(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】鼻腔内に液体を輸送するための装置
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A61M31/00
(21)【出願番号】P 2020515757
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 US2018049668
(87)【国際公開番号】W WO2019055272
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-11
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520085556
【氏名又は名称】ネオシナス ヘルス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Neosinus Health Inc.
【住所又は居所原語表記】1 Glenwood Avenue, 5th Floor Raleigh, NC 27603 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】ピュー, マグダ
(72)【発明者】
【氏名】マザー, カシフ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, マイケル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】マクラッケン, ネイサン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0228685(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163530(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0274711(US,A1)
【文献】国際公開第2014/139038(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
A61M 11/00
A61M 13/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(100)から鼻腔に流体を輸送する装置(10)であって、
近位端(33)にある入口と遠位端(34)に向かって配置された第1および第2の出口(38)とを含む中空の内側カニューレ(31)であって、前記第1および第2の出口(38)が異なる側方セクションにあり、前記入口と前記第1および第2の出口(38)とは流体流れの関係にある、前記内側カニューレ(31)と、
前記内側カニューレ(31)の上に延びて該内側カニューレ(31)収容する中空の外側カニューレ(21)であって、該外側カニューレ(21)は、前記装置(10)の外部に露出し遠位端(24)に向かって配置された第3および第4の出口(28)を含み、該第3および第4の出口(28)は前記外側カニューレ(21)の異なる側方セクションにある、前記外側カニューレ(21)と、
前記内側および外側カニューレ(31、21)のそれぞれに接続され、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間で、前記内側および外側カニューレ(31、21)の長手方向軸に沿って該内側および外側カニューレ(31、21)の相対的な軸方向移動を提供するように構成されたキャップ(40)と、
を含み、
前記第1の軸方向位置では、前記第1の出口と前記第3の出口とは整列しており、前記第2の出口と前記第4の出口とは整列しておらず、それにより、前記流体が相対的に、前記第2の出口を介した前記第4の出口からよりも前記第1の出口を介した前記第3の出口から前記装置(10)の横方向に優勢に排出されることを可能にし、
前記第2の軸方向位置では、前記第1の出口と前記第3の出口とは整列しておらず、前記第2の出口と前記第4の出口とは整列しており、それにより、前記流体が相対的に、前記第1の出口を介した前記第3の出口からよりも前記第2の出口を介した前記第4の出口から前記装置(10)の横方向に優勢に排出されることを可能にする
装置。
【請求項2】
前記キャップ(40)は、
前記内側カニューレ(31)の前記近位端(33)に取り付けられる第1のセクションと、
前記第1のセクションに対して相対的に回転可能であり、前記外側カニューレ(21)と係合する第1および第2のランプ(63、64)を含む第2のセクションと、
をさらに含み、
前記第1および第2のセクションは、前記外側カニューレ(21)を前記第1のランプ(63)に沿ってスライドさせ、前記外側カニューレ(21)を前記内側カニューレ(31)に対して軸方向の第1の方向に相対的に移動させるために、時計回り方向に互いに相対的に回転可能であり、
前記第1および第2のセクションは、前記外側カニューレ(21)を前記内側カニューレ(31)に対して反対の軸方向の第2の方向に相対的にスライドさせるために、反時計回り方向に互いに相対的に回転可能である
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内側カニューレ(31)は、前記外側カニューレ(21)の移動中に該内側カニューレ(31)が移動するのを防止するために、前記キャップ(40)の前記第1のセクションに固定的に取り付けられている
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記外側カニューレ(21)から放射方向外側に延び前記第2セクションの前記第1および第2ランプ(63、64)と係合するフィンをさらに含む
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1、第2、第3および第4の出口(28、38)の各々は、複数の開口部(25)を含む
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第3の出口は共通の数の開口部(25)を含み、前記第2および第4の出口は共通の数の開口部(25)を含む
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記内側および外側カニューレ(31、21)の各々の遠位端(24、34)にある開口部をさらに含む
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
容器(100)から鼻腔に流体を輸送する装置(10)であって、
内側カニューレ(31)が外側カニューレ(21)の中空内部に配置された前記内側および外側カニューレ(31、21)を含む輸送チューブ(20)であって、カニューレ(31、21)の各々は、
