(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E03C1/042 B
(21)【出願番号】P 2018032389
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 三典
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 恭兵
(72)【発明者】
【氏名】上原 拓也
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-202656(JP,A)
【文献】特開2017-128954(JP,A)
【文献】特開2015-132073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00- 1/10
A47K 3/02- 4/00
A47K 1/00- 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部よりも上方に延びる壁面に設けられる水栓装置であって、
水を吐水する吐水口を有する吐水部と、
前記壁面から前方に突出するように設けられて物品を載置可能な棚部と、
所定の機能を有する機能部と、
前記機能部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記棚部は、前記制御部を収納するための収納空間を有し、
前記制御部は、前方から後方に向けて下方に傾斜するように前記収納空間に配置され
、
前記棚部は、前記収納空間と前記壁面との間に設けられる仕切り壁を有し、
前記仕切り壁は、前記収納空間を外部の空間と連通させる連通部を有し、
前記制御部は、前記連通部を介して前記外部の空間に侵入する配線部材を有し、
前記連通部は、前後方向において前記制御部と重なる位置に配置され、
前記収納空間は、前記制御部の後端と前記連通部との間に隙間を設け、
前記棚部は、
上方及び後方が開放された開口箱状の底板部と、
前記底板部の前記上方を覆う天板部と、
前記底板部の後端よりも前方に位置して、前記底板部の内底面から上方に向かって延びる前記仕切り壁と、
前記天板部の下方に位置して、前記仕切り壁の上に取り付けられるカバーと、
を有し、
前記棚部の内部空間は、前記底板部と前記カバーとの間に形成される前記収納空間と、前記カバーと前記天板部との間に形成される空間と、を有することを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記棚部は、上方に位置するミラーキャビネットとの間に空間が形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壁面から前方に突出して設けられる棚部と、棚部の下部に設けられ、棚部の下方に向けて水を吐水する吐水部と、を備え、吐水部の少なくとも一部を棚部内に収容した水栓装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような水栓装置では、吐水部の全体を使用者から見えなくすることができ、水栓装置のデザイン性を向上させることができる。
【0003】
また、棚部の上面に小物を置くことができるため、例えば、洗顔の際などに、使用者が眼鏡や化粧品などの小物を棚部の上面に置くことができ、使用者の使い勝手を向上させることもできる。
【0004】
一方で、近年では、水栓装置まわりにおいて、自動水栓機能などの様々な機能が求められている。例えば、特許文献2では、自動水栓の機能を備えた水栓装置を開示している。特許文献2の水栓装置では、自動水栓の制御を行う制御部を収納する空間が形成されており、その空間をカバーで覆うように構成している。
【0005】
棚部を備えた水栓装置に自動水栓機能などの機能部を設ける場合、この機能部の動作を制御するための制御部を棚部内の収納空間に収納することが考えられる。これにより、使用者が制御部に触れてしまうことを抑制することができる。また、棚部に設けられた機能部と制御部との配線作業などを省くことができ、水栓装置の施工性を向上させることもできる。
【0006】
しかしながら、制御部を単純に収納空間内に収納しただけでは、棚部の大型化を招いてしまう可能性がある。例えば、制御部を水平方向と平行となるように収納空間に配置しようとすると、少なくとも制御部の前後方向の長さ寸法が棚部に必要となってしまう。
【0007】
このため、水栓装置では、機能部を制御する制御部を棚部内の収納空間に収納する場合に、棚部をコンパクト化できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2003-184139号公報
【文献】特開2017-099443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、機能部を制御する制御部を棚部内の収納空間に収納する場合に、棚部をコンパクト化できる水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、ボウル部よりも上方に延びる壁面に設けられる水栓装置であって、水を吐水する吐水口を有する吐水部と、前記壁面から前方に突出するように設けられる棚部と、所定の機能を有する機能部と、前記機能部の動作を制御する制御部と、を備え、前記棚部は、前記制御部を収納するための収納空間を有し、前記制御部は、前方から後方に向けて下方に傾斜するように前記収納空間に配置されることを特徴とする水栓装置である。
【0011】
