(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】遠隔医療装置アラーム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A61N1/39
(21)【出願番号】P 2020166858
(22)【出願日】2020-10-01
(62)【分割の表示】P 2018232642の分割
【原出願日】2011-11-04
【審査請求日】2020-10-13
(32)【優先日】2010-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイブ,トーマス・イー
(72)【発明者】
【氏名】ボルペ,シェーン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ラッタンニ,リチャード・エイ
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0005827(US,A1)
【文献】特開2008-302228(JP,A)
【文献】米国特許第05228449(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36 - A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔アラームに基づく着用可能除細動器システムであって、
患者の胴体の周りに着用される着用可能除細動器を備え、前記着用可能除細動器は、前記患者によって操作されることによって、前記着用可能除細動器に、検出された心不整脈により必要となる治療の緊急の提供を保留させるように構成された1つ以上のボタンを備え、
前記着用可能除細動器と通信するように構成された遠隔アラーム装置をさらに備え、前記遠隔アラーム装置は、
音声出力装置と、
前記音声出力装置に動作可能に接続されて、前記着用可能除細動器から受信した通知を、前記音声出力装置によって再生されることが可能な音声信号に変換するように構成された音声回路と、
前記音声回路に動作可能に接続されたプロセッサとを含み、前記プロセッサは、
前記着用可能除細動器からの前記通知が、検出された心不整脈に基づく緊急ショックの警告メッセージを含む緊急の性質を持つものであるかどうかを判断し、
前記通知が前記緊急の性質を持つものであるとの判断に応じて、前記遠隔アラーム装置に、前記通知を前記患者へと通信させる、
ように構成され、
前記遠隔アラーム装置に配置され、前記患者がアクセス可能な1つ以上の遠隔応答ボタンをさらに備え、前記1つ以上の遠隔応答ボタンは、前記患者によって操作されることによって、前記検出された心不整脈に基づく緊急ショックの警告メッセージを含む緊急の性質を持つ前記通知に応答するように構成され、
前記1つ以上の遠隔応答ボタン、または、前記着用可能除細動器の前記1つ以上のボタンの操作により、前記着用可能除細動器に、前記検出された心不整脈により必要となる前記治療の提供を保留さ
せ、
前記遠隔アラーム装置は、
前記プロセッサに動作可能に接続されたメモリをさらに含み、
前記プロセッサは、
前記着用可能除細動器からの前記通知が前記検出された心不整脈に基づく緊急ショックの警告メッセージを含む緊急の性質を持つものではないという判断に応じて、前記通知に関する情報を、前記メモリ内に記憶させるように構成される、着用可能除細動器システム。
【請求項2】
前記音声信号は、可聴アラームサイレン、音、音声メッセージ、および音声命令のうちの1つとして再生される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記音声信号は前記着用可能除細動器が提供できる音量よりも大きい音量で再生される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記音声回路は、文字メッセージを可聴音声メッセージに変換可能な音声合成器を含み、前記音声信号は前記音声出力装置によって再生されると、文字メッセージの音声バージョンに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記緊急の性質を持つ前記通知は、前記着用可能除細動器に電力を与える充電可能電池の充電レベルに関する警告を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記緊急の性質を持つ前記通知は、前記着用可能除細動器に関する装置情報に関するものであり、前記装置情報は、前記着用可能除細動器に関連する、ある程度の数のセンサが、前記患者の体から、外れたまたは接触していないということを識別する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記遠隔アラーム装置は、スクリーンをさらに含み、
前記プロセッサは、前記スクリーンに、テキストメッセージを表示させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記スクリーンに前記通知の前記テキストメッセージを表示させるように構成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記スクリーンに、心臓の状態の指標を表示させる、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の遠隔応答ボタンは、インタラクティブなタッチスクリーンディスプレイボタンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記遠隔アラーム装置は、セルラーネットワークを通じて通信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記遠隔アラーム装置は、
前記プロセッサに結合された無線トランシーバをさらに含み、
前記プロセッサは、前記無線トランシーバを介して前記着用可能除細動器から受けた通信に基づいて、前記通知を、前記遠隔アラーム装置に提供させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記無線トランシーバは、無線周波数トランシーバ、Bluetooth(登録商標)トランシーバ、無線イーサネット(登録商標)トランシーバ、無線USBトランシーバ、およびZigBee(登録商標)トランシーバのうちの少なくとも1つを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記着用可能除細動器に配置されたセンサをさらに備え、前記センサは、脈拍センサ、体温センサおよび血液酸素レベルセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記遠隔アラーム装置は、前記患者の手首の周りに配置されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記着用可能除細動器の前記1つ以上のボタンは、前記患者から入力を受け付けるために筐体に配置された1つ以上のボタンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記音声出力装置に、前記着用可能除細動器に関する装置情報に関する可聴の通知を提供させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は米国特許法第119条(e)に基づき、2010年11月8日に出願された「遠隔医療装置アラーム」と題された米国特許仮出願連続番号第61/411,189号に対
