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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20221005BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20221005BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B66F9/075 A
B66F9/24 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020218421
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103659
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋場 亨
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 智弘
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/109000(WO,A1)
【文献】特開2005-200200(JP,A)
【文献】特開平11-348662(JP,A)
【文献】特開2004-260969(JP,A)
【文献】特開2008-062850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B66F 9/075
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリからの電力で駆動されるバッテリ式の作業車両であって、
前輪と後輪の間で、前記バッテリの底部より上下方向の下方かつ車体の底部よりも上方に配置された機器収容部と、
前記機器収容部の後方に車幅方向に延材するように配置されたヒートシンクと、
前記機器収容部において前記ヒートシンクより側方に外側を向いて配置された前記ヒートシンクの吸込口と、
前記機器収容部において前記ヒートシンクより前方に配置され、前下方を向いて配置された前記ヒートシンクの吐出口と、
を備え
前記機器収容部の前方であって、前記ヒートシンクより前方に、油圧タンクとポンプとを収容する、
作業車両。
【請求項2】
前記機器収容部は、前方の車幅方向の幅が狭く、後方の車幅方向の幅が広い、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記機器収容部の後方に配置された前記ヒートシンクの前後方向に面した面に電気機器が配置されている、請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記機器収容部の前方の車幅方向の外側には、昇降ステップが配置されている、請求項2又は3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記吐出口は、前記昇降ステップより上下方向の下方に配置されている、請求項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記吐出口の周辺に配置されたファン、を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリが搭載された作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、走行用に用いる電動機を搭載し、この電動機にバッテリから電力の供給をして走行させる作業車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/137582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のバッテリ式のフォークリフトでは、運転席の下方にバッテリケースが配置されている。また、バッテリケースの底面から車体のフレームの底面までの空間にコントローラ、作業機電動機、作動油タンク等の機器を配置することがある。この場合、車体のフレームの底面から路面までの距離、いわゆる最低地上高を大きくとることが難しい。最低地上高が低い場合、傾斜面等の登坂時に、傾斜面の終端部で車体のフレームの底面と路面とが干渉するおそれがある。
【0005】
そこで、車体のフレームの底面と路面とが干渉しないように、車体のフレームの底面を高く配置することが望まれる。ところが、オペレータの昇降のしやすさ及び操作性から、運転席の高さは制限される。このため、運転席の下方から車体のフレームの底面までの空間は限られたスペースになる。運転席の下方において、バッテリケースの底面から車体のフレームの底面までの空間に配置される機器の配置には改良の余地がある。
【0006】
