(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】存在および不在を判定すること
(51)【国際特許分類】
G01V 8/10 20060101AFI20221006BHJP
G01V 9/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G01V8/10 Z
G01V9/00 A
(21)【出願番号】P 2019536206
(86)(22)【出願日】2018-01-08
(86)【国際出願番号】 GB2018050032
(87)【国際公開番号】W WO2018130814
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519234523
【氏名又は名称】ワークプレイス ファブリック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WORKPLACE FABRIC LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナマーシー、ラージ
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人または複数人の個人の存在および不在を判定するように装置を動作させる方法であって、前記装置は、少なくとも2つのモードを有する処理装置を含み、各前記モードにおいて前記処理装置は、センサからの信号に応答的であり、かつ/またはタイマの満了に応答的であり、前記処理装置は、データを第1の変数および第2の変数に格納するように構成され、前記第1の変数は、前記処理装置がセンサからの信号に、またはタイマの満了に応答したかどうかの表示を格納するように適合され、前記第2の変数は、より早い時期に前記処理装置がセンサからの信号に、またはタイマの満了に応答したかどうかの表示を格納するように適合されており、
前記処理装置がセンサからの信号に応答した場合に第1の組の処理を実行し、前記処理装置がタイマの満了に応答した場合に第2の組の処理を実行するステップを含み、
前記第1の組の処理は、
前記処理装置がタイマの満了に応答したことを前記第2の変数におけるデータが示す場合、検出された存在を示すデータを送信すること、かつ/または格納すること
、
前記第2の変数に、前記第1の変数に格納されているデータを格納すること、
前記第1の変数に、センサからの信号が応答されたことを示すデータを格納すること、
前記処理装置がタイマの満了のみに応答的であるモードに移行すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の変数は、前記処理装置がセンサからの信号またはタイマの満了に最後に応答したかどうかについての表示を格納するように適合され、前記第2の変数は、最後の前の時期に前記処理装置がセンサからの信号またはタイマの満了に応答したかどうかの表示を格納するように適合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理装置がタイマの満了に応答し、
前記第1の変数に格納されたデータが、前記処理装置が最後にタイマの満了に応答したことを示す場合、
前記処理装置に検出された不在を示すデータを送信させる、かつ/または格納させることをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の組の処理は、
前記第1の変数におけるデータが、センサからの信号が応答されたことを示している場合、
前記第2の変数に、前記第1の変数に格納されているデータを格納すること、
前記第1の変数に、タイマの満了が応答されたことを示すデータを格納すること、
前記処理装置がセンサからの信号に応答的であり、かつタイマの満了に応答的であるモードに移行すること、
前記第1の変数におけるデータが、タイマの満了に応答されたことを示す場合、
前記第2の変数に、前記第1の変数に格納されているデータを格納すること、
前記第1の変数に、タイマの満了が応答されたことを示すデータを格納すること、
不在を示すデータを送信させ、かつ/または記憶させること、
前記処理装置がセンサからの信号に応答的であるモードに移行することを含み得る、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記処理装置がタイマの満了に応答した場合、前記第1の変数に第1のデータを格納し、前記処理装置がセンサからの信号に応答した場合、前記第1の変数に前記第1のデータとは異なる第2のデータを格納するステップを含み、前記第1の変数および前記第2の変数は、前記第1の変数および前記第2の変数がそれぞれ前記第1のデータを含むように初期化される、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
