(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】反応性組成物を使用する付加製造
(51)【国際特許分類】
B29C 64/106 20170101AFI20221005BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221005BHJP
C08G 18/50 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B29C64/106
B33Y10/00
C08G18/50 021
(21)【出願番号】P 2020508989
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(86)【国際出願番号】 IB2018056254
(87)【国際公開番号】W WO2019035099
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-04-10
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フェン, デイビッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, カート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ロック, レザ エム.
(72)【発明者】
【氏名】クチュコ, シンシア
(72)【発明者】
【氏名】ドナルドソン, スーザン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】フォグル, アンソニー ジェイ.
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/085992(WO,A1)
【文献】特表2016-530430(JP,A)
【文献】特開平03-210364(JP,A)
【文献】国際公開第2017/095658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/50
B29C 64/00- 64/40
B22F 10/00- 12/90
B22F 3/16
B33Y 10/00- 99/00
F04C 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性付加製造の方法であって、
第1の化合物を含む第1の成分を第1のポンプへ提供するステップと、
第2の化合物を含む第2の成分を第2のポンプへ提供するステップであって、前記第1の化合物が前記第2の化合物と反応性であるステップと、
共反応性組成物を提供するために、ミキサーを通して前記第1のポンプから前記第1の成分を送り出し、そして前記第2のポンプから前記第2の成分を送り出すステップと、
前記共反応性組成物を堆積させるステップと
を含み、
ここで、前記共反応性組成物が、3分よりも長いタックフリータイムにより特徴付けられる、
方法。
【請求項2】
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプのそれぞれが、プログレッシブキャビティポンプを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の成分が、2種またはそれより多い第1の化合物を含み、
前記第2の成分が、2種またはそれより多い第2の化合物を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2種またはそれより多い第1の化合物が、2~6の第1の官能基の平均官能価を含み、
前記2種またはそれより多い第2の化合物が、2~6の第2の官能基の平均官能価を含み、
前記第1の官能基が前記第2の官能基と反応性である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1および第2の成分の両方が独立して、1mmからの隙間を有するレオメーターを使用して、25℃および100秒
-1の剪断速度で測定される、200センチポアズ~20,000,000センチポアズの粘度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の成分が第1の粘度を含み、
前記第2の成分が第2の粘度を含み、
前記第1の粘度が前記第2の粘度の±50%以内であり、
粘度は、隙間を1mmとしたレオメーターを使用して、25℃のプレート温度および100秒
-1の剪断速度で測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の化合物が、第1のモノマー、第1のプレポリマー、またはこれらの組合せを含み、
前記第2の化合物が、第2のモノマー、第2のプレポリマー、またはこれらの組合せを含み、
前記第1のモノマーおよび前記第1のプレポリマーが、前記第2のモノマーおよび前記第2のプレポリマーと反応性である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の化合物が少なくとも1種の第1のプレポリマーを含み、
前記第2の化合物が少なくとも1種の第2のプレポリマーを含み、
前記少なくとも1種の第1のプレポリマーが前記少なくとも1種の第2のプレポリマーと反応性である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の化合物がポリアミンを含み、前記第2の化合物がポリイソシアネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の化合物がポリアルケニル化合物を含み、前記第2の化合物がポリチオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の化合物がマイケル受容体を含み、前記第2の化合物がマイケル供与体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の化合物がポリエポキシドを含み、前記第2の化合物がポリチオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の化合物がポリエポキシドを含み、前記第2の化合物がポリアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記共反応性組成物が200センチポアズ~20,000,000センチポアズの動粘度を含み、前記動粘度が、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するレオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記共反応性組成物が、25℃で5分未満のゲル化時間によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1の成分および第2の成分の両方が独立してフィラーを含み;前記共反応性組成物がフィラーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1および第2の成分の両方が独立して、0.1wt%~95wt%のフィラーを含み、wt%は前記第1の成分または前記第2の成分の全重量に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1および第2の成分の両方が独立して、0.1vol%~95vol%のフィラーを含み、vol%は前記第1の成分または前記第2の成分の全重量に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記共反応性組成物が0.1wt%~95wt%のフィラーを含み、wt%は前記共反応性組成物の全重量に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記共反応性組成物が0.1vol%~95vol%のフィラーを含み、vol%は前記共反応性組成物の全重量に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
堆積させるステップが押し出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法を使用することにより特徴付けられる、物体を形成する方法。
【請求項23】
前記物体が1MHz~18GHzの間の周波数範囲内で少なくとも10dBの減衰をもたらす、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記物体が0.9未満の比重によって特徴付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
堆積させるステップが、隣接する層を共有結合させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
押し出すことが、押出物を形成することを含み、そして
前記押出物の断面プロファイルが、前記第1の成分の前記第2の成分に対する可変の比率により特徴付けられる、
請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記比率が、前記押出物中の共反応性成分のモル%比率を指す、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記比率が、前記押出物中の官能基の当量比率を指す、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記比率が、前記押出物中の共反応性成分のwt%比率を指す、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記共反応性組成物が、第3の官能基を有する第3の化合物を含み、ここで、前記第3の官能基が、前記
第1の化合物の第1の官能基または前記
第2の化合物の第2の官能基と反応性である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第3の化合物と、前記第1の化合物とのまたは前記第2の化合物との間の反応速度が、前記第1の化合物と前記第2の化合物との間の反応速度よりも速い、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月18日に出願された米国出願第15/680,846号の利益を主張し、これは参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
政府ライセンスの権利
本発明は、米国エネルギー省によって与えられた契約番号DE-AC05-00OR22725、および共同研究開発協定NFE-14-05242の下で、政府支援によってなされた。政府は本発明に、ある特定の権利を有する。
【0003】
分野
本発明は、ポリ尿素を含む共反応性材料の付加製造のための、組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
付加製造は著しく興味のある分野である。多種多様な材料を使用する多くの付加製造方法が開発されており、それぞれが独自の利点および欠点を有している。
PCT国際公開第WO2016/085914号では、共反応性成分を使用する付加製造が開示されている。共反応性組成物のレオロジーパラメーターが決定され、製造可能性と関連付けられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本発明によれば、反応性付加製造の方法は、第1の化合物を含む第1の成分を第1のポンプへ提供するステップと;第2の化合物を含む第2の成分を第2のポンプへ提供するステップであって、第1の化合物が第2の化合物と反応性である、ステップと;共反応性組成物を提供するために、ミキサーを通して第1のポンプから第1の成分を送り出し、そして第2のポンプから第2の成分を送り出すステップと;共反応性組成物を堆積させるステップとを含む。
【0007】
本発明によれば、押出物は本発明による方法によって形成される。
【0008】
本発明によれば、物体は本発明による方法を使用して形成される。
【0009】
ある特定の化合物および方法がここでは言及される。開示される実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図していない。それと反対に、特許請求の範囲は、すべての代替形態、修正形態、および均等物を網羅することを意図している。
【0010】
本明細書に記載の図面は、例示のみを目的とする。図面は、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、2種のポリ尿素組成物の硬化の間の複素粘度を示すグラフである。
【0012】
【
図2】
図2は、2種のポリ尿素組成物の硬化の間の粘度の位相角を示すグラフである。
【0013】
【
図3】
図3は、2種のポリ尿素組成物の硬化の間の剪断貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”を示す図である。
【0014】
【
図4】
図4は、4種のポリ尿素組成物の硬化の間の複素粘度を示すグラフである。
【0015】
【
図5】
図5は、4種のポリ尿素組成物の硬化の間の複素粘度を示すグラフである。
【0016】
【
図6】
図6は、3種のプレポリマーの剪断速度γ(秒
-1)に対する粘度η(cP)の依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下の詳細な記述の目的に関して、反対と明確に規定された場合を除いて、本発明は様々な代替の変形形態および工程順序を想定してもよいことを理解すべきである。そのうえ、任意の操作例または他に示された場合以外は、表現しているすべての数値、例えば、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量は、すべての事例で「約」という用語によって修正されると理解すべきである。その結果、反対と示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で説明する数値パラメーターは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメーターは、近似であるにもかかわらず、具体例で説明される数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定で見出される標準偏差に必然的に起因する、ある特定の誤差を本来的に含有している。
【0018】
また、本明細書で列挙される任意の数値範囲は、その中に包含されるすべてのサブ範囲を含むことを意図していると理解すべきである。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値である1と列挙された最大値である10の間の(ならびにそれらを含む)すべてのサブ範囲を含む、すなわち、1に等しいまたはそれより大きい最小値、および10に等しいまたはそれ未満の最大値を有することを意図している。
【0019】
特に明記しない限り、単数の使用は複数を含み、複数は単数を包含する。さらに、「または」の使用は、「および/または」がある特定の事例で明示的に使用されたとしても、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。
【0020】
「押出し」は、物体を作り出すために使用される、金型(ダイス)を通して材料が押されるプロセスを指す。押出し金型は、物体を作るのに好適な形状および寸法を有する。押出し金型は、固定された形状または押出しの間に変更することができる形状を有してもよい。共押出しは、押出物で1つまたは複数の組成物を組み合わせるために使用することができる。共押出しは、部品のプロファイルにわたって、異なる組成物を有する領域を提供するために使用することができる。例えば、押出物の中心は1つの組成物を有することができ、押出物の1つの側面は第2の組成物を有することができ、押出物の1つの側面は第3の組成物を有することができる。例えば、美的な外表面および電気伝導性内表面を有する部品を作製することができる。
【0021】
「から形成された」または「から調製された」は、例えば、含む(comprising)のような、オープンなクレーム言語を意味する。そのため、列挙された成分のリスト「から形成された」または「から調製された」組成物は、少なくとも列挙された成分または少なくとも列挙された成分の反応生成物を含む組成物であり、組成物を形成または調製するために使用された、他の列挙されていない成分をさらに含むことができることを意図している。
【0022】
「の反応生成物」は、列挙された反応物の化学反応生成物を意味し、部分的な反応生成物、および完全に反応した生成物、ならびにより少量で存在する他の反応生成物を含むことができる。
【0023】
「モノマー」は、例えば、1,000ダルトン未満、800ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、または400ダルトン未満の分子量によって特徴付けられる化合物を指す。モノマーは繰り返し単位を有しても、有さなくてもよい。モノマーは、2つまたはそれより多い、例えば、2~6つの反応性官能基を含むことができる。モノマーは、ある特定の多官能化剤を包含する。
【0024】
「多官能化剤」は、3またはそれより多い、例えば3~6の反応性官能価を有する化合物を指す。多官能化剤は3つの反応性官能基を有することができ、3官能化剤と呼ぶことができる。多官能化剤は、例えば、反応性末端チオール基、反応性末端アルケニル基、反応性イソシアネート基、反応性エポキシ基、反応性マイケル供与体基、反応性マイケル受容体基、または反応性アミンを有することができる。多官能化剤は、例えば、2,000ダルトン未満、1,800ダルトン未満、1,400ダルトン未満、1,200ダルトン未満、1,000ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、400ダルトン未満、300ダルトン未満、または200ダルトン未満の計算分子量を有することができる。例えば、多官能化剤は、100ダルトン~2,000ダルトン、200ダルトン~2,000ダルトン、200ダルトン~1,800ダルトン、300ダルトン~1,500ダルトン、または300ダルトン~1,000ダルトンの計算分子量を有することができる。
【0025】
多官能化剤は式(1)の構造を有することができる
【化1】
[式中、Bは多官能化剤のコアであり、各Vは有機部分であり、各Rは反応性官能基、例えば、チオール基、アルケニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミン基、マイケル受容体基、または本明細書で開示される他の官能基で末端化された部分であり、zは3~6の整数、例えば、3、4、5、または6である]。式(1)の多官能化剤では、各Vは独立して、例えば、C
2~10アルカンジイル、C
2~10ヘテロアルカンジイル、置換C
2~10アルカンジイル、または、置換C
2~10ヘテロアルカンジイルであってもよく、各Rは反応性官能基であってもよい。
【0026】
好適なアルケニル末端化多官能化剤の例としては、シアヌル酸トリアリル(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,3-ビス(2-メチルアリル)-6-メチレン-5-(2-オキソプロピル)-1,3,5-トリアジノン-2,4-ジオン、トリス(アリルオキシ)メタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1-(アリルオキシ)-2,2-ビス((アリルオキシ)メチル)ブタン、2-プロパ-2-エトキシ-1,3,5-トリス(プロパ-2-エニル)ベンゼン、1,3,5-トリス(プロパ-2-エニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオン、および1,3,5-トリス(2-メチルアリル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、ならびに前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0027】
好適な3官能価チオール末端化多官能化剤の例としては、例えば、米国特許出願公開第2010/0010133号に開示されている、1,2,3-プロパントリチオール、1,2,3-ベンゼントリチオール、1,1,1-ブタントリチオール、ヘプタン-1,3-7-トリチオール、1,3,5-トリアジン-2,4-6-トリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール、およびこれらの組合せ、ならびに米国特許第4,366,307号、第4,609,762号、および第5,225,472号に記述されているポリチオールが挙げられる。多官能化剤の組合せも、使用され得る。
【0028】
好適なポリチオール多官能化剤の例としては、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプト-プロピオネート)(PETMP)、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)(TMPMP)、グリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)(GDMP)、トリス[2-(3-メルカプト-プロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート(TEMPIC)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)(di-PETMP)、トリ(3-メルカプトプロピオネート)ペンタエリスリトール、トリエチロールエタントリ-(3-メルカプトプロピオネート)、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0029】
好適なポリチオール多官能化剤は、例えば、Bruno Bock ThiochemicalsからThiocure(登録商標)という商品名で市販されている。
【0030】
好適なポリアミン多官能化剤の例としては、トリアミノノナンが挙げられる。
【0031】
好適なポリイソシアネート多官能化剤の例としては、ポリイソシアネート(polysiocyanate)3量体、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレートもしくはイソホロンジイソシアネートイソシアヌレートの3量体、または対応するアロフォネートもしくはビウレットが挙げられる。
【0032】
「プレポリマー」は、主鎖に繰り返し単位を有する化合物を指し、例えば、1,000ダルトン~20,000ダルトン、1,000ダルトン~10,000ダルトン、または2,000ダルトン~5,000ダルトンの重量平均分子量によって特徴付けることができる。プレポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、およびオリゴマーを含む。プレポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、適切な標準物質、多くの場合、ポリスチレンまたはスルホン化ポリスチレンを使用して決定することができる。「プレポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー、ならびにブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーを含むコポリマーを指す。チオール末端化プレポリマーの場合、分子量は、ヨウ素滴定を使用する末端基分析によって決定される数平均分子量「Mn」である。チオール末端化でないプレポリマーの場合、数平均分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。プレポリマー、例えば、本開示によって提供されるチオール末端化硫黄含有プレポリマーは、硬化剤と組み合わせて硬化性組成物を提供することができ、これは硬化して、硬化された高分子網目をもたらすことができる。プレポリマーは、室温(25℃)および室内圧力(760トル;101kPa)で液体である。
【0033】
「反応性官能基」は、別の反応性官能基と化学的に反応して、共有結合を形成することができる化学基を指す。
【0034】
「共反応性組成物」は、互いに化学的に反応して共有結合を形成することができる、少なくとも2種の化合物を含む組成物を指す。
【0035】
「ゲル化時間」は、共反応性組成物が最初に混合されてから、組成物が固化してもはや手作業で撹拌できなくなるまでの期間を指す。
【0036】
「タックフリータイム」は、反応性組成物が最初に混合されてから、反応性組成物の表面に適用された綿ボールが付着しなくなるまでの期間を指す。
【0037】
「完全硬化時間」は、相互反応性成分が最初に組み合わせられ、混合されて反応性組成物を形成したときと、組成物の硬度がもはや増加しないときとの間の期間を指す。
【0038】
「イソシアネート」は-N=C=O基を指す。
【0039】
「アルケニル」は-CH=CH2基を指す。
【0040】
「ポリアルケニル」は、少なくとも2つのアルケニル基を有する化合物を指す。少なくとも2つのアルケニル基は、末端のアルケニル基であってもよく、こうしたポリアルケニルは、アルケニル末端化化合物と呼ぶことができる。アルケニル基は、ペンダントアルケニル基でもあり得る。ポリアルケニルは、2つのアルケニル基を有するジアルケニルであり得る。ポリアルケニルは、2つを超えるアルケニル基、例えば、3~6つのアルケニル基を有することができる。ポリアルケニルは、単一型のポリアルケニルを含むことができ、同じアルケニル官能価を有するポリアルケニルの組合せであり得、または異なるアルケニル官能価を有するポリアルケニルの組合せであり得る。
【0041】
「チオール」は-SH基を指す。
【0042】
「アミン」は-N(R)2基[式中、各Rは、水素および有機基から独立して選択される]を指す。アミンは、第1級アミン基(-NH2)、第2級アミン基(-NH-)、第3級アミン基(-NH3)、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0043】
「マイケル供与体」は、活性化されたアルケニル基と、1,4-付加反応で反応することができる化合物を指す。マイケル供与体の例としては、活性化メチレン、例えば、マロネートおよびニトロアルカンが挙げられる。
【0044】
「マイケル受容体」は、電子求引性基、例えば、ケトン、ニトロ、ハロ、ニトリル、カルボニル、またはニトロ基に近位の、アルケニル基などの活性化されたアルケンを指す。マイケル受容体は当該技術分野で周知である。「マイケル受容体基」は活性化されたアルケニル基および電子求引性基を指す。マイケル受容体基は、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、オキサゾリジン、およびアクリレートから選択することができる。マイケル受容体の他の例は、Mather et al., Prog. Polym. Sci. 2006, 31, 487-531に開示されており、アクリレートエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、アルキルメタクリレート、シアノアクリレートを含む。他のマイケル受容体としては、ビニルケトン、α,β-不飽和アルデヒド、ビニルホスホネート、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ある特定のアゾ化合物、β-ケトアセチレンおよびアセチレンエステルが挙げられる。
【0045】
「化学線」は、組成物に適用して、照射すると、光重合開始剤から反応開始化学種を発生することができるエネルギーを指し、例えば、α線、γ線、X線、紫外(UV)線、可視光線、赤外線、または電子線が挙げられる。
【0046】
「滞留時間」は、2つの相互反応性成分が最初に混合されて共反応性組成物を形成した後、共反応性組成物が堆積装置から押し出されるとき、例えば、共反応性組成物がミキサーに接続されたノズルから押し出されるときまでの期間を指す。例えば、ノズルは、ノズルがミキサーに連結されるところと出口オリフィスとの間の長さを有することができ、共反応性組成物がノズルに存在する時間の長さが、滞留時間である。
【0047】
比重は、ASTM D1475に従って決定される。
【0048】
ショアA硬度は、タイプAデュロメーターを使用して、ASTM D2240に従って測定される。
【0049】
引張強度および伸びは、AMS 3279に従って測定される。
【0050】
「粘度」は、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および100秒-1の剪断速度で測定される。「低剪断粘度」は、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および1秒-1の剪断速度で測定される。「高剪断粘度」は、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および100秒-1の剪断速度で測定される。動粘度は、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される。
【0051】
ここで、本発明のある特定の化合物、組成物、および方法に言及する。開示される化合物、組成物、および方法は、特許請求の範囲を限定することを意図していない。それと反対に、特許請求の範囲は、すべての代替形態、修正形態、および均等物を網羅することを意図している。
【0052】
共反応性成分を使用する付加製造は、代替の付加製造方法と比較していくつかの利点を有する。連続的な層を形成する材料は、共反応して層間の共有結合を形成することができるので、共反応性成分を使用する付加製造は、より強い部品を作り出すことができる。また、成分は低粘度を有するので、混合した場合、より高いフィラー含量を使用することができる。作られた物体の材料の機械的および/または電気的特性を修正するために、より高いフィラー含量を使用することができる。共反応性成分は、付加的に製造される部品で使用される化学を広げて、改善された特性、例えば、耐溶媒性、電気伝導性、熱伝導性、および軽量をもたらすことができる。最終的に、共反応性化合物の硬化速度が速くなり得るので、共反応性付加製造は高い堆積速度の使用を促進することができる。
【0053】
共反応性成分の付加製造の場合、堆積中に組成物が比較的低い粘度を維持し、次に急速に増加して、その上に次の層を塗布する安定したベースを提供するように、反応性成分間の反応速度および/または堆積プロセスが制御されることが、一般に望ましい。堆積中の低い粘度は、より速い印刷速度を促進することができる。
【0054】
共反応性成分の付加製造で用いることができる、いくつかの化学が存在する。共反応性系の例としては、ポリ尿素を形成するポリイソシアネートおよびポリアミンが挙げられる。ポリ尿素は、反応性付加製造での使用にとって魅力的である。ポリイソシアネートとポリアミンの反応は、室温で急速に進行することができ、その結果、堆積中の熱流を制御する必要性を回避することができる。ポリ尿素反応は、触媒の非存在下で急速に進行することもできる。
【0055】
本開示は、三次元印刷を使用する構造物の製造を対象とする。少なくとも2つの共反応性成分を含む共反応性組成物を基材上に堆積させ、その後、下にある堆積した部分もしくは層の上に、および/または前に堆積した部分もしくは層に隣接して、共反応性組成物の追加の部分または層を堆積させることによって、物体の連続的部分または層を形成して三次元物体を製造することができる。前に堆積した層に隣接して層を連続的に堆積させ、印刷物体を作ることができる。共反応性組成物を混合して次に堆積させるか、または反応性成分を単独で堆積させることができる。単独で堆積させる場合、反応性成分を同時に、順次、または同時および順次の両方で堆積させることができる。
【0056】
