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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】押出ダイ用二段屈曲リップ
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/31 20190101AFI20221005BHJP
   B29C 48/07 20190101ALI20221005BHJP
【FI】
B29C48/31
B29C48/07
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020556225
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019025559
(87)【国際公開番号】W WO2019199539
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】15/952,624
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ユリアーノ サルヴァトーレ ジー
(72)【発明者】
【氏名】ベルゲマン クリス
(72)【発明者】
【氏名】リッチ ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】トラスコット マイケル
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03059067(EP,A1)
【文献】特開2016-153230(JP,A)
【文献】特開2002-178385(JP,A)
【文献】特許第4769795(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/31
B29C 48/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイに結合するようになった調節システムであって、前記ダイは、上側本体部材、前記上側本体部材に隣接して位置決めされていて該上側本体部材との間に隙間チャネル及び隙間開口部を構成する中央本体部材と、前記上側本体部材に隣接して位置決めされていて該上側本体部材との間に主チャネル及び主開口部を構成する下側本体部材とを有し、前記隙間開口部は、前記隙間チャネルと前記主チャネルとの間に位置決めされ、前記調節システムは、
複数のチャネルを備えた調節本体を含み、前記調節本体は、前記上側本体部材に結合するよう構成され、
複数のアジャスタを含み、前記複数のアジャスタの各々は、前記複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされ、前記複数のアジャスタの各々は、前記上側本体部材の隙間フランジに結合するよう構成され、
前記複数のアジャスタは、前記隙間フランジに結合され、前記複数のアジャスタの運動により、前記隙間開口部のサイズが変化するよう構成され、
前記複数のアジャスタのそれぞれは、第1の端部にノブ部材を備え、第2の端部に隙間コネクタを備え、この隙間コネクタは、前記隙間フランジの切欠きに係合するように構成され、前記ノブ部材は、前記隙間コネクタに対して回転するように構成されている、調節システム。
【請求項2】
前記複数のチャネルは、第1の複数のチャネルであり、前記複数のアジャスタは、第1の複数のアジャスタであり、前記調節本体は、第2の複数のチャネルをさらに備え、前記調節システムはさらに、
前記第2の複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされた第2の複数のアジャスタを含み、前記第2の複数のアジャスタの各々は、前記上側本体部材のリップフランジに結合するよう構成され、
前記第2の複数のアジャスタは、前記リップフランジに結合され、前記第2の複数のアジャスタの運動により、前記主開口部のサイズが変化する、請求項1記載の調節システム。
【請求項3】
前記第2の複数のアジャスタは、プッシュオンリー型アジャスタから成る、請求項2記載の調節システム。
【請求項4】
前記複数のアジャスタは、プッシュプル型アジャスタから成る、請求項1記載の調節システム。
【請求項5】
前記複数のアジャスタは、前記調節システムの長さに沿って互いに直線状に整列している、請求項1記載の調節システム。
【請求項6】
第1の複数のねじ山付き部材をさらに含み、前記第1の複数のねじ山付き部材の各々は、前記複数のアジャスタの各々にそれぞれ結合され、前記第1の複数のねじ山付き部材の各々は、第1のピッチを有し、
第2の複数のねじ山付き部材をさらに含み、前記第2の複数のねじ山付き部材の各々は、前記複数のアジャスタの各々にそれぞれ結合され、前記第2の複数のねじ山付き部材の各々は、第2のピッチを有し、
前記第1のピッチは、前記第2のピッチとは異なる、請求項1記載の調節システム。
【請求項7】
前記調節本体は、単一の本体部材から成る、請求項1記載の調節システム。
【請求項8】
ダイであって
上側表面、隙間表面、前記上側表面と前記隙間表面との間に位置する隙間縁部、隙間フランジ、前記隙間縁部から所定方向に間隔を置いた上側リップ縁部、及び前記隙間フランジから所定方向に間隔を置いたリップフランジを備えた上側本体部材であって、前記上側表面は、前記隙間縁部から前記上側リップ縁部まで延びている前記上側本体部材と、
調節システムと、を有し、前記調節システムは、
第1の複数のチャネル及び第2の複数のチャネルを備えた調節本体と、
第1の複数のアジャスタであって、前記第1の複数のアジャスタの各々は、前記第1の複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされ、前記第1の複数のアジャスタの各々は、前記上側本体部材の前記隙間フランジに結合するよう構成され、前記第1の複数のアジャスタが前記隙間フランジに結合されると、前記第1の複数のアジャスタの運動により、前記隙間縁部の位置が変化するように構成された前記第1の複数のアジャスタと、
