(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】移動装置
(51)【国際特許分類】
G02B 23/24 20060101AFI20221006BHJP
F16L 55/38 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G02B23/24 A
F16L55/38
(21)【出願番号】P 2018103393
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】503132280
【氏名又は名称】特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】平田 康夫
(72)【発明者】
【氏名】坂本 哲幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 英一
(72)【発明者】
【氏名】田所 諭
(72)【発明者】
【氏名】山本 知生
(72)【発明者】
【氏名】昆陽 雅司
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/136511(WO,A1)
【文献】特開昭60-150023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、
前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、
摺動面を有し、前記スライダユニットの端部に連設された先導部材と、
前記先導部材を前記スライダユニットに対して変位可能に接続する接続部材と、
を備え
、
前記摺動面は、前記スライダユニットから離間する側の外径が小さくなるように設定されたテーパ形状をなす
ことを特徴とする移動装置。
【請求項2】
流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、
前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、
摺動面を有し、前記スライダユニットの端部に連設された先導部材と、
前記先導部材を前記スライダユニットに対して変位可能に接続する接続部材と、
を備え、
前記摺動面は、前記長手方向に沿って外径が変化することを特徴とす
る移動装置。
【請求項3】
流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、
前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、
摺動面を有し、前記スライダユニットの端部に連設された先導部材と、
前記先導部材を前記スライダユニットに対して変位可能に接続する接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、前記スライダユニットに対する前記先導部材の前記長手方向の位置を調整する調整機構を有することを特徴とす
る移動装置。
【請求項4】
前記スライダユニットは、前記弾性チューブの膨張を一部規制して前記弾性チューブの内部に流体供給管と連通する圧力室を形成するとともに、前記圧力室からの圧力を受けて前記弾性チューブ上を移動可能なスライダを更に有し、
前記先導部材の最大外径は、前記スライダの最大外径よりも大きいことを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記接続部材は、弾性部材であることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項6】
前記接続部材は、前記先導部材を、前記スライダユニットの長手軸周りに回転可能に連結することを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項7】
前記接続部材は、前記先導部材を、前記スライダユニットの中心軸に対して傾動可能に連結することを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項8】
前記接続部材は、前記先導部材を、前記スライダユニットの中心軸に対して偏心方向に移動可能に連結することを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項9】
前記接続部材は、前記先導部材を、前記スライダユニットの長手軸周り、前記長手軸の傾動方向、或いは、前記長手軸の偏心方向の少なくとも2つに変位可能となるように連結することを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項10】
前記摺動面は、球面であることを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
【請求項11】
前記摺動面は、球面であることを特徴とする請求項3に記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種配管の内部、H形鋼のフランジ間、I形鋼や溝形鋼のリップ間、或いは、瓦礫の内部等のような、間隔の狭い壁部によって形成された挟空間内を移動する移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種建物や機械の内部の検査やメンテナンス、或いは、災害時における捜索等を行うことを目的として、挟空間内を移動するための各種移動装置が提案され、実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、先端側及び基端側から個別に供給される流体の圧力によって断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、スライダユニットに設けられ弾性チューブの径方向に変形して対象物に摺接可能なブレーキと、をそれぞれ備えた第1,第2の駆動ユニットを、ガイドチューブの先端側において前後に並べて配設した移動装置が開示されている。
【0004】
このような移動装置において、第1の駆動ユニットでは、弾性チューブの先端側及び基端側に供給される流体の制御を通じて、スライダユニットの弾性チューブに対する移動、及び、弾性チューブの径方向に対するブレーキの変形を実現することが可能となっている。同様に、第2の駆動ユニットでは、弾性チューブの先端側及び基端側に供給される流体の制御を通じて、スライダユニットの弾性チューブに対する移動、及び、弾性チューブの径方向に対するブレーキの変形を実現することが可能となっている。そして、これらの各動作を適宜組み合わせることにより、ガイドチューブ等を配管内等において自走により進退移動させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術において、ガイドチューブの外周に設けられたスライダユニットは、構造上、硬質であり、しかも、ガイドチューブよりも太径である。従って、例えば、L字状に屈曲する屈曲管路部に対し、スライダユニットを的確に通過させることが困難な場合がある。特に、屈曲管路部に段差が存在する場合には、スライダユニットの端部が屈曲管路内に存在する段差に突き当たる等して当該屈曲管路部を速やかに通過させることがより困難となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、挟空間内に屈曲管路部等が存在する場合にも、屈曲管路部等に対してスライダユニットを的確に通過させることができる移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による移動装置は、流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、摺動面を有し、前記スライダユニットの端部に連設された先導部材と、前記先導部材を前記スライダユニットに対して変位可能に接続する接続部材と、を備え、前記摺動面は、前記スライダユニットから離間する側の外径が小さくなるように設定されたテーパ形状をなす。
本発明の他態様による移動装置は、流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、摺動面を有し、前記スライダユニットの端部に連設された先導部材と、前記先導部材を前記スライダユニットに対して変位可能に接続する接続部材と、を備え、前記摺動面は、前記長手方向に沿って外径が変化する。
本発明の他態様による移動装置は、流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な弾性チューブと、前記弾性チューブの断面形状の変化に応じて当該弾性チューブの長手方向に進退移動可能なスライダユニットと、摺動面を有し、前記スライダユニットの端部に連設された先導部材と、前記先導部材を前記スライダユニットに対して変位可能に接続する接続部材と、を備え、前記接続部材は、前記スライダユニットに対する前記先導部材の前記長手方向の位置を調整する調整機構を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の移動装置によれば、挟空間内に屈曲管路部等が存在する場合にも、屈曲管路部等に対してスライダユニットを的確に通過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図7】第1のブレーキが作動状態になるときの第1の駆動ユニットの斜視図
【
図9】配管内において第1のブレーキが非作動状態になるときの第1の駆動ユニットを模式的に示す要部断面図
【
図10】配管内において第1のブレーキが作動状態になるときの第1の駆動ユニットを模式的に示す要部断面図
【
図11】配管の屈曲管路部内を通過する際の第1のスライダユニットの状態を模式的に示す要部断面図
【
図12】配管内において補助ブレーキが作動状態にあるときの補助ブレーキユニットを模式的に示す要部断面図
【
図13】配管の屈曲管路内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図
【
図14】配管の屈曲管路内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図
【
図15】通常時における移動装置の移動手順を示すフローチャート
【
図16】配管の屈曲管路部内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図
【
図17】配管の屈曲管路部内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図
【
図18】屈曲管路部の通過時において実行可能な移動装置の移動手順を示すフローチャート
【
図19】第1の変形例に係り、第1の駆動ユニットを模式的に示す側面図
【
図20】第2の変形例に係り、第1の駆動ユニットの斜視図
【
図21】第3の変形例に係り、第1の駆動ユニットの斜視図
【
図22】第4の変形例に係り、第1の駆動ユニットの斜視図
【
図23】第5の変形例に係り、第1の駆動ユニットの斜視図
【
図25】第6の変形例に係り、先導機構の要部を示す断面斜視図
【
図31】第12の変形例に係り、板バネリングを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、
