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  • 特許-ファイバー形成スピナー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ファイバー形成スピナー
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/04 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
C03B37/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019572223
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 FR2018051714
(87)【国際公開番号】W WO2019012211
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】1770744
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】フラビアン ラマール
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ビアネ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック ラバルト
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特公昭37-001165(JP,B1)
【文献】特開平06-340442(JP,A)
【文献】特開昭55-113638(JP,A)
【文献】特表2002-518282(JP,A)
【文献】特表2013-514961(JP,A)
【文献】特公昭38-004708(JP,B1)
【文献】特開昭58-185448(JP,A)
【文献】特表2003-514757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00-37/16
D01D 5/08-5/10
D01F 9/08-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、溶融材料から遠心によって、ミネラルファイバー、特にガラス繊維を繊維化するためのスピナー(1):
- 前記溶融材料を通過させかつ前記遠心の間に延伸によってファイバーを得るためのオリフィス(9)が貫通した周囲胴部(2)、好ましくは円錐台形の周囲胴部(2)、
- 繊維化装置に前記スピナーを固定するための上フランジ(6)に、前記周囲胴部(2)を接続する輪心(3)、
- 前記スピナーの底部に前記周囲胴部(2)を延在させ、かつ前記周囲胴部(2)と角度βをなす、折り返し(4)、
ここで、前記スピナーは底のないスピナーであり、
前記角度βが厳密に90°未満であり、かつ
前記折り返し(4)が、水平に対して、10°に等しいか又はそれ未満の傾斜角αを有していることを特徴とする。
【請求項2】
前記折り返し(4)が、前記スピナーの直径の15%未満の全長を有している、請求項に記載のスピナー。
【請求項3】
前記折り返し(4)が、その全長にわたって、実質的に均一な厚さを有している、請求項1又は2に記載のスピナー。
【請求項4】
直径が200~800mmである、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項5】
前記折り返し(4)が、前記スピナーの直径の10%未満の全長を有している、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項6】
前記周囲胴部(2)が垂直面と1~10°の角度γをなす、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項7】
前記折り返し(4)が、前記スピナーの外縁と前記スピナーを固定する前記フランジの内縁との間の、放射状断面で測定した長さの50%未満の全長を有している、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項8】
前記角度βが、厳密に87°未満である、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項9】
前記角度βが、厳密に85°未満である、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項10】
前記傾斜角αが、厳密に5°未満である、請求項1~のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項11】
