(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイス
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20221005BHJP
B60G 3/28 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60G17/015 Z
B60G3/28
(21)【出願番号】P 2019539995
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2018000352
(87)【国際公開番号】W WO2018134689
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-07
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519261552
【氏名又は名称】ドォフテック ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Doftek Pty Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,ジェフリー ウィリアム
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-095908(JP,A)
【文献】特開昭60-193781(JP,A)
【文献】特開2011-207332(JP,A)
【文献】実開平04-022629(JP,U)
【文献】特開昭62-268772(JP,A)
【文献】特開昭64-090805(JP,A)
【文献】実開平02-003979(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスであって、前記デバイスが、
上部マウントボディ、下部マウントボディ、及び前記下部マウントボディ上の並進座面を備えるマウントボディであって、前記上部マウントボディと前記下部マウントボディの間の車両のフレームに固着するように構成されている前記マウントボディと、
前記ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダであって、前記ストラットホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記ストラットホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記ストラットホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、ストラットホルダと、
前記上部マウントボディの上面の上に配置されると共に前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に、前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、
を備えたデバイス。
【請求項2】
前記並進座面が前記ストラットホルダの両側に平行に延在する一対のシャフトを備えている、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ストラットホルダに固着されて前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた請求項
1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電気機械アクチュエータは、前記ストラットホルダに結合されて前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている請求項
1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電気機械アクチュエータの駆動を制御するように構成された電子コントローラを更に備えた請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電子コントローラは、キャンバーを調整する場合に前記車両のトウを調整するように構成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電気機械アクチュエータは前記ストラットホルダに結合されて前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記ストラットホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ストラットホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記並進座面は1500kgを超えるラジアル負荷を支持するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスであって、前記デバイスが、
前記車両のフレームが上部マウントボディと下部マウントボディの間に、前記下部マウントボディ上の開口部に位置合わせされている前記上部マウントボディ上の開口で固定され得るように構成されている前記上部マウントボディ及び前記下部マウントボディと、
前記下部マウントボディ上の並進座面と、
前記ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダであって、前記ストラットホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記ストラットホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記ストラットホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、ストラットホルダと、
前記上部マウントボディの上面の上に配置されると共に前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に、前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、
前記電気機械アクチュエータの駆動を制御するように構成された電子コントローラと、
を備えたデバイス。
【請求項12】
前記並進座面は前記ストラットホルダの両側に平行に延在する一対のシャフトを備えている請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ストラットホルダに固着され前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記電気機械アクチュエータは前記ストラットホルダに結合されて前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記ストラットホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記ストラットホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記並進座面は1500kgを超えるラジアル負荷を支持するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電子コントローラは、キャンバーを調整する場合に前記車両のトウを調整するように構成される、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許は、本明細書に全体を参照により組み込む、タイトルが「車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイス(Electromechanical Devices for Controlling Vehicle Suspension Settings)」の、2017年1月19日に出願された米国仮特許出願第62/447,912号の優先権を主張する。
【0002】
参照による援用
本明細書で言及される全ての公報及び特許出願は、恰も個々の公報又は特許出願が特定的且つ個々に参照により援用されると示されたのと同程度に、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書では、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械装置が記載される。例えば、本明細書では、車両のホイールアライメント(キャンバー、キャスター及びトウ)、アンチロールバー硬さ及びロール中心を制御する為の電気機械デバイス及びシステムについて記載する。特に、本明細書では、既存の車両サスペンションに追加導入され得るキャンバー又はキャンバー及びトウを電気機械的に調整する為の装置について記載する。
【背景技術】
【0004】
任意の車両の(例えば、自動車の)サスペンションシステムの位置設定は、ハンドル操作、タイヤ磨耗、燃料効率、安全性、乗客快適性等を含む車両の運行特性に有意に影響する。これらの特性間には典型的にトレードオフがあり、それにより、一組の設定が或る運行特性を最適化する傾向にあるのに対し、他の組の設定は他の運行特性を最適化する傾向にある。
【0005】
例えば、通常の道路用途に主に用いられる車両は典型的に、乗客快適性を最適化するキャンバー、キャスター及び/又はトウのよりニュートラルな設定を使用するが、ハンドル操作性能を犠牲にする。他方で、競争用途(例えばレース)で主に用いられる車両は典型的に、ハンドル操作性能を最適化する、よりアグレッシブな設定を用いるが、乗員快適性を犠牲にする。
【0006】
車両が一般に単一の目的のみに使用される場合、設定はその用途に適切に固定され得る。しかしながら、2つ以上の目的に用いられる、又は2組以上の運行条件に用いられる車両も多く存在し、その場合、設定を変えることが望ましい。例えば、多くの現代のスポーツカーは週日中に仕事場への通勤に使用され(この場合乗客快適性が望ましい)、その後、週末にはスポーツ/レクリエーション用途で使用される(この場合ハンドル操作性能が望ましい)。
【0007】
運行特性を変えるために車両上で調整され得るサスペンション設定は、スプリングレート、ダンパーレート、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、キャスター及びトウ)、アンチロールバーレート、ロール中心、タイヤ空気圧等を含み得る。磁気又は適応型ダンパは、サスペンションシステムの減衰率がボタン押下によって又は自動的に便利に調整されることを可能にするが、他の設定は全て、最も一般的には機械式に手動調整されなければならない。車両を2つ以上の目的で、又は2つ以上の組の運行条件で頻繁に使用する人々にとって、設定を頻繁に変えることは時間も掛かり高価でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、ダンパーレートだけではなく他のサスペンション設定を、例えばボタン押下によって、又は自動的に、迅速且つ容易に変更することを可能にする解決策への必要が存在する。更に、既存のサスペンションシステムに追加導入され得る解決策を提供することが特に有用であろう。本明細書では、この必要に対処する装置(例えば、デバイス及びシステム)及びそれらの作製及び操作方法について記載する。本明細書に記載の装置はいずれも、キャンバー、トウ及びキャスター又はこれらの組み合わせ等の1つ以上のサスペンション設定を手動、自動又は半自動で(例えば、電気機械式、ロボット等)調整してよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般に、車両のサスペンション設定を制御する為の電気機械装置(デバイス及び方法)及びそれらの作製及び使用方法に関する。特に、本明細書に記載の電気機械システムは典型的に、車両上のホイールアライメント(キャンバー、キャスター及び/又はトウ)、アンチロールバーレート及び/又はロール中心を制御する為の1つ以上のデバイスを含む。特に、本明細書では、キャンバー及び/又はトウ、及び/又はキャスターを制御する為の装置及び方法について記載する。
【0010】
一般に、各ホイールのサスペンション設定は、単一の装置又は複数の装置によって合同で又は個別に制御されてよい。装置は、車両製造者の標準的サスペンションシステム対応に、又はアフターマーケットサスペンションシステム対応に構成されてよい。
【0011】
本明細書に記載のデバイスはいずれも、左輪(例えば、運転者側)、右輪(例えば、乗員側)、前輪又は後輪を含む任意のホイールのサスペンションに用いられてよい。例えば、車両は、フロントサスペンション設定を制御するためにのみ前輪に装備された1つ以上のデバイスを有してよい。別の例では、車両は、フロント及びリアサスペンション設定を制御するためにのみ前輪及び後輪に装備された1つ以上のデバイスを有してよい。
【0012】
一般に、各ホイールのサスペンション設定は、全ての他のホイールとは別個に制御され得る。例えば、前輪と後輪の間、及び/又は左輪と右輪の間で異なるサスペンション設定を有することが可能であり得る。
【0013】
本明細書に記載の装置は、キャンバー、キャスター及び/又はトウを含むホイールアライメント設定を制御する為の装置を含む。一般に、各ホイールにつき、キャンバー、キャスター及び/又はトウは互いから独立して制御され得る。例えば、或るホイールのキャンバーを、そのホイールのキャスター及び/又はトウを変更せずに変更することが可能であり得る。代替的に、本明細書に記載のいずれの装置に関しても、ホイールアライメントパラメータ(キャンバー、トウ、キャスター)のうち1つ以上を修正すると、他のホイールアライメントパラメータのうち1つ以上を自動調整できる。例えば、タイヤのキャンバーを修正すると、同じタイヤのトウを自動修正できる。
【0014】
一般に、各ホイールのキャンバー、キャスター及びトウは、別個の装置によって制御され得る。1つの装置がキャンバーを制御し得るのに対し、第2の装置はキャスターを制御し、第3の装置はトウを制御する。車両のコントローラは、特定のホイール向けの特定のアライメント設定のみが変更され得るように構成されてよい。例えば、車両(例えば、車両のホイールアライメントを制御する為のコントローラ)は、1つのホイールのキャンバーのみを制御する為の1つの装置で構成され、そのホイールのキャスターまたはトウには制御を及ぼさず、又、いずれの他のホイール(複数可)のアライメント設定にも制御を及ぼさないように構成されてよい。別の例では、車両には以下の4つの装置が装備され得る:前左輪のキャンバーを制御する為の1つの装置、前右輪のキャンバーを制御する為の1つの装置、前左輪のトウを制御する為の1つの装置、及び前右輪のトウを制御する為の1つの装置。各装置は、全ての他の装置とは独立して制御されてよく、又は、1つ以上の他の装置と組み合わせて制御されてもよい。代替的に又は付加的に、単一の装置を用いて全てのホイールの1つ以上のアライメント設定を制御してもよい。例えば、単一の装置を用いて全てのホイール(又は、前輪、後輪、右輪、左輪等のホイールのサブセット)のキャンバーを制御してもよい。代替的に又は付加的に、複数の装置を用いて単一のホイールの単一のアライメント設定を制御してもよい。例えば、2つの装置を用いて、単一のホイールのキャンバーを制御してもよい。
【0015】
本明細書に記載の装置は、アンチロールバー(別称スウェイバー、スタビライザーバー等)設定を制御する為の装置(例えば、デバイス、システム)を含む。特に、1つ以上のデバイスを用いて、1つ以上のアンチロールバーの硬さを制御してもよい。車両にフロント及びリアアンチロールバーが装備されている場合、1つ以上のデバイスは前部硬さを制御する為にフロントアンチロールバーに装備されるか、又は、後部硬さを制御するためにリアアンチロールバーに装着されても、又は、フロント及びリア硬さを制御するためにフロント及びリアアンチロールバー両方に装着されてもよい。
【0016】
本明細書に記載の装置は、ロール中心設定を制御する為のデバイス又はシステムを含む。特に、1つ以上のデバイスは、車両の1つ以上のロール中心の設定を制御する為に用いられてよい。
【0017】
本明細書に記載の装置は典型的に、車両の関連する静的負荷及び動的負荷を支持するように構成された少なくとも1つの構造部材と、構造部材の、又は構造部材に関連する少なくとも1つのサスペンション設定を制御及び変更するように構成された少なくとも1つの調整部材と、調整部材(複数可)の並進移動を駆動するように構成された少なくとも1つのドライバを含む。本明細書に記載の装置はいずれも、車両のサスペンションの構造部材及び/又は車両のフレームに典型的に装着されてよい。こうして、本明細書に記載の装置はいずれも、車両のサスペンションの構造部材を保持若しくは結合する、及び/又は車両のフレームを保持若しくは結合するマウント(例えば、マウントボディ)を含み得る。
【0018】
少なくとも1つの構造部材は、(限定はしないが)ビーム、支持体、シャフト、レール、ロッド、ハウジング、ステージ、マウント、ブラケット、ボルト、ナット、ねじ(例えば、パワースクリュー、リードスクリュー、ボールスクリュー等)等を含む任意の適切なタイプの構造部材であってよい。構造部材は定置状態を保っても、又は、回転か長さ寸法のいずれかに、又は回転と長さ寸法に並進移動してもよい。
【0019】
少なくとも1つの調整部材は、ねじ(例えば、パワースクリュー、リードスクリュー、ボールスクリュー等)、ギア(例えば、スパーギア、ヘリカルギヤ、ウォームギア等)、プーリ、ベルト、シャフト、スライド、ピボット、レバーアーム、連結ロッド、カム等を含む任意の適切なタイプの調整部材であってよい。調整部材は、回転か長さ寸法のいずれかに、又は回転と長さ寸法に並進移動してもよい。
【0020】
