(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】エアー洗浄装置およびエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
F24F9/00 B
F24F9/00 D
F24F9/00 G
(21)【出願番号】P 2020048838
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2020-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】大野 広行
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅史
(72)【発明者】
【氏名】磯部 好秀
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 太亮
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】平城 俊雅
【審判官】松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/050228(WO,A1)
【文献】特開2003-106591(JP,A)
【文献】特開2011-226687(JP,A)
【文献】特開2020-24048(JP,A)
【文献】特開2002-333182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空間と、この第1空間より空気清浄度が高い第2空間とを仕切る仕切壁に設けられた出入口に設置されて、当該出入口を前記第1空間から前記第2空間に向けて通過する物品にエアーを吹き付けることで、当該物品に付着している塵を吹き飛ばして脱塵するエアー洗浄装置であって、
前記出入口の対向する一対の縦縁部にそれぞれ設けられて、互いに対向する一対の吹出し装置を備え、
前記吹出し装置は、前記縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズルを有し、当該吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定され、
前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出速度が18m/s~30m/sであり、
前記吹出しノズルの上下方向の寸法は、前記物品の上下方向の寸法より長く、かつ前記吹出しノズルの上端が前記
物品の上面より高く、前記吹出しノズルの下端が
前記物品の下面より低く、
前記物品の上面側および下面側においては、一対の前記吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、前記物品の上面および下面でコアンダ効果によって前記エアーが物品の上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れ、このエアーによって前記物品の上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされることを特徴とするエアー洗浄装置。
但し、前記エアーの吹出し角度θは、平面視において、前記吹出しノズルから前記物品側でかつ前記第1空間側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記物品の側面に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【請求項4】
第1空間と、この第1空間より空気清浄度が高い第2空間と、前記第1空間と前記第2空間との間に設けられたバッファーゾーンとを有し、
前記バッファーゾーンと前記第1空間とを仕切る第1仕切壁に設けられた第1出入口に設置されたエアーカーテン装置と、
前記バッファーゾーンと前記第2空間とを仕切る第2仕切壁に設けられた第2出入口に設置されて、当該第2出入口を前記バッファーゾーンから前記第2空間に向けて通過する物品にエアーを吹き付けることで、当該物品に付着している塵を吹き飛ばして脱塵するエアー洗浄装置とを備えたエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置であって、
前記エアー洗浄装置は、前記第2出入口の対向する一対の縦縁部にそれぞれ設けられて、互いに対向する一対の吹出し装置を備え、
前記吹出し装置は、前記縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズルを有し、当該吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定され、
前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出速度が18m/s~30m/sであり、
前記吹出しノズルの上下方向の寸法は、前記物品の上下方向の寸法より長く、かつ前記吹出しノズルの上端が前記
物品の上面より高く、前記吹出しノズルの下端が
前記物品の下面より低く、
前記物品の上面側および下面側においては、一対の前記吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、前記物品の上面および下面でコアンダ効果によって前記エアーが物品の上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れ、このエアーによって前記物品の上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされることを特徴とするエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置。
