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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】親基板、親基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20221006BHJP
   B41M 1/34 20060101ALI20221006BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H05K3/34 505D
B41M1/34
H05K3/00 X
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018242493
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020107647
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆平
(72)【発明者】
【氏名】田原 宏泰
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-251693(JP,A)
【文献】米国特許第05678304(US,A)
【文献】特開平07-273411(JP,A)
【文献】特開2005-150658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
B41M 1/34
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板面において少なくとも第1方向に並設された複数の子基板を有する親基板であって、
前記子基板は、
一方の面側に、所定パターンの導電体からなる第1パターン部と、
他方の面側に、前記第1パターン部とは異なるパターンの導電体からなる第2パターン部と、
前記第1方向における径が他部よりも大きい拡径部と、を備え、
前記複数の子基板は、前記第1方向に並設された第1子基板、第2子基板、第3子基板、及び第4子基板を少なくとも含み、そのうち、
前記第1パターン部が表面に配される前記第1子基板及び前記第2子基板表面第1パターン部子基板とし、
前記第2パターン部が表面に配される前記第3子基板及び前記第4子基板表面第2パターン部子基板とした場合に、
前記表面第1パターン部子基板と前記表面第2パターン部子基板とは、当該親基板の基板面と平行な方向であって前記第1方向に直交する第2方向に延び、前記第2子基板と前記第3子基板との間に位置する所定軸を基準に表裏が2回回転対称となる形で並設されており、
前記第2子基板は、当該第2子基板の前記拡径部と前記第1子基板の前記拡径部とが前記第2方向において互い違いになるように配され、
前記第3子基板は、当該第3子基板の前記拡径部と前記第2子基板の前記拡径部とが前記第1方向において隣接するように配され、
前記第4子基板は、当該第4子基板の前記拡径部と前記第3子基板の前記拡径部とが前記第2方向において互い違いになるように配されていることを特徴とする親基板。
【請求項2】
板面において少なくとも第1方向に並設された複数の子基板を有する親基板の製造方法であって、
前記親基板は、板状の基材上に導電体が形成されてなるものであり、
前記子基板は、表面において、所定パターンの前記導電体からなる第1パターン部と、裏面において、前記第1パターン部とは異なるパターンの前記導電体からなる第2パターン部と、前記第1方向における径が他部よりも大きい拡径部と、を備えるものとされ、
前記複数の子基板は、前記第1方向に並設された第1子基板、第2子基板、第3子基板、及び第4子基板を少なくとも含み、
前記第2子基板は、当該第2子基板の前記拡径部と前記第1子基板の前記拡径部とが前記第1方向に直交する第2方向において互い違いになるように配され、
前記第3子基板は、当該第3子基板の前記拡径部と前記第2子基板の前記拡径部とが前記第1方向において隣接するように配され、
前記第4子基板は、当該第4子基板の前記拡径部と前記第3子基板の前記拡径部とが前記第2方向において互い違いになるように配され、
前記基材の表面に対し、マスキング部材を被覆した状態で前記導電体を形成することで、前記複数の子基板のうち、一部の前記子基板の表面に前記第1パターン部を、他の前記子基板の表面に前記第2パターン部を、形成する表面パターン形成工程と、
