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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】多機能性樹脂およびその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/32 20060101AFI20221006BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20221006BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20221006BHJP
   C08F 12/32 20060101ALI20221006BHJP
   C08F 20/32 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C08F8/32
A01N33/12
C02F1/50 532E
C08F12/32
C08F20/32
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021508037
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2018111597
(87)【国際公開番号】W WO2019205531
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】201810392644.8
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】520420492
【氏名又は名称】南京大学塩城環保技術与工程研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】施 鵬
(72)【発明者】
【氏名】張 懐成
(72)【発明者】
【氏名】李 愛民
(72)【発明者】
【氏名】常 芳瑜
(72)【発明者】
【氏名】周 慶
(72)【発明者】
【氏名】双 陳冬
(72)【発明者】
【氏名】李 啓蒙
(72)【発明者】
【氏名】潘 暘
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-075430(JP,A)
【文献】特開2013-203697(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103044612(CN,A)
【文献】特開平04-198351(JP,A)
【文献】特開2011-154364(JP,A)
【文献】国際公開第2018/145152(WO,A1)
【文献】特開平11-226303(JP,A)
【文献】特開2001-233708(JP,A)
【文献】“メタクリル酸グリシジル-1,4-ジビニルベンゼン共重合体球状樹脂からの第四級アンモニウム基を有する樹脂の製造とその抗菌能”,日本化学会誌,1994年,Vol.12,p.1097-1106
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
A01N 1/00- 65/48
C02F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の樹脂、第1のアミン塩および溶剤Cを加えて撹拌し、第1の四級化反応を行い、第1四級化樹脂を得るステップ(1)と、
ステップ(1)における前記第1四級化樹脂、第2のアミン塩および溶剤Dを加えて撹拌し、第2の四級化反応を行い、多機能性樹脂を得るステップ(2)と、
(前記第1のアミン塩は、式(209)及び式(210)の一種または二種の組み合わせであり、前記第1のアミン塩の主鎖炭素原子数が6~40の範囲であること、
【化1】
前記第2のアミン塩が式(209)であり、前記第2のアミン塩の主鎖炭素原子数が<3の範囲であること、
【化2】

ただし、Xは、Cl、Br、I、I 、I 、I 、OH、SO 2-、HCO 、CO 2-のうちのいずれか1種であり、
また、前記第1のアミン塩、前記第2のアミン塩の組み合わせは、
前記第1のアミン塩が式(205)であり、前記第2のアミン塩が式(201)であり、
【化3】

または、前記第1のアミン塩が式(208)であり、前記第2のアミン塩が式(202)であり、
【化4】

または、前記第1のアミン塩が式(206)であり、前記第2のアミン塩が式(202)であり、
【化5】

または、前記第1のアミン塩が式(204)であり、前記第2のアミン塩がトリエチルアミン塩酸塩、
【化6】

ただし、Xは、Cl、Br、I、I 、I 、I 、OH、SO 2-、HCO 、CO 2-のうちのいずれか1種であり、R14、R15、R16およびR17は、それぞれHまたは炭化水素基のうちの1種であり、
且つ、前記第1の樹脂は、式(301)、式(302)、式(303)および式(304)のうちの1種または複数種の組合せであり、
【化7】
ただし、前記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、HまたはC1-30炭化水素基のうちのいずれか1種であり、
前記m、n、kおよびpは、繰り返し単位の数であり、その数値範囲はいずれも500~3000であり、
tおよびqの炭素原子数は1~30の範囲である。)
を含む、多機能性樹脂の製造方法。
【請求項2】
ステップ(1)における前記第1の樹脂と前記第1のアミン塩との重量比は1:(0.5~10)であることを特徴とする請求項1に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)における反応条件は、反応時間が12~72時間であり、撹拌速度が200~800rpmであり、反応温度が50~150℃であることを特徴とする請求項2に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項4】
ステップ(2)における前記第1四級化樹脂と前記第2のアミン塩との重量比は1:(0.5~10)であることを特徴とする請求項1に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項5】
ステップ(2)における反応条件は、反応時間が12~72時間であり、撹拌速度が200~800rpmであり、反応温度が50~150℃であることを特徴とする請求項4に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記溶剤Cは、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、石油エーテル、ヘキサン、エチルエーテルおよび四塩化炭素のうちの1種または複数種の組合せであり、前記溶剤Dは、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、石油エーテル、ヘキサン、エチルエーテルおよび四塩化炭素のうちの1種または複数種の組合せであることを特徴とする請求項1に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)の前に、
ナトリウム塩を含有する水溶液および分散剤を加えて撹拌し、分散剤の重量割合が0.1~2.0%である水相を得る水相調製ステップ(a)と、
第1の単量体と架橋剤からなる反応物、開始剤、およびポロゲンを加えて混合し、油相を得る油相調製ステップ(b)と、
ステップ(b)における前記油相を、ステップ(a)における前記水相に加え、撹拌して加熱し、温度を50~120℃に制御し、2~10時間反応させ、続いて温度を80~150℃に制御し、2~12時間反応させ、室温まで冷却し、抽出して洗浄し、第1の樹脂を得る第1樹脂製造ステップ(c)と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項8】
ステップ(a)における前記分散剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、活性化リン酸カルシウム、グアガム、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびリグニンスルホン酸ナトリウムのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(a)における前記ナトリウム塩は、第三リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよび塩化ナトリウムのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(b)における前記架橋剤は、エチレングリコールジエチルジアリルエステル、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(b)における前記ポロゲンは、シクロヘキサノール、イソプロパノール、n-ブタノール、200#ソルベントナフサ、トルエン、キシレン、酢酸エチル、n-オクタンおよびイソオクタンのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(b)における前記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルおよびベンゾイルパーオキサイドのうちの1種または複数種の組合せであることを特徴とする請求項7に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項9】
ステップ(b)における前記第1の単量体と前記架橋剤とのモル比は1:(0.05~0.3)であり、前記第1の単量体と前記ポロゲンとのモル比は1:(0.1~0.5)であり、前記開始剤の重量は油相の総重量の0.5~1.5%であることを特徴とする請求項7に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記第1の単量体は、式(401)、式(402)、式(403)および式(404)のうちの1種または複数種の組合せであることを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の多機能性樹脂の製造方法。
【化8】
(ただし、前記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、HまたはC1-30炭化水素基のうちのいずれか1種であり、
tおよびqの炭素原子数は1~30の範囲である。)
【請求項11】
機能性樹脂の基本構造が式(I)で表されるものであること、
【化9】
(ただし、前記Aは四級アンモニウム基であり、
Yは、式(101)、式(102)、式(103)および式(104)のうちのいずれか1種または複数種である。)
【化10】
前記多機能性樹脂は、外面と内面に異なる種類の四級アンモニウム基を有し、前記多機能性樹脂の架橋度は1~35%であり、前記多機能性樹脂の粒子径は10~2000μmであり、前記多機能性樹脂の表面における窒素(N)の含有量は前記多機能性樹脂の窒素の総量の0.005~50.0%であること、
(ただし、前記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、HまたはC1-30炭化水素基のうちのいずれか1種であり、前記m、n、kおよびpは、繰り返し単位の数であり、その数値範囲はいずれも500~3000であり、tおよびqの炭素原子数は1~30の範囲である。)
を特徴とする、多機能性樹脂。
【請求項12】
前記多機能性樹脂の架橋度は10~25%であり、前記多機能性樹脂の粒子径は20~600μmであり、前記多機能性樹脂の強アルカリ交換容量は0.3~4.0mmol/gであり、前記多機能性樹脂の表面の電荷密度は1015~1024/gである請求項11に記載の多機能性樹脂。
【請求項13】
前記多機能性樹脂は、請求項11または12の多機能性樹脂、または請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法により製造された多機能性樹脂であることを特徴とする多機能性樹脂の殺菌での応用。
【請求項14】
前記多機能性樹脂は、請求項11または12の多機能性樹脂、または請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法により製造された多機能性樹脂であることを特徴とする多機能性樹脂の水処理での応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の分野に属し、具体的には、多機能性樹脂およびその製造方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
