信号を生成するPWMコンパレータと、をさらに有し、前記制御回路は、前記オン信号のパルス生成タイミングで前記出力トランジスタをオンし、前記オフ信号のパルス生成タイミングと前記下限値設定信号のパルス生成タイミングのいずれか遅い方で前記出力トランジスタをオフする構成(第6の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1~第6いずれかの構成から成るスイッチング電源において、前記制御回路は、前記出力電圧または前記帰還電圧が前記基準電圧から持ち上がっているときに前記スイッチング出力回路の駆動と停止を繰り返す間欠駆動モードとなる構成(第7の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第7の構成から成るスイッチング電源は、前記出力電圧または前記帰還電圧と所定の上側閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記上側閾値電圧よりも低い所定の下側閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと、をさらに有し、前記制御回路は、前記第1比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を停止する一方、前記第2比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を再開する構成(第8の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第8の構成から成るスイッチング電源において、前記上側閾値電圧及び前記下側閾値電圧は、それぞれ、前記基準電圧に1よりも大きい係数を乗じた電圧値である構成(第9の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1~第9いずれかの構成から成るスイッチング電源において、前記スイッチング出力回路は、降圧型、昇圧型、昇降圧型、または、反転型である構成(第10の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記第2の目的を達成するために、本明細書中に開示されているスイッチング電源は、出力トランジスタをオン/オフしてキャパシタを充電することにより入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力回路と、1回のスイッチングにより前記キャパシタに供給される充電電荷の下限値を設定する下限値設定回路と、前記下限値設定回路の働きにより前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が所定の基準電圧から持ち上がっているときに前記スイッチング出力回路の駆動と停止を繰り返す間欠駆動モードとなる制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記間欠駆動モードにおける前記出力電圧のリップル周波数が前記キャパシタからノイズ音を生じない周波数となるように、前記スイッチング出力回路の駆動停止タイミング及び駆動再開タイミングの少なくとも一方を制御する構成(第11の構成)とされている。
【0020】
なお、上記第11の構成から成るスイッチング電源において、前記制御回路は、前記スイッチング出力回路の駆動中に、前回の駆動停止タイミングから所定の上限時間が経過したときには、前記スイッチング出力回路の駆動を強制的に停止する構成(第12の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第11または第12の構成から成るスイッチング電源において、前記制御回路は、前記スイッチング出力回路の停止中に、前回の駆動再開タイミングから所定の上限時間が経過したときには、前記スイッチング出力回路の駆動を強制的に再開する構成(第13の構成)にするとよい。
【0022】
また、上記第12または第13の構成から成るスイッチング電源において、前記上限時間は、ヒトの可聴上限周波数の逆数よりも短い構成(第14の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第11の構成から成るスイッチング電源において、前記制御回路は、前記スイッチング出力回路の駆動を停止した後に前記出力電圧または前記帰還電圧の傾斜判定を行い、その判定結果に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を停止し続けるか否かを決定する構成(第15の構成)にするとよい。
【0024】
また、上記第15の構成から成るスイッチング電源において、前記制御回路は、前記帰還電圧の傾斜が所定値よりも急峻な場合、前記スイッチング出力回路の駆動を強制的に再開する構成(第16の構成)にするとよい。
【0025】
また、上記第15または第16の構成から成るスイッチング電源において、前記制御回路は、前記帰還電圧の傾斜が所定値よりも急峻でない場合、前記スイッチング出力回路の駆動再開に必要な一部の回路を除いて電力供給が遮断された省電力モードに移行する構成(第17の構成)にするとよい。
【0026】
また、上記第11~第17いずれかの構成から成るスイッチング電源は、前記出力電圧または前記帰還電圧と所定の上側閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記上側閾値電圧よりも低い所定の下側閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータとをさらに有し、前記制御回路は、前記第1比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を停止する一方、前記第2比較信号に応じて前記スイッチング出力回路の駆動を再開する構成(第18の構成)にするとよい。
【0027】
また、上記第18の構成から成るスイッチング電源において、前記上側閾値電圧及び前記下側閾値電圧は、それぞれ、前記基準電圧に1よりも大きい係数を乗じた電圧値である構成(第19の構成)にするとよい。
【0028】
また、上記第11~第19いずれかの構成から成るスイッチング電源において、前記スイッチング出力回路は、降圧型、昇圧型、昇降圧型、または、反転型である構成(第20の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0029】