この水栓装置によれば、制御部が、前方から後方に向けて下方に傾斜するように収納空間に配置されるため、制御部を水平方向と平行となるように収納空間に配置する場合などと比べて、水栓装置の前後方向の長さを短くすることができる。従って、機能部を制御する制御部を棚部内の収納空間に収納する場合に、棚部をコンパクト化できる水栓装置を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記棚部は、前記収納空間と前記壁面との間に設けられる仕切り壁を有し、前記仕切り壁は、前記収納空間を外部の空間と連通させる連通部を有し、前記制御部は、前記連通部を介して前記外部の空間に侵入する配線部材を有し、前記連通部は、前後方向において前記制御部と重なる位置に配置され、前記収納空間は、前記制御部の後端と前記連通部との間に隙間を設けることを特徴とする水栓装置である。
【0013】
例えば、配線部材を連通部に通しやすくするために、制御部と連通部とを上下にずらして配置すると、水栓装置の上下方向の厚みが大きくなってしまう。一方、水栓装置の上下方向の厚みを抑えるために、制御部と連通部とが前後に重なるように配置すると、連通部の一部が制御部によって塞がれてしまい、配線部材を連通部に通し難くなってしまう。これに対して、この水栓装置では、連通部が、前後方向において制御部と重なる位置に配置され、かつ収納空間が、制御部の後端と連通部との間に隙間を設ける。これにより、水栓装置の前後方向の長さ及び上下方向の厚みを大きくすることを抑制しながらも、配線部材を連通部を介して収納空間外に通し易くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、機能部を制御する制御部を棚部内の収納空間に収納する場合に、棚部をコンパクト化できる水栓装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る水栓装置を設置した洗面化粧台を模式的に表す斜視図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表す斜視図及び正面図である。
【
図3】実施形態に係る水栓装置を模式的に表すブロック図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る棚部の内部を模式的に表す平面図である。
【
図5】実施形態に係る棚部の内部を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る水栓装置を設置した洗面化粧台を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、洗面化粧台100は、洗面器102と、水栓装置10と、支持台106と、ミラーキャビネット108と、照明装置110と、を備える。
【0017】
なお、本願明細書では、水栓装置10と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0018】
洗面器102は、ボウル部122と、バックガード部124と、を有する。ボウル部122は、下方に向かって凹んだ凹状に形成されている。ボウル部122は、排水口(不図示)を有する。排水口は、ボウル部122の底部に設けられる。排水口は、排水管に接続され、ボウル部122に吐出された水を排水管に流す。
【0019】
バックガード部124は、ボウル部122の後端から上方に延びる。バックガード部124は、必要に応じて設けられ、省略可能である。洗面器102の形状は、少なくともボウル部122を有する任意の形状でよい。
【0020】
洗面器102は、支持台106の上に設けられる。支持台106は、洗面器102を支持する。支持台106は、例えば、本体部106aと、2つの引き出し106b、106cと、を有する。各引き出し106b、106cは、内部に物品を収納可能とする。
【0021】
このように、支持台106は、物品を収納可能なキャビネットとしても機能する。支持台106は、換言すれば、下部キャビネット(フロアキャビネット)である。なお、引き出しの数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、支持台106は、引き出し式のキャビネットに限ることなく、扉式のキャビネットでもよい。
【0022】
支持台106は、必ずしも収納機能を有していなくてもよい。支持台106は、洗面器102を支持可能な任意の構成でよい。また、洗面器102は、例えば、洗面所などの壁面に直接取り付けてもよい。すなわち、支持台106は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0023】
水栓装置10は、ボウル部122よりも上方に延びる壁面WSに設けられる。水栓装置10は、例えば、洗面器102のバックガード部124に取り付けられ、ボウル部122の上方に配置される。これにより、水栓装置10は、洗面器102のボウル部122に向けて水を吐出する。本願明細書において、「前方」は、換言すれば、壁面WSの向く方向である。
【0024】
水栓装置10の取付位置は、上記に限ることなく、例えば、洗面器102の後部上方に設けられる取付パネル(バックパネル)などに取り付けてもよいし、洗面所などの壁面に直接取り付けてもよい。水栓装置10の取付位置は、ボウル部122内に水を吐出可能な任意の位置でよい。水栓装置10の取付位置は、ボウル部122よりも上方に延びる任意の壁面WSでよい。水栓装置10の取付位置は、洗面器102の形状などに応じて適宜設定すればよい。
【0025】
