(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】試料における干渉物質の決定
(51)【国際特許分類】
G01N 33/72 20060101AFI20221005BHJP
G01N 33/86 20060101ALI20221005BHJP
C12N 9/50 20060101ALI20221005BHJP
C12N 9/14 20060101ALI20221005BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20221005BHJP
C12Q 1/26 20060101ALI20221005BHJP
C12Q 1/37 20060101ALI20221005BHJP
C12Q 1/34 20060101ALI20221005BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01N33/72 B
G01N33/86
C12N9/50
C12N9/14
C12N9/02
C12Q1/26
C12Q1/37
C12Q1/34
C12M1/34 B
(21)【出願番号】P 2019528040
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2017082614
(87)【国際公開番号】W WO2018109004
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-26
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】リヒテ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】タウン,マイケル-ハロルド
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06326208(US,B1)
【文献】特開平07-231795(JP,A)
【文献】特開2003-319797(JP,A)
【文献】特公昭51-005600(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第105866445(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101666806(CN,A)
【文献】特開平03-010696(JP,A)
【文献】NOWELL, S. A. et al.,Identification of Enzymes Responsible for the Metabolism of Heme in Human Platelets,JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,The American Society for Biochemistry and Molecular Biology,1998年12月11日,vol.273, No.50,pp.33342-33346
【文献】KOPEC, M. et al.,The antithrombin activity of glucuronic esters of bilirubin,JOURNAL OF CLINICAL PATHOLOGY,1961年09月01日,vol.14, No.5,pp.478-481
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の血液由来試料における抱合型ビリルビンを決定するための方法であって、
a)前記試料におけるトロンビン時間の値を決定し;
b)a)において決定したトロンビン時間の値を、少なくとも1つの参照試料において決定したトロンビン時間の値に対して比較し;そして
c)比較工程b)の結果に基づいて、被験体の血液由来試料における抱合型ビリルビンを決定する
工程を含み、
ここで工程a)が、フォトオプティカルアッセイで、前記試料におけるトロンビン時間の値を決定する、前記方法。
【請求項2】
工程a)が、比濁法によって、前記試料におけるトロンビン時間の値を決定する、請求項1の方法。
【請求項3】
工程a)が、
a1)前記試料をトロンビンと接触させ;
a2)試料をトロンビンと接触させた後、第一の時点で、前記試料における透過関連パラメータの第一の値を決定し;
a3)試料をトロンビンと接触させた後、第二の時点で、前記試料における透過関連パラメータの第二の値を決定し;そして
a4)下位工程a2)およびa3)の結果に基づいて、トロンビン時間の値を決定する
下位工程を含む、請求項1または2の方法。
【請求項4】
工程b)が、
b1)あらかじめ決定した非同一濃度の抱合型ビリルビンを有する、少なくとも2つの較正物質試料を提供し;
b2)前記較正物質試料の各々に関して、トロンビン時間の値を決定し;そして
b3)下位工程b2)において決定した値に基づいて、検量線を提供する
下位工程を含む、請求項1~3のいずれか一項の方法。
【請求項5】
工程b)が、
b1)あらかじめ決定した非同一濃度の抱合型ビリルビンを有する、少なくとも2つの較正物質試料を提供し;
b2)前記較正物質試料の各々に関して、工程a)の下位工程にしたがって、トロンビン時間の値を決定し;そして
b3)下位工程b2)において決定した値に基づいて、検量線を提供する
下位工程を含む、請求項3の方法。
【請求項6】
工程b1)において、あらかじめ決定した非同一濃度の抱合型ビリルビンを有する、少なくとも3つの較正物質試料を提供する、請求項4または5の方法。
【請求項7】
工程b1)において、あらかじめ決定した非同一濃度の抱合型ビリルビンを有する、少なくとも5つの較正物質試料を提供する、請求項4~6のいずれか一項の方法。
【請求項8】
前記試料が、クエン酸血漿試料である、請求項1~
7のいずれか一項の方法。
【請求項9】
ビリルビンオキシダーゼEC 1.3.3.5および/またはベータ-グルクロニダーゼEC 3.2.1.31と前記試料のアリコットを接触させ、そして前記
接触させたアリコットにおける前記トロンビン時間の値を決定する工程をさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項の方法。
【請求項10】
総ビリルビンの値を決定し、そして総ビリルビンおよび抱合型ビリルビンに関して決定した値から、遊離ビリルビンを計算する工程をさらに含む、請求項
9の方法。
【請求項11】
前記被験体が、ビリルビン脳症を発展させるリスクを有する被験体である、請求項1~
10のいずれか一項の方法。
【請求項12】
前記被験体が、抗凝固療法を
適用されていない被験体である、請求項1~
11のいずれか一項の方法。
【請求項13】
前記決定が定量的決定である、請求項1~
12のいずれか一項の方法。
【請求項14】
不十分な品質を有する血液由来試料を同定するための方法であって、
A)請求項1~
13のいずれか一項記載の方法に従って抱合型ビリルビンを決定し;
B)工程A)の結果を品質参照に対して比較し;そして
C)比較工程B)の結果に基づいて、不十分な品質を有する試料を同定する
工程を含む、前記方法。
【請求項15】
請求項
14の方法であって、以下の条件の少なくとも1つを評価する工程を含み、そして以下の条件の少なくとも1つが満たされている場合、前記試料が不十分な品質を有すると同定する、前記方法:
i)前記試料における凝固時間関連パラメータの値が、品質参照より高く、そしてビリルビンオキシダーゼおよび/またはベータ-グルクロニダーゼでの前記試料の処理後、凝固時間関連パラメータの値が有意により低い;および
ii)決定した抱合型ビリルビンの濃度が、1mg/dlより高い。
【請求項16】
ii)において、決定した抱合型ビリルビンの濃度が、2.5mg/dLより高い、請求項15の方法。
【請求項17】
不十分な品質を有すると同定される試料が、臨床化学分析から排除される、請求項
14~16のいずれか一項の方法。
【請求項18】
血液由来試料において、抱合型ビリルビンを決定するためのデバイスであって、分析装置および評価装置を含み、
(I)前記分析装置が、前記試料におけるトロンビン時間の値を決定するため
の手段を含んでおり、ここで前記トロンビン時間の値が、フォトオプティカル法によって決定され、そして
(II)前記評価装置が、分析装置によって決定したトロンビン時間の値を抱合型ビリルビンに関する参照に対して比較するための明確に組み込まれたアルゴリズムを含むメモリ装置を含む
前記デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体の血液由来試料における非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法であって、a)前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;b)a)において決定した凝固時間関連パラメータの値を、少なくとも1つの参照試料において決定した前記凝固時間関連パラメータの値に対して比較し;そしてc)比較工程b)の結果に基づいて、被験体の血液由来試料における前記非抗凝固剤干渉物質を決定する工程を含む、前記方法に関する。さらに、本発明は、不十分な品質を有する血液由来試料を同定するための方法であって、前述の方法、ならびに該方法に関連するデバイス、キット、および使用にしたがって、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を決定する工程を含む、前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床化学における血液試料の分析は、しばしば、試料において、用いるアッセイに干渉する化合物の存在によって混乱する。最も顕著な混乱要因は、大部分、溶血によって試料中に放出されるヘモグロビン;特に黄疸を患う患者の試料におけるビリルビン、および特に脂質症患者由来の試料における脂質濃度増加であり;これはまた、溶血、黄疸および脂質症(HIL)干渉としても知られる。
【0003】
HIL干渉の検出および報告は、伝統的に、実験室職員による個々の標本の視覚的検査によって行われてきている;しかし、このプロセスは、非常に主観的であり、そして変動しやすい。近年、血清または血漿試料に関するHIL状態の自動化検出を提供する臨床化学分析装置が始動し、そしてHIL濁度指数値を報告してきている(例えば、Shinら(2014), Ann Lab Med 34:307; Boydら(2015), Clin Chim Acta 450:3を参照されたい)。HIL指数(閾値レベルとしてもまた知られる)は、分光光度測定および数学的補正を用いて、干渉レベルを決定する、HIL干渉の半定量的概算である。臨床化学分析装置において、これらの指数は、通常、分析物と干渉するHILの最低濃度として定義され、>10%のバイアスを生じる。
【0004】
HIL指数は前分析アルゴリズムにおいて用いられ得て、これらのそれぞれのin vitro診断キットまたは分析装置の製造者によって推奨され、明記される警戒指数を超えた場合に、分析用試料を拒絶する。あらかじめ定義されたHIL指数は、分析装置特異的であり、そして基本的に、いくつかの選択される波長での吸光度読み取りに基づく。ビリルビン、ヘモグロビン、および脂肪血症の吸光度スペクトルは、ある程度重複するため、HIL指数の計算は、半定量的であるのみである。例えば、ヘモグロビンの吸光度スペクトルは、ビリルビンのスペクトルの大部分と重複し、したがって、溶血の存在下での黄疸の度合いまたはその逆の概算は、測光法を用いた際のHIL測定には困難な課題である。
【0005】
ビリルビン定量化は、主に、ジアゾカップリング反応(US 6,326,208 B1)に基づいて行われる。ビリルビンおよびジアゾベンゼン-p-スルホン酸は、中性溶液中では赤、そしてアルカリ溶液中では青の有色産物(アゾビリルビン)を生じる(バン-デン-ベルグ反応)。非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)は、生理学的pHおよび温度では水に不溶性であるため、アゾ色素とゆっくりと反応する。グルクロン酸にコンジュゲート化されたビリルビン(bilic)は、水溶性であり、そして迅速に反応する。biliu反応は、いわゆる加速物質、例えばメタノールまたはカフェインによって加速されうる(WaltersおよびGerarde(1970), Microchemical Journal 15:231; Valdesら(1979), Annal. Clin. Lab. Science 9(3):251)。反応は通常、アスコルビン酸の添加によって停止され、そして色素の消衰を540nmで分光光度計で読み取る。典型的には、これらのアッセイは、有害化学化合物の使用を必要とする。例えば、ニホンウナギ(Japanese eel)筋肉由来のビリルビン誘導性蛍光タンパク質を用いることによって、こうした化合物を置き換えようと試みる努力がなされてきた(Iwataniら(2016), Scientific Reports, doi 10.1038/srep28489)。ビリルビンオキシダーゼを使用する酵素法もまた知られる。ビリルビンオキシダーゼは、ビリルビンからビリベルジンへの酸化を触媒する際、450nmの吸光度を減少させる。慣用的方法(ジアゾ法、ビリルビンオキシダーゼ法、または分光光度法)の主な不都合な点は、結果が、血清試料における濁度によって影響されることである。例えば、ビリルビンオキシダーゼ法は、450nmの吸光度における変化を監視することによって、ビリルビンレベルを測定するが、この吸光度は、ヘモグロビンまたは脂質エマルジョンによる濁度によって影響される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Shinら(2014), Ann Lab Med 34:307
【文献】Boydら(2015), Clin Chim Acta 450:3
【文献】WaltersおよびGerarde(1970), Microchemical Journal 15:231
【文献】Valdesら(1979), Annal. Clin. Lab. Science 9(3):251
【文献】Iwataniら(2016), Scientific Reports, doi 10.1038/srep28489