する優先権を主張し、その全体が引用によりここに援用される。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は着用可能医療装置で使用するための遠隔アラームに向けられている。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
使用の際、着用可能な除細動器や着用可能インスリンポンプなどの着用可能な医療装置は、可聴アラーム、音声プロンプトもしくはメッセージ、または視覚的メッセージを発して、患者または近くにいる人に医学的状態を知らせるために、ある問題を直すために何らかの行動を取るよう指示するために、助けを呼ぶために、患者または近くにいる人から情報を求めるために、または装置が正しく機能し続けるよう装置にフィードバックするために、機能する。たとえば、着用可能医療装置が着用可能除細動器である場合、患者が心臓の不整脈を起こしていると装置が判断すれば、装置はアラームおよび音声メッセージを出力し、患者に意識があることを示すためにその装置に備わっているボタンを押して保持することを患者に指示し、それにより除細動ショックを送ることを保留することを装置に指示する。患者が応答しなければ、装置は患者に意識がないと推測して処置の手順を進め、最終的に患者の体に一回以上の除細動ショックを送る。さらに、近くにいる人に警告やメッセージを与えて、その近くにいる人に医療アシストを呼ぶよう、または除細動ショックが送られるので近くにいる人が患者から離れるよう警告を出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要
アラームやメッセージが患者や近くにいる人によって受取られない場合があることを出願人は認識している。たとえば、患者がベッドで寝ている場合、あまりにもぐっすり寝ているのでアラームや音声メッセージが患者を起こすほど十分大きくないことがある。代替的にまたは付加的に、着用可能医療装置のスピーカの部分が、寝具や衣服によってブロックまたは遮断され、それにより音量が下がって、患者または近くにいる人にアラーム、音声プロンプトまたはメッセージが聞こえないことがある。患者が目を覚ましている場合でも、うるさい環境では、アラームやメッセージが聞こえないこともある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面に従い、着用可能医療装置で使用するための遠隔アラームが提供される。一実施の形態に従い、遠隔アラームは、着用可能医療装置が出すアラーム、音声メッセージおよびプロンプトを受取り、着用可能医療装置を着用している患者または近くにいる人によってそのアラーム、音声メッセージおよびプロンプトがより容易に認知できるような態様で繰返すよう構成されている。別の実施の形態に従い、遠隔アラームは着用可能医療装置から通信を受取り、その通信に応答して、患者または近くにいる人に与えられる1つまたは複数のメッセージを特定するよう構成され得る。メッセージは聴覚的もしくは視覚的に、または両方の態様で与えられ得る。特定の実施の形態において、患者または近くにいる人にメッセージを提供することに加えて、遠隔アラームは通信の内容に応じて特定
の動作を行なうよう構成され得る。たとえば電話メッセージを送って救急担当者に患者の身元、場所および医学的状態を知らせる、またはEメールを友人または身内に送るよう構成されてもよい。
【0006】
本発明の一実施の形態に従い、着用可能医療装置で使用するための遠隔アラームが提供される。遠隔アラームは、着用可能医療装置によって提供されるメッセージを示すRF信号を受取るRFレシーバと、レシーバに電気的に結合され、メッセージを音声信号に変換する音声回路と、音声表示装置とを含む。音声表示装置は音声回路に電気的に接続されて音声信号を受取り、着用可能医療装置が提供するメッセージを再生する。本実施の形態の局面に従い、レシーバはBluetooth(登録商標)、無線USB、およびZigBee(登録商標
)通信規格のいずれかを用いてRF信号を受取り、メッセージは音声メッセージ、サイレン、または音である。本実施の形態の別の局面に従い、着用可能医療装置は着用可能除細動器である。本実施の形態のさらなる局面に従い、メッセージは着用可能医療装置が提供できる音量よりも大きい音量で再生される。本実施の形態のさらなる局面に従い、遠隔アラームはメッセージの受取りに応答して点灯する高輝度電球を含む。
【0007】
一実施例に従い、RFレシーバ、音声回路、音声表示装置、および電球は、AC電源コンセントに直接差込むよう構成されている第1の装置に統合される。さらなる実施の形態において、遠隔アラームは第1の装置と別個の第2の装置を含み、第2の装置はメッセージに対する応答が提供できる応答ボタンと、応答を着用可能医療装置に送るRFトランスミッタとを含む。さらなる実施の形態において、遠隔アラームはさらに第1の装置および第2の装置と別個の第3の装置を含むことができる。第3の装置は、着用可能医療装置が提供するメッセージを示すRF信号を受取るRFレシーバと、メッセージの受取りに応答して振動するよう構成されている電気機械振動器とを含む。
【0008】
本発明の別の実施の形態に従い、着用可能医療装置で使用するための遠隔アラームが提供される。遠隔アラームは、着用可能医療装置からRF通信を受取るRFトランシーバと、プロセッサと、音声回路と、音声表示装置とを含む。プロセッサはRFトランシーバに電気的に結合されて通信を処理し、通信の内容に基づきメッセージを識別する。音声回路はプロセッサに電気的に結合され、メッセージを音声信号に変換するよう構成されている。音声表示装置は音声回路に電気的に結合され、メッセージを聴覚的に再生するよう構成されている。本実施の形態の一局面に従い、メッセージは文字メッセージを含んでもよい。音声回路は音声合成器を含み、音声合成器は文字メッセージを音声信号に変換するよう構成されており、その音声信号は音声表示装置によって再生されると、文字メッセージの音声バージョンに対応する。
【0009】