第2の複数のアジャスタであって、前記第2の複数のアジャスタの各々は、前記第2の複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされ、前記第2の複数のアジャスタの各々は、前記上側本体部材の前記リップフランジに結合するように構成され、前記第2の複数のアジャスタが前記リップフランジに結合されると、前記第2の複数のアジャスタの運動により、前記上側リップ縁部の位置が変化するように構成された前記第2の複数のアジャスタと、を備えている、ダイ。
【請求項9】
前記上側本体部材と前記調節システムは、一体的に形成されている、請求項8記載のダイ。
【請求項10】
ダイであって、
上側表面、隙間表面、前記上側表面と前記隙間表面との間に位置決めされた隙間縁部、及び隙間フランジを備えた上側本体部材と、
調節システムと、を有し、前記調節システムは、
複数のチャネルを備えた調節本体と、
複数のアジャスタであって、前記複数のアジャスタの各々は、前記複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされ、前記複数のアジャスタの各々は、前記上側本体部材の前記隙間フランジに結合するように構成され、前記複数のアジャスタが前記隙間フランジに結合されると、前記複数のアジャスタの運動により、前記隙間縁部の位置が変化するように構成された前記複数のアジャスタと、
前記上側本体部材は、調節部分及び屈曲フランジによって前記調節部分に連結された取り付け部分を有し、前記調節部分は、前記隙間フランジを構成し、前記複数のアジャスタは、前記隙間フランジに結合され、前記複数のアジャスタの運動により、前記調節部分は、前記屈曲フランジ回りに前記取り付け部分に対して回転する、ダイ。
【請求項11】
上側中央表面、下側中央表面、及び前記上側中央表面と前記下側中央表面との間に位置する中央縁部を備えた中央本体部材をさらに有し、前記中央本体部材は、前記上側本体部材に隣接して位置決めされていて前記隙間表面と前記上側中央表面との間に隙間チャネルを構成するととともに前記隙間縁部と前記中央縁部との間に隙間開口部を構成しており、
前記複数のアジャスタが前記隙間フランジに結合されると、前記複数のアジャスタの運動により、前記隙間開口部のサイズが変化する、請求項10記載のダイ。
【請求項12】
前記上側本体部材の前記上側表面は、上側縁部を備え、前記ダイはさらに、
下側縁部を備えた下側表面を含む下側本体部材を有し、前記下側本体部材は、前記上側本体部材に隣接して位置決めされていて前記下側本体部材の前記下側表面と前記上側本体部材の前記上側表面との間に主チャネルを構成するとともに前記下側本体部材の前記下側縁部と前記上側本体部材の前記上側縁部との間に主開口部を構成し、
前記隙間開口部は、前記隙間チャネルと前記主チャネルとの間に配置されている、請求項11記載のダイ。
【請求項13】
前記複数のチャネルは、第1の複数のチャネルであり、前記複数のアジャスタは、第1の複数のアジャスタであり、前記調節本体は、第2の複数のチャネルをさらに備え、
前記上側本体部材は、
リップフランジを有し、前記リップフランジ及び前記隙間フランジは、前記調節部分を構成し、
前記調節システムはさらに、
前記第2の複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされた第2の複数のアジャスタを含み、前記第2の複数のアジャスタの各々は、前記上側本体部材の前記リップフランジに結合されるよう構成され、前記第2の複数のアジャスタが前記リップフランジに結合されると、前記第2の複数のアジャスタの運動により、前記主開口部のサイズが変化する、請求項12記載のダイ。
【請求項14】
前記第1の複数のアジャスタは、プッシュプル型アジャスタから成り、前記第2の複数のアジャスタは、プッシュオンリー型アジャスタから成る、請求項13記載のダイ。
【請求項15】
第1の複数のねじ山付き調整部材をさらに有し、前記第1の複数のねじ山付き調整部材の各々は、前記第1の複数のアジャスタの各々にそれぞれ結合され、前記第1の複数のねじ山付き調整部材の各々は、第1のピッチを有し、
第2の複数のねじ山付き調整部材をさらに有し、前記第2の複数のねじ山付き調整部材の各々は、前記第1の複数のアジャスタの各々にそれぞれ結合され、前記第2の複数のねじ山付き調整部材の各々は、第2のピッチを有し、
前記第1のピッチは、前記第2のピッチと異なっている、請求項13記載のダイ。
【請求項16】
ダイであって、
上側表面、隙間表面、前記上側表面と前記隙間表面との間に位置する隙間縁部、屈曲ヒンジ、及び、この屈曲ヒンジの回りを運動するように構成された隙間フランジを備えた上側本体部材を有し、
上側中央表面、下側中央表面、及び前記上側中央表面と前記下側中央表面との間に位置する中央縁部を備えた中央本体部材を有し、前記中央本体部材は、前記上側本体部材に隣接して位置決めされていて前記隙間表面と前記上側中央表面との間に隙間チャネルを構成するとともに前記隙間縁部と前記中央縁部との間に隙間開口部を構成し、
調節システムを有し、前記調節システムは、
複数のアジャスタチャネルを備えた調節本体と、
複数の隙間アジャスタと、を含み、前記複数の隙間アジャスタの各々は、前記複数のアジャスタチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされ、前記複数の隙間アジャスタの各々は、前記上側本体部材の前記隙間フランジに結合するよう構成され、前記複数の隙間アジャスタが前記隙間フランジに結合されると、前記複数の隙間アジャスタの運動により、前記隙間フランジを前記屈曲ヒンジ回りに運動させて、前記屈曲ヒンジが屈曲し、前記隙間開口部のサイズが変化する、ダイ。
【請求項17】
前記上側本体部材の前記上側表面は、上側縁部を備え、前記ダイはさらに、
下側縁部を備えた下側表面を含む下側本体部材を有し、前記下側本体部材は、前記上側本体部材に隣接して位置決めされていて前記下側本体部材の前記下側表面と前記上側本体部材の前記上側表面との間に主チャネルを構成するとともに前記下側本体部材の前記下側縁部と前記上側本体部材の前記上側縁部との間に主開口部を構成し、
前記隙間開口部は、前記隙間チャネルと前記主チャネルとの間に配置されている、請求項16記載のダイ。
【請求項18】
前記調節本体は、複数のリップチャネルをさらに備え、
前記上側本体部材は、
リップフランジを有し、
前記調節システムはさらに、