前記傾斜角αが、厳密に2°未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項12】
前記傾斜角αが、ゼロである、請求項1~11のいずれか一項に記載のスピナー。
【請求項13】
グラスウール又はミネラルウールを繊維化する方法における、請求項1~12のいずれか一項に記載のスピナーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラルウール、特にグラスウールの製造のための、ミネラルファイバーを形成するために特に使用する繊維化スピナーに関する。
【背景技術】
【0002】
断熱用途に使用されるガラス繊維を製造する通常の方法では、遠心による回転繊維化と、ガスブラストアテニュエーション(gas blast attenuation)による繊維化とを同時に行う。
【0003】
この方法の中心には、溶融ガラスを、細くなったフィラメントへと延伸できるようにすることを意図している必須の構成要素がある。すなわち、これは、スピナーディスクであり、当業界では遠心機、あるいは「スピナー」とも呼ばれている。これは、例えば、国際公開第2005/052208号に記載されているような、クロムをベースとする耐火合金でキャスティングした、底のない遠心機である。遠心機又はスピナーを組み込んだこうした繊維化装置の一例は、例えば仏国特許出願公開第2 443 436号公報に記載されており、さらなる操作の詳細を参照することができる。
【0004】
既知の方法では、側面又は周囲胴部とも呼ばれるこの要素の側面部には、多数の孔が貫通しており、その直径は通常、0.5~3mm程度である。ファイバーの製造時に、標準的にはスピナーは、1分間当たりおよそ1500~3000回転の回転速度で回転する。遠心力の作用の下で、ガラスは外側に押され、かつこの孔を通過し、それによってファイバーを形成し、その後このファイバーは、下向きに倒れ、かつ熱風の噴出によって細くなる。こうしたスピナーは、特に厳しい使用条件にさらされる。第一に、溶融ガラスが繊維化装置の内部に到達するときには、溶融ガラスは1000℃~1200℃ほどの温度であるので、スピナーの胴部の温度は高い。第二に、回転すること及び温度勾配があるということは、異なる膨張を介して高い機械的応力をもたらす。最後に、スピナーは、合金に対して腐食性の環境で操作され、これは、一方では、孔の浸食につながり、したがって機械構造的な弱体化を引き起こし、かつ他方では、ガラスに接触する面に近いクロムに関して、合金をやせさせることにつながり、かつ最終的にはこの材料に伴う機械的な弱体化を引き起こす。これらの様々な要因が合わさって、スピナーの耐用期間を制限する。したがって、スピナーを定期的に取り外し、かつ交換しなければならず、このことは、費用の掛かる製造の停止又は調整をもたらす。加えて、これらの耐火合金要素は高額な費用がかかり、このことは、プロセスの効率のみならず、プロセスの全体的なコストに対しても、取るに足らないものとは言えない影響を与える。
【0005】
この一連の問題は既に良く知られている。スピナーの耐用期間を延ばすための、いくつかの可能な方法がある。すなわち、既に上記で引用した公報に記載されているように、繊維化条件を改善したり、あるいは合金の組成をより耐性のあるものに最適化したりする試みがなされてきた。
【0006】
別の取り組みを使ったものとして、米国特許第5,591,459号明細書は、スピナーの変形を減少させることを可能にする追加の装置を付加することを教示している。
【0007】
さらに、国際公開第02/064520号から知られている方法によれば、製造能力を増大させかつプロセスのエネルギー消費を低減させることを目的として、繊維化条件が検討されている。そのような状況では、スピナーの形態は、より多くの孔が胴部に組み込まれており、したがって、ガラスの通路に利用される断面積が増加している。残念ながら、この解決策は、スピナーの機械的強度のあからさまな劣化をしばしば引き起こし、したがって、その耐用期間の深刻な減少を招き、25%までも耐用期間が減少するおそれがある。スピナーの耐用期間を延ばすためには、スピナーの機械的強度を向上させる必要がある。図1の写真は、スピナーの感受性領域の亀裂の外観、特に繊維化胴部の中央の水平な亀裂を具体的に示した、劣化の一つの様式を例示したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、最も感受性のある部分、すなわち、最も亀裂にさらされる部分、つまり、孔が貫通した胴部における機械的応力を低下させることを可能にしたスピナーの新規な形状及び構造から成る。この改良は、例えば、国際公開第99/65835号に記載されている原理に従って、最終製品の良好な品質を保証するために事前に構成されたスピナーの孔の貫通した形状を維持することも可能にする。したがって、本発明によるスピナーの構造は、スピナーの機械的挙動、及び繊維化条件下でのスピナーの熱機械的強度/耐性を向上させることを可能にし、かつ究極的には、胴部における応力を低減させることによって、スピナーの耐用期間を認識できるほど延ばすことを可能にする。より詳細には、応力を低減させることによって、クリープ現象と関連した変形である、元に戻すことのできない粘塑性変形を減少させ、亀裂の発生を遅らせることを可能にする。
