(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】プロペラシャフト兼過給機ローターを備えた自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 13/04 20060101AFI20221005BHJP
B62D 37/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B60K13/04 A
B62D37/02 Z
(21)【出願番号】P 2022095355
(22)【出願日】2022-06-13
【審査請求日】2022-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517188828
【氏名又は名称】出雲 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】出雲 雄樹
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-078932(JP,U)
【文献】特開2004-148917(JP,A)
【文献】特開2007-283979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車であって、前記自動車の、吸排気口部以外が密閉されたフロアトンネル内に設けられた一対のリショルム型過給機のローターの両方または片方がプロペラシャフトを兼ねて、前記ローターが回転することにより前記フロアトンネル内で圧縮された空気を前記自動車外部または前記自動車内燃機関内に排気すると同時に前記プロペラシャフトにより駆動力の伝達を行う構造である自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における、空気抵抗を減少させ、強力なダウンフォースを発生させることを省スペースで実現するための車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両下面にあるプロペラシャフトに羽やスパイラルフィンを設け、流速を上げることによって空気抵抗の減少やダウンフォースの向上を図った機構(例えば、特許文献1及び2参照)が公知である。
【0003】
また、従来車両下面の流路を狭めて流速を上げることによって空気抵抗の減少やダウンフォースの向上を図った機構(例えば、特許文献3参照)が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-283979号公報
【文献】特許7016988号公報
【文献】特許6633797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2は、その効果が羽またはフィンの大きさに依存するため、高い効果を得ようとすればするほど車両下面のスペースを圧迫するという問題がある。
【0006】
また、特許文献3は、走行により車両下面に設けられたダクト内の圧力が高まるので、理論・計算上と同じ空気の流入が難しいため効果が発揮しづらく、また車両下面のスペースを圧迫するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の従来の空気抵抗減少・ダウンフォース発生装置及び構造の課題を解決する、すなわち省スペースで、空気抵抗を減少させ、強力なダウンフォースを発生させる車両構造に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、閉鎖されたフロアトンネル内に、一対のプロペラシャフト兼リショルム型過給機ローターを備えた車両であって、圧縮空気を生成すると同時に駆動力の伝達を行う車両構造である。
【発明の効果】
【0009】
プロペラシャフト兼過給機ローターにより圧縮された空気が後ろ向きに勢いよく排出されると、その反作用、すなわち推力を得る効果がある。これは言い換えれば空気抵抗の減少効果である。
【0010】
また、プロペラシャフト兼過給機ローターにより圧縮された空気が上向きに勢いよく排出されると、その反作用、すなわちダウンフォースを得る効果がある。
【0011】
また、車両下面前方に給気口を設けることで、その後ろ側で空気が薄い状態、すなわち負圧が発生し、車両上面との圧力差が生まれダウンフォースを得る効果がある。
【0012】
また、車体後方に内燃機関を設ける車両の場合、圧縮された空気を前記内燃機関内に送る構成とすることで、通常の過給機と同じように車両の内燃機関の性能を向上させる効果がある。
【0013】
また、リショルム型過給機は密な構造であるため、剛性確保のためにローターを太くしても、通常プロペラシャフトが格納されるフロアトンネルのスペースで充分本発明が実施可能となり、省スペースで上記効果が実現可能となる効果がある。
【0014】
また、自然の吸気に頼らない過給機であるから、空力効果が得られるために十分な空気の流量を確保でき、(0006)で述べた問題を解決する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る自動車の一実施の形態を示した斜視図である。
【
図2】本発明に係る自動車の一実施の形態を示すフロアトンネル部が拡大された前後方向車両中央付近の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
プロペラシャフト兼過給機ローター(
図1 1・2、
図2 8・9)を閉鎖された空間に置くため、吸排気口(3・10)を除きフロアトンネルが密閉された車両を用いる。このことによりフロアトンネル5内が閉ざされた空間となり、空気を圧縮できるようになる。
【0017】
前記車両下面、プロペラシャフト兼過給機ローター(
図1 1・2、
図2 8・9)前端下方に給気口3を設ける。四葉クローバー型シャフト(
図1 2、
図2 8)及び手裏剣型シャフト(
図1 2、
図2 9)が回転することにより給気口3から流入した空気がフロアトンネル5内で圧縮されフロアトンネル天窓10に排気され、排気口直後に設けられたダクト11を経由して排気口4から排気されると同時に、駆動力の伝達が行われる。
【0018】
圧縮された空気が勢いよく後方に排出され、その反作用により推力を得られる。これは空気抵抗の減少ともみなせる。
【0019】
上向きに空気を排出する反作用としてダウンフォースが得られるため、排気口4を上向きまたは斜め上向きとする構成としてもよい。
【0020】
排気口4より、超音速の空気の流れを作り、より大きな空力効果を得るため、排気口4の形状をラバールノズル(ロケットノズル)とする構成としてもよい。
【0021】
単純に内燃機関の性能を向上させるために、プロペラシャフト兼過給機ローター(
図1 1・2、
図2 8・9)から送られる空気が、車両後方に設けられた内燃機関内に送られる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
自動車の運動性能を大きく向上させるゆえ、モータースポーツで用いる車両の構造や市販のスポーツカーの構造として有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 プロペラシャフト兼リショルム型過給機の手裏剣型ローター
2 プロペラシャフト兼リショルム型過給機の四葉クローバー型ローター
3 給気口
4 排気口
5 フロアトンネル兼過給機
7 地面
8 プロペラシャフト兼リショルム型過給機の四葉クローバー型ローター
9 プロペラシャフト兼リショルム型過給機の手裏剣型ローター
10 過給機(フロアトンネル)天窓
11 過給機(フロアトンネル)天窓から排気口へのダクト
12 車両底面
【要約】 (修正有)
【課題】省スペースで、自動車に強いダウンフォースと、小さな空気抵抗をもたらすことを課題とする。
【解決手段】閉ざされたフロアトンネル5内に、プロペラシャフト兼リショルム型過給機の四葉クローバー型ローター8及びプロペラシャフト兼リショルム型過給機の手裏剣型ローター9を設け、圧縮空気を生成すると同時に駆動力の伝達を行い、圧縮空気は車両後方または上方に排気させる。リショルム型過給機は密な構造であるため、通常プロペラシャフトが格納されるフロアトンネルのスペースで実施可能である。
【選択図】
図2