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特許7153058再生プラスチック複合材を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】再生プラスチック複合材を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20221005BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20221005BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20221005BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20221005BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20221005BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20221005BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20221005BHJP
【FI】
B29C43/58
B29C43/18
B29C70/16
B29C70/42
B29C51/12
B29K101:12
B29K105:08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020503363
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2018058460
(87)【国際公開番号】W WO2018185085
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】17164582.3
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519352609
【氏名又は名称】エコ-オー! イノベーション
【氏名又は名称原語表記】ECO-OH INNOVATION
【住所又は居所原語表記】Nikelaan 35,2430 Laakdal,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】クーン ヴェルハート
(72)【発明者】
【氏名】ルディ ガレー
(72)【発明者】
【氏名】ジュール ディーレクス ヴィッシャス
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-179648(JP,A)
【文献】国際公開第2015/175761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/58
B29C 43/18
B29C 70/16
B29C 70/42
B29C 51/12
B29K 101/12
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生プラスチック複合材を製造する方法であって、
i)再生される熱可塑性材料のフレークを提供するステップと、
ii)前記熱可塑性フレークを混合し、それによって、第1の融解温度を有する熱可塑性マトリックスを形成するステップと、
iii)前記第1の融解温度よりも高い第2の融解温度を有する繊維から所定の厚さのウェブ構造を提供又は形成するステップと、
iv)熱可塑性フレークの前記熱可塑性マトリックスを前記ウェブ構造の上に均等に分散させるステップと、
v)任意に、第2のウェブ構造を形成又は提供し、それを前記熱可塑性マトリックスの上に載置するステップと、
vi)任意に、ステップiv及びvを繰り返すステップと、
vii)熱成形プロセスを用いて前記ウェブ構造(単数又は複数)を加熱するステップと、
を含み、
前記熱可塑性フレークは、
a)再生される1つ以上の熱可塑性材料を提供するステップと、
b)前記1つ以上の熱可塑性材料をリグラインドに粉砕するステップと、
c)前記リグラインドから前記熱可塑性材料フレークを分離するステップと、
を含む方法によって得られる、再生プラスチック複合材を製造する方法。
【請求項2】
