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特許7153128端末デバイスにより実行されるビームトレーニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】端末デバイスにより実行されるビームトレーニング
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20221005BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221005BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20221005BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W72/04 136
H04B7/08 802
H04B7/08 810
H04L27/26 114
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021506549
(86)(22)【出願日】2018-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2018072610
(87)【国際公開番号】W WO2020038569
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン, アンドレアス
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/030811(WO,A1)
【文献】特表2016-506112(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130989(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 7/08
H04L 27/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームトレーニングのための方法であって、前記方法は端末デバイスにより実行され、前記方法は、
固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信することと
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号の前記セット内の各ビームリファレンス信号について測定を行うことと、
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セット内の各ビームリファレンス信号について、前記測定に基づいて補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定することと
指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信することと
k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価することであって、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、評価することと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、各ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNは、時間方向に1つの直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを占める、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットは、同期信号ブロック(SSB)により定義される、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法であって、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットは、N=4となるように4つのビームリファレンス信号を含む、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法であって、前記最も強い受信ビームリファレンス信号は、リファレンス信号受信電力(RSRP)の観点で判定される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの各々は、セカンダリ同期信号(SSS)を含み、前記RSRPは、前記SSSについて判定される、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法であって、前記補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNは、前記固定ビームb0において受信された際のそれぞれの前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの受信電力における差に関する、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法であって、前記補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNは、それぞれの前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの周波数位置における差に関する、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法であって、前記評価の際の前記信号強度は、受信電力の観点で判定される、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記固定ビームb0を用いて受信された際の全てのビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちでビームリファレンス信号rjが最高の受信電力を有し、補償ファクタckは、ビームリファレンス信号rkと最高の受信電力を有するビームリファレンス信号rjとの間の受信電力における差dkを特定する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、指向性ビームbkについての前記信号強度は、k=1,...,Nとして指向性ビームbkの前記受信電力に受信電力における前記差dkを加算することにより補償される、方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法であって、前記固定ビームb0は、前記指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNよりも幅広である、方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法であって、前記指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの各々は、前記固定ビームb0よりも狭いビーム幅を有する、方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法であって、前記ビームトレーニングは、前記ネットワークノードへの前記端末デバイスの初期アクセスの一部として、又は前記端末デバイスによる前記ネットワークノードへのハンドオーバ後に行われる、方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法であって、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットは、前記端末デバイスにより周期的に受信される、方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法であって、
ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの前記第1回目を受信する際に、タイマを起動すること、をさらに含み、
受信される前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについての前記補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNのそれぞれの新たな値は、前記タイマの満了後にのみ判定される、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記タイマは、高々1時間、あるいは高々30分、好適には1分未満、という満了時間を有する、方法。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ネットワークノードから他のネットワークノードへのハンドオーバに参加すること、をさらに含み、