少なくとも1つのドライバは、(限定はしないが)機械式アクチュエータ(例えば、モータ等)、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、電気アクチュエータ等を含む任意の適切なタイプのドライバであってよい。ドライバは、回転か長さ寸法のいずれかに、又は回転と長さ寸法に並進移動してもよい。
【0021】
一般に、車両のキャンバーを調整する為の装置は、サスペンションの部分を軸方向に駆動して、中心から半径方向にずれておりタイヤの中心(回転)軸上に位置しているタイヤの領域に力を印加する(押す又は引く)ことによってキャンバーを調整する。これらのキャンバー調整装置は典型的に、電気モータ(又はその他のアクチュエータ)を含んでよくタイヤの中心軸の上のホイールサスペンションの部分の位置を修正する電気機械アクチュエータを含む。デバイスは、ホイールサスペンションに、好ましくは、ホイールのばね下質量を実質的に増加させない領域において装着されてよく、従って、キャンバー調整装置は、フレーム上を含めて、ホイールステアリングナックル(例えば、ハブ)から遠位に取り付けられることが好ましくあり得る。本明細書に記載のキャンバー調整装置のいずれも、ホルダを有する部分を、マウントボディの一部である座面に押し付けて移動させることによってサスペンションの部分をマウントボディに対して移動できるように、一般に、上部ウィッシュボーン又は三角(ダブルウィッシュボーンタイプサスペンションの)又はシャフト(マクファーソンタイプサスペンションの)であるサスペンションの一部分を保持する為のホルダ(サスペンションアームホルダ又はウィッシュボーンアームホルダを含めてアームホルダと総称する)も含んでよい。
【0022】
例えば、キャンバーを制御する為の装置は、装置の全部又は一部を包囲するハウジングと、好ましくは例えば、1つ以上の支持レールとして構成され得る並進座面を含むマウントボディと、並進座面がホルダとマウントボディの間にある場合にサスペンション構成要素に連結する為のアームホルダ等のホルダと、電気機械アクチュエータ(例えば電気モータ)を含む。ホルダはリニアステージの一部であってよく、例えば、リニアステージは座面を介してホルダに連結しホルダを支持してよい。電気機械アクチュエータは、低摩擦ボールスクリュー及びナットアセンブリ(調整部材)を含んでよく、リニアステージ及び/又はホルダに連結して(例えば、電気機械アクチュエータはホルダに直接又は間接的に連結してよい)、ホルダ/リニアステージを座面上で駆動してよい。 例えば、電気モータ(ドライバ)は、ボールスクリューを回転させてそれによってリニアステージを並進移動させるように構成されてよい。キャンバー調整装置は、例えばマクファーソンサスペンションシステム内のストラットの頂部に配置されると共にフレームに取り付けられて、ストラットの頂部を方向(イン/アウト)の軸に並進移動させ、それによってタイヤのキャンバーを変更してもよい。
【0023】
本明細書に記載のデバイスは典型的に電子的に制御される。各デバイスはその独自の電子システムによって制御されても、別のデバイスの電子システムによって制御されても、共通の中央化電子システムによって制御されても、又は電子システムの組み合わせによって制御されてもよい。特に、少なくとも1つのドライバは電子的に制御されてよい。例えば、各デバイスは、ユーザ入力及び/又はセンサ入力を受信し、適切な駆動電子素子を介して少なくとも1つのドライバにコマンドを送信するように構成されたマイクロコントローラを含み得る。
【0024】
本明細書のいずれのデバイスを制御するために用いられるいずれの電子システムも他のデバイス/システム/機能を、それらが本明細書に記載されているか否かに拘らず、制御するために用いられてよい。例えば、共通の中央化された電子システムが、車両に装備された場合に本明細書に記載の幾つかのデバイスを制御してよく、更に、その車両の磁気ダンパを制御してもよい。
【0025】
デバイスは、開ループ又は閉ループ制御を含み得る。開ループ動作の場合、サスペンション設定は、ユーザの好み通りにユーザによって電気機械的に調整されてよい。調整方法は、(限定はしないが)スイッチ、ボタン、ユーザインターフェース等を含み得る。
【0026】
これらのいずれの装置も、(限定はしないが)ポジションセンサ、エンコーダ(例えば、リニア、ロータリー、光学等)、リミットスイッチ、近接センサ、温度(サーマル)センサ、リードスイッチ、光センサ(例えば、紫外、赤外等)、加速度計等を含む1つ以上のセンサを含み得る。これらの装置の閉ループ構成は、これらのセンサ及び/又はユーザ入力のうち1つ以上(ボタン、ダイヤル、スクリーン/タッチスクリーン、ノブ等)からの情報を用いて、キャンバー、トウ及び/又はキャスター等のホイールアライメントの1つ以上の態様を調整する1つ以上のセンサを含んでよい。
【0027】
装置は複数の別個のモードで構成されてよい。モードは、キャンバー及び/又はトウ及び/又はキャスターの予め決まった位置に対応してよい。これらのモードは、車両所有者、車両製造者、サービス技術者等によって設定されてよい。ユーザは、スイッチ、ボタン、ユーザインターフェース(タッチスクリーン)、キーパッド、キーボード、ダイヤル、ノブ、スライダー等の入力または制御子を介してこれらのモードを選択してよい。例えば、装置は通常路向けの「通常」モードで構成されてニュートラルサスペンション設定(高快適性、低ハンドル操作性能)を提供しても、軽性能使用向けの「スポーツ」モードで構成されて、微小に変更されたサスペンション設定(中快適性、中ハンドル操作性能)を提供しても、また、高性能使用向けの「レース」モードで構成されて、大きく変更されたサスペンション設定(低快適性、高ハンドル操作性能)を提供してもよい。これらのモード設定は、キャンバー調整装置及び/又はトウ調整装置、及び/又はキャスター調整装置の特定の位置設定に対応してよい。それらは、例えば電子コントローラのメモリに記憶されてよい。装置は、連続範囲での調整で構成されてよく、ユーザが彼/彼女の好みに微調整することを可能にする。ユーザは、任意の適切な入力(例えば、スイッチ、ボタン、ユーザインターフェース等)を介して調整を行ってよい。出力(例えば、ダイヤル、スクリーン、LED等)を用いて、現在使用されている設定をユーザに知らせてよい。例えば、閉ループデバイスは、スイッチセット、回転ダイヤル及びスクリーンを含んでよく、それにより、スイッチセットを用いて、制御するサスペンション設定を選択し、回転ダイヤルを用いてサスペンション設定を調整し、スクリーンはユーザに現在の設定を報告する。これで、ユーザが設定をカスタマイズすることが可能となる。
【0028】
本明細書に記載のいずれのデバイスも、1つ以上のホイール上のサスペンション設定が所望の値(複数の場合あり)から逸脱しているかどうか/逸脱していた場合にユーザに通知するためのスクリーン又は他の形態の出力デバイスを含み得る。例えば、ホイールが、そのホイールのアライメントを変えるのに足る力でカーブで衝突した場合、フィードバックセンサが、その状況を検出及びユーザに報告する為に用いられ得る。
【0029】
本明細書に記載のいずれのデバイスも、ユーザにサスペンション設定以外のフィードバックデータを提供してよく、それは(限定はしないが)、タイヤ温度、タイヤの温度プロファイル、タイヤ磨耗、トレッドデプス、タイヤ損傷、タイヤ変形、タイヤ空気圧、ホイール角、ホイール距離、ホイール位置、ホイール変位等を含む。
【0030】
本明細書に記載の装置はいずれも、自動又は半自動で動作(例えば、支援付きユーザ入力又は確認)するように構成されてよい。1つ以上のセンサは、特定の変数を断続的又は連続的に監視するために用いられてよい。これらの変数の値は、調整が必要な場合どのサスペンション設定が調整されるべきかを決定するために用いられてよい。センサデータは電子制御システム、コンピュータ等に報告されてよく、それらはユーザ入力なしでサスペンション設定を自動で断続的又は連続的に変更できる。センサ入力は、(限定はしないが)タイヤ温度、タイヤの温度プロファイル、タイヤ磨耗、トレッドデプス、タイヤ損傷、タイヤ変形、タイヤ空気圧、ホイール角、ホイール距離、ホイール位置、ホイール変位、車両加速(任意の方向への)、ブレーキ入力、スロットル入力、ステアリング角、ホイールスリップ等を含み得る。
【0031】
閉ループ(又は半閉ループ)デバイスは、自動/半自動で動作するように構成されてよく、又、タイヤ付近に配置されてそのタイヤに亘る、タイヤの内縁から外縁への、又はタイヤの外縁から内縁への温度プロファイルを監視する温度センサを含み得る。タイヤの温度プロファイルは、現行設定のサスペンション設定が、車両の現行使用又は適用に最も適切な設定であるかどうかを判断するために用いられてよい。例えば、アグレッシブなコーナリングに現行で使用されているニュートラルキャンバー設定でのホイールは、タイヤの外縁にかけて温度が高くなっている可能性があり、より負のキャンバーが必要であり得ることを示している。別の例では、直線走行向けに現行で使用されているより負のキャンバーでのホイールは、タイヤの内縁にかけて温度が高くなっている可能性があり、負の度合いがより少ないキャンバー(よりニュートラルな設定)が必要であり得ることを示している。
【0032】
自動又は半自動動作装置は、車両の現行使用又は適用を監視するために用いられ得る加速度計を含み得る。加速度計データは、最も適切なサスペンション設定を決定するために用いられてよい。例えば、1つ以上の加速度計は、車両の縦及び/又は横加速を測定して、車両がコーナリングしているか又は直線走行しているかを判断するために使用されてよい。別の例では、1つ以上の加速度計が1つ以上のホイール又はサスペンション構成要素に装備されて、前記ホイール又はサスペンション構成要素の挙動を監視してもよい。
【0033】
自動又は半自動で動作するように構成された閉ループ/半閉ループデバイスは、車両の現在の使用または適用に基づいて最も適切なサスペンション設定を監視して決定するために2つ以上のタイプのセンサを含み得る。例えば、1つ以上のタイヤの温度プロファイルを監視するために温度センサが使用されてよく、車両の縦及び横加速を監視するために加速度計が用いられてよく、これらのデータ入力の組み合わせが、車両の現行の使用又は適用のより完全な評価を提供する。
【0034】
本明細書に記載の装置いずれに関しても(及び特に閉ループ又は半閉ループ装置に関して)センサ及び/又は設定は断続的又は連続的に監視されてよい。更に、一部のセンサ及び/又は設定は断続的に監視されてよく、それに対し他のセンサ及び/又は設定は連続的に監視される。
【0035】
本明細書に記載の装置いずれに関しても、サスペンション設定は、(限定はしないが) 1つ以上のスイッチ、ボタン、ダイヤル、ユーザインターフェース、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、タッチスクリーンスクリーンデバイス等含む任意の適切な入力デバイスを介してユーザによって制御されてよい。
【0036】
本明細書に記載の装置いずれに関しても、サスペンション設定を監視及び/又は調整する目的は、(限定はしないが)タイヤ磨耗の低減又は極減、性能の増加又は最大化、安全の改善、乗客快適性の向上、特定の因子間の妥協を提供する等を含み得る。
【0037】
本明細書に記載の装置はいずれも、サスペンション設定の測定及び/又は制御が望ましい任意の車両に適用されてよく、それは、(限定はしないが)旅客車、車、バス、トラック、モータサイクル、自転車、商用車、特殊車、オンロード車、オフロード車、レーシングカー、競争用車、前輪駆動車、後輪駆動車、全輪車、四輪車等を含む。
【0038】
一般に、本明細書に記載の装置はいずれも、(限定はしないが)固定車軸、独立型マクファーソンストラット、ウィッシュボーン、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク、エアサスペンション、リーフスプリング、トーションバーサスペンション等を含む任意のサスペンション設定に適用されてよい。特に、本明細書に記載のいずれの装置及び方法も、既存のサスペンションに追加導入されるように構成されてよい。従って、これらの装置はいずれも、図示及び記載したような特定の形状又はプロファイルを有することによって既存のサスペンションに追加導入されるように構成されてもよく、及び/又は、マクファーソンサスペンションのストラット及び/又はデュアルウィッシュボーンサスペンションの上部ウィッシュボーン(三角)等の既知の要素に取り付けられるように構成されてよい。
【0039】
一般に、本明細書に記載の装置は、電気機械部分が、車両重量(例えば、フレームによって支持される重量)の静的負荷又は車両を運転している場合の動的重量を含めた高負荷下で動作する必要がないように構成される。従って、本明細書に記載の装置はいずれも、装置(例えば、キャンバー調整装置)が、高負荷を支持する部分又は低負荷を支持する部分に分割され、高負荷を支持する部分は典型的にフレームに取り付けられてサスペンションに連結されたホルダを支持するのに対し、低負荷を支持する部分は、電気機械アクチュエータに結合して、支持されたホルダの運動を駆動してアライメントを調整するように構成され得る。これは、電気機械アクチュエータが、重負荷の下で移動又は動作する必要なく、より高効率且つ高信頼性で動作することを可能にして、より小型で軽量のモータの使用を可能にする。
【0040】
更に、キャンバー、トウ又はキャスターを調整する為の本明細書に記載の装置それぞれは、1つの予測可能な運動軸のみでの運動を許容しながら、他の(垂直)軸方向の運動を抑制するように構成される。
【0041】
例えば、サスペンション(サスペンションが上部アームを含む)を有する車両のキャンバーを調整する為の装置は、並進座面を有するマウントボディを含んでよく、マウントボディは、車両のフレームに固着するように構成され、装置は更に、上部アームの端部を保持するように構成されたアームホルダを含んでよく、アームホルダは並進座面に可動に連結され、更に、並進座面は、アームホルダが第1の並進軸で運動することを許容すると共に、第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸方向に運動することを抑制するように構成され、装置は更に、アームホルダを、第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する為にアームホルダに結合された電気機械アクチュエータを含む。
【0042】
上部アームは、サスペンションの任意の部分を指し、又、特に、マクファーソンタイプサスペンション、ウィッシュボーン(例えば、ダブルウィッシュボーン)サスペンション等の既知のサスペンションを指す。例えば、上部アームはマクファーソンのストラットであっても、又は、ウィッシュボーン(例えば、ダブルウィッシュボーン)サスペンションの上部ウィッシュボーンの一端であってもよい。
【0043】
マウントボディはハウジング及び並進座面を含んでよく、「ステージ」(例えば、一部の例では、上部ステージ及び下部ステージ)を含むと称されてよい。マウントボディは車両のフレームに例えば固着されてよい。車両のフレームとは典型的に、他の構成要素の取り付け先であり本明細書の実施例の一部で説明される装置用の機械基部として働き得る、モータ車両の主支持構造を指す(例えば、車両のスケルトン、ボディシェル、シャーシ、モノコック)。本明細書で使用される、マウントボディとフレームの固着は、両者が1つ以上の中間体(例えば、ワッシャー、リング等)を介して連結されていたとしても2つの本体間の相対運動に抵抗又は防止する連結を指し得る。
【0044】
マウントボディは上部マウントボディと下部マウントボディを含んでよく、車両のフレームが上部マウントボディと下部マウントボディの間に固定され得るように構成されてよい。特に、上部アームホルダが、マクファーソンタイプサスペンションのストラットを保持する為のストラットホルダとして構成されている場合、マウントボディは、上部マウントボディ部分と下部マウントボディ部分を含んでよく、それについては以下により詳細に説明する。この構成では、下部マウントボディがストラットタワーの下から取り付けられ(及び高負荷支持部分である)ながら、上部マウントボディがストラットタワーの上から取り付けられる(及び低負荷支持部分である)ため、キャンバーは、ストラットタワーのタワーの上から制御されてよい。車両フレームはこの2つの間に保持されてよい。
【0045】
上部及び下部マウントボディを有するいずれの装置においても(及び、 特にマクファーソンタイプサスペンションのストラットに結合するように適合されたものを含む、本明細書に記載のキャンバー調整装置において)、下部マウントボディは並進座面を含み得る。典型的に、並進座面は単一の並進軸での運動を許容する形状及び/又は配向で構成される。例えば、並進座面はアームホルダの両側に平行に延在する1つ以上の(例えば、一対の)シャフトを備えてよい。シャフトの外面が座面を形成してよい。シャフトは円筒形であってもよく、及び/又は任意の適切な断面(円形、楕円形、長方形、三角形、六角形等)を有してよい。シャフトは高負荷を支持するサイズ及び位置であってよい。
【0046】
これらの装置はいずれも、アームホルダに固着されて並進座面に可動連結されたリニアベアリング(例えば、リニアボールベアリング又はブッシュ)を含み得る。リニアベアリングは、特に、並進座面がシャフト(又は一対のシャフト)の一部である場合に、並進座面の上を(低摩擦で)滑動できるように構成されてよい。一部の変形例では、一対のリニアベアリング(例えば、一対のシャフトそれぞれの上に1つ)がアームホルダに固着されている。ローリング要素ベアリング(例えば、ボールベアリングスライド、ボールスライド、ローラースライド、クロスローラースライド等)、平面ベアリング(例えば、ダブテールスライド、複合スライド、ラックスライド)、ブッシュ等を含む任意の適切なタイプのリニアベアリングが使用されてよい。言及したように、アームホルダはリニアステージの一部であってもよく、又は並進座面上でマウントボディに対して移動するリニアステージに連結されてもよい。
