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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/077 20060101AFI20221005BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20221005BHJP
   B65D 25/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60K15/077 C
F02M37/00 301C
F02M37/00 301J
B65D25/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020502076
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2019001055
(87)【国際公開番号】W WO2019163336
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2018030406
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】陶山 憲幸
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126970(JP,A)
【文献】特開2015-085915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03 - 15/077
F02M 37/00
B62D 25/02 - 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する樹脂製の燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の内部に固定され、燃料の波立ちを抑制する波消し部材と、を備えた燃料タンクであって、
前記燃料タンク本体は、当該燃料タンク本体の対向する内壁からそれぞれ突出する突出部を突き当てて形成された突当柱状部を備えており、
前記波消し部材は、取付基部と、
前記取付基部の両端からそれぞれ延出する一対の支持部と、
前記支持部に支持され、前記支持部とは別体に形成される弾発部と、を備え、
前記弾発部は、前記突当柱状部において突当中心から離れた外周面の少なくとも一箇所に弾発的に接触し、
前記波消し部材は、前記弾発部の弾性復元力により、前記突当柱状部に押し付けられて固定され
前記弾発部は、前記支持部に支持される弾発取付部と、
前記突当柱状部の軸方向において前記突当中心から離間する方向に向けて延設され、前記突当中心から離れた外周面に弾発的に接触する接触部と、
前記弾発取付部と前記接触部とを接続する折曲部と、を備えることを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記弾発部は、前記突当中心を間に挟んだ両側で、前記突当柱状部の外周面に接触することを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記弾発部は、一端側が前記支持部に支持され、他端側が前記突当柱状部の外周面に接触する片持ち状で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク。
【請求項4】
前記弾発部は、前記突当中心を間に挟んだ両側で、前記突当柱状部の外周面に接触する一対の接触部と、
一対の前記接触部同士を連結するとともに前記波消し部材の支持部に支持される弾発本体部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク。
【請求項5】
燃料を貯留する樹脂製の燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の内部に固定され、燃料の波立ちを抑制する波消し部材と、を備えた燃料タンクであって、
前記燃料タンク本体は、当該燃料タンク本体の対向する内壁からそれぞれ突出する突出部を突き当てて形成された突当柱状部を備えており、
前記波消し部材は、前記突当柱状部において突当中心から離れた外周面の少なくとも一箇所に弾発的に接触する弾発部を備え、
前記波消し部材のうち前記突当中心に対応する部位には、当該突当中心の外周面から離間する方向に凹む凹部が形成されていることを特徴とする燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に搭載される燃料タンクとして、樹脂製の燃料タンク本体内に波消し部材を固定し、燃料の波立ちを抑制することにより波立ち音を低減するものが知られている。
【0003】
当該燃料タンクにおける波消し部材の固定構造としては、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1の固定構造では、燃料タンク本体内に突当柱状部を形成し、当該突当柱状部を波消し部材の取付部で挟み込むことにより、波消し部材を燃料タンク本体内に固定している。突当柱状部は、燃料タンク内の上下両面からそれぞれ突出する突出部を突き当てることで形成されており、波消し板の取付部は、突当柱状部の突当中心(上下の突出部の境界)の外周面を突当柱状部の外側から挟み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-211382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上下の突出部を突き当てて突当柱状部を成形する際に、突当中心の外周面に余肉がはみ出るため、特許文献1の固定構造であると、余肉によって取付部がガタついて突当中心から上下方向にずれ易くなるという問題がある。また、このように位置ずれした取付部が突当柱状部の外周面に当たって接触音が発生するという問題がある。