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特許7153049認識された人間と連関する個人領域に基づいてロボットを制御する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】認識された人間と連関する個人領域に基づいてロボットを制御する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221005BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B25J5/00 E
G05D1/02 S
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020174725
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2021064372
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0128230
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505205812
【氏名又は名称】ネイバー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NAVER Corporation
(73)【特許権者】
【識別番号】319012978
【氏名又は名称】ネイバーラボス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム ソクテ
(72)【発明者】
【氏名】キム ガヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チャ セジン
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254134(JP,A)
【文献】特開2010-055498(JP,A)
【文献】特開2012-022468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットまたはロボットを制御するロボット制御システムが実行するロボット制御方法であって、
ロボットの走行方向に存在する障害物を認識する段階、
前記障害物が人間であるか事物であるかを判定する段階、
前記障害物が人間であると判定された場合にのみ、前記ロボットの走行方向に存在する前記人間と連関する個人領域を認識する段階、および
前記認識された個人領域に基づき、前記人間との干渉を回避するように前記ロボットの移動を制御する段階
を含み、
前記認識する段階は、前記人間と連関する国または文化圏に関する情報、前記人間が通行する通路に関する情報、前記ロボットが提供するサービスの種類、および前記ロボットの種類のうちの少なくとも1つにより、前記人間と連関する前記個人領域を異なるように認識
当該ロボット制御方法は、
前記障害物が人間であると判定された場合に、前記人間であるユーザのプロフィール情報を取得する段階、
をさらに含み、
前記認識する段階は、さらに前記プロフィール情報に従って、前記人間と連関する前記個人領域を異なるように認識する、
ロボット制御方法。
【請求項2】
前記個人領域は、さらに、前記人間が停止している場合には前記人間を中心とする円形として認識され、前記人間が移動している場合には前記人間が移動する方向に延長する円錐形または楕円形として認識される、
請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項3】
前記認識する段階は、さらに、
前記人間の移動方向、前記人間の移動速度、前記人間の身体情報、前記人間と前記ロボットとの距離、および前記ロボットの速度のうちの少なくとも1つにより、前記人間と連関する前記個人領域を異なるように認識する、
請求項2に記載のロボット制御方法。
【請求項4】
前記人間が移動する方向に延長する前記個人領域の長さは、前記人間の速度が大きいほど、前記人間の背が高いほど、または前記人間が通行する通路の幅が狭いほど、大きくなる、
請求項2に記載のロボット制御方法。
【請求項5】
前記人間が移動する方向に延長する前記個人領域の長さは、前記人間が位置する方向への前記ロボットの速度が速いほど、前記ロボットの高さまたは幅が大きいほど、または前記ロボットが提供するサービスの前記人間に対する危険度が高いほど、大きくなる、
請求項2に記載のロボット制御方法。
【請求項6】
前記ロボットの移動を制御する段階は、
前記個人領域には進入せず、前記人間が通行する通路を通り過ぎるように前記ロボットの移動を制御する、
請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項7】
前記ロボットの移動を制御する段階は、
前記ロボットが前記個人領域に接近すると、前記ロボットが減速するように前記ロボットの移動を制御する、
請求項6に記載のロボット制御方法。
【請求項8】
前記ロボットの移動を制御する段階は、
前記個人領域に進入せずには前記通路を通り過ぎることが不可能である、または前記通路の幅が所定の値以下であると判断されたときには、前記ロボットが前記通路の片側で停止した状態で待機するように前記ロボットを制御する段階、および
前記人間が前記ロボットを通り過ぎてから前記ロボットが移動するように前記ロボットを制御する段階
を含む、請求項6に記載のロボット制御方法。
【請求項9】
記障害物が人間であると判定されたときには、前記人間と前記ロボットとの距離および前記ロボットが位置する方向への前記人間の移動速度を計算する段階
をさらに含み
記ロボットの移動を制御する段階は、
前記個人領域を回避するための回避方向を決定する段階、
前記個人領域を回避するように前記ロボットの移動方向および前記ロボットの速度を制御する段階、
前記個人領域が回避されたかを判定する段階、および
前記個人領域が回避された場合または前記人間が前記ロボットを通過した場合には、前記ロボットが目的地に移動するように前記ロボットの移動を制御する段階
を含む、請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項10】
前記ロボットが前記人間の通行する通路で前記人間を通り過ぎる前、前記ロボットが前記人間を通り過ぎている間、および前記人間を通り過ぎた後のうちの少なくとも1つのときに、前記人間に対して前記ロボットの視線(gaze)に対応するインジケータを出力するように前記ロボットを制御する段階
をさらに含み、
前記インジケータは、前記人間の移動を誘導するための情報、前記人間に対する前記ロボットの感情を示す情報、および前記ロボットの動きを示す情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項11】
前記インジケータを出力するように前記ロボットを制御する段階は、
前記ロボットと前記人間との距離が所定の値以下となると、前記ロボットの視線を下げることに対応する前記インジケータを出力するように前記ロボットを制御する、または
前記ロボットが移動しようとする方向に対応する方向に前記ロボットの視線が向くように前記インジケータを出力するように前記ロボットを制御する、
請求項10に記載のロボット制御方法。
【請求項12】
前記ロボットの移動を制御する段階は、
前記人間が他の人間または施設とインタラクションしていると判断されたときには、前記人間と前記他の人間または前記施設との間にある空間を通過して移動しないように前記ロボットの移動を制御し、
前記間にある空間を通過しなくては前記人間を通過して通り過ぎることができないと判断されたときには、視覚的インジケータおよび聴覚的インジケータのうちの少なくとも1つを前記人間に出力することにより、前記ロボットが前記間にある空間を通過することを前記人間に知らせ、または前記人間に移動を要求し、
前記人間を通り過ぎるように前記ロボットの移動を制御する、
請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項13】
前記ロボットの移動を制御する段階は、
前記ロボットの少なくとも一部が前記個人領域内に含まれ、前記ロボットが前記人間とともに移動しなければならない場合には、人間が他の人間との干渉を回避する動作を模倣する方式により、前記人間および他の人間との干渉を回避するように前記ロボットの移動を制御する、
請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項14】
前記ロボットと前記人間が同じエレベーターに乗る、または前記エレベーターから降りる場合に、
前記ロボットは、
前記エレベーターに乗る前には、前記エレベーターからすべての人間が降りてから前記エレベーターに乗るように制御され、
前記エレベーターに乗っている状態では、前記エレベーターに乗ったり前記エレベーターから降りたりする人間の邪魔にならないように前記エレベーターの壁側に移動するように制御される、
請求項13に記載のロボット制御方法。
【請求項15】
前記ロボットの移動の制御にしたがい、前記ロボットの減速または停止を示すインジケータが前記ロボットの後方で出力されるように前記ロボットを制御する段階
をさらに含む、請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項16】
建物内での人間の移動通路と前記ロボットの走行経路が交差する場合、前記交差する前記走行経路の区間に進入する前に前記ロボットを減速させる、または停止させるように前記ロボットを制御する段階
をさらに含む、請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項17】
建物内での前記ロボットの走行経路がコーナーを通過することを含む場合、予め格納された前記コーナーと連関する周辺環境情報に基づき、前記ロボットが前記コーナーを通過する移動を制御する段階
をさらに含み、
前記周辺環境情報は、複数の時間帯の各時間帯によって異なるように設定されて、前記各時間帯における人間の通行の可能性に基づいて決定される前記コーナー周辺の空間の使用率に関連する情報を含み、
前記ロボットが前記コーナーを走行する際の時刻が属する時間帯に相応する前記コーナー周辺の空間の使用率に基づいて、前記ロボットの速度が決定され、
前記ロボットの前記コーナーを通過する移動を制御する段階は、前記決定された速度で前記ロボットの前記コーナーを通過する移動を制御する、請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項18】
前記周辺環境情報は、さらに、前記コーナー周辺の障害物の分布に関する情報、前記コーナーの形態に関する情報、および前記コーナー周辺の空間での人口行動の様態に関する情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記コーナーの形態に関する情報は、前記コーナーを構成する通路の幅に関する情報、前記コーナーの角度に関する情報、および前記コーナーの材料に関する情報のうちの少なくとも1つを含み、
前記コーナー周辺の空間での人口行動の様態に関する情報は、前記コーナー周辺の空間での人間の移動パターンに関する情報を含む、
請求項17に記載のロボット制御方法。
【請求項19】
前記認識する段階は、さらに、前記ロボットと前記人間との相対的な大きさの差に基づき、前記個人領域の大きさを異なるように認識して、前記ロボットの高さに対して前記人間の背が所定の値以下であれば、そうでない場合より前記個人領域の大きさをより大きく認識する、請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項20】
建物内で移動するロボットであって、
コンピュータ読み取り可能な命令を実行するように実現される少なくとも1つのプロセッサ
を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ロボットの走行方向に存在する障害物を認識し、
前記障害物が人間であるか事物であるかを判定し、
前記障害物が人間であると判定された場合にのみ、前記ロボットの走行方向に存在する前記人間と連関する個人領域を認識し、前記認識された個人領域に基づき、前記人間との干渉を回避するように前記ロボットの移動を制御し、
前記認識することは、前記人間と連関する国または文化圏に関する情報、前記人間が通行する通路に関する情報、前記ロボットが提供するサービスの種類、および前記ロボットの種類のうちの少なくとも1つにより、前記人間と連関する前記個人領域を異なるように認識
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、