前記熱成形は2ステップ熱成形プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のプラスチック複合体は、プレス、真空成形、接着、又は溶着のうちの1つであるがこれらに限定されないものから選択されたプロセスを用いて層状構造で接続されてもよい、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性フレークは、プラスチックホイル、プラスチックバッグ、又は水よりも低い密度及び/又は嵩密度を有する任意のプラスチックシート又は多層シート材料を備える群のうちの1つ以上の材料から生じる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
第2の融解温度を有する前記繊維は、ガラス繊維、ポリエステル、ABS、ポリスチレン、ナイロン、PA等を備える群からの1つ以上の材料及び/又はそれらの組み合わせの繊維を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
第2の融解温度を有する前記繊維は天然繊維又は金属繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
加熱プロセスは、蒸気加熱、蒸気注入加熱、マイクロ波加熱、真空加熱等のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フレークの大きさは3mm~25mmの間の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第2の融解温度を有する繊維及び熱可塑性マトリックスは、重量で50:50未満の比率で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
天然繊維の長さは、50mm~約400mmの間、好ましくは100mm~300mmの間の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の融解温度を有する繊維の割合が、前記第2の融解温度を有する繊維と前記熱可塑性フレークの合計の重量に対して、5重量%~50重量%の間である、請求項1に記載の方法
【請求項12】
前記複合材は、前記熱可塑性フレークの割合が、前記第2の融解温度を有する繊維と前記熱可塑性フレークの合計の重量に対して、50重量%~95重量%の間を備える、請求項1に記載の方法
【請求項13】
請求項1から12に記載の複数のプラスチック複合材を接続して形成する、複合板又は荷物運搬具の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プラスチック複合材を製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、再生不織熱可塑性材料を用いるプラスチック複合材を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、国内及び商業目的で様々な製品を形成するために業界全体で最も広く用いられる材料となっている。従って、長年にわたるプラスチック生産の大幅な増加があり、これは増加する固形廃棄物の負担の大きな一因となっている。プラスチックの特性により、それらはすぐに腐敗しないため、突然の大量発生の特に厄介な問題となる。
【0003】
原材料の取得、使い捨て製品の製造のための天然資源の浪費に関連するコストを削減し、環境への潜在的な悪影響を最小限に抑えるために、さもなければ焼却されるか又は埋め立て地に置かれる使用済み熱可塑性材料を再生するための方法を開発する努力が常に行われている。
【0004】
再生熱可塑性材料のかかる用途の1つにおいて、様々な熱可塑性複合シート/ボードが開発されている。一般に、不織法により用意されるかかる熱可塑性複合材は、再生熱可塑性材料内で強化される繊維材料を含む。これらの熱可塑性複合材は多くの利点を提供し、例えば、それらは、他の多くの中でも、駐車標識、広告板、自動車パネル、荷物運搬具(クレート、箱、パレット、等)、及び他の多くのもの等を含む構造物及び非構造物両方の様々な適切な製品に成形及び形成することができる。
【0005】
しかし、熱可塑性複合材を用意するための再生材料の使用には、それ自体の欠点を有している。例えば、使い捨て手袋、エプロン、エアフィルタ、保護カバー、プラスチックカバー、ポリエチレン、等の様々な軽量熱可塑性製品の再生は、それらの使用が多くの場合、一般に、強力な熱可塑性材料からできている製品よりも許容性が低い物理的特性を有する製品を結果的に生じるため、一般に好ましくない。従って、これらの種類の製品は「廃棄物」のままであり、よって、埋め立て地に送られるか焼却され続け、よって、環境に有害な影響を及ぼす。
【0006】