特に、樹脂製の燃料タンクであると、成形時に突当柱状部の余肉の形状や大きさにばらつきが出るため、上記の問題が発生するおそれが高くなる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、波消し部材の位置ずれを抑制することができるとともに、接触音の発生を抑制することができる燃料タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、燃料を貯留する樹脂製の燃料タンク本体と、前記燃料タンク本体の内部に固定され、燃料の波立ちを抑制する波消し部材と、を備えた燃料タンクであって、前記燃料タンク本体は、当該燃料タンク本体の対向する内壁からそれぞれ突出する突出部を突き当てて形成された突当柱状部を備えており、前記波消し部材は、取付基部と、前記取付基部の両端からそれぞれ延出する一対の支持部と、前記支持部に支持され、前記支持部とは別体に形成される弾発部と、を備え、前記弾発部は、前記突当柱状部において突当中心から離れた外周面の少なくとも一箇所に弾発的に接触し、前記波消し部材は、前記弾発部の弾性復元力により、前記突当柱状部に押し付けられて固定され、前記弾発部は、前記支持部に支持される弾発取付部と、前記突当柱状部の軸方向において前記突当中心から離間する方向に向けて延設され、前記突当中心から離れた外周面に弾発的に接触する接触部と、前記弾発取付部と前記接触部とを接続する折曲部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、弾発部が突当中心の外周面にはみ出た余肉を避けて突当柱状部に接触できるため、波消し部材の位置ずれを抑制することができ、ひいては、波消し部材の位置ずれによる接触音の発生を抑制することができる。
【0009】
また、前記弾発部は、前記突当中心を間に挟んだ両側で、前記突当柱状部の外周面に接触することが好ましい。このようにすると、弾発部が突当中心の両側でバランスよく突当柱状部に接触するため、波消し部材の位置ずれをより抑制することができる。
【0010】
また、前記弾発部は、一端側が前記支持部に支持され、他端側が前記突当柱状部の外周面に接触する片持ち状で形成されていることが好ましい。
また、前記弾発部は、前記突当中心を間に挟んだ両側で、前記突当柱状部の外周面に接触する一対の接触部と、一対の前記接触部同士を連結するとともに前記支持部に支持される弾発本体部と、を備えていることが好ましい。このようにすると、構造を簡素化できる。
【0011】
また、前記波消し部材のうち前記突当中心に対応する部位には、当該突当中心の外周面から離間する方向に凹む凹部が形成されていることが好ましい。このようにすると、波消し部材と余肉との接触を確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る燃料タンクによれば、波消し部材の位置ずれを抑制することができるとともに、接触音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係る燃料タンクを示す一部破断斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図2の拡大断面図である。
図4】第一実施形態に係る波消し部材を示す斜視図である。
図5】第一実施形態に係る波消し部材を図4とは別の角度から見た斜視図である。
図6A】第一実施形態に係る弾発部材を示す斜視図である。
図6B】第一実施形態に係る弾発部材を図6Aとは別の角度から見た斜視図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る燃料タンクの波消し部材を示す斜視図である。
図8】第二実施形態において、波消し部材を突当柱状部に固定した状態を示す断面図である。
図9A】第二実施形態に係る弾発部材を示す斜視図である。
図9B】第二実施形態に係る弾発部材を図9Aとは別の角度から見た斜視図である。
図10】第二実施形態の第一変形例に係る波消し部材を突当柱状部に固定した状態を示す断面図である。
図11A】第二実施形態の第一変形例に係る弾発部材を示す斜視図である。
図11B】第二実施形態の第一変形例に係る弾発部材を図11Aとは別の角度から見た斜視図である。
図12】第二実施形態の第二変形例に係る波消し部材を突当柱状部に固定した状態を示す断面図である。
図13A】第二実施形態の第二変形例に係る弾発部材を示す斜視図である。
図13B】第二実施形態の第二変形例に係る弾発部材を図13Aとは別の角度から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る燃料タンクについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す燃料タンクTは、自動車やバイク並びに船舶等の移動手段に搭載されるものであって、燃料タンク本体1と、波消し部材2と、を主に備えている。
【0015】
燃料タンク本体1は、内部にガソリン等の燃料を貯留する樹脂製の中空部材(中空容器)である。燃料タンク本体1は、幅広で上下方向の厚みが薄型のタイプである。燃料タンク本体1は、例えば、バリア層を含んだ熱可塑性樹脂で形成されている。図示は省略するが、燃料タンク本体1は、上下半分に分割切断したアッパー部とロワー部とで構成される。燃料タンク本体1の内壁の天面には、燃料をタンク外へ汲み出すポンプ(図示略)を取り付けるためのポンプ取付穴13が貫通して形成されている。
【0016】
燃料タンク本体1の底面には、樹脂製のクリップ3が溶着されている。クリップ3の樹脂材料は、燃料タンク本体1と溶着可能であれば特に限定されないが、本実施形態では燃料タンク本体1と同じ材料を用いている。クリップ3は、波消し部材2の組み付け性を考慮すると、燃料タンク本体1の底面においてポンプ取付穴13の近傍に位置させることが好ましい。クリップ3は、燃料タンク本体1を成形する際に、燃料タンク本体1の内壁の所定位置に溶着させるか、或いは、燃料タンク本体1の成形後に、ロボット機構(図示せず)でクリップ3をポンプ取付穴13から入れて所定位置に溶着させる。
【0017】
図2に示すように、燃料タンク本体1の内部には、突当柱状部11が立設する。突当柱状部11は、燃料タンク本体1の対向する内壁の天面と底面からそれぞれ突出する突出部11a,11bを突き当てて形成されている。突出部11a,11bの先端同士は、互いに溶着している。突当柱状部11の形状は特に限定されないが、本実施形態では平断面が円形になっている。突当柱状部11は、燃料タンク本体1の耐変形性及び強度を向上させる役割を果たしている。以下、上下2つの突出部11a,11bを区別する場合には、天面から突出する方を「第一突出部11a」と称し、底面から突出する方を「第二突出部11b」と称する。図2の二点鎖線は、第一突出部11aと第二突出部11bとの境界である「突当中心C」を模式的に示す。
【0018】
