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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/02 20060101AFI20221006BHJP
   B65B 11/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65B9/02
B65B11/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019062494
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020158190
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-272602(JP,A)
【文献】特開平11-227791(JP,A)
【文献】特開2011-111190(JP,A)
【文献】実開平05-046744(JP,U)
【文献】実開平06-008242(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00-11/58
B65B 43/00-43/62
B65B 47/00-49/16
B65D 30/00-33/38
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/00-85/28
B65D 85/575
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に重ね合わされたフィルム間に物品を所定間隔毎に供給する物品供給手段と、
前記フィルム間に前記物品を挟み込んだ状態で搬送する途中で、前記フィルムの側縁をサイドシールするサイドシール手段と、
前記サイドシール手段の下流側で、前記フィルムを幅方向にシール・カットする手段を備え、
前記フィルムの側縁と前記物品の間の所定位置に、上下の前記フィルムを熱溶着し、包装体内での前記物品の姿勢を保持するためのポイントシール部を形成するポイントシール手段と、
前記フィルムの幅方向にシールされる部位に吊り下げ用の貫通孔を形成する孔開け装置を備え、
前記孔開け装置は、その全体或いは一部の構成を前記フィルムの搬送方向に対して直角方向に移動可能にし、前記フィルムに対する前記貫通孔の形成位置を変更可能に構成し、
前記ポイントシール手段により前記ポイントシール部を形成する場合と、前記ポイントシール手段によるポイントシール部の形成を行わない場合で前記貫通孔の形成位置を異ならせる ことを特徴とする包装機。
【請求項2】
前記ポイントシール部と前記フィルムの側縁との間のフィルム部位を平坦になるように形成することを特徴とする請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記サイドシール手段の下流側に、前記ポイントシール手段を配置することを特徴とする請求項1または2に記載の包装機。
【請求項4】
前記ポイントシール部は、前記フィルムの搬送方向に沿って線状に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の包装機。
【請求項5】
前記包装体は、起立した状態で陳列されるものであり、
前記ポイントシール手段は、前記起立した状態における前記包装体の上方側に対応するフィルム部位には、前記ポイントシール部を形成しないように構成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の包装機。
【請求項6】
前記物品供給手段は、前記物品を前記フィルムに対してフィルム幅方向の中心からずらした位置に供給するようにし、
前記ポイントシール手段は、前記ずらした側と反対側に前記ポイントシール部を形成するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の包装機。
【請求項7】
前記ポイントシール手段の上流側に、前記ポイントシール部を形成するフィルム部位の付近を上下から抑えるフィルム抑え手段を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の包装機。
【請求項8】