消毒プロセスは、病原性微生物を殺し、飲料水の安全性を確保するための主な方法であり、塩素ガス、クロラミン、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、オゾン、複合消毒などによる化学的方法、および紫外線放射による物理的方法などを主に含む。しかし、化学消毒剤は、消毒の過程において水中の天然有機物、合成有機汚染物質、臭化物、ヨウ化物などと反応してトリハロメタン、ハロ酢酸、ハロアセトニトリルおよびニトロサミンなどのような多種の消毒副生物を生成する。多くの消毒副生物は、遺伝毒性および発癌性を有するので、飲料水の安全性が強く影響される。紫外線による消毒に伴い、細菌は、生存可能であるが培養不可能な状態に入り(S. Zhang et al. UV disinfection induces a VBNC state in Escherichia coli and Pseudomonas aeruginosa. Environ. Sci. Technol., 2015, 49: 1721-1728)、また、後続のパイプライン輸送過程に復活する可能性がある。なお、飲料水には、多種の塩素および緑膿菌、枯草菌などのような紫外線耐性病原菌が存在する(T. Chiao et al. Differential resistance of drinking water bacterial populations tomonochloraminedisinfection, EnviRon. Sci. Technol. 2014, 48: 4038-4047; P. Roy et al. Chlorine resistant bacteria isolated from drinking water treatment plants in West Bengal. Desalin. Water Treat., 2017, 79: 103-107)。このような細菌は、通常の消毒方法により不活性化されにくく、健康上のリスクが高い。
【0003】
小分子殺菌剤および可溶性高分子殺菌剤に存在する消毒副生物および残留毒性の問題を解決するために、殺菌剤における単量体化合物を重合させ、または殺菌性官能基を樹脂材料に固定化することにより、水不溶性の固定化殺菌材料を製造する。固定化殺菌材料は、殺菌性基が担体の表面に集中して高濃度の殺菌剤領域を形成する効率的なものであり、また、水域の二次汚染を回避でき、固液分離が容易な材料であり、しかも、水だけでなく、有機溶剤にも溶解しないので、使用過程における毒性、刺激性及び使用上の安全性の低下などの問題を回避し、飲料水の処理に適用することができ、さらに、再生して再利用可能であるとともに、担体の多様性により幅広い範囲に応用できる、などの利点を有する。樹脂材料は、多くの高分子消毒剤における重要な組成である。従来の抗菌樹脂は、主に添加型抗菌樹脂および構造型抗菌樹脂に分けられ、例えば特許CN1280771A、CN102933648A、CN101891865Aに記載のような添加型抗菌樹脂は、消毒殺菌剤を樹脂中に浸漬して固定化したものであるが、消毒剤にマイグレーションやロスが発生しやすく、可使時間が短いなどの問題がある。
【0004】
四級アンモニウム塩構造の消毒剤には、安全性及び効率性が高いなどの利点があり、近年、殺菌のために四級アンモニウム塩基で修飾された材料を用いる報告がますます増えている。
【0005】
従来の樹脂が殺菌に用いられる場合、以下の問題がある。
【0006】
(1)殺菌中に、水環境における有機物、重金属イオン、いくつかのアニオン界面活性剤または高分子アニオン化合物、特に高濃度の塩素イオンに干渉されやすく、殺菌能力を大きく低下させてしまう。
【0007】
(2)殺菌中に、水中における溶存有機物、消毒副生物の前駆体、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンおよびヒ酸イオンなどのアニオンを除去する能力が低い。
【0008】
以上をまとめると、従来の樹脂は、殺菌中に、干渉防止能力が低く、水中における溶存有機物、消毒副生物の前駆体、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンおよびヒ酸イオンなどのアニオンを除去する能力が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の樹脂が殺菌中に、干渉防止能力が低く、水中における溶存有機物、消毒副生物の前駆体、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンおよびヒ酸イオンなどのアニオンを除去する能力が低いという問題に対して、多機能性樹脂を提供する。また、本発明に係る多機能性樹脂は、水中における溶存有機物、消毒副生物の前駆体、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンおよびヒ酸イオンなどのアニオンを効率的に除去する能力を有し、効率的な殺菌能力および良好な干渉防止能力という利点を有する。本発明は、多機能性樹脂の製造方法、多機能性樹脂の殺菌及び水処理での応用をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明の技術方案は以下のとおりである。
【0011】
本発明は、式(I)および/または式(II)を基本構造とする多機能性樹脂を提供する。
【化1】
【0012】
ただし、前記Aは四級アンモニウム基であり、
Yは、式(101)、式(102)、式(103)および式(104)のうちのいずれか1種または複数種である。
【化2】
【化3】
【0013】
ただし、前記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、Hまたは炭化水素基であり、前記m、n、kおよびpは、繰り返し単位の数であり、その数値範囲はいずれも500~3000であり、
tおよびqの炭素原子数は1~30の範囲であり、さらに好ましくは1~20の範囲であり、より一層好ましくは1~10の範囲であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の炭素原子数は、いずれも0~30の範囲であり、
ただし、構造式における「
【化4】
」は、当該構造と式(I)または式(II)との接続部位を意味し、
m、n、k、pは、好ましくは500~2500であり、さらに好ましくは500~2300であり、より一層好ましくは800~2300であり、最も好ましくは800~2000であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13炭化水素基である場合、炭素原子数は、好ましくは1~30であり、さらに好ましくは1~20であり、より一層好ましくは5~20であり、最も好ましくは5~15である。
【0014】
好ましくは、前記多機能性樹脂の架橋度は1~35%であり、前記多機能性樹脂の粒子径は10~2000μmであり、多機能性樹脂の表面における窒素(N)の含有量は前記多機能性樹脂における窒素の総量の0.005~50.0%であり、
架橋度は、好ましくは1~30%であり、さらに好ましくは5~30%であり、より一層好ましくは5~25%であり、最も好ましくは5~20%である。
【0015】
多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は、前記多機能性樹脂における窒素の総量の好ましくは0.005~40.0%、さらに好ましくは1~30.0%、より一層好まくは5.0~25.0%、最も好ましくは10.0~25.0%である。
【0016】
好ましくは、前記多機能性樹脂の架橋度は10~25%であり、前記多機能性樹脂の粒子径は20~600μmであり、前記多機能性樹脂の強アルカリ交換容量は0.3~4.0mmol/gであり、前記多機能性樹脂の表面の電荷密度は1015~1024/gであり、
前記多機能性樹脂の粒子径が20~600μmである場合、殺菌活性が高く、かつ流体抵抗が適当であり、沈降性が良好であり、
粒子径は、好ましくは20~400μmであり、さらに好ましくは20~300μmであり、より一層好ましくは50~300μmであり、最も好ましくは150~300μmであり、
強アルカリ交換容量は、好ましくは1.5~3.0mmol/gであり、さらに好ましくは1.5~2.8mmol/gであり、最も好ましくは1.5~2.5mmol/gであり、
多機能性樹脂の表面の電荷密度は、好ましくは1016~1024/gであり、さらに好ましくは1017~1024/gであり、より一層好ましくは1018~1024/gであり、最も好ましくは1018~1023/gである。
【0017】
好ましくは、前記Aは、式(201)、式(202)、式(203)、式(204)、式(205)、式(206)、式(207)、式(208)、式(209)および式(210)のうちの1種または複数種の組合せである。
【化5】
【化6】
【0018】
ただし、Xは、Cl、Br、I、I3、I5、I7、OH、SO 2-、HCO 、CO 2-のうちのいずれか1種であり、R14、R15、R16およびR17は、それぞれHまたは炭化水素基のうちの1種であり、
14、R15、R16およびR17の炭素原子数は、いずれも0~40の範囲であり、
が式(209)および式(210)である場合、主鎖の炭素原子数は、好ましくは1~30であり、より一層好ましくは1~25であり、最も好ましくは1~20である。
【0019】
本発明は、多機能性樹脂の製造方法をさらに提供し、当該方法では、エポキシ基を含有する第1の樹脂と第1のアミン塩との第1の四級化反応を行い、続いて、第2のアミン塩と第2の四級化反応を行い、第1の四級化反応は、関連する反応条件及び第1のアミン塩の種類を制御することで、主に第1の樹脂の外面で行われ、第2の四級化反応は、関連する反応条件及び第2のアミン塩の種類を制御することで、主に第1の樹脂の内面で行われ、それにより本発明に係る多機能性樹脂が得られる。当該多機能性樹脂の外面および内面には、異なる種類の四級アンモニウム基が結合され、樹脂外部の四級化により、樹脂の殺菌能力が向上し、樹脂内部の四級化により、樹脂の干渉防止能力が向上し、それにより、効率的な殺菌能力および水域環境におけるアニオン、天然有機物の干渉に耐える能力を達成するとともに、水中における溶存有機物、消毒副生物の前駆体、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンおよびヒ酸イオンなどのアニオンを効率的に除去する能力をさらに有する。本発明は、
第1の樹脂、第1のアミン塩および溶剤Cを加えて撹拌し、第1の四級化反応を行い、第1四級化樹脂を得るステップ(1)と、
ステップ(1)における前記第1四級化樹脂、第2のアミン塩および溶剤Dを加えて撹拌し、第2の四級化反応を行い、多機能性樹脂を得るステップ(2)とを含む、多機能性樹脂の製造方法をさらに提供する。
【0020】
好ましくは、ステップ(1)における前記第1の樹脂と前記第1のアミン塩との重量比は1:(0.5~10)であり、
第1の樹脂と前記第1のアミン塩との重量比は、好ましくは1:(0.5~10)であり、さらに好ましくは1:(0.5~8)であり、より一層好ましくは1:(0.5~6)であり、最も好ましくは1:(1~6)である。
【0021】
好ましくは、ステップ(1)における反応条件は、反応時間が12~72時間であり、撹拌速度が200~800rpmであり、反応温度が50~150℃であり、
ステップ(1)における反応時間は、好ましくは12~60時間であり、さらに好ましくは20~60時間であり、より一層好ましくは20~50時間であり、最も好ましくは20~40時間であり、
ステップ(1)における撹拌速度は、好ましくは200~700rpmであり、さらに好ましくは200~650rpmであり、より一層好ましくは200~600rpmであり、最も好ましくは250~500rpmであり、
ステップ(1)における温度は、好ましくは50~140℃であり、さらに好ましくは50~130℃であり、より一層好ましくは60~130℃であり、最も好ましくは60~120℃である。
【0022】
好ましくは、ステップ(2)における前記第1四級化樹脂と前記第2のアミン塩との重量比は1:(0.5~10)であり、
第1四級化樹脂と前記第2のアミン塩との重量比は、好ましくは1:(0.5~10)であり、さらに好ましくは1:(0.5~8)であり、より一層好ましくは1:(0.5~6)であり、最も好ましくは1:(1~5)である。
【0023】
好ましくは、ステップ(2)における反応条件は、反応時間が12~72時間であり、撹拌速度が200~800rpmであり、反応温度が50~150℃であり、
ステップ(2)における反応時間は、好ましくは12~60時間であり、さらに好ましくは20~60時間であり、より一層好ましくは20~50時間であり、最も好ましくは20~40時間であり、
ステップ(2)における撹拌速度は、好ましくは200~700rpmであり、さらに好ましくは200~650rpmであり、より一層好ましくは200~600rpmであり、最も好ましくは250~500rpmであり、
