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特許7153334保持具およびその保持具を用いた耳式体温計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】保持具およびその保持具を用いた耳式体温計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20221006BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20221006BHJP
【FI】
A61B5/01 350
G01J5/00 101G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019002521
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020110288
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500374294
【氏名又は名称】株式会社バイオエコーネット
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204048(WO,A1)
【文献】特開2006-102161(JP,A)
【文献】米国特許第05469855(US,A)
【文献】特開平06-319705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
G01J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測温対象者の耳の鼓膜の温度を非接触で測定する赤外線センサを有し、前記測温対象者の耳穴に装着される耳式体温計の保持具であって、
前記耳式体温計の少なくとも一部を覆うように装着される保持具本体と、
該保持具本体から外側に湾曲して延伸され、前記測温対象者の耳甲介艇と係合可能な可撓性の係合腕と、
前記保持具本体から延伸され、前記係合腕と接合して支持する可撓性の支持部と
を備え
前記係合腕と前記支持部との交点の内側には、可撓性の接合部が形成されていることを特徴とする耳式体温計の保持具。
【請求項2】
前記係合腕の一部は、前記測温対象者の耳甲介腔と当接可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の耳式体温計の保持具。
【請求項3】
前記係合腕の先端には、切取り可能な突起部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耳式体温計の保持具。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の耳式体温計の保持具を用いることを特徴とする耳式体温計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測温対象者の体温を測定する体温計を耳に保持する保持具およびその保持具を用いた耳式体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば手術室や集中治療室等では、施術中の測温対象者の体温測定は必須である。
【0003】
また、例えば長時間に亘って身体的負担が大きな作業を行う労働者や、各種競技を行うアスリート等についても体調管理の一環として、体温測定が必要な場合がある。
【0004】
このような患者、労働者、アスリート等の測温対象者の体温の測定は、長時間にわたり連続して測定する必要があるため身体への負担が少ないことが重要である。
【0005】
このような要求に応える体温計として、プローブを測温対象者の耳穴に挿入して鼓膜の温度を測定する耳式体温計が種々提案されている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-293466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、耳式体温計は、鼓膜から発せられている赤外線を赤外線センサで検出することで、体温を測定している。
【0008】
したがって、体温を正確に測定するためには、赤外線センサの測定部が鼓膜側を向くように耳式体温計が外耳道内で保持されることが必要である。
【0009】
ところが、測温対象者の頭部の動きによっては、耳式体温計の位置が外耳道内でズレて、赤外線センサの測定部が鼓膜側を正確に指向しなくなる場合がある。
【0010】
特に、各種作業を行う労働者や各種競技を行うアスリート等が耳式体温計を装着する場合には、激しい動きにより、耳式体温計の位置が外耳道内で大きくズレてしまう虞があり、正確な体温測定を行うことができないという不都合がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、鼓膜からの赤外線を効率的に受け取り可能な状態で安定して保持することのできる保持具およびその保持具を用いた耳式体温計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に係る耳式体温計の保持具は、測温対象者の耳の鼓膜の温度を非接触で測定する赤外線センサを有し、前記測温対象者の耳穴に装着される耳式体温計の保持具であって、前記耳式体温計の少なくとも一部を覆うように装着される保持具本体と、該保持具本体から外側に湾曲して延伸され、前記測温対象者の耳甲介艇と係合可能な可撓性の係合腕と、前記保持具本体から延伸され、前記係合腕と接合して支持する可撓性の支持部とを備えることを要旨とする。
