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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/32 20140101AFI20221006BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20221006BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20221006BHJP
【FI】
H02S20/32
H02S20/30 A
H02S20/10 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017123660
(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2019009903
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-06-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「新エネルギーベンチャー技術革新事業」による委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】516303174
【氏名又は名称】株式会社サンマリオン
(73)【特許権者】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠和
(72)【発明者】
【氏名】山田 昇
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-095280(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105680778(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/32
H02S 20/30
H02S 20/10
F24S 30/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部の上に配置され、前記ベース部に設けられた駆動機構によって、前記ベース部を構成する外枠部と平行に移動可能かつ、水平方向に移動可能な移動部と、
前記移動部の上に配置され、前記移動部に設けられた、軸部と、前記軸部が貫通する軸受部材を含んだ追尾機構に取り付けられた複数の太陽電池パネルとを備え、
前記駆動機構は、
前記移動部を前記ベース上に支持するための第1可動支持部及び第2可動支持部と、
前記第1可動支持部を第1方向に移動させる第1駆動部、及び前記第2可動支持部を前記第1方向に対して垂直方向である第2方向に移動させる第2駆動部とを含み、
前記移動部の移動に対応して、前記追尾機構を介して前記複数の太陽電池パネルが傾くように構成されていることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記追尾機構は、前記移動部に支持され、上方に延びる前記軸部を含み、
前記軸部は、前記移動部の移動に対応して、該移動方向に傾くように構成されており、
前記複数の太陽電池パネルは、前記軸部の傾きに対応して傾くように前記追尾機構に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
ベース部と、
前記ベース部の上に配置され、前記ベース部に設けられた第1駆動機構によって、前記ベース部を構成する外枠部と平行に移動可能かつ、水平方向に移動可能な第1移動部と、
前記第1移動部の上に配置され、前記第1移動部に設けられた第2駆動機構によって、前記ベース部を構成する前記外枠部と平行に移動可能かつ、水平方向に移動可能な第2移動部と、
前記第2移動部の上に配置され、前記第2移動部に設けられた、軸部と、前記軸部が貫通する軸受部材を含んだ追尾機構に取り付けられた複数の太陽電池パネルとを備え、
前記第1駆動機構は、前記第1移動部を支持する第1可動支持部と、前記第1可動支持部を第1方向に移動させる第1駆動部とを含み、
前記第2駆動機構は、前記第2移動部を支持する第2可動支持部と、前記第2可動支持部を前記第1方向に対して垂直方向である第2方向に移動させる第2駆動部とを含み、
前記第2移動部の移動に対応して、前記追尾機構を介して前記複数の太陽電池パネルが傾くように構成されていることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項4】
前記追尾機構は、前記第2移動部に取り付けられ、上方に延びる前記軸部を含み、
前記軸部は、前記第2移動部の移動に対応して、該移動方向に傾くように構成されており、
前記複数の太陽電池パネルは、前記軸部の傾きに対応して傾くように前記追尾機構に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記第1駆動部は、前記第1方向に延びる第1移動軸と、前記第1移動軸に沿って前記第1可動支持部を移動させるための駆動装置とを含み、
前記第2駆動部は、前記第2方向に延びる第2移動軸と、前記第2移動軸に沿って前記第2可動支持部を移動させるための駆動装置とを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記第1駆動部は、回転部材及び直線移動部材を有し且つ前記回転部材の回転動作を前記直線移動部材の第1方向の直線動作に変換する変換機構と、回転部材に回転入力を加えるモータとを含み、
