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  • 特許-等電位ボンディング金具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】等電位ボンディング金具
(51)【国際特許分類】
   H02G 13/00 20060101AFI20221006BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20221006BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20221006BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20221006BHJP
   H01R 4/38 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
H02G13/00
E04B1/92
E04H9/14 D
H02G15/08
H01R4/38 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020044006
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021145519
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000143558
【氏名又は名称】株式会社国元商会
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】渡 章浩
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-73929(JP,A)
【文献】登録実用新案第3225871(JP,U)
【文献】実開昭57-89275(JP,U)
【文献】特開2012-164564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0344112(US,A1)
【文献】米国特許第6297447(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 13/00
E04B 1/92
E04H 9/14
H02G 15/08
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を挟み付ける一対の金属製挟持具と、この一対の金属製挟持具を互いに締結する鉄筋締結用ボルトと、一方の金属製挟持具に設けられたリード線取付け部から成る等電位ボンディング金具において、リード線取付け部は、一対の金属製挟持具が挟持する鉄筋の長さ方向と平行に一方の金属製挟持具を貫通するリード線挿通用貫通孔と、このリード線挿通用貫通孔内に挿入された金属製のリード線押さえ具と、リード線挿通用貫通孔の周壁部を貫通する貫通ネジ孔を螺合貫通して内端がリード線押さえ具に当接するリード線締結用ボルトから構成されている、等電位ボンディング金具。
【請求項2】
前記リード線押さえ具は、リード線挿通用貫通孔内に挿入される本体と、この本体の一端から金属製挟持具の外側に回り込む延出部とを有し、前記リード線締結用ボルトは、前記延出部に設けられたボルト挿通孔を経由して前記貫通ネジ孔に螺合するように構成されている、請求項1に記載の等電位ボンディング金具。
【請求項3】
前記リード線締結用ボルトは、前記リード線押さえ具の本体の長さ方向2か所を締結出来るように2本設けられ、この2本のリード線締結用ボルトの内の一本が前記リード線押さえ金具の延出部に設けられたボルト挿通孔を挿通するように構成されている、請求項2に記載の等電位ボンディング金具。
【請求項4】
前記リード線押さえ具のリード線挿通用貫通孔内に挿入される領域は、前記リード線挿通用貫通孔の内周面に沿う横断面円弧形に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の等電位ボンディング金具。
【請求項5】
前記リード線取付け部が設けられた一方の金属製挟持具は、前記リード線締結用ボルトのある側とは反対側に、リード線挿通用貫通孔と平行な全長にわたって連続するように設けられた鉄筋嵌合用凹溝部を備え、他方の金属製挟持具は、前記一方の金属製挟持具の長さ方向に対して直交する方向の帯状天板部と、この帯状天板部の両側辺から前記一方の金属製挟持具のある側に連設された一対の側板部とを備えた縦断面コの字形のものであって、この他方の金属製挟持具の長さ方向の一端側で前記一対の側板部に、前記一方の金属製挟持具の鉄筋嵌合用凹溝部との間で鉄筋を挟持する鉄筋嵌合用凹入部が形成され、この他方の金属製挟持具の長さ方向の他端側で前記帯状天板部に貫通孔が設けられ、この貫通孔に差し込まれた前記鉄筋締結用ボルトが前記一方の金属製挟持具に設けられたネジ孔に螺合するように構成されている、請求項1~4の何れか1項に記載の等電位ボンディング金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷時に鉄筋コンクリート造りの建物内に発生する電位差を抑制して、建物内の各種電気機器を保護するための等電位ボンディング金具に関するものである。