本明細書中に開示されている発明によれば、高効率のスイッチング電源を提供することが可能となる。
【0030】
また、本明細書中に開示されている発明によれば、ノイズ音を生じにくいスイッチング電源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】スイッチング電源の基本構成を示す図
図2】スイッチング電源の要部構成を示す図
図3】間欠駆動モードの基本動作例を示す図
図4】1回のスイッチングによる充電電荷の下限値が固定である時の挙動を示す図
図5】1回のスイッチングによる充電電荷の下限値が可変である時の挙動を示す図
図6】下限値設定回路の一構成例を示す図
図7】下限値設定回路の一動作例を示す図
図8】中負荷領域における間欠駆動モードの挙動を示す図
図9】リップル周波数制限の第1実施例を示す図
図10】第1実施例におけるヒトの可聴域とリップル周波数との関係を示す図
図11】第1実施例の一変形例を示す図
図12】超軽負荷領域における間欠駆動モードの挙動を示す図
図13】リップル周波数制限の第2実施例を示すフローチャート
図14】第2実施例におけるヒトの可聴域とリップル周波数との関係を示す図
図15】傾斜判定の第1例を示す図
図16】傾斜判定の第2例を示す図
図17】傾斜判定の第3例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
<スイッチング電源(基本構成)>
図1は、スイッチング電源の基本構成を示す図である。本構成例のスイッチング電源100は、入力電圧PVDDから出力電圧VOUTを生成して不図示の負荷に供給するPWM[pulse width modulation]駆動方式のDC/DCコンバータであり、スイッチング出力回路110と、帰還電圧生成回路120と、基準電圧生成回路130と、エラーアンプ140と、ランプ信号生成回路150と、オシレータ160と、PWMコンパレータ170と、制御回路180と、スイッチ駆動回路190と、を有する。
【0033】
上記の構成要素は、スイッチング出力回路110に含まれる一部の構成要素(本図ではインダクタ113とキャパシタ114)を除き、スイッチング電源100の制御主体となる半導体集積回路装置200(いわゆる電源制御IC)に集積化するとよい。なお、半導体集積回路装置200には、上記以外にも任意の構成要素(各種保護回路など)を適宜組み込むことが可能である。
【0034】
また、半導体集積回路装置200は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図では、電源端子T1、出力端子T2、接地端子T3、並びに、帰還端子T4の4本を例示)を備えている。
【0035】
スイッチング出力回路110は、ハーフブリッジを形成するように接続された上側スイッチと下側スイッチをオン/オフすることにより、インダクタ電流ILを駆動して入力電圧PVDDから出力電圧VOUTを生成する降圧型のスイッチング出力段であり、出力トランジスタ111と、同期整流トランジスタ112と、インダクタ113と、キャパシタ114(出力キャパシタに相当)と、を含む。
【0036】
出力トランジスタ111は、スイッチング出力段の上側スイッチとして機能するPMOSFET[P channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]である。半導体集積回路装置200の内部において、出力トランジスタ111のソースは、電源端子T1(=入力電圧PVDDの印加端)に接続されている。出力トランジスタ111のドレインは、出力端子T2(=スイッチ電圧SWの印加端)に接続されている。出力トランジスタ111のゲートは、上側ゲート信号G1の印加端に接続されている。出力トランジスタ111は、上側ゲート信号G1がハイレベルであるときにオフし、上側ゲート信号G1がローレベルであるときにオンする。
【0037】
同期整流トランジスタ112は、スイッチング出力段の下側スイッチとして機能するNMOSFET[N channel type MOSFET]である。半導体集積回路装置200の内部において、同期整流トランジスタ112のソースは、接地端子T3(=接地電圧PVSSの印加端)に接続されている。同期整流トランジスタ112のドレインは、出力端子T2に接続されている。同期整流トランジスタ112のゲートは、下側ゲート信号G2の印加端に接続されている。同期整流トランジスタ112は、下側ゲート信号G2がハイレベルであるときにオンし、下側ゲート信号G2がローレベルであるときにオフする。
【0038】
インダクタ113とキャパシタ114は、半導体集積回路装置200に外付けされるディスクリート部品であり、スイッチ電圧SWを整流及び平滑して出力電圧VOUTを生成するLCフィルタを形成する。半導体集積回路装置200の外部において、インダクタ113の第1端は、半導体集積回路装置200の出力端子T2に接続されている。インダクタ113の第2端とキャパシタ114の第1端は、出力電圧VOUTの印加端と帰還端子T4に接続されている。キャパシタ114の第2端は、接地端に接続されている。
【0039】
出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112は、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2に応じて相補的にオン/オフされる。このようなオン/オフ動作により、インダクタ113の第1端には、入力電圧PVDDと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される矩形波状のスイッチ電圧SWが生成される。上記した「相補的」という文言は、出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112のオン/オフ状態が完全に逆転している場合だけでなく、両トランジスタの同時オフ期間(デッドタイム)が設けられている場合も含む。
【0040】
なお、スイッチング出力回路110の出力形式については、上記の降圧型に限らず、昇圧型、昇降圧型、並びに、反転型のいずれであっても構わない。また、スイッチング出力回路110の整流方式についても、上記の同期整流方式に限らず、下側スイッチとして整流ダイオードを用いたダイオード整流方式を採用してもよい。
