(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認する、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/028 20060101AFI20221005BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01N29/028
B65D25/20 P
(21)【出願番号】P 2018538526
(86)(22)【出願日】2016-10-10
(86)【国際出願番号】 US2016056244
(87)【国際公開番号】W WO2017066116
(87)【国際公開日】2017-04-20
【審査請求日】2019-09-03
(32)【優先日】2015-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507301040
【氏名又は名称】ラブサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】サックマン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ダトワニ,サミー
(72)【発明者】
【氏名】ヒンクソン,スティーブン
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/108807(WO,A1)
【文献】特開平04-116585(JP,A)
【文献】特開平04-313096(JP,A)
【文献】特表2008-516863(JP,A)
【文献】特開2012-150072(JP,A)
【文献】特表2007-530961(JP,A)
【文献】特表2012-500983(JP,A)
【文献】特開2001-201505(JP,A)
【文献】特開2006-263960(JP,A)
【文献】特開平11-096278(JP,A)
【文献】特開平09-160998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型から作られ、流体を保持するように構成された容器であって、
少なくとも1つの垂直側壁と、
上記少なくとも1つの垂直側壁に連結された底部と、
を備え、
上記底部は、内面、外面、厚さを有しており、音響標識を形成し、上記容器の音響的特徴付けのために上記外面に配置された、複数の凹部、溝、または突出部を含んでおり、上記複数の凹部、溝、または突出部は、第1の深さを有する第1の部分集合、および第2の深さを有する第2の部分集合を有し、
上記容器が作られた位置は、上記音響標識により固有に識別され、上記位置は、金型のキャビティ、または複数の金型のうちの固有の金型を備え、
音響信号が音響標識に向かって送信されたとき、上記複数の凹部、溝、または突出部の上記第1の部分集合からの第1の反射、および上記複数の凹部、溝、または突出部の上記第2の部分集合のからの第2の反射を含む複数の音響信号の反射が生じ、上記第1の深さは上記第2の深さと異なり、上記第1の反射は第1の飛行時間を有し、上記第2の反射は上記第1の飛行時間とは異なる第2の飛行時間を有し、上記第1の飛行時間と上記第2の飛行時間とが上記位置に関連付けられている、容器。
【請求項2】
上記複数の凹部、溝、または突出部の上記第1の部分集合が、上記第2の部分集合の上記複数の凹部、溝、または突出部と異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射の振幅を増減させるように構成された疎水性領域を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置するように構成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置するように構成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
マルチウェルプレートを備え、
上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部が、上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
上記垂直側壁及び上記底部はプラスチックを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
流体を保持するように構成された容器を音響的に特徴づける方法であって、
金型から作られ、少なくとも1つの垂直側壁に連結された底部とを備え、上記底部は、内面、外面、厚さを有し、上記容器の音響的特徴付けのために上記外面に
第1の深さを有する第1の部分集合および第2の深さを有する第2の部分集合を有する複数の凹部、溝、または突出部を有する、上記容器を提供する工程と、
上記底部に向かって音響信号を送信する工程と、
上記音響信号の複数の反射を受信する工程であって、上記複数の反射は、
上記第1の部分集合の上記複数の凹部、溝、または突出部からの第1の反射、および上記第2の部分集合の上記複数の凹部、溝、または突出部からの第2の反射を含み、上記第1の反射は第1の飛行時間を有し、上記第2の反射は上記第1の飛行時間とは異なる第2の飛行時間を有する、上記音響信号の複数の反射を受信する工程と、
上記第1の飛行時間および上記第2の飛行時間に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とを含む、方法。
【請求項11】
上記容器の上記音響インピーダンスを特定する上記工程は、
上記第1の飛行時間および上記第2の飛行時間に基づいて上記底部の上記厚さを特定する値をコンピュータ読み取り可能媒体から読み出し、
読み出された上記値に基づいて、上記容器の音響インピーダンスを特定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記複数の凹部、溝、または突出部の上記第1の部分集合は、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合と異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射を増大させるように構成された疎水性領域を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
上記容器はマルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部が上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
上記垂直側壁及び上記底部はプラスチックを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
流体を保持するように構成された容器の特性を確認するシステムであって、
請求項1に記載の容器と、
上記底部に向かって音響信号を送信し、上記送信された音響信号の複数の反射を受信するように構成された音響変換器と、
複数の反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定するように構成された制御装置とを備える、システム。
【請求項21】
コンピュータ読み取り可能媒体をさらに備え、
上記制御装置は、上記複数の反射に基づいて上記底部の上記厚さを特定する値を上記コンピュータ読み取り可能媒体から読み出し、上記底部の上記厚さを特定する上記値に基づいて上記容器の上記音響インピーダンスを特定するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
上記第1の部分集合の上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記第2の部分集合の上記複数の凹部、溝、または突出と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射を増大させるように構成された疎水性領域を有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置する、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置する、請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
上記容器はマルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部が上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