【0047】
一般に、電気機械アクチュエータは、アームホルダに結合されてアームホルダを第1の並進軸で運動させる電気モータを備えてよい。電気機械アクチュエータの他の要素は、ギアリング(モータの回転運動を線形運動に変換して第1の並進軸に沿って押す又は引くためのギアアセンブリ)を含む。一般に、電気機械アクチュエータは、第1の並進軸に平行である平面に一般的に配置されてよいが、任意の適切な配向を有してもよい。
【0048】
本明細書に記載のいずれの装置においても、電気機械アクチュエータはボールスクリューとボールナットを含んでよく、ボールナットはアームホルダに結合されて、例えばモータ(又はその他のドライバ)の動作によってボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される。ボールスクリュー/ボールナットの代わりに、又はそれに加えて、任意の機械式リニアアクチュエータが使用され得る。例えば、他のねじ機構(ローラーねじ、リードスクリュー、ねじジャック等)、ホイール及び車軸、又はカムが使用されてよい。
【0049】
一般に、いずれの装置も、装置の位置を監視するように構成されたエンコーダ等のセンサを含んでよい。例えば、エンコーダは、アームホルダの位置、従って保持されているサスペンションアームの位置(例えば、上部ウィッシュボーン位置、ストラット位置等)を監視するために用いられてよい。
【0050】
本明細書に記載のいずれの装置でも、アームホルダは、上部アームの端部が移動する、又は固定されるように構成されてよい。例えば、アームホルダは、上部アーム(例えば、上部ウィッシュボーン端部)がアームホルダに対して枢動できるように構成されてよい。一部の変形例では、アームホルダは上部アームが恰も枢着されているように枢動することを可能にするように構成されてよい。上部アームホルダは、ストラットが枢動することを可能にするように構成されてよい。
【0051】
並進座面は、最小負荷閾値(例えば、車両の重量のうちかなりの部分を支持する)を超える負荷(例えば、ストラット負荷及び/又は ラジアル負荷)を支持するように構成されてよく、最小負荷閾値は例えば少なくとも約1000キログラム(kg)、例えば約1500kg又はそれ以上、約2000kg又はそれ以上、約2500kg又はそれ以上、約3000kg又はそれ以上、約3200kg又はそれ以上、約3500kg又はそれ以上、約4000kg又はそれ以上等である。従って、装置が2部品(又はそれ以上)のマウントボディを含み、下部マウントボディが高負荷を支持するバリエーションにおいて、高負荷は少なくともこの最小負荷閾値であり得るのに対し、上部マウントは格段に少ない負荷(例えば、約1000kg未満、約900kg未満、約800kg未満、約700kg未満、約600kg未満、約500kg等)を支持するように構成されてよい。
【0052】
例えば、上部アームを備えたサスペンションを有する、車両のキャンバーを調整する為の装置において、装置は、並進座面を有するマウントボディを含んでよく、マウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、装置は更に、上部アームの一端部を保持するように構成されたアームホルダを含んでよく、アームホルダは並進座面に可動に連結され、更に、並進座面はアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共にアームホルダが第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、装置は更に、アームホルダに固着されると共に並進座面に可動に連結されたリニアベアリングと、アームホルダに結合されて、アームホルダを第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、電気機械アクチュエータの駆動を制御するように構成された電子コントローラを含み得る。
【0053】
上記で言及したように、本明細書に記載のいずれのキャンバー調整装置も、ストラットとして構成された上部アームを含むマクファーソンタイプサスペンションを有する車両内のキャンバーを調整するように特に構成されてよい。例えば、ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスは、並進座面を有するマウントボディを含んでよく、マウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、デバイスは更に、ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダを備え、ストラットホルダは並進座面に可動に連結され、更に、並進座面はストラットホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共にストラットホルダが第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、デバイスは更に、ストラットホルダに結合されて、ストラットホルダを第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータを含み得る。
【0054】
言及したように 本明細書に記載の装置はいずれも、電気機械アクチュエータの駆動を制御するように構成された電子コントローラを含み得る。電子コントローラは、デバイスに一体化されても(例えば、マウントボディに結合されたハウジング内に)、又はマウントボディから遠隔に配置されて、有線又は無線連結を介して連結されてもよい。一部の変形例では、電子コントローラ(本明細書ではコントローラ又は制御回路系と呼ばれることがある)は、プロセッサ、メモリ、タイマ/クロック、電源制御回路系等の回路系を含み得る。電子コントローラは、車両電源への連結を含めて、電源(例えば、バッテリー)に連結されてよい。
【0055】
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスは、車両のフレームが上部マウントボディと下部マウントボディの間に固定され得るように構成された上部マウントボディと下部マウントボディを含んでよく、下部マウントボディは並進座面を備え、デバイスは更に、ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダを含んでよく、ストラットホルダは並進座面に可動に連結され、更に、並進座面はストラットホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共にストラットホルダが第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、デバイスは更に、ストラットホルダに結合されてストラットホルダを第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラを含み得る。
【0056】
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスは、車両のフレームが上部マウントボディと下部マウントボディの間に固定され得るように構成された上部マウントボディと下部マウントボディを含んでよく、下部マウントボディは、1つ以上のシャフトによって形成された並進座面を備え、デバイスは更に、ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダを含んでよく、ストラットホルダは並進座面を形成する1つ以上のシャフトに、リニアベアリングによって可動に連結され、その結果、ストラットホルダは、第1の並進軸に運動すると共に第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することは抑制され、デバイスは更に、ストラットホルダに結合されてストラットホルダを第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラを含み得る。
【0057】
本明細書に記載の装置はいずれも、既存のサスペンション上に追加導入されるように構成されてよい。例えば、ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置(例えば、デバイス)をインストール及び/又は操作する方法は、マクファーソンタイプサスペンション等のサスペンションのストラットの頂部に装置を配置することを含み得る。これは、フレームの第1の、上部側(例えば、ホイール領域の上)を含み得る、第1の(例えば、上部)マウントボディ部分をストラットタワーの上にインストールして、それを、例えば、本体フレームの開口部を通して、本体フレームの対向する下側部分上の第2の(例えば、下部)マウントボディ部分に連結することを含み得る。第2のマウントボディ部分は、ストラットを通して伝えられる高負荷を支持してよく、それに対し第1のマウントボディ部分は高負荷を支持する必要はなく、格段に低い負荷条件下で動作し得る電気機械アクチュエータを含み得る。ストラットはストラットホルダに嵌められて、ストラットホルダによって固定されてよい。動作時、電気機械アクチュエータはストラットホルダを座面上で、座面によって画定される第1の軸に移動させることによってストラットの運動を駆動してよい。この第1の軸は、インストール中にホイールの軸(例えば、ほぼホイールの回転軸)と位置合わせされてよい。電気機械アクチュエータ (例えば、電気機械アクチュエータのモータ)を自動的又は手動のいずれかで制御する(例えば、ユーザ制御を用いてキャンバーを設定又は調整する)ことによって、キャンバーは、ストラットを、第1の並進軸に沿ってタイヤの方にイン方向に駆動することによって、又は、タイヤから離れるようにアウト方向に調整して正又は負のキャンバーをもたらしてもよい。インストレーションステップは1つ以上の付加的なタイヤに関して繰り返されてもよい。動作時、コントローラは、電力を印加して、ホルダを第1の並進軸(正又は負の運動)に移動させるために電気機械アクチュエータを駆動する。本明細書に記載のいずれのデバイスでも、装置は、位置が滑ったり不注意で変わったりしないように、マウントボディに対するホルダの位置をロック又は固定してよい。例えば、電気機械アクチュエータは、作動していないときに位置をロックまたは保持するように構成されてよい。別個の並進ロックは、電気機械アクチュエータの一部として含まれてもよく(電気機械アクチュエータの並進移動を阻止する)、例えば、リニアアクチュエータに結合されるか、又はリニアアクチュエータの一部であって、ロックが解除されるまで運動を禁止する。代替的に又は付加的に、ロックはホルダ又は並進ステージの一部として含まれてもよい。ロックは電気機械ブレーキであってよい。本明細書に記載のいずれの装置でも、電気機械アクチュエータ(例えば、電気モータ)は、車両がオンである間は起動状態を保ってよく、エンコーダ等のセンサの使用を含めて、ホルダの滑動又は偶発的運動、従ってキャンバーの偶発的変化を検出して、自動的に抵抗する、及び/又は意図した/目標位置に戻すように調整してよい。
【0058】
本明細書に記載のいずれの装置においても、装置はいずれの端部においてホルダの移動(例えば、ホルダを含む並進ステージの移動)を制限してよい。これは、装置が移行座面を超えて伸長することを防止し得る。装置は更に、最初に立ち上げられた時に、移行座面の極減間を、例えば、並進座面上のホルダ/並進ステージの制限された経路を走査することによって位置(例えばエンコーダ)を初期化してよい。
【0059】
本明細書に記載の装置の一部の変形例では、装置はウィッシュボーンタイプサスペンション(Aアーム又は三角アームサスペンションとも呼ばれる)での使用向けに構成される。特に、本明細書では、上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを有する車両のキャンバーを調整する為の方法及び装置について記載する。上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを備えた(上部ウィッシュボーンアームが第1の端部と第2の端部、ウィッシュボーンの「アーム」を有する)サスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のシステムは、並進座面を有するマウントボディを含んでよく、マウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、システムは更に、上部ウィッシュボーンアームの第1の端部がウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できるように上部ウィッシュボーンアームの第1の端部を保持するように構成されたウィッシュボーンアームホルダを含んでよく、ウィッシュボーンアームホルダは並進座面に可動に連結され、更に、並進座面は、ウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、システムは更に、ウィッシュボーンアームホルダに結合されて、ウィッシュボーンアームホルダを第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータを含み得る。
【0060】
ウィッシュボーンアームの第1の端部と第2の端部は、ウィッシュボーンアームの第3の端部であるナックル(ハブ)及びホイール付近で連結しないウィッシュボーンの端部を指し得る。一般に、車両のフレームに結合し得る上部ウィッシュボーンに典型的に2つの端部が存在するため、これらの装置(例えば、システム)はいずれも、第2の組のキャンバー調整構成要素(例えば、第2のマウントボディ、上部ウィッシュボーンアームの第2の端部を保持するように構成された第2のウィッシュボーンアームホルダ、及び第2の電気機械アクチュエータ)を含み得る。例えば、システムは、第2の並進座面を有する第2のマウントボディを含んでよく、第2のマウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、システムは更に、上部ウィッシュボーンアームの第2の端部が第2のウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できるように上部ウィッシュボーンアームの第2の端部を保持するように構成された第2のウィッシュボーンアームホルダを含んでよく、第2のウィッシュボーンアームホルダは第2の並進座面に可動に連結され、更に、第2の並進座面は、第2のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に第2のウィッシュボーンアームホルダが第2の並進軸又は第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、システムは更に、第2のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、第2のウィッシュボーンアームホルダを第2の並進軸で第2の並進座面に沿って駆動する第2の電気機械アクチュエータを含み得る。
【0061】
例えば、上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のシステムにおいて、上部ウィッシュボーンアームは第1の端部と第2の端部を有し、システムは、第1の並進座面を有する第1の マウントボディを備え、第1のマウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、システムは更に、上部ウィッシュボーンアームの第1の端部が第1のウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できるように上部ウィッシュボーンアームの第1の端部を保持するように構成された第1のウィッシュボーンアームホルダを備え、第1のウィッシュボーンアームホルダは第1の並進座面に可動に連結され、更に、第1の並進座面は、第1のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に、第1のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸で運動することを抑制するように構成され、システムは更に、第1のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、第1のウィッシュボーンアームホルダを第1の並進軸で第1の並進座面に沿って駆動する第1の電気機械アクチュエータと、第2の並進座面を有する第2のマウントボディを含んでよく、第2のマウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、システムは更に、上部ウィッシュボーンアームの第2の端部が第2のウィッシュボーンアームホルダに対して枢動するように、上部ウィッシュボーンアームの第2の端部を保持するように構成された第2のウィッシュボーンアームホルダを備え、第2のウィッシュボーンアームホルダは第2の並進座面に可動に接続され、更に、第2の並進座面は、第2のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に第2のウィッシュボーンアームホルダが第2の並進軸又は第3の並進軸で運動することを抑制するように構成され、システムは更に、第2のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、第2のウィッシュボーンアームホルダを第2の並進軸で第2の並進座面に沿って駆動する第2の電気機械アクチュエータと、第1と第2の電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラを含み得る。