図1は移動装置の概略構成図、
図2は移動装置の要部を示す斜視図、
図3は第1の駆動ユニットの斜視図、
図4は第1の駆動ユニットの分解斜視図、
図5は
図4のV-V線に沿う断面図、
図6はローラーの斜視図、
図7は第1のブレーキが作動状態になるときの第1の駆動ユニットの斜視図、
図8はブレーキ部材の要部を示す分解斜視図、
図9は配管内において第1のブレーキが非作動状態になるときの第1の駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図10は配管内において第1のブレーキが作動状態になるときの第1の駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、
図11は配管の屈曲管路部内を通過する際の第1のスライダユニットの状態を模式的に示す要部断面図、
図12は配管内において補助ブレーキが作動状態にあるときの補助ブレーキユニットを模式的に示す要部断面図、
図13,14は配管の屈曲管路内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図、
図15は通常時における移動装置の移動手順を示すフローチャート、
図16,17は配管の屈曲管路部内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図、
図18は屈曲管路部の通過時において実行可能な移動装置の移動手順を示すフローチャートである。
【0012】
図1に示す移動装置1は、例えば、建物等に設けられた配管100(
図9~
図14参照)内に内視鏡7(
図2,3参照)をガイドするためのガイドチューブ5に適用されている。この移動装置1は、第1の駆動ユニット2Aと、第1の駆動ユニット2Aよりも基端側に連設された第2の駆動ユニット2Bと、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側に連設された補助ブレーキユニット3と、をガイドチューブ5に有して構成されている。さらに、移動装置1は、これら第1,第2の駆動ユニット2A,2B及び補助ブレーキユニット3に流体としてのエアを供給或いは排出することが可能な流体調整部4を有する。
【0013】
ここで、ガイドチューブ5は、例えば、ポリウレタン等によって構成された可撓性を有する長尺なチューブを主体として構成され、その内部が、内視鏡7等を挿通可能なチャンネル5aとして設定されている。
【0014】
図1~
図4,
図9~
図11に示すように、第1の駆動ユニット2Aは、流体調整部4から供給される流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形(膨張収縮)可能な第1のチューブ体としての第1の弾性チューブ10Aと、この第1の弾性チューブ10Aの断面形状の変化に応じて当該第1の弾性チューブ10A上を長手方向に進退移動可能な第1のスライダユニット20Aと、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aと、を有して構成されている。
【0015】
第1の弾性チューブ10Aは、ゴムチューブ等の弾性部材によって構成されている。この第1の弾性チューブ10Aには、第1のチューブ体として、内面側に第1の可撓チューブ11Aが挿通されているとともに、外面側に第1のメッシュチューブ12Aが被覆されている。
【0016】
第1の可撓チューブ11Aは、例えば、第1の弾性チューブ10Aの内部圧力に対して変形不能な剛性を有するポリウレタン等からなるチューブによって構成されている。この第1の可撓チューブ11Aの外径は、第1の弾性チューブ10Aの内径と同等、或いは、第1の弾性チューブ10Aの内径よりも若干大径に形成されている。これにより、第1の可撓チューブ11Aの外周面には自然状態にあるときの第1の弾性チューブ10Aの内周面が面接触され、第1の可撓チューブ11Aは、所定の可撓性を有して第1の弾性チューブ10Aを支持することが可能となっている。また、第1の可撓チューブ11Aの内径は、ガイドチューブ5の内径と同等に形成され、これにより、第1の可撓チューブ11Aの内部は、ガイドチューブ5のチャンネル5aと一連のチャンネル11aとして設定されている。
【0017】
第1のメッシュチューブ12Aは、例えば伸縮不能なPET(ポリエチレンテレフタラート)繊維、ステンレス線等を網目状に織り込んだチューブによって構成されている。この第1のメッシュチューブ12Aは、網目の変形可能な範囲を限度として外径方向に変形することが可能となっている。これにより、第1のメッシュチューブ12Aは、第1の弾性チューブ10Aが局所的に膨張することを防止しつつ、第1の弾性チューブ10Aが長手方向に略均一な所定の外径にて膨張することを許容する。
【0018】
これら第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12Aの先端側には、リング状をなす先端側終端部材13が設けられている。この先端側終端部材13には、内周側に第1の可撓チューブ11Aの基端側が接着固定されるとともに、外周側に第1の弾性チューブ10A及び第1のメッシュチューブ12Aの基端側が接着固定されている。そして、この先端側終端部材13との接着により、第1の弾性チューブ10Aの先端側は、第1の可撓チューブ11Aの先端側と気密な状態にて連結されている。
【0019】
また、先端側終端部材13には、流体としてのエアを流通可能な第1の前側流体供給管15Aの先端側が保持され、この第1の前側流体供給管15Aの先端開口部が、第1の弾性チューブ10Aの先端側の内部(より具体的には、第1の弾性チューブ10Aの内周面と第1の可撓チューブ11Aの外周面との間)に連通されている。
【0020】
なお、配管100等に対する挿入性を向上するため、先端側終端部材13の外周面には、先細り形状をなすテーパ面13aが形成されている。
【0021】
同様に、第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12Aの基端側には、リング状をなす終端部材14が設けられている。ここで、本実施形態の終端部材14は、第1の駆動ユニット2Aの基端側終端部材としての機能を有するとともに、後述する第2の駆動ユニット2Bの先端側終端部材としての機能を有する。
【0022】
この終端部材14には、内周側に第1の可撓チューブ11Aの基端側が接着固定されるとともに、外周側に第1の弾性チューブ10A及び第1のメッシュチューブ12Aの基端側が接着固定されている。そして、この終端部材14との接着により、第1の弾性チューブ10Aの基端側は、第1の可撓チューブ11Aの基端側と気密な状態にて連結されている。
【0023】
また、終端部材14には、流体としてのエアを供給可能な第1の後側流体供給管16Aの先端側が保持され、この第1の後側流体供給管16Aの先端開口部が、第1の弾性チューブ10Aの基端側の内部(より具体的には、第1の弾性チューブ10Aの内周面と第1の可撓チューブ11Aの外周面との間)に連通されている。
【0024】
第1のスライダユニット20Aは、第1のメッシュチューブ12Aを介して第1の弾性チューブ10Aの外周側に装着されたスライダとしての第1の前側スライダ21Aと、この第1の前側スライダ21Aよりも基端側において、第1のメッシュチューブ12Aを介して第1の弾性チューブ10Aの外周側に装着されたスライダとしての第1の後側スライダ22Aと、これら第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aを離間方向に付勢する付勢部材としての第1のコイルスプリング23Aと、を有して構成されている。
【0025】
図1~
図4に示すように、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aは、リング状をなすスライダ本体25と、このスライダ本体25に軸支された複数のローラー26と、を有して構成されている。
【0026】
図5,6に示すように、各ローラー26は、断面形状が部分円弧状をなす転動面26aを有して構成されている。各ローラー26は。スライダ本体25の内周面に環状に配列された状態にて軸支され、これら各ローラー26の転動面26aにより、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aの内周には環状をなす一連の押圧面が形成されている。
【0027】
そして、このように形成された押圧面により、第1の前側スライダ21Aは、第1のメッシュチューブ12Aを介して、第1の弾性チューブ10Aの内周面を第1の可撓チューブ11Aの外周面に押し当てながら移動することが可能となっている。これにより、第1の弾性チューブ10Aの断面形状の変形が第1の前側スライダ21Aの移動状態に応じた任意の位置において一部規制され、第1の前側スライダ21Aよりも先端側には、第1の前側流体供給管15Aに連通する第1の前側圧力室17Aが形成されている。
【0028】
同様に、第1の後側スライダ22Aは、第1のメッシュチューブ12Aを介して、第1の弾性チューブ10Aの内周面を第1の可撓チューブ11Aの外周面に押し当てながら移動することが可能となっている。これにより、第1の弾性チューブ10Aの断面形状の変形が第1の後側スライダ22Aの移動状態に応じた任意の位置において一部規制され、第1の後側スライダ22Aよりも基端側には、第1の後側流体供給管16Aに連通する第1の後側圧力室18Aが形成されている。
【0029】
第1のコイルスプリング23Aは、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの間において、第1のメッシュチューブ12Aの外周側(すなわち、第1の弾性チューブ10Aの外周側)に介装されている。
【0030】
図1~
図4,
図7~
図11に示すように、このような第1のスライダユニット20Aの第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの間には、第1のブレーキ30Aを構成する複数のブレーキ部材31が架設されている。
【0031】
各ブレーキ部材31は、例えば、第1の前側スライダ21Aに支持された複数の前側揺動体32と、第1の後側スライダ22Aに支持された複数の後側揺動体33と、を有して構成されている。
【0032】
具体的に説明すると、第1の前側スライダ21Aには、当該第1の前側スライダ21Aの軸心方向に沿って基端側(第1の後側スライダ22A側)に延在する複数のガイド用突起21aが設けられている。これらのガイド用突起21aは、第1のコイルスプリング23Aの外周側において、所定間隔毎隔てて環状に配列されている。また、各ガイド用突起21aの両側部には、第1の前側スライダ21Aの軸心方向に沿って延在するガイド溝21bがそれぞれ設けられている。
【0033】
また、第1の後側スライダ22Aには、当該第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って先端側(第1の前側スライダ21A側)に延在する複数のガイド用突起22aが設けられている。これらのガイド用突起22aは、第1のコイルスプリング23Aの外周側において、第1の前側スライダ21Aのガイド用突起21aとそれぞれ対向するよう、所定間隔毎隔てて環状に配列されている。また、各ガイド用突起22aの両側部には、第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って延在するガイド溝22bがそれぞれ設けられている。