受信される前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについての前記補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNのそれぞれの新たな値は、前記端末デバイスに前記ネットワークノードから前記他のネットワークノードへのハンドオーバ後にのみ判定される、方法。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの送信電力の変更のインジケーションを前記ネットワークノードから取得すること、をさらに含み、
受信される前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについての前記補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNのそれぞれの新たな値は、前記端末デバイスによる前記インジケーションの受信後にのみ判定される、方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法であって、前記ビームリファレンス信号は、前記端末デバイスでのアナログビーム形成を用いて受信される、方法。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法であって、前記評価の結果として、k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償された最も強い受信ビームリファレンス信号を伴う前記指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNが前記ネットワークノードとの後続の通信向けの使用のために選択され、前記方法は、
選択される前記指向性ビームを用いて、前記ネットワークノードと通信すること、
をさらに含む、方法。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法であって、
k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbN+kにおいて受信されるように、指向性ビームbN+1,bN+2,...,bN+k,...,bN+Nのさらなるセットを用いて、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第3回目を受信すること、をさらに含み、
ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第3回目における最も強い受信ビームリファレンス信号にも基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかが評価され、k=1,...,Nとして指向性ビームbN+kについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、方法。
【請求項23】
ビームトレーニングのための端末デバイスであって、前記端末デバイスは、処理回路を備え、前記処理回路は、前記端末デバイスに
固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信することと、
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号の前記セット内の各ビームリファレンス信号について測定を行うことと、
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セット内の各ビームリファレンス信号について、前記測定に基づいて補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定することと、
指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信することと、
k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価することであって、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、評価することと、
を行わせるように構成される、端末デバイス。
【請求項24】
ビームトレーニングのための端末デバイスであって、前記端末デバイスは
固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信するように構成される受信モジュールと
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号の前記セット内の各ビームリファレンス信号について測定を行うように構成される測定モジュールと、
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セット内の各ビームリファレンス信号について、前記測定に基づいて補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定するように構成される判定モジュールと、
指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信するように構成される受信モジュールと
k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価するように構成される評価モジュールであって、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、評価モジュールと、を備える、端末デバイス。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の端末デバイスであって、請求項2乃至22のいずれか1項に記載の方法を実行するようにさらに構成される、端末デバイス。
【請求項26】
ビームトレーニングのためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータコードを含み、前記コンピュータコードは、端末デバイスの処理回路において実行された場合に、前記端末デバイスに
固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信することと
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号の前記セット内の各ビームリファレンス信号について測定を行うことと、
受信される前記第1回目のビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セット内の各ビームリファレンス信号について、前記測定に基づいて補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定することと
指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信することと
k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価することであって、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、評価することと、
を行わせる、コンピュータプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで提示される実施形態は、ビームトレーニングのための方法、端末デバイス、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムプロダクトに関連する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークにおいて、所与の通信プロトコル、そのパラメータ、及び通信ネットワークが展開される物理環境について、良好な性能及びキャパシティを獲得するという課題が存在し得る。
【0003】
例えば、モバイル通信ネットワークの将来の世代について、多くの異なるキャリア周波数にある周波数帯域が必要とされるかもしれない。例えば、複数のワイヤレスデバイスについて十分なネットワークカバレッジを達成するために低周波のそうした帯域が必要とされ、かつ、所要のネットワークキャパシティに到達するためにより高周波の帯域(例えば、ミリメートル波長(mmW)、即ち30GHz近傍又はそれ以上)が必要とされるかもしれない。一般的にいうと、無線チャネルの高周波での伝播特性はより厳しく、十分なリンクバジェットに到達するために、ネットワークのネットワークノード及びワイヤレスデバイスの双方でのビーム形成を要するであろう。
【0004】
そうした高周波にて予期される高い伝播損失を補償するために、狭ビームの送受信方式が必要とされるであろう。所与の通信リンクについて、(ネットワークノード又はその送受信ポイント(TRP)により表される)ネットワーク側及び(端末デバイスにより表される)端末側の双方にそれぞれビームを適用することができ、これを典型的にビームペアリンク(BPL)という。ビーム管理手続の1つのタスクは、ビームペアリンクを発見し及び維持することである。BPL(即ち、ネットワークノードにより使用されるビーム及び端末デバイスにより使用されるビームの双方)は、ビーム管理のために使用されるチャネル状態情報リファレンス信号(CSI-RS)又は同期信号ブロック(SSB)信号といったダウンリンクリファレンス信号の測定結果を用いて、ネットワークにより発見され及び監視されるものと予期されている。
