(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】搬送処理システムおよび縦回転装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/16 20190101AFI20221005BHJP
G07D 11/125 20190101ALI20221005BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20221005BHJP
B65G 47/248 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G07D11/16
G07D11/125
B25J15/00 Z
B65G47/248 H
(21)【出願番号】P 2021039183
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】上溝 順亮
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴司
(72)【発明者】
【氏名】北野 智範
(72)【発明者】
【氏名】伊尾瀬 晋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和好
(72)【発明者】
【氏名】江澤 良美
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-073297(JP,A)
【文献】特開昭62-239293(JP,A)
【文献】特開2019-028730(JP,A)
【文献】特開平04-128994(JP,A)
【文献】登録実用新案第3188178(JP,U)
【文献】実開昭62-27790(JP,U)
【文献】特開2003-246445(JP,A)
【文献】中国実用新案第213059065(CN,U)
【文献】中国実用新案第207402529(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
B25J 1/00-21/02
B65G 47/00-47/32
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に錠を有すると共に天壁に取っ手が取り付けられる箱体を搬送する搬送機構と、前記箱体の姿勢を制御することが可能である姿勢制御機構とを有し、前記姿勢制御機構で前記箱体の姿勢を変えて前記箱体を搬送する第1搬送装置と、
前記箱体を、前記天壁または底壁が前記第1搬送装置の搬送方向を向く第1姿勢で前記第1搬送装置の第1位置に搬入する搬入動作を行う第2搬送装置と、
前記第1搬送装置において、前記姿勢制御機構により前記取っ手が上側を向くと共に前記正面が特定方向を向く第2姿勢とされた前記箱体の前記錠に対して開錠処理を施す開錠処理装置と
を備え、
前記姿勢制御機構は、前記箱体の姿勢を前記第1姿勢から前記第2姿勢に変える第1姿勢制御を実行し、
前記第1姿勢制御には、前記箱体を縦回転させる縦回転制御が含まれる
搬送処理システム。
【請求項2】
正面に錠を有すると共に天壁に取っ手が取り付けられる箱体を搬送する搬送機構と、前記箱体の姿勢を制御することが可能である姿勢制御機構とを有し、前記姿勢制御機構で前記箱体の姿勢を変えて前記箱体を搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置の第2位置から前記箱体を、前記天壁また
は底壁が前記第1搬送装置の搬送方向を向く第3姿勢で搬出する搬出動作を行う第3搬送装置と、
前記第1搬送装置において、前記姿勢制御機構により前記取っ手が上側を向くと共に前記正面が特定方向を向く第2姿勢とされた前記箱体の前記錠に対して開錠処理を施す開錠処理装置と
を備え、
前記姿勢制御機構は、前記第2姿勢の前記箱体を前記第3姿勢に変える第2姿勢制御を実行し、
前記第2姿勢制御には、前記箱体を縦回転させる縦回転制御が含まれる
搬送処理システム。
【請求項3】
正面に錠を有すると共に天壁に取っ手が取り付けられる箱体を搬送する搬送機構と、前記箱体の姿勢を制御することが可能である第1姿勢制御機構と、前記箱体の姿勢を制御することが可能である第2姿勢制御機構とを有し、前記第1姿勢制御機構および前記第2姿勢制御機構で前記箱体の姿勢を変えて前記箱体を第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送装置と、
前記箱体を、前記天壁または底壁が前記第1搬送装置の搬送方向を向く第1姿勢で前記第1搬送装置の前記第1位置に搬入する搬入動作と、前記第1搬送装置の前記第2位置から前記箱体を、前記天壁または前記底壁が前記第1搬送装置の搬送方向を向く第3姿勢で搬出する搬出動作とを行う第4搬送装置と、
前記第1搬送装置において、前記第1姿勢制御機構により前記取っ手が上側を向くと共に前記正面が特定方向を向く第2姿勢とされた前記箱体の前記錠に対して開錠処理を施す開錠処理装置と
を備え、
前記第1姿勢制御機構は、前記箱体の姿勢を前記第1姿勢から前記第2姿勢に変える第1姿勢制御を実行し、
前記第2姿勢制御機構は、前記第2姿勢の前記箱体を前記第3姿勢に変える第2姿勢制御を実行し、
前記第1姿勢制御および前記第2姿勢制御には、前記箱体を縦回転させる縦回転制御が含まれる
搬送処理システム。
【請求項4】
前記第4搬送装置は、ロボットハンドと、前記ロボットハンドを移動させることが可能であるハンド移動機構を有し、
前記ハンド移動機構は、固定されており、
前記第1位置および前記第2位置は、前記ロボットハンドが前記箱体を把持することが可能な範囲内にある
請求項3に記載の搬送処理システム。
【請求項5】
前記第4搬送装置は、ロボットハンドと、前記ロボットハンドを移動させることが可能であるハンド移動機構とを有し、
前記第1位置に位置する前記箱体を前記ロボットハンドが把持することができる位置と、前記第2位置に位置する前記箱体を前記ロボットハンドが把持することができる位置との間で前記ハンド移動機構を移動させることが可能である機構移動装置をさらに備える、
請求項3に記載の搬送処理システム。
【請求項6】
前記箱体は、前記第1搬送装置へ搬入される前、棚に載置されており、
前記搬入動作では、前記棚に載置される前記箱体が前記第1姿勢で第1搬送装置の前記第1位置に搬送され、
前記搬出動作では、前記第1搬送装置の前記第2位置から前記箱体が前記第3姿勢で前記棚に搬送される
請求項3から5のいずれか1項に記載の搬送処理システム。
【請求項7】
前記棚は、棚板と、前記棚板の板面から垂直方向に延びる案内壁とを有しており、
前記第4搬送装置は、直動する把持部を有しており、
前記案内壁は、直動する前記把持部を案内する
請求項6に記載の搬送処理システム。
【請求項8】
前記第1姿勢制御機構は、前記箱体の姿勢を前記第1姿勢から、前記取っ手が上側に位置する第11姿勢に変える第11姿勢制御機構と、前記箱体を水平面に沿って回転させて前記箱体の姿勢を前記第11姿勢から、前記正面が特定方向を向く第12姿勢に変える第12姿勢制御機構とを含み、
前記第1搬送装置は、前記第1位置を含む第1搬送機構と、前記第11姿勢制御機構の搬送方向下流側に配設される第2搬送機構と、前記第12姿勢制御機構の搬送方向下流側に配設される第3搬送機構と、前記第2姿勢制御機構の搬送方向下流側に配設されると共に前記第2位置を含む第4搬送機構とをさらに有し、
前記第11姿勢制御機構は、前記第1搬送機構の搬送方向下流側に配設され、
前記第12姿勢制御機構は、前記第2搬送機構の搬送方向下流側に配設され、
前記第2姿勢制御機構は、前記第3搬送機構の搬送方向下流側に配設される
請求項3から7のいずれか1項に記載の搬送処理システム。
【請求項9】
前記第1姿勢制御機構および前記第2姿勢制御機構は、前記箱体を把持して縦回転させる縦回転機構である
請求項8に記載の搬送処理搬送処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送処理システムに関する。また、本発明は、その搬送処理システムに組み込まれ得る縦回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「カメラと、1または複数の鍵が取り付けられた第1のアームと、カメラからの画像に基づいて鍵穴の位置を特定し、第1のアームを制御することによって鍵穴に鍵を挿入し回動させることによって開錠するための制御装置とを備える開錠システム」が提案されている(例えば、特開2020-073297号公報等参照)。この開錠システムでは、紙幣格納容器が搬送コンベアによって、鍵を有するロボットアームの前まで搬送されてくるが、その際に取り得る姿勢は、鍵穴を有する面がカメラに正対する姿勢であるか、その反対側の面がカメラに正対する姿勢であり、これらの紙幣格納容器の姿勢は、紙幣格納容器が搬送コンベアに置かれる際に人手でとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の紙幣格納容器は紙幣が入った状態で重いものになると3kgを超える。搬送コンベアが近くにあったとしても、このような重量物を人手で搬送コンベアに移していくのは一苦労である。また、例えば、ゲーム機などから紙幣格納容器を移動式の棚に回収していく際、開錠装置による開錠処理時の姿勢とは異なった姿勢で紙幣格納容器を移動式の棚に置いていく方が作業効率に優れる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、物品(例えば、紙幣収容容器など)に対して処理を施す処理装置(例えば、開錠装置など)と、その処理装置の処理位置まで物品を搬送する搬送装置とを有する搬送処理システムの搬入位置に、その物品を自動的に置くことができるだけでなく、物品の搬入時に物品の処理時における姿勢とは異なった姿勢で物品を置くことができるようにすることである。
【0006】
また、本発明の別の課題は、処理装置による物品の処理後に処理時における姿勢とは異なった姿勢で物品を搬出することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面に係る搬送処理システムは、第1搬送装置、第2搬送装置および開錠処理装置を備える。第1搬送装置は、搬送機構および姿勢制御機構を有する。搬送機構は、正面に錠を有すると共に天壁に取っ手が取り付けられる箱体を搬送する。姿勢制御機構は、箱体の姿勢を制御することが可能である。そして、この第1搬送装置は、姿勢制御機構で箱体の姿勢を変えて箱体を搬送する。第2搬送装置は、搬入動作を行う。搬入動作は、箱体を、天壁または底壁が第1搬送装置の搬送方向を向く第1姿勢で第1搬送装置の第1位置に搬入する動作である。開錠処理装置は、第1搬送装置において、姿勢制御機構により取っ手が上側を向くと共に正面が特定方向を向く第2姿勢とされた箱体の錠に対して開錠処理を施す。そして、姿勢制御機構は、第1姿勢制御を実行する。第1姿勢制御では、箱体の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変えられる。第1姿勢制御には、箱体を縦回転させる縦回転制御が含まれる。
【0008】
この搬送処理システムでは、第2搬送装置に搬入動作を行わせれば、第1搬送装置の第1位置に箱体を自動的に置くことができる。また、この搬送処理システムでは、第2搬送装置により第1搬送装置の第1位置に箱体を第1姿勢で搬入させることができ、また、第1搬送装置の姿勢制御機構により第1姿勢の物品を第2姿勢に変えることができる。すなわち、この搬送処理システムでは、物品の搬入時に物品の処理時における姿勢とは異なった姿勢で物品を置くことができる。
【0009】
本発明の第2局面に係る搬送処理システムは、第1搬送装置、第3搬送装置および開錠処理装置を備える。第1搬送装置は、搬送機構および姿勢制御機構を有する。搬送機構は、正面に錠を有すると共に天壁に取っ手が取り付けられる箱体を搬送する。姿勢制御機構は、箱体の姿勢を制御することが可能である。そして、この第1搬送装置は、姿勢制御機構で箱体の姿勢を変えて箱体を搬送する。第3搬送装置は、搬出動作を行う。搬出動作は、第1搬送装置の第2位置から箱体を、天壁または底壁が第1搬送装置の搬送方向を向く第3姿勢で搬出する動作である。開錠処理装置は、第1搬送装置において、姿勢制御機構により取っ手が上側を向くと共に正面が特定方向を向く第2姿勢とされた箱体の錠に対して開錠処理を施す。そして、姿勢制御機構は、第2姿勢制御を実行する。第2姿勢制御では、第2姿勢の箱体が第3姿勢に変えられる。第2姿勢制御には、箱体を縦回転させる縦回転制御が含まれる。
【0010】
この搬送処理システムでは、第3搬送装置に搬出動作を行わせれば、第1搬送装置の第2位置から箱体を第3姿勢で搬出することができる。このため、この搬送処理システムでは、開錠処理装置による箱体の開錠処理後に開錠処理時における姿勢とは異なった姿勢で箱体を搬出することができる。
【0011】