共反応性組成物は、少なくとも1種の第2の化合物と反応性である、少なくとも1種の第1の化合物を有する組成物を指す。第1の成分は少なくとも1種の第1の化合物を含むことができ、第2の成分は少なくとも1種の第2の化合物を含むことができる。第1の化合物および第2の化合物に加えて、それぞれの第1および第2の成分は他の反応性成分および添加物、例えば、フィラー、レオロジー改質剤、接着促進剤等を含むことができる。少なくとも1種の第1の化合物は第1の官能基を含むことができ、少なくとも1種の第2の化合物は第2の官能基を含むことができ、第1の官能基は第2の官能基と反応性である。第1の官能基は、触媒非存在下の25℃で、第2の官能基と反応性であってもよい。第1の化合物および第2の化合物は単一の反応性官能基を有することができるが、一般に、2つまたはそれより多い反応性官能基、例えば、2~20の官能基、2~16、2~12、2~8、2~6、2~4、または2~3の反応性官能基を含む。反応性官能基は、末端の官能基、ペンダント官能基、または末端およびペンダント官能基の組合せであってもよい。
【0057】
第1の成分および第2の成分を組み合わせ、混合して、共反応性組成物を提供することができる。
【0058】
堆積および類似した用語は、熱硬化性もしくは共反応性組成物および/またはその反応性成分を含む印刷材料を、(物体の第1の部分の場合)基材上に、または物体の前に堆積した部分もしくは層の上に塗布することを指す。各共反応性成分は、モノマー、プレポリマー、アダクト、および/または架橋剤を独立して含んでもよく、これらは別の共反応性成分の構成要素と化学的に反応することができる。
【0059】
「物体の部分」は、物体のサブユニット、例えば、物体の層を意味する。層は、連続的で水平な平行面上にあり得る。部分は、材料の離散小滴として、または材料の連続的なストリームとして生成した、堆積した材料の平行面または堆積した材料のビーズであり得る。少なくとも2つの反応性成分はそれぞれ希釈せず提供されてもよく、またはさらに溶媒(有機および/もしくは水)ならびに/または以下で記述する他の添加物を含んでもよい。本開示によって提供される反応性成分は、溶媒が実質的になくてもよい。実質的にないとは、反応性成分が、5wt%未満、4wt%未満、2wt%未満、または1wt%未満の溶媒を含むことを意味し、wt%は反応性成分の全重量に基づく。同様に、本開示によって提供される共反応性組成物は、溶媒が実質的になくてもよく、例えば、5wt%未満、4wt%未満、2wt%未満、または1wt%未満の溶媒を有し、wt%は共反応性組成物の全重量に基づく。
【0060】
少なくとも2つの共反応性成分を一緒に混合し、その後、反応して物体の部分を形成する共反応性成分の混合物として堆積させてもよい。例えば、共反応性成分の少なくとも2つの別のストリームを、ミキサー、例えば、静的ミキサーおよび/または動的ミキサーへ送達して、次に堆積される単一のストリームを生成することによって、2つの共反応性成分を一緒に混合し、反応して熱硬化性樹脂を形成する共反応性成分の混合物として堆積させてもよい。反応混合物を含む共反応性組成物が堆積する時間までに、共反応性成分は少なくとも部分的に反応してもよい。堆積した反応混合物は、堆積の後に少なくとも部分的に反応してもよく、さらに、物体の前に堆積した部分および/または後から堆積した部分、例えば、物体の下にある層または上にある層と反応してもよい。
【0061】
2つまたはそれより多い反応性成分は、任意の好適な装置を使用して堆積させることができる。好適な堆積装置の選択は、堆積体積、組成物の粘度および作製される部品の複雑性を含むいくつかの要因に左右される。2つまたはそれより多い反応性成分のそれぞれを、独立したポンプへ導入し、ミキサーに注入して、2つの反応性成分を組み合わせて混合することができる。ノズルをミキサーに連結することができ、混合された共反応性組成物を圧力下で押す、またはノズルを通して押し出すことができる。
【0062】
ポンプは、例えば容積形ポンプ(positive displacement pump)、シリンジポンプ、ピストンポンプ、またはプログレッシブキャビティポンプであり得る。2つの反応性成分を送達する2つのポンプは、並列に配置しても、直列に配置してもよい。好適なポンプは、液体または粘性液体をノズルオリフィスを通して押すことができる。このプロセスは、押出しとも呼ぶことができる。2つのポンプを直列に使用して、反応性成分をミキサーへ導入することができる。
【0063】
例えば、共反応性成分が直列で混合される、プログレッシブキャビティ2成分吐出装置、例えば、ViscoTec eco-DUO 450高精度吐出装置に取り付けられた、使い捨てノズルを通して材料を分与することによって、2つまたはそれより多い共反応性成分を堆積させることができる。2成分吐出装置は、例えば、使い捨て静的ミキサー分与装置の中へ、または動的ミキサーの中へ反応物を別個に投与する、2つのプログレッシブキャビティポンプを含むことができる。他の好適なポンプとしては、容積形ポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、およびプログレッシブキャビティポンプが挙げられる。分与の際、共反応性材料は押出物を形成し、ベース上に共反応性材料の初期層および連続的な層を提供する。堆積装置はベースと直角に配置することができるが、押出物はベースと平行であって、押出物と堆積装置が鈍角を形成するように、押出物を形成するのに好適な任意の角度で設定してもよい。押出物は、組み合わされた共反応性成分、すなわち、例えば、静的ミキサーまたは動的ミキサーで混合された共反応性組成物を指す。
【0064】
ベース、堆積装置、またはベースおよび堆積装置の両方を、三次元物体を作り上げるように移動してもよい。動作は所定の様式で行うことができ、これは、任意の好適なCAD/CAM法ならびに装置、例えば、ロボット工学および/またはコンピュータ化工作機械インターフェースを使用して達成してもよい。
【0065】
押出物を連続的または断続的に分与して、初期層および連続的な層を形成してもよい。断続的堆積の場合、吐出装置を中継スイッチと接続して、プログレッシブキャビティポンプなどのポンプを止め、共反応性材料の流れを停止させてもよい。任意の好適なスイッチ、例えば、任意の好適なCAD/CAM手法によって都合よく制御することができる電気機械スイッチを使用することができる。
【0066】
堆積装置は、直列の静的および/または動的ミキサーならびに別の加圧されたポンプ隔室を含み、少なくとも2つの共反応性成分を保持して、共反応性材料を静的および/または動的ミキサーへ提供することができる。ミキサー、例えば、アクティブミキサーは、円錐形ノズル内に高剪断刃を有する可変速中央インペラを含むことができる。例えば、0.2mm~50mm、0.5mm~40mm、1mm~30mm、または5mm~20mmの出口オリフィス寸法を有する、一連の円錐形ノズルを使用してもよい。
【0067】
例えば、0.6mm~2.5mmの出口オリフィス寸法、および30mm~150mmの長さを有する、一連の静的および/または動的混合ノズルを使用してもよい。例えば、出口オリフィス直径は、0.2mm~4.0mm、0.4mm~3.0mm、0.6mm~2.5mm、0.8mm~2mm、または1.0mm~1.6mmであり得る。静的および/または動的ミキサーは、例えば、10mm~200mm、20mm~175mm、30mm~150mm、または50mm~100mmの長さを有することができる。混合ノズルは、静的および/または動的混合セクション、ならびに静的および/または動的混合セクションに連結した分与セクションを含むことができる。静的および/または動的混合セクションは、共反応性材料を組み合わせて混合するように、配置することができる。分与セクションは、例えば、上記のオリフィス直径のいずれかを有する直管であり得る。分与セクションの長さは、共反応性成分が反応し始め、物体上に堆積する前に粘度を増加させることができる領域を提供するように配置することができる。分与セクションの長さは、例えば、堆積の速度、共反応物の反応速度、および所望の粘度に基づいて選択することができる。共反応物は、例えば、0.25秒~5秒、0.3秒~4秒、0.5秒~3秒、または1秒~3秒の、静的および/または動的混合ノズルでの滞留時間を有することができる。他の滞留時間は、硬化の化学および硬化速度に基づいて適切に使用することができる。流速は、例えば、0.8mm~1mmの直径を有するノズルを通して、例えば、1mL/分~20mL/分、2mL/分~15mL/分、3mL/分~10mL/分、または4mL/分~8mL/分であり得る。一般に、好適な滞留時間は、共反応性組成物のゲル化時間より短い。好適なゲル化時間は、10分未満、8分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満であり得る。共反応性組成物のゲル化時間は、例えば、0.5分~10分、1分~7分、2分~6分、または3分~5分であり得る。
【0068】
共反応性組成物は、例えば、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1分未満、45秒未満、30秒未満、15秒未満、または5秒未満のゲル化時間を有することができる。共反応性組成物は、例えば、0.1秒~5分、0.2秒~3分、0.5秒~2分、1秒~1分、または2秒~40秒のゲル化時間を有することができる。
【0069】
静的および/または動的混合ノズルは、例えば、共反応性化合物間の反応速度および/または共反応性化合物の粘度を制御するために、加熱または冷却することができる。堆積ノズルのオリフィスは、任意の好適な形状および寸法を有することができる。装置は、複数の堆積ノズルを含むことができる。ノズルは固定されたオリフィスの寸法および形状を有することができるか、またはノズルオリフィスは制御可能に調整することができる。共反応性化合物の反応によって発生した発熱量を制御するために、ミキサーおよび/またはノズルを冷却してもよい。
【0070】
付加製造に有用な共反応性組成物は、共反応性組成物を混合した後に、3分より長い、4分より長い、5分より長い、または6分より長い例で記述される、綿ボール試験を使用して測定されるタックフリータイムを示すことができる。3分未満のタックフリータイムを有する共反応性組成物は、実用的な塗布には硬化が速すぎる傾向がある。例えば、こうした共反応性組成物は、静的および/または動的混合ノズルであまりに粘性になるおそれがあり、ノズルを詰まらせるおそれがある。共反応性組成物は、例えば、3分~20分、4分~15分、または5分~10分のタックフリータイムを有することができる。
【0071】
付加製造に有用な共反応性組成物は、例えば、2より大きい、3より大きい、または4より大きい、共反応性組成物を混合した後t=0で決定されるG”/G’比(剪断損失弾性率G”の剪断貯蔵弾性率G’に対する比)を有することができる。
【0072】
好適な共反応性化学としては、ポリ尿素化学が挙げられる。ポリ尿素化学の例として、ポリイソシアネートはポリイソシアネートプレポリマーおよび/またはポリイソシアネートモノマーを含むことができ、ポリアミン成分はポリアミンプレポリマーおよび/またはポリアミンモノマーを含むことができる。
【0073】
ポリイソシアネートおよび/またはポリアミンは、2官能性、3官能性、またはこれらの組合せであり得る。ポリイソシアネートおよび/またはポリアミンは、例えば、2~6、例えば、4~6の官能価を有するプレポリマーおよび/またはモノマーを含むことができる。
【0074】
ポリイソシアネートプレポリマーおよび/またはポリアミンプレポリマーは、例えば、500ダルトン~20,000ダルトン、1,000ダルトン~10,000ダルトン、1,000ダルトン~8,000ダルトン、1,000ダルトン~6,000ダルトン、1,500ダルトン~5,500ダルトン、または2,000ダルトン~6,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。
【0075】
ポリイソシアネートは、ポリオールプレポリマーおよびポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートを含む反応物の反応生成物、ならびに/またはポリアミンプレポリマーおよびポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートを含む反応物の反応生成物を含むことができる。
【0076】
ポリイソシアネートは、500ダルトン~2,500ダルトンの範囲内の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、Polymeg(登録商標)(LyondellBasell)を、ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネートと反応させることによって、調製することができる。
【0077】
ポリイソシアネートは、ポリエーテルアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsman)、例えば、500ダルトン~2,500ダルトンの範囲内の分子量を有するポリオキシプロピレンジアミンを、ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネートと反応させることによって、調製することができる。
【0078】
本開示によって提供される反応性組成物は、フィラーを含むことができる。例えば、反応性組成物は、0.1wt%~30wt%、0.1wt%~20wt%、2wt%~20wt%、または5wt%~15wt%を含むことができ、wt%は共反応性組成物の全重量に基づく。ポリイソシアネート成分、ポリアミン成分、またはポリイソシアネートおよびポリアミン成分の両方は、フィラーを含むことができる。
【0079】
静的および/または動的混合ノズルでの共反応物の完全な混合を促進するために、共反応性組成物の粘度が、例えば、互いの5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内で類似していることが有用であり得る。作られた物体にある特定の特性を付与するために、および/またはレオロジー改質剤として、フィラーを添加することができる。粘度は、添加物、例えば、レオロジー改質剤、反応性希釈剤、および/または溶媒によって修正することができる。異なる粘度を有する共反応性成分の場合、完全な混合を促進するために、より長い混合管を使用することができる。
【0080】
一方の成分がより高い分子量のプレポリマーを含み、第2の成分がより低い分子量の硬化剤を含む、共反応性系を使用する場合、より低い分子量の硬化剤を含む第2の成分の粘度を増加させることが望ましくあり得る。反応性組成物中のフィラーの量(wt%)を増加させることによって、成分の初期粘度を増加させることができ、硬化組成物の粘度の増加を遅くすることができる。
【0081】
ポリアミン硬化剤と混合した後の2つの組成物に対する複素粘度|η
*|および位相角δを、
図1および2にそれぞれ示す。図で組成物Aおよび組成物Bと呼ばれる組成物が、実施例1で評価した組成物に対応しないことに注意されたい。
【0082】
組成物B(Jeffamine(登録商標)D-2000/IPDI)は、組成物A(Polymeg(登録商標)2000/IPDI)より弾性である。約10
4Pa×s~10
5Pa×sの範囲内の複素粘度|η
*|は、付加製造にとって好適であり、好結果の構造を提供する。しかしながら、約45°の低い初期位相角(
図2)に反映されるように、組成物Bは急速に硬化して材料を付加製造に適さなくする。他方で組成物Aは、約65°の初期位相角δから始まり、ポリイソシアネートとポリアミン成分が最初に混合されてから約8分後まで45°まで下がらない。これらの研究に基づき、位相角が45°およびそれより小さい場合、組成物はもはや印刷不可能である。
【0083】
図3は、2つの共反応性組成物に対して、剪断貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”を時間とともに示す。Polymeg(登録商標)2000/IPDI、Jeffamine(登録商標)T-5000、および5wt%のフィラーを含む組成物Aは、約2の初期弾性率比G”/G’を示し、約7分後に約1の比に到達した。
【0084】
これに対し、Jeffamine(登録商標)D-2000/IPDI Jeffamine(登録商標)T-5000、および5wt%のフィラーを含む反応性組成物Bは、約1の初期弾性率比G”/G’を示し、1未満の比に経時的に増加した。
【0085】
図2に描かれた位相角δは、
図3に報告された値から、tanδ=G”/G’という関係を用いて計算される。
【0086】
図4および5は、異なる量のフィラーを有する様々な組成物に対する、複素粘度|η
*|および位相角δをそれぞれ示す。組成物Aは、Jeffamine(登録商標)T5000と組み合わせたPolymeg(登録商標)2000/IPDI、Clearlink(登録商標)1000、Petrolite(登録商標)T5000、およびフィラーを含んだ。組成物Bは、Jeffamine(登録商標)T5000と組み合わせたJeffamine(登録商標)D2000/IPDI、Clearlink(登録商標)1000、Petrolite(登録商標)T5000、およびフィラーを含んだ。Cabosil(登録商標)TS-720ヒュームドシリカの量は、図に示されている。
【0087】
また、初期貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”は、Polymeg(登録商標)2000組成物では、Jeffamine(登録商標)D-2000組成物と比較して約1桁小さかった。
【0088】
以下の特性を有する組成物は、共反応性成分を混合した後、独立してまたは様々な組合せで、例えば、2成分プログレッシブキャビティポンプを使用して首尾よく印刷できることが、実験結果に基づいて決定された。初期のG”/G’比が1~5の範囲内、例えば、2より大、3より大もしくは4より大、初期位相角δが45°~89°の範囲内、7分でtanδ>45、および/または単一の共反応性成分の初期粘度が互いと20%以下だけ異なる。
【0089】
図6は、6つのプレポリマーに対する、剪断依存性粘度を示す。Polymeg(登録商標)2000、IPDI末端化Polymeg(登録商標)2000、およびJeffamine(登録商標)T-5000は、0.1秒
-1~約2秒
-1の剪断速度で類似した粘度を有している。
【0090】
付加製造でのポリ尿素の硬化化学の場合、共反応性組成物は、例えば、0.7×104cP~0.1.3×104cP、0.8×104cP~1.2×104cP、または0.9×104cP~1.1×104cPの範囲内の粘度を有することが有用であり得、粘度は、隙間を1mmにセットされ、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するAnton Paar MCR 301または302レオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅で測定される。
【0091】
Jeffamine(登録商標)派生プレポリマーである、
図6のJeffamine(登録商標)T-500の高粘度および短いゲル化時間も、プレポリマー間の水素結合を増加させるおそれのある、ペンダントヒドロキシル基の存在に起因する可能性がある。
【0092】
物体の異なる部品が異なる材料特性によって特徴付けら得るように、付加的に印刷された物体の全体にわたって、2つの共反応性成分の異なる割合を使用して、物体の異なる部品を形成することができる。例えば、物体のいくつかの部品は剛性であってもよく、物体の他の部品は可撓性であってもよい。
【0093】
堆積に伴って、堆積した部分および/または物体が所望の構造的完全性を達成および保持するように、共反応性成分の粘度、反応速度、および他の特性を調整して、共反応性成分および/または熱硬化性組成物の流れを制御できることが認識されるであろう。溶媒の包含によって、共反応性成分の粘度を調整してもよく、または共反応性成分には溶媒が実質的にない、もしくは溶媒が完全になくてもよい。フィラーの包含によって、共反応性成分の粘度を調整してもよく、または共反応性成分にはフィラーが実質的にない、もしくはフィラーが完全になくてもよい。より低いかまたはより高い分子量を有する成分を使用することによって、共反応性成分の粘度を調整してもよい。例えば、共反応性成分は、プレポリマー、モノマー、またはプレポリマーとモノマーの組合せを含んでもよい。堆積温度を変更することによって、共反応性成分の粘度を調整してもよい。共反応性成分は、使用する特定の堆積方法、例えば、堆積前の混合および/またはインク噴射に対して調整され得る、粘度および温度プロファイルを有してもよい。粘度は共反応性成分自体の組成によって影響を受ける可能性があり、かつ/または本明細書で記述するレオロジー改質剤の包含によって制御され得る。
【0094】
粘度および/または反応速度は、共反応性成分の堆積に伴って、組成物が堆積に伴う意図した形状を保持するようであることが、望ましくあり得る。例えば、粘度が低すぎるかつ/または反応速度が遅すぎる場合、堆積した組成物は、完成した物体の所望の形状を損なうような方法で流れるおそれがある。同様に、粘度が高すぎるかつ/または反応速度が速すぎる場合、所望の形状が損なわれるおそれがある。
【0095】
例えば、一緒に堆積する各共反応性成分は、25℃および0.1秒-1~100秒-1の剪断速度で、200cP~20,000,000cP、1,000cP~18,000,000cP、5,000cP~15,000,000cP、5,000cP~10,000,000cP、5,000cP~5,000,000cP、5,000cP~1,000,000cP、5,000cP~100,000cP、5,000cP~50,000cP、5,000センチポアズ(cP)~20,000cP、6,000cP~15,000cP、7,000cP~13,000cP、または8,000cP~12,000cPの粘度を、それぞれ独立して有することができる。粘度の値は、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃の温度および100秒-1の剪断速度で測定される。好適な粘度は、印刷に使用する堆積装置、装置の寸法、堆積速度、および反応性成分の硬化速度を含む、いくつかの要因に依存し得る。
【0096】
2つまたはそれより多い反応性成分の組合せから形成される共反応性組成物は、例えば、200cP~20,000,000cP、1,000cP~18,000,000cP、5,000cP~15,000,000cP、5,000cP~10,000,000cP、5,000cP~5,000,000cP、5,000cP~1,000,000cP、5,000cP~100,000cP、5,000cP~50,000cP、5,000センチポアズ(cP)~20,000cP、6,000cP~15,000cP、7,000cP~13,000cP、または8,000cP~12,000cPの動粘度を有することができる。
【0097】
堆積した物体の連続的および隣接する層の間の層間架橋の速度は、層間反応を促進して、それによって層間強度を改善するように制御することができる。例えば、隣接する層が互いに共有結合することが望ましくあり得る。これを達成するために、第1の層は第2の層の官能基と反応することができる未反応の官能基を有するように、第1の層が完全に硬化する前に第2の層は第1の層の上に堆積され得る。層間架橋の速度は、例えば、連続的な層の堆積の間の時間の調整、温度の調整、触媒の濃度の調整、ならびに/または組成物の成分、例えば、モノマーおよびプレポリマーの量の調整によって、制御することができる。堆積した層は均一であってもよいし、堆積した層は不均一であってもよい。不均一な層の場合は、層の断面は異なる化学組成を有する可能性がある。例えば、層間接着性を改善するために、層の一部は、上にある層の過剰の共反応性官能価と次に反応することができる、過剰の、ある特定の共反応性官能価を有してもよい。同様に、層間接着性を改善するために、層のより低い部分は、下にある層の過剰の共反応性官能価と次に反応することができる、過剰の、ある特定の共反応性官能価を有してもよい。層間結合および/または接着性を改善するために、上にある層の堆積前またはその途中で、堆積した層の上に結合被覆、結合薄膜または結合層を塗布または堆積してもよい。層間結合層は、例えば、近接する層と反応性の化合物、触媒、および/または接着促進剤を含むことができる。層間結合被覆は、共押出しによって押出物の表面に塗布することができる。
【0098】
共反応性成分は、1分子当たり少なくとも2つの官能基(「A」官能基と呼ぶ)を有する第1の化合物、および1分子当たり少なくとも2つの官能基(「B」官能基と呼ぶ)を有する第2の化合物を含むことができ、A官能基およびB官能基は互いに共反応性であり、互いと異なり、2種の共反応性化合物の少なくとも1種は飽和官能基を含む。
【0099】
「飽和官能基」は、化合物の他の(非反応性)部分では不飽和が存在してもよいが、不飽和反応性基を含まない共反応性化合物の官能基を指す。飽和基の一例としてはチオール基が挙げられ、不飽和基の一例としてはアルケニル基およびアクリレート基が挙げられる。飽和官能基の例としては、チオール、ヒドロキシル、第1級アミン、第2級アミン、およびエポキシ基が挙げられる。ある特定の組成物では、飽和官能基は、チオール、第1級アミン、第2級アミン、または前述のいずれかの組合せであり得る。ある特定の組成物では、飽和官能基は、チオール、第1級アミン、第2級アミン、エポキシ、または前述のいずれかの組合せであり得る。不飽和官能基の例としては、アルケニル基、活性不飽和基、例えば、アクリレート、マレイン酸またはフマル酸基、イソシアネート基、非環式カーボネート基、アセトアセテート基、カルボン酸基、マイケル受容体基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリレート基、およびマロネート基が挙げられる。
【0100】
ある特定の組成物では、飽和基はアミン基を含み、不飽和基はイソシアネート基を含む。
【0101】
本開示によって提供される組成物は、第1の官能基を含む第1の化合物、および第2の官能基を含む第2の化合物を含むことができ、第2の官能基は第1の官能基と反応性である。本開示によって提供される組成物は、第1の官能基を含む第1の化合物、および第2の官能基を含む第2の化合物を含むことができ、第2の官能基は第1の官能基と反応性であり、両方の官能基はエチレン性不飽和基を含まない。エチレン性不飽和基の例としては、(メタ)アクリレート基、マイケル受容体基、およびビニルエーテル基が挙げられる。
【0102】
本開示によって提供されるある特定の組成物では、第1の成分および第2の成分は、ポリイソシアネートおよびポリオールを含まない。
【0103】
B官能基は、中温、例えば、140℃未満、100℃未満、60℃未満、50℃未満、40℃未満、30℃未満、または25℃未満で、A官能基と反応することができ得る。AおよびB官能基は、室温、例えば25℃で一緒に反応してもよい。共反応性成分の1つまたは両方は、平均で1分子当たり2つを超える反応性基を有してもよく、その場合、共反応性成分の混合物は熱硬化性組成物を含む。好適な共反応性官能基は、例えば、Noomen, Proceedings of the XIIIth International Conference inOrganic Coatings Science and Technology, Athens, 1987, page 251、およびTillet etal., Progress in Polymer Science, 36 (2011), 191-217に記述されており、これらは参照によりそのすべてが組み込まれる。A基とB基との間の反応は、副産物の除去を伴わなくてもよい。こうした反応は、しばしば付加反応と呼ばれる。好適な共反応性官能基AおよびBの例を、表1に列挙する。
【表1】
【0104】
付加製造材料が少なくとも2組の共反応性A基およびB基を含むことができるように、第1の共反応性成分は、1を超える種類の官能基Aを有する化合物を含んでもよく、第2の共反応性成分は、1を超える種類の官能基Bを有する化合物を含んでもよく、少なくとも1種の共反応性化合物は飽和官能基を有する。例えば、第1の共反応性成分は、ヒドロキシル基および第2級アミン基(すなわち、少なくとも2つの異なる官能基)を有する化合物を有してもよく、第2の共反応性成分は、イソシアネート基を有する化合物を有してもよい。1つまたは両方の共反応性成分は、A基とB基との間の反応を触媒するための触媒を必要に応じて含んでもよい。
【0105】
A基およびB基は、任意の好適な化合物、例えば、モノマーおよび/またはプレポリマーに結合してもよい。A基およびB基はプレポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、またはアクリルプレポリマーに結合してもよい。
【0106】
官能基AおよびBは、末端基および/またはペンダント基であり得る。共反応性化合物は、2官能価または2より大きい官能価、例えば、2~6の官能価を有することができる。共反応性化合物の各官能基は同じであってもよいし、共反応性化合物のある特定の官能基が異なっていてもよい。例えば、共反応性化合物は、イソシアネートと反応性である、1を超える異なる種類の官能基、例えば、第1級アミン基、第2級アミン基、またはヒドロキシル基を有することができる。
【0107】
少なくとも2種の共反応性化合物を含む組成物では、第1の化合物はポリアミンを含むことができ、第2の化合物はポリイソシアネートを含むことができる、第1の化合物はポリアルケニル化合物を含むことができ、第2の化合物はポリチオールを含むことができる、または第1の化合物はマイケル付加受容体を含むことができ、第2の化合物はマイケル付加供与体を含むことができる。少なくとも2種の共反応性化合物を含む組成物では、第1の化合物は、イソシアネート官能性プレポリマーを含むことができ、第2の化合物は、化合物、例えば、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシル、もしくは前述のいずれかの組合せを含むモノマーおよび/またはプレポリマーを含むことができる。少なくとも2種の共反応性化合物を含む組成物では、第1の化合物はポリチオールを含むことができ、第2の化合物はポリエポキシドを含むことができる、または、第1の化合物はポリアミンを含むことができ、第2の化合物はポリエポキシドを含むことができる。
【0108】
付加製造のための共反応性組成物は、第1の官能基を含む第1の化合物、および第2の官能基を含む第2の化合物を含むことができ、第1および第2の官能基は互いに反応性であり、第1の官能基および第2の官能基の少なくとも1つは飽和官能基を含む。第1および第2の官能基の1つは不飽和官能基であってもよく、または第1および第2の官能基の両方が飽和官能基であってもよい。第1の官能基および第2の官能基の両方は不飽和官能基ではない。本開示によって提供される組成物は、飽和および/または不飽和官能基を含み得る追加の共反応性成分を含有してもよい。
【0109】
共反応性官能基は、反応して共有結合を形成することができる。共反応性官能基間の反応を、触媒によって触媒することができる。触媒は、共反応性化合物および共反応性官能基の間の反応を触媒するのに有効な触媒を含むことができる。ある特定の組成物では、共反応性官能基間の反応はフリーラジカル開始反応を伴わない。本開示によって提供される組成物は、熱硬化性組成物であり得る。
【0110】
本開示によって提供される組成物は、2つの共反応性成分または2つを超える共反応性成分を含んでもよい。反応性成分は、同じ官能基を有する反応性化合物の組合せ、例えば、同じ官能基を有するモノマーとプレポリマーの組合せを含むことができる。追加の共反応性成分、例えば第3の共反応性成分は、第1の官能基または第2の官能基と反応性である異なる官能基を有する化合物を含むことができる。追加の共反応性成分は、組成物に追加の特性を付与することができる。例えば、追加の共反応性成分の他の共反応性成分の1つとの反応速度は速い可能性があり、それによって、他の共反応性成分が完全に硬化する前に、堆積した層が所望の形状を維持する能力を促進することができる。例えば、それぞれ、より速い反応速度を有する組成物は、押出しのコアまたは押出しの表面を形成することができ、より遅い反応速度を有する組成物は、押出しの外表面または押出しのコアを形成することができる。
【0111】