上記垂直側壁及び上記底部はプラスチックを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項29】
上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される、請求項28に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本願は、射出成形を用いて形成された容器等の容器に標識を付けることに関する。しかしながら、本発明がはるかに広い適用範囲を有するということが理解されるだろう。
【0002】
〔背景技術〕
射出成形は、広く普及した、処理量の多い製造工程であり、それにより、多くの成形においてデザイン及び機能において均一性を有した部品を大規模に成形できる。射出成形工程は、部品の形状、外形、及び設計上の特徴を有する1つ以上のキャビティを備えた金型と、金型内の個別のキャビティに溶解したプラスチックを注入することを可能にする「ゲート」と、部品を金型から取り出すことを可能にする突き出しピンと、金型内の溶解したプラスチックの構造及び凝固に影響を及ぼす保圧時間、温度、溶解質量流量、充填圧等の様々なプロセスパラメータとからなる。部品を成形する速度、規模及び効率を上げるために、製造業者は、成形サイクル毎に複数の部品が生成されるように各キャビティが部品を複製する多数個取り金型を用いることが多い。
【0003】
〔発明の概要〕
本願は、射出成形を用いて形成された容器等の容器に標識を付けることに関する。これらの標識は、容器の出所と、関連的で、取得可能で所定の物理的性質とを識別するために利用される情報に、関連付けることができる。その物理的性質は、容器の内容物の音響検査と、音響的な液滴射出(ADE)による容器からの材料の射出との両方において有用である。しかしながら、本発明がはるかに広い適用範囲を有するということが理解されるだろう。
【0004】
一態様において、流体を保持するように構成された容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供するために上記底部の上または内部に複数の凹部、溝、または突出部を含む底部とを備える。
【0005】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部の第1の部分集合は、上記音響信号の第1の飛行時間を提供する第1の深さを含み、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合は、上記音響信号の第2の飛行時間を提供する第2の深さを有し、上記第1の深さは上記第2の深さとは異なる。
【0006】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第1の凹部、溝、または突出部は、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第2の凹部、溝、または突出部と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射の振幅を増減させるように構成された疎水性領域を有する。例えば、いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記容器は、マルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部は、上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記側壁及び上記底部はプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される。
【0011】
別の態様において、流体を保持するように構成された容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記音響信号が上記底部を通過する飛行時間に基づいて上記容器を識別可能なように選択された厚さを有する底部とを備える。
【0012】
さらに別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認する方法は、上記容器を提供する工程を含む。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記底部の上または内部に複数の凹部、溝、または突出部を含む底とを備えてもよい。上記方法は、上記底部を介して音響信号を送信する工程を含んでもよく、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供する。上記方法は、送信された音響信号の反射を受信する工程と、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とをさらに含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記反射に基づいて上記底の厚さを特定する値をコンピュータ読み取り可能媒体から読み出す工程を含む。上記容器の上記音響インピーダンスを特定する上記工程は、上記底部の上記厚さを特定する読み出された上記値に基づいてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部の第1の部分集合は、上記音響信号の第1の飛行時間を提供する第1の深さを含み、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合は、上記音響信号の第2の飛行時間を提供する第2の深さを有し、上記第1の深さは上記第2の深さとは異なる。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第1の凹部、溝、または突出部は、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第2の凹部、溝、または突出部と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射を増大させるように構成された疎水性領域を有する。例えば、いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置する。いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置する。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記容器は、マルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部は、上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記側壁及び上記底部はプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される。
【0020】
別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認する方法は、上記容器を提供する工程を含む。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成され、且つ厚さを有する底部とを備えてもよい。上記方法は、送信された音響信号の反射であって、上記厚さを通過する飛行時間を有する反射を受信する工程と、上記飛行時間に基づいて上記容器を識別する工程と、上記識別結果に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とを含んでもよい。
【0021】