近位端(23、33)および対向する遠位端(24、34)を有する細長い形状部と、
前記遠位端に向かい第1の側方セクションに配置された第1の出口と、
前記遠位端に向かい第2の側方セクションに配置された第2の出口と、
を含み、前記外側カニューレ(21)の前記第1および第2の出口は前記装置(10)の外部に露出されている、前記輸送チューブ(20)と、
前記内側および外側カニューレ(31、21)のそれぞれに接続され、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間で、前記内側および外側カニューレ(31、21)を互いに相対的に軸方向に配置するように構成されたキャップ(40)と、
を含み、
前記第1の軸方向位置は、前記流体を第1の側方で前記装置(10)の外に輸送するために、前記輸送チューブ(20)の前記第1の側方セクションで整列された前記第1の出口と前記輸送チューブ(20)の前記第2の側方セクションで整列されていない前記第2の出口とを含み、
前記第2の軸方向位置は、前記流体を第2の側方で前記装置(10)の外に輸送するために、前記輸送チューブ(20)の前記第2の側方セクションで整列された前記第2の出口と前記輸送チューブ(20)の前記第1の側方セクションで整列されていない前記第1の出口とを含む
装置。
【請求項9】
前記内側および外側カニューレ(31、21)のそれぞれの前記近位端(23、33)は、前記キャップ(40)に接続されている
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記内側カニューレ(31)と外側カニューレ(21)との一方は、前記キャップ(40)のねじ山部分にねじ込まれている
請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の軸方向位置では、前記流体の優勢な量が前記輸送チューブ(20)から前記第1の側方に排出され、前記流体の少量が前記輸送チューブ(20)から前記第2の側方に排出されるように、前記第2の出口は前記第1の出口よりも重なりが少ない
請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記内側および外側カニューレ(31、21)の各々の前記第1の出口と前記第2の出口とは、前記内側および外側カニューレ(31、21)の周囲に90°以下の角度で間隔をあけて配置されている
請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記キャップ(40)は、それぞれが開口部を含む複数の部材を含み、該複数の部材は回転可能に連結され前記開口部が同軸上に配置されている
請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記内側カニューレ(31)は前記キャップ(40)に固定的に接続され、前記外側カニューレ(21)は前記キャップ(40)に対して相対的に移動可能であり、前記内側カニューレ(31)は前記外側カニューレ(21)の移動中に静止している
請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年9月15日に出願された米国出願第15/705773号の継続出願であり、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、鼻腔に流体を輸送するための装置および方法に関し、より詳細には、鼻腔の特定の領域を標的とするために輸送装置の特定の側部から流体を排出することに関する。
【背景技術】
【0003】
鼻腔は、様々な生物学的機能を果たす解剖学的構造に対応する様々な表面で構成されている。一般的に、鼻腔は中隔と呼ばれる軟骨の壁によって垂直に分割されている。中隔の両側には鼻孔があり、これを通って鼻腔に入ることができる。中隔の反対側、鼻腔の両側には、一連のタービネート(コンチャとも呼ばれる)がある。各一連は、鼻孔から鼻腔を通って喉に向かって後方に行くにつれて、下、中、上の各タービネートで構成されている。これらの鼻孔は、鼻腔内に突出する一連の骨の隆起である。上顎洞、前頭葉洞、前頭葉洞は、下側タービネートの上にある中タービネートの下から鼻腔内に排出される。
【0004】
鼻内のこれらの解剖学的構造を治療するために、治療用流体をそれらの対応する表面に局所的に適用することができる。このような流体は、例えば、生理食塩水、抗ヒスタミン剤、脱炭酸剤、およびコルチコステロイドを含み、これらは、それぞれ、鼻腔の灌漑、アレルギーの治療、鼻づまりの緩和、および炎症の治療に有用である。これらの流体を鼻腔内の様々な表面に輸送するために、スプレーボトルがしばしば使用される。スプレーボトルを使用するために、患者は、典型的には、鼻孔からノズルを挿入して、行き当たりばったりで無差別にノズルから流体を噴出させる。このような方法で行き当たりばったりで無差別に流体を吐出すると、少なくとも一部の流体が鼻腔内の適切な表面に塗布される傾向があるが、このようなアプローチは、非効率的である。実際、この方法によって輸送される流体の大部分は、流体がほとんど治療的価値をもたらさない表面に塗布されることによって、しばしば無駄になる。
【発明の概要】
【0005】
本願は、鼻腔に流体を輸送する装置に向けられている。装置は、流体を優勢におよび/または全体的に1つの側方セクションから輸送するように構成され得る。装置は、鼻腔の異なるセクションに流体を輸送するために必要に応じて、所望の側方セクションに流体を輸送するように調節可能であってもよい。装置は、流体を収容する容器に取り付けられるようにさらに構成される。
【0006】
一実施形態は、容器から鼻腔に流体を輸送する装置に向けられている。装置は、近位端にある入口と遠位端に向かって配置された第1および第2の出口とを含む中空の内側カニューレを含み、前記第1および第2の出口が異なる側方セクションにある。前記入口と前記第1および第2の出口とは流体流れの関係にある。中空の外側カニューレは、前記内側カニューレの上に延びて該内側カニューレ収容する。該外側カニューレは、遠位端に向かって配置された第3および第4の出口を含み、該第3および第4の出口は前記外側カニューレの異なる側方セクションにある。キャップは、前記内側および外側カニューレのそれぞれに接続され、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間で、前記内側および外側カニューレの長手方向軸に沿って該内側および外側カニューレの相対的な軸方向移動を提供するように構成される。前記第1の軸方向位置では、前記第1の出口と前記第3の出口とは整列しており、前記第2の出口と前記第4の出口とは整列しておらず、それにより、前記流体が相対的に、前記第2の出口を介した前記第4の出口からよりも前記第1の出口を介した前記第3の出口から優勢に排出されることを可能にする。前記第2の軸方向位置では、前記第1の出口と前記第3の出口とは整列しておらず、前記第2の出口と前記第4の出口とは整列しており、それにより、前記流体が相対的に、前記第1の出口を介した前記第3の出口からよりも前記第2の出口を介した前記第4の出口から優勢に排出されることを可能にする。