【0041】
また、出力トランジスタ111をNMOSFETに置換することもできる。ただし、その場合には、上側ゲート信号G1のハイレベルを入力電圧PVDDよりも高い電圧値まで引き上げるために、ブートストラップ回路やチャージポンプ回路が必要となる。
【0042】
また、出力トランジスタ111及び同期整流トランジスタ112を半導体集積回路装置200に外付けすることも可能である。その場合には、出力端子T2に代えて、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2をそれぞれ外部出力するための端子が必要となる。
【0043】
特に、スイッチング出力回路110に対して高電圧が印加される場合には、出力トランジスタ111や同期整流トランジスタ112として、それぞれ、パワーMOSFET、IGBT[insulated gate bipolar transistor]、及び、SiCトランジスタなどの高耐圧素子を用いるとよい。
【0044】
帰還電圧生成回路120は、帰還端子T4(=出力電圧VOUTの印加端)と接地端との間に直列接続された抵抗121及び122を含み、両抵抗間の接続ノードから出力電圧VOUTに応じた帰還電圧FB(=出力電圧VOUTの分圧電圧)を出力する。
【0045】
なお、出力電圧VOUTがエラーアンプ140の入力ダイナミックレンジ内に収まっている場合には、帰還電圧生成回路120を省略して出力電圧VOUTをエラーアンプ140に直接入力しても構わない。
【0046】
また、抵抗121及び122を半導体集積回路装置200に外付けすることもできる。その場合、抵抗121及び122相互間の接続ノードを帰還端子T4に接続すればよい。
【0047】
基準電圧生成回路130は、所定の基準電圧REF(=出力電圧VOUTの目標設定値に相当)を生成する。なお、基準電圧生成回路130としては、デジタルの基準電圧設定信号をアナログの基準電圧REFに変換するDAC[digital-to-analog converter]を用いるとよい。このような構成であれば、上記の基準電圧設定信号を用いて、起動時のソフトスタート動作を実現したり、出力電圧VOUTを調整したりすることが可能となる。
【0048】
エラーアンプ140は、反転入力端(-)に印加される帰還電圧FBと、非反転入力端(+)に印加される基準電圧REFとの差分に応じた誤差信号ERRを生成する。誤差信号ERRは、帰還電圧FBが基準電圧REFよりも低いときに上昇し、帰還電圧FBが基準電圧REFよりも高いときに低下する。
【0049】
ランプ信号生成回路150は、出力トランジスタ111のオン期間Tonに上昇する三角波状、鋸波状、若しくは、n次スロープ波状(例えばn=2)のランプ信号RAMPを生成する。なお、ランプ信号RAMPは、例えば、出力トランジスタ111のオンタイミングでゼロ値から上昇を開始し、出力トランジスタ111のオフタイミングでゼロ値にリセットされる。
【0050】
オシレータ160は、所定のスイッチング周波数fsw(=1/Tsw)でパルス駆動されるオン信号ON(=クロック信号)を生成する。
【0051】
PWMコンパレータ170は、非反転入力端(+)に印加される誤差信号ERRと、反転入力端(-)に印加されるランプ信号RAMPを比較してオフ信号OFFを生成する。なお、オフ信号OFFは、ランプ信号RAMPが誤差信号ERRよりも低いときにハイレベルとなり、ランプ信号RAMPが誤差信号ERRよりも高いときにローレベルとなる。すなわち、オフ信号OFFのパルス生成タイミングは、誤差信号ERRが高いほど遅くなり、誤差信号ERRが低いほど早くなる。
【0052】
制御回路180は、オン信号ONとオフ信号OFFに応じて上側制御信号S1と下側制御信号S2を生成する。具体的に述べると、制御回路180は、オン信号ONにパルスが生成されたときに、上側制御信号S1と下側制御信号S2をいずれもローレベル(=スイッチ電圧SWをハイレベルとするときの論理レベル)に立ち下げる一方、オフ信号OFFにパルスが生成されたときに、上側制御信号S1と下側制御信号S2をいずれもハイレベル(=スイッチ電圧SWをローレベルとするときの論理レベル)に立ち上げる。
【0053】
従って、出力トランジスタ111のオン期間Ton(=スイッチ電圧SWのハイレベル期間)は、オフ信号OFFのパルス生成タイミングが遅いほど長くなり、逆に、オフ信号OFFのパルス生成タイミングが早いほど短くなる。すなわち、出力トランジスタ111のオンデューティD(=Ton/Tsw)は、誤差信号ERRが高いほど大きくなり、誤差信号ERRが低いほど小さくなる。
【0054】
スイッチ駆動回路190は、上側制御信号S1の入力を受け付けて上側ゲート信号G1を生成する上側ドライバ191と、下側制御信号S2の入力を受け付けて下側ゲート信号G2を生成する下側ドライバ192を含む。上側ドライバ191及び192としては、それぞれ、バッファやインバータを用いることができる。
【0055】
なお、上記構成要素のうち、エラーアンプ140、ランプ信号生成回路150、オシレータ160、PWMコンパレータ170、制御回路180、及び、スイッチ駆動回路190は、帰還電圧FBと所定の基準電圧REFとが一致するようにスイッチング出力回路110のデューティ制御を行う出力帰還制御部として理解することができる。
【0056】
<スイッチング電源(要部構成)>
図2は、スイッチング電源100の要部構成を示す図である。本構成例のスイッチング電源100は、軽負荷時の間欠駆動モード(詳細は後述)を実現するための手段として、先出の構成要素(本図では、基準電圧生成回路130、エラーアンプ140、ランプ信号生成回路150、オシレータ160、PWMコンパレータ170、及び、制御回路180を明示)に加えて、下限値設定回路700と、コンパレータ710及び720をさらに有する。以下では、新出の構成要素について重点的な説明を行う。
【0057】
下限値設定回路700は、スイッチング出力回路110に流れるインダクタ電流ILの検出値ISNSと所定の基準電流値IREFとを比較して、スイッチング出力回路110における1回のスイッチングでキャパシタ114に供給される充電電荷の下限値を設定するための下限値設定信号IMINを生成する。より具体的に述べると、下限値設定信号IMINには、ISNS=IREFとなるタイミングでパルスが生成される。なお、入力電圧PVDDと出力電圧VOUTとの比が一定である場合、上記した充電電荷の下限値は、スイッチング出力回路110の最小オン期間Tmin(ないしは最小オンデューティDmin)として理解することもできる。