前記表面パターン形成工程の後において、前記基材の板面と平行な所定軸を基準として前記基材の表裏を反転する反転工程と、
前記反転工程の後において、前記基材の裏面に対し、前記マスキング部材を被覆した状態で前記導電体を形成することで、前記複数の子基板のうち、前記他の子基板の裏面に前記第1パターン部を、前記一部の子基板の裏面に前記第2パターン部を、形成する裏面パターン形成工程と、を含むことを特徴とする親基板の製造方法。
【請求項3】
前記基材を搬送する搬送工程を含み、
前記反転工程において、前記基材を、前記所定軸として搬送方向に直交する軸にて反転することを特徴とする請求項2に記載の親基板の製造方法。
【請求項4】
前記反転工程において、前記基材の表面にのみ前記導電体が形成されている場合に前記基材を反転することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の親基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親基板、親基板の製造方法、親基板の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、親基板の製造方法として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の親基板の製造方法(スクリーン印刷方法)では、一枚のスクリーンマスクに第1のパターンと第2のパターンとを形成し、第1のプリント基板の印刷面に第1のパターンの印刷を行う第1の印刷工程と、第1のパターンの印刷が行われたプリント基板を次工程に搬出する工程と、第2のプリント基板の印刷面に第2のパターンの印刷を行う第2の印刷工程と、第2のパターンの印刷が行われたプリント基板を次工程に搬出する工程とを備えていること、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-272964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の工程では、表裏面に異なるパターンが形成された親基板を製造しようとすると、表面を印刷するためのスクリーンマスクと裏面を印刷するためのスクリーンマスクとの2種類のスクリーンマスクが必要となる。従って、一つのスクリーンマスクによって、表裏面で異なるパターンを有する親基板を製造することできれば、省コスト化や製造効率の向上等を図ることができる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、親基板の製造を好適に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、板面方向に並設された複数の子基板を有する親基板であって、
前記子基板は、
一方の面側に、所定パターンの導電体がからなる第1パターン部と、
他方の面側に、前記第1パターン部とは異なるパターンの導電体からなる第2パターン部と、を備え、
前記複数の子基板のうち、
前記第1パターン部が表面に配される子基板を表面第1パターン部子基板とし、
前記第2パターン部が表面に配される子基板を表面第2パターン部子基板とした場合に、
前記表面第1パターン部子基板と前記表面第2パターン部子基板とは、当該親基板の基板面と平行な所定軸を基準に表裏が2回回転対称となる形で並設されていることに特徴を有する。
【0007】
このような親基板によると、所定軸を基準として親基板の表裏を反転(180度回転)させると、反転前に表面第1パターン部子基板が第1パターン部を表側とした状態で配されていた位置に、表面第2パターン部子基板が第1パターン部を表側とした状態で配され、反転前に表面第2パターン部子基板が第2パターン部を表側とした状態で配されていた位置に、第1パターン部子基板が第2パターン部を表側とした状態で配されることとなる。即ち、所定軸を基準として反転させると、親基板の表裏面が同一のパターンをなすこととなる。これにより、所定パターンの導電体を形成するためのマスキング部材を使用して親基板を製造する際に、一つのマスキング部材を兼用し、所定軸を基準として親基板(基材)の表裏を反転させて、表裏面で導電体のパターンが異なる子基板を有する親基板を製造することができる。
【0008】
また、本発明は、板面方向に並設された複数の子基板を有する親基板の製造方法であって、
前記親基板は、板状の基材上に導電体が形成されてなるものであり、