【0062】
上記で説明したいずれの特徴も、電子コントローラ、ロッド形状(例えば、シャフト形状)並進座面、リニアベアリング等を含む、ウィッシュボーン向けに適合されたシステムに含まれてよい。単一の電子コントローラを用いて複数の電気機械アクチュエータを制御してもよく、又は、各電気機械アクチュエータが単一の電気機械アクチュエータに結合されてもよい。
【0063】
上記で説明したいずれの特徴も、電子コントローラ、シャフト形状並進座面、リニアベアリング等を含むウィッシュボーン向けに適合されたシステムに含まれてよい。
【0064】
本明細書では、上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する方法についても記載され、上部ウィッシュボーンアームは第1の端部と第2の端部を有し、方法は、第1のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸で運動するように、第1の電気機械アクチュエータを、車両のフレームに固着された第1のウィッシュボーンアームホルダを第1の並進座面上で駆動するように作動させ、第1のウィッシュボーンアームホルダは上部ウィッシュボーンアームの第1の端部に結合され、更に、第2の電気機械アクチュエータを、第2のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸で運動するように、車両のフレームに固着された第2のウィッシュボーンアームホルダを第2の並進座面上で駆動するように作動させ、第2のウィッシュボーンアームホルダは上部ウィッシュボーンアームの第2の端部に結合されていることを含む。
【0065】
第1の電気機械アクチュエータの作動と第2の電気機械アクチュエータの作動は同時に発生してよい。代替的に、第1の電気機械アクチュエータの作動は、第2の電気機械アクチュエータの作動に引き続いて(直後、又は数秒以内又は数分後)に発生してよい。
【0066】
第1の電気機械アクチュエータの作動は第1の電気機械アクチュエータの手動での作動を含み得る。代替的に、第1の電気機械アクチュエータの作動は、第1の電気機械アクチュエータの自動(又は半自動)の作動を含み得る。
【0067】
これらの方法いずれも、第1の電気機械アクチュエータの調整と同時にサスペンションのトウを調整することを含んでよく、又は、キャンバーの調整の直前又は直後にトウを調整することを含んでよい。
【0068】
本明細書では、上部アーム及びタイロッドを備えたサスペンションを有する車両のキャンバー及びトウを調整する為の方法及び装置についても記載する。一般に、これらの方法は、本明細書に記載のキャンバーを調整する為のいずれの装置を含んでもよく、又、トウを調整する為の装置も含んでよい。例えば、上部アーム及びタイロッドを備えたサスペンションを有する車両のキャンバー及びトウを調整する為の装置は、キャンバー調整ユニットを含んでよく、キャンバー調整ユニットは、並進座面を有するマウントボディを備え、マウントボディは車両のフレームに固着するように構成され、上部アームの一端部を保持するように構成されたアームホルダを備え、アームホルダは並進座面に可動に連結され、更に、並進座面は、アームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共にアームホルダが第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成され、更に、アームホルダに結合されて、アームホルダを第1の並進軸で並進座面に沿って駆動する第1の電気機械アクチュエータと、トウ調整ユニットを備え、トウ調整ユニットが、タイロッドの端部に連結するように構成された、遠位端部のタイロッドマウントと、遠位方向から近位方向に伸長又は退縮するように構成された伸縮式ロッドと、伸縮式アームに結合されて、伸縮式アームの回転を、伸縮式アームをタイロッドに対して伸長又は退縮させるように駆動するように構成された第2の電気機械アクチュエータと、車両のステアリングラックのリンケージに連結するように構成された、近位端部のステアリングリンクマウントと、第1及び第2の電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラを含み得る。
【0069】
第2の電気機械アクチュエータは、伸縮式アームに平行に配置された電気モータを含み得る。ステアリングリンクマウントはボールジョイントであってよい。伸縮式アームは、タイロッドマウントに固着されたボールナットに対して回転するボールスクリュー、又は任意の他のリニアアクチュエータを備えてよい。トウ調整ユニットは、タイロッドマウントに対する第2の電気機械アクチュエータの回転を防止する為に、第2の電気機械アクチュエータをタイロッドマウントに連結する1つ以上のステイロッドを含み得る。
【0070】
このように、電子コントローラは、キャンバーが調整された場合にトウの調整を整合させる。
【0071】
本明細書では、車両ホイールのトウを調整する為の装置についても記載し、装置は、前部タイロッドと、前部タイロッドの遠位端部に固着されたタイロッドマウントと、前部タイロッドと一直線であり、タイロッドマウント内で回転することによって遠位方向から近位方向に伸長又は退縮するように構成された伸縮式ロッドと、伸縮式ロッドに平行に取り付けられ、ギアセットによって伸縮式ロッドに結合された電気モータを備えた電気機械アクチュエータを備え、電気機械アクチュエータは、伸縮式ロッドを前部タイロッドに対して伸長又は退縮させるように伸縮式ロッドの回転を駆動するように構成され、更に、伸縮式ロッドの近位端部のステアリングリンクマウントを備え、ステアリングリンクマウントは、車両のステアリングラックのリンケージに連結するように構成されている。装置は更に、電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラを備えてよい。装置は、伸縮式ロッドとステアリングリンクマウントの間に一直線に結合された後部タイロッドも含み得る。タイロッドマウントは、伸縮式ロッドと噛み合うボールナットとして構成されてもよく、更に、伸縮式ロッドはボールスクリューとして構成される。装置は、電気機械アクチュエータ(例えば、電気モータ)に固着された1つ以上のステイ(例えば、ステイロッド)も含んでよく、デバイスが駆動されるときに伸縮式ロッドの周りで電気機械アクチュエータが回転することを防止するために電気機械アクチュエータを保持できるタイロッドマウント (例えば、ボールナット)に固着されたベアリング(例えばその中で動くことが可能なループ、リング、チャネル等)にスライド可能に連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1A】3つのデバイスとして構成された、単一のホイール上のマクファーソンストラットサスペンションシステムに装備された装置(システム)の一例を示す図である。
【
図2A】4つのデバイスとして構成された、単一のホイール上のダブルウィッシュボーンサスペンションシステムに装備された装置(システム)の一例を示す図である。
【
図3A】3つのデバイスとして構成された、単一のホイール上のダブルウィッシュボーンサスペンションシステムに装備された装置(システム)の別例を示す図である。
【
図4A】マクファーソンストラットサスペンションシステムのキャンバー又はキャスターを制御するように構成された、ホイールアライメントを制御する為の電気機械デバイスの一例の図である。
【
図4C】デバイスを示す為にストラットタワーが断面図になっている、
図3Aに示した電気機械デバイスの側面図である。
【
図5A】ホイールのトウを制御するように構成された、ホイールアライメントを制御する為の電気機械デバイスの一例の図である。
【
図6A】ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのキャンバーを制御する為の2つの(同一の)電気機械デバイスとして構成された、ホイールアライメントを制御する為の装置(システム)の一例の図である。
【
図7A】アンチロールバー硬さを制御するための電気機械デバイスの一例の図である。
【
図8A】ホイールのトウを制御するように構成された、ホイールアライメントを制御する為の電気機械デバイスの別例の図である。
【
図9】車両に装備された複数のデバイスを制御するように構成された中央制御ユニットの一例の図である。
【
図10A】タイヤ温度を測定するためのセンサアレイを含む、単一のホイールに装備された装置(システム)の一例の図である。
【
図11A】ホイール角を測定するためのセンサアレイを含む、単一のホイールに装備された装置(システム)の一例の図である。
【
図12G】
図4A乃至Eに示したものと類似したホイールアライメントを制御する為の電気機械装置の一例の図である。
【
図12H】ストラットを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置の図である。
【
図12A】マクファーソンタイプサスペンションのストラットの頂部に装着されたキャンバーを制御する為の装置の正面斜視図であり、デバイスは、マクファーソンストラットサスペンションシステムのキャンバー又はキャスターを制御するように構成されている図である。
【
図12B】ストラットタワーの頂部に装着された、
図12Aの装置の上面斜視図である。
【
図12D】外部ハウジングを取り去り、サスペンション(及びフレーム)の一部を取り去った状態で示した、
図12Aの装置の底面斜視図である。
【
図12G】それぞれ、ハウジングカバーあり及びハウジングカバーなしでの
図12Aの装置を通る別の断面図である。
【
図13H】ホイールのトウを制御するように構成されている、
図5A乃至5Bに示したものと類似したホイールアライメントを制御する為の電気機械装置の一例の図である。
【
図13B】電気機械装置を制御するトウの斜視図である。
【
図13D】
図13A乃至13Bの電気機械装置の一部分を通る拡大した断面図である。
【
図13F】
図13A乃至13Bの電気機械装置の、夫々側面斜視図と上面斜視図である。
【
図13F】同じ電気機械装置の拡大右斜視図である。
【
図13G】同じ電気機械装置の拡大左斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
一般に、本明細書では、車両サスペンションを調整又は制御するために用いられ得る電気機械装置(デバイス、システム、アセンブリ等)について記載する。一部の実施形態では、これらの装置は、ホイールアライメント(例えば、キャンバー、トウ及び/又はキャスター)を電気的に調整する為の装置であってよい。一部の変形例では、これらの装置は、1つ以上のキャンバー、トウ及び/又はキャスターに特定していてもよく、複数の装置が1つのシステムに統合されてよく、それは、それらの動作を整合させる1つの共通のコントローラを共有してよい。
【0074】
本明細書に記載の装置のうち幾つか、特に、キャンバー調整装置は、車両のフレームと サスペンションの間に結合されてよく、サスペンションは次にホイールに結合される。従ってキャンバー調整装置は、車両のフレームに固着されるマウントボディと、好ましくはフレームに近接しホイールのハブからは遠いサスペンションの部分に結合するホルダ(例えば、アームホルダ)を含み得る。例えば、ホルダは、マクファーソンタイプサスペンションのストラット等のサスペンションの上部アームの一端部、又は、ダブルウィッシュボーンタイプサスペンションの上部ウィッシュボーンの一端部を保持するように構成されたアームホルダであってよい。ホルダは、リニアステージに結合されるか、又はその一部であってよく、一般に、ホルダは第1の、例えばリニア並進軸に運動するように構成されると共に他のリニア方向への運動を抑制され得る。運動は典型的にホルダがその上を運動する並進座面を通したものであり、電気機械アクチュエータがホルダに直接又は間接的に結合されて(例えば、リニアステージを介して)、ホルダを、第1の並進軸で、並進座面に沿って所望の位置へと後方及び前方に移動させ、それによってホイールのキャンバーを調整する。
【0075】
マウントボディは、第1の(例えば、上部)マウントボディ及び第2の(例えば、下部)マウントボディ等の、合体する2つの又はそれ以上の部分を含んでよく、異なる部分は、異なる負荷を支持するように構成されてよい。例えば、第2のマウントボディが高負荷を支持するように構成されてよく、それに対し第1のマウントボディはより軽い負荷を支持するのみでよく、電気機械アクチュエータを含み得る。マウントボディの負荷担持機能を分割することは、そうしなければ装置を通して印加されるより大きい負荷から電気機械アクチュエータを隔離することを補助して、その結果アクチュエータによって経験される負荷が格段に小さく、より均一となる。
【0076】
同様に、トウ調整装置は一般に、タイロッドと一直線に結合された(例えば、車両のタイロッドとステアリングラックの間に)伸縮式ロッドを有する長形本体を含む。伸縮式ロッドは、電気機械アクチュエータによって駆動される機械式リニアアクチュエータ(ボールスクリュー/ボールナット等)を含む。装置を形成する長形本体は、装置上の負荷を合体させ分離する2つ以上の部分も有してよい。例えば、長形本体の第1の部分は電気機械アクチュエータに連結してよく、長形本体の第2の部分は伸縮式ロッドを含み、タイロッドと一直線に連結し、長形本体の第1の部分よりも格段に高い負荷を支持するように構成される。例えば、長形本体の第1の部分は、一端部にタイロッドマウントを含み、第2の端部にステアリングリンクマウントを含み得る。
【0077】
車両サスペンション設定を制御する為の他の電気機械装置も本明細書に記載され、車両アライメント(1つ以上のホイールのアライメントを含む)を修正又は制御する為のシステムの一部として含まれてよい。これらの装置は全部又は一部の特徴を共有してよい。例えば、本明細書では、アンチロールバーの硬さ設定を制御するように構成された装置及び 車両のロール中心設定を制御する為の装置並びにそれらを作製及び使用する方法、それらを制御する為のコントローラ、及びそれらを含むシステムについても記載する。一般に、これらの装置は、車両の関連する静的及び動的負荷を支持するように構成された1つ以上の構造部材と、サスペンション設定を制御及び変更するように構成された1つ以上の調整部材と、調整部材(複数可)の並進運動を駆動するように構成された1つ以上のドライバも含み得る。一部の場合には、調整部材は構造部材としても構成されてよく、それによって車両の関連する負荷の支持と、サスペンション設定の制御の両方を行う。一般に、これらの装置は開ループ制御又は閉ループ制御、又は半閉ループ(例えば、ユーザ入力、確認又は選択を含めて)を介して制御されてよい。これらの装置いずれも、サスペンション設定を制御する為に有用であり得る変数を監視するための1つ以上のセンサも含んでよい。
【0078】
図1A乃至1Cは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械装置のバリエーションを示し、図示の装置は、マクファーソンストラットサスペンションジオメトリ対応に構成されている。この例において、3つの電気機械装置(例えば、デバイス)121、131、141は車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。第1の電気機械 デバイス121は、ストラット103の頂部に位置して、ホイール101のキャンバー及び/又はキャスターを制御するように構成される。第2の電気機械デバイス131は、外部タイロッド107と内部タイロッド109の間(例えば、タイロッドと、ステアリングラックのリンケージの間)に位置し、ホイール101のトウを制御するように構成される。第3の電気機械デバイス141は、アンチロールバー105とリンク106の間に位置し、アンチロールバー105の硬さを制御するように構成される。一般に, 本明細書に記載のトウ調整装置は、伝統的なタイロッドを、前部タイロッド部分と遠位アタッチメント及び/又は後部タイロッド部分を含む電気制御式(例えば、伸縮式)装置で置き換える為に使用されてよい。これについては、以下
図13A乃至13Hで更に詳細に説明する。
【0079】
図1B及び1Cは、この例において電気機械デバイス121、131、141がサスペンション設定を制御及び調整する軸を示す。電気機械デバイス121は、ストラット103の頂部を、キャンバー123用の1つの軸と、キャスター125用の1つの軸の、2つの軸で並進移動させることによってホイール101のキャンバー及びキャスターを制御する。電気機械デバイス131は、外部タイロッド107と内部タイロッド109の間の距離を変更することによってホイール101のトウを制御し、それによってタイロッドの全長を有効に変更する。電気機械デバイス141は、アンチロールバー105とリンク106の間の距離を変更することによってアンチロールバー105の硬さを制御し、それによってアンチロールバー105の長さを有効に変更する。
【0080】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、1つ以上のホイールの1つ以上のサスペンション設定を制御してよい。1つ以上のホイールのサスペンション設定を制御するために任意の数の電気機械デバイスが用いられてよい。車両には、任意の数のホイールの為の任意の数のサスペンション設定を制御するように構成された1つ以上の電気機械デバイスが装備されてよい。所与のホイールについて、1つ以上の電気機械デバイスは、全部又は一部のみのサスペンション設定を制御するように構成されてよい。