【0058】
また、下限値設定回路700は、間欠駆動モードにおけるスイッチング出力回路110の駆動期間に、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値を可変制御する機能も備えている。この下限値可変機能については、後ほど詳細に説明する。
【0059】
コンパレータ710は、非反転入力端(+)に印加される帰還電圧FBと、反転入力端(-)に印加される上側閾値電圧VthH(例えばVthH=1.03×REF)とを比較してスリープ信号SLP(=第1比較信号に相当)を生成する。なお、スリープ信号SLPは、帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHよりも高いときにハイレベルとなり、帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHよりも低いときにローレベルとなる。
【0060】
コンパレータ720は、非反転入力端(+)に印加される帰還電圧FBと、反転入力端(-)に印加される下側閾値電圧VthL(例えばVthL=1.01×REF)とを比較してレジューム信号RES(=第2比較信号に相当)を生成する。なお、レジューム信号RESは、帰還電圧FBが下側閾値電圧VthLよりも高いときにハイレベルとなり、帰還電圧FBが下側閾値電圧VthLよりも低いときにローレベルとなる。
【0061】
制御回路180は、オン信号ONのパルス生成タイミングで、上側制御信号S1と下側制御信号S2をいずれもローレベルとすることにより、出力トランジスタ111をオンして同期整流トランジスタ112をオフする。このとき、スイッチ電圧SWは、ハイレベル(≒PVDD)となる。
【0062】
一方、制御回路180は、オフ信号OFFのパルス生成タイミングと下限値設定信号IMINのパルス生成タイミングのいずれか遅い方で、上側制御信号S1と下側制御信号S2をいずれもハイレベルとすることにより、出力トランジスタ111をオフして同期整流トランジスタ112をオンする。このとき、スイッチ電圧SWは、ローレベル(≒PVSS)となる。すなわち、下限値設定信号IMINのパルス生成タイミングがオフ信号OFFのパルス生成タイミングよりも遅いときには、出力トランジスタ111のオフタイミングが下限値設定信号IMINによって決定されることになる。この状態は、1回のスイッチングによるキャパシタ114への充電電荷が下限値に制限されている状態に相当する。
【0063】
また、制御回路180は、1回のスイッチングによるキャパシタ114への充電電荷が下限値に制限されたことにより、帰還電圧FBが基準電圧REFから持ち上がったときには、帰還電圧FBが所定の電圧範囲(VthL≦FB≦VthH)に収まるように、スイッチング出力回路110の駆動と停止を繰り返す間欠駆動モードとなる。
【0064】
<間欠駆動モード>
図3は、軽負荷時における間欠駆動モードの基本動作例を示す図であり、上から順に、帰還電圧FB、スリープ信号SLP、レジューム信号RES、及び、スイッチ電圧SWがそれぞれ描写されている。
【0065】
先述した下限値設定回路700の働きにより、1回のスイッチングによるキャパシタ114への充電電荷が所定の下限値に制限されている場合、負荷が軽いとキャパシタ114への充電電荷がキャパシタ114からの出力電荷(=放電電荷)よりも多くなる。そのため、出力電圧VOUTが持ち上がり、帰還電圧FBが基準電圧REFよりも高くなる。そこで、制御回路180は、このような出力電圧VOUTの持ち上がりを検出してスイッチング出力回路110の駆動を停止する。
【0066】
本図に即して述べると、制御回路180は、帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHよりも高くなり、スリープ信号SLPがハイレベルに立ち上がるタイミング(=時刻t102及びt104)で、スイッチング出力回路110の駆動を停止する。具体的に述べると、制御回路180は、出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112の双方をオフし、スイッチ電圧SWをハイインピーダンス状態(Hi-Z)とする。
【0067】
その後、制御回路180は、帰還電圧FBが下側閾値電圧VthLよりも低くなり、レジューム信号RESがローレベルに立ち下がるタイミング(=時刻t101、t103、t105)で、スイッチング出力回路110の駆動を再開する。
【0068】
このような間欠駆動モードを実装することにより、軽負荷時におけるスイッチング回数を減らして、スイッチングロスを低減することができるので、スイッチング電源100の効率を改善することが可能となる。
【0069】
<下限値固定時の挙動>
図4は、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値が固定であるときの挙動を示す図であり、帰還電圧FBが描写されている。
【0070】
例えば、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値が負荷の消費電荷と比べて非常に大きい場合(=負荷が極めて軽い場合)には、スイッチング毎に出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)が急上昇する。そのため、帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHよりも高くなったタイミング(=時刻t112)において、即座にスイッチング出力回路110の駆動を停止したとしても、実際に出力電圧VOUTの上昇が停止する頃には、出力電圧VOUTが目標値よりも高い電圧値までオーバーシュートしてしまい、最悪の場合には過電圧保護が掛かるおそれがある(図中の実線を参照)。
【0071】
逆に、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値と負荷の消費電荷が非常に近い場合には、出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)の上昇が極めて緩慢となり、スイッチング出力回路110の駆動を停止するまでに非常に多くのスイッチング回数が必要となる(図中の破線を参照)。