【0005】
ビーム管理のためのCSI-RSは、周期的に、半永続的に、又は非周期的に(イベントトリガ方式で)送信されることができ、それらは複数の端末デバイス間で共用されるか、又はデバイス固有であるかのいずれかであり得る。SSBは、周期的に送信され、全ての端末デバイスについて共用される。端末デバイスが適切なネットワークノードのビームを見出せるように、ネットワークノードは、相異なる送信(TX)ビームにおいてリファレンス信号を送信し、それに対して端末デバイスはリファレンス信号受信電力(RSRP)といった測定を実行し、M個の最良のTXビームの報告を返す(Mはネットワークにより構成可能である)。さらに、所与のTXビーム上でのリファレンス信号の送信を繰り返して、端末デバイスが適切な受信(RX)ビームを評価することを可能にすることができる。
【0006】
TRPによりサービスされる全ての端末デバイスの間で共用されるリファレンス信号は、最初の粗い方向を端末デバイスについて判定するために使用され得る。SSBをリファレンス信号として使用することが、TRPにおけるそうした周期的なTXビームスイープに適しているかもしれない。その理由は、SSBはいずれにしろ(初期アクセス/同期の目的のために)周期的に送信されるのであり、SSBは上述したより高い伝播損失を克服するために高周波でビーム形成されることも予期されているからである。
【0007】
図1は、1つのSSBを送信するための時間/周波数リソースを概略的に示している(PRBは、物理リソースブロックの略である)。図1において、各SSBは、OFDMsymb1、OFDMsymb2、OFDMsymb3及びOFDMsymb4と表記されている4つの直交周波数分割多重(OFDM)シンボルからなる。プライマリ同期信号(PSS)のための時間/周波数リソースは、第1OFDMシンボル内に位置し、粗い時間/周波数同期を見出すために使用される。物理ブロードキャストチャネル(PBCH)のための時間/周波数リソースは、第2、第3及び第4OFDMシンボル内に位置し、必要なシステム情報ビットを含む。セカンダリ同期信号(SSS)のための時間/周波数リソースは、第2OFDMシンボル内に位置し、より精細な時間/周波数同期を確立するために使用される。
【0008】
端末デバイスがTRPへの初期アクセスを得られるように、TRPは、SSB及びブロードキャストされるシステム情報を送信する。初期アクセスの期間中に、端末デバイスは、それぞれのSSB(TRPはビーム形成される複数のSSBを使用する場合あり)について受信電力を測定し、そのようにして好ましいTRP TX SSBビームを判定することができる。端末デバイスは、TRPへ物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)シーケンスを送信することで応答を行う。端末デバイスがPRACHをTRPへシグナリングする場合、そのPRACHシーケンスは、受信された最良のSSBに基づいて決定されることになる。このようにして、TRPは、SSBが送信されたどのTXビームがその端末デバイスにとって最良であったのかを暗黙的に把握する。そして、端末デバイスは、他の命令が与えられるまで、その好ましいTRP TXビームにおいてTRPが制御及び/又はデータ信号を送信し続けることを期待する。
【0009】
こうしたより高い周波数で動作するいくつかの端末デバイスは、アナログビーム形成を使用するであろう。初期アクセスの期間中に、TRPがどこに位置するのかに関する何らかの空間的情報を端末デバイスが有する前に、端末デバイスは、できる限り無指向性のカバレッジを獲得しようとしてワイドビームを使用することになると予期される。初期アクセスの後、経路利得を増加させる目的で、端末デバイスがより狭いRXビームを見出すことが好ましいであろう。これを達成する1つの手法は、TRPにCSI-RSに基づいて端末デバイスでのRXビームスイープ手続を開始させることであり、これは、基本的には、端末デバイスが相異なるRXビームを通じてスイープを行い、各RXビームでの受信電力を測定し、受信電力の最も高いビームを選択することが可能となるように、TRPが固定的なTXビームにおいてCSI-RSのバーストを送信することを意味する。このアプローチに伴う1つの課題は、余計なオーバヘッドシグナリングが必要となり、そのためにビームトレーニングの目的に特化した余計な時間/周波数リソースを要する結果となることである。
【0010】
よって、より少ないオーバヘッドシグナリングしか要しない改善されたビームトレーニングに向けたニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0011】
ここでの実施形態の目的は、上述した課題を解決し又は少なくとも軽減し若しくは減少させるような効率的なビームトレーニングを可能にすることである。
【0012】
第1の側面によれば、端末デバイスにより実行される、ビームトレーニングのための方法が提示される。前記方法は、固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信すること、を含む。前記方法は、受信される前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについて、それぞれの補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定すること、を含む。前記方法は、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信すること、を含む。前記方法は、k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価すること、を含み、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される。
【0013】
第2の側面によれば、ビームトレーニングのための端末デバイスが提示される。前記端末デバイスは、処理回路を備える。前記処理回路は、前記端末デバイスに、固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信すること、を行わせるように構成される。前記処理回路は、前記端末デバイスに、受信される前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについて、それぞれの補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定すること、を行わせるように構成される。前記処理回路は、前記端末デバイスに、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信すること、を行わせるように構成される。前記処理回路は、前記端末デバイスに、k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価することであって、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、評価すること、を行わせるように構成される。
【0014】
第3の側面によれば、ビームトレーニングのための端末デバイスが提示される。前記端末デバイスは、固定ビームb0を用いて、ネットワークノードから、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信する、ように構成される受信モジュールを備える。前記端末デバイスは、受信される前記ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについて、それぞれの補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定する、ように構成される判定モジュール、を備える。前記端末デバイスは、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、前記ネットワークノードから、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの第2回目を受信する、ように構成される受信モジュール、を備える。前記端末デバイスは、k=1,...,Nとして前記補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの前記セットの前記第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいて、前記ネットワークノードとの後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの前記セット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価する、ように構成される評価モジュールであって、k=1,...,Nとして指向性ビームbkについての信号強度が補償ファクタckを用いて補償される、評価モジュール、を備える。