前記子基板は、表面において、所定パターンの前記導電体からなる第1パターン部と、裏面において、前記第1パターン部とは異なるパターンの前記導電体からなる第2パターン部と、を備えるものとされ、
前記基材の表面に対し、マスキング部材を被覆した状態で前記導電体を形成することで、前記複数の子基板のうち、一部の前記子基板の表面に前記第1パターン部を、他の前記子基板の表面に前記第2パターン部を、形成する表面パターン形成工程と、
前記表面パターン形成工程の後において、前記基材の板面と平行な所定軸を基準として前記基材の表裏を反転する反転工程と、
前記反転工程の後において、前記基材の裏面に対し、前記マスキング部材を被覆した状態で前記導電体を形成することで、前記複数の子基板のうち、前記他の子基板の裏面に前記第1パターン部を、前記一部の子基板の裏面に前記第2パターン部を、形成する裏面パターン形成工程と、を含むことに特徴を有する。
【0009】
このような親基板の製造方法によると、一つのマスキング部材を、表面パターン形成工程と、裏面パターン形成工程とで兼用することができる。即ち、一つのマスキング部材の使用によって、表裏面で導電体のパターンが異なる子基板を有する親基板を製造することができる。
【0010】
また、上記製造方法において、前記基材を搬送する搬送工程を含み、
前記反転工程において、前記基材を、前記所定軸として搬送方向に直交する軸にて反転するものとすることができる。
【0011】
このような親基板の製造方法によると、基材を反転させたとしても、当該基材の位置が搬送方向に直交する方向(幅方向)にずれにくい。これにより、搬送工程において、基材を搬送するための最小限の幅を有する搬送装置を採用することができる。
【0012】
また、前記反転工程において、前記基材の表面にのみ前記導電体が形成されている場合に前記基材を反転するものとすることができる。
【0013】
このような親基板の製造方法によると、表面に導電体が塗布されていない基材は、表面パターン形成工程を経ることができ、表面に導電体が塗布された基材は、反転されて裏面パターン形成工程を経ることができるように、親基板の製造工程を制御することができる。
【0014】
また、本発明は、板面方向に並設された複数の子基板を有する親基板の製造装置であって、
前記親基板は、板状の基材上に導電体が形成されてなるものであり、
前記基材に所定パターンの導電体を形成する導電体形成装置と、
所定軸を基準に前記基材の表裏を反転させる反転装置と、
前記反転装置から前記導電体形成装置へ前記基材を搬送する搬送装置と、を備え、
前記反転装置は、前記基材を、前記所定軸として搬送方向に直交する軸にて反転させるものであり、前記基材の表面にのみ前記導電体が形成されている場合に前記基材を反転することに特徴を有する。
【0015】
このような親基板の製造装置によると、一つのマスキング部材を兼用し、所定軸を基準として基材の表裏を反転させて、表裏面で導電体のパターンが異なる子基板を有する親基板を好適に製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、親基板の製造を好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る親基板の表面を表側から視た図
図2】親基板の裏面を表側から視た図
図3】子基板の一方の面を表側から視た図
図4】子基板の他方の面を表側から視た図
図5】親基板の製造装置を側方から視た図
図6】表面プリント工程(表面パターン形成工程)を示す図
図7】表面プリント工程(表面パターン形成工程)において、マスキング部材を外した図
図8】反転工程を示す図
図9】裏面プリント工程(裏面パターン形成工程)を示す図
図10】裏面プリント工程(裏面パターン形成工程)において、マスキング部材を外した図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1から図10によって説明する。図1に示すように、本実施形態における親基板1は、正面視長方形状をなし、その長手方向をX方向、短手方向をY方向として示す。これらX方向及びY方向は、各図面で共通している。また、図1において、親基板1の紙面手前側の面が表面A、親基板1を所定軸Cで180度回転(反転)させた図である図2において、親基板1の紙面手前側の面が裏面Bとなっている。さらに、X方向及びY方向がなす平面に直交する方向を鉛直方向とし、鉛直方向上側(図1において紙面手前側)を表側、鉛直方向下側(図1において紙面奥側)を裏側とする。尚、本実施形態の親基板1における子基板2は、それぞれが分離されて、乗物としての車両の内装材に設けられるものであり、例えば、内装材としての照明装置において、照明機能を発現させるために用いられる制御基板である。