ミラーキャビネット108は、ボウル部122を有する洗面器102よりも上方に設置される。ミラーキャビネット108は、キャビネット本体130と、3枚の扉131~133と、を有する。キャビネット本体130は、前方を開口させた略直方体の開口箱状であり、内部に物品を収納可能とする。また、各扉131~133の前面には、鏡131a~133aが設けられている。なお、ミラーキャビネット108に設けられる扉及び鏡の数は、3枚に限ることなく、1枚又は2枚でもよいし、4枚以上でもよい。
【0026】
照明装置110は、ミラーキャビネット108の上部に設けられている。照明装置110は、例えば、ミラーキャビネット108において各扉131~133よりも上方に設けられる。照明装置110は、下方に向かって光を照射し、各扉131~133(各鏡131a~133a)、及びボウル部122を照らす。照明装置110は、ミラーキャビネット108の上部に限ることなく、ミラーキャビネット108の下部や側端部、内部に設けてもよい。
【0027】
図2(a)及び
図2(b)は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表す斜視図及び正面図である。
図2(a)及び
図2(b)に表したように、水栓装置10は、吐水部12と、操作部14と、棚部16と、を備える。
【0028】
吐水部12は、ボウル部122へ水を吐出する。吐水部12は、いわゆるスパウトである。吐水部12には、水を吐出する吐水口12aが設けられている。操作部14は、吐水部12から吐出される水の流量を調整する。また、操作部14は、吐水部12から吐出される水の温度を調整する。
【0029】
操作部14は、操作レバー14aを有する。操作部14は、使用者による操作レバー14aの操作に応じて、吐水部12から吐出される水の流量及び温度を調整する。操作レバー14aは、例えば、前後方向及び左右方向に揺動可能に上端部を操作部14の本体部分に軸支される。例えば、操作レバー14aを前後方向に揺動させることにより、吐水部12から吐出される水の流量が調整され、操作レバー14aを左右方向に揺動させることにより、吐水部12から吐出される水の温度が調整される。操作部14における流量及び温度の調整の態様は、操作レバー14aに限ることなく、流量及び温度を調整可能な任意の態様でよい。
【0030】
吐水部12は、操作部14に設けられた湯水混合部などを介して支持台106の内部空間などに設けられた給水管及び給湯管に接続される。吐水部12から吐出される水は、例えば、上水(水道水)である。吐水部12から吐出される水の温度調整は、操作部14とは別の調整部で行ってもよい。操作部14は、少なくとも吐水部12から吐出される水の流量を調整できればよい。
【0031】
棚部16は、壁面WSから前方に突出するように設けられる。棚部16は、上面16aと、前面16bと、底面16cと、を有する。上面16aは、例えば、略水平な面である。棚部16は、上面16aの上に洗面用具や眼鏡などの物品を載置可能とする。
【0032】
前面16bは、棚部16の上部に設けられる。この例において、前面16bは、略鉛直面である。換言すれば、前面16bは、前方を向く略垂直な面である。前面16bは、後方に向かって上昇傾斜した傾斜面でもよい。前面16bは、鉛直面又は後方に向かって上昇傾斜した傾斜面であればよい。底面16cは、例えば、前面16bの下端から後方に向かって下降傾斜する傾斜面状である。但し、前面16bは、必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、後方に向かって下降傾斜する底面16cを、上面16aの前端から設けてもよい。
【0033】
吐水部12及び操作部14は、棚部16の下部に設けられる。吐水部12は、棚部16の下方に向けて水を吐出する。操作部14の操作レバー14aは、棚部16から下方に向かって延びる。棚部16は、吐水部12及び操作部14の上方を覆う。
【0034】
吐水部12、操作部14、及び棚部16は、例えば、それぞれ個別に壁面WS(バックガード部124の前面)に取り付けられる。これにより、例えば、メンテナンスの際などに、吐水部12及び操作部14を壁面WSに取り付けた状態のまま、棚部16のみを壁面WSから取り外すことができ、水栓装置10のメンテナンス性を向上させることができる。また、例えば、制御部30(
図3参照)などの電子機器を棚部16の内部に収納する場合、上記のような構成とすることで、吐水部12及び操作部14を壁面WSから取り外すことなく、棚部16のみを壁面WS取り外すだけで、制御部30などの電子機器のメンテナスを行うこともできる。但し、吐水部12及び操作部14は、棚部16に取り付け、棚部16を介して壁面WSに取り付けてもよい。
【0035】
吐水部12は、壁面WS又は棚部16に固定された固定式であってもよいし、壁面WS又は棚部16から取り外すことができるプルアウト式であってもよい。プルアウト式の吐水部12は、例えば、可撓性を有するホースに接続されており、吐水部12が壁面WS又は棚部16に取り付けられた状態においては、ホースはバックガード部124の裏側の空間などに収納されている。吐水部12を壁面WS又は棚部16から取り外し、ホースを引き出すことにより、吐水部12をハンドシャワーとして用いることができる。
【0036】
水栓装置10は、機能水吐出部20と、機能水照射部22と、センサ部24と、を有する。機能水吐出部20は、除菌作用を有する機能水をボウル部122に吐出する。機能水吐出部20は、棚部16の下部に設けられ、下方に向けて機能水を吐出する。機能水吐出部20は、例えば、ボウル部122の排水口に向けて機能水を吐出する。
【0037】
水栓装置10では、例えば、機能水吐出部20からボウル部122に機能水を吐出することにより、ボウル部122の排水口や排水口の内部における菌の繁殖を抑えることができる。洗面化粧台100及び水栓装置10では、例えば、排水口及び排水口の内部の除菌を行い、洗面器102を清潔に保つことができる。また、歯ブラシやコップなどに機能水を吐出することにより、これらの除菌を行うこともできる。