但し、エアーの吹出し角度θは、平面視において、前記吹出しノズルから前記物品側でかつ前記バッファーゾーン側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記物品の側面に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム等の部屋に物品を搬入する際に、当該物品に付着している塵をエアーによって吹き飛ばして脱塵するエアー洗浄装置およびエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や電子部品等を生産する製造装置は、清浄な雰囲気に維持されるクリーンルームに設置される。クリーンルーム内の空気の清浄度を維持するために、クリーンルームの入口にエアーシャワー装置が設けられる場合がある。エアーシャワー装置は、クリーンルームに入る作業者の衣服等に付着した塵やワークや機器等の物品の表面に付着した塵を空気の吹き出し(エアーシャワー)により除去するために設けられる。
このようなエアーシャワー装置の一例として特許文献1に記載のものが知られている。このエアーシャワー装置は、クリーンルームの入口側に設けられ、当該クリーンルームに入室する被処理体(物品)を通過させることによって該被処理体の除塵および除菌を行う除塵・除菌装置である。この除塵・除菌装置は、エアーを噴出するエアー噴出手段と、除菌液を噴霧する噴霧手段とを備え、噴出されたエアーによって前記被処理体の除塵を行った後に、噴霧された除菌液によって前記被処理体の除菌を行うようにしている。除塵を行う場合、エアーシャワー室の側壁にエアーノズルを設け、このエアーノズルから被処理体にエアーを吹き付けるようにしている。
また、物品をコンベアによって搬送してクリーンルームに搬入する場合に、クリーンルームの入口またはその近傍において天井および両側面にエアーノズルを設置し、このエアーノズルから物品にエアーを吹き付けることで、当該物品の表面に付着している塵を吹き飛ばして除去することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、除塵のためにエアーノズルから物品にエアーを吹き付けても、物品に付着している塵の一部が吹き飛ばされずに物品の表面に一部残存することがあるばかりか、物品に付着している塵を吹き飛ばして除塵する際に、吹き飛ばされた塵が吹き付けエアーに巻き込まれてクリーンルームに侵入する虞がある。
このように塵の一部が物品の表面に残存していたり、吹き飛ばされた塵が吹き付けエアーに巻き込まれてクリーンルームに侵入すると、クリーンルームの清浄度を所定の清浄度に保つのが困難となる。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、クリーンルーム等の清浄度が高い空間に物品を搬入する際に、当該物品にエアーを吹き付けることで、当該物品に付着している塵を吹き飛ばして確実に脱塵できるとともに吹き飛ばされた塵の清浄度が高い空間への侵入を抑制できるエアー洗浄装置およびエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のエアー洗浄装置は、第1空間と、この第1空間より空気清浄度が高い第2空間とを仕切る仕切壁に設けられた出入口に設置されて、当該出入口を前記第1空間から前記第2空間に向けて通過する物品にエアーを吹き付けることで、当該物品に付着している塵を吹き飛ばして脱塵するエアー洗浄装置であって、
前記出入口の対向する一対の縦縁部にそれぞれ設けられて、互いに対向する一対の吹出し装置を備え、
前記吹出し装置は、前記縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズルを有し、当該吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されていることを特徴とする。
但し、前記エアーの吹出し角度θは、平面視において、前記吹出しノズルから前記物品側でかつ前記第1空間側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記物品の側面に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【0007】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズルから吹き出されるエアーの殆どが第2空間側に向かうため、物品の表面から吹き飛ばされた塵がクリーンルーム等の第2空間に侵入する虞があるからであり、θが35°を超えると物品の表面に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがそれぞれ物品の対向する両側面に当たり、コアンダ効果によってエアーが物品の両側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品の両側面に付着している塵が吹き飛ばされる。