前記ポイントシール部を形成しない場合は、前記フィルムの幅方向の中央位置に前記貫通孔を形成し、前記ポイントシール部を形成し、前記ポイントシール部と前記フィルムの一方の側縁との間に前記物品を収容する場合は、前記中央位置から前記物品が収容される側の前記一方の側縁の方向に位置をずらして、前記貫通孔を形成し、前記包装体を吊り下げた状態で前記物品の上方に前記貫通孔が位置するように構成する ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に関するもので、例えば物品を上下からフィルムで挟み込むとともに、フィルムの搬送方向に沿って側縁をサイドシールする機能を備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、例えばボールペンなどの細棒状の物品を収納する包装体の一例を示している。この包装体1は、物品2を透明なフィルムからなる細長な袋体3内に収納した形態をとる。この包装体1は、例えば四方シール包装機で製造され、左右一対の長辺は、溶断シールされ、上下の短辺は、所定のシール幅でシールされたトップシール部4,5が形成される。そして、図示の例では、上側のトップシール部4の中央には貫通孔4aを備える。貫通孔4aは、例えば店舗の陳列棚において、吊り下げて陳列・配置する際に用いる。この種の包装体1を製造する四方シール包装機は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-272602
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、包装体1の袋体3の表面には、例えば、バーコードを設けたり、商品名その他の広告・デザインを印刷したりすることがある。POSシステムでバーコードを読みとるためには、バーコードを所定の大きさ以上にする必要があり、また、広告効果を高めるためには、広告の内容を消費者に認識させる必要があるので、印刷面積を広くしたいという要求がある。
【0005】
そのため、例えば図1に示すように、ボールペンのような細棒状の物品2を1本のみ収納する包装体1の場合、包装体1の横幅(短辺の長さ)は、物品2の横幅に比べて広くなってしまう。よって、例えば、搬送中や店舗での陳列時等において、物品2が袋体3内では遊びが生じ、物品2が斜めの姿勢となるおそれがある。そのように斜めになると、見た目が悪いばかりか、袋体3の表面に皺が発生したり、予期しない位置に膨らみを生じたりしてしまい、袋体3に印刷した内容が読みにくくなったり、バーコードが読み取りにくくなったりするおそれがある。
【0006】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の包装機は、(1)上下に重ね合わされたフィルム間に物品を所定間隔毎に供給する物品供給手段と、前記フィルム間に前記物品を挟み込んだ状態で搬送する途中で、前記フィルムの側縁をサイドシールするサイドシール手段と、前記サイドシール手段の下流側で、前記フィルムを幅方向にシール・カットする手段を備え、前記フィルムの側縁と前記物品の間の所定位置に、上下の前記フィルムを熱溶着し、包装体内での前記物品の姿勢を保持するためのポイントシール部を形成するポイントシール手段と、前記フィルムの幅方向にシールされる部位に吊り下げ用の貫通孔を形成する孔開け装置を備え、前記孔開け装置は、その全体或いは一部の構成を前記フィルムの搬送方向に対して直角方向に移動可能にし、前記フィルムに対する前記貫通孔の形成位置を変更可能に構成し、前記ポイントシール手段により前記ポイントシール部を形成する場合と、前記ポイントシール手段によるポイントシール部の形成を行わない場合で前記貫通孔の形成位置を異ならせるように構成した。
【0008】
このようにすると、包装機で製造された包装体は、サイドシールされるフィルムの側縁と物品との間にポイントシール部を備える。よって、例えば包装体の横幅が物品の幅に比べて幅広にし、物品と包装体の側縁との間に比較的広い空間が形成されるような構成にしても、ポイントシール部により包装体内での物品の移動範囲が抑制される。これにより、物品の姿勢が保持され、例えば、包装体を起立させたとしても、それと共に物品も起立し、斜めに倒れたりすることがない。包装体を起立させるのは、例えば陳列棚に吊り下げたり、上部開放した陳列ケース内に挿入したりすることで行う。
【0009】