【0081】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、(限定はしないが)固定車軸、独立型、マクファーソンストラット、ウィッシュボーン、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク、エアサスペンション、リーフスプリング及びトーションバーサスペンションを含む任意のサスペンションジオメトリ又はバージョンのサスペンションジオメトリ対応に構成されてよい。
【0082】
図2A乃至2Cは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械装置のバリエーションを示し、デバイスは、ダブルウィッシュボーンタイプサスペンションジオメトリ対応に構成される。この例において、4つの電気機械デバイス221、231、241が車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。第1の2つの電気機械デバイス221は同一であり、上部ウィッシュボーン213の内部枢着点に位置し、ホイール101のキャンバー及びキャスターを制御するように構成される。第3の電気機械デバイス231は外部タイロッド207と内部タイロッド209の間に位置し、ホイール101のトウを制御するように構成される。第4の電気機械 デバイス241はアンチロールバー205とリンク206の間に位置し、アンチロールバー205の硬さを制御するように構成される。
【0083】
図2B及び2Cは、この例において電気機械デバイス221、231、241がサスペンション設定を制御及び調整する軸を示す。電気機械デバイス221は、上部ウィッシュボーン213を、キャンバー223用の1つの軸と、キャスター225用の1つの軸の、2つの軸で並進移動させることによってホイール101のキャンバー及びキャスターを制御する。電気機械デバイス231は、外部タイロッド207と内部タイロッド209の間の距離を変更することによってホイール101のトウを制御し、それによってタイロッドの全長を有効に変更する。電気機械デバイス241は、アンチロールバー205とリンク206の間の距離を変更することによってアンチロールバー205の硬さを制御し、それによってアンチロールバー205の長さを有効に変更する。
【0084】
図3A乃至3Cは、車両サスペンション設定を制御するための電気機械デバイスの他のバリエーションを示し、デバイスは、ダブルウィッシュボーンサスペンションジオメトリ対応に構成されている。この例において3つの電気機械デバイス321、231、241が車両の1つのホイール101のサスペンション設定を制御する。第1の電気機械デバイス321は上部ウィッシュボーン213の外部枢着点付近に位置し、ホイール101のキャンバーを制御するように構成される。他の2つの電気機械デバイス231、241は、
図2A乃至2Cで説明したものと同一である。この例において、ホイール101のキャスターには制御は提供されない。
【0085】
図3B及び3Cは、この例において電気機械デバイス321、231、241がサスペンション設定を制御し調整する軸を示す。電気機械デバイス321は、上部ウィッシュボーン213の外部枢着点を並進移動させ、それによって、上部ウィッシュボーン213の長さを有効に変更することによってホイール101のキャンバーを制御する。電気機械デバイス231、241は、
図2B及び2Cに記載のようにホイール101のトウ及びアンチロールバー205の硬さを制御する。
【0086】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、それらが1つ以上のサスペンション設定の制御を可能にする限り、本明細書に提供された例で説明されるのとは異なって構成又は配置されてよい。
図3A乃至3Cの例に示すように、車両は、全てのサスペンション設定が電気機械的に制御されるのではないように構成されてもよい。
図3A乃至3Cの例において、ホイールのキャスターは制御されないが、キャンバー、トウ及びアンチロールバー硬さは制御される。
【0087】
一般に、本明細書に記載の電気機械デバイスは、サスペンションシステムの生来のジオメトリへの修正は最小にして、車両の元来のサスペンションシステムに対応するか、又は、アフターマーケットサスペンションシステムに対応するように構成されてよい。これは、元来のサスペンションシステムに電気機械デバイスを導入することによって引き起こされる副作用(例えば、ばね下質量の増加、硬さ又は剛性の減少等)の可能性を極減する。一般に、本明細書に記載の電気機械デバイスは、軽量且つ頑強に構成されてよく、ばね下質量の潜在的増加を極減する位置(例えば、ホイールのハブからは遠く、車両フレームにより近い等)に配置されてよい。
【0088】
図4A乃至4Eは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスのバリエーションを示し、デバイスはマクファーソンストラットサスペンションシステムのキャンバーを制御するように構成されている。
図4Aで、装置(電気機械デバイスとして構成された)421は、ストラット103の頂部に位置し、車両フレームの一部であるか又は車両フレームに連結された車両のストラットタワー415に取り付けられている。
図4Bは
図4Aに示された電気機械デバイス421の接近図である。装置は、車両フレームに固定された(例えば、ストラットタワー415に固定された)2つの部分を有するマウントボディを含み、この例において、マウントボディの上部部分464はフレーム415の上方に連結され、下部部分466はフレームの下方に連結され、ボルト468がこの2つの部分の間に確りと保持されたフレームと共に2つの部分を固定するために用いられる。装置は、下部並進ステージ463の一部分であるストラットホルダ465(球面ベアリングとして構成された)も含む。従ってストラットホルダは、ホルダの両側のリニアレール461として構成された一対のシャフトそれぞれの外部長手方向面によって形成される並進座面の上を前後に並進移動することによって、第1の並進軸488に沿って下部並進ステージと共に移動できる。ホルダ(ストラットホルダ)は、これらのリニアレールに載る1つ以上のリニアベアリング(図示せず)に固着されてよい。電磁アクチュエータ(電気モータ451、スパーギア459、及びボールスクリュー453を含むリニアアクチュエータ及びボールナット455を含む)は、ホルダを第1の並進軸488に前後に駆動してキャンバーを調整する。
図4C、4D及び4Eは、
図4Aに示された電気機械デバイス421のそれぞれ部分断面図、上面図及び底面図である。
【0089】
このように、電気機械デバイス421は、電気モータ451、2つのスパーギア459(一組のギア)、ボールスクリュー453、ボールナット455、上部並進ステージ457、下部並進ステージ463(下部並進ステージは上部並進ステージに固定されてよく、これら2つは、ストラットホルダと共に、上部マウントボディ部分に対して運動する)、2つのリニアレール461(並進座面を形成し、下部マウントボディ部分の一部であってよい)、及び球面ベアリング465(この例ではストラットホルダ)を含む。ストラットホルダ465はストラップ103の頂部(例えば、頂端部、単に端部とも呼ぶ)に固着されても、可動に結合されてもよい。この例においてストラット103の頂部は下部並進ステージ463に結合された(例えば、その中に収容された)ホルダ(球面ベアリング)465内部に固定されている。下部並進ステージ463は低滑動摩擦でリニアベアリング(図示せず)上をリニアレール461に沿って滑動する。こうして、下部並進ステージ463は上部並進ステージ457に固着し、上部並進ステージ457はボールナット455に固着する。ボールナット455は、低摩擦でボールスクリュー453に沿って前後に駆動され、それによって上部並進ステージ457、下部並進ステージ463、ストラットホルダ(球面ベアリング)465及びストラット103の頂部を並進移動させる。ストラットの底部は、ホイールアセンブリ(
図1A参照)に固定され、ストラット103の頂部を並進移動させると、その角度を変え、それによってホイール101のキャンバー角を変えるように構成される。ボールスクリュー453は、ラジアル負荷及びスラスト負荷(図示せず)を支持することが可能なベアリングによって支持され、ボールスクリュー453は、電気モータ451によって駆動されるスパーギア459によってその中心軸周りに回転するように駆動される。
図4A乃至4Eに示されたバリエーションにおいて、ストラットホルダは第1の並進軸488(例えば、x)に運動できるが、マウントボディに対していずれの他の並進軸にも運動することは抑制され、特に、第1の並進軸に対して垂直な並進軸(例えば、z又はy)に運動することは抑制される。
【0090】
電気モータ451は時計回り又は反時計回りに回転するように駆動されてよく、それによってストラット103の頂部をボールスクリュー453の線に沿って前後に並進移動させる。電気モータ451は、電子コントローラ(図示せず)によって制御されてよく、モータ451及び/又はストラット103の頂部の位置を監視するためのエンコーダ(図示せず)を含み得る。電気機械アクチュエータ又は装置の他の部分は、解除可能であるとともに係合した場合にはマウントボディに対する、従って車両フレームに対するストラットホルダの位置をロックするロックも含み得る。ロックは、機械式ロックであってよく、電気機械アクチュエータを制御する電子コントローラは、ロックの係合/離脱(例えば、ロック/アンロック)を制御してよい。
【0091】
上記に示した例は電気モータを含むが、本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、(限定はしないが)機械式アクチュエータ(例えば、モータ等)、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ又は電気アクチュエータであり得る任意の適切なドライバのうち任意の1つ以上を含んでよい。任意のドライバが回転か長さ寸法のいずれかに、又は回転と長さ寸法に並進移動してもよく、又、並進移動は可逆的である。任意のドライバはポジションセンサ(例えば、エンコーダ等)を含み得る。
【0092】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、及び特にマウントボディは、1つ以上の構造部材を含んでよく、1つ以上の構造部材は、(限定はしないが)ビーム、フランジ、支持体、シャフト、レール、ロッド、ハウジング、ステージ、マウント、ブラケット、 ボルト、ナット又はねじ(例えば、パワースクリュー、リードスクリュー、ボールスクリュー等)を含む。構造部材は静止状態でもよく、又は、回転か長さ寸法のいずれかに、又は回転と長さ寸法に並進移動してよい。
【0093】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、例えばリニアアクチュエータ等の1つ以上の調整部材を含んでよく、それは任意の適切なタイプの調整部材であってよく、(限定はしないが)、ねじ(例えば、パワースクリュー、リードスクリュー、ボールスクリュー等)、ギア(例えば、スパーギア、ヘリカルギヤ、ウォームギア等)、プーリ、ベルト、シャフト、スライド、ピボット、レバーアーム、連結ロッド、カム、並進ステージ、キャリッジ又はナット(例えば、ボールナット等)を含み得る。調整部材は、回転か長さ寸法のいずれかに、又は回転と長さ寸法に並進移動してよい。
【0094】
図5A及び5Bは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスのバリエーションを示し、デバイスは、ホイール101のトウを制御するように構成されている。この例において、電気機械デバイス531は外部タイロッド507と内部タイロッド509の間に位置している。電気機械デバイス531は、電気モータ551、2つのスパーギア559、ボールスクリュー553、ボールナット555及びベアリングパック569を含む。外部タイロッド507はボールナット555に連結し、ボールナット555はボールスクリュー553に沿って低摩擦で前後に駆動され、それによって外部タイロッド507を並進移動させるように構成されている。外部タイロッド507がホイールアセンブリに連結するため(
図1A、2A及び3A参照)、外部タイロッド507を並進移動させると、ホイール101のトウ角が変わる。 ボールスクリュー553は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック569によって支持され、ボールスクリュー553は、電気モータ551によって駆動されるセットオフスパーギア559によってその中心軸周りに回転するように駆動される。
【0095】
本明細書に記載のホイールのトウを制御するように構成されたいずれの電気機械デバイスも、ステアリングボックスと車両のホイールの間のいずれかの位置に配置されるように構成される。例えば、電気機械デバイスは、外部タイロッドとホイールアセンブリの間の外部タイロッドの外端部に位置していてもよい。別の例では、電気機械デバイスは、内部タイロッドとステアリングボックスの間の内部タイロッドの内端部に位置していてもよい。電気機械装置(例えば、トウ調整装置)は、タイロッドと完全に置き換わって、ステアリングボックスとホイールアセンブリの間に延在してもよく、(以下の
図13A乃至13Hに示すように)伸縮領域と一直線に連結された1つ以上の「部分」タイロッドを含んでもよい。一般に、ホイールのトウを制御するように構成された電気機械デバイスは外部タイロッドの外端部と内部タイロッドの内端部の間の距離を変更する。
【0096】
このように、本明細書に記載のホイールのトウを制御するように構成されたいずれの電気機械デバイスも、操向ホイール又は非操向ホイールのトウを制御するように構成されてよい。非操向ホイールに関しては、電気機械デバイスはトウ-アームの任意の位置に配置されてもよい。例えば、電気機械デバイスは、トウ-アームとホイールアセンブリの間のトウ-アームの外端部に位置してよい。別の例では、電気機械デバイスは、トウ-アームと車体またはシャーシ上の取り付け位置との間のトウ-アームの内端部に位置してよい。別の例では、電気機械デバイスはトウアームと完全に置き換わって車体上の取り付け位置又はシャーシとホイールアセンブリの間に延在してもよい。一般に、非操向ホイールのトウを制御するように構成された電気機械デバイスは、トウ-アームの有効全長を変更する。
【0097】
図6A及び6Bは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスのバリエーションを示し、デバイスは、ダブルウィッシュボーンサスペンションシステムのキャンバーを制御するように構成されている。この例において、2つの同一の電気機械デバイス 621は、上部ウィッシュボーン213の内部枢着点に、上部ウィッシュボーン213のそれぞれ第1の端部631と第2の端部632に位置している。ウィッシュボーンの端部は、ウィッシュボーンアームがウィッシュボーンアームホルダに対して枢動するように、装置の並進ステージ633のウィッシュボーンアームホルダ633との枢着ジョイントを介してキャンバー調整装置に枢着されている。各電気機械デバイス621は、電気モータ651、2つのスパーギア659、ボールスクリュー653及びボールナット655を含む電気機械アクチュエータを含む。装置は並進ステージ663も含み、そこにウィッシュボーンアームホルダ633が連結されている(又はこの例では一体化されている)。マウントボディ671は、フレーム(図示せず)に直接又は間接的に結合してよく、並進座面を形成する2つのリニアレール661を含むか、又はリニアレール661に固着されている。デバイスは、ベアリングパック669も含む。ウィッシュボーンアームホルダを含む並進ステージは、平行な対のレール(シャフト661)によって形成される並進座面に載るリニアベアリング(図示せず)も有してよい。
【0098】
この例において、並進ステージのウィッシュボーンアームホルダは、上部ウィッシュボーンアームの一端部を保持するように構成され、この例では、上部ウィッシュボーンアームはチャネルを含み、その中に、ボルト又はねじ638が取り付けられて、ウィッシュボーンアームホルダの中に固定できる。上部ウィッシュボーン213は、並進ステージ663に連結し、並進ステージ663はボールナット655に連結する。ボールナット655はボールスクリュー653に沿って低摩擦で前後に駆動され、それによって並進ステージ663を並進移動させるように構成されている。上部ウィッシュボーン213がホイールアセンブリに連結するため(
図2A及び3A参照)、上部ウィッシュボーン213を並進移動させると、ホイール101のキャンバー角が変わる。 ボールスクリュー653は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック669によって支持され、ボールスクリュー653は、電気モータ651によって駆動される一組のスパーギア659によってその中心軸周りに回転するように駆動される。この例において、マウントボディ、シャフト及びウィッシュボーンアームホルダは、比較的高負荷(例えば、負荷閾値を超えた)を支持するように構成されるのに対し、電気機械コントローラはマウントボディに取り付けられて並進フレーム(例えば、ウィッシュボーンアームホルダ)に結合し、これらの高負荷を支持する必要はない。
【0099】