【0007】
装置はまた、前記内側カニューレの前記近位端に取り付けられる第1のセクションと、前記第1のセクションに対して相対的に回転可能であり、前記外側カニューレと係合する第1および第2のランプを含む第2のセクションと、をさらに含む。前記第1および第2のセクションは、前記外側カニューレを前記第1のランプに沿ってスライドさせ、前記外側カニューレを前記内側カニューレに対して軸方向の第1の方向に相対的に移動させるために、時計回り方向に互いに相対的に回転可能である。前記第1および第2のセクションは、前記外側カニューレを前記内側カニューレに対して反対の軸方向の第2の方向に相対的にスライドさせるために、反時計回り方向に互いに相対的に回転可能である。
【0008】
前記内側カニューレは、前記外側カニューレの移動中に該内側カニューレが移動するのを防止するために、前記キャップの前記第1のセクションに固定的に取り付けられている。
【0009】
前記装置は、前記外側カニューレから放射方向外側に延び前記第2セクションの前記第1および第2ランプと係合するフィンをさらに含み得る。
【0010】
前記装置は、前記第1、第2、第3および第4の出口の各々が複数の開口部を含むことを含み得る。
【0011】
前記第1および第3の出口は共通の数の開口部を含み、前記第2および第4の出口は共通の数の開口部を含む。
【0012】
前記装置は、前記内側および外側カニューレの各々の遠位端にある開口部をさらに含み得る。
【0013】
別の実施形態は、容器から鼻腔に流体を輸送する装置に向けられている。該装置は、内側カニューレが外側カニューレの中空内部に配置された前記内側および外側カニューレを含む輸送チューブを含む。カニューレの各々は、近位端および対向する遠位端を有する細長い形状部と、前記遠位端に向かい第1の側方セクションに配置された第1の出口と、前記遠位端に向かい第2の側方セクションに配置された第2の出口と、を含む。キャップは、前記内側および外側カニューレのそれぞれに接続され、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間で、前記内側および外側カニューレを互いに相対的に軸方向に配置するように構成される。前記第1の軸方向位置は、前記流体を第1の側方に輸送するために、前記輸送チューブの前記第1の側方セクションで整列された前記第1の出口と前記輸送チューブの前記第2の側方セクションで整列されていない前記第2の出口とを含む。前記第2の軸方向位置は、前記流体を第2の側方に輸送するために、前記輸送チューブの前記第2の側方セクションで整列された前記第2の出口と前記輸送チューブの前記第1の側方セクションで整列されていない前記第1の出口とを含む。
【0014】
前記装置は、前記内側および外側カニューレのそれぞれの前記近位端が前記キャップに接続され得ることを含み得る。
【0015】
前記装置は、前記内側カニューレと外側カニューレとの一方が前記キャップのねじ山部分にねじ込まれていることを含み得る。
【0016】
前記装置は、前記第1の軸方向位置では、前記流体の優勢な量が前記輸送チューブから前記第1の側方に排出され、前記流体の少量が前記輸送チューブから前記第2の側方に排出されるように、前記第2の出口は前記第1の出口よりも重なりが少ないことを含み得る。
【0017】
前記装置は、前記内側および外側カニューレの各々の前記第1の出口と前記第2の出口とが、前記内側および外側カニューレの周囲に90°以下の角度で間隔をあけて配置されていることを含み得る。
【0018】
前記キャップは、それぞれが開口部を含む複数の部材を含み得、該複数の部材は回転可能に連結され前記開口部が同軸上に配置されている。
【0019】
前記装置は、前記内側カニューレが前記キャップに固定的に接続され得、前記外側カニューレが前記キャップに対して相対的に移動可能であり得、前記内側カニューレが前記外側カニューレの移動中に静止していることを含み得る。
【0020】
別の実施形態は、容器から鼻腔に流体を輸送する方法に向けられている。方法は、内側カニューレと外側カニューレとを含む輸送チューブが第1および第2のキャップ部材に接続された状態で、前記第1のキャップ部材を前記第2のキャップ部材に対して第1の回転方向に回転することと、前記外側カニューレを前記内側カニューレに対して第1の軸方向に相対的に移動することと、前記内側および外側カニューレの第1の側方セクション上の第1セットの出口を整列し、前記内側および外側カニューレの第2の側方セクション上の第2セットの出口を整列しないことであって、前記出口は前記内側および外側カニューレの遠位端に向かって配置され、前記容器からの前記流体を、前記第1および第2のキャップ部材の前記内側カニューレの近位端に前記内側カニューレに沿って移動し、前記第1の側方セクション上の前記整列された前記第1セットの出口を通して前記流体を排出することと、前記第1のキャップ部材を前記第2のキャップ部材に対して第2の回転方向に回転することと、前記外側カニューレを前記内側カニューレに対して第2の軸方向に相対的に移動することと、前記内側および外側カニューレの前記第2の側方セクション上の前記第2セットの出口を整列し、前記内側および外側カニューレの前記第1の側方セクション上の前記第1セットの出口を整列しないことと、前記流体を、前記第1および第2のキャップ部材の前記内側カニューレの前記近位端に前記内側カニューレに沿って移動し、前記第2の側方セクション上の前記整列された前記第2セットの出口を通して前記流体を排出することと、を含む。
【0021】
前記方法は、前記内側カニューレが前記第1および第2のキャップ部材に対して移動するのを防止し、前記外側カニューレを前記内側カニューレに沿って軸方向に移動すること、をさらに含み得る。
【0022】
前記方法は、前記外側カニューレを前記内側カニューレに対して前記第1および第2の軸方向に移動し、同時に、前記外側カニューレを前記内側カニューレに対して回転させること、をさらに含み得る。
【0023】
前記方法は、前記第1の側方セクション上の前記整列された前記第1セットの出口を通して前記流体を排出するとき、前記輸送チューブの前記第2の側方セクション上の前記整列されていない前記第2セットの出口を通して少量の前記流体を排出することをさらに含み得る。
【0024】