上下に重ね合わされたフィルムは、例えば実施形態のように2枚の上側フィルムと下側フィルムであってもよいし、変形例のように1枚のフィルムを折り曲げて上下に重ね合わしたものでも良い。サイドシール手段は、実施形態では溶断シール装置34等により構成されるが必ずしも溶断に限るものではない。シール・カットする手段は、実施形態ではトップシール装置48に対応する。実施形態では、シールとカットを一つの装置で一度に行うようにしたが、シール装置とカット装置を別々に構成したものでも良い。つまり、シール・カットする手段は、例えば一つの装置で構成しても良いし複数の装置で構成しても良い。サイドシール手段とポイントシール手段は、実施形態では別の装置として構成したが、一体にしてサイドシールとポイントシールを一緒に行う一つの装置で構成しても良い。但し、実施形態のように別々に構成した方が、より好ましい。
【0010】
(2)前記ポイントシール部と前記フィルムの側縁との間のフィルム部位を平坦になるように形成するように構成すると良い。包装体の側縁から内側に入った所定位置にポイントシール部を設けているので、ポイントシール部を設けた側では、物体はそのポイントシール部を超えて側縁側に移動することが抑止される。よって、包装体の製造時において、ポイントシール部と前記フィルムの側縁との間のフィルム部位を平坦に形成すると、包装体の製造後に当該フィルム部位に物品が入り込むことがなく平坦な状態が維持される。その結果、例えばその平坦な部位にデザインや広告を印刷などしたり、バーコードなどを設けたりした場合に、フィルム部位が平坦なままとなるので視認性が向上する。
【0011】
(3)前記サイドシール手段の下流側に、前記ポイントシール手段を配置するとよい。このようにすると、サイドシールされた包装体の側縁とポイントシール部との間のフィルム部位が、シール時に歪んだりすることなく平坦な状態を形成しやすくなる。
【0012】
(4)前記ポイントシール部は、前記フィルムの搬送方向に沿って線状に形成されるようにするとよい。このようにすると、物品を安定して所望の姿勢に保持しやすくなる。線状のポイントシール部は、比較的長く連続した1本を形成しても良いし、短いものを複数本形成しても良い。
【0013】
(5)前記包装体は、起立した状態で陳列されるものであり、前記ポイントシール手段は、前記起立した状態における前記包装体の上方側に対応するフィルム部位には、前記ポイントシール部を形成しないように構成するとよい。ポイントシール部は密封を目的としていないので全長にわたり形成する必要がなく、下方側にポイントシール部を設けることで効率よく物品の姿勢を保持することができると共に、上方側にポイントシール部を設けないことで、比較的ユーザの目が届く包装体の上方側は通常の包装体と同じ形態にすることができる。また、物品がボールペンなどの筆記具の場合、クリップなどを有する上方側の方が幅広なものもあるので、係る場合にも下方側にのみポイントシールを設けると効率よく確実に所望の姿勢で保持できるので良い。
【0014】
(6)前記物品供給手段は、前記物品を前記フィルムに対してフィルム幅方向の中心からずらした位置に供給するようにし、前記ポイントシール手段は、前記ずらした側と反対側に前記ポイントシール部を形成するものとするとよい。このようにすると、包装体内で物品の一方の側縁に寄せて配置し、他方の側縁側に比較的広い領域を確保できるので良い。
【0015】
(7)前記ポイントシール手段の上流側に、前記ポイントシール部を形成するフィルム部位の付近を上下から抑えるフィルム抑え手段を備えるとよい。このようにすると、ポイントシールされるフィルム部位の付近が、その上流側で上下から抑えられるので、2枚のフィルムが密着し、その状態でシールされるのでポイントシール時にフィルムに皺がより確実に入らないようにすることができる。
【0016】
ポイントシール手段の上流側は、例えばポイントシール手段が備えるフィルムに接触して加熱・加圧するポイントシーラの上流側であり、直前の上流側とするとより好ましい。ポイントシール部を形成するフィルム部位の付近は、ポイントシールするフィルム部位を含む上流側、すなわち、フィルム抑え手段で抑えるフィルム部位が、その下流側でポイントシールされるようにするとより好ましいが、必ずしもようにする必要は無い。例えば、下流側でポイントシールする部位を含まないフィルム部位を抑えるようにしていても、ポイントシールする部位の近くを抑えることで、皺の発生を抑制できれば良い。皺の発生を抑制できるようなフィルム部位を抑えると良い。フィルム抑え手段は、実施形態では、プレスローラ47に対応する。