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当該技術分野に知られる方法の不都合な点、例えば毒性化学化合物の使用、および濁った試料によって引き起こされる問題を考慮すると、血液試料における干渉化合物、特に凝固および/または臨床化学アッセイに干渉する化合物の存在を検出し、先行技術の欠点を回避するための、改善された方法に関する必要性がある。この問題は、本明細書に開示する手段および方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、被験体の血液由来試料における非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法であって、
a)前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;
b)a)において決定した凝固時間関連パラメータの値を、少なくとも1つの参照試料において決定した前記凝固時間関連パラメータの値に対して比較し;そして
c)比較工程b)の結果に基づいて、被験体の血液由来試料における前記非抗凝固剤干渉物質を決定する
工程を含む、前記方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】Roche t711凝固分析装置上における、APTT試薬を用いたコンジュゲート化ビリルビン(bilic)の決定のための検量線。正常血漿プールに、増加する量のコンジュゲート化ビリルビンをスパイクした。
【
図2】Roche t711凝固分析装置上における、APTT試薬を用いたコンジュゲート化ビリルビン(bilic)の決定のための検量線。病的血漿プールに、増加する量のコンジュゲート化ビリルビンをスパイクした。
【
図3】Roche t711凝固分析装置上における、APTT試薬を用いた非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)の決定のための検量線。正常血漿プールに、増加する量の非コンジュゲート化ビリルビンをスパイクした。
【
図4】Roche t711凝固分析装置上における、APTT試薬を用いたヘモグロビンの決定のための検量線。正常血漿に、増加する量のヘモグロビンをスパイクし、そしてRoche APTT LS試薬を用いて、活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイに供した。
【
図5】Roche t711凝固分析装置上における、APTT試薬を用いたトリグリセリドの決定のための検量線。正常血漿に、増加する量のIntralipid(登録商標)をスパイクし、そしてRoche APTT LS試薬を用いて、活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイに供した。
【
図6】Roche t711凝固分析装置上における、APTT試薬を用いたトリグリセリドの決定のための検量線。病的血漿プールに、増加する量のIntralipid(登録商標)をスパイクし、そしてRoche APTT LS試薬を用いて、活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイに供した。
【
図7】Roche Cobas t711凝固分析装置上における、トロンビン時間試薬を用いたコンジュゲート化ビリルビン(bilic)の決定のための検量線。正常血漿プールに、増加する量のコンジュゲート化ビリルビンをスパイクした。
【
図8】Roche Cobas t711凝固分析装置上における、トロンビン時間試薬を用いたコンジュゲート化ビリルビン(bilic)の決定のための検量線。病的血漿プールに、増加する量のコンジュゲート化ビリルビンをスパイクした。
【
図9】Roche Cobas t711凝固分析装置上における、トロンビン時間試薬を用いた非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)の決定のための検量線。正常血漿プールに、増加する量の非コンジュゲート化ビリルビンをスパイクした。
【
図10】Roche Cobas t711凝固分析装置上における、トロンビン時間試薬を用いたヘモグロビンの決定のための検量線。病的血漿に、増加する量のヘモグロビンをスパイクした。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、in vitro法である。さらに、該方法は、上に明白に言及されるものに加えて、工程を含んでもよい。例えば、さらなる工程は、例えば、工程a)のための試料を提供するか、または工程b)のための適切な参照試料を提供することに関してもよい。干渉物質を決定するための方法が含んでもよいさらなる工程は、本明細書で以下に明記される。さらに、前記工程の1またはそれより多くを自動化装置によって実行してもよい。
【0012】
以下で用いるような用語「有する(have)」、「含む(comprise)」または「含まれる(include)」あるいはそのあらゆる任意の文法的変形は、非排他的な方式で用いられる。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で記載される実体に、さらなる特徴はまったく存在しない状況、および1またはそれより多いさらなる特徴が存在する状況の両方を指すことも可能である。例えば、表現「AはBを有する」、「AはBを含む」および「AにはBが含まれる」は、Bに加えて、Aに他の要素がまったく存在しない状況(すなわちAはもっぱらそして排他的にBからなる状況)、ならびにBに加えて実体Aに1またはそれより多いさらなる要素、例えば要素C、要素CおよびDまたはさらにさらなる要素が存在する状況の両方を指してもよい。
【0013】
さらに、以下で用いるような用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「最も好ましくは」、「具体的に」、「より具体的に」、「特に」、「より明確に」または類似の用語は、さらなる可能性を制限することなく、任意の特徴と組み合わせて用いられる。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、そしていかなる意味でも、請求項の範囲を制限するとは意図されない。本発明は、当業者が認識するであろうように、別の特徴を用いることによって実行可能である。同様に、「本発明の態様において」または類似の表現によって導入される特徴は、本発明のさらなる態様に関するいかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関するいかなる制限も伴わず、そしてこうした方式で導入される特徴と、本発明の他の任意のまたは任意でない特徴とを組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わずに、任意の特徴であると意図される。さらに、別に示されていない限り、用語「約」は、関連分野において、一般的に認められる技術的精度を持つ、示す値に関し、好ましくは示す値±20%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%に関する。
【0014】
用語「非抗凝固剤干渉物質の決定」は、本明細書において、試料における、少なくとも1つの非抗凝固剤干渉物質の存在および/または量に関する指標を提供することに関する。1つの態様において、決定は定量的決定であり、さらなる態様において、試料中の非抗凝固剤干渉物質の濃度の絶対的定量化であり、該定量化は、例えば体積あたりの重量の値、体積あたりの活性等として提供されることも可能であり;そして/または決定は、例えば体積あたりの任意単位で、または参照値の割合として、例えばパーセントで提供されうる、参照値に対して比較した、非抗凝固剤干渉物質の濃度の相対的定量化である。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は定性的決定であり、すなわち1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質が、検出限界を超えた量または濃度で試料中に存在するかどうかの評価である。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は、半定量的決定であり、すなわちあらかじめ決定した閾値、例えば品質閾値、すなわち試料がさらなる分析のために十分な品質のものであるかどうかを、1つの態様において本明細書で以下に明記するように決定するために確立された閾値より高い量または濃度で、非抗凝固剤干渉物質が試料中に存在するかどうかの評価である。あらかじめ決定した閾値の値は、想定する方法の特定の適用に応じるであろう。当業者は、例えば本明細書で以下に明記するような1またはそれより多い参照試料における対応するパラメータの値を測定することによって、1またはそれより多い閾値をどのように確立するかを知っている。1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は、少なくとも1つの非抗凝固剤干渉物質が、少なくとも1つの閾値を超える濃度で試料中に存在するかどうかの評価である。当業者に理解されるであろうように、少なくとも1つの非抗凝固剤干渉物質が、少なくとも1つの閾値を超える濃度で試料中に存在するかどうかの評価は、関心対象の各非抗凝固剤干渉物質に関して、試料中のその濃度があらかじめ決定した閾値を超えるかどうかを決定する工程を含んでもよく;1つの態様において、少なくとも1つのあらかじめ決定した閾値は、各場合で、関心対象の非抗凝固剤干渉物質ごとに用いられる。さらなる態様において、少なくとも1つの非抗凝固剤干渉物質が少なくとも1つの閾値を超える濃度で試料中に存在するかどうかの評価は、1つの態様において、前記試料中に存在する非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)が、前記凝固時間関連パラメータの決定から、そして/または臨床化学から、該試料を排除すべき度合いまで、凝固時間関連パラメータを調節するかどうかの決定を含む。したがって、1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は、試料における非抗凝固剤干渉物質の同定を含まず;こうした決定は特に、試料中の非抗凝固剤干渉物質の決定が品質管理に用いられる場合、例えば本明細書で以下に明記するような血液由来試料の前分析品質管理において、想定される。1つの態様において、定量的および半定量的決定は、1より多い参照値に対して、試料において決定した値を比較する工程を含む。1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は、試料において決定した凝固時間関連パラメータの値を、少なくとも2つの参照値、例えば陰性対照および陽性対照に対して比較する工程を含む。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は、あらかじめ決定した、非同一濃度の非抗凝固剤干渉物質を有する、少なくとも3つ、1つの態様において少なくとも4つ、さらなる態様において少なくとも5つの参照試料から、検量線を確立する工程を含む。1つの態様において、少なくとも1つの参照試料の非抗凝固剤干渉物質の濃度は、検出限界未満である。
【0015】
本明細書において、用語「参照値」は、参照試料において決定したパラメータ値に関する。1つの態様において、前記パラメータは、凝固時間関連パラメータである。1つの態様において、参照値は、以前の決定から入手可能であり、そして1つの態様において、例えばデータベース中に提供され;さらなる態様において、参照値は、関心対象の試料における少なくとも1つのパラメータの値を決定するのと同時に決定される。用語「対応するパラメータ」は、潜在的に標準的数学演算を含み、それが対応するパラメータと本質的に同じ情報を提供するパラメータに関する。例えば、試料の既知の体積中で決定した量の値は、濃度の値に対応する。1つの態様において、対応するパラメータは同じパラメータである。
【0016】
「参照試料」は、本明細書において該用語が用いられた際、凝固反応が起こるために必要な化合物を、1つの態様において血液由来試料中でこれらの化合物が見られる濃度で含み、そして既知の量の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む試料である。1つの態様において、用語「既知の量の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)」は、半定量的に知られる非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の量に関する。前記の半定量的な量は、1つの態様において、例えば検出限界を超えるまたは検出限界未満の量、あるいは定性的閾値を超えるまたは定性的閾値未満の量であってもよい。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の量は、定量的に知られており、すなわち、相対的または絶対的な量または濃度として決定されている。参照試料は人工試料であってもよく;1つの態様において、参照試料は天然試料であるかまたは天然試料に基づき、1つの態様において血漿であり、さらなる態様において以下に明記するようなクエン酸血漿である。1つの態様において、参照試料は、1つの態様において半定量的に、試料が非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含むかどうかを決定することを可能にする試料である。したがって、本明細書において、参照試料中、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の絶対濃度は、必ずしも知られている必要はない。1つの態様において、参照試料は、試料中の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の定量的決定を可能にする試料である。こうした場合、1つの態様において、参照試料中の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の絶対濃度は知られている。
【0017】