前記方法は、前記外側カニューレの本体を前記内側カニューレの前記第2の側方セクション上の出口の上に移動し、前記流体が前記整列された第1の第2の出口を通して前記第1の側方セクションで排出されているとき前記流体が前記第2の側方セクションで排出されるのを防止すること、をさらに含み得る。
【0025】
本発明の様々な実施形態の様々な側面は、単独でまたは任意の組み合わせで、所望に応じて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図3】外側カニューレが内側カニューレの上に延びて収容されている輸送チューブの斜視図である。
【
図4】内側カニューレに対して軸方向位置にある外側カニューレの概略断面図であり、流体を第1の側方に輸送する。
【
図5】内側カニューレに対して軸方向位置にある外側カニューレの概略断面図であり、流体を第2の側方に輸送する。
【
図9】一緒に組み立てられたベースキャップおよび中間キャップと、そこから外向きに延びる輸送チューブの斜視図である。
【
図12】第1の位置にあり容器に取り付けられた輸送装置の斜視図である。
【
図13】第2の位置にあり容器に取り付けられた輸送装置の斜視図である。
【
図14A】外側カニューレの第1の出口と第2の出口との間の角度方向の概略図である。
【
図14B】外側カニューレの第1の出口と第2の出口との間の角度方向の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願は、容器から鼻腔に流体を輸送するための装置および方法に向けられている。ある装置は、流体を収容する容器に接続されるように構成された輸送チューブおよびキャップを含む。輸送チューブは、外側カニューレ内に配置された内側カニューレを含む。カニューレの各々は、第1の側方セクションに沿って整列した1つ以上の開口部を有する第1の出口と、第2の側方セクションに沿って整列した1つ以上の開口部を有する第2の出口とを含む。キャップは、輸送チューブを容器に固定するように構成されている。輸送チューブおよびキャップは、カニューレ間の相対的な軸方向の移動を提供するように構成されている。カニューレは、流体を鼻腔の第1の部分に輸送するために輸送チューブの第1の側方セクションに沿って第1の複数の出口を整列させる第1の軸方向位置と、流体を鼻腔の第2の部分に輸送するために第2の側方セクションに沿って第2の複数の出口を整列させる第2の軸方向位置との間で位置決め可能である。
【0028】
本開示の一側面に従って輸送される流体は、錠剤を所定量の蒸留水に溶解することによって作られてもよい。本開示の一側面によれば、錠剤は、面倒であると判断されている粉末形態とは対照的に、特定の使用者/消費者の専門知識に過度に依存していると判断されている錠剤とは対照的に、使用の容易さのために提供される。そのような錠剤は、溶液調製キットの形態で使用者に提供されることが企図される。一つの代替的な側面では、溶液がキットに含まれてもよいが、特定の実施形態によれば、錠剤の形態は、容易性、精度を向上させ、キットの保存可能期間を延長させてもよい。
【0029】
キットに含まれてもよい錠剤の調製の例を以下に示す。錠剤は、下記の表1に記載された所望のパラメータおよび所定のパラメータを妨害しない量の緩衝剤、溶解剤、錯化剤などをさらに含んでいてもよい。言い換えれば、錠剤は、所望の所定のpH値、溶解時間、錠剤全体の重量、および/または他の望ましい因子に影響を与えないであろう、非記載の化合物をさらに含んでいてもよい。
【0030】
特定の実施例において、錠剤は、本開示の一側面に従って、鼻腔を灌漑するための溶液/リンスを調製するために使用するために製造された。塩化ナトリウム(120mg);炭酸水素ナトリウム(290mg);およびクエン酸(40mg)の量を、乳鉢および乳棒を使用して組み合わせた。得られた混合物を油圧プレス(Kahan Analytical Solutions, Dehli, India)を用いて450mgの錠剤に成形した。このプレスは、温度25°Cで7トン/m2の圧力をかけた。次に、錠剤を25°Cの温度で少なくとも5秒間乾燥させた。
【0031】
上記のようにして作製した錠剤を用いて溶液を調製した。錠剤を温度40°C(104°F)の蒸留水100mlに溶解させた。錠剤は約30秒で実質的に完全に溶解した。得られた溶液(錠剤溶解後)のpHは約6.98であった。本開示の側面に従って使用される溶液の調製に使用するために製造され、試験された他の有用な錠剤組成物の非網羅的なリストは、以下の表1に提供される。
【0032】
【0033】
流体は、輸送装置10によって鼻腔内に輸送される。例えば、
図1は、容器100に接続された装置10を図示している。装置10は、ユーザの鼻腔内に挿入されるサイズの輸送チューブ20を含む。装置10はまた、輸送チューブ20を容器100に接続するキャップ40を含む。キャップ40は、容器100内の流体を鼻腔の選択された部分に選択的に輸送するように輸送チューブ20を調整するために可動である。
【0034】
図2は、装置10および容器100の分解図である。輸送チューブ20は、外側カニューレ21および内側カニューレ31から構成されている。カニューレ21、31は、鼻腔内への流体の選択的輸送を提供するために、互いに軸方向に相対的に移動するように構成されている。キャップ40は、ベースキャップ50、中間キャップ60、およびトップキャップ70から構成されている。キャップ40は、容器100に着脱可能に取り付けられるように構成されている。
【0035】
図3は、内側カニューレ31が外側カニューレ21内に配置された輸送チューブ20を図示している。輸送チューブ20は、説明の目的のために、輸送チューブ20を第1および第2の側方セクションに分割する幾何学的平面110に沿って湾曲した中心線を含んでもよい。また、輸送チューブ20は、流体を鼻腔に輸送するために必要に応じて、直線形状を含むが、これに限定されない他の形状を含んでもよい。輸送チューブ20の側方セクションは、輸送チューブ20の周囲で異なる量の角度分離によって分離されていてもよい。一つの設計では、側方セクションは、輸送チューブ20の対向する側にある(すなわち、180°離れている)ことを含む。他の設計は、90°以下である小さな角度分離を特徴とする。他の設計は、90°~180°の間であることを特徴とする。
【0036】
輸送チューブ20およびキャップ40は、プラスチックおよびゴムを含むがこれらに限定されない様々な材料から構成されてもよい。カニューレ21、31は、鼻腔内への挿入を容易にし、キャップ40がより剛性のある材料から構成されている場合に使用者が受ける可能性のある傷害を防止するために、可撓性であってもよい。カニューレ21、31は、同じ材料から構成されてもよいし、異なる材料から構成されてもよい。