ステップ(2)における温度は、好ましくは50~140℃であり、さらに好ましくは50~130℃であり、より一層好ましくは60~130℃であり、最も好ましくは60~120℃である。
【0024】
好ましくは、前記第1のアミン塩は、式(201)、式(202)、式(203)、式(204)、式(205)、式(206)、式(207)、式(208)、式(209)および式(210)のうちの1種または複数種の組合せである。
【化7】
【化8】
【0025】
ただし、Xは、Cl、Br、I、I3、I5、I7、OH、SO 2-、HCO 、CO 2-のうちのいずれか1種であり、R14、R15、R16およびR17は、それぞれHまたは炭化水素基のうちの1種であり、R14、R15、R16およびR17の炭素原子数は、いずれも0~40の範囲である。
【0026】
14、R15、R16およびR17の炭素原子数は、さらに好ましくは6~30の範囲であり、より一層好ましくは6~20の範囲であり、最も好ましくは10~20の範囲であり、
第1のアミン塩が式(209)および式(210)である場合、主鎖の炭素原子数は、好ましくは6~40のいずれかの整数であり、さらに好ましくは6~30のいずれかの整数であり、より一層好ましくは6~20のいずれかの整数であり、最も好ましくは10~20のいずれかの整数である。
【0027】
好ましくは、前記第2のアミン塩は、式(201)、式(202)、式(203)、式(204)、式(205)、式(206)、式(207)、式(208)、式(209)および式(210)のうちの1種または複数種の組合せである。
【化9】
【化10】
【0028】
ただし、Xは、Cl、Br、I、I3、I5、I7、OH、SO 2-、HCO 、CO 2-のうちのいずれか1種であり、R14、R15、R16およびR17は、それぞれHまたは炭化水素基のうちの1種であり、R14、R15、R16およびR17の炭素原子数は、いずれも0~40の範囲である。
【0029】
14、R15、R16およびR17の炭素原子数は、さらに好ましくは0~30の範囲であり、より一層好ましくは0~20の範囲であり、最も好ましくは0~15の範囲であり、
第2のアミン塩が式(209)および式(210)である場合、主鎖の炭素原子数は1~20のいずれかの整数であり、より好ましくは1~15のいずれかの整数であり、最も好ましくは1~10である。
【0030】
好ましくは、前記溶剤Cは、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、石油エーテル、ヘキサン、エチルエーテルおよび四塩化炭素のうちの1種または複数種の組合せであり、前記溶剤Dは、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、石油エーテル、ヘキサン、エチルエーテルおよび四塩化炭素のうちの1種または複数種の組合せである。
【0031】
好ましくは、ステップ(1)の前に、
ナトリウム塩を含有する水溶液および分散剤を加えて撹拌し、分散剤の重量割合が0.1~2.0%である水相を得る水相調製ステップ(a)と、
第1の単量体と架橋剤からなる反応物、開始剤、およびポロゲンを加えて混合し、油相を得る油相調製ステップ(b)と、
ステップ(b)における前記油相を、ステップ(a)における前記水相に加え、撹拌して加熱し、温度を50~120℃に制御し、2~10時間反応させ、続いて温度を80~150℃に制御し、2~12時間反応させ、室温まで冷却し、抽出して洗浄し、第1の樹脂を得る第1樹脂製造ステップ(c)と、をさらに含む。
【0032】
好ましくは、ステップ(a)における分散剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、活性化リン酸カルシウム、グアガム、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびリグニンスルホン酸ナトリウムのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(a)における前記ナトリウム塩は、第三リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよび塩化ナトリウムのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(b)における前記架橋剤は、エチレングリコールジエチルジアリルエステル、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(b)における前記ポロゲンは、シクロヘキサノール、イソプロパノール、n-ブタノール、200#ソルベントナフサ、トルエン、キシレン、酢酸エチル、n-オクタンおよびイソオクタンのうちの1種または複数種の組合せであり、ステップ(b)における前記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルおよびベンゾイルパーオキサイドのうちの1種または複数種の組合せである。
【0033】
好ましくは、ステップ(b)における前記第1の単量体と前記架橋剤とのモル比は1:(0.05~0.3)であり、前記第1の単量体と前記ポロゲンとのモル比は1:(0.1~0.5)であり、前記開始剤の重量は油相の総重量の0.5~1.5%である。
【0034】
好ましくは、前記第1の樹脂は、式(301)、式(302)、式(303)および式(304)のうちの1種または複数種の組合せを基本構造とする。
【化11】
【0035】
ただし、前記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、Hまたは炭化水素基であり、前記m、n、kおよびpは、繰り返し単位の数であり、その数値範囲はいずれも500~3000であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の炭素原子数は、いずれも0~30の範囲であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13炭化水素基である場合、炭素原子数は、好ましくは1~30であり、さらに好ましくは1~20であり、より一層好ましくは5~20であり、最も好ましくは5~15である。
【0036】
tおよびqの炭素原子数は1~30の範囲であり、さらに好ましくは1~20の範囲であり、より一層好ましくは1~10の範囲であり、
好ましくは、前記第1の単量体は、式(401)、式(402)、式(403)および式(404)のうちの1種または複数種の組合せである。
【化12】
【0037】
ただし、前記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、Hまたは炭化水素基であり、
tおよびqの炭素原子数は1~30の範囲であり、さらに好ましくは1~20の範囲であり、より一層好ましくは1~10の範囲であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の炭素原子数は、いずれも0~30の範囲であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13炭化水素基である場合、炭素原子数は、好ましくは1~30であり、さらに好ましくは1~20であり、より一層好ましくは5~20であり、最も好ましくは5~15である。
【0038】
本発明は、上記により得られた多機能性樹脂の殺菌での応用をさらに提供する。
【0039】
本発明は、上記により得られた多機能性樹脂の水処理での応用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0040】
従来の技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0041】
(1)本発明に係る多機能性樹脂は、水中の病原菌の除去率が高く、場合によって99.9%以上に達することができ、かつ再生後の樹脂は、依然として強い除菌力を有し、可使時間が長く、また、後続の消毒負荷が低減し、消毒剤の使用量が少なくなり、作業コストが削減される。
【0042】
(2)本発明に係る多機能性樹脂は、四級アンモニウム塩樹脂による殺菌に対する、水域環境における1000mg/L以下の塩素イオン(または同当量の多種のアニオン)または3mg/L未満の天然有機物の拮抗作用を効果的に低減させることができ、その殺菌効率が、脱イオン水環境における四級アンモニウム塩樹脂の殺菌効率に近く、水域環境における高濃度の塩素イオンなどのアニオンおよび高濃度の天然有機物に対する干渉防止能力が向上する。
【0043】
(3)また、本発明に係る多機能性樹脂は、有機物除去率が高く、特に消毒副生物の前駆体、および硝酸塩、リン酸塩などの多種のアニオン汚染物を効果的に除去し、後続の塩素ガス、オゾンなどによる消毒過程中に生成する各種の消毒副生物を低減させることができ、優れた沈降性を有し、流動床装置による大規模な水処理が可能となる。
【0044】
(4)本発明は、多機能性樹脂の製造方法をさらに提供し、当該方法では、エポキシ基を含有する第1の樹脂と第1のアミン塩との第1の四級化反応を行い、続いて、第2のアミン塩と第2の四級化反応を行い、第1の四級化反応は、関連する反応条件及び第1のアミン塩の種類を制御することで、主に第1の樹脂の外面で行われ、第2の四級化反応は、関連する反応条件及び第2のアミン塩の種類を制御することで、主に第1の樹脂の内面で行われ、それにより本発明に係る多機能性樹脂が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明に係る好ましい実施例1の樹脂A0の異なるCl濃度での緑膿菌殺菌効率である。
図2】本発明に係る好ましい実施例2の多機能性樹脂A1の異なるCl濃度での緑膿菌殺菌効率である。
図3】本発明に係る好ましい実施例1の樹脂A0の異なるNOM濃度での緑膿菌殺菌効率である。
図4】本発明に係る好ましい実施例2の多機能性樹脂A1の異なるNOM濃度での緑膿菌殺菌効率である。
図5】本発明に係る好ましい実施例3、7、10および14における第1四級化樹脂および第2四級化樹脂のそれぞれに対して測定した表面窒素含有量および窒素総量であり、その特性評価結果によると、特定の反応条件の制御により第1の四級化反応が主に樹脂表面に発生し、第2の四級化反応が主に樹脂内部に発生する。
図6】本発明に係る赤外線スペクトル(FTIR)であり、このスペクトルでは、四級化後のC-N伸縮振動吸収ピークは1105cm-1に現れ、aは実施例1に係る第1の樹脂の赤外線スペクトルであり、bは実施例1に係る樹脂A0の赤外線スペクトルであり、cは実施例2に係る多機能性樹脂A1の赤外線スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0047】
実施例1
コントロール群
水相500gの調製:ヒドロキシエチルセルロース2.5g、硫酸ナトリウム25gを量り取り、残量を水とした。
【0048】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を300rpmに制御した。第1の単量体60gを量り取り(本実施例において、第1の単量体はグリシジルメタクリレートである)、グリシジルメタクリレート(GMA)60g、ジビニルベンゼン(DVB)10g、アゾビスイソブチロニトリル0.6g、ベンゾイルパーオキサイド1.8g、シクロヘキサノール30gを、三つ口フラスコに加えて60℃まで昇温させ、8時間反応させ、続いて90℃まで昇温させ、4時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色のアクリル樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂であるアクリル樹脂を得た。
【0049】
アクリル樹脂(平均粒子径500μm)を合成して選別し、第1のアミン塩80gを量り取り(本実施例において、第1のアミン塩はドデシルジメチルアミン塩酸塩である)、第1の樹脂20gおよびドデシルジメチルアミン塩酸塩80gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を60℃に制御し、200rpmで撹拌し、メタノールとエタノールを溶剤として体積比3:7で用いて、縮合反応を24時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号A0の第1四級化樹脂を得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.51mmol/gであり、樹脂表面の電荷密度は約1.98*1023/gであり、樹脂表面における窒素の含有量は樹脂における窒素の総量の21.8%であった。
【0050】
本実施例で得られた樹脂A0の殺菌性能を以下のとおり評価した。
