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特許7153182凝集装置およびそれを用いた濃縮装置一体型脱水機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】凝集装置およびそれを用いた濃縮装置一体型脱水機
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/143 20190101AFI20221006BHJP
【FI】
C02F11/143 ZAB
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019178583
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053572
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】柳井 敦
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-112275(JP,A)
【文献】特開昭49-078260(JP,A)
【文献】実公昭56-015554(JP,Y1)
【文献】特開2005-218970(JP,A)
【文献】特開2013-067608(JP,A)
【文献】特開2014-193441(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0964711(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
C02F1/52-1/56
B01D21/00-21/34
B01F25/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュープレス脱水機(1)に載置し円筒状の外筒スクリーン(5)内部にスクリュー羽根(6)を巻き掛けたスクリュー軸(7)を有する濃縮装置(2)の排出側に接続されたシュート(3)内に設けた凝集装置において、
濃縮装置(2)のスクリュー軸(7)中心より鉛直下方に位置する端点から斜め右下及び斜め左下に向かってそれぞれ傾斜をつけて延設し、汚泥を傾斜方向に流下させる傾斜板(14)と、
傾斜板(14)の流下面に幅方向に形成した抵抗部(16)と、
傾斜板(14)の上方に設け各傾斜板(14)を流下する濃縮汚泥に凝集剤を添加する凝集剤供給手段(15)と、
を備えることを特徴とする凝集装置。
【請求項2】
前記傾斜板(14)の流下面に凸状の抵抗部(16)を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の凝集装置。
【請求項3】
前記傾斜板(14)の流下面に凹状の抵抗部(16)を形成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の凝集装置。
【請求項4】
前記傾斜板(14)を凸状に湾曲して抵抗部(16)を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の凝集装置。
【請求項5】
前記傾斜板(14)を凹状に湾曲して抵抗部(16)を形成した
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の凝集装置。
【請求項6】
前記傾斜板(14)の傾斜方向に凸状の抵抗部(16)及び凹状の抵抗部(16)を交互に形成したことを特徴とする請求項3又は5に記載の凝集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥と凝集剤を反応させて凝集汚泥を生成する凝集装置およびそれを用いた濃縮装置一体型脱水機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1において、スクリュープレスで処理される汚泥の脱水性を向上させるために、スクリュープレス前段に濃縮装置を備えている。濃縮装置の排出側には、濃縮装置より排出された汚泥を受けるシュートが配置されており、汚泥はシュート流下後に圧入ポンプによってスクリュープレスに圧入される。この時、汚泥は濃縮装置の排出側に位置する凝集剤供給手段より無機凝集剤が添加された後、そのまま圧入ポンプへ流下していた。