図2は、外側カニューレ21が内側カニューレ31よりも硬い材料から構築された実施形態を含む。剛性のある構造は、外側カニューレ21が湾曲した形状を有することを提供する。より柔軟な内側カニューレ31は、外側カニューレ21に挿入されたときに、この形状を想定している。
【0037】
図2および
図3に示されるように、外側カニューレ21は、近位端部23および対向する遠位端部24を有する細長い本体22を含む。近位端23は、開放されており、本体22の長さを延長する中空の内部に導かれる。1つ以上のフィン27は、近位端23に向かって配置されている。一つの設計は、本体22の対向する側で放射状に外側に延びる2つのフィン27を含む。他の設計は、異なる数のフィン27および/または異なる角度の配置を含む。
【0038】
複数の出口28は、本体22の遠位端24に向かって配置されている。複数の出口28は、液体を異なる側方に分散させるために、本体22の異なる側方セクションに配置されている。各出口28は、1つ以上の開口部25を含む。各出口28の複数の開口部25は、本体22に沿って長手方向の柱状に整列していてもよい。他の設計では、複数の開口部25は、本体22に沿って異なる角度方向にオフセットされていることを含む。異なる出口28は、同じまたは異なる数の開口部25を含んでもよく、開口部25は、同じまたは異なる形状および/またはサイズを有してもよい。
【0039】
外側カニューレ21の遠位端24は、流体の排出を防止するために閉じられていてもよい。別の設計では、遠位端24は、流体を外向きに、かつ鼻腔内に排出するための開口部を有することを含む。
【0040】
内側カニューレ31は、外側カニューレ21の中空の内部に収まるように大きさが決められている。内側カニューレ31は、近位端33および対向する遠位端34を有する細長い本体32を含む。近位端部33は、開放されており、本体32の長さを延長する中空内部に導かれる。遠位端34は、流体が遠位方向に外側に排出されるかどうかに応じて、閉じていてもよいし、開いていてもよい。内側カニューレ31はまた、近位端33に近接してフランジ36を含む。フランジ36は、本体32の残りの部分よりも大きな直径を有し、内側カニューレ31をキャップ40内に固定するために提供する。
【0041】
1つまたは複数の開口部35を有する複数の出口38は、それぞれ、遠位端34に近接して本体32の異なる側方セクションに配置されている。複数の出口38の複数の開口部35は、長手方向の柱状に整列していてもよく、開口部35の間に角度オフセットを有していてもよい。複数の出口38は、複数の開口部35の数と同じであっても異なっていてもよく、また、形状および/またはサイズが同じであっても異なっていてもよい。一つの設計では、内側カニューレ21および外側カニューレ31の各々は、2つの出口28、38を含む。他の設計では、1つまたは両方のカニューレ21、31に1つの出口28、38を含んでもよく、または1つまたは両方のカニューレ21、31に3つ以上の出口28、38を含んでもよい。
【0042】
外側カニューレ21は、内側カニューレ31よりも大きな断面サイズを含む。これは、カニューレ21、31間の相対的な軸方向の移動を提供する。ある特定の設計では、カニューレ21、31は、それぞれが円形の断面形状を有することを含む同一の断面形状を含む。他の設計は、サイジングがカニューレ21、31間の相対的な軸方向移動を可能にすることを条件に、異なる断面形状を含んでもよい。一つの設計では、相対的な軸方向移動は、外側カニューレ21が静止した内側カニューレ31に対して相対的に移動することによって生じる。他の設計では、軸方向に移動可能な内側カニューレ31と、固定された外側カニューレ21と、移動可能な内側カニューレ21と外側カニューレ31とを含む。
【0043】
カニューレ21、31は、流体が輸送チューブ20から排出される方向を制御するために、出口28、38を位置決めするために、互いに軸方向に相対的に移動するように構成されている。
図4は、内側カニューレ31が外側カニューレ21の中空内部に配置された状態で相対的な軸方向位置にあるカニューレ21、31を図示している。この軸方向位置において、内側カニューレ31は、外側カニューレ21の1つの出口28の開口部25が、輸送チューブ20の1つの側方セクションに沿って内側カニューレ31の1つの出口38の開口部35と整列するように、外側カニューレ21内に配置されている。
図4を参照すると、開口部25、35は、輸送チューブ20の左側に沿って整列している。これは、輸送チューブ20を通って移動される流体がこの側方に排出されることを提供する。対向する側方セクションの内側カニューレ31の排出口38の開口部35は、外側カニューレ21の本体22と整列している。これにより、出口38の開口部35が塞がれて、この側方に輸送チューブ20から流体が排出されることが防止される。
【0044】
一実施形態では、出口38の開口部35は、この対向する側方セクションの出口28の開口部25と部分的に整列していてもよい。これは、実質的により多くの流体が第1の側方セクション上の整列された出口28、38を通って排出されるが、この第2の側方に排出される流体の一部を提供する。
【0045】
図5は、内側カニューレ21および外側カニューレ31が互いに軸方向に相対的に移動した軸方向位置を示している。この移動により、出口38の開口部35は、内側カニューレ31の対向する側方セクションに沿って、外側カニューレ21の出口28の対応する開口部25と位置合わせされ、この開口部35は、外側カニューレ21の出口28の対応する開口部25と位置合わせされる。これは、この側方への流体の排出を提供する。この軸方向の位置は、出口38の開口部35が外側カニューレ21の本体22と整列しているので、流体が反対側の側方に排出されるのをさらに妨げる。また、この設計はまた、出口28、38がある程度重なっていてもよいので、このブロックされた側方セクションから排出される流体の量をより少なくすることを提供してもよい。
【0046】
図4および
図5は、輸送チューブ20のちょうど1つの側方セクションから流体を完全にまたは主に排出することができる設計を含む。カニューレ20、30は、開口部25、35の大きさおよび/または位置が、異なる側方セクション上の異なる量の流体を排出するために提供するように構成されてもよい。例えば、特定の相対的な軸方向位置において、第1の側方セクション上の出口28、38の重なり合う開口部25、35の大きさは、第1の量の流体が排出されるように提供するための第1の量であってもよく、第2の側方セクション上の重なり合う開口部25、35は、異なる量の流体が排出されるように、より小さいか、またはより大きくなっている。この設計は、ユーザおよび/または製造者が必要に応じて流体の量および方向を制御することを提供する。
【0047】