さらに別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認するシステムは、上記容器を備える。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記底部の上または内部に複数の凹部、溝、または突出部を含む底部とを備えてもよい。上記システムは、上記底部を介して音響信号を送信するように構成された音響変換器をさらに備えてもよく、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供する。上記音響変換器は、送信された音響信号の反射を受けるようにさらに構成されてもよい。上記システムは、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定するように構成された制御装置をさらに備えてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記システムは、コンピュータ読み取り可能媒体をさらに備える。上記制御装置は、上記反射に基づいて上記底部の厚さを特定する値を上記コンピュータ読み取り可能媒体から読み出し、上記底部の上記厚さを特定する上記値に基づいて上記容器の上記音響インピーダンスを特定するように構成されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部の第1の部分集合は、上記音響信号の第1の飛行時間を提供する第1の深さを有し、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合は、上記音響信号の第2の飛行時間を提供する第2の深さを有し、上記第1の深さは上記第2の深さとは異なる。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第1の凹部、溝、または突出部は、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第2の凹部、溝、または突出部と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射を増大させるように構成された疎水性領域を有する。例えば、いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置する。いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置する。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記容器はマルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部は上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記側壁及び上記底部はプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択されてもよい。
【0029】
さらに別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認するシステムは、上記容器を備える。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成され、且つ厚さを有する底部とを備えてもよい。上記システムは、上記底部を介して音響信号を送信するように構成された音響変換器を備えてもよい。上記音響変換器は、送信された音響信号の反射であって、上記厚さを通過する飛行時間を有する反射を受信するようにさらに構成されてもよい。上記システムは、上記飛行時間に基づいて上記容器を識別し、上記識別結果に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定するように構成された制御装置をさらに備えてもよい。
【0030】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕所定の特性を有する音響変換器に連結された容器と、容器の中の流体とを含む構成を概略的に示す。上記構成において、上記流体の音響インピーダンス及び上記容器の底部の音響インピーダンスは不明である。
【0031】
〔
図2〕本発明のいくつかの実施形態に係る、標識を付けた容器と容器の中の流体との特性を音響的に確認する例示的な工程を概略的に示す。
【0032】
〔
図3〕本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【0033】
〔
図4〕本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【0034】
〔
図5〕本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【0035】
〔
図6〕本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【0036】
〔
図7〕本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【0037】
〔発明の詳細な説明〕
本願は、射出成形を用いて形成された容器等の容器に標識を付けることに関する。しかしながら、本発明がはるかに広い適用範囲を有するということが理解されるだろう。
【0038】
例えば、射出成形用金型は、互いに「同じ」部品を作るために多数のキャビティを有してもよい。しかしながら、そのようなマルチキャビティ手法が音響液体ハンドリングに関わる場合には、容器またはキャビティごとに(もしくは、1つのキャビティまたは容器内にも)音響特性のばらつきが存在し得るため、容器の特性の音響的な確認、容器内の液体、及び容器からの液体の音響移動に影響を及ぼし得る、という懸念事項がある。そのような場合、金型から作られた各部品が、当該金型が1つのキャビティまたは複数のキャビティを有するものであれ、各部品が同一であり、音響上互いに区別がつかないとみなすことができる、同等の部品成形動特性及び凝固動特性を有するという仮定が有効ではなくなる恐れがある。音響インピーダンス等の容器の音響特性の仮定が有効でないと、
図1に概略的に示すような、従来利用可能であった技術を用いて、容器内の流体の音響特性(例えば、容器内の流体の音響インピーダンス等)を確認することが困難または不可能になり得る。
【0039】
例えば、
図1は、容器と容器の中の流体との特性を確認するための例示的な構成を概略的に示す。
図1において、音響変換器アセンブリ110が結合流体130を介して容器120(例えば、チューブ等のプラスチック容器)の底に結合されており、流体140が容器140内に配置されている。音響信号111が変換器110から発信され、様々な中間材を通って流体表面141における地点または流体表面141に近い地点に集束される。例えば、結合流体130と容器の底部121の底面122(BB)との界面、容器の底部121の上面123(TB)と流体140との界面、流体140の上面141と空気142との界面等の各界面において、音響信号の一部112が反射されて変換器110に戻り、デジタル情報に変換される。音響信号112が変換器110において誘起する電圧、音響信号112の周波数成分、及び初期の音響信号112後の時間が記録され、その後分析される。しかしながら、容器の底部121の音響インピーダンス(Z
3)が十分にわからないと、流体140の音響インピーダンス(Z
4)の正確な分析結果は得られない。変換器アセンブリ110の音響インピーダンス(Z
1)及び結合流体130の音響インピーダンス(Z
2)は既知である。流体140の音響インピーダンスを確実に測定することが不可能な場合、液体140を移動させるための音響出射パラメータ(焦点、音響信号111の周波数、変換器110に印加される電圧等)を参照用テーブルまたはデータベースから適切に選択することはできない。
【0040】
そのため、成形動特性における偏りの観察及び管理を容易にするために、部品(例えば、容器)または単一部品(例えば、容器)内の特徴部分は、金型(例えば、プラスチック用の射出成形用金型)内のどこで作り出されたのかを特定して追跡する機能を有することが望ましい。例えば、成形位置を追跡する機能により、その成形位置または金型から作られた部品の一般的な(例えば、平均の)音響インピーダンスの確定が容易になり、プラスチックについて仮定する機能を維持し、それに続いて対象の流体の特性を特定することが可能となる。この情報は、アクセス可能であり、定常操作中の迅速かつ明白な音響的な特性確認に適していることが望ましい。
【0041】
本明細書において提示されるシステム及び方法は、
図1に示す容器にいくつかの点で似ている音響容器に焦点を当てて記載される。なぜならば、当該音響容器は、流体を適切に検査して音響的な液滴射出を行うのに上記システム及び方法が使用可能である特に有用な実施例であるためである。しかしながら、本システム及び方法は、例えば、音響液体ハンドリングでの使用に適している、マルチウェルプレートまたはマイクロ流体消耗品装置等の他の形状因子を有する部品に広く適用可能である。いくつかの実施形態において、本容器は、多数個取り金型から作ることができ、