【0038】
機能水吐出部20は、例えば、機能水を霧状にしてボウル部122に噴霧する。機能水吐出部20は、例えば、ミストノズルである。機能水吐出部20から噴霧される霧状の機能水の外径(広がりの幅)は、機能水吐出部20の噴霧口の開口径よりも大きい。機能水吐出部20は、例えば、円錐状に機能水を噴霧する。これにより、例えば、ボウル部122の広範囲に機能水を付着させることができ、洗面器102をより適切に除菌することができる。機能水吐出部20からの機能水の吐出の形態は、霧状に限ることなく、液滴状や水流状でもよい。
【0039】
機能水照射部22は、機能水吐出部20と並べて棚部16の下部に設けられている。また、機能水照射部22は、下方に向けて設けられている。機能水照射部22は、機能水吐出部20から機能水を吐出する際に点灯する。機能水照射部22は、機能水吐出部20から吐出されている最中の機能水のうちで機能水吐出部20よりも下方の所定範囲に存在する機能水に光を照射する。これにより、機能水照射部22は、機能水の吐出が行われていることを使用者に報知するとともに、吐出されている機能水を見易くする。機能水照射部22から光を照射することにより、例えば、機能水吐出部20から霧状に噴霧されている機能水を見易くすることができる。
【0040】
機能水照射部22は、例えば、円錐状に光を照射する。機能水照射部22の光の照射範囲は、機能水吐出部20の機能水の吐出範囲(噴霧範囲)よりも広い。換言すれば、機能水照射部22の光の照射角度は、機能水吐出部20の機能水の吐出角度(噴霧角度)よりも広い。これにより、機能水照射部22は、機能水吐出部20から吐出されている最中の機能水のうちで機能水吐出部20よりも下方の所定範囲に存在する機能水の略全体に光を照射する。機能水照射部22は、機能水吐出部20から吐出され、所定位置よりも下方に降下する機能水の略全体に光を照射する。これにより、吐出されている機能水をより見易くすることができる。
【0041】
センサ部24は、棚部16の下方の領域で且つ吐水部12の近傍に存在する手を検知する。センサ部24は、例えば、ボウル部122内又はボウル部122の上方に差し出された使用者の手を検知する。センサ部24は、例えば、ボウル部122と吐水部12との間に差し出された使用者の手を検知する。
【0042】
水栓装置10は、センサ部24による手の検知に応じて、吐水部12から水を吐出させる。また、水栓装置10は、センサ部24による手の検知の停止に応じて、吐水部12からの水の吐出を停止させる。このように、水栓装置10は、操作部14の手動操作に応じて吐水部12から水を吐止水するとともに、センサ部24の検知結果に応じて、吐水部12から自動的に水を吐止水する。水栓装置10は、いわゆる自動水栓の機能を有する。
【0043】
水栓装置10は、機能水操作スイッチ26と、自動吐水切替スイッチ27と、温水準備スイッチ28と、を有する。各スイッチ26~28は、棚部16の前面16bに設けられている。各スイッチ26~28の位置は、前面16bに限ることなく、棚部16の任意の位置でよい。各スイッチ26~28には、例えば、タッチセンサや押しボタンスイッチなどが用いられる。各スイッチ26~28は、スライド式のスイッチやレバーなどでもよく、操作指示の入力が可能な任意の部材でよい。
【0044】
機能水操作スイッチ26は、機能水吐出部20からの機能水の吐止水の切り替えに用いられる。水栓装置10は、使用者による機能水操作スイッチ26の操作に応じて機能水吐出部20から機能水を吐出する。水栓装置10は、例えば、機能水操作スイッチ26の操作に応じて機能水の噴霧を所定時間(例えば、10秒間)行い、所定時間の経過に応じて自動的に機能水の噴霧を停止する。
【0045】
水栓装置10は、例えば、機能水操作スイッチ26の1回目の操作で機能水の噴霧を行い、機能水操作スイッチ26の2回目の操作で機能水の噴霧を停止させてもよい。例えば、所定時間の経過などにより、機能水操作スイッチ26の操作とは無関係に機能水吐出部20から自動的に機能水を噴霧してもよい。以下では、機能水操作スイッチ26の操作に応じて行う機能水の噴霧を「手動吐水」、機能水操作スイッチ26の操作とは無関係に行う機能水の噴霧を「自動吐水」と称す。
【0046】
自動吐水機能のオン・オフは、例えば、機能水操作スイッチ26の操作によって切り替えられる。例えば、自動吐水機能がオフに設定されている状態で機能水操作スイッチ26を長押しする(所定時間押し続ける)ことにより、オンに設定される。そして、自動吐水機能がオンに設定されている状態で機能水操作スイッチ26を長押しすることにより、オフに設定される。
【0047】
また、水栓装置10は、例えば、自動吐水機能を開始する直前に機能水照射部22を点滅させることにより、自動吐水機能が開始されることを使用者に報知する。使用者への報知方法としては、点滅以外に点灯するものや明滅するものであってもよい。吐水が行われているか否かの報知、及び自動吐水開始の報知は、光の照射に限ることなく、例えば、音声などで行ってもよい。これらの報知は、報知が可能な任意の態様でよい。
【0048】
自動吐水切替スイッチ27は、操作部14の手動操作に応じて吐水部12から水を吐止水する手動吐水と、センサ部24の検知結果に応じて吐水部12から自動的に水を吐止水する自動吐水と、の切り替えに用いられる。すなわち、自動吐水切替スイッチ27の操作に応じて、吐水部12の手動吐水と自動吐水とが切り替えられる。
【0049】