【0003】
特許文献2には、重力濃縮機から排出された汚泥を、スクリュープレス前段に配置された補助濃縮機内の流下濃縮通路へ案内するための案内斜面が開示されている。
【0004】
特許文献3には、濃縮機から排出された汚泥に含まれる水分の分離を促進させるためにスクリュープレス前段の汚泥供給部内に設けられた、複数の傾斜部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5477373号公報
【文献】特許第4294523号公報
【文献】特許第6091289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、濃縮装置の排出側に設けられた排出口より排出された汚泥を、濃縮装置の排出側下方に接続されたシュートへ案内した後、シュート内に備えた圧入ポンプでスクリュープレスへ供給し、脱水するものであり、濃縮装置の排出側には汚泥に凝集剤を添加するための凝集剤供給手段が設けられている。しかし、濃縮装置の排出口から圧入ポンプまでの空間には、汚泥と凝集剤を十分に反応させるための装置等が設けられていない。そのため、排出口から排出された汚泥は凝集剤供給手段より凝集剤が添加された後、凝集剤と十分に反応しないまま、シュートへ落下する。凝集が不十分な状態でスクリュープレスへ供給することでスクリュープレスから排出されるケーキの脱水性が悪くなるという問題を有する。
【0007】
特許文献2は、補助濃縮機内に供給された汚泥に対して、補助濃縮機内上方に設けた凝集剤散布管より凝集剤を添加するものであるが、汚泥を流下させるための案内斜面は表面が平らであるため、汚泥に対する抵抗が小さい。そのため、汚泥は案内斜面に留まることなく短時間で流下してしまい、凝集剤と十分に反応しないまま、流下濃縮通路へと案内される。
なお、流下濃縮通路には汚泥を汚泥出口路へ流下しつつ、汚泥と凝集剤との再凝集を行うスクリューを備えているが、スクリューを駆動させる動力等のコストがかかるという課題を有する。
【0008】
特許文献3は、濃縮機の排出側に配置した汚泥供給部内に複数の傾斜部材を設け、濃縮機より排出された汚泥を上段の傾斜部材から下段の傾斜部材へと順次流下させながら汚泥中に含まれる水分の分離を促進させるものであるが、傾斜部材の表面は平らであるため、傾斜部材を流下する汚泥に対する抵抗は小さい。そのため、汚泥は短時間で傾斜部材から傾斜部材へと流下してしまい、十分な水分の分離を行うことが出来ない。さらに、傾斜部材上で汚泥が幅方向に拡がらず、添加された凝集剤と接し合う面積が小さくなるため、汚泥と凝集剤が十分に反応しないまま流下するという課題を抱えている。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、濃縮装置の排出側下方に抵抗部を形成した傾斜板を設けたことで、汚泥と凝集剤の反応が不十分なまま流下するのを防ぎ、且つ、汚泥の脱水性向上や凝集剤の使用量低減を可能とした凝集装置およびそれを用いた濃縮装置一体型脱水機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スクリュープレス脱水機に載置し円筒状の外筒スクリーン内部にスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を有する濃縮装置の排出側に接続されたシュート内に設けた凝集装置において、濃縮装置のスクリュー軸中心より鉛直下方に位置する端点から斜め右下及び斜め左下に向かってそれぞれ傾斜をつけて延設し、汚泥を傾斜方向に流下させる傾斜板と、傾斜板の流下面に幅方向に形成した抵抗部と、傾斜板の上方に設け各傾斜板を流下する濃縮汚泥に凝集剤を添加する凝集剤供給手段と、を備えることで、汚泥と凝集剤が十分に反応するため、凝集性が高まるとともに、流下に伴って生成された強固なフロックを脱水機に供給できるため、脱水性能が向上する