存在を示すデータおよび/または不在を示すデータがリモートサーバに送信される、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された装置。
【請求項8】
占有空間における1人または複数人の個人の存在および不在を判定するための装置であって、装置は、少なくとも2つのモードを有する処理装置を含み、各前記モードにおいて、前記処理装置は、センサからの信号に応答的であり、かつ/またはタイマの満了に応答的であり、前記処理装置は、前記処理装置がセンサからの信号またはタイマの満了に応答したかどうかを示すようにデータを第1の変数に格納し、前記処理装置が、より早い時期に、センサからの信号にまたはタイマの満了に応答したかどうかを示すデータを第2の変数に格納するように構成され、
前記処理装置は、前記処理装置がセンサからの信号に応答する場合、第1の組の処理を実行し、前記処理装置がタイマの満了に応答する場合、第2の組の処理を実行するように構成され、
前記第1の組の処理は、
前記第2の変数におけるデータがタイマの満了が応答されたことを示す場合、検出された存在を示すデータを送信すること、
前記第2の変数に、前記第1の変数に格納されているデータを格納すること、
前記第1の変数に、センサからの信号が応答されたことを示すデータを格納すること、
前記処理装置がタイマの満了のみに応答的であるモードに移行すること、
を含む、装置。
【請求項9】
検出された存在または検出された不在を示すデータをリモートサーバに送信するように構成された通信デバイスをさらに備える、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記処理装置がマイクロプロセッサを含む、請求項
8または
9に記載の装置。
【請求項11】
センサをさらに備える、請求項
8乃至
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記センサが受動赤外線検出器である、請求項
11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、占有空間における1人または複数人の個人の存在および不在を判定するための方法および装置に関する。占有空間は、オフィス等の作業環境に位置し得る。
【背景技術】
【0002】
オフィス空間の占有レベルの検出および認識は、不動産資産の全体的な利用率を向上させるための最初のステップである。ロンドンのような都市では不動産価格が上昇しているため、この活動は継続的に関連性があるものとなっている。さらに、現代の通信技術の出現により、知識労働者は、自身の計算ツールおよび通信ツールを使用して任意の場所で働くことができる。労働者が自身が選択した空間に柔軟に位置することができるように、焦点は、職場に適した環境を提供することにシフトしている。大規模不動産の全体に分散した空間では、利用可能な空間の場所をユーザーに示すことは困難である。
【0003】
占有場所にいる人間の存在を感知するための既知の方法は、受動赤外線(PIR)動き検出に基づいている。PIR検出器は、ある場所での存在の開始を判定できるが、存在の終了が生じた時期を正確に確定するのは困難となる可能性がある。これまでに取られてきたアプローチは、存在を定期的に測定することである。すなわち、PIR動きセンサは、存在をチェックするために時々パルスが発振される。存在が一定期間内に検出されると、存在信号が監視サーバに送信される。一定期間内に存在が検出されなかった場合、不在信号が監視サーバに送信される。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、本明細書は、占有空間内の1人または複数人の個人の存在および不在を判定するために装置を動作させる方法を説明する。
装置は、いくつかのモードを有する処理装置を含み得る。各モードにおいて、処理装置は、センサからの信号およびタイマの満了のうちの少なくとも一方に応答的である。一態様では、処理装置は、センサからの信号とタイマの満了との両方に応答的であり得る。別のモードでは、処理装置はタイマの満了のみに応答的であり得る。
【0005】
処理装置は、データを第1および第2の変数に格納するように構成され得、第1の変数は、処理装置がセンサからの信号に、またはタイマの満了に応答したかどうかの表示を格納するように適合され、第2の変数は、より早い時期に処理装置がセンサからの信号に、またはタイマの満了に応答したかどうかの表示を格納する。
【0006】
