(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】水素混合ガス生成装置および水素混合ガスの生成方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/02 20060101AFI20221005BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20221005BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20221005BHJP
【FI】
C01B3/02 B
C25B1/04
C25B9/00 A
(21)【出願番号】P 2020569296
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2019003484
(87)【国際公開番号】W WO2020157936
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】513214837
【氏名又は名称】フレンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 直樹
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-054398(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045118(WO,A1)
【文献】特開2010-124808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
C25B 1/04
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素混合ガスを生成し、生成した水素混合ガスを使用者の人体内に取り込み可能な水素混合ガス生成装置であって、
所定温度に設定された温水を収容する温水収容部と、
所定の手段により生成された水素ガスを前記温水収容部の前記温水中に導く給気路と、
前記給気路により前記温水中に排出された前記水素ガスを、前記温水収容部から外部へ導出する排気路と、
前記温水収容部において温水中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気し、排気した水素混合ガスを前記使用者が摂取可能となる排気部と
を備えることを特徴とする水素混合ガス生成装置。
【請求項2】
水の電気分解処理、水蒸気の過熱処理、または化学処理のいずれかの処理を実行して水素ガスを生成する水素生成部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の水素混合ガス生成装置。
【請求項3】
前記温水は、50~90℃に維持される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水素混合ガス生成装置。
【請求項4】
使用者の人体内に取り込み可能な水素混合ガスの生成方法であって、
所定の方法により水素ガスを生成する水素ガス生成工程と、
前記水素ガス生成工程により生成した水素ガスを、温水中にくぐらせてバブリングするバブリング工程と、
前記バブリング工程において温水中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気し、排気した水素混合ガスを前記使用者が摂取可能となる排気工程と
を含むことを特徴とする水素混合ガスの生成方法。
【請求項5】
前記温水は、50~90℃に維持される
ことを特徴とする請求項
4に記載の水素混合ガスの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水素混合ガス生成装置および水素混合ガスの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素を人体内に取り込むことは、病変や機能障害を引き起こす原因となるとされる活性酸素種を除去するのに有効であることが知られていた。そこで、飽和蒸気から水素ガスを発生させ、この水素ガスを人体内に取り込むことを可能にする水素混合ガス生成装置が提案された(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の水素混合ガス生成装置で得られた水素ガスでは、効果的に健康増進を図ることのできる裏付けがとれるまでには至っていない。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、健康増進により高い効果を発揮することのできる水素混合ガス生成装置および水素混合ガスの生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)実施形態の一態様に係る水素混合ガス生成装置は、所定温度に設定された温水を収容する温水収容部と、所定の手段により生成された水素ガスを前記温水収容部の前記温水中に導く給気路と、前記給気路により前記温水中に排出された前記水素ガスを、前記温水収容部から外部へ導出する排気路と、を備えることを特徴とする。
【0007】
(2)また、実施形態の一態様に係る水素混合ガス生成装置は、上記(1)において、水の電気分解処理、水蒸気の過熱処理、または化学処理のいずれかの処理を実行して水素ガスを生成する水素生成部をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
(3)また、実施形態の一態様に係る水素混合ガス生成装置は、上記(1)または(2)において、前記温水は、50~90℃に維持されることを特徴とする。