第1の成分および第2の成分は好適な比で組み合わせて、硬化性共反応性組成物を形成することができる。例えば、硬化性組成物の、官能基Aの官能基Bに対する当量比は、1:1~1.5:1、1:1~1.45:1、1:1~3:1、1.2:1~1.5:1、または1.2:1~1.4:1であり得る。硬化性組成物の、好適な官能基Aの官能基Bに対する当量比は、例えば、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.1:1~1:1.1であり得る。
【0112】
本開示によって提供される組成物は、物体の1つの部分での共反応性成分の比が、物体の別の部品での共反応性成分の比と異なるように、共反応性成分の1つまたは両方を含むことができる。このように、物体の部分は異なる硬化組成物を有してもよい。異なる組成物は、共反応性化合物の重量パーセント、共反応性化合物内の反応性モノマーもしくは反応物の当量比、フィラーの種類および/もしくはレベル、架橋密度、ならびに/または特性、例えば、ガラス転移温度によって異なってもよい。その結果、三次元印刷で生成した物体の1つの部分は、三次元物体の別の部分とは異なる材料特性、例えば、異なる化学的、物理的、熱的、または材料特性を有してもよい。例えば、物体の外表面、物体の内部、および/または物体の内表面は、異なる特性を有することができる。異なる特性は、押出しの内であり得る。例えば、押出物の1つもしくは複数の表面もしくは表面の部分は、別の表面もしくは表面の部分と比較して異なる特性を有することができ、かつ/または表面もしくは表面の部分は、コアと異なる特性を有することができる。押出物の断面に関して、特性は断面の異なる部分で異なることができるように、押出物のコアも均一でなくてもよい。
【0113】
さらに、物体の1つの部分は、物体の隣接する部分の少なくともいくつかの他の共反応性成分と部分的に反応してもよい。こうした反応は、各隣接部分で堆積中にかつ/または共反応性成分が堆積した後に起こってもよく、それによって、共反応性成分は各隣接する部分内で部分的に反応し、隣接する部分間の共反応性成分が反応する。この方式で、共反応性組成物が物体の部分間で反応するにつれて、物体の堆積した部分が一緒に共有結合することができ、それによって三次元物体の物理的および構造的な完全性を増加させることができる。例えば、下にある堆積した層の表面に存在する未反応のイソシアネートおよび/またはアミン基は、その後堆積した層の未反応基と反応することができる。これは、同じ層内の反応に加えて、堆積した材料の層間の反応をもたらすことによって、物体の強度/完全性を増加させる。
【0114】
付加製造物体は、少なくとも2つの堆積した共反応性成分から生成し、架橋され得る、熱硬化性または共反応性組成物、例えば、ポリ尿素組成物から形成された層を含むことができる。ポリ尿素の場合、共反応性成分の1つは、イソシアネート官能性プレポリマーまたはオリゴマーを含んでもよく、別の共反応性成分は、アミン、例えば第1級または第2級アミンを含んでもよい。イソシアネート官能性共反応性成分は、イソシアネート官能性モノマーをさらに含んでもよい。アミン含有共反応性成分は、イソシアネート官能性プレポリマー、オリゴマー、および/またはモノマーと反応性である官能基、例えば、ヒドロキシル基を有する別の反応物をさらに含んでもよい。印刷された三次元物体の隣接する部分は、1つまたは複数の隣接する部分で共反応性組成物のいくつかと反応してもよい。
【0115】
ポリ尿素組成物の場合、共反応性成分は、ポリイソシアネートモノマーおよび/もしくはプレポリマー、またはポリイソシアネートのブレンドを含み得る、イソシアネート官能性成分を含んでもよい。ポリイソシアネートプレポリマーは、十分な量のポリアミンまたは他のイソシアネート反応性成分、例えば、1つもしくは複数のポリオールと予備反応し、その結果イソシアネート官能性プレポリマーでは、ポリイソシアネート上の反応性イソシアネート部位が残存する、ポリイソシアネートであり得る。
【0116】
反応性成分は反応性化合物を含むことができ、反応性化合物は、プレポリマーもしくはプレポリマーの組合せ、モノマーもしくはモノマーの組合せ、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。反応性成分中のプレポリマーおよびモノマーは、同じ反応性官能基または異なる官能基を有することができる。例えば、反応性成分はポリアミンおよびポリオールを含むことができ、ポリイソシアネートを含む反応性成分と組み合わせることができる。
【0117】
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートプレポリマー、ポリイソシアネートモノマー、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0118】
ポリイソシアネートは、イソシアネート基と反応性である末端基を有するプレポリマーを、ポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートと反応させることによって調製された、ポリイソシアネートプレポリマーを含むことができる。例えば、ポリイソシアネートプレポリマーは、ポリオールプレポリマーおよび/またはポリアミンプレポリマーを、ポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートと反応させることによって、調製することができる。好適なポリイソシアネートプレポリマーは、市販されている。
【0119】
好適なモノマー性ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これは、3,3,5-トリメチル-5-イソシアナト-メチル-シクロヘキシルイソシアネートである;水素化ジイソシアネート、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI);混合アラルキルジイソシアネート、例えば、テトラメチルキシリルジイソシアネート、OCN-C(-CH3)2-C6H4C(CH3)2-NCO;ならびにポリメチレンイソシアネート、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、および2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0120】
脂肪族イソシアネートは、UV光による分解に耐性のある三次元ポリ尿素物体を生成するのに有用であり得る。
【0121】
好適なモノマー性芳香族ポリイソシアネートの例としては、一般に、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートおよびアルキル化ベンゼンジイソシアネート;メチレン-介在(interrupted)芳香族ジイソシアネート、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、特にアルキル化類似体を含む4,4’-異性体(MDI)、例えば、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリマー性メチレンジフェニルジイソシアネートが挙げられる。
【0122】
好適なポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートモノマーの2量体および3量体から調製されたポリイソシアネートも挙げられる。ジイソシアネートモノマーの2量体および3量体は、例えば、米国特許第5,777,061号第3欄44行目~第4欄40行目に記述されている方法によって調製することができ、これは参照によりそのすべてが組み込まれる。ジイソシアネートモノマーの2量体および3量体は、イソシアヌレート、ウレトジオン、ビウレット、アロファネートおよびこれらの組合せ、例えば、Bayer Material Scienceから入手可能なDesmodur(登録商標)N3600、Desmodur(登録商標)CP2410、およびDesmodur(登録商標)N3400、から選択される結合を含有してもよい。
【0123】
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートプレポリマーも含むことができる。例えば、ポリイソシアネートは、イソシアネート末端化ポリエーテルジオール、イソシアネート末端化延長ポリエーテルジオール、またはこれらの組合せを含むことができる。延長ポリエーテルジオールは、過剰のジイソシアネートと反応して、増加した分子量および主鎖にウレタン結合を有するイソシアネート末端化ポリエーテルプレポリマーをもたらす、ポリエーテルジオールを指す。ポリエーテルジオールの例としては、Invistaから入手可能なTerathane(登録商標)ポリエーテルジオール、例えば、Terathane(登録商標)200およびTerathane(登録商標)650、またはBASFから入手可能なPolyTHF(登録商標)ポリエーテルジオールが挙げられる。イソシアネート末端化ポリエーテルプレポリマーは、米国特許出願公開第2013/0244340号に記述されているように、ジイソシアネートとポリエーテルジオールを反応させることによって調製することができ、これは参照によりそのすべてが組み込まれる。延長イソシアネート末端化プレポリマーの数平均分子量は、例えば、250ダルトン~10,000ダルトン、または500ダルトン~7,500ダルトンであり得る。
【0124】
ポリイソシアネートプレポリマーは、イソシアネート末端化ポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、テトラヒドロフランの重合を通して生成されるポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むことができる。好適なポリテトラメチレンエーテルグリコールの例としては、Polymeg(登録商標)ポリオール(LyondellBasell)、PolyTHF(登録商標)ポリエーテルジオール(BASF)、またはTerathane(登録商標)ポリオール(Invista)が挙げられる。
【0125】
ポリイソシアネートプレポリマーは、イソシアネート末端化ポリエーテルアミンを含むことができる。ポリエーテルアミンの例としては、Jeffamine(登録商標)ポリエーテルアミン(Huntsman Corp.)、およびBASFから入手可能なポリエーテルアミンが挙げられる。好適なポリエーテルアミンの例としては、ポリオキシプロピレンジアミンが挙げられる。
【0126】
ポリイソシアネートプレポリマーは、2官能性イソシアネート、3官能性イソシアネート、2官能性イソシアネート末端化プレポリマー、延長2官能性イソシアネート末端化プレポリマー、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0127】
ポリイソシアネートは、モノマー性ポリイソシアネートまたはモノマー性ポリイソシアネートの組合せを含むことができる。モノマー性ポリイソシアネートは、ジイソシアネートであり得るか、または例えば、3~6のイソシアネート官能価を有することができる。
【0128】
好適なモノマー性ポリイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これは3,3,5-トリメチル-5-イソシアナト-メチル-シクロヘキシルイソシアネートである;水素化材料、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI);混合アラルキルジイソシアネート、例えば、テトラメチルキシリルジイソシアネート、OCN-C(CH3)2-C6H4C(CH3)2-NCO;ならびにポリメチレンイソシアネート、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネートおよび2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0129】
好適なモノマー性芳香族ポリイソシアネートとしては、一般に、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートおよびアルキル化ベンゼンジイソシアネート;メチレン-介在芳香族ジイソシアネート、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、特にアルキル化類似体を含む4,4’-異性体(MDI)、例えば、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリマー性メチレンジフェニルジイソシアネートが挙げられる。
【0130】
三次元ポリ尿素物体を生成するために使用されるアミン官能性共反応性成分は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、またはこれらの組合せを含んでもよい。ポリアミンは、ジアミンもしくは、例えば、3~6のアミン官能価を有するポリアミン、またはこれらの組合せであり得る。ポリアミンはモノマー性ポリアミン、ポリアミンプレポリマー、またはこれらの組合せであり得る。
【0131】
好適なモノマー性脂肪族ポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,3-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/もしくは2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノ-ヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,3-および/もしくは1,4-シクロヘキサンジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチル-シクロヘキサン、2,4-および/もしくは2,6-ヘキサヒドロトルエン(hexahydrotolulene)ジアミン、2,4’-および/もしくは4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)(1,3 BAC)、および3,3’-ジアルキル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(例えば、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン)、2,4-および/もしくは2,6-ジアミノトルエンならびに2,4’-および/もしくは4,4’-ジアミノジフェニルメタン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0132】
好適な第2級アミンとしては、アクリレートおよびメタクリレート変性アミンが挙げられる。「アクリレートおよびメタクリレート変性アミン」によって、モノおよびポリアクリレート変性アミンの両方、ならびにアクリレートまたはメタクリレート変性モノまたはポリアミンを含む。アクリレートまたはメタクリレート変性アミンは、脂肪族アミンを含むことができる。
【0133】
第2級アミンは脂肪族アミン、例えば、脂環式ジアミンを含んでもよい。こうしたアミンは、Huntsman Corporation(Houston、TX)からJefflink(商標)、例えば、Jefflink(商標)754という名称で、市販されている。アミンは、アミン官能性樹脂として提供されてもよい。こうしたアミン官能性樹脂は、高固形分ポリ尿素三次元物体の配合で使用するのに好適な、比較的低粘度のアミン官能性樹脂であり得る。アミン官能性樹脂は、有機酸のエステル、例えば、イソシアネートと適合性がある、例えば、無溶媒のアスパラギン酸エステル系アミン官能性反応性樹脂を含んでもよい。こうしたポリアスパラギン酸エステルの一例は、マレイン酸ジエチルと1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンの誘導体であり、Bayer Corporation、PAから、Desmophen(商標)NH1220という商品名で市販されている。アスパルテート基を含有する他の好適な化合物も同様に用いることができる。
【0134】
ポリアミンは、高分子量第1級アミン、例えば、ポリオキシアルキレンアミンを含むことができる。ポリオキシアルキレンアミンは、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシドまたはこれらの混合物に由来し、主鎖に結合する、2つまたはそれより多い第1級アミノ基を含有している。こうしたアミンの例としては、ポリオキシプロピレンジアミンおよびグリセロールトリス[ポリ(プロピレングリコール)、アミン末端化]エーテル、例えば、Huntsman Corporationから、Jeffamine(商標)という名称で入手可能なものが挙げられる。こうしたポリエーテルアミンは、例えば、Jeffamine(商標)D-230、D-400、D-2000、T-403およびT-5000のように、200ダルトン~7,500ダルトンの分子量を有することができる。
【0135】
アミン官能性共反応性成分は、脂肪族第2級アミン、例えば、Dor-Ketal Chemicals,LLCから入手可能なClearlink(登録商標)1000も含んでもよい。
【0136】
アミン官能性共反応性成分は、アミン官能性アスパラギン酸エステル、ポリオキシアルキレン第1級アミン、脂肪族第2級アミン、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0137】
イソシアネートおよび、モノアミンとポリ(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレートアミン反応生成物を含む共反応性成分から形成されたポリ尿素の場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートおよび対応する(メタ)アクリレートの両方を意味する。ポリ(メタ)アクリレートは、任意の好適なポリ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物であり得る。ポリ(メタ)アクリレートはジ(メタ)アクリレートを含むことができるか、ポリ(メタ)アクリレートはトリ(メタ)アクリレートを含むことができるか、またはポリ(メタ)アクリレートはテトラ(メタ)アクリレートを含むことができる。好適なジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3-ジメチルプロパン1,3-ジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、チオジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。トリおよびより高い(メタ)アクリレートの例としては、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。他の好適なポリ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エポキシ化大豆油の(メタ)アクリレート、およびポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのウレタンアクリレートが挙げられる。モノ、ジ、トリ、および/またはテトラ(メタ)アクリレートの混合物を含む、ポリ(メタ)アクリレートモノマーの混合物も使用され得る。
【0138】
他の好適なポリ(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネートとの反応、またはポリイソシアネートおよびポリオールもしくはポリアミンのイソシアネート官能性アダクトとの反応から形成されるものが挙げられる。好適なヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。好適なポリイソシアネートとしては、例えば、本明細書で開示する、モノマー性もしくはオリゴマー性イソシアネート、またはイソシアネートプレポリマーのいずれかが挙げられる。
【0139】
ポリアミンは、ジアミン、例えば、3~6のアミン官能価を有するポリアミン、およびこれらの組合せを含む。
【0140】
好適な脂肪族ポリアミンの例としては、エチルアミン、異性体のプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,3-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノ-ヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,3-および/または1,4-シクロヘキサンジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチル-シクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトルエン(hexahydrotoluylene)ジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタンならびに3,3’-ジアルキル4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(例えば、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタンおよび3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン)、2,4-および/もしくは2,6-ジアミノトルエンならびに2,4’-および/または4,4’-ジアミノジフェニルメタン、またはこれらの混合物が挙げられる。アクリレート変性アミンの特定の例は、イソホロンジアミン、マレイン酸ジブチル、およびアクリル酸ブチルの反応生成物である。
【0141】
好適な第2級アミンの例としては、脂肪族アミン、例えば、脂環式ジアミンが挙げられる。こうしたアミンは、Huntsman Corporation(Houston、TX)から、Jefflink(登録商標)、例えばJefflink(登録商標)754という名称で市販されている。他の例としては、Clearlink(登録商標)1000(Dorf-Ketal Chemicals,LLC)、およびアスパラギン酸エステル官能性アミン、例えば、Desmophen(登録商標)、例えば、NH1220、Desmophen(登録商標)NH1420、およびDesmophen(登録商標)NH1520(Bayer Materials Science LLC)の名称で入手可能なものが挙げられる。第2級アミンは、イソホロンジアミンとアクリロニトリルとの反応生成物、例えば、Polyclear(登録商標)136(BASF/Hansen Group LLCから入手可能)であり得る。ポリアミンは、アミン官能性樹脂としても提供され得る。例えば、アミン官能性樹脂は、有機酸のエステル、例えば、イソシアネートと適合性がある、例えば、無溶媒の、および/または、アミン官能価のエステルに対する1:1以下のモル比を有し、そのため反応の際に過剰な第1級アミンが残存しないアスパラギン酸エステル系アミン官能性反応性樹脂を含んでもよい。こうしたポリアスパラギン酸エステルの一例は、マレイン酸ジエチルと1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンの誘導体であり、Bayer CorporationからDesmophen(登録商標)NH1220という商品名で市販されている。アスパルテート基を含有する他の好適な化合物も、同様に用いることができる。さらに、第2級ポリアミンは、化合物の誘導体、例えば、マレイン酸、フマル酸エステル、脂肪族ポリアミン等を含むことができるポリアスパラギン酸エステルを含むことができる。
【0142】
ポリアミンは、高分子量第1級アミン、例えば、ポリオキシアルキレンアミンを含むことができる。ポリオキシアルキレンアミンは、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシドまたはこれらの混合物に由来し、主鎖に結合する、2つまたはそれより多い第1級アミノ基を含有している。こうしたアミンの例としては、Huntsman Corporationから、Jeffamine(登録商標)という名称で入手できるものが挙げられる。こうしたアミンは、限定はされないが、例えば、Jeffamine(登録商標)D-230、D-400、D-2000、T-403およびT-5000のように、典型的には200~7500の範囲の分子量を有する。
【0143】
ポリイソシアネートおよびポリアミンを含む組成物は、ポリシロキサンをさらに含むことができる。ポリシロキサンは、弾性を減少させることなく、ポリ尿素の引張強度を増加させるのに有効であり得る。組成物は、例えば、1wt%~40wt%、5wt%~35wt%、または10wt%~30wt%のポリシロキサンを含むことができ、wt%は、組成物中のポリイソシアネート、ポリアミン、およびポリシロキサンの全重量に基づく。
【0144】
ポリシロキサンは、例えば500ダルトン~50,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。ポリシロキサンは、末端イソシアネート基、アミン基、ヒドロキシル基、または特定の硬化化学に適切な他の好適な末端基を有することができる。ポリシロキサンは、ホモポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、または前述のいずれかの組合せであり得る。ポリシロキサンは、ポリ(メチルヒドロシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0145】
好適なポリシロキサンホモポリマーの例としては、ヘキサメチルシロキサン、ビス(3-アミノプロピル)末端化ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン、ジグリシジルエーテル末端化(ポリジメチルシロキサン)、水素化物末端化(ポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシ末端化(ポリジメチルシロキサン)、モノアクリルアミドプロピル末端化(ポリジメチルシロキサン)、ビニル末端化(ポリジメチルシロキサン)、ポリ(メチルヒドロシロキサン)、トリメチルシリル末端化ポリ(メチルヒドロシロキサン)、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0146】
好適なポリシロキサンコポリマーの例としては、ポリ(ジメチルシロキサン-co-アルキルメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン-co-(3-アミノプロピル)メチルシロキサン)、ジヒドロキシ末端化ポリ(ジメチルシロキサン-co-ジフェニルシロキサン)、ジビニル末端化ポリ(ジメチルシロキサン-co-ジフェニルシロキサン)、ポリ[ジメチルシロキサン-co-(2-(3,4-エポキシ(epxoy)シクロヘキシル)エチル)メチルシロキサン]、ポリ[ジメチルシロキサン-co-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピル]メチルシロキサン]、トリメチルシリル末端化ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルヒドロシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルフェニルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチル(ステアロイルオキシアルキル)シロキサン]、ポリ(ジメチルシロキサン)-グラフト-ポリアクリレート、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0147】
ポリシロキサンは、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルヒドロシロキサン)またはこれらの組合せを含むことができる。ポリシロキサンは、アルキルシリル末端化ポリ(ジメチルシロキサン)、アルコキシシリル末端化ポリ(メチルヒドロシロキサン)、またはこれらの組合せを含むことができる。ポリシロキサンは、トリメチルシリル末端化ポリ(ジメチルシロキサン)、トリメチル末端化ポリ(メチルヒドロシロキサン)、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0148】
シロキサンは、ポリ(メチルヒドロシロキサン)、またはポリ(メチルヒドロシロキサン)の組合せを含むことができる。ポリシロキサンは、ポリ(ジメチルシロキサン)、またはポリ(ジメチルシロキサン)の組合せを含むことができる。
【0149】
ポリシロキサン、例えば、ポリ(メチルヒドロシロキサン)またはポリ(ジメチルシロキサン)は、例えば、500ダルトン~5,000ダルトン、750ダルトン~4,500ダルトン、1,000ダルトン~4,000ダルトンまたは1,500ダルトン~4,500ダルトンの平均分子量を有することができる。ポリシロキサン、例えば、ポリ(メチルヒドロシロキサン)またはポリ(ジメチルシロキサン)は、例えば、1,000ダルトン~100,000ダルトン、1,000ダルトン~50,000ダルトン、または3,000ダルトン~25,000ダルトンの平均分子量を有することができる。分子量は、ポリスチレン標準物質を使用する、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して決定することができる。
【0150】
好適なポリシロキサンとしては、シロキサンウレタンポリオールが挙げられる。シロキサンウレタンポリオールの例は、例えば、米国特許第7,459,515号に開示されている。
【0151】
本開示によって提供される共反応性組成物は、チオール-エン化学に基づくことができる。
【0152】
共反応性組成物は、ポリチオールおよびポリアルケニルを含むことができる。ポリチオールは、モノマー性ポリチオール、ポリチオールプレポリマー、またはこれらの組合せを含むことができる。ポリチオールは、ジチオール、例えば3~6のチオール官能価を有するポリチオール、またはこれらの組合せを含むことができる。ポリアルケニルは、モノマー性ポリアルケニル、ポリアルケニルプレポリマー、またはこれらの組合せを含むことができる。ポリチオールは、ジアルケニル、例えば3~6のチオール官能価を有するポリアルケニル、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0153】
ポリチオールは、任意の好適なチオール末端化プレポリマーまたはチオール末端化プレポリマーの組合せを含むことができる。チオール末端化硫黄含有プレポリマーは、それらの耐溶媒性、ならびに広範囲の温度および環境条件にわたって許容できる物理的特性を維持する能力に起因して、シーラントとして有用である。好適なチオール末端化硫黄含有プレポリマーの例としては、チオール末端化ポリチオエーテル、チオール末端化ポリスルフィド、チオール末端化硫黄含有ポリホルマール、およびチオール末端化モノスルフィドが挙げられる。硫黄含有プレポリマーは、シーラントとして有用であり得る。
【0154】
硫黄含有プレポリマーは、チオール末端化ポリチオエーテルを含むことができる。好適なチオール末端化ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば米国特許第6,172,179号に開示されており、これは参照によりそのすべてが組み込まれる。チオール末端化ポリチオエーテルプレポリマーは、Permapol(登録商標)P3.1E、Permapol(登録商標)P3.1E-2.8、Permapol(登録商標)L56086、または前述のいずれかの組合せを含むことができ、それぞれPRC-DeSoto International Inc.から入手可能である。
【0155】
チオール末端化ポリチオエーテルプレポリマーは、式(2)の構造を有する、少なくとも1つの部分を含むチオール末端化ポリチオエーテルプレポリマーを含むことができる
【化2】
[式中、
各R
1は、C
2~10n-アルカンジイル基、C
3~6分岐アルカンジイル基、C
