(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018040091
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-158691(JP,A)
【文献】特許第7064754(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の報知箇所、および、当該複数の報知箇所のそれぞれに対応づけられたものであって当該複数の報知箇所よりも前に設定される事前箇所を含む
とともに、ある前記事前箇所の後が対応する前記報知箇所となるように前記事前箇所と前記報知箇所が交互に訪れる演出であって、遊技者に有利な有利事象が発生する場合には前記複数の報知箇所のいずれかにて成功演出が発生して当該有利事象が発生することを報知する一方、当該有利事象が発生しない場合には当該複数の報知箇所のいずれにおいても当該成功演出が発生しない特定演出を実行する演出実行手段を備え、
前記有利事象が発生する場合であっても、前記特定演出における前記複数の報知箇所のうちの最後である特定報知箇所以外の一または複数の通常報知箇所については、対応する前記事前箇所にて所定条件が満たされない限り、前記成功演出が発生しないことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記事前箇所は、遊技者に対して操作手段の操作が要求される操作演出を含むものであり、
前記通常報知箇所については、対応する前記事前箇所における前記操作演出での前記操作手段の操作が条件を満たすものとならない限り、前記成功演出が発生しないことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機において、当否判定結果等、遊技者に有利な事象が発生することの報知タイミングは、遊技の趣向性を左右する重要な要素である。下記特許文献1等に記載されるように、当該報知タイミングの制御に関する技術が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、複数の報知箇所、および、当該複数の報知箇所のそれぞれに対応づけられたものであって当該複数の報知箇所よりも前に設定される事前箇所を含み、遊技者に有利な事象が発生する場合には、前記複数の報知箇所のいずれかにて当該事象が発生することを報知する特定演出を実行する演出実行手段を備え、前記事前箇所にて所定条件が満たされない限り、当該事前箇所に対応する報知箇所にて遊技者に有利な事象が発生することの報知がなされないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置の表示領域に表示される識別図柄と保留画像を示した図である。
【
図7】第一具体例を説明するための図(その一)である。
【
図8】第一具体例を説明するための図(その二)である。
【
図9】第一具体例を説明するための図(その三)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する発射通路50を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、識別図柄80(
図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。
【0015】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(識別図柄80の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留画像70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留画像70が表示装置91の表示領域911に表示される(
図2参照)。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。当否判定結果の報知は完了していないが、既に当否判定結果を報知する演出(識別図柄80の変動)が開始されているもの(いわゆる当該変動)に対応する保留画像70も表示される。以下では、当否判定結果を報知する演出が開始されていないものに対応する保留画像70を未変動画像101と、当否判定結果を報知する演出が開始されているものに対応する保留画像70を当該変動画像102と称することもある。保留画像70は、静止画であってもよいし動画であってもよい。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1は、当否判定結果を報知する報知演出(対応する当否判定結果を報知する識別図柄の変動開始から変動が停止するまでの演出のことをいう)の一部として発生しうる特定演出を実行する手段を備える。以下、当該特定演出について詳細に説明する。
【0018】