【0013】
これにより、耳式体温計を鼓膜からの赤外線を効率的に受け取り可能な状態で安定して保持することができる。
【0014】
請求項2に係る耳式体温計の保持具は、請求項1に記載の発明について、前記係合腕と前記支持部との交点の内側には、可撓性の接合部が形成されていることを要旨とする。
【0015】
これにより、耳式体温計の耳への保持性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に係る耳式体温計の保持具は、請求項1または請求項2に記載の発明について、前記係合腕の一部は、前記測温対象者の耳甲介腔と当接可能に形成されていることを要旨とする。
【0017】
これにより、耳式体温計の耳への保持性をより向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る耳式体温計の保持具は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明について、前記係合腕の先端には、切取り可能な突起部が設けられていることを要旨とする。
【0019】
これにより、種々の大きさの耳に対応させて、保持性をより向上させることができる。
【0020】
請求項5に係る耳式体温計の保持具は、測温対象者の耳の鼓膜の温度を非接触で測定する赤外線センサを有し、前記測温対象者の耳穴に装着される耳式体温計の保持具であって、前記耳式体温計の少なくとも一部を覆うように装着される保持具本体と、該保持具本体から外側に環状に突出し、前記測温対象者の耳甲介腔と係合可能な可撓性の係合腕を備えることを要旨とする。
【0021】
これにより、左右の耳に共用することができ、保持性と共に利便性を向上することができる。
【0022】
請求項5に係る耳式体温計は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の耳式体温計の保持具を用いることを要旨とする。
【0023】
これにより、保持具の働きにより、鼓膜からの赤外線を効率的に受け取り可能な状態で安定して保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、鼓膜からの赤外線を効率的に受け取り可能な状態で安定して保持することのできる保持具およびその保持具を用いた耳式体温計計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態に係る保持具を取り付けた耳式体温計を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る保持具を外した状態の耳式体温計を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る保持具の上面図である。
図4】第1の実施の形態に係る保持具の側面図である。
図5】第1の実施の形態に係る保持具の正面図である。
図6】第1の実施の形態に係る保持具の底面図である。
図7】第1の実施の形態に係る保持具を外した状態の耳式体温計の構成例を示す右側面(a)、底面図(b)および正面図(c)である。
図8】第1の実施の形態に係る保持具を取り付けた耳式体温計を耳に装着した状態を示す説明図である。
図9】第2の実施の形態に係る保持具を示す側面図(a)、上面図(b)、正面図(c)および底面図(d)である。
図10】第2の実施の形態に係る保持具を取り付けた耳式体温計を耳に装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施の形態]
図1図8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る保持具F1およびその保持具を用いた耳式体温計Eについて説明する。
【0027】
ここで、図1は第1の実施の形態に係る保持具F1を取り付けた耳式体温計Eを示す斜視図、図2は保持具F1を外した状態の耳式体温計Eを示す斜視図、図3は保持具F1の上面図、図4はその側面図、図5はその正面図、図6はその底面図、図7(a)は保持具F1を外した状態の耳式体温計Eの構成例を示す右側面、図7(b)はその底面図、図7(c)はその正面図、図8は保持具F1を取り付けた耳式体温計Eを耳に装着した状態を示す説明図である。
【0028】
(保持具の構成例)
第1の実施の形態に係る保持具F1は、患者、労働者或いはアスリート等の測温対象者の耳500の鼓膜の温度を非接触で測定する赤外線センサ(図示せず)を有し、測温対象者の耳穴に装着される耳式体温計Eの保持具である。
【0029】
図1図8に示すように、保持具F1は、耳式体温計Eのハウジング10の一部を覆うように装着される保持具本体205と、保持具本体205から外側に湾曲して延伸され、測温対象者の耳甲介艇504(図8参照)と係合可能な可撓性の係合腕201と、保持具本体205から延伸され、係合腕201と接合して支持する可撓性の支持部202とを備えている。
【0030】
なお、保持具F1は、シリコンゴム等の柔軟で可撓性を有する材料により、一体的に成形されている。
【0031】
また、係合腕201と支持部202との交点の内側には、可撓性の接合部201aが一体的に形成されている。
【0032】
さらに、係合腕201の一部は、測温対象者の耳甲介腔501と当接可能に形成されている。
【0033】
また、図1等に示すように、係合腕201の先端には、切取り可能な突起部203を設けてもよい。これにより、人によって異なる種々の大きさの耳に広く対応させて、保持性をより向上させることができる。