【0017】
また、ポイントシール手段は、フィルムに接触して加熱・加圧するポイントシーラを備え、そのポイントシーラとともにフィルムの搬送方向に対しての直角方向に移動するフィルム抑え手段を備えるとよい。このようにすると、ポイントシーラが当該直角方向に移動し、ポイントシール部の形成位置を変更するものにおいても、適切なフィルム部位を抑え、皺の発生を抑制できるので良い。
【0018】
(8)前記ポイントシール部を形成しない場合は、前記フィルムの幅方向の中央位置に前記貫通孔を形成し、前記ポイントシール部を形成し、前記ポイントシール部と前記フィルムの一方の側縁との間に前記物品を収容する場合は、前記中央位置から前記物品が収容される側の前記一方の側縁の方向に位置をずらして、前記貫通孔を形成し、前記包装体を吊り下げた状態で前記物品の上方に前記貫通孔が位置するように構成するとよい。このようにすると、孔開け装置により形成する孔の位置を、ポイントシールを行う場合と行わない場合の何れにおいても、例えば包装体内の物品の上方にすることがでる。よって、例えば、店舗等の陳列棚などにおいて、その孔を用いて包装体を吊り下げた際に、物品・包装体がまっすぐに垂下した状態で陳列することができる。例えば、ポイントシールを行い、ポイントシール部と一方のサイドシールされた部位との間に物品を収容する場合、物品が収容される側の一方のサイドシール側に孔開け装置をずらし、吊り下げ用の孔を形成する。一方、ポイントシールを行わない場合は、包装体の幅方向の中央位置に吊り下げ用の孔を形成する。フィルムに対する孔開け位置を移動するための構成は、孔開け装置の全体をフィルムの搬送方向に対して直角方向に移動可能に設置したり、孔開け装置の一部の構成、例えばフィルムに接触して孔開けする部位等が当該方向に移動可能に形成したりすると良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、物品幅に比べて包装体幅が比較的広く、物品が包装体内で遊びそうなものであっても、物品を所望の姿勢に保持することができ、包装体内で物品がばたつくのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来例を示す図である。
図2】本発明に係る包装機の一例である四方シール包装機の好適な実施形態を示す正面図である。
図3】本発明に係る包装機の一例である四方シール包装機の好適な実施形態を示す平面図である。
図4】溶断シール装置を示す図である。
図5】ポイントシール装置を示す図である。
図6】製造される包装体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
本実施形態の四方シール包装機10は、ボールペンなどの細棒状の物品11を所定間隔毎に搬送する物品供給コンベア装置12と、その物品供給コンベア装置12の搬出端側に配置された包装機本体13と、物品供給コンベア装置12の搬出端側に配設され、包装機本体13に2枚の帯状フィルムを連続的に供給可能とするフィルム供給装置14とから構成されている。
【0023】
物品供給コンベア装置12は、物品11を1本ずつ前後に所定間隔をおいて搬送するものである。具体的には前後一対のスプロケット15間に渡設されたエンドレスチェーン16の所定間隔毎に配設された押送フィンガー17にて物品11をその後方より押送し、搬送するようになっている。
【0024】
フィルム供給装置14は、包装機本体13に対し2枚の帯状フィルムを上下に重ねた状態で供給するもので、本実施形態では、一枚の帯状のフィルムを途中で切断して2枚の帯状のフィルムを形成し、それを供給するようにしている。すなわち、フィルム供給装置14は、物品供給コンベア装置12の搬出端上方に配置された原反フィルム21と、その原反フィルム21から比較的幅広な帯状フィルム22を連続的に引き出す複数のローラ23と、帯状フィルム22の引き出し途中に配された切断刃24とを有している。そして、切断刃24にて帯状フィルム22がその中央部から2つに切断され、切断された一方はそのまま包装機本体13上に移動していき上側フィルム25となる。また、他方は一度下方に移動し、その下方に配置された略三角形状のフィルム方向変換板部材26を有する方向変換装置を介して所定方向に進路が変換され、上側フィルム25と重合するようにして包装機本体13に沿って移動するようになり、下側フィルム27となる。