温水準備スイッチ28は、吐水部12からの温水の吐水に用いられる。水栓装置10は、温水準備スイッチ28が操作されると、操作部14で設定された所定の温度の温水が吐水部12から吐水されるまで、吐水部12から水又は温水を吐水する。換言すれば、水栓装置10は、温水準備スイッチ28が操作されると、給水源及び給湯源から吐水部12の吐水口12aまでの配管内の水が、温水に置換されるまで、吐水部12から水又は温水を吐水する。
【0050】
これにより、例えば、吐水部12から吐水される水が温水に変わったか否かを、使用者が水に手指を当てて実際に確認する手間を省くことができ、水栓装置10の利便性をより向上させることができる。
【0051】
水栓装置10は、温水準備スイッチ28が操作され、吐水部12からの吐水を開始した後、吐水部12から吐水される水の温度が所定の温度に達したことに応答して、吐水部12からの吐水を停止する。また、水栓装置10は、温水準備スイッチ28が操作され、吐水部12からの吐水を開始した後、所定時間経過しても、吐水部12から吐水される水の温度が所定の温度に達しなかった場合に、吐水部12からの吐水を停止する。これにより、例えば、操作部14や給湯器の操作ミスなどで温度が上昇しなかった場合に、吐水部12から水が出続けてしまうことを抑制することができる。
【0052】
図3は、実施形態に係る水栓装置を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、水栓装置10は、制御部30と、電源回路32と、電磁弁34、35と、分岐金具36と、温度センサ38と、電磁弁40と、機能水生成部42と、照明部44と、をさらに有する。電源回路32、電磁弁34、35、40、分岐金具36、及び機能水生成部42は、例えば、棚部16とは別に、支持台106の内部などに収容される。これらの各部は、棚部16内に設けてもよい。
【0053】
制御部30は、水栓装置10の各部を制御する。制御部30は、センサ部24、及び各スイッチ26~28と接続されている。制御部30は、センサ部24、及び各スイッチ26~28などからの入力に応じて、水栓装置10の各部を制御する。
【0054】
電源回路32は、電力源PSに接続される。電源回路32は、電力源PSから供給された電力を変換し、変換後の電力を制御部30などに供給する。電力源PSは、例えば、AC100V(実効値)の商用電源である。電源回路32は、例えば、電力源PSから供給される交流電力を、制御部30などに対応した直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部30などの各部に供給する。制御部30などの各部は、電源回路32からの電力供給に応じて動作する。
【0055】
センサ部24は、制御部30に接続され、検知結果を制御部30に入力する。センサ部24には、例えば、投光部と受光部とを有する赤外線測距センサが用いられる。センサ部24には、例えば、焦電センサや超音波センサなどを用いてもよい。センサ部24は、例えば、赤外線などの電磁波や超音波などの信号波を基に、人体や手などを非接触で検知可能な任意のセンサでよい。
【0056】
制御部30は、センサ部24による手の検知に応じて、吐水部12から水を吐出させる。また、制御部30は、センサ部24による手の検知の停止に応じて、吐水部12からの水の吐出を停止させる。これにより、前述のように、自動吐水の制御が行われる。
【0057】
電磁弁34は、止水栓50を介して給湯管などの給湯源HSに接続されている。電磁弁35は、分岐金具36及び止水栓51を介して給水管などの給水源MSに接続されている。電磁弁34、35は、操作部14に接続されている。また、電磁弁34、35は、制御部30に接続されている。制御部30は、電磁弁34、35の開閉を制御する。電磁弁34、35を開状態とすることにより、給水源MSから供給された水、及び給湯源HSから供給されたお湯が、操作部14に供給される。
【0058】
操作部14は、流量調整弁14bをさらに有する。操作レバー14aは、流量調整弁14bに接続され、流量調整弁14bの開弁量を調整する。流量調整弁14bは、操作レバー14aで設定された開弁量に基づいて、給水源MSから供給された水、及び給湯源HSから供給されたお湯のそれぞれの流量を調整する。そして、流量調整弁14bは、流量調整後の水及びお湯を混合して吐水部12に供給する。これにより、吐水部12から吐出される水の流量及び温度が調整される。
【0059】
制御部30は、自動吐水切替スイッチ27によって手動吐水が設定されている場合、電磁弁34、35を開状態とする。これにより、手動吐水の状態では、操作部14の操作に応じて、吐水部12から水が吐水される。
【0060】
一方、制御部30は、自動吐水切替スイッチ27によって自動吐水が設定されている場合、センサ部24の検知結果に応じて電磁弁34、35の開閉を制御する。この際、操作部14の操作レバー14aは、流量調整弁14bを所定の流量で開いた状態としておく。これにより、自動吐水の状態では、センサ部24の検知結果に応じて、吐水部12から水が吐水される。
【0061】
温度センサ38は、吐水部12と流量調整弁14bとの間の経路上に設けられ、吐水部12から吐水される水の温度を検知する。温度センサ38は、制御部30に接続され、検知結果を制御部30に入力する。
【0062】
制御部30は、温度センサ38の検知結果を基に、前述の温水準備の動作を行う。温水準備の動作を行う場合、使用者は、自動吐水を設定した後に温水準備スイッチ28を操作するか、あるいは、温水準備スイッチ28を操作した後に、操作部14の操作レバー14aを操作して流量調整弁14bを開状態にする。
【0063】