輸送チューブ20はまた、出口25、35がいずれかの側方セクションに沿って整列していない閉位置に配置されてもよい。これは、保管のために、または装置10が使用されていないときに使用されてもよい。
【0048】
カニューレ21、31は、ユーザが必要に応じて相対的な軸方向位置を調整することを提供するために、キャップ40に接続されている。キャップ40は、カニューレ21、31のうちの一方のカニューレ21、31の移動を阻止し、異なる軸方向位置に対する他方のカニューレ21、31の移動を提供するように構成されていてもよい。キャップ40はまた、カニューレ21、31の各々の移動を許容し、位置決めのための移動を提供するように構成されてもよい。一実施形態では、キャップ40は、内側カニューレ31を静止状態に維持し、外側カニューレ21だけの軸方向の移動を提供する。
【0049】
キャップ40は、互いに相対的に移動可能な複数の部材を含む。第1の方向におけるキャップ部材の相対的な移動は、カニューレ21、31の一方を他方に対して第1の軸方向に相対的に移動させることを提供する。第2の方向におけるキャップ部材の相対的な移動は、第2の方向におけるカニューレ21、31の軸方向の相対的な移動を提供する。
【0050】
一実施形態では、キャップ40は、相対移動を提供する3つの部材からなる。これは、ベースキャップ50、中間キャップ60、およびトップキャップ70を含む。
【0051】
図6は、容器100に係合するベースキャップ50の底面を示している(
図2は、ベースキャップ50の上面を示している)。ベースキャップ50は、開いた底部58と閉じた上面59とを有する凹状の本体51を含む。開口部52は、底部58から上面59に向かって本体51を貫通して延びている。底部58の本体51の内部には、ベースキャップ50を固定するために容器100の対応するねじ山と係合するためのねじ山が含まれている。本体51は、チューブ(図示せず)が開口部52と整列して容器100の内部に延びるように、底部58にチューブ(図示せず)を取り付けるように構成されている。嵌合部56は、開口部52の周りに延びており、チューブの端部内に適合するように構成された1つ以上のフランジを有する円錐形状を含んでいてもよい。ベースキャップ50の頂部59は、開口部52において本体51から外向きに延びる首部53を含む。スロット54は、首部53を横切って切断されてもよい。開口部57は、ベースキャップ50を貫通して延びている。開口部57は、
図6に図示されているように、開口部52に近接して配置されてもよい。
【0052】
内側カニューレ31は、ベースキャップ50と嵌合する。一実施形態では、内側カニューレ31は、底部58からベースキャップ50の開口部52を通って挿入される。開口部52は、内側カニューレ31の近位端33に向かうフランジ36が嵌合部56と係合し、カニューレ31がベースキャップ50を通って完全に引っ張られることを防止するような大きさである。別の設計では、ベースキャップ50は、圧入係合を介して内側カニューレ31の近位端33を受け止めて固定するために、開口部52にレセプタクルを有することを含む。
【0053】
中間キャップ60は、ベースキャップ50の上に配置される。
図7は中間キャップ60の底面図を示し、
図8は上面図を示す。中間キャップ60は、開いた底部68と閉じた上部69とを有する凹形状の本体61を含む。本体61は、ベースキャップ50を受けるための大きさの空洞を形成し、周囲に延びる外壁98を含む。ハンドル99は、以下に説明するように、中間キャップ60を回転させるために外壁98によって形成されている。開口部62は、底部68から上端部69まで本体61の中心点を通って延びている。開口部62は、ベースキャップ50の首部53を受ける大きさになっている。本体61はまた、キャップ60の頂部から上方に延びる首部96を含む。キャップ60はまた、中央開口部62に近接して配置される本体61の開口部97をさらに含む。
【0054】
ランプ63、64は、開口部62において首部96の内側に沿って配置されている。第1のランプ63は、開口部62の第1の側面の一部の周りに延びており、第2のランプ64は、開口部62の対向する第2の側面の一部の周りに延びている。第1のランプ63、64の各々は、外側カニューレ21のフィン27の1つと接触する接触面を含む。ランプ63、64のうちの1つは、フィン27のうちの1つの下端部に対して接触するように配置されている。対向するランプ63、64は、対向するフィン27の上端部に対して接触するように位置決めされている。さらに、第1のランプ63は、中間キャップ60の回転中に接触したフィン27を上または下に押し上げるように第1の方向に角度が付けられている。第2のランプ64は、キャップ60の回転中に接触フィンを反対方向に押すように角度が付けられている。一実施形態では、ランプ63は、中間キャップ60が時計回りに回転されているときにフィン27を上方に押し上げるように角度付けられ、第2のランプ64は、中間キャップ60が反時計回りに回転されているときに接触しているフィン27を下方に押し下げるように構成されている。
【0055】
図8に示すように、中間キャップ60のネック部96は、中央開口部62と通信するスロット95を含む。スロット95は、組立時に外側カニューレ21のフィン27の挿入を提供する。
【0056】
図9は、ベースキャップ50と中間キャップ60が一緒に嵌め合わされた状態を示している。キャップ50、60は、2つの部材間の相対的な回転を提供するために一緒に連結されている。ベースキャップ50の首部53は、中間キャップ60の開口部62を通って延び、中間キャップ60のネック96内に配置されている。外側カニューレ21のフィン27(図示せず)は、ランプ63、64(図示せず)に配置されている。輸送チューブ20は、キャップ50、60から外向きに延びており、開口部52、62と整列している。
【0057】
中間キャップ60の開口部97は、ベースキャップ50の上面よりも上方に位置している。中間キャップ60とベースキャップ50との間の相対回転中に、開口部97の1つがベースキャップ50の開口部57と整列する。これにより、流体が輸送チューブ20を通って排出された後、容器100内への空気の流れが提供される。これにより、輸送チューブ20を介して輸送される流体の量を妨げるかまたは制限し、および/または流体の排出手順の間に必要な時間の量を増加させる可能性のあるエアロックの発生が防止される。
【0058】
図10および
図11に図示されているようなトップキャップ70は、中間キャップ60の上に延びるような大きさを有している。上部キャップ70は、輸送チューブ20を受けるようにサイズ付けされた中央開口部72を有する凹状の本体71を含む。本体71の下端縁94は、中間キャップ60および/またはベースキャップ50と係合するようにサイズ決めされている。窓93は、以下に説明するように、ハンドル99を受けるために、本体71の一部分に沿って底縁94に配置されている。