また、物品の上面側および下面側においては、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、物品の上面および下面ではコアンダ効果によってエアーが物品の上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品の上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θが小さいほど、吹出しノズルから吹き出された空気の一部が第2空間に流れ易くなって、吹き飛ばされた塵が第2空間に流入し易くなる一方、物品の表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0008】
また、前記吹出しノズルの上下方向の寸法は、物品の上下方向の寸法より長く、かつ吹出しノズルの上端が前記物品の上面より高く、吹出しノズルの下端が前記物品の下面より低いことが好ましい。
また、第1空間は例えば通常の一般室、廊下またはエレベータホールであり、第2空間は例えばクリーンルームであるが、これに限ることはない。要は第2空間が第1空間より空気の清浄度が高ければよい。
【0009】
本発明によれば、吹出し装置は、第1空間と第2空間とを仕切る仕切壁に設けられた出入口の縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズルを有し、当該吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、物品に付着している塵を吹き飛ばして確実に脱塵できるともに、吹き飛ばされた塵の第2空間への浸入を抑制できる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記吹出し装置は、前記第2空間から吸い込まれたエアーを吹出しノズルから吹き出してもよい。
【0011】
このような構成によれば、第2空間にある清浄度の高いエアーを吹出しノズルから吹き出すので、物品に吹き出しエアーによって塵が付着するのを防止しながら、物品に付着している塵を吹き飛ばして除塵できる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、エアーが吹き出される前記吹出しノズルのノズル幅が30mm~50mmであってもよい。
【0013】
ここで、吹出しノズルのノズル幅を30mm~50mmに設定したのは、30mm未満では、吹出されるエアーの風量が少なくなって脱塵効果を得難いからであり、50mmを超えると、エアーの風速(吹出し速度)が小さくなって、脱塵効果を得難いからである。
【0014】
このような構成によれば、エアーが吹き出される吹出しノズルのノズル幅が30mm~50mmであるので、エアーによる脱塵効果を適切に得ることができる。
【0015】
また、本発明の前記構成において、前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出速度が18m/s~30m/sであってもよい。
【0016】
ここで、吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出速度を18m/s~30m/sに設定したのは、18m/s未満では、エアーの吹出速度が小さくなって脱塵効果を得難いからであり、30m/sを超えると、エアーの吹出速度が大きくなって吹き飛ばされた塵が遠くまで飛散する虞があるからである。
【0017】
このような構成によれば、吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出速度が18m/s~30m/sであるから、エアーによる脱塵効果を適切に得ることができるとともに吹き飛ばされた塵の飛散を防止できる。
【0018】
また、本発明のエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置は、第1空間と、この第1空間より空気清浄度が高い第2空間と、前記第1空間と前記第2空間との間に設けられたバッファーゾーンとを有し、
前記バッファーゾーンと前記第1空間とを仕切る第1仕切壁に設けられた第1出入口に設置されたエアーカーテン装置と、
前記バッファーゾーンと前記第2空間とを仕切る第2仕切壁に設けられた第2出入口に設置されて、当該第2出入口を前記バッファーゾーンから前記第2空間に向けて通過する物品にエアーを吹き付けることで、当該物品に付着している塵を吹き飛ばして脱塵するエアー洗浄装置とを備えたエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置であって、
前記エアー洗浄装置は、前記第2出入口の対向する一対の縦縁部にそれぞれ設けられて、互いに対向する一対の吹出し装置を備え、
前記吹出し装置は、前記縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズルを有し、当該吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されていることを特徴とするエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置。
但し、エアーの吹出し角度θは、平面視において、前記吹出しノズルから前記物品側でかつ前記バッファーゾーン側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記物品の側面に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【0019】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズルから吹き出されるエアーが第2空間側に向かうため、物品の表面から吹き飛ばされた塵がクリーンルーム等の第2空間に侵入する虞があるからであり、θが35°を超えると物品の表面に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