【0025】
そして上述した物品供給コンベア装置12にて搬送されてきた物品11が上下に重ね合わされた上側フィルム25、下側フィルム27間に所定間隔毎に挿入配置される。エンドレスチェーン16により前進移動する押送フィンガー17は、上側フィルム25,下側フィルム27の幅方向の中央から側縁方向(本形態では、搬送方向右側・包装機の手前側)に所定距離ずれた位置を移動する。これにより、押送フィンガー17により押送される物品11は、上側フィルム25,下側フィルム27に対して中央から側縁方向に偏心した位置の延長線上を移動し、そのまま偏心した位置で上側フィルム25、下側フィルム27間に供給される。
【0026】
包装機本体13は、上側フィルム25,下側フィルム27で物品11を上下から挟んだ状態のまま搬送し、その搬送途中で上側フィルム25,下側フィルム27の所定位置をシール・カットすることにより包装体を製造するもので、具体的には以下のように構成される。
【0027】
包装機本体13の搬入側端近傍位置には、上側フィルム25,下側フィルム27の左右の両側端部をそれぞれ上下から挟持する上下一対の第一ピンチローラ30を備える。そして図示の例では、左右に対向する第一ピンチローラ30は平行に配置されているが、例えば進行方向前方に向けて若干拡開するように配置するとよい。このようにすると、上側フィルム25,下側フィルム27がより確実にピンと張った状態で進行することができる。
【0028】
左右の第一ピンチローラ30の進行方向前方には、それぞれ上下一対のバーシーラ32を備える。上下一対のバーシーラ32は、上側フィルム25,下側フィルム27の左右両側端部を所定幅で加熱する。
【0029】
左右のバーシーラ32の進行方向前方には、それぞれ上下一対の溶断シーラ33を備えた溶断シール装置34を配置する。溶断シール装置34は、円盤状の溶断シーラ33と、その溶断シーラ33を回転駆動する駆動モータ(図示省略)等を備える。駆動モータは、例えば速度制御可能なサーボモータ等を用いると良い。各溶断シーラ33の回転軸は、駆動モータの出力軸に直結或いは所定の動力伝達機構を介して連携される。駆動モータが回転すると、各溶断シーラ33が同期して回転する。図4等に示すように、溶断シーラ33は、先端側の径が大きく、その側面33aは先端側に周方向に延びる無端状の凸部33bが形成される。この凸部33bが、上側フィルム25,下側フィルム27のバーシーラ32で加熱したフィルム部位の内側の境界部分に接触し、その接触したフィルム部位を加熱・加圧して溶断する。この溶断により、上側フィルム25,下側フィルム27の進行方向の左右両側がサイドシールされる。
【0030】
この溶断部位は、上側フィルム25,下側フィルム27の側縁から所定距離内側に入った位置であり、その側縁と溶断部位との間に位置するフィルム部位は、上側フィルム25,下側フィルム27から分離されて細長な帯状のスクラップ35が形成される。
【0031】
そして、左右の溶断シーラ33の進行方向前方には、溶断シーラ33にて切り取られたスクラップ35を上下から挟み込み搬送力を与える第二ピンチローラ38を備える。上下一対の第二ピンチローラ38は、スクラップ35を上側フィルム25,下側フィルム27の搬送方向と平行な方向に付勢する。これにより、上側フィルム25,下側フィルム27から切り離されたスクラップ35は、上側フィルム25,下側フィルム27に沿って平行に移動する。
【0032】
第二ピンチローラ38の配置位置より下流側には、上側フィルム25,下側フィルム27の所定位置に対してポイントシールを行うポイントシール装置40を配置する。ポイントシールは、サイドシールのように搬送方向に沿って連続してシールするのではなく、非連続で部分的にシールするものである。
【0033】
本実施形態におけるポイントシール装置40は、溶断シール装置34と略同様の構成を採り、ポイントシール装置40は、円盤状のポイントシーラ41と、そのポイントシーラ41を回転駆動する駆動モータ(図示省略)等を備える。駆動モータは、例えば速度制御可能なサーボモータ等を用いると良い。各ポイントシーラ41の回転軸は、駆動モータの出力軸に直結或いは所定の動力伝達機構を介して連携される。駆動モータが回転すると、各ポイントシーラ41が同期して回転する。ポイントシーラ41は、その側面41aの先端側に凸部41bを有する。凸部41bは、円周方向に非連続で部分的に形成される。この凸部41bが、上側フィルム25,下側フィルム27の所定位置を上下から挟み込み、加熱・加圧して熱シールし、ポイントシール部44を形成する。