図3に示すように、突当柱状部11の外周面において突当中心Cに対応する部位には、所定形状の余肉12がはみ出ている。余肉12は、第一突出部11aと第二突出部11bを突き当てて突当柱状部11を成形する際に、第一突出部11aと第二突出部11bとの境界の樹脂材料が外周側に押し出されて形成されるものである。余肉12の形状や大きさは、金型の速度や温度等の成形条件によって変化する。図3に示す余肉12は、外周形状が波形状であって突当中心Cから上下に所定長だけ延在している。突当柱状部11の外周面は、上下両側から突当中心Cに向けて細くなる括れ形状を呈する。つまり、第一突出部11aの外周面において余肉12を除く部位は、天面から突当中心Cに向かうほど先細りのテーパ面になっている。また、第二突出部11bの外周面において余肉12を除く部位は、底面から突当中心Cに向かうほど先細りのテーパ面になっている。
【0019】
波消し部材2は、燃料タンク本体1の内部に固定され、燃料タンク本体1内の燃料の波立ちを抑制する部材である。図4及び図5に示す波消し部材2は、第一取付部20と、第二取付部30と、第一波消板40と、第二波消板50と、を備えている。波消し部材2は、後記する弾発部材23を除いて樹脂材料で一体的に成形されている。
【0020】
第一取付部20は、突当柱状部11(図3参照)に取り付けられる部位であって、平面視略U字状を呈する。第一取付部20は、取付基部21と、一対の支持部22,22と、4つの弾発部材23と、を備えている。以下の説明では、第一取付部20において突当柱状部11に臨む面を「内面」と称し、「内面」と反対側の面を「外面」と称する。また、突当柱状部11に接近する側を「内側」と規定し、突当柱状部11から離間する側を「外側」と規定する。
【0021】
取付基部21は、平面視で略円弧状を呈する。取付基部21は、基部内壁21aと、基部上壁21bと、基部下壁21cと、を一体的に備えている。
【0022】
基部内壁21aは、第一取付部20の内面を構成する壁状部位であって、上下方向及び横方向に延在している。基部内壁21aは、平面視で円弧状を呈する。
【0023】
基部上壁21bは、第一取付部20の上壁を構成する壁状部位であって、基部内壁21aの上端から外向きに延出している。
【0024】
基部下壁21cは、第一取付部20の下壁を構成する壁状部位であって、基部内壁21aの下端から外向きに延出している。基部上壁21bと基部下壁21cは、上下対称形状になっている。基部上壁21b及び基部下壁21cは、基部内壁21aの周方向の両端部から中央部に向かうほど幅広になっている。基部上壁21b及び基部下壁21cの外面において中央部は、直線状に形成されており、当該直線部には、基部上壁21bと基部下壁21cとに跨る矩形板状の基部外壁21dが形成されている。
【0025】
支持部22,22は、取付基部21の周方向の両端からそれぞれ直線状かつ平行に延出し、弾発部材23を支持する部位である。一対の支持部22,22と取付基部21とで囲まれた空間には、突当柱状部11が配置される。支持部22,22は、突当柱状部11を挟んで反対の位置に配置されている。支持部22,22の先端同士は、互いに離間している。当該支持部22,22の先端同士の間から突当柱状部11が挿入される。支持部22は、支持内壁22aと、支持上壁22bと、支持下壁22cと、を一体的に備えている。
【0026】
支持内壁22aは、基部内壁21aと協働して第一取付部20の内面を構成する壁状部位であって、上下方向及び横方向に延在している。支持内壁22aは、基部内壁21aの周方向の端部に連続している。支持内壁22aのうち突当中心Cに対応する部位には、突当柱状部11の外周面から離間する方向に凹む凹部22dが形成されている。凹部22dは、側面視で横方向に長い矩形状を呈し、支持内壁22aの先端から基部内壁21aとの境界付近に亘って延在している。
【0027】
支持内壁22aの内面には、凹部22dの底面から垂直に突出する補強リブ22eが形成されている。補強リブ22eは、支持部22の強度及び剛性を高める役割を果たしており、面外方向が上下方向を指向するように設置されている。補強リブ22eは、弾発部材23よりも取付基部21側に位置している。補強リブ22eの形状や数は特に限定されないが、本実施形態では平面視三角形状の補強リブ22eが上下に離れて2つ設けられている。支持内壁22aの外面にも、上下方向或いは横方向に延びる複数のリブが形成されている。
【0028】
支持上壁22bは、基部上壁21bと協働して第一取付部20の上壁を構成する壁状部位であって、支持内壁22aの上端から外向きに延出している。支持上壁22bは、基部上壁21bの周方向の端部に連続している。
【0029】
支持下壁22cは、基部下壁21cと協働して第一取付部20の下壁を構成する壁状部位であって、支持内壁22aの下端から外向きに延出している。支持下壁22cは、基部下壁21cの周方向の端部に連続している。
【0030】
支持上壁22b及び支持下壁22cには、上下方向で対応する位置に支持段差部22f,22fがそれぞれ形成されている。支持上壁22bの支持段差部22fは、他の部位よりも下方に凹設された部位であって、側面視で上方に開口したコ字状に形成されている。支持下壁22cの支持段差部22fは、他の部位よりも上方に凹設された部位であって、側面視で下方に開口したコ字状に形成されている。
【0031】
支持内壁22aの外面において上下の支持段差部22f,22f同士の間には、上下方向に延在する二つの縦壁22g,22gが介設されている。縦壁22g,22g同士の間には、横方向に延在する一つの横壁22hが介設されている。上下の段差底面と横壁22hとの間には、上下方向に延在する爪係止部22i,22iがそれぞれ形成されている。支持内壁22aにおいて上下の支持段差部22f,22fに近接する部位には、支持内壁22aの内面と外面とを貫通するスリット22j,22jがそれぞれ形成されている。スリット22jは、横方向に長い矩形状の貫通孔である。
【0032】
図3及び図4に示すように、弾発部材(弾発部)23は、突当柱状部11の外周面に弾発的に接触することにより、突当柱状部11に対して波消し部材2を固定するものである。弾発部材23の数は特に制限されないが、本実施形態では各支持部22,22において突当柱状部11を挟んで反対の位置に上下一対ずつ(合計四つ)設置されている。つまり、波消し部材2は、突当柱状部11に対して四箇所で弾発的に接触している。
【0033】