本発明は、バッテリケースの底面から車体のフレームの底面までの空間に配置される機器を適切に配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従えば、前輪と後輪の間に配置された機器収容部と、前記機器収容部の後方に車幅方向に延材するように配置されたヒートシンクと、前記機器収容部において前記ヒートシンクより側方に外側を向いて配置された前記ヒートシンクの吸込口と、前記機器収容部において前記ヒートシンクより前方に外側を向いて配置された前記ヒートシンクの吐出口と、を備える作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、バッテリケースの底面から車体のフレームの底面までの空間に配置される機器を適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係るフォークリフトを左方から見た側面図である。
図2図2は、本実施形態に係るフォークリフトを左前方から見た斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るフォークリフトを左後方から見た斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るフォークリフトに配置されたバッテリを左方から見た模式図である。
図5図5は、車体、前輪及び後輪の平面図である。
図6図6は、後輪の部分拡大図である。
図7図7は、後輪及び車体の軌跡を示す概略図である。
図8図8は、機器類が収納された機器収容部の平面図である。
図9図9は、車体の左方の部分拡大図である。
図10図10は、車体の右方の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[フォークリフト]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1を左方から見た側面図である。図2は、本実施形態に係るフォークリフト1を左前方から見た斜視図である。図3は、本実施形態に係るフォークリフト1を左後方から見た斜視図である。図4は、本実施形態に係るフォークリフト1に配置されたバッテリ50を左方から見た模式図である。図1ないし図4に示すように、本実施形態においては、作業車両がフォークリフト1であることとする。本実施形態において、フォークリフト1は、バッテリ50からの電力で駆動されるバッテリ式のフォークリフトである。フォークリフト1は、作業車両用バッテリとしてのバッテリ50及びこのバッテリ50から供給される電力によって駆動される少なくとも1個の図示しない電動機を備える、バッテリ式の作業車両である。少なくとも1個の電動機は、例えば、フォークリフト1を走行させるための電動機である。
【0012】
以下において、フォークリフト1は、フォーク31が配置された側が前方であり、カウンタウエイト20が配置された側が後方である。本実施形態においては、左右とは前方に対する左右をいうものとする。左右方向は、フォークリフト1の本体としての車体10の幅方向である。上方は、前輪21及び後輪(後輪タイヤ)22の4個と接地する平面(接地平面)に直交し、かつ接地平面から前輪21又は後輪22の回転軸AX(図5参照)に向かう側である。下方は、前輪21又は後輪22の回転軸AXから接地平面に向かう側である。なお、前輪21及び後輪22の数は限定されず、例えば、後輪22が車体10の中央部に1個配置されているものもある。
【0013】
車体10の前後方向に向かい、かつ車体10の幅方向中心を通る軸を前後軸といい、前後軸に直交し、設置平面と平行かつ車体10の車幅方向に向かう軸を左右軸という。車体10の上下方向に向かう軸を上下軸という。上下軸は、前後軸と左右軸との両方に直交する。前後軸はX軸であり、上下軸はY軸であり、左右軸はZ軸である。
【0014】
図1ないし図3に示すように、車体10は、フレーム11と、フレーム11に支持される運転室40と、同じくフレーム11に支持されるバッテリ50が収容されるバッテリ室を形成する収容部12と、収容部12の前方に配置されているフロアプレート13と、フロアプレート13より車幅方向外側に配置された昇降ステップ14と、フロアプレート13より前方における上方に配置されたダッシュボード15と、機器収容部16とを有する。フレーム11には、バッテリ50が配置されている。
【0015】
図4に示すように、車体10のフレーム11と接地面との距離、言い換えると最低地上高をh1とする。最低地上高h1は、図示しないエンジン式のフォークリフトと同程度の例えば150mm以上200mm以下程度の範囲である。
【0016】
図4に示すように、後輪22の上方の車体10のフレーム11の底面と接地面との距離をh2とする。後輪22のタイヤ径d1が大きくなることにより、h2も、図示しない従来のバッテリ式のフォークリフトより大きくなる。後輪22のタイヤ径d1が大きくなることについては後述する。
【0017】
図2に示すように、フロアプレート13は、前後方向において収容部12とダッシュボード15との間に配置されている。フロアプレート13には、運転室40の運転席41に着座したオペレータの足が配置される。
【0018】
昇降ステップ14は、フロアプレート13の車幅方向両側に配置されている。車幅方向において、昇降ステップ14は、フロアプレート13の隣に配置されている。オペレータは、車幅方向左方の昇降ステップ14を昇降する。オペレータは、車幅方向左方の昇降ステップ14を経由して、運転室40に乗車したり、運転室40から降車したりする。
【0019】