6~8シクロアルカンジイル基、C
6~10アルカンシクロアルカンジイル基、2価の複素環基、または-[(CHR
3)
p-X-]
q(CHR
3)
r-基を独立して含むことができ、ここで、各R
3は水素またはメチルを含み、
各R
2は、C
2~10nアルカンジイル基、C
3~6分岐アルカンジイル基、C
6~8シクロアルカンジイル基、C
6~14アルカンシクロアルカンジイル基、2価の複素環基、または-[(CH
2)
p-X-]
q(CH
2)
r-基を独立して含むことができ、
各Xは、O、SまたはNRを独立して含むことができ、ここで、Rは水素またはメチルを含み、
mは0~50の範囲であり、
nは1~60の範囲の整数であり、
pは2~6の範囲の整数であり、
qは1~5の範囲の整数であり、
rは2~10の範囲の整数である]。
【0156】
チオール末端化ポリチオエーテルは、式(3a)の構造を有し、チオール末端化ポリチオエーテルに由来する部分Eは、式(3b)の構造を有する
【化3】
[式中、
nは1から60までの整数であり、
各R
1はC
2~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
6~14アルカンシクロアルカンジイル、C
5~8ヘテロシクロアルカンジイル、および-[(CHR
3)
p-X-]
q(CHR
3)
r-から独立して選択され、ここで、
pは2~6の整数であり、
qは1~5の整数であり、
rは2~10の整数であり、
各R
3は、水素およびメチルから独立して選択され、
各XはO、S、S-S、およびNRから独立して選択され、ここで、Rは水素およびメチルから選択され、
各Aはポリアルケニルに独立して由来する]。
【0157】
式(3a)のチオール末端化ポリチオエーテルおよび式(3b)の部分では、各Aは、式(4a)の部分および式(4b)の部分から独立して選択される
【化4】
[式中、
各R
1は、C
2~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
6~14アルカンシクロアルカンジイル、C
5~8ヘテロシクロアルカンジイル、および-[(CHR
3)
p-X-]
q(CHR
3)
r-から独立して選択され、ここで、
pは2~6の整数であり、
qは1~5の整数であり、
rは2~10の整数であり、
各R
2は、C
1~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
6~14アルカンシクロアルカンジイル、および-[(CHR
3)
p-X-]
q(CHR
3)
r-から独立して選択され、ここで、p、q、r、R
3、およびXは、R
1で規定された通りであり、
mは0~50の整数であり、
各n1は、0~60の整数から独立して選択され、
B
2は、z価のポリアルケニル多官能化剤B
2(-R
20-CH=CH
2)
zのコアを表し、ここで、
zは3~6の整数であり、
各R
20は、C
1~10アルカンジイル、C
1~10ヘテロアルカンジイル、置換C
1~10アルカンジイル、および置換C
1~10ヘテロアルカンジイルから独立して選択される]。
【0158】
チオール末端化硫黄含有プレポリマーは、チオール末端化硫黄含有ポリホルマールを含むことができる。航空宇宙シーラント用途に有用な硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国特許第8,729,216号および米国特許第8,541,513号に開示されており、これらはそれぞれ参照によりそのすべてが組み込まれる。
【0159】
チオール末端化硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、式(5)の構造を有することができる
【化5】
[式中、nは1~50から選択される整数であり;各pは1および2から独立して選択され;各R
1はC
2~6アルカンジイルを含み;各R
2は、水素、C
1~6アルキル、C
7~12フェニルアルキル、置換C
7~12フェニルアルキル、C
6~12シクロアルキルアルキル、置換C
6~12シクロアルキルアルキル、C
3~12シクロアルキル、置換C
3~12シクロアルキル、C
6~12アリール、または置換C
6~12アリールを独立して含み;各R
3は-OR
3’であり、ここで、R
3’はチオール末端化基を含む]。
【0160】
硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、式(6)の構造を有することができる
【化6】
[式中、各nは1~50から選択される整数であり;mは3~6から選択される整数であり;pは独立して1または2であり;各R
1はC
2~6アルカンジイルを独立して含み;各R
3は、水素、C
1~6アルキル、C
7~12フェニルアルキル、置換C
7~12フェニルアルキル、C
6~12シクロアルキルアルキル、置換C
6~12シクロアルキルアルキル、C
3~12シクロアルキル、置換C
3~12シクロアルキル、C
6~12アリール、または、置換C
6~12アリールを独立して含み;各R
5は-OR
5’であり、ここで、R
5’はチオール末端化を含む]。
【0161】
チオール末端化硫黄含有プレポリマーは、チオール末端化ポリスルフィドプレポリマーを含むことができる。ポリスルフィドプレポリマーは、1つまたは複数のポリスルフィド結合、すなわち、-Sx-結合[式中、xは2~4である]を、プレポリマー主鎖および/またはプレポリマー鎖のペンダント位に含有するプレポリマーを指す。ポリスルフィドプレポリマーは、2つまたはそれより多い硫黄-硫黄結合を有することができる。好適なポリスルフィドは、例えば、AkzoNobelおよび東レ株式会社から、それぞれThioplast(登録商標)およびThiokol-LP(登録商標)の名称で市販されている。
【0162】
好適なポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、米国特許第4,623,711号、第6,172,179号、第6,509,418号、第7,009,032号、および第7,879,955号に開示されており、これらはそれぞれ参照によりそのすべてが組み込まれる。
【0163】
好適なチオール末端化ポリスルフィドの例としては、Thioplast(商標)Gポリスルフィド、例えば、Thioplast(商標)G1、Thioplast(商標)G4、Thioplast(商標)G10、Thioplast(商標)G12、Thioplast(商標)G21、Thioplast(商標)G22、Thioplast(商標)G44、Thioplast(商標)G122、およびThioplast(商標)G131が挙げられ、これらはAkzoNobelから市販されている。Thioplast(商標)G樹脂は、2および3官能性分子のブレンドである液体ポリスルフィドポリマーであり、2官能性ポリスルフィドポリマーは式(7)の構造を有し、
【化7】
3官能性ポリスルフィドポリマーは式(8)の構造を有する
【化8】
[式中、各Rは-(CH
2)
2-O-CH
2-O-(CH
2)
2-であり、n=a+b+cであって、nの値は、ポリスルフィドポリマーの合成中に使用される3官能性架橋剤(1,2,3-トリクロロプロパン;TCP)の量に応じて7~38であり得る]。Thioplast(商標)Gポリスルフィドは、1,000ダルトン未満~6,500ダルトンの分子量、1%~5.5%より大きいSH含量、および0%~2.0%の架橋密度を有することができる。
【0164】
好適なチオール末端化ポリスルフィドプレポリマーの例としては、東レ株式会社から入手可能なThiokol(商標)LPポリスルフィド、例えば、Thiokol(商標)LP2、Thiokol(商標)LP3、Thiokol(商標)LP12、Thiokol(商標)LP23、Thiokol(商標)LP33、およびThiokol(商標)LP55も挙げられる。Thiokol(商標)LPポリスルフィドは、1,000ダルトン~7,500ダルトンの平均分子量、0.8%~7.7%のSH含量、および0%~2%の架橋密度を有する。
【0165】
チオール末端化硫黄含有プレポリマーは、Thiokol-LP(登録商標)ポリスルフィド、Thioplast(登録商標)Gポリスルフィド、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0166】
チオール末端化硫黄含有プレポリマーは、チオール末端化モノスルフィドを含むことができる。
【0167】
チオール末端化モノスルフィドは、式(9a)のチオール末端化モノスルフィド、式(9b)のチオール末端化モノスルフィド、またはこれらの組合せを含むことができる
【化9】
[式中、
各XはS、O、またはNR
3を独立して含み、R
3はC
1~4アルキルを含み、
pは1~5の整数であり、
qは0~5の整数であり、
nは1~60の整数であり、
各Rは、C
2~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
1~4アルキルシクロアルカンジイル、またはC
8~10アルキルアレーンジイルを独立して含み、
各R
1は、C
1~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
1~4アルキルシクロアルカンジイル、またはC
8~10アルキルアレーンジイルを独立して含み、
各R
2は、C
2~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
1~4アルキルシクロアルカンジイル、またはC
8~10アルキルアレーンジイルを独立して含み、
Bは、z価の多官能化剤B(-V)
zのコアを表し、ここで、
zは3~6の整数であり、
各Vはチオール基と反応性である末端基を含む部分であり、
各-V’-は、-Vとチオールとの反応に由来する]。
【0168】
チオール末端化モノスルフィドは、式(10a)のチオール末端化モノスルフィド、式(10b)のチオール末端化モノスルフィド、またはこれらの組合せ含むことができる
【化10】
[式中、
各Xは独立してSまたはOであってもよく、
pは1~5の整数であり、
qは1~5の整数であり、
nは1~60の整数であり、
各RはC
2~10アルカンジイルを独立して含み、
各R
1は水素またはC
1~10アルカンジイルを独立して含み、
Bは、z価の多官能化剤B(-V)
zのコアを表し、ここで、
zは3~6の整数であり、
各Vは、チオール基と反応性の末端基を含む部分であり、
各-V’-は、-Vとチオールとの反応に由来する]。
【0169】
チオール末端化モノスルフィドは、式(11a)のチオール末端化モノスルフィド、式(11b)のチオール末端化モノスルフィド、またはこれらの組合せを含むことができる
【化11】
[式中、
tは1~60の整数であり、
qは1~8の整数であり、
pは1~10の整数であり、
rは1~10の整数であり、
yは1.0~1.5の範囲内の平均値を有し、
各Rは、分岐アルカンジイル、分岐アレーンジイル、または構造-(CH
2)
p-O-(CH
2)
q-O-(CH
2)
r-を有する部分を独立して含み、
Bは、z価の多官能化剤B(-V)
zのコアを表し、ここで、
zは3~6の整数であり、
各Vはチオール基と反応性である末端基を含む部分であり、
各-V’-は、-Vとチオールとの反応に由来する]。
【0170】
式(11a)および式(11b)のチオール末端化モノスルフィドの例は、例えば、米国特許出願公開第2016/0152775号および米国特許第9,079,833号に開示されている。
【0171】
チオール末端化モノスルフィドは、式(12)のチオール末端化モノスルフィドを含むことができる
【化12】
[式中、RはC
2~4アルカンジイル、mは1~8、かつnは2~370の整数である]。
【0172】
ポリチオールは、モノマー性ジチオールまたはモノマー性ジチオールの組合せを含むことができる。
【0173】
ポリチオールは、例えば3~6のチオール官能価を有するモノマー性ポリチオール、
または例えば3~6のチオール官能価を有するモノマー性ポリチオールの組合せを含むことができる。
【0174】
ポリチオールは、式(13)の構造を有するジチオールを含むことができる
【化13】
[式中、R
1は、C
2~6アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
6~10アルカンシクロアルカンジイル、C
5~8ヘテロシクロアルカンジイル、および-[(CHR
3)
p-X-]
q(CHR
3)
r-から選択され、ここで、各R
3は、水素およびメチルから独立して選択され、各Xは、O、S、S-S、およびNRから独立して選択され、Rは水素およびメチルから選択され、pは2~6の整数であり、qは1~5の整数であり、rは2~10の整数である]。
【0175】
好適なジチオールの例としては、1,2-エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,3-ブタンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,3-ペンタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,3-ジメルカプト-3-メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5-ジメルカプト-3-オキサペンタン、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
[1]2より大きいチオール官能価を有する好適なポリチオールの例としては、例えば、米国特許出願公開第2010/0010133号に開示されている、1,2,3-プロパントリチオール、1,2,3-ベンゼントリチオール、1,1,1-ブタントリチオール、ヘプタン-1,3-7-トリチオール、1,3,5-トリアジン-2,4-6-トリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール、およびこれらの組合せ、ならびに米国特許第4,366,307号、第4,609,762号、および第5,225,472号に記述されているポリチオールが挙げられる。多官能化剤の組合せも使用され得る。
[2]好適なポリチオール多官能化剤の例としては、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプト-プロピオネート)(PETMP)、トリメチロール-プロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)(TMPMP)、グリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)(GDMP)、トリス[2-(3-メルカプト-プロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート(TEMPIC)、ジ-ペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)(di-PETMP)、トリ(3-メルカプトプロピオネート)ペンタエリスリトール、トリエチロールエタントリ-(3-メルカプトプロピオネート)、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0176】
ポリチオール共反応性成分は、2つまたはそれより多いチオール官能基(-SH)を含有する多官能化合物を指す。好適なポリチオール官能性化合物としては、モノマーおよびプレポリマーを含む、少なくとも2つのチオール基を有するポリチオールが挙げられる。ポリチオールは、エーテル結合(-O-)、ポリスルフィド結合(-Sx-)[式中、xは少なくとも2、例えば、2~4である]を含むチオエーテル結合(-S-)、およびこうした結合の組合せを有することができる。
【0177】
好適なポリチオールの例としては、式R1-(SH)n[式中、R1は多価の有機部分であり、nは少なくとも2、例えば、2~6の整数である]の化合物が挙げられる。
【0178】
好適なポリチオールの例としては、式HS-R2-COOH[式中、R2は有機部分である]のチオール含有酸を、構造R3-(OH)n[式中、R3は有機部分であり、nは少なくとも2、例えば、2~6である]のポリヒドロキシル化合物と反応させることにより形成される、チオール含有酸のエステルが挙げられる。これらの成分は、一般的な構造R3-(OC(O)-R2-SH)n[式中、R2、R3およびnは上に定義した通りである]を有するポリチオールを与えるのに好適な条件下で反応され得る。
【0179】
チオール含有酸の例としては、ポリヒドロキシ化合物、例えば、グリコール、トリオール、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール、および前述のいずれかの組合せを有する、チオグリコール酸(HS-CH2COOH)、α-メルカプトプロピオン酸(HS-CH(CH3)-COOH)およびβ-メルカプトプロピオン酸(HS-CH2CH2COCH)が挙げられる。他の好適なポリチオールとしては、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、エチレングリコールビス(β-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)およびペンタエリスリトールテトラキス(β-メルカプトプロピオネート)、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0180】
ポリアルケニルは、任意の好適なポリアルケニルプレポリマー、またはポリアルケニルプレポリマーの組合せを含むことができる。ポリアルケニルプレポリマーは、アルケニル末端化硫黄含有プレポリマーを含むことができ、これは、例えば、本明細書で記述されるように、ジアルケニル化合物をチオール末端化硫黄含有プレポリマーと反応させることによって調製することができる。
【0181】
ポリアルケニルは、モノマー性ジアルケニル、またはモノマー性ジアルケニルの組合せを含むことができる。
【0182】
ポリアルケニルは、例えば3~6のアルケニル官能価を有するモノマー性ポリチオール、または例えば3~6のアルケニル官能価を有するモノマー性ポリアルケニルの組合せを含むことができる。
【0183】
ポリアルケニルは、ポリアルケニルエーテルまたはポリアルケニルエーテルの組合せを含むことができる。ポリアルケニルは、式(14a)のジビニルエーテル、式(14b)のポリアルケニル多官能化剤、またはこれらの組合せを含むことができる
【化14】
[式中、
各R
2は、C
1~10アルカンジイル、C
6~8シクロアルカンジイル、C
6~14アルカンシクロアルカンジイル、および-[(CHR
3)
p-X-]
q(CHR
3)
r-から独立して選択され、ここで、p、q、r、R
3、およびXは、R
1に関しては定義された通りであり、
mは0~50の整数であり、
B
2は、z価のポリアルケニル多官能化剤B
2(-R
20-CH=CH
2)
zのコアを表し、ここで、
zは3~6の整数であり、
各R
20は、C
1~10アルカンジイル、C
1~10ヘテロアルカンジイル、置換C
1~10アルカンジイル、および置換C
1~10ヘテロアルカンジイルから独立して選択される]。
【0184】
好適なビス(アルケニル)エーテルの例としては、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG-DVE)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD-DVE)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD-DVE)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG-DVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG-DVE)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、およびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルが挙げられる。
【0185】
2より大きいアルケニル官能価を有する好適なポリアルケニルの例としては、シアヌル酸トリアリル(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,3-ビス(2-メチルアリル)-6-メチレン-5-(2-オキソプロピル)-1,3,5-トリアジノン-2,4-ジオン、トリス(アリルオキシ)メタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1-(アリルオキシ)-2,2-ビス((アリルオキシ)メチル)ブタン、2-プロパ-2-エトキシ-1,3,5-トリス(プロパ-2-エニル)ベンゼン、1,3,5-トリス(プロパ-2-エニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオン、および1,3,5-トリス(2-メチルアリル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、ならびに前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0186】
例えば、本発明によって提供される、チオール-エン官能性(thiol-enefunctionality)を有する共反応性組成物は、末端および/もしくはペンダントオレフィン二重結合、例えば、末端アルケニル基を有する、化合物またはプレポリマーを含むポリエン共反応性成分を含んでもよい。こうした化合物の例としては、(メタ)アクリル官能性(メタ)アクリルコポリマー、エポキシアクリレート、例えば、エポキシ樹脂(メタ)アクリレート(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物)、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、アミノ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、およびメラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0187】
好適なポリウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ポリイソシアネート、例えば、イソシアヌレートおよびそのビウレット誘導体を含む、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび/またはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの反応生成物が挙げられる。好適なポリエステル(メタ)アクリレートの例は、(メタ)アクリル酸または無水物と、ポリオール、例えば、アルキル化ポリオール、例えば、プロポキシル化ジオールおよびトリオールを含む、ジオール、トリオールおよびテトラオールとの反応生成物である。好適なポリオールの例としては、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびプロポキシル化1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。好適なポリエステル(メタ)アクリレートの例としては、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリウレタン(メタ)アクリレートとポリエステル(メタ)アクリレートの混合物を使用してもよい。
【0188】
(メタ)アクリレートに加えて、(メタ)アリル化合物またはプレポリマーを、単独でまたは(メタ)アクリレートと組み合わせて使用してもよい。(メタ)アリル化合物の例としては、ポリアリルエーテル、例えば、1,4-ブタンジオールのジアリルエーテルおよびトリメチロールプロパンのアリルエーテルが挙げられる。他の(メタ)アリル化合物の例としては、(メタ)アリル基を含有するポリウレタンが挙げられる。例えば、ポリイソシアネート、例えば、イソシアヌレートおよびそのビウレット誘導体を含む、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートと、ヒドロキシル官能性アリルエーテル、例えば、1,4-ブタンジオールのモノアリルエーテルおよびトリメチロールプロパンのジアリルエーテルとの反応生成物を使用することができる。
【0189】
化合物は、ポリエポキシドまたはポリエポキシドの組合せを含むことができる。ポリエポキシドは、モノマー性、プレポリマー、またはこれらの組合せであり得る。
【0190】
好適なポリエポキシドの例としては、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ノボラック型ポリエポキシド、エポキシ化不飽和フェノール樹脂、ダイマー酸系エポキシ樹脂、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0191】
好適なポリエポキシドの他の例としては、ビスフェノールA型ポリエポキシド、臭素化ビスフェノールA型ポリエポキシド、ビスフェノールF型ポリエポキシド、ビフェニル型ポリエポキシド、ノボラック型ポリエポキシド、脂環式ポリエポキシド、ナフタレン型ポリエポキシド、エーテルまたはポリエーテルポリエポキシド、オキシラン環含有ポリブタジエン、およびシリコーンポリエポキシコポリマーが挙げられる。
【0192】
好適なポリエポキシドの追加の例としては、例えば、400ダルトンもしくはそれ未満 600ダルトンもしくはそれ未満、1,000ダルトンもしくはそれ未満、1,200ダルトンもしくはそれ未満、または1,400ダルトンもしくはそれ未満の平均分子量を有する、ビスフェノールA型ポリエポキシド;分岐多官能性ビスフェノールA型ポリエポキシド、例えば、p-グリシジルオキシフェニルジメチルトリルビスフェノールAジグリシジルエーテル;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;例えば、500ダルトンもしくはそれ未満、700ダルトンもしくはそれ未満、1,000ダルトンもしくはそれ未満、または1,500ダルトンもしくはそれ未満の平均分子量を有する、フェノールノボラック型ポリエポキシド;脂環式ポリエポキシド、例えば、ビニル(3,4-シクロヘキセン)ジオキシド、メチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(3,4-エポキシシクロヘキシル)、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペートおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,1-スピロ(3,4-エポキシシクロヘキシル)-m-ジオキサン;ビフェニル型ポリエポキシド、例えば、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジグリシジルオキシビフェニル;グリシジルエステル型ポリエポキシド、例えば、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジル3-メチルヘキサヒドロフタレートおよびジグリシジルヘキサヒドロテレフタレート;グリシジルアミン型ポリエポキシド、例えば、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサン;ヒダントイン型ポリエポキシド、例えば、1,3-ジグリシジル-5-メチル-5-エチルヒダントイン;ならびにナフタレン環含有ポリエポキシドが挙げられる。さらに、シリコーンを有するポリエポキシド、例えば、1,3-ビス(3-グリシドキシ-プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンも使用され得る。
【0193】
本開示によって提供される組成物およびシーラントでの使用に好適な市販のポリエポキシドの例としては、フェノール化合物のポリグリシジル誘導体、例えば、Momentive Specialty Chemicals Inc.および/またはResolution Performance Products LLCから入手可能な、EPON(商標)824、EPON(商標)825、EPON(商標)826、EPON(商標)827、EPON(商標)828、EPON(商標)829、EPON(商標)830、EPON(商標)834、EPON(商標)862、EPON(商標)863、EPON(商標)8280、EPON(商標)8281、EPON(商標)872、EPON(商標)樹脂ブレンド、EPON(商標)1001-A-80、EPON(商標)1001-B-80、EPON(商標)1001-CX-75、EPON(商標)1001-DNT-75、EPON(商標)1001-FT-75、EPON(商標)1001-G-70、EPON(商標)1001-H-75、EPON(商標)1001-K-65、EPON(商標)1001-O-75、EPON(商標)1001-T-75、EPON(商標)1001-UV-70、EPON(商標)1001-X-75、EPON(商標)1004-O-65、EPON(商標)1007-CT-55、EPON(商標)1007-FMU-50、EPON(商標)1007-HT-55、EPON(商標)1009-DU-40、EPON(商標)1009-MX-40、および他のEPON(商標)エポキシ樹脂という商品名で入手可能なもの、ならびにDow Chemical Co.から、DER(商標)331、DER(商標)332、DER(商標)334、DER(商標)354、DER(商標)383およびDER(商標)542という商品名で入手可能なものが挙げられる。他の好適なポリエポキシドとしては、ポリオールおよびフェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体から調製されたポリエポキシドが挙げられ、後者は、Dow Chemical Companyから、DEN(商標)431、DEN(商標)438、およびDEN(商標)439という商品名で市販されている。クレゾール類似体も、ECN(商標)1235、ECN(商標)1273およびECN(商標)1299が、Ciba Specialty Chemicals,Inc.から市販されている。SU-8は、Resolution Performance Products LLCから入手可能なビスフェノールA型エポキシノボラックである。アミン、アミノアルコールおよびポリカルボン酸のポリグリシジルアダクトもまた本発明で有用であり、その市販されている樹脂としては、Ciba Specialty Chemicals,Inc.からのGlyamine(商標)135、Glyamine(商標)125およびGlyamine(商標)115、ARALDITE(商標)MY-720、ARALDITE(商標)MY-721、ARALDITE(商標)0500およびARALDITE(商標)0510、ならびにPGA-XおよびPGA-Cが挙げられる。
【0194】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、ペンダントヒドロキシル基、例えば、1~10個のペンダントヒドロキシル基、1~8個のヒドロキシル基、1~6個のヒドロキシル基、1~4個のペンダントヒドロキシル基、または1~2個のペンダントヒドロキシル基、例えば、1、2、3、4、5、または6個のペンダントヒドロキシル基を含むことができる。ペンダントヒドロキシル基を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、ビスフェノールAのヒドロキシル官能性ジグリシジルエーテルと呼ぶことができる。ビスフェノールAのヒドロキシル官能性ジグリシジルエーテルは、400ダルトン~1,500ダルトン、400ダルトン~1,000ダルトンまたは400ダルトン~600ダルトンのエポキシ当量を有することができる。ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、ヒドロキシル官能性成分のないビスフェノールAのジグリシジルエーテル、部分的にヒドロキシル官能性であるビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含むことができるか、または、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルすべてがヒドロキシル官能性であり得る。