【0051】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/L、1000mg/L、3000mg/Lおよび9000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、樹脂A0 0.5gを加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、殺菌効率を計算した。評価結果は図1に示すように、塩素イオンの含有量が0mg/L、100mg/L、1000mg/L、3000mg/Lおよび9000mg/Lである場合、対応する殺菌効率は、それぞれ99.99%、96.20%、52.35%、22.55%および13.30%であった。
【0052】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、1mg/L、3mg/L、5mg/Lおよび10mg/LのNOMでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、樹脂A0 0.5gを加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、殺菌効率を計算した。評価結果は図3に示すように、NOM濃度がそれぞれ0mg/L、1mg/L、3mg/L、5mg/Lおよび10mg/Lである場合、対応する殺菌効率は、それぞれ99.93%、99.82%、63.53%、35.29%および13.52%であった。
【0053】
図6に示すように、aは本実施例に係る第1の樹脂の赤外線スペクトルであり、bは本実施例に係る樹脂A0の赤外線スペクトルである。
【0054】
NOM(natural organic matter、単にNOMという)は、主に油脂、糖類、タンパク質、天然ゴムのような自然界に広く分布している有機物を指し、このような物質はすべて生体内で合成される有機化合物であるので、天然有機物と呼ばれる。
【0055】
実施例2
水相500gの調製:ヒドロキシエチルセルロース2.5g、硫酸ナトリウム25gを量り取り、残量を水とした。
【0056】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を300rpmに制御した。第1の単量体60gを量り取り(本実施例において、第1の単量体はグリシジルメタクリレートである)、グリシジルメタクリレート(GMA)60g、ジビニルベンゼン(DVB)10g、アゾビスイソブチロニトリル0.6g、ベンゾイルパーオキサイド1.8g、シクロヘキサノール30gを、三つ口フラスコに加えて60℃まで昇温させ、8時間反応させ、続いて90℃まで昇温させ、4時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色の樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0057】
第1の樹脂(平均粒子径500μm)を合成して選別し、第1のアミン塩80gを量り取り(本実施例において、第1のアミン塩はドデシルジメチルアミン塩酸塩である)、第1の樹脂20gおよびドデシルジメチルアミン塩酸塩80gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を60℃に制御し、400rpmで撹拌し、メタノールとエタノールを溶剤として体積比3:7で用いて、縮合反応を24時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂A1-1を計21.05g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、第2のアミン塩を加え(本実施例において、第2のアミン塩はトリエチルアミン塩酸塩である)、トリエチルアミン塩酸塩60gを加え、40%エタノールを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、250rpmで撹拌し、縮合反応を30時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンを用いる)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号A1の本発明に係る多機能性樹脂を計22.50g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は2.15mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.08*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の16.1%であった。
【0058】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は2700~3000の範囲であった。
【0059】
図6に示すように、cは本実施例に係る多機能性樹脂A1の赤外線スペクトルである。
【0060】
本実施例で得られた多機能性樹脂A1の殺菌性能を以下のとおり評価した。
【0061】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/L、1000mg/L、3000mg/Lおよび9000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、樹脂A1 0.5gを加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、殺菌効率を計算した。評価結果は図2に示すように、塩素イオンの含有量が0mg/L、100mg/L、1000mg/L、3000mg/Lおよび9000mg/Lである場合、対応する殺菌効率は、それぞれ99.99%、99.95%、99.81%、85.45%および50.55%であった。
【0062】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、1mg/L、3mg/L、5mg/Lおよび10mg/LのNOMでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、樹脂A1 0.5gを加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、殺菌効率を計算した。評価結果は図4に示すように、NOM濃度がそれぞれ0mg/L、1mg/L、3mg/L、5mg/Lおよび10mg/Lである場合、対応する殺菌効率は、それぞれ99.99%、99.94%、99.88%、80.60%および39.19%であった。
【0063】
実施例3
本実施例の第1の単量体は、式(401)から選択される構造を有し、RがH、Rが-CH、t=1である場合、第1の単量体は式(401-1)で表される構造を有する。
【化13】
式(401-1)
【0064】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0065】
水相500gの調製:メチルセルロース2.5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5g、硫酸ナトリウム50gを量り取り、残量を水とした。
【0066】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を400rpmに制御した。式(401-1)で示される第1の単量体40g、アクリル酸メチル(MA)20g、スチレン20g、エチレングリコールジメタクリレート5g、トリメチロールプロパントリメタクリレート10g、アゾビスイソブチロニトリル1.0g、200#ソルベントナフサ10g、n-ブタノール10gを、三つ口フラスコに加えて50℃まで昇温させ、12時間反応させ、続いて80℃まで昇温させ、4時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色の樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0067】
第1の樹脂(平均粒子径500μm)を合成して選別し、第1のアミン塩80gを量り取り(本実施例において、第1のアミン塩はN,N-ジメチルオクチルアミン塩酸塩である)、第1の樹脂20gおよびN,N-ジメチルオクチルアミン塩酸塩120gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミドを溶剤として用いて、縮合反応を30時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂A2-1を計21.30g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、第2のアミン塩を加え(本実施例における第2のアミン塩はトリメチルアミン塩酸塩である)、トリメチルアミン塩酸塩50gを加え、アセトニトリルを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を24時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンを用いる)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号A2の本発明に係る多機能性樹脂を計21.80g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は2.25mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.72*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の20.0%であった。
【0068】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は2500~2700の範囲であった。
【0069】
図5に示すように、第1四級化樹脂A2-1について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、多機能性樹脂A2について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、その結果を図5に示す。図5から分かるように、本実施例に係る第1の四級化反応は主に樹脂表面に発生し、第2の四級化反応は主に樹脂内部に発生した。
【0070】
実施例4
本実施例の第1の単量体は、式(401)から選択される構造を有し、Rが-CHCH、Rが-CH、t=2である場合、第1の単量体は式(401-2)で表される構造を有する。
【化14】
式(401-2)
【0071】
第1のアミン塩は式(205)から選択される構造を有し、XがClである場合、第1のアミン塩は式(205-1)で表される構造を有する。
【化15】
式(205-1)
【0072】
第2のアミン塩は式(201)から選択される構造を有し、XがClである場合、第2のアミン塩は式(201-1)で表される構造を有する。
【化16】
式(201-1)
【0073】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0074】
水相500gの調製:ゼラチン2.5g、グアガム2.5g、硫酸ナトリウム50g、塩化ナトリウム50gを量り取り、残量を水とした。
【0075】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を280rpmに制御した。式(401-2)で示される第1の単量体50g、アクリル酸ブチル20g、MA 10g、エチレングリコールジメタクリレート1g、ベンゾイルパーオキサイド1.5g、トルエン10g、キシレン15g、n-オクタン10gを、三つ口フラスコに加えて105℃まで昇温させ、12時間反応させ、続いて130℃まで昇温させ、4時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色のアクリル樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂であるアクリル樹脂を得た。
【0076】
第1の樹脂(粒子径10μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよび第1のアミン塩100gを250mLの三つ口フラスコに入れ(本実施例における第1のアミン塩は式(205-1)で示される化合物である)、温度を85℃に制御し、400rpmで撹拌し、トルエンを溶剤として用いて、縮合反応を24時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂A3-1を計20.85g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、式(201-1)で示される化合物である第2のアミン塩50gを加え、エタンを溶剤として用いて、温度を60℃に制御し、480rpmで撹拌し、縮合反応を40時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンを用いる)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号A3の本発明に係る多機能性樹脂を計21.50g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は0.33mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.01*1019/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の10.12%であった。