前記複数のリップチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされた複数のリップアジャスタを含み、前記複数のリップアジャスタの各々は、前記上側本体部材の前記リップフランジに結合するよう構成され、前記複数のリップアジャスタが前記リップフランジに結合されると、前記複数のリップアジャスタの運動により、前記主開口部のサイズが変化する、請求項17記載のダイ。
【請求項19】
前記中央本体部材は、第1の中央本体部材であり、前記調節システムは、第1の調節システムであり、前記下側本体部材は、第2の隙間表面、前記第2の隙間表面と前記下側表面との間に位置した第2の隙間縁部、及び第2の隙間フランジを有し、前記ダイはさらに、
第2の上側中央表面、第2の下側中央表面、及び前記第2の上側中央表面と前記第2の下側中央表面との間に位置する第2の中央縁部を備えた第2の中央本体部材を有し、前記第2の中央本体部材は、前記下側本体部材に隣接して位置決めされていて前記第2の隙間表面と前記第2の下側中央表面との間に第2の隙間チャネルを構成するとともに前記第2の隙間縁部と前記第2の中央縁部との間に第2の隙間開口部を構成し、
第2の調節システムを有し、前記第2の調節システムは、
第2の複数の隙間チャネルを備えた第2の調節本体と、
第2の複数の隙間アジャスタと、を含み、前記第2の複数の隙間アジャスタの各々は、前記第2の複数の隙間チャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされ、前記第2の複数の隙間アジャスタの各々は、前記下側本体部材の前記第2の隙間フランジに結合するよう構成され、前記第2の複数の隙間アジャスタが前記第2の隙間フランジに結合されると、前記第2の複数の隙間アジャスタの運動により、前記第2の隙間開口部のサイズが変化する、請求項18記載のダイ。
【請求項20】
押出ダイを通って流体を定量吐出する方法であって、前記押出ダイは、隙間チャネル、隙間開口部、主チャネル、主開口部、及び下側チャネルを備え、前記隙間開口部は、前記主チャネルと前記隙間チャネルとの間に位置決めされ、前記方法は、
前記隙間開口部を通って前記隙間チャネル経由で第1の流体を前記主チャネル中に提供するステップと、
第2の流体を前記下側チャネル経由で前記主チャネル中に提供して前記第1の流体が前記主チャネル内の前記第2の流体と合流するようにするステップと、
複数のアジャスタの運動により、前記押出ダイの隙間フランジを前記押出ダイの屈曲ヒンジ回りに運動させて、前記屈曲ヒンジを屈曲させることにより、前記隙間開口部のサイズを調節することによって前記隙間開口部を通って流れる前記第1の流体の厚さを調節するステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記押出ダイは、隙間フランジ及び前記隙間フランジに結合された前記複数のアジャスタを含む調節システムを有し、
前記隙間開口部を通って流れる前記第1の流体の厚さを調節する前記ステップは、
前記複数のアジャスタのうちの前記少なくとも1つの運動により、前記隙間開口部の前記サイズが変化するように前記隙間フランジに結合された前記複数のアジャスタのうちの少なくとも1つの調節するステップを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記主開口部を通って前記合流した第1の流体と第2の流体を定量吐出するステップと、
前記主開口部のサイズを調節することによって前記主開口部を通って定量吐出された前記合流した第1の流体と第2の流体の厚さを調節するステップとをさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記押出ダイは、リップフランジを有し、前記複数のアジャスタは、第1の複数のアジャスタであり、前記調節システムは、前記リップフランジに結合された第2の複数のアジャスタをさらに含み、
前記主開口部を通る前記合流した第1の流体と第2の流体の厚さを調節する前記ステップは、
前記第2の複数のアジャスタのうちの前記少なくとも1つの運動により、前記主開口部の前記サイズが変化するよう前記リップフランジに結合された前記第2の複数のアジャスタのうちの少なくとも1つを調節するステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記上側表面は、前記隙間フランジを超える方向に延びている、請求項8記載のダイ。
【請求項25】
前記リップフランジは、前記隙間フランジから延びるリップ屈曲ヒンジによって前記隙間フランジに結合され、前記第2の複数のアジャスタが前記リップフランジに結合されると、前記第2の複数のアジャスタの運動により、前記リップフランジが前記リップ屈曲ヒンジ回りを運動し、前記リップ屈曲ヒンジを屈曲させる、請求項8記載のダイ。
【請求項26】
前記上側本体部材は、隙間屈曲ヒンジを備え、前記隙間フランジは、前記隙間屈曲ヒンジ回りを運動するように構成され、前記第1の複数のアジャスタは、前記隙間フランジに結合され、前記第1の複数のアジャスタの運動により、前記隙間フランジが前記隙間屈曲ヒンジ回りを運動し、前記隙間屈曲ヒンジを屈曲させるように構成されている、請求項8記載のダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、押出ダイ、特に二段屈曲リップを用いて押出ダイを横切る方向における流体分布を調節する押出ダイに関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2018年4月13日に出願された米国特許出願第15/952,624号の優先権主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