【0072】
このような不具合を解消すべく、下限値設定回路700は、間欠駆動モードにおけるスイッチング出力回路110の駆動期間に、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値を可変制御する機能を備えている。
【0073】
<下限値可変時の挙動>
図5は、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値が可変であるときの挙動を示す図であり、帰還電圧FBが描写されている。なお、太線は下限値が可変であるときの挙動を示しており、細線は下限値が固定であるときの挙動(図4と同様の挙動)を示している。
【0074】
下限値設定回路700は、間欠駆動モードにおけるスイッチング出力回路110の駆動期間(=時刻t121~t124)に、スイッチング回数が増えるほど、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値を引き上げていく。
【0075】
具体的に述べると、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値は、時刻t121~t122ではQ1に設定されており、時刻t122~t123ではQ2(>Q1)に設定されており、時刻t123~t124ではQ3(>Q2)に設定されている。
【0076】
すなわち、スイッチング出力回路110の駆動期間(=時刻t121~t124)において、スイッチング開始直後には、充電電荷の下限値が小さく絞られており、スイッチング回数が増していくと、充電電荷の下限値も引き上げられていく。
【0077】
このような下限値可変制御を行うことにより、負荷が軽いとき(=帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHに達するまでに、それほど多くのスイッチング回数を要しないと考えられるとき)には、1回のスイッチングによる出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)の上昇を抑えてオーバーシュートを防止することができる。
【0078】
また、負荷が重いとき(=帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHに達するまでに、ある程度のスイッチング回数を要すると考えられるとき)には、1回のスイッチングで出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)を大きく上昇させることができるので、スイッチング回数(延いてはスイッチングロス)を減らして、スイッチング電源100の効率を高めることが可能となる。
【0079】
<下限値設定回路>
図6は、下限値設定回路700の一構成例を示す図である。本構成例の下限値設定回路700は、インダクタ電流検出部701と、基準電流設定部702と、比較部703と、を含む。
【0080】
インダクタ電流検出部701は、スイッチング出力回路110に流れるインダクタ電流ILに応じたセンス信号ISNS(=インダクタ電流ILの検出値に相当)を生成する。なお、インダクタ電流ILの検出手法については、出力トランジスタ111または同期整流トランジスタ112のドレイン・ソース間電圧を検出する手法、出力トランジスタ111または同期整流トランジスタ112に並列接続された電流検出用トランジスタのドレイン・ソース間電圧を検出する手法、若しくは、インダクタ電流ILの流れる経路上に設けられたセンス抵抗の両端間電圧を検出する手法などを採用することができる。
【0081】
基準電流設定部702は、制御回路180から入力される基準電流設定信号SETに応じて基準電流値IREF(=電流クランプ値に相当)を設定する。
【0082】
比較部703は、センス信号ISNSと基準電流値IREFとを比較して下限値設定信号IMINを生成する。
【0083】
図7は、下限値設定回路700の一動作例を示す図であり、上から順に、センス信号ISNS、オン信号ON、及び、下限値設定信号IMINが描写されている。なお、センス信号ISNSと比較される基準電流値IREFとしては、設定値IREF1~IREF3(ただしIREF1<IREF2<IREF3)のいずれかが設定されるものとする。
【0084】
時刻t130において、オン信号ONにパルスが生成されると、インダクタ電流ILが増大し始めるので、センス信号ISNSの信号値が大きくなっていく。
【0085】
まず、基準電流値IREFとして、設定値IREF1が設定されている場合を考える。この場合には、ISNS=IREF1となる時刻t131において、下限値設定信号IMINにパルスが生成される(図中のIMIN1を参照)。すなわち、出力トランジスタ111の最小オン期間Tmin1は、時刻t130~t131となる。
【0086】
次に、基準電流値IREFとして、設定値IREF2が設定されている場合を考える。この場合には、ISNS=IREF2となる時刻t132において、下限値設定信号IMINにパルスが生成される(図中のIMIN2を参照)。すなわち、出力トランジスタ111の最小オン期間Tmin2は、時刻t130~t132となる。
【0087】
また、基準電流値IREFとして、設定値IREF3が設定されている場合を考える。この場合には、ISNS=IREF3となる時刻t133において、下限値設定信号IMINにパルスが生成される(図中のIMIN3を参照)。すなわち、出力トランジスタ111の最小オン期間Tmin3は、時刻t130~t133となる。
【0088】
このように、下限値設定回路700では、基準電流設定信号SETに応じて基準電流値IREFを変化させることにより、下限値設定信号IMINのパルス生成タイミング(延いては出力トランジスタ111の最小オン期間Tmin)を可変制御することができる。
【0089】
なお、先出の図5では、スイッチング回数に応じて1回のスイッチングによる充電電荷の下限値を引き上げていく動作を説明したが、このような動作を実現するためには、例えば、基準電流値IREFを、IREF1→IREF2→IREF3と切り替えるように、スイッチング回数に応じて基準電流設定信号SETを生成すればよい。
【0090】