前記第1可動支持部は、前記第1駆動部における前記直線移動部材と共に移動するように該直線移動部材に取り付けられており、
前記第2駆動部は、回転部材及び直線移動部材を有し且つ前記回転部材の回転動作を前記直線移動部材の第2方向の直線動作に変換する変換機構と、回転部材に回転入力を加えるモータとを含み、
前記第2可動支持部は、前記第2駆動部における前記直線移動部材と共に移動するように該直線移動部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関し、特に、太陽軌道を追尾するように太陽電池パネルを駆動する太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽光を利用して電力を発生させる太陽光発電装置が知られている。近年には、太陽光による発電量を向上するために、種々の太陽光発電装置の構成が提案されている。
【0003】
特許文献1~3には、太陽軌道を追尾するように太陽電池パネルを駆動させる追尾制御を行うことで、太陽光による発電量を向上させることを目的とした追尾装置付の太陽光発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-324210号公報
【文献】特開2012-69610号公報
【文献】特開2014-95280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な追尾装置は、耐風性に優れた構造を実現するために装置が大がかりであるが、その割には太陽電池の積載量が多くない。そのため、分散可動型の追尾装置も提案されているが、該追尾装置は、機構が複雑であり、コストが上昇してしまう。また、該追尾装置は、設置時や搬送時の不具合が大きい。
【0006】
さらに、追尾装置には太陽電池パネルを搭載する追尾子が備えられているが、従来の一
般的な追尾装置の場合、該追尾子の追尾機構が一部の方向で円滑に動き難く、太陽軌道の
追尾が不充分となることがある。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、分散可動型であって、小型で簡易な構造であり、設置時の利便性や搬送時の可搬性に優れるだけでなく、広範囲な方向に動きが円滑で、太陽軌道の追尾性能にも優れており、低コストでの実現が可能な追尾装置を備えた太陽光発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る太陽光発電装置は、
ベース部と、
前記ベース部の上に配置され、前記ベース部に設けられた駆動機構によって、前記ベース部を構成する外枠部と平行に移動可能かつ、水平方向に移動可能な移動部と、
前記移動部の上に配置され、前記移動部に設けられた、軸部と、前記軸部が貫通する軸受部材を含んだ追尾機構に取り付けられた複数の太陽電池パネルとを備え、
前記駆動機構は、
前記移動部を前記ベース上に支持するための第1可動支持部及び第2可動支持部と、
前記第1可動支持部を第1方向に移動させる第1駆動部、及び前記第2可動支持部を前記第1方向に対して垂直方向である第2方向に移動させる第2駆動部とを含み、
前記移動部の移動に対応して、前記追尾機構を介して前記複数の太陽電池パネルが傾くように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本実施形態に係る太陽光発電装置によると、簡易な構造であり、広範囲な方向に動きが円滑で、太陽軌道の追尾性能にも優れており、低コストでの実現が可能な追尾装置を備えた太陽光発電装置が得られる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る太陽光発電装置において、
前記追尾機構は、前記移動部に支持され、上方に延びる軸部を含み、
前記軸部は、前記移動部の移動に対応して、該移動方向に傾くように構成されており、
前記複数の太陽電池パネルは、前記軸部の傾きに対応して傾くように前記追尾機構に取り付けられていることが好ましい。
【0011】
このようにすると、簡便な構造で、移動部の移動に対応して、複数の太陽電池パネルが傾くように構成できる。
【0012】
本発明の他の実施形態に係る太陽光発電装置は、
ベース部と、
前記ベース部の上に配置され、前記ベース部に設けられた第1駆動機構によって、前記ベース部を構成する外枠部と平行に移動可能かつ、水平方向に移動可能な第1移動部と、
前記第1移動部の上に配置され、前記第1移動部に設けられた第2駆動機構によって、前記ベース部と平行に移動可能かつ、水平方向に移動可能な第2移動部と、
前記第2移動部の上に配置され、前記第2移動部に設けられた、軸部と、前記軸部が貫通する軸受部材を含んだ追尾機構に取り付けられた複数の太陽電池パネルとを備え、
前記第1駆動機構は、前記第1移動部を支持する第1可動支持部と、前記第1可動支持部を第1方向に移動させる第1駆動部とを含み、
前記第2駆動機構は、前記第2移動部を支持する第2可動支持部と、前記第2可動支持部を前記第1方向に対して垂直方向である第2方向に移動させる第2駆動部とを含み、
前記第2移動部の移動に対応して、前記追尾機構を介して前記複数の太陽電池パネルが傾くように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本実施形態に係る太陽光発電装置によると、上記一実施形態に係る太陽光発電装置と同様に、簡易な構造であり、広範囲な方向に動きが円滑で、太陽軌道の追尾性能にも優れており、低コストでの実現が可能な追尾装置を備えた太陽光発電装置が得られる。
【0014】
本発明の他の実施形態に係る太陽光発電装置において、