【0034】
前側揺動体32は、第1の前側スライダ21Aにおいて隣接するガイド用突起21a,21aの間に配設されている(
図3,4,7参照)。前側揺動体32の先端側(固定端側)には軸部34が設けられ(
図8参照)、この軸部34の両端がガイド用突起21a,21aに設けられたガイド溝21b,21bにそれぞれ係入されている。これにより、前側揺動体32は、ガイド溝21b,21bに沿って第1の前側スライダ21Aの軸心方向に進退移動可能、且つ、第1の前側スライダ21Aの拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起21a,21a間に支持されている。
【0035】
また、前側揺動体32の基端側(自由端側)には、接触部材としての係止爪部36が設けられている。この係止爪部36は、前側揺動体32と一体的に揺動することが可能となっており、前側揺動体32が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、前側揺動体32には、係止爪部36の一部を覆うための爪カバー32aが一体形成されている。
【0036】
後側揺動体33は、第1の後側スライダ22Aにおいて隣接するガイド用突起22a,22aの間に配設されている(
図3,4,7参照)。後側揺動体33の基端側(固定端側)には軸部35が設けられ(
図8参照)、この軸部35の両端が、ガイド用突起22a,22aに設けられた各ガイド溝22b,22bにそれぞれ係入されている。これにより、後側揺動体33は、前側揺動体32に対向する位置で、ガイド溝22b,22bに沿って第1の後側スライダ22Aの軸心方向に進退移動可能、且つ、第1の後側スライダ22Aの拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起22a,22a間に支持されている。
【0037】
また、後側揺動体33の先端側(自由端側)には、接触部材としての係止爪部37が設けられている。この係止爪部37は、後側揺動体33と一体的に揺動することが可能となっており、後側揺動体33が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、後側揺動体33には、係止爪部37の一部を覆うための爪カバー33aが一体形成されている。
【0038】
更に、前側揺動体32及び後側揺動体33の間には、これらの自由端側(すなわち、前側揺動体32の基端側と、後側揺動体33の先端側)を連結するための連結部材38が設けられている。本実施形態において、連結部材38は、所定の弾性を有する帯状のゴムプレートによって構成されている。なお、連結部材38は、金属部材によって構成されていてもよい。
【0039】
ここで、
図1~4,9~12に示すように、第1のスライダユニット20Aの前後の端部には、当該第1のスライダユニット12Aの姿勢を配管等の壁面に対して適切な方向に適宜先導するための、第1の前側先導機構71A及び第1の後側先導機構72Aが設けられている。
【0040】
第1の前側先導機構71Aは、第1のスライダユニット20Aよりも短尺な筒状をなす先導部材73と、第1のスライダユニット20Aの先端側の端部に対して先導部材73を変位可能に接続する弾性部材からなる接続部材74と、を有して構成されている。
【0041】
先導部材73は、第1の弾性チューブ10Aが自然状態にあるときの第1のメッシュチューブ12Aの外径よりも内周面がやや大径な筒状部材によって構成されている。これにより、先導部材73は、第1の前側スライダ21Aと一体的に第1のメッシュチューブ12A(すなわち、第1の弾性チューブ10A)上を移動可能となっている。
【0042】
また、先導部材73の外周面には、例えば、第1のスライダユニット20A側に当該第1のスライダユニット20Aの端部(すなわち、第1の前側スライダ21A)と略同径の最大径を有し、且つ、第1のスライダユニット20Aから離間するほど縮径する、先細りのテーパ面からなる摺動面73aが形成されている。
【0043】
接続部材74は、例えば、コイルスプリングによって構成されている。この連結部材74により、先導部材73は、第1の前側スライダ21Aに対して、当該第1の前側スライダ21Aの長手軸周りに回転可能となるよう接続されている。すなわち、連結部材74は、例えば、先導部材73に突設された軸受部73b(
図4参照)に対して回動可能に嵌合されることにより、先導部材73を、第1の前側スライダ21Aに対して回動可能に接続する。
【0044】
さらに、接続部材74がコイルスプリングによって構成されることにより、先導部材73は、第1の前側スライダ21Aの長手軸に対して弾性的に傾動可能、且つ、第1の前側スライダ21Aの長手軸の偏心方向(軸直角方向)に弾性的に移動可能となっている。
【0045】
このように、本実施形態の先導部材73は、コイルスプリングからなる接続部材74を介して接続されることにより、第1の前側スライダ21Aの長手軸周り、長手軸の傾動方向、及び、長手軸の偏心方向に対して変位可能となっている。
【0046】
同様に、第1の後側先導機構72Aは、第1のスライダユニット20Aよりも短尺な筒状をなす先導部材73と、第1のスライダユニット20Aの基端側の端部に対して先導部材73を変位可能に接続する接続部材74と、を有して構成されている。
【0047】
先導部材73の内周面は、第1の弾性チューブ10Aが自然状態にあるときの第1のメッシュチューブ12Aの外径よりも大径に形成されている。これにより、先導部材73は、第1の後側スライダ22Aと一体的に第1のメッシュチューブ12A(すなわち、第1の弾性チューブ10A)上を移動可能となっている。
【0048】
また、先導部材73の外周面には、例えば、第1のスライダユニット20A側に当該第1のスライダユニット20Aの端部(すなわち、第1の前側スライダ21A)と略同径の最大径を有し、且つ、第1のスライダユニット20Aから離間するほど縮径する、先細りのテーパ面からなる摺動面73aが形成されている。
【0049】
接続部材74は、例えば、コイルスプリングによって構成されている。この連結部材74により、先導部材73は、第1の後側スライダ22Aに対し、当該第1の後側スライダ22Aの長手軸周りに回転可能となるよう接続されている。さらに、接続部材74がコイルスプリングによって構成されることにより、先導部材73は、第1の後側スライダ22Aの長手軸に対して弾性的に傾動可能、且つ、第1の後側スライダ22Aの長手軸の偏心方向(軸直角方向)に弾性的に移動可能となっている。
【0050】
このように、本実施形態の先導部材73は、コイルスプリングからなる接続部材74を介して接続されることにより、第1の後側スライダ22Aの長手軸周り、長手軸の傾動方向、及び、長手軸の偏心方向に対して変位可能となっている。
【0051】
ここで、エアの供給及び排出によって第1の前側圧力室17Aと後側圧力室18Aが膨張及び収縮を繰り返す際に、第1の弾性チューブ10Aと第1の可撓チューブ11Aとの相対位置にズレが発生する等して、第1の弾性チューブ10Aの一部が重なった状態で第1の可撓チューブ11A上に支持される等の現象を防止するため、第1の可撓チューブ11Aと第1の弾性チューブ10Aとの間にズレ防止用のストッパリング40を介装することが望ましい。この場合、ストッパリング40は、第1の弾性チューブ10Aの長手方向に対する第1のスライダユニット20Aの移動範囲を規定するためのストッパとしての機能を兼用させることが望ましい。
【0052】
また、例えば、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aを大気開放した際の第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18A内へのエアの残留を防止するため、或いは、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aから第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22A間に漏れ入ったエアを第1の弾性チューブ10Aの外部に排出するため、第1の可撓チューブ11Aにリーク孔41を設けることが望ましい。この場合、リーク孔41は、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aが流通するエアの流量よりも十分小さいリーク量にてエアをリークさせることが可能な孔径に設定されていることが望ましい。また、リーク孔41は、第1の可撓チューブ11Aの長手方向に沿って所定間隔毎に設けられていることが望ましく、リーク孔41が設けられる間隔は、例えば、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aが最接近しているときの間隔よりも短く設定されていることが望ましい。このように設定することで、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aの間隔に関わらず、第1の前側圧力室17Aと第1の後側圧力室18Aとの間に漏れ入ったエアを第1の弾性チューブ10Aの外部に排出することができる。
【0053】
このように構成された第1の駆動ユニット2Aにおいて、第1の前側圧力室17Aと第1の後側圧力室18Aが大気開放されている場合には、第1のコイルスプリング23Aの付勢力により、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aは、互いに離間する方向に付勢されている。そして、この付勢力により、例えば、
図1~
図3,
図9に示すように、前側揺動体32と後側揺動体33は第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って倒伏されている。
【0054】
すなわち、第1前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとが互いに離間する方向に付勢された場合には、前側揺動体32の固定端側(軸部34)はガイド溝21bの基端側まで相対移動され、後側揺動体33の固定端側(軸部35)はガイド溝22bの先端側まで相対移動される。さらに、前側揺動体32及び後側揺動体33の固定端側に第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aからの牽引力が伝達されることにより、前側揺動体32及び後側揺動体33の自由端側は、連結部材38を介して互いに牽引される。これにより、前側揺動体32と後側揺動体33は、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って倒伏される。
【0055】
そして、このように第1の前側揺動体32と第1の後側揺動体33が倒伏されることにより、各係止爪部36,37は、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aの間に収納される。
【0056】