特定演出は、複数の報知箇所20および当該複数の報知箇所20のそれぞれに対応づけられた事前箇所10を含む。各事前箇所10は、対応する報知箇所20よりも前に設定される(発生する)部分である。本実施形態における特定演出は、四つの報知箇所20および各報知箇所20に対応する四つの事前箇所10を含む。以下、四つの報知箇所20を第一報知箇所21~第四報知箇所24と、第一報知箇所21~第四報知箇所24のそれぞれに対応する四つの事前箇所10を第一事前箇所11~第四事前箇所14と称することもある。特定演出が最後まで実行される場合、第一事前箇所11(最初)、第一報知箇所21、第二事前箇所12、第二報知箇所22、第三事前箇所13、第三報知箇所23、第四事前箇所14、第四報知箇所24(最後)の順で各箇所に到達することになる(
図3参照)。つまり、特定演出は、一つの事前箇所10と報知箇所20を一組として、段階的に進行する演出(本実施形態では最大四段階の演出)であるとみることもできる(
図4参照)。
【0019】
報知演出にて特定演出が発生する場合、対応する当否判定結果は当該特定演出において報知されることになる。具体的には、第一報知箇所21~第四報知箇所24のいずれかにて当否判定結果が報知されることになる。演出の内容を決定する演出制御手段(演出制御用の基板に構築された回路)は、当否判定結果を第一報知箇所21~第四報知箇所24のいずれにて報知するかを前もって抽選により決定する(以下、当該抽選を内部抽選と称することもある)。ただし、後述するように、当該内部抽選により決定された報知箇所20にて必ず実際に当否判定結果の報知が行われるとは限らない。内部抽選による決定は、「仮の決定」であるとみることもできる。
【0020】
本実施形態の特定演出は、事前箇所10にて、遊技者に対して操作手段50(
図1参照)の操作が促される。操作手段50の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態における操作手段50は押しボタンである。また、本実施形態の特定演出では、遊技者に対し、操作手段50を一回操作すること(単操作すること)が求められる(
図4(a)等参照)。ただし、これはあくまで一例である。操作手段50を連続操作(いわゆる連打)することを求めるものとしてもよいし、操作手段50を維持操作(いわゆる長押し)することを求めるものとしてもよい。操作手段50の操作の有無は、図示されないセンサにより検出される。各事前箇所10においては、操作手段50の操作が有効となる操作有効期間が設定される。また、当該操作有効期間の残り時間(経過時間)を示す表示(メータ等の表示)がなされる。また、遊技者に対して求める操作手段50の操作態様を示す表示(例えば「押せ」等の文字の表示)がなされる(
図4(a)等参照)。
【0021】
特定演出にて当否判定結果が大当たりであることの報知が行われることが決定された場合、いずれかの報知箇所20にて当該大当たりであることの報知が行われる。当該報知態様はどのようなものであってもよい。例えば、報知箇所20にて実行されることがある演出として成功演出と失敗演出が設定され、当否判定結果が大当たりとなる場合にはいずれかの報知箇所20にて当該成功演出(
図4(b)参照)が実行される。一方、当否判定結果がはずれとなる場合には、全ての報知箇所20にて失敗演出が実行される。なお、当否判定結果が大当たりとなる場合であっても、成功演出が実行される報知箇所20よりも前の報知箇所20においては失敗演出(
図4(c)参照)が実行される。また、成功演出として発生しうる演出として複数種の演出が設定されていてもよい。同様に失敗演出として発生しうる演出として複数種の演出が設定されていてもよい。また、各報知箇所20にて発生しうる成功演出、失敗演出の態様が異なっていてもよい(各報知箇所20専用の成功演出、失敗演出が設定される)。
【0022】
以下、特定演出にて当否判定結果が大当たりであることの報知が行われることが決定された場合の制御態様について説明する。以下では、事前箇所10(後述する対象事前箇所10T)にて所定条件(後述)が満たされた場合の制御(基本制御)と、当該所定条件が満たされなかった場合の制御態様(特殊制御)について説明する。
【0023】
上記内部抽選にて、第一報知箇所21~第三報知箇所23のいずれかにて、当否判定結果が大当たりであることが報知されることが決定(特殊制御時には、当該報知箇所20にて大当たりの報知が行われないから、当該決定を以下「仮決定」と称することもある)されたとする(以下、当該内部抽選により大当たりが報知される箇所として仮決定された報知箇所20を、対象報知箇所20Tと称することもある)。この場合、対象報知箇所20Tに対応する事前箇所10(以下、対象事前箇所10Tと称することもある)にて、所定条件が満たされた場合には、当該対象報知箇所20Tにて大当たりであることが報知される。本実施形態では上記所定条件の成立として「操作有効期間中に操作手段50が単操作されたこと(単操作が検出されたこと)」が設定されている(以下、特に明示した場合を除き、単に操作というときは「単操作」のことをいうものとする)。つまり、対象事前箇所10Tにて操作手段50が操作された場合には、対象報知箇所20Tにて当否判定結果が大当たりとなることが報知される。
【0024】