【0195】
本開示によって提供されるある特定の共反応性組成物は、マイケル付加反応性成分を用いてもよい。マイケル付加硬化化学を用いる共反応性組成物は、マイケル受容体化合物およびマイケル供与体化合物を含むことができる。
【0196】
マイケル受容体化合物は、マイケル受容体モノマー、マイケル受容体プレポリマー、またはこれらの組合せを含むことができる。マイケル受容体化合物は、2のマイケル受容体官能価、3~6のマイケル受容体官能価、またはこれらの組合せを有するマイケル受容体化合物を含むことができる。
【0197】
マイケル供与体化合物は、マイケル供与体モノマー、マイケル供与体プレポリマー、またはこれらの組合せを含むことができる。マイケル供与体化合物は、2のマイケル供与体官能価、3~6のマイケル供与体官能価、またはこれらの組合せを有するマイケル供与体化合物を含むことができる。
【0198】
反応性成分は、第1級アミン官能性成分、およびアクリレート、マレイン、またはフマル官能性成分を含んでもよい。有用な第1級アミン官能性成分である化合物としては、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、またはこれらの混合物に由来し、主鎖に結合する、2つまたはそれより多い第1級アミン基を含有するポリオキシアルキレンアミンが挙げられる。こうしたアミンの例としては、Huntsman Corporationから、Jeffamine(商標)という名称で入手可能なものが挙げられる。こうしたアミンは、例えば、Jeffamine(商標)D-230、D-400、D-2000、T-403およびT-5000のように、200ダルトン~7500ダルトンの範囲の分子量を有することができる。アクリレート官能性成分として有用な化合物としては、(ポリ)メタクリレートの実施形態として前に列挙したアクリレート官能性成分が挙げられる。マレインまたはフマル成分として有用な化合物としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、またはそれらの対応するC1~6アルキルエステルから調製された、ポリエステルが挙げられる。
【0199】
マイケル受容体基は、活性化されたアルケニル基、例えば、電子求引性基、例えば、ケトン、ニトロ、ハロ、ニトリル、カルボニル、またはニトロ基に近位のアルケニル基を指す。マイケル受容体基の例としては、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、アルジミン、オキサゾリジン、アクリレート、アクリレートエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、アルキルメタクリレート、ビニルホスホネート、およびビニルピリジンが挙げられる。
【0200】
マイケル付加化学用触媒の好適な例としては、トリブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン(tricyclohexalphosphine)、トリ-n-オクチルホスフィン、トリ-n-ドデシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、およびジメチルフェニルホスフィンが挙げられる。
【0201】
マイケル供与体としては、アミン、ヒドロキシル基含有オリゴマーまたはポリマー、アセトアセテート、マロネート、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0202】
好適なマイケル供与体、マイケル受容体および好適な触媒の例を表2に示す。
【表2】
【0203】
例えば、マイケル供与体は、アセチルアセトネートモノマーおよび/またはアセチルアセトネートプレポリマーを含むことができ、マイケル受容体は、(メチル)アクリレートモノマーおよび/または(メタ)アクリレートプレポリマーを含むことができ、触媒は、DBU、DBN、TMG、TMP、TBD、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。例えば、マイケル供与体は、マロネートモノマーおよび/またはマロネートプレポリマーを含むことができ、マイケル受容体は、シアノアクリレートモノマーおよび/またはシアノアクリレートプレポリマーを含むことができ、触媒は、求核性触媒、例えば、ジメチルフェニルホスフィンを含むことができる。例えば、マイケル供与体は、ニトロアルカンモノマーおよび/またはニトロアルカンプレポリマーを含むことができ、マイケル受容体は、ビニルエーテルモノマーおよび/またはビニルエーテルプレポリマーを含むことができ、触媒はフッ化テトラブチルアンモニウムを含むことができる。例えば、マイケル供与体は、活性メチレン基を含むモノマーおよび/またはプレポリマーを含むことができ、マイケル受容体は、ビニルピリジンを含むモノマーおよび/またはプレポリマーを含むことができる。
【0204】
三次元物体を生成するのに使用される共反応性組成物は、様々な添加物、例えば、レオロジー改質剤(例えば、シリカまたは他のフィラー)、流れ制御剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線安定剤、湿潤剤、分散助剤、脱泡剤、フィラー、反応性希釈剤、難燃剤、触媒、顔料、溶媒、接着促進剤、および前述のいずれかの組合せを含むことができる。さらに、熱硬化性組成物の三次元印刷は、印刷プロセス中に暫定的な構造の完全性を物体に提供するために、型内での熱硬化性組成物の堆積を含むことができる。
【0205】
混合および押出しを含む印刷運転を制御および/または促進するために、添加物または添加物の組合せを使用することができる。例えば、添加物は、粘度、混合、疎水性、親水性、レオロジー、または前述のいずれかの組合せを制御することができる。
【0206】
作られた物体に、例えば、熱伝導度、電気伝導度、EMI/RFI遮蔽能力、軽量、低密度、高い引張強度、高い%伸び、難燃性、耐炎性、帯電防止特性、所望の弾性率、耐溶媒性、または前述のいずれかの組合せを含む、1つまたは複数の所望の特性を付与するために、添加物または添加物の組合せを使用することができる。
【0207】
共反応性組成物は、様々な添加物、例えば、レオロジー改質剤(例えば、シリカまたは他の粒子状フィラー)、流れ制御剤、可塑剤、安定剤、湿潤剤、分散助剤、消泡剤、顔料および他の着色剤、難燃剤、接着促進剤、触媒、または他の性能もしくは特性改質剤、例えば、バリアもしくは耐食性を付与する必要がある場合、硫酸バリウム、クレーもしくはマグネシウム化合物を含むことができる。
【0208】
組成物は、シーラントとして配合され得る。配合されるとは、硬化した高分子網目を形成する反応性化学種に加えて、追加の材料を組成物に添加して、未硬化のシーラントおよび/または硬化したシーラントに所望の特性を付与できることを意味する。未硬化のシーラントの場合は、これらの特性は、粘度、pH、および/またはレオロジーを含むことができる。硬化したシーラントの場合は、これらの特性は、重量、接着性、耐食性、色、ガラス転移温度、電気伝導度、凝集力、ならびに/または物理的特性、例えば、引張強度、伸び、および硬度を含むことができる。本開示によって提供される組成物は、航空宇宙シーラントでの使用に好適で、かつ使用条件下で硬化したシーラントの所望の性能特徴に少なくとも部分的に依存する、1つまたは複数の追加の成分を含んでもよい。
【0209】
熱硬化性組成物は、熱可塑性組成物と比較して低い粘度を有することができるので、高いフィラー濃度を使用することが可能である。高いフィラー濃度は、完成した物体の特性、例えば、完成した物体の機械的、熱的、および/または電気的特性を修正するために使用することができる。したがって、三次元熱硬化性組成物の使用によって促進される高いフィラー濃度の使用によって、三次元印刷のデザインの可能性を大きく拡大することができる。そのうえ、熱硬化性組成物は、優れた耐溶媒性および耐薬品性を有して提供され得る。
【0210】
作られた物体の特性を決定することに加えて、ある特定のプロセッシング特徴を決定するために、フィラーまたはフィラーの組合せを共反応性成分に添加することができる。例えば、成分の粘度、成分のレオロジーを調整するために、共反応性成分の混合を促進するために、共反応性成分の反応中に発生する発熱量を制御するために、または前述のいずれかの組合せで、フィラーを添加することができる。
【0211】
成分、共反応性組成物、および作られた物体は、例えば、0.1wt%~95wt%、1wt%~90wt%、2wt%~80wt%、5wt%~70wt%、10wt%~60wt%、15wt%~50wt%、または20wt%~40wt%のフィラー含量を有することができ、wt%は成分、共反応性組成物または作られた物体の全重量に基づく。
【0212】
成分、共反応性組成物、および作られた物体は、例えば、0.1vol%~95vol%、1vol%~90vol%、2vol%~80vol%、5vol%~70vol%、10vol%~60vol%、15vol%~50vol%、または20vol%~40vol%のフィラー含量を有することができ、vol%は成分、共反応性組成物または作られた物体の総体積に対するものである。
【0213】
本開示によって提供される共反応性組成物は、フィラーまたはフィラーの組合せを含むことができる。フィラーは、例えば、無機フィラー、有機フィラー、低密度フィラー、電気伝導性フィラー、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。フィラーは、有機フィラー、無機フィラー、電気伝導性フィラー、低密度フィラー、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。例えば、硬化した組成物の物理的特性を改善するために、硬化した組成物の重量を低減するために、および/または組成物に電気伝導度を付与するために、フィラーを組成物に添加することができる。
【0214】
フィラーは、有機フィラー、無機フィラー、金属フィラーおよび前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0215】
本開示によって提供される組成物に有用な、ならびに航空および航空宇宙用途に有用な無機フィラーとしては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、アルミナ水和物(水酸化アルミニウム)、ヒュームドシリカ、シリカ、沈降シリカ、シリカゲル、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。例えば、無機フィラーは、炭酸カルシウムとヒュームドシリカの組合せを含むことができ、炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカは処理および/または未処理であり得る。無機フィラーは炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカを含むことができる。
【0216】
無機フィラーは、被覆または非被覆であり得る。例えば、無機フィラーは疎水性材料、例えば、ポリジメチルシロキサンの被覆で被覆され得る。
【0217】
好適な炭酸カルシウムフィラーとしては、生成物、例えば、Solvay Special Chemicalsから入手可能な、Socal(登録商標)31、Socal(登録商標)312、Socal(登録商標)U1S1、Socal(登録商標)UaS2、Socal(登録商標)N2R、Winnofil(登録商標)SPM、およびWinnofil(登録商標)SPTが挙げられる。炭酸カルシウムフィラーは、沈降炭酸カルシウムの組合せを含むことができる。
【0218】
無機フィラーと、共反応性組成物の他の成分との分散および適合性を促進することができる、疎水性または親水性表面を提供するために、無機フィラーを表面処理することができる。
【0219】
組成物に有用な無機フィラーとしては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、アルミナ水和物(水酸化アルミニウム)、ヒュームドシリカ、シリカ、沈降シリカ、シリカゲル、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。例えば、無機フィラーは、炭酸カルシウムとヒュームドシリカの組合せを含むことができ、炭酸カルシウムおよびヒュームドシリカは処理および/または未処理であり得る。
【0220】
無機フィラーは、被覆または非被覆であり得る。例えば、無機フィラーは疎水性材料、例えば、ポリジメチルシロキサンの被覆で被覆され得る。
【0221】
本開示によって提供される組成物は、シリカゲルまたはシリカゲルの組合せを含むことができる。好適なシリカゲルとしては、PQ Corporationから入手可能なGasil(登録商標)シリカゲル、ならびに富士シリシア化学株式会社から入手可能なSylysia(登録商標)、CariAct(登録商標)、およびSylomask(登録商標)シリカゲルが挙げられる。
【0222】
好適な有機フィラーは、硫黄含有ポリマーマトリクスに対して許容できる接着性を有することもできる。有機フィラーは、固体粒子、中空粒子、またはこれらの組合せを含むことができる。粒子は一般に球状(粉末と呼ばれる)、一般に非球状(微粒子と呼ばれる)、またはこれらの組合せであり得る。
【0223】
粒子は、ASTM E-2651-13に従って決定された、例えば、100μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、または25μm未満の平均粒子径を有することができる。粉末は、0.25μm~100μm、0.5μm~50μm、0.5μm~40μm、0.5μm~30μm、0.5μm~20μm、または0.1μm~10μmの範囲の平均粒子径を有する粒子を含むことができる。フィラー粒子は、例えば、1nm~100nmの平均粒子径によって特徴付けられる粒子を含む、ナノ粉末を含むことができる。
【0224】
有機フィラーは、例えば、1.6未満、1.4未満、1.15未満、1.1未満、1.05未満、1未満、0.95未満、0.9未満、0.8未満、または0.7未満の比重を有することができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。有機フィラーは、例えば、0.85~1.6の範囲内、0.85~1.4の範囲内、0.85~1.1の範囲内、0.9~1.05の範囲内、または0.9~1.05の比重を有することができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。
【0225】
有機フィラーは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはこれらの組合せを含むことができる。好適な有機フィラーの例としては、エポキシ、エポキシ-アミド、ETFEコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、TFE、ポリアミド、ポリイミド、エチレンプロピレン(ethylene propylene)、パーフルオロ炭化水素、フルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、熱可塑性コポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メラミン、ポリエステル、フェノール樹脂、エピクロロヒドリン、フッ素化炭化水素、多環式化合物、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、イソブチレンイソプレン、シリコーン、スチレンブタジエン、液晶ポリマー、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0226】
好適な有機フィラーの例としては、ポリアミド、例えば、ポリアミド6およびポリアミド12、ポリイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフッ化ビニル、熱可塑性コポリエステル、ならびに前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0227】
好適なポリアミド6およびポリアミド12粒子の例は、東レプラスチックスから、グレードSP-500、SP-10、TR-1およびTR-2として入手可能である。好適なポリアミドは、Arkema GroupからOrgasol(登録商標)という商品名で、およびEvonik IndustriesからVestosin(登録商標)という商品名で入手可能である。例えば、Ganzpearl(登録商標)ポリアミド、例えば、Ganzpearl(登録商標)GPA-550およびGPA-700は、Persperse Sakai Trading、New York、NYから入手可能である。
【0228】
好適なポリイミドフィラーの例は、Evonik IndustriesからP84(登録商標)NTという商品名で入手可能である。
【0229】
有機フィラーは、ポリエチレン、例えば、酸化ポリエチレン粉末を含むことができる。好適なポリエチレンは、例えば、Honeywell International,Inc.からACumist(登録商標)という商品名で、INEOSからEltrex(登録商標)という商品名で、三井化学アメリカからMipelon(商標)という商品名で入手可能である。
【0230】
有機フィラー、例えば、ポリフェニレンスルフィドの航空宇宙シーラントでの使用は、米国特許第9,422,451号に開示されており、これは参照によりそのすべてが組み込まれる。ポリフェニレンスルフィドは、寸法安定性、耐薬品性、ならびに腐食および高温環境に対する耐性を示す、熱可塑性エンジニアリング樹脂である。ポリフェニレンスルフィドエンジニアリング樹脂は、例えば、Ryton(登録商標)(Chevron)、Techtron(登録商標)(Quadrant),Fortron(登録商標)(Celanese)、およびTorelina(登録商標)(東レ)という商品名で市販されている。ポリフェニレンスルフィド樹脂は、約1.3~約1.4の比重によって一般に特徴付けられ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。1.34g/cm3の密度、および0.2μm~0.25μmの平均粒子径(水中、またはイソプロパノール中0.4μm~0.5μm)を有するポリフェニレンスルフィド粒子は、東レ株式会社から入手可能である。
【0231】
ポリエーテルスルホン粒子は、東レ株式会社から入手可能であり、これは1.37g/cm3の密度、および5μm~60μmの平均粒子径を有する。
【0232】
熱可塑性コポリエステル粒子は、東レ株式会社から得ることができる。
【0233】
有機フィラーは、任意の好適な形状を有することができる。例えば、有機フィラーは、所望の大きさの範囲に選別された、粉砕されたポリマーのフラクションを含むことができる。有機フィラーは、実質的に球状粒子を含むことができる。粒子は、非多孔質または多孔質であり得る。多孔質粒子は、内部表面を画定する開口チャネルのネットワークを有することができる。
【0234】
有機フィラーは、例えば、1.15未満、1.1未満、1.05未満、1未満、0.95未満、0.9未満、0.8未満、または0.7未満の比重を有することができる。有機フィラーは、例えば、0.85~1.15の範囲内、0.9~1.1の範囲内、0.9~1.05の範囲内、または0.85~1.05の比重を有することができる。
【0235】
フィラーは金属を含むことができる。
【0236】
フィラーは、電気伝導性フィラーまたは電気伝導性フィラーの組合せを含むことができる。好適な電気伝導性フィラーの例としては、ニッケル粉末、黒鉛、ニッケル被覆黒鉛、ステンレススチール、または前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0237】
本開示によって提供される組成物は、電気伝導性フィラーを含むことができる。ポリマー内に電気伝導性材料を組み込むことによって、電気伝導度およびEMI/RFI遮蔽効果を組成物に付与することができる。電気伝導性要素は、例えば、金属または金属めっきした粒子、布地、メッシュ、繊維、およびこれらの組合せを含むことができる。金属は、例えば、フィラメント、粒子、フレークまたは球の形態であり得る。金属の例としては、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、およびスチールが挙げられる。電気伝導度およびEMI/RFI遮蔽効果をポリマー組成物に付与するために使用することができる他の電気伝導性材料としては、炭素もしくは黒鉛を含む電気伝導性粒子または繊維が挙げられる。電気伝導性ポリマー、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p-フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、および、ポリアセチレンも使用することができる。電気伝導性フィラーとしては、高バンドギャップ材料、例えば、硫化亜鉛および無機バリウム化合物も挙げられる。
【0238】
電気伝導性フィラーの他の例としては、電気伝導性貴金属系フィラー、例えば、純銀;貴金属めっき貴金属、例えば、銀めっき金;貴金属めっき非貴金属、例えば、銀めっき銅(cooper)、ニッケルまたはアルミニウム、例えば、銀めっきアルミニウムコア粒子または、白金めっき銅粒子;貴金属めっきガラス、プラスチックまたはセラミックス、例えば、銀めっきガラスマイクロスフェア、貴金属めっきアルミニウムまたは貴金属めっきプラスチックマイクロスフェア;貴金属めっきマイカ;および他のこうした貴金属めっき電気伝導性フィラーが挙げられる。非貴金属系材料も使用することができ、例えば、非貴金属めっき非貴金属、例えば、銅被覆鉄粒子またはニッケルめっき銅;非貴金属、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト;非貴金属めっき非金属、例えば、ニッケルめっき黒鉛ならびに非金属材料、例えば、カーボンブラックおよび黒鉛が挙げられる。所望の電気伝導性、EMI/RFI遮蔽効果、硬度、および特定の用途に好適な他の特性を満たすために、電気伝導性フィラーの組合せも使用することができる。
【0239】
本開示の組成物で使用される電気伝導性フィラーの形状および大きさは、電気伝導度およびEMI/RFI遮蔽効果を硬化した組成物に付与するように、任意の適切な形状および大きさであり得る。例えば、フィラーは、球状、フレーク、プレートレット、粒子、粉末、不規則物、繊維等を含む、電気伝導性フィラーの製造で一般に使用される任意の形状であり得る。本開示のある特定のシーラント組成物では、ベース組成物は、粒子、粉末またはフレークとしてNi被覆黒鉛を含むことができる。ベース組成物中のNi被覆黒鉛の量は、ベース組成物の全重量に対して、40wt%~80wt%の範囲、または50wt%~70wt%の範囲であってもよい。電気伝導性フィラーは、Ni繊維を含むことができる。Ni繊維は、10μm~50μmの範囲の直径を有することができ、250μm~750μmの範囲の長さを有することができる。ベース組成物は、ベース組成物の全重量に対して、例えば、2wt%~10wt%、または4wt%~8wt%の範囲のNi繊維の量を含むことができる。
【0240】
炭素繊維、特に黒鉛化炭素繊維も、本開示の組成物に電気伝導度を付与するために使用することができる。気相熱分解法によって形成され、熱処理によって黒鉛化された、0.1ミクロン~数ミクロンの範囲の繊維径を有する、中空または中実の炭素繊維は、高い電気伝導度を有する。米国特許第6,184,280号に開示されているように、0.1μm未満~数十ナノメートルの外径を有する炭素マイクロファイバー、ナノチューブまたは炭素フィブリルは、電気伝導性フィラーとして使用することができる。本開示の電気伝導性組成物に好適な黒鉛化炭素繊維の例としては、0.00055Ω-cmの電気抵抗率を有する0.921μm直径の円形繊維である、Panex(登録商標)3OMF(Zoltek Companies,Inc.、St.Louis、Mo.)が挙げられる。
【0241】
電気伝導性フィラーの平均粒径は、ポリマー系組成物に電気伝導度を付与するのに有用な範囲内であり得る。例えば、1種または複数のフィラーの粒径は、0.25μm~250μmの範囲、0.25μm~75μmの範囲、または0.25μm~60μmの範囲であってもよい。本開示によって提供される組成物は、1,000mg/g~11,500mg/gのヨウ素吸収(J0/84-5試験法)、および480cm3/100g~510cm3/100gの細孔体積(DBP吸収、KTM81-3504)によって特徴付けられる電気伝導性カーボンブラック、Ketjenblack(登録商標)EC-600JD(AkzoNobel,Inc.、Chicago、Ill.)を含むことができる。電気伝導性カーボンブラックフィラーは、Black Pearls(登録商標)2000(Cabot Corporation、Boston、MA)である。
【0242】
本開示の組成物は、1を超える電気伝導性フィラー含むことができ、1を超える電気伝導性フィラーは、同じまたは異なる材料および/もしくは形状であり得る。例えば、シーラント組成物は、電気伝導性Ni繊維、および粉末、粒子またはフレークの形態にある電気伝導性Ni被覆黒鉛を含むことができる。電気伝導性フィラーの量および種類は、硬化した場合、0.50Ω/cm2未満のシート抵抗(4点抵抗)、または0.15Ω/cm2未満のシート抵抗を示すシーラント組成物を生成するように選択することができる。フィラーの量および種類は、本開示のシーラント組成物を使用して密封された開口部に対して、1MHz~18GHzの周波数範囲にわたって、有効なEMI/RFI遮蔽をもたらすようにも選択することができる。
【0243】
有機フィラーは、低密度フィラー、例えば、膨張熱可塑性マイクロカプセルおよび/または修正膨張熱可塑性マイクロカプセルを含むことができる。好適な修正膨張熱可塑性マイクロカプセルは、メラミンまたは尿素/ホルムアルデヒド樹脂の外部被覆を含むことができる。フィラーは、例えば、0.7未満、0.3未満、または0.1未満の比重によって特徴付けられる低密度フィラーであり得る。低密度フィラーの使用によって、例えば、0.8~1、または0.7~0.9の低比重を有する三次元印刷物体を提供することができる。
【0244】
熱膨張性マイクロカプセルは、所定温度で膨張する揮発性材料を含む中空シェルを指す。熱膨張性熱可塑性マイクロカプセルは、5μm~70μm、時には10μm~24μm、または10μm~17μmの平均初期粒径を有することができる。「平均初期粒径」という用語は、任意の膨張前のマイクロカプセルの平均粒径(粒径分布の数的加重平均)を指す。粒径分布は、Fischer Sub-Sieve Sizerを使用して決定することができる。
【0245】
熱膨張性熱可塑性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂の壁内に揮発性炭化水素または揮発性ハロゲン化炭化水素を含むことができる。こうしたマイクロカプセルで使用するのに好適な炭化水素の例としては、塩化メチル、臭化メチル、トリクロロエタン、ジクロロエタン、n-ブタン、n-ヘプタン、n-プロパン、n-ヘキサン、n-ペンタン、イソブタン、イソペンタン、イソオクタン、ネオペンタン、石油エーテル、およびフッ素含有脂肪族炭化水素、例えば、Freon(商標)、ならびに前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0246】
熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成するのに好適な材料の例としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ポリカーボネート、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、および酢酸ビニルのポリマー、これらのモノマーのコポリマー、ならびにポリマーおよびコポリマーの組合せが挙げられる。熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成する材料とともに、架橋剤は含まれ得る。
【0247】
好適な熱可塑性マイクロカプセルの例としては、AkzoNobelから入手可能なExpancel(商標)マイクロカプセル、例えば、Expancel(商標)DEマイクロスフェアが挙げられる。好適なExpancel(商標)DEマイクロスフェアの例としては、Expancel(商標)920DE40およびExpancel(商標)920DE80が挙げられる。好適な低密度マイクロカプセルは、株式会社クレハからも入手可能である。
【0248】
低密度マイクロカプセルは、例えば、0.01~0.09、0.04~0.09の範囲内、0.04~0.08の範囲内、0.01~0.07の範囲内、0.02~0.06の範囲内、0.03~0.05の範囲内、0.05~0.09の範囲内、0.06~0.09、または0.07~0.09の範囲内の比重によって特徴づけることができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。低密度マイクロカプセルは、例えば、0.1未満、0.09未満、0.08未満、0.07未満、0.06未満、0.05未満、0.04未満、0.03未満、または0.02未満の比重によって特徴づけることができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。
【0249】
低密度マイクロカプセルは、1μm~100μmの平均粒子径によって特徴づけることができ、実質的に球状の形状を有することができる。低密度マイクロカプセルは、例えば、10μm~100μm、10μm~60μm、10μm~40μm、または10μm~30μmの、ASTM E-2651-13に従って決定される平均粒子径によって特徴づけることができる。
【0250】
低密度フィラーは、非被覆マイクロカプセル、被覆マイクロカプセル、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0251】
低密度フィラー、例えば、低密度マイクロカプセルは、アミノプラスト樹脂、例えば、メラミン樹脂の被覆を有する膨張マイクロカプセルを含むことができる。アミノプラスト樹脂被覆粒子は、例えば、米国特許第8,993,691号に記述されており、これは参照によりそのすべてが組み込まれる。こうしたマイクロカプセルは、熱可塑性シェルで包囲された発泡剤を含むマイクロカプセルを、加熱することによって形成することができる。非被覆低密度マイクロカプセルは、アミノプラスト樹脂、例えば、尿素/ホルムアルデヒド樹脂と反応して、粒子の外表面に熱硬化性樹脂の被覆を提供することができる。
【0252】
低密度フィラー、例えば、低密度マイクロカプセルは、アミノプラスト樹脂、例えば、メラミン樹脂の外部被覆を有する熱膨張性熱可塑性のマイクロカプセルを含むことができる。被覆低密度マイクロカプセルは、メラミン樹脂の外部被覆を有することができ、被覆は、例えば、2μm未満、1μm未満、または0.5μm未満の厚みを有することができる。軽量マイクロカプセル上のメラミン被覆は、マイクロカプセルをチオール末端化ポリチオエーテルプレポリマーおよび/または硬化剤と反応性にすると考えられ、これは耐燃料油性を高め、マイクロカプセルを耐圧性にする。
【0253】
アミノプラスト樹脂の薄い被覆は、25μm未満、20μm未満、15μm未満、または5μm未満の膜厚を有することができる。アミノプラスト樹脂の薄い被覆は、少なくとも0.1nm、例えば少なくとも10nm、または少なくとも100nm、または、時には少なくとも500nmの膜厚を有することができる。
【0254】