【0034】
ポイントシーラ41は、その凸部41bの位置を、上側フィルム25,下側フィルム27の溶断されたサイドシール部から中央側に所定距離寄せた位置に配置する。この所定距離寄せた位置は、上側フィルム25,下側フィルム27間に挿入された物品11の付近にすると良い。また、凸部41bは、周方向に一定の長さを有し、ポイントシール部44は、所定長さの線状に形成すると良い。本実施形態では、図6(a)に示すように断続的に複数本の線状のポイントシール部44を形成しているが、例えば図6(b)に示すように連続した一本としても良い。
【0035】
本形態では、上側フィルム25,下側フィルム27間に偏心して挿入した物品11の位置に合わせて、片側(進行方向左側)にポイントシーラ41を配置し、上側フィルム25,下側フィルム27の片側の一方にポイントシール部44を形成するようにした。さらに包装体50の上方側には、ポイントシール部44を形成しないようにしている。
【0036】
ポイントシーラ41を駆動する駆動モータは、溶断シール装置34の駆動モータとは別に設けており、ポイントシーラ41と溶断シーラ33を独立して速度制御可能としている。これにより、例えば、上側フィルム25,下側フィルム27の搬送速度が一定の場合、溶断シーラ33は、周速が上側フィルム25,下側フィルム27に応じた速度で一定になるように制御し、ポイントシーラ41は、凸部41bが上側フィルム25,下側フィルム27に接触している区間と、非接触の区間で速度を変えるなどし、溶断シールとポイントシールを適切に行うようにすることができる。また、ポイントシール部44は、サイドシール部や後述するトップシール部51のように包装体を密封するものではないので、シール強度がそれらサイドシール部やトップシール部51に比べて弱くても良い。そこで、例えば凸部41bが上側フィルム25,下側フィルム27に接触している間の周速と、フィルムの搬送速度を異ならせても良い。
【0037】
ポイントシール装置40の下流側には、スクラップ35を排除するためのスクラップ巻取装置を配置する。このスクラップ巻取装置は、例えば、搬送方向の左右両側にそれぞれスクラップ35を所定の経路で搬送する複数のガイドローラ45(図では、1箇所のみ描画)や、図外の巻取ローラ等を備える。ガイドローラ45により、平面視で斜め外側前方に引っ張った後、方向変換し巻取りローラに至るように構成する。
【0038】
さらにその下流側には上側フィルム25,下側フィルム27をその上下方向から挟持するように搬送ベルト46が配設されている。この搬送ベルト46が回転駆動することにより、上側フィルム25,下側フィルム27並びに両フィルム間に挿入された物品11に搬送力を与えられ、前進移動する。すなわち、第二ピンチローラ38は、スクラップ35に対して搬送力を与えるもので、溶断シール装置34の下流側では、包装体を構成する上側フィルム25,下側フィルム27のフィルム部分に対して、搬送ベルト46にて挟み込んだ状態で物品11ごと搬送力を与える。
【0039】
搬送ベルト46の進行方向前方には、上側フィルム25,下側フィルム27の物品11間毎を横方向にシール切断するためのトップシール装置48、搬出コンベア装置49が順に配置される。これにより、トップシール装置48にて切断されて形成された包装体50が搬出コンベア装置49にて搬出される。
【0040】
さらに具体的な図示は省略するが、四方シール包装機10は、トップシール装置48でシールされて形成されるトップシール部51の所定位置に、吊り下げ用の貫通孔52を形成する孔開け装置を備える。この孔開け装置は、トップシール装置48内に組み込んでも良いし、トップシール装置48とは別の装置として実装しても良い。
【0041】
上述したように、本実施形態では、上側フィルム25,下側フィルム27に対して搬送力を直接与えるのは、バーシーラ32の上流側の第一ピンチローラ30と、搬送ベルト46である。そして、通常の溶断シールの場合、溶断シール装置の直後にガイドローラ等を配置し、溶断により切断されたスクラップを、切り離された直後に平面視で45度方向に外側に引張ながら巻取りを行う。このようにすると、スクラップは、上側フィルム25,下側フィルム27から切り離されているとは言え、その上流側で繋がっていることもあり、溶断直後にスクラップを外側に向けて引っ張ると残った上側フィルム25,下側フィルム27の部分に外に向けた付勢力が加わる。これに対し、本実施形態のようにポイントシール装置40の下流側まで切り取られたスクラップ35を搬送方向と平行に引っ張ることで、包装体を構成する上側フィルム25,下側フィルム27のフィルム部位に外に向けた付勢力を掛けず、当該フィルム部位を平坦な状態を維持し、綺麗にポイントシールすることができる。