図5に示す例を用いて基本制御を説明する。内部抽選により、第二報知箇所22が対象報知箇所20Tとして仮決定されたとする。この場合、対象事前箇所10Tである第二事前箇所12よりも前の事前箇所10、すなわち第一事前箇所11において操作手段50の操作が促されるものの、第一事前箇所11において操作有効期間中に操作手段50が操作されたとしても、第一報知箇所21において当否判定結果が大当たりであることは報知されない。当然ではあるが、操作手段50が操作されない場合も同様に当否判定結果が大当たりであることは報知されない(操作有効期間の経過を契機として失敗演出が実行される)。このように、対象報知箇所20Tとされなかった第一報知箇所21では、操作手段50の操作の有無に拘わらず失敗演出が実行される。そして、対象事前箇所10Tである第二事前箇所12おいて操作有効期間中に操作手段50が操作されたときには、所定条件が満たされたものとして、対象報知箇所20Tである第二報知箇所22にて当否判定結果が大当たりであることが報知される。つまり、第二報知箇所22にて成功演出が実行される。
【0025】
上記のような制御は、第一報知箇所21や第三報知箇所23が対象報知箇所20Tとして設定された場合も同様である。一方、第四報知箇所24が大当たりを報知する対象報知箇所20Tとして設定された場合、対象事前箇所10Tである第四事前箇所14において操作有効期間中に操作手段50が操作されれば、当然第四報知箇所24にて大当たりの報知がなされるし、操作有効期間中に操作手段50が操作されなくても当該操作有効期間の経過を契機として大当たりの報知がなされる。
【0026】
つまり、複数の報知箇所20のうちの最後の報知箇所20(本実施形態では第四報知箇所24)を特定報知箇所20sとし、それ以外の報知箇所20(本実施形態では第一報知箇所21~第三報知箇所23)を通常報知箇所20nとする(
図3参照)と、通常報知箇所20nが対象報知箇所20Tとして設定された場合には対象事前箇所10Tにて操作手段50の操作がなされることを条件として当該対象報知箇所20Tにて大当たりの報知が発生するようにするのが基本制御である。
【0027】
特定報知箇所20sが対象報知箇所20Tとして設定された場合には操作手段50の操作がなされるか否かに拘わらず当該対象報知箇所20Tにて大当たりの報知が発生するということになる。
【0028】
図6に示す例を用いて特殊制御を説明する。上記内部抽選にて、通常報知箇所20n(第一報知箇所21~第三報知箇所23のいずれか)が対象報知箇所20Tとして仮決定されたとする。この場合、対象事前箇所10Tの操作有効期間中に操作手段50の操作がなされなかった場合(所定条件が満たされなかった場合)には、対象報知箇所20Tでは当否判定結果が大当たりであることの報知はなされないようにするのが特殊制御である。
【0029】
つまり、対象報知箇所20Tとして通常報知箇所20nが仮決定されたとき、対象事前箇所10Tの操作有効期間中に操作手段50の操作がなされた場合には当該対象報知箇所20Tにおいて大当たりの報知がなされる(基本制御)ものの、対象事前箇所10Tの操作有効期間中に操作手段50の操作がなされなかった場合には当該対象報知箇所20Tにおいて大当たりの報知がなされない(特殊制御)。
【0030】
本実施形態では、特殊制御が実行されたときには、特定報知箇所20s(第四報知箇所24)にて当否判定結果が大当たりであることの報知がなされる。特定報知箇所20sに対応する事前箇所10(第四事前箇所14)において操作手段50の操作がなされた場合にはそれを契機として、操作手段50の操作がなされなかった場合には操作有効期間の経過を契機として大当たりの報知が行われる。つまり、仮決定された報知箇所20(通常報知箇所20n)ではなく、最後の報知箇所20(特定報知箇所20s)にて大当たりであることの報知がなされるものとする。なお、対象報知箇所20Tとして設定された通常報知箇所20n以外の通常報知箇所20nにおいては、操作手段50の操作の有無に拘わらず、大当たりであることの報知がなされることはない。例えば、対象報知箇所20Tとして第二報知箇所22が設定された場合には、第一報知箇所21や第三報知箇所23にて大当たりの報知が行われることはない。
【0031】
なお、通常報知箇所20nにて大当たりの報知がなされる(基本制御実行時)ということは、換言すれば、特定演出の途中段階にて当該報知がなされるということである。対象報知箇所20Tとして通常報知箇所20n(第一報知箇所21~第三報知箇所23)のいずれかが設定された場合には、当該対象報知箇所20Tとして設定された通常報知箇所20nにて大当たりの報知がなされる(基本制御実行時)か、特定報知箇所20s(第四報知箇所24)にて大当たりの報知がなされる(特殊制御実行時)かは、遊技者が操作手段50を操作するか否かに依存する。つまり、大当たりの報知タイミングは決まっておらず、
図5、
図6を比較すれば分かるように、基本制御実行時の大当たりの報知タイミング(以下、第一タイミングとする)は、特殊制御実行時の大当たり報知タイミング(以下、第二タイミングとする)よりも早くなる。したがって、報知演出の時間(識別図柄の変動開始から停止までのいわゆる図柄変動時間)を同じにするために、基本制御実行時には大当たりが報知されてから第二タイミングに至るまでの時間(第一タイミングから第二タイミングまでの時間)を埋める演出(補完演出)が実行されることになる(