【0019】
図1に示すように、親基板1は、平面視長方形状かつ板状の基材P上に導電体30が所定パターンでプリント(形成)されてなるものであり、板面方向に並設された複数の子基板2を有する。親基板1は、X方向に4枚の子基板2が、Y方向に3枚の子基板2が並設され、合計で12枚の子基板2を有している。図1及び図2に示すように、親基板1は、その表裏面A,Bにて、周縁部において所定パターンでプリントされた導電体30からなる周縁パターン部3と、子基板2の表裏面において所定パターンでプリントされた導電体30からなる第1パターン部10及び第2パターン部20と、を有する。
【0020】
尚、本実施形態において、基材Pは、例えば、ガラス繊維を布状に編んでなるガラス織布にエポキシ樹脂を滲みこませたものからなる。また、導電体30は、例えばクリームはんだを硬化させたものからなる。さらに、子基板2において、導電体30上には、ICチップやスイッチ等の電子部品が実装されるが、本実施形態では当該電子部品を省略して説明する。
【0021】
親基板1には、複数の子基板2を親基板1から分離するための溝部4が設けられている。従って、溝部4の形が、分離後の子基板2の外形をなすこととなる。図3及び図4では、分離後の子基板2の一つ(後述する表面第1パターン部子基板2Aの一つ)を示す。子基板2は、図3に示すように、基材Pの一方の面において、所定パターンにプリントされた導電体30からなる第1パターン部10と、当該子基板2を反転させた図である図4に示すように、基材Pの他方の面(一方の面の裏面)において、第1パターン部10とは異なるパターンにプリントされた導電体30からなる第2パターン部20と、を備える。子基板2は、図3及び図4に示すように、その外形が、X方向における中央を通るY方向を軸として対称な形をなしており、X方向に凹凸状をなす凹凸部11と、凹凸部11よりもX方向における径が大きい拡径部12と、を有する。
【0022】
図1に示すように、親基板1は、複数の子基板2のうち、第1パターン部10が表面Aに配される子基板2である表面第1パターン部子基板2Aと、第2パターン部20が表面Aに配される子基板2である表面第2パターン部子基板2Bと、を有する。溝部4によって複数の子基板2を親基板1から分離した後は、表面第1パターン部子基板2Aと表面第2パターン部子基板2Bとは、同一の子基板2であるものとされる。
【0023】
ここで、親基板1の基板面と軸線が平行な軸であって、親基板1のX方向における中央にてY方向に伸びる軸を、所定軸Cとすると、所定軸Cの左側には、6枚の表面第1パターン部子基板2Aが並設されており、所定軸Cの右側には、6枚の表面第2パターン部子基板2Bが並設されている。6枚の表面第1パターン部子基板2Aのうち、左側の列の3枚は、拡径部12がY方向における上側となるように配され、右側の列の3枚は、凹凸部11がY方向における上側となるように配されている。同様に、6枚の表面第2パターン部子基板2Bのうち、右側の列の3枚は、拡径部12がY方向における上側となるように配され、左側の列の3枚は、凹凸部11がY方向における上側となるように配されている。
【0024】
表面第1パターン部子基板2Aと表面第2パターン部子基板2Bとは、所定軸Cを基準に表裏が2回回転対称となる形で並設されている。具体的には、所定軸Cを基準として親基板1の表裏を反転させると、図1に示すように、反転前に表面第1パターン部子基板2Aが第1パターン部10を表側とした状態で配されていた位置に、図2に示すように、表面第2パターン部子基板2Bが第1パターン部10を表側とした状態で配される。また、図1に示すように、反転前に表面第2パターン部子基板2Bが第2パターン部20を表側とした状態で配されていた位置に、図2に示すように、表面第1パターン部子基板2Aが第2パターン部20を表側とした状態で配される。即ち、所定軸Cを基準として親基板1を反転させると、親基板1の表裏面A,Bにおいて、子基板2上の所定のパターンが同一のパターンをなすこととなる。
【0025】
