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特許7153114透明被膜形成用の塗布液及び透明被膜付基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】透明被膜形成用の塗布液及び透明被膜付基材
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/04 20060101AFI20221005BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20221005BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20221005BHJP
【FI】
C09D133/04
C09D7/62
C09D7/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021114722
(22)【出願日】2021-07-12
(62)【分割の表示】P 2016036851の分割
【原出願日】2016-02-29
(65)【公開番号】P2021165404
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】箱嶋 夕子
(72)【発明者】
【氏名】松田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】村口 良
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-193756(JP,A)
【文献】特開2013-177339(JP,A)
【文献】国際公開第2015/108834(WO,A1)
【文献】特開2015-075711(JP,A)
【文献】国際公開第2014/189075(WO,A1)
【文献】特開2014-058652(JP,A)
【文献】特開2008-231298(JP,A)
【文献】特開2015-067680(JP,A)
【文献】特開2011-252053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
B05D 1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と、
金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物が設けられ、平均粒子径が5~500nmの表面処理金属酸化物粒子と、
親水性溶媒または極性溶媒である有機溶媒とを含み、
レベリング剤の含有量が0.001重量%以下であり、
前記アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート官能基数が3~10、アルキレンオキサイド基数が3~40である多官能アクリレートモノマー樹脂であり、
前記有機珪素化合物は、前記金属酸化物粒子100質量部に対し、R-SiO(4-n)/2(但し、式中、Rは炭素数1~10の非置換または置換炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい。nは1~3の整数)として0.1~50質量部、前記表面金属酸化物粒子に含まれ、
前記表面処理金属酸化物粒子は、前記アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と前記表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して50~90質量%含まれることを特徴とする透明被膜形成用の塗布液。
【請求項2】
固形分濃度が5~70質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜形成用の塗布液。
【請求項3】
請求項1に記載の塗布液を用いて、透明被膜を基材上に形成することを特徴とする透明被膜付基材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に対する接触角が低く、しかも、硬度(鉛筆硬度)及び強度(耐擦傷性)が高い透明被膜を形成できる塗布液、及びこれを用いた透明被膜付基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス、プラスチック等で形成されたシートやレンズ等の基材には、その表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート膜が設けられている。
【0003】
ハードコート膜は、最表面で使用されるディスプレイ用途では、防汚性付与のために高接触角タイプが求められる。一方、タブレットやスマートフォンといったタッチパネル用途では、ハードコートの上に更に層を設けたり、接着剤や樹脂を貼り合せたりするため、低接触角タイプが求められる。
【0004】
また、塗布液を乾燥・硬化させる際に、透明被膜が収縮して、基材が引っ張られ、透明被膜付基材がカーリング(湾曲)するという問題がある。例えば、溶媒の多い塗布液の場合には、乾燥時の溶剤揮発(濃縮)によるウェット膜からドライ膜への収縮により、カーリングが起こり易い。また、多官能アクリルモノマー等の硬化収縮率が大きい樹脂を用いる場合には、硬化時の収縮によりカーリングが起こり易い。近年、更に透明性を向上させるため、あるいは透明被膜付基材を使用した表示装置や携帯電話等の軽量化のために薄い基材が使用されており、カーリングの問題がより顕著になっている。
【0005】
そこで、特許文献1には、基材の少なくとも片面に活性エネルギー線硬化樹脂層を積層してなるハードコートフィルムおよびその製造方法が開示されている。このハードコートフィルムは、硬化樹脂層の表面硬度がH以上でかつ水滴接触角が60°以下である。具体的には、プラスチックフィルムの基材に、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル系、付加重合系、チオール・アクリルのハイブリッド系、カチオン重合系、カチオン重合とラジカル重合のハイブリッド系などの硬化用樹脂組成物を塗布した後に、紫外線等の活性エネルギー線を照射して架橋硬化させて、特定量のフッ素ガスを含有する気体を接触処理して活性エネルギー線硬化樹脂層を形成している。
【0006】
特許文献2には、薄い基材でもカーリングが小さく、基材との密着性、硬度、耐擦傷性、透明性等に優れた透明被膜を形成する塗料が開示されている。具体的には、4以上の官能基を持つ多官能ウレタンアクリレート樹脂と、官能基数が2又は3の低官能アクリレート樹脂と、平均粒子径が5~500nmの範囲にある金属酸化物微粒子と、有機溶媒とを含み、多官能ウレタンアクリレート樹脂の濃度(CA)と低官能アクリレート樹脂の濃度(CB)との濃度比(CB/CA)が0.05~0.5の範囲にある塗料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平7-173310号公報
【文献】特開2013-64038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、硬化樹脂層が主体のために、ハードコートフィルムの硬度はH~2H程度までしかなく、それ以上の高硬度化は困難であり、低い接触角と高い硬度を両立したハードコート膜が得られない。
【0009】
次に、特許文献2では、多官能ウレタンアクリレート樹脂が疎水性であるため、透明被膜表面も疎水性となり、水に対する接触角が高くなる。また、高硬度化を図るために、透明被膜中の表面処理金属酸化物微粒子の含有量を増加させると、得られる透明被膜が白化したり、カーリングしたりする。これは、多官能ウレタンアクリレート樹脂が疎水性であるのに対して、表面処理金属酸化物微粒子が親水性なので充分な相溶性が得られないためと考えられる。更に、多官能ウレタンアクリレート樹脂は、特殊な化合物なので高価であり、耐候性、耐光性も低い。
【0010】
本発明は、水に対する接触角が低くてかつ硬度が高く、しかも、薄い基材でもカーリングが抑制されるハードコート透明被膜を得られる塗布液(透明被膜形成用の塗布液)及びこれを用いた透明被膜付基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る透明被膜用の塗布液は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と、金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物を設けた表面処理金属酸化物粒子と、有機溶媒とを含む塗布液である。このアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート官能基数が3~10、アルキレンオキサイド基数が3~40の多官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂である。この表面処理金属酸化物粒子は、有機珪素化合物が金属酸化物粒子100質量部に対し、Rn-SiO(4-n)/2として0.1~50質量部設けられている。その平均粒子径は、5~500nmである。この表面処理金属酸化物粒子は、塗布液中にアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して30~90質量%含まれる。