【0034】
なお、図3等において、符号204は、耳式体温計Eのケーブル13の挿通部である。
【0035】
(耳式体温計の構成例)
耳式体温計Eは、図7に示すように、測温対象者の耳500の鼓膜の温度を非接触で測定する赤外線センサ(図示せず)を有し、測温対象者の耳穴に装着されるプローブPBを備えている。
【0036】
プローブPBは、主に、測温対象者の耳穴に挿入されるプローブ本体(図には現れない)と、プローブ本体を支持するハウジング10と、プローブ本体に装着され、測温対象者の耳穴内部に当接するインイヤ型のイヤピース12とから構成されている。
【0037】
ハウジング10およびプローブ本体は、ABS樹脂等によって成形される。なお、ハウジング10とプローブ本体は、一体的に成形してもよい。
【0038】
赤外線センサは、プローブ本体の先端側に形成される凹部内に配置されている。
【0039】
イヤピース12は、一部が中空の円錐状を呈する基底部12aと、基底部12aの一端に、ハウジング10から離間する方向に延設される略円筒状の先端部12bとを有する。
【0040】
なお、基底部12aと先端部12bとは、シリコンゴム等の柔軟な可撓性材料により一体的に形成される。また、符号11はツマミ部、符号120、外部音等を通す孔である。
【0041】
このような構成の耳式体温計Eは、単独でも測温対象者の耳穴に安定して保持可能であるが、本実施の形態に係る保持具F1を取り付けることにより、鼓膜からの赤外線を効率的に受け取り可能な状態でより安定して保持することができる。
【0042】
(装着例)
図8を参照して、第1の実施の形態に係る保持具F1を取り付けた耳式体温計Eを耳に装着した状態について説明する。
【0043】
図8に示すように、保持具F1の係合腕201は、測温対象者の右耳500の耳甲介艇504に係合されている。この際に、支持部202および接合部201aの弾性により、係合腕201は図上、上方に付勢される。これにより、耳式体温計Eは、安定して保持される。
【0044】
また、係合腕201の一部は、耳甲介腔501と当接する。これにより、耳式体温計Eは、より安定して保持される。
【0045】
ここで、保持具F1のサイズについて述べる。
【0046】
図8に示すように、縦方向の外耳孔中心線506から耳甲介腔501の端部までの距離をL1、横方向の外耳孔中心線505から耳甲介艇504の端部までの距離をL2、耳甲介腔501の端部から係合腕201の先端部203までの距離をL3とした場合に、L1~L3のサイズを耳の大きさに合わせて決定して組み合わせることにより、例えば、L、M、Sの3サイズを用意することができる。
【0047】
なお、寸法L3については、先端部203を設けることにより、若干長めに設計し、耳の大きさに応じて先端部203を切り取ることができるようにすることで、サイズ数を余り増やすことなく、種々の大きさの耳に対応させることができる。
【0048】
また、図8では、保持具F1を取り付けた耳式体温計Eを測温対象者の右耳500に装着する状態を示したが、保持具F1の係合腕201の取り付け状態等を変更した左耳対応モデルを用意して、左耳に装着できる態様とすることもできる。
【0049】
[第2の実施の形態]
図9および図10を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る保持具F2およびその保持具を用いた耳式体温計Eについて説明する。
【0050】
ここで、図9(a)は、第2の実施の形態に係る保持具F2を示す側面図、図9(b)はその上面図、図9(c)はその正面図、図9(d)はその底面図、図10は、保持具F2を取り付けた耳式体温計Eを耳に装着した状態を示す説明図である。
【0051】
第2の実施の形態に係る保持具は、測温対象者の耳500の鼓膜の温度を非接触で測定する赤外線センサ(図示せず)を有し、測温対象者の耳穴に装着される耳式体温計Eの保持具F2である。
【0052】
保持具F2は、耳式体温計のハウジングの少なくとも一部を覆うように装着される保持具本体303と、保持具本体303から外側に環状に突出し、測温対象者の耳甲介腔501と係合可能な可撓性の係合腕301を備える。
【0053】
なお、保持具F2は、シリコンゴム等の柔軟で可撓性を有する材料により、一体的に成形されている。
【0054】
なお、図9において、符号305は、耳式体温計Eのケーブル13の挿通部である。
【0055】
(装着例)
図10を参照して、第2の実施の形態に係る保持具F2を取り付けた耳式体温計Eを耳に装着した状態について説明する。
【0056】
図10に示すように、保持具F2の係合腕301の一部は、耳甲介腔501と係合されている。これにより、耳式体温計Eは、安定して保持される。
【0057】
なお、第2の実施の形態に係る保持具F2は、左右の耳に共用できるので、利便性を向上することができる。
【0058】
また、縦方向の外耳孔中心線506から耳甲介腔501の端部までの距離をL1を変えることにより、例えば、L、M、Sの3サイズを用意することができる。
【0059】
以上、本発明の耳式体温計の保持具等を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0060】
E…耳式体温計
F1、F2…保持具
10…ハウジング
12…イヤピース
201、301…係合腕
202…支持部
203…先端部
205、303…保持具本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10