本実施の形態の別の局面に従い、メッセージは第1のメッセージであり、遠隔アラームは、プロセッサに電気的に結合されかつネットワークに通信結合される少なくとも1つの通信インターフェイスをさらに含む。その少なくとも1つの通信インターフェイスは、通信の受取りに応答して、第2のメッセージをネットワークを介して通信するよう構成されている。本実施の形態のさらなる局面に従い、着用可能医療装置を着用している患者がある医学的状態を起こしていることを示す通信内容に応答して、プロセッサはネットワークを介して第2のメッセージを救急担当者に送るようその少なくとも1つの通信インターフェイスに指示するよう構成されている。本実施の形態のある局面に従い、その少なくとも1つの通信インターフェイスは、電話回線網インターフェイス、コンピュータネットワークインターフェイス、およびセルラーネットワークインターフェイスのうちの少なくとも1つを含む。本実施の形態の別の局面に従い、プロセッサは、着用可能医療装置を着用している患者が医学的緊急事態を起こしていると示す通信内容に応答して、ネットワークを介して第2のメッセージを救急担当者に通信するよう、その少なくとも1つの通信インターフェイスに指示する。本実施の形態のさらなる局面に従い、第2のメッセージは患者、
患者の所在地、および医学的緊急事態を特定する。
【0010】
本実施の形態のさらに別の局面に従い、プロセッサは、ネットワークを介して第3のメッセージを患者の看護人および患者の身内の少なくとも一方に通信するようその少なくとも1つの通信インターフェイスに指示する。本発明のある局面に従い、着用可能医療装置は着用可能除細動器であり得る。
【0011】
本実施の形態のさらに他の局面に従い、遠隔アラームは他の機能を実行可能な付加的回路を含んでもよい。たとえば、患者または近くにいる人からフィードバックを受取るためのユーザインターフェイス、ならびに着用可能医療装置の充電可能電池を受け入れ、充電しおよび調整する電池充電および調整回路を含むことができる。特定の実施の形態では、患者または近くにいる人から受取ったフィードバックは、着用可能医療装置に送ることができる。たとえば、一実施の形態において、遠隔アラームは、プロセッサに電気的に結合されるユーザインターフェイスをさらに含む。この実施の形態において、ユーザインターフェイスはメッセージに対する応答を受取るよう構成され、プロセッサは、ユーザインターフェイスによるメッセージに対する応答の受取りに応答して、応答をRFトランシーバを介して着用可能医療装置に送る。本実施の形態のさらなる局面に従い、メッセージは第1のメッセージであり、遠隔アラームは、プロセッサに電気的に結合されかつネットワークに通信結合される少なくとも1つの通信インターフェイスをさらに含む。その少なくとも1つの通信インターフェイスは、通信の受取りに応答して、第2のメッセージをネットワークを介して通信するよう構成されている。一実施の形態に従い、着用可能医療装置を着用している装置が医学的緊急事態を起こしていると示す通信の内容に応答して、かつ遠隔アラームがそのメッセージに対する応答を受取らないことに応答して、プロセッサは、ネットワークを介して第2のメッセージを救急担当者に通信するようその少なくとも1つの通信インターフェイスに指示し、その第2のメッセージは、患者、患者の所在地、および医学的緊急事態の少なくとも1つを特定する。
【0012】
一実施の形態に従い、遠隔アラームはクリップを含み、このクリップは遠隔アラームを着用可能医療装置を着用している患者の耳に固定するよう構成されている。他の実施の形態に従い、遠隔アラームは着用可能医療装置を着用している患者の手首に遠隔アラームを固定するよう構成されているストラップを含む。
【0013】
本発明の別の局面に従い、着用可能医療装置を着用している患者に医学的状態を遠隔から知らせる方法が提供される。当該方法は、着用可能医療装置と別個の第1の装置で、着用可能医療装置から通信を受取る動作と、通信を第1の装置で処理し、通信の内容に基づいて患者に通信するべきメッセージを特定する動作と、メッセージが直ちに患者に通信されるべきか否かを第1の装置で判断する動作と、メッセージが直ちに患者に通信されるべきであるという判断に応答して、メッセージを音声信号に変換し、第1の装置でメッセージを聴覚的に再生して患者に医学的状態を知らせる動作とを含む。
【0014】
一実施の形態に従い、メッセージは第1のメッセージであり、当該方法は、第1のメッセージを変換し、聴覚的に再生した動作に応答して、第1のメッセージに対する応答を所定の時間待つ動作と、所定の時間内に第1のメッセージに対する応答を受取らなかったことに応答して、第1の装置が通信結合されている通信ネットワークを介して、救急医療担当者、患者の看護人、および患者の身内のうちの少なくとも一人に第2のメッセージを通信して、医学的状況を知らせる動作とをさらに含む。
【0015】
別の実施の形態に従い、当該方法は、メッセージは直ちに患者に通信されなくてもよいという判断に応答して、メッセージを文字メッセージに変換する動作と、文字メッセージを第1の装置のメモリに記憶する動作と、記憶されている文字メッセージを患者に知らせ
るために、第1の装置のインジケータをセットする動作とをさらに含む。
【0016】
さらに別の実施の形態に従い、メッセージは第1のメッセージであり、当該方法は、第1の装置からの第2のメッセージを、第1の装置および着用可能医療装置と別個の第2の装置に送る動作をさらに含み、第2のメッセージは患者に医学的状態を知らせるために、第2のメッセージの受取りに応答して第2の装置に振動することを指示する。
【0017】
これら例示的局面および実施の形態のさらに別の局面、実施の形態、および利点は以下でより詳細に説明される。上記の情報および以下の詳細な説明は、本発明のさまざまな局面および実施の形態の例示に過ぎず、クレームに記載の局面および実施の形態の性質および特徴を理解するための概要および構成を提供することが意図される。ここに開示されているどの実施の形態も、ここに開示されている目的、意図、およびニーズに従う態様であれば他の実施の形態と組合せることができる。ここで用いられている「ある実施の形態」、「一部の実施の形態」、「代替の実施の形態」、「さまざまな実施の形態」、「一実施の形態」、「少なくとも1つの実施の形態」、「本実施の形態および他の実施の形態」などの表記は必ずしも互いを除外するものではなく、実施の形態に関連して記載されている特定の特徴、構成、または特性は、少なくとも1つの実施の形態に含んでもよいと示すことが意図されている。このような文言は必ずしもすべて同じ実施の形態に言及しているものではない。
【0018】
添付の図面は尺度通りに示されているものではない。図面において、さまざまな図面に示されている同じまたはほぼ同じコンポーネントは同様の参照符号で示される。明確にするために、すべてのコンポーネントが図面の中で参照符号が付けられているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】着用可能除細動器などの着用可能医療装置および関連するベースユニットを示す図である。
【
図2】本発明の一局面に従う着用可能医療装置で使用することができる遠隔アラームの機能ブロック図である。
【