【0077】
多機能性樹脂A3のXがBr、I、I3、I5、I7、OH、SO 2-、HCO およびCO 2-のうちのいずれか1種である場合、同様の効果を取得できる。
【0078】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は2000~2500の範囲であった。
【0079】
実施例5
本実施例の第1の単量体は、式(403)から選択される構造を有し、Rが-H、Rが-CH、Rが-H、Rが-Hである場合、第1の単量体は式(403-1)で表される構造を有する。
【化17】
式(403-1)
【0080】
本実施例における第1のアミン塩は、式(208)で示される化合物から選択されるものであり、XがIである場合、第1のアミン塩は式(208-1)で表される構造を有する。
【化18】
式(208-1)
【0081】
本実施例における第2のアミン塩は、式(202)から選択される構造を有し、R14が-CH、XがClである場合、第2のアミン塩は式(202-2)で表される構造を有する。
【化19】
式(202-2)
【0082】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0083】
水相500gの調製:ポリビニルアルコール2.5g、塩化ナトリウム15gを量り取り、残量を水とした。
【0084】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を200rpmに制御した。式(403-1)で示される第1の単量体45g、ジビニルベンゼン(DVB)35g、トルエン5g、n-ヘプタン5g、シクロヘキサノール5g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを、三つ口フラスコに加えて55℃まで昇温させ、12時間反応させ、続いて75℃まで昇温させ、12時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色の樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0085】
第1の樹脂(平均粒子径2000μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよび式(208-1)で示される化合物80gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を70℃に制御し、250rpmで撹拌し、四塩化炭素を溶剤として用いて、縮合反応を10時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂B1-1を計20.90g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、式(202-2)で示される化合物80gを加え、酢酸エチルを溶剤として用いて、温度を65℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を40時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号B1の本発明に係る多機能性樹脂を計21.59g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は0.3073mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約9.01*1015/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の0.005%であった。
【0086】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は1500~2000の範囲であった。
【0087】
実施例6
本実施例に係る第1の単量体は、2つの異なる第1の単量体で構成されるものである。、
第1の単量体のタイプ1は式(403)から選択される構造を有し、Rが-CH、Rが-CH、Rが-H、Rが-Hである場合、第1の単量体のタイプ1は式(403-2)で表される構造を有する。
【化20】
式(403-2)
【0088】
第1の単量体のタイプ2はグリシジルメタクリレート(GMA)である。
【0089】
本実施例における第1のアミン塩は、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩酸塩である。
【0090】
本実施例における第2のアミン塩は、式(203)から選択される構造を有し、XがClである場合、第2のアミン塩は式(203-1)で表される構造を有する。
【化21】
式(203-1)
【0091】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0092】
水相500gの調製:ポリビニルアルコール2.5g、ヒドロキシエチルセルロース1.5g、塩化ナトリウム25gを量り取り、残量を水とした。
【0093】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を300rpmに制御した。式(403-2)で示される化合物40g、グリシジルメタクリレート(GMA)20g、ジビニルベンゼン(DVB)15.0g、トルエン10g、キシレン10g、シクロヘキサノール10g、ベンゾイルパーオキサイド0.5g、アゾビスイソブチロニトリル0.25gを、三つ口フラスコに加えて65℃まで昇温させ、12時間反応させ、続いて75℃まで昇温させ、8時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色の樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0094】
第1の樹脂(平均粒子径100μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩酸塩50gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を110℃に制御し、280rpmで撹拌し、トルエンを溶剤として用いて、縮合反応を24時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂B2-1を計21.51g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、第2のアミン塩80gを加え、エタノールを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、380rpmで撹拌し、縮合反応を30時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号B2の本発明に係る多機能性樹脂を計22.19g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.46mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約1.39*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の15.8%であった。
【0095】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は2000~2300の範囲であった。
【0096】
多機能性樹脂B2のXがBr、I、I3、I5、I7、OH、SO 2-、HCO およびCO 2-のうちのいずれか1種である場合、同様の効果を取得できる。
【0097】
実施例7
本実施例に係る第1の単量体は、式(403)から選択される構造を有し、Rが-H、Rが-CH、Rが-CHCH、Rが-Hである場合、第1の単量体は式(403-3)で表される構造を有する。
【化22】
式(403-3)
【0098】
本実施例における第1のアミン塩はN,N-ジメチル-n-オクチルアミン塩酸塩であり、本実施例における第2のアミン塩はトリメチルアミン塩酸塩である。
【0099】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0100】
水相500gの調製:メチルセルロース2.5g、ヒドロキシエチルセルロース2.5g、硫酸ナトリウム25g、塩化ナトリウム25gを量り取り、残量を水とした。
【0101】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を250rpmに制御した。式(403-3)で示される化合物40g、アクリル酸メチル(MA)10g、アクリル酸ブチル5g、エチレングリコールジメタクリレート10g、エチレングリコールジメタクリレート10g、200#ソルベントナフサ10g、n-ブタノール10g、シクロヘキサノール5g、アゾビスイソブチロニトリル1.0gを、三つ口フラスコに加えて80℃まで昇温させ、12時間反応させ、続いて90℃まで昇温させ、8時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色の樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0102】
第1の樹脂(平均粒子径500μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびN,N-ジメチル-n-オクチルアミン塩酸塩100gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を60℃に制御し、380rpmで撹拌し、エタノールを溶剤として用いて、縮合反応を40時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂B3-1を計21.35g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリメチルアミン塩酸塩60gを加え、メタノールを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を24時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号B3の本発明に係る多機能性樹脂を計22.90g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は2.12mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.44*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の19.1%であった。
【0103】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は500~1000の範囲であった。
【0104】
図5に示すように、第1四級化樹脂B3-1について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、多機能性樹脂B3について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、その結果を図5に示す。図5から分かるように、本実施例に係る第1の四級化反応は主に樹脂表面に発生し、第2の四級化反応は主に樹脂内部に発生した。
【0105】
実施例8
本実施例に係る第1の単量体は、2つの異なる第1の単量体で構成されるものである。
【0106】
第1の単量体のタイプ1は式(403)から選択される構造を有し、Rが-H、Rが-CH、Rが-H、Rが-Hである場合、第1の単量体のタイプ1は式(403-1)で表される構造を有する。
【化23】
式(403-1)
【0107】
第1の単量体のタイプ2はグリシジルメタクリレート(GMA)である。
【0108】
本実施例における第1のアミン塩は、ジオクタデシルメチルアミン塩酸塩であり、本実施例における第2のアミン塩は、トリメチルアミン塩酸塩である。
【0109】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0110】