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来周知の等電位ボンディング金具は、特許文献1にも示されるように、鉄筋を挟み付ける一対の金属製挟持具と、この一対の金属製挟持具を互いに締結する鉄筋締結用ボルトと、一方の金属製挟持具に設けられたリード線取付け部から構成され、リード線取付け部は、一方の金属製挟持具から一体に延出する平板部に、リード線の端末に固着された圧着端子板を重ねてボルトナットにより締結一体化するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-155769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来周知の等電位ボンディング金具では、リード線の端末に圧着端子板が固着されていることが前提になるものであるから、圧着端子板が取り付けられる前のリード線を使用することが出来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる等電位ボンディング金具を提案するものであって、本発明に係る等電位ボンディング金具は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、鉄筋(R)を挟み付ける一対の金属製挟持具(1,2)と、この一対の金属製挟持具(1,2)を互いに締結する鉄筋締結用ボルト(22)と、一方の金属製挟持具(1)に設けられたリード線取付け部(6)から成る等電位ボンディング金具において、リード線取付け部(6)は、一対の金属製挟持具(1,2)が挟持する鉄筋(R)の長さ方向と平行に一方の金属製挟持具(1)を貫通するリード線挿通用貫通孔(7)と、このリード線挿通用貫通孔(7)内に挿入された金属製のリード線押さえ具(3)と、リード線挿通用貫通孔(7)の周壁部を貫通する貫通ネジ孔(13)を螺合貫通して内端がリード線押さえ具(3)に当接するリード線締結用ボルト(8)から成る構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、一対の金属製挟持具間で鉄筋を挟み付けた状態で鉄筋締結用ボルトによって当該一対の金属製挟持具を互いに締結することにより、本発明の等電位ボンディング金具を鉄筋の所要位置に固定したならば、端末に従来使用されていた圧着端子板が取り付けられていないリード線の端末所定長さ領域を、一方の金属製挟持具に設けられているリード線挿通用貫通孔内の前記リード線押さえ具の内側(前記リード線締結用ボルトのある側とは反対側)に、好ましくは当該リード線の端末がリード線挿通用貫通孔の他端から突出する程度まで挿入する。この後、リード線締結用ボルトを締め付けて当該ボルトの内端で前記リード線押さえ具をリード線のある側に押圧することにより、リード線挿通用貫通孔内に挿入されたリード線をリード線押さえ具とリード線挿通用貫通孔の内面との間で挟み付ける。
【0007】
上記のように鉄筋を挟持させた一対の金属製挟持具の内の一方に、端末に圧着端子板が取り付けられていないリード線を簡単容易に固定することが出来るのであるが、リード線(一般的には複数本の導線を束ねて撚りをかけたもの)を直接ボルトの先端面で押圧固定する場合と比較して、ボルトの先端面でリード線を損傷させる恐れも無く、リード線と金属製挟持具との間の接触導通面積を十分に大きくすることが出来、所期の目的である等電位ボンディングの効果を確実に得ることが出来る。
【0008】
上記本発明を実施する場合、前記リード線押さえ具の両端に金属製挟持具の両端に隣接する折曲部を形成させることによって、リード線をリード線挿通用貫通孔に挿入する場合などにリード線押さえ具の位置がリード線挿通用貫通孔の長さ方向に不測に動いてしまう恐れが無くなる。しかしながら前記リード線押さえ具(3)を、リード線挿通用貫通孔(7)内に挿入される本体(10)と、この本体(10)の一端から金属製挟持具(1)の外側に回り込む延出部(11)とを有する構造とし、前記リード線締結用ボルト(8)は、前記延出部(11)に設けられたボルト挿通孔(12)を経由して前記貫通ネジ孔(13)に螺合するように構成すれば、前記リード線締結用ボルトによってリード線押さえ具を所定位置に仮止めすることが出来、リード線をリード線挿通用貫通孔内に挿入する際にリード線押さえ具をリード線挿通用貫通孔内にセットする必要が無くなり、作業性が一段と向上する。
【0009】
上記の構成を採用する場合、前記リード線締結用ボルト(8,9)は、前記リード線押さえ具(3)の本体(10)の長さ方向2か所を締結出来るように2本設け、この2本のリード線締結用ボルト(8,9)の内の一本が前記リード線押さえ金具(3)の延出部(11)に設けられたボルト挿通孔(12)を挿通するように構成することにより、リード線挿通用貫通孔とリード線押さえ具の全長を長くしても、リード線をリード線挿通用貫通孔の内面とリード線押さえ具の内面とに効果的に圧接させることができ、しかも1本のリード線締結用ボルトによってリード線押さえ具を所定位置に仮止めすることが出来る。
【0010】
又、前記リード線押さえ具(3)のリード線挿通用貫通孔(7)内に挿入される領域は、前記リード線挿通用貫通孔(7)の内周面に沿う横断面円弧形に形成することにより、このリード線押さえ具のリード線挿通用貫通孔内に挿入される領域の曲げ強度が強くなって、リード線締結用ボルトで押圧される箇所を支点にリード線押さえ具がリード線から離れる方向に折れ曲がってしまう恐れが解消する。
【0011】