【0009】
(4)また、実施形態の一態様に係る水素混合ガス生成装置は、上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、前記温水収容部において温水中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気する排気部をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
(5)また、実施形態の一態様に係る水素混合ガスの生成方法は、所定の方法により水素ガスを生成する水素ガス生成工程と、前記水素ガス生成工程により生成した水素ガスを、温水中にくぐらせてバブリングするバブリング工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
(6)また、実施形態の一態様に係る水素混合ガスの生成方法は、上記(5)において、前記温水は、50~90℃に維持されることを特徴とする。
【0012】
(7)また、実施形態の一態様に係る水素混合ガスの生成方法は、上記(5)または(6)において、前記バブリング工程において温水中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気する排気工程をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
実施形態の一態様によれば、健康増進を図ることのできる水素混合ガスを、より効果的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る水素混合ガス生成装置の使用状態を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る水素混合ガス生成装置におけるバブリング部の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水素混合ガス生成装置および水素混合ガスの生成方法の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
先ず、
図1および
図2を参照しながら、本実施形態に係る水素混合ガスを生成するための水素混合ガス生成装置10の構成の概要、およびこの水素混合ガス生成装置10を用いて実施される水素混合ガスの生成方法について説明する。
図1は、実施形態に係る水素混合ガス生成装置10の使用状態を示す説明図、
図2は、実施形態に係る水素混合ガス生成装置10におけるバブリング部の模式的説明図である。
【0017】
水素混合ガス生成装置10は、蒸気(H2O)と水素ガス(H2)とが含まれる水素混合ガスを生成可能としたものである。また、本実施形態に係る水素混合ガス生成装置10は、生成した水素混合ガスを、さらに人体内に取り込み可能としている。
【0018】
図1に示すように、使用者100は、水素混合ガス生成装置10が備えるガス吸入管30の先端を鼻に装着して、生成された水素混合ガスを鼻腔から摂取する。ガス吸入管30は、後述する排気部として機能する。
【0019】
なお、
図1に示した例では、水素混合ガスを摂取する使用者100を一人としたが、複数本のガス吸入管30を利用可能にしたり、ガス吸入管30を複数に分岐させたりすることで、2人以上での使用も可能である。なお、ガス吸入管30としては、例えば、カニューレなどを好適に用いることができる。
【0020】
水素混合ガス生成装置10のケーシングの内部には、少なくともバブリング部20を備える水素混合ガス生成ユニット11が収納される。
図2に示すように、本実施形態における水素混合ガス生成ユニット11は、水素生成部12と、水素生成部12により生成した水素ガスを温水200中にくぐらせてバブリングするバブリング部20とを備える。
【0021】
バブリング部20は、所定温度に設定された温水200を収容する温水収容部110と、水素生成部12により生成された水素ガスを温水収容部110の温水200内に導く給気路120と、この給気路120により水中に排出された水素ガスを、温水収容部110から外部へ導出する排気路130とを備える。給気路120および排気路130は、ゴムなどの樹脂や金属により形成された管状の部材を用いることができる。
【0022】
温水収容部110は、たとえば密封されたカップ状の容器であればよく、
図2に示すように、天井壁210に給気路120および排気路130の一端が挿通されている。そして、給気路120の一端である先端部は、温水200中に没しており、排気路130の一端である始端部は、温水面と天井壁210との間の空間部220に位置している。
【0023】
他方、排気路130の他端となる終端部は、排気部となるガス吸入管30(
図1)に接続される。ここでは、ガス吸入管30を排気部としているが、排気路130を含めて排気部としてもよい。また、たとえば、バブリング部20において発生する水分を含む水素混合ガスを強制的に外方へ送気するファン装置やブロア装置などを設け、これらを含めて排気部を構成することもできる。また、ファン装置やブロア装置などを、さらに水素生成部12とバブリング部20との間に介設して、水素生成部12で生成した水素ガスを強制的にバブリング部20の温水収容部110内に送ることもできる。
【0024】
かかる水素混合ガス生成装置10によれば、所定の方法により水素ガスを生成する水素ガス生成工程と、この水素ガス生成工程により生成した水素ガスを、温水200中にくぐらせてバブリングするバブリング工程とを経ることにより、健康増進により高い効果を発揮することのできる水素混合ガスを得ることができる。
【0025】