アミノプラスト樹脂は、ホルムアルデヒドと、アミノ基またはアミド基を持つ物質との縮合生成物に基づくことができる。縮合生成物は、アルコールおよびホルムアルデヒドと、メラミン、尿素またはベンゾグアナミンとの反応から得ることができる。他のアミンおよびアミドの縮合生成物、例えば、トリアジン、ジアジン、トリアゾール、グアニジン、グアナミンのアルデヒド縮合物、ならびに、アルキルおよびアリール置換尿素とアルキルおよびアリール置換メラミンとを含む、こうした化合物のアルキルおよびアリール置換誘導体も用いることができる。こうした化合物の例としては、N,N’-ジメチル尿素、ベンゾ尿素、ジシアンジアミド、ホルマグアナミン(formaguanamine)、アセトグアナミン、グリコールウリル、アンメリン(ammeline)、2-クロロ-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、6-メチル-2.4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、3,5-ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2-メルカプト-4,6-ジアミノピリミジンおよび3,4,6-トリス(エチルアミノ)-1,3,5トリアジンが挙げられる。好適なアミノプラスト樹脂は、他のアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール、およびグリオキサールの縮合生成物に基づくこともできる。
【0255】
アミノプラスト樹脂は、3.75未満、例えば、3.0未満、または2.0未満の重合度を有する、高度アルキル化、低イミノアミノプラスト樹脂を含むことができる。数平均重合度は、1つのポリマー鎖当たりの構造単位の平均数として定義することができる。例えば、1.0の重合度は、完全にモノマー性のトリアジン構造を示し、一方、2.0の重合度は、メチレンまたはメチレン-オキシ架橋によって結合された2つのトリアジン環を示す。重合度は、ポリスチレン標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される、平均の重合度値を表す。
【0256】
アミノプラスト樹脂は、メチロールまたは他のアルキロール基を含有することができ、少なくともアルキロール基の一部は、アルコールとの反応によってエーテル化され得る。好適な1価アルコールの例としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ベンジルアルコール、他の芳香族アルコール、環状アルコール、例えばシクロヘキサノール、グリコールのモノエーテル、ならびにハロゲン置換または他の置換アルコール、例えば、3-クロロプロパノールおよびブトキシエタノールが挙げられる。アミノプラスト樹脂は、実質的にメタノールまたはブタノールでアルキル化され得る。
【0257】
アミノプラスト樹脂は、メラミン樹脂を含むことができる。好適なメラミン樹脂の例としては、メチル化メラミン樹脂(ヘキサメトキシメチルメラミン)、混合エーテルメラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、ベンゾグアナミンおよびグリコールウリル樹脂、ならびにホルムアルデヒドフリー樹脂が挙げられる。こうした樹脂は、例えば、Allnex GroupおよびHexionから入手可能である。好適なメラミン樹脂の例としては、メチル化メラミン樹脂、例えば、Cymel(商標)300、Cymel(商標)301、Cymel(商標)303LF、Cymel(商標)303ULF、Cymel(商標)304、Cymel(商標)350、Cymel(商標)3745、Cymel(商標)XW-3106、Cymel(商標)MM-100、Cymel(商標)370、Cymel(商標)373、Cymel(商標)380、ASTRO MEL(商標)601、ASTRO MEL(商標)601ULF、ASTRO MEL(商標)400、ASTRO MEL(商標)NVV-3A、Aricel PC-6A、ASTRO MEL(商標)CR-1、およびASTRO SET(商標)90が挙げられる。好適なアミノプラスト樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂を含むことができる。
【0258】
低密度マイクロカプセルは、例えば、米国特許第8,816,023号および第8,993,691号に記述されたものを含む、任意の好適な技法によって調製することができ、これらはそれぞれ参照によりそのすべてが組み込まれる。被覆低密度マイクロカプセルは、例えば、水中のマイクロカプセル水性分散系を、撹拌下でメラミン樹脂とともに調製することによって得ることができる。次に触媒を添加してもよく、分散系は、例えば、50℃~80℃の温度に加熱される。低密度マイクロカプセル、例えば、ポリアクリロニトリルシェルを有する熱的に膨張したマイクロカプセル、脱イオン水およびアミノプラスト樹脂、例えば、メラミン樹脂を、組み合わせて混合することができる。次に蒸留水中10%w/wパラトルエン硫酸溶液を添加して、混合物を60℃で約2時間反応させることができる。次に飽和重炭酸ナトリウムを添加して、混合物を10分間撹拌することができる。固形物をろ過し、蒸留水ですすぎ、室温で一晩乾燥することができる。結果として得られるアミノプラスト樹脂被覆マイクロカプセルの粉末を、次に、250μmふるいを通してふるいにかけ、凝集体を除去および分離することができる。
【0259】
アミノプラスト樹脂被覆を適用する前に、熱的に膨張した熱可塑性マイクロカプセルは、例えば、0.01~0.05の範囲内、0.015~0.045の範囲内、0.02~0.04の範囲内、または0.025~0.035の範囲内の比重によって特徴付けることができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。例えば、Expancel(商標)920DE40およびExpancel(商標)920DE80は、約0.03の比重によって特徴付けることができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。
【0260】
アミノプラスト樹脂による被覆に伴い、アミノプラスト被覆マイクロカプセルは、例えば、0.02~0.08の範囲内、0.02~0.07の範囲内、0.02~0.06の範囲内、0.03~0.07の範囲内、0.03~0.065の範囲内、0.04~0.065の範囲内、0.045~0.06の範囲内、または0.05~0.06の範囲内の比重によって特徴付けることができ、比重はISO787(パート10)に従って決定される。
【0261】
アミノプラスト被覆マイクロカプセルおよびアミノプラスト被覆マイクロカプセルを作る方法は、例えば、米国特許出願公開第2016/0083619号に開示されており、これは参照によりそのすべてが組み込まれる。
【0262】
本開示によって提供される組成物は、例えば、0.1wt%~6wt%、0.5wt%~5wt%、1wt%~4wt%、または2wt%~4wt%の軽量フィラーまたは軽量フィラーの組合せを含むことができ、wt%は組成物の全重量に基づく。本開示によって提供される組成物は、例えば、1vol%~80vol%、2vol%~60vol%、5vol%~50vol%、10vol%~40vol%、または20vol%~40vol%の軽量フィラーまたは軽量フィラーの組合せを含むことができ、vol%は組成物の総体積に対するものである。
【0263】
本開示によって提供される組成物およびシーラントは、無機フィラーまたは無機フィラーの組合せを含むことができる。無機フィラーは、機械的強化を得るため、および組成物のレオロジー特性を制御するために含まれ得る。無機フィラーは、望ましい物理的特性を付与するために、例えば、硬化した組成物の衝撃強度を増加させるため、粘度を制御するため、または電気的特性を修正するために組成物に添加され得る。
【0264】
好適なフィラーは、磁気フィラーおよび不透明なフィラーも含む。
【0265】
フィラーは、繊維を含むことができる。繊維は、無機繊維、有機繊維、セラミック繊維、金属繊維、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。好適な繊維の例としては、ガラス、シリカ、炭素、ホウ素、シリカカーバイド(silica carbide)、セラミック、金属、有機材料、および合成繊維が挙げられる。好適な合成繊維の例としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、メタ-アラミド、パラ-アラミド、ポリフェニレンスルフィド、およびレーヨンが挙げられる。繊維は、引張強度、電気伝導度、熱伝導度、EMI/RFI遮蔽、曲げ弾性率、曲げ強度、および/または引張弾性率を、作られた物体に付与する役目をすることができる。
【0266】
好適な金属繊維の例としては、スチール、チタン、アルミニウム、金、銀、および前述のいずれかの合金が挙げられる。
【0267】
好適なセラミック繊維の例としては、金属酸化物(例えば、アルミナ)繊維、アルミノシリケート(aluminasilicate)繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0268】
好適な無機繊維の例としては、炭素、アルミナ、玄武岩、ケイ酸カルシウム、およびロックウールが挙げられる。
【0269】
繊維は、ガラス繊維、例えば、S-ガラス繊維、E-ガラス繊維、ソーダ-石灰-シリカ繊維、玄武岩繊維、または石英繊維であり得る。ガラス繊維は、織物および/または編組ガラス繊維、または不織ガラス繊維の形態であり得る。
【0270】
繊維は、炭素(例えば、黒鉛)繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭化ケイ素繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、またはポリエチレン繊維を含むことができる。連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、黒鉛、炭化ケイ素、ホウ素、アラミド、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)、および前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0271】
高温に耐えることができる繊維としては、例えば、炭素繊維、高強度ガラス(SiO2)繊維、酸化物繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、金属繊維、および高温熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の繊維が挙げられる。
【0272】
フィラーは、カーボンナノチューブ、フラーレン、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0273】
フィラーは、グラフェンまたは他の平らな多環式芳香族炭化水素を含むことができる。グラフェンは、作られた物体に熱伝導度、電気伝導度 EMI/RFI遮蔽能力、および/または帯電防止特性を付与するために使用することができる。
【0274】
フィラーは、表面改質粒子、例えば、表面改質シリカを含むことができる。シリカ粒子の表面は、例えば、シリカ粒子の表面の疎水性または親水性を調整するために改質することができる。表面改質は、粒子の分与性(dispensability)、粘度、硬化速度、および/または接着性に影響を与えることができる。
【0275】
共反応性組成物は、反応性レオロジー改質剤、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンまたはプロピレン/エチレンコポリマーも含むことができる。好適なプロピレン/エチレンコポリマーの例としては、Petrolite(登録商標)5000(Baker Hughes)が挙げられる。
【0276】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、接着促進剤または接着促進剤の組合せを含むことができる。
【0277】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、例えば、0.1wt%未満の接着促進剤、0.2wt%未満、0.3wt%未満または0.4wt%未満の接着促進剤を含むことができ、wt%は硬化性組成物の全重量に基づく。本開示によって提供される硬化性組成物は、例えば、0.05wt%~0.4wt%、0.05wt%~0.3wt%、0.05wt%~0.2wt%の接着促進剤を含むことができる。
【0278】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、接着促進剤または接着促進剤の組合せを含むことができる。接着促進剤は、フェノール性接着促進剤、フェノール性接着促進剤の組合せ、有機官能性シラン、有機官能性シランの組合せ、または前述のいずれかの組合せを含むことができる。オルガノシランは、アミン官能性シランであり得る。
【0279】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、フェノール性接着促進剤、オルガノシラン、またはこれらの組合せを含むことができる。フェノール性接着促進剤は、加熱(cooked)フェノール樹脂、非加熱(un-cooked)フェノール樹脂、またはこれらの組合せを含むことができる。好適な接着促進剤の例としては、フェノール樹脂、例えば、Methylon(登録商標)フェノール樹脂、およびオルガノシラン、例えば、エポキシ-、メルカプト-またはアミン-官能性シラン、例えば、Silquest(登録商標)オルガノシランが挙げられる。
【0280】
フェノール性接着促進剤は、フェノール樹脂と、1種または複数のチオール末端化ポリスルフィドとの縮合反応の反応生成物を含むことができる。フェノール性接着促進剤は、チオール末端化であり得る。
【0281】
好適なフェノール樹脂の例としては、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(4-ヒドロキシ-1,3-フェニレン)ジメタノール、(2-ヒドロキシベンゼン-1,3,4-トリイル)トリメタノール、2-ベンジル-6-(ヒドロキシメチル)フェノール、(4-ヒドロキシ-5-((2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)メチル)-1,3-フェニレン)ジメタノール、(4-ヒドロキシ-5-((2-ヒドロキシ-3,5-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)メチル)-1,3-フェニレン)ジメタノール、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0282】
好適なフェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとの塩基触媒反応によって合成することができる。
【0283】
フェノール性接着促進剤は、Methylon(登録商標)樹脂、Varcum(登録商標)樹脂、またはDurez Corporationから入手可能なDurez(登録商標)樹脂と、チオール末端化ポリスルフィド、例えば、Thioplast(登録商標)樹脂との縮合反応の反応生成物を含むことができる。
【0284】
Methylon(登録商標)樹脂の例としては、Methylon(登録商標)75108(メチロールフェノールのアリルエーテル、米国特許第3,517,082号を参照)およびMethylon(登録商標)75202が挙げられる。
【0285】
Varcum(登録商標)樹脂の例としては、Varcum(登録商標)29101、Varcum(登録商標)29108、Varcum(登録商標)29112、Varcum(登録商標)29116、Varcum(登録商標)29008、Varcum(登録商標)29202、Varcum(登録商標)29401、Varcum(登録商標)29159、Varcum(登録商標)29181、Varcum(登録商標)92600、Varcum(登録商標)94635、Varcum(登録商標)94879、およびVarcum(登録商標)94917が挙げられる。
【0286】
Durez(登録商標)樹脂の一例は、Durez(登録商標)34071である。
【0287】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、有機官能性接着促進剤、例えば、有機官能性シランを含むことができる。有機官能性シランはシリコン原子に結合した加水分解性基および少なくとも1つの有機官能基を含むことができる。有機官能性シランは、構造Ra-(CH2)n-Si(-OR)3-nRb
n[式中、Raは有機官能基であり、nは0、1、または2であり、RおよびRbはアルキル、例えば、メチルまたはエチルである]を有することができる。有機官能基の例としては、エポキシ、アミノ、メタクリロキシ、またはスルフィド基が挙げられる。有機官能性シランは、2つまたはそれより多いシラン基を有するダイポーダル(dipodal)シラン、官能性ダイポーダルシラン、非官能性ダイポーダルシランまたは前述のいずれかの組合せであり得る。有機官能性シランは、モノシランとダイポーダルシランの組合せであり得る。
【0288】
アミン官能性シランは、第1級アミン官能性シラン、第2級アミン官能性シラン、またはこれらの組合せを含むことができる。第1級アミン官能性シランは、第1級アミノ基を有するシランを指す。第2級アミン官能性シランは、第2級アミン基を有するシランを指す。アミン官能性シランは、例えば、40wt%~60wt%の第1級アミン官能性シラン;および40wt%~60wt%の第2級アミン官能性シラン;45wt%~55wt%の第1級アミン官能性シランおよび45wt%~55wt%の第2級アミン官能性シラン;または47wt%~53wt%の第1級アミン官能性シランおよび47wt%~53wt%の第2級アミン官能性シランを含むことができ、wt%は組成物中のアミン官能性シランの全重量に基づく。
【0289】
第2級アミン官能性シランは、立体障害性アミン官能性シランであり得る。立体障害性アミン官能性シランでは、非立体障害性第2級アミンに対する自由度と比較して、第2級アミンの自由度を制限または限定する大きな基または部分に、第2級アミンは近接し得る。例えば、立体障害性第2級アミンでは、第2級アミンは、フェニル基、シクロヘキシル基、または分岐アルキル基に近接し得る。
【0290】
アミン官能性シランは、例えば、100ダルトン~1000ダルトン、100ダルトン~800ダルトン、100ダルトン~600ダルトン、または200ダルトン~500ダルトンの分子量を有する、モノマー性アミン官能性シランであり得る。
【0291】
好適な第1級アミン官能性シラン例としては、4-アミノブチルトリエトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m-アミノフェニルトリメトキシシラン、p-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、11-アミノウンデシルトリエトキシシラン、2-(4-ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2-(2-ピリジルエチルトリメトキシシラン、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3-アミノプロピルシラントリオール、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1-アミノ-2-(ジメチルエトキシシリル)プロパン、3-アミノプロピルジイソプロピレンエトキシシラン、および3-アミノプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
【0292】
好適なジアミン官能性シランの例としては、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0293】
好適な第2級アミン官能性シランの例としては、3-(N-アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、n-ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、tert-ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(N,N-シクロヘキシル(cylohexyl)アミノメチル)メチルジエトキシシラン、(N-シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N-シクロヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-(n-エチルアミノ)イソブチル)メチルジエトキシシラン、(3-(N-エチルアミノ)イソブチル)トリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N-フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、およびN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0294】
好適なアミン官能性シランは、例えば、Gelest Inc.およびDow Corning Corporationから市販されている。
【0295】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、3wt%未満、2wt%未満、1wt%未満または0.5wt%未満の接着促進剤を含むことができ、wt%は硬化性組成物の全重量に基づく。
【0296】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、反応性希釈剤または反応性希釈剤の組合せを含むことができる。反応性希釈剤は、組成物の粘度を低減するために使用することができる。反応性希釈剤は、組成物の主要反応物の少なくとも1つと反応して、架橋ネットワークの一部になることができる少なくとも1つの官能基を有する、低分子量化合物であり得る。反応性希釈剤は、例えば、1つの官能基、または2つの官能基を有することができる。反応性希釈剤は、組成物の粘度を制御する、または組成物中のフィラーの濡れを改善するために、使用することができる。
【0297】
共反応性成分および組成物は、1種または複数の着色剤を含むことができる。
【0298】
着色剤は、作られた物体に色および/または他の視覚効果を付与する物質を指す。着色剤は組成物に、任意の好適な形態、例えば、離散粒子、分散系、溶液および/またはフレークで添加することができる。単一の着色剤、または2種もしくはそれより多い着色剤の混合物を使用することができる。
【0299】
着色剤の例としては、顔料、染料およびチント、例えば、ペイント産業界で使用されている、かつ/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)にリストアップされているもの、ならびに特殊効果の組成物および材料が挙げられる。着色剤は、例えば、不溶性であるが、使用条件下で濡れやすくなった、細かく分割された固体粉末を含むことができる。着色剤は、有機または無機であり得、かつ凝集性または非凝集性であり得る。着色剤は、粉砕または単純な混合によって、組成物に組み込むことができる。着色剤は、粉砕手段、例えば、アクリル粉砕手段(acrylic grind vehicle)を使用して、粉砕することによって組成物に組み込むことができる。
【0300】
好適な顔料および/または顔料組成物の例としては、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトールAS、塩型(レーキ)、ベンツイミダゾロン、コンデンセーション、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(DPPBOレッド)、カーボンブラック、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
【0301】
好適な染料の例としては、溶媒および/または水性系、例えば、アド染料(add dye)、アゾイック染料、塩基性染料、直接染料、分散染料、反応性染料、溶媒染料、硫化染料、媒染染料、例えば、ビスマスバナジン酸塩、アントラキノン、ペリレン、アルミニウム、キナクリドン、チアゾール、チアジン、アゾ、インジゴイド、ニトロ、ニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、キノリン、スチルベン、キニザリン青(D&CバイオレットNo.2)、およびトリフェニルメタンが挙げられる。
【0302】
好適なチントの例としては、水系または水混和性担体に分散した顔料、例えば、Degussa,Inc.から市販されているAqua-Chem(登録商標)896、Eastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions部門から市販されているCharisma Colorants(登録商標)およびMaxitoner(登録商標)Industrial Colorantsが挙げられる。
【0303】
着色剤は、例えば、ナノ粒子分散系を含む分散系の形態であってもよい。ナノ粒子分散系は、所望の明白な色および/または不透明性および/または視覚効果を生成する、1種または複数の高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を含むことができる。ナノ粒子分散系は、着色剤、例えば、150nm未満、例えば70nm未満、または30nm未満の粒径を有する顔料または染料を含むことができる。ナノ粒子は、0.5mm未満の粒径を有する粉砕メディアによって、貯蔵の有機または無機顔料を製粉することによって、生成することができる。ナノ粒子分散系およびそれらを作るための方法の例は、米国特許第6,875,800B2号、米国特許出願公開第2005/0287354号、および米国特許出願公開第2006/0251896号で確認される。ナノ粒子分散系は、結晶化、沈殿、気相凝縮、および化学的摩滅(chemical attrition)(すなわち、部分的溶解)によって生成することができる。組成物内でのナノ粒子の再凝集を最小化するために、樹脂被覆ナノ粒子の分散系を使用することができる。「樹脂被覆ナノ粒子の分散系」は、ナノ粒子およびナノ粒子上の樹脂組成物を含む離散「複合微粒子」が分散する、連続相を指す。
【0304】
非隠蔽、着色有機顔料ナノ粒子の分散系は、特に有用な審美特性をエレクトロニクス産業に与える。こうした顔料分散系は、PPG Industries,Inc.からAndaro(商標)という商標で入手可能である。低レベルの青いナノ顔料は、薄膜形成組成物の硬化の間に起こり得る任意の黄変を相殺することができる。青または黒のナノ顔料は、特に基材上の黒い下層にわたって、防眩組成物の外観を高める。そのうえ、有色ナノ顔料は、基材、例えば、付加製造部品の基材の下にある色を高めるまたは補完するように選択され得る。ナノ粒子分散系は、本明細書で記述の(i)テトラアルコキシシラン、(ii)エポキシ官能性トリアルコキシシラン、(iii)金属含有触媒、(iv)溶媒成分、および(v)非酸化物粒子を含む、本発明の硬化性薄膜形成ゾルゲル組成物での使用に特に好適である。
【0305】
他の好適な特殊効果着色剤としては、Crystal Pearl、Crystallance(登録商標)、Ditzler(登録商標)、Flamboyance(登録商標)、Harlequin(登録商標)、Liquidmetal(登録商標)、Starfire(登録商標)、Radiance(登録商標)、その他を含む、PPG Industries,Inc.から入手可能なVibrance Collection(登録商標)にあるものが挙げられる。
【0306】
使用され得る特殊効果組成物の例としては、1つまたは複数の外観効果、例えば、反射、真珠光沢、金属光沢、燐光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズムおよび/または色の変化を生成する、顔料および/または組成物が挙げられる。追加の特殊効果組成物は、他の感知可能な特性、例えば、不透明性またはテクスチャーを提供することができる。特殊効果組成物は、組成物を異なる角度で見た場合に組成物の色が変化するように、色シフトを生成することができる。色効果組成物の例は、米国特許第6,894,086号に開示されている。追加の色効果組成物としては、透明な被覆マイカおよび/もしくは合成マイカ、被覆シリカ、被覆アルミナ、透明な液晶顔料、液晶組成物、ならびに/または干渉が材料内の屈折率差に起因し、かつ材料の表面と空気との間の屈折率差によるものではない任意の組成物を挙げることができる。
【0307】
一般に、着色剤は、所望の特性、視覚効果および/または色効果を付与するのに十分な任意の量で、組成物中に存在することができる。例えば、着色剤は、1wt%~65wt%、例えば、3wt%~40wt%または5wt%~35wt%の量で存在してもよく、重量パーセントは組成物の全重量に基づく。
【0308】
組成物は、例えば、1wt%~10wt%、1wt%~8wt%、または5wt%~8wt%含むことができ、wt%は組成物の全重量に基づく。
【0309】
本開示によって提供される共反応性成分および組成物は、赤外線(IR)反射性顔料を含むことができる。IR反射性顔料は、太陽輻射に曝露された物体の温度を低減するのに有用であり得る。IR反射性顔料は、LIDAR検出にも有用であり得る。IR反射性顔料は、905nmの波長で高い反射率、例えば、95%を超える反射率、または99%を超える反射率を示すことができる。有用なIR反射性顔料の例としては、TiO2、ニッケルおよびクロムルチル顔料、(逆)スピネル顔料、ならびにShepherdからArctic(登録商標)という商品名で、BASFからSicopal(登録商標)という商品名で、またはClariantからColanyl(登録商標)という商品名で入手可能な様々な金属酸化物系顔料が挙げられる。
【0310】
反応性組成物のある特定の実施形態に好適な顔料は、有機または無機着色顔料から選択されてもよく、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、ランプブラック、酸化亜鉛、天然および合成レッド、黄色、茶色および黒色酸化鉄、トルイジンおよびベンジジンイエロー、フタロシアニンブルーおよびグリーン、およびカルバゾールバイオレット、ならびに粉砕および結晶性シリカ、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、マイカ、雲母状酸化鉄、炭酸カルシウム、亜鉛粉末、アルミニウムおよびケイ酸アルミニウム、セッコウ、長石等を含む体質顔料を含んでもよい。
【0311】
顔料は、燐光性または蛍光性顔料を含むことができ、これは、例えば、粒子またはナノ粒子の形態であり得る。
【0312】
本開示により提供される押出し品は、1つまたは複数の表面被覆を含んでもよい。表面被覆は、所望の表面特性、例えば電気伝導性、IR反射率等の反射率、色、波長依存性吸収、波長依存性反射率、引っかき抵抗性、耐摩耗性、耐汚染性、耐指紋性、洗浄液に対する耐性等を付与する、審美的品質を付与する、および/または触感特性を付与するために使用され得る。被覆は、複数層被覆を含み得る。被覆は、触覚被覆、例えばソフトタッチ被覆であってもよい。被覆は、押出し被覆ダイを使用して押出物に適用され得る。
【0313】
複数層被覆は、シーラー、ベースコートおよびミッドコートベースコート、ならびにトップコートを含み得る。シーラーは、下にあるプライマー/基板界面への溶媒移動に対するバリアを提供することにより、被覆系の表面接着を改善するために使用され得る。好適なシーラーの例は、ECS25を含む。ベースコートは、着色剤、例えば顔料または着色効果材料を含み得る。ミッド-ベースコート層は、特殊効果顔料を含み得、ベースコートに加えてその上に適用され得る。好適なミッド-ベースコートの例は、PPG Industries,Inc.から入手可能なAndaro(登録商標)特殊効果被覆である。トップコートは、複数層被覆系の外側被覆層として適用され得る。トップコートは、耐摩耗性、引っかき抵抗性、耐汚染性、耐指紋性、または洗浄の促進を含むいくつかの目的を果たし得る。トップコートはまた、視覚的に透明である、または反射を低減するための艶消し仕上げを有する等の所望の光学特性を付与し得る。好適な透明コートの例は、PPG Industries,Inc.から入手可能なDC4000を含む。好適な艶消しトップコートの例は、D8115を含む。