方法は、処理装置がセンサからの信号に応答する場合、第1の組の処理を実行し、処理装置がタイマの満了に応答する場合、第2の組の処理を実行することを含み得る。
第2の変数におけるデータが処理装置が以前にタイマの満了に応答したことを示している場合、第1の組の処理は、検出された存在を示すデータを送信させ、かつ/または格納させることを含み得る。
【0007】
第1の組の処理は、第2の変数に第1の変数に格納されたデータを格納すること、およびセンサからの信号が応答されたことを示すデータを第1の変数に格納することをさらに含み得る。
【0008】
第1の組の処理は、処理装置がタイマの満了に応答的であるモードに移行することをさらに含み得る。このモードでは、処理装置はセンサからの信号を無視し得る(即ち、応答しなくてもよい)。
【0009】
方法は、
処理装置がタイマの満了に応答し、
第1の変数に格納されたデータが、処理装置が最後にタイマの満了に応答したことを示す場合、
処理装置に検出された不在を示すデータを送信させる、かつ/または格納させることをさらに含み得る。
【0010】
第2の組の処理は、
第1の変数におけるデータが、センサからの信号が応答されたことを示している場合、
第2の変数に、第1の変数に格納されているデータを格納すること、
第1の変数に、タイマの満了が応答されたことを示すデータを格納すること、
処理装置がセンサからの信号に応答的であり、かつタイマの満了に応答的であるモードに移行することを含み得る。
【0011】
第2の組の処理は
第1の変数におけるデータが、タイマの満了に応答されたことを示す場合、
第2の変数に、第1の変数に格納されているデータを格納すること、
第1の変数に、タイマの満了が応答されたことを示すデータを格納すること、
不在を示すデータを送信させ、かつ/または記憶させること、
処理装置がセンサからの信号に応答的であるモードに移行することをさらに含み得る。このモードでは、処理装置がタイマの満了にも応答的であり得るが、このタイマの持続時間は、現在の処理期間の終了までに満了にならないように設定され得る。
【0012】
本方法は、処理装置がタイマの満了に応答した場合、第1の変数に第1のデータを格納し、処理装置がタイマからの信号に応答した場合、第1の変数に第1のデータとは異なる第2のデータを格納するステップをさらに含み得る。第1の変数および第2の変数は、第1の変数および第2の変数がそれぞれ第1のデータを含むように初期化される。
【0013】
存在を示すデータおよび/または不在を示すデータは、リモートサーバに送信され得る。
第2の態様では、本明細書は、第1の態様を参照して上述した方法を実行するように構成された装置を記載している。
【0014】
第3の態様では、本明細書は、占有空間における1人または複数人の個人の存在および不在を判定するための装置を記載しており、装置は、いくつかのモードを有する処理装置を備える。各モードにおいて、処理装置は、センサからの信号およびタイマの満了のうちの少なくとも1つに応答的である。処理装置は、処理装置がセンサからの信号またはセンサの満了に応答したかどうかを示すデータを第1の変数に格納し、処理装置が、より早い時期にセンサからの信号に、またはタイマの満了に応答したかどうかを示すデータを第2の変数に格納するように構成される。
【0015】
処理装置は、処理装置がセンサからの信号に応答した場合、第1の組の処理を実行し、処理装置がタイマの満了に応答した場合、第2の組の処理を実行するように構成され得る。第1の組の処理は、第2の変数におけるデータがタイマの満了が応答されたことを示す場合、検出された存在を示すデータを送信させることを含み得る。
【0016】
装置は、第1および第2の変数におけるデータが格納されるメモリを含み得る。処理装置は、メモリに接続されてもよく、かつメモリにデータを読み出し/書き込みするように動作可能であり得る。
【0017】
装置は、検出された存在または検出された不在を示すデータをリモートサーバに送信するように構成された通信デバイスを含み得る。
処理装置はマイクロプロセッサを含み得る。
【0018】
装置はセンサを含み得る。センサは受動赤外線検出器を含み得る。
第4の態様では、本明細書は、占有空間における1人または複数人の個人の存在および不在を判定するように処理装置を動作させる方法を記載しており、処理装置は、いくつかのモードを有し、かつ第1および第2の変数にデータを格納するように構成されており、方法は、
処理装置がセンサからの信号に応答したかどうかを判定するステップと、
応答した場合、
第2の変数におけるデータがタイマの満了が応答されたことを示す場合、検出された存在を示すデータを送信するステップと、
第2の変数に、第1の変数に格納されているデータを格納するステップと、