θが0°~35°であると、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがそれぞれ物品の対向する両側面に当たり、コアンダ効果によってエアーが物品の両側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品の両側面に付着している塵が吹き飛ばされる。
また、物品の上面側および下面側においては、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、物品の上面および下面ではコアンダ効果によってエアーが物品の上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品の上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θが小さいほど、吹出しノズルから吹き出された空気の一部が第2空間に流れ易くなって吹き飛ばされた塵が第2空間に流入し易くなる一方、物品の表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
また、前記吹出しノズルの上下方向の寸法は、物品の上下方向の寸法より長く、かつ吹出しノズルの上端が前記物品の上面より高く、吹出しノズルの下端が前記物品の下面より低いことが好ましい。
【0020】
本発明によれば、吹出し装置は、バッファーゾーンと第2空間とを仕切る仕切壁に設けられた出入口の縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズルを有し、当該吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、物品に付着している塵を吹き飛ばして確実に脱塵することがきるともに、吹き飛ばされた塵が第2空間に浸入するのを防止できる。
また、バッファーゾーンと第1空間とを仕切る第1仕切壁に設けられた第1出入口にエアーカーテン装置が設置されているので、当該エアーカーテン装置によるエアーカーテンによって、第1空間に存在する虫等の異物がバッファーゾーンに侵入しようとするのを防止できるとともに、第1空間とバッファーゾーンとの間における空気の流入や流出を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、クリーンルーム等の清浄度が高い空間に物品を搬入する際に、当該物品にエアーを吹き付けることで、当該物品に付着している塵を吹き飛ばして確実に脱塵できるとともに吹き飛ばされた塵の清浄度が高い空間への侵入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態のエアー洗浄装置を示すもので、(a)はエアー洗浄装置の正面図、(b)は(a)におけるA-A線断面図、(c)は(a)におけるB-B線断面図である。
【
図2】本実施形態のエアー洗浄装置の概略構成を示すもので、(a)は平断面図、(b)はバッファーゾーンを有する場合の平断面図である。
【
図3】本発明の実施形態のエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置の概略構成を示す平断面図である。
【
図4】本発明の実施形態のエアーカーテン装置の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係るエアー洗浄装置の実施形態を示すもので、(a)はエアー洗浄装置の正面図、(b)は(a)におけるA-A線断面図、(c)は(a)におけるB-B線断面図である。
図2は本実施形態のエアー洗浄装置の概略構成を示す平断面図である。
【0024】
図1および
図2に示すように、エアー洗浄装置10は、第1空間11と、この第1空間11より空気洗浄度が高い第2空間12を仕切る仕切壁13に設けられた出入口14に設置されて、当該出入口14を第1空間11から第2空間12に向けて通過する物品Mにエアーを吹き付けることで、当該物品Mに付着している塵を吹き飛ばして脱塵する装置である。なお、本実施形態では、物品Mは矩形箱状の台車であるが、これに限ることはない。また、本実施形態では、矩形箱状の物品Mの内部に精密部品等の塵の付着を嫌う部品や製品が収納される。
第1空間11は例えば通常の一般室、廊下またはエレベータホールであり、第2空間12は例えばクリーンルームであるが、これに限ることはない。要は第2空間12が第1空間11より空気清浄度が高ければよい。
【0025】
エアー洗浄装置10は、出入口14の対向する一対の縦縁部に当該縦縁部に沿って上下方向に延在する縦ケース9aを介してそれぞれ設けられて、互いに対向する一対の吹出し装置15を備えている。縦ケース9aは上下に延在するシャッタレールを備え、当該シャッタレールにシャッタ9bが上下にスライド可能に設けられている。縦ケース9aは仕切壁13の一方の側面(第2空間12側を向く側面)に固定されている。また、仕切壁13の他方の側面(第1空間11側を向く側面)には、壁体35,35が平行離間して仕切壁13と直角に配置され、この壁体35,35にも縦ケース9a固定され、当該縦ケース9aのシャッタレールにシャッタ9bが上下にスライド可能に設けられている。