水相500gの調製:グアガム1.25g、リグニンスルホン酸ナトリウム1.25g、硫酸ナトリウム25g、炭酸水素ナトリウム15gを量り取り、残量を水とした。
【0111】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を280rpmに制御した。式(403-1)で示される化合物30g、GMA 10g、MA 10g、トリメチロールプロパントリメタクリル酸10g、トリアリルシアヌレート10g、200#ソルベントナフサ10g、イソオクタン5g、イソプロパノール5g、ベンゾイルパーオキサイド1.5gを、三つ口フラスコに加えて70℃まで昇温させ、12時間反応させ、続いて95℃まで昇温させ、8時間反応させ、室温まで冷却し、白色またはほぼ白色の樹脂ボールを回収して抽出し、洗浄した後に乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0112】
第1の樹脂(平均粒子径10μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびテトラメチルエチレンジアミン塩酸塩100gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を120℃に制御し、340rpmで撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミドを溶剤として用いて、縮合反応を40時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂B4-1を計21.20g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリメチルアミン塩酸塩80gを加え、四塩化炭素を溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を40時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号B4の本発明に係る多機能性樹脂を計22.75g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は3.99mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約1.20*1024/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の49.87%であった。
【0113】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は1200~1800の範囲であった。
【0114】
実施例9
本実施例に係る第1の単量体は、式(402)から選択される構造を有し、q=1である場合、第1の単量体は式(402-1)で表される構造を有する。
【化24】
式(402-1)
【0115】
本実施例における第1のアミン塩はヘキサデシルジメチルアミン塩であり、本実施例における第2のアミン塩はトリプロピルアミン塩酸塩である。
【0116】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0117】
水相500gの調製:ポリビニルアルコール2.5g、炭酸水素アンモニウム5gを量り取り、残量を水とした。
【0118】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を250rpmに制御した。第1の単量体100g、エチレングリコールジメタクリレート(EGDM)8g、トルエン40g、アゾビスイソブチロニトリル0.5g、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナート0.5g、ステアリン酸カルシウム2g、ホワイトオイル20gを、三つ口フラスコに加えて60℃まで昇温させ、10時間反応させ、続いて80℃まで昇温させ、6時間反応させ、室温まで冷却し、トルエン及びホワイトオイルを抽出し、乾燥させて袋に収容し、第1の樹脂を得た。
【0119】
第1の樹脂(平均粒子径100μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびヘキサデシルジメチルアミン塩80gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を100℃に制御し、280rpmで撹拌し、トルエンを溶剤として用いて、縮合反応を30時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂C1-1を計21.80g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリプロピルアミン塩酸塩80gを加え、四塩化炭素を溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を40時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号C1の本発明に係る多機能性樹脂を計22.55g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.90mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.16*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の18.9%であった。
【0120】
本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は1000~1600の範囲であった。
【0121】
実施例10
本実施例に係る第1の単量体は、2つの異なる第1の単量体で構成されるものである。
【0122】
第1の単量体のタイプ1は式(402)から選択される構造を有し、q=2である場合、第1の単量体のタイプ1は式(402-2)で表される構造を有する。
【化25】
式(402-2)
【0123】
第1の単量体のタイプ2はグリシジルメタクリレート(GMA)である。
【0124】
本実施例における第1のアミン塩は、N,N-ジメチルヘキシルアミン塩酸塩であり、本実施例における第2のアミン塩は、トリメチルアミン塩酸塩である。
【0125】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0126】
水相500gの調製:ポリビニルアルコール1.5g、ヒドロキシエチルセルロース1.5g、炭酸水素アンモニウム5gを量り取り、残量を水とした。
【0127】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を350rpmに制御した。式(402-2)で示される化合物80g、GMA 20g、トリアリルイソシアヌレート10g、トルエン20g、キシレン10g、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナート0.5g、アゾビスイソブチロニトリル0.5g、ステアリン酸亜鉛2g、ホワイトオイル30gを、三つ口フラスコに加えて56℃まで昇温させ、10時間反応させ、続いて75℃まで昇温させ、8時間反応させ、室温まで冷却し、トルエン、キシレン及びホワイトオイルを抽出し、乾燥させて袋に収容し、第1の樹脂を得た。
【0128】
第1の樹脂(平均粒子径500μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン塩酸塩40gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を70℃に制御し、450rpmで撹拌し、エタノールを溶剤として用いて、縮合反応を20時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂C2-1を計21.89g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリメチルアミン塩酸塩70gを加え、メタノールを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を24時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号C2の本発明に係る多機能性樹脂を計23.05g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は2.35mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約3.04*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の21.5%であった。
【0129】
図5に示すように、第1四級化樹脂C2-1について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、多機能性樹脂C2について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、その結果を図5に示す。図5から分かるように、本実施例に係る第1の四級化反応は主に樹脂表面に発生し、第2の四級化反応は主に樹脂内部に発生した。
【0130】
実施例11
本実施例に係る第1の単量体は、2つの異なる第1の単量体で構成されるものである。
【0131】
第1の単量体のタイプ1は式(402)から選択される構造を有し、q=3である場合、第1の単量体のタイプ1の構造は式(402-3)で表される構造を有する。
【化26】
式(402-3)
【0132】
第1の単量体のタイプ2はグリシジルメタクリレート(GMA)である。
【0133】
本実施例における第1のアミン塩は、式(206)から選択される構造を有し、R14が-Hであり、XがClである場合、第1のアミン塩は式(206-1)で表される構造を有する。
【化27】
式(206-1)
【0134】
本実施例における第2のアミン塩は、式(202)から選択される構造を有し、R14が-Hであり、XがClである場合、第2のアミン塩は式(202-1)で表される構造を有する。
【化28】
式(202-1)
【0135】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0136】
水相500gの調製:グアガム2.5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5g、炭酸水素アンモニウム5gを量り取り、残量を水とした。
【0137】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を280rpmに制御した。式(402-3)で示される化合物60g、GMA 30g、MA 10g、N,N-メチレンビスアクリルアミド13g、200#ソルベントナフサ20g、n-ブタノール10g、ベンゾイルパーオキサイド0.5g、アゾビスイソブチロニトリル0.3g、セバシン酸カルシウム2g、ホワイトオイル15gを、三つ口フラスコに加えて65℃まで昇温させ、10時間反応させ、続いて90℃まで昇温させ、6時間反応させ、室温まで冷却し、200#ソルベントナフサ、n-ブタノール及びホワイトオイルを抽出し、乾燥させて袋に収容し、第1の樹脂を得た。
【0138】
第1の樹脂(平均粒子径200μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよび第1のアミン塩100gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を120℃に制御し、350rpmで撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミドを溶剤として用いて、縮合反応を30時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂C3-1を計21.15g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、第2のアミン塩40gを加え、酢酸エチルを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を40時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノールおよびアセトンのうちの1種または複数種の組合せを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号C3の本発明に係る多機能性樹脂を計21.85g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.68mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約1.71*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の16.9%であった。