第1の変数に、センサからの信号が応答されたことを示すデータを格納するステップと、
処理装置がタイマの満了に応答的であるモードに移行するステップと、
処理装置がタイマの満了に応答したかどうかを判定するステップと、
応答した場合、
第1の変数におけるデータが、センサからの信号が応答されたことを示している場合、
第2の変数に、第1の変数に格納されているデータを格納するステップと、
第1の変数に、タイマの満了が応答されたことを示すデータを格納するステップと、
処理装置がセンサからの信号に応答的であり、かつタイマの満了に応答的であるモードに移行するステップと、
第1の変数におけるデータがタイマの満了に応答されたことを示す場合、
第2の変数に、第1の変数に格納されているデータを格納するステップと、
第1の変数に、タイマの満了が応答されたことを示すデータを格納するステップと、
不在を示すデータを送信するステップと、
処理装置がセンサからの信号に応答的であるモードに移行するステップとを含み得る。
【0019】
第5の態様では、本明細書は、第4の態様を参照して上述した方法を実行するように構成された装置を記載している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】存在および不在を判定するための装置100の概略図である。
【
図2】マイクロプロセッサによって実行され得る処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をより完全に理解することができるように、添付の図面を参照しながら、実施形態を単なる事例として説明する。
図1は、一つの例示的な実施形態による装置100の概略図である。図示されるように、装置は、マイクロプロセッサ110の形態の処理装置、メモリ120、通信モジュール130、センサ140、およびタイマ150を備える。センサ140は、例えば、PIR検出器等の動きセンサ、または温度センサ等の他の種類のセンサであり得る。図示されるように、通信モジュール130は、リモートサーバ160と通信し、特にリモートサーバ160に格納されているデータベースにデータを格納するように構成されている。
【0022】
マイクロプロセッサ110は、いくつかのディープスリープ構成を有する。
第1のディープスリープ構成では、マイクロプロセッサ110は、センサからの信号によって、またはタイマの満了時に、どちらかが先に生じると、ディープスリープから起動状態となる。第1のディープスリープ構成では、タイマは、本明細書で「感知時間」として参照され得る所定の期間に最初に設定され得る。
【0023】
第1のディープスリープ構成は、1)マイクロプロセッサがセンサまたはタイマに応答的であるモードにマイクロプロセッサを設定すること、2)タイマを「感知時間」に設定すること、および3)マイクロプロセッサをスリープさせることによって移行される。
【0024】
第2のディープスリープ構成では、マイクロプロセッサ110はセンサからの信号またはタイマの満了のいずれかによって再び起動されるが、タイマの持続時間は、現在の処理期間の終了までに満了にならないように設定されている。本明細書で説明されているすべての処理は、現在の処理期間内に行われ、現在の処理期間は数時間またはそれ以上の長さであり得る。他のタイマ(即ち、本明細書で説明する「感知時間」および「スリーピング時間」タイマ)の持続時間は、現在の処理期間よりもはるかに短い。従って、第2のディープスリープ構成では、マイクロプロセッサ110は、センサからの信号を受信した場合にのみ、実際には(即ち、処理期間内に)起動する。
【0025】
第2のディープスリープ構成は、1)マイクロプロセッサがセンサまたはタイマに応答的であるモードにマイクロプロセッサを設定すること、2)現在の処理期間の終了時に満了となるようにタイマを設定すること、および3)マイクロプロセッサをスリープさせることによって移行される。
【0026】
第3のディープスリープ構成では、マイクロプロセッサ110はセンサからの信号によって起動されず、代わりに、タイマの満了時にのみ起動されることとなる。このタイマの持続時間は「スリーピング時間」として参照され得る。第3のディープスリープ構成は、1)マイクロプロセッサがタイマのみに応答的であるモードにマイクロプロセッサを設定すること、2)タイマを「スリーピング時間」に設定すること、および3)マイクロプロセッサをスリープさせることによって移行される。
【0027】