制御部30は、温水準備スイッチ28の操作に応答して、電磁弁34、35を開状態とし、吐水部12からの吐水を開始した後、温度センサ38の検知結果を基に、吐水部12から吐水される水の温度が所定の温度に達したか否かを判定する。制御部30は、所定の温度に達したと判定した場合に、電磁弁34、35を閉状態とし、吐水部12からの吐水を停止させる。また、制御部30は、所定時間経過しても、所定の温度に達しなかった場合にも、電磁弁34、35を閉状態とし、吐水部12からの吐水を停止させる。
【0064】
電磁弁40は、分岐金具36及び止水栓51を介して給水源MSに接続されている。電磁弁40は、機能水生成部42に接続されている。また、電磁弁40は、制御部30に接続されている。制御部30は、電磁弁40の開閉を制御する。電磁弁40を開状態とすることにより、給水源MSから供給された水が、機能水生成部42に供給される。
【0065】
機能水生成部42は、電磁弁40から供給された水(水道水)から機能水を生成し、生成した機能水を機能水吐出部20に供給する。また、機能水生成部42は、制御部30に接続されている。機能水生成部42における機能水の生成は、制御部30によって制御される。
【0066】
制御部30は、機能水操作スイッチ26からの操作指示の入力に応じて、電磁弁40を開くとともに、機能水生成部42を動作させる。これにより、使用者の機能水操作スイッチ26の操作に応じて、機能水が、機能水吐出部20からボウル部122に吐出される。また、制御部30は、機能水の吐出に応じて機能水照射部22を点灯させ、前述のように、機能水吐出部20から吐出された機能水を照らす。
【0067】
機能水生成部42は、例えば、電解槽を有する。電解槽の内部には、陽極板および陰極板が設けられている。機能水生成部42は、制御部30から送信される信号に基づいて、電解槽の内部を流れる水道水や雑用水を電気分解する。ここで、水道水は、塩化物イオンを含んでいる。塩化物イオンは、水源(例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水)に例えば食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)などとして含まれている。そのため、塩化物イオンを電気分解することにより次亜塩素酸が生成される。その結果、機能水生成部42において電気分解された水(電解水)は、次亜塩素酸を含む液(機能水)に変化する。次亜塩素酸は、例えば、消臭成分あるいは殺菌成分として機能する。次亜塩素酸を含む液は、一般細菌などを減らしたりすることができる。
【0068】
なお、本実施形態の機能水生成部42は、次亜塩素酸を含む液を生成することに限定されるわけではない。機能水生成部42において生成される機能水は、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む液であってもよい。あるいは、機能水生成部42において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む液であってもよい。あるいは、機能水生成部42において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。また、機能水生成部42は、電解槽と、陽極板と、陰極板と、を有する電解槽ユニットに限定されるわけではない。
【0069】
照明部44は、例えば、棚部16内に設けられている。棚部16は、光透過窓46を有する(
図2(b)参照)。光透過窓46は、棚部16の底面16cに設けられている。照明部44は、棚部16内において光透過窓46と対向して配置され、光透過窓46を介して棚部16の外部に光を照射する。光透過窓46は、例えば、照明部44の照射する光(可視光)に対して、光透過性と光拡散性とを有する。
【0070】
光透過窓46は、非光透過性の棚部16内に設けられた照明部44の光を棚部16の外部に出射させるとともに、棚部16の底面16cに設けられた開口を塞ぐ。これにより、照明部44を棚部16内に設けた場合にも、棚部16内への水の侵入を抑制することができる。例えば、水栓装置10の美観の低下を抑制することもできる。光透過窓46には、例えば、半透明(乳白色)の樹脂材料が用いられる。光透過窓46は、換言すれば、光拡散板である。
【0071】
照明部44は、下方に向かって光を照射し、光透過窓46を透過させることにより、棚部16の鉛直下方の領域を照らす。このように、照明部44は、棚部16に設けられ、棚部16から下方に向かって光を照射することにより、棚部16の鉛直下方の領域を照らす。換言すれば、照明部44は、棚部16の直下の領域を照らす。棚部16の鉛直下方の領域は、照明部44によって照らされる。
【0072】
照明部44は、棚部16の鉛直下方の領域を照らすことにより、吐水部12及び吐水部12から吐出された水の周囲を消灯時よりも明るくする。換言すれば、吐水部12は、照明部44の光で照らされる位置に水を吐出する。吐水部12は、照明部44によって照らされる棚部16の下方の領域に水を吐出する。吐水部12は、例えば、ボウル部122のうち、照明部44の光で照らされる位置に水を吐出する。また、センサ部24の検知範囲の少なくとも一部は、棚部16の下方において照明部44による光で照らされる位置に設けられる。これにより、夜間など洗面化粧台100が設置された空間が暗い場合であっても、吐水部12及び吐水部12から吐出された水を視認し易くし、使い勝手を向上させることができる。
【0073】