一方、例えば、第1の前側圧力室17Aと第1の後側圧力室18A内にエアが供給され、第1のコイルスプリング23Aの付勢力に抗して第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとが互いに接近する方向に移動されると、
図7,
図10に示すように、前側揺動体32と後側揺動体33は、拡径方向に起立される。
【0057】
すなわち、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aが互いに接近する方向に付勢されると、前側揺動体32の固定端側(軸部34)はガイド溝21bの先端側まで移動され、後側揺動体33の固定端側(軸部35)はガイド溝22bの基端側まで移動される。そして、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aがさらに接近すると、前側揺動体32と後側揺動体33の固定端側に、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aからの押圧力が伝達される。これにより、連結部材38が弓なりに弾性変形され、この連結部材38の弾性変形による斥力により、前側揺動体32と後側揺動体33は、拡径方向に起立される。これら第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとは、互いに対向するガイド用突起21a、22aの端部が当接する位置まで接近させることが可能であり、このように第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとが最接近したとき、前側揺動体32と後側揺動体33は最も拡径された状態にて起立される。
【0058】
このような前側揺動体32と後側揺動体33の拡径方向の変位に伴い、係止爪部36,37は拡径方向に変位し、配管100の内壁等の対象物に摺接される。そして、これらの係止爪部36,37の摺接により、第1のスライダユニット20Aは、配管100内等における移動が制限される。
【0059】
より具体的には、第1のスライダユニット20Aの基端側に向けて所定の仰角を有して傾斜する第1のブレーキ30Aの係止爪部36が配管100の内壁等に摺接されることにより、第1のスライダユニット20Aは、基端側(退避側)への移動が制限される。一方、第1のスライダユニット20Aの先端側に向けて所定の仰角を有して傾斜する係止爪部36が配管100の内壁等に摺接されることにより、第1のスライダユニット20Aは、先端側(進出側)への移動が制限される。
【0060】
なお、前側揺動体32及び後側揺動体33の固定端側(各軸部34,35)はガイド溝21b,22bを介して第1のスライダユニット20Aに支持されているため、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aが互いに接近する方向に移動を開始した場合にも、これら第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aからの押圧力が前側揺動体32及び後側揺動体33に対して直ちに伝達されることはない。換言すれば、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aと、前側揺動体32及び後側揺動体33との間には、各ガイド溝21b、22bによって遊びが設けられている。従って、例えば、
図11に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Aは、屈曲された配管100内を進退移動する際にも、各ガイド溝21b,22bが各軸部34,35の移動を許容する範囲内において、前側揺動体32及び後側揺動体33を拡径動作させることなく、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aを相対的に変位させることが可能である。
【0061】
第2の駆動ユニット2Bは、上述の第1の駆動ユニット2Aと略同様の構成となっている。このため、第1の駆動ユニット2Aに対応する第2の駆動ユニット2Bの各構成部材等については、図中において、同符号を付して、或いは、末尾を「A」から「B」に置き換えた符号を適宜付して、詳細な説明を省略する。
【0062】
なお、第2の駆動ユニット2Bにおいて、第2のチューブ体としての、第2の弾性チューブ10B、第2の可撓チューブ11B、及び、第2のメッシュチューブ12Bの先端側は終端部材14に接着固定されている。
【0063】
また、第2の弾性チューブ10B、第2の可撓チューブ11B、及び、第2のメッシュチューブ12Bの基端側には、リング状をなす基端側終端部材19が接着固定されている。
【0064】
さらに、基端側終端部材19の内周側には、ガイドチューブ5の先端側が接着固定されている。なお、本実施形態においては、終端部材14及び基端側終端部材19を介して、第1,第2の可撓チューブ11A,11Bをガイドチューブ5の先端側に連結した構成について例示しているが、これらを一体のチューブによって構成することも可能である。
【0065】
図1,12に示すように、補助ブレーキユニット3は、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側において、ガイドチューブ5の中途に介装されている。
【0066】
この補助ブレーキユニット3は、ガイドチューブ5の中途に介装されたインナチューブ45と、このインナチューブ45の外周側を被覆する補助ブレーキとしてのアウタチューブ46と、これらインナチューブ45及びアウタチューブ46の先端及び基端をガイドチューブ5の中途に連結する前側連結用口金47及び後側連結用口金48と、を有して構成されている。
【0067】
インナチューブ45は、例えば、ポリウレタン等によって構成された可撓性を有するチューブを主体として構成されている。このインナチューブ45の内径はガイドチューブ5の内径と同等に形成され、これにより、インナチューブ45の内部は、ガイドチューブ5のチャンネル5aと一連のチャンネル45aとして設定されている。
【0068】
アウタチューブ46は、ゴムチューブ等の弾性部材によって構成されている。このアウタチューブ46は、流体調整部4から供給される流体によって付与される内部圧力に応じて弾性変形(膨張収縮)可能となっている。すなわち、インナチューブ45とアウタチューブ46との間に流体調整部4から流体(エア)が供給された際に、当該流体によって付与される内部圧力に対して、インナチューブ45が変形不能であるのに対し、アウタチューブ46は弾性変形可能となっている。
【0069】
前側連結用口金47は、段付きの略円筒形状をなす部材によって構成されている。この前側連結用口金47の先端側の内周には、ガイドチューブ5の中途が接着固定されている。
【0070】
また、前側連結用口金47の基端側の外周には、インナチューブ45の先端側が接着固定されている。また、前側連結用口金47の基端側において、インナチューブ45の外周にはアウタチューブ46の先端側がスペーサ50を介して接着固定され、さらに、アウタチューブ46の先端側の外周には外装管49が接着固定されている。本実施形態のスペーサ50はシール部材としての機能を有し、このスペーサ50を介した接着により、インナチューブ45とアウタチューブ46の先端側は、気密に封止されている。
【0071】
後側連結用口金48は、段付きの略円筒形状をなす部材によって構成されている。この後側連結用口金48の基端側の内周には、ガイドチューブ5の中途が接着固定されている。
【0072】
また、後側連結用口金48の先端側の外周には、インナチューブ45の基端側が接着固定されている。また、後側連結用口金48の先端側において、インナチューブ45の外周にはアウタチューブ46の基端側がスペーサ50を介して接着固定され、さらに、アウタチューブ46の基端側の外周には外装管51が接着固定されている。本実施形態のスペーサ50はシール部材としての機能を有し、このスペーサ50を介した接着により、インナチューブ45とアウタチューブ46の基端側は、気密に封止されている。
【0073】
前側連結用口金47と後側連結用口金48によって保持されたインナチューブ45とアウタチューブ46との間には、圧力室53が形成されている。この圧力室53内に流体を供給するため、スペーサ50には継手52が設けられ、この継手52には、流体としてのエアを供給可能な流体供給管55の先端側が接続されている。
【0074】
このように構成された補助ブレーキユニット3において、圧力室53が大気開放されている場合には、アウタチューブ46は、収縮状態にあり、インナチューブ45とともに長手方向に沿って延在されている(
図1,2参照)。
【0075】
一方、圧力室53内にエアが供給されると、アウタチューブ46は、膨張を開始し、拡径方向に変位する。そして、拡開方向に変位したアウタチューブ46の一部が配管100の内壁等の対象物に摺接されることにより、補助ブレーキユニット3は、配管100内等における移動が制限される。すなわち、補助ブレーキユニット3は、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側において、配管100等の対象物に対するガイドチューブ5の移動を制限する。
【0076】
ここで、補助ブレーキユニット3は、スライダ等を有しない構成であるため、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bに対し、外径が十分に細径となっている。
【0077】
図1に示すように、流体調整部4は、作動流体であるエアを圧縮するためのコンプレッサ65と、コンプレッサ65によって圧縮されたエアの空気圧を予め設定された基準圧に調整するためのレギュレータ66と、レギュレータ66で基準圧に調圧されたエアの空気圧を任意の制御圧Pに調圧するための電空比例弁67と、電空比例弁67を駆動制御するための制御用計算機68と、を有して構成されている。
【0078】
本実施形態において、電空比例弁67には、第1の前側流体供給管15A、第1の後側流体供給管16A、第2の前側流体供給管15B、第2の後側流体供給管16B、及び、流体供給管55が接続されている。
【0079】
電空比例弁67は、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aを介して、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aに対し、それぞれ個別の制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
【0080】
また、電空比例弁67は、第2の前側流体供給管15B及び第2の後側流体供給管16Bを介して、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bに対し、それぞれ個別の制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
【0081】
さらに、電空比例弁67は、流体供給管55を介して、圧力室53に対し、制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
【0082】
この場合において、電空比例弁67は、例えば、エアの制御圧Pとして、第1の制御圧P1と、この第1の制御圧P1よりも所定圧高い第2の制御圧P2を調圧することが可能となっている。