また、使用者100が安全かつ心地よく水素混合ガスを吸引できるように、温水収容部110に収容される温水200は、たとえば50~90℃に設定するものとし、より好ましくは、55~75℃に維持するようにしている。また、温水200の温度をかかる範囲とすれば、たとえば常温においてでも気化によって必要な水分量を有する水素混合ガスを得ることができる。
【0026】
なお、温水200の温度を所望する値に維持するためには、温水収容部110としては、図示しない加熱機能と保温機能とを備える構成とすることが好ましい。
【0027】
また、本実施形態では、上述の水素混合ガスを、排気部となるガス吸入管30を用いて人体に取り込むようにしている。すなわち、本実施形態における水素混合ガスの生成方法においては、バブリング工程において温水200中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気する排気工程が含まれる。
【0028】
そのために、本実施形態に係る水素混合ガス生成装置10は、上述してきたように、水素生成部12およびバブリング部20に加えて、温水収容部110において温水200中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気する排気部をさらに備える構成となっている。
【0029】
ところで、水素混合ガス生成ユニット11が備える水素生成部12としては、水素を生成する機能を備えていれば如何なる構成の装置やシステムであっても構わない。たとえば、
図2に示すように、水の電気分解処理、水蒸気の過熱処理、あるいは化学処理などを実施可能な装置やシステムを採用することができる。
【0030】
上述してきた水素混合ガス生成装置10によって得た水素混合ガスを摂取すると、健康改善に関して大きく寄与することができる。たとえば、悪性腫瘍やアレルギー、あるいはその他の疾患を抱える被験者に対し、本実施形態に係る水素混合ガス生成装置10、あるいは水素混合ガスの生成方法にて得た水素混合ガスを摂取させたところ、多くの場合で症状の改善効果が見られた。
【0031】
なお、上述してきた実施形態では、水素混合ガス生成装置10は、水素生成部12および排気部を備える構成としたが、水素混合ガス生成装置10は、少なくとも水素ガスを温水200中にくぐらせてバブリングするバブリング部20を備える構成であればよい。
【0032】
すなわち、水素生成部12や排気部は、水素混合ガス生成装置10と別体で構成したものであってもよい。
【0033】
上述してきた実施形態より、以下の水素混合ガス生成装置10および水素混合ガスの生成方法が実現する。
【0034】
(1)所定温度に設定された温水200を収容する温水収容部110と、所定の手段により生成された水素ガスを温水収容部110の温水200中に導く給気路120と、給気路120により温水200中に排出された水素ガスを、温水収容部110から外部へ導出する排気路130とを備える水素混合ガス生成装置10。
【0035】
かかる構成によれば、人体の健康維持に極めて良いとされる水素混合ガスを効率よく得ることができる。
【0036】
(2)上記(1)において、水の電気分解処理、水蒸気の過熱処理、または化学処理のいずれかの処理を実行して水素ガスを生成する水素生成部12をさらに備える水素混合ガス生成装置10。
【0037】
かかる構成によれば、水素ガスの生成についても同一の装置により一貫して行うことができる。
【0038】
(3)上記(1)または(2)において、温水200は、50~90℃に維持される水素混合ガス生成装置10。
【0039】
かかる構成によれば、使用者100が吸引しやすく、かつ必要な水分量の蒸気が含まれる水素混合ガスを得ることができる。
【0040】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、温水収容部110において温水200中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気する排気部をさらに備える水素混合ガス生成装置10。
【0041】
かかる構成によれば、水素ガスの生成から、蒸気を含む水素混合ガスを使用者100に吸引させるまでの機能を同一の装置により一貫して行うことができ、装置としての価値や利便性を向上させることができる。
【0042】
(5)所定の方法により水素ガスを生成する水素ガス生成工程と、水素ガス生成工程により生成した水素ガスを、温水200中にくぐらせてバブリングするバブリング工程と、を含む水素混合ガスの生成方法。
【0043】
かかる構成によれば、人体の健康維持に極めて良いとされる水素混合ガスを効率よく得ることができる。
【0044】
(6)上記(5)において、温水200は、50~90℃に維持される水素混合ガスの生成方法。
【0045】
かかる方法によれば、使用者100が吸引しやすく、かつ必要な水分量の蒸気が含まれる水素混合ガスを得ることができる。
【0046】
(7)上記(5)または(6)において、バブリング工程において温水200中をくぐって生成された、水分を含む水素混合ガスを排気する排気工程をさらに備える水素混合ガスの生成方法。
【0047】
かかる方法によれば、水素ガスの生成から、蒸気を含む水素混合ガスを使用者100に吸引させるまでを一貫して行うことができる。
【0048】
上述した実施形態における変形例やさらなる効果は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 水素混合ガス生成装置
11 水素混合ガス生成ユニット
12 水素生成部
20 バブリング部
30 ガス吸入管
110 温水収容部
120 給気路
130 排気路
200 温水
210 天井壁
220 空間部