前記障害物が人間であると判定された場合に、前記人間であるユーザのプロフィール情報を取得し、
前記認識することは、さらに前記プロフィール情報に従って、前記人間と連関する前記個人領域を異なるように認識する、
ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、ロボットの制御方法およびシステムに関し、より詳細には、人間と連関して認識された個人領域を考慮してロボットを制御する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行ロボットとは、自ら周辺状況を認識し、障害物を感知しながらタイヤや脚を利用して目的地までの最適経路を探索するロボットであって、自律走行車はもちろん、物流、ホテルサービス、ロボット掃除機などのような多様な分野で開発されて活用されている。
【0003】
建物内でサービスを提供するために使用されるロボットは、建物内部の空間を利用する者(例えば、建物で勤務する職員や、建物内を行き来する通行人など)が存在する環境で動作するため、ロボットがサービス提供のために移動(走行)するときに、人間(以下、ユーザまたは人間とする)との衝突が発生することがある。このようなロボットとユーザとの衝突は、ロボットによるサービス提供の効率性を低下させ、ロボットと衝突するユーザに危険を与えるようになる。また、ユーザの立場では、ロボットの接近に脅威を感じるようになる。
【0004】
したがって、サービス提供のためにロボットを使用するにあたり、ロボットとユーザとの衝突を防ぐと同時に、ユーザに脅威を与えないようにロボットの移動を制御し、ロボットによるサービスの提供を効率化することができる、ロボット制御方法およびシステムが求められている。
【0005】
特許文献1は、自律移動ロボットのための経路計画方法に関する技術であって、自宅やオフィスで自律的に移動する移動ロボットが、障害物を回避しながら目標点まで安全かつ迅速に移動することができる最適経路を計画する方法について開示している。
【0006】
上述した情報は、本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、従来技術の一部を形成しない内容を含むこともあるし、従来技術が当業者に提示することのできる内容を含まないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0024840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一部の実施形態において、ロボットの走行方向に存在する人間と連関する個人領域を認識し、認識された人間の個人領域に基づき、人間との干渉を回避するようにロボットの移動を制御するロボット制御方法を提供する。
【0009】
他の一部の実施形態において、ロボットの移動を制御するにあたり、人間の移動を誘導するための情報、人間に対するロボットの感情を示す情報、およびロボットの動きを示す情報を含むインジケータを出力するようにロボットを制御する方法を提供する。
【0010】
さらなる他の一部の実施形態において、建物内で人間の移動通路とロボットの走行経路が交差する場合や、ロボットがコーナーを通過して走行する場合に、交差する区間またはコーナーに存在する人間およびその他の障害物を考慮してロボットを制御する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面において、ロボットまたはロボットを制御するロボット制御システムが実行するロボット制御方法であって、ロボットの走行方向に存在する人間と連関する個人領域を認識する段階、および前記認識された個人領域に基づき、前記人間との干渉を回避するように前記ロボットの移動を制御する段階を含む、ロボット制御方法を提供する。
【0012】
前記個人領域は、前記人間が停止している場合には前記人間を中心とする円形として認識され、前記人間が移動している場合には前記人間が移動する方向に延長する円錐形または楕円形として認識されてよい。
【0013】
前記認識する段階は、前記人間と連関する国または文化圏に関する情報、前記人間の移動方向、前記人間の移動速度、前記人間の身体情報、前記人間が通行する通路に関する情報、前記人間と前記ロボットとの距離、前記ロボットが提供するサービスの種類、前記ロボットの種類、および前記ロボットの速度のうちの少なくとも1つにより、前記人間と連関する前記個人領域を異なるように認識してよい。
【0014】
前記人間が移動する方向に延長する前記個人領域の長さは、前記人間の速度が速いほど、前記人間の背が高いほど、または前記人間が通行する通路の幅が狭いほど、大きくなってよい。
【0015】
前記人間が移動する方向に延長する前記個人領域の長さは、前記人間が位置する方向への前記ロボットの速度が速いほど、前記ロボットの高さまたは幅が大きいほど、または前記ロボットが提供するサービスの前記人間に対する危険度が高いほど、大きくなってよい。
【0016】
前記ロボットの移動を制御する段階は、前記個人領域には進入せず、前記人間が通行する通路を通り過ぎるように前記ロボットの移動を制御してよい。
【0017】
前記ロボットの移動を制御する段階は、前記ロボットが前記個人領域に接近すると、前記ロボットが減速するように前記ロボットの移動を制御してよい。
【0018】
前記ロボットの移動を制御する段階は、前記個人領域に進入せずには前記通路を通り過ぎることが不可能である、または前記通路の幅が所定の値以下であると判断されたときに、前記通路の片側で前記ロボットが停止した状態で待機するように前記ロボットを制御する段階、および前記人間が前記ロボットを通り過ぎてから前記ロボットが移動するように前記ロボットを制御する段階を含んでよい。
【0019】
前記ロボット制御方法は、前記ロボットの走行方向に存在する障害物を認識する段階、前記障害物が人間であるか事物であるかを判定する段階、および前記障害物が人間であると判定されたときに、前記人間と前記ロボットとの距離および前記ロボットが位置する方向への前記人間の移動速度を計算する段階をさらに含み、前記障害物が人間であると判定されたときに、前記個人領域を認識する段階および前記ロボットの移動を制御する段階が実行され、前記ロボットの移動を制御する段階は、前記個人領域を回避するための回避方向を決定する段階、前記個人領域を回避するように前記ロボットの移動方向および前記ロボットの速度を制御する段階、前記個人領域が回避されたかを判定する段階、および前記個人領域が回避された場合または前記人間が前記ロボットを通過した場合に、前記ロボットが目的地に移動するように前記ロボットの移動を制御する段階を含んでよい。
【0020】
前記ロボット制御方法は、前記ロボットが、前記人間が通行する通路で前記人間を通り過ぎる前、前記ロボットが前記人間を通り過ぎている間、および前記人間を通り過ぎた後のうちの少なくとも1つのときに、前記人間に対して前記ロボットの視線(gaze)に対応するインジケータを出力するように前記ロボットを制御する段階をさらに含み、前記インジケータは、前記人間の移動を誘導するための情報、前記人間に対する前記ロボットの感情を示す情報、および前記ロボットの動きを示す情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0021】
前記インジケータを出力するように前記ロボットを制御する段階は、前記ロボットと前記人間との距離が所定の値以下になると、前記ロボットの視線を下げることに対応する前記インジケータを出力するように前記ロボットを制御するか、前記ロボットが移動しようとする方向に対応する方向に前記ロボットの視線が向くように前記インジケータを出力するように前記ロボットを制御するかしてよい。
【0022】
前記ロボットの移動を制御する段階は、前記人間が他の人間または施設とインタラクションしていると判断されたときに、前記人間と前記他の人間または前記施設との間にある空間を通過して移動しないように前記ロボットの移動を制御し、前記間にある空間を通過しなくては前記人間を通過して通り過ぎることができないと判断されたときには、視覚的インジケータおよび聴覚的インジケータのうちの少なくとも1つを前記人間に出力することにより、前記ロボットが前記間にある空間を通過することを前記人間に知らせるか、前記人間に移動を要求するかし、前記人間を通り過ぎるように前記ロボットの移動を制御してよい。
【0023】
前記ロボットの移動を制御する段階は、前記ロボットの少なくとも一部が前記個人領域内に含まれ、前記ロボットが前記人間とともに移動しなければならない場合、人間が他の人間との干渉を回避する動作を模倣する方式により、前記人間および他の人間との干渉を回避するように前記ロボットの移動を制御してよい。
【0024】
前記ロボットと前記人間が同じエレベーターに乗ったり前記エレベーターから降りたりするときに、前記ロボットは、前記エレベーターに乗る前には、前記エレベーターからすべての人間が降りてから前記エレベーターに乗るように制御され、前記エレベーターに乗っている状態では、前記エレベーターに乗ったり前記エレベーターから降りたりする人間の邪魔にならないように前記エレベーターの壁側に移動するように制御されてよい。
【0025】
前記ロボット制御方法は、前記ロボットの移動の制御にしたがい、前記ロボットの減速または停止を示すインジケータを前記ロボットの後方で出力するように前記ロボットを制御する段階をさらに含んでよい。
【0026】
前記ロボット制御方法は、建物内での人間の移動通路と前記ロボットの走行経路が交差する場合、前記交差する前記走行経路の区間に進入する前に、前記ロボットを減速させる、または停止させるように前記ロボットを制御する段階をさらに含んでよい。
【0027】
前記ロボット制御方法は、建物内での前記ロボットの走行経路がコーナーを通過することを含む場合、予め格納された前記コーナーと連関する周辺環境情報に基づき、前記コーナーを通過する前記ロボットの移動を制御する段階をさらに含んでよい。
【0028】
前記周辺環境情報は、前記コーナーの形態に関する情報、前記コーナー周辺の空間に関する情報、および前記コーナー周辺の空間での人口行動の様態に関する情報のうちの少なくとも1つを含み、前記コーナーの形態に関する情報は、前記コーナーを構成する通路の幅に関する情報、前記コーナーの角度に関する情報、および前記コーナーの材料に関する情報のうちの少なくとも1つを含み、前記コーナー周辺の空間に関する情報は、前記コーナー周辺の空間の使用率に関する情報および前記コーナー周辺の障害物の分布に関する情報のうちの少なくとも1つを含み、前記コーナー周辺の空間での人口行動の様態に関する情報は、前記コーナー周辺の空間での人間の移動パターンに関する情報を含んでよい。
【0029】
他の側面において、建物内で移動するロボットであって、コンピュータ読み取り可能な命令を実行するように実現される少なくとも1つのプロセッサを含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記ロボットの走行方向に存在する人間と連関する個人領域を認識し、前記認識された個人領域に基づき、前記人間との干渉を回避するように前記ロボットの移動を制御する、ロボットを提供する。
【発明の効果】
【0030】
一部の実施形態によれば、人間と連関する国または文化圏に関する情報、人間の移動方向、人間の移動速度、人間の身体情報、人間が通行する通路に関する情報、人間と前記ロボットとの距離、ロボットが提供するサービスの種類、ロボットの種類、およびロボットの速度のうちの少なくとも1つによって異なるように認識される人間の個人領域を回避するようにロボットを制御することにより、人間とロボットとの衝突/干渉を防ぎ、人間がロボットに脅威を感じないようにロボットを制御することができる。
【0031】
他の一部の実施形態によれば、ロボットの移動を制御するにあたり、人間の移動を誘導するための情報、人間に対するロボットの感情を示す情報、およびロボットの動きを示す情報を含むインジケータを出力し、人間の行動方式を模倣するようにロボットを制御することにより、人間がロボットに親近感を感じるようにすることができる。
【0032】
さらなる他の一部の実施形態によれば、建物内での人間の移動通路とロボットの走行経路が交差する場合や、ロボットがコーナーを通過して走行する場合のように、死角地帯のある区間をロボットが走行する場合であっても、人間とロボットとの衝突/干渉を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態における、ユーザと連関する個人領域を考慮してユーザとの干渉を回避するようにロボットを制御する方法を示した図である。