前記追尾機構は、前記第2移動部に取り付けられ、上方に延びる軸部を含み、
前記軸部は、前記第2移動部の移動に対応して、該移動方向に傾くように構成されており、
前記複数の太陽電池パネルは、前記軸部の傾きに対応して傾くように前記追尾機構に取り付けられていることが好ましい。
【0015】
このようにすると、簡便な構造で、移動部の移動に対応して、複数の太陽電池パネルが傾くように構成できる。
【0016】
上記各実施形態に係る太陽光発電装置において、
前記第1駆動部は、前記第1方向に延びる第1移動軸と、前記第1移動軸に沿って前記第1可動支持部を移動させるための駆動装置とを含み、
前記第2駆動部は、前記第方向に延びる第2移動軸と、前記第2移動軸に沿って前記第2可動支持部を移動させるための駆動装置とを含むことが好ましい。
【0017】
このようにすると、第1可動支持部及び第2可動支持部が互いに垂直な方向に安定して移動でき、それにより移動部を円滑に移動できるので、太陽電池パネルを円滑に駆動することが可能となる。
【0018】
上記各実施形態に係る太陽光発電装置において、
前記第1駆動部は、回転部材及び直線移動部材を有し且つ前記回転部材の回転動作を前記直線移動部材の第1方向の直線動作に変換する変換機構と、回転部材に回転入力を加えるモータとを含み、
前記第1可動支持部は、前記第1駆動部における前記直線移動部材と共に移動するように該直線移動部材に取り付けられており、
前記第2駆動部は、回転部材及び直線移動部材を有し且つ前記回転部材の回転動作を前記直線移動部材の第2方向の直線動作に変換する変換機構と、回転部材に回転入力を加えるモータとを含み、
前記第2可動支持部は、前記第2駆動部における前記直線移動部材と共に移動するように該直線移動部材に取り付けられていることが好ましい。
【0019】
より具体的には、
前記第1駆動部は、前記変換機構である前記第1方向に延びるねじ軸、ナット及びボールからなるボールねじと、前記ナットが前記ねじ軸に沿って移動するように該ねじ軸を回転させるためのギア部及び該ギア部に接続されたモータとを含み、
前記第1可動支持部は、前記第1駆動部における前記ナットと共に移動するように該ナットに取り付けられており、
前記第2駆動部は、前記変換機構である前記第2方向に延びるねじ軸、ナット及びボールからなるボールねじと、前記ナットが前記ねじ軸に沿って移動するように該ねじ軸を回転させるためのギア部及び該ギア部に接続されたモータとを含み、
前記第2可動支持部は、前記第2駆動部における前記ナットと共に移動するように該ナットに取り付けられていることが好ましい。
【0020】
このようにすると、上記第1可動支持部及び第2可動支持部の移動を簡便な構造で達成することができる。
【0021】
また、上記各実施形態に係る太陽光発電装置において、
前記第1駆動部は、前記変換機構である前記第1方向に延びるラックギア及びピニオンギアからなるラックアンドピニオンと、前記ラックギアを前記第1方向に移動させるように前記ピニオンギアを回転させるためのモータとを含み、
前記第1可動支持部は、前記第1駆動部における前記ラックギアと共に移動するように該ラックギアに取り付けられており、
前記第2駆動部は、前記変換機構である前記第2方向に延びるラックギア及びピニオンギアからなるラックアンドピニオンと、前記ラックギアを前記第2方向に移動させるように前記ピニオンギアを回転させるためのモータとを含み、
前記第2可動支持部は、前記第2駆動部における前記ラックギアと共に移動するように該ラックギアに取り付けられていてもよい。
【0022】
このようにしても、上記構成と同様に、上記第1可動支持部及び第2可動支持部の移動を簡便な構造で達成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る集光型太陽光発電装置によると、分散可動型であって、小型で簡易な構造であり、設置時の利便性や搬送時の可搬性に優れるだけでなく、広範囲な方向に動きが円滑で、太陽軌道の追尾性能にも優れており、低コストでの実現が可能な追尾装置を備えた太陽光発電装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置を示す左側面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置を示す右側面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の構成を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の構成を示す平面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の構成を示す正面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の構成を示す右側面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の上に移動部が設けられた状態の構成を示す斜視図である。
図9図8の状態から移動部が第1方向に移動された状態を示す斜視図である。
図10図9の状態から移動部が第2方向に移動された状態を示す斜視図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置の移動部に設けられる追尾機構の構成を示す斜視図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置の移動部に設けられる追尾機構の構成を示す平面図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置の移動部に設けられる追尾機構の構成を示す正面図である。