【0314】
被覆層の選択および厚さは、意図される質感の表面の視覚的外観に著しく影響し得る。その効果は、トポグラフィーの増強および指向性反射率の変更を含む。その効果は、例えば、ミッド-ベースコートが特殊効果顔料、例えばPPG Industries,Inc.から入手可能な、Crystal Peal(商標)およびCrystallance(登録商標)製品ラインを含むVibrance Collection(登録商標)、ならびにAndaro(登録商標)顔料を含有する場合に向上し得る。
【0315】
外部被覆は、触感特性または触覚特性を提供する被覆を含み得る。例えば、被覆は、ソフトタッチ感覚を付与し得る。
【0316】
例えば、好適なソフトタッチ被覆は、国際出願公開第WO2016/201103号、ならびに米国出願公開第2014/0220354号および米国出願公開第2015/0307738号に開示されている。
【0317】
本開示により提供される被覆系は、着色剤を含有し得る。着色剤は、被覆層の1つまたは複数に存在し得る。例えば、着色剤は、プライマー被覆、シーラー被覆層、ベースコート層、ミッドコート層、または上記のいずれかの組合せに存在し得る。被覆系内の被覆層は、1種または複数種の着色剤を含み得る。被覆層は、別の被覆層内の着色剤と同じまたは異なる着色剤を含み得る。
【0318】
本開示により提供される共反応性成分および組成物は、光開始剤または光開始剤の組合せを含み得る。放射線は、その照射後に光重合開始剤から開始種を生成し得るエネルギーを印加し得る化学線であってもよく、α線、γ線、X線、紫外(UV)光、可視光または電子ビームを幅広く含む。例えば、光開始剤は、UV光開始剤であってもよい。
【0319】
例えば、ポリチオールおよびポリアルケニルを含む共反応性組成物は、化学線を使用して硬化され得る。ポリチオール/ポリアルケニル系は、フリーラジカル光開始によってのみ硬化されてもよく、または、光開始フリーラジカル機構により部分的に硬化されてもよい。ポリチオール/ポリアルケニル組成物は、アミン触媒を含む。ポリチオール/ポリアルケニル組成物は、暗硬化触媒を含み得る。例えば、暗硬化チオール/アルケニル触媒は、米国特許第9,796,858B2号、PCT国際公開第WO2017/087055A1号、および2018年6月8日に出願されたPCT国際出願第PCT/US2018/36746号に開示されている。
【0320】
好適なUV光開始剤の例は、α-ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、α,α-ジエトキシアセトフェノン、4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-イソプロピルフェニル2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソアミルp-ジメチルアミノベンゾエート、メチル4-ジメチルアミノベンゾエート、メチルO-ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシクルホスフィンオキシド(bisacyclphosphineoxide)を含む。
【0321】
好適なベンゾフェノン光開始剤の例は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1,4,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノンを含む。
【0322】
好適なオキシム光開始剤の例は、(ヒドロキシイミノ)シクロヘキサン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン-1-(O-アセチルオキシム(acetyloxim- e))、トリクロロメチル-トリアジン誘導体)、4-(4-メトキシスチリル)-2,6-トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン)、4-(4-メトキシフェニル)-2,6-トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン、およびα-アミノケトン(1-(4-モルホリノフェニル)-2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-ブタン-1-オン)を含む。
【0323】
好適なホスフィンオキシド光開始剤の例は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)およびフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BAPO)を含む。
【0324】
好適なUV光開始剤の他の例は、BASFからのIrgacure(商標)製品、例えば製品Irgacure(商標)184、Irgacure(商標)500、Irgacure(商標)1173、Irgacure(商標)2959、Irgacure(商標)745、Irgacure(商標)651、Irgacure(商標)369、Irgacure(商標)907、Irgacure(商標)1000、Irgacure(商標)1300、Irgacure(商標)819、Irgacure(商標)819DW、Irgacure(商標)2022、Irgacure(商標)2100、Irgacure(商標)784、Irgacure(商標)250を含み;さらに、BASFからのIrgacure(商標)製品、例えば製品Irgacure(商標)MBF、Darocur(商標)1173、Darocur(商標)TPO、Darocur(商標)4265が使用される。
【0325】
UV光開始剤は、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Irgacure(登録商標)651、Ciba Specialty Chemicals)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド(Darocur(登録商標)TPO、Ciba Specialty Chemicals)、またはそれらの組合せを含み得る。
【0326】
好適な光開始剤の他の例は、Darocur(登録商標)TPO(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、Lucirin(登録商標)TPO(BASFから入手可能)、Speedcure(登録商標)TPO(Lambsonから入手可能)、Irgacure(登録商標)TPO(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、およびOmnirad(登録商標)(IGM Resinsから入手可能)、ならびに上記のいずれかの組合せを含む。
【0327】
本開示により提供される組成物は、1wt%~5wt%、1.5wt%~4.5wt%、2wt%~4wt%、2.5wt%~3.5wt%のUV光開始剤またはUV光開始剤の組合せを含み得る。
【0328】
共反応性成分および組成物は、1種または複数の腐食防止剤を含み得る。好適な腐食防止剤の例は、これらに限定されないが、リン酸亜鉛系腐食防止剤、例えばHalox(Hammond、Ind.)から市販されている微粉化Halox(登録商標)SZP-391、Halox(登録商標)430リン酸カルシウム、Halox(登録商標)ZPリン酸亜鉛、Halox(登録商標)SW-111ストロンチウムホスホシリケート、Halox(登録商標)720混合金属リン光体-カーボネート、ならびにHalox(登録商標)550および650独自有機腐食防止剤を含む。他の好適な腐食防止剤は、Heucotech Ltd、PAから市販されているHeucophos(登録商標)ZPAリン酸亜鉛アルミニウムおよびHeucophos(登録商標)ZMPリン酸亜鉛モリブデンを含み得る。
【0329】
本開示により提供される共反応性組成物は、金属物体を製作するために使用され得る。低粘度成分は、高体積パーセントの金属粒子を組み込むことができる。堆積および硬化後、硬化した組成物は、有機材料を燃焼させるために焼成されてもよく、金属が残る。金属は、焼結されて金属部品を提供し得る。同様に、無機物体は、シリカ、ガラスまたは他の無機物体等の高レベルの好適なフィラーを組み込むことにより形成され得る。
【0330】
ポリイソシアネート成分は、例えば、80wt%~100wt%、85wt%~95wt%、または80wt%~90wt%のポリイソシアネートプレポリマーを含んでもよく、wt%はポリイソシアネート成分の全重量に基づく。
【0331】
ポリアミン成分は、例えば、200ダルトン~500ダルトンの分子量を有する10wt%~30wt%のモノマーポリアミン;3,000ダルトン~7,000ダルトンの分子量を有する40wt%~90wt%のポリアミンプレポリマー;および1wt%~20wt%の反応性レオロジー調整剤を含んでもよく、wt%はポリアミン成分の全重量に基づく。ポリアミン成分は、例えば、200ダルトン~500ダルトンの分子量を有する15wt%~25wt%のモノマーポリアミン;3,000ダルトン~7,000ダルトンの分子量を有する50wt%~80wt%のポリアミンプレポリマー;および5wt%~15wt%の反応性レオロジー調整剤を含んでもよく、wt%はポリアミン成分の全重量に基づく。
【0332】
ポリイソシアネートプレポリマーは、イソホロンジイソシアネート末端ポリテトラメチレンプレポリマーを含んでもよく;ポリアミンプレポリマーは、ポリエーテルアミンプレポリマーを含んでもよい。
【0333】
ポリアミン成分は、0.1wt%~20wt%のフィラーを含んでもよく、wt%はポリアミン成分の全重量に基づく。ポリアミン成分は、0.1wt%~20wt%の親水性ヒュームドシリカを含んでもよく、wt%はポリアミン成分の全重量に基づく。
【0334】
ポリイソシアネート成分および/またはポリアミン成分は、室温で組み合わせて押し出されてもよい。ポリイソシアネート成分および/またはポリアミン成分は、静的および/または動的ミキサーで組み合わせる前に加熱されてもよい。静的および/または動的ミキサーは、室温であってもよく、または加熱されてもよい。混合の前に、ポリイソシアネート成分および/またはポリアミン成分は、様々な成分の混合を促進するために加熱されてもよい。いくつかの場合において、ポリイソシアネート成分および/またはポリアミン成分の粘度を低減して様々な成分の混合を促進するために、プログレッシブキャビティポンプ等による送り出し中に十分な熱が生成され得る。
【0335】
本開示により提供される組成物を使用して、付加印刷物体が製作され得る。付加印刷物体は、共反応性成分を含む組成物の連続的な層の堆積により製作され得る。組成物は、例えば、押出しを使用して、またはインクジェット印刷技術を使用して堆積され得る。
【0336】
共反応性成分の押出しは、周知である。共反応性成分は、好適な形状のノズルを通して圧力下で押されるバレルヘッド内で混合され得る。押し出された組成物または押出し品は、断面プロファイルによって特徴付けられ得る。断面プロファイルは、共反応性成分の一定比率によって、または共反応性成分の可変の比率によって特徴付けられ得るが、比率は、官能基の当量比率による共反応性成分のモル%比率、反応性成分のwt%比率、または他の有用な比率を指し得る。押出し品の断面プロファイルにわたる不均一組成は、プロファイルの異なる部分に異なる特性を付与するのに有用となり得る。例えば、プロファイルの外側部分に耐溶媒性または電気伝導特性を付与することが有用となり得る。隣接または近接する層、例えば下にあるまたは上にある層の間の接着を促進するために、過剰の共反応性官能基の1つまたは複数を含むことが有用となり得る。例えば、層の上面または上面の一部は、過剰の第1の共反応性官能基を有してもよく、上にある層の下面または下面の一部は、過剰の第2の共反応性官能基を有してもよく、第1および第2の共反応性官能基は、互いに反応性である。このようにして、近接する層の間の共有結合の形成が促進され、完成した三次元印刷物体の物理的完全性が増大し得る。
【0337】
また、共反応性成分間の硬化反応の速度は、下にある層に後続の層が堆積されたときに反応が完了しないように制御され得る。このようにして、上にある層の共反応性成分は、下にある層の共反応性成分と反応して、層間の強度を増加させることができる。高度の架橋を有する共反応性熱硬化性材料もまた、完成部品に高い耐溶媒性および耐薬品性を提供するために使用され得る。
【0338】
本開示により提供される方法は、高い縦横アスペクト比を有し得る。共反応性成分を使用した付加製造により提供される急速な硬化速度は、高く薄い部品を製作する能力を促進する。1つの寸法が長く、直交する寸法が薄い部品の例は、パネルである。垂直寸法において連続的な層が作製され得、急速な硬化速度のおかげで弛みも歪みもない。例えば、部品の高さは、部品の幅の少なくとも2倍、幅の少なくとも4倍、6倍、10倍、25倍、50倍、100倍、または200倍であってもよい。初期の数層が堆積された後、初期に堆積した層は、部品を保持するためにクランプを使用する等して固定されてもよく、後続の層を堆積させて高く細い部品を製作することができる。
【0339】
共反応性成分の急速な硬化速度は、上にある層が部分的にのみ下にある層によって支持される部品を製作するために使用されてもよい。
【0340】
また、共反応性組成物の低い粘度、および急速な硬化速度の結果、堆積速度または印刷速度が高くなり得る。例えば、堆積は、5cm/秒超、10cm/秒超、29cm/秒超、50cm/秒超、100cm/秒超、または200cm/秒超であってもよい。
【0341】
構造的完全性を維持し、組成物の上にある層を支持する押し出された硬化性組成物の能力が、硬化性組成物の剪断貯蔵弾性率G’、剪断損失弾性率G”、tanδ(G”/G’)、複素粘度[η*|、および粘度を所望の特性と関連付けることにより定量された。作製指標とも呼ばれる所望の特性は、堆積される能力、堆積した層の形状を維持する能力、1つまたは複数の上にある層を支持する能力、および隣接する層と接着または共反応する能力を含む。所望の特性はまた、共反応性組成物の印刷可能性に影響するパラメーターを含み、これは、共反応性組成物がもはや分注され得ない十分に高い粘度に共反応性組成物が達する前に、妥当な圧力で共反応性組成物を分注装置から押し出す能力を含む。
【0342】
硬化性組成物の粘弾性は、回転レオメーターを使用して剪断貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”を測定することで決定され得る。本開示の目的において、剪断貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”の値は、1mmに設定された隙間、直径25mmの平行プレートスピンドル、ならびに1Hzの振動数および0.3%の振幅でAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して測定される。試験は、レオメータープレートの温度を25℃に設定して行われる。
【0343】
反応性付加製造システムの印刷可能性は、例えば反応物の反応速度および粘度等のいくつかの特性に依存し得る。経験的測定に基づいて、共反応性組成物の印刷可能性は、反応性組成物のゲル化時間、低剪断粘度または混合前の各成分、および混合前の各成分の高剪断粘度に基づくアルゴリズムに関して定義されている。ゲル化時間は、第1および第2の共反応性成分が最初に混合されてから、共反応性組成物が固化してもはや手作業で撹拌できなくなるまでの期間を指す。低剪断粘度(LSV)は、1mmからの隙間を有するAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および1秒-1の剪断速度で測定された。高剪断粘度(HSV)は、1mmからの隙間を有するAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および100秒-1の剪断速度で測定された。作製可能性は、混合の容易性、押出しの容易性、および堆積された形状を維持する押し出された組成物の能力の全体的な定性評価に基づいていた。実験データをモデル化したアルゴリズムは、式1で示される。
500×{0.460+{(ゲル化時間-4.00)×[(ゲル化時間-4.00)×(-0.00913)]}+{(Log10LSV1-5.30)×[(Log10LSV1-5.30)×(-0.00428)]}+{(Log10HSV1-5.30)×[(Log10HSV1-5.30)×(-0.00426)]}+{(Log10LSV2-5.30)×[(Log10LSV2-5.30)×(-0.00427)]}+{(Log10LSV2-5.30)×[(Log10LSV2-5.30)×(-0.00425)]}≧100 式1
式中、LSV1およびHSV1は、第1の成分の低および高剪断粘度であり、LSV2およびHSV2は、第2の成分の低および高剪断粘度である。式1により表されるモデルは、実施例1のポリ尿素系において得られた実験データに基づき、第1の成分はポリイソシアネートを含有し、第2の成分はポリアミンを含有していた。パラメーターは、組成物が100の閾値より上で印刷可能であるように拡張された。異なる硬化系、特にポリ尿素と著しく異なるゲル化時間を有する系に対して同様のモデルが開発され得る。
【0344】
本開示により提供される方法は、共押出しを含む。第1の共反応性組成物に加えて、共反応性組成物であってもなくてもよい他の組成物が押し出されてもよい。押出物のプロファイルにわたり押出物の組成を変化させるために、追加の組成物が含まれてもよい。共押出しは、部品に表面特性を付与するために、バリア被覆、着色被覆、耐溶媒性被覆、引っかき抵抗性被覆、接着剤被覆、難燃性被覆、触覚もしくは触感効果被覆、または電気伝導性被覆等の表面層を追加してもよい。多くの可能な共押出し部品が製作され得る。
【0345】
方法は、例えば、第3の成分を第3のポンプへ提供するステップと、第3の成分をミキサー内に送り出すステップとを含む。第3の成分は第3の化合物を含んでもよく、第3の化合物は第1の化合物と反応性である、第3の化合物は第2の化合物と反応性である、または第3の化合物は第1の成分および第2の成分の両方と反応性である。第3の化合物は、第1の化合物および第2の化合物と反応性でなくてもよい。
【0346】
方法は、1つまたは複数の追加の成分を1つまたは複数のそれぞれのポンプへ提供するステップと;1つまたは複数の追加の成分をミキサー内に送り出して、共反応性組成物を得るステップとを含んでもよい。
【0347】
共反応性付加製造に好適な特性を確立するために調整され得る他の材料特性は、例えば、芳香族ポリアミンまたは脂肪族ポリアミンの使用、プレポリマー骨格内の硬質および軟質セグメントの量および割合、プレポリマーの分子量および官能性、非反応性側基の存在、ヒドロキシル側基の存在、プレポリマーのガラス転移温度、イソシアネートおよびアミン基の反応性、使用されるフィラーの量および種類、イソシアネート対アミン混合比、反応物の立体障害、ならびに上記のいずれかの組合せを含む。
【0348】
本開示により提供される方法に従って印刷される三次元物体は、物体の生成プロセスおよび最終物体の特性の両方において以前の付加製造物体より優れた利点を提供する。例えば、堆積方法は、追加の熱のいかなる使用も必要としなくてもよく、したがって、熱可塑性材料の三次元印刷で生じ得るような完成した物体における冷却中の応力蓄積の形成が回避される。本開示により提供される共反応性組成物は、組成物が速やかに、および正確に送り出しおよび印刷され得る十分に低い粘度を有し得る。急速に反応して堆積後に所定位置に留まる共反応性組成物を使用することにより、印刷物体の形状および寸法に対する改善された制御が実現され得る。さらに、本開示により提供される共反応性組成物は、磁気特性または電気および/もしくは熱伝導性を含む伝導特性、ならびに強度等の追加の特性を物体に提供する材料を含んでもよい。強化成分は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、およびグラフェンを含む。また、顔料または染料等の着色剤が印刷組成物中に含まれてもよい。速やかに架橋する共反応性組成物の場合、印刷物体の強度により、物体の以前に印刷された部分の上にさらなる層を迅速に追加することができる。開示された材料および方法の別の利点は、印刷物体の「z方向」に提供されるような強度であり、xおよびy方向は、三次元物体の一般的な作製平面である。従来の三次元印刷は、特に熱可塑性材料が使用される場合、印刷物体の層間に最小限の接着を提供する。連続的な層の間に共有結合による架橋を形成する材料を提供することにより、最終印刷物体は、z方向に増加した強度を有し得る。
【0349】
共反応性材料の反応生成物は接着性となり得るため、低表面エネルギー作製表面の使用が適切となり得る。低表面エネルギー作製表面は、例えば、ポリオレフィンおよびフルオロポリマーを含む。代替として、作製表面は、ポリウレタン射出成形において使用されるもの等の離型剤で被覆されてもよい。
【0350】
低粘度の共反応性または熱硬化性組成物の使用は、室温での堆積を促進することができ、それにより熱可塑性三次元印刷装置に特徴的な高温印刷ヘッドが回避される。熱硬化性材料の使用は、急速および精密に移動可能である単純な軽量の印刷ヘッドの使用を促進することができ、様々な駆動機構をさらに単純化し得る。
【0351】
レオロジープロファイルおよび熱硬化性組成物の硬化速度の制御に一部依存して、高い構造完全性を有する部品を迅速に作製することが可能である。隣接する層の間の構造強度はまた、下にある層に覆いかぶさる形状を構築する能力を促進し得る。
【0352】
単一のノズルから、少なくとも2つの共反応性成分が堆積されてもよい。そのような場合、共反応性成分は、硬化反応が大幅に進行する前に混合および堆積されてもよく、または、共反応性成分は、例えば、混合後に液体形態を維持する十分に遅い硬化速度を有してもよい。遅速反応成分が堆積され得、次いで2つの共反応性成分の間の硬化反応を開始させるために触媒が別個のノズルから堆積され得る。共反応性成分は、大きな液滴として堆積されるのではなく、スプレーとして堆積されてもよい。スプレーの形態での堆積は、2つの共反応性成分が堆積前に混合する能力を促進し得る。反応性熱硬化性組成物は、熱可塑性組成物と比較して低い粘度を有し得るため、スプレーを使用した堆積が促進され得る。
【0353】
本開示により提供される組成物および方法は、物体を製作するために使用され得る。物体の例は、シールキャップ、靴底、医療用インプラント、自動車部品(内装または外装)、航空宇宙部品、ツール、金属鋳造用の工具、軍用部品、および任意の他の好適な部品または装置を含む。
【0354】
本発明の態様
態様1
反応性付加製造の方法であって、第1のプレポリマーを含む第1の成分を第1のポンプへ提供するステップと;第2のプレポリマーを含む第2の成分を第2のポンプへ提供するステップであって、第2のプレポリマーは第1のプレポリマーと反応性である、ステップと;反応性組成物を提供するために、ミキサーを通して第1のポンプから第1の成分、および第2のポンプから第2の成分を送り出すステップと;反応性組成物を、ミキサーに接続されたノズルを通して堆積させるステップとを含む、方法。
【0355】
態様2
第1の成分が、ポリイソシアネートプレポリマーを含み;第2の成分が、ポリアミンプレポリマーを含む、態様1に記載の方法。
【0356】
態様3
第1のポンプおよび第2のポンプのそれぞれが、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、またはプログレッシブキャビティポンプを独立して含む、態様1または2に記載の方法。
【0357】
態様4
第1のポンプおよび第2のポンプのそれぞれが、プログレッシブキャビティポンプを含む、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0358】
態様5
ミキサーが、静的ミキサー、動的ミキサー、またはこれらの組合せを含む、態様1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
態様6
ミキサーが、静的ミキサーを含む、態様1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0360】
態様7
ポリイソシアネートプレポリマーおよび第1の粘度を含む第1の成分と;ポリアミンプレポリマーおよび第2の粘度を含む第2の成分とを含み、第1の粘度は第2の粘度の±20%以内であり、粘度は、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するAnton Paar MCR 301または302レオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、反応性付加製造組成物。
【0361】
態様8
第1の粘度が第2の粘度の±10%以内である、態様7に記載の組成物。
【0362】
態様9
第1の成分、第2の成分、または第1の成分および第2の成分の両方が、0.1wt%~30wt%のフィラーを含み、wt%は、それぞれ第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方の全重量に基づく、態様7または8に記載の組成物。
【0363】
態様10
フィラーが、無機フィラー、有機フィラー、またはこれらの組合せを含む、態様7から9のいずれか1つに記載の組成物。
【0364】
態様11
ポリイソシアネートプレポリマーが、2官能性ポリイソシアネートプレポリマーを含み;ポリアミンプレポリマーが、2官能性ポリアミンプレポリマーを含む、態様7から10のいずれか1つに記載の組成物。
【0365】
態様12
ポリイソシアネートプレポリマーが、イソシアネート末端化ポリテトラメチレンプレポリマーを含む、態様7から11のいずれか1つに記載の組成物。
【0366】
態様13
ポリイソシアネートプレポリマーが、イソホロン末端化ポリテトラメチレンプレポリマーを含む、態様7から12のいずれか1つに記載の組成物。
【0367】
態様14
ポリアミンプレポリマーが、3官能性ポリエーテルアミンを含む、態様7から13のいずれか1つに記載の組成物。
【0368】
態様15
ポリアミンプレポリマーが、2官能性ポリアミン、3官能性ポリアミン、またはこれらの組合せを含む、態様7から14のいずれか1つに記載の組成物。
【0369】
態様16
第2の成分が、モノマー性ジアミンおよびレオロジー改質剤を含む、態様7から15のいずれか1つに記載の組成物。
【0370】
態様17
第2の成分が、第2級脂肪族ジアミンおよびポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーを含む、態様7から16のいずれか1つに記載の組成物。
【0371】
態様18
第1の成分が、80wt%~100wt%のポリイソシアネートプレポリマーを含み、wt%は第1の成分の全重量に対するものであり;第2の成分が、10wt%~30wt%の、200ダルトン~500ダルトンの範囲内の分子量を有するモノマー性ポリアミン;40wt%~90wt%の、3,000ダルトン~7,000ダルトンの範囲内の分子量を有するポリアミンプレポリマー;および1wt%~20wt%のレオロジー改質剤を含み、wt%は第2の成分の全重量に基づく、態様7から17のいずれか1つに記載の組成物。
【0372】
態様19
ポリイソシアネートプレポリマーが、イソホロンジイソシアネート末端化ポリテトラメチレンプレポリマーを含み;ポリアミンプレポリマーが、ポリエーテルアミンプレポリマーを含む、態様18に記載の組成物。
【0373】
態様20
ポリイソシアネートプレポリマーが、イソホロンジイソシアネート末端化ポリエーテルアミンプレポリマー、例えば、イソホロンジイソシアネート末端化ポリオキシプロピレンジアミンプレポリマーを含み;ポリアミンプレポリマーが、ポリエーテルアミンプレポリマーを含む、態様18に記載の組成物。
【0374】
態様21
ポリイソシアネートプレポリマーが、イソホロンジイソシアネート末端化ポリオキシプロピレンジアミンプレポリマーを含み;ポリアミンプレポリマーが、ポリエーテルアミンプレポリマーを含む、態様18に記載の組成物。
【0375】
態様22
モノマー性アミンが、第2級脂肪族ジアミンを含み;レオロジー改質剤が、プロピレン/エチレンコポリマーを含む、態様18から21のいずれか1つに記載の組成物。
【0376】
態様23
第2の成分が、0.1wt%~20wt%のフィラーを含み、wt%は第2の成分の全重量に基づく、態様18から22のいずれか1つに記載の組成物。
【0377】
態様24
第2の成分が、0.1wt%~20wt%の親水性ヒュームドシリカを含み、wt%は第2の成分の全重量に基づく、態様18から23のいずれか1つに記載の組成物。
【0378】
態様25
第1および第2の成分を混合した直後に、2より大きい初期G”/G’比を有し、剪断貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”は、隙間を1mm~2mmとした、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するレオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、態様7から24のいずれか1つに記載の組成物。
【0379】
態様26
第1および第2の成分を混合した7分後に、1より大きいG”/G’比を有し、剪断貯蔵弾性率G’および剪断損失弾性率G”は、隙間を1mm~2mmとした、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するレオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、態様7から25のいずれか1つに記載の組成物。
【0380】
態様27
3分より長いタックフリータイムによって特徴付けられる、態様7から~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0381】
態様28
態様7から27のいずれか1つの組成物を使用して形成される、物体。
【0382】
態様29
複数の層を含み、物体を形成する隣接する層が共有結合している、態様28に記載の物体。
【0383】
態様30
態様7から27に記載のいずれか1つの組成物を、2成分プログレッシブキャビティポンプを使用して押し出すことを含む、付加製造の方法。
【0384】
態様31
第1の成分および第2の成分のそれぞれをミキサーの中へ押し出すことを含む、態様30に記載の方法。
【0385】
態様32
第1の成分および第2の成分のそれぞれを、0.6mm~2.5mmの直径、および30mm~150mmの長さの出口オリフィスを有するミキサーへ押し出すことを含む、態様30または31に記載の方法。
【0386】
態様33
第1の成分および第2の成分のそれぞれをミキサーへ押し出すことを含み、組成物は0.25秒~5秒の範囲内のミキサーでの滞留時間を有する、態様30から32のいずれか1つに記載の方法。
【0387】
態様1A
反応性付加製造の方法であって、第1の化合物を含む第1の成分を第1のポンプへ提供するステップと;第2の化合物を含む第2の成分を第2のポンプへ提供するステップであって、第1の化合物が第2の化合物と反応性である、ステップと;第1のポンプから第1の成分を送り出し、第2のポンプから第2の成分を送り出してミキサーに入れて、共反応性組成物を得るステップと;共反応性組成物を堆積させるステップとを含む、方法。
【0388】
態様2A
第1のポンプおよび第2のポンプが直列に連結されている、態様1Aに記載の方法。
【0389】
態様3A
第1のポンプおよび第2のポンプが並列に連結されている、態様1Aまたは2Aに記載の方法。
【0390】
態様4A
第1のポンプおよび第2のポンプのそれぞれが、容積形ポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、またはプログレッシブキャビティポンプを独立して含む、態様1Aから3Aのいずれか1つに記載の方法。