照明部44及び光透過窓46の数は、1つに限ることなく、2つ以上でもよい。すなわち、水栓装置10は、複数の照明部44及び複数の光透過窓46を有してもよい。また、光透過窓46は、必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、照明部44は、棚部16の外面に取り付けてもよい。照明部44の取付位置は、上記に限ることなく、棚部16の鉛直下方の領域を照明可能な任意の位置でよい。
【0074】
このように、水栓装置10は、機能水照射部22、電磁弁34、35、40、機能水生成部42、照明部44など、所定の機能を有する機能部を有する。水栓装置10は、例えば、機能の異なる複数の機能部を有する。制御部30は、これらの各機能部の動作を制御する。なお、水栓装置10に含まれる機能部は、上記に限ることなく、制御部30によって制御される任意の機能部でよい。
【0075】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る棚部の内部を模式的に表す平面図である。
図5は、実施形態に係る棚部の内部を模式的に表す断面図である。
図5は、
図4(a)のA1-A2線断面を模式的に表す。
図4(a)、
図4(b)、及び
図5に表したように、棚部16は、天板部60と、底板部62と、有する。天板部60は、物品を載置可能な上面16aを形成する。底板部62は、天板部60の下方に取り付けられ、天板部60の下方を覆う。なお、
図4(a)及び
図4(b)では、便宜的に、天板部60を取り外した状態を表している。
【0076】
底板部62は、例えば、上方及び後方を開放させた開口箱状である。これにより、底板部62は、天板部60とともに内部空間64を形成する。棚部16は、内部空間64を有し、後方を開放させた開口箱状である。棚部16の後方の開口は、壁面WSによって塞がれる。
【0077】
底板部62は、前面16bと底面16cとを形成する。前面16bは、例えば、天板部60で形成してもよい。前面16bは、例えば、天板部60及び底板部62とは別の部材で形成してもよい。
【0078】
棚部16は、制御部30を収納するための収納空間66を有する。収納空間66は、内部空間64の中に設けられる。棚部16は、仕切り壁70と、カバー72と、をさらに有する。仕切り壁70は、底板部62の内底面62aから上方に向かって延びるように設けられる。仕切り壁70は、例えば、底板部62の内底面62aの一部を連続して囲むように延びる枠状である。
【0079】
カバー72は、仕切り壁70の上に取り付けられ、枠状の仕切り壁70の上方を塞ぐ。これにより、底板部62の内底面62aの一部と仕切り壁70とカバー72とによって収納空間66が形成される。なお、
図4(a)は、カバー72を取り付けた状態を模式的に表している。
図4(b)は、カバー72を取り外した状態を模式的に表している。
【0080】
収納空間66は、水密性を有する。これにより、制御部30の被水を抑制することができる。仕切り壁70とカバー72との間には、パッキン74が設けられている。これにより、収納空間66の水密性をより高めることができる。
【0081】
また、収納空間66には、例えば、センサ部24、各スイッチ26~28、及び照明部44などがさらに収納される。これにより、これらの各部の被水も抑制することができる。制御部30は、例えば、収納空間66内において、センサ部24、各スイッチ26~28、及び照明部44などと電気的に接続される。
【0082】
仕切り壁70の少なくとも一部は、水栓装置10が壁面WSに取り付けられた状態において、収納空間66と壁面WSとの間に位置する。換言すれば、仕切り壁70の少なくとも一部は、収納空間66と棚部16の後端との間に位置する。これにより、仕切り壁70は、収納空間66を壁面WSから離間させ、収納空間66と壁面WSとの間に空気層76を設ける。但し、仕切り壁70は、壁面WSに接触してもよい。空気層76は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0083】
仕切り壁70は、連通部70aを有する。連通部70aは、壁面WSに向かって筒状に延びる。換言すれば、連通部70aは、後方に向かって延びる筒状である。連通部70aは、収納空間66を外部の空間と連通させる。連通部70aは、例えば、収納空間66を壁面WSの裏側の空間と連通させる。より詳しくは、連通部70aは、収納空間66をバックガード部124の裏側の空間を介して支持台106の内部空間と連通させる。連通部70aは、前後方向において制御部30と重なる位置に配置される。但し、連通部70aは、必ずしも筒状でなくてもよい。例えば、仕切り壁70が壁面WSと接している場合などには、連通部70aを貫通孔状に形成してもよい。
【0084】
連通部70aの後端には、パッキン78が設けられている。パッキン78は、連通部70aと壁面WSとの間に設けられる。パッキン78は、水栓装置10が壁面WSに取り付けられた状態において、連通部70aと壁面WSとに挟まれて押し潰されることにより、連通部70aと壁面WSとの間に隙間が生じることを抑制する。これにより、連通部70aによって収納空間66を外部の空間と連通させた場合にも、収納空間66の水密性を維持することができる。
【0085】
制御部30は、連通部70aを介して外部の空間に侵入する配線部材80を有する。制御部30は、例えば、基板82と、基板82を支持する支持体84と、をさらに有する。基板82は、種々の電子部品が実装された実装面82aを有する。制御部30は、基板82の実装面82aに実装された各電子部品により、水栓装置10の各部の動作を制御する。支持体84は、基板82を支持し、基板82を収納空間66内の所定の位置に保持する。
【0086】