ただし、下限値可変制御の手法は、上記に限定されるものではなく、例えば、スイッチング回数ではなく負荷の重さに応じて、1回のスイッチングによる充電電荷の下限値を可変制御することも可能である。
【0091】
具体的には、負荷が重いほど1回のスイッチングによる充電電荷の下限値を引き上げるように、基準電流設定信号SETを生成すればよい。
【0092】
例えば、車載用の電源ICでは、インダクタ電流の検出値(アナログ値)をデジタル信号に変換してから、ロジック回路で監視する機能が実装され始めている。このような電源ICであれば、別途の回路要素を追加することなく、負荷の重さに応じた下限値可変制御を実現することが可能となる。
【0093】
<リップル周波数制限(第1実施例)>
図8は、中負荷領域における間欠駆動モードの挙動を示す図であり、上から順に、帰還電圧FBとスイッチ電圧SWが描写されている。
【0094】
1回のスイッチングによる充電電荷の下限値と負荷の消費電荷とが非常に近い負荷領域(本明細書中では「中負荷領域」と呼ぶ)では、本図で示すように、スイッチング出力回路110の駆動期間(=時刻t141~t142)における出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)の上昇が極めて緩慢となる。
【0095】
そのため、中負荷領域では、出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)のリップル周期Trpl(=時刻t141~t143)が長くなり、その逆数であるリップル周波数Frplが低下する。
【0096】
特に、リップル周波数Frplがヒトの可聴域(一般には20Hz~20kHz程度)に入ると、キャパシタ114から耳障りなノイズ音を生じるおそれがある。
【0097】
このような不具合を解消するために、制御回路180は、間欠駆動モードにおける出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)のリップル周波数Frplがキャパシタ114からノイズ音を生じない周波数となるように、スイッチング出力回路110の駆動停止タイミング及び駆動再開タイミングの少なくとも一方を制御する機能(=リップル周波数制限機能)を備えている。
【0098】
図9は、リップル周波数制限の第1実施例を示す図であり、上から順番に、帰還電圧FB、スイッチ電圧SW、及び、カウント値CNT1が描写されている。なお、太線はリップル周波数Frplが制限されているときの挙動を示しており、細線はリップル周波数Frplが制限されていないときの挙動(図8と同様の挙動)を示している。
【0099】
制御回路180は、間欠駆動モードにおけるスイッチング出力回路110の駆動停止タイミング(=時刻t150、t152、t154における丸印を参照)を起点として、そこからの経過時間(=カウント値CNT1)を計測する第1カウンタを備えている。
【0100】
そして、制御回路180は、スイッチング出力回路110の駆動中に、前回の駆動停止タイミングから所定の上限時間(=リップル周期Trplの上限時間に相当)が経過したときには、帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHを上回っていなくても、スイッチング出力回路110の駆動を強制的に停止する。
【0101】
本図に即して具体的に述べる。例えば、時刻t150において、スイッチング出力回路110の駆動が停止されると、帰還電圧FBが上昇から低下に転じる。その後、時刻t151において、帰還電圧FBが下側閾値電圧VthLを下回ると、スイッチング出力回路110の駆動が再開されて、帰還電圧FBが再び上昇し始める。
【0102】
一方、カウント値CNT1は、スイッチング出力回路110の駆動が停止された時刻t150において、ゼロ値にリセットされた後、所定の周期でインクリメントされていく。
【0103】
そして、スイッチング出力回路110の駆動中(=時刻t152)において、カウント値CNT1が上限値LMT1に達すると、帰還電圧FBが上側閾値電圧VthHを上回っていなくても、スイッチング出力回路110の駆動が強制的に停止される。
【0104】
その結果、出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)のリップル周期Trpl(=時刻t150~t152)を短縮することができるので、その逆数であるリップル周波数Frplの低下を抑制することが可能となる。なお、時刻t152以降においても、上記と同様の動作が繰り返される。
【0105】
図10は、第1実施例におけるヒトの可聴域(可聴上限周波数FH及び可聴下限周波数FL)とリップル周波数Frplとの関係を示す図である。
【0106】
リップル周期Trplがヒトの可聴上限周波数FHの逆数(一般には50μs程度)よりも短くなるように、先述したカウント値CNT1の上限値LMT1を設定しておくことにより、リップル周波数Frplを可聴上限周波数FH(一般には20kHz程度)よりも高い値に維持することができる(図中のハッチング領域を参照)。従って、キャパシタ114から発生する耳障りなノイズ音を軽減ないしは防止することが可能となる。
【0107】
なお、本図では、説明を簡単とすべく、リップル周波数Frplとヒトの可聴域とを対比してFrpl>FHである旨の描写を行ったが、仮にリップル周波数Frplがヒトの可聴上限周波数FHを多少下回っていたとしても、キャパシタ114からノイズ音を生じない(ないしはノイズ音が軽減される)のであれば、リップル周波数制限が有効に機能していると言える。すなわち、リップル周波数Frplは、キャパシタ114からノイズ音を生じない周波数に制限されていれば足りる。
【0108】
図11は、第1実施例の一変形例を示す図であり、上から順に、帰還電圧FB、スイッチ電圧SW、並びに、カウント値CNT1及びCNT2が描写されている。
【0109】
本変形例の制御回路180は、先出の第1カウンタに加えて、間欠駆動モードにおけるスイッチング出力回路110の駆動再開タイミング(=時刻t161、t163、t165における三角印を参照)を起点として、そこからの経過時間(=カウント値CNT2)を計測する第2カウンタを備えている。
【0110】
そして、制御回路180は、スイッチング出力回路110の停止中に、前回の駆動再開タイミングから所定の上限時間が経過したときには、帰還電圧FBが下側閾値電圧VthLを下回っていなくても、スイッチング出力回路110の駆動を強制的に再開する。