図2】一実施形態における、建物内でサービスを提供するロボットを示したブロック図である。
図3】一実施形態における、建物内でサービスを提供するロボットを制御するロボット制御システムを示したブロック図である。
図4】一実施形態における、建物内でサービスを提供するロボットを制御するロボット制御システムを示したブロック図である。
図5】一実施形態における、ユーザと連関する個人領域を考慮してユーザとの干渉を回避するようにロボットを制御する方法を示したフローチャートである。
図6】一例における、ロボットがユーザと連関する個人領域に進入せずにはユーザが通行する通路を通り過ぎることができない場合のロボットの制御方法を示したフローチャートである。
図7】一例における、ユーザの移動通路とロボットの走行経路が交差する領域/コーナーでのロボットの移動制御方法とロボットの移動制御にしたがってインジケータを出力するようにロボットを制御する方法を示したフローチャートである。
図8】一例における、ユーザと連関する個人領域と、このような個人領域を回避する方法を示した図である。
図9】一例における、ユーザと連関する個人領域を回避するための回避方向を決定する方法を示した図である。
図10】一例における、ロボットから出力されるインジケータとして、ロボットの視線に対応するインジケータを示した図である。
図11】一例における、ユーザが他のユーザまたは他の施設とインタラクションしている場合のロボットの制御方法を示した図である。
図12】一例における、ユーザが他のユーザまたは他の施設とインタラクションしている場合のロボットの制御方法を示した図である。
図13】一例における、ユーザが他のユーザまたは他の施設とインタラクションしている場合のロボットの制御方法を示した図である。
図14】一例における、ユーザと連関する個人領域を回避するようにロボットを制御する方法を示した図である。
図15】一例における、通路の幅が狭い場合に、ユーザと連関する個人領域を回避するようにロボットを制御する方法を示した図である。
図16】一例における、複数のロボットを制御する方法を示した図である。
図17】一例における、エレベーターの使用においてロボットを制御する方法を示した図である。
図18】一例における、ユーザの移動通路とロボットの走行経路が交差する領域を走行するときのロボットの制御方法を示した図である。
図19】一例における、コーナーを走行するときのロボットの制御方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0035】
図1は、一実施形態における、ユーザと連関する個人領域を考慮してユーザとの干渉を回避するようにロボットを制御する方法を示した図である。
【0036】
図1は、ロボット制御システム120による制御にしたがって制御されるロボット100と、ロボット100が建物130(または、建物130内の空間)で所定の経路に沿って移動してロボット100の走行方向に存在する人間140(以下、ユーザ140とする)を回避する方法を示している。ロボット100は、建物130内でロボット制御システム120による制御にしたがってサービスを提供するサービスロボットであってよい。以下の詳細な説明では、ロボット100がサービスを提供する建物130内の空間は、説明の便宜上、建物130と指称する。
【0037】
建物130は、多数の人間(またはユーザ)が勤務または常在する空間であって、複数の区画された空間を含んでよい。このような空間は、建物130の外壁や窓、建物130内部のパーティション、または壁によって区分されてよい。ロボット100は、このような建物130内の空間を走行することにより、建物130内の所定の位置で(または、所定の人間に)サービスを提供してよい。ユーザ140は、建物130内を通行する建物内に存在する人間であって、建物130内のある空間から他の空間に自由に移動してよい。
【0038】
ロボット100は、建物130内でサービスを提供するために使用されるサービスロボットであってよい。ロボット100は、建物130の少なくとも1つの階でサービスを提供するように構成されてよい。また、ロボット100は、複数であってよい。すなわち、建物130内で複数のロボットそれぞれが移動しながら、建物130内の適切な位置でまたは適切なユーザにサービスを提供してよい。以下の詳細な説明では、説明の便宜上、ロボット100は、複数のロボットを示すものも含む。ロボット100が提供するサービスは、例えば、宅配伝達サービス、注文によるドリンク(コーヒーなど)伝達サービス、掃除サービス、およびその他の情報/コンテンツ提供サービスのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0039】
ロボット100は、自律走行によって建物130の所定の位置でサービスを提供してよい。ロボット100の移動およびサービスの提供は、ロボット制御システム120によって制御されてよい。ロボット制御システム120の構造については、図3および図4を参照しながら詳しく説明する。ロボット100は、ロボット制御システム120によって設定された経路に沿って走行することにより、所定の位置または所定の人間まで移動してよく、これにより、所定の位置であるいは所定の人間にサービスを提供してよい。
【0040】
図に示すように、ロボット100は、ユーザ140が通行する通路と同じ通路を走行するため、ユーザ140との干渉(または、衝突)が発生しないように、その移動を制御する必要がある。
【0041】
実施形態において、ロボット100(または、ロボット100を制御するロボット制御システム120)は、ロボット100の走行方向に存在するユーザ140と連関する個人領域150を認識し得る。ロボット100(または、ロボット制御システム120)は、認識された個人領域150に基づき、ユーザ140との干渉を回避するようにロボット100の移動を制御し得る。ユーザ140とロボット100との「干渉」とは、ユーザ140とロボット100の両者間において通行の妨げになり得る、すべての状況を包括したものとし得る。例えば、ユーザ140とロボット100との「干渉」は、ユーザ140とロボット100との衝突状況を含んでよい。
【0042】
ユーザ140と連関する個人領域150は、ユーザ140の特性、ロボット100の特性、およびユーザ140が通行する建物130の通路の空間的特性のうちの少なくとも1つによって異なるように構成されてよい。例えば、個人領域150は、ユーザ140がロボット100の位置する方向に移動している(一例として、1m/s)場合には、ユーザ140が移動する方向に向かって延長する形態で構成されてよい。
【0043】
ロボット100(または、ロボット制御システム120)は、このようなユーザ140と連関する個人領域150を認識して回避してよく、これにより、ユーザ140がロボット100に対して脅威を感じないほどに十分に離れた距離からユーザ140を回避するための動作を実行してよい。
【0044】
したがって、ロボット100とユーザ140との干渉(または、衝突)の可能性が低下し、ユーザ140がロボット100の接近に対して脅威を感じる可能性も低下するようになる。
【0045】
ユーザ140と連関する個人領域150を考慮してユーザ140との干渉を回避するようにロボット100を制御するための具体的な方法について、図2~17を参照しながら詳しく説明する。
【0046】
図2は、一実施形態における、建物内でサービスを提供するロボットを示したブロック図である。
【0047】
上述したように、ロボット100は、建物130内でサービスを提供するために使用されるサービスロボットであってよい。ロボット100は、自律走行によって建物130の所定の位置であるいは所定の人間にサービスを提供してよい。
【0048】
ロボット100は、物理的な装置であってよく、図に示すように、制御部104、駆動部108、センサ部106、および通信部102を備えてよい。
【0049】
制御部104は、ロボット100に内蔵された物理的なプロセッサであってよく、図には示していないが、経路計画処理モジュール211、マッピング処理モジュール212、駆動制御モジュール213、ローカリゼーション処理モジュール214、データ処理モジュール215、およびサービス処理モジュール216を含んでよい。このとき、経路計画処理モジュール211、マッピング処理モジュール212、およびローカリゼーション処理モジュール214は、ロボット制御システム120との通信がなされない場合にもロボット100の室内自律走行を可能にするために、実施形態によっては、選択的に制御部104に含まれるものであってよい。
【0050】
通信部102は、ロボット100が他の装置(他のロボットまたはロボット制御システム120など)と通信するための構成であってよい。すなわち、通信部102は、他の装置に対してデータおよび/または情報を送信/受信する、ロボット100のアンテナ、データバス、ネットワークインタフェースカード、ネットワークインタフェースチップ、およびネットワーキングインタフェースポートなどのようなハードウェアモジュール、またはネットワークデバイスドライバ(driver)またはネットワーキングプログラムのようなソフトウェアモジュールであってよい。
【0051】
駆動部108は、ロボット100の移動を制御して移動を可能にする構成であって、これを実行するための装備を含んでよい。
【0052】
センサ部106は、ロボット100の自律走行およびサービス提供において要求されるデータを収集するための構成であってよい。センサ部106は、高価なセンシング装備を含む必要はなく、低価型の超音波センサおよび/または低価型のカメラなどのようなセンサを含んでよい。ロボット100は、走行方向に位置する障害物を識別してよく、このような障害物が事物であるか人間であるかを識別してよい。センサ部106は、このような走行方向に位置する障害物/人間を識別するためのセンサとして、LiDAR、ステレオカメラ(Stereo Camera)、およびToFセンサのうちの少なくとも1つを含んでよい。このような装置により、障害物/人間とロボット100との距離を測定してよい。ロボット100は、認識された障害物が人間であるか事物であるかを、カメラ(または、ステレオカメラ)によって取得した映像情報に基づいて判断してよい。一例として、センサ部106は、ステレオカメラ(Stereo Camera)は含むが、相対的に高価であるLiDARは含まなくてもよい。また、センサ部106は、障害物/人間を識別するためのレーダーを含んでよい。センサ部106からのデータに基づき、ロボット100は、ユーザ140とロボット100との距離、ユーザ140の体の向き、ユーザ140が移動している方向、およびユーザ140の速度のうちの少なくとも1つを取得(計算)してよい。また、センサ部106は、ユーザ140の足音または話し声を感知するためのセンサとして、例えばマイクを含んでよく、建物130内の照度変化を感知するための照度センサを含んでよい。また、センサ部106は、ロボット100に対する物理的な衝撃(衝突)を感知するための衝撃感知センサを含んでよい。
【0053】
このようなセンサ部106の構成により、ロボット100は、i)走行方向に位置する障害物を識別し、ii)このような障害物が事物であるか人間であるかを識別し、iii)人間であるユーザ140の個人領域150を認識し得る。上述したi)~iii)のうちの少なくとも1つは、ロボット100ではなく、ロボットを制御するロボット制御システム120によって実行されてもよい。このような場合、センサ部106に含まれるセンサの構成は簡略化されてよい。
【0054】
制御部104の処理の一例として、制御部104のデータ処理モジュール215は、センサ部106のセンサの出力値を含むセンシングデータを、通信部102からロボット制御システム120に送信してよい。ロボット制御システム120は、建物130内の室内地図に基づいて生成された経路データをロボット100に送信してよい。経路データは、通信部102からデータ処理モジュール215に伝達されてよい。データ処理モジュール215は、経路データを駆動制御モジュール213に直ぐに伝達してよく、駆動制御モジュール213は、経路データにしたがって駆動部108を制御してロボット100の室内自律走行を制御してよい。
【0055】
ロボット100とロボット制御システム120との通信がなされない場合に、データ処理モジュール215は、センシングデータをローカリゼーション処理モジュール214に送信し、経路計画処理モジュール211とマッピング処理モジュール212によって経路データを生成してロボット100の室内自律走行を直接に処理してもよい。
【0056】