【0083】
一方、電空比例弁67は、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aを個別に大気開放することにより、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aに供給されたエアを排出することが可能となっている。
【0084】
また、電空比例弁67は、第2前側流体供給管15B及び第2の後側流体供給管16Bを個別に大気開放することにより、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bに供給されたエアを排出することが可能となっている。
【0085】
さらに、電空比例弁67は、流体供給管55を大気開放することにより、圧力室53に供給されたエアを排出することが可能となっている。
【0086】
次に、このように構成された移動装置1の通常時における移動手順の一例について、
図15のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明においては、使用者等が操作入力を行うことにより配管100内を進出移動させる一例について説明するものであるが、例えば、制御用計算機68に予め設定したプログラム等によって行う自動で行うことも可能である。なお、以下の説明において、説明を簡略化するため、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bを構成する第1,第2の弾性チューブ10A,10B、第1,第2の可撓チューブ11A,11B、及び、第1,第2のメッシュチューブ12A,12Bを、適宜、「ガイドチューブユニット5A」と総称する。
【0087】
移動装置1は、配管100内で第1、第2の駆動ユニット2A,2Bの第1ブレーキ30A、第2のブレーキ30Bの移動と把持、解除を行うことで、前進または後進させる。
【0088】
この移動手順では、先ず、配管100内に移動装置1の第1,第2の駆動ユニット2A,2Bが挿入された状態において、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2の弾性チューブ10Bにおいて、第2のブレーキ30Bが作動される(ステップS101)。
【0089】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の前側流体供給管15Bを通じて第2の前側圧力室17Bに供給する。これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10B上を先端側から基端側へと移動する。そして、基端側に位置するストッパリング40に到達する前に第1の制御圧P1に調圧されたエアを第2の後側流体供給管16Bを通じて第2の後側圧力室18Bに供給する。この場合、第2の前側圧力室17B,第2の後側圧力室18Bに供給された制御圧は共にP1であるため、第2のコイルスプリング23Bの付勢力に抗して第2の後側スライダ22Bに接近する。これにより、第2のスライダユニット20Bに設けられた第2のブレーキ30Bの前側揺動体32と後側揺動体33は第2の弾性チューブ10Bの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
【0090】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のブレーキ30Aの作動解除が行われる(ステップS102)。
【0091】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aを大気開放する。これにより、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aは、第1のコイルスプリング23Aの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第1のブレーキ30Aの作動が解除される。
【0092】
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のスライダユニット20Aは第1の弾性チューブ10Aの先端側へと移動され(ステップS103)、さらに、第1の弾性チューブ10Aの先端側において、第1のブレーキ30Aが作動される(ステップS104)。
【0093】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第1の後側流体供給管16Aを通じて第1の後側圧力室18Aに供給する。これにより、第1のスライダユニット20Aは、第1の弾性チューブ10A上を基端側から先端側へと移動する。
【0094】
この場合において、配管100内における第2のブレーキ30Bの摺接によってガイドチューブユニット5Aの長手方向への移動が制限されているため、第1のスライダユニット20Aは、配管100内を基端側から先端側へと移動する。
【0095】
そして、先端側に位置するストッパリング40に到達する前に第1の制御圧P1に調圧されたエアを第1の前側流体供給管路15Aを通じて第1の前側圧力室17Aに供給する。この場合、第1の前側圧力室17A,第1の後側圧力室18Bに供給された制御圧はともにP1であるため、第1のコイルスプリング23Aの付勢力に抗して第1の前側スライダ21Aに接近する。これにより、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
【0096】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のブレーキ30Bの作動解除が行われる(ステップS105)。
【0097】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bを大気開放する。これにより、第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bは、第2のコイルスプリング23Bの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第2のブレーキ30Bの作動が解除される。
【0098】
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のスライダユニット20Bは第2の弾性チューブ10Bの先端側へと移動され(ステップS106)、さらに、第2の弾性チューブ10Bの先端側において、第2のブレーキ30Bが作動される(ステップS107)。
【0099】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の後側流体供給管16Bを通じて第2の後側圧力室18Bに供給する。これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10B上を基端側から先端側へと移動する。
【0100】
この場合において、配管100内における第1のブレーキ30Aの摺接によってガイドチューブユニット5Aの長手方向への移動が制限されているため、第2のスライダユニット20Bは、配管100内を基端側から先端側へと移動する。
【0101】
そして、先端側に位置するストッパリング40に到達する前に第1の制御圧P1に調圧されたエアを第2の前側流体供給管路15Bを通じて第2の前側圧力室17Bに供給する。この場合、第2の前側圧力室17B,第2の後側圧力室18Bに供給された制御圧はともにP1であるため、第2のコイルスプリング23Bの付勢力に抗して第2の前側スライダ21Bに接近する。これにより、第2のスライダユニット20Bに設けられた第2のブレーキ30Bの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
【0102】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、ガイドチューブユニット5Aが先端側に移動する(ステップS108)。
【0103】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1の前側流体供給管15A及び第2の前側流体供給管15Bを通じて第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bにそれぞれ供給する。これにより、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bは膨張を開始し、この膨張による圧力を第1の前側スライダ21A及び第2の前側スライダ21Bが受けることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの接近状態及び第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bとの接近状態を維持したまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B上を先端側から基端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bに供給された第2の制御圧P2は、第1の後側圧力室18A及び第2の後側圧力室18Bに供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の後側圧力室18A及び2の後側圧力室18Bを基端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、第1,第2のスライダユニット20A,20Bに設けられた第1,第2のブレーキ30A,30Bは配管100の内壁に摺接されているため、配管100内における第1,第2のスライダユニット20A,20Bの位置は不変のまま、ガイドチューブユニット5A(すなわち、第1,第2の弾性チューブ10A,10B、第1,第2の可撓チューブ11A,11B、及び、第1,第2のメッシュチューブ12A,12B)が一体的に配管100内を前進する。そして、これら移動に牽引されて、ガイドチューブ5は、配管100内を前進する。
【0104】
これらステップS101~ステップS108の手順を繰り返すことにより移動装置1は、ガイドチューブ5を前進させることが可能である。つまり、スライダユニット20Bの第2のブレーキ30Bで配管を把持した上で、第1のスライダユニット20Aを先端側に移動させ、配管を把持、その後、第2のスライダユニット20Bを先端側に移動の上配管把持、さらに第1、第2のスライダユニット20A、20Bとの相対移動によってガイドチューブユニット5Aを先端側に移動させることで移動装置1が前方に送られる。また、上述と逆の手順を行うことにより、移動装置1は、前進時と同様のパフォーマンスにてガイドチューブ5を後退させることも可能である。
【0105】
ここで、ステップS105における第1のスライダユニット20Aの移動時、及び、ステップS108における第2のスライダユニット20Bの移動時において、第1,第2のスライダユニット20A,20Bは、端部に第1,第2の前側先導機構71A,71B(及び、第1,第2の後側先導機構72A,72B)を有することにより、段差等の障害物を有する狭い屈曲管路部等を通過する際にも、段差等によって進行を阻害されることなく、的確に通過することが可能となる。