幾つかの最近の取り組みにおいて、軽量熱可塑性材料のかかる欠点は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンバッグ、フィルム、ラグ等のような軽量プラスチック材料を最初に遠心分離プロセスで洗浄し、細断した後、溶かして生ペレット形態に再加工する方法を用いることによって解決されている。このプロセスは一般に、所望の特性を出力製品に提供するのに効果的である一方で、ペレットを形成するために個別の溶融プロセスを必要とし、必然的にプロセス、及び従って、最終再生製品に対してコストが追加される。
【0007】
その結果、当技術分野において、バージン材料で作られた製品に少なくとも匹敵する衝撃強度、脆性、膨潤、耐熱性、難燃性、寸法安定性、耐摩耗性の特性を有する、再生材料から用意された熱可塑性複合材を形成するための時間効率並びに費用効率の高い方法が必要である。
【0008】
加えて、包装材料、特に多層バッグ、例えば、スナック菓子用袋、並びにハイブリッドバッグ及びホイルの継続的に増加する複雑さ、及びこれらの材料を再生するための結果として増加する困難さを鑑みて、本発明の目的はその効率的な再生を可能にする方法を提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、不織再生熱可塑性材料を用いてプラスチック複合材を製造するための方法を開示する。方法は、
i)再生される熱可塑性材料のフレークを提供するステップと、
ii)熱可塑性フレークを混合し、それによって、第1の融解温度を有する熱可塑性マトリックスを形成するステップと、
iii)第1の融解よりも高い第2の融解温度を有する繊維から所定の厚さのウェブ構造を提供又は形成するステップと、
iv)熱可塑性フレークの熱可塑性マトリックスをウェブ構造の上に均等に分散させるステップと、
v)任意に、第2のウェブ構造を提供又は形成し、それを熱可塑性マトリックスの上に載置するステップと、
vi)任意に、ステップiv及びvを繰り返すステップと、
vii)熱成形プロセスを用いて熱可塑性マトリックスを含むウェブ構造(単数又は複数)を加熱するステップと、を含む。
【0010】
この方法の特別な利点は、ますます複雑化する包装材料、特に、多層バッグ(例えば、スナック菓子用袋)並びにハイブリッドバッグ及びホイルの再生を可能にする極めて効率的なプロセスを提供することである。
【0011】
一般に、大きさの熱可塑性フレークの大きさは3mm~25mmの間の範囲である。
【0012】
好ましい実施形態において、ステップiv)及びv)は、熱により構造を固結する前に、最大7回、又は10回若しくは20回繰り返されてもよい。
【0013】
熱成形によってウェブ構造を固結することは、熱可塑性マトリックスが少なくとも部分的に、好ましくは略完全に融解し、且つ第2の融解温度を有する繊維が融解しないように、第1及び第2の温度の間の温度で行われてもよい。幾つかの実施形態において、熱成形処理温度は、190℃~250℃の間、又は190℃~230℃の間、又は190℃~210℃の間、又は約200℃であってもよい。結果として生じるプラスチック複合材は、剛性複合パネル、ボード、又は厚板である。
【0014】
代替として、固結することは2ステップ熱成形プロセスで行われてもよい。第1のステップにおいて、熱成形は、熱可塑性マトリックスが十分な熱エネルギーを吸収して、十分に軟化及び粘着して、繊維及び熱可塑性マトリックスを部分的に結合し、結果として中間製品、例えば可撓性マットを生じるように、第1の融解温度よりも低い(例えば、90~120℃の間)が、熱可塑性マトリックスの軟化温度よりも高い温度で行われる。かかる可撓性マットは、容易に折り畳むことができ、輸送可能であり、第2のステップにおける後続の熱成形のために分散させることができる価値のある中間製品である。第2のステップにおいて、熱成形は、最終的なプラスチック複合材を更に固結し、形成するために、第1及び第2の温度の間の温度で行われる。任意に、多数の可撓性マットは、第2の熱成形工程に曝露するためにまとめられてもよく、結果としてより厚い厚さを有する剛性複合パネル、ボード、厚板を生じる。
【0015】
場合によっては、方法は、更に、複数の再生プラスチック複合材を形成し、それらを互いに重ねて接続して、多層再生プラスチック複合材を形成することを含む。
【0016】
更に場合によっては、複数のプラスチック複合体は、熱プレス、真空成形、接着、溶着等であるがこれらに限定されないプロセスを用いて互いに接続されてもよい。
【0017】
フレークの熱可塑性マトリックスは、一般に、プラスチックホイル、プラスチックバッグ、プラスチック手袋、ホイル等の軽量の熱可塑性物質(概して、水よりも低い重量密度又は低い嵩密度を有する)を含む。その融解温度(この文において、更に第1の融解温度と称する)は200℃よりも低いか、又は190℃よりも低いのが好ましい。
【0018】
第1の融解温度よりも高い第2の融解温度を有する繊維は、天然繊維、好ましくはほぐされた天然繊維、及び/又は熱可塑性繊維及び/又はガラス繊維及び/又は金属繊維であってもよい。