【0391】
態様5A
第1のポンプおよび第2のポンプのそれぞれが、プログレッシブキャビティポンプを含む、態様1Aから3Aのいずれか1つに記載の方法。
【0392】
態様6A
第1のポンプおよび第2のポンプのそれぞれが、静的ポンプ、動的ポンプ、またはこれらの組合せを含む、態様1Aから3Aのいずれか1つに記載の方法。
【0393】
態様7A
ミキサーが、静的ミキサー、動的ミキサー、またはこれらの組合せを含む、態様1Aから6Aのいずれか1つに記載の方法。
【0394】
態様8A
第1の成分がプレポリマーを含む、第2の成分がプレポリマーを含む、または第1の成分および第2の成分の両方がプレポリマーを含む、態様1Aから7Aのいずれか1つに記載の方法。
【0395】
態様9A
第1の成分が、2種またはそれより多い第1の化合物を含み;第2の成分が、2種またはそれより多い第2の化合物を含む、態様1Aから8Aのいずれか1つに記載の方法。
【0396】
態様10A
2種またはそれより多い第1の化合物が、2~6の第1の官能基の平均官能価を含み;2種またはそれより多い第2の化合物が、2~6の第2の官能基の平均官能価を含み、第1の官能基が第2の官能基と反応性である、態様9Aに記載の方法。
【0397】
態様11A
第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方が、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および100秒-1の剪断速度で測定される、200センチポアズ~20,000,000センチポアズの粘度を独立して含む、態様1Aから10Aのいずれか1つに記載の方法。
【0398】
態様12A
第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方が、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および100秒-1の剪断速度で測定される、5,000センチポアズ~15,000,000センチポアズの粘度を独立して含む、態様1Aから10Aのいずれか1つに記載の方法。
【0399】
態様13A
第1の成分が第1の粘度を含み、第2の成分が第2の粘度を含み、第1の粘度が第2の粘度の±50%以内であり、粘度は、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃のプレート温度および100秒-1の剪断速度で測定される、態様1Aから10Aのいずれか1つに記載の方法。
【0400】
態様14A
第1の化合物が、第1のモノマー、第1のプレポリマー、またはこれらの組合せを含み;第2の化合物が、第2のモノマー、第2のプレポリマー、またはこれらの組合せを含み;第1のモノマーおよび第1のプレポリマーが、第2のモノマーおよび第2のプレポリマーと反応性である、態様1Aから13Aのいずれか1つに記載の方法。
【0401】
態様15A
第1の化合物が少なくとも1種の第1のプレポリマーを含み;第2の化合物が少なくとも1種の第2のプレポリマーを含み;少なくとも1種の第1のプレポリマーが少なくとも1種の第2のプレポリマーと反応性である、態様1Aから14Aのいずれか1つに記載の方法。
【0402】
態様16A
第1の化合物がポリアミンを含み、第2の化合物がポリイソシアネートを含む、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0403】
態様17A
第1の化合物がポリアルケニル化合物を含み、第2の化合物がポリチオールを含む、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0404】
態様18A
第1の化合物がマイケル受容体を含み、第2の化合物がマイケル供与体を含む、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0405】
態様19A
第1の化合物がポリエポキシドを含み、第2の化合物がポリチオールを含む、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0406】
態様20A
第1の化合物がポリエポキシドを含み、第2の化合物がポリアミンを含む、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0407】
態様21A
第1の化合物がポリイソシアネートプレポリマーを含み、ポリイソシアネートプレポリマーは、2官能性ポリイソシアネートプレポリマー、3官能性ポリイソシアネートプレポリマー、またはこれらの組合せを含み;第2の化合物がポリアミンプレポリマーを含み、ポリアミンプレポリマーは、2官能性ポリアミンプレポリマー、3官能性ポリアミンプレポリマー、またはこれらの組合せを含む、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0408】
態様22A
第1の化合物が第1の官能基を含み;第2の化合物が第2の官能基を含み;第1の官能基が第2の官能基と反応性である、態様1Aから15Aのいずれか1つに記載の方法。
【0409】
態様23A
第1の化合物が2~6つの第1の官能基を含み;第2の化合物が2~6つの第2の官能基を含み;第1の官能基が第2の官能基と反応性である、態様22Aに記載の方法。
【0410】
態様24A
第1の官能基がイソシアネートであり、第2の官能基が第1級アミン、第2級アミンまたはこれらの組合せである、態様22Aに記載の方法。
【0411】
態様25A
第1の官能基がチオールを含み、第2の官能基がアルケニルを含む、態様22Aに記載の方法。
【0412】
態様26A
第1の官能基がチオールを含み、第2の官能基がエポキシを含む、態様22Aに記載の方法。
【0413】
態様27A
第1の官能基がマイケル供与体を含み、第2の官能基がマイケル受容体を含む、態様22Aに記載の方法。
【0414】
態様28A
第1の官能基が、アクリレート基、マレイン基、フマル基、アセトアセトネート基、または前述のいずれかの組合せを含み、第2の官能基が、第1級アミン、第2級アミン、マロネート、または前述のいずれかの組合せを含む、態様22Aに記載の方法。
【0415】
態様29A
第1の官能基が、エポキシを含み;第2の官能基が、第1級アミン、第2級アミンまたはこれらの組合せを含む、態様22Aに記載の方法。
【0416】
態様30A
共反応性組成物が、200センチポアズ~20,000,000センチポアズの動粘度を含み、動粘度は、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するAnton Paar MCR302レオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、態様1Aから29Aのいずれか1つに記載の方法。
【0417】
態様31A
共反応性組成物が、5,000センチポアズ~15,000,000センチポアズの動粘度を含み、動粘度は、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するAnton Paar MCR302レオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、態様1Aから29Aのいずれか1つに記載の方法。
【0418】
態様32A
共反応性組成物が、25℃で5分未満のゲル化時間によって特徴付けられる、態様1Aから31Aのいずれか1つに記載の方法。
【0419】
態様33A
共反応性組成物の滞留時間が、共反応性組成物のゲル化時間よりも短い、態様1Aから32Aのいずれか1つに記載の方法。
【0420】
態様34A
第1の成分、第2の成分、または第1の成分および第2の成分の両方が独立してフィラーを含み;共反応性組成物がフィラーを含む、態様1Aから33Aのいずれか1つに記載の方法。
【0421】
態様35A
フィラーが軽量のフィラーを含む、態様34Aに記載の方法。
【0422】
態様36A
フィラーが0.7未満の比重を有する、態様34Aまたは35Aに記載の方法。
【0423】
態様37A
フィラーが、電気伝導性フィラー、磁気フィラー、熱伝導性フィラー、または前述のいずれかの組合せを含む、態様34Aから37Aのいずれか1つに記載の方法。
【0424】
態様38A
フィラーが、炭素繊維、ガラス繊維、グラフェン、金属、または前述のいずれかの組合せを含む、態様34Aに記載の方法。
【0425】
態様39A
第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方が、0.1wt%~95wt%のフィラーを独立して含み、wt%は第1の成分または第2の成分の全重量に基づく、態様34Aから38Aのいずれか1つに記載の方法。
【0426】
態様40A
第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方が、0.1vol%~95vol%のフィラーを独立して含み、vol%は第1の成分または第2の成分の全重量に基づく、態様34Aから38Aのいずれか1つに記載の方法。
【0427】
態様41A
共反応性組成物が0.1wt%~95wt%のフィラーを含み、wt%は共反応性組成物の全重量に基づく、態様1Aから40Aのいずれか1つに記載の方法。
【0428】
態様42A
共反応性組成物が0.1vol%~95vol%のフィラーを含み、vol%は共反応性組成物の全重量に基づく、態様1Aから40Aのいずれか1つに記載の方法。
【0429】
態様43A
堆積させるステップが押出しを含む、態様1Aから42Aのいずれか1つに記載の方法。
【0430】
態様44A
堆積させるステップが、第1の層を堆積させること、および第1の層に近接する第2の層を堆積させることを含み、第2の層は第1の層と化学的に反応する、態様1Aから43Aのいずれか1つに記載の方法。
【0431】
態様45
堆積させるステップが、第1の層および第2の層を同時に堆積させることを含む、態様1Aから44Aのいずれか1つに記載の方法。
【0432】
態様46A
堆積させるステップが、第1の層および第2の層を順次堆積させることを含む、態様1Aから45Aのいずれか1つに記載の方法。
【0433】
態様47A
堆積させるステップが、第1の層を堆積させること、および第1の層に近接する第2の層を堆積させることを含み;かつ、第2の層を、第1の化合物および第2の化合物が完全に反応する前に堆積させる、態様1Aから44Aのいずれか1つに記載の方法。
【0434】
態様48A
堆積させるステップが、共反応性組成物を、0.2mm~50mmの寸法を有するオリフィスを通して押し出すことを含む、態様1Aから47Aのいずれか1つに記載の方法。
【0435】
態様49A
堆積させるステップが、2つまたはそれより多い連続的な層を堆積させることを含む、態様1Aから48Aのいずれか1つに記載の方法。
【0436】
態様50A
混合している途中、堆積させている途中、堆積させた後に、または前述のいずれかの組合せで、共反応性組成物に化学線を適用するステップを含む、態様1Aから49Aのいずれか1つに記載の方法。
【0437】
態様51A
第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方が、光開始剤を含む、態様1Aから50Aのいずれか1つに記載の方法。
【0438】
態様52A
第1の成分、第2の成分、または第1および第2の成分の両方が、触媒を含み、触媒は第1の化合物と第2の化合物との間の反応を触媒するのに有効である、態様1Aから51Aのいずれか1つに記載の方法。
【0439】
態様53A
堆積させるステップが共押出しを含む、態様1Aから52Aのいずれか1つに記載の方法。
【0440】
態様54A
第3の成分を第3のポンプへ提供するステップと;第3の成分をミキサーに送り出すステップとを含む、態様1Aから53Aのいずれか1つに記載の方法。
【0441】
態様55A
第3の成分が第3の化合物を含み、第3の化合物は第1の化合物と反応性である、第3の化合物は第2の化合物と反応性である、または第3の化合物は第1の成分および第2の成分の両方と反応性である、態様54Aに記載の方法。
【0442】
態様56A
第3の化合物が第1の化合物および第2の化合物と反応性ではない、態様54Aまたは55Aに記載の方法。
【0443】
態様57
1つまたは複数の追加の成分を1つまたは複数のそれぞれのポンプへ提供するステップと;1つまたは複数の追加の成分を送り出してミキサーに入れて、共反応性組成物を得るステップとを含む、態様1Aから56Aのいずれか1つに記載の方法。
【0444】
態様58A
堆積させるステップが押出物を形成することを含む、態様1Aから57Aのいずれか1つに記載の方法。
【0445】
態様59A
押出物が、第1の部分および第2の部分を有する断面プロファイルによって特徴付けられる、態様58Aに記載の方法。
【0446】
態様60A
第1の部分が、1より大きい、第1の化合物の第2の化合物に対するモル比を含み;第2の部分が、1未満である、第1の化合物の第2の化合物に対するモル比を含む、態様59Aに記載の方法。
【0447】
態様61A
第1の部分および第2の部分が、押出物の断面プロファイルの反対側にある、態様59Aまたは60Aに記載の方法。
【0448】
態様62A
第1の部分が、1より大きい、第1の官能基の第2の官能基に対する当量比を含み;第2の部分が、1未満である、第1の官能基の第2の官能基に対する当量比を含み、第1の官能基は第2の官能基と反応性である、態様59Aから61Aのいずれか1つに記載の方法。
【0449】
態様63A
第1の成分の第2の成分に対する当量比が、押出物の断面プロファイルの全体にわたって均一ではない、態様59Aから61Aのいずれか1つに記載の方法。
【0450】
態様64A
第1の成分の第2の成分に対する当量比が、押出物の断面プロファイルの全体にわたって均一である、態様59Aから61Aのいずれか1つに記載の方法。
【0451】
態様65A
態様1Aから64Aのいずれか1つの方法によって形成される、押出物。
【0452】
態様66A
態様1Aから64Aのいずれか1つの方法を使用して形成される、物体。
【0453】
態様67A
複数の層を含み、物体を形成する隣接する層が共有結合している、態様66Aに記載の物体。
【0454】
態様68A
0.5Ω/cm2未満または0.15Ω/cm2未満のシート抵抗によって特徴付けられる、態様66Aまたは67Aに記載の物体。
【0455】
態様69A
1MHz~18GHzの間の周波数範囲内で少なくとも10dBの減衰をもたらす、態様66A~68Aのいずれか1つに記載の物体。
【0456】
態様70A
0.9未満の比重によって特徴付けられる、態様66Aから69Aのいずれか1つに記載の物体。
【0457】
本明細書で記述され、示されおよび/または主張される本開示の実施形態の様々な特徴は、相互に排他的でない場合は、互いに組み合わせて使用することができると理解すべきである。さらに、以下の実施例は、本開示によって提供される方法および組成物の一般的な原則を実証するために、提示される。列挙されるすべての量は、特に明記しない限り、重量部で記述されている。本発明は、提示された実施例に限定されると見なされるべきではない。
【実施例】
【0458】
(実施例1)
ポリ尿素レオロジー特性決定
Anton Paar 302レオメーターを使用して、三次元印刷配合物のレオロジーを決定した。0.9mmのオリフィス直径、16ターンの静的混合長および2.54cmの分注長を有するインライン静的ミキサーを備えたViscoTec ecoDUO 450精密注入システムを使用して、2成分(ポリアミン成分およびポリイソシアネート成分)試料を分注し、次いですぐにレオメーター上に堆積させて試料の隙間を充填した(1mL~2mL)。使い捨て試料プレート(Anton Paar、カタログ番号4847)をレオメーター上に置き、測定における下部プレートとして使用した。25mmの直径を有する使い捨て平行プレートスピンドル(PP25)を測定に使用した。スピンドルを投入直後の試料に向け、隙間を1mmに設定した。次いで、振動測定(振動数1Hz、振幅0.3%)を適用した。レオロジーパラメーター(G’、G”、tanδ、|η*|)を経時的に記録した。レオメータープレートの温度を25℃に設定して、周囲条件下で試験を行った。結果を表3に示す。
【0459】
ポリアミン成分は、66wt%のJeffamine(登録商標)T5000(約5,000MWのポリオキシアルキレン第1級アミン(グリセロールトリス[ポリ(プロピレングリコール)、アミン末端]エーテル)、Huntsman Corp.から入手可能)、19wt%のClearlink(登録商標)1000(脂肪族第2級アミン、Dorf-Ketal Chemicals,LLC.から入手可能)、および10wt%のPetrolite(登録商標)5000(プロピレン/エチレンコポリマー、Baker Hughesから入手可能)を含有していたが、wt%はポリアミン成分の全重量に基づく。ポリアミン成分は、5wt%または8.5wt%のCab-o-Sil(登録商標)TS-720(Cabot Corp.から入手可能なヒュームドシリカ)フィラーをさらに含有していた。
【0460】
イソシアネート成分は、77wt%のJeffamine(登録商標)D-2000(ポリオキシプロピレンジアミン)および23wt%のイソホロンジイソシアネートの反応生成物;または73wt%のPolymeg(登録商標)2000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)および27wt%のイソホロンジイソシアネートの反応生成物のいずれかを含有していたが、wt%は組成物の全重量に基づく。
【表3】
【0461】
配合物A1、A2、BおよびDは、成功裏に印刷することができた。
【0462】
配合物C1およびC2は、硬化が速すぎ、分注ノズルを詰まらせた。C1およびC2のG’およびG”値における大きな変動性は、急速硬化のアーチファクトである。組成物C1およびC2は同じであるが、C1およびC2組成物は非常に急速に硬化するため、t=0を確立するのが困難であり、それにより初期G’およびG”値が明らかに大きく変動する。フィラー含量を5wt%から8.5wt%に増加させると硬化速度が低下し、したがってJeffamine(登録商標)D-2000/IPDI組成物は成功裏に印刷することができた。
(実施例2)
ポリ尿素タックフリータイム
【0463】
ハンドポンプを使用して、実施例1のポリ尿素配合物を押し出した。Jeffamine(登録商標)D2000配合物(C1、C2、およびD)は、Polymeg(登録商標)2000配合物(A1、A2、およびB)よりも送り出すことが著しく困難であり、すぐにノズル内でゲル化した。タックフリータイムは、1ミル(0.0254mm)厚でドローダウン法を使用して決定した。ドローダウン法において、正方形フレーム8パスアプリケーター#34(Precision Gage&Tool Co.)を使用して、8.5インチ×11インチ(21.6cm×27.94cm)の長さのポリエチレンシートに1ミル(0.0254mm)厚の均一薄膜を適用した。約10mLのポリ尿素配合物をアプリケーターの境界内で押し出したが、これはアプリケーター上での硬化を防止するためにChem Trend MR-515離型剤で被覆される。薄膜がドローダウンされると、薄膜に対して綿ボールが軽く押し付けられて離される(押し当て)。2回以上同じ領域に押し当てることなく薄膜に対して綿ボールが繰り返し押し当てられた際に接着した綿の量を視覚的に監視する。接着する綿の量が減少すると、押し当てる頻度が増加し、綿が薄膜にほとんど接着しなくなると押し当てる間隔が5秒以下となる。薄膜がドローダウンされたときから綿が薄膜に接着しなくなるまで記録される時間が、タックフリータイムである。結果を表4に示す。
【表4】
(実施例3)
チオール-エポキシ組成物
【0464】
粘凋性の市販の2成分チオール-エポキシシーラントを希釈し、粘度を低下させて反応性押出しを促進した。
【0465】
98.3gの、PPG Aerospaceから市販されているポリエポキシドシーラント成分であるPR-2001クラスB(A部)を、1.7gのアセトン(Sigma Aldrich)で希釈することにより、ポリエポキシド成分を調製した。次いで、混合物を、Flacktek Speedmixer(商標)で2,000rpmおよび5psi(34.47kPa)の真空圧で2分間分散させた。
【0466】
85.9gの、PPG Aerospaceから市販されているポリチオールシーラント成分であるPR-2001クラスB(B部)を、14.1gのアセトン(Sigma Aldrich)で希釈することにより、ポリチオール成分を調製した。次いで、混合物を、Flacktek Speedmixer(商標)で2000rpmおよび5psi(34.47kPa)の真空圧で2分間分散させる。
【0467】
Flacktek SpeedDisc(商標)を使用して配合物をOptimum(登録商標)カートリッジ(Nordson EFD)に移したが、これは有限差分法を用いたViscoTecツーキャビティ押出機での反応性押出しによる付加製造に好適である。
(実施例4)
レオロジー測定手順
【0468】
14mmのフランジ高さを有するP-PTD200測定セルを備えたMCR 302 Anton Paarレオメーターを使用して、組成物のレオロジー特性を測定した。全ての測定は、25℃の温度で行った。機器制御およびデータ分析には、RheoCompass(商標)ソフトウェアパッケージ(Anton Paar)を使用した。
【0469】
単一成分(相補的反応性成分と組み合わせる前)においては、レオメーターは、PP25、直径25mmの平行プレートスピンドル(Anton Paar)を備えていた。RheoCompass(商標)ソフトウェアを使用して、レオロジープロファイルを得るために、機器を剪断モードに設定し、対数スケールで剪断速度が0.1秒-1から100秒-1に増加する間に21データ点を収集した。時間(秒)、粘度(cP)、剪断速度(秒-1)、剪断応力(Pa)およびトルク(mNm)を記録した。スピンドルの直径をカバーするように試料を押し出した。
【0470】
共反応性組成物(第1および第2の成分を組み合わせた後)の測定においては、レオメーターは、PP25、直径25mmの平行プレートスピンドル(Anton Paar)および使い捨てアルミニウムパン(Anton Paar)を備えていた。
【0471】
RheoCompass(商標)ソフトウェアを使用して、レオロジープロファイルを得るために、レオメーターを1秒-1の角振動数の振動モードに設定し、剪断ひずみを3%で一定に保持し、温度を25℃にした。各プロファイルにおいて、0.2分間隔で100データ点を収集した。貯蔵弾性率(Pa)、損失弾性率(Pa)、減衰係数、複素粘度(Pa×S)、偏向角(mrad)、トルク(μNm)、時間(分)、および位相角(度)を記録した。スピンドルの直径をカバーするように試料を押し出した。また、この方法を使用して、共反応性組成物の動粘度も測定した。
(実施例5)
チオール-エン共反応性組成物
【0472】
アクリレート成分およびチオール成分を組み合わせることにより、チオール-エン化学を使用した付加製造を行った。アクリレート成分の構成要素を、表5に示す。
【表5】
【0473】
表5内のアクリレート成分を調製するために、SR399LV樹脂をライニングなしの1/2パイントアルミニウム塗料缶内に量り取り、添加剤を紙コッブ内に量り取った。ハイリフトCowlesブレードを低RPMで使用して、添加剤を樹脂に徐々に導入した。添加剤を組み合わせた後、CowlesブレードのRPMを僅かに増加させ、混合物を30分間撹拌した。30分後、電子天秤上でシリンジを使用して触媒溶液をポットに添加した。混合物を均質となるまで手作業で撹拌し、次いでCowlesブレードでさらに1分間撹拌した。この手順を4つの異なる添加剤のそれぞれに対して行い、アクリレート成分A1~A4の4つの異なる配合物を形成した。
【0474】
【0475】
表6からの量を使用して、アクリレート成分について記載されたのと同じ手順を用い、チオール成分を生成した。この手順を4つの異なる添加剤のそれぞれに対して行い、チオール成分B1~B5の4つの異なる配合物を形成した。
【0476】
全ての配合物を、2成分ハンドポンプにおける使用のために1/2パイントアルミニウム缶からNordson EFDからの50mLの2成分カートリッジに移した。合計4つのカートリッジが充填されるまで、配合物をA-1とB-1、A-2とB-2等に対にした。1つずつ、Nordson EFDからのバヨネット静的ミキサーをカートリッジの端部に取り付け、成分を組み合わせ、ハンドポンプを使用して共反応性チオール-エン組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)のシート上に1:1の体積比で押し出した。次いで、押し出した材料を50ミルのバーでドローダウンし、完全に硬化させた。全ての配合物が成功裏に押し出されドローダウンされたが、これは3D印刷用途において成功する可能性が高いことを示唆していた。
【0477】
チオール-エン組成物の配合物ゲル化時間を、表7に示す。
【表7】
(実施例6)
チオール-エン共反応性組成物
【0478】
マイケル供与体成分(PPG Industries,Inc.により合成された多官能性アセチルアセトネート)を、まずFlacktekからのMax 300 L DACカップ内に量り入れた。溶媒中40wt%の1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを含有する触媒溶液をマイケル供与体溶液に添加し、最終触媒濃度を4wt%にした。触媒およびマイケル供与体樹脂を、Flacktek Speedmixer(商標)で2000rpmおよび5psiの真空圧で2分間混合する。
【0479】
5wt%のCab-O-Sil(登録商標)TS720をMax 300 L DACカップ内の独自の多官能性アクリレート(PPG Industries,Inc.により合成された)に添加することにより、マイケル受容体成分を調製した。次いで、Flacktek Speedmixer(商標)を2000rpmおよび5psiの真空圧で2分間使用することにより、混合物を分散させた。
【0480】
Flacktek SpeedDiscを介して成分をDACカップからOptimumカートリッジに移したが、これはViscoTec 2k押出機を使用した反応性押出しによる印刷に好適であった。例示を目的として本発明の特定の実施形態を上に記載したが、添付の特許請求の範囲において定義されるように、本発明から逸脱することなく、本発明の詳細において多くの変形形態が考案され得ることが、当業者には明らかである。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
反応性付加製造の方法であって、
第1の化合物を含む第1の成分を第1のポンプへ提供するステップと、
第2の化合物を含む第2の成分を第2のポンプへ提供するステップであって、前記第1の化合物が前記第2の化合物と反応性であるステップと、
共反応性組成物を提供するために、ミキサーを通して前記第1のポンプから前記第1の成分を送り出し、そして前記第2のポンプから前記第2の成分を送り出すステップと、
前記共反応性組成物を堆積させるステップと
を含む、方法。
(項2)
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプのそれぞれが、プログレッシブキャビティポンプを含む、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記第1の成分が、2種またはそれより多い第1の化合物を含み、
前記第2の成分が、2種またはそれより多い第2の化合物を含む、
上記項1に記載の方法。
(項4)
前記2種またはそれより多い第1の化合物が、2~6の第1の官能基の平均官能価を含み、
前記2種またはそれより多い第2の化合物が、2~6の第2の官能基の平均官能価を含み、
前記第1の官能基が前記第2の官能基と反応性である、
上記項3に記載の方法。
(項5)
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1および第2の成分の両方が独立して、1mmからの隙間を有するAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃および100秒
-1
の剪断速度で測定される、200センチポアズ~20,000,000センチポアズの粘度を含む、上記項1に記載の方法。
(項6)
前記第1の成分が第1の粘度を含み、
前記第2の成分が第2の粘度を含み、
前記第1の粘度が前記第2の粘度の±50%以内であり、
粘度は、隙間を1mmとしたAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、25℃のプレート温度および100秒
-1
の剪断速度で測定される、
上記項1に記載の方法。
(項7)
前記第1の化合物が、第1のモノマー、第1のプレポリマー、またはこれらの組合せを含み、
前記第2の化合物が、第2のモノマー、第2のプレポリマー、またはこれらの組合せを含み、
前記第1のモノマーおよび前記第1のプレポリマーが、前記第2のモノマーおよび前記第2のプレポリマーと反応性である、
上記項1に記載の方法。
(項8)
前記第1の化合物が少なくとも1種の第1のプレポリマーを含み、
前記第2の化合物が少なくとも1種の第2のプレポリマーを含み、
前記少なくとも1種の第1のプレポリマーが前記少なくとも1種の第2のプレポリマーと反応性である、
上記項1に記載の方法。
(項9)
前記第1の化合物がポリアミンを含み、前記第2の化合物がポリイソシアネートを含む、上記項1に記載の方法。
(項10)
前記第1の化合物がポリアルケニル化合物を含み、前記第2の化合物がポリチオールを含む、上記項1に記載の方法。
(項11)
前記第1の化合物がマイケル受容体を含み、前記第2の化合物がマイケル供与体を含む、上記項1に記載の方法。
(項12)
前記第1の化合物がポリエポキシドを含み、前記第2の化合物がポリチオールを含む、上記項1に記載の方法。
(項13)
前記第1の化合物がポリエポキシドを含み、前記第2の化合物がポリアミンを含む、上記項1に記載の方法。
(項14)
前記共反応性組成物が200センチポアズ~20,000,000センチポアズの動粘度を含み、前記動粘度が、25mm直径の平行プレートスピンドルを有するAnton Paar MCR 302レオメーターを使用して、1Hzの振動数および0.3%の振幅、および25℃のレオメータープレート温度で測定される、上記項1に記載の方法。
(項15)
前記共反応性組成物が、25℃で5分未満のゲル化時間によって特徴付けられる、上記項1に記載の方法。
(項16)
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1の成分および第2の成分の両方が独立してフィラーを含み;前記共反応性組成物がフィラーを含む、上記項1に記載の方法。
(項17)
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1および第2の成分の両方が独立して、0.1wt%~95wt%のフィラーを含み、wt%は前記第1の成分または前記第2の成分の全重量に基づく、上記項1に記載の方法。
(項18)
前記第1の成分、前記第2の成分、または前記第1および第2の成分の両方が独立して、0.1vol%~95vol%のフィラーを含み、vol%は前記第1の成分または前記第2の成分の全重量に基づく、上記項1に記載の方法。
(項19)
前記共反応性組成物が0.1wt%~95wt%のフィラーを含み、wt%は前記共反応性組成物の全重量に基づく、上記項1に記載の方法。
(項20)
前記共反応性組成物が0.1vol%~95vol%のフィラーを含み、vol%は前記共反応性組成物の全重量に基づく、上記項1に記載の方法。
(項21)
堆積させるステップが押し出しを含む、上記項1に記載の方法。
(項22)
上記項1に記載の方法を使用して形成される、物体。
(項23)
1MHz~18GHzの間の周波数範囲内で少なくとも10dBの減衰をもたらす、上記項22に記載の物体。
(項24)
0.9未満の比重によって特徴付けられる、上記項22に記載の物体。