【0059】
キャップ40の組み立ては、最初に輸送チューブ20をベースキャップ50に取り付けることを含んでもよい。一実施形態では、内側カニューレ31は、キャップ50の下側から開口部52を通して挿入される。内側カニューレ31は、開口部52においてベースキャップ50から下方に延びる嵌合部56に対して隆起部36が接近するまで開口部52を介して挿入される。この位置では、カニューレ31はベースキャップ50を通って延び、遠位端34はベースキャップ50の上方に間隔をあけて配置される。
【0060】
一旦位置決めされると、チューブが、開口部52においてベースキャップ50の底部上の嵌合部56に取り付けられてもよい。チューブは、嵌合部56上の隆起を越えて延びてもよく、装置10が容器100に取り付けられたときに容器100の内部に位置決めされるようにベースキャップ50から下方に延びてもよい。
【0061】
次に、ベースキャップ50および内側カニューレ31を中間キャップ60に取り付ける。これは、内側カニューレ31を中間キャップ60の底部から中央開口部62を通して挿入することを含む。挿入は、ベースキャップ50の首部53を中間キャップ60のネック96に位置決めする。一実施形態では、ベースキャップ50の首部53のスロット54のうちの1つは、中間キャップ60のスロット95と整列している。ベースキャップ50の位置決めはまた、中間キャップ60の本体61の下端部を、中間キャップ60の上端部に対して、または中間キャップ60の上端部に近接して位置決めする。
【0062】
次に、外側カニューレ21は、内側カニューレ31の上に挿入されてもよい。この挿入は、外側カニューレ21の近位端23を内側カニューレ31の遠位端34と位置合わせし、次いで外側カニューレ21を内側カニューレ31の上で、かつ内側カニューレ31の長さに沿って摺動させることを含む。外側カニューレ21のフィン27は、ベースキャップ50の首部53のスロット54内にスライドする。外側カニューレ21は、フィン27がスロット54の底部に対してアバットするまで挿入されてもよい。これはまた、フィン27を中間キャップ60のランプ63、64に位置決めする。
【0063】
次いで、上部キャップ70は、輸送チューブ20の遠位先端を開口部72に整列させることによって接続される。次いで、トップキャップ70は、輸送チューブ20に対して相対的に移動され、ベースキャップ50と接触する。一実施形態では、トップキャップ70の下端縁94は、ベースキャップ50の外周に沿って延びる溝内に着座する。上部キャップ70は、窓93を通って延びる中間キャップ60上のハンドル99と一緒に配置される。
【0064】
一旦組み立てられると、キャップ40を容器100に取り付けることができる。ベースキャップ50は、容器100の首部に設けられたねじ山と嵌合するねじ山を含む。これにより、ベースキャップ50の底部に取り付けられたチューブが容器100の内部に位置決めされる。これはまた、キャップ40から外方に延びる輸送チューブ20を位置決めする。
【0065】
図12および
図13は、容器100に取り付けられた組み立てられたキャップ40を示す。キャップ40は、ハンドル99が窓93の第1の端部に配置された状態で、
図12の第1の位置にある。この位置は、外側カニューレ21に対して第1の軸方向位置にある内側カニューレ31を含む。
図13は、中間キャップ60が、ハンドル99が窓93の対向する第2の端部に配置された状態で、異なる位置に回転された第2の位置を示す。これにより、内側カニューレ31は、外側カニューレ21に対して異なる軸方向位置に位置決めされる。
【0066】
キャップ40の残りの部分に対する中間キャップ60の相対的な回転は、ユーザがハンドル99を把持して異なる回転位置に移動させることによって達成される。第1の方向への回転は、外側カニューレ21上のフィン27のうちの1つが、中間キャップ60上のランプ63、64のうちの1つに沿ってスライドすることを引き起こす。このランプに沿ったスライド運動は、内側カニューレ31との相対的な軸方向の運動を引き起こす。摺動運動の間、フィン27がベースキャップ50の首部のスロット54内に配置されているため、外側カニューレ21は、中間キャップ60との回転が阻止される。ある特定の実施形態では、中間キャップ60を時計回りの回転方向に回転させると、第1のフィン27の下端が第1のランプ63に沿ってスライドし、外側カニューレ21を内側カニューレ31に対して遠位に相対的に移動させる。中間キャップ60の反時計回りの回転方向への回転は、第2のフィン27の上端を第2のランプ64に沿ってスライドさせ、外側カニューレ21を内側カニューレ31に対して近位に相対的に移動させる。
【0067】
中間キャップ60の回転の程度は、カニューレ21、31間の相対的な軸方向移動の程度を制御する。一実施形態では、窓93の第1の端部にハンドル99を位置決めすることは、輸送チューブ20の第1の側方に沿って出口28、38を整列させる。窓93の第2の端部にハンドル99を配置することは、輸送チューブの対向する第2の側方に沿って出口28、38を整列させる。出口28、38の整列の程度は、窓93内でのハンドル99の位置決めに基づいて、ユーザによって制御され得る。一実施形態では、ハンドル99を窓93に沿った中点に位置決めすることにより、出口28、38の位置ずれが生じ、キャップ40が閉じた位置にあることにより、流体が排出されるのを防ぐことができる。キャップ40は、ユーザがハンドル99と窓93の端部との間の接触を感じて、流体の輸送のための所望の位置が得られたことを知ることができるように構成されている。さらに、ユーザは、その位置を視覚的に見ることができる。
【0068】
容器100から輸送チューブ20を介した流体の輸送は、ユーザが容器100を絞ることによって達成される。この輸送は、容器からの流体を、ベースキャップ50の底部に接続されたチューブ内に強制的に押し込み、輸送チューブ20内に、そして輸送チューブ20を介して輸送する。次に、流体は、整列された排出口28、38を通って排出される。容器100を解放することにより、容器は元の形状に戻る。空気は、中間キャップ60の1つ以上の開口部97と整列しているベースキャップ50の開口部57を介して容器の内部に引き込まれる。
【0069】