図7A及び7Bは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの1つのバリエーションを示し、デバイスは、アンチロールバーの硬さを制御するように構成されている。この例において、電気機械デバイス741は、アンチロールバー205とリンク706の間に位置する。電気機械デバイスは、電気モータ751、2つのスパーギア759、ボールスクリュー753、ボールナット755、連結フランジ773、マウント768及びベアリングパック769を含む。マウント768は、アンチロールバー205の端部に連結し、マウント768はベアリングパック769を収容する。ボールスクリュー753は、ラジアル負荷とスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック769によって支持される。ボールスクリュー753は、電気モータ751によって駆動されるスパーギア759によってその中心軸周りに回転するように駆動される。ボールナット755はボールスクリュー753に沿って低摩擦で前後に駆動され、それによって連結フランジ773を並進移動させ、アンチロールバー205の端部とリンク706の間の距離を変更するように構成されている。このアンチロールバー205の端部とリンク706の間の距離は、アンチロールバー205の有効長さを表す。アンチロールバー205の有効長さがより高い場合、アンチロールバー205の硬さはより低くなる。対照的に、アンチロールバー205の有効長さがより低い場合、アンチロールバー205の硬さはより高くなる。
【0100】
本明細書に記載のアンチロールバーの硬さを制御するように構成されたいずれの電気機械デバイスも、アンチロールバー上の任意の位置に、又は、アンチロールバーとホイール又はサスペンションアセンブリとの間の任意の位置に配置されるように構成されてよい。電気機械デバイスはホイール又はサスペンションアセンブリ(例えば、リンク等を介して)に間接的に連結してもよく、又は、ホイール又はサスペンションアセンブリに直接連結してもよい。
【0101】
本明細書に記載のアンチロールバーの硬さを制御するように構成されたいずれの電気機械デバイスも、(限定はしないが)フロントアンチロールバー又はリアアンチロールバーを含む任意のアンチロールバーの硬さを制御するように構成されてよい。
【0102】
図8A及び8Bは、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスの別のバリエーションを示し、デバイスは、ホイール101のトウを制御するように構成されている。この例において、電気機械デバイス831は、外部タイロッド807と内部タイロッド809の間に位置する。電気機械デバイスは、電気モータ851、モータ ハウジング852、ボールスクリュー853、シャフトカプラ854、ボールナット855及びベアリングパック869を含む。外部タイロッド807は、ボールナット855に連結し、ボールナット855はボールスクリュー853に沿って低摩擦で前後に駆動され、それによって外部タイロッド807を並進移動させるように構成される。外部タイロッド807がホイールアセンブリに連結するため(
図1A、2A及び3A参照)、外部タイロッド807を並進移動させることで、ホイール101のトウ角が変わる。ボールスクリュー853は、ラジアル負荷及びスラスト負荷を支持することが可能なベアリングパック869によって支持され、ボールスクリュー853は、シャフトカプラ854を介して電気モータ851によってその中心軸周りに回転するように駆動される。この例において、電気モータ851の出力シャフトはシャフトカプラ854を介してボールスクリュー853に直接結合するため、ギア等は必要ない。
【0103】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、サスペンション設定を調整する為に調整部材を駆動する為のギアを含んでも、含まなくてもよい。ギアが用いられる場合、ギアは任意のギアリング比率を有してよい(例えば、1:1、1:2、2:1、1:3、1:4等)。本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスのいずれのドライバの出力シャフトも、いずれの調整部材に直接結合されてよい。本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスにねじ(例えば、ボールスクリュー、リードスクリュー等)が含まれる場合も、少なくとも1つのドライバの出力シャフトはねじに直接又は間接的に結合されてよく、更に、少なくとも1つのドライバの出力シャフトは、平行、垂直、共線、同場所、又はねじに対して任意の角度を含めて、ねじに対して任意の空間的配向を取ってもよい。
【0104】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、 電子コントローラによって制御されてよい。各電気機械デバイスは、その独自の制御システムによって制御されても、別のデバイスの制御システムによって制御されても、共通の中央化された制御システムによって制御されても、又は制御システムの組み合わせによって制御されてもよい。
【0105】
図9は、車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスを制御するように構成された制御ユニットのバリエーションを示す。この例において、中央制御ユニットが、車両の4つの全てのホイールに装備された全ての電気機械デバイスを制御するために用いられる。1つ以上の電気機械デバイスが前左輪及び前右輪それぞれに装備されて、各前輪のキャンバー、キャスター、トウ及びアンチロールバー硬さを制御する。更に、1つ以上の電気機械デバイスが、リア左輪及びリア右輪それぞれに装備されて、各後輪のキャンバー、トウ及びアンチロールバー硬さを制御する。中央制御ユニットは、ユーザ入力データ及びセンサ入力データを受信して、サスペンション設定を適宜制御及び変更する為に、全ての電気機械デバイスに出力制御信号を出力するように構成される。
【0106】
本明細書に記載の制御ユニットはいずれも、(限定はしないが)磁気ダンパ、可変ダンパ、スプリングレート及びロール中心を含む、本明細書に記載の電気機械デバイスに関連しない他のサスペンション又は車両機能を付加的に制御してよい。
【0107】
本明細書に記載のいずれの電気機械デバイスも、1つ以上のセンサを含んでよく、更に、閉ループ制御を含んでよい。
【0108】
図10A及び10Bは、フィードバックセンサ付きで構成された車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスのバリエーションを示す。4つの電気機械デバイス221、231、241は、
図2A乃至Cに説明したように車両のホイール101のサスペンション設定を制御する。この例において、温度センサアレイ1081は上部ウィッシュボーン213に取り付けられ、ホイール101のタイヤの表面の上方に位置してタイヤの温度を監視する。温度センサアレイ1081は、タイヤの温度を内縁から外縁へ、又は外縁から内縁へ監視するために、その長さに沿った1つ以上の温度センサを含む。
【0109】
一例では、 温度センサアレイ1081は2つの別個のセンサを含んでよく、1つはタイヤの内縁の上方に位置して内縁の温度を監視し、1つはタイヤの外縁の上方に位置して外縁の温度を監視する。
【0110】
別の例では, 温度センサアレイ1081は3つの別個のセンサを含んでよく、1つはタイヤの内縁の上方に位置して内縁の温度を監視し、1つはタイヤの中心の上方に位置して中心の温度を監視し、1つはタイヤの外縁の上方に位置して外縁の温度を監視する。
【0111】
さらに別の例では、温度センサアレイ1081はタイヤにわたる全ての位置での温度を監視するために1つの連続センサバーを含んでよく、完全温度プロファイルを提供する。
【0112】
本明細書に記載のデバイスのいずれの電気機械デバイス又はシステムも、1つ以上の温度センサを含み得る。特に、温度センサは、所与の組のサスペンション設定の適正さを評価する為に用いられ得る。特に、温度センサは、タイヤの表面温度を監視し、それによって所与のキャンバー設定の適正さを評価するために用いられてよい。例えば、タイヤの外縁の温度が内縁の温度より高い場合、キャンバーを制御するように構成された電気機械デバイスは、より負の(又はより正でない)キャンバーを提供するように命令され得る。別の例では、タイヤの内縁の温度が外縁の温度より高い場合、キャンバーを制御するように構成された電気機械デバイスは、より負でない(又はより正の)キャンバーを提供するように命令され得る。
【0113】
図11A及び11Bは、フィードバックセンサ付きで構成された車両サスペンション設定を制御する為の電気機械デバイスのバリエーションを示す。4つの電気機械デバイス221、231、241は、
図2A乃至Cに説明したように車両のホイール101のサスペンション設定を制御する。この例において、ポジションセンサアレイ1183は下部ウィッシュボーン211に取り付けられ、ホイール101の背後に位置してホイール101の角度又は位置を監視する。ポジションセンサアレイ1183はこの例において、3つのポジションセンサ1185、1187、1189を含む。ポジションセンサ1185、1187、1189は、ホイール101のキャンバー角及びトウ角を監視するように構成される。
【0114】
一例では、ポジションセンサアレイは1つ以上の別個のセンサを含み得る。別の例では、ポジションセンサアレイは位置プロファイルを提供するために1つの連続センサバーを含み得る。
【0115】
本明細書に記載のデバイスのいずれの電気機械デバイス又はシステムも、1つ以上のポジションセンサを含み得る。特に、ポジションセンサは、所与の組のサスペンション設定の適正さを評価する為に用いられ得る。特に、ポジションセンサは、ホイールのトウ角を監視するために用いられてよい。
【0116】
本明細書に記載のデバイスのいずれの電気機械デバイス又はシステムも、(限定はしないが)ポジションセンサ、エンコーダ(例えば、リニア、ロータリー、光学等)、リミットスイッチ、近接センサ、温度(サーマル)センサ、リードスイッチ、光センサ(例えば、紫外、赤外等)及び加速度計を含む1つ以上のタイプの1つ以上のセンサを含み得る。例えば、電気機械デバイスは、1つ以上のポジションセンサと1つ以上の温度センサを含み得る。
【0117】
本明細書に記載の1つ以上のセンサを含むデバイスのいずれの電気機械デバイス又はシステムに関しても、開ループ、部分閉ループ、全閉ループ、断続閉ループ、連続閉ループ、半自動又は全自動制御が提供されてよい。
【0118】
本明細書に記載の1つ以上のセンサを含むデバイスのいずれの電気機械デバイス又はシステムに関しても、サスペンション設定の自動、連続、リアルタイム制御が提供されてよい。
【0119】
図12A乃至12Gは、マクファーソンタイプサスペンション等のストラット1203を含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置1221(例えば、デバイス、システム等)の別のバリエーションを示す。この例において、
図4A乃至4Eに示された装置と同様に、装置は車両フレームに固定された(例えば、ストラットタワー1215に固定された)マウントボディを含む。マウントボディは上部マウントボディ1264と下部マウントボディ1266を含む。上部マウントボディは下部マウントボディに連結するように構成され、この例においては、マウントボディの2つの部分が
図12Cに示すように固着されるように、2つの本体の間に車両のフレーム1215を保持する。上部マウントボディと下部マウントボディそれぞれの上の開口部は、フレーム(ストラットタワー1215)を通る開口部と位置合わせされている。下部マウントボディはこの開口部に亘っており、可動並進ステージ1263に連結された、又は可動並進ステージ1263の一部として形成されたストラットホルダ1299は、下部マウントボディの一部を形成する並進座面1298上の単一の並進軸内で運動する。この例において、並進座面は開口部に亘って平行に延在する2つのシャフト1290それぞれの円筒形外面である。並進軸はこれらのシャフトの方向に対して平行に延在する。
図12A、12C及び12Fにおいて、ハウジング1278は上部マウントボディを覆い、可撓性スリーブ1279は下部マウントボディを覆って、ストラットホルダの運動を可能にすると共に装置をデブリから保護する。
【0120】
上部ハウジング1278はこの例において電気機械アクチュエータを覆い、
図12B、12D、12E及び12Gにおいて、上部カバーは取り去られている(下部可撓性カバー 1279は依然として在るが)。電気機械アクチュエータはこの例において、ここではボールスクリュー1253及びボールナット1255として構成されたリニアアクチュエータと結合する一対のギア1259の回転を駆動する電気モータ1251を含む。ボールスクリューはギアによって回転され、その結果、ボールナットはボールスクリューに沿って前後に並進移動し得るが、それは、ボールナットが、並進ステージ/ストラットホルダに連結(例えば、固着)され、ボールスクリューの回転がストラットホルダの運動を駆動するからである。電気コントローラ(図示せず)が電気機械アクチュエータと通信してその動作を制御する。
【0121】
動作時に、ストラットホルダは、電気機械アクチュエータの電気モータがボールスクリューを回転させボールナットを第1の並進軸に前後に運動させる時に一対のシャフトの並進座面1298上で移動するように(例えば、並進ステージ上/内又はその一部でのブッシュ/リニアベアリングの動作によって)、電気機械アクチュエータによって駆動される。この例において、この第1の並進軸は一般に、ホイールの平面に位置合わせされている(例えば、一部の変形例では、ホイールの回転軸の+/-30度に)。装置は、並進ステージが、従ってストラットホルダが、全ての他の並進方向(例えば、第1の並進軸に対して垂直な軸)において抑制されるように抑制される。エンコーダ(図示せず)はホルダ/並進ステージの位置を監視してよく、電気コントローラにフィードバックを提供してよい。
【0122】
上述のように、
図12A乃至12Gに示した装置は、例えばサスペンションのストラットによって装置に課される高負荷が、電気機械アクチュエータを支持する又は含むマウントボディの部分から隔離されたマウントボディの別個の部分を通してフレーム本体に伝えられるように構成される。この例において、上部マウントボディ1263は電気機械アクチュエータを支持し、高負荷を支持する必要はなく、電気機械アクチュエータは、下部マウントボディ1266が動作する必要がある高負荷条件下で動作する必要はない。下部マウントボディ1266は、ストラット1203からの負荷を支持し、この負荷はストラットホルダ1299及び並進ステージ1263を介して、下部マウントボディ1266の並進座面1298を形成する一対のシャフトに伝えられる。下部マウントボディは、車両フレーム(例えば、ストラットタワー1215)の下に取り付けられるように構成され、従ってこの負荷は、電気機械アクチュエータを通過せずに、デバイスを介してフレームに伝わる。従って、下部マウントボディは、約1000キログラム(kg)を超える(例えば約1500kg又はそれ以上、約2000kg又はそれ以上、約2500kg又はそれ以上、約3000kg又はそれ以上、約3200kg又はそれ以上、約3500kg又はそれ以上、約4000kg又はそれ以上等)を超える最小負荷閾値を処理するように構成されてよい。
【0123】
図13A乃至13Hは、
図5A乃至5B及び8A乃至8Bに関して上記で図示し説明したのと同様な車両の(例えば、車両のホイール)のトウを電気的に調整し得るトウ調整装置(例えば、トウ調整ユニット)の別の例を示す。
図13Aにおいて、トウ調整ユニット 1331は、タイロッド1360の端部に連結するように構成された、タイロッドマウント1368を遠位端部に含む。一部の変形例では、タイロッド(前部タイロッド1360)は装置の一部を形成する。
図13A乃至13Hにおいて、タイロッドマウントは前部タイロッドを伸縮式ロッドのボールナット1355に固着し、ボールスクリュー(見えない)が、ボールナット内に保持され、ボールナットを通って、前部トウロッドの遠位端部へと部分的に保持される。伸縮式ロッド部分1381は遠位方向から近位方向に伸長又は退縮するように構成されている。伸縮式ロッドは、電気機械アクチュエータ(例えば、電気モータ1351及び一組のギア1359等)によって作用されるリニアアクチュエータ (例えば、この例において、ボールスクリュー1353及びボールナット、ボールナットは、タイロッドマウント1368と同じ特徴であってよい)を含んでよい。電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナット(この例において、タイロッドマウント)を介して伸縮式アームに結合され、伸縮式アームをタイロッドに対して伸長または退縮させるために伸縮式アームの回転を駆動する。ハウジング1386(可撓性部分1385を含む)は、電気機械アクチュエータ及び伸縮式アーム部分を覆ってよい。
【0124】
この例において、伸縮式ロッド部分1381は、ここでは前部タイロッド部分1360として示されている部分(例えば切頭型)タイロッドと一直線に結合される。装置の後端部はステアリングリンクマウント1377を含む。一部の変形例では、第2のタイロッド部分(後部タイロッド部分)は、伸縮式ロッドとステアリングリンクマウントの間に含まれてよい。ステアリングリンクマウントはこの例においてボールジョイントであり、枢動を可能にする。伸縮式ロッド部分は、ボールスクリューを回転させるために電気モータによって駆動される回転(一組のギアによって伝えられる回転)によって延長又は縮小されてよく、ボールスクリューは、前部タイロッド部分を介してアライメントの残りの部分に固着された(又はそこから車両のフレームに固着された)1つ以上のボールナット内で回転する。電気機械アクチュエータは、タイロッドの負荷担持経路から外れて配置され、
図13A乃至13Fにおいて、電気機械アクチュエータ(例えば、モータ)は、タイロッドの負荷担持経路の残りの部分と平行に配置されている。これは、空間を確保すると共に、電気機械アクチュエータを保護できる。
【0125】
図13A乃至13Hにおいて、ステアリングリンクマウント1377は近位端部に配置されて、車両のステアリングラックのリンケージ(図示せず)に接続するように構成される。このステアリングリンクマウントはボールジョイントであってよい。