【0106】
例えば、
図13に示すように、第2のスライダユニット20Bが、配管100内の屈曲管路部101を前進する場合において、第2のスライダユニット20Bの進行経路上に段差102が存在する場合にも、第2のスライダユニット20Bは、第2の前側先導機構71Bに先導されて段差102を的確に回避することが可能となる。
【0107】
すなわち、第2のスライダユニット20Bが段差102に差し掛かると、先ず、第2の前側先導機構71Bを構成する先導部材73が段差102に当接される。そして、先導部材73は、テーパ状の摺動面73aを段差102に対して摺動させることにより、中心軸が段差102に対して離間する方向に移動しながら、当該段差102を乗り越える(
図14参照)。
【0108】
その際、第2のスライダユニット20Bは、コイルスプリングからなる接続部材74の弾性変形等により、段差102から受ける応力に応じた先導部材73の長手軸に対する、回転、傾動、及び、偏心方向への移動(変位)を許容しつつ、接続部材74の復元力により、変位した先導部材73に追従する。
【0109】
これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の前側先導機構71Bによって進行方向が適宜補正され、段差102等によって進行を阻害されることなく、屈曲管路部101を通過することが可能となる。
【0110】
なお、説明は省略するが、第1のスライダユニット20Aの前進時においても、第1の前側先導機構71Aによる同様の作用により、屈曲管路部等を容易に通過することが可能となる。また、第1,第2のスライダユニット20A,20Bの後退時においても、第1,第2の後側先導機構72A,72Bによる同様の作用により、屈曲管路部等を容易に通過することが可能となる。
【0111】
ところで、このような移動装置1によるガイドチューブ5の移動時において、第1の駆動ユニット2Aを構成するチューブ体(第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12A)の先端側は拘束されていないため、第1のスライダユニット20Aは、配管100内において比較的自由に変位でき、屈曲管路部101に段差102等が存在する場合にも比較的通過が容易となる。
【0112】
これに対し、第2の駆動ユニット2Bを構成するチューブ体(第2の弾性チューブ10B、第2の可撓チューブ11B、及び、第2のメッシュチューブ12B)は前後が管路等によって拘束されるため、第2のスライダユニット20Bは、第1のスライダユニット20Aに比べて配管100内における変位が制限される。従って、屈曲管路部101に対し、第2のスライダユニット20Bを通過させる際には、例えば、以下のようなケースが想定されうる。
【0113】
すなわち、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bを進出させる際には、屈曲管路部101に対する第1の弾性チューブ10A等の進退移動を防止すべく、第1のブレーキ30Aを作動させる必要がある。このため、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18A内には流体が供給されている。これらの流体の供給によって、第1の駆動ユニット2Aを構成するチューブ体(第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12A)は全体としての硬度が増しており(可撓性が低下しており)、特に、このような状態では、第2の駆動ユニット2Bの先端側は、屈曲管路部101に対する変位が制限される。従って、第2のスライダユニット20Bが段差102等に係止された場合、単に第2のスライダユニット20Bを進出動作させるだけでは、当該係止状態から第2のスライダユニット20Bを解放することが困難となる。加えて、段差102等に対して係止状態のままの第2のスライダユニット20Bを進出動作させると、第2の弾性チューブ10B等は相対的に基端側に移動されるため、第2の駆動ユニット2Bが屈曲管路部101の屈曲方向の内側に押し当てられるように変位し、第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101内に移動不能にロックされて当該屈曲管路部101からの脱出自体が困難となる場合も想定される。
【0114】
そこで、第1の駆動ユニット2Aが配管100内の屈曲管路部101を通過したことが確認された場合には、その後、例えば、
図18に示す移動手順に従って移動装置1を動作させることにより、屈曲管路部101に対する第2の駆動ユニット2Bの通過をさらに容易に実現することも可能である。
【0115】
なお、第1の駆動ユニット2Aが配管100内の屈曲管路部101を通過したか否かについては、例えば、チャンネル5a等を経て先端側終端部材13から突出する内視鏡7を用いた観察によって確認することが可能である。
【0116】
この移動手順では、第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101に進入した状態において(
図16参照)、先ず、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、補助ブレーキユニット3が作動される(ステップS201)。
【0117】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、例えば、第2の制御圧P1に調圧されたエアを、流体供給管55を通じて圧力室53に供給する。これにより、アウタチューブ46が、弾性変形によって拡径方向に変位して配管100の内周面に摺接される(
図12,17参照)。
【0118】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のブレーキ30Bの作動解除が行われる(ステップS202)。
【0119】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bを大気開放する。これにより、第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bは、第2のコイルスプリング23Bの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第2のブレーキ30Bの作動が解除される。
【0120】
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のスライダユニット20Aが第1の弾性チューブ10Aの先端側へと移動される(ステップS203)。
【0121】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の前側圧力室17Aに供給されているエアを第1の制御圧P1に減圧すると共に、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1の後側流体供給管16Aを通じて第1の後側圧力室18Aに供給する。これにより、第1の後側圧力室18Aは膨張を開始し、この膨張による圧力を第1の後側スライダ22Aが受けることにより、第1のスライダユニット20Aには、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの接近状態を維持したまま、第1の弾性チューブ10A上を基端側から先端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の後側圧力室18Aに供給された第2の制御圧P2は、第1の前側圧力室17Aに供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、第1のスライダユニット20Aには、第1の前側圧力室17Aを先端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aは配管100の内壁に摺接されているため、配管100内における第1のスライダユニット20Aの位置は不変のまま、第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12Aが一体的に配管100内を後退する。この時、補助ブレーキユニット3が作動していて、自走装置の手元側の位置は保持された状態であり、第2のブレーキ30Bが解除されていて、中間部分が移動可能になっているので、配管内で位置が保持されこれら第1の弾性チューブ10A等の後退により、第2の弾性チューブ10B等は、屈曲管路部101の屈曲方向の外側に撓まされる。なお、このステップS203の手順は適宜省略することも可能である。
【0122】
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のスライダユニット20Bは第2の弾性チューブ10Bの先端側へと移動され(ステップS204)、さらに、第2の弾性チューブ10Bの先端側において、第2のブレーキ30Bが作動される(ステップS205)。
【0123】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の後側流体供給管16Bを通じて第2の後側圧力室18Bに供給する。これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10B上を基端側から先端側へと移動する。
【0124】
この場合において、補助ブレーキユニット3によって、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側の移動が制限されているため、仮に、第2のスライダユニット20Bが段差102等に係止された場合にも、第2の弾性チューブ10B等が屈曲管路部101の屈曲方向の内側に変位することが防止される。従って、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10Bの先端側への進出動作の過程で段差102等との係止状態から解放され、屈曲管路部101内の先端側への移動が継続される。特に、上述のステップS203の手順によって第2の弾性チューブ10B等が屈曲管路部101の屈曲方向の外側に撓まされている場合には、第2のスライダユニット20Bは、段差102等との係止状態をより簡単に解放することが可能となる(
図17参照)。
【0125】
そして、先端側に位置するストッパリング40に到達する前に第1の制御圧P1に調圧されたエアを第2の前側流体供給管路15Bを通じて第2の前側圧力室17Bに供給する。この場合、第2の前側圧力室17B,第2の後側圧力室18Bに供給された制御圧はともにP1であるため、第2のコイルスプリング23Bの付勢力に抗して第2の前側スライダ21Bに接近する。これにより、第2のスライダユニット20Bに設けられた第2のブレーキ30Bの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100或いは屈曲管路部101の内周面に摺接される。
【0126】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のブレーキ30Aの作動解除が行われる(ステップS206)。