ロボット100は、建物130内の室内地図を生成するために使用されるマッピングロボットとは区別されるものであってよい。このとき、ロボット100は、高価のセンシング装備を含まないため、低価型の超音波センサおよび/または低価型のカメラなどのようなセンサの出力値に基づいて室内自律走行を処理してよい。一方、ロボット100が、過去に、ロボット制御システム120との通信によって室内自律走行を処理したことがあれば、ロボット制御システム120から過去に受信した経路データが含むマッピングデータなどをさらに活用することで、低価のセンサを利用しながらも正確な室内自律走行を可能にすることができる。
【0057】
ただし、実施形態によっては、ロボット100が前記マッピングロボットを兼ねてもよい。
【0058】
サービス処理モジュール216は、ロボット制御システム120から受信される命令を、通信部102、または通信部102とデータ処理モジュール215によって受信してよい。駆動部108は、ロボット100の移動のための装備だけでなく、ロボット100が提供するサービスと関連する装備をさらに含んでよい。例えば、食べ物/宅配物伝達サービスを実行するために、ロボット100の駆動部108は、食べ物/宅配物を載せるための構成や食べ物/宅配物をユーザに伝達するための構成(一例として、ロボットアーム(arm))を含んでよい。また、ロボット100は、情報/コンテンツの提供のためのスピーカおよび/またはディスプレイなどをさらに含んでもよい。サービス処理モジュール216は、提供しなければならないサービスのための駆動命令を駆動制御モジュール213に伝達してよく、駆動制御モジュール213は、駆動命令にしたがい、ロボット100や駆動部108が含む構成を制御してサービスが提供されるようにしてよい。
【0059】
ロボット100は、ロボット制御システム120による制御にしたがい、ロボット制御システム120によって設定された経路を走行してよく、建物130内の所定の位置であるいは所定の人間にサービスを提供してよい。上述したように、ロボット100(すなわち、ロボット100の制御部104)は、走行中に、ロボット100の、i)走行方向に位置する障害物を識別し、ii)このような障害物が事物であるか人間であるかを識別し、iii)人間であるユーザ140の個人領域150を認識し、iv)認識された個人領域150に基づき、ユーザ140との干渉を回避するようにロボット100の移動を制御し得る。
【0060】
一方、上述したi)~iv)のうちの少なくとも1つは、ロボット100ではなく、ロボット制御システム120によって実行されてもよい。ロボット100を制御するロボット制御システム120の構成および動作については、図3および図4を参照しながらそれぞれ詳しく説明する。このような場合、ロボット100は、前記i)~iv)のうちの少なくとも1つを実行するのではなく、これを実行するためのセンシングデータをロボット制御システム120に提供するだけであるという点において、ブレインレスロボットに該当してよい。
【0061】
以上、図1を参照しながら説明した技術的特徴は、図2にもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0062】
図3および図4は、一実施形態における、建物内でサービスを提供するロボットを制御するロボット制御システムを示したブロック図である。
【0063】
ロボット制御システム120は、上述したロボット100の建物130内での移動(すなわち、走行)およびロボット100による建物130内でのサービスの提供を制御する装置であってよい。ロボット制御システム120は、複数のロボットそれぞれの移動およびロボットそれぞれのサービスの提供を制御してよい。ロボット制御システム120は、ロボット100との通信により、ロボット100がサービスを提供するための経路を設定してよく、このような経路に関する情報をロボット100に伝達してよい。ロボット100は、受信された経路に関する情報にしたがって走行をしてよく、所定の位置であるいは所定の人間にサービスを提供してよい。ロボット制御システム120は、前記設定された経路にしたがってロボットが移動(走行)するようにロボット100の移動を制御してよい。
【0064】
ロボット制御システム120は、少なくとも1つのコンピュータ装置を含んでよい。
【0065】
ロボット制御システム120は、上述したように、ロボット100の走行のための経路を設定してロボット100の移動を制御する装置であってよい。ロボット制御システム120は、少なくとも1つのコンピュータ装置を含んでよく、建物130内または建物130外部に位置するサーバによって実現されてよい。
【0066】
ロボット制御システム120は、図に示すように、メモリ330、プロセッサ320、通信部310、および入力/出力インタフェース340を含んでよい。
【0067】
メモリ330は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)、およびディスクドライブのような永続的大容量記録装置を含んでよい。ここで、ROMおよび永続的大容量記録装置は、メモリ330とは区分される別の永続的記録装置として含まれてもよい。また、メモリ330には、オペレーティングシステムと、少なくとも1つのプログラムコードが記録されてよい。このようなソフトウェア構成要素は、メモリ330とは別のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からロードされてよい。このような別のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フロッピー(登録商標)ドライブ、ディスク、テープ、DVD/CD-ROMドライブ、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含んでよい。他の実施形態において、ソフトウェア構成要素は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体ではない通信部310を通じてメモリ330にロードされてもよい。
【0068】
プロセッサ320は、基本的な算術、ロジック、および入出力演算を実行することにより、コンピュータプログラムの命令を処理するように構成されてよい。命令は、メモリ330または通信部310によって、プロセッサ320に提供されてよい。例えば、プロセッサ320は、メモリ330にロードされたプログラムコードにしたがって受信される命令を実行するように構成されてよい。このようなプロセッサ320は、図4に示すような構成要素410~440を含んでよい。
【0069】
プロセッサ320の構成要素410~440それぞれは、プロセッサ320の一部であって、ソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュールであってよく、プロセッサによって実現される機能(機能ブロック)を示してよい。プロセッサ320の構成要素410~440については、図4を参照しながら説明する。
【0070】
通信部310は、ロボット制御システム120が他の装置(ロボット100または他のサーバなど)と通信するための構成であってよい。言い換えれば、通信部310は、他の装置に対してデータおよび/または情報を送信/受信する、ロボット制御システム120のアンテナ、データバス、ネットワークインタフェースカード、ネットワークインタフェースチップ、およびネットワーキングインタフェースポートなどのようなハードウェアモジュール、またはネットワークデバイスドライバ(driver)またはネットワーキングプログラムのようなソフトウェアモジュールであってよい。
【0071】
入力/出力インタフェース340は、キーボードまたはマウスなどのような入力装置、およびディスプレイやスピーカのような出力装置とのインタフェースのための手段であってよい。
【0072】
また、他の実施形態において、ロボット制御システム120は、図に示された構成要素よりもさらに多くの構成要素を含んでもよい。
【0073】
図4を参照しながら、プロセッサ320の構成410~440について詳しく説明する。プロセッサ320は、図に示すように、マップ生成モジュール410、ローカリゼーション処理モジュール420、経路計画処理モジュール430、およびサービスオペレーティングモジュール440を含んでよい。このようなプロセッサ320が含む構成要素は、オペレーティングシステムのコードと、少なくとも1つのコンピュータプログラムのコードとによる制御命令(instruction)にしたがってプロセッサ320が含む少なくとも1つのプロセッサが実行する互いに異なる機能(different functions)の表現であってよい。
【0074】
マップ生成モジュール410は、建物130内部で自律走行する(図には示されてない)マッピングロボットが、目標施設物(例えば、建物130の内部)に対して生成したセンシングデータを利用して目標施設物の室内地図を生成するための構成要素であってよい。
【0075】
このとき、ローカリゼーション処理モジュール420は、ロボット100からネットワークを介して受信されるセンシングデータと、マップ生成モジュール410によって生成された目標施設物の室内地図を利用して、目標施設物内部でのロボット100の位置を決定してよい。
【0076】
経路計画処理モジュール430は、上述したロボット100から受信されたセンシングデータと生成された室内地図を利用して、ロボット100の室内自律走行を制御するための制御信号を生成してよい。例えば、経路計画処理モジュール430は、ロボット100の経路(すなわち、経路データ)を生成してよい。生成された経路(経路データ)は、該当の経路に沿ってロボット100を走行させるためにロボット100に対して設定されてよい。ロボット制御システム120は、生成された経路に関する情報を、ネットワークを介してロボット100に送信してよい。一例として、経路に関する情報は、ロボット100の現在地を示す情報、現在地と室内地図とをマッピングするための情報、および経路計画情報を含んでよい。経路に関する情報には、ロボット100が建物130内の所定の位置であるいは所定の人間にサービスを提供するために走行しなければならない経路に関する情報が含まれてよい。経路計画処理モジュール430は、ロボット100のための経路を生成してロボット100に対して設定してよい。ロボット制御システム120は、このように設定された経路に沿って(すなわち、設定された経路に沿って)ロボット100が移動するようにロボット100の移動を制御してよい。
【0077】
上述したローカリゼーション処理モジュール420および経路計画処理モジュール430の動作により、ロボット制御システム120は、ロボット制御システム120によって設定された経路を走行するロボット100に対し、ロボット100が、i)ロボット100の走行方向に位置する障害物を識別し、ii)このような障害物が事物であるか人間であるかを識別し、iii)人間であるユーザ140の個人領域150を認識し、iv)認識された個人領域150に基づき、ユーザ140との干渉を回避するようにロボット100を制御し得る。ロボット制御システム120は、上述したi)~iv)のうちの少なくとも1つを実行するようにロボット100を制御してよく、i)~iv)のうちでロボット制御システム120では実行されないロボット100の制御は、ロボット100自体で実行されてよい。例えば、ロボット100とロボット制御システム120との通信が(一例として、5Gネットワークを利用した通信のように)高速で実行される場合には、i)~iv)のうちの少なくとも1つのロボット100の制御がロボット制御システム120によって実行されてよい。ロボット制御システム120の処理比重をより高くすることにより、ロボット100は高価のセンサを含まなくてもよくなり、これによってロボット100の軽量化および低費用化を図ることができる。
【0078】
サービスオペレーティングモジュール440は、ロボット100が建物130内で提供するサービスを制御するための機能を含んでよい。例えば、ロボット制御システム120または建物130をオペレーティングするサービス提供者は、ロボット100のユーザや製作者に、ロボット制御システム120が提供するサービス(例えば、クラウドサービス)のためのIDE(Integrated Development Environment)を提供してよい。このとき、ロボット100のユーザや製作者は、ロボット100が建物130内で提供するサービスを制御するためのソフトウェアをIDEとして製作してロボット制御システム120に登録してよい。この場合、サービスオペレーティングモジュール440は、該当のロボット100と連関して登録されたソフトウェアを利用して、ロボット100が提供するサービスを制御してよい。具体的な例として、ロボット100が、ユーザが要求した品物(例えば、食べ物または宅配物)を該当のユーザの位置まで伝達するサービスを提供するものであると仮定するとき、ロボット制御システム120は、ロボット100の室内自律走行を制御してロボット100が該当のユーザの位置まで移動するように制御するだけでなく、目的地に到着したときに、ユーザに品物を伝達し、ユーザへの応対音声を出力するという一連のサービスをロボット100が提供するように、関連する命令をロボット100に伝達してよい。