本発明の第3局面に係る搬送処理システムは、第1搬送装置、第4搬送装置および開錠処理装置を備える。第1搬送装置は、搬送機構、第1姿勢制御機構および第2姿勢制御機構を有する。搬送機構は、正面に錠を有すると共に天壁に取っ手が取り付けられる箱体を搬送する。第1姿勢制御機構および第2姿勢制御機構は、箱体の姿勢を制御することが可能である。そして、この第1搬送装置は、第1姿勢制御機構および第2姿勢制御機構で箱体の姿勢を変えて箱体を第1位置から第2位置まで搬送する。第4搬送装置は、搬入動作および搬出動作を行う。搬入動作は、箱体を、天壁または底壁が第1搬送装置の搬送方向を向く第1姿勢で第1搬送装置の第1位置に搬入する動作である。搬出動作は、第1搬送装置の第2位置から箱体を、天壁または底壁が第1搬送装置の搬送方向を向く第3姿勢で搬出する動作である。開錠処理装置は、第1搬送装置において、第1姿勢制御機構により取っ手が上側を向くと共に正面が特定方向を向く第2姿勢とされた箱体の錠に対して開錠処理を施す。そして、第1姿勢制御機構は、第1姿勢制御を実行する。第1姿勢制御では、箱体の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変えられる。また、第2姿勢制御機構は、第2姿勢制御を実行する。第2姿勢制御では、第2姿勢の箱体が第3姿勢に変えられる。第1姿勢制御および第2姿勢制御には、箱体を縦回転させる縦回転制御が含まれる。
【0012】
この搬送処理システムでは、第4搬送装置に搬入動作を行わせれば、第1搬送装置の第1位置に箱体を自動的に置くことができる。また、この搬送処理システムでは、第4搬送装置により第1搬送装置の第1位置に箱体を第1姿勢で搬入させることができ、また、第1搬送装置の姿勢制御機構により第1姿勢の箱体を第2姿勢に変えることができる。すなわち、この搬送処理システムでは、物品の搬入時に物品の処理時における姿勢とは異なった姿勢で物品を置くことができる。
【0013】
また、この搬送処理システムでは、第4搬送装置に搬出動作を行わせれば、第1搬送装置の第2位置から箱体を第3姿勢で搬出することができる。このため、この搬送処理システムでは、開錠処理装置による箱体の開錠処理後に開錠処理時における姿勢とは異なった姿勢で箱体を搬出することができる。
【0014】
本発明の第4局面に係る搬送処理システムは、第3局面に係る搬送処理システムであって、第4搬送装置は、ロボットハンドおよびハンド移動機構を有する。ハンド移動機構は、ロボットハンドを移動させることが可能である。また、このハンド移動機構は、固定されている。そして、第1位置および第2位置は、ロボットハンドが箱体を把持することが可能な範囲内にある。
【0015】
このため、この搬送処理システムでは、一台の第4搬送装置によって第1搬送装置への箱体の搬入と、第1搬送装置からの箱体の搬出とを行わせることができる。
【0016】
本発明の第5局面に係る搬送処理システムは、第3局面に係る搬送処理システムであって、第4搬送装置は、ロボットハンドおよびハンド移動機構を有する。ハンド移動機構は、ロボットハンドを移動させることが可能である。また、この搬送処理システムは、機構移動装置をさらに備える。機構移動装置は、第1位置に位置する箱体をロボットハンドが把持することができる位置と、第2位置に位置する箱体をロボットハンドが把持することができる位置との間でハンド移動機構を移動させることが可能である。
【0017】
このため、この搬送処理システムでは、第1搬送装置の第1位置と第2位置を自由に設定することができると共に、一台の第4搬送装置によって第1搬送装置への箱体の搬入と、第1搬送装置からの箱体の搬出とを行わせることができる。
【0018】
本発明の第6局面に係る搬送処理システムは、第3局面から第5局面のいずれか一局面に係る搬送処理システムであって、箱体は、第1搬送装置へ搬入される前、棚に載置されている。そして、搬入動作では、棚に載置される箱体が第1姿勢で第1搬送装置の第1位置に搬送される。また、搬出動作では、第1搬送装置の第2位置から箱体が第3姿勢で棚に搬送される。
【0019】
このため、この搬送処理システムでは、第4搬送装置に搬入動作を行わせれば、棚から第1搬送装置の第1位置に第1姿勢で箱体を自動的に搬送することができ、第4搬送装置に搬出動作を行わせれば、第1搬送装置の第2位置から棚に第2姿勢で箱体を自動的に搬送することができる。
【0020】
本発明の第7局面に係る搬送処理システムは、第6局面に係る搬送処理システムであって、棚は、棚板および案内壁を有している。案内壁は、棚板の板面から垂直方向に延びている。なお、この棚板は、上方向に延びていてもよいし、下方向に延びていてもよい。また、第4搬送装置は、把持部を有している。把持部は、直動する。そして、案内壁は、直動する把持部を案内する。
【0021】
このため、この搬送処理システムでは、棚に箱体を置く際に箱体を案内壁に沿って置くことによって、棚から第1搬送装置の第1位置に箱体を搬送する際、把持部が箱体を把持しやすくすることができる。また、この搬送処理システムでは、第1搬送装置の第2位置から棚に箱体を搬送する際、把持部が箱体を棚に置きやすくすることができる。
【0022】
本発明の第8局面に係る搬送処理システムは、第3局面から第7局面のいずれか一局面に係る搬送処理システムであって、第1姿勢制御機構は、第11姿勢制御機構および第12姿勢制御機構を含む。第11姿勢制御機構は、箱体の姿勢を第1姿勢から、取っ手が上側に位置する第11姿勢に変える。第12姿勢制御機構は、箱体を水平面に沿って回転させて箱体の姿勢を第11姿勢から、正面が特定方向を向く第12姿勢に変える。第1搬送装置は、第1搬送機構、第2搬送機構、第3搬送機構および第4搬送機構をさらに有する。第1搬送機構には、第1位置が含まれる。第2搬送機構は、第11姿勢制御機構の搬送方向下流側に配設される。第3搬送機構は、第12姿勢制御機構の搬送方向下流側に配設される。第4搬送機構は、第2姿勢制御機構の搬送方向下流側に配設される。また、第4搬送機構には、第2位置が含まれる。そして、第11姿勢制御機構は、第1搬送機構の搬送方向下流側に配設される。また、第12姿勢制御機構は、第2搬送機構の搬送方向下流側に配設される。また、第2姿勢制御機構は、第3搬送機構の搬送方向下流側に配設される。
【0023】
この搬送処理システムを利用する場合、人で箱体を棚に移す際において、天壁または底壁が外側を向く姿勢で箱体を棚に置くことができる。すなわち、作業者は、箱体の取っ手を持ったまま棚の両側面から箱体を棚に挿入して置くことができる。このため、箱体の回収作業者は、その箱体を棚に置きやすくなる。一方、箱体を第2位置から棚に戻す際、ロボットハンドによって天壁または底壁が外側を向く姿勢で箱体を棚に置くことができる。すなわち、作業者は、棚の側面から手を入れた際に箱体の取っ手を掴みやすい。このため、箱体を元の場所に戻す際、作業者は、その箱体を元の場所に戻しやすくなる。
【0024】
本発明の第9局面に係る搬送処理システムは、第8局面に係る搬送処理システムであって、第1姿勢制御機構および第2姿勢制御機構は、縦回転機構である。縦回転機構は、箱体を把持して縦回転させる。
【0025】
この搬送処理システムでは、効率よく箱体の姿勢を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの制御系を示す概略ブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬送および開錠の対象となる一例の紙幣格納容器を正面側の右斜め上から見た外観斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬送および開錠の対象となる一例の紙幣格納容器を背面側の左斜め下から見た外観斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬送および開錠の対象となる他の例の紙幣格納容器を正面側の右斜め上から見た外観斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬送および開錠の対象となる他の例の紙幣格納容器を背面側の左斜め下から見た外観斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムを構成する第1搬入コンベアおよび搬入側姿勢変更装置を搬入側姿勢変更装置側の右斜め上から見た斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムを構成する搬入側姿勢変更装置の背面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬入側姿勢変更装置を構成する物品支持装置の斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬入側姿勢変更装置を構成する物品把持回転装置の斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムを構成する搬入側姿勢変更装置の背面図であって、物品把持回転装置のスライダが前進して把持部が紙幣格納容器BLを把持している様子を示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムを構成する搬出側姿勢変更装置および第2搬出コンベアを第2搬出コンベア側の右斜め上から見た斜視図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの搬出側姿勢変更装置を構成する物品支持装置の斜視図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームの平面図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係るロボットハンドを正面側の左斜め上から見たときの斜視図である。
【
図16】本発明の実施の形態に係るロボットハンドを背面側の右斜め上から見たときの斜視図である。
【
図17】本発明の実施の形態に係るロボットハンドを正面側の右斜め下から見たときの斜視図である。
【
図18】本発明の実施の形態に係るロボットハンドの左側面図である。
【
図19】本発明の実施の形態に係るロボットハンドの正面図である。
【
図22】本発明の実施の形態に係るロボットハンドにおいて多関節伸縮リンク機構が伸びている状態の左側面図である。
【
図23】本発明の実施の形態に係るロボットハンドにおいて多関節伸縮リンク機構が伸び切った状態の左側面図である。
【
図24】本発明の実施の形態に係る着脱式ぜんまいバネユニットの斜視図である。
【
図25】本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームの搬送対象となる紙幣収容箱が置かれる移動棚の正面図である。
【
図26】本発明の実施の形態に係るロボットハンド付きロボットアームの搬送対象となる物品が置かれる移動棚の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの構成>
本発明の実施の形態に係る搬送処理システム100は、
図1に示されるように、主に、搬送コンベアシステム200、開錠システム300、第2ロボットハンド付きロボットアーム400および制御装置700(
図2参照)から構成されている。なお、ここで、搬送コンベアシステム200、開錠システム300および第2ロボットハンド付きロボットアーム400は、
図2に示されるように制御装置700に通信接続されている。なお、
図2において符号350で示されるものは、紙幣取出し用の第1ロボットハンド付きロボットアームであって、これについては後述する。
【0028】
ところで、この搬送処理システム100では、第2ロボットハンド付きロボットアーム400によって紙幣格納容器BL,BS(
図3~
図6参照)が移動棚800(
図1、
図25および
図26参照)から搬送コンベアシステム200(
図1参照)に搬入される。そして、開錠システム300によってその紙幣格納容器BL,BSが開錠されてその紙幣格納容器BL,BSから紙幣が取り出された後、空の紙幣格納容器BL,BSが第2ロボットハンド付きロボットアーム400によって搬送コンベアシステム200から移動棚800に搬送される。以下、処理対象である紙幣格納容器BL,BSの構造等を説明した後に、搬送処理システム100の構成要素について詳述する。
【0029】
本発明の実施の形態に係る搬送処理システム100の搬送処理および開錠処理の対象となる紙幣格納容器は、二種類存在する。その片方が、
図3および
図4において符号BLで示される紙幣格納容器であり、もう片方が、
図5および
図6において符号BSで示される紙幣格納容器である。なお、これらの紙幣格納容器BL,BSの本質的な構成はほぼ同じであり、大きな相違点は寸法、錠の位置、突起部PT(
図5および
図6参照)の有無のみである。したがって、ここでは、紙幣格納容器BLについてのみ説明し、紙幣格納容器BSについては
図5および
図6における符号中の「S」を「L」に置き換えてご理解いただきたい。なお、紙幣格納容器BLは、幅寸法および奥行寸法が紙幣格納容器BSのそれらとほぼ同寸となっているが、背丈が紙幣格納容器BSよりも高くなっている。また、紙幣格納容器BSには側面に突起部PTが取り付けられているが、紙幣格納容器BLには突起部は取り付けられていない。
【0030】
紙幣格納容器BLは、
図3および
図4に示されるように、主に、筐体CL、前扉DL、取っ手HLおよび錠KLから構成されている。筐体CLは、
図3および
図4に示されるように、主に、天壁UL、底壁OL、右側壁RL、左側壁LLおよび背壁ALから形成されている。前扉DLは、筐体CLの天壁ULの前端に、上下方向に回動自在に取り付けられている。取っ手HLは、