図3に示す上下一対の弾発部材23,23は、突当中心Cに対して線対称に配置されている。一対の弾発部材23,23は上下対称形状であるため、以下の説明では上側の弾発部材23を中心に説明する。弾発部材23の構成は特に限定されないが、本実施形態では略L字状に折曲された金属製の板ばねを用いている。弾発部材23は、一端側が支持部22に支持され、他端側が突当柱状部11の外周面に接触する片持ち形状で形成されている。図6A及び図6Bに示すように、弾発部材23は、弾発取付部23aと、折曲部23bと、接触部23cと、を一体的に備えている。
【0034】
弾発取付部23aは、支持部22に取付支持される部位であって、平面視矩形の板状を呈する。弾発取付部23aの先端には、内向きに延出する弾発爪部23dが形成されている。弾発爪部23dは、弾発取付部23aに平面視コ字状の孔を開ける穿設加工を施し、余った突片を所定角度に折り曲げて形成されている。弾発取付部23aの基端には、他の部位よりも横方向に張り出す鍔部23e,23eが形成されている。
【0035】
図3に示すように、弾発取付部23aは、支持部22の内面側からスリット22j内に挿通されている。弾発爪部23dは、爪係止部22iの外面側の角部、或いは外面に当接することにより弾発部材23の内側への移動を規制している。鍔部23e,23eは、スリット22jの内側の両側縁に当接することにより弾発部材23の外側への移動を規制している(図4参照)。つまり、弾発部材23は、弾発爪部23dと鍔部23eとによって、支持部22に対して内側及び外側への移動を規制された状態で固定されている。また、弾発部材23は、スリット22j内に挿入されることで、上下方向及び横方向への移動を規制された状態で固定されている。
【0036】
折曲部23bは、弾発取付部23aと接触部23cとの間に介設された曲面状の部位である。折曲部23bは、組み付け時には、支持部22の内面側においてスリット22j外に位置している。
【0037】
接触部23cは、突当柱状部11において突当中心Cから離れた外周面に弾発的に接触する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。上下一対の弾発部材23,23の接触部23c,23cは、突当中心Cを間に挟んだ両側で、突当柱状部11の外周面のテーパ面に接触している。つまり、上下一対の接触部23c,23cは、余肉12を避けて突当柱状部11の外周面に接触している。接触部23cは、組み付け前の初期状態では折曲部23bから先端に向かうほど内側に位置するように傾斜している。接触部23cは、その先端側が突当柱状部11の外周面に接触すると折曲部23bとの境界部位を基点に外側に弾性変形し、当該境界部位の弾性復元力により突当柱状部11の外周面に押し付けられる。これにより、波消し部材2を突当柱状部11に固定することができる。
【0038】
図6A及び図6Bに示すように、接触部23cにおいて折曲部23bと反対側の端部には、突当柱状部11から離間する方向に湾曲して折れ曲がる第一折曲フランジ23fが形成されている。第一折曲フランジ23fを備えることにより、接触部23cには突当柱状部11に接触するR形状の角部が形成され、当該角部が突当柱状部11に当接する。これにより、波消し部材2を突当柱状部11に固定した状態において、波消し部材2が燃料から応力を受けて微動する際に、突当柱状部11への損傷(切削)を防止することができる。第一折曲フランジ23fの板幅方向の中央には、内向きに円弧状に窪む目印23gが形成されている。目印23gは、波消し部材2と突当柱状部11との位置合わせを行う際に使用するものであって、波消し部材2の組付性を向上させる役割を果たしている。
【0039】
接触部23cの板幅方向(面内方向)は、第一取付部20内に突当柱状部11を挿入する際の挿入方向と一致している。接触部23cにおいて板幅方向の両端には、突当柱状部11から離間する方向に湾曲して折れ曲がる第二折曲フランジ23hがそれぞれ形成されている。第二折曲フランジ23hは、第一折曲フランジ23fの板幅方向の端部に連続しているので、第二折曲フランジ23hにおいて折曲部23bと反対側の端部は、第一折曲フランジ23fと同じ方向にも折れ曲がっている。第二折曲フランジ23hは、接触部23cの上側半分程(下側の弾発部材23では下側半分程)に形成されている。第二折曲フランジ23hを備えることにより、接触部23cには突当柱状部11に接触するR形状の角部が形成され、当該角部が突当柱状部11に当接する。これにより、第一取付部20内に突当柱状部11を挿入する際に突当柱状部11の損傷(切削)を防止することができる。
【0040】
図4及び図5に示すように、第二取付部30は、クリップ3に取り付けられる部位であって、基部外壁21dの下端に一体的に形成されている。第二取付部30の形状は特に制限されないが、本実施形態では中空四角柱状を呈する。第二取付部30の上壁には、クリップ3との干渉を避けるための逃げ孔31が形成されている。第二取付部30の下壁には、クリップ3を取り付けるための取付孔32が形成されている。第二取付部30の一側壁には、クリップ3を挿入するための挿入孔33が形成されている。
【0041】
一側壁において挿入孔33の下側には、クリップ3を係止する一対のクリップ係止爪34,34が形成されている。クリップ係止爪34は、取付孔32内に位置するように内向きに折り曲げられている。一対のクリップ係止爪34,34は、取付孔32の中心に向かうほど互いに接近しており、平面視ハの字状に対向している。このクリップ係止爪34,34の基端側にクリップ3を合わせて、波消し部材2をクリップ3に向けて押すことにより、一対のクリップ係止爪34,34が広がるように弾性変形する。そして、クリップ3がクリップ係止爪34,34の先端を乗り越えると、弾性復元力によりクリップ係止爪34が元の形状に戻り、クリップ係止爪34の先端がクリップ3に当接する。これにより、クリップ3が第二取付部30から抜け出すのを防ぐことができる。
【0042】
第一波消板40は、燃料タンク本体1内の燃料の波立ちを抑制する部位であって、正面視で略矩形の板状を呈する。第一波消板40は、一方の支持部22の先端において外面から側方に延設されている。第一波消板40は、面外方向が上下方向を指向するように設置されている。第一波消板40の高さ寸法及び板幅寸法は、第二波消板50よりも大きくなっている。第一波消板40の上端及び下端には、略垂直に折曲された波消フランジ41,41がそれぞれ形成されている。
【0043】