図3】本発明のある局面に従う着用可能医療装置で使用することができ、いくつかの別個のアラーム装置を含む遠隔アラームを示す図である。
【
図4】本発明の局面に従う遠隔アラームのいくつかの代替的実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、以下の説明または図面に示されている構成の詳細およびコンポーネントの配置の用途に制限されるものではない。本発明は他の実施の形態が可能であり、さまざまな方法で実施または実行できる。さらに、ここで用いられる文言および用語は説明のためにあり、限定するものではない。「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「係わる」およびこれらの変形などの使用は、後に記載されている項目およびその均等物ならびに付加的項目を含有することが意図される。
【0021】
図1は着用可能医療装置100および関連するベースユニット130を示す。
図1に示される実施の形態では、着用可能医療装置100は、マサチューセッツ州のチェルムスフォードにあるゾールメディカル社から得られるLifeVest(登録商標)着用可能心臓除細動器である。示されるように、着用可能医療装置100は装着帯110を含み、装着帯は1対の肩ストラップと、患者の胴周りに付けられるベルトとを有する。着用可能医療装置100は複数のECG感知電極112を含み、電極112はさまざまな場所で装着帯110
に取付けられ、制御ユニット120と電気的に結合される。着用可能医療装置100はさらに複数の治療電極114を含み、電極114は制御ユニットに電気的に結合され、治療的除細動ショックの処置が必要であると判断されたら、一回または複数の治療的除細動ショックを患者の体に送ることができる。図示されていないが、着用可能医療装置100はECG感知電極112以外のセンサであって、患者の生理学的状態または活動をモニタすることができる付加的センサを含むこともできる。たとえば、血圧、心拍数、胸郭インピーダンス、脈酸素濃度、呼吸数、心音、および患者の活動レベルを測定するセンサを含んでもよい。
【0022】
使用の際、着用可能医療装置100の制御ユニット120は、複数のECG電極112によって与えられるECG信号をモニタし、さらに設けられているのなら他のセンサからの信号の一部またはすべてをモニタする。患者が心臓の不整脈を起こしていると制御ユニット120が判断すれば、制御ユニット120は制御ユニット120のまたは装着帯110の拡声器(図示されていない)を介して可聴アラームを出して、患者および傍にいる人に患者の医学的状態を知らせる。制御ユニット120はさらに、制御ユニット120または他の場所にあるボタン(図示されていない)を押下して保持するよう患者に指示して、患者に意識があることを示し、それにより治療的除細動ショックを送ることを保留するよう制御ユニット120に指示する。
【0023】
図1に示されるように、着用可能医療装置100にはベースユニット130が付属していてもよい。たとえばLifeVest(登録商標)着用可能心臓除細動器では、いくつかの異なる機能を果たすことができるベースユニット130が設けられている。ベースユニット130が行なう機能の1つは、着用可能医療装置に電力を送るために用いられる補助電池を充電することである。LifeVest(登録商標)着用可能心臓除細動器には2つの電池が設けられており、一方の電池が装置に電力を供給している間、他方は充電可能である。装置に電力を供給している電池を充電する必要がある場合、補助電池と切換えられ、充電が行われる。このサイクルは患者が使用している間中繰返される。ベースユニット130が行なう別の機能は、有線または無線通信ネットワークを介して、着用可能医療装置から受取った情報を記憶および/または通信することである。たとえば、一定時間にわたる患者の医学的状態に関する情報は、ベースユニット30によって医療サービス提供者、たとえば医者に知らされ、医者は患者の医学的状態を遠隔でモニタすることができる。ベースユニット130によって受取られた情報は、受取られた後すぐにネットワークを介して通信できる、または代替的に、ベースユニット130のメモリ内に記憶されて、後でネットワークを介して通信することができる。ベースユニット130が通信した情報は、ベースユニットのメモリ内に保持することができる。
【0024】
ベースユニット130は、可視メッセージを患者または近くにいる人に通信できる視覚的ディスプレイ131と、患者または近くにいる人に可聴メッセージを通信できる拡声器といった聴覚的出力装置134と、患者または近くにいる人がベースユニット130と通信できる複数のボタン133とを含む。特定の実施の形態において、視覚的ディスプレイ131はタッチスクリーンディスプレイを含むことができ、患者または近くにいる人は視覚的ディスプレイ131を介してベースユニットと通信することができる。ベースユニット130は、着用可能医療装置100に電力を与えるために用いられる3セル2200mAhリチウムイオンバッテリパックといった充電可能補助電池を受け入れる充電ステーション132を少なくとも1つ含む。ベースユニット130はさらにいくつかの異なる通信インターフェイスを含む。これは、着用可能医療装置の制御ユニット120から情報を受取るための装置通信インターフェイス138、電話回線網を介して着用可能医療装置から受取られた情報を通信するための電話回線網インターフェイス136、および有線ネットワーク接続を介して、着用可能医療装置から受取られた情報を通信するためのネットワークインターフェイス137を含む。特定の実施の形態において、ベースユニット130は
さらに、セルラー(たとえば、2G、3G、および4G)ネットワークを介して着用可能医療装置から受取られた情報を無線で通信できるアンテナ135を含む。
【0025】
図2は、着用可能除細動器や着用可能インスリン点滴ポンプといった着用可能な医療装置300、または本発明の局面に従う他の種類の着用可能医療装置で用いることができる遠隔アラーム200A、200Bを示す。着用可能医療装置300は、一般に少なくとも1つのプロセッサ、マイクロプロセッサ、またはコントローラ310を含む。これはたとえばテキサスインストラメンツ社、Intel社、AMD社、サン社、IBM社、モトローラ
社、Freescale社、およびARMホールディングス社などから商業的に入手できるプロセ
ッサを含む。着用可能除細動器に向けられる1つの例示的実施の形態において、少なくとも1つのプロセッサ310は、Intel(登録商標)PXA270プロセッサといった汎用
プロセッサやFreescale(登録商標)DSP56311デジタルシグナルプロセッサとい
った専用プロセッサを含むことができる。これは2010年7月9日に出願された「医療装置で節電するためのシステムおよび方法」と題される同時係属出願連続番号第12/833,096号(以降、′096出願)に記載されており、その全体が引用によりここに援用される。少なくとも1つのプロセッサ310は、たとえばECG感知電極112および治療電極114(