【0139】
第1のアミン塩、第2のアミン塩のXがBr、I、I3、I5、I7、OH、SO 2-、HCO およびCO 2-のうちのいずれか1種である場合、同様の効果を取得できる。
【0140】
実施例12
本実施例に係る第1の単量体は、2つの異なる第1の単量体で構成されるものである。
【0141】
第1の単量体のタイプ1は式(402)から選択される構造を有し、q=4である場合、第1の単量体のタイプ1は式(402-4)で表される構造を有する。、
【化29】
式(402-4)
【0142】
第1の単量体のタイプ2は、グリシジルメタクリレート(GMA)である。
【0143】
本実施例における第1のアミン塩は、式(204)から選択される構造を有し、R14が-Hであり、XがClである場合、第1のアミン塩は式(204-1)で表される構造を有する。
【化30】
式(204-1)
【0144】
本実施例における第2のアミン塩は、トリエチルアミン塩酸塩である。
【0145】
具体的には、以下のとおり実施した。
【0146】
水相500gの調製:グアガム2.5g、活性化リン酸カルシウム1.5g、炭酸水素アンモニウム7.5gを量り取り、残量を水とした。
【0147】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を450rpmに制御した。式(402-4)で示される化合物60g、GMA 20g、アクリル酸メチル20g、アクリル酸ブチル20g、N,N-メチレンビスアクリルアミド13g、エチレングリコールジメタクリレート5g、イソオクタン15g、n-オクタン10g、ベンゾイルパーオキサイド0.5g、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナート0.5g、ラウリン酸カルシウム2g、ホワイトオイル25gを、三つ口フラスコに加えて80℃まで昇温させ、10時間反応させ、続いて110℃まで昇温させ、12時間反応させ、室温まで冷却し、イソオクタン、n-オクタン及びホワイトオイルを抽出し、乾燥させて袋に収容し、第1の樹脂を得た。
【0148】
第1の樹脂(平均粒子径600μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよび式(204-1)で示される化合物100gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を70℃に制御し、250rpmで撹拌し、トルエンを溶剤として用いて、縮合反応を24時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂C4-1を計20.85g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリエチルアミン塩酸塩60gを加え、メタノールを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、250rpmで撹拌し、縮合反応を30時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノールおよびアセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号C4の本発明に係る多機能性樹脂を計21.60g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.87mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.13*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の18.9%であった。
【0149】
実施例13
本実施例に係る第1の単量体は、式(404)から選択される構造を有し、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13がHである場合、第1の単量体は式(404-1)で表される構造を有する。
【化31】
式(404-1)
【0150】
第1のアミン塩は、ドデシルジメチルアミン塩酸塩であり、第2のアミン塩は、トリメチルアミン塩酸塩である。
【0151】
水相500gの調製:グアガム5g、活性化リン酸カルシウム10g、塩化ナトリウム7.5gを量り取り、残量を水とした。
【0152】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を300rpmに制御し、窒素ガスを導入し続けることにより脱酸素した。窒素ガス導入による脱酸素を10分間行った後、式(404-1)で示される化合物60g、ジビニルベンゼン30g、200#ガソリン30g、ベンゾイルパーオキサイド0.5g、アゾビスイソブチロニトリル1.0gを、三つ口フラスコに加え、窒素ガスを導入し続け、室温で10分間撹拌した後、重合温度50℃まで昇温させ、2時間反応させ、続いて80℃まで昇温させ、2時間反応させ、室温まで冷却して洗浄し、抽出して乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0153】
第1の樹脂(平均粒子径20μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびドデシルジメチルアミン塩酸塩60gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を75℃に制御し、300rpmで撹拌し、エタノールを溶剤として用いて、縮合反応を35時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂D1-1を計21.35g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、第2のアミン塩であるトリメチルアミン塩酸塩50gを加え、メタノールを溶剤として用いて、温度を70℃に制御し、300rpmで撹拌し、縮合反応を24時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンを用いる)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号D1の本発明に係る多機能性樹脂を計22.18g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は2.08mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約2.42*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の19.3%であった。
【0154】
実施例14
本実施例に係る第1の単量体は、式(404)から選択される構造を有し、R、R、R、R10、R11、R12およびR13がHであり、Rが-CHである場合、第1の単量体は式(404-2)で表される構造を有する。
【化32】
式(404-2)
【0155】
第1のアミン塩は、N,N-ジメチルヘキシルアミン塩酸塩であり、第2のアミン塩は、トリエチルアミン塩酸塩である。
【0156】
水相500gの調製:ヒドロキシエチルセルロース2.5g、メチルセルロース1.5g、硫酸ナトリウム15gを量り取り、残量を水とした。
【0157】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を220rpmに制御し、窒素ガスを導入し続けることにより脱酸素した。窒素ガス導入による脱酸素を10分間行った後、式(404-2)で示される化合物71.1g、ジビニルベンゼン67.5g、トルエン82.8g、ベンゾイルパーオキサイド24.6gを、三つ口フラスコに加え、窒素ガスを導入し続け、室温で10分間撹拌した後、重合温度85℃まで昇温させ、6時間反応させ、続いて115℃まで昇温させ、7時間反応させ、室温まで冷却して洗浄し、抽出して乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0158】
第1の樹脂(平均粒子径400μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン塩酸塩10gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を50℃に制御し、200rpmで撹拌し、トルエンを溶剤として用いて、縮合反応を12時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂D2-1を計21.75g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリエチルアミン塩酸塩10.9gを加え、四塩化炭素を溶剤として用いて、温度を150℃に制御し、800rpmで撹拌し、縮合反応を72時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンを用いる)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号D2の本発明に係る多機能性樹脂を計22.43g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は2.39mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約3.00*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の20.8%であった。
【0159】
図5に示すように、第1四級化樹脂D2-1について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、多機能性樹脂D2について、その表面における窒素含有量、窒素の総量を測定し、その結果を図5に示す。図5から分かるように、本実施例に係る第1の四級化反応は主に樹脂表面に発生し、第2の四級化反応は主に樹脂内部に発生した。
【0160】
本実施例において、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースの代わりに、ゼラチン、ポリビニルアルコール、活性化リン酸カルシウム、グアガム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびリグニンスルホン酸ナトリウムのうちの1種または複数種の組合せを用いて対応する反応を実施することもできる。
【0161】
本実施例において、硫酸ナトリウムの代わりに、第三リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよび塩化ナトリウムのうちの1種または複数種の組合せを用いて対応する反応を実施することもできる。
【0162】
本実施例において、ジビニルベンゼンの代わりに、エチレングリコールジエチルジアリルエステル、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートのうちの1種または複数種の組合せを用いて対応する反応を実施することもできる。
【0163】
本実施例において、シクロヘキサノールの代わりに、イソプロパノール、n-ブタノール、200#ソルベントナフサ、トルエン、キシレン、酢酸エチル、n-オクタンおよびイソオクタンのうちの1種または複数種の組合せを用いて対応する反応を実施することもできる。
【0164】
実施例15
、R、R、R10、R11、R12およびR13がHであり、Rが-CHである場合、式(404-2)で表される構造となる。
【化33】
式(404-2)
【0165】
本実施例に係る第1の単量体は、式(404-2)で示される化合物で構成されるものである。
【0166】
第1のアミン塩は、式(208-1)で示される化合物であり、第2のアミン塩は、トリプロピルアミン塩酸塩である。
【0167】
水相500gの調製:リグニンスルホン酸ナトリウム2.5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5g、硫酸ナトリウム25g、塩化ナトリウム25gを量り取り、残量を水とした。
【0168】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を380rpmに制御し、窒素ガスを導入し続けることにより脱酸素した。窒素ガス導入による脱酸素を10分間行った後、式(404-2)で示される化合物71.1g、ジビニルベンゼン117g、トルエン138g、ベンゾイルパーオキサイド5.1gを、三つ口フラスコに加え、窒素ガスを導入し続け、室温で10分間撹拌した後、重合温度120℃まで昇温させ、10時間反応させ、続いて150℃まで昇温させ、12時間反応させ、室温まで冷却して洗浄し、抽出して乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0169】