1つの態様において、参照試料は、検出可能な量で非抗凝固剤干渉物質を含まないことが知られており;こうした参照試料は、例えば、非抗凝固剤干渉物質が添加されていないか;または検出限界未満の濃度で非凝固剤干渉物質が添加されている、人工参照試料を提供することによって提供可能であるか;あるいはこうした参照試料は、本発明の方法とは異なる方法によって、血液由来試料における非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の量を決定することによって、そして非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の非存在が検出された試料を選択することによって;または非抗凝固剤干渉物質の濃度を、検出限界未満に調節することによって、提供可能である。1つの態様において、こうした試料はまた、非抗凝固剤干渉物質を含まないことが以前同定された参照試料を用いて、本発明の方法によって、そして非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の非存在が検出された試料を選択することによっても提供可能である。さらに、参照試料は、見かけ上健康な被験体由来、または見かけ上健康な被験体の集団由来の試料であってもよく、ここで用語「見かけ上健康な被験体」は、本明細書において、凝固欠損を患うと診断されていない被験体に関する。さらなる態様において、参照試料は、被験体集団における非抗凝固剤干渉物質を含む試料の出現率が、非凝固剤干渉物質(単数または複数)の濃度が健康な被験体の試料における非凝固剤干渉物質(単数または複数)の濃度から有意に逸脱しないことを統計的に確実にするために十分に低いならば、被験体集団由来の試料の混合物である。非抗凝固剤干渉物質を検出可能な量で含まないことが知られる参照試料は、例えば陰性対照試料として使用可能である。
【0018】
あるいはまたはさらに、「参照試料」は、検出可能な量で非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含むことが知られる(さらなる)試料である。こうした参照試料は、例えば、人工参照試料を提供することによって、そして前記人工試料に既知の量の非抗凝固剤干渉物質を添加することによって、提供可能である。また、こうした試料は、血液由来試料に、1つの態様において、上に明記するように、非抗凝固剤干渉物質を含まないことが知られる試料に、既知の量の非抗凝固剤干渉物質を添加することによって、提供可能である。さらなる態様において、こうした参照試料は、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含むことが知られる被験体から得られた血液由来試料であり;1つの態様において、前記非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の存在および/または濃度は、本発明の方法とは異なる方法によって確立される。1つの態様において、こうした参照試料は、非抗凝固剤干渉物質を含むことが以前同定された参照試料を用いて、本発明の方法によって、そして非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含むと同定された試料を選択することによってもまた提供されうる。あらかじめ決定した検出可能な量で、非抗凝固剤干渉物質を含むことが知られる参照試料は、例えば陽性対照試料として使用可能であり;またはあらかじめ決定した検出可能な量で非抗凝固剤干渉物質を含むことが知られる参照試料は、品質管理試料として、例えば測定の正確さを決定するために使用可能である。
【0019】
用語「較正物質試料」は、本明細書において、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の量または濃度が知られる参照試料に関する。1つの態様において、較正物質試料は、あらかじめ決定した量の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む血液由来試料である。1つの態様において、少なくとも2つ、さらなる態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも4つの較正物質試料を提供し、前記較正物質試料は、あらかじめ定義した非同一濃度の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む。1つの態様において、前記較正物質試料に、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を混合することによって、前記較正物質試料中の前記非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の濃度を調節することにより、前記較正物質試料が提供される。さらなる態様において、少なくとも2つ、さらなる態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも4つの較正物質試料は、1つの較正物質ストック溶液に由来する。さらなる態様において、少なくとも2つ、さらなる態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも4つの較正物質試料は、2つの較正物質ストック溶液、例えば抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含まないことが知られる1つの較正物質ストック溶液、および較正に用いる最高濃度で抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む1つの較正物質ストック溶液に由来する。当業者によって理解されるであろうように、1つの態様において、少なくとも1つの較正物質試料は、検出限界未満の濃度で、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含み、そして少なくとも1つの較正物質試料は、検出限界を超えるあらかじめ決定した濃度で、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む。
【0020】
用語「干渉物質」は、本明細書において、被験体の血液由来試料における凝固時間関連パラメータを調節する剤に関する。当業者に知られるように、凝固時間は、試料中の抗凝固剤の存在によって修飾されうる。「抗凝固剤」は、該用語を本明細書において用いる際、被験体における凝固を調節するために、1つの態様において延長するために、療法適用において用いられる化学的化合物である。抗凝固剤は、当業者に知られ、そしてこれには、1つの態様において、ヘパリン、例えば未分画ヘパリンまたは低分子量ヘパリン;因子Xa阻害剤、例えば合成五糖または直接因子Xa阻害剤;直接トロンビン阻害剤;またはビタミンKアンタゴニストが含まれる。さらなる抗凝固剤は4-ヒドロキシクマリン、1つの態様においてアセノクマロール、ジクマロール、ビスクマ酢酸エチル、フェンプロクモン、ワルファリン、クマテトラリル、ジフェナコウム、フロクマフェン、ブロマジオロン、チオクロマロール、ブロディファコウム、および/またはフェンプロクモン(マルクマール(marcumar)、(RS)-4-ヒドロキシ-3-(1-フェニルプロピル)クマリン);1つの態様においてワルファリン((RS)-4-ヒドロキシ-3-(3-オキソ―1-フェニルブチル)-2H-クロメン-2-オン);さらなる態様において(-)-ワルファリン((S)-4-ヒドロキシ-3-(3-オキソ-1-フェニルブチル)-2H-クロメン-2-オン)、さらなる態様において、フェンプロクモン(マルクマール、(RS)-4-ヒドロキシ-3-(1-フェニルプロピル)クマリン)である。さらなる抗凝固剤は、フェニンジオン、クロリンジオン、および/またはジフェナジオンである。
【0021】
さらなる干渉物質は、「非抗凝固剤干渉物質」、すなわち上に明記するように、抗凝固剤でないが、試料において凝固時間関連パラメータを調節する活性を有する化合物である。1つの態様において、前記非抗凝固剤干渉物質は、被験体の体細胞によって産生される化合物である。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質はビリルビン、1つの態様においてコンジュゲート化ビリルビンである。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質はヘモグロビンである。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質は脂質、1つの態様においてトリグリセリドまたはトリグリセリド混合物である。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質は、コンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビンおよび/または脂質、1つの態様においてトリグリセリドまたはトリグリセリド混合物である。1つの態様において、干渉物質はイオン錯体化剤ではなく、特にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩の1つではなく、そしてクエン酸またはその塩の1つではない。
【0022】
用語「凝固時間関連パラメータ」は、血液由来試料が凝固するために必要な時間を示すパラメータに関する。したがって、用語「凝固時間関連パラメータ」は、血液由来試料が凝固するために必要な時間を示すかまたはこれに相関するパラメータ、あるいはそれに由来するパラメータに関する。1つの態様において、凝固時間関連パラメータは、数学、物理および/または化学の標準演算によって、前述のパラメータから得られる。通常、凝固実験室において、例えば活性化プロトロンビン時間(APTT)試薬およびトロンビン時間(TT)試薬を用いて、凝固異常に関してスクリーニングし、そして療法における抗凝固剤の治療効果を監視する。延長されたAPTTは、ヘパリンの使用(または試料の汚染)、抗リン脂質抗体(特にループス抗凝固剤)、凝固因子不全(例えば血友病)、凝固因子消費を含む敗血症、または凝固因子に対する抗体(因子阻害剤)の存在を示しうる。したがって、1つの態様において、凝固時間関連パラメータは、トロンビン時間または活性化部分トロンボプラスチン時間である。1つの態様において、凝固時間関連パラメータはトロンビン時間である。1つの態様において、凝固時間関連パラメータは活性化部分トロンボプラスチン時間である。凝固時間を決定するための方法は、当該技術分野に周知であり;1つの態様において、凝固時間関連パラメータは、発色アッセイにおいて、機械アッセイで、経時的な凝固塊質量を決定することによって、経時的な粘性関連パラメータ、例えば凝固反応において包埋された鉄ビーズのオシレーションを決定することによって(Hubbuchら(1996), Clin. Lab. 42:637-640)、あるいはフォトオプティカルアッセイで決定され、これらはすべて当業者に知られる。1つの態様において、凝固時間関連パラメータは、フォトオプティカルアッセイで、さらなる態様において測光法によって、さらなる態様において比濁分析によってまたは比濁法によって、さらなる態様において比濁法によって、決定される。したがって、1つの態様において、凝固時間関連パラメータは、本明細書の別の箇所に明記するように、経時的に、少なくとも1つの透過関連パラメータを決定することによって決定される。当業者によって理解されるように、透過関連パラメータは、1つの態様において、凝固を誘発した後、2つの非同一時点で、少なくとも2回決定される。
【0023】
用語「血液由来試料」は、本明細書において、凝固に必要な、血液中に含まれる少なくとも凝固因子を含む、血液、または血液由来試料材料に関する。1つの態様において、血液由来試料は血漿であり、さらなる態様においてクエン酸血漿である。被験体から血液由来試料を得るための方法は、当業者に知られ、そして1つの態様において、これには動脈または静脈穿刺、および皮膚穿刺が含まれる。
【0024】
用語「被験体」は、本明細書において、脊椎動物、1つの態様において哺乳動物、さらなる態様においてヒトに関する。1つの態様において、被験体は、見かけ上健康な被験体である。さらなる態様において、被験体は抗凝固剤療法を投与されていない被験体、すなわち本明細書で上に明記するような抗凝固剤で治療されていない被験体である。さらなる態様において、被験体は凝固障害を患っていないことが知られる。さらなる態様において、被験体はビリルビン脳症を発展させる増加したリスクを持つ被験体であり、特に被験体は新生児であり、1つの態様においてヒト新生児である。さらなる態様において、被験体は2ヶ月齢未満、1つの態様において1ヶ月齢未満、1つの態様において2週齢未満である。さらなる態様において、被験体は早産児、1つの態様において37週妊娠期間未満で生まれたヒト乳児である。
【0025】