【0011】
前記傾斜板の流下面に凸状の抵抗部を形成したことで、傾斜板上を流下する汚泥は、凸状の抵抗部に堰き止められて流下速度が低下し、凝集剤と反応するための時間を十分確保できる。また、汚泥は堰き止められた後、傾斜板の幅方向に拡がることで表面積が増え、凝集剤の添加効率が向上する。
また、前記傾斜板の流下面に凹状の抵抗部を形成すると、傾斜板上を流下する汚泥は、凹状の抵抗部内へ流入することで流下速度が低下し、凸状の抵抗部と同等の効果が得られる。
【0012】
前記傾斜板を凸状に湾曲して抵抗部を形成したことで、傾斜板上を流下する汚泥は、湾曲した凸状の抵抗部に衝突し、堰き止められる。
また、前記傾斜板を凹状に湾曲して抵抗部を形成すると、傾斜板上を流下する汚泥は、湾曲した凹状の抵抗部に流入することで流下速度が低下し、凸状に湾曲した抵抗部と同等の効果が得られる。
【0013】
前記傾斜板の傾斜方向に凸状の抵抗部及び凹状の抵抗部を交互に形成したことで、流下する汚泥は凸状の抵抗部と凹状の抵抗部より交互に抵抗が与えられ、流下速度が低下する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、傾斜板の流下面に抵抗部を形成したことで、流下する汚泥に抵抗が与えられる。汚泥は、抵抗部の抵抗によって流下速度が低下し、傾斜板上での滞留時間が長くなる。これによって、汚泥が凝集剤と反応するための時間を十分に確保することができるため、凝集性が高まり、凝集剤使用量の低減が可能となる。また、汚泥は自重により、傾斜板上を流下しながら凝集剤と混ざり合い、凝集汚泥を生成するため、新たな動力源を必要とせずに凝集性を高め、強固な凝集汚泥を生成することができる。そして、凝集装置を濃縮機の後段および脱水機の前段に設けたことで、脱水機に強固なフロックが生成された凝集汚泥を供給できるため、脱水性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る凝集装置を利用した濃縮装置一体型脱水機の略側面図である。
図2】同じく、凝集装置を利用した濃縮装置一体型脱水機の略正面図である。
図3】本発明に係る凝集装置の第1形態の要部斜視図である。
図4】同じく、凝集装置の第2形態の要部斜視図である。
図5】同じく、凝集装置の第3形態の要部斜視図である。
図6】同じく、凝集装置の第4形態の要部斜視図である。
図7】同じく、凝集装置の第5形態の要部斜視図である。
図8】本発明に係る凝集装置を利用した濃縮装置一体型脱水機の他の実施形態の略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る凝集装置を利用した濃縮装置一体型脱水機の略側面図である。
濃縮装置一体型脱水機は、脱水機1と、脱水機1に載置された濃縮装置2と、濃縮装置2の排出側に接続され、濃縮装置2から排出される汚泥を受けるシュート3と、脱水機1の始端部に設けられ、シュート3が受けた汚泥を脱水機1に圧入する圧入ポンプ4と、を備えている。本実施例では、脱水機1としてスクリュープレスを使用している。また、シュート3は圧入ポンプ4の吸込側に接続され、脱水機1は圧入ポンプ4の吐出側に接続されている。
【0018】
濃縮装置2は、円筒状の外筒スクリーン5内部にスクリュー羽根6を巻き掛けたスクリュー軸7を有し、外筒スクリーン5とスクリュー軸7の外周面との間にはスクリュー羽根6で螺旋状に仕切られた濃縮室8を形成している。スクリュー軸7の一端には、スクリュー軸7内に汚泥を供給するための汚泥供給管9を接続し、他端には、外筒スクリーン5及びスクリュー軸7を差速回転させるための駆動機10が設けられている。さらに、スクリュー軸7の一端側外周面には、汚泥供給管9から供給された汚泥を濃縮室8内へ案内するための供給口11が複数設けられ、汚泥は濃縮室8へ案内されたあと、外筒スクリーン5及びスクリュー軸7が差速回転することで濃縮装置2の排出側へと流下する。この時、ろ液が外筒スクリーン5から分離するとともに、濃縮された汚泥は濃縮装置2の排出側から排出されたあと、シュート3内へ流下し、圧入ポンプ4によって脱水機1へ圧入される。