【0019】
天然繊維は、ジュート、麻、ココヤシ、亜麻、サイザル等の天然原料繊維のうちの1つであってもよいが、これらに限定されない。
【0020】
場合によっては、第2の融解温度を有する熱可塑性繊維は、ポリエステル、ABS(アセチルブチルスチレン)、PS(ポリスチレン)、ナイロン、PA(ポリアミド)等のうちの1つであってもよいが、これらに限定されない。
【0021】
第2の融解温度は、第1の融解温度よりも少なくとも10℃高いか、又は少なくとも20℃高いか、又は少なくとも30℃高いか、又は少なくとも50℃高くてもよい。幾つかの実施形態において、第2の融解温度は、少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも240°、又は少なくとも260°であってもよい。
【0022】
本発明の方法において、第2の融解温度を有する繊維及び熱可塑性マトリックスは、重量で50:50未満、又は重量で30:70未満、又は重量で20:80未満の比率で、好ましくは重量で10:90の比率で存在してもよい。
【0023】
任意に、水よりも高い密度及び/又は高い嵩密度を有するプラスチック材料(ABS、PS、PVC等)からのリグラインドは、ウェブ構造(単数又は複数)上に更に均等に分散されるか、又は分散される熱可塑性マトリックスの一部であってもよい。これは結果として、低い脆性を有するプラスチック複合材を生じる可能性がある。この種のリグラインドは、プラスチック複合材内にフレークを含むリグラインドの総量の5~20重量%の間、又は10~20重量%の間を示してもよい。
【0024】
更に任意に、ガラス繊維又は天然繊維はウェブ構造(単数又は複数)上に更に均等に分散させてもよい。これは結果として、より高い剛性及び/又は低い熱膨張を生じる可能性がある。
【0025】
更に任意に、方法は、抗菌コーティング、ワックス、塗料、ワニス等であるがこれらに限定されない仕上げ材でプラスチック複合材を処理することを含む。
【0026】
熱成形プロセスは、熱結合、蒸気加熱、マイクロ波加熱、熱プレス、圧力成形、真空成形等のプロセスのうちの1つであってもよいが、これらに限定されない。熱成形処理温度は、熱可塑性マトリックスが少なくとも部分的に、好ましくは略完全に融解し、且つ第2の融解温度を有する繊維が融解しないように、第1及び第2の融解温度の間になければならない。幾つかの実施形態において、熱成形処理温度は、190℃~250℃の間、又は190℃~230℃の間、又は190℃~210℃の間、又は約200℃であってもよい。
【0027】
本発明の別の態様において、プラスチック複合材が開示されている。プラスチック複合材は、繊維が絡み合った軽量熱可塑性プラスチックで形成されている。
【0028】
プラスチック複合材は、第2の融点を有する繊維の約5重量%~50重量%、又は約5重量%~約30重量%、又は約5重量%~20重量%、好ましくは約10重量%~20重量%の間を含んでいてもよい。
【0029】
更に、複合材は、熱可塑性フレークの約50重量%~95重量%、又は約70重量%~約95重量%、又は約80重量%~約95重量%、好ましくは約80重量%~90重量%を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の更に別の態様において、再生プラスチック及び繊維を用いて形成される多層プラスチック複合材が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願は、単純で費用効率の高い方法を用いて、再生熱可塑性材料からプラスチック複合材を形成するための方法を開示する。方法は、プラスチックフィルム、ホイル、プラスチックバッグ、等であるが、これらに限定されない軽量プラスチック材料を利用して、適切な機械的特性、高耐熱性、高衝撃強度、耐荷重性、及び極めて良好な寸法安定性を有するプラスチック複合材を形成する。構成されたプラスチック複合材は、建設用フェンスボード、広告板、プラスチック製道路標識、ボックス、クレート、パレット等の荷物運搬具等の様々なパネルボードを形成することに有用である。本開示は、ホイル、バッグ、フィルム等の軽量再生熱可塑性材料についてのみ説明されている一方で、本方法は、一般にあらゆる種類の熱可塑性材料のために用いられてもよいことは言うまでもない。
【0032】
本発明の一実施形態において、プラスチックパネルは、本発明の一態様による熱可塑性複合材から構成されてもよい。熱可塑性複合材は、少なくとも部分的に、使用済みの再生される熱可塑性材料から構成される。熱可塑性材料は、一般に、3mm~25mmの間の範囲の大きさのフレーク形態の1つ以上の軽量(すなわち、水よりも低い密度及び/又はかさ密度を有する)熱可塑性材料を含む熱可塑性マトリックスである。熱可塑性複合材は、更に、熱可塑性マトリックスと三次元ウェブ構造内で概して絡み合い、結合される繊維のコアを含む。