【0126】
トウ調整ユニットは、電気機械アクチュエータ(例えば、電気モータ1351)を装置の本体フレームに連結する1つ以上の(
図13E乃至13Hには2つが示されている)ステイ(ステイロッド1395)も含む。ステイロッドは、動作中にタイロッドマウントに対する電気機械アクチュエータの回転を防止する為にタイロッドマウントに(直接、又は示されるように間接に)固着されたベアリング1396に滑動可能に連結されている。
【0127】
本明細書に記載のいずれの方法も、ソフトウェア、ハードウェア又はファームウェアとして実装されてよく、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォン等)によって実行された場合に、プロセッサに、限定はしないが、表示、ユーザとの通信、分析、パラメータの変更(タイミング、頻度、強さを含む)、決定、変更等を含む任意のステップを実行させるように制御することが可能な一組の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体として説明され得る。
【0128】
本明細書で特徴又は要素が他の特徴又は要素の「上」にあると記載された場合、それは他の特徴又は要素の直接上にあってもよく、又は、介在する特徴及び/又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が他の特徴又は要素の「直接上」にあると記載された場合、介在する特徴及び/又は要素は存在しない。特徴又は要素が別の特徴又は要素に「連結」、「取り付け」又は「結合」されていると称された場合、それは、他の特徴又は要素に直接連結、取り付け又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよいことが理解される。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接連結」、「直接取り付け」又は「直接結合」されていると称された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。1つの実施形態に関して説明され図示されていても、そのように説明され図示された特徴及び要素は、他の実施形態にも適用され得る。当業者ならば、他の特徴に「隣接して」配置された構造又は特徴への言及は、隣接する特徴に重なる又はその下になる部分を有し得ることも理解するであろう。
【0129】
本明細書で用いた用語は特定の実施形態を説明するためのみであって、本発明を限定する意図はない。例えば、本明細書で用いる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)は、文脈上明白に示唆しない限り、複数形を含むことを意図している。本明細書で用いられる場合、用語「備える」及び/又は「備えた」は、言及された特徴、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことも更に理解されよう。本明細書で用いられる場合、用語「及び/又は」は関連する列挙されたアイテムの1つ又はそれ以上のあらゆる組み合わせを含み、「/」と略記され得る。
【0130】
「の下」、「下方」、「下部」、「の上」「上部」等の空間的相対用語は、本明細書において、図に示されるように1つの要素又は特徴の、別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する関係性を説明するための説明を易化するために使用され得る。空間的相対用語は、図に描写された配向に加えて、使用時又は動作時デバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素又は特徴「の下」又は「下」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上」に配向していることになる。こうして、例示的用語「の下」は、上及び下の両配向を包含し得る。デバイスは別の配向であってもよく(90度回転又は他の配向)、本明細書で用いられる空間的相対表現はそれに応じて解釈される。同様に、本明細書において用語「上向きに」、「下向きに」、「垂直」、「水平」等は、特段に明記しない限り説明の為のみに用いられる。
【0131】
本明細書では、用語「第1の」及び「第2の」は種々の特徴/要素(ステップを含む)を説明するために用いられ得るが、これらの特徴/要素は、文脈がそうでないと示さない限りこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を他の特徴/要素から区別するために用いられてよい。こうして、本発明の教示から逸脱せずに、以下に論じる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれることもでき、又同様に、以下に論じる第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれることもできる。
【0132】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要でない限り、語「備える(comprise)」並びに「備えた(comprises)」及び「備えた(comprising)」等のバリエーションは、種々の構成要素が方法及び物と共に用いられ得ることを意味している(例えば、デバイス及び方法を含む組成及び装置)。例えば、用語「備えた(comprising)」は、任意の言及された要素又はステップの包含を意味するが任意の他の要素又はステップの除外を意味しないと理解される。
【0133】
一般に、本明細書に記載のいずれの装置及び方法も、包括的であると理解されるべきであるが、代わりに、構成要素及び/又はステップの全て又はサブセットが包括的であってよく、種々の構成要素、ステップ、サブ構成要素又はサブステップ「から構成される」又は代替的に「本質的に~から構成される」と表現され得る。
【0134】
例で用いられるものを含めて、明示しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、全ての数は、「約」又は「概ね」という語が明記されていなくても「約」又は「概ね」の前置きが付いているかの如く読み取られてよい。語句「約」又は「概ね」は、説明した値及び/又は位置がその値及び/又は位置の合理的な予測範囲内にあることを示すために規模及び/又は位置を説明する場合に用いられ得る。例えば、数値は、表示値(又は値の範囲)の+/-0.1%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-1%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-2%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-5%の値、表示値(又は値の範囲)の+/-10%等の値を有してよい。本明細書に挙げられた任意の数値はさらに、文脈上示さない限り、約その値又は略その値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書に記載の任意の数範囲は、そこに含まれる全ての副範囲を含むことが意図される。当業者ならば適切に理解するであろうように、値が、その値「未満又はその値に等しい」、「その値を超えるまたはその値に等しい」及びその値の間の可能な範囲も開示されることが理解される。例えば、値「X」が開示された場合、「X未満又はXに等しい」並びに「Xを超える又はXに等しい」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。本出願を通して、データは幾つかの異なるフォーマットで提供され、このデータは始点及び終点、及びデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント「15」が開示される場合、10及び15を超える、10及び15を超える又は10及び15に等しい、10及び15未満、10及び15未満又は10及び15に等しい、及び10及び15に等しい、が開示されると見なされると理解され、並びに、10と15の間も開示されると見なされると理解される。2つの特定の単位間の各単位も開示されると理解される。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13及び14も開示される。
【0135】
上記では種々の例示的実施形態が説明されたが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の実施形態に幾つかの変更のうちいずれが為されてもよい。例えば、種々の説明された方法ステップが実行される順序は、別の実施形態では多くの場合変更されることがあり、別の代替的実施形態では、1つ以上の方法ステップは全て省略されることもある。種々のデバイス及びシステムの実施形態の随意の特徴が、一部の実施形態には含まれ他の実施形態には含まれないことがある。従って、上記の説明は主に例示目的で提供されたものであり、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0136】
本明細書に含まれた例及び例証は、例としてであって限定ではなく、主題が実行され得る特定の実施形態を示す。言及したように、他の実施形態が利用されそこから導出されてよく、その結果、本開示の範囲から逸脱せずに構造的及び論理的置換及び変更が為され得る。本発明の主題のそのような実施形態は、本明細書では単に利便性のため個々に又は包括的に用語「本発明」と呼ばれてよく、それは、本出願の範囲を、実際に2つを超える発明又は発明的概念が開示されている場合に任意の単一の発明又は発明的概念に自発的に限定する意図はない。従って、特定の実施形態について本明細書で図示し説明してきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成が、示された特定の実施形態と置き換えられてもよい。本開示は種々の実施形態のありとあらゆる適応例又は変形例を網羅することを意図している。上記の実施形態及び本明細書で特に記載していない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を再考察すれば当業者には明らかとなろう。
〔付記1〕
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスであって、前記デバイスが、
並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに固着するように構成されているマウントボディと、
ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダであって、前記ストラットホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記ストラットホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記ストラットホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、ストラットホルダと、
前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に、前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、を備えたデバイス。
〔付記2〕
前記電気機械アクチュエータの駆動を制御するように構成された電子コントローラを更に備えた付記1に記載のデバイス。
〔付記3〕
前記電子コントローラは、キャンバーを調整する場合に前記車両のトウを調整するように構成される、付記2に記載のデバイス。
〔付記4〕
前記マウントボディは、上部マウントボディと下部マウントボディを備え、前記車両のフレームが前記上部マウントボディと前記下部マウントボディの間に固定され得るように構成されている付記1に記載のデバイス。
〔付記5〕
前記下部マウントボディは前記並進座面を含む付記4に記載のデバイス。
〔付記6〕
前記並進座面は前記ストラットホルダの両側に平行に延在する一対のシャフトを備えている付記1に記載のデバイス。
〔付記7〕
前記ストラットホルダに固着され前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた付記1に記載のデバイス。
〔付記8〕
前記電気機械アクチュエータは前記ストラットホルダに結合されて前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている付記1に記載のデバイス。
〔付記9〕
前記電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記ストラットホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される付記1に記載のデバイス。
〔付記10〕
前記ストラットホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた付記1に記載のデバイス。
〔付記11〕
前記並進座面は1500kgを超えるラジアル負荷を支持するように構成されている、付記1に記載のデバイス。
〔付記12〕
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスであって、前記デバイスが、
上部マウントボディ及び下部マウントボディであって、前記上部マウントボディと前記下部マウントボディの間に前記車両のフレームが固定され得るように構成され、前記下部マウントボディが並進座面を備えている、上部マウントボディ及び下部マウントボディと、
前記ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダであって、前記ストラットホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記ストラットホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記ストラットホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、ストラットホルダと、
前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に、前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、
前記電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラと、を備えたデバイス。
〔付記13〕
前記並進座面が前記ストラットホルダの両側に平行に延在する一対のシャフトを備えている、付記12に記載のデバイス。
〔付記14〕
前記ストラットホルダに固着されて前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた付記12に記載のデバイス。
〔付記15〕
前記電気機械アクチュエータは、前記ストラットホルダに結合されて前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている付記12に記載のデバイス。
〔付記16〕
前記電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記ストラットホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される付記12に記載のデバイス。
〔付記17〕
前記ストラットホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた付記12に記載のデバイス。
〔付記18〕
前記並進座面は1500kgを超えるラジアル負荷を支持するように構成されている、付記12に記載のデバイス。
〔付記19〕
前記電子コントローラは、前記キャンバーを調整する場合に前記車両のトウを調整するように構成されている、付記12に記載のデバイス。
〔付記20〕
ストラットを含むサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のデバイスであって、前記デバイスが、
上部マウントボディ及び下部マウントボディであって、前記車両のフレームが前記上部マウントボディと前記下部マウントボディの間に固定され得るように構成され、前記下部マウントボディが1つ以上のシャフトによって形成された並進座面を備えている、上部マウントボディ及び下部マウントボディと、
前記ストラットの一端部を保持するように構成されたストラットホルダであって、前記ストラットホルダは、1つ以上のリニアベアリングによって、前記並進座面を形成する前記1つ以上のシャフトに可動に連結され、その結果、前記ストラットホルダは第1の並進軸に運動すると共に、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制されるように構成されている、ストラットホルダと、
前記ストラットホルダに結合されて、前記ストラットホルダを前記第1の並進軸に、前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、
前記電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラと、を備えているデバイス。
〔付記21〕
上部アームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置であって、前記装置が、