図3に示されるように、天壁ULの幅方向中央において前後方向に延びるように天壁ULに取り付けられている。錠KLは、通常の回転式の錠であって、前扉DLの右下の角部に配設されている(紙幣格納容器BSでは錠KSは前扉DSの左下の角部に配設されている。)。この錠KLに鍵が挿入された状態で鍵が回されると、錠が開いたり閉じたりする。また、本発明の実施の形態においては、紙幣格納容器BLには、錠KLや前扉DLの裏側に、紙幣格納容器BLに関する情報を格納するICタグなどが埋め込まれている。このICタグには、例えば、紙幣格納容器BLに関する各種の情報、たとえば紙幣格納容器BLの種類や、セットされていた装置(例えば、スロットマシーン等のゲーム機など)の識別情報などが格納されている。
【0031】
1.搬送コンベアシステム
搬送コンベアシステム200は、
図1に示されるように、平面視において略コの字状を呈しており、主に、第1搬入コンベア210、搬入側姿勢変更装置220、第2搬入コンベア230、ターンテーブル(回転台)240、第1搬出コンベア250、搬出側姿勢変更装置260および第2搬出コンベア270から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0032】
(1)第1搬入コンベア
第1搬入コンベア210は、既存の自動搬送コンベアであって、
図1および
図7に示されるように第2ロボットハンド付きロボットアーム400の設置側から搬入側姿勢変更装置220の設置側に向かって直線的に延びている。なお、
図1および
図7に示されるように、この第1搬入コンベア210の第2ロボットハンド付きロボットアーム設置側の部位は、紙幣格納容器BL,BSの搬入位置ENとされている。
図1に示されるように、この搬入位置ENは、第2ロボットハンド付きロボットアーム400の把持可能範囲内に収まっている。また、この第1搬入コンベア210は、
図2に示されるように、制御装置700に通信接続されている。そして、その制御装置700によって第1搬入コンベア210の駆動源の出力が制御されている。
【0033】
(2)搬入側姿勢変更装置
搬入側姿勢変更装置220は、
図7および
図8に示されるように、主に、物品支持装置221、物品把持回転装置222および物品押出装置223から構成されている。なお、物品把持回転装置222は、
図7および
図8に示されるように物品押出装置223の上方に配設されており、物品把持回転装置222および物品押出装置223は、物品支持装置221の直ぐ傍に物品支持装置221と対向するように配設されている。以下、これらの構成要素について詳述した後、その動作について詳述する。
【0034】
(2-1)物品支持装置
物品支持装置221は、第1搬入コンベア210から搬送されてくる紙幣格納容器BL,BSを受け入れて支持する機能を有すると共に、物品把持回転装置222により紙幣格納容器BL,BSを90°縦回転させる際に、物品把持回転装置222による縦回転動作を実現させる機能を有する。物品支持装置221は、
図9に示されるように、主に、台座部TB、柱部TP、前側柱板部Pf、後側柱板部Pr、交差通路部Ac、案内側壁Wg、L字壁Ws、昇降台221B、昇降脚221C、搬出ローラユニット221Dおよびエアシリンダユニット221Eから構成されている。以下、これらの構成について詳述する。
【0035】
台座部TBは、
図9に示されるように略矩形状の厚板部材であって、
図7に示されるように柱部TPを基台BAに固定する役目を担っている。
【0036】
柱部TPは、
図9に示されるように略矩形状の厚板部材であって、台座部TBから上方に向かって延びている。この柱部TPは、
図9に示されるようにエアシリンダユニット221Eを支持している。
【0037】
前側柱板部Pfおよび後側柱板部Prは、
図7および
図9に示されるように略矩形状の板部材であって、柱部TPを挟むように前後方向に沿って配設されており、基台BAに固定されている。また、
図9に示されるように、この前側柱板部Pfおよび後側柱板部Prはそれぞれ交差通路部Acに締結されている。
【0038】
交差通路部Acは、平面視において昇降台221Bの左側(第2搬入コンベア側)に配設されており(
図7参照)、
図9に示されるように前側柱板部Pfおよび後側柱板部Prによって支持されている。
【0039】
案内側壁Wgは、第1搬入コンベア210を通って搬送されてくる紙幣格納容器BL,BSを昇降台221Bに案内するための平壁であって、昇降台221Bの前側の右側に配設されている。L字壁Wsは、平面視においてL字状を呈する壁であって、案内側壁部Lgおよび当接壁部Lsから形成されている。案内側壁部Lgは第1搬入コンベア210を通って搬送されてくる紙幣格納容器BL,BSを昇降台221Bに案内するための平壁部位であって、昇降台221Bの後側の右側に配設されている。当接壁部Lsは、いわゆるストッパであって、昇降台221Bの後側に配設されている。この当接壁部Lsは、第1搬入コンベア210を通って搬送されてくる紙幣格納容器BL,BSがそれ以上奥に行かないように塞き止める役目を担っている。
【0040】
昇降台221Bは、前側台部Yf、中央台部Yc、後側台部Yrおよび台連結部(図示せず)から形成されている。なお、前側台部Yf、中央台部Ycおよび後側台部Yrは、左右端で台連結部によって連結されている。また、
図9に示されるように、この昇降台221Bには、前側台部Yfと中央台部Ycとの間、および、中央台部Ycと後側台部Yrとの間にスリットが形成されている。なお、後述の通り、この2本のスリットには、昇降脚221Cの前側脚Bfおよび後側脚Brが昇降自在に挿通される。前側台部Yfは、略矩形の厚板部位である。そして、この前側台部Yfの左右の部位には一つずつローラRRが回転自在に設けられている。なお、これらのローラRRは、紙幣格納容器BL,BSの搬入方向Dnに沿って回転自在とされている。中央台部Ycは、平面視において略凹字状を呈する厚板部位であって、
図9に示されるように右側に切欠Rcが形成されている。なお、この切欠Rcは、物品把持回転装置222の把持部222Aが縦姿勢となってその爪部CRが下方にスライド移動する際に、その爪部CRが昇降台221Bに衝突しないように形成されている。また、
図9に示されるように、この中央台部Ycの切欠Rcの前後の部位に一つずつローラRRが回転自在に設けられていると共に、その切欠Rcの反対側(左側)の部位に三つのローラRRが回転自在に設けられている。なお、これらのローラRRは、紙幣格納容器BL,BSの搬入方向Dnに沿って回転自在とされている。後側台部Yrは、略矩形の厚板部位である。そして、この後側台部Yrの左右の部位には一つずつローラRRが回転自在に設けられている。なお、これらのローラRRは、紙幣格納容器BL,BSの搬入方向Dnに沿って回転自在とされている。そして、この昇降台221Bは、
図7に示されるように切欠Rcが物品把持回転装置222を向くようにして配設されている。この昇降台221Bは、エアシリンダユニット221Eの第1エアシリンダに取り付けられており、その第1エアシリンダによって昇降可能とされている。なお、この昇降台221Bの最上昇位置は、
図9に示される位置とされており、最下降位置は、紙幣格納容器BL,BSが物品把持回転装置222によって回転される際に紙幣格納容器BL,BSが昇降台221Bに衝突しない位置とされている。
【0041】
昇降脚221Cは、紙幣格納容器BSをその奥行方向の中央部位で物品把持回転装置222の把持部222Aに把持させるために紙幣格納容器BSを持ち上げる役目を担うだけでなく、物品把持回転装置222によって姿勢変更された後の紙幣格納容器BL,BSをスムースに搬出ローラユニット221Dまで送り出すレールとしての役目を担うものであって、
図9に示されるように、主に、前側脚Bf、後側脚Brおよび脚連結部(図示せず)から形成されている。前側脚Bfは、
図9に示されるように昇降台221Bの前側のスリット内に配設されている。後側脚Brは、
図9に示されるように昇降台221Bの後側のスリット内に配設されている。脚連結部は、前後方向に延びる梁部であって、前側脚Bfと後側脚Brとをその裏側で連結している。なお、この脚連結部は、昇降台221Bの台連結部と重ならないように配設されている。そして、この昇降脚221Cは、エアシリンダユニット221Eの第2エアシリンダに取り付けられており、その第2エアシリンダによって昇降可能とされている。なお、この昇降脚221Cの最上昇位置は、背丈が低い紙幣格納容器BSの奥行方向中央部分を物品把持回転装置222の把持部222Aが把持することができる高さ位置であると共に、搬出ローラユニット221Dよりも僅かに高い位置とされており、最下降位置は、昇降台221Bの天面よりも低くなる位置とされている。
【0042】
搬出ローラユニット221Dは、物品把持回転装置222によって姿勢変更された紙幣格納容器BL,BSを、第2搬入コンベア230に送りやすくするためのものであって、
図9に示されるように、交差通路部Acの両脇部に配設されている。
【0043】
エアシリンダユニット221Eは、
図9に示されるように柱部TPに取り付けられている。このエアシリンダユニット221Eは、第1エアシリンダおよび第2エアシリンダから構成されている。そして、上述の通り、第1エアシリンダが昇降台221Bを昇降させ、第2エアシリンダが昇降脚221Cを昇降させる。なお、このエアシリンダユニット221Eの第1エアシリンダおよび第2エアシリンダは、それぞれ制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0044】
(2-2)物品把持回転装置
物品把持回転装置222は、いわゆるロータリーチャック装置であって、
図10に示されるように主に、把持部222A、回転軸部222B、スライダ222C、第1エアシリンダ222D、第2エアシリンダ222Eおよび台座222Fから構成されている。以下、これらの構成について詳述する。
【0045】
把持部222Aは、
図10に示されるように、主に、一対の爪部CRおよびスライドレール部SRおよび第3エアシリンダから構成されている。一対の爪部CRは、
図10に示されるようにスライドレール部SRの左右にスライド移動自在に取り付けられている。そして、これらの爪部CRは、第3エアシリンダユニットによりスライドレール部SRに沿って広げられたり狭められたりされる。なお、この第3エアシリンダユニットは、スライドレール部SRに取り付けられており、制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0046】
回転軸部222Bは、把持部222Aの第3エアシリンダユニットの裏側に取り付けられており、第1エアシリンダ222Dにより時計回りに90°あるいは反時計回りに90°回転される。すなわち、第1エアシリンダ222Dにより回転軸部222Bが回転させられると、それに伴って把持部222Aも回転することになる。
【0047】
スライダ222Cは、第1エアシリンダ222Dの裏側に取り付けられており、第2エアシリンダユニット222Eにより把持部222A、第1エアシリンダ222Dおよび回転軸部222Bを左右方向(物品支持装置221に向かう方向)にスライド移動させることができる。なお、このスライダ222Cの最前位置は、把持部222Aが紙幣格納容器BL,BSを把持することができる位置であり、最後位置は、物品支持装置221に送られてくる紙幣格納容器BL,BSが把持部222Aに衝突しない位置とされている。
【0048】
第1エアシリンダ222Dは、ロータリーエアシリンダであって、
図10に示されるようにスライダ222Cに固定されている。この第1エアシリンダ222Dは、上述の通り、把持部222Aを時計回りに90°あるいは反時計回りに90°回転させる。なお、この第1エアシリンダ222Dは、制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0049】
第2エアシリンダユニット222Eは、
図10に示されるように台座222Fの上に固定されている。この第2エアシリンダユニット222Eは、上述の通り、スライダ222Cを左右方向に沿ってスライド移動させる。なお、この第2エアシリンダユニット222Eは、制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0050】
(2-3)物品押出装置
物品押出装置223は、
図8に示されるように、主に、ピストンロッドRd、当接板HPおよびエアシリンダ223Aから構成されている。以下、これらの構成について詳述する。
【0051】
ピストンロッドRdは、エアシリンダ223Aにより出没自在となっている。なお、このピストンロッドRdの先端には当接板HPが取り付けられている。この当接板HPは、待機時において物品把持回転装置222の把持部222Aよりも後側に控えており(
図8参照)、作動時すなわち突出時において物品把持回転装置222の把持部222Aよりも前方の位置まで移動する。なお、この当接板HPの移動距離は、搬出ローラユニット221Dを介して紙幣格納容器BL,BSを第2搬入コンベア230に送るのに必要な距離とされている。
【0052】
エアシリンダ223Aは、当接板HPの後方に配設されている。このエアシリンダ223Aは、上述の通り、ピストンロッドRdを出没させる。なお、このエアシリンダ223Aは、制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0053】
(2-4)搬入側姿勢変更装置の動作説明