【0033】
本発明の一実施形態において、熱可塑性パネルは多層熱可塑性複合材で形成されてもよい。多層複合材は、熱可塑性複合材の隣接する第2の層に付着及び/又は接着される熱可塑性複合材の第1の層を含む。幾つかの実施例において、層同士は類似した厚さであってもよい。幾つかの他の実施形態において、層は異なる厚さであってもよい。幾つかの実施例において、第1の層及び第2の層は両方とも同じ組成の同じ熱可塑性材料で形成されている。幾つかの他の実施例において、第1の層及び第2の層は、異なる種類の熱可塑性材料を用いて形成され、それによって、それらのそれぞれに異なる特性を提供してもよい。従って、異なる材料の交互層を含めることによって、多層複合材は、高い化学的、熱的、及び機械的抵抗、高強度等の望ましい品質を示すことができる。
【0034】
熱可塑性複合材は、更に、熱可塑性複合材の1つ以上の個々の層の上面及び/又は底面に適用される仕上げ材の1つ以上の層を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、仕上げ材料は、抗菌剤、抗真菌剤等の材料の1つ以上の抗菌コーティングを含む。別の実施形態において、仕上げ材料は、ワックス溶液、塗料等を含んでいてもよい。
【0035】
この発明において用いるのに適した熱可塑性材料は、一般に、市販のラベルから開始して得られる可撓性フィルム及び/又はシート、及び/又はバッグ、及び/又はコンテナ、及び/又は、食品及び/又は農業用であるのが好ましく、コスト、溶融/接合、又は汚染の問題のため、通常、その全てを再利用できず、普通は埋め立て又は焼却されるPE、PET、PVC、PP、PSの中の少なくとも1つの材料でできているのが好ましい包装材等の再生物に由来する異なる種類の軽量プラスチック成分を構成する。
【0036】
適切な熱可塑性材料の他の幾つかの非限定的な実施例は、以下の樹脂群:ABS、アクリル、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、及びポリスチレン(PS)から選択される製品が含まれる。最も一般的に入手可能な現在の再生プラスチックは、PET及びHDPEでできた製品であり、プラスチックボトル、容器及び包装、プラスチック木材、等を含み、その全ては、白色洗剤容器、フロントガラスウォッシャ容器等の白色又は半透明プラスチックからできた容器及び包装を意味する「高密度白プラスチック」を含む許容できる再生可能記号のうちの1つにより識別される。
【0037】
熱可塑性材料の更なる実施例は、食料品を含む容器、箱、缶、ボトル等に貼られる市販のプラスチックラベル;生鮮及び/又は長期保存食料品を収容する透明、半透明、及び不透明袋;肥料、肥やし、種子等の農産物用の袋;透明、半透明、不透明な不浸透性防水布;ごみ、食料品、製品、商品等の袋;モノ及びマルチ製品パック等の熱可塑性包装、及び/又はそれらの任意の適切な組み合わせを含む。
【0038】
プラスチック複合材の製造に用いるための熱可塑性マトリックスの融点よりも高い第2の融解温度を有する繊維は、熱可塑性マトリックスの融点よりも高い融点を有する熱可塑性繊維、及び/又はガラス繊維、及び/又は金属繊維、及び/又は、例えば、靱皮開繊機又は引裂き機等の従来の利用可能なツールを用いて絡み合った天然原繊維を加工することにより得られる好ましくはほぐされた天然繊維のマトリックスを含んでいてもよい。
【0039】
本明細書中で用いるような「天然繊維」という用語は、植物又は動物等の天然の再生可能な供給源に由来する任意の連続フィラメントを指す。「繊維」及び「繊維」という言葉は区別なく用いられる。天然繊維は、綿及びカポック等の種子繊維;サイザル及びリュウゼツラン等の葉繊維;亜麻、ジュート、ケナフ、麻、カラムシ、籐、大豆繊維、つる植物繊維、バナナ繊維等の靭皮繊維又は表皮繊維;ココナッツ繊維等の果物繊維;麦、米、大麦、竹、イネ科植物、木の藁等の茎繊維;羊毛、山羊毛(カシミア、モヘア)、アルパカ毛、馬毛等の動物毛繊維;絹繊維;羽毛等の鳥類繊維を含んでいてもよいが、これらに限定されず、この発明で用いられる天然繊維は、少なくとも中程度の強度及び剛性、並びに良好な延性を有するべきであるのが好ましい。直径の大きい繊維も、それらが高い繊維剛性を提供するため、推奨される。更に、天然繊維130の長さは、約50mm~400mmまで、好ましくは約150mm~約350mmまで変化してもよい。
【0040】