図1に示すように、車体10の内部、かつバッテリ50の底部50aよりも下方かつ車体10の底部10aよりも上方には、機器収容部16が設けられる。機器収容部16は、油圧機器及び電気機器を収容する空間である。機器収容部16は、バッテリ50の底部50aから車体10のフレーム11の底面までの空間である。機器収容部16は、前輪21と後輪22との間、より詳しくは、前輪21より後方、後輪22より前方に配置されている。機器収容部16は、フロアプレート13及び運転席41の下方に配置されている。機器収容部16の前方の車幅方向の外側には、昇降ステップ14が配置されている。機器収容部16は、前方の車幅方向の幅が狭く、後方の車幅方向の幅が広く形成されている。
【0020】
車体10のフレーム11の最低地上高によって、機器収容部16の配置及び形状が制限される。上述したように運転席41の高さが制限されているので、車体10のフレーム11の最低地上高が大きくなるほど、機器収容部16のスペースが制限される。このため、フレーム11の最低地上高は、所定の範囲内に収めることが望まれる。
【0021】
車体10の後端部には、カウンタウエイト20が配置されている。フォークリフト1は、カウンタバランス型のフォークリフトとして説明するが、これに限定されない。カウンタウエイト20は、フォーク31が荷物を支持した場合に釣り合いをとるためのウエイトである。
【0022】
図5は、車体10、前輪21及び後輪22の平面図である。図6は、後輪22の部分拡大図である。図7は、後輪22及び車体10の軌跡を示す概略図である。図6図7においては、車両が左方に旋回する状態を図示する。図5ないし図7に示すように、車体10の左前方に前輪21Lが配置され、右前方に前輪21Rが配置されている。車体10の左後方に後輪22Lが配置され、右後方に後輪22Rが配置されている。後輪22Rは、回転軸AXRを中心にして回動する。後輪22Lは、回転軸AXLを中心にして回動する。前輪21Rと前輪21Lとの区別を要しない場合、前輪21とする。後輪22Rと後輪22Lとの区別を要しない場合、後輪22とする。回転軸AXLと回転軸AXRとの区別を要しない場合、回転軸AXとする。
【0023】
図1に示す後輪22のタイヤ径d1は、図示しないエンジン式のフォークリフトの後輪のタイヤ径と同程度である。なお、図示しない従来のバッテリ式のフォークリフトの後輪のタイヤ径は、エンジン式のフォークリフトの後輪のタイヤ径より小さい。従来のバッテリ式のフォークリフトの後輪のタイヤ径が小さいのは、上述したように高さが制限された運転席41の下方に、後述するバッテリ50及び機器類を収容するスペースを確保するためである。本実施形態の後輪22のタイヤ径d1は、従来のバッテリ式のフォークリフトの後輪のタイヤ径より大きい。後輪22のタイヤ径d1を大径にする理由は、フォークリフト1が、屋外において轍やくぼみ等の悪路を通過する際に、後輪22が轍やくぼみ等にはまる可能性を低減するためである。後輪22のタイヤ径d1は、例えば500mm以上610mm以下である。後輪22のタイヤ径d1は、前輪21のタイヤ径に比べて小径である。
【0024】
図6には、旋回時における後輪22の外形の一例を破線で示している。図6に示すように、後輪22のタイヤ径d1が大きくなると、旋回時に後輪22が通過する軌跡が大きくなる。旋回時に、後輪22が、車体10のフレーム11に触れないように、フレーム11の形状を規定する必要がある。車体10のフレーム11の後端部は、後輪22が通過する軌跡に干渉しないように位置及び形状が規定される。より詳しくは、後輪22のタイヤ径d1を大きくすることにより、フレーム11の前後方向の長さが短くなる。これにより、前輪21と後輪22との間の車体10の中央部の容積が従来のバッテリ式のフォークリフトに比べて小さくなる。フレーム11に配置される後述する機器収容部16の位置及び大きさが制限される。
【0025】
図7に示すように、後輪22Rの旋回半径をR1とし、後輪22Lの旋回半径をR2とする。図7に示すL1は、後輪22Rの回転軸AXRの軌跡を示す。図7に示すL2は、車体10の後端部の軌跡を示す。図1に示す前輪21と後輪22との間の距離であるホイールベースAが長くなると、旋回半径R1及び旋回半径R2が大きくなる。そこで、ホイールベースAは、従来のバッテリ式のフォークリフトと同じとする。
【0026】
図1に示すフォークリフト1の前輪21及び後輪22の接地面からホイールベースAの中心の車体10のフレーム11の底面を通る直線がなす角度のうちの小さい方をランプブレークオーバーアングルθという。ランプブレークオーバーアングルθは、図示しないエンジン式のフォークリフトと同程度の例えば23°以上26°以下程度の範囲とする。車体10のフレーム11の底面から路面までの距離、いわゆる最低地上高が低いほど、ランプブレークオーバーアングルθが小さくなる。ランプブレークオーバーアングルθが小さい場合、登坂時に、傾斜面の終端の傾斜角度が大きい場合、車体10のフレーム11の底板が傾斜面に干渉するおそれがある。そこで、最低地上高は所定の高さを有することが望ましい。
【0027】
車体10の前方には、荷物の積み降ろし又は移動を行うためのフォーク31が配置されている。フォーク31は、上下方向に沿って配置されたマスト32に支持される。フォーク31は、マスト32との間に配置されたリフトシリンダ33が駆動することによって、マスト32に沿って昇降する。マスト32は、下端部が、左右軸回りに回転可能に車体10に取り付けられる。マスト32は、車体10との間に配置された、ティルトシリンダ34が駆動することによって、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。