シート押出ダイは、溶融ポリマーをロールスタック中に排出するために用いられ、かかるシート押出ダイは、単層又は多層ダイを含む場合がある。単層押出ダイは、溶融ポリマーの単層をロールスタックに送り出し、これに対し、多層押出ダイは、溶融ポリマーの少なくとも2つの層をロールスタックに送り出す。溶融ポリマーは、圧力によってランドギャップを通ってダイリップ出口までリザーバから押し出され、この押出物は、ロールスタックに送られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロールスタックに流入する溶融ポリマーの分布を変化させるため、大抵の従来型ダイは、多数の調節ロッドの使用により調節できる可撓性リップを有する。可撓性リップは、出口側ダイリップ隙間を輪郭付けるに過ぎず、このことは、それにより合成厚さ又は全体的厚さを改善するが、個々の層の分布状態を改善するわけではない。従来型ダイの中には、個々の層分布状態の制御のための内部レストリクターバーを有するものがある。しかしながら、レストリクターバーの使用は、ダイが実施できる塗布回数を制限する。例えば、レストリクターバーは、ダイが劣化しやすく熱に弱い材料を用いる塗布又は最終生成物の高い透明度を必要とする塗布を実施するのを阻止する。
【0005】
かくして、上述の欠点を解決するための改良型押出ダイが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、溶融ポリマーを定量吐出する多層押出ダイが開示される。押出ダイは、作動中、溶融ポリマーのスキン層の分布状態を微調整する合理化されたやり方を提供する調節システムを有する。調節システムにより、オペレータは、ダンパーフレックスをねじ曲げることによってスキンマニホルド出口隙間(例えば、ダンパー隙間)を調節することによってスキン層を別々に輪郭付けることができる。オペレータはまた、屈曲リップを調節して合成溶融ポリマー構造体の全体的厚さの一様性を改善することができる。
【0007】
押出ダイは、上側本体部材、中央本体部材、下側本体部材、及び調節システムを有する。上側本体部材は、上側表面、隙間表面、上側表面と隙間表面との間に位置した隙間縁部、及び隙間フランジを有する。中央本体部材は、上側中央表面、下側中央表面、及び上側中央表面と下側中央表面との間に位置した中央縁部を有する。中央本体部材は、上側本体部材に隣接して位置決めされかつ隙間表面と上側中央表面との間の隙間チャネルを構成するとともに隙間縁部と中央縁部との間に隙間開口部を構成している。下側本体部材は、下側縁部を備えた下側表面を有する。下側本体部材は、上側本体部材に隣接して位置決めされかつ下側本体部材の下側下面と上側本体部材の上側表面との間に主チャネルを構成するとともに下側本体部材の下側縁部と上側本体部材の上側縁部との間に主開口部を構成している。隙間開口部は、隙間チャネルと主チャネルとの間に位置決めされている。
【0008】
調節システムは、複数のアジャスタチャネル及び複数の隙間アジャスタチャネルを備えた調節本体、及び複数の隙間アジャスタを含む。複数の隙間アジャスタの各々は、複数のアジャスタチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされている。複数の隙間アジャスタの各々は、上側本体部材の隙間フランジに結合するよう構成されている。複数の隙間アジャスタが隙間フランジに結合されると、複数の隙間アジャスタの運動により、隙間開口部のサイズが変化する。
【0009】
本発明のもう1つの観点は、上側本体部材及び調節システムを有する押出ダイを提供する。上側本体部材は、上側表面、隙間表面、上側表面と隙間表面との間に位置した隙間縁部、及び隙間フランジを有する。調節システムは、複数のチャネルを有する調節本体、及び複数のアジャスタを含む。複数のアジャスタの各々は、複数のチャネルの各々内にそれぞれ摺動可能に位置決めされている。複数のアジャスタの各々は、上側本体部材の隙間フランジに結合するよう構成されている。複数のアジャスタが隙間フランジに結合されると、複数のアジャスタの運動により、隙間フランジの位置が変化する。
【0010】
本発明のもう1つの観点は、押出ダイを通って流体を定量吐出する方法を提供する。押出ダイは、隙間チャネル、隙間開口部、主チャネル、主開口部、及び下側チャネルを有する。隙間開口部は、主チャネルと隙間チャネルとの間に位置決めされている。本方法は、隙間開口部を通って隙間チャネル経由で第1の流体を主チャネル中に提供するステップと、第2の流体を下側チャネル経由で主チャネル中に提供して第1の流体が主チャネル内の第2の流体と合流するようにするステップと、隙間開口部のサイズを調節することによって隙間開口部を通って流れる第1の流体の厚さを調節するステップとを含む。
【0011】
この発明の概要の項は、詳細な説明において以下にさらに説明する種々の技術的思想を導入するために提供されている。この発明の概要は、クレーム請求された内容の重要な特徴及び必須の特徴を特定するものではなく、クレーム請求された内容の範囲を限定するために使用されるものでもない。さらに、クレーム請求された内容は、本発明のどこかの部分に言及された任意の又は全ての欠点を解決する特徴に制約されるわけではない。
【0012】
添付の図面と関連して例示として与えられた以下の説明から詳細な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】押出ダイの前から見た斜視図である。
図2図1に示された押出ダイの上側本体部材の上から見た斜視図である。
図3図2に示された上側本体部材の側面図である。
図4図2に示された上側本体部材の下から見た斜視図である。
図5図1に示された押出ダイの中央本体部材の上から見た斜視図である。
図6図5に示された中央本体部材の下から見た斜視図である。
図7図1に示された押出ダイの下側本体部材の上から見た斜視図である。
図8】調節システムの前から見た斜視図である。
図9図7に示された調節システムの側面図である。
図10図7に示された調節システムの後ろから見た斜視図である。
図11図1の11‐11線に沿って見た押出ダイの断面側面図である。
図12図11に示された押出ダイの断面側面図の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
溶融ポリマーをロールスタック(図示せず)、例えば押出プラスチックシートに移送するための押出ダイが記載される。先行技術のダイとは異なり、本明細書において説明する押出ダイは、ダイを出ているポリマーの全体的厚さを改善するための屈曲リップ調節組立体、及びポリマーの個々の層の厚さを改善するための隙間リップ調節組立体を含む調節システムを有する。
【0015】