以下、搬入側姿勢変更装置220が紙幣格納容器BL,BSを姿勢変更する、すなわち紙幣格納容器BL,BSを縦回転する制御態様について詳述する。なお、搬入側姿勢変更装置220において紙幣格納容器BL,BSの識別は、紙幣格納容器BL,BSに埋め込まれているRFIDタグ内のデータが読み取られることによって行われる。また、紙幣格納容器BL,BSが天壁UL,USが前を向いているか、底壁OL,OSが前を向いているかは、物品支持装置221の上方に配設される撮像器(図示せず)で得られる画像データに基づいて判断される。
【0054】
(2-4-1)紙幣格納容器BLの縦回転の制御態様
搬入側姿勢変更装置220は、最初、
図8および
図9に示される状態となっている。この状態で紙幣格納容器BLが搬送されてきて、紙幣格納容器BLが物品支持装置221の昇降台221B上に載った状態となると、物品支持装置221のL字壁Wsの近傍に配設された赤外線センサ(図示せず)によってその状態が検知され、その検知信号が制御装置700に送信される。そして、制御装置700は、その検知信号を受信すると、物品支持装置221の昇降台221Bを最上昇位置まで上昇させる。次に、制御装置700は、物品把持回転装置222のスライダ222Cを前進させた後(
図11参照)、物品把持回転装置222の把持部222Aに紙幣格納容器BLを把持させる。次に、制御装置700は、物品支持装置221の昇降台221Bを最降下位置まで降下させる。次いで、制御装置700は、物品把持回転装置222の第1エアシリンダ222Dにより物品把持回転装置222の把持部222Aを時計回りに90°あるいは反時計回りに90°回転させる。なお、紙幣格納容器BLの底壁OLが前(すなわち搬入方向Dn)を向いている場合、第1エアシリンダ222Dは把持部222Aを反時計方向(天壁ULを上に向かせる方向)に回転させ、紙幣格納容器BLの天壁ULが前を向いている場合、第1エアシリンダ222Dは、把持部222Aを時計方向(天壁ULを上に向かせる方向)に回転させる。続いて、制御装置700は、物品支持装置221の昇降台221Bを最上昇位置まで上昇させると共に、昇降脚221Cを最上昇位置まで上昇させる。このとき、昇降脚221Cが紙幣格納容器BLの底壁OLに当接して紙幣格納容器BLを支えるかたちとなる。続いて、制御装置700は、把持部222Aに紙幣格納容器BLを放させた後、物品把持回転装置222のスライダ222Cを後退させる。その後、制御装置700は、物品押出装置223のエアシリンダ223Aにより紙幣格納容器BLを昇降台221Bから押し出し、搬出ローラユニット221Dを介して第2搬入コンベア230に移動させる。
【0055】
(2-4-2)紙幣格納容器BSの縦回転の制御態様
制御装置700が赤外線センサから検知信号を受信するところまでは(2-4-1)の項で説明した通りであるので、その説明を省略する。制御装置700は、赤外線センサから検知信号を受信すると、物品支持装置221の昇降台221Bおよび昇降脚221Cをそれぞれの最上昇位置まで上昇させる。次に、制御装置700は、物品把持回転装置222のスライダ222Cを前進させた後、物品把持回転装置222の把持部222Aに紙幣格納容器BSを把持させる。次に、制御装置700は、物品支持装置221の昇降台221Bおよび昇降脚221Cを最降下位置まで降下させる。次いで、制御装置700は、物品把持回転装置222の第1エアシリンダ222Dにより物品把持回転装置222の把持部222Aを時計回りに90°あるいは反時計回りに90°回転させる。なお、紙幣格納容器BSの底壁OSが前(すなわち搬入方向Dn)を向いている場合、第1エアシリンダ222Dは把持部222Aを反時計方向(天壁USを上に向かせる方向)に回転させ、紙幣格納容器BSの天壁USが前を向いている場合、第1エアシリンダ222Dは、把持部222Aを時計方向(天壁USを上に向かせる方向)に回転させる。続いて、制御装置700は、物品支持装置221の昇降台221Bを最上昇位置まで上昇させると共に、昇降脚221Cを最上昇位置まで上昇させる。このとき、昇降脚221Cが紙幣格納容器BSの底壁OSに当接して紙幣格納容器BSを支えるかたちとなる。以降の動作は、(2-4-1)の項で説明した通りであるので、その説明を省略する。
【0056】
(3)第2搬入コンベア
第2搬入コンベア230は、既存の自動搬送コンベアであって、
図1に示されるように搬入側姿勢変更装置220の設置側からターンテーブル240の設置側に向かって直線的に延びている。なお、
図1に示されるように、平面視において、この第2搬入コンベア230の搬送方向は、第1搬入コンベア210の搬入方向Dnと直交している。なお、この第2搬入コンベア230は、
図2に示されるように、制御装置700に通信接続されている。そして、その制御装置700によって第2搬入コンベア230の駆動源の出力が制御されている。
【0057】
(4)ターンテーブル
ターンテーブル240は、既存のターンテーブルであって、載置物を水平面に沿って回転させる。なお、このターンテーブル240は、
図2に示されるように、制御装置700に通信接続されている。そして、その制御装置700によってターンテーブル240の駆動源の出力や回転角度が制御されている。
【0058】
(5)第1搬出コンベア
第1搬出コンベア250は、既存の自動搬送コンベアであって、
図1に示されるようにターンテーブル240の設置側から搬出側姿勢変更装置260の設置側に向かって直線的に延びている。なお、
図1に示されるように、平面視において、この第1搬出コンベア250の搬出方向は、第2搬入コンベア230の搬入方向と同一方向であり、第1搬入コンベア210の搬入方向Dnと直交している。なお、この第1搬出コンベア250は、
図2に示されるように、制御装置700に通信接続されている。そして、その制御装置700によって第1搬出コンベア250の駆動源の出力が制御されている。
【0059】
(6)搬出側姿勢変更装置
搬出側姿勢変更装置260は、
図12に示されるように、主に、物品支持装置261、物品把持回転装置262、物品押出装置263および物品引込装置264から構成されている。なお、物品把持回転装置262は、物品支持装置
261の直ぐ傍に物品支持装置
261と対向するように配設されており、物品押出装置263は物品支持装置
261の後方に配設されている。また、物品引込装置264は、物品支持装置261に配設されている。以下、これらの構成要素について詳述した後、その動作について詳述する。
【0060】
(6-1)物品支持装置
物品支持装置261は、第1搬出コンベア250から搬送されてくる紙幣格納容器BL,BSを受け入れて支持する機能を有すると共に、物品把持回転装置262により紙幣格納容器BL,BSを90°縦回転させる際に、物品把持回転装置262による縦回転動作を実現させる機能を有する。物品支持装置261は、
図13に示されるように、主に、台座部QB、柱部QP、前側柱板部Rf、後側柱板部Rr、交差通路部Ic、昇降台261B、昇降脚261C、搬入ローラユニット261Dおよびエアシリンダユニット261Eから構成されている。以下、これらの構成について詳述する。
【0061】
台座部QBは、
図13に示されるように略矩形状の厚板部材であって、
図12に示されるように柱部QPを基台BBに固定する役目を担っている。
【0062】
柱部QPは、
図13に示されるように略矩形状の厚板部材であって、台座部QBから上方に向かって延びている。この柱部QPは、
図13に示されるようにエアシリンダユニット261Eを支持している。
【0063】
前側柱板部Rfおよび後側柱板部Rrは、
図12および
図13に示されるように略矩形状の板部材であって、柱部QPを挟むように前後方向に沿って配設されており、基台BBに固定されている。なお、前側柱板部Rfおよび後側柱板部Rrの上側部分は、第1搬出コンベア250を通って搬送されてくる紙幣格納容器BL,BSを昇降台261Bに案内する役目を担っている。また、
図13に示されるように、この前側柱板部Rfおよび後側柱板部Rrはそれぞれ交差通路部Icに隣接している。
【0064】
交差通路部Icは、平面視において昇降台261Bの右側(第1搬出コンベア側)に配設されており(
図12参照)、
図13に示されるように前側柱板部Rfおよび後側柱板部Rrによって支持されている。なお、
図13に示されるように、この交差通路部Icの前後には一対の搬入ローラユニット261Dが配設されており、その中央には物品引込装置264が配設されている。
【0065】
昇降台261Bは、左側台部Zl、中央台部Zc、右側台部Zrおよび台連結部(図示せず)から形成されている。なお、左側台部Zl、中央台部Zcおよび右側台部Zrは、前後端で台連結部によって連結されている。また、
図13に示されるように、この昇降台261Bには、左側台部Zlと中央台部Zcとの間、および、中央台部Zcと右側台部Zrとの間にスリットが形成されている。なお、後述の通り、この2本のスリットには、昇降脚261Cの左側脚Nlおよび右側脚Nrが昇降自在に挿通される。左側台部Zlは、中央に切欠Rcを有する略矩形の厚板部位である。なお、この切欠Rcは、物品把持回転装置262の把持部が縦姿勢となってその爪部が下方にスライド移動する際に、その爪部が昇降台261Bに衝突しないように形成されている。そして、この左側台部Zlの前後の部位には一つずつローラRRが回転自在に設けられている。なお、これらのローラRRは、紙幣格納容器BL,BSの搬入方向Dnに沿って回転自在とされている。中央台部Zcは、平面視において略矩形を呈する厚板部位である。また、
図13に示されるように、この中央台部Zcの前後の部位に一つずつローラRRが回転自在に設けられている。なお、これらのローラRRは、紙幣格納容器BL,BSの搬入方向Dnに沿って回転自在とされている。右側台部Zrは、略矩形の厚板部位である。そして、この右側台部Zrの前後の部位には一つずつローラRRが回転自在に設けられている。なお、これらのローラRRは、紙幣格納容器BL,BSの搬入方向Dnに沿って回転自在とされている。そして、この昇降台261Bは、
図13に示されるように切欠Rcが物品把持回転装置262を向くようにして配設されている。この昇降台261Bは、エアシリンダユニット261Eの第1エアシリンダに取り付けられており、その第1エアシリンダによって昇降可能とされている。なお、この昇降台261Bの最上昇位置は、
図13に示される位置とされており、最下降位置は、紙幣格納容器BL,BSが物品把持回転装置262によって回転される際に紙幣格納容器BL,BSが昇降台261Bに衝突しない位置とされている。
【0066】
昇降脚261Cは、紙幣格納容器BSをその奥行方向の中央部位で物品把持回転装置262の把持部262Aに把持させるために紙幣格納容器BSを持ち上げる役目を担うだけでなく、物品把持回転装置222によって姿勢変更された後の紙幣格納容器BL,BSをスムースに第2搬出コンベア270まで送り出すレールとしての役目を担うものであって、
図13に示されるように、主に、左側脚Nl、右側脚Nrおよび脚連結部(図示せず)から形成されている。左側脚Nlは、
図13に示されるように昇降台261Bの左側のスリット内に配設されている。右側脚Nrは、
図13に示されるように昇降台261Bの右側のスリット内に配設されている。脚連結部は、左右方向に延びる梁部であって、左側脚Nlと右側脚Nrとをその裏側で連結している。なお、この脚連結部は、昇降台261Bの台連結部と重ならないように配設されている。そして、この昇降脚261Cは、エアシリンダユニット261Eの第2エアシリンダに取り付けられており、その第2エアシリンダによって昇降可能とされている。なお、この昇降脚261Cの最上昇位置は、背丈が低い紙幣格納容器BSの奥行方向中央部分を物品把持回転装置222の把持部222Aが把持することができる高さ位置であると共に、搬入ローラユニット261Dよりも僅かに高い位置とされており、最下降位置は、昇降台261Bの天面よりも低くなる位置とされている。
【0067】
搬入ローラユニット261Dは、第1搬出コンベア250から送られてくる紙幣格納容器BL,BSを昇降台261Bに送りやすくするためのものであって、
図13に示されるように、交差通路部Icの前後(両脇部)に配設されている。
【0068】
エアシリンダユニット261Eは、
図13に示されるように柱部QPに取り付けられている。このエアシリンダユニット261Eは、第1エアシリンダおよび第2エアシリンダから構成されている。そして、上述の通り、第1エアシリンダが昇降台261Bを昇降させ、第2エアシリンダが昇降脚261Cを昇降させる。なお、このエアシリンダユニット261Eの第1エアシリンダおよび第2エアシリンダは、それぞれ制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0069】
(6-2)物品把持回転装置
物品把持回転装置262は、搬入側姿勢変更装置220の物品把持回転装置222と同一であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0070】
(6-3)物品押出装置
物品押出装置263は、
図12に示されるように、主に、ピストン263Aおよびエアシリンダユニット(図示せず)から構成されている。以下、これらの構成について詳述する。
【0071】
ピストン263Aは、エアシリンダユニットにより出没自在となっている。なお、このピストン263Aの先端には当接板HPが取り付けられている。このピストン263Aの当接板HPは、待機時において物品支持装置261の後側に控えており(
図12参照)、作動時すなわち突出時において物品支持装置261の前側の位置まで移動する。なお、このピストン263Aの当接板HPの移動距離は、紙幣格納容器BL,BSを第2搬出コンベア270に送るのに必要な距離とされている。