マイクロプロセッサ110はさらに、マイクロプロセッサ110がセンサからの信号またはタイマの満了のいずれに最後に応答したかを示すデータと、マイクロプロセッサ110が最後の前の時期にセンサからの信号またはタイマの満了のいずれに最後に応答したかを示すデータとをメモリ120に格納するように構成されている。いくつかの事例では、これは、「-1状態」および「-2状態」として参照され得る2つの変数を使用して達成される。これらの変数は、マイクロプロセッサ110が起動される毎に更新される。メモリは、ディープスリープ構成のいずれの間も状態情報を「-1状態」および「-2状態」に保持することができる。
【0028】
ラベル「-1状態」および「-2状態」は、それぞれ最後の2つの「検出状態」を参照する。特に、変数「-1状態」はマイクロプロセッサ110が最後に応答した内容を記録し、変数「-2状態」はマイクロプロセッサ110が最後の前の時期に応答した内容を記録する。マイクロプロセッサ110がタイマの満了によって起動されると、「-1状態」は0に設定される。マイクロプロセッサ110がセンサからのトリガ信号によって起動されると、「-1状態」は1に設定される。同様に、マイクロプロセッサ110が最後の前の時期にタイマの満了によって起動された場合、「-2状態」はゼロに設定され、マイクロプロセッサ110が最後の前の時期にセンサからの信号によって起動された場合、「-2状態」は1に設定される。
【0029】
マイクロプロセッサ110によって実行される様々な処理は、
図2に示されるフロー図においてより詳細に示される。
図示されるように、ブロック202において、処理が開始される。ブロック210において、変数「-1状態」および「-2状態」がゼロに初期化される。ブロック215において、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサがセンサからの信号、またはタイマの満了に応答的であるモードに設定される。ブロック220において、マイクロプロセッサ110は、タイマを「感知時間」に設定してディープスリープに入る。従って、マイクロプロセッサは、上記した第1のディープスリープ構成に移行する。
【0030】
ブロック230において、マイクロプロセッサ110が起動されるまで処理が一時停止される。マイクロプロセッサ110が起動されると、マイクロプロセッサ110がタイマの満了により起動したかどうかが判定される(ブロック240)。そうでなければ、マイクロプロセッサ110が「トリガ」によって(即ち、センサからの信号で)起動したかどうかが判定される(ブロック250)。
【0031】
マイクロプロセッサ110が起動したが、タイマの満了またはトリガによるものではない場合、これはエラー状態であり、マイクロプロセッサ110はリセットして再スタートする(ブロック260)。
【0032】
マイクロプロセッサ110がトリガにより起動したと判定された場合、「-2状態」が値0を有するかどうかがチェックされる(ブロック270)。そうであれば、マイクロプロセッサ110は、通信デバイスに確認された存在の表示をサーバに送信させる(ブロック280)。
【0033】
図示されるように、ブロック280における確認された存在の送信に続いて、またはブロック270において「-2状態」が1である場合、ブロック290に達する。ブロック290において、「-2状態」が更新されて、「-1状態」の現在値が付与される。「-1状態」に値1が付与される。次に、ブロック295において、マイクロプロセッサはマイクロプロセッサがタイマのみに応答的であるモードに設定される(即ち、マイクロプロセッサはマイクロプロセッサがセンサからの信号に応答的でないモードに設定される)。次に、ブロック300で、マイクロプロセッサは、タイマを「スリーピング時間」に設定してディープスリープに入る。従って、マイクロプロセッサ110は上記した第3のディープスリープ構成に移行する。手順は次にブロック230に戻り、マイクロプロセッサ110が再び起動するまで処理は一時停止される。
【0034】
ブロック240において、マイクロプロセッサ110がタイマの満了により起動したと判定された場合、「-1状態」が値0を有するかどうかが判定される(ブロック320)。そうでなければ、「-2状態」が更新されて、「-1状態」の現在値が付与される(ブロック330)。「-1状態」に値0が付与される。手順は次にブロック215を介してブロック220に戻り、それにより第1のディープスリープ構成に移行する。
【0035】