図1は、押出ダイ100の前から見た斜視図である。押出ダイ100は、後側端部102、軸方向又は流れ方向Aに見て後側端部102から間隔を置いて位置した定量吐出端部104、第1の端部106(例えば、右側の側部)、及び長手方向Lに見て右側の側部106から間隔を置いて位置した第2の端部108(例えば、左側の側部)を有する。定量吐出端部104は、流体をロールスタックに排出するよう構成されている。流体としては、溶融ポリマー配合物などが挙げられる。押出ダイ100は、押出ダイ100をロールスタックと整列させるための台座、フロアマウント、テーブルトップ又は他の支持構造体(図示せず)によって支持されるのが良い。一観点では、ロールスタックは、ロールスタック中への流体の塗布の際、定量吐出端部104に隣接して位置決めされるのが良い。
【0016】
ある特定の用語が本明細書において便宜のためにのみ用いられているが、本発明を限定するものではない。「近位」及び「遠位」という用語は、一般に、それぞれ、カートリッジ組立体を操作する人寄りの位置又はそれに向かう方向、カートリッジ組立体を操作する人から見て遠くの位置又はこれから遠ざかる方向を意味している。「軸方向」、「垂直」、「横方向」、「長手方向」、「左側」、「右側」、「上向き」、「下向き」、「~の上方」及び「~の下方」という用語は、参照する図面中の方向を意味している。「実質的に」という用語は、程度においてかなり大きいこと又は大部分を意味するが、必ずしも、指定されたもの全体を意味するわけではない。用語は、上述の用語、その派生語及び類似の意味を持つ用語を含む。
【0017】
押出ダイ100は、上側本体部材110、中央本体部材112、下側本体部材114、左側端板116、右側端板118、及び調節システム200を有する。押出ダイ100は、押出ダイで通常用いられるボルト又は他のコンポーネントを調節する熱作動式自動ダイリップをさらに有するのが良い。上側本体部材110、中央本体部材112、及び下側本体部材114は、好ましくは、合金工具鋼から作られ、流れ表面は、硬質クロムめっきされる。変形例として、上側本体部材110、中央本体部材112、及び下側本体部材114は、高い寸法安定度を有する特殊合金又は他の材料から作られても良い。理解されるように、押出ダイ100は、より多くの本体部材、例えば流体に2つ又は3つ以上の層を有するよう構成された多中央本体部材(例えば、三層ダイ)を有することができる。
【0018】
図2図3、及び図4は、それぞれ、上側本体部材110の上から見た斜視図、側面図、下から見た斜視図である。上側本体部材110は、押出ダイ100の第1の端部106から第2の端部108まで長手方向Lに延びている。上側本体部材110は、リップフランジ130、隙間フランジ132、上側流入チャネル134、及び上側ポートチャネル136を有する。上側本体部材110は、上側表面138(例えば、上側ランド表面)及び隙間表面140をさらに有する。リップフランジ130、隙間フランジ132、上側表面138、及び隙間表面140は、長手方向Lに見て上側本体部材110に沿って押出ダイ100の第1の端部106と第2の端部108まで延びている。一観点では、リップフランジ130、隙間フランジ132、上側表面138、及び隙間表面140は、長手方向Lに見て上側本体部材110の全長に沿って延びている。上側ポートチャネル136は、上側本体部材110の背部表面から上側流入チャネル134まで延びている。上側流入チャネル134は、上側ポートチャネル136から隙間表面140まで延びている。隙間表面140は、上側流入チャネル134から隙間縁部141まで延びている。上側表面138は、隙間縁部141から上側リップ縁部143まで延びている。
【0019】
リップフランジ130は、リップ表面131を有する。リップ表面131は、リップフランジ130の上側端部に設けられ、このリップ表面は、リップフランジ130に沿って長手方向Lに延びている。隙間フランジ132は、切欠き133を有する。切欠き133は、第1の屈曲ヒンジ146及び第2の屈曲ヒンジ148に連結された隙間フランジ132の端部と反対側の隙間フランジ132の端部のところに設けられるのが良い。切欠き133は、隙間フランジ132に沿って長手方向Lに延びている。
【0020】
上側本体部材110は、調節部分142、取り付け部分144、第1の屈曲ヒンジ146、及び第2の屈曲ヒンジ148をさらに有する。取り付け部分144は、第1の屈曲ヒンジ146によって調節部分142に連結されている。取り付け部分144は、凹部145を有し、この凹部は、この取り付け部分を貫通して長手方向に延びている。調節部分142は、リップフランジ130、隙間フランジ132、及び第2の屈曲ヒンジ148を有する。リップフランジ130は、第2の屈曲ヒンジ148によって隙間フランジ132に連結されている。リップフランジ130は、軸方向Aに見て隙間フランジ132から間隔を置いて配置されている。取り付け部分144と調節部分142との連結部は、隙間フランジ132、第1の屈曲ヒンジ146、及び取り付け部分144の底部表面(ラベル表示されておらず)によって構成された第1の屈曲チャネル150を形成している。リップフランジ130、隙間フランジ132、及び第2の屈曲ヒンジ148は、これらの間に第2の屈曲チャネル152を構成している。第1及び第2の屈曲チャネル150,152は、上側本体部材110を貫通して長手方向Lに延びている。
【0021】
調節部分142と取り付け部分144は、第1の屈曲ヒンジ146回りに互いに対して回転可能である。取り付け部分144に対する取り付け部分142の回転により、第1の屈曲チャネル150のサイズが増減する。この回転は、第1の屈曲チャネル150のサイズ及び/又は第1の屈曲ヒンジ146のサイズ(例えば、厚さ)によって制御される。例えば、図3を参照すると、第1の屈曲フランジ回りへの上向きの方向への調節部分142の回転が所定のしきい値(例えば、第1の屈曲ヒンジ146の破断しきい値)を超えるのを制限し又は阻止するため、隙間フランジ132と取り付け部分144の下側表面との間の距離を減少させるのが良く、それにより調節部分142の上向き回転が制限される。
【0022】
リップフランジ130は、第2の屈曲ヒンジ148回りに隙間フランジ132に対して回転可能である。隙間フランジ132に対するリップフランジ130の回転により、第2の屈曲チャネル152のサイズが増減する。第1の屈曲ヒンジ146と同様、隙間フランジ132に対するリップフランジ130の回転は、第2の屈曲チャネル152のサイズ及び/又は第2の屈曲ヒンジ148のサイズ(例えば、厚さ)によって制御される。