【0072】
エアシリンダユニットは、ピストン263Aの後方に配設されている。このエアシリンダユニットは、上述の通り、ピストン263Aを出没させる。なお、このエアシリンダユニットは、制御装置700によって開閉制御される電磁弁(図示せず)および速度調整弁(図示せず)を用いて生成される空気流および空気圧によって作動させられる。この電磁弁および速度調整弁は、コンプレッサに繋がれている。
【0073】
(6-4)物品引込装置
物品引込装置264は、
図13に示されるように、主に、引込部材264A、ロータリーシリンダ(図示せず)および軸受け(図示せず)から構成されている。軸受けは、前側柱板部Rfおよび後側柱板部Rrに設けられている。引込部材264Aは、
図13に示されるように回動自在に軸受けに支持されている。すなわち、この引込部材264Aは、一対の搬入ローラユニット261Dの間に配設されている。なお、この引込部材264Aは、ロータリーシリンダによって作動される。
【0074】
(6-5)搬出側姿勢変更装置の動作説明
以下、搬出側姿勢変更装置260が紙幣格納容器BL,BSを姿勢変更する、すなわち紙幣格納容器BL,BSを縦回転する制御態様について詳述する。なお、搬出側姿勢変更装置260において紙幣格納容器BL,BSの識別は、紙幣格納容器BL,BSに埋め込まれているRFIDタグ内のデータが読み取られることによって行われる。また、紙幣格納容器BL,BSが天壁UL,USが前を向いているか、底壁OL,OSが前を向いているかは、物品支持装置261の上方に配設される撮像器(図示せず)で得られる画像データに基づいて判断される。
【0075】
(6-5-1)紙幣格納容器BLの縦回転の制御態様
搬出側姿勢変更装置260は、最初、
図12および
図13に示される状態となっている。この状態で紙幣格納容器BLが搬送されてきて、紙幣格納容器BLが物品支持装置261の昇降台261B上に載った状態となると、物品支持装置261の後側柱板部Rrの近傍に配設された赤外線センサ(図示せず)によってその状態が検知され、その検知信号が制御装置700に送信される。そして、制御装置700は、その検知信号を受信すると、物品引込装置264を作動させて引込部材264Aにより紙幣格納容器BLを完全に昇降台261B上に載せる。次に、制御装置700は、物品支持装置261の昇降台261Bを最上昇位置まで上昇させる。次に、制御装置700は、物品把持回転装置262のスライダを前進させた後、物品把持回転装置262の把持部262Aに紙幣格納容器BLを把持させる。次いで、制御装置700は、物品支持装置261の昇降台261Bを最降下位置まで降下させる。次いで、制御装置700は、物品把持回転装置262のエアシリンダ(ロータリーエアシリンダ)により物品把持回転装置262の把持部262Aを、搬入方向Dnからみて反時計回りに90°回転させる。なお、紙幣格納容器BLが時計回りに90°回転されると、紙幣格納容器BLは、底壁OLが前(搬出方向Dx)を向く姿勢となり、紙幣格納容器BLが反時計回りに90°回転されると、紙幣格納容器BLは、天壁ULが前(搬出方向Dx)を向く姿勢となる。なお、物品把持回転装置262の把持部262Aの回転方向は、制御装置700によって適宜決定される(例えば、移動棚800への紙幣格納容器BLの載置パターン等に基づいて決定される。)。続いて、制御装置700は、物品支持装置261の昇降台261Bを最上昇位置まで上昇させると共に、昇降脚261Cを最上昇位置まで上昇させる。このとき、昇降脚261Cが紙幣格納容器BLの背壁ALに当接して紙幣格納容器BLを支えるかたちとなる。続いて、制御装置700は、把持部262Aに紙幣格納容器BLを放させた後、物品把持回転装置262のスライダを後退させる。その後、制御装置700は、物品押出装置263のピストン263Aにより紙幣格納容器BLを昇降台261Bから押し出して第2搬出コンベア270に移動させる。
【0076】
(6-5-2)紙幣格納容器BSの縦回転の制御態様
制御装置700が物品引込装置264を作動させて引込部材264Aにより紙幣格納容器BSを完全に昇降台261B上に載せるところまでは(6-5-1)の項で説明した通りであるので、その説明を省略する。制御装置700は、引込部材264Aにより紙幣格納容器BSを完全に昇降台261B上に載せると、物品支持装置261の昇降脚261Cを最上昇位置まで上昇させる。次に、制御装置700は、物品把持回転装置262のスライダを前進させた後、物品把持回転装置262の把持部262Aに紙幣格納容器BSを把持させる。次いで、制御装置700は、物品支持装置261の昇降台261Bおよび昇降脚261Cを最降下位置まで降下させる。続いて、制御装置700は、物品把持回転装置262の回転部により物品把持回転装置262の把持部262Aを、搬入方向Dnからみて反時計回りに90°回転させる。続いて、制御装置700は、物品支持装置261の昇降台261Bを最上昇位置まで上昇させると共に、昇降脚261Cを最上昇位置まで上昇させる。このとき、昇降脚261Cが紙幣格納容器BSの背壁ASに当接して紙幣格納容器BSを支えるかたちとなる。以降の動作は、(6-5-1)の項で説明した通りであるので、その説明を省略する。
【0077】
(7)第2搬出コンベア
第2搬出コンベア270は、既存の自動搬送コンベアであって、
図1および
図12に示されるように搬出側姿勢変更装置260の設置側から第2ロボットハンド付きロボットアーム400の設置側に向かって直線的に延びている。なお、
図1および
図12に示されるように、この第2搬出コンベア270の第2ロボットハンド付きロボットアーム設置側の部位は、紙幣格納容器BL,BSの搬出位置EXとされている。
図1に示されるように、この搬出位置EXは、第2ロボットハンド付きロボットアーム400の把持可能範囲内に収まっている。また、
図1に示されるように、平面視において、この第2搬出コンベア270の搬出方向Dxは、第2搬入コンベア230および第1搬出コンベア250の搬送方向と直交しており、第1搬入コンベア210の搬入方向Dnと平行の関係にある。なお、この第2搬出コンベア270は、
図2に示されるように、制御装置700に通信接続されている。そして、その制御装置700によって第2搬出コンベア270の駆動源の出力が制御されている。
【0078】
2.開錠システム
開錠システム300は、
図1に示されるように、主に、鍵付きロボットアーム310、撮像器320、物品検出器330および第1ロボットハンド付きロボットアーム350から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0079】
(1)鍵付きロボットアーム
鍵付きロボットアーム310は、ロボットアームの先端に鍵を取り付けたものである。使用するロボットアームの種類は、特に限定されないが、例えば、既存の六軸ロボットアーム等であり得る。なお、このロボットアームの先端部は回転可能な構造とされており、このロボットアームの先端部によって鍵が回転可能になっている。なお、この鍵付きロボットアーム310は、紙幣格納容器BL,BSの錠KL,KSを開けて前扉DL,DSを引き上げて開ける役目のみならず、その後に紙幣格納容器BL,BSの前扉DL,DSを閉じて錠KL,KSをかける役目も担っている。
【0080】
(2)撮像器
撮像器320は、鍵付きロボットアーム310の近傍に固定されている。この撮像器320は、制御装置700の指令に従って紙幣格納容器BL,BSを撮像して画像データを生成し、その画像データを制御装置700に送信する。そして、制御装置700によってその画像データが解析されて、紙幣格納容器BL,BSの種類が特定される。
【0081】
(3)物品検出器
物品検出器330は、鍵付きロボットアーム310の近傍に固定されている。この物品検出器330は、制御装置700の指令に従って紙幣格納容器BL,BSのICタグとRFID通信を行って、そのICタグの各種データを読み出し、その各種データを制御装置700に送信する。そして、制御装置700によってその画像データが解析されて、紙幣格納容器BL,BSの種類が特定される。そして、制御装置700は、その各種データ、および、上記撮像器320からの画像データに基づいて、紙幣格納容器BL,BSの種類や寸法のデータを取得すると共に、錠KL、KSの座標データや、錠KL、KSの角度データを導出し、それらのデータに基づいて制御信号を生成して、その制御信号を鍵付きロボットアーム310に送信し、鍵付きロボットアーム310に対して紙幣格納容器BL,BSの開錠処理を実行させる。また、制御装置700は、画像データ中に紙幣格納容器BL,BSに錠KL、KSが存在しないと判断した場合、ターンテーブル240を制御して、紙幣格納容器BL,BSの向きを変更させる。
【0082】
(4)第1ロボットハンド付きロボットアーム
本発明の実施の形態に係る第1ロボットハンド付きロボットアーム350は、
図1に示されるように、主に、ロボットアーム360および第1ロボットハンド370から構成されている。なお、この第1ロボットハンド付きロボットアーム350は、前扉DL,DSが開かれた状態の紙幣格納容器BL,BSから紙幣を引き抜く役割を担っている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0083】
(4-1)ロボットアーム
ロボットアーム360は、特に限定されないが、例えば、既存の六軸ロボットアーム等である。
【0084】
(4-2)第1ロボットハンド
第1ロボットハンド370は、前扉DL,DSが開かれた状態の紙幣格納容器BL,BSから紙幣を引き抜く役割を担うものである。この第1ロボットハンド370としては、例えば、特許6773856号明細書や、特許第6756018号明細書、特許第6587326号明細書、特許第6587325号明細書に開示されるものを利用することができる。なお、この第1ロボットハンド370には、錠KL,KSの座標データや、錠KL,KSの角度データ、紙幣の有無を認識するための撮像器380が取り付けられている(
図1参照)。
【0085】
3.第2ロボットハンド付きロボットアーム
本発明の実施の形態に係る第2ロボットハンド付きロボットアーム400は、
図14に示されるように、主に、ロボットアーム500および第2ロボットハンド600から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0086】
(1)ロボットアーム
ロボットアーム500は、特に限定されないが、例えば、既存の六軸ロボットアーム等である(
図14参照)。
【0087】
(2)第2ロボットハンド
第2ロボットハンド600は、
図15から
図23に示されるように、主に、電動機610、フレーム620、リンク機構630、吸着ヘッドユニット640、着脱式ぜんまいバネユニット650、可撓チューブ660、センサ取付板670および距離センサ680から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0088】
(2-1)電動機
電動機610は、正逆回転可能な電動機であって、その回転軸がボールネジ615の回転軸と一致するようにボールネジ615に取り付けられている。すなわち、このボールネジ615は、電動機610の回転方向を切り換えることによって水平スライダ(後述)SHのスライド方向を切り換えることができる。なお、本実施の形態においてこの電動機610には負荷検出装置(図示せず)が接続されており、同負荷検出装置によって電動機610の負荷が検出される。
【0089】
(2-2)フレーム
フレーム620は、
図15から
図23に示されるように、主に、天板621、底板622、背面板623、後方側面板624および前方側面L字板625から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0090】
天板621は、
図15等に示されるように略長方形状の板部材であって第2ロボットハンド600の上側を覆っている。
図15~
図18に示されるように、この天板621の前部の下側には、回転軸が後端に向かって延びるように電動機610が固定されている。また、
図15および
図16に示されるように天板621の長手方向の中央位置よりも僅か後側にロボットアーム取付用の金具628が装着されている。また、
図17および
図18等に示されるように、この天板621の裏側(下面側)にはボールネジ615が配設されている。
【0091】
底板622は、
図17等に示されるように略長方形状の板部材であって、第2ロボットハンド600の下側を覆っている。なお、この底板622のうち前側部分622A(
図15および
図17参照)は、物品の載置台として機能する。また、
図17等に示されるように、この底板622の略中央には長方形状の開口OPが形成されている。この開口OPは、着脱式ぜんまいバネユニット650を装着することができる大きさとされている。また、
図17に示されるように、この底板622の開口OPの両側の縁部には支持爪622Bが設けられている。この支持爪622Bは、着脱式ぜんまいバネユニット650のシャフト653を着脱自在に支持するものである。また、この底板622の裏側面の前端部分および後端部分にはそれぞれ左右一対の脚LGが取り付けられており、底板622の開口OPのやや後側の裏側面にセンサ取付板670が取り付けられている。
【0092】
背面板623は、
図15および