1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、さらなる工程および/または下位工程を含む。当業者に知られるように、凝固は、カルシウムイオンの存在を必要とし;一方、凝固試験のための臨床試料は、通常、時期尚早の凝固を防止するため、カルシウムイオンキレーターを含有する。したがって、1つの態様において、工程a)すなわち試料中の凝固時間関連パラメータの値を決定する工程は、a0)カルシウムイオンを提供する剤と前記剤を、1つの態様において凝固を誘発する剤と前記試料を接触させる直前に、またはそれと同時に接触させる下位工程を含む。1つの態様において、工程a)、すなわち試料における凝固時間関連パラメータの値を決定する工程は、a1)凝固を誘発する剤と前記試料を接触させる下位工程を含む。凝固を誘発する剤は当該技術分野に知られ;1つの態様において、凝固を誘発する剤は、トロンビン、シリカ、セライト、カオリン、エラグ酸、リン脂質、バクストロキソビン、および/またはエカリンであり、1つの態様においてトロンビンである。さらなる態様において、工程a)は、a2)前記試料において、凝固を誘発した後、第一の時点で透過関連パラメータの第一の値を決定する下位工程、およびa3)前記試料において、凝固を誘発した後、第二の時点で透過関連パラメータの第二の値を決定する下位工程を含む。本明細書で上に記載するように、第一の時点および第二の時点は同一でない。さらなる態様において、工程a)は、前記試料において、凝固を誘発した後、さらなる時点で、透過関連パラメータのさらなる値を決定するさらなる下位工程を含む。したがって、1つの態様において、工程a)は、前記試料において、凝固を誘発した後、多数の非同一時点で、透過関連パラメータの値を決定する多数の下位工程を含み、すなわち、1つの態様において、多数の間隔の後に、1つの態様において定期的な間隔で、透過関連パラメータの値を決定する工程を含む。したがって、1つの態様において、透過関連パラメータの値は、少なくとも10秒(s)ごと、さらなる態様において少なくとも8秒ごと、さらなる態様において少なくとも5秒ごと、さらなる態様において少なくとも3秒ごと、さらなる態様において少なくとも2秒ごと、さらなる態様において少なくとも1秒ごと、さらなる態様において少なくとも0.2秒ごとに決定される。さらなる態様において、工程a)は、透過関連パラメータの値を連続して決定する工程を含む。当業者に理解されるように、透過関連パラメータの決定は、1つの態様において、透過関連パラメータと相関するシグナル、および前記シグナルの実際の記録値を少なくとも確立する工程を含む。透過関連パラメータと相関するシグナルは、例えば測光計のフォトセル中で測定される電位として真に連続して提供されてもよいし、または例えばマルチウェルプレートのウェルを、測光計の光路に移動させることによって、別個の測定で提供されてもよく、前記シグナルの値の記録は、別個の工程において、所定の時点におけるものであろう。にもかかわらず、本明細書において、用語「透過関連パラメータの値を連続して決定する工程」は、少なくとも0.1秒ごとに透過関連パラメータの値を決定する工程に関する。したがって、該用語は、前述の頻度で、透過関連パラメータの値を記録する工程に関する。さらなる態様において、工程a)は、a4)下位工程a2)で決定した透過関連パラメータの第一の値、および下位工程a3)で決定した透過関連パラメータの第二の値に基づいて、前記試料において、凝固時間関連パラメータの値を決定する下位工程を含む。当業者に理解されるであろうように、透過関連パラメータの2より多い値を決定する場合、凝固時間関連パラメータの値の決定は、決定した透過関連パラメータの少なくとも2つの前記の値に基づき;1つの態様において、凝固時間関連パラメータの値の決定は、決定した透過関連パラメータの前記値のうちの2より多く、1つの態様において、3またはそれより多く、さらなる態様において、4またはそれより多くに基づき、さらなる態様において5またはそれより多くに基づき、さらなる態様において、決定した前記の透過関連パラメータのすべての値に基づく。したがって、1つの態様において、凝固時間関連パラメータの値の決定は、前記試料において決定した、凝固時間関連パラメータの値に基づく。したがって、1つの態様において、工程a)は、a1)凝固を誘発する剤、1つの態様においてトロンビンと、前記試料を接触させ;a2)前記試料において凝固を誘発した後、第一の時点で前記試料における透過関連パラメータの第一の値を決定し;a3)前記試料において凝固を誘発した後、第二の時点で前記試料における透過関連パラメータの第二の値を決定し;そしてa4)下位工程a2)およびa3)の結果に基づいて、凝固時間関連パラメータを決定する下位工程を含む。さらなる態様において、工程a)は、a1)凝固を誘発する剤、1つの態様においてトロンビンと、前記試料を接触させ;a2)前記試料において凝固を誘発した後、多数の非同一時点で前記試料における透過関連パラメータの多数の値を決定し;そしてa3)下位工程a2)の結果に基づいて、凝固時間関連パラメータを決定する下位工程を含む。
【0026】
用語「透過関連パラメータ」は、試料の透過光対入射光の比を示すかまたはこうした比に相関するパラメータ、あるいはそれに由来するパラメータに関する。1つの態様において、透過関連パラメータは、数学、物理および/または化学の標準演算によって、前述の比から得られる。したがって、1つの態様において、透過関連パラメータは、透過係数、吸光係数、透過率、吸光度、光散乱、または吸光である。さらに、1つの態様において、透過関連パラメータは、標準的数学演算によって、例えば試料に適用された希釈、較正係数等に関して補正するため、前述のパラメータの1つから得られる値である。血液試料における透過関連パラメータを決定するための手段および方法は、当業者に知られ、そして1つの態様において、透過測定、比濁分析、または比濁法である。試料は、透過関連パラメータを決定するため、マルチウェルプレートのウェルに含まれていてもよい。さらなる態様において、試料は、キュベットに含まれ;キュベットは単一キュベットとして、あるいは多数のキュベットの配置で、例えばキュベットローターまたはキュベットが充填されたラックに基づく系で用いられてもよい。1つの態様において、透過関連パラメータは、比濁法によって決定される。当業者によって、透過関連パラメータは、特定の波長で決定可能であることが理解され;したがって、1つの態様において、前記透過関連パラメータは、可視光の波長で、1つの態様において300nm~700nmの波長で、1つの態様において300nm~600nmまたは500nmから700nmの波長で決定される。1つの態様において、透過関連パラメータは、550~650nmの波長で、さらなる態様において600nm~650nmの波長で、さらなる態様において625±10nmの波長で、さらなる態様において625nmの波長で決定される。当業者には、前述の透過関連パラメータを用いて、例えば経時的な値のグラフ提示におけるプラトーを同定し、そしてそれに関してシグナルの高さのあらかじめ定義した割合を推定することによって、そして/または経時的な前記透過関連パラメータの値の変化を示すグラフの傾斜から外挿することによって、凝固時間関連パラメータを決定することも可能であることもまた知られる。
【0027】
1つの態様において、工程b)、すなわち本明細書で上に明記するように、工程a)で決定した凝固時間関連パラメータの値を、参照試料において決定した前記凝固時間関連パラメータの値に対して比較する工程は、b1)あらかじめ決定した非同一濃度の単数または複数の前記非抗凝固剤干渉物質を有する、少なくとも2つ、1つの態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも5つの較正物質試料を提供する下位工程を含む。1つの態様において、工程b)は、b2)前記較正物質試料各々に関する前記凝固時間関連パラメータの値を、1つの態様において工程a)の下位工程にしたがって決定する下位工程を含む。さらなる態様において、工程b)は、b3)下位工程b2)で決定した値に基づいて、検量線を提供する下位工程を含む。したがって、1つの態様において、工程b)は、b1)あらかじめ決定した非同一濃度の単数または複数の前記非抗凝固剤干渉物質を有する、少なくとも2つ、1つの態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも5つの較正物質試料を提供し;b2)前記較正物質試料各々に関する前記凝固時間関連パラメータの値を、1つの態様において工程a)の下位工程にしたがって決定し;そしてb3)下位工程b2)で決定した値に基づいて、検量線を提供する下位工程を含む。
【0028】
1つの態様において、血液由来試料は、干渉物質、特に抗凝固剤を含まないと推測される被験体の試料、例えば本明細書で上に明記するような見かけ上健康な被験体由来の試料である。さらなる態様において、血液由来試料は、抗凝固剤で治療されたことが知られているかまたは治療されたと推測される被験体由来の試料である。こうした場合、1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、前記試料を、ヘキサジメトリンブロミド、プロタミンおよびヘパリナーゼより選択される化合物と接触させる工程を含む。あるいはまたはさらに、1つの態様において、方法は、前記試料を、抗線維素溶解剤、1つの態様において、トラネキサム酸またはその抗線維素溶解性誘導体、あるいはアプロチニンまたはその抗線維素溶解性誘導体と接触させる工程を含む。
【0029】
1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、コンジュゲート化ビリルビンを決定する工程を含む方法である。こうした場合、1つの態様において、方法は、前記試料のアリコットをビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)と接触させ、そして前記ビリルビンオキシダーゼ処理したアリコットにおける前記凝固時間関連パラメータの値を、1つの態様において本発明の非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法にしたがって、決定する工程を含む。さらなる態様において、方法は、総ビリルビンを決定する工程をさらに含む。したがって、さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、総ビリルビンを決定する工程を含む方法である。総ビリルビンを決定するための方法は、例えば本明細書で上に引用する文献から、当該技術分野に知られる。さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、総ビリルビンを決定し、そして総ビリルビンおよびコンジュゲート化ビリルビンに関して決定した値から、遊離ビリルビンを計算する工程を含む方法である。
【0030】
1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、前記試料のアリコットをベータ-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.31)と接触させ、そして前記ビリルビンオキシダーゼ処理したアリコットにおける凝固時間関連パラメータの値、1つの態様においてトロンビン時間の値を、1つの態様において本発明の非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法にしたがって、決定する工程を含む。1つの態様において、ベータ-グルクロニダーゼは、基質としてコンジュゲート化ビリルビンを用いるベータ-グルクロニダーゼであり;適切なベータ-グルクロニダーゼは当該技術分野に知られ、そしてこれには、細菌、特に大腸菌(Escherichia coli)を含む腸細菌由来のもの;哺乳動物肝臓ベータ-グルクロニダーゼ、例えばヒトまたはウシ肝臓ベータ-グルクロニダーゼ;リンゴマイマイ(Helix pomatia)ベータ-グルクロニダーゼ;およびアワビ(Abalone)ベータ-グルクロニダーゼが含まれる。
【0031】
1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、干渉物質の同一性確立を補助する、さらなる工程を含む。1つの態様において、方法は、凝固を誘発する前に、試料の濁度および/または吸収を決定する工程をさらに含む。当業者に理解されるであろうように、凝固を誘発する前に、増加した量の脂質を含まない参照に対して比較して濁度が増加していれば、1つの態様において、本明細書で上に明記するように、非抗凝固剤干渉物質が脂質である指標となり;そして1つの態様において400nm~600nmの波長を測定して、増加した量のヘモグロビンを含まない参照に対して比較して吸収が増加していれば、非抗凝固剤干渉物質がヘモグロビンである指標となる。上に示すように、試料のアリコットおよびビリルビンオキシダーゼで処理されている前記試料のさらなるアリコットの間における凝固時間関連パラメータの相違は、非抗凝固剤干渉物質がビリルビンである指標となる。1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法は、干渉物質の同一性の確立を補助するさらなるおよび/または追加の工程を含み、前記工程は、当業者に知られ、例えば酵素的方法、化学的検出反応、例えば親油性剤での染色法等である。
【0032】
好適なことに、本発明の根底にある研究において、血液由来試料に天然に存在する化合物、特にビリルビン、ヘモグロビン、および脂質は、凝固に干渉可能であり、そしてこの干渉によって、凝固時間関連パラメータを決定することを通じて、干渉剤を定量化可能であることが見出された。さらに、干渉剤は、頻繁に観察される、凝固試験および臨床化学アッセイの混乱要因であるため、上昇した量のこれらの化合物を含む血液由来試料は、好ましくは、偽結果の生成を回避するため、こうした分析から排除される。
【0033】
上で行う定義は、変更すべきを変更して以下に適用される。以下で行うさらなる定義および説明もまた、変更すべきを変更して、本明細書で記載するすべての態様に関して適用される。
【0034】
本発明は、不十分な品質を有する血液由来試料を同定するための方法であって、
A)本発明にしたがって、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を決定し;
B)工程A)の結果を品質参照に対して比較し;そして
C)比較工程B)の結果に基づいて、不十分な品質を有する試料を同定する
工程を含む、前記方法にさらに関する。
【0035】
本明細書において、用語「不十分な品質を有する血液由来試料」は、臨床化学および/または凝固測定の少なくとも1つのアッセイに干渉する量で、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む、血液由来試料に関する。1つの態様において、該用語は、凝固測定に干渉する量で、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を含む試料に関する。1つの態様において、該用語は、標準プロトコルにしたがって分析した際、実際の値から有意に逸脱した、少なくとも1つの臨床化学値および/または凝固測定値が測定されるか、または測定されると予測される試料に関する。したがって、1つの態様において、不十分な品質を有する血液由来試料は、偽結果を回避するため、標準プロトコルにしたがって解析されるべきではないか、あるいは前記非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の量を減少させるかまたは除去するため、こうした分析の前に前処理すべきである。例えば、1つの態様において、試料が閾値を超える濃度のビリルビンを含むと同定される場合、前記試料を、さらなる分析前に、ビリルビンオキシダーゼで処理してもよい。また、1つの態様において、試料が閾値を超える濃度の脂質を含むと同定される場合、前記試料を、さらなる分析前に、適切な脂質分解酵素(lipidase)で処理してもよいし、脂質小滴を除去するために遠心分離に供してもよいし、他の処理を行ってもよい。さらなる態様において、不十分な品質を有すると同定される試料を、臨床化学分析および/または凝固測定から排除する。
【0036】