また、平行離間して配置されているシャッタ9b,9b間はバッファーゾーン36とされているが、このバッファーゾーン36は第2空間12より空気洗浄度が低いため、第1空間と捉えることができる。
なお、本実施の形態では、バッファーゾーン36を設けているが、このバッファーゾーン36はなくてもよい。つまり、第1空間11と第2空間12とが仕切壁13によって直接仕切られていてもよい。
【0026】
吹出し装置15は、出入口14の上下方向に延在し、かつ断面矩形状に中空のケーシング15aを備えており、このケーシング15aが仕切壁13の一方の側面に固定された縦ケース9aに断面L形の取付パネル9cを介して取り付けられている。
なお、本実施形態では、ケーシング15aを取付パネル9cおよびケース9aを介して間接的に仕切壁13に設けたが、例えば、
図2に示すように、ケーシング15aを直接仕切壁13に設けてもよい。
また、左右一対のケーシング15a,15aの上端部間には天井板15cが設けられ、当該天井版15cの端部はケーシング15aの上端面に固定され、これによってエアー洗浄装置10は正面視において門形に形成されている。また、天井板15cの上面には、上プレフィルタ15dが立設され、このプレフィルタ15dの上端部は、第2空間12寄りに設けられたシャッタ9bを収納するシャッターケース9dの下面に固定されている。
【0027】
ケーシング15aの上下方向略中央部には隔壁15bが設けられ、この隔壁15bによってケーシング15aの内部空間は、上部空間16aと下部空間16bとに上下に区画されている。なお、ケーシング15aの上下開口は閉塞されている。
上部空間16aと下部空間16bとには、それぞれモータ17が設けられ、当該モータ17はケーシング15aの対向する内壁面に固定された取付部材18に取り付けられている。そして、モータ17の回転軸にファン19が取り付けられている。モータ17およびファン19は上部空間16aと下部空間16bにそれぞれ上下2個ずつ上下に所定間隔で設けられている。
【0028】
ケーシング15aの前面には当該ケーシング15a内にエアーを取り込むための複数の開口がファン19に対向して設けられ、当該開口にプレフィルタ20が設けられている。開口はケーシング15aの前面に設けられた開閉扉21によって開閉可能となるとともに、開閉扉21は閉じた状態においてプレフィルタ20の全面を覆っている。したがって、開閉扉21を開けることでプレフィルタ20の交換を行える。開閉扉21はラス網によって形成され、これによって開閉扉21はそれを閉じた状態においてエアーが流通可能となっている。
そして、ファン19をモータ17によって回転させることによって、第2空間12内の清浄な空気をケーシング15aの前面に設けられたプレフィルタ20を通してケーシング15aの内部に吸い込むようになっている。
【0029】
また、ケーシング15aの内部には吹出しノズル25が設けられている。吹出しノズル25は上下に延在して形成され、ケーシング15aの上部空間16aと下部空間16bとにそれぞれ設けられている。したがって、左右一対の吹出し装置15,15にそれぞれ上下に一対ずつ吹出しノズル25が設けられ、エアー洗浄装置10として上下左右に一対ずつ、合計4個の吹出しノズル25が設けられている。また、吹出しノズル25は左右一対のケーシング15a,15aの対向する側壁でかつ第1空間11側寄りの部位に吹出し口25aを開口させた状態でケーシング15aの内部に設けられている。
【0030】
吹出し口25aは、縦長の矩形状に形成され、当該吹出し口25aからエアーを吹き出すようになっている。すなわち、上述したように、ファン19をモータ17によって回転させることによって、第2空間12内の清浄な空気がケーシング15aの前面に設けられたプレフィルタ20を通してケーシング15aの内部に吸い込まれ、当該エアーが吹出しノズル25に流入し、その吹出し口25aから吹き出される。
【0031】
また、
図2(a)に示すように、吹出しノズル25の吹出し口25aから吹き出されるエアーの吹出し角度θは0°~35°に設定されている。
但し、
図2(a)に示すように、エアーの吹出し角度θは、平面視において、吹出しノズル25から物品M側でかつ第1空間11側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線KL1と、物品Mの側面に対して垂直な垂直仮想線KL2とのなす角度である。なお、吹出し角度θが0°未満とは、吹出しエアーの気流仮想線KL1が垂直仮想線KL2より第2空間12側にある場合のことを言う。
【0032】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、エアーの吹出し角度θが0°未満であると、吹出しノズル25から吹き出されるエアーが第2空間12側に向かうため、物品Mの表面から吹き飛ばされた塵がクリーンルーム等の第2空間12に侵入する虞があるからであり、吹出し角度θが35°を超えると物品Mの表面に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。また、物品Mの表面から吹き飛ばされた塵がクリーンルーム等の第2空間12に侵入するのを抑制する観点からすれば、エアーの吹出し角度θを5°以上に設定、つまりθを5°~35°に設定するのが好ましい。
吹出し角度θが0°~35°であると、左右一対の吹出しノズル25,25から吹き出されたエアーがそれぞれ物品Mの対向する両側面に当たり、コアンダ効果によってエアーが物品Mの両側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品Mの両側面に付着している塵が吹き飛ばされる。