第二波消板50は、燃料タンク本体1内の燃料の波立ちを抑制する部位であって、正面視かつ平面視で略矩形の板状を呈する。第二波消板50は、第二取付部30の上壁において挿入孔33の上方位置から上方へ延設されている。第二波消板50の板幅方向の一端は、基部外壁21dに連続している。第二波消板50は、面外方向が上下方向を指向するように設置されている。
【0044】
次に、本実施形態の取付手順について説明する。
まず、燃料タンク本体1を例えばブロー成形する際に、図1に示すように燃料タンク本体1内のポンプ取付穴13の近傍の底面に1つのクリップ3を溶着しておく。
【0045】
燃料タンク本体1を成形した後、ポンプ取付穴13から波消し部材2を燃料タンク本体1内に挿入する。そして、支持部22,22の先端同士の間から突当柱状部11を第一取付部20内に挿入する。このとき、図3に示すように、接触部23cは、その先端側が突当柱状部11の外周面に接触すると折曲部23bとの境界部位を基点に外側に弾性変形し、当該境界部位の弾性復元力により突当柱状部11の外周面に押し付けられる。これにより、第一取付部20が突当柱状部11に取り付けられるので、波消し部材2は突当柱状部11に固定される。
【0046】
次に、図1に示す突当柱状部11を軸に波消し部材2を回転させて、クリップ3を第二取付部30内に入れる。このとき、クリップ3にクリップ係止爪34,34(図4参照)の基端側を合わせて、波消し部材2をクリップ3に向けて押すことにより、一対のクリップ係止爪34,34が広がるように弾性変形する。そして、クリップ3がクリップ係止爪34,34の先端を乗り越えると、弾性復元力によりクリップ係止爪34が元の形状に戻り、クリップ係止爪34の先端がクリップ3に当接する。また、クリップ3が取付孔32に嵌合する。これにより、第二取付部30がクリップ3に取り付けられるので、波消し部材2はクリップ3に固定される。
【0047】
以上のように波消し部材2は、突当柱状部11及びクリップ3の両方に取り付けられて、燃料タンク本体1の内部の所定位置に固定される。
【0048】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、図3に示すように、弾発部材23が突当中心Cの外周面にはみ出た余肉12を避けて突当柱状部11に接触できるため、波消し部材2の位置ずれを抑制することができ、ひいては、波消し部材2の位置ずれによる接触音の発生を抑制することができる。
本実施形態では、突当中心Cの外周面に比べて製品ごとの形状や板厚等のバラツキが少ないテーパ面に弾発部材23を接触するため、燃料タンク本体1の材料として樹脂を使用した場合でも、波消し部材2の位置ずれや接触音の発生を好適に抑制することができる。
また、本実施形態では、弾発部材23として板ばねを用いるため、仮にテーパ面の形状や板厚等に多少のバラツキがあったとしても、弾発部材23がテーパ面に追従して確実に接触できる。また、波消し部材2が燃料から応力を受けた際に、弾発部材23が変形することによりその応力を吸収することができるため、波消し部材2の一部に応力が集中するのを防ぐことができる。
【0049】
また、図3に示すように、上下一対の弾発部材23,23が突当中心Cを間に挟んだ両側で突当柱状部11の外周面に接触していることにより、弾発部材23,23が突当中心Cの両側でバランスよく突当柱状部11に接触するため、波消し部材2の位置ずれをより抑制することができる。また、弾発部材23,23が突当柱状部11を挟んで両側でバランスよく突当柱状部11に接触するため、波消し部材2の位置ずれをより抑制することができる。
【0050】
また、図3に示すように、弾発部材23は、一端側が支持部22に支持され他端側が突当柱状部11の外周面に接触する片持ち状で形成されているため、弾発部材23の構造を簡素化できる。
【0051】
また、図3に示すように、支持内壁22aのうち突当中心Cに対応する部位には、突当中心Cの外周面から離間する方向に凹む凹部22dが形成されているため、支持部22と余肉12との接触を確実に回避することができる。
【0052】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態では、弾発部として弾発部材23を四つ設置したが、一つ又は四つ以外の複数設置してもよい。また、突当中心Cに対して上下一方の外周面のみに弾発部材23を接触させてもよい。この場合、突当中心Cに対して上下他方の外周面には、波消し部材2を全く接触させなくてもよいし、支持部22と一体成形した樹脂ばねを接触、或いは、波消し部材2において弾発力(付勢力)を具備しない部位を単に接触させてもよい。要するに、突当柱状部11の外周面の少なくとも一箇所に弾発部材23を弾発的に接触させればよい。
また、本実施形態では、同形状の弾発部材23を用いたが、異形状の弾発部材23を用いてもよい。また、本実施形態では、上下一対の弾発部材23,23を突当中心Cに対して線対称に配置したが、弾発部材23,23の一方を他方よりも突当中心Cに対して上下一方にずらして非対称に配置してもよい。
【0053】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る燃料タンクについて説明する。図7乃至図9に示すように、第二実施形態では、弾発部材24と、当該弾発部材24を支持する支持部22Aの構成が第一実施形態と相違する。第二実施形態に係る燃料タンクT1では、第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0054】
図7及び図8に示す支持部22Aは、上下の支持段差部22f,22fの段差底面から上下一方に突出する係合凸部22k,22kを備えている。係合凸部22kの上下方向の突出量は、突当柱状部11に向かうほど大きくなっている。係合凸部22kのうち最も突出量の大きい内側の端部が後記する弾発部材24の係合孔24eの内側の縁部に当接することにより、弾発部材24の外側への移動が規制されている。
【0055】
弾発部材(弾発部)24の数は特に制限されないが、本実施形態では各支持部22A,22Aにおいて突当柱状部11を挟んで反対の位置に一つずつ設置されている。本実施形態では、一つの弾発部材24で突当柱状部11の外周面の二箇所に接触している。つまり、波消し部材2は、突当柱状部11に対して四箇所で弾発的に接触している。弾発部材24は、上下対称形状になっており、突当中心Cに対して線対称に配置されている。弾発部材24は、本実施形態では略ハット状に折曲された金属製の板ばねを用いている。図9A及び図9Bに示す弾発部材24は、上下一対の弾発取付部24a,24aと、上下一対の折曲部24b,24bと、上下一対の接触部24c,24cと、連結部24dと、を一体的に備えている。本実施形態では、弾発取付部24aと折曲部24bと連結部24dは、特許請求の範囲の「弾発本体部」を構成する。