当業者に理解されるであろうように、本発明の不十分な品質を有する血液由来試料を同定するための方法にしたがって、1つの態様において、試料中に存在する非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を同定する必要はないし;また値の偏差を実際に測定することを確実にする必要もない。したがって、1つの態様において、不十分な品質を有する血液由来試料は、1つの態様において、あらかじめ決定した閾値を超えて、少なくとも1つの非抗凝固剤干渉物質が前記試料中に存在することを決定することによって同定され、そして1つの態様において、前記の知見のみに基づいて、臨床化学分析および/または凝固分析から、試料を排除する。
【0037】
本明細書で上に明記するように、閾値は、定義される閾値の値または閾値範囲であってもよい。しかし、1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の閾値量を含む参照試料を提供することによって、あらかじめ決定した閾値を提供し;例えば最高の許容されうる濃度の干渉物質(単数または複数)を含む参照試料を提供してもよいこともまた想定される。原則として、前記参照試料中の非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)の実際の濃度は知られる必要はなく、これは閾値濃度を含む試料はまた、実験的に同定可能であるためである。さらなる態様において、閾値は閾値の値であり、1つの態様において閾値濃度である。
【0038】
本発明にしたがって、非抗凝固剤干渉物質(単数または複数)を決定する結果を品質参照に対して比較してもよい。本明細書において、用語「品質参照」は、所定の血液由来試料が、十分な品質のものであるかまたはそうでないかを決定することを可能にする参照試料または参照値に関する。1つの態様において、品質参照は、干渉物質(単数または複数)の最高の許容されうる濃度を含む参照試料であり、そして血液由来試料および品質参照試料の間で対応するパラメータの値を比較する。さらなる態様において、品質参照は、あらかじめ決定可能であるか、または例えば検量線から決定可能である、参照値である。したがって、1つの態様において、品質参照は品質参照範囲または品質参照曲線である。さらなる態様において、前記品質参照の下限は、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の-20%、1つの態様において-10%、さらなる態様において-7.5%である。さらなる態様において、前記品質参照の上限は、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の+20%、1つの態様において+10%、さらなる態様において+7.5%である。さらなる態様において、品質参照は、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の±20%、1つの態様において±10%、さらなる態様において±7.5%の品質参照範囲である。さらなる態様において、品質参照の下限は、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の正常の下限である。さらなる態様において、前記品質参照の上限は、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の正常の上限である。
【0039】
1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質はヘモグロビンであり;こうした場合、不十分な品質を有する血液由来試料は、1つの態様において、決定したヘモグロビン濃度が20mg/dLより高い、1つの態様において50mg/dLより高い場合、同定される。
【0040】
さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質はコンジュゲート化ビリルビンであり;こうした場合、不十分な品質を有する血液由来試料は、1つの態様において、決定したコンジュゲート化ビリルビンが1mg/dLより高い、1つの態様において2.5mg/dLより高い場合、同定される。
【0041】
さらなる態様において、非抗凝固剤干渉物質は、脂質であり、1つの態様においてトリグリセリドを含む混合物であり;こうした場合、不十分な品質を有する血液由来試料は、1つの態様において、決定した脂質濃度が100mg/dLより高い、1つの態様において250mg/dLより高い場合、同定される。当業者に理解されるように、血液由来試料中の脂質濃度増加は、濁りを導く可能性もあり;したがって、不十分な品質を有する血液由来試料は、1つの態様において、凝固前の前記試料における透過関連パラメータの値が透過参照より高い場合、同定される。用語「透過参照」は、本明細書において、脂質の最大に許容されうる濃度を含むことが知られる、本明細書で上に明記するような参照試料において決定される値、または脂質の前記の最大に許容されうる濃度に対応する参照値に関する。1つの態様において、透過参照値は、正常試料における透過関連パラメータの値の+20%、1つの態様において+10%、さらなる態様において+7.5%である。さらなる態様において、透過参照値は、正常試料における透過関連パラメータの値の正常の上限である。
【0042】
したがって、1つの態様において、不十分な品質を有する血液由来試料を同定するための方法は、以下の条件の少なくとも1つを評価する工程を含み、そして以下の条件の少なくとも1つが満たされている場合、該試料が不十分な品質を有すると同定する:
i)前記試料における凝固時間関連パラメータの値が、品質参照より低い;
ii)前記試料における凝固時間関連パラメータの値が、品質参照より高く、そしてビリルビンオキシダーゼでの前記試料の処理後、凝固時間関連パラメータの値が有意により低い;
iii)決定したヘモグロビン濃度が、20mg/dLより高い、1つの態様において50mg/dLより高い;
iv)決定したコンジュゲート化ビリルビンの濃度が、1mg/dlより高い、1つの態様において2.5mg/dLより高い;
v)決定した脂質濃度が、100mg/dLより高い、1つの態様において250mg/dLより高い;および
vi)凝固前の前記試料における透過関連パラメータの値が透過参照試料の値より高い。
【0043】
本発明はまた、血液由来試料において、非抗凝固剤干渉物質を決定するためのデバイスであって、分析装置および評価装置を含み、
(I)前記分析装置が、前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定するために適応しており、そして
(II)前記評価装置が、前記非抗凝固剤干渉物質に関する定量化参照に、分析装置によって決定した凝固時間関連パラメータを比較するための触知可能に(tangibly)組み込まれたアルゴリズムを含むメモリ装置を含む
前記デバイスにも関する。
【0044】
用語「デバイス」は、本明細書において、決定を可能にするように、互いに機能可能であるように連結された、記載された手段を少なくとも含む、手段の系に関する。凝固時間関連パラメータを決定するための典型的な手段は、当該技術分野に知られ、そして本発明の方法の背景において、本明細書に上に記載されてきている。1つの態様において、凝固時間関連パラメータを決定するための手段は、当該技術分野に知られ、そして例えばHubbuchら(1996), Clin. Lab. 42:637-640に記載される、透過関連パラメータを決定するための手段である。機能可能な方式でデバイスの手段をどのように連結するかは、デバイスに含まれる手段のタイプに応じるであろう。1つの態様において、手段は、単一のデバイスに含まれる。しかし、本発明の手段が、1つの態様において、別個のデバイスとして現れてもよく、そしてさらなる態様において、キットとしてともにパッケージングされることもまた意図される。当業者は、さらなる面倒を伴わずに、手段をどのように連結するかを理解するであろう。好ましいデバイスは、特別な技術者の特定の知識を伴わずに適用されうるものである。1つの態様において、デバイスは本明細書に記載するようなさらなる特徴を含むように適応している。
【0045】
1つの態様において、デバイスには、非抗凝固剤干渉物質の決定を提供するために、凝固時間関連パラメータを決定するための分析装置、ならびに分析装置から、そして/またはデータベースから受け取ったデータをプロセシングするための評価装置が含まれる。1つの態様において、非抗凝固剤干渉物質の決定は、本明細書の別の箇所に明記するような分析装置によって決定される透過関連パラメータに基づいて、凝固時間関連パラメータを決定する工程を含む。したがって、1つの態様において、分析装置は、ある時間間隔で、1つの態様において定期的な時間間隔で、さらなる態様において本明細書の別の箇所に明記するように、同じ試料の前記透過関連パラメータの多数の値を測定するよう適応している。1つの態様において、分析装置は、参照試料、1つの態様において較正物質試料における凝固時間関連パラメータの値を決定するために、さらに適応している。さらなる態様において、分析装置は、較正試料を自動的に提供するために、1つの態様において少なくとも2つ、1つの態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも5つの較正物質試料を、さらなる態様において1つまたは2つの較正物質ストック溶液(単数または複数)から自動的に提供するために、さらに適応している。さらなる態様において、分析装置は、350nm~700nmの波長、1つの態様において600nm~650nmの波長、さらなる態様において625±10nmの波長、さらなる態様において625nmの波長、さらなる態様において400nm~450nmの波長で、透過関連パラメータを決定するために適応している光学装置を含む。さらなる態様において、分析装置は、もっぱら、350nm~700nmの波長、1つの態様において600nm~650nmの波長、さらなる態様において625±10nmの波長、さらなる態様において625nmの波長、さらなる態様において400nm~450nmの波長で、透過関連パラメータを決定するために適応している光学装置を含む。
【0046】
デバイスの評価装置は、決定した凝固時間関連パラメータを前記非抗凝固剤干渉物質に関する参照に対して比較するための触知可能に組み込まれたアルゴリズムを含むメモリ装置を含む。さらなる態様において、メモリ装置は、検量線、および/または凝固時間関連パラメータまたはそれに由来するパラメータに前記検量線を適用するための触知可能に組み込まれたアルゴリズムを含む。したがって、1つの態様において、触知可能に組み込まれたアルゴリズムは、本発明の方法にしたがった決定を実装する。1つの態様において、評価装置は、前記透過関連パラメータの前記の複数の値から、凝固関連パラメータの1つの値を決定するように適応している。
【0047】
さらに、本発明は、
i)トロンビン;および
ii)あらかじめ決定した濃度でコンジュゲート化ビリルビンを含む、またはあらかじめ決定した濃度でヘモグロビンを含む、少なくとも1つの較正物質試料
を含む、コンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビン濃度を決定するためのキットに関する。
【0048】
さらに、本発明は、
i)凝固を誘発する剤;および
ii)あらかじめ決定した検出可能な量で、非抗凝固剤干渉物質を含む、少なくとも1つの参照試料
を含む、不十分な品質を有する血液由来試料を同定するためのキットに関する。
【0049】
さらに、本発明は、被験体の血液由来試料における非抗凝固剤干渉物質を決定するための、1つの態様においてコンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビンおよび/または脂質を決定するためのキットであって、
i)凝固を誘発する剤;および
ii)あらかじめ決定した検出可能な量で、非抗凝固剤干渉物質を含む、少なくとも1つの参照試料
を含む、前記キットに関する。
【0050】
用語「キット」は、本明細書において、ともにパッケージングされてもまたはされなくてもよい、本発明の前述の化合物、手段または試薬のコレクションを指す。キットの構成要素は、別個の筐体に含まれてもよいし(すなわち別個の部分のキットとして)、あるいは2またはそれより多い構成要素が単一の筐体中で提供されてもよい。さらに、本発明のキットは、1つの態様において、本明細書に上に言及する方法を実施するために用いられるべきものであることが理解されるものとする。1つの態様において、構成要素、1つの態様においてすべての構成要素が、上に言及する方法を実施するために、すぐに使用可能な方式で提供されることが想定される。1つの態様において、前記構成要素のすべてまたはいくつかが、乾燥した、例えば凍結乾燥型で提供され、ここで構成要素は、水性緩衝溶液などの液体を用いて再構成される。1つの態様において、前記構成要素のすべてまたはいくつかは、濃縮液体型で提供され、ここで濃縮構成要素は、水性緩衝溶液などの液体を用いて希釈される。1つの態様において、前記構成要素のすべてまたはいくつかは、すぐに使用可能な型、すなわち直接使用可能であり、そして1つの態様において希釈を必要としない状態で提供される。1つの態様において、前記構成要素、特に参照試料のすべてまたはいくつかは、凍結型で、例えば凍結溶液として提供される。さらに、キットは、1つの態様において、前記方法、および適用可能な場合、乾燥試薬の前記再構成を実行するための使用説明書を含有する。使用説明書は、紙または電子型のユーザーマニュアルによって提供されうる。さらに、マニュアルは、本発明のキットを用いて前述の方法を実行した際に得られる結果を解釈するための使用説明書を含んでもよい。
【0051】
1つの態様において、キットはビリルビンオキシダーゼをさらに含む。さらなる態様において、キットは、少なくとも1つの較正物質試料および/または少なくとも1つの品質参照試料をさらに含む。さらなる態様において、キットは、ヘキサジメトリンブロミド、プロタミンおよびヘパリナーゼより選択される化合物をさらに含み;そして/または抗線維素溶解剤、1つの態様において、トラネキサム酸またはその抗線維素溶解性誘導体、あるいはアプロチニンまたはその抗線維素溶解性誘導体を含む。1つの態様において、キットは、カルシウムイオンを提供する剤、特に少なくとも0.01M、1つの態様において少なくとも0.02Mの濃度でカルシウムイオンを含む溶液を含む。1つの態様において、キットはさらにトロンビンを含む。
【0052】