【0079】
以上、図1および図2を参照しながら説明した技術的特徴は、図3および図4にもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0080】
以下の詳細な説明において、ロボット制御システム120またはロボット100の構成によって実行される動作は、説明の便宜上、ロボット制御システム120またはロボット100によって実行される動作として説明する。
【0081】
図5~7を参照しながら説明する段階は、説明の便宜上、ロボット100によって実行されるものと説明しているが、上述したように、このような段階の少なくとも一部はもちろん、ロボット100によって実行されるとして説明する動作の少なくとも一部は、ロボット100を制御するロボット制御システム120で実行されてもよい。これに関して重複する説明は省略することもある。
【0082】
以下の詳細な説明において、ロボット100がユーザ140を通過して通り過ぎるということは、ロボット100がユーザ140の前を通過してユーザ140が通行する通路を通り過ぎることを意味してよい。同じように、ユーザ140がロボット100を通過して通り過ぎるということは、ユーザ140がロボット100の前を通過して前記通路を通行することを意味してよい。
【0083】
図5は、一実施形態における、ユーザと連関する個人領域を考慮してユーザとの干渉を回避するようにロボットを制御する方法を示したフローチャートである。
【0084】
段階S510で、ロボット100は、ロボット100の走行方向に存在する障害物を認識し得る。ロボット100は、上述したセンサ部106に含まれるセンサによって障害物を認識してよい。障害物は、ロボット100が走行する建物130内の事物または建物130自体の構造物、または建物130内を通行するユーザ140を含んでよい。
【0085】
段階520で、ロボット100は、認識された障害物が人間であるか事物であるかを判定し得る。認識された障害物が人間ではなく事物の場合、ロボット100は、通常の障害物回避方法によって該当の障害物を回避するように制御されてよい。これに関しては、すべての方式の障害物回避方法が適用可能であるため、詳しい説明は省略する。認識された障害物が人間であると判定されたとき(すなわち、ユーザ140として判定されたとき)に、実施形態に係るユーザ140と連関する個人領域150の認識と、これに基づくロボット100の回避制御が実行され得る。ロボット100は、例えば、センサ部106に含まれたカメラまたはステレオカメラによって取得された映像情報を分析することにより、認識された障害物が人間であるかを確認してよい。
【0086】
段階525で、ロボット100は、障害物が人間であり、ユーザ140であると判定されたとき、ユーザ140とロボット100との距離およびロボット100が位置する方向へのユーザ140の移動速度を計算してよい。ロボット100は、例えば、センサ部106に含まれたセンサによってユーザ140とロボット100との距離を測定してよく、このような距離の変化に基づいてユーザ140の接近速度を計算してよい。
【0087】
段階530で、ロボット100は、ロボット100の走行方向に存在するユーザ140と連関する個人領域150を認識し得る。例えば、ユーザ140とロボット100との距離およびロボット100が位置する方向へのユーザ140の移動速度に基づき、個人領域150を認識してよい。一例として、ロボット100は、ユーザ140と連関する国または文化圏に関する情報、ユーザ140の移動方向、ユーザ140の移動速度、ユーザ140の身体情報、ユーザ140が通行する通路に関する情報、ユーザ140とロボット100のとの距離、ロボット100が提供するサービスの種類、ロボット100の種類、およびロボット100の速度のうちの少なくとも1つにより、ユーザ140と連関する個人領域150を異なるように認識してよい。
【0088】
図8は、一例における、ユーザ140と連関する個人領域150を示した図である。個人領域150は、ユーザ140の特性、ロボット100の特性、および建物130のユーザ140が通行する通路の空間的特性のうちの少なくとも1つによって異なるように構成されてよく、ロボット100に対してユーザ140が(脅威を感じることなく)安堵を感じることのできる空間を意味してよい。ユーザ140は、個人領域150内にロボット100が進入すると、例えば、ロボット100との衝突の可能性およびロボット100による通行妨害の可能性などによって不便を感じることがある。しかし、ユーザ140は、個人領域150の外部でロボット100が移動する場合には、相対的に不便を感じなくなる。
【0089】
図8に示すように、個人領域150、810は、ユーザ140を中心とした所定の半径(例えば、50cm)の円形として認識されてよい。すなわち、個人領域150は、ユーザ140が停止している場合には、ユーザ140を中心として所定の半径の円形として認識されてよい。この反面、ユーザ140が移動している場合には、ユーザ140が移動する方向に延長する円錐形(または、楕円形)として認識されてよい。例えば、円錐形または楕円形に該当する個人領域150、820の延長部(または、延長部/円錐形、または楕円形の頂点を含む部分)は、ユーザ140が移動する方向の前方に位置してよい。一例として、ユーザ140がロボット100の位置する方向に移動している場合、個人領域150、820の頂点は、ユーザ140からロボット100側に延長する円錐形または楕円形として(あるいは、個人領域150、820の延長部がロボット100側に伸びる円錐形または楕円形として)認識されてよい。例えば、図に示すように、ユーザ140が1m/sの速度で移動している場合、ユーザから個人領域820の頂点(すなわち、延長部の終端部分)までの距離は2mとなってよい。前記頂点は、個人領域150が楕円形の場合には、楕円形の頂点となってもよい。
【0090】
個人領域810、820の大きさ(すなわち、個人領域810の半径および/または個人領域820のユーザ140から頂点までの距離)は、ロボットが位置する方向への前記ユーザの(相対的な)速度が速いほど大きくなってよい。また、個人領域810、820の大きさは、ユーザ140に接近するロボット100の(相対的な)速度が速いほど大きくなってよい。すなわち、ユーザ140が速く移動するとき、またはロボット100が速く接近するときには、ロボット100の接近をより脅威と認識するためである。
【0091】
また、個人領域810、820の大きさは、ユーザ140と連関する(または、該当の建物130が属する)国または文化圏に関する情報によって異なってよい。例えば、ユーザ140が、他のユーザと接触または接近することを避ける傾向にある国または文化圏に属する場合、個人領域810、820をより大きくしてよい。このような、ユーザ140と連関する(または、該当の建物130が属する)国または文化圏に関する情報は、ロボット制御システム120内に格納されているか、ロボット100またはロボット制御システム120がアクセス可能なデータベースに格納されていてよい。
【0092】
また、個人領域150は、ユーザ140の移動方向によってその形状が異なってよい。例えば、個人領域150は、図に示した個人領域820のように、ユーザ140が移動する方向に突出した形状であってよい。
【0093】
また、個人領域810、820の大きさは、ユーザ140の身体情報によって異なってよい。例えば、ユーザ140が、ロボット100に対して拒否感をあまり感じない傾向にあると判断された場合(これは、例えば、予め格納されたユーザ140のプロフィール情報をロボット100またはロボット制御システム120が取得することによって察知可能)には、個人領域810、820がより小さく認識されてよい。または、ユーザ140が男性の場合、女性の場合に比べて個人領域810、820がより小さく認識されてよい。または、ユーザ140の背(または、体格)が大きい場合は、個人領域810、820がより大きく認識されてよい。ユーザ140の背が高ければユーザ140の移動速度が速いと予測されるようになるため、個人領域810、820はより大きく認識されてよい。ユーザ140のプロフィール情報は、ロボット制御システム120内に格納されているか、ロボット100またはロボット制御システム120がアクセス可能なデータベースに格納されていてよい。
【0094】
また、個人領域810、820の大きさは、ユーザ140が通行する通路の幅が狭い場合、広い場合に比べてより大きく認識されてよい。すなわち、ユーザ140は、狭い通路でロボット100と遭遇することを負担に感じる傾向にあるためである。または、ユーザ140が通行する通路に施設(例えば、掲示板、ユーザ140が操作することができるコンピュータ)が配置されている場合は、個人領域810、820がより大きく認識されてよい。ユーザ140が通行する通路に関する情報は、ロボット制御システム120内に格納されているか、ロボット100またはロボット制御システム120がアクセス可能なデータベースに格納されていてよい。
【0095】
また、個人領域810、820の大きさは、ロボット100が提供するサービスの種類やロボット100の種類によって異なるように認識されてよい。例えば、ロボット100が大きい宅配物や熱い(または、零れる恐れのある)食べ物を運ぶサービスを提供している場合、個人領域810、820の大きさは、そうではない場合に比べてより大きく認識されてよい。または、ロボット100が高速で移動可能な場合、そうではない場合に比べて個人領域810、820がより大きく認識されてよい。
【0096】
また、個人領域810、820の大きさは、ロボット100とユーザ140との相対的な大きさの差(背および/または幅の差)によって異なるように認識されてよい。例えば、ロボット100の高さに対してユーザ140の背が所定の値以下であれば、ロボット100がより早くから減速するようになり、より遠くからでもユーザ140を回避することができるように個人領域810、820が大きくなってよい。
【0097】
上述したように、図に示した個人領域820において、ユーザ140が移動する方向に延長する個人領域820の長さは、ユーザ140の速度が速いほど、ユーザ140の背が高いほど、またはユーザ140が通行する通路の幅が狭いほど、大きくなってよい。言い換えれば、個人領域820の頂点(すなわち、延長部の終端部分)からユーザ140までの距離は、ロボット100が位置する方向へのユーザ140の速度が速いほど、ユーザ140の背が高いほど、またはユーザ140が通行する通路の幅が狭いほど、大きくなってよい。
【0098】
また、ユーザ140が移動する方向に延長する個人領域820の長さまたは前記頂点からユーザ140までの距離は、ユーザ140が位置する方向へのロボット100の速度が速いほど、ロボット100の高さまたは幅が大きいほど、またはロボット100が提供するサービスのユーザ140に対する危険度が高いほど、大きくなってよい。
【0099】
段階540で、ロボット100は、認識された個人領域150に基づき、ユーザ140との干渉を回避するようにロボット100の移動を制御し得る。例えば、ロボット100は、個人領域150には進入せず、ユーザ140を通過して通り過ぎるように(すなわち、ユーザ140が通行する通路を通り過ぎるように)移動が制御されてよい。例えば、ロボット100が個人領域150に接近すると減速するように制御されてよい。すなわち、ロボット100は、減速した状態で個人領域150を回避してよい。
【0100】
ロボット100は、上述したように、個人領域150が大きいほどより早くから減速するようになり、より遠くからユーザ140を回避することができるようになる。また、より速い速度で接近してくるユーザ140に対しては、より遠くからユーザ140を回避することができるようになり、停止しているユーザ140に対しては、より近くで回避することができるようになる。図8では、ユーザ140が停止している個人領域810はユーザ140からより近くで回避され、ユーザ140が移動している個人領域820はユーザ140からより遠くから回避される例を示した。
【0101】
段階540により、個人領域150に基づき、ユーザ140との干渉を回避するようにロボット100の移動が制御されることにより、ユーザがロボット100に対して感じる脅威を最小化することができる。
【0102】