【0009】
より具体的には、本発明によれば、孔開けのパラメーター(特に、繊維化胴部における孔の数、集中度合い、及び配置)に悪影響を与えずに、スピナーの形状に修正を加えることを意図している。さらに、本発明によって開発されたスピナーは、繊維化の処理能力や条件を何ら変更することなく使用することができる。ついでながら、米国特許第5,591,459号明細書で開発された概念とは対照的に、操作者が、追加の要素を適合させて、スピナーの変形を制限する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より具体的には、本発明は、溶融材料から遠心によって、ミネラルファイバー、特にガラス繊維を繊維化するためのスピナーに関するものであり、このスピナーは、以下を含む:
- 溶融材料を通過させかつ遠心の間に延伸によってファイバーを得るためのオリフィスが貫通した周囲胴部、好ましくは円錐台形の周囲胴部、
- 繊維化装置にスピナーを固定するための上フランジに、上記周囲胴部を接続する輪心、
- スピナーの底部に上記周囲胴部を延在させ、かつ前記周囲胴部と角度βをなす、折り返し。
【0011】
本発明によれば、角度βは厳密に90°未満である。
【0012】
本発明の有利な実施態様によれば、むろん、必要に応じて、以下の特徴を互いに組み合わせることができる:
- 折り返しは、水平に対して、10°に等しいか又はそれ未満の傾斜角αを有している。
- 折り返しは、スピナーの全直径の10%未満の全長を有している。
- 折り返しは、その全長にわたって、実質的に均一な厚さを有している。
- スピナーの直径は200~800mmである。スピナーの直径とは、従来からの様式と同様に、最も大きい円形の外形から得られる直径を意味する。
- 折り返しは、スピナーの直径の15%未満の全長を有している。
- 周囲胴部(2)は、垂直面と1~10°の角度γをなす。
- 折り返しは、スピナーの外縁と、スピナーを固定するフランジの内縁との間の、放射状断面で測定した長さの50%未満の全長を有している。
- 角度βは、厳密に87°未満であり、特に85°未満である。
- 角度αは、厳密に5°未満であり、特に2°未満、又はさらにはゼロである。
【0013】
また、本発明は、グラスウール又はミネラルウールを繊維化する方法における、上述したとおりのスピナーの使用に関する。
【0014】
最後に、本発明は、このようなスピナーを使用してグラスウール又はミネラルウールを繊維化する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
(原文に記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の主題のより良い理解のために、以降に2つのスピナーを記載する。すなわち、それぞれ図2及び3としてここに添付した図を使って、現在の技術水準に従って構成した第一のスピナーと、本発明による第二のスピナーとを説明する。
【0017】
図2は、現在の技術水準に従う繊維化スピナー1の部分を、スピナーの回転軸について、横方向の断面で概略的に示したものである。
【0018】
動作中、スピナー1は、その回転を駆動する軸(図中に描写されていない)に固定されている。この軸とスピナーとは、回転運動で駆動する。軸は中空であり、かつ溶融状態にあるガラスは、図示されていない供給手段から軸に沿ってバスケット(同様に図2に図示されていない)まで流れて、このバスケット内に溶融ガラスが広がる。このバスケットも回転駆動し、それによって、内壁5に溶融ガラスの持続的な蓄積を形成しながら、溶融ガラスが胴部2の内壁5に対して投入される。この溶融ガラスの蓄積は、この壁5を貫通していて、かつスピナーの周囲胴部2の外側へ開口している円形のオリフィス9に送り込まれる。この胴部2は、通常、垂直面に対しておよそ5~10°の角度γで傾斜しており、それによって、円錐台形を採用するようになっている。円形オリフィスの、大きさ、集中度合い及び分布は、特に、国際公開第02/064520号に記載されているように、従来技術によって最適化されており、こうした非常に多くの円形オリフィスは、溶融ガラスを流動する円錐体のままにしながら、プレファイバーへと引き伸ばし、このプレファイバーは、バーナーが発するガスの環状流に投入される。この流れの作用の下で、これらのプレファイバーは細くなり、それらの末端部が不連続のファイバー(図示していない)を生成し、その後スピナーの下で、例えばベルト上にファイバーが集められ、積み重なったファイバーがもつれた塊を形成する。特に、ファイバーをばらばらにして販売することが意図される絶縁最終製品の場合には、当然に、その他の収集手段も本発明に従って想定することができる。