図1に示すものと同様の液体ハンドリング器具に無作為に提供することができる。そのため、各キャビティで成形された容器または部品の音響特性の確認を容易にするために、事前に測定した値または所定の値に基づいて金型の各キャビティから得た部品の音響特性を知ることができるように、各容器または各部品の上または内部に成形履歴特徴部を設けることが有用である。そのような履歴特徴部は、いくつかの実施形態において、金型から外された後にさらに修正する必要なくキャビティによって生成された全部品内に特定の標識特徴部を含むために金型自体に作られた幾何学的な特徴部を含む。あるいは、成形標識特徴部を検出する機能を高めるために、金型のキャビティから得た全ての部品に対して成形後に修正を行ってもよい。他の例示的な実施形態には、適切な標識を生み出す元となるキャビティに基づいて部品を修正することができるように、異なるキャビティから作られた部品に、成形後に別々の修正を加えることが含まれてもよい。成形後の特徴部の非限定的な例としては、反射音響信号を変更する、部品の表面に選択的にパターニングされる超疎水被膜、高分子構造を選択的に変更することで反射音響信号を変更するレーザーバーコード、部品上の便利な位置に作られた、エッチングによる微細構造または突出した微細構造、様々な量の音響信号を反射する様々な材料のオーバーモールディング、各パターンが金型位置に固有に対応するパターンの三次元印刷等が挙げられる。
【0042】
例えば、本システム及び方法のいくつかの実施形態は、(例えば、表面上同一の部品を作るために多数個取り金型を利用するのであれば)部品またはある部品(例えば、マルチウェルプレートにおける1つのウェル等)内の特徴部分が、金型内のどこで作り出されたのかを識別するために、金型に導入される固有の標識(パターンまたは識別子とも呼ばれる)を用いてもよい。標識は、多様な適切な特徴部、例えば、下記4つの特徴部のうちの1つ以上を含んでもよく、必要であれば、下記4つの特徴部の各々の組み合わせを有してもよい。
【0043】
(1)標識の特徴部は、音響的な特性確認及び液滴射出(移動)工程を実質的に阻害しない。
【0044】
(2)標識の特徴部は、部品または特徴部分が作られた金型の位置を固有に識別する。
【0045】
(3)標識の特徴部は、変換器からの音響信号を用いて読み取られ、その後判読可能である(例えば、同一の変換器であるが、同一の変換器に限定されない)、及び/または
(4)標識の特徴部は、液体ハンドリング器具の通常の操作に対して無害である。
【0046】
例えば、
図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る、標識を付けた容器220と容器220の中の流体240との特性を音響的に確認する例示的工程を概略的に示す。容器220等の各部品への金型識別特徴部の導入に伴い、各部品の音響インピーダンス(場合によっては、音速等の別の音響特性であってもよい)を特定する較正曲線を用意してもよく、部品の材料の音響特性に関して仮定してもよい。このような情報は、液体ハンドリング器具を用いて、これまでに構築された参照用テーブルにおいて用いることができ、流体の所望の液滴量を得るために、正確な音響的な液滴射出パラメータを選択することができる。流体240の音響インピーダンスは、特定の化合物の濃度(例えば、ジメチルスルホキシド、グリセロール等の割合)等の流体の特定の特性を報告するのに用いることもできるため、特に有用であり得る。例えば、
図2に示すように、容器220に埋め込まれた標識250(金型/キャビティ識別子)を用いて、容器220の特性を確認してもよく、流体240の音響インピーダンス(Z
4)を測定してもよい(ステップi)。ステップiは、例えば、音響信号を変換器210で発生させ、結合流体230を介して容器220及び流体240に当該信号を送信し、結合流体230を介して変換器210において音響反射を受信することを含む。標識250は、いかなる適した構成を有してもよく、当該構成は、例示的実施形態1~7を参照して本明細書に記載されたいかなる構成、及びそれらの適切な変形例を含むが、これらに限定されない。そして、Z
4の測定結果に基づいて音響的な液滴射出(ADE)のための情報を提供する、データベースの参照用テーブルにおいて、Z
4についての情報を用いてもよい(ステップii)。参照用テーブルは、以下の情報のうちの1つ以上、及び必要であれば以下の情報の全ての組み合わせを提供してもよい(ステップiii):流体音速;ADE用の最適な音響信号パラメータ;音響焦点;及び流体特性についての情報。これらの情報のいずれかを適切に用いてADEを行うことができ、必要に応じて、例えば、液体ハンドリング器具に接続されたディスプレイを介して、ユーザに流体特性を報告することができる。
【0047】
例えば、非限定的な一実施形態において、本システムは、少なくとも1つの側壁(例えば、側壁225)と、底部(例えば、底部221)とを含む容器(例えば、容器220)と、当該底部の上または内部に設けられた複数の凹部、溝、または突出部(例えば、標識250)とを含んでもよい。また、本システムは、上記底部を介して音響信号を送信するように構成された音響変換器(例えば、変換器210)を備えてもよい。複数の凹部、溝、または突出部は、音響信号が底部を通過する複数の飛行時間及び複数の音響信号電圧を提供する。音響変換器は、送信された音響信号の反射を受信するようにさらに構成されてもよい。また、当該システムは、反射に基づいて容器の音響インピーダンスを特定するように構成された、コンピュータ及び関連ソフトウェアアルゴリズム等の制御装置260を備えてもよい。上記制御装置260としては、例えば、プロセッサ261と不揮発性コンピュータ読み取り可能な媒体262とを備えるコンピュータ、及び当該コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶された関連ソフトウェアアルゴリズムが挙げられ、上記プロセッサが反射に基づいて容器の音響インピーダンスを特定するように構成されている。
【0048】
なお、
図2に示されたような実施形態及び本明細書中の他の箇所において、側壁225のどの適切な部分も「垂直」と見なされるように底部221に対していかなる適切な角度を有してもよい。例えば、底部221に対して約10°~90°の角度の範囲において側壁225の一部または全てを「垂直」とみなしてもよい。さらに、側壁225の部分ごとに底部221に対する角度が異なってもよい。例えば、
図2に示された非限定的な実施形態において、側壁225の第1の部分(例えば、下部分)が底221に対して第1の角度を有し、側壁225の第2の部分(例えば、上部分)が底部221に対して第2の角度を有してもよい。例えば、第1の角度は第2の角度より小さくてもよく、あるいは第1の角度は第2の角度より大きくてもよい。一実施例において、容器220の外面及び内面のうちのどちらか一方または両方がほぼ円錐となるように側壁225を構成してもよい。このような構成は、例えば、容器220内のデッドボリューム(dead volume)を減らしたり、さらに深さのある容器220の底部にはより容易に液体240を集めたりすることができる。
【0049】
別の実施例において、流体(例えば、流体240)を保持するように構成された容器(例えば、容器220)の特性を確認する方法は、当該容器を設ける工程と、底部(例えば、底部221)を介して音響信号を送信して、複数の凹部、溝、または突出部(例えば、標識250)が、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供する工程と、送信された音響信号の反射を受信する工程と、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とを含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、本標識(例えば、標識250)は、様々な設計考慮事項のいかなる適切な組み合わせを用いて実現されてもよい。上記設計考慮事項の例としては、例えば、以下に示す事項のうち1以上の事項が挙げられる:部品において詰まりを発生させる可能性のある特徴部(例えば、流体が残ってしまい、吸引または真空乾燥器では取り除きにくい尖った角)を避けることによって、結合流体とプラスチック間の相互作用を管理すること;流体の特性確認及び射出(移動)工程中の音響信号の経路外に標識の特徴部を配置すること;
及び/または上記部品の当該寸法と寸法的に共存でき、上記音響信号によって分解し得る、標識特徴部を利用する事。例えば、移動に用いる同一の変換器だけでなく、他の音響移動用途に用いる変換器によって生み出された波長で。