以下では、段階544~549を参照しながら、段階540について詳しく説明する。
【0103】
段階544で、ロボット100は、個人領域150を回避するための回避方向を決定してよい。例えば、ロボット100は、左側方向および右側方向のうちでユーザ140と連関する国または文化圏に関する情報に基づいて予め設定された方向で個人領域150に対する進入を回避するようにロボット100の移動を制御してよい。図9では、一例における、ユーザ140と連関する個人領域を回避するための回避方向を決定する方法を示している。図に示すように、ロボット100は、左側方向および右側方向のうちから個人領域150を回避するための回避方向を決定してよい。ロボット100は、例えば、ユーザ140が右側通行をする国または文化圏に属する場合(または、建物130が右側通行をする国または文化圏に属する場合)は、右側方向を回避方向として決定してよい。したがって、このときには、右側通行の規則を違反しないようにユーザ140とロボット100が通行するようになり、ユーザ140はロボット100に対して違和感を感じなくなる。
【0104】
段階546で、ロボット100は、個人領域150を回避するようにロボット100の移動方向およびロボット100の速度を制御してよい。ロボット100は、決定された回避方向に個人領域150を回避するように制御されてよい。また、ロボット100は、ユーザ140の接近速度とロボット100の速度を考慮した上で、個人領域150に進入する所定の時間前に、または個人領域150から所定の距離だけ前から減速されてよい。これにより、ロボット100は、減速した状態で個人領域150を回避することができる。
【0105】
図14は、一例における、ユーザ140と連関する個人領域150を回避するようにロボットを制御する方法を示した図である。図14では、個人領域150は省略して示した。図に示すように、ユーザ140は1m/sの速度で移動しており、ロボット100は0.6m/sの速度で移動している場合、そのまま移動する場合にはロボット100とユーザ140との衝突が予想されるようになる。ロボット100は、決定された回避方向である右側方向に移動してよく、ユーザ140の個人領域150を侵犯しないように予め0.4m/sに減速されてよい。ロボット100は、0.4m/sに減速した状態でユーザ140を通過して通り過ぎてよい。
【0106】
段階548で、ロボット100は、個人領域150が回避されたかを判定してよい。すなわち、ロボット100は、個人領域150を回避している途中に個人領域150の回避に成功したかを判定してよい。
【0107】
段階549で、ロボット100は、個人領域150が回避された場合(すなわち、回避に成功した場合)に、ユーザ140を通過して移動するか、またはユーザ140がロボット100を通過して通り過ぎてから、ロボット100が目的地に移動するようにロボット100の移動を制御してよい。目的地は、ロボット100がサービスを提供する建物130内の位置であってよい。
【0108】
段階550で、ロボット制御システム120は、ロボット100が目的地に移動してサービスを提供するようにロボット100を制御し得る。ロボット制御システム120は、設定された経路に沿ってロボット100が移動してサービスを提供する位置に到着したときに、ロボット100が適切なサービスを提供するようにロボット100を制御してよい。
【0109】
上述した段階510~549とロボット100が実行するロボット100の制御動作/個人領域150の認識動作のうちの少なくとも一部は、ロボット制御システム120によって実行されてもよい。すなわち、ロボット100は、ロボット制御システム120からの制御信号にしたがい、上述した段階510~549によって制御されてよい。これに関し、重複する説明は省略する。
【0110】
以上、図1~4を参照しながら説明した技術的特徴は、図5図8図9、および図14にもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0111】
図6は、一例における、ロボットがユーザと連関する個人領域に進入せずにはユーザが通行する通路を通り過ぎることができない場合のロボットの制御方法を示した図である。
【0112】
以下では、段階610~630を参照しながら、段階540について詳しく説明する。
【0113】
段階610で、ロボット100は、ユーザ140と連関する個人領域150に進入せずにはユーザ140を通過して通り過ぎることが不可能であるかを判定してよい。段階610は、図5を参照しながら説明した段階548に対応してよい。例えば、ユーザ140が通行する通路の幅が所定の値以下として狭い場合、ロボット100が該当の通路を通過するためには、ユーザの個人領域150に進入することが不可避となる。
【0114】
段階620で、ロボット100は、ユーザ140と連関する個人領域150に進入せずにはユーザ140を通過して通り過ぎること(すなわち、前記ユーザ140が通行する通路を通り過ぎること)が不可能であるか、ユーザ140が通行する通路の幅が所定の値以下であると判断されたときには、ユーザ140が通行する通路の片側でロボットが停止した状態で待機するようにロボット100を制御してよい。
【0115】
段階630で、ロボット100は、ユーザ140がロボット100を通り過ぎてからロボット100が移動するようにロボット100を制御してよい。すなわち、ロボット100は、通路が狭いか、やむを得なくユーザ140の個人領域150に進入しなければならない場合には、ユーザ140の通行を妨害せずにユーザ140に違和感を与えないように通路の片側(すなわち、壁)に密着して待機してよく、ユーザ140が通過してから移動してよい。
【0116】
図15は、一例における、通路の幅が狭い場合に、ユーザ140と連関する個人領域150を回避するようにロボット100を制御する方法を示した図である。図15では、個人領域150は省略して示した。図に示すように、ユーザ140は1m/sの速度で移動しており、ロボット100は0.6m/sの速度で移動している場合、そのまま移動する場合にはロボット100とユーザ140との衝突が予想されるようになる。ロボット100は、決定された回避方向である右側方向に移動してよく、ロボット100を認知したユーザ140も、移動速度を0.8m/sに減速してロボット100を回避するために右側方向に移動することが考えられる。通路が狭いため、ロボット100は、ユーザ140の個人領域150に進入しなくては該当の通路を通行することができない。したがって、ロボット100は、通路の右側壁に密接した状態で停止してよく、ユーザ140がロボット100を完全に通過してから移動を続けてよい。
【0117】
上述した段階610~630とロボット100が実行する制御動作のうちの少なくとも一部は、ロボット制御システム120によって実行されてもよい。すなわち、ロボット100は、ロボット制御システム120からの制御信号にしたがい、上述した段階610~630によって制御されてよい。これに関し、重複する説明は省略する。
【0118】
以上、図1~5、図8図9、および図14を参照しながら説明した技術的特徴は、図6および図15に対してもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0119】
図7は、一例における、ユーザの移動通路とロボットの走行経路が交差する領域/コーナーでのロボットの移動制御方法と、ロボットの移動制御にしたがってインジケータを出力するようにロボットを制御する方法を示したフローチャートである。
【0120】
段階710で、ロボット100は、ロボット制御システム120によって設定された経路に沿って走行するときに、移動が制御されてよい。
【0121】
例えば、段階712のように、ロボット100は、ユーザ140の移動通路とロボット100の走行経路が交差する領域を走行する場合に速度が制御されてよい。これと関連し、図18は、一例における、ユーザ140の移動通路とロボット100の走行経路が交差する領域1800を走行するときのロボット100の制御方法を示している。ロボット100は、建物130内でのユーザ140の移動通路とロボット100の走行経路が交差する場合に、交差する走行経路の区間に対応する領域1800に進入する前にロボット100を減速させるか停止させるように制御されてよい。すなわち、ユーザ140の移動通路とロボット100の走行経路が交差する場合には、交差する走行経路の区間に対応する領域1800をユーザ140が通行する可能性が高いため、先制的にロボット100が減速するか停止するように制御してよい。
【0122】
前記ユーザの移動通路は、例えば、交差路、自動ドア、ドア、またはコーナーを含んでよい。図18は、自動ドアまたはドア1810が配置された場合を示している。自動ドアまたはドア1810が開く場合(すなわち、自動ドア1810に設置されたモーションセンサがユーザ140の接近を感知する場合、またはドア1810のロック装置が解除される場合)、これを示す情報がロボット制御システム120(または、ロボット100)に伝達されてよく、このとき、ロボット100は、減速するか停止するように制御されてよい。同じように、エレベーターの乗り場領域(すなわち、エレベーターの扉)とロボット100の走行経路が交差する場合、エレベーターが到着したときには、該当の交差する領域ではユーザ140がエレベーターから降りてくる可能性が高いため、エレベーターが到着したときに、ロボット100は、該当の領域に進入する前に減速するか停止するように制御されてよい。
【0123】
上述したように、自動ドアまたはドア1810の動作に関する制御情報とエレベーターの動作に関する制御情報は、建物130と連関する周辺環境情報としてロボット制御システム120内に格納されているか、ロボット100またはロボット制御システム120がアクセス可能なデータベースに格納されていてよい。
【0124】
他の例として、段階712のように、ロボット100は、建物130内でのロボット100の走行経路がコーナーを通過することを含む場合、周辺環境情報に基づき、ロボット100のコーナーを通過する移動が制御されてよい。周辺環境情報は、ロボット100が通過するコーナーと連関する情報を含んでよい。これと関連し、図19は、一例における、コーナーを走行するときのロボット100の制御方法を示している。
【0125】
一例として、周辺環境情報は、コーナーの形態に関する情報、コーナー周辺の空間に関する情報、およびコーナー周辺の空間での人口行動の様態に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。ここで、コーナーの形態に関する情報は、コーナーの幅(すなわち、コーナーを構成する通路の幅)に関する情報、コーナーの角度に関する情報、およびコーナーの材料(例えば、コーナーを構成する壁の材料)に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。また、コーナー周辺の空間に関する情報は、コーナー周辺の空間の使用率に関する情報およびコーナー周辺の障害物の分布に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。さらに、コーナー周辺の空間での人口行動の様態に関する情報は、前記コーナー周辺の空間でのユーザの移動パターンに関する情報を含んでよい。空間の使用率とは、コーナー周辺の空間に対するユーザの通行の可能性を考慮した使用率を示す情報であってよい。このような使用率は、時間帯(例えば、出勤時間、退勤時間、昼休み時間、または業務集中時間)によって異なってよい。コーナーを走行するとき、ロボット100は、ロボット100が走行する時間帯の、周辺の空間に対する使用率を考慮して制御されてよい。
【0126】
より具体的に説明すると、ロボット100は、コーナーの幅が狭いほど、よりゆっくりと、より緩やかにコーナーを曲がって走行するように制御されてよい。また、ロボット100は、コーナーの角度が小さいほど、(0度である場合にはUターンを示してよい)よりゆっくりと、より緩やかにコーナーを曲がって走行するように制御されてよい。ロボット100は、コーナーの材料が透明な材質である場合(例えば、コーナーの壁が透明なガラスまたはアクリルのような素材で構成される場合)、反対側からコーナーに進入するユーザ140がロボット100によって識別されるはずであるため、このようなユーザ140が識別されない場合には、相対的により速い速度で(すなわち、減速せずに)コーナーを曲がって走行するように制御されてよい。また、ロボット100は、(ロボット100が走行する時間帯に)コーナー周辺の空間の人口密度が高いほど、よりゆっくりとコーナーを曲がって走行するように制御されてよい。また、ロボット100は、コーナー周辺の空間に障害物1910が多いほど、よりゆっくりとコーナーを曲がって走行するように制御されてよい。また、ロボット100は、コーナー周辺の空間での人口行動の様態により(すなわち、ユーザが、主に、走って移動するか、歩いて移動するか、何かを見ながら(例えば、掲示板など)移動するのか、または停止しているのか)、異なる速度でコーナーを曲がって走行するように制御されてよい。コーナー周辺の空間において、ユーザが主に走って移動するか何かを見ながら移動する場合、または何かを見るために停止している場合のような人口行動の様態を示す場合には、ロボット100は、よりゆっくりとコーナーを曲がって走行するように制御されてよい。