図18に示されるように略長方形状の板部材であって、第2ロボットハンド600の背面側を覆っている。また、この背面板623の前面には後側垂直レールRVrおよび後側支持突起部623Aが形成されている。
図20および
図21に示されるように、この後側垂直レールRVrには、上下方向にスライド移動自在となるように後側垂直スライダSVrが取り付けられている。後側支持突起部623Aは、背面板623の前面から前方に延びる突起部位である。後述の通り、この後側支持突起部623Aには、第4リンクピンP4によって第2節K2が基端部で回動自在に取り付けられている。
【0093】
後方側面板624は、天板621および底板622を支持する支柱として機能するものであって、
図15および
図16に示されるように背面板の後側に左右一対設けられている。
【0094】
前方側面L字板625は、側面視において略L字状を呈する板部材であって、
図15および
図18等に示されるように、第2ロボットハンド600の前端部の側面を覆っている。この前方側面L字板625は、
図15および
図18等に示されるように、主に、垂直側壁部625Aおよび水平側壁部625Bから形成されている。垂直側壁部625Aは、後方側面板624と同様、天板621および底板622を支持する支柱として機能している。一方、水平側壁部625Bは、
図15等に示されるように底板622の前側部分622Aにおける側壁となり、吸着ヘッドユニット640を前方に導く案内壁として機能する。具体的には、この水平側壁部625Bの内側面に対して吸着ヘッドユニット640のガイドローラ645が接触して転がりながら吸着ヘッドユニット640を前方に導くことになる。また、
図15等に示される通り、水平側壁部625Bの全部は幅方向外方に向かって僅かに開いている。これは、吸着ヘッドユニット640が引き込んでくる物品を受け入れやすいようにするためである。
【0095】
(2-3)リンク機構
リンク機構630は、例えば、マジックハンド等に利用される伸縮可能なレージトング式リンク機構であって、本実施の形態では
図22~
図23に示されるように14本の節(リンク)K1~14、21本のリンクピンP1~23、後側垂直スライダSVrおよび水平スライダSHから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0096】
節(リンク)K1~14は板棒状の部材であり、リンクピンP1~23は節K1~14の基端部、中央部および先端部を軸支してリンク機構630を形成する部材である。なお、以下、節(リンク)K1~14およびリンクピンP1~23のみで構成された構造体を伸縮構造体と称することがある。また、この図中、この伸縮構造体を符号KPで示す。
【0097】
ここで、第1節K1は、第1リンクピンP1によって基端部で後側垂直スライダSVrに対して回動自在に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。また、この第1節K1は、第2リンクピンP2によって中央部で第2節K2の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第3リンクピンP3によって先端部で第4節K4の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。なお、
図21~23等に示されるように、この第3リンクピンP3には水平スライダSHが連結されている。
【0098】
第2節K2は、第4リンクピンP4によって基端部で後側支持突起部623Aに対して回動自在に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。また、この第2節K2は、第2リンクピンP2によって中央部で第1節K1の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第5リンクピンP5によって先端部で第3節K3の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0099】
第3節K3は、第5リンクピンP5によって基端部で第2節K2の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第6リンクピンP6によって中央部で第4節K4の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第7リンクピンP7によって先端部で第6節K6の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0100】
第4節K4は、第3リンクピンP3によって基端部で第1節K1の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第6リンクピンP6によって中央部で第3節K3の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第8リンクピンP8によって先端部で第5節K5の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0101】
第5節K5は、第8リンクピンP8によって基端部で第4節K4の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第9リンクピンP9によって中央部で第6節K6の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第10リンクピンP10によって先端部で第8節K8の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0102】
第6節K6は、第7リンクピンP7によって基端部で第3節K3の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第9リンクピンP9によって中央部で第5節K5の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第11リンクピンP11によって先端部で第7節K7の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0103】
第7節K7は、第11リンクピンP11によって基端部で第6節K6の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第12リンクピンP12によって中央部で第8節K8の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第13リンクピンP13によって先端部で第10節K10の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0104】
第8節K8は、第10リンクピンP10によって基端部で第5節K5の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第12リンクピンP12によって中央部で第7節K7の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第14リンクピンP14によって先端部で第9節K9の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0105】
第9節K9は、第14リンクピンP14によって基端部で第8節K8の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第15リンクピンP15によって中央部で第10節K10の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第16リンクピンP16によって先端部で第12節K12の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0106】
第10節K10は、第13リンクピンP13によって基端部で第7節K7の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第15リンクピンP15によって中央部で第9節K9の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第17リンクピンP17によって先端部で第11節K11の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0107】
第11節K11は、第17リンクピンP17によって基端部で第10節K10の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第18リンクピンP18によって中央部で第12節K12の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第19リンクピンP19によって先端部で第14節K14の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0108】
第12節K12は、第16リンクピンP16によって基端部で第9節K9の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第18リンクピンP18によって中央部で第11節K11の中央部に対して回動可能に取り付けられており、第20リンクピンP20によって先端部で第13節K13の基端部に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0109】
第13節K13は、第20リンクピンP20によって基端部で第12節K12の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第21リンクピンP21によって中央部で第14節K14の中央部に対して回動可能に取り付けられている(
図20および
図21等参照)。また、この第13節K13は、第22リンクピンP22によって先端部で吸着ヘッドユニット640の前側支持突起部646に対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0110】
第14節K14は、第19リンクピンP19によって基端部で第11節K11の先端部に対して回動自在に取り付けられており、第21リンクピンP21によって中央部で第13節K13の中央部に対して回動可能に取り付けられている(
図23および
図21等参照)。また、この第14節K14は、第23リンクピンP23によって先端部で吸着ヘッドユニット640の前側垂直スライダSVfに対して回動可能に取り付けられている(
図20~
図23等参照)。
【0111】
なお、上述の通りに構成された伸縮構造体KPにおいて、14本の節K1~14は、仮想の垂直面Fp(
図19参照。同垂直面Fpは、
図19のI-I断面と重なる面になる。)に平行な仮想面に沿って移動することになる。
【0112】
後側垂直スライダSVrは、上述の通り、背面板623の後側垂直レールRVrを上下方向にスライド可能である(
図20および
図21等参照)。なお、この後側垂直スライダSVrは、水平スライダSHの前進に伴って上昇し、水平スライダSHの後退に伴って下降する。
【0113】
水平スライダSHは、
図20および
図21等に示されるようにボールネジ615に噛み合っており、ボールネジ615が正転した場合に前進し、ボールネジ615が逆転した場合に後退する。また、この水平スライダSHは、
図21~
図23等に示されるように第3リンクピンP3に連結されている。すなわち、この水平スライダSHが前後動することによって伸縮構造体KPが伸縮することになる。
【0114】
(2-4)吸着ヘッドユニット
吸着ヘッドユニット640は、
図15および
図19に示されるように、主に、前面パネル641、支持板642、吸着パッドユニット643、車輪644、ガイドローラ645、前側垂直レールRVf、前側垂直スライダSVfおよび前側支持突起部646から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0115】
前面パネル641は、
図19に示されるように、正面視において逆凸字状を呈する板部材であって、主に、主板部641aおよび下側突起部641bから構成されている。主板部641aは、
図19に示されるように正面視において略長方形状の板部位である。
図19に示されるように、正面視において、主板部641aの下側部位の左右両端部には吸着パッド643bが3つずつ固定されている。なお、左右の吸着パッド643bの距離は、紙幣格納容器BL,BSの取っ手HL,HSが縦方向に向いたときにその取っ手HL,HSと重ならず取っ手HL,HSを挟みこむ距離とされている。また、
図16、
図20および
図21に示される通り、この主板部641aの裏側面の上部から後方に向かって前側支持突起部646が延びている。また、
図22および
図23に示される通り、この主板部641aの裏側面の幅方向両端部から後方に向かって支持板642が延びている。また、
図20および
図21に示されるように、この主板部641aの裏側面には、上下方向に沿って前側垂直レールRVfが配設されている。下側突起部641bは、
図19に示されるように正面視において略正方形の板部位であって、主板部641aの下辺中央から下方に向かって延びている。この下側突起部641bには、着脱式ぜんまいバネユニット650の締結ブロック654がネジ止めされる。なお、この際用いられるネジは着脱自在なネジである。