【0015】
第4の側面によれば、ビームトレーニングのためのコンピュータプログラムが提示され、前記コンピュータプログラムは、端末デバイスにおいて実行された場合に、前記端末デバイスに、前記第3の側面に係る方法を実行させるコンピュータプログラムコード、を含む。
【0016】
第5の側面によれば、コンピュータプログラムプロダクトが提示され、前記コンピュータプログラムプロダクトは、前記第4の側面に係るコンピュータプログラムと、前記コンピュータプログラムが格納されるコンピュータ読取可能な記憶媒体と、を含む。前記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体であってもよい。
【0017】
有利なこととして、これは、端末デバイスにとって効率的なビームトレーニングを提供する。
【0018】
有利なこととして、提案されるビームトレーニングは、上述した課題には悩まされない。
【0019】
有利なこととして、提案されるビームトレーニングによって、端末デバイスでのRXビームトレーニングのためにSSBを使用することができ、SSBが位置する相異なるOFDMシンボルについて正確な受信電力推定を端末デバイスが行うことが可能とされ、それにより端末デバイスでのRXビーム選択の精度が改善することになる。
【0020】
包含される実施形態の他の目的、特徴及び利点が、以下の詳細な開示から、添付の従属請求項から、並びに図面から明らかとなるであろう。
【0021】
概して、特許請求の範囲において使用される全ての用語は、ここで別段の明示的な定義のない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。あるエレメント、装置、コンポーネント、手段、モジュール、ステップなどへの全ての言及は、別段の明示的な記述の無い限り、それらエレメント、装置、コンポーネント、手段、モジュール、ステップなどの少なくとも1つの実例への言及としてオープンに解釈されるべきである。ここで開示されるどの方法のステップも、別段の明示的な記述の無い限り、開示した厳密な順序で実行されなくてよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
次の添付図面を参照しながら、発明概念がこれより例示のやり方で説明される:
【0023】
図1】1つのSSBについての時間/周波数リソースを概略的に示している。
図2】実施形態に係る通信ネットワークを示す概略図である。
図3】実施形態に係る方法のフローチャートである。
図4】一実施形態に係る図2の通信ネットワークの各部を概略的に示している。
図5】一実施形態に係るシグナリング図である。
図6】一実施形態に係る端末デバイスの機能ユニット群を示す概略図である。
図7】一実施形態に係る端末デバイスの機能モジュール群を示す概略図である。
図8】一実施形態に係るコンピュータ読取可能な記憶媒体を含むコンピュータプログラムプロダクトの1つの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明概念のある実施形態が描かれている添付図面を参照しながら、これより発明概念が一層充分に説明されるであろう。その発明概念は、しかしながら、多くの異なる形式で具現化されてよく、ここで説示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、それら実施形態は、本開示を綿密かつ完全なものとして当業者に発明概念のスコープが充分に伝わるように、例示の手段で提供されている。説明を通じて、類似の番号は類似のエレメントを指す。破線で示されるどのステップ又は特徴も、随意的なものと見なされるべきである。
【0025】
図2は、ここで提示される実施形態を適用することのできる通信ネットワーク100を示す概略図である。通信ネットワーク100は、第3世代(3G)電気通信ネットワーク、第4世代(4G)電気通信ネットワーク、又は第5(5G)電気通信ネットワークであってよく、当てはまる場合にはいずれかの3GPP電気通信標準をサポートする。
【0026】
通信ネットワーク100は、無線アクセスネットワーク110において少なくとも1つの端末デバイス200にネットワークアクセスを提供するように構成されるネットワークノード140を含む。無線アクセスネットワーク110は、コアネットワーク120へ動作可能に接続される。転じて、コアネットワーク120は、インターネットなどのサービスネットワーク130へ動作可能に接続される。それにより、端末デバイス200は、ネットワークノード140を介して、サービスネットワーク130のサービスへアクセスし及びサービスネットワーク130との間でデータを交換することを可能とされる。
【0027】
ネットワークノード140の例は、無線アクセスネットワークノード、無線基地局、基地送受信局、ノードB、進化型ノードB、gノードB、アクセスポイント及びアクセスノード、並びにバックホールノードである。端末デバイス200の例は、ワイヤレスデバイス、移動局、モバイルフォン、ハンドセット、ワイヤレスローカルループフォン、ユーザ機器(UE)、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットワーク対応センサ、ネットワーク対応車両、及びいわゆるIoT(Internet of Things)デバイスである。
【0028】
ネットワークノード140は、TRP150と共設され、統合され、又は動作上の通信関係にある。
【0029】
ネットワークノード140(そのTRP150を介する)と端末デバイス20とは、ビームのそれぞれのセット160、170で互いに通信するように構成される。
【0030】
上で開示したように、端末デバイス200におけるビームトレーニングを包含するビーム管理手続が、ビーム群160のうちの1つ及びビーム群170のうちの1つを含むBPLを確立するために使用され得る。既存のビームトレーニング手続に伴う課題は上で述べている。
【0031】
余計なオーバヘッドシグナリング無しで端末デバイス200が自身の受信ビームを調整するための代替的な手法は、端末デバイス200の初期アクセスの後の周期的なSSB送信の期間中に異なる受信ビームを評価するように端末デバイス200を構成することである。各SSBは4つの信号からなることから、各SSB送信の期間中に最大で4つの受信ビームを評価することができる。しかしながら、異なる信号に異なる電力ブースティングがなされるケースでは、このタイプの手続にはいくつかの潜在的な課題が伴い得る。
【0032】
より詳しくいうと、SSB内の複数の信号についてビームトレーニング手続を実行すると、1つのSSB内の相異なる信号が相異なる周波数部分にまたがっており、相異なる出力電力で送信され得ることから、受信電力の誤った推定をもたらしかねない。これは、端末デバイス200における誤ったビーム選択につながり、そのために性能を低下させる。
【0033】
したがって、ここで開示される実施形態は、ビームトレーニングのための仕組みに関連する。そうした仕組みを得るために、端末デバイス200、端末デバイス200により実行される方法、及び、例えば端末デバイス200において実行された場合に端末デバイス200にその方法を行わせるコンピュータプログラムの形式のコードを含むコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0034】
図3は、ビームトレーニングのための方法の実施形態を示すフローチャートである。上記方法は、端末デバイス200により実行される。上記方法は、有利には、コンピュータプログラム820として提供される。
【0035】
端末デバイス200は、ビームトレーニングを実行することを必要とするものとする。端末デバイス200にとってビームトレーニングを実行する理由の例が以下で開示されるであろう。ビームトレーニングは、ネットワークノード140により送信され端末デバイス200により受信されるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNに基づく。よって、端末デバイス200は、ステップS102を行うように構成される:
【0036】
S102:端末デバイス200は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信する。ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目は、端末デバイス200により、固定ビームb0を用いて受信される。ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目は、端末デバイス200により、ネットワークノード140から受信される。
【0037】
受信したビームリファレンス信号の生の測定結果を用いる代わりに、端末デバイス200は、ビームリファレンス信号の補償された測定結果を用いるように構成される。したがって、端末デバイス200は、ステップS104を行うように構成される:
【0038】
S104:端末デバイス200は、受信されるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについて、それぞれの補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定する。
【0039】
この点において、"受信されるビームリファレンス信号のうちの少なくとも1つ"とは、受信されるビームリファレンス信号のうちのただ1つから、受信されるビームリファレンス信号のうちの全て(あるいは少なくとも1つを除く全て)までの範囲をとり得る。
【0040】
そして、端末デバイス200は、ビームリファレンス信号を受信する際に、指向性ビームを使用する。具体的には、端末デバイス200は、ステップS106を行うように構成される:
【0041】
S106:端末デバイス200は、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、ネットワークノード140から、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目を受信する。指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットは、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbkにおいて受信されることになる形で使用される。
して、ビームリファレンス信号のうちのどれが最高の信号強度で受信されたかが判定される際に、端末デバイス200により補償ファクタが使用される。具体的には、端末デバイス200は、ステップS108を行うように構成される。
【0042】
S108:端末デバイス200は、ネットワークノード140との後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価する。その評価は、k=1,...,Nとして補償ファクタckを用いて補償を行いつつ、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目における最も強い受信ビームリファレンス信号に基づいてなされる。k=1,...,Nとして、指向性ビームbkについての信号強度が、補償ファクタckを用いて補償される。
【0043】
このようにして、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信し及びそれらビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNについて受信電力を算出する際には、端末デバイス200にて固定ビームb0により規定される通りの固定的なRXビームが使用され、端末デバイス200は指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNにおいて受信されるそれぞれのビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNについての補償ファクタを見出すことが可能とされ、それが相異なるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rN間の出力電力及び/又は周波数割当ての潜在的な差を相殺する。そして、端末デバイス200は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目に対しRXビームスイープを行う際に、相異なるRXビームについて受信電力推定結果の公平な比較をとる目的で、それら補償ファクタを使用する。
【0044】
次に、端末デバイス200により実行されるビームトレーニングのさらなる詳細に関連する実施形態が開示されるであろう。
【0045】
端末デバイス200がビームリファレンス信号を受信するための様々な手法があり得る。例えば、端末デバイス200は、アナログビーム形成、デジタルビーム形成又はハイブリッドビーム形成を用いてビームリファレンス信号を受信してよい。一実施形態によれば、ビームリファレンス信号は、端末デバイス200でのアナログビーム形成を用いて受信される。アナログビーム形成は、概して、デジタルビーム形成及びハイブリッドビーム形成よりもハードウェア要件の観点で簡易かつ低コストである。
【0046】
ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rN、及びビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNを送信する手法には、様々な種類があってよい。
【0047】
一実施形態によれば、各ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNは、時間方向で1つのOFDMシンボルを占める。一方で、周波数の次元では、1OFDMシンボルの全体を占めることを要しない(即ち、複数のビームリファレンス信号により占められる)。
【0048】
一実施形態によれば、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットは、端末デバイス200により周期的に受信される。
【0049】
一実施形態によれば、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットは、同期信号ブロック(SSB)により定義される。よって、端末デバイス200は、ネットワークノード140により周期的に送信されるSSBについて測定を行ってよい。
【0050】
様々な種類のSSBが存在し得る。一実施形態によれば、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットは、N=4となるように4つのビームリファレンス信号を含む。これにより、ビームトレーニングの目的で既存のSSBを使用することが可能となる。
【0051】
端末デバイス200がどの信号が最も強い受信信号であるかを判定するための様々な手法があり得る。一実施形態によれば、最も強い受信信号は、リファレンス信号受信電力(RSRP)の観点で判定される。
【0052】
ビームリファレンス信号の様々な部分について、RSRPが判定されてよい。一実施形態によれば、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの各々は、セカンダリ同期信号(SSS)を含み、RSRPはSSSを対象として判定される。そして、これはSSSがSSBの一部であるケースであり得る。
【0053】
さらに、ネットワークノード140から受信されるPBCHを含む任意の信号について、少なくともPBCHの復調のために使用される復調リファレンス信号(DMRS)のために使用されているリソースエレメントを、RSRPを算出するために使用することができる。PSS及びSSSについて、割当てられている全てのリソースエレメントが、RSRPの算出のために使用されてもよい。
【0054】
端末デバイス200がビームトレーニングを行うための様々な手法があり得る。それに関連する複数の側面が以下に開示されるであろう。
【0055】
ビームトレーニングに関連するある側面は、使用されるビームb0,b1,b2,...,bk,...,bNの種類に関係する。例えば、幅狭の指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNが使用される前に、幅の広い固定ビームb0が使用されてもよい。一実施形態によれば、固定ビームb0は、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNよりも幅広である。例えば、固定ビームb0は、ワイドビームであってよく、できる限り無指向性であってよい。一実施形態によれば、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNの各々は、固定ビームb0よりも狭いビーム幅を有する。例えば、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNは、いわゆるペン形状の狭ビームであってもよい。
【0056】
ビームトレーニングに関連する1つの側面は、ビームトレーニングがトリガされる基準に関係する。端末デバイス200がビームトレーニングを行うための様々なトリガがあり得る。
【0057】
1つのトリガは、初期アクセスである。一実施形態によれば、ビームトレーニングは、端末デバイス200により行われるネットワークノード140への初期アクセスのの一部として実行される。したがって、この初期アクセス手続の期間中に、端末デバイス200は、測定を行って、例えば最も強いSSBについての(例えば、OFDMシンボルごとの)受信電力を記憶する。代替的に、端末デバイス200は、測定を行って、最も強いM個のSSBの平均に基づく(例えば、OFDMシンボルごとの)受信電力を記憶する。
【0058】
他のトリガはハンドオーバである。一実施形態によれば、ビームトレーニングは、端末デバイス200がハンドオーバした先のネットワークノード140に対して行われる。補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNの新たな値の判定をいつトリガするかの複数の側面が以下で開示されるであろう。