【0042】
さらに本実施形態では、フィルムの片側にポイントシール部44を形成するため、ポイントシーラ41が接触する位置も幅方向で片側にずれた位置となる。そして、ポイントシーラ41の凸部41bがフィルムに接触してる間は、その接触部位に搬送力が加わる。このように片側での搬送力の付与は、フィルムに対する搬送力の不均一さとなるが、ポイントシール装置40の付近で、第二ピンチローラ38にて左右両側のスクラップ35をフィルムの搬送方向と平行な方向に搬送力を与えることで、上述した不均一さの影響を抑制することができる。
【0043】
本形態では、上側フィルム25,下側フィルム27間に物品11を供給する際に、フィルムの幅方向で片側に寄せた所望の位置に、まっすぐに挿入する。よって、物品11を上側フィルム25,下側フィルム27間に供給した際には、細棒状の物品11は、フィルムの搬送方向と平行になる。上側フィルム25,下側フィルム27は、その左右両側をそれぞれ第一ピンチローラ30で挟まれているので、フィルムはピンと張った状態となり、物品11も上下から抑えられた状態になる。さらに、包装機本体13の下流側では、搬送ベルト46にて上下から上側フィルム25,下側フィルム27が物品11と共に挟まれた状態となる。よって、物品11は、包装機本体13を移動する間は上側フィルム25,下側フィルム27間で位置ずれすることはない。よって、ポイントシール装置40で物品11を噛み込むことなく、物品11の傍らにポイントシール部44を形成することができる。
【0044】
本実施形態によれば、包装体50を物品11の幅に比べて幅広にしても、物品11はポイントシール部44と一方のサイドシール部との間で挟まれて保持されているので、包装体50内で遊ぶことはない。よって、例えば包装体50を、貫通孔52を用いて吊り下げて陳列しても物品11は、包装体50内で斜めに倒れることもなく包装体50と平行で立ったままの姿勢を維持する。
【0045】
さらに、ポイントシール部44とサイドシール部の間はピンと伸びる平坦な部分となるので、バーコードや広告などを印刷できる。よって、ポイントシールとサイドシールの間を広くして大きなバーコードを印刷可能とし、読み取りやすくなるし、読みやすい広告等を印刷でき広告効果が向上する。
【0046】
本実施形態では、ポイントシール部44を片側に設けたが、両側に設けても良い。但し、本実施形態のように片側にするとデザイン・広告・バーコード等を設けるスペースを広く確保できるので良い。
【0047】
上述した実施形態では、ポイントシール装置は、回転式としたが、本発明これに限ることはなく、各種のシール装置を用いることができる。但し本実施形態のように、サイドシール装置とできるだけ同じ構成のものとするとよい。そのようにすると、例えば、前後の位置を変えることで、ポイントシールを先に行うなど、簡単に構成変更ができるのでよい。
【0048】
サイドシールとポイントシールを同時に行っても良いが、同時に行うと、サイドシール部とポイントシール部の間の領域で皺が寄ったりするおそれがある。そこで本実施形態のようにサイドシール(溶断シール)とポイントシールは別々に行うようにすると良く、特に先にサイドシールをした方が良い。
【0049】
ポイントシール装置40は、ポイントシーラ41の位置をフィルムの幅方向に変更調整可能な構成にしている。これにより、幅の異なる物品に対しても、適切な位置にポイントシールを形成することができる。
【0050】
さらに本実施形態のポイントシール装置40は、ポイントシーラ41の上流側にフィルムを上下から挟み込む一対のプレスローラ47を備える。そして一対のプレスローラ47が接触するフィルム部位は、下流側のポイントシーラ41が接触しポイントシール部を形成する部位を含む領域とすると良い。
【0051】