1つの態様において、キットは、少なくとも1つの接触活性化因子、1つの態様においてシリカ、セライト、カオリン、および/またはエラグ酸、特にシリカゲルまたはエラグ酸を含み、1つの態様においてリン脂質をさらに含み;1つの態様において、キットは、(i)あらかじめ決定した濃度のコンジュゲート化ビリルビンを含む少なくとも1つの参照試料および/または(ii)あらかじめ決定した濃度のヘモグロビンを含む少なくとも1つの参照試料および/または(iii)あらかじめ決定した濃度の脂質を含む少なくとも1つの参照試料をさらに含む。したがって、1つの態様において、キットは、APTT試薬、1つの態様において本明細書に言及するようなAPTT試薬、および少なくとも1つの非抗凝固剤干渉物質較正物質試料を含むキットである。
【0053】
さらなる態様において、コンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビン濃度を決定するためのキットは、少なくとも1mg/dL、1つの態様において少なくとも2.5mg/dL、さらなる態様において少なくとも5mg/dLのあらかじめ決定した濃度でコンジュゲート化ビリルビンを含む較正物質試料を含む。さらなる態様において、コンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビン濃度を決定するためのキットは、少なくとも20mg/dL、1つの態様において少なくとも50mg/dL、1つの態様において少なくとも100mg/dLのあらかじめ決定した濃度でヘモグロビンを含む較正物質試料を含む。
【0054】
また、本発明は、血液由来試料分析の品質管理のための、本発明記載のデバイスおよび/または本発明記載のキットの、本発明記載の非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法の使用に関する。
【0055】
1つの態様において、前記品質管理は、臨床化学分析および/または凝固分析から、不十分な品質である試料を排除する工程を含む。さらなる態様において、不十分な品質である試料は、本明細書で上に明記するような、不十分な品質である少なくとも1つの条件を満たす試料である。
【0056】
また、本発明は、被験体の血液由来試料におけるビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定するための方法であって、a)ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)および/またはベータ-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.31)と前記試料を接触させ、b)工程a)の試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;そしてc)それによって、ビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定する工程を含む、前記方法に関する。
【0057】
さらに、本発明は、被験体におけるコンジュゲート化ビリルビンおよびビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定するための方法であって、a)前記被験体の第一の血液由来試料における凝固時間関連パラメータの第一の値を決定し;b)前記被験体の第二の血液由来試料を、ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)および/またはベータ-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.31)と接触させ、c)工程b)の試料における凝固時間関連パラメータの第二の値を決定し、d)a)で決定した凝固時間関連パラメータの第一の値に由来するパラメータを参照に対して比較し;e)比較工程d)の結果に基づいて、前記被験体におけるコンジュゲート化ビリルビンを決定し、f)工程b)の第二の試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;そして、それによってg)前記被験体における、コンジュゲート化ビリルビンおよびビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定する工程を含む、前記方法に関する。1つの態様において、第一および第二の血液由来試料は、こうした場合、被験体の同じ試料のアリコットである。
【0058】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行された際、本明細書に含まれる態様の1またはそれより多くで、本発明記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムをさらに開示し、そして提唱する。特に、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能データキャリア上に保存可能である。したがって、特に、上に示すような、1つ、1より多くまたはさらにすべての方法工程a)~d)は、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることによって、好ましくはコンピュータプログラムを用いることによって、実行可能である。
【0059】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行された際、本明細書に含まれる態様の1またはそれより多くで、本発明記載の方法を実行するための、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品をさらに開示し、そして提唱する。特に、プログラムコード手段は、コンピュータ読み取り可能データキャリア上に保存可能である。
【0060】
さらに、本発明は、コンピュータまたはコンピュータネットワーク、例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたは主メモリに装填した後、本明細書に開示する態様の1またはそれより多くにしたがって、方法を実行可能である、データ構造がその上に保存されている、データキャリアを開示し、そして提唱する。
【0061】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行された際、本明細書に開示する態様の1またはそれより多くにしたがって、方法を実行するための、機械読み取り可能キャリア上に保存されたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品をさらに提唱し、そして開示する。本明細書において、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は一般的に、任意の形式で、例えば紙の形式、またはコンピュータ読み取り可能データキャリア上に存在しうる。特に、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを通じて配布可能である。
【0062】
最後に、本発明は、本明細書に開示する態様の1またはそれより多くにしたがって方法を実行するための、コンピュータ系またはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含有する変調データシグナルを提唱し、そして開示する。
【0063】
好ましくは、本発明のコンピュータ実装側面に関して、本明細書に開示する態様の1またはそれより多くにしたがった方法の方法工程の1またはそれより多く、あるいはさらに方法工程のすべては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることによって実行可能である。したがって、一般的に、データの提供および/または操作を含む方法工程のいずれかを、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることによって実行可能である。一般的に、これらの方法工程には、典型的には手動の作業を必要とする方法工程、例えば試料を提供する工程および/または実際の測定を実行する特定の側面を除いて、任意の方法工程が含まれうる。
【0064】
特に、本発明はさらに:
-少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータまたはコンピュータネットワークであって、該プロセッサが、本明細書に記載する態様の1つにしたがって方法を実行するよう適応している、前記コンピュータまたはコンピュータネットワーク、
-コンピュータ装填可能データ構造であって、該データ構造がコンピュータ上で実行されている間、本明細書に記載する態様の1つにしたがって方法を実行するよう適応している、前記データ構造、
-コンピュータプログラムであって、該プログラムがコンピュータ上で実行されている間、本明細書に記載する態様の1つにしたがって方法を実行するよう適応している、前記コンピュータプログラム、
-コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されている間、本明細書に記載する態様の1つにしたがって方法を実行するためのプログラム手段を含む、コンピュータプログラム、
-先行する態様記載のプログラム手段を含むコンピュータプログラムであって、コンピュータ読み取り可能ストレージ媒体上に保存されている、前記コンピュータプログラム、
-ストレージ媒体であって、データ構造が該ストレージ媒体上に保存されており、そして該データ構造が、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主および/または作業ストレージ内に装填された後、本明細書に記載する態様の1つにしたがって方法を実行するよう適応している、前記ストレージ媒体、
-プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、該プログラムコード手段がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される際、本明細書に記載する態様の1つにしたがった方法を実行するため、該プログラムコード手段がストレージ媒体上に保存されうるかまたは保存されている、前記コンピュータプログラム製品
を開示する。
【0065】
上記を考慮して、以下の態様が特に想定される:
1. 被験体の血液由来試料における非抗凝固剤干渉物質を決定するための方法であって、
a)前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;
b)a)において決定した凝固時間関連パラメータの値を、少なくとも1つの参照試料において決定した前記凝固時間関連パラメータの値に対して比較し;そして
c)比較工程b)の結果に基づいて、被験体の血液由来試料における前記非抗凝固剤干渉物質を決定する
工程を含む、前記方法。
【0066】
2. 前記非抗凝固剤干渉物質が、脂質、コンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビンであり、1つの態様においてコンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビンであり、1つの態様においてコンジュゲート化ビリルビンである、態様1の方法。
【0067】
3. 工程a)が、発色アッセイ、機械的アッセイ、またはフォトオプティカルアッセイで、1つの態様においてフォトオプティカルアッセイで、さらなる態様において測光法によって、さらなる態様において比濁分析によってまたは比濁法によって、さらなる態様において比濁法によって、前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定する工程である、態様1または2の方法。
【0068】
4. 工程a)が、a1)凝固を誘発する剤と、1つの態様においてトロンビンと、前記試料を接触させる下位工程を含む、態様1~3のいずれか1つの方法。
5. 工程a)が、a2)前記試料において凝固を誘発した後、第一の時点で、透過関連パラメータの第一の値を決定する下位工程、およびa3)前記試料において凝固を誘発した後、第二の時点で、透過関連パラメータの第二の値を決定する下位工程を含む、態様1~4のいずれか1つの方法。
【0069】
6. 工程a)が、前記試料において凝固を誘発した後、さらなる時点で、透過関連パラメータのさらなる値を決定するさらなる下位工程を含む、態様1~5のいずれか1つの方法。
【0070】
7. 工程a)が、a4)下位工程a2)で決定した透過関連パラメータの第一の値および下位工程a3)で決定した透過関連パラメータの第二の値に基づいて、1つの態様において前記試料において決定した透過関連パラメータの値に基づいて、前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定する下位工程を含む、態様4~6のいずれか1つの方法。
【0071】
8. 工程a)が、
a1)前記試料を、凝固を誘発する剤、1つの態様においてトロンビンと接触させ;
a2)前記試料において凝固を誘発した後、第一の時点で、前記試料における透過関連パラメータの第一の値を決定し;
a3)前記試料において凝固を誘発した後、第二の時点で、前記試料における透過関連パラメータの第二の値を決定し;そして
a4)下位工程a2)およびa3)の結果に基づいて、凝固時間関連パラメータを決定する
下位工程を含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
【0072】
9. 工程b)が、b1)あらかじめ決定した非同一濃度の単数または複数の前記非抗凝固剤干渉物質を有する、少なくとも2つ、1つの態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも5つの較正物質試料を提供する下位工程を含む、態様1~8のいずれか1つの方法。
【0073】
10. 工程b)が、b2)前記較正物質試料の各々に関して、1つの態様において工程a)の下位工程にしたがって、前記凝固時間関連パラメータの値を決定する下位工程を含む、態様1~9のいずれか1つの方法。
【0074】
11. 工程b)が、b3)下位工程b2)において決定した値に基づいて、検量線を提供する下位工程を含む、態様10の方法。
12. 工程b)が、
b1)あらかじめ決定した非同一濃度の単数または複数の前記非抗凝固剤干渉物質を有する、少なくとも2つ、1つの態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも5つの較正物質試料を提供し;