【0111】
本図に即して具体的に述べる。例えば、時刻t161において、スイッチング出力回路110の駆動が再開されると、帰還電圧FBが低下から上昇に転じる。その後、時刻t162において、スイッチング出力回路110の駆動が停止されると、帰還電圧FBが再び低下し始める。
【0112】
一方、カウント値CNT2は、スイッチング出力回路110の駆動が再開された時刻t161において、ゼロ値にリセットされた後、所定の周期でインクリメントされていく。
【0113】
そして、スイッチング出力回路110の停止中(=時刻t163)において、カウント値CNT2が上限値LMT2に達すると、帰還電圧FBが下側閾値電圧VthLを下回っていなくても、スイッチング出力回路110の駆動が強制的に再開される。
【0114】
その結果、出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)のリップル周期Trpl(=時刻t161~t163)を短縮することができるので、その逆数であるリップル周波数Frplの低下を抑制することが可能となる。なお、時刻t163以降においても、上記と同様の動作が繰り返される。
【0115】
<リップル周波数制限(第2実施例)>
図12は、超軽負荷領域における間欠駆動モードの挙動を示す図であり、上から順に、帰還電圧FBとスイッチ電圧SWが描写されている。
【0116】
1回のスイッチングによる充電電荷の下限値が負荷の消費電荷よりも非常に大きい負荷領域(本明細書中では「超軽負荷領域」と呼ぶ)では、本図で示すように、スイッチング出力回路110の駆動停止期間(=時刻t172~t173)における出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)の低下が極めて緩慢となる。
【0117】
そのため、超軽負荷領域では、出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)のリップル周期Trpl(=時刻t171~t173)が長くなり、その逆数であるリップル周波数Frplが低下する。
【0118】
特に、リップル周波数Frplがヒトの可聴域(一般には20Hz~20kHz程度)に入ると、キャパシタ114から耳障りなノイズ音を生じるおそれがある。
【0119】
このような不具合を解消すべく、制御回路180は、間欠駆動モードにおける出力電圧VOUT(延いては帰還電圧FB)のリップル周波数Frplがキャパシタ114からノイズ音を生じない周波数となるように、スイッチング出力回路110の駆動再開タイミングを制御する機能(=リップル周波数制限機能)を備えている。
【0120】
図13は、リップル周波数制限の第2実施例を示すフローチャートである。ステップ#1でスイッチング出力回路110の駆動が停止されると、続くステップ#2では、帰還電圧FBの傾斜判定(詳細は後述)が行われる。
【0121】
そして、ステップ#3において、帰還電圧FBの傾斜が所定値よりも急峻である(=絶対値が大きい)と判定されたときには、フローがステップ#4に進められて、スイッチング出力回路110の駆動が強制的に再開(強制レジューム)される。
【0122】
一方、ステップ#3において、帰還電圧FBの傾斜が所定値よりも急峻でない(=絶対値が小さい)と判定されたときには、フローがステップ#5に進められて、スイッチング出力回路110の駆動停止が継続される。
【0123】
このように、制御回路180は、スイッチング出力回路110の駆動を停止した後に、帰還電圧FB(延いては出力電圧VOUT)の傾斜判定を行い、その判定結果に応じてスイッチング出力回路110の駆動を停止し続けるか否かを決定する。
【0124】
なお、ステップ#3における傾斜判定の閾値は、スイッチング出力回路110の駆動停止を継続した場合に、リップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FL(一般には20Hz程度)よりも低くなるのか、それとも、リップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FLよりも高くなってヒトの可聴域に入るのかを判定し得る値に設定すればよい。
【0125】
また、ステップ#4における駆動再開タイミングは、必ずしもステップ#3のイエス判定直後である必要はなく、リップル周波数Frplがヒトの可聴上限周波数FH(一般には20kHz程度)よりも高くなるように、適切なタイミングでスイッチング出力回路110の駆動を再開すればよい。
【0126】
また、ステップ#5における駆動停止継続時には、スイッチング出力回路110の駆動再開に必要な一部の回路(レジューム用のコンパレータ720や制御回路180)を除いて電力供給が遮断された省電力モードに移行するとよい。このようなモード切替により、超軽負荷領域での効率を高めることが可能となる。
【0127】
図14は、第2実施例におけるヒトの可聴域(可聴上限周波数FH及び可聴下限周波数FL)とリップル周波数Frplとの関係を示す図である。
【0128】
スイッチング出力回路110の強制レジューム時(=図13のステップ#3で帰還電圧FBの傾斜が急峻であると判定されて、ステップ#4でスイッチング出力回路110の駆動が強制的に再開されたとき)には、リップル周波数Frplがヒトの可聴上限周波数FH(一般には20kHz程度)よりも高い値に維持される。
【0129】
一方、スイッチング出力回路110のHi-Z継続時(=図13のステップ#3で帰還電圧FBの急峻でないと判定され、ステップ#4でスイッチング出力回路110の駆動停止が継続されたとき)には、リップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FL(一般には20Hz程度)よりも低い値に維持される。
【0130】
このように、第2実施例のリップル周波数制限によれば、リップル周波数Frplがヒトの可聴域に入らないので、キャパシタ114から発生する耳障りなノイズ音を軽減ないしは防止することが可能となる。
【0131】