続いて、親基板1の製造装置5について説明する。図5に示すように、親基板1の製造装置5は、所定軸Cを基準に基材Pの表裏を反転させる反転装置60と、基材Pに所定パターンの導電体30をプリントするプリント装置(導電体形成装置)50と、少なくとも反転装置60からプリント装置50へ基材Pを搬送する搬送装置70と、を備える。プリント装置50の下流(左側)には、基材Pが収容されるラック80が配されている。搬送装置70は、反転装置60とプリント装置50とラック80との内部を通る形で設けられ、基材PをX方向に搬送するものとする。尚、X方向と搬送方向Xは同一の方向とする。
【0026】
図6に示すように、プリント装置50は、所定パターンで配設された複数の穴部52を有し、基材Pを表側から部分的に被覆するマスキング部材51と、マスキング部材51の表側において、未硬化の導電体30(クリームはんだ)を延ばして穴部52に刷り込むためのへら状のスキージ53と、を備える。マスキング部材51は、金属からなる薄板状の部材であり、メタルマスクと呼ばれることもある。マスキング部材51の穴部52の配設パターンは、図1及び図2に示すように、親基板1の表裏面A,Bにおける第1パターン部10及び第2パターン部20の形(所定パターンでプリントされた導電体30の形)と等しいものとされる。
【0027】
図8に示すように、反転装置60は、基材Pを、搬送方向Xに直交するY方向を軸にして反転させる反転機構61を有する。反転機構61は、基材Pの表面A(親基板1の表面Aと同じ面)に導電体30がプリントされていない場合に基材Pを反転せず、基材Pの表面Aにのみ導電体30がプリントされている場合に基材Pを反転するものとされる。尚、反転機構61は、例えば、基材Pの表面Aに電子部品が実装されているか否かを画像で判定したり、周縁パターン部3を読み取って表裏を判定したりすることで、上記基材Pを反転させるか否かを制御することができる。
【0028】
続いて、親基板1の製造方法について説明する。親基板1の製造方法は、大別すると、基材Pの表面Aに導電体30をプリントする表面プリント工程(表面パターン形成工程)と、表面プリント工程の後において、基材Pの表裏を反転する反転工程と、反転工程の後において、基材Pの裏面B(親基板1の裏面Bと同じ面)に導電体30をプリントする裏面プリント工程(裏面パターン形成工程)と、基材Pを搬送する搬送工程と、を含む。
【0029】
図5に示すように、まず、基材Pを搬送装置70の上流(右側)に配置した後、反転装置60に搬送する。このとき、基材Pの表面Aに導電体30がプリントされていないので、反転機構61は駆動しない。従って、基材Pは、表裏が反転されることなく、その表面Aが表側を向いた状態でプリント装置50に搬送される。
【0030】
表面プリント工程では、図6に示すように、プリント装置50に搬送された基材Pの表面Aに対し、マスキング部材51を被覆した状態で未硬化の導電体30を塗布(形成)する。具体的には、基材Pの表面A上にマスキング部材51を載置して、マスキング部材51の表側に未硬化の導電体30を配した後、スキージ53をスライドさせて、マスキング部材51の穴部52に未硬化の導電体30を刷り込む。尚、図6では、基材Pにおいて、図1に示すD-D線断面となる断面を示すものとする。
【0031】
複数の穴部52に未硬化の導電体30が刷り込まれた後に、マスキング部材51を基材Pから取り外す。すると、図7に示すように、基材Pの表面Aに、第1パターン部10及び第2パターン部20がプリントされる。具体的には、基材P(親基板1)において、複数の子基板2となる部分のうち、表面第1パターン部子基板(一部の子基板)2Aとなる部分の表面に第1パターン部10が、表面第2パターン部子基板(他の子基板)2Bとなる部分の表面に第2パターン部20が、プリントされる。
【0032】
その後、実装装置(不図示)にて電子部品を導電体30上に載置した後、基材Pをリフロー炉(不図示)で加熱することで、電子部品と導電体30とを接続する。そして、図5に示すように、基材Pをラック80へ搬送して収容する。
【0033】
続いて、ラック80に収容された基材Pを、再度搬送装置70の上流に配置した後、反転装置60に搬送する。このとき、図8に示すように、その表面Aにのみ導電体30がプリントされた基材P(2点鎖線で示す)は、導電体30が表側となる形で反転装置60内に搬送される。すると、反転機構61が駆動して、基材Pを、搬送方向Xに直交するY方向を軸にして、反転させる(反転工程)。そして、基材Pは、導電体30等の配されていない裏面Bが表側を向いた状態でプリント装置50に搬送される。
【0034】