【0023】
図5及び図6は、それぞれ、中央本体部材112の上から見た斜視図及び下から見た斜視図である。中央本体部材112は、押出ダイ100の第1の端部106から第2の端部108まで長手方向Lに延びている。中央本体部材112は、第1の中央チャネル160、第1の中央ポートチャネル162、第2の中央チャネル164、及び第2の中央ポートチャネル166を有している。第1の中央ポートチャネル162は、中央本体部材112の側部表面から第1の中央チャネル160まで延びている。第1の中央チャネル160は、第1の中央ポートチャネル162から上側中央表面168まで延びている。上側中央表面168は、第1の中央チャネル160から中央縁部169まで延びている。第2の中央ポートチャネル166は、中央本体部材112の背部表面から第2の中央チャネル164まで延びている。第2の中央チャネル164は、第2の中央ポートチャネル166から下側中央表面170まで延びている。下側中央表面170は、第2の中央チャネル164から中央縁部169まで延びている。中央縁部169は、上側中央表面168と下側中央表面170との間に位置決めされている。理解されるように、第1の中央ポートチャネル162及び第2の中央ポートチャネル166は、中央本体部材112の同一の表面又は互いに異なる表面から延びるのが良い。
【0024】
図7は、下側本体部材114の斜視図である。下側本体部材114は、押出ダイ100の第1の端部106から第2の端部108まで長手方向Lに延びている。下側本体部材114は、下側流入チャネル172及び下側ポートチャネル174を備えている。下側本体部材114は、第1の下側表面176及び第1の下側表面176に隣接して位置する第2の下側表面178(例えば、下側ランド表面)を有する。下側ポートチャネル174は、下側本体部材114の外側表面から下側流入チャネル172まで延びている。下側流入チャネル172は、下側ポートチャネル174から第1の下側表面176まで延びている。第2の下側表面178は、第1の下側表面176から下側リップ縁部179まで延びている。下側リップ縁部179は、下側本体部材114の第1の端部に沿って長手方向Lに延びている。
【0025】
図8図9、及び図10は、それぞれ、調整システム200の上から見た斜視図、側面図、及び下から見た斜視図である。調節システム200は、長手方向Lに延び、この調節システムは、調節本体202、カバー204、第1の複数のアジャスタ206、及び第2の複数のアジャスタ208を含む。別の観点では、第1及び第2の複数のアジャスタを含む調節システム200の代わりに、調節システムは、第1の複数のアジャスタ206だけを有しても良い。カバー204は、調節本体202に取り外し可能に固定され、このカバーは、調節本体202並びに第1及び第2の複数のアジャスタ206,208に対して保護作用を提供するよう構成されている。
【0026】
調節本体202は、上側本体部材110の頂部に結合するよう構成されている。一観点では、調節本体202は、単一の材料片から機械加工された単一の本体部材から成る。調節本体202は、例えばボルト、ねじ、これらの組み合わせ、又は他の通常用いられる締結具によって上側本体部材110に固定されるのが良い。調節本体202は、第1の複数のチャネル210及び第2の複数のチャネル212を備えている。第1及び第2の複数のチャネル210,212は、調節本体202を貫通して調節本体202の頂側端部から底側端部まで延びており、第1の複数のチャネル210と第2の複数のチャネル212の両方が調節本体202の頂側端部及び底側端部に開口するようになっている。一観点では、第1の複数のチャネル210もまた、調節本体202の後側端部213に開口している。後側端部213は、調節本体202が上側本体部材110に結合されると、上側本体部材110の頂部と整列するよう構成されている。
【0027】
第1の複数のアジャスタ206は、調節本体202に設けられた第1の複数のチャネル210内に摺動可能に位置決めされ、第1の複数のアジャスタ206の各々は、第1の複数のチャネル210の各々内にそれぞれ位置決めされるようになっている。一観点では、第1の複数のアジャスタ206の各々は、調節本体202の長さに沿って長手方向Lに直線的に整列する。第1の複数のアジャスタ206の各々は、第1のねじ山付き部材214、第2のねじ山付き部材216、第1のねじ山付き部材214と第2のねじ山付き部材216との間に位置したねじ山付きシャフト218、及びノブ部材220を有する。各ねじ山付きシャフト218は、それぞれ対応の第2のねじ山付き部材216の頂側端部から第1のねじ山付き部材214を通り、かつ第1の複数のチャネル210の各々のそれぞれの頂部開口部を貫通している。各ねじ山付きシャフト218の頂側端部は、それぞれ対応のノブ部材220に結合されている。各ねじ山付きシャフト218は、第1のねじ山付き部材214及び第2のねじ山付き部材216に螺着されている。理解されるように、各ねじ山付きシャフト218は、単一の一体形部材で形成されても良く、あるいは、互いに結合された複数の部材から成っていても良い。例えば、ねじ山付きシャフト218は、第1のねじ山付き領域を備えた底部分及び第2のねじ山付き領域を備えた頂部分を有するのが良い。第1のねじ山付き領域は、第1のねじ山付き部材214に螺着されるのが良く、第2のねじ山付き領域は、第2のねじ山付き部材216に螺着されるのが良い。ねじ山付きシャフト218の底部分は、ねじ山付きシャフト218の頂部分に対して回転可能であるのが良い。
【0028】
第1のねじ山付き部材214の各々及び第2のねじ山付き部材216の各々は、雌ねじ(図では見えない)を有する。第1のねじ山付き部材214の各々の雌ねじは、第1のピッチを備える。第2のねじ山付き部材216の各々の雌ねじは、第2のピッチを備える。一観点では、第1のピッチは、第2のピッチとは異なる。第1のピッチは、1インチ(2.54cm)の約1/4000~1インチの約1/12000の間にあるのが良い。一観点では、第1のピッチは、1インチの約1/8000である。第2のピッチは、1インチの約1/20000~1インチの約1/60000であるのが良い。一観点では、第2のピッチは、1インチの約1/40000である。