b2)前記較正物質試料の各々に関して、1つの態様において工程a)の下位工程にしたがって、前記凝固時間関連パラメータの値を決定し;そして
b3)下位工程b2)において決定した値に基づいて、検量線を提供する
下位工程を含む、態様1~11のいずれか1つの方法。
【0075】
13. 前記試料が血液試料またはその誘導体であり、1つの態様において血漿試料であり、さらなる態様においてクエン酸血漿試料である、態様1~12のいずれか1つの方法。
【0076】
14. 前記被験体が見かけ上健康な被験体である、態様1~13のいずれか1つの方法。
15. 前記被験体が、抗凝固療法を投与されていない被験体である、態様1~14のいずれか1つの方法。
【0077】
16. 前記被験体が凝固障害を患っていないことが知られる、態様1~15のいずれか1つの方法。
17. 前記被験体が、ビリルビン脳症を発展させる増加したリスクを有する被験体である、態様1~16のいずれか1つの方法。
【0078】
18. 前記被験体が、新生児、1つの態様においてヒト新生児である、態様1~17のいずれか1つの方法。
19. 前記被験体が、2ヶ月齢未満、1つの態様において1ヶ月齢未満、1つの態様において2週齢未満のヒト新生児である、態様1~19のいずれか1つの方法。
【0079】
20. 前記被験体が未熟児、1つの態様において37週妊娠期間未満で生まれたヒト乳児である、態様1~19のいずれか1つの方法。
21. 前記凝固時間関連パラメータが、活性化部分トロンボプラスチン時間またはトロンビン時間であり、1つの態様においてトロンビン時間である、態様1のいずれか1つの方法。
【0080】
22. ヘキサジメトリンブロミド、プロタミンおよびヘパリナーゼより選択される化合物と、前記試料を接触させる工程を含む、態様1~21のいずれか1つの方法。
23. 抗線維素溶解剤、1つの態様においてトラネキサム酸またはその抗線維素溶解性誘導体、あるいはアプロチニンまたはその抗線維素溶解性誘導体と、前記試料を接触させる工程を含む、態様1~22のいずれか1つの方法。
【0081】
24. ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)と前記試料のアリコットを接触させ、そして前記ビリルビンオキシダーゼ処理したアリコットにおける前記凝固時間関連パラメータの値を決定する工程を含む、態様1~23のいずれか1つの方法。
【0082】
25. 総ビリルビンを決定する工程をさらに含む、態様1~24のいずれか1つの方法。
26. 総ビリルビンを決定し、そして総ビリルビンおよびコンジュゲート化ビリルビンに関して決定した値から、遊離ビリルビンを計算する工程をさらに含む、態様1~25のいずれか1つの方法。
【0083】
27. 前記較正物質試料が1つの較正物質ストック溶液に由来する、態様9~26のいずれか1つの方法。
28. 少なくとも1つの参照試料において決定した前記凝固時間関連パラメータの前記値が検量線である、態様1~27のいずれか1つの方法。
【0084】
29. 前記決定が、定量的決定であり、1つの態様において濃度を決定することである、態様1~28のいずれか1つの方法。
30. in vitro法である、態様1~29のいずれか1つの方法。
【0085】
31. 前記試料が単離試料である、態様1~30のいずれか1つの方法。
32. 不十分な品質を有する血液由来試料を同定するための方法であって、
A)態様1~31のいずれか1つ記載の非抗凝固剤干渉物質を決定し;
B)工程A)の結果を品質参照に対して比較し;そして
C)比較工程B)の結果に基づいて、不十分な品質を有する試料を同定する
工程を含む、前記方法。
【0086】
33. 前記非抗凝固剤干渉物質がコンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビンであり、1つの態様においてコンジュゲート化ビリルビンである、態様32の方法。
【0087】
34. 態様32または33の方法であって、以下の条件の少なくとも1つを評価する工程を含み、そして以下の条件の少なくとも1つが満たされている場合、前記試料が不十分な品質を有すると同定する、前記方法:
i)前記試料における凝固時間関連パラメータの値が、品質参照より低い;
ii)前記試料における凝固時間関連パラメータの値が、品質参照より高く、そしてビリルビンオキシダーゼでの前記試料の処理後、凝固時間関連パラメータの値が有意により低い;
iii)決定したヘモグロビン濃度が、20mg/dLより高い、1つの態様において50mg/dLより高い;
iv)決定したコンジュゲート化ビリルビンの濃度が、1mg/dlより高い、1つの態様において2.5mg/dLより高い;
v)決定した脂質濃度が、100mg/dLより高い、1つの態様において250mg/dLより高い;および
vi)凝固前の前記試料における透過関連パラメータの値が、透過参照の値よりも高い。
【0088】
35. 前記品質参照が、品質参照範囲または品質参照曲線である、態様32~34のいずれか1つの方法。
36. 前記品質参照の下限が、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の-20%、1つの態様において-10%、さらなる態様において-7.5%である、態様32~35のいずれか1つの方法。
【0089】
37. 前記品質参照の上限が、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の+20%、1つの態様において+10%、さらなる態様において+7.5%である、態様32~36のいずれか1つの方法。
【0090】
38. 前記品質参照が、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の±20%、1つの態様において±10%、さらなる態様において±7.5%の品質参照範囲である、態様32~37のいずれか1つの方法。
【0091】
39. 前記品質参照の下限が、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の正常の下限である、態様32~35または37のいずれか1つの方法。
40. 前記品質参照の上限が、正常試料における凝固時間関連パラメータの値の正常の上限である、態様32~36のいずれか1つの方法。
【0092】
41. 前記透過参照が、正常試料における透過関連パラメータの値の+20%、1つの態様において+10%、さらなる態様において+7.5%である、態様32~40のいずれか1つの方法。
【0093】
42. 前記透過参照が、正常試料における透過関連パラメータの値の正常の上限である、態様32~41のいずれか1つの方法。
43. 前記決定が半定量的決定であり、1つの態様において定量的決定であり、さらなる態様において濃度の決定である、態様32~42のいずれか1つの方法。
【0094】
44. 不十分な品質を有すると同定される試料が、臨床化学分析から排除され、そして/またはさらなる分析前に、ビリルビンオキシダーゼで処理される、態様32~43のいずれか1つの方法。
【0095】
45. 血液由来試料において、非抗凝固剤干渉物質を決定するためのデバイスであって、分析装置および評価装置を含み、
(I)前記分析装置が、前記試料における凝固時間関連パラメータの値を決定するよう適応しており、そして
(II)前記評価装置が、前記非抗凝固剤干渉物質に関する参照に、分析装置によって決定した凝固時間関連パラメータを比較するための触知可能に組み込まれたアルゴリズムを含むメモリ装置を含む
前記デバイス。
【0096】
46. 前記分析装置が、較正物質試料における前記凝固時間関連パラメータの値を決定するようさらに適応している、態様45のデバイス。
47. 前記分析装置が、較正物質試料を自動的に提供する、1つの態様において少なくとも2つ、1つの態様において少なくとも3つ、さらなる態様において少なくとも5つの較正物質試料を、さらなる態様において1つの較正物質ストック溶液から自動的に提供するようさらに適応している、態様45または46のデバイス。
【0097】
48. 前記分析装置が、350nm~700nmの波長、1つの態様において600nm~650nmの波長、さらなる態様において625±10nmの波長、さらなる態様において625nmの波長、さらなる態様において400nm~450nmの波長で、透過関連パラメータを決定するよう適応している光学装置を含む、態様45~47のいずれか1つのデバイス。
【0098】
49. 前記分析装置が、もっぱら、350nm~700nmの波長、1つの態様において600nm~650nmの波長、さらなる態様において625±10nmの波長、さらなる態様において625nmの波長、さらなる態様において400nm~450nmの波長で、透過関連パラメータを決定するよう適応している光学装置を含む、態様45~48のいずれか1つのデバイス。
【0099】
50. 前記透過関連パラメータが、フォトオプティカル法によって、1つの態様において測光法によって、さらなる態様において比濁分析によってまたは比濁法によって、さらなる態様において比濁法によって、決定される、態様45~49のいずれか1つのバイス。
【0100】
51. 前記分析装置が、比濁分析によってまたは比濁法によって、さらなる態様において比濁法によって、前記透過関連パラメータを決定するために適応している、態様45~50のいずれか1つのデバイス。
【0101】
52. 前記デバイスが、態様1~44のいずれか1つにさらなる特徴が含まれるよう適応している、態様45~51のいずれか1つのデバイス。
53. i)トロンビン;および
ii)あらかじめ決定した濃度のコンジュゲート化ビリルビンを含むか、またはあらかじめ決定した濃度のヘモグロビンを含む、少なくとも1つの較正物質試料
を含む、コンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビン濃度を決定するためのキット。
【0102】
54. 前記のあらかじめ決定した濃度が、正常試料の濃度を、少なくとも20%、1つの態様において少なくとも10%超える、態様53のキット。
55. 少なくとも1mg/dL、1つの態様において少なくとも2.5mg/dL、さらなる態様において少なくとも5mg/dLのあらかじめ決定した濃度のコンジュゲート化ビリルビンを含む較正物質試料を含む、態様53または54のキット。
【0103】
56. 少なくとも20mg/dL、1つの態様において少なくとも50mg/dL、1つの態様において少なくとも100mg/dLのあらかじめ決定した濃度のヘモグロビンを含む較正物質試料を含む、態様53~55のキット。
【0104】
57.不十分な品質を有する血液由来試料を同定するためのキットであって
i)凝固を誘発する剤;および
ii)あらかじめ決定した検出可能な量で非抗凝固剤干渉物質を含む、少なくとも1つの参照試料
を含む、前記キット。
【0105】
58. ビリルビンオキシダーゼをさらに含む、態様53~57のいずれか1つのキット。
59. 少なくとも1つの較正物質試料および/または少なくとも1つの品質参照試料をさらに含む、態様53~58のいずれか1つのキット。
【0106】
60. ヘキサジメトリンブロミド、プロタミンおよびヘパリナーゼより選択される化合物をさらに含む、態様53~59のいずれか1つのキット。
61. 抗線維素溶解剤、1つの態様においてトラネキサム酸またはその抗線維素溶解性誘導体、あるいはアプロチニンまたはその抗線維素溶解性誘導体をさらに含む、態様53~60のいずれか1つのキット。
【0107】
62. 接触活性化剤、特にシリカゲルまたはエラグ酸をさらに含み、1つの態様においてリン脂質をさらに含む、態様53~61のいずれか1つのキット。
63. トロンビンをさらに含む、態様57~62のいずれか1つのキット。
【0108】
64. 血液由来試料分析の品質管理のための、態様1~44のいずれか1つ記載の方法の使用、態様45~52のいずれか1つに記載のデバイスの使用、および/または態様53~63のいずれか1つに記載のキットの使用。
【0109】
65. 前記品質管理が、臨床化学分析から、および/または凝固分析から、不十分な品質である試料を排除する工程を含む、態様64の使用。
66. 不十分な品質である試料が、態様34記載の少なくとも1つの条件を満たす試料である、態様64または65の使用。
【0110】
67. 被験体の血液由来試料における、非抗凝固剤干渉物質を決定するための、1つの態様においてコンジュゲート化ビリルビンおよび/またはヘモグロビンおよび/または脂質を決定するためのキットであって
i)凝固を誘発する剤;および
ii)あらかじめ決定した検出可能な量で非抗凝固剤干渉物質を含む少なくとも1つの参照試料
を含む、前記キット。
【0111】
68. 凝固を誘発する前記剤が接触活性化剤であり、1つの態様においてシリカ、セライト、カオリン、および/またはエラグ酸である、態様67のキット。
69. カルシウムイオンを提供する剤をさらに含む、態様67または68のキット。
【0112】
70. 前記の少なくとも1つの参照試料が、(i)あらかじめ決定した検出可能な量のコンジュゲート化ビリルビンを含む少なくとも1つの参照試料および/または(ii)あらかじめ決定した検出可能な量のヘモグロビンを含む少なくとも1つの参照試料および/または(iii)あらかじめ決定した検出可能な量の脂質を含む少なくとも1つの参照試料である、態様67~69のいずれか1つのキット。
【0113】
71. ビリルビンオキシダーゼをさらに含む、態様67~70のいずれか1つのキット。
72. 被験体の血液由来試料における、ビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定するための方法であって、
a)ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)および/またはベータ-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.31)と前記試料を接触させ、
b)工程a)の試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;そして
c)それによって、ビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定する
工程を含む、前記方法。
【0114】
73. 被験体における、コンジュゲート化ビリルビンおよびビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定するための方法であって、