【0059】
補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNの複数の側面が次に開示されるであろう。
【0060】
いくつかの側面において、補償ファクタは、受信電力における差に基づく。具体的には、一実施形態によれば、補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNは、固定ビームb0において受信された際のそれぞれのビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの受信電力における差に関する。
【0061】
いくつかの側面において、補償ファクタは、周波数位置における差に基づく。具体的には、一実施形態によれば、補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNは、それぞれのビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの周波数位置における差に関する。これは、(例えば、ネットワークノード140と端末デバイス200との間の周波数選択的な無線伝播チャネルに起因して)同じ1つの指向性ビームについて相異なる周波数位置で受信される信号電力の量が異なる場合に有利である。
【0062】
端末デバイス200が補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定するための様々な手法があり得る。
【0063】
いくつかの側面において、信号強度は、受信電力の観点で判定される。即ち、一実施形態によれば、信号強度は、ステップS108における評価の最中に、受信電力の観点で判定される。
【0064】
いくつかの側面において、補償ファクタは、最も強いリファレンス信号に対する受信電力の差を基準として判定される。即ち、一実施形態によれば、固定ビームb0を用いて受信された際の全てのビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちで、ビームリファレンス信号rjが最高の受信電力を有するものとする。そして、補償ファクタckは、ビームリファレンス信号rkと最高の受信電力を有するビームリファレンス信号rjとの間の受信電力における差dkを特定する。
【0065】
端末デバイス200が補償ファクタを適用するための様々な手法があり得る。一実施形態によれば、指向性ビームbkについての信号強度は、k=1,...,Nとして指向性ビームbkの受信電力に受信電力差dkを加算することにより補償される。他の例において、指向性ビームbkについての信号強度は、k=1,...,Nとして指向性ビームbkの受信電力から受信電力差dkを減算することにより補償される。また別の例において、いくつかの指向性ビームについては、受信電力の値は、受信電力に受信電力差を加算することにより補償され、他の指向性ビームについては、受信電力の値は、受信電力から受信電力差を減算することにより補償される。以下に例が提供されるであろう。
【0066】
いくつかの側面において、端末デバイス200は、N個よりも多くの指向性ビームを有する。したがって、端末デバイス200は、各指向性ビームにおいて1つのビームリファレンス信号が端末デバイス200にて受信されるように、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットのさらなる受信を行うことを必要とするかもしれない。そのため、一実施形態によれば、端末デバイス200は、(随意的な)ステップS106aを行うように構成される:
【0067】
S106a:端末デバイス200は、k=1,...,Nとしてビームリファレンス信号rkが指向性ビームbN+kにおいて受信されるように、指向性ビームbN+1,bN+2,...,bN+k,...,bN+Nのさらなるセットを用いて、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第3回目を受信する。
【0068】
次いで、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第3回目における最も強い受信ビームリファレンス信号にも基づいて、ステップS108で、ネットワークノード140との後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセット内のどの指向性ビームを使用すべきかが評価される。k=1,...,Nとして、指向性ビームbN+kについての信号強度は、補償ファクタckを用いて補償される。
【0069】
いくつかの側面において、ステップS106aは、ステップS106の一部として行われる。端末デバイス200が2N個より多くの指向性ビームを有する場合には、指向性ビームb2N+1,b2N+2,...,b2N+k,...,b2N+Nのまたさらなるセットで、ステップS106がさらに生じ得る。
【0070】
ステップS108における評価を一旦実行した際の端末デバイス200の動作のための様々な手法があり得る。いくつかの側面において、ステップS108での評価の結果として、k=1,...,Nとして補償ファクタckを用いて補償された最も強い受信ビームリファレンス信号を伴う指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNが、ネットワークノード140との後続の通信向けの使用のために選択される。そして、選択された指向性ビームを、ネットワークノード140と通信する際に端末デバイス200により使用することができる。よって、一実施形態によれば、端末デバイス200は、(随意的な)ステップS110を行うように構成される:
【0071】
S110:端末デバイス200は、 選択される指向性ビームを用いて、ネットワークノード140と通信する。
【0072】
上で開示したように、端末デバイス200がビームトレーニングを行うための様々なトリガがあり得る。この点において、端末デバイス200が補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNの新たな値をいつ判定すべきか、又はそもそも判定すべきなのかを判定するための様々なトリガがあり得る。いくつかの側面では、ネットワークノード14から同じビームリファレンス信号が繰り返し送信されることになり、したがって、端末デバイス200にとっては、補償ファクタの値を一度判定してから必要となる都度それら値を使用することで充分であり得る。
【0073】
1つのトリガは、データセッションの長さに関係する。第1の例によれば、補償ファクタの新たな値は、端末デバイス200向けのデータセッションが長くなる場合に判定される。よって、この第1の例によれば、補償ファクタの新たな値は、タイマの満了後に判定される。具体的には、一実施形態によれば、端末デバイス200は、(随意的な)ステップS112aを行うように構成される:
【0074】
S112a:端末デバイス200は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信する際に、タイマを起動する。そして、受信されるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについての補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNのそれぞれの新たな値は、この実施形態によれば、当該タイマの満了後にのみ判定される。
【0075】
有利なこととして、これにより、端末デバイス200が補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNの新たな値を周期的に判定することが可能となる。
【0076】
タイマの様々な例が存在し得る。いくつかの例において、タイマは、約1時間から約10秒までの間隔の値をとる満了期間を有する。具体的には、一実施形態によれば、タイマは、高々1時間、あるいは高々30分、好適には1分未満(10秒と20秒との間など)、という満了時間を有する。
【0077】
他のトリガは、ハンドオーバに関係する。第2の例によれば、端末デバイス200は、ネットワークノード140から他のネットワークノード140へハンドオーバする。このいわゆる他のネットワークノード140からのビームリファレンス信号の送信は、以前のビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの受信元であるネットワークノード140からの送信とは異なる電力セッティングを有するかもしれない。よって、この第2の例によれば、補償ファクタの新たな値は、端末デバイス200から他のネットワークノード140へのハンドオーバ後に判定される。具体的には、一実施形態によれば、端末デバイス200は、(随意的な)ステップS112bを行うように構成される:
【0078】