また、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る透明被膜付基材では、透明被膜が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と、金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物を設けた表面処理金属酸化物粒子とを含んでいる。表面処理金属酸化物粒子の平均粒子径は、5~500nmである。この表面処理金属酸化物粒子は、透明被膜中にアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して30~90質量%含まれる。ここで、透明被膜は水に対する接触角が70°未満、鉛筆硬度が3H以上であることが好ましい。
また、透明被膜の接触角が前記表面処理酸化物粒子を含まない透明被膜の接触角よりも低いことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、塗布液に含まれる極性の高いアルキレンオキサイド基を含むアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、表面処理金属酸化物粒子との相溶性が良いため、表面処理金属酸化物粒子がアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂に十分に分散され、接触角が低く、20~70μmの薄い基材でも、硬度及び強度が高く、カーリングの小さい透明被膜付基材が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《透明被膜形成用の塗布液》
本発明の塗布液は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と、金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物が設けられた平均粒子径が5~500nmの表面処理金属酸化物粒子と、有機溶媒とを含む。この塗布液は、更に重合開始剤等の添加剤を含んでもよい。
具体的には、このアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート官能基数が3~10、アルキレンオキサイド基数が3~40の多官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂である。表面処理金属酸化物粒子は、有機珪素化合物が、金属酸化物粒子表面に、金属酸化物粒子100質量部に対し、Rn-SiO(4-n)/2として0.1~50質量部設けられた表面処理金属酸化物粒子である。この表面処理金属酸化物粒子は、平均粒子径が5~500nmであり、塗布液中にアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して30~90質量%含まれる。
【0015】
一般的にハードコート性が良い樹脂としては、多官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂や多官能(メタ)ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂が使用されることが多い。多官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂は、比較的低接触角のものもあるが、一般的にカーリングを起こし易い。また、多官能(メタ)ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂は、一般的にカーリングは低いが接触角は高い。一方、多官能アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、アルキレンオキサイド基と(メタ)アクリレート官能基の比を最適化することで、硬度は低いものの、比較的低接触角で低カーリングを発現し易い。後述のように、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂のアクリレート官能基やアルキレンオキサイド基の数、表面処理金属酸化物粒子の有機珪素化合物による表面処理量、表面処理金属酸化物粒子の平均粒子径、および塗布液中の表面処理有機珪素化合物の量を最適な条件で組み合わせることで、高硬度、低接触角、低カーリング性のすべてを実現したハードコート塗料が得られる。
【0016】
塗布液に含まれる主要な成分について以下に詳細に説明する。
《アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂》
アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、アルキレンオキサイド基と(メタ)アクリレート官能基((メタ)アクリロイル基)の比を最適化することで、比較的低接触角で低カーリングを発現し易い。アクリレート官能基数が3よりも小さい場合は、結合部位が少なくなるため、緻密で硬度の高い膜が得られにくい。逆に、アクリレート官能基数が10よりも大きい場合は、単位体積/単位容積/単位ユニットに対する結合基が相対的に多くなるため、膜の収縮が強く、カーリングを起こす場合がある。
また、アルキレンオキサイド基は、極性が高い官能基であり、得られた被膜表面が親水性であるために被膜の水接触角は低くなる。アルキレンオキサイド基が3よりも小さい場合は、被膜表面の親水性化が不充分で、水接触角が充分に低くならない。逆に、アルキレンオキサイド基が40よりも大きい場合は、単位体積/単位容積/単位ユニットに対する結合基が相対的に少なくなるために、膜の緻密化が充分とならない場合があるため、所望する鉛筆硬度が得られない可能性がある。
【0017】
このアルキレンオキサイド(AO)基としては、エチレンオキサイド(EO)基、プロピレンオキサイド(PO)基、ブチレンオキサイド基が好ましい。特に、単位基内の酸素原子の割合が高く極性が高いエチレンオキサイド基が好ましい。
(メタ)アクリレート官能基数が3以上のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、比較的収縮が大きいため、必要に応じて、(メタ)アクリレート官能基数が2以下、好ましくは1の低官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂を配合して膜全体の収縮を制御することで、基材との密着性がより向上すると共に、収縮がより抑制され、残留応力を緩和することができる。
アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子との相溶性を更に向上させる場合には、低官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂を配合することが好ましい。低官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂を配合することで、造膜中の急激な収縮を抑制でき、膜中の粒子が収縮サイトから排除されることを防止し、結果的に表面処理金属酸化物粒子の膜内への分散性、相溶性が向上する。また、塗料の粘度を下げ易い点でも有効である。ただし、低官能(メタ)アクリレートモノマー樹脂の高配合は硬度低下に繋がるため含有量はできる限り少ない方が好ましく、カーリング特性、密着性、硬度のバランスをみて配合することが好ましい。
【0018】
本発明のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂としては、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂、プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂およびブチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が好適である。
エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂としては、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを例示できる。これらは、エチレンオキサイド基を各々3~40個もっている。
プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂としては、プロポキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを例示できる。これらは、プロピレンオキサイド基を各々3~40個もっている。
ブチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂としては、ブトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ブトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ブトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ブトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ブトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ブトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを例示できる。これらは、ブチレンオキサイド基を各々3~40個もっている。
これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
《表面処理金属酸化物粒子》
表面処理金属酸化物粒子は、従来公知の金属酸化物粒子を従来公知の有機珪素化合物で表面処理して得られる。金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、シリカ-アルミナ、シリカ-ジルコニア等の他、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性粒子も好適に用いることができる。
【0020】
〈平均粒子径〉
表面処理金属酸化物粒子の平均粒子径は、5~500nmの範囲である。平均粒子径が5nm未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても表面処理剤での表面処理、及びゾルの安定性が不十分となることが多い。また、平均粒子径が500nmを超える場合、表面処理金属酸化物粒子の含有量にもよるが、膜表面で光散乱を生じたり、透明被膜のヘーズが悪化して、透明性が低下する。表面処理金属酸化物粒子の平均粒子径は、10~200nmの範囲がさらに好ましい。
【0021】
〈表面処理:表面処理剤、表面処理量〉
金属酸化物粒子を下記式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理することが好ましい。
Rn-SiX4-n・・・(1)
但し、式中、Rは炭素数1~10の非置換または置換炭化水素基で、互いに同一であっても異なっていてもよい。置換基としては、エポキシ基、アルコキシ基、(メタ)アクリロイロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミノ基、フェニルアミノ基が挙げられる。Xは炭素数1~4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子であり、nは1~3の整数を示す。
表面処理金属酸化物粒子は、固形分として、有機珪素化合物が金属酸化物粒子100質量部に対し、Rn-SiO(4-n)/2として0.1~50質量部の範囲にあれば相溶性が向上する。ここで、有機珪素化合物量が0.1質量部よりも少ないと、表面処理金属酸化物粒子の分散性が不充分となり、得られる透明被膜にヘーズが発生するおそれがある。得られる接触角については低下するが、バインダー((メタ)アクリレートモノマー樹脂)との結合力が弱くなるので、基材との密着性や硬度が不充分となることがある。逆に、表面処理量が50質量部より多くても、分散性がさらに向上する訳ではなく、表面処理金属酸化物粒子の高密度充填が阻害されるおそれがある。接触角は高くなるが、バインダーと結合するサイトが増えるので、収縮が大きくなり、カーリングしたり、密着性が不充分となるおそれがある。さらに、未反応(微粒子と結合しない)の表面処理剤(有機珪素化合物)同士が結合すると収縮が大きくなるため、未反応の表面処理剤を少なくすることが好ましい。
【0022】
《有機溶媒》
有機溶媒としては、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂、重合開始剤等の添加物を溶解あるいは分散できるとともに、表面処理金属酸化物粒子を均一に分散できるものが用いられる。
有機溶媒としては、親水性溶媒や極性溶媒が好ましい。親水性溶媒としては、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類等が使用でき、極性溶媒としては、エステル類、ケトン類等が使用できる。
有機溶媒は、具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等があり、エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等があり、グリコール類としては、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等があり、エーテル類としては、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等があり、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等があり、極性溶媒としては他に、炭酸ジメチル、トルエン等がある。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
特に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコールは、膜の造膜性制御に有効で、塗膜の外観(スジ、ムラ、透明性)制御の点から好ましい。また、トリアセチルセルロース基材(TAC基材)を使用する場合は、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、炭酸ジメチル等を配合すると、基材を溶解するため、基材との密着性向上及び干渉縞減少の点から好ましい。
また、有機溶媒の沸点は50~200℃の範囲にあることが好ましい。有機溶媒の沸点が50℃より低いものは、塗膜の乾燥が早いため、急激な造膜が起こり、粒子成分等のパッキングが不十分な場合は、膜の緻密化が不充分になり易く、また、膜厚が不均一になり易い。そのため、得られる透明被膜の硬度が不充分となることがある。有機溶媒の沸点が200℃より高いものは、有機溶媒が残存する場合があり、残存溶媒を含んだまま硬化させるとボイドが発生して、得られる透明被膜の硬度が不充分となることがある。この有機溶媒の沸点は、55~180℃の範囲にあることが更に好ましい。
【0023】
《その他の成分》
塗布液には、必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-メチル-2-メチル-フェニル-プロパン-1-ケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等がある。重合開始剤の使用量としては、有機樹脂の固形分濃度の2~20質量%が好ましく、4~16質量%にあることが更に好ましい。
ところで、従来公知の添加剤であるレベリング剤や界面活性剤は、被膜を形成する際に、金属酸化物粒子よりも更に表面に偏在する傾向がある。このため、その使用量が過剰に多いと、望むべく水接触角が得られない場合や、添加剤が膜表面に析出してブリードアウトの問題が起こる場合がある。このため、これら添加剤を使用する場合は、透明被膜付基材の性能に影響を及ぼさない範囲で使用することが好ましい。
【0024】
《透明被膜形成用の塗布液の濃度》
塗布液の固形分濃度(アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂の固形分と表面処理金属酸化物粒子の固形分を合計した固形分の濃度)は、5~70質量%の範囲にあることが好ましい。5質量%より低いと、塗料の濃縮安定性が低いために、均一な膜が得られ難い場合がある。また、得られた透明被膜は、硬度や耐擦傷性が不充分となったり、ヘーズあるいは外観が悪くなったりして、生産性、製造信頼性等が低下する場合がある。70質量%より高くても、塗布液の粘度が高くなり、塗布性が低下したり、得られる透明被膜のヘーズが高くなったり、表面粗さが大きくなり、耐擦傷性が不充分となる場合がある。
上記塗布液の固形分濃度は、10~60質量%の範囲にあることが更に好ましい。
【0025】
〈表面処理金属酸化物粒子の濃度〉