【0127】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aを大気開放する。これにより、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aは、第1のコイルスプリング23Aの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第1のブレーキ30Aの作動が解除される。
【0128】
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のスライダユニット20Aは第1の弾性チューブ10Aの先端側へと移動され(ステップS207)、さらに、第1の弾性チューブ10Aの先端側において、第1のブレーキ30Aが作動される(ステップS208)。
【0129】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第1の後側流体供給管16Aを通じて第1の後側圧力室18Aに供給する。これにより、第1のスライダユニット20Aは、第1の弾性チューブ10A上を基端側から先端側へと移動する。
【0130】
この場合において、配管100内における第2のブレーキ30Bの摺接によってガイドチューブユニット5Aの長手方向への移動が制限されているため、第1のスライダユニット20Aは、配管100内を基端側から先端側へと移動する。
【0131】
そして、先端側に位置するストッパリング40に到達する前に第1の制御圧P1に調圧されたエアを第1の前側流体供給管路15Aを通じて第1の前側圧力室17Aに供給する。この場合、第1の前側圧力室17A,第1の後側圧力室18Bに供給された制御圧はともにP1であるため、第1のコイルスプリング23Aの付勢力に抗して第1の前側スライダ21Aに接近する。これにより、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
【0132】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、補助ブレーキユニット3の作動解除が行われる(ステップS209)。
【0133】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、圧力室53を大気開放する。これにより、アウタチューブ46は縮径方向へと変位され、補助ブレーキユニット3の作動が解除される。
【0134】
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bとの相対移動によってガイドチューブユニット5Aが先端側に移動される(ステップS210)。
【0135】
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1の前側流体供給管15A及び第2の前側流体供給管15Bを通じて第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bにそれぞれ供給する。これにより、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bは膨張を開始し、この膨張による圧力を第1の前側スライダ21A及び第2の前側スライダ21Bが受けることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの接近状態及び第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bとの接近状態を維持したまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B上を先端側から基端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bに供給された第2の制御圧P2は、第1の後側圧力室18A及び第2の後側圧力室18Bに供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の後側圧力室18A及び2の後側圧力室18Bを基端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、第1,第2のスライダユニット20A,20Bに設けられた第1,第2のブレーキ30A,30Bは配管100の内壁に摺接されているため、配管100内における第1,第2のスライダユニット20A,20Bの位置は不変のまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B、第1,第2の可撓チューブ11A,11B、及び、第1,第2のメッシュチューブ12A,12Bが一体的に配管100内を前進する。そして、これら移動に牽引されて、ガイドチューブ5は、配管100内を前進する。
【0136】
これらステップS201~ステップS210の手順により、屈曲管路部101に対し、第2のスライダユニット20B等を的確に通過させることができる。つまり、配管の屈曲管路部101を第1のスライダユニット20Aが通過後、第2のスライダユニット20Bを通過させる場合、基端側の補助ブレーキユニット3を動作させ、配管を把持した状態で第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、第1のメッシュチューブ12Aを基端側に後退させて弛ませるとともに、第2のスライダユニット20Bを先端側に移動させることで配管屈曲部の内周面での抵抗を少なくすることで通過しやすくする。これに加え、上述したような第2の前側先導機構71Bの作用により、屈曲管路部101に対する第2のスライダユニット20Bの通過をより的確なものとすることが可能となる。
【0137】
なお、上述のステップS201~ステップS210の手順は、予め設定した回数繰り返し行うことも可能である。或いは、屈曲管路部101を通過したか否かを判定するための圧電素子等を第2のスライダユニット20Bに設け、圧電素子等によって検出される圧力等が設定閾値以下となり第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101を通過したと判断されるまでの間、上述のステップS201~ステップS210の手順を繰り返すことも可能である
【0138】
このような実施形態によれば、流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形可能な第1,第2の弾性チューブ10A,10Bと、第1,第2の弾性チューブ10A,10Bの断面形状の変化に応じて当該第1,第2の弾性チューブ10A,10Bの長手方向に進退移動可能な第1,第2のスライダユニット20A,20Bと、長手方向に沿って外径が変化する摺動面73aを有し、第1,第2のスライダユニット20A,20Bの端部に連設された先導部材73と、先導部材73を第1,第2のスライダユニット20A,20Bに対して変位可能に接続するコイルスプリングからなる接続部材74と、を有することにより、上述したように、挟空間内に屈曲管路部101等が存在する場合にも、屈曲管路部101等に対して第1,第2のスライダユニット20A,20Bを的確に通過させることができる。
【0139】
この場合において、各先導部材73の摺動面73a(外周面)を、第1.第2のスライダユニット20A,20B側よりも当該第1,第2のスライダユニット20A,20Bから離間する側の外径が小さくなるように設定されたテーパ状とすることにより、先導部材73を段差102等に対して容易に変位させることができる。
【0140】
ここで、例えば、
図19に示すように、先導部材73の最大外径D1を、第1の前側スライダ21A(及び、第1の後側スライダ22A)の最大外径dよりも大きく設定することも可能である。
【0141】
このように構成すれば、先導部材73が段差等によって変位した場合にも、第1の前側スライダ21A(及び、第1の後側スライダ22A)の端部を、先導部材73の投影面内に位置させることができ、第1のスライダユニット20Aを段差102等に対してより的確に通過させることができる。
【0142】
さらに、先導部材73の最大外径部よりも第1のスライダユニット20A側に、端部の外径D2が第1の前側スライダ21A(及び、第1の後側スライダ22A)の外径d以下となる逆テーパ部73cを設けることも可能である。
【0143】
このように構成すれば、先導部材73の最大外径部を支点として当該先導部材73を容易に傾動させることができる。
【0144】
また、例えば、
図20に示すように、第1のスライダユニット20Aの端部に、テーパ状コイルからなる先導部材75を設けることも可能である。
【0145】
この先導部材75では、テーパ状コイルの外周面を摺動面75aとして機能させるとともに、当該先導部材75自身を接続部材として機能させることにより、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0146】
また、例えば、
図21に示すように、第1のスライダユニット20Aの端部に、球体77とコイル78と、を備えた先導部材76を配置し、この先導部材76の球体77を、第1のスライダユニット20Aに対し、テーパ状コイルからなる接続部材79を介して変位可能となるように接続することも可能である。このような構成では、先端のコイル78がエルボの段差に突き当たったときに変形して段差を乗り越え、その後球体77が段差に接触する。そして、球体77は、接続部材79を弾性変形させながら段差を乗り越える。
【0147】
このように構成すれば、球体77の表面である球面を摺動面77aとして機能させることにより、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0148】
また、例えば、
図22に示すように、第1のスライダユニット20Aに対し、テーパ状をなす先導部材73を、コイルスプリング81とベローズ82とが一体的に連設してなる接続部材80を介して接続することも可能である。この構造は、ベローズ82の内側にコイルスプリング81が嵌合した形状になっており、先導部材73を回転させて、噛み合う量を調整することができる。先導部材73とスライダユニット20Aとの距離を変えることでエルボの段差形状を乗り越えやすい位置に調整することが可能である。すなわち、この構成により、接続部材80は、第1のスライダユニット20Aに対する先導部材73の長手方向の位置関係を調整する調整機構としての機能についても実現することが可能になる。
【0149】
このように構成すれば、上述の実施形態と同様の効果に加え、ベローズ82によって長手軸方向への変位をも容易に実現することができる。
【0150】
また、例えば、
図23に示すように、第1のスライダユニット20Aに対し、テーパ状をなす先導部材73を、ゴム等の弾性部材からなる筒状部材86と硬質なリング部材87とが一体的に連設してなる接続部材85を介して変位可能となるように接続することも可能である。
【0151】
この場合、例えば、
図24に示すように、リング部材87に溝部87aを周設し、この溝部87aに対し、先導部材73に設けた突条部73dを嵌合させることにより、第1のスライダユニット20Aに対して先導部材73を回動自在とすることが可能である。このように先導部材73を回動自在な構成とすることにより、先導部材73は、エルボの段差に先端が突き当たったとき、押し込まれながら回転するような方向に移動することで段差を容易に乗り越えることができる。