S112b:端末デバイス200は、ネットワークノード140から他のネットワークノード140へのハンドオーバに参加する。そして、受信されるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについての補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNのそれぞれの新たな値は、この実施形態によれば、端末デバイス200によりネットワークノード140からいわゆる他のネットワークノード140へのハンドオーバ後にのみ判定される。
【0079】
また別のトリガは、送信電力に関係する。第3の例によれば、補償ファクタの新たな値は、ネットワークノード140による送信電力の変更後に判定される。具体的には、一実施形態によれば、端末デバイス200は、(随意的な)ステップS112cを行うように構成される:
【0080】
S112c:端末デバイス200は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの送信電力の変更のインジケーションをネットワークノード140から取得する。そして、受信されるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つについての補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNのそれぞれの新たな値は、端末デバイス200によるインジケーションの受信後にのみ判定される。
【0081】
図4の(a)及び(b)は、端末デバイス200並びにネットワークノード14及びそのTRP150に焦点を当てて、図2の通信ネットワーク100の一部100a、100bを概略的に示している。
【0082】
図4の(a)において、ネットワークノード140は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を、指向性ビームのセット160の各ビームにおいて送信する。各指向性ビーム160a,160b,...,160i,...,160Kにおいて1つのSSBが送信され得る。端末デバイス200は、単一の固定ビームb0により定義されるビームのセット170を用いて、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を受信する。
【0083】
さらに、指向性ビームのセット160がK個の指向性ビームからなる場合、端末デバイス200は、ビームリファレンス信号のセットの第1回目を、K個の指向性ビームの各々において1回としてK回受信してもよい。一例によれば、各指向性ビームは1つのSSBを含み、各SSBは4つのビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rN(よって、N=4)を含み、各ビームリファレンス信号は1つのOFDMシンボルを占める。
【0084】
端末デバイス200は、全ての指向性ビーム160a~160Kのうちの少なくとも最良の指向性ビーム(即ち、最高の電力で受信された指向性ビーム)について、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの受信電力を測定し、SSBの各々のSSSに関するRSRP測定に基づくなどして、その最良の指向性ビーム(例えば、ビーム160i)において送信されたそれらビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの1つが最も強い受信信号をもたらしていると判定する。
【0085】
いくつかの例において、受信電力は、最も強い電力で受信されたビームにおいてのみ(即ち、指向性ビーム160a~160Kのうちの最良のものについてのみ)、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNごとに測定される。他の例において、受信電力は、ネットワークノード140からビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNが送信された全てのビームについて(即ち、指向性ビーム160a~160Kの全てについて)の平均として、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNごとに測定される。
【0086】
例えば、あらためてN=4であり、よって4つのOFMDシンボルについて同じ固定ビームb0を用いて受信される際の受信電力は次の通りであるものとする:
【0087】
ビームリファレンス信号r1:-53dBm、ビームリファレンス信号r2:-56dBm、ビームリファレンス信号r3:-58dBm、ビームリファレンス信号r4:-56dBm
【0088】
(OFDMシンボルごとの)RSRP測定結果に基づいて、端末デバイス200は、単一のビームの範囲内での相異なるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの間の周波数割当て及び/又は出力電力の潜在的な差を補償する目的で、少なくとも最高の信号電力で受信されたビームについて、それぞれビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのための補償ファクタを判定する。説明対象の例については、上で挙示した差を補償するために、次の補償ファクタのセットが判定され得る:
【0089】
c1=-3dB、c2=0dB、c3=+2dB、c4=-0dB
【0090】
説明対象の例について判定され得る差を補償するための補償ファクタの他のセットは、次の通りであり得る:
【0091】
c1=0dB、c2=+3dB、c3=+5dB、c4=+3dB
【0092】
そして、指向性ビームのセット160内の最良のビームにおいて到来する送信の期間中(即ち、端末デバイス200がビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目、第3回目などを受信する際)に受信信号電力に補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNが加算される。指向性ビームのセット160内の最良のビームにおいてビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目を受信する際、端末デバイス200は、自身が有する指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNにおいてビームリファレンス信号を(例えば、アナログビーム形成を使用する際にビームのセット170内の自身の受信側指向性ビームをスイープすることにより)受信して、図4の(b)のように、相異なる指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNについて比較可能な受信電力測定結果を獲得する。
【0093】
さらに、端末デバイス200は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目を受信する際に、最良の指向性ビーム160iだけでなく、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNが送信される各指向性ビーム160a~160Kについて自身の受信ビームをスイープ(即ち、相異なる指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのうちの相異なるものを順に使用)するように構成されてもよい。これが特に有利であるのは、ネットワークノード140が制御シグナリング又はデータシグナリングの送信時に指向性ビームのセット160内で他のビームへの切替えを行うと決定し、よって現行の最良の指向性ビーム160iを使用しない場合である。端末デバイス200は、こうしたビームスイーピングを行う場合、ネットワークノード140により使用される新たな指向性ビームについてどの指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNを使用すべきかを知得済みである。よって、端末デバイス200は、ネットワークノード140によりどの指向性ビーム160a~160Kが使用されるかに関わらず、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNの各送信についてのそのビームスイープの期間中に、判定した補償ファクタを使用することができる。
【0094】
図5は、端末デバイス200及びネットワークノード140により実行されるビームトレーニングのための方法のシグナリング図である。
【0095】
S201:ネットワークノード140は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第1回目を、指向性ビームのセットの各ビームにおいて送信する。端末デバイス200は、固定ビームb0においてそれらビームリファレンス信号を受信する。
【0096】
S202:端末デバイス200は、受信されるビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのうちの少なくとも1つを除く全てについて、それぞれの補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを判定する。補償ファクタは、ステップS202において、最高の受信電力で受信されたSSBに少なくとも基づいて判定される。