ブロック320において、「-1状態」が値0を有すると判定された場合、ブロック335の処理が実行される。ブロック335において、「-2状態」が更新されて、「-1状態」の現在値が付与されて、次いで「-1状態」に値0が付与される。次に、マイクロプロセッサ110は、通信デバイスに確認された不在をサーバに送信させる(ブロック340)。次に、ブロック345において、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサがセンサからの信号に応答的であるか、またはタイマの満了に応答的であるモードに設定される。次に、ブロック350において、マイクロプロセッサ110は、現在の処理期間の終了にタイマを設定してディープスリープに入る。従って、マイクロプロセッサ110は上記した第2のディープスリープ構成に移行する。現在の処理期間は比較的長いので、マイクロプロセッサはこの期間内にセンサから信号を受信した場合にのみ起動する。手順は次にブロック230に戻り、マイクロプロセッサ110が起動されるまで処理は一時停止される。
【0036】
例えば、センサがPIR検出器であり、PIR検出器が1人または複数人の個人の存在を感知する例を考える。処理が開始され、誰も存在しないためにセンサが作動しない状況を考える。この場合、マイクロプロセッサ110は「-1状態」および「-2状態」をゼロに初期化し(ブロック210)、第1のディープスリープ構成に移行する(215、220)。従って、マイクロプロセッサは、センサからの信号またはタイマの満了のいずれかに応答して起動する。マイクロプロセッサ110が起動されるまで、ブロック230において処理が一時停止される。誰も存在していないので、マイクロプロセッサ110は、タイマ(の持続時間=「感知時間」)が満了となるまで起動しない。手順は次にブロック320に達する。「-1状態」はゼロであるので、ブロック335の処理が実行される。「-2状態」および「-1状態」はこれらの処理によって変更されないため、どちらも値0を維持している。次に、確認された不在がサーバに送信される(ブロック340)。マイクロプロセッサ110は、第2のディープスリープ構成(345、350)に移行し、マイクロプロセッサ110は、現在の処理期間内にセンサから信号を受信した場合にのみ起動する。その後、センサから信号が受信されるまで、ブロック230において処理が一時停止される。従って、不必要な「不在」信号がリモートサーバ160に送信されることはなく、それによって信号トラフィックおよび電力要件が低減される。マイクロプロセッサ110は、センサからの信号に反応するように「準備」されている状態にある。
【0037】
今、個人が占有空間に入り、PIR検出器によって検出されると仮定する。マイクロプロセッサ110は、PIR検出器からの信号の受信に応答して起動される。従って、手順はブロック240および250を介してブロック270に進行する。「-2状態」は0であるので、確認された存在がサーバに送信される(ブロック280)。ブロック290において、「-2状態」は変更されず、「-1状態」は1に更新される。従って、表記をベクトル(「-1状態」、「-2状態」)で容易に表すことができる合成状態情報は、(1,0)である。
【0038】
その後、手順はブロック295を介してブロック300に進行し、マイクロプロセッサ110は第3のディープスリープ構成に移行する。上述のように、このモードでは、マイクロプロセッサ110はセンサからの信号によって起動されることはなく、代わりに、タイマの満了時にのみ起動されることとなる。次に手順はブロック230に戻り、マイクロプロセッサ110はタイマの満了時に起動するまで処理が一時停止される。タイマの満了時にマイクロプロセッサ110が起動したとき、手順はブロック240を介してブロック320に進行する。次に、「-1状態」が1であるので、手順はブロック330に進行し、ブロック330で「-2状態」に値1が付与され(1が「-1状態」の値であるため)、「-1状態」はゼロに設定される。従って、ブロック330の後、合成状態情報は(0,1)である。
【0039】
その後、処理はブロック220に進み、マイクロプロセッサ110は第1のディープスリープ構成に移行する。個人が依然として存在している場合、マイクロプロセッサ110はセンサからの信号によって起動され、手順はブロック230、240および250を介してブロック270へと進行する。「-2状態」は1であるので、手順はブロック290に直接進行し、すなわち存在の第2の確認は送信されない。
【0040】
ブロック290では、「-2状態」に値0が付与され(0は「-1状態」の値であるため)、「-1状態」は1に等しく設定される。よって、合成状態情報は再び(1,0)となる。次に手順はブロック300に戻り、マイクロプロセッサ110は再び第3のディープスリープ構成に移行する。個人が依然として存在している場合には、上記した処理が繰り返される。
【0041】
従って、個人が存在する間、合成状態情報が(0,1)と(1,0)との間で「フリップフロップ」し、追加の「存在」信号はリモートサーバ160に送信されず、それによって信号トラフィックおよび電力要件が低減される。