a)前記被験体の第一の血液由来試料における凝固時間関連パラメータの第一の値を決定し;
b)前記被験体の第二の血液由来試料を、ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)および/またはベータ-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.31)と接触させ、
c)工程b)の試料における凝固時間関連パラメータの第二の値を決定し、
d)a)で決定した凝固時間関連パラメータの第一の値に由来するパラメータを参照に対して比較し;
e)比較工程d)に基づいて、前記被験体におけるコンジュゲート化ビリルビンを決定し、
f)工程b)の第二の試料における凝固時間関連パラメータの値を決定し;そして、それによって
g)前記被験体における、コンジュゲート化ビリルビンおよびビリルビン補正凝固時間関連パラメータを決定する
工程を含む、前記方法。
【0115】
74. 前記の第一および第二の血液由来試料が、被験体の同じ試料のアリコットである、態様73の方法。
本明細書に引用するすべての参考文献は、その全開示内容および本明細書に特に言及する開示内容に関して、本明細書に援用される。
【0116】
以下の実施例は、本発明を単に例示するものとする。これらは、どんなものであれ、本発明の範囲を限定するとは見なされないものとする。
【実施例】
【0117】
実施例1:試料におけるコンジュゲート化ビリルビン(bilic)の定量化(APTTアッセイ)
予期せぬことに、商業的に入手可能な活性化部分トロンボプラスチン時間試薬(Roche APTT LS試薬、開発中)を用いて、自動化凝固分析装置(Roche cobas t711)上で、コンジュゲート化ビリルビン(bilic)を定量化可能であることが見出された。増加する濃度のコンジュゲート化ビリルビンを正常血漿試料に添加すると、添加したコンジュゲート化ビリルビンの量および[秒]での生じる凝固時間の間に、線形の正の相関が示された。これは、APTTアッセイの凝固時間が、スパイクされたコンジュゲート化ビリルビンの量に、体系的に経時的に依存したことを意味する(表1)。
【0118】
表1:APTT試薬を用いた、コンジュゲート化ビリルビン(bilic)の定量化。コンジュゲート化ビリルビンを、増加する量で正常血漿にスパイクした。続いて、APTT試薬を用いて、この血漿を活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイに供した。アッセイ:Roche Cobas t711凝固分析装置上のRoche APTT LS、試料:正常血漿プール。
【0119】
【0120】
これは、正常血漿試料と組み合わせたAPTTアッセイを用いて、血漿試料中のコンジュゲート化ビリルビンの未知の量を決定可能であることを示す。表1に示すデータのグラフ提示は、ビリルビン決定アッセイのための検量線である(
図1)。増加する濃度のコンジュゲート化ビリルビンをスパイクした病的血漿プールを用いた際に、同様の結果が得られた(
図2)。
【0121】
検量線および
図1由来のそれぞれの等式を用いて、未知の量のコンジュゲート化ビリルビン(≧2mg/dL)は、秒でのAPTT結果から得られうる。例:
【0122】
【0123】
31秒のAPTT結果は、コンジュゲート化ビリルビン濃度x=11.74mg/dLを生じるであろう。
上に示す検量線は、増加する量のbilicを正常血漿試料にスパイクすることによって生成された。病的血漿試料に増加する量のbilicをスパイクして、そしてAPTTアッセイに供した際も、同様の結果が得られた。これは、凝固時間およびビリルビン濃度の間に、用量依存性の体系があることを立証する。
【0124】
コンジュゲート化ビリルビン(bilic)で得た結果とは対照的に、非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)は、高濃度であっても、APTT結果にわずかにしか影響を及ぼさないことを示すことが可能であった(表2および
図3)。
【0125】
表2:APTT試薬を用いた非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)の定量化。非コンジュゲート化ビリルビンを、増加する量で正常血漿にスパイクした。続いて、Roche APTT LS試薬を用いて、この血漿をAPTTアッセイに供した。Roche Cobas t711凝固分析装置上でのAPTT LS;試料:正常血漿プール。
【0126】
【0127】
これは、APTT試薬に基づくビリルビンアッセイを用いて、非コンジュゲート化ビリルビンによる実質的な干渉を伴わずに、コンジュゲート化ビリルビンを決定可能であることを示す。このアッセイは、コンジュゲート化および非コンジュゲート化ビリルビンの間の区別を可能にし、これは慣用法を用いる場合には些細な問題ではない。
【0128】
実施例2:試料におけるヘモグロビンの定量化(APTTアッセイ)
上述の方法および実施例と本質的に同様に、同じAPTT試薬(Roche APTT LS)を用いて、自動化凝固分析装置(Roche Cobas t711凝固分析装置、現在開発中)上、クエン酸血漿試料におけるヘモグロビン濃度を定量化可能であることが見出された。病的血漿試料に増加する濃度のヘモグロビンを添加すると、添加したヘモグロビンの量および[秒]での生じる凝固時間の間に、線形の負の相関が示された。bilic濃度の増加に伴い、用量依存性の凝固時間の延長を示したビリルビン定量化法と対照的に、APTTアッセイの凝固時間は、スパイクしたヘモグロビンの量に依存して、体系的に短くなった(表3)。
【0129】
表3:APTT試薬を用いたヘモグロビンの定量化。ヘモグロビンを、増加する量で正常クエン酸血漿にスパイクした。続いて、APTT試薬を用いて、この血漿を活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイに供した。アッセイ:Roche Cobas t711凝固分析装置上のRoche APTT LS、試料:正常血漿プール。
【0130】
【0131】
これは、正常血漿試料と組み合わせたAPTTアッセイが、血漿試料中のヘモグロビンの未知の量を決定するために適していることを示す。表3に示すデータのグラフ提示は、ヘモグロビン決定アッセイのための検量線である(
図4)。
【0132】
検量線および
図4由来のそれぞれの等式を用いて、未知の量のヘモグロビンは、秒でのAPTT結果から得られうる。例:
【0133】
【0134】
27秒のAPTT結果は、ヘモグロビン濃度x=785.71mg/dLを生じるであろう。
上述のビリルビン定量化法と同様、ヘパリン中和剤を添加し、そしてそれによってヘモグロビンの定量化のためのAPTT結果の特異性を体系的に改善する方式で、用いるAPTT試薬を修飾してもよい。
【0135】
実施例3:試料におけるトリグリセリドの定量化(APTTアッセイ)
上述の方法および実施例と本質的に同様に、同じAPTT試薬(Roche APTT LS)を用いて、自動化凝固分析装置(Roche Cobas t711)上、クエン酸血漿試料におけるトリグリセリド濃度を定量化可能であることが見出された。正常または病的血漿試料に、増加する濃度のIntralipid(登録商標)(精製タマゴ・リン脂質およびグリセリンによって乳化された(emulgated)、ダイズ油(20%(w/v))のエマルジョン)を添加すると、添加したIntralipid(登録商標)の量および[秒]での生じる凝固時間の間に、線形の負の相関が示された。bilic濃度の増加に伴い、用量依存性の凝固時間の延長を示したビリルビン定量化法と対照的に、APTTアッセイの凝固時間は、スパイクしたIntralipid(登録商標)の量に依存して、体系的に短くなった(表4)。
【0136】
表4:APTT試薬を用いたトリグリセリドの定量化。Intralipid(登録商標)を、増加する量で正常クエン酸血漿にスパイクした。続いて、APTT試薬を用いて、この血漿を活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイに供した。アッセイ:t711凝固分析装置上のRoche APTT LS、試料:正常血漿プール。
【0137】
【0138】
これは、正常血漿試料と組み合わせたAPTTアッセイが、血漿試料中のトリグリセリドの未知の量を決定するために適していることを示す。表4に示すデータのグラフ提示は、ヘモグロビン決定アッセイのための検量線である(
図5)。
【0139】
検量線および
図5由来のそれぞれの等式を用いて、未知の量のトリグリセリドは、秒でのAPTT結果から得られうる。例:
【0140】
【0141】
27.9秒のAPTT結果は、ヘモグロビン濃度x=283.88mg/dLを生じるであろう。
病的血漿試料に増加する量のIntralipid(登録商標)をスパイクして、そしてAPTTアッセイに供した際も、同様の結果が得られた。これは、凝固時間およびIntralipid(登録商標)濃度の間に、用量依存性の体系があることを立証する(
図6)。
【0142】
上述のビリルビン定量化法と同様、ヘパリン中和剤を添加し、そしてそれによってヘモグロビンの定量化のためのAPTT結果の特異性を体系的に改善する方式で、用いるAPTT試薬を修飾してもよい。
【0143】
実施例4:試料におけるコンジュゲート化ビリルビン(bilic)の定量化(トロンビン時間アッセイ)
予期せぬことに、トロンビン試薬(Rocheトロンビン時間試薬、開発中)を用いて、自動化凝固分析装置(Roche Cobas t711凝固分析装置、現在開発中)上で、コンジュゲート化ビリルビン(bilic)を定量化可能であることが見出された。増加する濃度のコンジュゲート化ビリルビンを正常血漿試料に添加すると、添加したコンジュゲート化ビリルビンの量および[秒]での生じる凝固時間の間に、線形の正の相関が示された。これは、トロンビン時間(TT)アッセイの凝固時間が、スパイクされたコンジュゲート化ビリルビンの量に、体系的に経時的に依存したことを意味する(表5)。
【0144】
表5:トロンビン試薬を用いた、コンジュゲート化ビリルビン(bilic)の定量化。コンジュゲート化ビリルビンを、増加する量で正常血漿にスパイクした。続いて、商業的トロンビン試薬を用いて、この血漿をトロンビン時間アッセイに供した。アッセイ:Roche Cobas t711凝固分析装置(現在開発中)上のトロンビン時間、試料:正常血漿プール。
【0145】
【0146】
これは、正常血漿試料と組み合わせたトロンビン時間アッセイ(TTアッセイの活性成分は酵素トロンビンである)を用いて、血漿試料中のコンジュゲート化ビリルビンの未知の量を決定可能であることを示す。表5に示すデータのグラフ提示は、ビリルビン決定アッセイのための検量線である(
図7)。
【0147】
検量線および
図7由来のそれぞれの等式を用いて、未知の量のコンジュゲート化ビリルビン(≧1mg/dL)は、秒でのTT結果から得られうる。例:
【0148】
【0149】
19秒のTT結果は、コンジュゲート化ビリルビン濃度x=4.95mg/dLを生じるであろう。
上に示す検量線は、増加する量のbilicを正常血漿試料にスパイクすることによって生成された。病的血漿試料に増加する量のbilicをスパイクして、そしてトロンビン時間アッセイに供した際も、同様の結果が得られた(
図8)。これは、凝固時間およびビリルビン濃度の間に、用量依存性の体系があることを立証する。
【0150】
コンジュゲート化ビリルビン(bilic)で得た結果とは対照的に、非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)は、高濃度であっても、トロンビン時間結果に影響を及ぼさないようであることを示すことが可能であった(表6および
図9)。
【0151】
表6:トロンビン試薬を用いた非コンジュゲート化ビリルビン(biliu)の定量化。非コンジュゲート化ビリルビンを、増加する量で正常血漿にスパイクした。続いて、商業的トロンビン試薬を用いて、この血漿をトロンビン時間アッセイに供した。アッセイ:Roche Cobas t711凝固分析装置上でのトロンビン時間、試料:正常血漿プール。
【0152】
【0153】
これは、トロンビン試薬に基づくビリルビンアッセイを用いて、非コンジュゲート化ビリルビンによる実質的な干渉を伴わずに、コンジュゲート化ビリルビンを決定可能であることを示す。このアッセイは、コンジュゲート化および非コンジュゲート化ビリルビンの間の区別を可能にし、これは慣用法を用いる場合には些細な問題ではない。
【0154】
実施例5:試料におけるヘモグロビンの定量化(TTアッセイ)
上述の実施例4の方法および実施例と本質的に同様に、同じトロンビン試薬(Rocheトロンビン時間試薬)を用いて、自動化凝固分析装置(Roche Cobas t711凝固分析装置、現在開発中)上、クエン酸血漿試料におけるヘモグロビン濃度を定量化可能であることが見出された。病的血漿試料に増加する濃度のヘモグロビンを添加すると、添加したヘモグロビンの量および[秒]での生じる凝固時間の間に、線形の負の相関が示された。bilic濃度の増加に伴い、用量依存性の凝固時間の延長を示したビリルビン定量化法と対照的に、トロンビン時間アッセイの凝固時間は、スパイクしたヘモグロビンの量に依存して、体系的に短くなった(表7)。
【0155】
表7:トロンビン試薬を用いたヘモグロビンの定量化。ヘモグロビンを、増加する量で正常クエン酸血漿にスパイクした。続いて、商業的トロンビン試薬を用いて、この血漿をトロンビン時間(TT)アッセイに供した。アッセイ:Roche Cobas t711凝固分析装置上のトロンビン時間、試料:病的血漿プール。
【0156】
【0157】
これは、病的血漿試料と組み合わせたトロンビン時間アッセイが、血漿試料中のヘモグロビンの未知の量を決定するために適していることを示す。表7に示すデータのグラフ提示は、ヘモグロビン決定アッセイのための検量線である(
図10)。
【0158】
検量線および
図10由来のそれぞれの等式を用いて、未知の量のヘモグロビンは、秒でのTT結果から得られうる。例:
【0159】
【0160】
35秒のTT結果は、ヘモグロビン濃度x=919.58mg/dLを生じるであろう。
上述のビリルビン定量化法と同様、ヘパリン中和剤を添加し、そしてそれによってヘモグロビンの定量化のためのトロンビン時間結果の特異性を体系的に改善する方式で、用いるトロンビン試薬を修飾してもよい。