【0019】
上述したように、このような装置の実施は、孔が貫通した壁5に、非常に強い機械的熱応力を引き起こす。
【0020】
図2は、従来技術による繊維化スピナー1の左側部分を単に要約して記載したものである。適切に適合させた支持体にスピナーを取り付け、かつ上述した繊維化プロセスの間に回転駆動することを可能にするために、スピナー1は、機械加工によるオリフィス8を含む上部固定フランジ6からなる上部を有している。この上部固定フランジ6は、輪心3と当業界で呼ばれている湾曲部分によって、壁5に複数の孔9が貫通している周囲胴部2に接続されている。この図の場合、周囲胴部2は、その下端で折り返し4に接続しており、この折り返し4は、スピナーの底部にこの胴部を延在させ、かつ胴部とβの角度をなしている。
【0021】
折り返し4は、スピナー1の中心に向かって放射状に延在している。これは、溶融ガラスを集め、かつ孔が貫通した胴部の壁5の近くに集中させてから、上述した原理を使用して溶融ガラスを繊維化することを可能にする。
【0022】
現在の技術水準では、通常の折り返しは、図2に示されているように、水平に対して10°に等しいか又はそれを超える角度αを有している。本発明の意味するところの範囲内において、水平とは、スピナーを繊維化装置に配置したときに定義される水平な基準面である。この構造は、孔が貫通した胴部の底部と折り返しとの接合部での熱機械的応力を制限する可能性が最も高いようにみえるので、このような構造が先行技術で選択されている。したがって、特に、胴部2と折り返し4との接合部に形成される角度βを、この断面に従って、90°に等しいか又はこれを超える値に調節できるようにすることによって、この角度αを伴う開口部が応力を制限することを可能にし、かつこのようにしてスピナーの耐用期間を延ばす、ということがこれまで信じられてきた。
【0023】
折り返し4の長さは、一般的に、壁に対してガラスがたまって、スピナーからあふれ出す、といういかなるリスクも回避するほど十分に長い。
【0024】
従来法で採用されている別の技術によれば、この折り返しは、その最も端の部分、すなわち、スピナーの中心に最も近い部分に、補強材料又は補強部7を有している。この追加の材料は、その端部でそれ自体の補強を強化することになっており、それによって、最も高い応力がかかるこの部分に亀裂が生じることをも回避するようになっている。
【0025】
添付の図3は、一つ目の例示(図2)で使用したのと同じ断面で、本発明による繊維化スピナーを図示したものである。
【0026】
図2のスピナーとは異なって、胴部2と折り返し4との接合部で形成された角度βは、この図の場合、図3に示されているように、厳密に90°未満の値である。特に、この角度βは、有利には89°未満であり、特に88°未満、又はさらに87°未満、又はさらには86°未満、又はさらに85°未満、又はさらに最も好ましくは84°未満である。
【0027】
本発明によるスピナーは、水平に対して、角度αで折り返しを有しており、この角度αは、10°未満であり、特に、9°未満、又はさらに8°未満、又はさらには7°未満、又はさらに6°未満、又はさらには5°未満である。ある一つの可能でありかつ有利な実施態様によれば、角度αは、ゼロに近いか又はゼロに等しく、つまり、水平に近い。このような実施態様では、例えば、角度αは、4°に等しいか又はこれ未満、3°に等しいか又はこれ未満、2°に等しいか又はこれ未満、あるいは、1°未満である。
【0028】
さらに、従来技術によるスピナーとは異なって、図3に示した好ましいスピナーの描写では、補強部7は本発明による構造から省かれている。これは、このような補強部が、胴部2の底部における応力負荷を顕著に増加させることによって悪影響を及ぼしているようである、ということを、出願人の会社が見出したからである。したがって、図3に記載した構造では、折り返しの長さ全体に沿って、実質的に均一な厚さを有する折り返しを提案している。
【0029】