図14】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置の移動部に設けられる追尾機構の構成を示す右側面図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置を示す正面図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置を示す右側面図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の構成を示す平面図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の構成を示す背面図である。
図19】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の上に第1移動部が設けられた状態の構成を示す平面図である。
図20】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の上に第1移動部が設けられた状態の構成を示す背面図である。
図21】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の上に第1移動部及び第2移動部が設けられた状態の構成を示す平面図である。
図22】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置のベース部の上に第1移動部及び第2移動部が設けられた状態の構成を示す背面図である。
図23】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置の追尾機構の図示を省略した平面図である。
図24】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置の追尾機構の構成を示す正面図である。
図25】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置の追尾機構の構成を示す右側面図である。
図26】本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電装置の駆動機構の構成を示す斜視図である。
図27】本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電装置の駆動機構の構成を示す平面図である。
図28図27の状態からすべりねじのナットがねじ軸の一端にまで移動された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0030】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置について図1図14を参照しながら説明する。
【0031】
図1図3に示すように、本実施形態の太陽光発電装置は、大きく分けて下段部10、中段部30及び上段部50により構成されている。下段部10は、第1方向に延びる2本のフレーム部12a、12bと、第1方向に対して垂直な方向である第2方向に延びる2本のフレーム部12c、12dとが枠状に接続されて構成された外枠部12を含む。中段部30は、後に説明する移動部31を含む。上段部50は、下段部10の外枠部12に対応するように4本のフレーム部50a~50dによって枠状に構成されている。下段部10の四隅と上段部50の四隅とはそれぞれ4本の垂直フレーム部20a~20dにより接続されており互いに固定されている。なお、各フレーム部同士の接続は、フレーム部同士が直接に締結部材により接続されてもよく、コーナーピース等の他の部材を介して締結されていてもよい。以下に、下段部10、中段部30及び上段部50の構成について詳細に説明する。
【0032】
図4図7に示すように、下段部10はベース部11により構成されている。ベース部11は、上述の通り外枠部12を含む。また、ベース部11は、フレーム部12cに沿うようにフレーム部12cの内側に接続された補助フレーム部13aと、補助フレーム部13a及びフレーム部12dに両端部が接続された第1方向に延びる第1内側フレーム部13bと、第1内側フレーム部13b及びフレーム部12aに両端部が接続された第2方向に延びる第2内側フレーム部13cとをさらに含む。
【0033】
第1内側フレーム部13bの上には、第1方向に延びる第1駆動部としての第1ボールねじ14が配置されている。第1ボールねじ14は第1方向に延びるねじ軸14a、ねじ軸14aに沿って移動可能なナット14b、及びボール(図示せず)からなる。第1ボールねじ14のねじ軸14aの一端部にはギア部(図示せず)を介してねじ軸14aを回転させるためのモータ15が補助フレーム部13a上に設けられている(図1図3を参照。図4図7ではモータ15を省略している。)。モータ15によりねじ軸14aが回転すると、ナット14bは第1方向に移動する。ナット14bの上には、後に説明する移動部を支持する第1可動支持部16が設けられており、第1可動支持部16はナット14bの移動に伴って移動する。なお、第1可動支持部16は第2方向に延びている。
【0034】