【0019】
図2は、凝集装置を利用した濃縮装置一体型脱水機の略正面図である。
外筒スクリーン5の排出側は円盤状の外筒フランジ12で構成されている。外筒フランジ12の内側には円周方向に沿って排出口13が複数設けられ、濃縮室8内で濃縮された汚泥は排出口13より排出される。なお、各排出口13は円周方向に延びた形状を有している。排出口13から排出された汚泥は外筒フランジ12の下方かつシュート3上方に設けられた傾斜板14上を流下してシュート3へ案内される。汚泥が傾斜板14上を流下する時、傾斜板14上方に設けられた複数の凝集剤供給手段15よりポリ硫酸鉄等の凝集剤が供給される。本実施形態では、管やノズル等の公知の凝集剤供給手段15を用いて滴下や噴霧等を行っているが、供給方法は特に限定しない。さらに、凝集剤供給手段15の位置や個数等も適宜変更してもよい。
【0020】
傾斜板14は、スクリュー軸7中心の垂直線上に位置する端点より斜め右下、斜め左下に向かってそれぞれ傾斜をつけて延びている。傾斜方向である汚泥の流下面は、凹凸を繰り返した構成としている。傾斜方向の凸状および凹状を抵抗部16とし、抵抗部16は流下する汚泥に抵抗を与える。流下する汚泥に抵抗が加わることで汚泥の流下速度が低下し、傾斜板14上での滞留時間が長くなるとともに、汚泥を傾斜板14の幅方向に拡げて表面積を増やすことができる。
【0021】
図3は、本発明に係る凝集装置の第1形態の要部斜視図である。
(a)は、平板で構成した傾斜板14上に凸状の抵抗部16を傾斜方向に所定の間隔で形成し、幅方向にわたって連続的に形成したものである。第1形態では、抵抗部16の断面を矩形に形成している。
(b)は、傾斜板14上に凸状の抵抗部16を傾斜方向に所定の間隔で形成し、幅方向には非連続的に形成したものである。なお、抵抗部16の断面を山形に形成している。
【0022】
(a)、(b)の凸状の抵抗部16は、汚泥の流下の抵抗となり、一時的に汚泥を堰き止める。堰き止められた汚泥は、流下速度が低下し、傾斜板14上での滞留時間が長くなるため、凝集剤と反応するための時間を十分に確保することができる。また、汚泥は堰き止められたあと、幅方向に拡がり、表面積が増えるため、凝集剤の添加効率が向上する。なお、傾斜板14の幅方向に拡がった汚泥は、さらに後段から汚泥が流下してくることで下流へ押し流される。
【0023】
そのうえ、汚泥は自重により、傾斜板14上を流下しながら凝集剤と混ざり合い、凝集汚泥を生成するため、新たな動力を必要とせずに凝集性を高めることができる。さらに、抵抗部16を傾斜板14に着脱可能な構成とすれば、メンテナンス時の点検・交換が容易となる。なお、抵抗部16は山形に形成したものを傾斜方向に所定の間隔で形成し、幅方向にわたって連続的に形成してもよい。また、矩形に形成したものを傾斜方向に所定の間隔で形成し、幅方向に非連続的に配置してもよい。さらに、これらを組み合わせて抵抗部を形成してもよいが、これに限定されるものではない。
【0024】
図4は、凝集装置の第2形態の要部斜視図である。
(a)は、平板で構成した傾斜板14の流下面に凹状の抵抗部16を傾斜方向に所定の間隔で形成し、幅方向にわたって連続的に形成したものである。第2形態では、抵抗部16の断面を矩形に形成している。
(b)は、傾斜板14の流下面に凹状の抵抗部16を傾斜方向に所定の間隔で形成し、幅方向には非連続的に形成したものである。
(a)、(b)の凝集装置は、流下する汚泥が平板に形成された抵抗部16内へ流入することで、流下速度が低下する。なお、抵抗部16は矩形、山形を組み合わせたものでもよいが、これに限定されるものではない。
【0025】
図5は、凝集装置の第3形態の要部斜視図である。
(a)は、平板で構成した傾斜板14の一部を幅方向にわたって凸状に湾曲させたものであり、湾曲した凸状の抵抗部16は、傾斜方向に所定の間隔で形成している。
(b)は、平板で構成した傾斜板14の一部を幅方向にわたって凹状に湾曲させたもので、湾曲した凹状の抵抗部16は、傾斜方向に所定の間隔で形成している。
【0026】
図6は、凝集装置の第4形態の要部斜視図である。