このようにすると、ポイントシールする部位の上流側で、上下一対のプレスローラ47にて上下の2枚のフィルムを密着させ、その状態でポイントシーラ41がフィルムに接触してシールするので、より確実にポイントシール時にフィルムに皺が入らないようにできる。本実施形態では、プレスローラ47が接触するフィルム部位は、ポイントシールする部位の延長線上の上流側にしたが、当該延長線を含まず、サイドシール部側にずれていたり、内側にずれていたりしても、皺が入らないようになっていれば良い。但し、本実施形態のように延長線上に位置するようにポイントシール部位を含むようにするとより好ましい。
【0052】
さらに、一対のプレスローラ47にて、サイドシール部よりも内側が抑えられることから、プレスローラ47と、プレスローラ47を配置しない側のサイドシール部との間でフィルムはよりピンと張った状態になり、物品11を上下のフィルムで抑えることができる。その結果、物品11がフィルム内で横方向に移動するのを抑止し、ポイントシーラ41への噛み込みも可及的に抑止できる。
【0053】
さらに、本実施形態では、ポイントシーラ41とともにフィルムの幅方向すなわちフィルムの搬送方向に対して直交する方向に移動するように構成している。そこで、一対のプレスローラ47は、ポイントシーラ41とともにフィルムの幅方向すなわちフィルムの搬送方向に対して直交する方向に移動するように構成するとよい。
【0054】
上述した実施形態では、フィルム抑え手段として、一対のプレスローラ47を用いたが、ローラタイプに限ることはなく、例えば板バネその他の弾性部材等を用いても良い。但し、ローラタイプとすると、フィルムに対する接触抵抗も少なく、フィルムに与えるストレスを小さくできるので好ましい。
【0055】
孔開け装置は、孔開け位置をフィルムの搬送方向に対して直角方向に移動可能に構成するとよい。そして、ポイントシール装置40によるポイントシール部の形成を行わない構成も採りうるようにすると良い。このようにすると、例えばポイントシールを行わない場合は、包装体50の幅方向の中央位置に吊り下げ用の貫通孔52を形成し、ポイントシールを行い、ポイントシール部44と一方のサイドシール部との間に物品11を収容する場合は、物品11が収容される側の一方のサイドシール部の方向に位置をずらして、吊り下げ用の貫通孔52を形成するように調整すると良い。これにより、重心が包装体幅方向の中心線からずれている包装体であっても、傾くことなく真っ直ぐに吊り下げて陳列できる。
【0056】
上述した実施形態では、孔開け装置で形成する貫通孔52は、円形にくりぬいた形状としたが、その形状は任意であり、例えば、馬蹄パンチのように、略C型のように一部がフィルムに繋がった状態で孔開けするものでも良い。
【0057】
また、上述した実施形態では、物品供給コンベア装置12は、フィンガーコンベアを用いた例を説明したが、オーバーヘッドコンベアその他各種のコンベアを用いてもよい。
【0058】
また、ポイントシーラ41は、等速で回転するようにしてもよいが、変速制御するように構成すると良い。変速制御すると、ポイントシール部の長さを変更できる。または、ポイントシール時において、ポイントシーラ41の隣接する突出部間でポイントシーラ41を一時停止または減速してもよい。これにより、ポイントシール部の長さは変えずに、線状のポイントシール部の間隔を変更することができる。
【0059】
上述した実施形態では、四方シール包装機に適用した例を説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば1枚の帯状のフィルムを幅方向の中央から折り返し、折り返したフィルム部位間に物品を収納する横三方シール包装機に適用しても良い。
【0060】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0061】
10 :四方シール包装機
11 :物品
12 :物品供給コンベア装置(物品供給手段)
13 :包装機本体
14 :フィルム供給装置
25 :上側フィルム
27 :下側フィルム
30 :第一ピンチローラ
32 :バーシーラ
33 :溶断シーラ
34 :溶断シール装置(サイドシール装置)
35 :スクラップ
38 :第二ピンチローラ
40 :ポイントシール装置
41 :ポイントシーラ
44 :ポイントシール部
47 :プレスローラ(フィルム抑え手段)
48 :トップシール装置
50 :包装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6