第2内側フレーム部13cの上には、第2方向に延びる第2駆動部としての第2ボールねじ17が配置されている。第2ボールねじ17は第2方向に延びるねじ軸17a、ねじ軸17aに沿って移動可能なナット17b、及びボール(図示せず)からなる。第2ボールねじ17のねじ軸17aの一端部にはギア部(図示せず)を介してねじ軸17aを回転させるためのモータ18がフレーム部12a上に設けられている(図1図3を参照。図4図7ではモータ18を省略している。)。モータ18によりねじ軸17aが回転すると、ナット17bは第2方向に移動する。ナット17bの上には、後に説明する移動部を支持する第2可動支持部19が設けられており、第2可動支持部19はナット17bの移動に伴って移動する。なお、第2可動支持部19は第1方向に延びている。
【0035】
なお、モータ15、18は、外部の制御装置に接続されており、そのON/OFFや回転方向が制御されている。制御装置は、人がマニュアル操作することによりモータのON/OFFや回転方向を制御するような構成であってもよく、また、太陽軌道のデータに基づいて、自動的に太陽電池パネルが太陽軌道を追尾するように、モータのON/OFFや回転方向を制御するようにプログラムされていてもよい。
【0036】
図8に示すように、下段部10の上に配置された中段部30は、移動部31によって構成されている。具体的に、移動部31は、第1方向に延びる2本のフレーム部32a、32bと、第2方向に延びる2本のフレーム部32c、32dとが枠状に接続されて構成された外枠部32を含む。外枠部32は、第1可動支持部16の上に配設された、第1可動支持部16に沿った形状の第1支持フレーム部33aと、第2可動支持部19の上に配設された、第2可動支持部19に沿った形状の第2支持フレーム部33bとに支持されている。具体的には、第1可動支持部16がフレーム部32bを支持し、第2可動支持部19がフレーム部32c、32dを支持している。
【0037】
このような構成により、移動部31は、上記第1駆動部及び第2駆動部の駆動によって、第1方向及び第2方向に移動する。具体的に、図9に示すように、第1ボールねじ14のねじ軸14aがモータ15(図9では図示せず)により回転されるとナット14bが第1方向に移動し、その結果、ナット14b上に第1可動支持部16及び第1支持フレーム部33aを介して設けられた移動部31が第1方向に移動する。また、図10に示すように、第2ボールねじ17のねじ軸17aがモータ18(図10では図示せず)により回転されるとナット74bが第2方向に移動し、その結果、ナット17b上に第2可動支持部19及び第2支持フレーム部33bを介して設けられた移動部31が第2方向に移動する。従って、移動部31は、第1ボールねじ14及び第2ボールねじ17によって、水平方向に自在に移動可能である。
【0038】
図1図3に示すように、移動部31の上には複数の太陽電池パネルを配置すると共に、当該複数の太陽電池パネルを太陽の方向に追尾させるための追尾機構51が設けられている。具体的に、追尾機構51は、移動部31の第2方向に延びるフレーム部32c及び32dに跨るように設けられている。
【0039】
図11図14に示すように、追尾機構51は、移動部31のフレーム部32c、32dにそれぞれ接続されて追尾機構51を移動部31に接続するための2つの接続部材52を有する。接続部材52は図1図11に示すように、正面視凸形状の部材であり、両側のフランジ部に貫通孔52aが設けられている。ねじ等の締結部材(図示せず)が貫通孔52aを通ってフレーム部32c、32dに締結されることによって、接続部材52がフレーム部32c、32dに固定される。また、接続部材52の背面側には、図11及び図12に示すように、窪み部52bが設けられており、該窪み部52bには窪み部52b内で第1方向を回転軸として回転可能な第1軸受部材53が収容されている。第1軸受部材53は窪み部52b内に収容可能な径の収容部53aと窪み部52b外に位置し、収容部53aよりも径が拡大された拡大部53bを有する。
【0040】
図14に示すように、拡大部53bの収容部53aと反対側の面には支持部材54が設けられており、支持部材54を挟むように2枚の長尺状の板状部材55が設けられている。具体的に、2枚の板状部材55は、2つの第1軸受部材53にそれぞれ設けられた支持部材54を両端部分で挟むように設けられているため、第1方向に延びている。
【0041】
2つの板状部材55の間には、2枚の挟持部材56を介して、第2方向を回転軸として回転可能な第2軸受部材57が挟み込まれている。従って、第1軸受部材53と第2軸受部材57とは回転方向が垂直である。第2軸受部材57には、該第2軸受部材57を上下方向に貫通するように軸部58が設けられている。
【0042】
軸部58の上部には、第1方向に貫通された貫通孔59aを有する吊下部59が設けられており、各吊下部59の貫通孔59aを通るように吊下棒60が設けられている。従って吊下棒60は第1方向に延びている。吊下棒60の両端部は、取付部材61を介して第2方向に延びる上段部50のフレーム部50a、50bにそれぞれ取り付けられている(図1図3を参照)。ここで、吊下棒60は上記フレーム部50a、50bに固定されており、吊下部59は吊下棒60に対して軸方向に摺動不能に固定されている。また、吊下部59は、軸部58の上部を第2軸受部材57と同一方向に回動可能に保持している。このため、移動部31が第1方向に移動すると、軸部58の上部位置が固定された状態で軸部58の下部のみが第1方向に移動するため、第2軸受部材57が回転して軸部58が第1方向に傾斜することとなる。一方、吊下部59は吊下棒60を軸として回転可能に取り付けられているため、移動部31が第2方向に移動すると、軸部58の上部位置が固定された状態で軸部58の下部のみが第2方向に移動しようとすると共に、第1軸受部材53が回転して板状部材55が第2方向に傾斜して軸部58も第2方向に傾斜することとなる。
【0043】