【0042】
今、個人が立ち去るときに起きることについて考える。その後、マイクロプロセッサ110はセンサからの信号によって起動されないので、「感知時間」タイマが満了となるまで処理はブロック230において一時停止される。その後、処理はブロック240を介してブロック320に進行する。この時点での合成状態情報は、(0、1)または(1、0)のいずれかであり得るが、どちらの場合も、これから説明されるように、確認された不在が送信される。
【0043】
ブロック320で状態が(0,1)であれば、ブロック335で状態は(0,0)に更新され、確認された不在が直ちに送信される(ブロック340)。
一方、ブロック320における状態が(1,0)であれば、ブロック330において状態は(0,1)に更新され、手順はブロック220を介してブロック230に進行する。タイマが満了となる前に個人が戻らないと仮定すると、手順はブロック240を介してブロック320に進行する。状態は(0,1)であるため、ブロック335で状態は(0,0)に更新され、確認された不在が送信される(ブロック340)。
【0044】
次いでブロック340から、手順はブロック345および350に進行し、ブロック350でマイクロプロセッサ110は第2のディープスリープ構成(タイマが現在の処理期間の終了時に満了となるように設定される)に移行する。手順はブロック230に進行し、ブロック230でマイクロプロセッサ110がPIRからの信号に応答して起動されるまで一時停止される。
【0045】
従って、マイクロプロセッサ110は、ここでもまた、個人の存在を検出するために「準備」されている状態にある。有利には、確認された不在信号が1つのみ送信され、それによって信号トラフィックおよび電力要件が低減される。
【0046】
上記から理解されるように、様々な実施形態において、本明細書に記載される方法および装置は、存在の終了を検出するためにセンサから出力される信号を定期的に監視する必要性を不要なものにする。存在/不在が判定される毎に存在/不在信号を繰り返し送信する代わりに、存在を確認するために単一の信号が送信され、不在を確認するために単一の信号が送信される。
【0047】
より具体的には、マイクロプロセッサ110がセンサからの信号によって起動された後に「-2状態」変数が値0を有するときのみ、確認された存在がサーバに送信される。マイクロプロセッサ110がタイマの終了によって起動した後に「-1状態」変数が値0を有するときのみ、確認された不在がサーバに送信される。
【0048】
このアプローチは、存在/不在を判定するために空間を「連続的にパルス発振」する必要性を排除し、従ってサーバに送信される信号の数を著しく減少させ、それにより、信号トラフィックおよび電力要件が低減される。
【0049】
本明細書に記載の処理装置110は、任意の適切な構成のものとすることができ、任意の適切な種類または適切な種類の組み合わせの1つまたは複数のプロセッサを含み得る。例えば、処理装置110は、コンピュータプログラム命令を解釈しデータを処理するプログラム可能なプロセッサであり得る。処理装置110は、複数の書き込み可能なプロセッサを含み得る。あるいは、処理装置は、例えば、組み込みファームウェアを有する書き込み可能ハードウェアであり得る。処理装置110は、代替的に又は追加的に、フィールドプログラマブルゲートアレイFPGA、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、信号処理装置等の1つまたは複数の特殊な回路を含み得る。
【0050】
処理装置110は、メモリ120に接続されており、メモリ120にデータを読み出し/書き込みするように動作可能である。メモリ120は、コンピュータ可読命令(またはコード)が格納される単一のメモリユニットまたは複数のメモリユニットを含み得る。例えば、メモリ120は、揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含み得る。そのような事例では、コンピュータ可読命令/プログラムコードは、不揮発性メモリに格納され得、かつデータまたはデータおよび命令を一時的に格納するための揮発性メモリを使用して処理装置110によって実行することができる。揮発性メモリの例には、RAM、DRAM、およびSDRAMなどが含まれる。不揮発性メモリの例には、ROM、PROM、EEPROM、フラッシュメモリ、光学式ストレージ、磁気ストレージなどが含まれる。
【0051】
本明細書に記載されている実施形態の多くの修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることは、当業者には明らかであろう。