【0116】
支持板642は、
図22および
図23に示されるように吸着パッドユニット643の配管ユニット643aを支持するための板部材であって、上述の通り、前面パネル641の主板部641aの裏側面の幅方向両端部から後方に向かって延びている。また、この支持板642の前側の下部には一対の車輪644が軸支されている。
【0117】
吸着パッドユニット643は、
図15および
図16等に示されるように、主に、配管ユニット643a、吸着パッド643bおよび弾性連接管643cから構成されている。配管ユニット643aは、1本の主管MPおよび3本の分岐管BPから構成されている。なお、主管MPは3本全ての分岐管BPと連通している。そして、
図21および
図22に示されるように、主管MPには基端側で可撓チューブ660と接合されており、各分岐管BPには弾性連接管643cが接合されている。そして、各弾性連接管643cの先端側に吸着パッド643bが接合されている。なお、弾性連接管643cには、コイルスプリング等の弾性部が設けられている。弾性部は、弾性連接管643cの先端部を前方に付勢している。すなわち、吸着パッド643bは、弾性連接管643cの先端部を介して前方に向かって付勢されている。このため、吸着パッド643bが物品に当接して吸着パッド643bに負荷がかかった場合、弾性連接管643cの先端部および吸着パッド643bは、弾性部の弾性力に抗して僅かに後退し、負荷がかからなくなると弾性部の弾性力によって元の位置に復帰する。吸着パッド643bは、可撓性素材から形成される伸縮可能な部材である。
【0118】
車輪644は、上述の通り、支持板642の前側の下部に軸支されている。すなわち、この車輪644の回転軸は幅方向に平行な方向に沿うことになる。この車輪644は、フレーム620の底板622の前側部分622Aの上面上を転がると共に、フレーム620の底板622の前側部分622Aの前端部を超えると棚の棚板の上を転がっていく。
【0119】
ガイドローラ645は、上下方向を回転軸とする柱状の回転体であって、上述の通り、前方側面L字板625の水平側壁部625Bの内側面に接触して転がりながら吸着ヘッドユニット640を前方に導く。また、棚の棚板に垂直の案内壁が設けられる場合、ガイドローラ645は、その案内壁の内側面に接触して転がりながら吸着ヘッドユニット640を前方に導く。
【0120】
前側垂直レールRVfは、
図20および
図21に示されるように、前面パネル641の裏側面において上下方向に沿って延びている。この前側垂直レールRVfには、上下方向にスライド移動自在となるように前側垂直スライダSVfが取り付けられている(
図20および
図21等参照)。
【0121】
前側垂直スライダSVfは、上述の通り、前側垂直レールRVfを上下方向にスライド可能である。なお、この前側垂直スライダSVfは、水平スライダSHの前進に伴って上昇し、水平スライダSHの後退に伴って下降する。また、上述の通り、この前側垂直スライダSVfには、第23リンクピンP23によって第14節K14が先端部で回動可能に取り付けられている。
【0122】
前側支持突起部646は、前面パネル641の裏側面から後方に延びる突起部位である。上述の通り、この前側支持突起部646には、第22リンクピンP22によって第13節K13が先端部で回動自在に取り付けられている。
【0123】
(2-5)着脱式ぜんまいバネユニット
着脱式ぜんまいバネユニット650は、
図24に示されるように、主に、ぜんまいバネ651、ホルダ652、シャフト653および締結ブロック654から構成されている。ぜんまいバネ651は、従前から存在するものであって、ホルダ652に巻き付くように付勢されている。すなわち、人の手でぜんまいバネ651が延ばされた後、人の手が離されるとぜんまいバネ651はその付勢力によってホルダ652に巻き付く。ホルダ652は、ぜんまいバネ651の片端を保持する円柱状の保持部材(ボビン)である。シャフト653は、
図24に示されるようにホルダ652の軸方向に沿ってホルダ652の両方向に向かって延びている。なお、このシャフト653は、上述の通り、
図17に示される支持爪622Bによって着脱自在に支持される。締結ブロック654は、ぜんまいバネ651のもう片端を吸着ヘッドユニット640の前面パネル641の下側突起部641bに固定するための部材であって、上述の通り、吸着ヘッドユニット640の前面パネル641の下側突起部641bにねじ止めされる。
【0124】
(2-6)可撓チューブ
可撓チューブ660は、
図15および
図16等に示される通り、元配管SPの出口側に接合されていると共に、上述の通り、吸着パッドユニット643の主管MPの基端側に接合されている。なお、
図15および
図16等に示されるように、元配管SPの入口には配管口MSが接合されており、その配管口MSはフレーム620の天板621の後端部に設けられている。また、この可撓チューブ660は、
図22および
図23に示されているように、リンク機構630の最伸長状態時にも対応する十分な長さとされている。
【0125】
(2-7)センサ取付板
センサ取付板670は、上述の通り、フレーム620の底板622の開口OPのやや後側の裏側面に取り付けられており、その両端側に距離センサ680を保持している。
【0126】
(2-8)距離センサ
距離センサ680は、正面側に位置する物品との距離を検出するセンサであって、上述の通り、センサ取付板670の両端側に保持されている。
【0127】
5.制御装置
制御装置700は、搬送コンベアシステム200、開錠システム300、第1ロボットハンド付きロボットアーム350および第2ロボットハンド付きロボットアーム400の駆動源等にそれぞれ通信接続されており、搬送コンベアシステム200、開錠システム300、第1ロボットハンド付きロボットアーム350および第2ロボットハンド付きロボットアーム400の駆動源等に対して制御信号を送ると共に、搬送コンベアシステム200および開錠システム300等の物品検出器330や撮像器320から各種信号やデータを受信している。
【0128】
<本発明の実施の形態に係る搬送処理システムの制御例>
ここでは、
図25および
図26に示される移動棚800に載置される紙幣格納容器BL,BSを搬送処理システム100で搬送して開錠処理する際の搬送処理システム100の制御例について説明する。
【0129】
制御例の説明に先立って、移動棚800、および、この移動棚800への紙幣格納容器BL,BSの回収方法規定について簡単に説明する。移動棚800は、
図25および
図26に示されるように、主に、底壁810、天壁830、角支柱840、中央支柱850、棚板820、案内板Wvおよび車輪Trから形成されている。なお、
図25に示されていないが、この移動棚800の正面側および背面側には通常ヒンジドアやスライドドアが取り付けられている。また、
図26に示されるように、この移動棚800には側壁は設けられていない。底壁810および天壁830は、同寸法を有する矩形の板部材である。なお、底壁810には、紙幣格納容器BL,BSを置くことができる。角支柱840および中央支柱850は、天壁830を支持するためのものであって、
図25および
図26に示されるように底壁810の上面の四隅および幅方向中央部から天壁830の下面の四隅および幅方向中央部まで延びている。棚板820は、紙幣格納容器BL,BSを置くためのものであって、底壁810および天壁830とほぼ同じ寸法を有する矩形の板部材である。棚板820は、
図25および
図26に示されるように底壁810、天壁830、角支柱840および中央支柱850によって囲まれる空間をそれぞれ、高さ方向に6つに仕切っている。また、
図25および
図26に示されるように、底壁810および棚板820には複数の案内板Wvが取り付けられている。これらの案内板Wvは、第2ロボットハンド600の吸着ヘッドユニット640を移動棚800の奥や手前へと案内するため、および、紙幣格納容器BL,BSを、間隔を空けて整列させるための略矩形の壁部材であって、
図25および
図26に示されるように底壁810および棚板820の上面から奥行方向に沿って上方に延びている。すなわち、この移動棚800では、正面側(
図25参照)のみならず背面側からも底壁810および棚板820に紙幣格納容器BL,BSを載置することができる。なお、これらの案内板Wvは、
図25に示されるように、紙幣格納容器BL,BSを収容することができる間隔(紙幣格納容器BSの場合、突起部PT(後述)に接触しない間隔)で配設されている。すなわち、隣接する案内板Wvと案内板Wvとの間の寸法は、紙幣格納容器BLの幅寸法、および、突起部PTを含めた紙幣格納容器BSの幅寸法より大きくなるように設計されている。車輪Trは4つ存在しており、各車輪Trは底壁810の下面の四隅に取り付けられている。これによりこの移動棚800は移動可能となっている。
【0130】
本発明の実施の形態では、この移動棚800に紙幣格納容器BL,BSを回収する方法が規定されている。その回収方法規定とは、「作業者が移動棚800に紙幣格納容器BL,BSを回収していく際、紙幣格納容器BL,BSの取っ手HL,HSを掴んで、その底壁OL,OSから紙幣格納容器BL,BSを移動棚800に押し込んでいく(
図25および
図26参照)。」というものである。
【0131】
以下、移動棚800に載置される紙幣格納容器BL,BSを搬送処理システム100で搬送して開錠処理する際の搬送処理システム100の制御例について説明する。
【0132】
先ず、この物品搬送ロボットの使用者は、移動棚800を規定の位置に規定の向きで固定してから搬送処理システム100を作動させる。搬送処理システム100が作動されると先ず、第2ロボットハンド付きロボットアーム400が作動し始める。初期位置で待機している第2ロボットハンド600が、ロボットアーム500によって、規定の高さ位置にまで持ち上げられると共に移動棚800の幅方向位置にまで移動させられながら、第2ロボットハンド600の正面が移動棚800の正面と対向し且つ伸縮構造体KPの構成面(仮想の垂直面Fp)が鉛直方向に平行になるように姿勢制御される。このとき、第2ロボットハンド600に設けられる一対の距離センサ680が、移動棚800の角支柱840と案内板Wv、中央支柱850と案内板Wv、または、隣接する案内板Wvと案内板Wvに対向している。次に、一対の距離センサ680の検出距離の差が許容範囲に収まるように(理想的には検出距離の差が0になるように)ロボットアーム500によって第2ロボットハンド600の姿勢が制御される(このとき、第2ロボットハンド600は、移動棚800の角支柱840と案内板Wv、中央支柱850と案内板Wv、または、隣接する案内板Wvと案内板Wvにほぼ正対している。)。次いで、第2ロボットハンド600の電動機610が作動し始め、リンク機構630が伸びていく。そして、吸着ヘッドユニット640が移動棚800にまで到達すると、ガイドローラ645が移動棚800の角支柱840と案内板Wv、中央支柱850と案内板Wv、または、隣接する案内板Wvと案内板Wvに接触して吸着ヘッドユニット640を移動棚800の奥へと導く。この際、車輪644は移動棚800の底壁810または棚板820を転がっていく。そして、負荷検出装置によって検出される電動機610の負荷が閾値を超過すると、電動機610を一旦停止させると共に減圧ポンプを動作させて吸着パッド643bによって紙幣格納容器BL,BSを吸着させる。その後、電動機610を逆転させて、リンク機構630を縮ませ、最終的に初期状態(収縮状態)に戻させる。このとき、第2ロボットハンド600の底板622の前側部分622Aに紙幣格納容器BL,BSが載置されている。この状態で、ロボットアーム500が第2ロボットハンド600を第1搬入コンベア210の搬入位置EN(
図1参照)まで移動させる。ロボットアーム500により第2ロボットハンド600が搬入位置ENに到達すると、第2ロボットハンド600の電動機610が作動し始め、リンク機構630が伸びていき、吸着ヘッドユニット640によって紙幣格納容器BL,BSが搬入位置ENに押し出される。なお、このようなロボットアーム500および第2ロボットハンド600の動作は全て、ロボットアーム500および第2ロボットハンド600に通信接続される制御装置700によって実現されている。
【0133】
第1搬入コンベア210の搬入位置ENに押し出された紙幣格納容器BL,BSは、その後、第1搬入コンベア210によって搬入側姿勢変更装置220に搬送され、搬入側姿勢変更装置220によってその姿勢が上述の通りに変えられ、第2搬入コンベア230に送られる。
【0134】
第2搬入コンベア230に送られた紙幣格納容器BL,BSは、その後、第2搬入コンベア230によってターンテーブル240に搬送され、撮像器320からの画像データ中に錠KL、KSが存在しない場合、ターンテーブル240により紙幣格納容器BL,BSの向きが180°変更させられる。そして、開錠システム300によって紙幣格納容器BL,BSの錠KL、KSが開けられ、鍵付きロボットアーム310によって紙幣格納容器BL,BSの前扉DL,DSが上側に向かって開けられた後、第1ロボットハンド付きロボットアーム350によって、紙幣格納容器BL,BSの中から紙幣が取り出される(この間、鍵付きロボットアーム310は、鍵を錠KL,KSに挿したままの状態となっている。)。続いて、鍵付きロボットアーム310によって紙幣格納容器BL,BSの前扉DL,DSが閉じられた後に錠KL,KSがかけられる。その後、紙幣格納容器BL,BSは、物品検出器330の配設位置に対応する位置から第1搬出コンベア250に送られる。