【0028】
[バッテリ]
バッテリ50は、フォークリフト1の動力源である。バッテリ50は、充電式バッテリである。バッテリ50は、充電時における水素の発生が抑制される、メンテナンスが容易なバッテリである。バッテリ50は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等である。バッテリ50の充電作業は、定期的に又は必要に応じて実施される。
【0029】
図4に示すように、バッテリ50は、箱形状のバッテリケース51と、図示しない複数のバッテリセルとを備える。バッテリ50は、バッテリケース51内に、複数のバッテリセルが収納されている。運転席41の下方に、第1バッテリケース52と第2バッテリケース53とを含むバッテリケース51が配置される。本実施形態では、第2バッテリケース53は、運転席41の真下に位置する第1バッテリケース52より高く配置されている。これにより、運転席41の高さ及び運転席41と昇降ステップ14との位置関係が従来通りに保たれる。
【0030】
第1バッテリケース52は、バッテリ50のうち前方を収容する。第1バッテリケース52は、収容部12の前方に配置されている。第1バッテリケース52は、運転席41の下方に配置されている。第1バッテリケース52は、前方のバッテリセルを収容する。
【0031】
第2バッテリケース53は、収容部12の後方で、第1バッテリケース52の後方に配置されている。第2バッテリケース53は、運転席41の後方の下側に配置されている。第2バッテリケース53は、第1バッテリケース52と段差を有する。本実施形態では、第2バッテリケース53は、第1バッテリケース52より高い位置に配置されている。第2バッテリケース53は、車体10の後方寄りに配置されている。第2バッテリケース53は、後方のバッテリセルを収容する。
【0032】
バッテリケース51の第2バッテリケース53の上方に、安全回路等を収納する収納ケース57が配置されている。収納ケース57は、箱形状に形成されている。収納ケース57には、例えば、図示しないヒューズ及びコンタクタ等が収容されている。
【0033】
[機器類]
図8は、機器類が収納された機器収容部16の平面図である。図9は、車体10の左方の部分拡大図である。図10は、車体10の右方の部分拡大図である。図8においては、機器収容部16を破線で示している。図8に示すように、荷役電動機61、荷役電動機61に取り付けられた荷役ポンプ(ポンプ)61P、電動走行モータ62、作動油タンク(油圧タンク)63、荷役コントローラ(電気機器)64、走行コントローラ(電気機器)65、電源コントローラ(電気機器)66、通信コントローラ67、ヒートシンク68及び排気ダクト69等の機器類は、機器収容部16に収納される。作動油タンク63と荷役ポンプ61Pとは、機器収容部16の前方に収容されている。機器収容部16の後方に配置されたヒートシンク68の前後方向に面した面に電気機器である荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67が配置されている。荷役電動機61、荷役ポンプ61P、電動走行モータ62、作動油タンク63、荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67は、熱を発生する発熱体である。このため、機器収容部16は、温度が上昇しやすい。
【0034】
荷役電動機61は、フォーク31を動作させる作動油に油圧を発生させる動力を生成する電動機である。荷役電動機61は、荷役コントローラ64によって制御される。本実施形態では、荷役電動機61は、機器収容部16の前方の左側に配置されている。荷役電動機61及び荷役ポンプ61Pは、開口73の近傍に配置されている。荷役電動機61及び荷役ポンプ61Pは、荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67より前方に配置されている。荷役電動機61及び荷役ポンプ61Pは、機器収容部16内に流入する空気によって冷却される。荷役電動機61及び荷役ポンプ61Pの周辺を通過する際に昇温された空気は、ヒートシンク68を通って冷却されて吐出口72から外部に吐出される。
【0035】
電動走行モータ62は、フォークリフト1を走行させる動力を生成する電動機である。電動走行モータ62は、走行コントローラ65によって制御される。本実施形態では、電動走行モータ62は、機器収容部16の前方の右側に配置されている。電動走行モータ62は、荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67より前方に配置されている。電動走行モータ62は、機器収容部16内に流入する空気によって冷却される。電動走行モータ62の周辺を通過する際に昇温された空気は、ヒートシンク68を通って冷却されて吐出口72から外部に吐出される。
【0036】