塗布液中の表面処理金属酸化物粒子は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂の固形分量と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して、固形分として30~90質量%である。ここで、表面処理金属酸化物粒子が30質量%より少ないと、塗膜化した時に、カーリングの抑制効果、硬度および耐擦傷性が不充分となる場合や、被膜の表面の親水性化が不充分となり、望むべく低い水接触角は得られない場合がある。逆に、表面処理金属酸化物粒子が90質量%より多くても、透明被膜にクラックが発生する場合がある。また、被膜が得られたとしても、基材との密着性が不十分となる場合や、膜強度や耐擦傷性、透明性、ヘーズ等が悪化する場合がある。この表面処理金属酸化物粒子成分は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分の固形分量と表面処理金属酸化物粒子成分の固形分の合計量に対して、固形分として50~85質量%にあることがより好ましく、60~80質量%にあることが更に好ましい。
【0026】
〈アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂の濃度〉
塗布液中のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂の固形分量と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して、固形分として10~70質量%にあることが好ましい。
ここで、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が10質量%より少ないと、塗膜化した時に、透明被膜にクラックが発生する場合がある。逆に、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が70質量%より多すぎても、透明被膜の硬度、耐擦傷性が不充分となる場合がある。このアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分の固形分量と表面処理金属酸化物粒子成分の固形分の合計量に対して、固形分として15~50質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることが更に好ましい。
【0027】
このような表面処理金属酸化物粒子及びアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂の濃度割合の塗布液においては、塗布液中の表面処理金属酸化物粒子の濃度が、固形分として、1.5~63質量%の範囲にあることが好ましく、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が、固形分として、0.5~49質量%の範囲にあることが好ましい。
【0028】
本発明の塗布液の構成は、上述のように、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と、金属酸化物粒子の表面に有機珪素化合物が設けられた平均粒子径が5~500nmの表面処理金属酸化物粒子と、有機溶媒とを含むことである。このアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂には、(メタ)アクリレート官能基数が3~10、アルキレンオキサイド基数が3~40含まれる。表面処理金属酸化物粒子には、有機珪素化合物が金属酸化物粒子100質量部に対し、Rn-SiO(4-n)/2として0.1~50質量部含まれる。塗布液中には、この表面処理金属酸化物粒子が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して30~90質量%含まれる。
より好ましい塗布液の構成要件を挙げると、まず、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂には、(メタ)アクリレート官能基数が4~8、アルキレンオキサイド基数が6~30含まれる。次に、表面処理金属酸化物粒子には、有機珪素化合物が、金属酸化物粒子100質量部に対し、Rn-SiO(4-n)/2として1~30質量部含まれる。塗布液中には、この表面処理金属酸化物粒子が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して50~85質量%含まれる。
さらに好ましい塗布液の構成要件を挙げると、まず、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂には、(メタ)アクリレート官能基数が4~6、アルキレンオキサイド基数が12~24含まれる。次に、表面処理金属酸化物粒子には、有機珪素化合物が、金属酸化物粒子100質量部に対し、Rn-SiO(4-n)/2として5~20質量部含まれる。塗布液中には、この表面処理金属酸化物粒子が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂と表面処理金属酸化物粒子の固形分の合計量に対して60~80質量%含まれる。
【0029】
[透明被膜付基材]
上述の塗布液を用いて、透明被膜を基材に直接的又は間接的に形成する。透明被膜は、主に表面処理金属酸化物粒子と樹脂成分で形成される。本発明の透明被膜は、水に対する接触角が低いことから、本発明の被膜上にさらに樹脂層等の上層を設けるような場合に特に有用である。すなわち、本発明の透明被膜付基材は、基板上に透明被膜が設けられ、透明被膜上にさらに樹脂層等の上層が設けられる構成であることが好ましい。
《基材》
基材としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の透明な樹脂基材が好ましい。これらの樹脂基材は、上述の塗布液によって形成される透明被膜との密着性が優れ、硬度、耐擦傷性等に優れた透明被膜付基材を得ることができる。このため、薄い基材に好適に用いることができる。基材の厚みは、20~70μmの範囲にあることが好ましい。中でもTAC基材は、基材が薄いとカーリングしやすいので、カーリングを抑制するために本発明の透明被膜用の塗布液を用いることが好ましい。
基材の厚みは、30~60μmの範囲にあることが更に好ましい。
【0030】
《透明被膜》
本発明に係る透明被膜は、塗布液中のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分と表面処理金属酸化物粒子成分との量が、そのまま被膜中の成分割合となる。
すなわち、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分の固形分量と平均粒子径が5~500nm、好ましくは10~200nmの表面処理金属酸化物粒子成分の固形分の合計量に対して、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分は、固形分として10~70質量%にあることが好ましい。ここで、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が10質量%より少ないと、透明被膜にクラックが発生する場合がある。逆に、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂が70質量%より多くても、透明被膜の硬度、耐擦傷性が不充分となる場合がある。このアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分の固形分量と表面処理金属酸化物粒子成分の固形分の合計量に対して、固形分として15~50質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることが更に好ましい。
【0031】
一方、表面処理金属酸化物粒子成分は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分の固形分量と表面処理金属酸化物粒子成分の固形分の合計量に対して、固形分として30~90質量%にあることが好ましい。ここで、表面処理金属酸化物粒子が30質量%より少ないと、カーリングの抑制効果、硬度および耐擦傷性が不充分となる場合や、被膜の表面の親水性化が不充分となり、望むべく低い水接触角は得られない場合がある。逆に、表面処理金属酸化物粒子が90質量%より多くても、透明被膜にクラックが発生する場合がある。また、被膜が得られたとしても、基材との密着性が不十分となる場合や、膜強度や耐擦傷性、透明性、ヘーズ等が悪化する場合がある。この表面処理金属酸化物粒子成分は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート樹脂成分の固形分量と表面処理金属酸化物粒子成分の固形分の合計量に対して、固形分として50~85質量%にあることがより好ましく、60~80質量%にあることが更に好ましい。
【0032】