また、物品Mの上面側および下面側においては、左右一対の吹出しノズル25,25から吹き出されたエアーがぶつかり合って、物品Mの上面および下面ではコアンダ効果によってエアーが物品Mの上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品Mの上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θが小さいほど、吹出しノズル25から吹き出された空気の一部が第2空間12に流れ易くなって吹き飛ばされた塵が第2空間12に流入し易くなる一方、物品Mの表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0033】
また、
図2(b)に示すように、第1空間11と第2空間12との間にバッファーゾーン28を設けてもよい。バッファーゾーン28は物品Mが第1空間11から第2空間12に搬送される際に通過する緩衝地帯であり、このバッファーゾーン28を設けることによって、吹出しノズル25から吹き出されるエアーによって物品Mから吹き飛ばされた塵はバッファーゾーン28に流入するので、当該塵が第2空間12に侵入するのを抑制できる。また、バッファーゾーン28に流入した塵は空気とともに吹出し装置15の前面の開口から吸い込まれるが、開口に設けられたプレフィルタ20によって捕捉される。このため、吹出し角度θを小さくして、脱塵効果を上げた場合でも第2空間12の空気清浄度を維持することができる。
【0034】
また、吹出しノズル25の吹出し口25aの開口幅つまりノズル幅w(
図1(c)参照)は、30mm~50mmに設定されている。ここで、吹出しノズル25のノズル幅を30mm~50mmに設定したのは、30mm未満では、吹出されるエアーの風量が少なくなって脱塵効果を得難いからであり、50mmを超えると、エアーの風速(吹出し速度)が小さくなって、脱塵効果を得難いからである。
【0035】
また、吹出しノズル25から吹き出されるエアーの吹出速度は18m/s~30m/sに設定されている。
ここで、吹出しノズル25から吹き出されるエアーの吹出速度を18m/s~30m/sに設定したのは、18m/s未満では、エアーの吹出速度が小さくなって脱塵効果を得難いからであり、30m/sを超えると、エアーの吹出速度が大きくなって吹き飛ばされた塵が遠くまで飛散する虞があるからである。
【0036】
なお、本実施形態では、吹出しノズル25を固定状態でケーシング15aに設けたが、これに限ることなく、吹出しノズル25を平面視において左右に首振り可能に設けてもよい。この場合、エアーの吹出し角度θを0°~35°の任意の角度に容易に設定できる。
【0037】
(実験例)
次に実験例について説明する。
(1)実験目的
110μm以上の金属粒子の除去を目的とした、本発明に係るエアー洗浄装置による脱塵効果を調査する。
(2)実験条件
i)
図1および
図2に示すような、エアー洗浄装置をクリーンルームとエレベータホールとの間に設置した。エアー洗浄装置の幅は1500mm、高さは2500mmとした。エアー洗浄装置の幅とは左右一対のケーシング間の内法寸法、高さは左右一対のケーシングの高さ寸法である。
ii)吹出しノズルからのエアーの吹出し速度を、12m/s、18m/s、25m/sとした。
iii)吹出しノズルからのエアーの吹出し角度θを、5°、20°、35°とした。
iv)試験粒子として、粒径130~155μmのステンレス粒子、8mgを台車(物品)の上面中央に載せた。なお、台車は矩形箱状のものである。
v)気流可視化装置:新日本空調株式会社製のレーザー光線装置を使用し、吹出しノズルから吹き出されるエアーにレーザー光を照射して、当該エアーの流れを可視化した。
(3)実験結果
i)エアーカーテン効果
脈動により脱塵粒子を含んだエアーがクリーンルーム側へ流れないかの確認を行った。
吹出し速度12m/s、18m/s、25m/sの全ての速度において、吹出し角度θが5°と20°の場合、脈動が発生した。
表1の如く、吹出し角度θが5°では脈動が大きく、かなりクリーンルーム側へエアー流れた。吹出し角度θが20°では中程度の脈動によりCR側へエアーが流れた。吹出し角度θが35°では若干脈動があるが気流としては安定していた。
【0038】
【0039】
ii)脱塵効果
上述したように、台車上部中央に8mgのステンレス粒子を置き、吹出しノズルからのエアーにより、どの程度ステンレス粒子吹き飛ばされるか、電子天秤を使用しエアー吹付け前後の重量比より効率を算出した。
脱塵効果は、エアーの吹出し角度θが5°>20°>35°と脈動が大きいほど大きかった。また、エアーの吹出し速度が速いほど脱塵効果が高かった。
表2は、脈動が若干ある吹出し角度θが35°の時の脱塵効果を示す。
【0040】
【0041】
本実験により、エアーの吹出し角度θが35°、吹出し速度25m/sが最適であることが分かったが、実際に本発明に係るエアー洗浄装置を設置する場合、室圧差(クリーンルームとエレベーターホール間)を考慮し、上記値を基に実験を行い角度および風速を調整する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のエアー洗浄装置10によれば、吹出し装置15は、第1空間11と第2空間12とを仕切る仕切壁13に設けられた出入口14の縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズル25を有し、当該吹出しノズル25から吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、物品Mに付着している塵を吹き飛ばして確実に脱塵できるともに、吹き飛ばされた塵の空気清浄度の高い第2空間12への侵入を抑制できる。