なお、本図では、説明を簡単とすべく、リップル周波数Frplとヒトの可聴域とを対比してFrpl<FL(ないしはFrpl>FH)である旨の描写を行ったが、仮にリップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FLを多少上回っていたとしても、キャパシタ114からノイズ音を生じない(ないしはノイズ音が軽減される)のであれば、リップル周波数制限が有効に機能していると言える。すなわち、リップル周波数Frplは、キャパシタ114からノイズ音を生じない周波数に制限されていれば足りる。
【0132】
例えば、超軽負荷領域のHi-Z継続時におけるリップル周波数Frplの上限値は、必ずしもヒトの可聴下限周波数FL(例えば20Hz程度)を下回っていなければならないわけではなく、キャパシタ114からノイズ音を生じない周波数が現実的な値となる。
【0133】
<傾斜判定>
図15は、図13のステップ#2及び#3における傾斜判定の第1例を示す図であり、帰還電圧FBが描写されている。
【0134】
第1例の傾斜判定では、時刻t182において、スイッチング出力回路110の駆動が停止されてから、所定の待機時間Twが経過した後、時刻t183において、帰還電圧FBの測定値Vdetが取得される。そして、上側閾値電圧VthHと測定値Vdetとの差分値(=Vdet-VthH)を待機時間Twで除することにより、帰還電圧FBの傾斜M(=(Vdet-VthH)/Tw、ただし、M<0)が算出される。
【0135】
このようにして算出された傾斜Mが急峻であるほど、スイッチング出力回路110の停止期間Tslp(=時刻t182~t184)が短くなり、延いては、リップル周期Trpl(=時刻t181~t184)が短くなる。
【0136】
従って、帰還電圧FBの傾斜Mが所定の閾値Mth(<0)よりも急峻であるか否かを判定することにより、リップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FLよりも高いか否か(=ヒトの可聴域に入るか否か)を判定することができる。
【0137】
なお、上記では、説明の便宜上、傾斜Mの算出値(=(Vdet-VthH)/Tw)と所定の閾値Mth(<0)を比較する旨の説明を行ったが、実際には、帰還電圧FBの測定値Vdetと所定の閾値Vth(=VthH+Mth×Tw)とを比較すればよい。
【0138】
図16は、図13のステップ#2及び#3における傾斜判定の第2例を示す図であり、帰還電圧FBが描写されている。
【0139】
本図で示したように、時刻t192において、スイッチング出力回路110の駆動が停されると、帰還電圧FBが少なからずオーバーシュートする(FB=VthH+α)。そのため、待機時間Twを適切な長さ(=-Mth/α、ただし、Mth<0)に設定することにより、先出の閾値Vthとして、上側閾値電圧VthHを流用することができる。
【0140】
すなわち、第2例の傾斜判定では、時刻t192において、スイッチング出力回路110の駆動が停止されてから、所定の待機時間Tw(=-Mth/α)が経過した後、時刻t193において、帰還電圧FBの測定値Vdetが上側閾値電圧VthHよりも高いか否かを判定することにより、リップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FLよりも高いか否か(ヒトの可聴域に入るか否か)を判定することが可能となる。
【0141】
なお、第1実施例(図15)ないし第2実施例(図16)の傾斜判定を実施するためには、帰還電圧FBの測定値Vdetと所定の閾値Vthとを比較するコンパレータを一つだけ用意すれば足りるので、その構成が極めて容易である。ただし、傾斜Mの判定精度を高めるためには、比較的長い待機時間Tw(数十μs程度)が必要であることから、省電力モードへの移行タイミングが遅れる点に留意すべきである。
【0142】
図17は、図13のステップ#2及び#3における傾斜判定の第3例を示す図であり、帰還電圧FBが描写されている。
【0143】
第3実施例の傾斜判定では、時刻t202において、スイッチング出力回路110の駆動が停止されてから、所定の待機時間Tw1及びTw2(=Tw1+Tw)が経過した時刻t203及びt204において、それぞれ、帰還電圧FBの測定値Vdet1及びVdet2が取得される。
【0144】
また、測定値Vdet1と測定値Vdet2との差分値(=Vdet2-Vdet1)を待機時間Tw(=待機時間Tw1及びTw2の差分値)で除することにより、帰還電圧FBの傾斜M(=(Vdet2-Vdet1)/Tw、ただし、M<0)が算出される。
【0145】
そして、帰還電圧FBの傾斜Mが所定の閾値Mth(<0)よりも急峻であるか否かを判定することにより、リップル周波数Frplがヒトの可聴下限周波数FLよりも高いか否か(=ヒトの可聴域に入るか否か)が判定される。
【0146】
このように、第3実施例の傾斜判定では、2点の測定値Vdet1及びVdet2から帰還電圧FBの傾斜Mが高精度に算出される。従って、先出の第1実施例(図15)及び第2実施例(図16)と比べて待機時間Twを短縮することができるので、省電力モードへの移行タイミングを早めることが可能となる。ただし、第3実施例の傾斜判定を実施するためには、帰還電圧FBの測定値Vdet1及びVdet2を取得する手段(多ビットのADCなど)が必要となる点に留意すべきである。
【0147】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本明細書中に開示されているスイッチング電源は、様々なアプリケーションの電源手段として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0149】
100 スイッチング電源
110 スイッチング出力回路
111 出力トランジスタ(PMOSFET)
112 同期整流トランジスタ(NMOSFET)
113 インダクタ
114 キャパシタ(出力キャパシタ)
120 帰還電圧生成回路
121、122 抵抗
130 基準電圧生成回路
140 エラーアンプ
150 ランプ信号生成回路
160 オシレータ
170 PWMコンパレータ
180 制御回路
190 スイッチ駆動回路
191、192 ドライバ
200 半導体集積回路装置(電源制御IC)
700 下限値設定回路
701 インダクタ電流検出部
702 基準電流設定部
703 比較部
710 コンパレータ
720 コンパレータ
T1、T2、T3、T4 外部端子
図1
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