裏面プリント工程では、図9に示すように、プリント装置50に搬送された基材Pの裏面Bに対し、マスキング部材51を被覆した状態で未硬化の導電体30を塗布する。具体的には、基材Pの裏面B上にマスキング部材51を載置して、マスキング部材51の表側に未硬化の導電体30を配した後、スキージ53をスライドさせて、マスキング部材51の穴部52に未硬化の導電体30を刷り込む。尚、図9では、基材Pにおいて、図2に示すD-D線断面となる断面を示すものとする。また、当該裏面プリント工程で用いられるマスキング部材51は、表面プリント工程で用いられるマスキング部材51と同一のものであり、穴部52の配設パターンが同一である。
【0035】
複数の穴部52に未硬化の導電体30が刷り込まれた後に、マスキング部材51を基材Pから取り外す。すると、図10に示すように、基材Pの裏面Bに、第1パターン部10及び第2パターン部20がプリントされる。具体的には、基材P(親基板1)において、複数の子基板2となる部分のうち、表面第2パターン部子基板(他の子基板)2Bとなる部分の裏面に第1パターン部10が、表面第1パターン部子基板(一部の子基板)2Aとなる部分の裏面に第2パターン部20が、プリントされる。
【0036】
その後、実装装置(不図示)にて電子部品を導電体30上に載置した後、基材Pをリフロー炉(不図示)で加熱することで、電子部品と導電体30とを接続する。このようにして、基材Pから親基板1を製造する。
【0037】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、板面方向に並設された複数の子基板2を有する親基板1であって、子基板2は、一方の面側に、所定パターンの導電体30からなる第1パターン部10と、他方の面(一方の面の裏面)側に、第1パターン部10とは異なるパターンの導電体30からなる第2パターン部20と、を備え、複数の子基板2のうち、第1パターン部10が表面Aに配される子基板2を表面第1パターン部子基板2Aとし、第2パターン部20が表面Aに配される子基板2を表面第2パターン部子基板2Bとした場合に、表面第1パターン部子基板2Aと表面第2パターン部子基板2Bとは、当該親基板1の基板面と平行な所定軸Cを基準に表裏が2回回転対称となる形で並設されている。
【0038】
このような親基板1によると、所定軸Cを基準として親基板1の表裏を反転(180度回転)させると、反転前に表面第1パターン部子基板2Aが第1パターン部10を表側とした状態で配されていた位置に、表面第2パターン部子基板2Bが第1パターン部10を表側とした状態で配され、反転前に表面第2パターン部子基板2Bが第2パターン部20を表側とした状態で配されていた位置に、表面第1パターン部子基板2Aが第2パターン部20を表側とした状態で配されることとなる。即ち、所定軸Cを基準として反転させると、親基板1の表裏面が同一のパターンをなすこととなる。これにより、所定パターンの導電体30をプリントするためのマスキング部材51を使用して親基板1を製造する際に、一つのマスキング部材51を兼用し、所定軸Cを基準として親基板1(基材P)の表裏を反転させて、表裏面A,Bで導電体30のパターンが異なる子基板2を有する親基板1を製造することができる。
【0039】
また、本実施形態は、板面方向に並設された複数の子基板2を有する親基板1の製造方法であって、親基板1は、板状の基材P上に導電体30がプリント(形成)されてなるものであり、子基板2は、表面において、所定パターンの導電体30からなる第1パターン部10と、裏面において、第1パターン部10とは異なるパターンの導電体30からなる第2パターン部20と、を備えるものとされ、基材Pの表面Aに対し、マスキング部材51を被覆した状態で導電体30を形成することで、複数の子基板2のうち、一部の子基板2Aの表面に第1パターン部10を、他の子基板2Bの表面に第2パターン部20を、プリントする表面プリント工程(表面パターン形成工程)と、表面プリント工程の後において、基材Pの板面と平行な所定軸を基準として基材Pの表裏を反転する反転工程と、反転工程の後において、基材Pの裏面Bに対し、マスキング部材51を被覆した状態で導電体30を形成することで、複数の子基板2のうち、他の子基板2Bの裏面に第1パターン部10を、一部の子基板2Aの裏面に第2パターン部20を、プリントする裏面プリント工程(裏面パターン形成工程)と、を含む。
【0040】
このような親基板1の製造方法によると、一つのマスキング部材51を、表面プリント工程と、裏面プリント工程とで兼用することができる。即ち、一つのマスキング部材51の使用によって、表裏面で導電体30のパターンが異なる子基板2を有する親基板1を製造することができる。