表面処理金属酸化物粒子の平均粒子径が5nmよりも小さいと得ることが困難であり、得られたとしても表面処理剤での表面処理、及びゾルの安定性が不十分となることが多い。また、表面処理金属酸化物粒子の平均粒子径が500nmより大きいと、表面処理金属酸化物粒子の含有量にもよるが、膜表面で光散乱を生じたり、透明被膜のヘーズが悪化して、透明性が低下する。得られる透明被膜は、従来、一般的に樹脂成分単独で構成された被膜の方が、表面処理金属酸化物粒子が含まれる被膜よりも接触角は低くなるが、本発明の表面処理金属酸化物粒子を含む被膜は、樹脂成分単独で構成された被膜よりも接触角が低下するという特徴を有する。その理由は明らかではないが、被膜表面に粒子が存在して膜表面にテクスチャを形成し、被膜表面積が相対的に増大して、低接触角を助長すること(Wenzel効果)が要因の1つと考えられる。
【0033】
透明被膜の膜厚は1~10μmが好ましい。透明被膜が1μmより薄いと、透明被膜の硬度、耐擦傷性が不充分となる場合がある。透明被膜が10μmより厚いと、膜の収縮が大きくなり、カーリングが起こり易く、基材との密着性が不充分となる場合がある。また、収縮が非常に大きい場合には、クラックが発生する場合もある。この透明被膜の膜厚は、2~10μmが更に好ましい。
【0034】
透明被膜の接触角は、水に対して、70°未満であることが好ましい。接触角が70°以上であると、親水性が不充分であり、上層との接着性が低下する場合がある。この透明被膜の接触角は、水に対して、50°未満であることが更に好ましい。
透明被膜の鉛筆硬度は、3H以上であることが好ましい。3H未満の鉛筆硬度では、ハードコート膜として硬度が不充分である。この透明被膜の鉛筆硬度は、4H以上であることが更に好ましい。
透明被膜のカーリング性は、20mm未満であることが好ましく、10mm未満であることが更に好ましい。
【0035】
また、透明被膜付基材の光透過率が90.0%以上であることが好ましい。
透明被膜付基材の光透過率が90.0%よりも低いと、表示装置等に用いた場合、画像の鮮明度不充分となる場合がある。この透明被膜付基材の光透過率は、91.5%以上であることが更に好ましい。
このような透明被膜付基材は、光電気セル、液晶表示セルや携帯電話、パソコン等の軽量化のために、薄くかつ軽量性が求められる用途に好適である。
【実施例
【0036】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例では、金属酸化物微粒子としてシリカアルミナ微粒子またはシリカ微粒子を用いた。
【0037】
(実施例1)
《塗布液(1)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン6.08g(信越シリコ-ン(株)製:KBM-503、SiO2成分81.2質量%)を混合し、超純水を8.80g添加し、5%アンモニア水0.40g添加し、50℃で6時間攪拌した。これにより、表面処理した12nmのシリカアルミナゾル分散液を得た(固形分濃度40.4質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(1)を得た。ついで、このシリカゾルPGME分散液(1)60.11gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)12.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184)1.80gとPGME13.59gとアセトン12.50gを充分に混合して、固形分濃度41.8質量%の透明被膜形成用の塗布液(1)を調製した。この塗布液(1)の組成を表1に示す。
《平均粒子径の測定》
平均粒子径は、電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として得たものである。
【0038】
《透明被膜付基材(1)の調製》
透明被膜形成用の塗布液(1)を、TACフィルム(富士フィルム(株)製:FT-PB40UL-M、厚さ:40μm、屈折率:1.51)にバーコーター法(#16)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、N2雰囲気下300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(1)を得た。透明被膜の膜厚は8μmであった。
この透明被膜付基材(1)の膜厚、鉛筆硬度、接触角、カーリング性、耐擦傷性、ヘーズ、全光線透過率、密着性及び外観について、以下の方法および評価基準で評価し、結果を表2に示す。
【0039】
《膜厚の測定》
膜厚は、デジタルゲージ((株)小野測器製ゲージスタンドST-0230とデジタルゲージカウンターDG-5100)により測定した。
《鉛筆硬度の測定》
JIS-K-5600に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。鉛筆硬度は、3H以上が好適である。
《接触角の測定》
全自動接触角計(協和界面科学(株)製:DM700)により接触角を測定した。水に対する接触角は、70°未満が好適である。
【0040】
《カーリング性の評価》
14cm×25cm×40μm(厚み)のTACフィルム基材上に厚さ8μmの透明被膜が形成できるように塗布液(1)を塗布し、20時間静置し、その後、フィルムを10cm×10cmサイズにカットし、塗布面を下にしてフィルムを平板上に置き、カーリング(湾曲)して浮上した基材の頂点の平板からの高さを測定し、以下の基準で評価した。
〈評価基準〉
10mm未満 :◎
10~20mm未満 :○
20~30mm未満 :△
30mm以上 :×
《耐擦傷性の評価》
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で10回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
〈評価基準〉
筋状の傷が認められない :◎
筋状に傷が僅かに認められる:○
筋状に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
《全光線透過率、ヘーズの測定》
全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色(株)製NDH-5000)により測定した。なお、未塗布のTACフィルムは全光線透過率が93.0%、ヘーズが0.3%であった。全光線透過率は90.0%以上、ヘーズは0.5%以下が好適である。
《密着性》
透明被膜付基材の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテ-プを接着し、ついで、セロハンテ-プを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することにより密着性を評価した。
〈評価基準〉
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90~99個 :○
残存升目の数85~89個 :△
残存升目の数84個以下 :×
《外観》
透明被膜付基材の表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
〈評価基準〉
表面に、スジ、ムラ、クラック、ブリードアウトの外観不良が確認できない :◎
表面に、スジ、ムラ、クラック、ブリードアウトの外観不良がほぼ確認できない :○
表面に、スジ、ムラ、クラック、ブリードアウトの外観不良が僅かに観察された :△
表面に、スジ、ムラ、クラック、ブリードアウトの外観不良が明らかに観察された:×
【0041】
(実施例2)
《透明被膜形成用の塗布液(2)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-24Eに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(2)を調製した。得られた塗布液(2)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(2)の調製》
塗布液(2)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(2)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0042】
(実施例3)
《透明被膜形成用の塗布液(3)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-12Eに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(3)を調製した。得られた塗布液(3)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(3)の調製》