【0127】
上述した周辺環境情報は一例に過ぎず、コーナー周辺のCCTV(すなわち、コーナー周辺の空間を撮影するCCTV)からの映像情報に基づいて取得されてよい。または、周辺環境情報は、時間帯による建物130内の空間に対する使用率および/または人口行動の様態のパターンを所定の期間にわたって学習および分析することによって取得されてよい。
【0128】
周辺環境情報は、ロボット制御システム120内に格納されているか、ロボット100またはロボット制御システム120がアクセス可能なデータベースに格納されていてよい。周辺環境情報の少なくとも一部は、マッピングされた室内地図情報に含まれるものであってもよい。例えば、マッピングされた室内地図情報は、建物130内の通路(廊下)の幅と長さに関する情報、通路の傾斜度に関する情報、交差路およびコーナーに関する情報(位置など)、ドア/自動ドア/階段/エレベーターに関する情報(位置など)、床面の凹凸に関する情報(デコボコがあるか滑るかなどを示す情報)を含んでよい。
【0129】
段階710および段階712によるロボット100の制御にしたがい、ユーザ140の移動通路とロボット100の走行経路が交差する場合や、ロボット100がコーナーを通過して走行する場合のように死角地帯がある区間をロボット100が走行する場合であっても、ユーザ140とロボット100との衝突/干渉を防ぐことができる。
【0130】
ロボット100の制御をより具体的に説明すれば、以下の例のとおりとなる。
【0131】
ロボット100は、通路の中央を走行せずに予め設定された方向(例えば、右側)を走行してよい。ユーザ140を回避する場合、右側に他の障害物がある場合には、左側を走行してユーザ140を回避してよい。右側および左側の両方とも空間が十分にない場合は、停止し、ユーザ140が先に通り過ぎるようにしてよい。ロボット100が停止して待機する場合にも、ユーザ140が通り過ぎなければ、ロボット100は壁側にさらに密着してユーザ140の通行を誘導してよい(すなわち、ユーザ140に通行を譲る)。長期間(所定の時間以上)にわたってユーザ140が停止していれば、ロボット100が人間を回避して通り過ぎてよい。ロボット100は、ユーザ140と近距離で向かい合う場合に、「驚き」または「申し訳なさ」を示すインジケータ(例えば、以下で説明するインジケータ1100)を出力してよい。
【0132】
一方、図18に示すように、自動ドアまたはドア1810が開いたと判断されたときに、ロボット100は、自動ドアまたはドア1810が開く範囲(または、自動ドアまたはドア1810が開いてユーザ140が出現するようになる範囲)を考慮して該当の範囲だけ離れて走行してよい。すなわち、図に示すように、ロボット100は、自動ドアまたはドア1810とは反対側の壁側により密着して走行するように制御されてよい(II)。
【0133】
段階720で、ロボット100は、所定のインジケータを状況に応じて出力するように制御されてよい。ロボット100が出力するインジケータは、視覚的インジケータおよび/または聴覚的インジケータを含んでよい。ロボット100が出力するインジケータは、ユーザ140の移動を誘導するようにする情報、ユーザ140に対するロボット100の感情を示す情報、およびロボット100の動きを示す情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0134】
これにより、ロボット100は、ユーザ140を通過して通り過ぎるなどのインタラクションにおいて、マナーの良い人間の移動方式を模倣しながら、ユーザ140に親近感と礼儀正しい態度を感じさせる方式によって制御されてよい。
【0135】
例えば、段階722のように、ロボット100は、ロボット100の視線に対応するインジケータを出力するように制御されてよい。ロボット100がユーザ140を通過して移動する前(すなわち、ユーザ140が通行する通路でユーザ140を通り過ぎる前)、ロボット100がユーザ140を通過して移動している間(すなわち、ユーザ140を通り過ぎている間)、およびユーザ140/ロボット100がロボット100/ユーザ140を通り過ぎた後のうちの少なくとも1つのときに、ロボット100は、ユーザ140に対し、ロボット100の視線(gaze)に対応するインジケータを出力するように制御されてよい。視線に対応するインジケータは、ロボット100の目に対応してよい。これと関連し、図10は、一例における、ロボット100から出力されるインジケータとして、ロボット100の視線に対応するインジケータ1100を示している。ロボット100は、少なくとも1つのディスプレイ1000を含んでよく、インジケータ1100はディスプレイ1000内に表示されてよい。インジケータ1100により、ロボット100は、人間の目と類似する方式によってユーザ140に対して意思を表現してよい。例えば、ロボット100は、ロボット100とユーザ140との距離が所定の値以下になれば、ロボット100の視線を下げることに対応するインジケータ1100を出力するように制御されてよい。また、ロボット100は、ロボット100が移動しようとする方向に対応する方向にロボット100の視線が向くようにインジケータ1100が出力されるように制御されてよい。
【0136】
図10に示した具体的な例において、(a)は、ロボット100の一般的な走行状態のインジケータ1100であって、正面を凝視する様子を示してよい。(d)は、ユーザ140に接近した場合(例えば、2.5m以下まで接近した場合)に、人間140の目を避けるためのインジケータ1100を示してよい(look down)。ロボット100は、通り過ぎるユーザ140を睨んだり凝視したりしないように制御されてよく、ユーザ140との距離が至近距離であるときには、視線を最大限まで下ることにより、ユーザ140の注意を不必要に引かないように制御されてよい。ロボット100は、(d)のように視線を下げることにより、ユーザ140に脅威を与えないようにしてよい。また、(d)は、ロボット100がユーザ140に謝罪または了承を求めるときのインジケータ1100であってよい。(b)および(c)はそれぞれ、ロボット100が左側および右側に移動(回転)するときのインジケータ1100であってよい。すなわち、ロボット100の視線方向を識別することにより、周辺のユーザ140は、ロボット100が移動しようとする方向を認知することができる。(e)は、ユーザ140に対して何かを要求するときや、意思を表現しようとするときのインジケータであってよい(look up)。(f)は、ロボット100が驚いたときのインジケータ1100であってよい(瞳孔拡張)。
【0137】
具体的に、ロボット100は、ユーザ140と近い距離で向かい合うようになった場合には、目を合わせた後(look up)に視線を下げることにより(look down)、ユーザ140に対して謝罪を表現してよい((a)->(e)->(d))。ロボット100は、ユーザ140が所定の時間以上(すなわち、長期間)にわたって経路を塞いでロボット100の通行を止めている場合には、ユーザ140を見上げ(look up)、(ロボット100が通過できるように)経路を空けてくれるように要求してよい((a)->(e))。ロボット100は、ユーザ140がロボット100の通行を止めていた経路を空けてロボット100が通過できるようになれば、嬉しいという視線処理とともに幸せの感情を表現してよい((e)->(f))。例えば、幸せの感情は、(a)および(f)を繰り返すことによって表現してよい(すなわち、インジケータ1100(瞳孔の拡張縮小)を繰り返す)。ロボット100は、ユーザ140が通過するまで待機するときには、視線を下げて(look down)謙遜を表現しながら待機してよく、ユーザ140が通過した後には再び正面を向いてよい((d)->(a))。
【0138】
このように、人間の目を模倣したインジケータ1100の使用により、ロボット100とユーザ140との間の非言語的コミュニケーションを強化することができる。
【0139】
また、例えば、段階724のように、ロボット100は、ユーザ140と他のユーザ/施設のインタラクションによってインジケータを出力するように制御されてよい。ロボット100は、ユーザ140が他のユーザまたは施設とインタラクションしていると判断されたときには、ユーザ140と他のユーザまたは施設との間にある空間を通過して移動しないように制御されてよい。このとき、前記間にある空間を通過しなくてはユーザ140を通過して通り過ぎることができないと判断されたときには、視覚的インジケータおよび聴覚的インジケータのうちの少なくとも1つをユーザ140に出力することにより、ロボット100が間にある空間を通過することをユーザ140に知らせてよく、前記間にある空間を通過するように制御されてよい。または、ロボット100は、前記間にある空間を通過しなくてはユーザ140を通過して通り過ぎることができないと判断されたときには、ユーザ140に移動を要求してよく、ユーザ140が移動した後にユーザ140を通過して通り過ぎてよい。前記施設130は、建物130内に設置された掲示板、キオスク端末、サイネージ装置、またはユーザが使用することのできるその他の電子装置であってよい。ユーザ140が建物130の壁を見て通話をしている場合や単に壁を眺めて立っている場合にも、ロボット100は同じように制御されてよい。
【0140】
これと関連し、図11~13は、一例における、ユーザ140が他のユーザ140-1または施設1300とインタラクションしている場合のロボット100の制御方法を示した図である。
【0141】
図11に示すように、ユーザ140が他のユーザ140-1とインタラクションしている場合に、ロボット100は、ユーザ140と他のユーザ140-1との間を横切らずに移動するように制御されてよい。(b)のように、ユーザ140が経路を空けてくれた場合には、ロボット100は、聴覚的インジケータ(例えば、「ありがとうございます」)を出力することによってユーザ140に感謝を表示してよい。ロボット100は、図に示すものとは異なるインジケータ1100により、非言語的な方式によって感謝を表現してもよい。
【0142】
図12に示すように、ユーザ140が他のユーザ140-1とインタラクションしている場合において、ロボット100がユーザ140と他のユーザ140-1との間を横切らずには移動することができない場合に、ロボット100は、ユーザ140と他のユーザ140-1とのインタラクションを妨害することに対して了承を求めてよい。例えば、(b)のように、ロボット100は「通り過ぎてもいいですか?」のようなインジケータを出力してよい。ユーザ140、140-1が(c)のように経路を空けてくれることによってロボット100が通り過ぎることができるようになれば、ロボット100は「ありがとうございます」のようなインジケータを出力してよい。ロボット100は、図に示すものとは異なるインジケータ1100により、非言語的な方式によって感謝を表現したり了承を求めたりしてよい。また、(c)に示すものとは異なり、ロボット100は、了承を求めた後に、ユーザ140と他のユーザ140-1との間の空間を通り過ぎてもよい。
【0143】
図13に示すように、ユーザ140が施設1300とインタラクションしている場合に、ロボット100は、ユーザ140と施設1300の間にある空間を横切らないように制御されてよい。ロボット100がユーザ140と施設1300との間を横切らなくては移動することができない場合には、ロボット100は、ユーザ140の施設1300に対するインタラクションを妨害することに対して了承を求めてよい。例えば、(c)のように、ロボット100は「失礼します」のようなインジケータを出力してよい。この後、ロボット100は、ユーザ140と施設1300との間を横切って通り過ぎてよい。また、ロボット100は「ありがとうございます」のようなインジケータを出力してもよい。ロボット100は、図に示すものとは異なるインジケータ1100により、非言語的な方式によって感謝を表現したり了承を求めたりしてよい。また、(c)に示すものとは異なり、ユーザ140がロボット100の移動のために経路を空けてくれた場合には、ユーザ140が空けてくれた経路に沿って通り過ぎてもよい。