及び/または上記部品の当該寸法と寸法的に共存でき、上記音響信号によって分解し得る、例えば、移動に用いる同一の変換器だけでなく、他の音響移動用途に用いる変換器によって生み出された波長と互換性がある、標識の特徴部を利用する事。例えば、変換器が、25nLの液滴及び2.5nLの液滴の移動に対してそれぞれ250μm及び125μm程度の特性的波長を有してもよい。音響信号は、横方向の寸法がおよそ音響信号の半波長以上である特徴部を分解可能であると通常理解される。そのため、当該非限定的な実施例において、標識の1つ以上の特徴部は、25nLの器具に対して少なくとも約125μmの寸法、または2.5nLの器具に対して少なくとも約63μmの寸法を有する。いくつかの実施形態において、標識の特徴部は、容易に成形可能であるとともに、音響変換器によって分解可能となる(例えば、音響的な液滴射出に用いる同一の変換器をこれらの特徴の検出にも用いることができる)ように、互いに十分間隔をあける。このような設計考慮事項は、短波長の変換器及び長波長の変換器に適用してもよく、線形的に縮小または拡大してもよい。いくつかの実施形態において、標識の特徴に対する飛行時間に基づいた測定の感度は、音響受信機に接続された測定装置の標本化周波数(音響波の周波数を実質的に超える標本化周波数)に基づいた半波長より精密でもよい。例えば、変換器と容器の特徴部との間に水結合流体を設けた状態で、半波長の特徴部から反射された、10MHz音響信号を300MHz以上のアナログデジタル分解能で標本化することは、変換器から特徴部への距離に対し10ミクロン以下の精度を提供し得る。音響周波数、及び信号検出の時間分解能を上げることで、特徴検出のみならず、ソナー及び医用超音波診断の当業者には既知の他の技術をも改善することができる。
【0051】
さらに、音響波を集束するための変換器の位置は、変換器の測定時間及び分解能に影響を及ぼし得る。例えば、流体容器の底部に変換器の焦点を合わせずに、何らかの流体の特性確認を行うことがあるが、この場合、ある状況のもとでは、分解能が低くなってしまう可能性がある。別の実施例において、変換器は、小さな特徴部を分解する機能を向上するために、変換器の位置を下げて、金型識別特徴部の近くに音響信号を集束させてもよい。このような再集束のための移動には、可動システム、及び検査位置から特徴検出位置までの距離にもよるが、数十ミリ秒または数百ミリ秒の時間を要する場合がある。いくつかの実施形態において、1回の測定につき数百ミリ秒以上を要することもある、2次変換器、カメラ、またはレーザーシステム等の他の方法とは異なり、測定を行うのにさらに時間を要することなく、標識の特徴部を音響的に観察することができる。
【0052】
さらに、音響変換器は、ライフサイエンスにおいて音響液体ハンドリングに一般的に利用される標準的な容器材料及び流体を用いて動作するように構成されてもよい。本容器の好適に含まれ得る例示的なプラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンから成る群から選択されたプラスチックを含むが、これに限定されない。例えば、ポリプロピレン等の一般的に用いられる重合体は、2.5MRayl程度の音響インピーダンス値を有し、ライフサイエンス用途で最も一般的に移動される流体では、0.8MRayl~2.4MRaylの範囲である。ポリプロピレン等の重合体の音響インピーダンスにおけるばらつきは、音響成形工程に起因して、10分の数MRayl異なる場合がある。そのため、音響変換器は、当業者にとって既知の音響信号処理を用いて、この規模でのこれらの材料間の音響インピーダンスにおける違いを分解するように構成されてもよい。なお、この実施例は、本システム及び方法を、ポリプロピレンの音響インピーダンスまたは本明細書に記載された流体の音響インピーダンスに限定するものではない。
【0053】
本システム及び方法のいくつかの実施形態において、このような例示的な設計考慮事項及び他の設計考慮事項を用いてもよい。例えば、射出成形の実施者であれば、様々なプラスチックに対して離型を容易にするための抜き勾配が必要であると理解するであろう。
【0054】
非限定的な様々な実施形態、ならびにそのような実施形態において好適に実現され得る設計考慮事項の様々な実施例について、以下に記載する。
【0055】
いくつかの実施形態において、標識は、複数のチューブが対象の流体で充填され、(非限定的な一実施例において、96本のチューブのための個々のスペースを有する)ラック内に置かれるチューブ-ラック機構に対応している。このような実施形態において、標識(パターン)は、例えば、特定の軸に沿った位置合わせを要することなく(例示的実施形態4を参照して以下に記載される一実施例)、もしくは、チューブとラックの間の界面に位置合わせ特徴部を含むことによって、音響ビームにより都合よく読み取られるように配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、標識(固有の識別パターン)が所定の2箇所以上で複製されてもよい。非限定的な一実施形態は、チューブの外周に沿って(例えば、4回回転対称であってx軸y軸鏡面対称の)「3時、6時、9時、及び12時」の位置に配置された標識を含んでもよく、必要に応じて、適切な配置が容易になるように、対応する溝をラック内に設けてもよい。このような構成により、水平方向または垂直方向にラック内のチューブを走査することや、標識(パターン)を音響ビームの走査範囲内に設けることが容易になり得る。このような実施形態の非限定的な一実施例では、4つの切り込みを含むが、標識は外周に沿ってn回複製可能であり、標識の適切な位置合わせを容易にするためにm個の切り込み(nとmは異なる整数値であってもよい)を設けることができると認識されるべきである。パターン複製の回数が十分に多い場合(nは大きい数)、切り込みまたは位置合わせパターンは必ずしも必要でなくてもよい(例えば、完全な回転対称が保たれてもよい)。
【0056】
以下の記載では、特徴部が適切に位置合わせされることを想定しており、音響信号を用いて、部品が元々金型内のどの位置(または、同一の部品を作るのに2つ以上の金型が用いられるのであれば金型)で作られたのかを特定する所望の機能を実現するために使用可能な様々な非限定的なパターニング技術及び読み取り技術を詳細に示す。
【0057】
(例示的実施形態1:0または1を示す、音響的に読み出される窪み)
情報(標識)を符号化する非限定的な1つの手法は、特徴部分(例えば、ウェル)または部品(例えば、金型内のキャビティの番号)の位置を符号化するために2値情報を用いる。例えば、
図3は、容器320に標識を付けて、
図2を参照して本明細書に記載されたような方法で容器320の特性を音響的に確認するために容器320に設けることができる、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的な特徴部を概略的に示す。より具体的には、
図3は、容器320内のADEの音響経路外の箇所にデジタル情報をパターニングするための例示的な実施形態を示す。
図3の拡大挿入図(A~D)は、音響容器320の外周またはマルチウェルプレート320のウェルの近くにおいて標識のデジタル特徴をパターニングする方法の実施例を示す(A~Cは容器の側面図であり、Dは容器の底面図である)。挿入図下のそれぞれのグラフは、戻り音響飛行時間(ToF)信号の理想的な解釈を示す。いくつかの実施形態において、標識の特徴部は、流体のピン止めを低減または抑制するために尖った角を減らすかなくす等、1つ以上のADEの設計上の制約に対して適切に対応してもよく、あるいは、乾燥作業を可能にしながら流体及び容器の結合を維持するために適切なサイズを有してもよい。いくつかの実施形態において、パターンは、ラインに沿ってチューブから次のチューブへの平行移動中に読み取られるように、例えば
図3に示すように、1次元(1D)であってもよい。他の実施形態において、パターンは、第2の次元が変換器の主軸に沿う、つまり
図3(例えば、
図3の頁の表側と裏側)に示す移動軸に垂直な軸に沿う2次元(2D)であってもよい。
図3の挿入
図Aは、変換器310の主軸に沿ってビットをコード化できる例示的実施形態を示す。
図3の挿入
図Bは、x及びy並進軸のうちの1つを変えることによってビットを符号化することができる実施形態を示す。なお、このような特徴の他の適切な組み合わせを容易に想像でき、例えば、移動軸に沿って独自のアスペクト比を提供すること等が想像できる。さらに、
図3の挿入
図A及びBは、標識の凹んだ特徴を示すが、好適には、部品320の底面から突出した特徴であってもよく、部品320内に凹んだ特徴であってもよく、或いは2つの状態または構成の組み合わせであってもよい。例えば、挿入