【0056】
弾発取付部24aは、支持部22Aに取付支持される部位である。弾発取付部24aは、縦板部24iと、横板部24jと、を一体的に備えている。縦板部24iは、折曲部24bから上方に延出する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。縦板部24iは、接触部24cに対して外側に離間している。縦板部24iは、組み付け時には、支持部22Aの内面側に位置している(図8参照)。横板部24jは、縦板部24iの折曲部24bと反対側の端部(上端部又は下端部)から外向きに延出する部位であって、平面視矩形の板状を呈する。弾発取付部24aの横板部24jには、平面視矩形状の係合孔24eが形成されている。
【0057】
折曲部24bは、弾発取付部24aと接触部24cとの間に介設された曲面状の部位である。折曲部24bは、組み付け時には、支持部22Aの内面側に位置している(図8参照)。
【0058】
図8に示すように、接触部24cは、突当柱状部11において突当中心Cから離れた外周面に弾発的に接触する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。上下一対の接触部24c,24cは、突当中心Cを間に挟んだ両側で、突当柱状部11の外周面のテーパ面に接触している。つまり、上下一対の接触部24c,24cは、余肉12を避けて突当柱状部11の外周面に接触している。各接触部24cは、組み付け前の初期状態では折曲部24bから先端に向かうほど内側に位置するように傾斜している。接触部24cは、その先端側が突当柱状部11の外周面に接触すると折曲部24bとの境界部位を基点に外側に弾性変形し、当該境界部位の弾性復元力により突当柱状部11の外周面に押し付けられる。これにより、波消し部材2Aを突当柱状部11に固定することができる。
【0059】
図9A及び図9Bに示すように、接触部24cにおいて折曲部24bと反対側の端部には、突当柱状部11から離間する方向に湾曲して折れ曲がる第一折曲フランジ24fが形成されている。第一折曲フランジ24fを備えることにより、接触部24cには突当柱状部11に接触するR形状の角部が形成され、当該角部が突当柱状部11に当接する。これにより、波消し部材2Aを突当柱状部11に固定した状態において、波消し部材2Aが燃料から応力を受けて微動する際に、突当柱状部11への損傷(切削)を防止することができる。第一折曲フランジ24fの板幅方向の中央には、内向きに円弧状に窪む目印24gが形成されている。目印24gは、波消し部材2Aと突当柱状部11との位置合わせを行う際に使用するものであって、波消し部材2Aの組付性を向上させる役割を果たしている。
【0060】
接触部24cの板幅方向(面内方向)は、第一取付部20内に突当柱状部11を挿入する際の挿入方向と一致している。接触部24cにおいて板幅方向の両端には、突当柱状部11から離間する方向に湾曲して折れ曲がる第二折曲フランジ24hがそれぞれ形成されている。第二折曲フランジ24hは、第一折曲フランジ24fの板幅方向の端部に連続しているので、第二折曲フランジ24hにおいて折曲部24bと反対側の端部は、第一折曲フランジ24fと同じ方向にも折れ曲がっている。第二折曲フランジ24hは、上側の接触部24cでは上側半分程、下側の接触部24cでは下側半分程に形成されている。第二折曲フランジ24hを備えることにより、接触部24cには突当柱状部11に接触するR形状の角部が形成され、当該角部が突当柱状部11に当接する。これにより、第一取付部20内に突当柱状部11を挿入する際に突当柱状部11の損傷(切削)を防止することができる。
【0061】
連結部24dは、一対の弾発取付部24a,24a同士を連結するとともに支持部22Aに支持される部位であって、正面視矩形の板状を呈する。連結部24dは、弾発取付部24a及び折曲部24bを介して、一対の接触部24c,24c同士を連結している。図8に示すように、横壁22hの先端が連結部24dの内面に当接することにより、弾発部材24の内側への移動が規制されている。弾発部材24は、係合凸部22kと係合孔24eとの係合、及び、連結部24dと横壁22hとの当接によって、支持部22Aに対して内側及び外側への移動を規制された状態で固定されている。また、弾発部材24は、上下の係合凸部22k,22kが係合孔24e,24e内にそれぞれ挿入されることで、上下方向及び横方向への移動を規制された状態で固定されている。なお、第二実施形態の固定手順は、第一実施形態と略同様である。
【0062】
以上説明した燃料タンクT1によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。
また、本実施形態では、一つの弾発部材24で突当柱状部11の複数箇所(本実施形態では二箇所)に接触できるため、構造を簡素化できる。
【0063】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態では、弾発部として弾発部材24を二つ設置したが、一つ又は二つ以外の複数設置してもよい。また、本実施形態では、同形状の弾発部材24を用いたが、異形状の弾発部材24を用いてもよい。また、本実施形態では、弾発部材24を突当中心Cに対して線対称に配置したが、突当中心Cに対して上下一方にずらして非対称に配置してもよい。
【0064】
<第一変形例>
次に、第二実施形態の第一変形例に係る燃料タンクについて説明する。図10及び図11に示すように、第一変形例では、弾発部材25と、当該弾発部材25を支持する支持部22Bの構成が第二実施形態と相違する。第一変形例では、第二実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0065】
図10に示す支持部22Bは、支持内壁22aの内面と外面とを貫通する2つの挿通孔22m,22mを備えている。挿通孔22m,22mは、支持内壁22aにおいて上下の支持段差部22f,22fに近接する部位にそれぞれ形成されている。挿通孔22mは、横方向に長い矩形状の貫通孔である。
【0066】
弾発部材25は、本変形例では略ハット状に折曲された金属製の板ばねを用いている。図11A及び図11Bに示す弾発部材25は、上下一対の弾発取付部25a,25aと、上下一対の折曲部25b,25bと、上下一対の接触部25c,25cと、連結部25dと、を一体的に備えている。本変形例では、弾発取付部25aと折曲部25bと連結部25dは、特許請求の範囲の「弾発本体部」を構成する。