【0152】
また、例えば、
図25に示すように、先導部材73の内周面に螺旋溝73eを設けることも可能である。
【0153】
このように構成すれば、上述の実施形態と同様の効果に加え、第1の弾性チューブ10A(第1のメッシュチューブ12A)に対して先導部材73を進退移動させる際に、当該先導部材73に回転方向の力を付与することができるという効果を奏する。これにより、エルボの段差でスライダが突き当たったとき、スライダを前後移動させることで先導部材73が回転運動を行い、段差を容易に乗り越えることができる。
【0154】
或いは、例えば、
図26に示すように、先導部材73の内周部に、当該先導部材73の長手軸に対して傾斜した回動軸を有する複数のローラー88を配置することも可能である。このような構成においてもスライダを移動させた際に傾斜させたローラーの作用により、回転させながらスライダを移動させることが可能になる。従って、エルボの段差に先導部材が付き当たったとき、先導部材は回転しながら押し込まれるので、段差を容易に乗り越えることができる。
【0155】
このように構成すれば、上述の実施形態と同様の効果に加え、第1の弾性チューブ10A(第1のメッシュチューブ12A)に対して先導部材73を進退移動させる際に、当該先導部材73に回転方向の力を付与することができるという効果を奏する。
【0156】
また、例えば、
図27に示すように、先導部材90を、外周面にテーパ面からなる第1の摺動面91aが形成された第1の筒状部材91と、外周面にテーパ面からなる第2の摺動面92aが形成された第2の筒状部材92と、これら第1,第2の筒状部材91a,92aを回動可能に連結するベアリング93と、を備えて構成し、この先導部材90をベローズからなる接続部材94を介して、第1のスライダユニット20Aに接続することも可能である。この構造は、先導部材90の先端側がエルボに当たったときに回転しやすい構造にすることで、容易に先導部材90を配管形状に合わせて動きやすくするものである。
【0157】
このように構成すれば、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0158】
また、例えば、
図28に示すように、先導部材73の摺動面73aにボール保持溝73fを設け、このボール保持溝73fに複数のボール73gを保持させることも可能である。ボール73gは保持溝73fの中で自由に回転することができる構造であり、エルボの段差等に先導部材73が当たったときにガイドチューブの挿入方向や、円周方向に回動可能である。従って、スライダがエルボ内を通過する際に、先導部材は、各ボールを任意の方向に回連させながら進むことが可能であり、段差を容易に乗り越えることができる。
【0159】
このように構成すれば、上述の実施形態と同様の効果に加え、段差102等に対する先導部材73の変位をより滑らかに実現できるという効果を奏する。
【0160】
また、例えば、
図29に示すように、長手軸が予め変位した状態にて、第1のスライダユニット20Aに対し、先導部材73を、ベローズからなる接続部材94を介して接続することも可能である。第1の前側スライダ21Aに接続される先導部材73の先端の穴位置と第2の後側スライダ21Bに接続される先導部材73の基端の穴位置を円周方向に同じような位置にずらすことでガイドチューブ5を曲がった状態にすることができる。
【0161】
スライダユニットが移動可能であり、スライダユニットの前後でガイドチューブが曲がった形状になることで、エルボのような曲がった形状のところを通過しやすくする効果がある。
【0162】
このような構成によれば、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0163】
また、例えば、
図30に示すように、前側揺動体32と後側揺動体33とを周方向に交互に配置して弾性体を固定する構造である。これは上記した構造の前側揺動体32と後側揺動体33とその間の連結部材38からなるものに対して、前側揺動体32(または後側揺動体33)と連結部材38の構造にした構造で、第1のスライダユニット20Aを構成することも可能である。
【0164】
このように構成すれば、第1のスライダユニット20Aの全長を短縮することができ、上述の実施形態の効果をより効果的に奏することができる。
【0165】
また、例えば、第1のスライダユニット20Aに設けられた複数のローラー26を、
図31に示す板バネリング95に変更することも可能である。この構造は、断面が平板形状の弾性板をラセン形状にしたものを図のようにリング状に接続して、連結部を固定した構造である。そして、この板バネリング95を、複数のローラー26が設けられる空間に溝を設け、これらのローラー26に代えて嵌め込むことにより、第1のスライダユニット20Aの構造を簡素化することができる。
【0166】
また、断面を平板形状に加え、内接する面に局面をつけて形状の断面の板材でラセン形状を作り、図のようにリング状にしてガイドチューブ5のメッシュチューブ12Bの外径形状に合わせた形状としてもよい。
【0167】
なお、上述の実施形態及び各変形例においては、先導部材の形状は主に断面が円である円錐形状になっているが、断面が楕円形状でも良い。また、断面が3角形、4角形、5角形・・・である三角錐、四角錐、五角錐・・・等の多角錐でも良い。
【0168】
さらに、先導部材の形状は、斜面部分の側面視形状が直線状をなす錐形状に限定されるものではなく、例えば、斜面部分の側面視形状が内側に凹んだ曲線状をなす鼓形状とすることも可能である。このように形成すれば、エルボの段差に当たるときに負荷を少なくすることが可能となる。
【0169】
ところで、上述の実施形態等において、スライダユニットを前後に動作させるとき、前側圧力室または後側圧力室の何れかに空気を供給して、スライダユニットを動作させるが、一方から加圧しすぎてスライダユニットが端部まで移動して位置してしまうと、前側圧力室または後側圧力室に空気を供給しても膨張しにくくなり、スライダユニットが移動しにくい現象が起こり得る。このような現象を防止するため、上述の実施形態においてはストッパリング40が設けられており、このストッパリングによってスライダユニットが端部まで行き過ぎることを防止することにより、何れの圧力室においても常に所定の容積を確保することができ、空気の供給によって圧力室を的確に膨張させることができる。
【0170】
また、先導部材73を設けることで、さらにストッパリングからスライダユニットのローラーまでの距離を保てることから、より好適な空気の導入が可能となる。さらに先導部材73を設けた場合、ストッパリングを設けない構造であってもよい。先導部材73の端部が突き当たることでスライダユニットの位置がチューブの端部まで行かないので、ストッパの役割も果たすことで、チューブの表面のサイズを均一にすることができ、全長で同じ形状で硬さも同じようになり、表面に段差が無いことでエルボの段差等での抵抗になることが少なくなる効果もある。
【0171】
ここで、上述の
図19乃至
図31によって示した各変形例は、第1のスライダユニット20Aのみならず、第2のスライダユニット20Bについても適用が可能であることは勿論である。
【0172】
なお、本発明は、以上説明した実施形態及び各変形例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。上述の実施形態及び各変形例の構成を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
【0173】
また、先導機構(第1の前側先導機構71A、第2の前側先導機構71B、第1の後側先導機構72A、或いは、第2の後側先導機構72B)については、第1の駆動ユニット2Aまたは第2の駆動ユニット2Bの先端部或いは基端部のうちの少なくとも何れか1つに設けられていればよい。
【0174】
また、上述の移動装置1は、第2の駆動ユニット2B及び補助ブレーキユニット3の両方を省略した構成、または、第2の駆動ユニット2B或いは補助ブレーキユニット3の何れかを適宜省略した構成であってもよい。
【符号の説明】
【0175】
1 … 移動装置
2A … 第1の駆動ユニット
2B … 第2の駆動ユニット
3 … 補助ブレーキユニット
4 … 流体調整部
5 … ガイドチューブ
5a … チャンネル
7 … 内視鏡
10A … 第1の弾性チューブ
10B … 第2の弾性チューブ
11A … 第1の可撓チューブ
11B … 第2の可撓チューブ
11a … チャンネル
12A … 第1のメッシュチューブ
12B … 第2のメッシュチューブ
13 … 先端側終端部材
13a … テーパ面
14 … 終端部材
15A … 第1の前側流体供給管
15B … 第2の前側流体供給管
16A … 第1の後側流体供給管
16B … 第2の後側流体供給管
17A … 第1の前側圧力室
17B … 第2の前側圧力室
18A … 第1の後側圧力室
18B … 第2の後側圧力室
19 … 基端側終端部材
20A … 第1のスライダユニット
20B … 第2のスライダユニット
21A … 第1の前側スライダ
21B … 第2の前側スライダ
21a … ガイド用突起
21b … ガイド溝
22A … 第1の後側スライダ
22B … 第2の後側スライダ
22a … ガイド用突起
22b … ガイド溝
23A … 第1のコイルスプリング
23B … 第2のコイルスプリング
25 … スライダ本体
26 … ローラー
26a … 転動面
30A … 第1のブレーキ
30B … 第2のブレーキ
31 … ブレーキ部材
32 … 前側揺動体
32a … 爪カバー
33 … 後側揺動体
33a … 爪カバー
34 … 軸部
35 … 軸部
36 … 係止爪部
37 … 係止爪部
38 … 連結部材
40 … ストッパリング
41 … リーク孔
45 … インナチューブ
45a … チャンネル
46 … アウタチューブ
47 … 前側連結用口金
48 … 後側連結用口金
49 … 外装管
50 … スペーサ
51 … 外装管
52 … 継手
53 … 圧力室
55 … 流体供給管
65 … コンプレッサ
66 … レギュレータ
67 … 電空比例弁
68 … 制御用計算機
71A … 第1の前側先導機構
71B … 第2の前側先導機構
72A … 第1の後側先導機構
72B … 第2の後側先導機構
73 … 先導部材
73a … 摺動面
73b … 軸受部
73c … 逆テーパ部
73d … 突条部
73e … 螺旋溝
73f … ボール保持溝
73g … ボール
74 … 接続部材
75 … 先導部材
75a … 摺動面
76 … 先導部材
77 … 球体
77a … 摺動面
78 … コイル
79 … 接続部材
80 … 接続部材
81 … コイルスプリング
82 … ベローズ
85 … 接続部材
86 … 筒状部材
87 … リング部材
87a … 溝部
88 … ローラー
90 … 先導部材
91 … 第1の筒状部材
91a … 第1の摺動面
92 … 第2の筒状部材
92a … 第2の摺動面
93 … ベアリング
94 … 接続部材
95 … 板バネリング
100 … 配管
101 … 屈曲管路部
102 … 段差