図Cは、ビットが、凹んだ特徴部ではなく隆起した特徴部で符号化される実施形態を示す。
【0058】
図3に示すような部品320から得られる音響信号は、部品320の底部の底面(BB)(例えば、
図2を参照して本明細書に記載されたようなチューブまたは容器220の底部221の底面222(BB))からの音響信号のToF(例えば、音響信号が初めに送信されてから反射した音響信号が変換器310に戻るまでの総時間)を有してもよい。(標識の深い凹部に対応する)「1」を示すあるToFと、(標識の浅い凹部に対応する)「0」を示す別のToF値とからなる2つの異なるToF値を変換器310が受け取ってもよい。「ビット」のパターンは、1次元であってもよく、これにより、比較的早く情報を提供することができて、なおかつ位置合わせの必要がなく回転方向に冗長であり得る。あるいは、「ビット」のパターンは、例えば、x‐yグリッド調査を実行するために、2次元であってもよく、これにより、場合によって実行速度はより遅くなり得るが、場合によってはより高い情報密度を提供することができる。液体ハンドリング機器は、変換器310によって検出されたToFにおける小さな変化を確実に分解してもよい。例えば、深さが数十ミクロンずつ互いに異なる特徴部であれば、5MHzまたは10MHzのいずれかの音響検出パルスを用いる液体ハンドリング機器が確実に区別することが可能なToFを提示することができる。高い可聴周波数を用いて、測定対象である特徴部に焦点を合わせることを最適化することによってより高い感度を得ることができる。いくつかの実施形態において、戻り音響信号は、0及び1に対する固有のToF等の絶対値を含んでもよく、あるいは、部品のパターニングされていない部分におけるToFまたはパターン自体の中にあるToF等、部品上の他の音響信号に関連してもよい。
【0059】
この実施形態の非限定的な一実施例は、それぞれ1または0に対応する6つの固有のビットを有するビット単位のパターニング形式において配列された64個の固有のパターンを容器の底面上または底面内に有する。この実施例において、各ビットは音響変換器によって1または0として特定されてもよい。なお、各特徴が2ビット以上の情報を提供するように移動軸に沿って独自のアスペクト比を提供する等、このような特徴の他の適切な組み合わせを容易に想像することができる。このような実施形態は、様々な幾何学的パターン及び寸法に広く拡張可能であり、本明細書に記載された教示に基づいて当業者によって最適化することができる。
【0060】
(例示的実施形態2:長さ、アスペクト比、または深さが異なる窪み)
本発明の非限定的な別の実施形態において、本標識は、3次元パターニングを利用することによって、更なる情報を伝達してもよい。当該3次元パターニングは例えば、部品上の金型位置からの情報を固有に符号化するために、パターンの長さ、アスペクト比、深さ、頻度、または他の幾何学的形状等から好適に選択することができる。このような実施形態は、特徴部が1及び0に変換されるよりも本質的により「アナログ」であるとみなされ得るので、特定の1次元または2次元の実施形態より高い分解能であってもよい。
【0061】
例えば、
図4は、容器420に標識を付けて、
図2を参照して本明細書に記載されたような方法で容器420の特性を音響的に確認するために容器420に設けることができる、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的な特徴部を概略的に示す。特徴の下のグラフは、戻り音響ToF信号の理想的な解釈を示す。より具体的には、
図4は、読み取り対象となる特徴部の大きさ及び形状が金型内のそれぞれの位置と関連付けられている、より「アナログ」型の形式でADEの音響経路外の箇所に、固有の形状および幾何学的な配列を有するパターンの非限定的な実施形態を示す。3つの次元全て、つまり、x移動軸、y移動軸、及び変換器410のz軸を、(例えば、標識の特徴部の形で)情報を符号化するのに用いてもよい。なお、BBのToFは、大きさ(グラフにおける各ピークの高さ)と、変換器による特徴部(各ピークの幅)の走査時間とが異なる。このような形式の例示的な1つの特徴は、より複雑な情報を所定量のスペース内に記憶することができるということである。
【0062】
一実施例において、10ミクロン分解能で特徴部の深さの差異の分解と、20ミクロンずつ深さが異なる4つの可能な特徴部の深さの分解とができる音響システムに基づいて、最も深い特徴部の深さと最も浅い特徴部の深さとの違いが60ミクロンである特徴部で2ビットを符号化してもよい。より深い深さ範囲またはより細かい工程サイズを、容器寸法、音響周波数、容器材料等に基づいて好適に用いてもよい。
【0063】
(例示的実施形態3:エアギャップを導入する超疎水性の設計上の特徴)
非限定的な別の実施形態において、BBのToFに対する代替の読み取り方法は、BBの音響反射から戻る電圧(BBピーク間電圧、以下「BBVpp」と呼ぶ)を利用することである。部品(例えば、容器)に与えられたパターンは、一つ以上の超疎水性特徴部を有してもよい。特徴部は、極小柱状アレイ等であり、音がプラスチックをより均一に伝わる(例えば、結合流体とプラスチックとの間にエアギャップがない)領域よりもより高い音響信号電圧を戻すために、結合流体とプラスチックとの界面において、一つ以上のエアギャップを意図的に導入している。このようなエアギャップは、例示的実施形態1を参照して上述されたのと同様の方法により、1及び0のデジタル形式でパターニングされてもよい。或いは、このようなエアギャップは、例示的実施形態2を参照して上述されたのと同様の方法により、1次元または2次元のアナログ形式でパターニングされてもよい。例えば、BBのToFが同時に考慮されるか、またはBBVppが深さ寸法に沿った距離の関数として適切に分解される実施形態において、第3の次元、深さを任意に用いてもよい。このような実施形態の例示的な特徴は、BBVppを音響的に読み取る際の高められた感度、及び結合流体とプラスチックとの相互作用の比較的容易な管理対策のうちの1つ以上を有してもよい。
【0064】
例えば、
図5は、容器520に標識を付けて、
図2を参照して本明細書に記載されたような方法で容器520の特性を音響的に確認するために容器520に設けることができる、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的な特徴部を概略的に示す。より具体的には、
図5は、変換器510に対する音響信号の反射を増やすために、結合流体と部品(例えば、容器)のプラスチックとの間に導入される、空気を含む割れ目等の、ADEの音響経路外の箇所に設けられた疎水性特徴部を標識が有する実施形態の非限定的な実施例を示す。いくつかの実施形態において、このような割れ目は、容器のプラスチックに対して極小柱状アレイ等の疎水性特徴部をパターニングすることによって設けてもよい。挿入図の下のグラフは、ToFの代わりに読み取り可能な、流体と空気との界面において上昇する電圧を示す。
図5に示された挿入
図Aは、意図的にプラスチックから結合流体を切り離す凹んだノッチを含む例示的実施形態を示す。
図5に示す挿入
図Bは、類似の特徴部を用いる「アナログ」型の符号化体系を含む例示的な実施形態を示す。
図5に示す挿入
図Cは、隆起した疎水性特徴部を用いるデジタルパターニングを含む例示的な実施形態を示す。なお、挿入
図A~Cの非限定的な実施形態は比較的鋭いエッジを有するように示されているが、このようなエッジは、流体ピン止めを低減または抑制するために、曲線であってもよく、または好適に形作られてもよい。
【0065】
(例示的実施形態4:音響ビームの経路におけるプラスチックの厚さのばらつき)
別の実施形態において、標識(例えば、金型の位置を識別する特徴部)が、容器と容器の中の流体との界面または部品の底部の上面(TB)に配置されてもよい。例えば、TBの音響信号とBBの音響信号とのToFにおける(2で割れる)差は、音響信号が部品または容器の底部、例えばプラスチックを一方向に移動するのにかかる総時間を示す。ToFにおける当該差(2で割れる)は、膜厚、つまり結合流体と容器内の流体との媒介物である部品(例えば、音響管)の底部の厚さに変換することが可能である。部品の膜厚は、金型内の様々な位置で得られた部品に意図的に導入される膜厚差を分解するために変えられてもよい。或いは、部品の膜厚を変えるためにBBのToF(変換器へのBBの距離)だけ変えられてもよい。いくつかの実施形態において、2つ以上の音響信号を好適に用いてもよいが、ToFにおける当該差を得るために単一の音響信号のみを用いてもよい。なお、膜は任意にADEの音響経路にあってもよい。