【0097】
S203:ネットワークノード140は、ビームリファレンス信号r1,r2,...,rk,...,rNのセットの第2回目を、指向性ビームのセットの各ビームにおいて送信する。端末デバイス200は、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて、それらビームリファレンス信号を受信する。
【0098】
S204:端末デバイス200は、指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセットを用いて受信されるビームリファレンス信号の測定結果に補償ファクタc1,c2,...,ck,...,cNを適用することにより、ネットワークノード140との後続の通信のために指向性ビームb1,b2,...,bk,...,bNのセット内のどの指向性ビームを使用すべきかを評価する。
【0099】
S205:端末デバイス200は、ステップS204における評価の期間中に判定した最良の指向性ビームの報告をネットワークノード140へ返す。
【0100】
図6は、数個の機能ユニットの観点で、一実施形態に係る端末デバイス200のコンポーネントを概略的に示している。処理回路210は、例えば記憶媒体230の形式の(図8のような)コンピュータプログラムプロダクト810に記憶されたソフトウェア命令群を実行可能な、適切なCPU(central processing unit)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP(digital signal processor)などのうちの1つ以上の任意の組合せを用いて提供される。処理回路210は、さらに、少なくとも1つのASIC(application specific integrated circuit)又はFPGA(field programmable gate array)として提供されてもよい。
【0101】
具体的には、処理回路210は、上で開示した動作又はステップのセットを端末デバイス200に行わせるように構成される。例えば、記憶媒体230が動作のセットを記憶してもよく、処理回路210は、記憶媒体230から動作のセットを読出して、その動作のセットをデバイス200に行わせる、ように構成されてもよい。動作のセットは、実行可能な命令群のセットとして提供されてもよい。
【0102】
こうして、処理回路210は、ここで開示した通りの方法をそれにより実行するようになされる。記憶媒体230は、例えば磁気メモリ、光学メモリ、ソリッドステートメモリ、あるいは遠隔的に搭載されるメモリのうちの任意の1つ又は組合せであり得る永続的なストレージをも含んでよい。端末デバイス200は、ネットワークノード140など、通信ネットワーク100、100a、100bの他のエンティティ、ノード及びデバイスとの通信のために少なくとも構成される通信インタフェース220をさらに備えてよい。そのため、通信インタフェース220は、アナログ及びデジタルのコンポーネント群を含む1つ以上の送信機及び受信機を備えてよい。処理回路210は、端末デバイス200の全般的な動作を、例えば通信インタフェース220及び記憶媒体230へデータ及び制御信号を送信することにより、通信インタフェース220からデータ及びレポートを受信することにより、並びに、記憶媒体230からデータ及び命令群を読出すことにより制御する。端末デバイス200の他のコンポーネント及び関連する機能性は、ここで提示される概念を曖昧にしないために省略されている。
【0103】
図7は、数個の機能モジュールの観点で、一実施形態に係る端末デバイス200のコンポーネントを概略的に示している。図7の端末デバイス200は、ステップS102を実行するように構成される受信モジュール210a、ステップS104を実行するように構成される判定モジュール210b、ステップS106を実行するように構成される受信モジュール210c、及びステップS108を実行するように構成される評価モジュール210e、といった複数の機能モジュールを備える。図7の端末デバイス200は、ステップS106aを実行するように構成される受信モジュール210d、ステップS110を実行するように構成される通信モジュール210f、ステップS112aを実行するように構成される起動モジュール210g、ステップS112bを実行するように構成されるハンドオーバモジュール210h、及びステップS112cを実行するように構成される取得モジュール210i、のうちの任意のものといった随意的な数個の機能モジュールをさらに備えてもよい。
【0104】
概していうと、各機能モジュール210a~210iは、ある実施形態においてはハードウェアのみで、他の実施形態においてはソフトウェアの支援と共に実装されてよく、即ち、後者の実施形態は、記憶媒体230に記憶されるコンピュータプログラム命令群であって、処理回路において実行された場合に、端末デバイス200に図8に関連して上で言及した対応するステップ群を行わせるコンピュータプログラム命令群、を有する。また、触れておくべきこととして、モジュール群はコンピュータプログラムの部分に対応するとしても、その中でそれらは別々のモジュールである必要はなく、それらをソフトウェアで実装する手法は、使用されるプログラミング言語に依存する。好適には、1つ以上の又は全ての機能モジュール210a~210iが、恐らくは通信インタフェース220及び/又は記憶媒体230と協働する処理回路210により実装されてよい。処理回路210は、よって、機能モジュール210a~210iにより提供される命令群を記憶媒体230から取得してそれら命令群を実行するように構成されてよく、それにより、ここで開示したような任意のステップ群を実行する。
【0105】
端末デバイス200は、スタンドアローンのデバイスとして、又は少なくとも1つのさらなるデバイスの一部として提供されてよい。端末デバイス200の様々な例が上で開示されている。端末デバイス200により実行される命令群の第1の部分が第1の物理デバイスにおいて実行され、端末デバイス200により実行される命令群の第2の部分が第2の物理デバイスにおいて実行されてもよい。ここで開示される実施形態は、端末デバイス200により実行される命令群の実行場所であり得る物理デバイスの具合的な数には何ら限定されない。したがって、図6には単一の処理回路210が示されているものの、処理回路210は、複数の物理デバイスをまたいで分散されてもよい。同じことが、図7の機能モジュール210a~210i、及び図8のコンピュータプログラム820(下記を参照)に当てはまる。
【0106】
図8は、コンピュータ読取可能な記憶媒体830を含むコンピュータプログラムプロダクト810の1つの例を示している。このコンピュータ読取可能な記憶媒体830にコンピュータプログラム820を記憶させることができ、コンピュータプログラム820は、処理回路210並びにそこへ動作可能に連結された通信インタフェース220及び記憶媒体230といったエンティティ及びデバイスに、ここで説明した実施形態に係る方法を実行させることができる。コンピュータプログラム820及び/又はコンピュータプログラムプロダクト810は、このようにして、ここで開示した通りの任意のステップ群を実行するための手段を提供してよい。
【0107】
図8の例において、コンピュータプログラムプロダクト810は、CD(compact disc)、DVD(digital versatile disc)又はブルーレイディスクといった光ディスクとして示されている。コンピュータプログラムプロダクト810は、RAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、EPROM(erasable programmable read-only memory)、又はEEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)といったメモリとして、より具体的にいうと、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はコンパクトフラッシュメモリなどのフラッシュメモリといった、外部メモリ内のデバイスの不揮発性の記憶媒体として具現化されてもよい。よって、コンピュータプログラム820がここで描かれた光ディスク上のトラックとして概略的に示されているものの、コンピュータプログラム820は、コンピュータプログラムプロダクト810に適したいかなる手法で記憶されることもできる。
【0108】
発明の概念を、主として若干の実施形態を参照しながら上で説明した。しかしながら、当業者にとって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲により定義される通りの発明概念のスコープの範囲内で、上で開示したもの以外の他の実施形態が等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8