図1)といった複数のセンサ325に電気的に結合されて、患者の医学的状態をモニタし、一部の実施の形態では、心臓の不整脈といった医学的状態の検出に応答して患者に医療処置を提供する。
【0026】
本発明の一局面に従い、着用可能医療装置300はさらに無線高周波(RF)トランシーバ320を含む。トランシーバ320は少なくとも1つのプロセッサ310に電気的に結合され、遠隔アラーム200A、200Bと無線でかつ双方向に通信可能である。特定の実施の形態において、無線RFトランシーバ320はたとえばBluetooth(登録商標)
、無線USBまたはZigBee(登録商標)といった、低コストおよび短距離(たとえば10メートル)通信に最適化された無線通信規格およびプロトコルを用いて遠隔アラーム200A、200Bと通信できる。他の実施の形態において、RFトランシーバ320は、無線イーサネット(登録商標)またはGSM(登録商標)といったより長い距離通信可能である通信規格およびプロトコルを用いて遠隔アラーム200A、200Bと通信してもよい。たとえば一実施の形態において、RFトランシーバ320は無線イーサネット(登録商標)を介してテレビまたはIpad(登録商標)といった大画面表示装置と通信して、着
用可能医療装置によって通信された状況、警告、またはお知らせを表示してもよい。特定の実施の形態において、コストが懸念される場合、または一方向の通信のみが所望の場合、無線RFトランシーバ320は、アナログ信号を送信可能な無線RFトランスミッタと置換えることができる。無線医療装置300は遠隔アラーム200A、200Bからメッセージを受取ることはできないが、本実施の形態は以下で説明するように、無線通信チャネルを介して情報を遠隔アラームに送ることができる。
【0027】
本発明の一実施の形態に従い、遠隔アラーム200A、200Bは着用可能医療装置によって出力されたアラーム、音声プロンプトおよびメッセージを反復可能である、遠隔のベッド横または卓上アラームである単一目的の低コスト装置として実施できる。このような単一目的の低コスト遠隔アラームの機能的ブロック図は、
図2において参照符号200Aによって示される。代替の実施の形態において、遠隔アラーム200A、200Bは付加的機能性を含んでもよい。たとえば、1つ以上の補助充電可能電池を受け入れる、充電する、および調整する機能、目覚まし時計として働く機能、患者の医学的状態を示す情報を受取りおよび記憶する機能、患者の医学的状態を示す情報を含む情報を、有線、無線、または電話ネットワークなどを介して医療サービス提供者に、友人もしくは身内に、または救急担当者に通信する機能などを含んでもよい。このような多機能遠隔アラームの機能的ブロック図は、
図2において参照符号200Bによって示される。各実施の形態は以下で詳細に説明される。
【0028】
遠隔アラーム200Aは音声回路230に電気的に結合される無線RFレシーバ220を含み、これはたとえば拡声器といった音声出力装置235に電気的に結合される。無線RFレシーバ220は、着用可能医療装置に含まれる音声回路に与えられる情報と同じ情報を持つアナログRF信号を着用可能医療装置300から受けることができる。RFレシーバ220によって受取られた情報は音声回路230に与えられ、音声回路230は受取った情報を音声出力装置235が再生できる音声信号に変換する。本実施の形態において、遠隔アラーム200Aは着用可能医療装置300が提供する同じアラーム、音声プロンプト、および音声メッセージを単に繰返すだけである。しかし、遠隔アラーム200Aは寝具類、衣服や他の障害物によって妨げられない場所に配置されており、かつ音声出力装置は着用可能医療装置よりも大きくてもよいので、遠隔アラーム200Aによって発せられる音は、着用可能医療装置300によって提供される音よりも大きく、患者または近くにいる人によってさらに可聴の可能性がある。遠隔アラーム200AにアナログRF信号を伝送する代わりに、デジタルRF信号を用いてもよい。しかし、デジタル通信の使用は、デジタル-アナログ変換器といった付加的回路を必要とするかも知れず、これはコストが大きな要素である場合には、アナログRF送信を用いることによって回避できる。
【0029】
遠隔アラーム200Bは、上記の遠隔アラーム200Aで説明した機能に加えてさらなる機能を行なうことができ、
図1で記載したベースユニット130といったベースユニットに統合されてもよい。遠隔アラーム200Bは無線RFトランシーバ221および音声回路231に電気的に結合されるプロセッサ210を含み、音声回路231は拡声器といった音声出力装置235に電気的に結合される。遠隔アラーム200Bはメモリ280をも含み、これはプロセッサ210に電気的に結合されるたとえばRAM、ROM、またはフラッシュメモリである。メモリ280はプロセッサと別個のものとして示されているが、特定の商業的に入手可能なプロセッサは、メモリをプロセッサ210と同じ集積回路に含み得る。さらに、メモリ280は他の種類のメモリ、たとえば磁気ディスクメモリ、光メモリ、USBジャンプドライブなどを含んでもよい。プロセッサ210は、テキサスインストラメンツ社、Intel社、サン社、AMD社、IBM社、モトローラ社などの会社か
ら入手できる汎用プロセッサまたは専用プロセッサであり得る。
【0030】
無線RFトランシーバ221は、着用可能医療装置300と無線でかつ双方向で通信可能であり、無線医療装置300のトランシーバ320によって用いられるたとえばBluetooth(登録商標)、無線USB、ZigBee(登録商標)などといった通信規格およびプロト
コルと互換性を有する種類のトランシーバを含み得る。低コストが関心事であり、一方向の通信のみが必要な特定の実施の形態では、無線RFトランシーバ221は上記の遠隔アラーム200Aで説明したような無線RFレシーバと置換えることができ、その場合、遠隔アラーム200Bは着用可能医療装置によって送られるメッセージおよびアラームを受取ることはできるが、通信を着用可能医療装置300に返すことはできない。音声回路231は音声信号を音声出力装置235に提供可能ないずれかの音声回路であり得る。特定の実施の形態において、音声回路231は文字メッセージを可聴音声メッセージに変換可能な音声合成器を含んでもよい。
【0031】
本発明の特定の実施の形態に従い、遠隔アラーム200Bは付加的機能を実施するために付加的回路を含み得る。たとえば、遠隔アラーム200Bは複数の通信インターフェイスを含んでもよい。たとえば、電話回線網インターフェイス240を含む場合、遠隔アラーム200Bは電話回線網を介して通信することができる。有線または無線コンピュータネットワークインターフェイス250を含む場合、遠隔アラーム200Bはコンピュータネットワークを介して通信することができる。セルラーネットワークインターフェイス260を含む場合、遠隔アラーム200Bはセルラー(たとえば、2G、3G、4G)ネットワークを介して通信することができる。遠隔アラーム200Bで含むことができる他の