塗布液(3)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(3)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0043】
(実施例4)
《透明被膜形成用の塗布液(4)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル ATM-35Eに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(4)を調製した。得られた塗布液(4)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(4)の調製》
塗布液(4)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(4)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0044】
(実施例5)
《透明被膜形成用の塗布液(5)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル A-GLY-9Eに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(5)を調製した。得られた塗布液(5)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(5)の調製》
塗布液(5)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(5)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0045】
(実施例6)
《透明被膜形成用の塗布液(6)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-16Pに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(6)を調製した。得られた塗布液(6)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(6)の調製》
塗布液(6)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(6)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0046】
(実施例7)
《透明被膜形成用の塗布液(7)の調製》
実施例1で得た固形分濃度46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(1)64.41gと、EO変性アクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)10.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)1.50gとPGME11.59gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度41.5質量%の塗布液(7)を調製した。得られた塗布液(7)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(7)の調製》
塗布液(7)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(7)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0047】
(実施例8)
《透明被膜形成用の塗布液(8)の調製》
実施例1で得た固形分濃度46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(1)42.94gと、EO変性アクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)20.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)3.00gとPGME21.56gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度43.0質量%の塗布液(8)を調製した。得られた塗布液(8)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(8)の調製》
塗布液(8)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(8)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0048】
(実施例9)
《透明被膜形成用の塗布液(9)の調製》
実施例1で得た固形分濃度46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(1)25.76gと、EO変性アクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)28.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)4.20gとPGME29.54gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度44.2質量%の塗布液(9)を調製した。得られた塗布液(9)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(9)の調製》
塗布液(9)をバーコーター法(#20)で塗布した以外は実施例1と同様にして、透明被膜付基材(9)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は10μmであった。
【0049】
(実施例10)
《透明被膜形成用の塗布液(10)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン12.15g(信越シリコ-ン(株)製:KBM-503、SiO2成分81.2質量%)を混合し、超純水を17.60g添加し、5%アンモニア水0.40g添加し、50℃で6時間攪拌して表面処理した12nmのシリカアルミナゾル分散液を得た(固形分濃度40.5質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分52.7質量%のシリカゾルPGME分散液(2)を得た。
ついで、固形分濃度52.7質量%のシリカゾルPGME分散液(2)53.18gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)12.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184)1.80gとPGME20.52gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度41.8質量%の塗布液(10)を調製した。得られた塗布液(10)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(10)の調製》
塗布液(10)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(10)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0050】
(実施例11)
《透明被膜形成用の塗布液(11)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.22g(信越シリコ-ン(株)製:KBM-503、SiO2成分81.2質量%)を混合し、超純水を1.76g添加し、5%アンモニア水0.40g添加し、50℃で6時間攪拌して表面処理した12nmのシリカゾル分散液を得た(固形分濃度40.4質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分41.7質量%のシリカゾルPGME分散液(3)を得た。
ついで、固形分濃度41.7質量%のシリカゾルPGME分散液(3)67.12gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)12.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184)1.80gとPGME6.58gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度41.8質量%の塗布液(11)を調製した。得られた塗布液(11)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(11)の調製》