軸部58における吊下部59と第2軸受部材57との間には、軸部58に固定され、軸部58を中心として軸部58の伸長方向に対して垂直方向両側に腕部62aを有する保持部材62が設けられている。保持部材62の両腕部62aには、それぞれ太陽電池パネル(図示せず)の取付枠63aを有する取付部材63が保持されている。
【0044】
以上のような構成により、移動部31が第1方向に移動すると、上述の通り軸部58が第1方向に傾斜するので取付部材63も第1方向に傾斜し、一方、移動部31が第2方向に移動すると、上述の通り軸部58が第2方向に傾斜するので取付部材63も第2方向に傾斜することとなる。従って、本実施形態に係る太陽光発電装置によると、取付部材63に取り付けられた太陽電池パネルを移動部31の移動により所望の方向に傾斜できるため、太陽の方向に太陽電池パネルを追尾することが可能となる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置について図15図25を参照しながら説明する。
【0046】
図15及び図16に示すように、本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置は、大きく分けて下段部110、第1中段部130、第2中段部150及び上段部170により構成されている。図17及び図18に示すように、下段部110は、第1方向に延びる2本のフレーム部112a、112bと、第1方向に対して垂直な方向である第2方向に延びる2本のフレーム部112c、112dとが枠状に接続されて構成された外枠部112を含む。第1中段部130は、後に説明する第1移動部131を含み、第2中段部150は、後に説明する第2移動部151を含む。上段部170は、下段部110の外枠部112に対応するように第1方向に延びる2本のフレーム部170a、170b及び第2方向に延びる2本のフレーム部170c、170dによって枠状に構成されている。下段部110の四隅と上段部170の四隅とはそれぞれ4本の垂直フレーム120a~120dにより接続されており互いに固定されている。以下に、下段部110、第1中段部130、第2中段部150及び上段部170の構成について詳細に説明する。
【0047】
図15図18に示すように、下段部110はベース部111により構成されている。ベース部111は、上述の通り外枠部112を含む。また、ベース部111は、第2方向に延びるフレーム部112cと112dとの間に第2方向に延びるフレーム部112eを有する。フレーム部112eの上にはモータ113が設けられている。さらにフレーム部112eの上には、モータ113に対してギア部(図示せず)を介して回転可能に接続されたねじ軸114aと該ねじ軸に沿って移動可能なナット114bを有するボールねじ114が設けられている。ボールねじ114は第2方向に延びるように配置されている。また、フレーム部112eの両側に配置されたフレーム部112c、112dのそれぞれの上には、フレーム部112c、112dに沿って延びるバー115aと、バー115aに対して摺動可能に取り付けられた2つの摺動部材115b、115cを含むリニアガイド115が設けられている(図17図18ではリニアガイド115を省略している、図19及び図20を参照。)。
【0048】
図15図16図19及び図20に示すように、下段部110の上には、上述の通り第1中段部130が設けられており、第1中段部130は第1移動部131を含む。第1移動部131は、第1方向に延びて互いに並行に配列された3本のフレーム部131a~131cと、第2方向に延びて当該フレーム部131a~131cを挟むように配置された2本のフレーム部131d、131eで構成されている(図19図20では131a、131cを省略している)。第2方向に延びるフレーム部131dは、下段部110のフレーム部112cに設けられたリニアガイド115の2つの摺動部材115b、115cの上に支持されており、もう一方の第2方向に延びるフレーム部131eは、下段部110のフレーム部112dに設けられたリニアガイド115の2つの摺動部材115b、115cの上に支持されている。また、第1方向に延びる3本のフレーム部131a~131cのうち中央に位置するフレーム部131bは、下段部110のフレーム部112eに設けられたボールねじ114のナット114b上に支持されている。ここで、各フレーム部は、ナット114bや摺動部材115b、115cに直接に支持されていてもよいが、第1の実施形態のように、別途第1可動支持部を介して支持されていてもよい。ナット114bや摺動部材115b、115cが直接に支持する場合は、これらが第1可動支持部として機能する。
【0049】
このような構成により、モータ113の駆動によりナット114bが第2方向に移動したときに、ナット114b上に支持されたフレーム部131bも第2方向に移動する。このとき、フレーム部131bに接続して第2方向に延びる2本のフレーム部131d、131eは、第2方向に摺動可能な摺動部材115b、115cの上に支持されているため、第2方向に移動する。結果として、第1移動部131全体が第2方向に移動することとなる。
【0050】
第1移動部131の第1方向に延びる3本のフレーム部131a~131cのうち中央に位置するフレーム部131bの上には、モータ132が設けられている。さらにフレーム部131bの上には、モータ132に対してギア部(図示せず)を介して回転可能に接続されたねじ軸133aと該ねじ軸に沿って移動可能なナット133bを有するボールねじ133が設けられている。ボールねじ133は第1方向に延びるように配置されている。また、フレーム部131bの両側に配置されたフレーム部131a、131cのそれぞれの上には、フレーム部131a、131cに沿って延びるバー134aと、バー134aに対して摺動可能に取り付けられた2つの摺動部材134b、134cを含むリニアガイド134が設けられている(図19及び図20では省略している、図21を参照)。