回路として、着用可能医療装置300に電力を与えるために用いることができる1つ以上の充電可能な電池を調整および充電できる電池充電および調整回路270やユーザインターフェイス290を挙げることができる。ユーザインターフェイス290はビジュアルタッチスクリーンディスプレイを含むことができ、その場合患者または近くにいる人は遠隔アラーム200Bと通信でき、さらに複数のボタンおよび/またはLEDを含んでもよい。さらに、コンピュータキーボードを遠隔アラーム200Bにつなぐためのコンピュータキーボードコネクタをも含んでもよい。ビジュアルタッチスクリーンディスプレイは、患者または近くにいる人と通信していない場合には時計または目覚まし時計として機能してもよい。代替的に、別のディスプレイを設けてアラームクロックの機能を実施してもよい。
【0032】
本発明の一実施の形態に従い、遠隔アラーム200Bの機能は着用可能医療装置300が提供する機能と類似し得る。たとえば、一実施の形態において、遠隔アラーム200Bは着用可能医療装置300の音声回路に与えられる情報と同じ情報を受取り、単にこれらのアラーム、音声メッセージ、および音声プロンプトを繰返す。患者または近くにいる人が応答しなければ、遠隔アラームはより大きい音量でアラーム、音声メッセージまたはプロンプトを繰返すようプログラミングされてもよい。このような機能は、患者がうるさい環境、就眠中である、または両方の場合に、患者の注意を得るのに十分であり得る。
【0033】
本発明の別の実施の形態に従い、遠隔アラーム200Bは着用可能医療装置300にフィードバックを提供可能であり得る。たとえば、一実施の形態において、アラーム、音声メッセージまたはプロンプトに応答して、患者または近くにいる人は遠隔アラーム200Bのユーザインターフェイス290を介して着用可能医療装置300と通信してもよい。患者はそれにより遠隔アラーム200Bのボタンを押すことにより、または遠隔アラームのタッチスクリーンを使用することにより、そのアラーム、音声プロンプトまたは音声メッセージが受取られたことを認識することができる。遠隔アラーム200Bはその認識をトランシーバ221を介して着用可能医療装置300に送ることができる。特定の実施の形態において、遠隔アラーム200Bは、アラーム、音声プロンプトまたはメッセージの認識が患者によってまたは他の者によって与えられているか否かを判定できるソフトウェアおよび/またはハードウェアを含むことができる。たとえば、遠隔アラーム200Bは患者の声、または愛する者もしくは看護人の声を認識することができる音声認識機能を含むことができ、これは「音声入力/出力を有する着用可能除細動器」と題された、同時係属の米国特許出願連続番号12/082,168号に記載されており、その全体が引用によりここに援用される。代替的に、遠隔アラーム200Bは静電容量、ECG信号、またはマーカもしくはID信号といった、患者の(または愛する者もしくは看護人の)生体情報を認識するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができ、これは「ユーザの応答性をテストするよう構成されている医療装置」と題された同時係属の米国特許出願連続番号第12/150,720号に記載されており、その全体が引用によりここに援用される。
【0034】
本発明の別の実施の形態に従い、遠隔アラーム200Bは着用可能医療装置300が提供する通信よりも拡張された通信を提供可能であり得る。たとえば、着用可能医療装置300が音声回路に与えた同じ情報を遠隔アラーム200Bに送るのではなく、着用可能医療装置300は、遠隔アラーム200Bのメモリ280内のメッセージテーブルに記憶されている特定のアラーム、メッセージまたはプロンプトに対応するコードを遠隔アラーム200Bに通信することができる。遠隔アラーム200Bに送信されるコードは、アナログまたはデジタルの形を取り得る。コードを受取ると、プロセッサ210はメッセージテーブルをアクセスし、メッセージを患者または近くにいる人に伝えることができる。メッセージは文字の形でメッセージテーブルに記憶され、遠隔アラーム200Bの音声回路231にある音声合成器によって音声に変換することができる。代替的に、メッセージはタ
ッチスクリーンディスプレイ上に文字の形で表示でき、これは単独で、または聴覚的に再生されるメッセージと併せて提示できる。このコードは、患者または近くにいる人に通信されるメッセージ、プロンプト、またはアラームの内容や長さ、メッセージの音量レベル、さらに患者または近くにいる人からの特定の応答があった場合にまたは応答がなかった場合に、どのような行動が取られるべきかを特定することができる。
【0035】
たとえば、着用可能医療装置300が除細動器であって、着用可能医療装置が心臓の不整脈を検出し、患者が意識があることを示す応答をしなければ、遠隔アラーム200Bは救急担当者(たとえば911)に電話を入れることができる。遠隔アラーム200Bはメモリ280に記憶されている予め記録されているメッセージを再生して、患者の氏名、所在地、および検出された医学的状態を特定することができる。遠隔アラーム200Bはさらに患者の医療サービス提供者に患者の状態および救急サービスが呼ばれたことを知らせ、また愛する者や身内に知らせることができる。さまざまな連絡先の氏名およびメッセージの内容は、設定プロシージャの際遠隔アラーム200Bのメモリ280内に記憶することができる。救急担当者に知らせた後、患者の医療サービス提供者および患者の愛する者または身内に対して、有線または無線コンピュータネットワークインターフェイス250を介してEメールもしくは文字メッセージを送る、または電話回線網インターフェイス240もしくはセルラーネットワークインターフェイス260のどちらかを用いて電話連絡し、予め記録されたメッセージを再生することができる。
【0036】
遠隔アラーム200Bによって提供できる他の拡張通信として、メッセージを異なる言語で伝える機能を挙げることができる。たとえば、遠隔アラーム200Bのユーザインターフェイス290は第1の言語(たとえば、患者の母国語)を選択させて患者と通信するために用いられるようにし、さらに第1の言語と異なる第2の言語を選択させて、他の人、たとえば近くの人または救急担当者と通信するために用いられるようにできる。このような機能は、ある言語を話す患者がその言語と馴染みがない地理的場所にいる場合に適する。遠隔アラーム200Bにその地理的場所を検出できる機能(GPS機能)がある場合、遠隔アラームは近くにいる人または救急サービス担当者と通信するために、現地の言語を使用するよう自動的に自己を構成してもよい。
【0037】