【0067】
弾発取付部25aは、支持部22Bに取付支持される部位である。弾発取付部25aは、縦板部25iと、横板部25jと、を一体的に備えている。縦板部25iは、折曲部25bから上方に延出する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。縦板部25iは、接触部25cに対して外側に離間している。縦板部25iは、組み付け時には、支持部22Bの内面側に位置している(図10参照)。横板部25jは、縦板部25iの折曲部25bと反対側の端部(上端部又は下端部)から外向きに延出する部位であって、平面視矩形の板状を呈する。
【0068】
弾発取付部25aと折曲部25bとの境界部には、外向きに延出する弾発爪部25eが形成されている。弾発爪部25eは、平面視矩形状を呈する。弾発爪部25eは、折曲部25bと縦板部25iと横板部25jに亘ってコ字状の孔を開ける穿設加工を施して形成されている。図10に示すように、弾発爪部25eは、支持部22Bの内面側から挿通孔22m内に挿通されている。弾発爪部25eは、本実施形態では挿通孔22mの内面に当接していないが、当該内面に当接してもよい。
【0069】
図11A及び図11Bに示す折曲部25bは、弾発取付部25aと接触部25cとの間に介設された曲面状の部位である。折曲部25bは、組み付け時には、支持部22Bの内面側に位置している(図10参照)。
【0070】
接触部25cは、突当柱状部11において突当中心Cから離れた外周面に弾発的に接触する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。上下一対の接触部25c,25cは、突当中心Cを間に挟んだ両側で、突当柱状部11の外周面のテーパ面に接触している。つまり、上下一対の接触部25c,25cは、余肉12を避けて突当柱状部11の外周面に接触している。各接触部25cは、組み付け前の初期状態では折曲部25bから先端に向かうほど内側に位置するように傾斜している。接触部25cは、その先端側が突当柱状部11の外周面に接触すると折曲部25bとの境界部位を基点に外側に弾性変形し、当該境界部位の弾性復元力により突当柱状部11の外周面に押し付けられる。これにより、波消し部材2Bを突当柱状部11に固定することができる。
【0071】
図11A及び図11Bに示す第一折曲フランジ25f、目印25g、第二折曲フランジ25hは、それぞれ第二実施形態の第一折曲フランジ24f、目印24g、第二折曲フランジ24h(図9A及び図9B参照)と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0072】
連結部25dは、一対の弾発取付部25a,25a同士を連結するとともに支持部22Bに支持される部位であって、正面視略矩形の板状を呈する。連結部25dは、弾発取付部25a及び折曲部25bを介して、一対の接触部25c,25c同士を連結している。
【0073】
連結部25dの板幅方向の両側には、係合爪部25k,25mがそれぞれ形成されている。係合爪部25k,25mは、板幅方向かつ上下方向に互いに離間している。下方に位置する係合爪部25kは、連結部25dに正面視L字状の孔を開ける穿設加工を施し、余った部位を二段階に折り曲げて形成されている。すなわち、係合爪部25kは、根元を内向きに折り曲げるとともに、先端側を下向きに折り曲げて形成されている。上方に位置する係合爪部25mは、根元を内向きに折り曲げるとともに、先端側を上向きに折り曲げて形成されている。
【0074】
係合爪部25kにおいて先端側の折曲部に隣接する部位には、斜めに切れ目を入れて上向きに切り起こした切起部25nが形成されている。切起部25nは、係合爪部25kの中で最も上方に位置している。係合爪部25mにおいて先端側の折曲部に隣接する部位には、斜めに切れ目を入れて下向きに切り起こした切起部25oが形成されている。切起部25oは、係合爪部25kの中で最も下方に位置している。上下の切起部25n,25oの離間寸法は、組み付け前の初期状態では、横壁22hの高さ寸法(厚さ寸法)よりも小さくなっている。
【0075】
図10に示すように、係合爪部25k,25mの切起部25n,25oは、支持部22Bの横壁22hを上下両側から挟み込む形で係合している。具体的には、上下の係合爪部25k,25mは、切起部25n,25oが横壁22hに接触すると根元の折曲部を基点に相互に離れるように弾性変形し、当該根元の折曲部の弾性復元力により横壁22hに押し付けられて係合する。言い換えると、支持部22Bの横壁22hは、上下の切起部25n,25oの間に嵌合している。これにより、弾発部材25は、支持部22Aに対して上下方向、横方向、内側及び外側への移動を規制された状態で固定されている。また、弾発部材25は、上下の弾発爪部25e,25eが挿通孔22m,22m内にそれぞれ挿通されることで、上下方向及び横方向への移動を規制された状態で固定されている。また、横壁22hの先端が連結部25dの内面に当接することにより、弾発部材25の内側への移動が規制されている。以上説明した第一変形例によっても第二実施形態と略同等の効果を奏することができる。
【0076】
<第二変形例>
次に、第二実施形態の第二変形例に係る燃料タンクについて説明する。図12及び図13に示すように、第二変形例では、弾発部材26と、当該弾発部材26を支持する支持部22Cの構成が第二実施形態と相違する。第二変形例では、第二実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0077】
図12に示す支持部22Cは、支持内壁22aの内面と外面とを貫通する2つの嵌合孔22n,22nを備えている。嵌合孔22n,22nは、支持内壁22aにおいて上下の支持段差部22f,22fと横壁22hとの間に一つずつ形成されている。嵌合孔22nは、横方向に長い矩形状の貫通孔である。
【0078】
弾発部材26は、本変形例では所定形状に折曲された金属製の板ばねを用いている。図13A及び図13Bに示す弾発部材26は、上下一対の弾発取付部26a,26aと、上下一対の折曲部26b,26bと、上下一対の接触部26c,26cと、連結部26dと、を一体的に備えている。本変形例では、弾発取付部26aと折曲部26bと連結部26dは、特許請求の範囲の「弾発本体部」を構成する。