また、吹出しノズル25が上下方向に延在しており、コアンダ効果によってエアーが物品Mの表面に沿って脈動を打ちながら流れるので、従来のエアー洗浄装置が備えるパンカーノズルによるスポット除塵に比して、広範囲に除塵可能となる。
さらに、エアー洗浄装置10は、互いに対向する一対の吹出し装置15,15を備え、当該吹出し装置15は上下に延在する吹出しノズル25を有しているので、従来のエアー洗浄装置に比して装置の小型を図れるとともに、消費電力の省力を図れる。
【0043】
また、吹出し装置15は、第2空間12にある清浄度の高いエアーを吹出しノズル25から吹き出すので、物品Mに吹き出しエアーによって塵が付着するのを防止しながら、物品Mに付着している塵を吹き飛ばして除塵できる。
さらに、エアーが吹き出される吹出しノズル25のノズル幅が30mm~50mm、吹出しノズル25から吹き出されるエアーの吹出速度が18m/s~30m/sであるので、エアーによる脱塵効果を適切に得ることができる。
例えば、吹出しノズル25のノズル幅を30mm、吹出し速度を25m/sとすることによって、吹出し風量が大風量となって、脱塵効果が高くなる。
【0044】
次に本発明に係るエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置100の実施形態について
図3および
図4を参照して説明する。
本実施形態のエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置100は、
図3に示すように、上述したエアー洗浄装置10と、防虫用のエアーカーテン装置50とを備えている。
なお、エアー洗浄装置10については既に説明したので、本実施形態において、前記エアー洗浄装置10と同一構成に同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
このようなエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置100が設置される場所は、第1空間11と、この第1空間11より空気清浄度が高い第2空間12と、第1空間11と第2空間12との間に設けられたバッファーゾーン30とを有している。バッファーゾーン30は物品Mが第1空間11から第2空間12に搬送される際に通過する緩衝地帯である。
バッファーゾーン30と第1空間11を仕切る第1仕切壁31に設けられた第1出入口32にはエアーカーテン装置50が設置されている。
また、バッファーゾーン30と第2空間12とを仕切る第2仕切壁13に設けられた第2出入口14には、当該第2出入口14をバッファーゾーン30から第2空間12に向けて通過する物品Mにエアーを吹き付けることで、当該物品Mに付着している塵を吹き飛ばして脱塵する上述したエアー洗浄装置10が設置されている。
【0046】
また、エアー洗浄装置10とエアーカーテン装置50との間には壁体31,31が互いに平行離間して設けられ、当該壁体31,31間にバッファーゾーン30が設けられている。壁体31の一方の端部はエアー洗浄装置10のケーシング15aに接合固定され、他方の端部は後述するエアーカーテン装置50のケーシング51aに接合固定されている。
【0047】
エアー洗浄装置10は、左右一対の吹出し装置15,15を備え、吹出し装置15は上下に延在する吹出しノズル25を有し、当該吹出しノズル25から吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されている。エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、上述したように、吹出し角度θが0°未満であると、吹出しノズル25から吹き出されるエアーが第2空間12側に向かうため、物品Mの表面から吹き飛ばされた塵がクリーンルーム等の第2空間12に侵入する虞があるからであり、吹出し角度θが35°を超えると物品Mの表面に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
【0048】
エアーカーテン装置50は、
図4に示すように、出入口32の対向する一対の縦縁部に当該縦縁部に沿って上下方向に延在し、かつ互いに対向する一対の吹出し装置51,51を備えている。
吹出し装置51は、出入口32の上下方向に延在し、かつ断面矩形状に中空のケーシング51aを備えており、このケーシング51aが仕切壁31に取り付けられている。ケーシング51aの上下方向略中央部には図示しない隔壁が設けられ、この隔壁によってケーシング51aの内部空間は、上部空間と下部空間とに上下に区画されている。なお、ケーシング51aの上下開口は閉塞されている。
【0049】
ケーシング51aの内部の上部空間と下部空間とには、それぞれモータ52が設けられ、当該モータ52はケーシング51aの対向する内壁面に固定された取付部材53に取り付けられている。そして、モータ52の回転軸にファン54が取り付けられている。モータ52およびファン54は上部空間と下部空間にそれぞれ上下2個ずつ上下に所定間隔で設けられている。
【0050】
ケーシング51aの前面には当該ケーシング51a内にエアーを取り込むための複数の開口がファン54に対向して設けられ、当該開口にプレフィルタ55が設けられている。