配線部材80の一端は、基板82に接続される。配線部材80の一端は、基板82に固定されていてもよいし、基板82に着脱可能に接続してもよい。配線部材80の他端は、例えば、連通部70aを介して支持台106の内部空間に侵入し、支持台106内において電磁弁34、35、40、及び機能水生成部42などと接続される。制御部30は、配線部材80を介して電磁弁34、35、40、及び機能水生成部42と電気的に接続される。配線部材80の他端は、例えば、外部の空間に設けられた機能部と接続される。これにより、制御部30を収納空間66内に設けた場合にも、電磁弁34、35、40や機能水生成部42などの、外部の空間に設けられた機能部の動作を制御することができる。
【0087】
図5に表したように、制御部30は、前方から後方に向けて下方に傾斜するように収納空間66に配置される。制御部30は、例えば、基板82の実装面82aが、前方から後方に向けて下方に傾斜するように収納空間66に配置される。
【0088】
前述のように、底面16cは、前面16bの下端から後方に向かって下降傾斜する傾斜面状である。底板部62の内底面62aは、底面16cと同様に、後方に向かって下降傾斜する傾斜面状である。このため、棚部16の内部空間64及び収納空間66の高さは、後方に向かって高くなる。このように、底面16c及び内底面62aを傾斜させることにより、例えば、棚部16の前端側の厚みを抑えつつ、棚部16の後端側において内部空間64及び収納空間66の適切な容積を確保することができる。例えば、棚部16が全体的に厚い略矩形の箱状である場合と比べて、棚部16を使用者などに比較的薄く視覚させることができ、水栓装置10のデザイン性を向上させることができる。制御部30は、底板部62の内底面62aの傾斜に沿って、前方から後方に向けて下方に傾斜する。
【0089】
収納空間66は、制御部30の後端と連通部70aとの間に隙間GPを設ける。換言すれば、制御部30は、収納空間66内において、連通部70aとの間に隙間GPを空けた状態で、連通部70aよりも前方に配置される。
【0090】
以上、説明したように、本実施形態に係る水栓装置10では、収納空間66と壁面WSとの間に空気層76を設けることができるため、壁面WSに伝達された熱を収納空間66内に伝達し難くさせることができる。これにより、収納空間66内の制御部30に高い熱が伝わったり、収納空間66内に結露が生じたりすることを抑制することができる。機能部を制御する制御部30を棚部16内の収納空間66に収納する場合に、壁面WSを介する収納空間66への熱の伝搬を抑制できる水栓装置10を提供することができる。
【0091】
また、水栓装置10では、壁面WSと離間するように収納空間66が設けられていたとしても、配線部材80を連通部70aを介して外部の空間へと通す際に、連通部70aと壁面WSとの間でシールを行うことで、棚部16の後端全体でシールを行う場合などと比べてシールに必要な面積を小さくすることができる。すなわち、連通部70aの後端面をシール面とすることができる。例えば、パッキン78によって収納空間66の水密性を適切に維持することができる。また、配線部材80を通すための連通部70aを収納空間66と壁面WSとの間に位置する仕切り壁70に設けることにより、配線部材80を壁面WSの裏側へと通し易くすることができる。
【0092】
また、水栓装置10では、制御部30が、前方から後方に向けて下方に傾斜するように収納空間66に配置されるため、制御部30を水平方向と平行となるように収納空間66に配置する場合などと比べて、水栓装置10の前後方向の長さを短くすることができる。従って、機能部を制御する制御部30を棚部16内の収納空間66に収納する場合に、棚部16をコンパクト化できる水栓装置10を提供することができる。
【0093】
また、例えば、配線部材80を連通部70aに通しやすくするために、制御部30と連通部70aとを上下にずらして配置すると、水栓装置10の上下方向の厚みが大きくなってしまう。一方、水栓装置10の上下方向の厚みを抑えるために、制御部30と連通部70aとが前後に重なるように配置すると、連通部70aの一部が制御部30によって塞がれてしまい、配線部材80を連通部70aに通し難くなってしまう。これに対して、この水栓装置10では、連通部70aが、前後方向において制御部30と重なる位置に配置され、かつ収納空間66が、制御部30の後端と連通部70aとの間に隙間GPを設ける。これにより、水栓装置10(棚部16)の前後方向の長さ及び上下方向の厚みを大きくすることを抑制しながらも、配線部材80を連通部70aを介して収納空間66外に通し易くすることができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水栓装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0095】
10 水栓装置、 12 吐水部、 14 操作部、 16 棚部、 20 機能水吐出部、 22 機能水照射部、 24 センサ部、 26 機能水操作スイッチ、 27 自動吐水切替スイッチ、 28 温水準備スイッチ、 30 制御部、 32 電源回路、 34 電磁弁、 35 電磁弁、 36 分岐金具、 38 温度センサ、 40 電磁弁、 42 機能水生成部、 44 照明部、 46 光透過窓、 50 止水栓、 51 止水栓、 60 天板部、 62 底板部、 64 内部空間、 66 収納空間、 70 壁、 70a 連通部、 72 カバー、 74 パッキン、 76 空気層、 78 パッキン、 80 配線部材、 82 基板、 84 支持体、 100 洗面化粧台、 102 洗面器、 106 支持台、 108 ミラーキャビネット、 110 照明装置、 122 ボウル部、 124 バックガード部、 130 キャビネット本体、 131~133 扉