【0041】
また、上記製造方法では、基材Pを搬送する搬送工程を含み、反転工程において、基材Pを、所定軸として搬送方向Xに直交する軸にて反転するものとされる。
【0042】
このような親基板1の製造方法によると、基材Pを反転させたとしても、当該基材Pの位置が搬送方向Xに直交するY方向(幅方向)にずれにくい。これにより、搬送工程において、基材Pを搬送するための最小限の幅を有する搬送装置を採用することができる。
【0043】
また、上記反転工程において、基材Pの表面Aにのみ導電体30がプリントされている場合に基材Pを反転するものとされる。
【0044】
このような親基板1の製造方法によると、表面Aに導電体30が塗布されていない基材Pは、表面プリント工程を経ることができ、表面Aに導電体30が塗布された基材Pは、反転されて裏面プリント工程を経ることができるように、親基板1の製造工程を制御することができる。
【0045】
また、本実施形態は、板面方向に並設された複数の子基板2を有する親基板1の製造装置5であって、親基板1は、板状の基材P上に導電体30がプリントされてなるものであり、基材Pに所定パターンの導電体30をプリント(形成)するプリント装置(導電体形成装置)50と、所定軸を基準に基材Pの表裏を反転させる反転装置60と、反転装置60からプリント装置50へ基材Pを搬送する搬送装置70と、を備え、反転装置60は、基材Pを、所定軸として搬送方向Xに直交する軸にて反転させるものであり、基材Pの表面Aにのみ導電体30がプリントされている場合に基材Pを反転するものとされる。
【0046】
このような親基板1の製造装置5によると、一つのマスキング部材51を兼用し、所定軸を基準として基材Pの表裏を反転させて、表裏面で導電体30のパターンが異なる子基板2を有する親基板1を好適に製造することができる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0048】
(1)上記実施形態以外にも、所定軸は適宜変更可能である。上記実施形態では、所定軸は、搬送方向Xに直交するY方向に伸びる軸としたが、これに限られない。例えば、所定軸は、搬送方向Xに平行な軸であってもよい。この場合、親基板において、表面第1パターン子基板と表面第2パターン部子基板とは、搬送方向Xに平行な軸を基準に表裏が2回回転対称となる形で並設される。
【0049】
(2)上記実施形態以外にも、子基板の数は適宜変更可能である。上記実施形態では、子基板は、X方向に4枚、Y方向に3枚の合計12枚が並設されているものとしたが、これに限られない。例えば、子基板は、X方向に4枚、Y方向に4枚の合計16枚の子基板が並設されているものとしてもよい。
【0050】
(3)上記実施形態以外にも、子基板の並び方は適宜変更可能である。例えば、所定軸Cの左側において、左側の列の3枚は、拡径部がY方向における上側となるように配された表面第1パターン部子基板とし、右側の列の3枚は、凹凸部がY方向における上側となるように配された表面第2パターン部子基板とし、所定軸Cの右側において、右側の列の3枚は、拡径部がY方向における上側となるように配された表面第2パターン部子基板とし、左側の列の3枚は、凹凸部がY方向における上側となるように配された表面第1パターン部子基板としてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態で例示した子基板は、内装材としての照明装置に用いられる制御基板としたが、これに限られず、インストルメントパネルにおける表示装置や、ウィンドウ昇降装置等において用いられる制御基板であってもよい。また、当該子基板は、車両用に提供されるもの限られず、種々の乗物において提供されるものであってもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物について用いられる子基板についても、上記親基板及びその製造方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…親基板、2…子基板、2A…表面第1パターン部子基板、2B…表面第2パターン部子基板、5…親基板の製造装置、10…第1パターン部、20…第2パターン部、30…導電体、50…プリント装置、51…マスキング部材、60…反転装置、70…搬送装置、P…基材
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