本発明のある一つの有利な実施態様によれば、以下に記載するような態様も例示的に示すことができる。この実施態様は、スピナーの耐用期間の観点から最も良い結果が得られたものであって、スピナーが、図3に関連して上述したとおりの角度β又は角度αを有しており、かつここでの折り返しの長さLは減少していて、特に、スピナーの直径の10%を超えないものであり、この折り返しなしでは、いかなる様式においても、溶融ガラスがあふれ出すリスクがある、ということになる。特に、本発明による好ましいスピナーは、以下の特徴を有する:
- 折り返しの長さは、スピナーの直径の5.0~9.5%であり、好ましくは、スピナーの直径の7.0~9.0%であり、
- それぞれ、角度αは、0~10°未満であり、かつ/又は
- 角度βは、80°~90°未満、特に80°~88°、特には82°~86°である。
【0030】
このようなスピナーは、ガラス繊維の繊維化試験において、最良の耐用期間を示した。
【実施例
【0031】
以下の実施例は、本発明に従って構成されたスピナーの、有利でありかつ優れた性能を説明することを可能にするものであるが、純粋な例示としてのものであって、記載されているいかなる態様においても、本発明を限定するものとして解釈するべきではない。
【0032】
ホウケイ酸-ソーダ石灰ガラスタイプのガラス組成物を繊維化するために、欧州特許第511 099号明細書の実施例2に記載されている金属合金で、図2(現在の技術水準)及び図3(本発明によるもの)に従う構造に、直径D=400mmのスピナーを鋳造した。
【0033】
使用したこの2つのタイプのスピナーの主要な形状データを以下に記載する。
【表1】
【0034】
この2つのタイプのスピナーのそれぞれについて、30の組成物群について実施した実際の繊維化条件下で得られた実験結果は、本発明による構造に従うスピナーの、スピナー耐用期間が、従来技術の構造に比較して、平均して15%のレベルで増加したことを示した。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]以下を含む、溶融材料から遠心によって、ミネラルファイバー、特にガラス繊維を繊維化するためのスピナー(1):
- 前記溶融材料を通過させかつ前記遠心の間に延伸によってファイバーを得るためのオリフィス(9)が貫通した周囲胴部(2)、好ましくは円錐台形の周囲胴部(2)、
- 繊維化装置に前記スピナーを固定するための上フランジ(6)に、前記周囲胴部(2)を接続する輪心(3)、
- 前記スピナーの底部に前記周囲胴部(2)を延在させ、かつ前記周囲胴部(2)と角度βをなす、折り返し(4)、
ここで、前記スピナーは、前記角度βが厳密に90°未満であることを特徴とする。
[2]前記折り返し(4)が、水平に対して、10°に等しいか又はそれ未満の傾斜角αを有している、上記[1]に記載のスピナー。
[3]前記折り返し(4)が、前記スピナーの全直径の10%未満の全長を有している、上記[1]又は[2]に記載のスピナー。
[4]前記折り返し(4)が、その全長にわたって、実質的に均一な厚さを有している、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のスピナー。
[5]直径が200~800mmである、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のスピナー。
[6]前記折り返し(4)が、前記スピナーの直径の15%未満の全長を有している、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のスピナー。
[7]前記周囲胴部(2)が垂直面と1~10°の角度γをなす、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載のスピナー。
[8]前記折り返し(4)が、前記スピナーの外縁と前記スピナーを固定する前記フランジの内縁との間の、放射状断面で測定した長さの50%未満の全長を有している、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載のスピナー。
[9]前記角度βが、厳密に87°未満である、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のスピナー。
[10]前記角度βが、厳密に85°未満である、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載のスピナー。
[11]前記角度αが、厳密に5°未満である、上記[1]~[10]のいずれか一つに記載のスピナー。
[12]前記角度αが、厳密に2°未満である、上記[1]~[11]のいずれか一つ記載のスピナー。
[13]前記角度αが、ゼロである、上記[1]~[12]のいずれか一つに記載のスピナー。
[14]グラスウール又はミネラルウールを繊維化する方法における、上記[1]~[13]のいずれか一つに記載のスピナーの使用。
図1
図2
図3