そして、ファン54をモータ52によって回転させることによって、バッファーゾーン30内の空気をケーシング51aの前面に設けられたプレフィルタ55を通してケーシング51aの内部に吸い込むようになっている。
【0051】
また、ケーシング51aの内部には吹出しノズル56が設けられている。吹出しノズル56は上下に延在して形成され、ケーシング51aの上部空間と下部空間とにそれぞれ設けられている。したがって、左右一対の吹出し装置51,51にそれぞれ上下に一対ずつ吹出しノズル56が設けられ、エアーカーテン装置50として上下左右に一対ずつ、合計4個の吹出しノズル56が設けられている。また、吹出しノズル56は左右一対のケーシング51a,51aの対向する側壁のうちバッファーゾーン30側寄りの部位に吹出し口を開口させた状態でケーシング51aの内部に設けられている。
【0052】
そして、上述したように、ファン54をモータ52によって回転させることによって、バッファーゾーン30内の空気がケーシング51aの前面に設けられたプレフィルタ55を通してケーシング51aの内部に吸い込まれ、当該エアーが吹出しノズル56に流入し、その吹出し口から吹き出される。
また、左右一対の吹出しノズル56,56のうち、一方(
図3および
図4において左方)の吹出しノズル56から吹き出されるエアーの速度(風速)が他方(
図3および
図4において右方)の吹出しノズル56から吹き出されるエアーの速度(風速)より相対的に高く設定され、さらに、一方の吹出しノズル56から吹き出される吹出し角度θ1が他方の吹出しノズルノズル56から吹き出される吹出し角度θ2より小さく設定されている。
一方の吹出しノズル56から吹き出されるエアーの速度(風速)を他方の吹出しノズル56から吹き出されるエアーの速度(風速)より相対的に高く設定するには、例えば、ファン54を回転させるモータ52の出力を制御すればよい。また、一方の吹出しノズル56から吹き出される吹出し角度θ1を他方の吹出しノズルノズル56から吹き出される吹出し角度θ2より小さく設定するには、例えば吹出しノズル56の吹出し角度を調整すればよい。
【0053】
一方の吹出しノズル56からの吹出されるエアーの風速が、他方の吹出しノズル56から吹き出されるエアーの風速に比して高風速であるため、一方の吹出しノズル56から吹出されるエアーカーテン気流Aの風圧が優勢となり、他方のエアーカーテン気流Bの吹出し方向が該一方のエアーカーテン気流Aに沿って殆ど一方的に変更される形で合流し、そのまま第1空間11に排出される。
このため、合流(または衝突)地点での気流の乱れや、脈動による渦気流の発生と、それに伴うバッファーゾーン30側への気流の侵入が抑制され、それに乗じた害虫のバッファーゾーン30および第2空間12への侵入を防止するととともに、バッファーゾーン30での気圧変動、およびバッファーゾーン30への気流の影響を最小限に抑えることができる。また、エアーカーテン気流A、B自体が第1空間11側に向けて斜に吹出されるので、害虫に対して風圧がより強力に作用し、エアーカーテン気流A、B自体の防虫効果も向上している。
【0054】
以上のように本実施形態のエアーカーテン機能付きエアー洗浄装置100によれば、エアー洗浄装置10の吹出し装置15は、バッファーゾーン30と第2空間12とを仕切る仕切壁13に設けられた出入口14の縦縁部に沿って上下に延在する吹出しノズル25を有し、当該吹出しノズル25から吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、物品に付着している塵を吹き飛ばして確実に脱塵できるともに、吹き飛ばされた塵の第2空間への侵入を抑制できる。
また、バッファーゾー30と第1空間11とを仕切る第1仕切壁13に設けられた第1出入口32にエアーカーテン装置50が設置されているので、当該エアーカーテン装置50によるエアーカーテンによって、第1空間11に存在する虫等の異物がバッファーゾーン30に侵入しようとするのを防止できるとともに、第1空間11とバッファーゾーン30との間における空気の流入や流出を防止できる。
【0055】
また、第1空間11と第2空間12との間にバッファーゾーン30が設けられているので、吹出しノズル25から吹き出されるエアーによって物品Mから吹き飛ばされた塵はバッファーゾーン30に流入するので、当該塵が第2空間12に侵入するのを抑制できる。このため、吹出し角度θを小さくして、脱塵効果を上げた場合でも第2空間12の空気清浄度を維持することができる。
【0056】
なお、本実施形態において、エアーカーテン装置50に代えて他のエアーカーテン装置を使用してもよい。要は、出入口32に、速い気流の幕をつくり、第1空間11とバッファーゾーン30との空気の移動を遮断する機能を有するものであればよい。エアー(気流)の吹出し方向については、出入口32の上から降ろす上下流式であってもよいし、横から吹出す横流式であってもよい。また、空気の吹出しのみによって気流を形成してもよいし、吹出部(吹出しノズル)と対向する位置に吸込部を設け、吹出部から吹き出された気流(空気)を吸込部に吸い込むようにして気流を形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
M 物品
θ エアーの吹出し角度
KL1 気流仮想線
KL2 垂直仮想線
10 エアー洗浄装置
11 第1空間
12 第2空間
13 仕切壁(第2仕切壁)
14 出入口(第2出入口)
15 吹出し装置
25 吹出しノズル
30 バッファーゾーン
31 第1仕切壁
31 第1出入口
56 吹出しノズル
100 エアーカーテン機能付きエアー洗浄装置