傾斜板14を湾曲させたものであり、傾斜方向に凸状の抵抗部16及び凹状の抵抗部16を交互に形成している。第4形態は、第3形態における(a)の湾曲させた凸状の抵抗部16と(b)の湾曲させた凹状の抵抗部16を傾斜方向に交互に形成したものであり、断面を正弦曲線状に形成している。
【0027】
図7は、凝集装置の第5形態の要部斜視図である。
傾斜板14をジグザグに形成したものであり、傾斜方向に凸状の抵抗部16及び凹状の抵抗部16を交互に形成している。抵抗部16は、傾斜角βが90度以下の鋭角の場合、凸状の抵抗部16の頂点から凹状の抵抗部16の底部までの高さaが高くなる。
一方、傾斜角βが90度より大きく180度より小さい鈍角の場合、高さaが低くなる。なお、抵抗部16の断面は、正弦曲線状とジグザグを組み合わせたものでもよいが、これに限定されるものではない。また、傾斜板14は仕様や汚泥性状に応じて厚みや傾斜角β、傾斜方向・幅方向の長さ、端点の位置等について適宜変更可能とする。
【0028】
図8は、本発明に係る凝集装置を利用した濃縮装置一体型脱水機の他の実施形態の略正面図である。
濃縮装置2の排出側には、排出口13より排出された汚泥を受けるシュート3が接続されている。また、シュート3内の側壁には、傾斜板14と凝集剤供給手段15がそれぞれ複数設けられている。一方の側壁に備えた傾斜板14は、他方の側壁に向かって下るように設置されている。同様に、他方の側壁に備えた傾斜板14は、一方の側壁に向かって下るように設置されている。これを下方に向かって左右交互に順次設置したことでシュート3内に供給された汚泥は各傾斜板14上を交互に飛び移るように流下した後、下方へ流れ落ちる。
傾斜板14上を流下していく汚泥は、水分の流下速度が固形分の流下速度よりも速いため、この速度差によって水分と固形分が分離される。このとき、傾斜板14の抵抗部16が流下する汚泥に抵抗を与えることで流下速度が低下し、傾斜板14上での滞留時間が長くなり、凝集性が向上する。
【0029】
凝集剤供給手段15は傾斜板14と対向して配置されている。具体的には、一方の側壁
に配置された傾斜板14に対して、他方の側壁に凝集剤供給手段15を配置し、他方の側壁に配置された傾斜板14に対して、一方の傾斜板14に凝集剤供給手段15を配置している。傾斜板14に対向させて配置することで、側壁に備えられた複数の傾斜板14上を飛び移りながら流下していく汚泥に凝集剤を供給することが可能となる。汚泥は傾斜板14上で凝集剤と十分に反応して、下方へ流下するため、強固なフロックが形成される。これにより、落下時の衝撃によるフロックの破壊を防ぐことができる。
なお、本実施例では、凝集装置を濃縮装置一体型脱水機に適用したが、濃縮機と脱水機を一体型にした装置に限定せず、濃縮機の排出側に設置した管路やベルトコンベア等の汚泥を流下する機構への適用も可能である。また、濃縮機として、ベルト濃縮機、重力濃縮機などの公知の濃縮機への適用や、脱水機として、ベルトプレスやフィルタープレス、真空脱水機、遠心脱水機などの公知の脱水機への適用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明に係る凝集装置は、汚泥の流下中に凝集汚泥を生成できるため、既存の処理フローにも容易に適用可能である。また、装置の構成が簡易で、省スペースであるため、濃縮機の後段あるいは、脱水機の前段に容易に適用できる。凝集装置は汚泥に凝集剤を添加し、その凝集汚泥を利用するすべての装置(脱水機等)に適用可能であり、特に、濃縮装置一体型の脱水機に適用することで、濃縮から脱水までの工程で汚泥を安定的に処理できる。また、凝集装置は汚泥の自重を利用するものであるため、汚泥の凝集性を高めるために、新たに動力を必要とする装置等を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0031】
14 傾斜板
16 抵抗部
15 凝集剤供給手段
1 脱水機
2 濃縮装置
3 シュート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8