一実施の形態に従い、遠隔アラーム200Bは、通信される情報の種類に応じて、またはこのような情報を通信するよう遠隔アラームがプログラミングされている態様に応じて、異なる方法でさまざまな情報を患者、近くにいる人、看護人、または愛する者に通信することができる。たとえば、患者に伝えられるべき情報が緊急のものであるのなら、遠隔アラーム200Bは音声出力装置235を介してその情報を直ちに送るが、これは単独で、または他の種類の通知と併せて送られる(たとえば以下で説明するように、患者の体に配置されている、または近くに配置されている振動アラームを通電させる)。着用可能医療装置300が除細動器である場合、緊急を要すると考えられる情報は、検出された不整脈に基づく緊急ショックの警告メッセージ、着用可能医療装置300に電力を与えている充電可能電池の充電レベルが非常に低いという警告メッセージ、患者の体からある程度の数のセンサが外れたまたは接触していないので患者が保護されていないという警告メッセージなどを含むことができる。患者から応答がない場合、遠隔アラームはアラーム、音声メッセージまたはプロンプトの音量を上げる、または救急担当者、看護人、または愛する者に知らせてもよい。患者が精神的によくない場合、アラームや他のメッセージが直ちに看護人に連絡されてもよい。
【0038】
代替的に、患者に通信するべき情報が重要ではあるが緊急のものではない場合、他の形の通信の方が適し得るかも知れない。たとえば、着用可能医療装置300が着用可能除細動器であって、緊急ショックの警告メッセージが送られる前に治まった検出不整脈に対応する情報である場合、遠隔アラームは単にその情報をメモリ280内に記憶し、ユーザイ
ンターフェイス290のインジケータ(たとえば、LED)をセットして、次に可能な場合に患者に遠隔アラーム200Bとインターフェイスして、その情報を引出すことを促すことができる。不整脈が検出されて、治療的ショックが送られた場合でも、患者はこの事実を認知していないかも知れない。このような情報を引出すよう促されることにより、患者はこのような事象を認知することになる。このような事象の発生は、たとえばEメール、文字、または音声メールを介して、患者に、愛する者に、看護人に、または医療サービス提供者に通信されて、その事象の発生を知らせてもよい。重要ではあるが、着用可能除細動器が患者(または看護人)に通信するのに緊急でない他の種類の情報としては、1つ以上のセンサでの信号対ノイズ比の劣化(ただしこの場合のセンサの数は患者を保護するのに必要な十分な数よりも少ない)、1つ以上のセンサが外れているという検出(ただしこの場合もセンサの数は患者を保護するのに必要な十分な数よりも少ない)、低い電池状態ではあるが、患者をモニタおよび保護するのに必要なレベルよりは低くない状態、着用可能医療装置の装着帯110(
図1)の適切な装着状態を得るためには装着帯110をきれいにする必要があるという警告などを挙げることができる。除細動器を含む他の種類の着用可能な医療装置では、重要であるが緊急ではないメッセージとして、薬を服用するというお知らせ、特定の時間に血糖値を測定するというお知らせ、バッテリ交換のお知らせまたは通常のバッテリ交換もしくは交換時期がとばされたという通知などを挙げることができる。
【0039】
本発明の一局面に従い、患者または看護人はユーザインターフェイスを用いてどの種類のメッセージが直ちに通信するべきか、およびどの種類のメッセージは患者が遠隔アラームを用いる次回まで待ってもよいかを設定することができる。このような設定は、時間帯に基づいて、および患者のスケジュールに基づいて変更してもよい。たとえば、患者が寝ているときにはすぐに通信する必要がないメッセージでも、ユーザが目を覚ましているべき時間帯では直ちに通信されるようプログラミングされてもよい。ユーザインターフェイスを介して、患者、看護人、医療サービス提供者、またはサービス技術者は、薬を服用するというお知らせ、電池を変えるまたは充電するという督促などを設定し、さらに各事象の種類に優先度を付けることができる。デフォルトの設定も設けることができ、これらはユーザインターフェイス290を介して変更できる。通信が聴覚による、触知による、または両方によるべきか、および患者以外の人(たとえば、愛する者または看護人)に知らせるべきかを示す他の設定も設けてもよい。
【0040】
本発明のさらなる局面に従い、患者の看護人によって、患者の医療サービス提供者によって、愛する者によって、または着用可能な医療装置に関連するサービス組織によって、情報を遠隔アラームに送ることができる。たとえば、着用可能医療装置のサービス組織またはメーカーが、患者に対して装置についてのメッセージ(たとえば、製品のリコール、製品の更新など)を有する場合、メッセージは装置に送られて、次の可能な時間帯で患者によって後で見ることができる。代替的に、患者の医療サービス提供者からのメッセージまたは愛する者からのメッセージ、たとえば診療予約についてのお知らせなどを、遠隔アラームに送ることができる。
【0041】
遠隔アラーム200Aおよび200Bの各々は、着用可能医療装置300からRF信号を受取るために、RFレシーバ220またはトランシーバ221を含むものとして記載されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、代替的実施の形態において、遠隔アラームは、着用可能医療装置が発したアラーム、音声プロンプト、およびメッセージを受取ることができるマイクと、これらのアラーム、音声プロンプトおよびメッセージをたとえばより大きい音量で繰返すことができるスピーカ音声回路およびスピーカだけを含んでもよい。代替的に、着用可能医療装置300と遠隔アラーム200A、200Bとの通信は、赤外線、可聴音、または準可聴音であり得る。さらに、遠隔アラーム200A、200Bは集積回路として示されているが、遠隔アラーム200A、200Bのさまざまな
機能は一緒になって上記の機能を提供する多様な個別の装置間に分配されてもよい。たとえば、
図3はいくつかの別個の装置410、420、430および440を含み、集合的に遠隔アラームとして動作する遠隔アラーム400を示す。
図3で示されるように、一実施例において、遠隔アラーム400は、従来の壁の電源コンセントに直接差込むよう構成されているACレセプタクルアラームユニット410、患者のベッドもしくは椅子に隣接して、または患者のベッドのマットレスの下もしくは患者の椅子の座部または背中の部分のクッションの下に配置されるよう構成されている振動アラームユニット420、患者にとって都合のよい場所、たとえば患者のベッドまたは患者に隣接した小型テーブル上に配置されるよう構成されている遠隔応答ボタン430、および患者の愛する者または看護人が付けるよう構成されているアラームペンダント440を含む。
【0042】