【0051】
図15図16図21及び図22に示すように、第1中段部130の上には、上述の通り第2中段部150が設けられており、第2中段部150は第2移動部151を含む。第2移動部151は、第1方向に延びて互いに並行に配列された2本のフレーム部151a、151bと、第2方向に延びて当該フレーム部151a、151bを挟むように配置された2本のフレーム部151c、151dで構成されている。第2方向に延びるフレーム部151cは、第1中段部130のフレーム部131a、131cにそれぞれ設けられた2つのリニアガイド134の摺動部材134bの上にそれぞれ支持されており、もう一方の第2方向に延びるフレーム部151dは、第1中段部130のフレーム部131a、131cにそれぞれ設けられた2つのリニアガイド134の摺動部材134cの上にそれぞれ支持されている。また、当該第2方向に延びるフレーム部151cは、第1中段部130のフレーム部131bに設けられたボールねじ133のナット133b上に支持されている。ここで、各フレーム部は、ナット133bや摺動部材134bに直接に支持されていてもよいが、第1の実施形態のように、別途第2可動支持部を介して支持されていてもよい。ナット133bや摺動部材134bが直接に支持する場合は、これらが第2可動支持部として機能する。
【0052】
このような構成により、モータ132の駆動によりナット133bが第1方向に移動したときに、ナット133b上に支持されたフレーム部151cも第1方向に移動する。このとき、2本のフレーム部151c、151dは、第1方向に摺動可能な摺動部材134b、134cの上に支持されているため、第1方向に移動する。結果として、第2移動部151全体が第1方向に移動することとなる。また、第2移動部151は第1移動部131の上に該第1移動部131に接続して配置されているため、第1移動部131の第2方向の移動に伴って、第2移動部151も第2方向に移動する。すなわち、モータ113の駆動によるボールねじ114におけるナット114bの第2方向への移動と、モータ132の駆動によるボールねじ133におけるナット133bの第1方向への移動とによって、第2移動部151は水平方向に自在に移動可能である。
【0053】
第2移動部151の第2方向に延びるフレーム部151c、151dの外側面にはそれぞれボール152aを有する玉受部152が取り付けられている。なお、ボール152aには、後に説明する軸部173が貫通されている。
【0054】
図23に示すように、第2中段部150の上には、上述の通り上段部170が設けられており、上段部170は4本のフレーム部170a~170dによって枠状に構成されている。上段部170において、その枠の中に第2方向に延びる2本のフレーム部170e、170fが設けられている。具体的に、上段部170には、第2方向に延びるフレーム部170c、170e、170f、170dが順次並行に配列されている。また、フレーム部170cとフレーム部170eとの間には2枚の挟持部材171を介して軸受部材172が設けられている。軸受部材172は2枚の挟持部材171の間で一方向に回転可能な第1回転部172aと、第1回転部172aの中に収容され、第1回転部の回転軸に対して垂直な方向を回転軸とする第2回転部172bとを有する。第2回転部172bには、上述のボール152aを貫通する軸部173が貫通されている。軸部173のボール152aと反対側の端部には、太陽電池パネルを取り付けるための取付部材174が設けられている。取付部材174は、軸部173と接続する矩形状の板状部材174aと、板状部材174aの四隅から上方に延びるポール174bと、該4本のポール174bに四隅が貫通された矩形状の取付板174cとを含む。取付板174cに太陽電池パネルが取り付けられることとなる。
【0055】
本実施形態において、上述した玉受部152、挟持部材171、軸受部材172、軸部173及び取付部材174によって太陽に対して太陽電池パネルを追尾させる追尾機構175が構成される。以下に、本実施形態における追尾機構175の動作について図24及び図25を参照して説明する。
【0056】
図24及び図25に示すように、軸部173の一端側は、玉受部152のボール152aに貫通している。また、軸部173は軸受部材172にも貫通している。上述の通り、玉受部152は第2移動部151のフレーム部151c、151dに取り付けられているため、玉受部152は第2移動部151の移動に伴って移動する。一方、軸受部材172は上段部170に設けられているため、第1移動部131や第2移動部151が移動しても、軸受部材172は移動しない。従って、軸部173は、第2移動部の移動に伴って傾斜し、具体的に、第2移動部151が第1方向に移動すれば軸部173は第1方向に傾斜し、第2移動部151が第2方向に移動すれば軸部173は第2方向に傾斜する。その結果、軸部173に取り付けられた取付部材174も、軸部173の傾斜に従って傾斜するため、取付部材174に取り付けられた太陽電池パネルを太陽に追尾することが可能となる。
【0057】