図5参照)。当該演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、複数の報知箇所20のうちの最後の報知箇所20(特定報知箇所20s)を除く報知箇所20(通常報知箇所20n)については、対応する事前箇所10において所定条件が満たされた状態とならなければ当該報知箇所20において大当たりの報知がなされることがないという面白みのある演出態様を構築することが可能である。
【0033】
本実施形態のように、操作手段50の操作が要求通り操作されることが「所定条件の成立」として設定されているのであれば、遊技者が積極的に演出に関与した場合には特定演出の途中段階(通常報知箇所20n)にて大当たりの報知がなされ、遊技者が演出に関与しなかった場合には特定演出の途中段階での報知が発生しない(最後の報知箇所20にて報知が発生する)という演出態様となる。
【0034】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0035】
○第一具体例
上記実施形態では、特殊制御が実行される場合、最後の報知箇所20である特定報知箇所20sにて大当たりの報知がなされることを説明したが、特定報知箇所20sで報知がなされるとは限られない構成としてもよい。具体的には、対象報知箇所20Tとして仮決定された報知箇所20(通常報知箇所20n)に対応する事前箇所10において操作手段50の操作がなされなかった(所定条件が満たされなかった)場合、次の報知箇所20に対応する事前箇所10において操作手段50の操作がなされたときには、当該報知箇所20において大当たりの報知がなされるようにする。
【0036】
例えば、内部抽選により、第一報知箇所21が対象報知箇所20Tとして決定され、第一事前箇所11においては操作手段50の操作がなされずに、当該第一報知箇所21では大当たりの報知がなされなかったものとする。その後、第二事前箇所12において操作手段50の操作がなされた場合には、それに対応する第二報知箇所22にて大当たりの報知がなされる(
図7参照)。さらに、第二事前箇所12にて操作手段50の操作がなされなかった場合には、それに対応する第二報知箇所22にて大当たりの報知がなされないが、その後、第三事前箇所13において操作手段50の操作がなされた場合には、それに対応する第三報知箇所23にて大当たりの報知がなされる(
図8参照)。そして、第三事前箇所13にて操作手段50の操作がなされずに第三報知箇所23にて大当たりの報知がなされなかった場合には、第四事前箇所14にて操作手段50の操作がなされるか否かに拘わらず、第四報知箇所24にて大当たりの報知がなされる(
図9参照)。
【0037】
このように、ある事前箇所10にて操作手段50の操作がなされなかったがゆえにそれに対応する報知箇所20にて大当たりの報知がなされなかった場合(特殊制御実行時)には、その事前箇所10の次の事前箇所10にて操作手段50の操作がなされるか否かに応じてそれに対応する報知箇所20にて大当たりの報知がなされるか否かが決まるように構成されていてもよい。
【0038】
本例のような構成とすれば、遊技者は、次のような楽しみ方もできる。例えば、上記実施形態のように第一報知箇所21~第四報知箇所24が設定された構成において、第一事前箇所11や第二事前箇所12では操作手段50を操作せず、第三事前箇所13で操作手段50を操作したとする。この場合には、予め内部抽選により第三報知箇所23が対象報知箇所20Tとして仮決定されたケースが発生したときでなく、第一事前箇所11や第二事前箇所12が対象報知演出として仮決定されたケースが発生したときにも、第三事前箇所13での操作を契機として成功演出が発生することになる。つまり、第一報知箇所21が対象報知箇所20Tとして設定される確率、第二報知箇所22が対象報知箇所20Tとして設定される確率、第三報知箇所23が対象報知箇所20Tとして設定される確率を全て集約させ、第三事前箇所13での操作を契機として第三報知箇所23にて大当たりであるか否か(成功演出が発生するどうかか)が示される態様となる。すなわち、一の特定演出においてはじめて操作手段50を操作するタイミングを後半にするほど(後半の事前箇所10にするほど)、当該操作を契機として成功演出が発生する蓋然性が高まるという面白みのある演出態様とすることが可能である。
【0039】
○第二具体例
上記実施形態では、事前箇所10の操作有効期間中に操作手段50が操作されることが「所定条件の成立」として設定されていることを説明したが、当該所定条件は種々の観点から設定することが可能である。
【0040】
例えば、遊技者の身体の一部を検出可能なセンサを設け、事前箇所10において遊技者が自らの手等を当該センサの検出範囲に差し入れることを「所定条件の成立」として設定することが考えられる。また、事前箇所10において遊技球の発射を促し、遊技球が所定の領域に遊技球が進入することを「所定条件の成立」として設定することが考えられる。つまり、遊技者の行為に起因して成立するような条件を所定条件として設定すればよい。
【0041】
○第三具体例