作動油タンク63は、作動油を溜めるタンクである。作動油タンク63は、機器収容部16の中間部の右方に配置されている。本実施形態では、作動油タンク63は、電動走行モータ62よりも車体10の後方に配置される。作動油タンク63は、開口74の近傍に配置されている。作動油タンク63は、荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67より前方に配置されている。作動油タンク63は、機器収容部16内に流入する空気によって冷却される。作動油タンク63の周辺を通過する際に昇温された空気は、ヒートシンク68を通って冷却されて吐出口72から外部に吐出される。
【0037】
荷役コントローラ64は、荷役電動機61を動作させる制御を行う。本実施形態では、荷役コントローラ64は、機器収容部16の後方の中央部に配置されている。荷役コントローラ64は、周面の少なくとも一部を接触させた状態で、ヒートシンク68の前方を向いた表面に配置されている。荷役コントローラ64は、ヒートシンク68によって冷却される。
【0038】
走行コントローラ65は、フォークリフト1の走行に関する制御を行う。本実施形態では、走行コントローラ65は、機器収容部16の後方の右部に配置されている。走行コントローラ65は、周面の少なくとも一部を接触させた状態で、ヒートシンク68の前方を向いた表面に配置されている。走行コントローラ65は、ヒートシンク68によって冷却される。
【0039】
電源コントローラ66は、バッテリ50の充電を制御する。本実施形態では、電源コントローラ66は、機器収容部16の後方の左部に配置されている。電源コントローラ66は、バッテリ50の状態を監視する機能を有する。電源コントローラ66は、周面の少なくとも一部を接触させた状態で、ヒートシンク68の前方を向いた表面に配置されている。電源コントローラ66は、ヒートシンク68によって冷却される。
【0040】
通信コントローラ67は、フォークリフト1の通信を制御する。本実施形態では、通信コントローラ67は、機器収容部16の後方の左部に配置されている。通信コントローラ67は、周面の少なくとも一部を接触させた状態で、ヒートシンク68の後方を向いた表面に配置されている。通信コントローラ67は、ヒートシンク68によって冷却される。
【0041】
ヒートシンク68は、荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67を冷却する。ヒートシンク68は、車体10の下方に配置されている。ヒートシンク68は、機器収容部16の後方に配置されている。ヒートシンク68は、車幅方向に延材している。ヒートシンク68の内部は、気体通路になっている。ヒートシンク68の前方を向いた表面には、荷役コントローラ64、走行コントローラ65及び電源コントローラ66の周面の少なくとも一部が接触した状態で配置されている。荷役コントローラ64、走行コントローラ65及び電源コントローラ66は、左右方向に並んで配置されている。ヒートシンク68の後方を向いた表面には、通信コントローラ67の周面の少なくとも一部が接触した状態で配置されている。
【0042】
ヒートシンク68の気体通路の下流側に、排気ダクト69が連結されている。排気ダクト69は、ヒートシンク68の気体流路の内部の空気を車体10の外部へ吐出する。排気ダクト69は、上流側がヒートシンク68の下流側に接続され、下流側が吐出口72に接続されている。
【0043】
図10に示すように、吸込口71は、機器収容部16においてヒートシンク68より側方に外側を向いて配置されている。ヒートシンク68の気体流路の上流側に、ヒートシンク68の吸込口71が配置されている。本実施形態では、吸込口71は、車体10の右方の昇降ステップ14の後方に形成されている。本実施形態では、吸込口71は、車体10の右方に配置されている。本実施形態では、吸込口71は、右方を向いている。吸込口71は、ヒートシンク68の内部の空間と接続されている。吸込口71から吸い込まれた空気は、ヒートシンク68の内部の空間に供給される。
【0044】
図9に示すように、吐出口72は、機器収容部16においてヒートシンク68より前方に外側を向いて配置されている。排気ダクト69の下流側に、ヒートシンク68の吐出口72が配置されている。排気ダクト69の下流側で、吐出口72より上流側には、吐出口72から空気を吐出させるファン72Fが配置されている。ファン72Fは、吐出口72の周辺に配置されている。本実施形態では、吐出口72及びファン72Fは、車体10の左方の昇降ステップ14の下方に形成されている。本実施形態では、吐出口72及びファン72Fは、車体10の左方に配置されている。本実施形態では、吐出口72は、前下方を向いている。吐出口72は、ヒートシンク68に接続された排気ダクト69に接続されている。吐出口72は、排気ダクト69を介してヒートシンク68の内部の空間と接続されている。吐出口72は、ファン72Fによってヒートシンク68を通過して昇温された空気を車体10の外部に吐出する。
【0045】
図9に示すように、本実施形態では、開口73は、車体10の左方の昇降ステップ14の下方に形成されている。本実施形態では、開口73は、車体10の左方に配置されている。本実施形態では、開口73は、左方を向いている。
【0046】