塗布液(11)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(11)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0051】
(実施例12)
《透明被膜形成用の塗布液(12)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)100gにγ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン6.08g(信越シリコ-ン(株)製:KBM-5103、SiO2成分81.2質量%)を混合し超純水を8.80g添加し、5%アンモニア水を0.40g添加し、50℃で6時間攪拌して表面処理した12nmのシリカアルミナゾル分散液を得た(固形分濃度40.4質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(4)を得た。
ついで、固形分濃度46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(4)60.11gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)12.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)1.80gとPGME13.59gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度46.6質量%の塗布液(12)を調製した。得られた塗布液(12)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(12)の調製》
塗布液(12)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(12)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0052】
(実施例13)
《透明被膜形成用の塗布液(13)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)100gにテトラエトキシシラン2.74g(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル-A、SiO2成分28.80%)を混合し超純水を4.33g添加し、5%アンモニア水を0.40g添加し、50℃で6時間攪拌して表面処理した12nmのシリカアルミナゾル分散液を得た(固形分濃度38.4質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分41.3質量%のシリカゾルPGME分散液(5)を得た。
ついで、固形分濃度41.3質量%のシリカゾルPGME分散液(5)67.78gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)12.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)1.80gとPGME5.92gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度41.8質量%の塗布液(13)を調製した。得られた塗布液(13)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(13)の調製》
塗布液(13)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(13)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0053】
(実施例14)
《透明被膜形成用の塗布液(14)の調製》
シリカゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;SI-30;平均粒子径12nm、SiO2濃度40.5質量%)1000gにイオン交換水6000gを加え、ついで陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK-1BH)800gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理した。
次に、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)400gを添加し、1時間攪拌して脱アニオン処理した。ついで、再び陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK-1BH)400gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理してSiO2濃度5質量%のシリカ粒子分散液(A)を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度40.5質量%のメタノール分散液(A)を得た。
シリカメタノール分散液(A)100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン6.08g(信越シリコ-ン(株)製:KBM-503、SiO2成分81.2質量%)を混合し、超純水を8.80g添加し、5%アンモニア水0.40g添加し、50℃で6時間攪拌して表面処理した12nmのシリカゾル分散液を得た(固形分濃度40.5質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(6)を得た。
シリカアルミナゾルをシリカゾルPGME分散液(6)に変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(14)を調製した。得られた塗布液(14)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(14)の調製》
塗布液(14)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(14)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0054】
(実施例15)
《透明被膜形成用の塗布液(15)の調製》
シリカゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;SI-80P;平均粒子径80nm、SiO2濃度40.5質量%)1000gにイオン交換水6000gを加え、ついで陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK-1BH)800gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理した。
次に、陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)400gを添加し、1時間攪拌して脱アニオン処理した。ついで、再び陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK-1BH)400gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理してSiO2濃度5質量%のシリカ粒子分散液(B)を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度40.5質量%のメタノール分散液(B)を得た。
上記シリカメタノール分散液(B)100gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度46.6質量%のシリカからなる表面処理金属酸化物微粒子樹脂PGME分散液(7)を調製した。
シリカアルミナゾルをシリカゾルPGME分散液(7)に変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(15)を調製した。得られた塗布液(15)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(15)の調製》
透明被膜形成用塗布液(15)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(15)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0055】
(実施例16)
《透明被膜形成用の塗布液(16)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン6.08g(信越シリコ-ン(株)製:KBM-503、SiO2成分81.2質量%)を混合し超純水を8.80g添加し、5%アンモニア水0.40g添加し、50℃で6時間攪拌して表面処理した12nmのシリカアルミナゾル分散液を得た(固形分濃度40.4質量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶剤置換し、固形分60.0質量%のシリカアルミナゾルPGME分散液(8)を得た。