【0029】
第1の複数のアジャスタ206の各々は、アジャスタ206の下側端部のところに設けられた隙間コネクタ222をさらに有する。隙間コネクタ222は、上側本体部材110の隙間フランジ132の切欠き133に係合するよう構成されている。一観点では、隙間コネクタ222は、切欠き133の頂面及び切欠き133の底面に係合するよう構成され、その結果、上向きの方向への隙間コネクタ222の運動により、切欠き133が上向きの方向に向かって動き、下向きの方向への隙間コネクタ222の運動により、切欠き133は、下向きの方向に向かって動くようになっている。上向きの方向における切欠き133の運動により、隙間フランジ132は、第1の屈曲ヒンジ146回りに時計回りの方向(図3の斜視図で見て)に回転する。これとは逆に、下向きの方向における切欠き133の運動により、隙間フランジ132は、第1の屈曲ヒンジ146回りに反時計回りの方向(図3の斜視図で見て)に回転する。
【0030】
ノブ部材220の回転により、ねじ山付きシャフト218の回転が生じる。一観点では、ノブ部材220は、ねじ山付きシャフト218の上側部分とねじ山付きシャフト218の下側部分を別個独立に回転させることができる。ねじ山付きシャフト218の上側部分の回転により、隙間コネクタ222は、第1の複数のチャネル210のそれぞれのチャネルに実質的に平行な方向に並進する。隙間コネクタ222がねじ山付きシャフト218の上側部分の回転ごとに並進する距離は、第1のねじ山付き部材214の第1のピッチに一致する。また、ねじ山付きシャフト218の下側部分の回転により、隙間コネクタ222は、第1の複数のチャネル210のそれぞれのチャネルに実質的に平行な方向に並進する。隙間コネクタ222がねじ山付きシャフト218の下側部分の回転ごとに並進する距離は、第2のねじ山付き部材216の第2のピッチに一致する。第1のねじ山の第1のピッチが第2のねじ山のピッチとは異なっている場合、オペレータは、互いに異なる精度で第1の複数のアジャスタ206の各々を調節することができ、それによりオペレータは、第1の複数のアジャスタ206の各々を微調整することができる。
【0031】
第2の複数のアジャスタ208は、調節本体202に設けられている第2の複数のチャネル212内に摺動可能に位置決めされ、その結果、第2の複数のアジャスタ208の各々は、第2の複数のチャネル212の各々内にそれぞれ位置決めされるようになっている。第2の複数のアジャスタ208は、第1の複数のアジャスタ206と実質的に同一に構成されるのが良い。変形例として、第2の複数のアジャスタ208の各々は、単一のねじ山付き部材230、第2のねじ山付きシャフト232、及び第2のノブ部材234を有しても良い。第2のねじ山付きシャフト232は各々、単一のねじ山付き部材230を通ってアジャスタ208の底側端部236からアジャスタ208の上側端部のところの第2のノブ部材234まで延びている。第2のねじ山付きシャフト232は各々、単一のねじ山付き部材230に螺着されている。単一のねじ山付き部材230は、雌ねじ(図では見えない)を有する。第2のノブ部材234の回転により、第2のねじ山付きシャフト232の回転が生じ、それによりそれぞれの第2のアジャスタ208の底側端部236は、第2の複数のチャネル212のそれぞれのチャネルに実質的に平行な方向に並進する。第2のアジャスタ208の各々の底側端部236は、上側本体部材110のリップフランジ130のリップ表面131に接触するよう構成されている。
【0032】
図11は、図1に示された11‐11線に沿って取った押出ダイ100の断面側面図である。図12は、図11に示された押出ダイ100の断面側面図の拡大図である。中央本体部材112は、上側本体部材110に隣接して位置決めされている。上側本体部材110の隙間表面140は、中央本体部材112の上側中央表面本体168と向かい合い、これら表面相互間には隙間チャネル300が形成されている。一観点では、隙間表面140は、上側中央表面168に実質的に平行である。上側本体部材110の隙間縁部141は、中央本体部材112の中央縁部169に隣接して位置し、これら縁部相互間には隙間開口部302が形成されている。上側本体部材110の上側流入チャネル134は、中央本体部材112の第1の中央チャネル160と向かい合い、これらチャネル相互間には、上側ダイチャネル304が形成されている。
【0033】
下側本体部材114は、上側本体部材110及び中央本体部材112に隣接して位置決めされている。中央本体部材112の下側中央表面170は、下側本体部材114の第1の下側表面176と向かい合い、これら表面相互間には第1の下側ダイチャネル306が形成されている。中央本体部材112の第2の中央チャネル164は、下側本体部材114の下側流入チャネル172と向かい合い、これらチャネル相互間には第2の下側ダイチャネル308が形成されている。上側ダイチャネル304及び第2の下側ダイチャネル308を「分布チャンバ」又は「分布チャネル」ともいう場合がある。上側本体部材110の上側表面138は、下側本体部材114の第2の下側表面178と向かい合い、これら表面相互間には、ランドチャネル310(例えば、主チャネル)が形成されている。下側本体部材114の下側ポートチャネル174は、中央本体部材112の第2の中央ポートチャネル166と向かい合い、それにより後側端部ポートチャネル(図では見えない)が形成され、この後側端部ポートチャネルは、押出ダイ100の後側端部から第2の下側ダイチャネル308まで延びている。
【0034】
第2の下側ダイチャネル308と第1の下側ダイチャネル306とランドチャネル310は、互いに流体連通状態にあり、その結果、押出ダイの後側端部102は、押出ダイ100の排出端部104のところで上側本体部材110の上側リップ縁部143と下側本体部材114の下側リップ縁部179との間に形成されたダイ開口部314(例えば、主開口部)と流体連通関係をなすようになっている。第1の中央ポートチャネル162と上側ダイチャネル304と隙間チャネル300とランドチャネル310は、互いに流体連通状態にあり、その結果、中央本体部材112の側部表面は、ダイ開口部314と流体連通関係をなすようになっている。