本発明の一実施形態において、天然繊維は、ジュート、麻、ココヤシ、亜麻、サイザル等の天然原料繊維を含む。本発明のより好ましい実施形態において、ジュート繊維が天然繊維として用いられる。ジュート繊維は、低密度、低摩耗性、高強度等の特性を継承し、従って、良好な寸法安定性を継承する。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、第2の融解温度を有する繊維は、ポリエステル、ABS、ポリスチレン、ナイロン、PA等の群の繊維等の熱可塑性マトリックスよりも高い融解温度を有する合成熱可塑性繊維であってもよい。
【0042】
本発明による方法は、再生される熱可塑性材料のフレークを得るための多数のステップを含んでいてもよい。しかし、以下に開示する方法ステップの順序は、当業者にとって本発明を理解するための例示である。
【0043】
一般に、熱可塑性マトリックスを形成するために混合される熱可塑性フレークの集合体は、再生熱可塑性フレークを提供する様々な供給源(例えば、サードパーティ供給業者)からすぐに使用できる構成で得られてもよい。しかし、本発明の幾つかの実施形態において、熱可塑性フレークの集合体は再生される熱可塑性材料の集合体から得られる。
【0044】
熱可塑性材料の集合体は一般に、高重量密度及び/又は高嵩密度の熱可塑性材料と混合される低重量密度及び/又は低嵩密度の熱可塑性材料を含む。受け取った熱可塑性材料の集合体は、材料の種類、材料の色等の様々な要因に従って分類され、次いで、粉砕されてフレーク及び顆粒を含むリグラインドを形成する。リグラインドへのプラスチックの標準サイズ縮小は、通常、シュレッダ及び造粒機によって行われる。これらの機械は、回転切断を行ってプラスチックを切り刻む工業用ブレードを有し、プラスチックはスクリーンを通過し、次いで、プロセスの次の段階のために搬送される。本発明の実施形態において、シュレッダスクリーンは、好ましくは3mm~25mmの間、より好ましくは3mm~15mmの間、最も好ましくは5mm~10mmの間の範囲の孔径を有していてもよい。
【0045】
その後、より高い重量密度及び/又はより高い嵩密度を有するリグラインドは、より低い重量密度及び/又はより低い嵩密度を有するリグラインドから、好ましくは、遠心プロセス、又は水中での分離等の浮遊選別技術によって分離され、それによって、水よりも高い密度及び/又は嵩密度を有するフレークから、水よりも低い密度及び/又は嵩密度を有する熱可塑性フレークを分離する。
【0046】
次のステップにおいて、より低い重量密度及び/又はより低い嵩密度を有するリグラインドは処理されて、例えば風の移動によって、フレークを顆粒から分離する。
【0047】
本発明の文脈において、フレークは、プラスチックホイル、プラスチックバッグ、プラスチック手袋、及び水よりも低い密度及び/又は嵩密度を有する全ての種類のプラスチックシート又は多層シート材料から生じるリグラインドである。これらのフレークの大きさは、好ましくは3mm~25mmの間、より好ましくは3mm~15mmの間、最も好ましくは5mm~10mmの間の範囲の孔径を有するシュレッダスクリーンを通すことによって特定される。
【0048】
次のステップにおいて、第2の融解温度を有する繊維が、均一に混合されたウェブ構造を形成するよう、ウェビングプロセス、好ましくはカーディング又はニードルパンチングプロセスを経て提供される。製織又は関連する紡織製造プロセス、又は超音波溶着も適用されてもよい。
【0049】
カーディングプロセスは、例えば、当該技術において周知のようなRando機又はLaroche機、又は他の任意の機械で実行されてもよい。代替として、ウェビングは、カーディングプロセス等の公知の任意の機構を用いて実行される。カーディングは、繊維をほぐし、混合して後続の処理に適した連続ウェブを生成する機械的プロセスである。カーディングプロセスを用いることにより、極めて薄い所定の厚さまでのウェブ構造を作製することができる(16g/m2まで)。
【0050】
超音波溶着は、ウェブ構造の両側のフレークが互いに接触して、結果として再生プラスチック複合材の向上した特性を生じるように、繊維間の距離を可変に選択することができるという利点を有していてもよい。
【0051】