並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに固着するように構成されたマウントボディと、
前記上部アームの一端部を保持するように構成されたアームホルダであって、前記アームホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記アームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記アームホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、アームホルダと、
前記アームホルダに結合されて、前記アームホルダを前記第1の並進軸で前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータを備えている装置。
〔付記22〕
前記マウントボディが上部マウントボディと下部マウントボディを備え、前記上部マウントボディと前記下部マウントボディの間に前記車両のフレームが固定され得るように構成されている、付記21に記載の装置。
〔付記23〕
前記下部マウントボディが前記並進座面を含む、付記22に記載の装置。
〔付記24〕
前記並進座面が、前記アームホルダの両側に平行に延在する一対のシャフトを備えている付記21に記載の装置。
〔付記25〕
前記アームホルダに固着され前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた付記21に記載の装置。
〔付記26〕
前記電気機械アクチュエータは前記アームホルダに結合されて前記アームホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている付記21に記載の装置。
〔付記27〕
前記電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記アームホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される付記21に記載の装置。
〔付記28〕
前記アームホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた付記21に記載の装置。
〔付記29〕
前記アームホルダは、前記上部アームの端部が前記アームホルダに相対して枢動できるように構成されている付記21に記載の装置。
〔付記30〕
前記並進座面は1500kgを超えるラジアル負荷を支持するように構成されている、付記21に記載の装置。
〔付記31〕
上部アームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の装置であって、前記装置が、
並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに固着するように構成されたマウントボディと、
前記上部アームの一端部を保持するように構成されたアームホルダであって、前記アームホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記アームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記アームホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、アームホルダと、
前記アームホルダに固着され、前記並進座面に可動に連結されたリニアベアリングと、
前記アームホルダに結合されて、前記アームホルダを第1の並進軸で前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、
前記電気機械アクチュエータの作動を制御するように構成された電子コントローラと、を備えている装置。
〔付記32〕
上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のシステムであって、前記上部ウィッシュボーンアームが第1の端部と第2の端部を有し、前記システムが、
並進座面を有するマウントボディであって、前記車両のフレームに固着するように構成されたマウントボディと、
前記上部ウィッシュボーンアームの第1の端部を保持するように構成され、その結果、前記上部ウィッシュボーンアームの第1の端部が前記ウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できるウィッシュボーンアームホルダであって、前記ウィッシュボーンアームホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記ウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記ウィッシュボーンアームホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、ウィッシュボーンアームホルダと、
前記ウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記ウィッシュボーンアームホルダを前記第1の並進軸で前記並進座面に沿って駆動する電気機械アクチュエータと、を備えている装置。
〔付記33〕
電気機械アクチュエータの作動を制御するように構成された電子コントローラを更に備えた付記32に記載のシステム。
〔付記34〕
前記並進座面が、平行に延在する一対のシャフトを備えている付記32に記載のシステム。
〔付記35〕
前記ウィッシュボーンアームホルダに固着され前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた付記32に記載のシステム。
〔付記36〕
前記電気機械アクチュエータが、前記ウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記ウィッシュボーンアームホルダを前記第1の並進軸で運動させる電気モータを備えている付記32に記載のシステム。
〔付記37〕
前記電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記ウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される付記32に記載のシステム。
〔付記38〕
前記ウィッシュボーンアームホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた付記32に記載のシステム。
〔付記39〕
更に、第2の並進座面を有する第2のマウントボディであって、車両のフレームに固着するように構成された第2のマウントボディと、
前記上部ウィッシュボーンアームの第2の端部を保持するように構成され、その結果、前記上部ウィッシュボーンアームの第2の端部が前記第2のウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できる第2のウィッシュボーンアームホルダであって、前記第2のウィッシュボーンアームホルダは前記第2の並進座面に可動に連結され、更に、前記第2の並進座面は、前記第2のウィッシュボーンアームホルダが前記第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記第2のウィッシュボーンアームホルダが、前記第2の並進軸又は前記第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、第2のウィッシュボーンアームホルダと、
前記第2のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記第2のウィッシュボーンアームホルダを前記第2の並進軸で前記第2の並進座面に沿って駆動する第2の電気機械アクチュエータと、を備えた付記32に記載のシステム。
〔付記40〕
上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為のシステムであって、前記上部ウィッシュボーンアームが第1の端部と第2の端部を有し、前記システムが、
第1の並進座面を有する第1のマウントボディであって、前記車両のフレームに固着するように構成された第1のマウントボディと、
前記上部ウィッシュボーンアームの第1の端部を保持するように構成され、その結果、前記上部ウィッシュボーンアームの第1の端部が前記ウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できる第1のウィッシュボーンアームホルダであって、前記第1のウィッシュボーンアームホルダは前記第1の並進座面に可動に連結され、更に、前記第1の並進座面は、前記ウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記ウィッシュボーンアームホルダが、前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、第1のウィッシュボーンアームホルダと、
前記第1のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記第1のウィッシュボーンアームホルダを第1の並進軸で前記第1の並進座面に沿って駆動する第1の電気機械アクチュエータと、
第2の並進座面を有する第2のマウントボディであって、前記車両のフレームに固着するように構成された第2のマウントボディと、
前記上部ウィッシュボーンアームの第2の端部を保持するように構成され、その結果、前記上部ウィッシュボーンアームの第2の端部が第2のウィッシュボーンアームホルダに対して枢動できる第2のウィッシュボーンアームホルダであって、前記第2のウィッシュボーンアームホルダは第2の並進座面に可動に連結され、更に、前記第2の並進座面は、前記第2のウィッシュボーンアームホルダが前記第1の並進軸に運動することを可能にすると共に前記第2のウィッシュボーンアームホルダが、前記第2の並進軸又は前記第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、第2のウィッシュボーンアームホルダと、
前記第2のウィッシュボーンアームホルダに結合されて、前記第2のウィッシュボーンアームホルダを前記第2の並進軸で前記第2の並進座面に沿って駆動する第2の電気機械アクチュエータと、
前記第1と第2の電気機械アクチュエータを作動させるように構成された電子コントローラを備えている、システム。
〔付記41〕
上部ウィッシュボーンアームと下部ウィッシュボーンアームを備えたサスペンションを有する車両のキャンバーを調整する為の方法であって、前記上部ウィッシュボーンアームが第1の端部と第2の端部を有し、前記方法が、
第1の電気機械アクチュエータを、第1のウィッシュボーンアームホルダを前記車両のフレームに固着された第1の並進座面で駆動するように作動させ、その結果、前記第1のウィッシュボーンアームホルダが第1の並進軸に運動され、前記第1のウィッシュボーンアームホルダは前記上部ウィッシュボーンアームの第1の端部に結合され、
第2の電気機械アクチュエータを、第2のウィッシュボーンアームホルダを車両のフレームに固着された第2の並進座面で駆動するように作動させ、その結果、前記第2のウィッシュボーンアームホルダが前記第1の並進軸に運動され、前記第2のウィッシュボーンアームホルダは前記上部ウィッシュボーンアームの第2の端部に結合される、ことを含む方法。
〔付記42〕
前記第1の電気機械アクチュエータを作動させることと前記第2の電気機械アクチュエータを作動させることは同時に発生する付記41に記載の方法。
〔付記43〕
前記第1の電気機械アクチュエータを作動させることは前記第1の電気機械アクチュエータを手動で作動させることを更に含む付記41に記載の方法。
〔付記44〕
前記第1の電気機械アクチュエータを調整することと同時に前記サスペンションのトウを調整することを更に含む付記41に記載の方法。
〔付記45〕
上部アーム及びタイロッドを備えたサスペンションを有する車両のキャンバー及びトウを調整する為の装置であって、前記システムが、
キャンバー調整ユニットを備え、前記キャンバー調整ユニットが、
並進座面を有するマウントボディを備え、前記マウントボディは前記車両のフレームに固着するように構成され;
前記上部アームの一端部を保持するように構成されたアームホルダであって、前記アームホルダは前記並進座面に可動に連結され、更に、前記並進座面は、前記アームホルダが第1の並進軸に運動することを可能にすると共に、前記アームホルダが前記第1の並進軸に対して直角な第2の並進軸又は前記第2の並進軸に対して直角な第3の並進軸に運動することを抑制するように構成されている、アームホルダと、
前記アームホルダに結合されて、前記アームホルダを前記第1の並進軸で前記並進座面に沿って駆動する第1の電気機械アクチュエータを備え、
前記システムが更にトウ調整ユニットを備え、前記トウ調整ユニットが、
タイロッドの端部に連結するように構成された、遠位端部のタイロッドマウントと、
遠位方向から近位方向に伸長又は退縮するように構成された伸縮式ロッドと、
前記伸縮式ロッドに結合され、前記伸縮式ロッドを前記タイロッドに対して伸長又は退縮させるために前記伸縮式ロッドの回転を駆動するように構成された第2の電気機械アクチュエータと、
前記車両のステアリングラックのリンケージに連結するように構成された、近位端部のステアリングリンクマウントと、を備えており、
前記システムが更に、前記第1と第2の電気機械アクチュエータを作動させるように構成された電子コントローラを備えている、装置。
〔付記46〕
前記マウントボディが上部マウントボディと下部マウントボディを備え、前記上部マウントボディと前記下部マウントボディの間に前記車両のフレームが固定され得るように構成されている、付記45に記載の装置。
〔付記47〕
前記下部マウントボディが前記並進座面を含む、付記46に記載の装置。
〔付記48〕
前記並進座面が、前記アームホルダの両側に平行に延在する一対のシャフトを備えている付記45に記載の装置。
〔付記49〕
前記アームホルダに固着され前記並進座面に可動に連結された1つ以上のリニアベアリングを更に備えた付記45に記載の装置。
〔付記50〕
前記第1の電気機械アクチュエータは前記アームホルダに結合されて前記アームホルダを前記第1の並進軸に運動させる電気モータを備えている付記45に記載の装置。
〔付記51〕
前記第1の電気機械アクチュエータはボールスクリュー及びボールナットを備え、前記ボールナットは前記アームホルダに結合されて、前記ボールスクリューに沿って前後に駆動されるように構成される付記45に記載の装置。
〔付記52〕
前記アームホルダの位置を監視するように構成されたエンコーダを更に備えた付記45に記載の装置。
〔付記53〕
前記アームホルダは、前記上部アームの端部が前記アームホルダに相対して枢動できるように構成されている付記45に記載の装置。
〔付記54〕
前記第2の電気機械アクチュエータは、伸縮式アームと平行に配置された電気モータを備えている、付記45に記載の装置。
〔付記55〕
前記ステアリングリンクマウントはボールジョイントを備えている付記45に記載の装置。
〔付記56〕
前記伸縮式アームは、前記タイロッドマウントに固着されたボールナットに対して回転するボールスクリューを備えている付記45に記載の装置。
〔付記57〕
前記タイロッドマウントに対する前記第2の電気機械アクチュエータの回転を防止する為に、前記第2の電気機械アクチュエータを前記タイロッドマウントに接続する1つ以上のステイロッドを更に備えている付記45に記載の装置。
〔付記58〕
前記電子コントローラは、前記キャンバーが調整された場合に前記トウの調整を協調させる付記45に記載の装置。
〔付記59〕
車両ホイールのトウを調整する為の装置であって、
前部タイロッドと、
前記前部タイロッドの遠位端部に固着されたタイロッドマウントと、
前記前部タイロッドに一直線であり、前記タイロッドマウント内で回転することによって遠位方向から近位方向に伸長又は退縮するように構成された伸縮式ロッドと、
前記伸縮式ロッドに平行に取り付けられ、ギアセットを介して前記伸縮式ロッドに結合された電気モータを備えた電気機械アクチュエータであって、前記伸縮式ロッドの回転を、前記前部タイロッドに対して前記伸縮式ロッドを伸長又は退縮させるように駆動するように構成された電気機械アクチュエータと、
前記車両のステアリングラックのリンケージに連結するように構成された、伸縮式ロッドの近位端部にあるステアリングリンクマウントと、
を備えた装置。
〔付記60〕
前記電気機械アクチュエータを動作させるように構成された電子コントローラを更に備えた付記59に記載の装置。
〔付記61〕
前記伸縮式ロッドと前記ステアリングリンクマウントの間に一直線に結合された後部タイロッドを更に備えた付記59に記載の装置。
〔付記62〕
前記タイロッドマウントが、前記伸縮式ロッドに嵌合するボールナットを備え、更に、前記伸縮式ロッドはボールスクリューを備えている付記59に記載の装置。
〔付記63〕
前記電気機械アクチュエータに固着され、ベアリングに滑動可能に連結された1つ以上のステイを更に備え、前記ベアリングは、前記デバイスが作動するにつれ前記伸縮式ロッドの周りでの前記電気機械アクチュエータの回転を止める為に前記タイロッドマウントに固着されている、付記59に記載の装置。
【符号の説明】
【0137】
101 ホイール
103 ストラット
105、205 アンチロールバー
106、206 リンク
107 外部タイロッド
109 内部タイロッド
123 キャンバー
125 キャスター
121、131、141 電気機械デバイス
221、231、241、321、421、531 電気機械デバイス
213 上部ウィッシュボーン
415 ストラットタワー
465 ストラットホルダ
451 電気モータ
453 ボールスクリュー
455 ボールナット
459 スパーギア
1264 上部マウントボディ
1266 下部マウントボディ