【0144】
ロボット100がユーザ140と他のユーザ140-1または施設1300との間にある空間を通過して移動することは、ロボット100が通過しなければならない通路が狭い場合(すなわち、ロボット100が前記空間を避けて移動することができない場合)に限ってなされてよい。
【0145】
また、例えば、段階726のように、ロボット100は、走行にしたがい、前方および/または後方でインジケータを出力するように制御されてよい。一例として、ロボット100は、移動するときには前方でインジケータを出力してよい。これは、自動車のヘッドライトに対応してよい。したがって、前方のユーザ140は、ロボット100の接近を認識することができる。また、ロボット100は、ロボット100の移動の制御にしたがい、ロボット100の減速または停止を示すインジケータをロボット100の後方で出力するように制御されてよい。これは、自動車のブレーキランプなどに対応してよい。これにより、ロボット100の後方のユーザ140は、ロボット100が減速しており、必要によっては停止することもあることを認識することができる。ロボット100の前方および/または後方で出力されるインジケータは、明るさが強すぎて歩行者の注意を散漫にしたり、明るさが暗すぎて認識し難くなったりしないように、適切な明るさが維持されてよい。
【0146】
また、ロボット100は、走行中の聴覚的なインジケータとして、例えば、アンビエントサウンド(モータ音またはタイヤが転がる音)を出力してよい。または、ロボット100は、走行中の聴覚的なインジケータとして、ビープ音を出力してよい。または、ロボット100は、死角地帯の前(例えば、図18の領域1800に進入する前、または図19のコーナーに進入する前)でクラクションと類似のサウンドを聴覚的なインジケータとして出力してよい。したがって、ユーザ140が死角地帯にいたとしても、このようなロボット100の聴覚的なインジケータを認識することにより、ロボット100の接近を認知することができる。聴覚的なインジケータのボリュームは、ユーザ140が驚かない程度に適切に調節されてよい。
【0147】
または、視覚的/聴覚的なインジケータとして、柔らかい光と軽快なメロディーのサウンドは、ロボット100の幸せな感情またはユーザ140に対するありがたい感情を示すために使用されてよい。この反面、視覚的/聴覚的なインジケータとして、派手な光と鋭いサウンドは、ロボット100の経路をユーザ140に示すために使用されてよい。
【0148】
上述したように、ロボット100は、適切なインジケータの出力によって礼儀正しくマナーの良い人間の姿を模倣することができ、これにより、ロボット100の接近による脅威をユーザ140が感じないようにすることができる。
【0149】
上述した段階710~726で実行されるロボット100の移動制御およびロボット100のインジケータの出力制御のうちの少なくとも一部は、ロボット制御システム120によって実行されてよい。すなわち、ロボット100は、ロボット制御システム120からの制御信号にしたがい、上述した段階710~726によって制御されてよい。または、上述した段階710~726で実行されるロボット100の移動制御およびロボット100のインジケータの出力制御のうちの少なくとも一部は、ロボット100自体で実行されてもよい。
【0150】
以上、図1~6、図8図9図14、および図15を参照しながら説明した技術的特徴は、図7図10~13、図18、および図19にもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0151】
図16は、一例における、複数のロボットを制御する方法を示した図である。
【0152】
図に示すように、複数のロボットら100がサービスの提供のためにともに走行する場合がある。このとき、ロボットら100は、横方向に並んで走行するのではなく、縦方向に並んで走行するように制御されてよい。すなわち、ロボットら100は、ユーザ140が通路を通行することができる十分な空間が保たれるように走行してよい。
【0153】
以上、図1~15、図18、および図19を参照しながら説明した技術的特徴は、図16にもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0154】
図17は、一例における、エレベーターの使用においてロボットを制御する方法を示した図である。
【0155】
図5を参照しながら説明した段階540において、ユーザ140との干渉を回避するようにロボット100の移動を制御するときにも、ロボット100の少なくとも一部がユーザ140と連関する個人領域150内に含まれ、ロボット100がユーザ140とともに移動しなければならない場合がある。このとき、ロボット100は、人間が他の人間との干渉を回避する動作を模倣する方式により、ユーザ140および他のユーザ(ら)140-1~140-4との干渉を回避するように移動が制御されてよい。一例として、ロボット100は、ユーザ(ら)140-1~140-4とともにエレベーターに乗る場合に、人間が他の人間に配慮するような行動と同じように動作するように制御されてよい。
【0156】
ロボット100の少なくとも一部がユーザ140と連関する個人領域150内に含まれ、ロボット100がユーザ140とともに移動しなければならない場合としては、例えば、ロボット100がユーザ140と同じエレベーター1700に乗ったり、ユーザ140とともに乗ったエレベーター1700から降りたりする場合などが考えられる。このとき、ロボット100は、エレベーター1700に乗る前には、エレベーター1700からすべてのユーザが降りてからエレベーターに乗るように制御されてよい。一方、ロボット100は、エレベーター1700に乗っている状態では、エレベーター1700に乗ったりエレベーター1700から降りたりするユーザの邪魔にならないようにエレベーター1700の壁側に移動するように制御されてよい。
【0157】
より具体的に説明すると、ロボット100がエレベーター1700を待っているときに、エレベーター1700の扉から斜め方向に立って待機することにより(すなわち、扉の前を空けて待機)、エレベーター1700から降りてくるユーザの邪魔にならないようにしてよい(丸数字の1)。また、エレベーター1700の乗り場にエレベーター1700を待つユーザが多くいる場合は、このようなユーザの後ろで待機してよい。ロボット100がエレベーター1700に乗るときには、エレベーター1700からすべてのユーザが降りた後に(丸数字の2)、エレベーターに乗り込んでよい(丸数字の3)。ロボット100が乗り込もうとするときにエレベーター1700から降りようとするユーザがいる場合には、このユーザのための空間を確保するために、ロボット100は右側または左側に密着してよい。右側または左側に密着しても十分な空間が確保されない場合には、ロボット100は後進してもよい。ロボット100が後進する場合には、これを示すインジケータ(視覚的/聴覚的なインジケータ)が出力されてよい。ロボット100は、後方に人間または障害物がない場合には速かに後進してよく、人間または障害物がある場合にはゆっくり後進することにより、人間または障害物との衝突を防ぐことができる。エレベーター1700に乗っている状態では、エレベーター1700に乗ろうとしたりエレベーター1700から降りようとしたりするユーザの邪魔にならないように、エレベーター1700の壁側に移動してよい(丸数字の4)。一方、ロボット制御システム120は、エレベーター制御システムと連動することにより、エレベーター1700に乗ろうとするユーザがいる場合には、エレベーター1700の扉が閉まらないように扉を強制開放してよい。また、ロボット100は、エレベーターが満員の状態のときに他のユーザ(または、体に不自由があるか障害者(または、車寄子))がエレベーターに乗り込もうとしていると判断されたときには、エレベーター1700の壁側にさらに密着して空間を確保するか、エレベーターから一時的に降りて空間を譲ってよい(丸数字の5)。
【0158】
ロボット100は、エレベーター1700内でロボット100を凝視するユーザに挨拶をしてよい。挨拶は、上述したインジケータ1100またはその他の視覚的/聴覚的なインジケータによって表現されてよい。
【0159】
以上、図1~16、図18、および図19を参照しながら説明した技術的特徴は、図17にもそのまま適用可能であるため、重複する説明は省略する。
【0160】
上述したシステムまたは装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組み合わせによって実現されてよい。例えば、実施形態で説明された装置および構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令を実行して応答することができる様々な装置のように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータを利用して実現されてよい。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)およびOS上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行してよい。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答し、データにアクセスし、データを記録、操作、処理、および生成してもよい。理解の便宜のために、1つの処理装置が使用されるとして説明される場合もあるが、当業者は、処理装置が複数個の処理要素および/または複数種類の処理要素を含んでもよいことが理解できるであろう。例えば、処理装置は、複数個のプロセッサまたは1つのプロセッサおよび1つのコントローラを含んでよい。また、並列プロセッサのような、他の処理構成も可能である。
【0161】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、またはこれらのうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよく、思うままに動作するように処理装置を構成したり、独立的または集合的に処理装置に命令したりしてよい。ソフトウェアおよび/またはデータは、処理装置に基づいて解釈されたり、処理装置に命令またはデータを提供したりするために、いかなる種類の機械、コンポーネント、物理装置、仮想装置、コンピュータ記録媒体または装置に永続的または一時的に具現化されてよい。ソフトウェアは、ネットワークによって接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された状態で記録されても実行されてもよい。ソフトウェアおよびデータは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてよい。
【0162】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって実行可能なプログラム命令の形態で実現されてコンピュータ読み取り可能な媒体に記録されてよい。前記コンピュータ読み取り可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含んでよい。前記媒体に記録されるプログラム命令は、実施形態のために特別に設計されて構成されたものであっても、コンピュータソフトウェア当業者に公知な使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような光磁気媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を格納して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例は、コンパイラによって生成されるもののような機械語コードだけではなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。
【0163】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0164】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付される特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0165】
100:ロボット
120:ロボット制御システム
130:建物
140:ユーザ
150:個人領域
図1
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