第1の実施形態及び第2の実施形態において、第1駆動部及び第2駆動部にボールねじを用いたが、これに限らず、モータによる回転入力を受けた回転部材の回転を直線移動部材の直線動作に変換できるもの(変換機構)であればよく、例えばすべりねじ又は台形ねじやラックアンドピニオン等を用いることも可能である。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電装置について図26図28を参照しながら説明する。本実施形態は、例えば上記第1の実施形態や第2の実施形態の太陽光発電装置のボールねじやすべりねじ又はラックアンドピニオン等の駆動機構に関するものである。具体的には、複数の駆動機構の位置ずれを正して初期化する機構に関するものであり、例えば第1の実施形態や第2の実施形態の太陽光発電装置に組み込むことが可能な初期化機構に関する。従って、本実施形態に係る太陽光発電装置は、そのような初期化機構を含むこと以外は、上記第1の実施形態や第2の実施形態の太陽光発電装置と同一であるため、その初期化機構についてのみ説明する。
【0059】
本実施形態に係る初期化機構は、すべりねじ又はボールねじやモータといった駆動機構と組み合わされる。具体的に、図26及び図27に示すように、駆動機構としてのすべりねじ200は、ねじ軸201と、該ねじ軸201に沿って移動可能に取り付けられたナット202とを含む。ねじ軸201の一端201aには図示しないギアを介して図示しないモータに接続されている。これによってねじ軸201は回転可能であり、その結果、ナット202はねじ軸201の軸方向に移動可能である。また、ねじ軸201の他端201bには付勢部材としてのばね部材203が設けられている。
【0060】
すべりねじ200の傍には、ねじ軸201に沿って延びるシャフト204が配置されている。シャフト204は、ねじ軸201よりも長く、その両端はねじ軸201の両端の外側に位置する。また、シャフト204の両端部には、それぞれシャフト204に貫通される支持部205が設けられている。支持部205は、例えば上述した太陽光発電装置のフレーム部上に搭載されてシャフト204を支持する。また、支持部205のそれぞれは、ねじ軸201の両端部よりも軸方向外側に配置される。シャフト204における2つの支持部205の間には、シャフト204に貫通され、シャフト204をその軸方向に摺動可能な摺動部材206が設けられている。
【0061】
すべりねじ200のナット202及び摺動部材206の上には、それらに跨るように棒状の接続部材207が設けられている。接続部材207は、ねじ軸201及びシャフト204の軸方向に対して垂直な方向が長手方向となるように配置される。このため、ナット202と摺動部材206とは、ねじ軸201及びシャフト204の軸方向の位置が同一となる。接続部材207の上には、第1の実施形態や第2の実施形態で説明した移動部を支持するための可動支持部208が設けられている。
【0062】
以上のような構成であるため、モータにより、ねじ軸201が回転されるとナット202がねじ軸201の軸方向に移動すると共に、ナット202に接続部材207を介して接続された摺動部材206も移動する。特に、ナット202と摺動部材206とは常に軸方向位置が同等になるように移動する。また、ナット202がねじ軸201の他端201b側に過剰に移動させられると、ナット202はねじ軸201から外れるが、ねじ軸201よりも長いシャフト204に設けられた摺動部材206により支持されるため、ナット202はねじ軸201の他端201bに維持される(図28を参照)。また、このときナット202は、ねじ軸201の他端201bに設けられたばね部材203により一端201a側に付勢される。この状態において、ねじ軸201を逆回転させると、ばね部材203によりねじ軸201の一端201a側に付勢されたナット202がねじ軸201に嵌り、一端201a側に移動する。
【0063】
このような構成の駆動機構を複数有する太陽光発電装置において、全ての駆動機構におけるナット202をねじ軸201の他端201b側に過剰に駆動させる、すなわち全ての駆動機構におけるナット202がねじ軸201の他端201bに達し、さらに当該他端201bを通過する方向に駆動させると、全ての駆動機構におけるナット202が、ばね部材203により一端201a側に付勢された状態でねじ軸201の他端201bに位置することとなる。この状態から、全ての駆動機構におけるナット202をねじ軸201の一端201a側に移動させると、全ての駆動機構におけるナット202の軸方向位置のばらつきが除かれ、軸方向位置が揃うこととなり、すなわち初期化することができる。
【0064】
本実施形態では、すべりねじを例として説明したが、同様にボールねじやラックアンドピニオン等の駆動機構であってもこのような初期化機構を達成することができる。なお、ボールねじを用いる場合は、ボールの脱落対策を講じたボールねじを用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0065】
10 下段部
11 ベース部
14 第1ボールねじ(第1駆動部)
16 第1可動支持部
17 第2ボールねじ(第2駆動部)
19 第2可動支持部
30 中段部
31 移動部
50 上段部
51 追尾機構
58 軸部
110 下段部
111 ベース部
114 ボールねじ(第1駆動部)
114b ナット(第1可動支持部)
130 第1中段部
131 第1移動部
133 ボールねじ(第2駆動部)
133b ナット(第2可動支持部)
150 第2中段部
151 第2移動部
170 上段部
173 軸部
175 追尾機構
200 すべりねじ(駆動機構)
201 ねじ軸
202 ナット
203 ばね部材(付勢部材)
204 シャフト
205 支持部
206 摺動部材
207 接続部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28