【0066】
例えば、
図6は、容器620に標識を付けて、
図2を参照して本明細書に記載されたような方法で容器620の特性を音響的に確認するために容器620に設けることができる、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的な特徴部を概略的に示す。より具体的には、
図6は、(任意に)ADEの音響経路沿い及び経路内に可変の膜厚をパターニングすることを含む実施形態を示す。当該実施形態において、金型内のウェルの位置を識別するために、膜厚、例えば、変換器610からのBBとTBとの距離の差を部品間で変更できてもよい。例えば、各部品が互いに音響上区別がつくように、固有の膜厚が金型/キャビティ内の各部品に与えられてもよい。挿入図の下のそれぞれのグラフは、戻り音響飛行時間(ToF)信号の理想的な解釈を示す。
図6に示す挿入
図Aは、TBのToFが変えられる一例示的実施形態を示す。
図6に示された挿入
図Bは、BBのToFが変えられる別の例示的実施形態を示す。
図6に示された挿入
図Cは、流体の特性を確認してADEを行うのに利用される音響信号認識が依然として適切に機能するように、TBのToFがより高い(より長い)別の例示的な実施形態を示す。
【0067】
(例示的実施形態5:1つ以上のヌルスペース(null space)解決策とともにマウンド撮像アルゴリズムを利用する例示的特徴)
非限定的な別の実施形態において、プラスチックにおいて固有の形をした窪みと相互に作用する音響信号の戻り複素周波数成分を調べる代替の読み取り方法を用いてもよい。例えば、
図7は、容器720に標識を付けて、
図2を参照して本明細書に記載されたような方法で容器720の特性を音響的に確認するために容器720に設けることができる、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的な特徴部を概略的に示す。より具体的には、
図7は、「マウンド」が流体表面に形成された後に戻り音響信号の複素周波数成分を調べることによって流体の音響特性を判定することができるということを示す。マウンドの形状は、信号の「ヌルスペース」(音響信号のフーリエ空間における目標とする最小量)を特定するために解釈可能な独自の音響信号を生成することができる。いくつかの実施形態において、金型の位置に固有のヌルスペース識別子を作成するために、特定の深さ、形状および特定の直径を有する(または楕円形の)窪みを、音響射出窓以外の箇所に作ってもよい。そのような実施形態は、よりアナログな情報伝達方法を示すことができ、部品に設ける特徴部の数が少なくてもよいという利点を有する。
【0068】
例えば、非限定的な一実施形態において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認するシステムは、上記容器を備える。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成され、且つ横方向の寸法に沿って変動する厚さを有する底部とを備えてもよい。上記システムは、上記底部を介して音響信号を送信するように構成された音響変換器をさらに備えてもよく、変動する上記厚さは、上記底部を上記音響信号が通過する複数の飛行時間を提供する。上記音響変換器は、送信された音響信号の反射を受信するようにさらに構成されてもよい。上記システムは、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定するように構成された、コンピュータ及び関連ソフトウェアアルゴリズム等の、制御装置をさらに備えてもよい。
【0069】
非限定的な別の実施形態において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認する方法は、そのような容器を提供する工程と、上記底を介して音響信号を送信する工程と、送信された音響信号の反射を受信する工程と、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とをさらに含んでもよい。変動する厚さが、上記音響信号が上記底を通過する複数の飛行時間を提供する。
【0070】
(例示的実施形態6:音響インピーダンスを変えるために複数の材料のオーバーモールディングを利用する例示的特徴)
非限定的な別の実施形態において、代替の符号化方法を利用してもよく、それにより識別特徴が、1つ以上の(非限定的な実施例としてポリマー、金属、及びセラミックが含まれる)追加材料をオーバーモールディングすることによって、上記容器と比較して音響的に区別可能なインピーダンス値を使って、最初の容器から区別され、金型特有のまたは空洞特有の識別子のパターンになる。そのような実施形態において、当該パターンが変換器によって音響的に分解されることを促進することができる区別特徴が、(実施形態3に類似の)様々なBB電圧値を示してもよい。
【0071】
(例示的な実施形態)
非限定的な一実施例において、流体を保持するように構成された容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供するために上記底部の上または内部に複数の凹部、溝、または突出部を含む底部とを備える。このような容器の実施例は、本明細書において、例えば
図2~5及び
図7を参照して提供される。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部の第1の部分集合は、上記音響信号の第1の飛行時間を提供する第1の深さを含み、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合は、上記音響信号の第2の飛行時間を提供する第2の深さを有し、上記第1の深さは上記第2の深さと異なる。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第1の凹部、溝、または突出部は、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第2の凹部、溝、または突出部と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射の振幅を増減させるように構成された疎水性領域を有する。例えば、いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置するように構成されている。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記容器は、マルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部は、上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記側壁及び上記底部はプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される。
【0078】
別の態様において、流体を保持するように構成された容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記音響信号が上記底部を通過する飛行時間に基づいて上記容器を識別可能なように選択された厚さを有する底部とを備える。このような容器の実施例は、本明細書において、例えば
図6を参照して提供される。
【0079】
さらに別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認する方法は、上記容器を提供する工程を含む。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記底部の上または内部に複数の凹部、溝、または突出部を含む底部とを備えてもよい。上記方法は、上記底部を介して音響信号を送信する工程を含んでもよく、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供する。上記方法は、送信された音響信号の反射を受信する工程と、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とをさらに含んでもよい。当該方法の実施例は、本明細書において、例えば
図2~5及び