キャップ40はまた、カニューレ21、31間の相対的な軸方向の移動を提供する他の設計を含んでもよい。一つの設計は、外側カニューレ21が、内側カニューレ31に対して軸方向に相対的に移動可能で回転可能であることを含む。具体的には、外側カニューレ21は、ベースキャップ50の首部53にねじ込まれる。外側カニューレ21は、首部53に沿って延びるねじ山と嵌合する遠位端24の内面に沿って延びるねじ山26を含む。さらに、外側カニューレ21のフィン27は、中間キャップ60のレセプタクル65と係合する。フィン27がレセプタクルに係合している状態で、中間キャップ60を第1の方向に回転させることにより、外側カニューレ21が首部53の周りを第1の方向に回転する。ねじ山は、一緒に係合して、外側カニューレ21が首部53の周りで回転することを引き起こし、また、第1の方向に内側カニューレ31に対して軸方向に相対的に移動する。軸方向の移動は、出口28、38を必要に応じて整列させたり、位置をずらしたりすることをもたらす。同様に、中間キャップ60の対向する第2の方向への回転は、外側カニューレ21を第2の方向で首部53について回転させる。これにより、外側カニューレ21は、内側カニューレ31の周りを回転するとともに、内側カニューレ31に対して軸方向に相対的に移動する。内側カニューレ31に対する外側カニューレ21の軸方向の移動量および回転量は、様々であってもよい。
【0070】
複数の出口28は、外側カニューレ21の周囲の異なる角度の配置によって分離されていてもよい。
図14Aは、外側カニューレ21の周囲の異なる側方セクションに整列した複数の出口28の概略的な端面図を示す。各々が1つ以上の開口部25を含む出口28は、角度αによって分離されている。
図14Aは、複数の出口28の間に約180°の角度配置αを含む。
図14Bは、約90°の角度配置αを含む。他の設計は、90°以下の範囲、および90°~180°の間の範囲を含む、異なる角度配置を含んでもよい。
【0071】
内側カニューレ31の複数の出口38間の角度配置αは、内側カニューレ21の複数の出口28間の角度配置αと同じであってもよいし、異なっていてもよい。一つの設計では、内側カニューレ21および外側カニューレ31の各々は、2つの出口28、38を含む。他の設計では、1つまたは両方のカニューレ21、31に1つの出口28、38を含むか、または1つまたは両方のカニューレ21、31に3つ以上の出口28、38を含む。
【0072】
カニューレ21、31間の相対的な軸方向移動のための別の設計は、ユーザが力を加えて、外側カニューレ21を内側カニューレ31に沿って移動させることを含む。カニューレ21、31は、相対的な軸方向移動の範囲を制御するストップを含んでもよい。一実施形態では、内側カニューレ31は、外側カニューレ21のスロット内に収まる放射方向の延長部を含む。延長部は、スロットの上端および下端に対して接触して、軸方向運動の範囲を制御する。別の設計では、外側カニューレ21はキャップ40に固定され、内側カニューレ31は軸方向に移動可能である。内側カニューレ31から放射方向に延びる延長部が、外側カニューレ21のスロットを通って延びている。使用者は、外側カニューレ21内で内側カニューレ31を上下方向に移動させる力を加えるために、延長部を把持する。
【0073】
別の設計では、中間キャップおよびトップキャップ60、70の各々は、傾斜した表面を有する。外側カニューレ21は、フィン27が傾斜した表面の間に配置されるように配置される。これにより、キャップ40に取り付けられた外側カニューレ21が維持される。バネまたはクッション材料の一片などのバイアス部材が、傾斜した表面のうちの1つに対してフィン27をバイアスする。中間キャップ60の第1の方向への回転は、フィン27を傾斜面の1つに沿ってスライドさせ、外側カニューレ21を第1の方向に内側カニューレ31に沿って軸方向に移動させる。対向する第2の方向への中間キャップ60の回転は、フィン27を他方の傾斜面に沿ってスライドさせ、カニューレ21を第2の方向へ軸方向に移動させる。このようにして、使用者は、流体を指示するために必要に応じて出口28、38を整列させることができる。
【0074】
カニューレを含む鼻腔に流体を輸送するための輸送装置が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2016/0228685号に開示されている。
【0075】
本実施形態では、装置10が、ボトルなどの容器100に取り付けられていることが記載されている。また、装置10は、様々な他のタイプの容器100に取り付けられてもよい。例としては、ホースや袋などが挙げられるが、これらに限定されない。種々の容器100は、流体を装置10内に強制的に送り込むためにユーザによって変形可能であってもよいし、非変形であってもよく、ユーザが容器100を傾けて流体を装置10内に移動させる重力や、容器から装置10に流体を送り込むポンプのような他の方法で装置10に輸送することを必要とするものであってもよい。
【0076】
チューブは、装置10に接続され、容器100内に延びていてもよい。容器100からの流体は、チューブ内に入り、その後、患者に輸送するために装置10に入る。他の設計では、チューブを含まず、流体が容器100から装置10に直接入る。
【0077】
種々の装置10は、生きている患者の外科処置の間に使用されてもよい。また、これらは、死体、模型などの中などの生きていない状況で使用されてもよい。生きていない状況は、試験、訓練、およびデモンストレーションの目的のうちの1つまたは複数の目的のためであってもよい。
【0078】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」などの空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、第2の要素に対する1つの要素の相対的な位置を説明するために使用される。これらの用語は、図に描かれたものとは異なる方向性に加えて、装置の異なる方向性を包含することを意図している。さらに、「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語もまた、様々な要素、領域、セクションなどを説明するために使用されており、限定することを意図していない。同様の用語は、本明細書全体を通して同様の要素を指す。
【0079】
本明細書で使用されるように、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(including)」、「含む(comprising)」などの用語は、記載された要素または特徴の存在を示すが、追加の要素または特徴を排除するものではない、オープンエンドの用語である。冠詞「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別のことを示さない限り、単数形だけでなく複数形も含むことが意図されている。
【0080】
本発明は、本発明の範囲および本質的特徴から逸脱することなく、本明細書に記載されたものとは異なる他の具体的な方法で実施され得る。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で例示的であり、制限的ではないとみなされるべきである。