【0079】
弾発取付部26aは、支持部22Cに取付支持される部位である。弾発取付部26aは、折曲部26bと連結部26dとの間において外向きに延出しており、横向きの略U字状を呈する。弾発取付部26aは、支持内壁22aの内面側から嵌合孔22nに挿嵌されている(図12参照)。弾発取付部26aは、第一横板部26iと、第二横板部26jと、取付側折曲部26kと、を一体的に備えている。
【0080】
第一横板部26iは、折曲部26bから外向きに延出する部位であって、平面視矩形の板状を呈する。第一横板部26iには、内向きに延出する弾発爪部26eが形成されている。弾発爪部26eは、平面視矩形状を呈する。弾発爪部26eは、第一横板部26iに平面視コ字状の孔を開ける穿設加工を施し、余った突片を所定角度に折り曲げて形成されている。第一横板部26iにおいて弾発爪部26eよりも先端側は、外側に向かうほど第二横板部26jに近付くように傾斜している。第一横板部26iの基端には、他の部位よりも横方向に張り出す鍔部26m,26mが形成されている。
【0081】
第二横板部26jは、連結部26dの接触部24c側の端部(上端部又は下端部)から外向きに延出する部位であって、平面視矩形の板状を呈する。第一横板部26iと第二横板部26jは、上下方向に隙間を空けて対向配置されている。第一横板部26iと第二横板部26jの先端側の離間寸法は、外側に向かうほど小さくなっている。これにより、組み付け時に弾発取付部26aを嵌合孔22n内に差し込みやすくなっている。第一横板部26iと第二横板部26jの少なくとも基端側の離間寸法は、組み付け前の初期状態では嵌合孔22nの高さ寸法よりも大きくなっている。
【0082】
取付側折曲部26kは、第一横板部26iの先端と第二横板部26jの先端との間に介設された曲面状の部位である。取付側折曲部26kは、組み付け時には、支持部22Cの外面側に位置している(図12参照)。
【0083】
折曲部26bは、弾発取付部26aと接触部26cとの間に介設された曲面状の部位である。折曲部26bは、組み付け時には、支持部22Cの内面側に位置している(図12参照)。
【0084】
接触部26cは、突当柱状部11において突当中心Cから離れた外周面に弾発的に接触する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。上下一対の接触部26c,26cは、突当中心Cを間に挟んだ両側で、突当柱状部11の外周面のテーパ面に接触している。つまり、上下一対の接触部26c,26cは、余肉12を避けて突当柱状部11の外周面に接触している。各接触部26cは、組み付け前の初期状態では折曲部26bから先端に向かうほど内側に位置するように傾斜している。接触部26cは、その先端側が突当柱状部11の外周面に接触すると折曲部26bとの境界部位を基点に外側に弾性変形し、当該境界部位の弾性復元力により突当柱状部11の外周面に押し付けられる。これにより、波消し部材2Cを突当柱状部11に固定することができる。
【0085】
図13A及び図13Bに示す第一折曲フランジ26f、目印26g、第二折曲フランジ26hは、それぞれ第二実施形態の第一折曲フランジ24f、目印24g、第二折曲フランジ24h(図9A及び図9B参照)と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0086】
連結部26dは、一対の弾発取付部26a,26a同士を連結する部位であって、正面視矩形の板状を呈する。連結部26dは、弾発取付部26a及び折曲部26bを介して、一対の接触部26c,26c同士を連結している。
【0087】
図12に示すように、弾発取付部26aは、支持内壁22aの内面側から嵌合孔22n内に挿嵌されている。つまり、本変形例では、弾発部材26を支持部22Cに対して内側から組み付けている。これにより、弾発部材26において弾発取付部26aを除く部位が突当柱状部11と支持部22Cとの間に位置する状態となるため、弾発部材26が支持部22Cから外れるのを確実に防止することができる。
【0088】
第一横板部26i及び第二横板部26jは、嵌合孔22nの内面に接触すると取付側折曲部26kを基点に相互に近付くように弾性変形し、当該取付側折曲部26kの弾性復元力により嵌合孔22nの上下の内面に押し付けられて嵌合する。これにより、弾発部材26は、支持部22Cに対して上下方向、横方向、内側及び外側への移動を規制された状態で固定されている。弾発爪部26eは、嵌合孔22nの外側の縁部(支持内壁22aの外面)に当接することにより弾発部材26の内側への移動を規制している。鍔部26m,26mは、嵌合孔22nの内側の両側縁(支持内壁22aの内面)に当接することにより弾発部材26の外側への移動を規制している(図13A及び図13B参照)。つまり、弾発部材26は、弾発爪部26eと鍔部26mとによって、支持部22Cに対して内側及び外側への移動を規制された状態で固定されている。以上説明した第二変形例によっても第二実施形態と略同等の効果を奏することができる。
【0089】
以上本発明の実施形態及び変形例について説明したが本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、弾発部として波消し部材2,2Aと別体の弾発部材23,24,25,26を用いたが、波消し部材2,2A,2B,2Cに一体形成された部位を設け、当該部位を突当柱状部11に接触させて弾発部としてもよい。
【符号の説明】
【0090】
T 燃料タンク
T1 燃料タンク
1 燃料タンク本体
2 波消し部材
2A 波消し部材
2B 波消し部材
2C 波消し部材
11 突当柱状部
11a 第一突出部,突出部
11b 第二突出部,突出部
12 余肉
C 突当中心
22 支持部
22A 支持部
22B 支持部
22C 支持部
22d 凹部
23 弾発部材(弾発部)
24 弾発部材(弾発部)
25 弾発部材(弾発部)
26 弾発部材(弾発部)
24a 弾発取付部(弾発本体部)
25a 弾発取付部(弾発本体部)
26a 弾発取付部(弾発本体部)
24b 折曲部(弾発本体部)
25b 折曲部(弾発本体部)
26b 折曲部(弾発本体部)
23c 接触部
24c 接触部
25c 接触部
26c 接触部
24d 連結部(弾発本体部)
25d 連結部(弾発本体部)
26d 連結部(弾発本体部)
40 第一波消板
50 第二波消板
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B