図7を参照して提供される。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記反射に基づいて上記底の厚さを特定する値をコンピュータ読み取り可能媒体から読み出す工程を含む。上記容器の上記音響インピーダンスを特定する上記工程は、上記底部の上記厚さを特定する読み出された上記値に基づいてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部の第1の部分集合は、上記音響信号の第1の飛行時間を提供する第1の深さを有し、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合は、上記音響信号の第2の飛行時間を提供する第2の深さを有し、上記第1の深さは上記第2の深さとは異なる。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第1の凹部、溝、または突出部は、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第2の凹部、溝、または突出部と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射を増大させるように構成された疎水性領域を有する。例えば、いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置する。いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置する。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記容器はマルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部は上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する。
【0086】
いくつかの実施形態において、上記側壁及び上記底部はプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択される。
【0087】
別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認する方法は、上記容器を提供する工程を含む。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成され、且つ厚さを有する底部とを備えてもよい。上記方法は、送信された音響信号の反射であって、上記厚さを通過する飛行時間を有する反射を受信する工程と、上記飛行時間に基づいて上記容器を識別する工程と、上記識別結果に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定する工程とを含んでもよい。当該方法の実施例は、本明細書において、例えば
図6を参照して提供される。
【0088】
さらに別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認するシステムは、上記容器を備える。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成された底部であって、上記底部の上または内部に複数の凹部、溝、または突出部を含む底部とを備えてもよい。上記システムは、上記底部を介して音響信号を送信するように構成された音響変換器をさらに備えてもよく、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号が上記底部を通過する複数の飛行時間を提供する。上記音響変換器は、送信された音響信号の反射を受信するようにさらに構成されてもよい。上記システムは、上記反射に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定するように構成された制御装置をさらに備えてもよい。当該システムの実施例は、本明細書において、例えば
図2~5及び
図7を参照して提供される。
【0089】
いくつかの実施形態において、上記システムは、コンピュータ読み取り可能媒体をさらに備える。上記制御装置は、上記反射に基づいて上記底部の厚さを特定する値を上記コンピュータ読み取り可能媒体から読み出し、上記底部の上記厚さを特定する上記値に基づいて上記容器の上記音響インピーダンスを特定するように構成されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部の第1の部分集合は、上記音響信号の第1の飛行時間を提供する第1の深さを有し、上記複数の凹部、溝、または突出部の第2の部分集合は、上記音響信号の第2の飛行時間を提供する第2の深さを有し、上記第1の深さは上記第2の深さとは異なる。
【0091】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第1の凹部、溝、または突出部は、上記複数の凹部、溝、または突出部のうちの第2の凹部、溝、または突出部と、異なる長さ、アスペクト比、または深さを有する。
【0092】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記音響信号の反射を増大させるように構成された疎水性領域を有する。例えば、いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、疎水性極小柱状アレイを備える。
【0093】
いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路外の箇所に位置する。いくつかの実施形態において、上記複数の凹部、溝、または突出部は、上記流体と上記音響信号を発生させる音響変換器との間の音響経路沿い及び経路内に位置する。
【0094】
いくつかの実施形態において、上記容器はマルチウェルプレートを備え、上記少なくとも1つの垂直側壁のうちの1つの垂直側壁及び上記底部は上記マルチウェルプレートの単一のウェルに対応する。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記側壁及び上記底部はプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、上記プラスチックは、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリプロピレン、及びポリスチレンからなる群より選択されてもよい。
【0096】
さらに別の態様において、流体を保持するように構成された容器の特性を確認するシステムは、上記容器を備える。上記容器は、少なくとも1つの垂直側壁と、上記少なくとも1つの垂直側壁に連結され、音響信号を受信するように構成され、且つ厚さを有する底部とを備えてもよい。上記システムは、上記底部を介して音響信号を送信するように構成された音響変換器を備えてもよい。上記音響変換器は、送信された音響信号の反射であって、上記厚さを通過する飛行時間を有する反射を受信するようにさらに構成されてもよい。上記システムは、上記飛行時間に基づいて上記容器を識別し、上記識別結果に基づいて上記容器の音響インピーダンスを特定するように構成された制御装置をさらに備えてもよい。当該システムの実施例は、本明細書で、例えば
図6を参照して提供される。
【0097】
(他の代替の実施形態)
本発明の具体的な実施形態を記載したが、記載された実施形態と同等である他の実施形態も存在するということを当業者は理解するだろう。したがって、本発明は、具体的に図解された実施形態によって限定されるものではなく、請求項の範囲によってのみ限定されることが理解される。
【0098】
(関連出願のクロスリファレンス)
本願は、2015年10月12日に出願され、発明の名称が「容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認する、システム及び方法」である米国仮特許出願62/240,412の利益を主張する。当該米国仮特許出願の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】所定の特性を有する音響変換器に連結された容器と、容器の中の流体とを含む構成を概略的に示す。上記構成において、上記流体の音響インピーダンス及び上記容器の底部の音響インピーダンスは不明である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、標識を付けた容器と容器の中の流体との特性を音響的に確認する例示的な工程を概略的に示す。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態に係る、容器に標識を付けて、容器の特性を音響的に確認するために容器に設けることができる例示的な特徴部を概略的に示す。