【0135】
第1搬出コンベア250に送られた紙幣格納容器BL,BSは、その後、第1搬出コンベア250によって搬出側姿勢変更装置260に搬送され、搬出側姿勢変更装置260によってその姿勢が上述の通りに変えられ、第2搬出コンベア270に送られる。そして、紙幣格納容器BL,BSは、第2搬出コンベア270によって搬出位置EXまで搬送される。
【0136】
搬出位置EXまで搬送された紙幣格納容器BL,BSは、第2ロボットハンド付きロボットアーム400により把持されて、移動棚800に移される。
【0137】
<本実施の形態に係る搬送処理システムの特徴>
(1)
本実施の形態に係る搬送処理システム100では、移動棚800に回収した紙幣格納容器BL,BSを自動的に搬送コンベアシステム200に搬送し、搬送コンベアシステム200において紙幣格納容器BL,BSから紙幣を回収した後に、空になった紙幣格納容器BL,BSを移動棚800に移動させることができる。このため、この搬送処理システム100を利用することによってより自動的に紙幣格納容器BL,BSからの紙幣の回収作業を行うことができる。
【0138】
(2)
本実施の形態に係る搬送処理システム100では、搬送コンベアシステム200に搬入側姿勢変更装置220が配設されている。このため、紙幣格納容器BL,BSの回収作業者は、移動棚800に紙幣格納容器BL,BSを回収していく際、紙幣格納容器BL,BSの取っ手HL,HSを掴んで、その底壁OL,OSから紙幣格納容器BL,BSを移動棚800に押し込んでいくことができる。このため、回収作業者は、素早く移動棚800に紙幣格納容器BL,BSを回収していくことができる。
【0139】
(3)
本実施の形態に係る搬送処理システム100では、搬送コンベアシステム200に搬出側姿勢変更装置260が配設されている。このため、紙幣格納容器BL,BSの再装着作業者は、移動棚800から紙幣格納容器BL,BSを取り出して装置に再装着していく際、紙幣格納容器BL,BSの取っ手HL,HSを掴んで装置に紙幣格納容器BL,BSを再装着することができる。このため、再装着作業者は、素早く装置に紙幣格納容器BL,BSを再装着していくことができる。
【0140】
(4)
本実施の形態に係る搬送処理システム100では、第1搬入コンベア210における紙幣格納容器BL,BSの搬入位置ENと、第2搬出コンベア270における紙幣格納容器BL,BSの搬出位置EXとの両方が、固定された第2ロボットハンド付きロボットアーム400の把持可能範囲内に収まっている。このため、この搬送処理システム100では、固定された第2ロボットハンド付きロボットアーム400一台で、第1搬入コンベア210への紙幣格納容器BL,BSの搬入と、第2搬出コンベア270からの紙幣格納容器BL,BSの搬出とを行わせることができる。
【0141】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では搬送コンベアシステム200に搬入側姿勢変更装置220および搬出側姿勢変更装置260の両方が配設されていたが、いずれか一方の姿勢変更装置220,260が配設されていてもよい。
【0142】
(B)
先の実施の形態に係る搬送コンベアシステム200では、駆動式の第1搬入コンベア210および第2搬出コンベア270が採用されていたが、これらを、駆動源を持たないローラ台に代えてもかまわない。第1搬入コンベア210がローラ台とされる場合、搬入位置ENに置かれた紙幣格納容器BL,BSは、次に搬入される紙幣格納容器BL,BSによって搬送方向に押し出されて搬入側姿勢変更装置220に送り込まれる。また、第2搬出コンベア270がローラ台とされる場合、紙幣格納容器BL,BSは、次に搬出側姿勢変更装置260によって搬送方向に送られる紙幣格納容器BL,BSによって搬送方向に押し出されて搬出位置EXまで送られる。
【0143】
(C)
先の実施の形態に係る搬送コンベアシステム200では、紙幣格納容器BL,BSの画像データを解析することによってターンテーブル240を制御したが、RFIDタグを利用してターンテーブル240を制御してもかまわない。
【0144】
(D)
先の実施の形態に係る開錠システム300では、鍵付きロボットアーム310の近傍に撮像器320が固定されていたが、撮像器320が鍵付きロボットアーム310に装着されていてもかまわない。
【0145】
(E)
先の実施の形態に係る搬送コンベアシステム200では、ICタグが埋め込まれた紙幣格納容器BL,BSから紙幣格納容器BL,BSの各種のデータを得ていたが、赤外線センサや、ICセンサ、バーコードセンサ、近接センサ等を利用して、紙幣格納容器BL,BSの各種データを得てもよい。
【0146】
(F)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では移動棚800への紙幣格納容器BL,BSの回収方法規定、第2ロボットハンド付きロボットアーム400、搬入側姿勢変更装置220およびターンテーブル240によって、鍵付きロボットアーム310の紙幣格納容器BL,BSの錠KL,KSを開錠することができる姿勢とされたが、移動棚800への紙幣格納容器BL,BSの回収方法が規定されておらず、作業者が紙幣格納容器BL,BSをあらゆる姿勢で移動棚800に置くことができる場合、搬入側姿勢変更装置220の手前に、横倒れになった紙幣格納容器BL,BSを起こす(起立姿勢とする)ことを可能とする姿勢変更装置を配置してもよい。なお、そのような姿勢変更装置としては、搬入側姿勢変更装置220と同原理の姿勢変更装置を用いることができる。
【0147】
(G)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100において搬入側姿勢変更装置220の手前にターンテーブル240を配設して取っ手HL,HSの向きが一定方向となるように紙幣格納容器BL,BSの姿勢を変更してもよい。かかる場合、物品把持回転装置222の回転軸部222Bの回転方向を時計回りまたは反時計回りのいずれか一方とすることができる。
【0148】
(H)
先の実施の形態に係る搬入側姿勢変更装置220において物品把持回転装置222により紙幣格納容器BL,BSを縦回転させる際、物品支持装置221の昇降台221Bおよび昇降脚221Cを降下させたが、その際に物品支持装置221の昇降台221Bおよび昇降脚221Cの高さ位置を維持して物品把持回転装置222を上昇させるようにしてもよいし、物品支持装置221の昇降台221Bおよび昇降脚221Cを降下させると共に物品把持回転装置222を上昇させてもよい。前者の場合、物品支持装置221の昇降台221Bを昇降させる機構は不要となり、物品把持回転装置222を昇降させる昇降機構を物品把持回転装置222に設ける必要があり、後者の場合、物品把持回転装置222を昇降させる昇降機構を新たに物品把持回転装置222に追加する必要がある。
【0149】
(I)
先の実施の形態に係る搬出側姿勢変更装置260において物品把持回転装置262により紙幣格納容器BL,BSを縦回転させる際、物品支持装置261の昇降台261Bおよび昇降脚261Cを降下させたが、その際に物品支持装置261の昇降台261Bおよび昇降脚261Cの高さ位置を維持して物品把持回転装置262を上昇させるようにしてもよいし、物品支持装置261の昇降台261Bおよび昇降脚261Cを降下させると共に物品把持回転装置262を上昇させてもよい。前者の場合、物品支持装置261の昇降台261Bを昇降させる機構は不要となり、物品把持回転装置262を昇降させる昇降機構を物品把持回転装置262に設ける必要があり、後者の場合、物品把持回転装置262を昇降させる昇降機構を新たに物品把持回転装置262に追加する必要がある。
【0150】
(J)
先の実施の形態に係る搬入側姿勢変更装置220では、昇降脚221Cの最上昇位置が、背丈が低い紙幣格納容器BSの奥行方向中央部分を物品把持回転装置222の把持部222Aが把持することができる高さ位置であると共に、搬出ローラユニット221Dよりも僅かに高い位置とされていたが、昇降脚221Cの上昇位置が、二段階とされてもよい。すなわち、第1の上昇位置が、背丈が低い紙幣格納容器BSの奥行方向中央部分を物品把持回転装置222の把持部222Aが把持することができる高さ位置であり、第2の上昇位置が、搬出ローラユニット221Dよりも僅かに高い位置である。
【0151】
(K)
先の実施の形態に係る搬入側姿勢変更装置220では駆動源として空気流および空気圧が利用されたが、駆動源として電動機等が利用されてもよい。
【0152】
(L)
先の実施の形態に係る搬出側姿勢変更装置260では駆動源として空気流および空気圧が利用されたが、駆動源として電動機等が利用されてもよい。
【0153】
(M)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では、搬送対象および開錠対象として回転錠付の紙幣格納容器BL,BSが採用されたが、同対象として電磁錠付の紙幣格納容器等の他のタイプの錠付の紙幣格納容器が採用されてもよい。
【0154】
(N)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では、搬送対象および開錠対象として回転錠付の紙幣格納容器BL,BSが採用されたが、同対象として他の物品が採用されてもかまわない。なお、かかる場合、開錠システム300や第1ロボットハンド付きロボットアーム350等をその物品の処理に適したものに置き換えることが必要となる。
【0155】
(O)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では第2ロボットハンド付きロボットアーム400のロボットハンドとして吸着タイプの第2ロボットハンド600が採用されたが、そのようなロボットハンドとしてフィンガで物品を掴むタイプのロボットハンドが採用されてもよい。
【0156】
(P)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では、第2ロボットハンド付きロボットアーム400が固定されていたが、第2ロボットハンド付きロボットアーム400を搬送車に搭載して規定の軌道を移動可能としてもよい。このようにすれば、第1搬入コンベア210における紙幣格納容器BL,BSの搬入位置EN、および、第2搬出コンベア270における紙幣格納容器BL,BSの搬出位置EXを自由に配置することができ、搬送処理システムのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0157】
(Q)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では、搬出側姿勢変更装置260および第2搬出コンベア270が第1搬入コンベア210および搬入側姿勢変更装置220の反対側に配設されていたが(
図1において上側と下側)、搬出側姿勢変更装置260および第2搬出コンベア270を第1搬入コンベア210および搬入側姿勢変更装置220と同じ側に配設してもかまわない(
図1において両者を上側に併設する。)。このようにすれば、第1搬出コンベア250を折り返して延設しなければならないが、第2ロボットハンド付きロボットアーム400の移動量を軽減することができる。
【0158】
(R)
先の実施の形態に係る搬送処理システム100では、制御装置700は、物品支持装置261の昇降台261Bを最降下位置まで降下させた後に、物品把持回転装置262のエアシリンダ(ロータリーエアシリンダ)により物品把持回転装置262の把持部262A(および昇降脚261C)を、搬入方向Dnからみて反時計回りに90°回転させたが、搬入方向Dnからみて時計回りに90°回転させてもよい。
【0159】
(S)
先の実施の形態に係る移動棚800には側壁は設けられていなかったが、移動棚800に側壁が設けられてもよい。
【0160】
なお、上記各変形例は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0161】
100 搬送処理システム
200 搬送コンベアシステム(第1搬送装置)
210 第1搬入コンベア(搬送機構,第1搬送機構)
220 搬入側姿勢変更装置(姿勢制御機,構第1姿勢制御機構)
221B 昇降台(載置台)
221C 昇降脚(持上げ部)
221E エアシリンダユニット(上下駆動部)
222,262 物品把持回転装置(縦回転機構,縦回転装置)
222A 把持部
222D 第1エアシリンダ(縦回転部)
230 第2搬入コンベア(搬送機構,第2搬送機構)
240 ターンテーブル(姿勢制御機,第2姿勢制御機構)
250 第1搬出コンベア(搬送機構,第3搬送機構)
260 搬出側姿勢変更装置(姿勢制御機,第3姿勢制御機構)
270 第2搬出コンベア(搬送機構,第4搬送機構)
300 開錠システム(処理装置)
400 ロボットハンド付きロボットアーム(第2搬送装置)
600 第2ロボットハンド
643 吸着パッドユニット(把持部)
500 ロボットアーム(ハンド移動機構)
700 制御装置(制御部)
800 移動棚(棚)
820 棚板
BL 紙幣収容箱(物品,箱体)
BS 紙幣収容箱(物品,箱体)
EN 搬入位置(第1位置)
EX 搬出位置(第2位置)
HL 取っ手
HS 取っ手
KL 錠
KS 錠
UL 天壁
US 天壁
OL 底壁
OS 底壁
Wv 案内板(案内壁)