ピリジンである第第1の樹脂(平均粒子径10μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよび式(208-1)で示される化合物100gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を150℃に制御し、800rpmで撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミドを溶剤として用いて、縮合反応を72時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂D3-1を計21.03g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、トリプロピルアミン塩酸塩105gを加え、メタノールを溶剤として用いて、温度を50℃に制御し、200rpmで撹拌し、縮合反応を12時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノール、アセトンのいずれを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号D3の本発明に係る多機能性樹脂を計21.90g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.82mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約1.91*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の17.4%であった。本実施例における多機能性樹脂の繰り返し単位数は500~800の範囲であった。
【0170】
実施例16
、R、R、R10、R11、R12およびR13がHであり、Rが-CHである場合、式(404-2)で表される構造となる。
【化34】
式(404-2)
【0171】
本実施例に係る第1の単量体は、式(404-2)で示される化合物である。
【0172】
第1のアミン塩は、ジオクタデシルメチルアミン塩酸塩である。
【0173】
第2のアミン塩は、式(202-2)で示される化合物である。
【0174】
水相500gの調製:ゼラチン5g、活性化リン酸カルシウム1g、塩化ナトリウム7.5gを量り取り、残量を水とした。
【0175】
水相500gを2Lの三つ口フラスコに加え、撹拌回転数を200rpmに制御し、窒素ガスを導入し続けることにより脱酸素した。窒素ガス導入による脱酸素を10分間行った後、式(404-2)で示される化合物71.1g、ジビニルベンゼン19.5g、トルエン27.6g、ベンゾイルパーオキサイド0.6gを、三つ口フラスコに加え、窒素ガスを導入し続け、室温で10分間撹拌した後、重合温度90℃まで昇温させ、10時間反応させ、続いて120℃まで昇温させ、4時間反応させ、室温まで冷却して洗浄し、抽出して乾燥させ、第1の樹脂を得た。
【0176】
第1の樹脂(平均粒子径300μm)を合成して選別し、第1の樹脂20gおよびジオクタデシルメチルアミン塩酸塩200gを250mLの三つ口フラスコに入れ、温度を100℃に制御し、501rpmで撹拌し、トルエンを溶剤として用いて、縮合反応を40時間行い、室温まで冷却して濾過し、無水エタノール及び脱イオン水で2回ずつリンスして、第1四級化樹脂D4-1を計21.28g得た。上記第1四級化樹脂を洗浄した250mLの三つ口フラスコに加え、式(202-2)で示される化合物210.3gを加え、エタノールを溶剤として用いて、温度を100℃に制御し、497rpmで撹拌し、縮合反応を40時間行い、冷却して濾過し、ソックスレー抽出を行い(メタノール、エタノールおよびアセトンのうちの1種または複数種の組合せを用いてもよい)、脱イオン水で十分にリンスして、製品番号D4の本発明に係る多機能性樹脂を計22.35g得た。測定したところ、その強アルカリ交換容量は1.95mmol/gであり、多機能性樹脂の表面の電荷密度は約1.87*1023/gであり、多機能性樹脂の表面における窒素の含有量は多機能性樹脂における窒素の総量の15.9%であった。
【0177】
実施例17
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0178】
大腸菌ATCC 8099を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/Lおよび1000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例1で得られた樹脂A0および実施例2で得られた樹脂A1を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0179】
【表1】
【0180】
備考:A0はコントロール群であり(ドデシルジメチルアミンのみによる四級化)、A1は実験群である(ドデシルジメチルアミン塩酸塩+トリエチルアミン塩酸塩による四級化)。
【0181】
実施例18
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0182】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/Lおよび1000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例1で得られた樹脂A0および実施例2で得られた樹脂A1を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0183】
【表2】
【0184】
備考:A0はコントロール群であり(ドデシルジメチルアミンのみによる四級化)、A1は実験群である(ドデシルジメチルアミン塩酸塩+トリエチルアミン塩酸塩による四級化)。
【0185】
実施例19
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0186】
大腸菌ATCC 8099を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、1mg/L、3mg/Lおよび5mg/LのNOM(天然有機物)でコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例1で得られた樹脂A0および実施例2で得られた樹脂A1を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0187】
【表3】
【0188】
備考:A0はコントロール群であり(ドデシルジメチルアミンのみによる四級化)、A1は実験群である(ドデシルジメチルアミン塩酸塩+トリエチルアミン塩酸塩による四級化)。
【0189】
実施例20
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0190】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、1mg/L、3mg/Lおよび5mg/LのNOMでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例1で得られた樹脂A0および実施例2で得られた樹脂A1を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0191】
【表4】
【0192】
備考:A0はコントロール群であり(ドデシルジメチルアミンのみによる四級化)、A1は実験群である(ドデシルジメチルアミン塩酸塩+トリエチルアミン塩酸塩による四級化)。
【0193】
実施例21
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能および汚染物除去性能の評価を行った。
【0194】
実験用菌液を実際の水域に変更し(水質パラメータ:TOC 2.10mg/L;NO 0.41mg/L;Cl 68mg/L;SO 2- 55mg/L)、実際の水域を10L取り、それぞれ実施例1で得られた樹脂A0および実施例2で得られた樹脂A1を50gずつ加え、続いて、200rpm、20±1℃で60分間撹拌し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0195】
【表5】
【0196】
【表6】
【0197】
実施例22
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂による実際の飲料水における病原菌および汚染物の除去効果の評価を行った。
【0198】
ある上水道からの砂ろ過水を採用し(水質パラメータ:TOC 3.30mg/L;NO 1.52mg/L;Cl 48mg/L;SO 2- 27mg/L)、実際の水域を10L取り、その後、それぞれ実施例1で得られた樹脂A0および実施例2で得られた樹脂A1を50gずつ加え、続いて、200rpm、20±1℃で60分間撹拌し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0199】
【表7】
【0200】
【表8】
【0201】
【表9】
【0202】
【表10】
【0203】
実施例23
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0204】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/Lおよび1000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例7で合成した樹脂B3を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0205】
【表11】
【0206】
実施例24
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0207】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/Lおよび1000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例10で合成した樹脂C2を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0208】
【表12】
【0209】
実施例25
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0210】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/Lおよび1000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例12で合成した樹脂C4を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0211】
【表13】
【0212】
実施例26
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0213】
緑膿菌ATCC 15442を採用し、ニュートリエントブロスで培養した後、濃度0mg/L、100mg/Lおよび1000mg/LのClでコロニー数10CFU/mLまで希釈し、調製した実験用菌液100mLを250mLの三角フラスコに入れ、それぞれ実施例15で合成した樹脂D3を0.5gずつ加え、続いて200rpm、20±1℃に設定されたシェーカーに60分間放置し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0214】
【表14】
【0215】
実施例27
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂の殺菌性能の評価を行った。
【0216】
本実施例では、四級アンモニウム塩樹脂による実際の飲料水における病原菌および汚染物の除去効果の評価を行った。
【0217】
ある上水道からの砂ろ過水を採用し(水質パラメータ:TOC 2.85mg/L;NO 1.38mg/L;Cl 65mg/L;SO 2- 34mg/L)、実際の水域を10L取り、その後、それぞれ実施例3、7、10および14で合成した樹脂A2、B3、C2およびD2を50gずつ加え、続いて、200rpm、20±1℃で60分間撹拌し、最後に、それぞれ100μl取ってスプレッドプレートカウントを行い、各四級アンモニウム塩の殺菌効率を計算した。評価結果を以下の表にまとめる。
【0218】
【表15】
【0219】
【表16】
【0220】
【表17】
【0221】
【表18】
図1
図2
図3
図4
図5
図6