上記実施形態では、特定演出により、当否判定結果(大当たりか否か)が報知されることを説明したが、これに限られるものではない。特定演出により、遊技者に有利な事象が発生するか否かが報知されるものであればよい。例えば、特定演出の結末として成功結末と失敗結末が設定されており、成功結末となった場合には、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まる構成としてもよい。
【0042】
○第四具体例
内部抽選により大当たりを報知する対象報知箇所20Tとして、特定報知箇所20s(上記実施形態でいう第四報知箇所24)が仮決定されない構成とする。つまり、通常報知箇所20n(上記実施形態でいう第一報知箇所21~第三報知箇所23)のみが、対象報知箇所20Tとされる可能性があるものとする。このような構成とすれば、特定報知箇所20sにて大当たりが報知されるのは、対象報知箇所20Tに対応する対象事前箇所10Tにおいて操作手段50が操作されなかった場合(所定条件が満たされなかった場合)に限られる。すなわち、特定報知箇所20sにおける大当たりの報知は、基本制御が行われるときには発生しないものとし、特殊制御が行われるとき限定で発生するものとなるから、敢えて通常報知箇所20nに対応する事前箇所10にて操作手段50を操作せずに、特定報知箇所20sにおける報知に期待するという楽しみ方が提供できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0044】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0045】
・手段1
複数の報知箇所、および、当該複数の報知箇所のそれぞれに対応づけられたものであって当該複数の報知箇所よりも前に設定される事前箇所を含み、遊技者に有利な事象が発生する場合には、前記複数の報知箇所のいずれかにて当該事象が発生することを報知する特定演出を実行する演出実行手段を備え、
前記特定演出における前記複数の報知箇所のうちの最後である特定報知箇所以外の一または複数の通常報知箇所については、対応する前記事前箇所にて所定条件が満たされない限り、遊技者に有利な事象が発生することの報知がなされないことを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、遊技者に有利な事象が発生するタイミング(報知箇所)が変化しうるから、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0046】
・手段2
遊技者が操作可能な操作手段を備え、
前記事前箇所は、遊技者に対し、前記操作手段の操作が要求されるものであり、
前記通常報知箇所については、対応する前記事前箇所における前記操作手段の操作が要求される通りのものとならない限り、遊技者に有利な事象が発生することの報知がなされないことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このような構成とすれば、操作手段の操作意欲を向上させることが可能である。
【0047】
・手段3
前記所定条件が満たされた場合にはある前記通常報知箇所において遊技者に有利な事象が発生することの報知がなされることが決定されたものの、当該ある通常報知箇所に対応する前記事前箇所にて前記所定条件が満たされずに当該事象が発生することの報知がなされなかったとき、当該ある通常報知箇所の次の通常報知箇所に対応する前記事前箇所にて前記所定条件が満たされた場合には、当該次の通常報知箇所にて当該事象が発生することの報知がなされることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、本来であれば有利な事象の発生についての報知がなされる報知箇所において報知がなされなかった場合には、次の報知箇所において報知がなされる可能性がある構成とすることで、報知タイミングが種々変化しうるものとすることが可能である。
【0048】
・手段4
前記所定条件が満たされた場合にはある前記通常報知箇所において遊技者に有利な事象が発生することの報知がなされることが決定されたものの、当該ある通常報知箇所に対応する前記事前箇所にて前記所定条件が満たされずに当該事象が発生することの報知がなされなかったときには、前記特定報知箇所にて当該事象が発生することの報知がなされることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、本来であれば有利な事象の発生についての報知がなされる報知箇所において報知がなされなかった場合には、最後の報知箇所である特定報知箇所において報知がなされる構成とすることで、最後の報知箇所での報知に期待がもてる遊技性とすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 遊技機
10 事前箇所
11~14 第一事前箇所~第四事前箇所
10T 対象事前箇所
20 報知箇所
21~24 第一報知箇所~第四報知箇所
20n 通常報知箇所
20s 特定報知箇所
20T 対象報知箇所
50 操作手段
91 表示装置
911 表示領域