ウェブ構造が形成されると、方法は、軽量熱可塑性マトリックスがウェブ構造上に均一に広がる、すなわち、均一に広がることによって均一に分散される次のステップに進み、熱可塑性マトリックスを広げた後、第2のウェブ構造は、2つのウェブの間に軽量熱可塑性マトリックスを有するように、熱可塑性マトリックス上に位置決めされてもよい。後者の2つのステップは何回か繰り返されて、繊維のウェブ構造間に広がった軽量熱可塑性マトリックスの層を結果として生じ、結果として生じるプラスチック複合材に組み込まれる極めて大量の熱可塑性マトリックスを結果として生じてもよい。次いで、構造体は、熱成形プロセス等の公知のメカニズムを用いて加熱される。用いられる熱成形プロセスは、前のステップから得られたウェブ構造が加熱されたカレンダローラを通過することにより加熱される熱接着プロセスであるのが好ましい。代替として、圧密が、熱可塑性材料を互いに及び天然繊維に結合させることができるように、ウェブ構造内の温度を十分に上昇させてもよい他の加熱機構によって実施されてもよい。かかる機構は、熱プレス、真空成形、蒸気加熱、マイクロ波加熱等、当該技術において周知のものを含んでいてもよいが、これらに限定されない。前に説明したように、固結することは、単一ステップの熱成形によって、又は代替として2ステップの熱成形プロセスによって行われてもよい。
【0052】
方法は、更に、2つ以上の熱可塑性複合材が製造される任意のステップを含んでいてもよい。その後、2つ以上の熱可塑性複合体は、層状構造で共に接続されて、多層熱可塑性複合体を形成する。層形成は、プレス、真空成形、接着、溶着等のうちの1つ等であるが、これらに限定されない従来から公知の技術のいずれかを用いることによって行われてもよい。更に、多層熱可塑性複合材の各層は、製造される熱可塑性複合材の所望の用途及び特性に応じて、類似又は異なる熱可塑性材料から形成されてもよい。
【0053】
本発明の幾つかの実施形態において、方法は、更に、熱可塑性複合材の1つ以上の表面を仕上げ材で処理する任意のステップ及び/又は複合材に選択された特性を付与する後処理プロセスを含む。例えば、熱可塑性複合材の1つ以上の表面は、抗菌剤、抗真菌剤等で処理されてもよい。代替として及び/又は追加として、熱可塑性複合材は、例えば、ワックス、塗料等の仕上げ材で処理されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示は、一般に軽量の再生プラスチック材料で形成された熱可塑性複合シート、マット、又はボードに関し、熱可塑性材料から形成され、少なくとも従来のプラスチックシート、マット、又はボードに匹敵する衝撃強度、膨潤、耐熱性、難燃性、寸法安定性、耐摩耗性等の所望の特性を必要とする広告板、駐車標識、運転標識、形成された他の構造部品等の交通管理製品等の様々な公益事業に用いることができる。加えて、繊維の薄いウェブの上に再生熱可塑性マトリックスを広げることにより、極めて大量の再生熱可塑性マトリックスを、結果として生じるプラスチック複合材に組み込むことができる。
【0055】
熱可塑性複合材は、約50mm~約400mmの間、好ましくは約150mm~約350mmの間の平均長さを有する強化繊維の約10重量%~50重量%、又は10重量%~約30重量%、好ましくは約20重量%を含んでいてもよい。熱可塑性複合材は、一般に、約3mm~約25mmの間の範囲の平均サイズを有する熱可塑性材料のフレークの約50重量%~90重量%、又は70重量%~約90重量%、好ましくは約80重量%を含み、ここで重量パーセントは熱可塑性複合材の総重量に基づいている。
【0056】
本開示は、更に、軽量熱可塑性材料を再生することによって熱可塑性複合材を製造するための方法を提供する。この方法は、一般に、プラスチックホイル、プラスチックバッグ、手袋等、及び/又はそれらの組み合わせ等の一般的に利用されていない軽量プラスチック廃棄物を用いて、高品質の熱可塑性複合材を形成するための単純で費用効率の高い、時間の節約となる方法である。従来、かかる軽量プラスチック材料を用いることは、熱可塑性複合材の製造に用いるよう適用する前に、溶解し、顆粒又はペレットに成形する追加のステップを必要とした。しかし、本発明による方法400を用いることにより、再生プロセスは大幅に、著しく短縮することができる。
【0057】
実施例:パレットの製造:
直径8mmのシュレッダスクリーン孔により細断されたホイル及び袋から生じる再生LDPEフレークの85重量%を、略同じ大きさのABS、PS、PVC顆粒の混合物の15重量%と混合した。
【0058】
上記混合物の約300g/m2が、再生PET繊維の70g/m2のカーディングされたウェブ構造上に均一に分散された。このプロセスを2回繰り返し、最終的なウェブ構造を上部に置き、最終的に、その間に均等に分散されたフレーク及び顆粒の混合物との4枚のカーディングされたウェブのサンドイッチ構造とした。このため、構造物の総重量は約1180g/m2である。
【0059】
この構造は、1cm厚の中間複合材へ圧力下で熱成形された。中間体は可撓性マットであり、例えば、約200kgのベイルに巻回させることができる。
【0060】
これらの可撓性マットの3枚を互いに積層し、200℃で9mmの合計厚さにプレスし、それによってパレットを形成した。