図10に示すように、本実施形態では、開口74は、車体10の右方の昇降ステップ14の下方に形成されている。本実施形態では、開口74は、車体10の右方に配置されている。本実施形態では、開口74は、右方を向いている。
【0047】
図10に示すように、本実施形態では、開口75は、車体10の右方の昇降ステップ14の下方に形成されている。本実施形態では、開口75は、車体10の左方に配置されている。本実施形態では、開口75は、前下方を向いている。
【0048】
さらに機器収容部16には、車体10の前方からも空気が流入する。
【0049】
ファン72Fが動作することによって、吸込口71からヒートシンク68の気体流路へ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気が気体通路を通過する過程で荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67を冷却する。荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67を冷却して昇温した空気は、気体流路から排気ダクト69を通過して、吐出口72から車体10の外部へ吐出される。
【0050】
本実施形態では、荷役電動機61、荷役ポンプ61P、電動走行モータ62及び作動油タンク63は、車体10の前後方向に沿って配置され、車体10の幅方向両側に荷役コントローラ64、走行コントローラ65、電源コントローラ66及び通信コントローラ67が配置されている。このように配置することにより、スペースが限られた機器収容部16において、車体10の外部から流入した空気を使用して適切に機器類を冷却可能である。
【0051】
[効果]
本実施形態は、機器収容部16の後方に車幅方向に延材するように配置されたヒートシンク68と、機器収容部16においてヒートシンク68より前方に外側を向いて配置された吸込口71と、機器収容部16においてヒートシンク68より前方に外側を向いて配置された吐出口72とを備える。本実施形態によれば、上記のような配置により、機器収容部16の上下方向の高さを低く、前後方向の長さを短くできる。本実施形態は、このように配置することにより、スペースが限られた機器収容部16において、車体10の外部から流入した空気を使用して適切に機器類を冷却することができる。
【0052】
本実施形態では、機器収容部16の前方に、作動油タンク63と荷役ポンプ61Pとを収容する。本実施形態は、高温になる油圧機器を、車体10の外部から吸い込んだ空気で冷却することができる。
【0053】
本実施形態は、電気機器をヒートシンク68の前後方向に面した表面に配置して冷却することができる。
【0054】
本実施形態では、機器収容部16は、前方の車幅方向の幅が狭く、後方の車幅方向の幅が広く形成されている。本実施形態では、機器収容部16の前方の車幅方向の外側には、昇降ステップ14が配置されている。本実施形態によれば、車体10の内部の限られたスペースに機器収容部16を適切に配置できる。さらに、本実施形態では、後輪22のタイヤ径d1を従来よりも大きくしている。本実施形態では、前輪21と後輪22との間の車体10の中間部に位置する機器収容部16の容積が小さくなる。このように、本実施形態によれば、上記のような機器収容部16に機器を適切に収容できる。
【0055】
本実施形態では、吐出口72は、昇降ステップ14より下方に配置され、外側を向いている。本実施形態によれば、空気を適切な方向へ吐出することができる。
【0056】
本実施形態では、吐出口72の周辺にファン72Fを配置する。本実施形態によれば、空気を外部へ適切に吐出することができる。
【0057】
本実施形態は、後輪22のタイヤ径d1を、エンジン式のフォークリフトの後輪のタイヤ径と同程度の大きさにできる。本実施形態によれば、後輪22のタイヤ径d1を従来のフォークリフトよりも大きくすることができる。本実施形態によれば、轍やくぼみ等の悪路を通過する際に後輪22がはまり込んでしまうおそれを低減できる。本実施形態によれば、悪路での操作性を向上できる。
【0058】
以上、本実施形態を説明したが、上述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、上述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1…フォークリフト(作業車両)、10…車体、11…フレーム、12…収容部、13…フロアプレート、14…昇降ステップ、15…ダッシュボード、16…機器収容部、20…カウンタウエイト、21…前輪、22…後輪(後輪タイヤ)、31…フォーク、32…マスト、33…リフトシリンダ、34…ティルトシリンダ、50…バッテリ、51…バッテリケース、61…荷役電動機、61P…荷役ポンプ(ポンプ)、62…電動走行モータ、63…作動油タンク(油圧タンク)、64…荷役コントローラ(電気機器)、65…走行コントローラ(電気機器)、66…電源コントローラ(電気機器)、67…通信コントローラ(電気機器)、68…ヒートシンク、69…排気ダクト、71…吸込口(ヒートシンクの吸込口)、72…吐出口(ヒートシンクの吐出口)、72F…ファン、73…開口、74…開口、75…開口。
図1
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