ついで、固形分濃度60.0質量%のシリカアルミナゾルPGME分散液(8)64.17gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)16.50g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)2.48gとPGME4.36gとアセトン12.50gを充分に混合して、固形分濃度57.5質量%の塗布液(16)を調製した。得られた塗布液(16)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(16)の調製》
塗布液(16)をバーコーター法(#12)で塗布した以外は実施例1と同様にして、透明被膜付基材(16)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0056】
(実施例17)
《透明被膜形成用の塗布液(17)の調製》
実施例1で調製した固形分濃度46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(1)30.06gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)6.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)0.90gとPGME50.54gとアセトン12.50gを充分に混合して、固形分濃度20.9質量%の塗布液(17)を調製した。得られた塗布液(17)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(17)の調製》
塗布液(17)をバーコーター法(#32)で塗布した以外は実施例1と同様にして、透明被膜付基材(17)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0057】
(実施例18)
《透明被膜形成用の塗布液(18)の調製》
アクリルシリコーン系レベリング剤(楠本化成(株)社製 UVX-3750,固形分50.0%)0.001g添加して混合した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(18)を調製した。得られた塗布液(18)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(18)の調製》
塗布液(18)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(18)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0058】
(実施例19)
《透明被膜付基材(19)の調製》
基材を50μmPETフィルム(東洋紡(株)製:コスモシャインA4300)に変更した以外は実施例1と同様にして、塗布液(1)を塗布して透明被膜付基材(19)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0059】
(比較例1)
《透明被膜形成用の塗布液(R1)の調製》
固形分濃度46.6質量%のシリカゾルPGME分散液(1)51.52gと、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート DPE-6A)16.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)2.40gとPGME17.58gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度42.4質量%の塗布液(R1)を調製した。得られた塗布液(R1)の組成を表に示す。
《透明被膜付基材(R1)の調製》
塗布液(R1)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(R1)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0060】
(比較例2)
《透明被膜形成用の塗布液(R2)の調製》
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートをウレタンアクリレート(新中村化学(株)製:NKオリゴ UA-33H、官能基:ウレタンアクリレート、官能基数:9、分子量:4,000、固形分濃度100%)に変更した以外は比較例1と同様にして、固形分濃度42.4質量%の塗布液(R2)を調製した。得られた塗布液(R2)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(R2)の調製》
塗布液(R2)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(R2)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0061】
(比較例3)
《透明被膜形成用の塗布液(R3)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-48Eに変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(R3)を調製した。得られた塗布液(R3)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(R3)の調製》
塗布液(R3)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(R3)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0062】
(比較例4)
《透明被膜形成用の塗布液(R4)の調製》
EO変性アクリレートバインダーを新中村化学工業(株)製:NKエステル A-1000に変更した以外は実施例1と同様にして、固形分濃度41.8質量%の塗布液(R4)を調製した。得られた塗布液(R4)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(R4)の調製》
塗布液(R4)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(R4)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0063】
(比較例5)
《透明被膜形成用の塗布液(R5)の調製》
EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)40.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)6.00gとPGME41.50gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度46.0質量%の塗布液(R5)を調製した。得られた塗布液(R5)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(R5)の調製》
塗布液(R5)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(R5)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
ここで、表面処理金属酸化物粒子が含まれた実施例1の透明被膜付基材(1)と比較すると、透明被膜付基材(1)の方が、鉛筆硬度、耐擦傷性、全光線透過率および密着性が高く、接触角およびカーリングが低く、外観も良好であることが判った。
【0064】
(比較例6)
《透明被膜形成用の塗布液(R6)の調製》
シリカアルミナゾル分散液(日揮触媒化成(株)製;OSCAL1132;平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%、分散媒:メタノールゾル、粒子屈折率1.46)59.26gと、EO変性アクリレートバインダー(新中村化学工業(株)製:NKエステル A-DPH-18E)16.00g、と光重合開始剤(チバジャパン(株)製:イルガキュア184)2.40gとPGME9.84gとアセトン12.50gを充分に混合して固形分濃度42.4質量%の塗布液(R6)を調製した。得られた塗布液(R6)の組成を表1に示す。
《透明被膜付基材(R6)の調製》
塗布液(R6)を使用した以外は実施例1と同様に透明被膜付基材(R6)を製造し、評価した。透明被膜の膜厚は8μmであった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】