【0035】
調節システム200は、調節システムの突出部215が上側本体部材110の凹部145と整列するよう上側本体部材110に隣接して位置決めされている。一観点では、調節システム200と上側本体部材110は、単一の一体形コンポーネントとして形成され、その結果、調節システム200の調節本体202は、上側本体部材110と一体に形成されるようになっている。第1の複数のアジャスタ206の各々の隙間コネクタ222は、上側本体部材110の隙間フランジ132の切欠き133に係合してこれに結合されている。第1の複数のアジャスタ206の各々のノブ部材220の回転により、ねじ山付きシャフト218の回転が生じ、それにより隙間コネクタ222は、上述したように並進する。隙間コネクタ222の各々の並進により、第1の屈曲ヒンジ146回りの隙間フランジ132の回転が生じる。第1の屈折ヒンジ146回りの隙間フランジ132の運動により、上側本体部材110と中央本体部材112との間の隙間開口部302のサイズが変化する。一観点では、隙間コネクタ222は、プッシュプル(push-pull)型コネクタであり、したがって、第1の屈曲ヒンジ146回りの時計回りの方向と反時計回りの方向における隙間フランジ132の回転を第1の複数のアジャスタ206によって制御することができるようになっている。
【0036】
第2のアジャスタ208の各々の底側端部236は、上側本体部材110のリップフランジ130のリップ表面131に接触している。第2の複数のアジャスタ208の各々の第2のノブ部材234の回転により、第2のねじ山付きシャフト232の回転が生じ、それにより底側端部236は、上述したように並進する。底側端部236の並進により、第2の屈曲ヒンジ148回りのリップフランジ130の回転が生じる。第2の屈曲ヒンジ148回りのリップフランジ130の運動により、上側本体部材110と下側本体部材114との間のダイ開口部314のサイズが変化する。一観点では、第2の複数のアジャスタ208の底側端部236とリップフランジ130との連結方式は、プッシュ(push)型連結方式であり、したがって、第2の屈曲ヒンジ148回りの反時計回りの方向における(図11及び図12の視点で見て)リップフランジ130の回転を第2の複数のアジャスタ208によって制御することができるようになっている。理解されるように、第2の屈曲ヒンジ148の弾性は、時計回りの方向におけるリップフランジ130の運動のある程度の制御レベルを許容する。別の観点では、第2の複数のアジャスタ208の底側端部236とリップフランジ130との連結方式は、プッシュプル型連結方式である。
【0037】
ダイ開口部314を通って流体を定量吐出するために押出ダイ100を使用する方法は、第1の流体を中央本体部材112の側部表面のところで第1の中央ポートチャネル162の入口に提供するとともに第2の流体を下側本体部材114と中央本体部材112との間に形成された後側端部ポートチャネルの入口に提供することによって始まる。1つ又は2つ以上の押出機(図示せず)を用いると、ポートチャネルの入口に流体を送って正確な量の流体を押出ダイ100中に送り出すことができる。流体の量は、ロールスタックを出る所望のシート厚さで決まる。
【0038】
第2の流体は、後側端部ポートチャネルから第1の下側ダイチャネル306及び第2の下側ダイチャネル308を通ってランドチャネル310中に流れる。第2の流体をこれが第2の下側ダイチャネル308中に流入してこれを満たしているときに長手方向に分配される。第2の流体の流れが第2の下側ダイチャネル308を軸方向Aに出るときに、第2の流体の高さ(例えば、垂直方向における流体高さ)が減少し、第2の流体は、第1の下側ダイチャネル306中に流入する。
【0039】
第1の流体は、第1の中央ポートチャネル162から上側ダイチャネル304及び隙間チャネル300を通ってランドチャネル310中に流れる。第1の流体をこれが上側ダイチャネル304中に流入してこれを満たしているときに長手方向に分配される。第1の流体は、隙間チャネル300の隙間開口部302を通ってランドチャネル310中に流れる。隙間開口部302のサイズを第1の複数のアジャスタ206で調節することができ、それにより隙間開口部302を通ってランドチャネル310に入る第1の流体の流れ分布状態のバランスを取ることができる。例えば、ノブ部材220を回転させることにより隙間開口部302のサイズを調節することができ、それにより第1の屈曲ヒンジ146回りの隙間フランジ132の回転が生じる。隙間開口部302のサイズを調節することにより、この隙間開口部を通って流れる第1の流体の厚さが調節される。この方法は、種々の樹脂形式のための流れ分布状態及び第1の流体(例えば、スキン層)の動作条件(例えば、流量及び溶融加工温度)のバランスを取る上で有効である。
【0040】
第1の流体は、ランドチャネル310内の第2の流体の頂部上に配置され、第1の流体及び第2の流体は、一緒になってランドチャネル310を通って流れる。第1の流体及び第2の流体がランドチャネル310を通って流れた後、これら流体は、押出ダイ100の排出端部104のところでダイ開口部314を通って押出ダイ100から流出する。第1の流体と第2の流体の合流流れの流れ分布状態を第2の複数のアジャスタ208によって調節することができ、それによりロールスタック上への流体の流れ分布状態のバランスを取ることができる。例えば、第2のノブ部材234を回転させることによりダイ開口部314のサイズを調節することによって合流状態の第1の流体と第2の流体の流れ分布状態を調節することができ、それにより第2の屈曲ヒンジ148回りのリップフランジ130の回転が生じる。リップフランジ130の回転により、リップ縁部143の位置が調節され、それによりダイ開口部314のサイズが増減される。ダイ開口部302のサイズを調節することにより、ダイ開口部を通って流れる合流状態の第1及び第2の流体の厚さが調節される。
【0041】
上述したこれらの特定の実施形態は、例示目的のためであり、違ったやり方で本明細書において説明してクレーム請求されている本発明の範囲を制限するものではない。説明した実施形態の改造例及び変形例が存在する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12