図3に示されるように、ACレセプタクルアラームユニット410はRFアンテナ411を含み、これにより着用可能装置300からメッセージを受取り、着用可能装置に情報を送り返すことができる。図示されていないが、ACレセプタクルアラームユニット410は、医療サービス提供者または救急担当者と(たとえば、セルラーまたは無線ネットワークを介して)通信可能な第2のアンテナを含んでもよい。ACレセプタクルアラームユニット410はさらに、拡声器などの音声出力装置413、マイクなどの音声入力装置415、ライト417および壁の電源コンセントに受け入れるよう構成されている複数のコンタクト419を含む。ACレセプタクルアラームユニットはDC壁コンセントで使用できるよう変更されてもよい。本実施の形態のある局面に従い、患者または他の者の即時の注意を必要とする緊急メッセージに応答して、ACレセプタクルアラームユニット410はメッセージを聴覚的に通信するだけでなく、ライト417を照らしてもよく、これは眠っている患者を起こすのに十分に明るい光であり得る(たとえば、60ワットの白熱電球と同等以上の明るさ)。図示されていないが、ACレセプタクルアラームユニット410は、補助電池ユニットを受け入れかつ充電することができる充電ステーションを含んでもよい。
【0043】
振動アラームユニット420は、患者に隣接して、または患者に意識があるのなら、振動が患者の注意を引く場所(たとえば患者が寝ているマットレスの下、または患者が座る椅子のクッションの下または後ろ)に配置するよう構成されている。振動アラームユニット
420は、着用可能移動性装置300(
図2)および/またはACレセプタクルアラームユニット410から情報を受取るアンテナ421と、圧電バイブレータなどの電気機械的振動器を含む。
【0044】
遠隔応答ボタン430は、患者が遠隔応答ボタンにアクセスできる都合のよい場所に配置するよう構成されており、それにより患者に意識があることを示す信号を着用可能医療装置に送る。図示されるように、遠隔応答ボタン430は、着用可能医療装置またはACレセプタクルアラームユニット410から通信を受取り、患者に意識があることを示す信号を着用可能装置および/またはACレセプタクルアラームユニットに送るためのアンテナを含む。図示されていないが、遠隔応答ボタン430は、着用可能医療装置が提供し得る同じアラーム、音声プロンプトおよび音声メッセージを繰返すため、拡声器などの音声出力装置と、音声回路とを含み得る。遠隔応答ボタン430は、遠隔アラーム400の1つの別個の装置として記載されているが、遠隔応答ボタン430およびACレセプタクルアラームユニット410の両方はスタンドアロン装置として用いることができる。
【0045】
看護人または愛する者の首周りに付けられるよう構成されているアラームペンダント440は、注意を向ける必要がある事象が検出された場合に、看護人に患者をチェックすることを知らせるよう、発光する、振動する、または可聴音を発することができる。図示されていないが、アラームペンダントは、Bluetooth(登録商標)、無線USBまたはZigBee(登録商標)のようなRF通信を受信可能なRFアンテナをも含み得る。
【0046】
図4は、イヤホン遠隔アラーム510やウォッチモニタ遠隔アラーム520の形を取る、本発明の局面に従う遠隔アラームの2つの代替的実施の形態を示す。イヤホン遠隔アラーム510は、患者の耳の周りに配置されるよう構成されているクリップ511と、Bluetooth(登録商標)トランシーバのなどのRFトランシーバを含む制御モジュール512
とを含む。
図4では見えないが、イヤホン遠隔アラーム510は着用可能医療装置300から受取られた通信メッセージを可聴的に患者に通信するために、患者の外耳道近くに配置されるよう構成されるスピーカなどの音声出力装置を含む。イヤホン遠隔アラームはマイクをさらに含んでもよく、それによりイヤホン遠隔アラームはマイクで受取った音が増幅されて患者に伝えられる補聴器として付加的に働くものであってもよい。人間の耳は、患者の脈酸素濃度を測定するのに比較的適する場所であると考えられるので、イヤホン遠隔アラーム510は患者の脈酸素レベルをモニタする脈酸素センサ(図示されていない)を含んで、この情報を着用可能医療装置300(
図2)に通信してもよい。一部の実施の形態において、イヤホン遠隔アラームは応答ボタン513を含んでもよく、この場合患者は心臓の不整脈が検出されて緊急ショックの警告に応答して、患者は自分に意識があることを示すことができる。
【0047】
ウォッチモニタ遠隔アラーム520は通常の腕時計に似ており、従来の態様でストラップを用いて患者の手首周りに配置されるよう構成されている。ウォッチモニタ遠隔アラームは、たとえばテキサスインストラメンツ社から利用可能なeZ430クロノスワイヤレスウォッチなどのウォッチモニタ基準プラットフォームに基づいてもよい。示されるように、ウォッチモニタ遠隔アラーム520は日時を表示できるディスプレイ521を含み、日時をプログラミングし、アラームを設定するために、たとえばボタン524および525を用いた従来の腕時計/アラームとして動作する。ディスプレイ521は、着用可能医療装置300(
図2)によって通信される情報メッセージまたはプロンプトをも表示することができる。たとえば、
図4に示されるように、ディスプレイ521は現在不整脈が検出されていないことを示すハート型の記号を表示することができ、さらに着用可能医療装置についてのバッテリユニットの充電状態を示すことができる。図示されていないが、ウォッチモニタ遠隔アラーム520は、着用可能医療装置300からメッセージ、プロンプトおよび他の情報を受取り、情報を着用可能医療装置に送り返すRFトランシーバを含んでもよい。たとえば、着用可能医療装置が心臓の不整脈を検出し、ショックを与えることが差し迫っているという警告を発すると、患者は自分に意識があることを示すために応答ボタン526を押して保持することができる。ウォッチモニタ遠隔アラーム520は、応答ボタン526が患者によって起動されたのか、または他の者によって起動されたのかを判断する機能をも含んでもよい。ウォッチモニタ遠隔アラームが支持している通信規格は、Bluetooth(登録商標)、無線USB、ZigBee(登録商標)、および無線イーサネット
(登録商標)を含むことができる。ウォッチモニタ遠隔アラーム520は音声出力装置(図示されていない)を含むことができ、その場合アラームや可聴メッセージを患者に通信することができる。ウォッチモニタ遠隔アラームはさらに、ディスプレイ521上に表示することができる患者の脈拍、体温、または血液酸素レベルを検出するためのセンサ(ウォッチの裏面に配置され、
図4では見えない)を含んでもよい。このような情報は、スクロールボタン522および523を用いて表示することができる。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施の形態のいくつかの局面を記載することにより、さまざまな変更、変形および改良が当業者に可能であることは理解されるべきである。このような変更、変形および改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内にある。したがって、上の記載および図面は一例でしかない。