尚、一対の金属製挟持具によって鉄筋を挟持締結させるための構成は特に限定されないが、好ましい構成としては、次のように構成するのが望ましい。即ち、前記リード線取付け部(6)が設けられた一方の金属製挟持具(1)は、前記リード線締結用ボルト(8,9)のある側とは反対側に、リード線挿通用貫通孔(7)と平行な全長にわたって連続するように設けられた鉄筋嵌合用凹溝部(15)を備え、他方の金属製挟持具(2)は、前記一方の金属製挟持具(1)の長さ方向に対して直交する方向の帯状天板部(16)と、この帯状天板部(16)の両側辺から前記一方の金属製挟持具(1)のある側に連設された一対の側板部(17,18)とを備えた縦断面コの字形のものであって、この他方の金属製挟持具(2)の長さ方向の一端側で前記一対の側板部(17,18)に、前記一方の金属製挟持具(1)の鉄筋嵌合用凹溝部(15)との間で鉄筋(R)を挟持する鉄筋嵌合用凹入部(19,20)が形成され、この他方の金属製挟持具(2)の長さ方向の他端側で前記帯状天板部(16)に貫通孔(21)が設けられ、この貫通孔(21)に差し込まれた前記鉄筋締結用ボルト(22)が前記一方の金属製挟持具(1)に設けられたネジ孔(23)に螺合するように構成することが出来る。この構成によれば、1本の鉄筋締結用ボルトを使用する構成でありながら、鉄筋に対し本発明金具を強固且つ簡単に、そして安定的に締結することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、縦断正面図である。
図2図2は、縦断側面図である。
図3図3は、ボルト類を除いた構成部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施例を、添付の図1図3に基いて説明すると、1は真鍮(C2801)製の主金属製挟持具、2は一般構造用圧延鋼材(SS400)製の副金属製挟持具、3は溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)製のリード線押さえ具である。主金属製挟持具1は、角柱状の挟持具本体4と、この挟持具本体4の底面と面一に片側に延出させた張出し板状部5とから成り、リード線取付け部6を備えている。このリード線取付け部6は、挟持具本体4の中心位置を全長にわたって貫通する断面円形のリード線挿通用貫通孔7と、このリード線挿通用貫通孔7に一端から挿入されるリード線押さえ具3、及び2本のリード線締結用ボルト8,9から構成されている。リード線押さえ具3は、リード線挿通用貫通孔7の全長とほぼ等しい長さの押さえ具本体10と、この押さえ具本体10の一端からコの字形に折り返した、押さえ具本体10と平行な延出部11とから構成され、延出部11には、円形のボルト挿通孔12が設けられている。
【0014】
主金属製挟持具1には、その上面の長さ方向両端から同一距離だけ離れた2か所に、内端がリード線挿通用貫通孔7に開口する貫通ネジ孔13,14が設けられ、これら貫通ネジ孔13,14に螺合貫通し且つ内端が押さえ具本体10に当接する2本のリード線締結用ボルト8,9が設けられている。リード線押さえ具3の延出部11は、押さえ具本体10の全体をリード線挿通用貫通孔7内に挿入させたとき、当該延出部11のボルト挿通孔12が、この延出部11のある側の貫通ネジ孔13又は14の真上位置に同心状に位置するように構成され、この貫通ネジ孔13又は14に螺合するリード線締結用ボルト8又は9は、リード線押さえ具3の延出部11のボルト挿通孔12を経由して貫通ネジ孔13又は14に螺合することになる。リード線挿通用貫通孔7内に挿入されている押さえ具本体10は、リード線挿通用貫通孔7の内周面に沿う横断面円弧形に成形されている。
【0015】
主金属製挟持具1の挟持具本体4の底面には、リード線挿通用貫通孔7と平行な全長にわたって連続するように鉄筋嵌合用凹溝部15が刻設されている。副金属製挟持具2は、主金属製挟持具1の挟持具本体4の長さ方向に対して直交する方向の帯状天板部16と、この帯状天板部16の両側辺から主金属製挟持具1のある側に連設された一対の側板部17,18とを備えた縦断面コの字形のものであって、この副金属製挟持具2の長さ方向の一端側で前記一対の側板部17,18に、主金属製挟持具1の鉄筋嵌合用凹溝部15との間で鉄筋Rを挟持する鉄筋嵌合用凹入部19,20が形成され、この副金属製挟持具2の長さ方向の他端側で前記帯状天板部16に貫通孔21が設けられ、この貫通孔21に差し込まれた鉄筋締結用ボルト22が、主金属製挟持具1の張出し板状部5に設けられた貫通ネジ孔23に螺合するように構成されている。
【0016】
以上のように構成された等電位ボンディング金具は、鉄筋コンクリート製の建物に使用されている鉄筋Rを他の鉄筋又は鉄骨とリード線Lによって電気的に接続させるために使用されるものであって、主金属製挟持具1と副金属製挟持具2を連結している鉄筋締結用ボルト22を弛めて、主金属製挟持具1の鉄筋嵌合用凹溝部15と副金属製挟持具2の鉄筋嵌合用凹入部19,20との間を広げ、これら主金属製挟持具1と副金属製挟持具2とを、これらの間に鉄筋Rが入り込むように鉄筋Rに対し横から嵌合させる。この後、鉄筋締結用ボルト22を締め込んで、主金属製挟持具1の鉄筋嵌合用凹溝部15と副金属製挟持具2の鉄筋嵌合用凹入部19,20との間で鉄筋Rを挟持締結させる。尚、このとき、副金属製挟持具2の一対の側板部17,18の長さ方向両端の内、鉄筋締結用ボルト22のある側の端部17a,18aが主金属製挟持具1の張出し板状部5の底面に接近しているように構成されている。
【0017】
以上のようにして鉄筋Rの所定箇所に本発明の等電位ボンディング金具を取り付けたならば、主金属製挟持具1のリード線締結用ボルト8,9をねじ戻して、リード線押さえ具3の押さえ具本体11をこれに対面するリード線挿通用貫通孔7の内面から離間させた状態において、端末に圧着端子板が取り付けられていないリード線Lの端末を、主金属製挟持具1のリード線挿通用貫通孔7内に、リード線押さえ具3の延出部11のある側から、押さえ具本体11とこれに対面するリード線挿通用貫通孔7の内面との間に挿入する。このリード線Lを、端末がリード線挿通用貫通孔7の他端から突出する程度までリード線挿通用貫通孔7内に十分に挿入したならば、主金属製挟持具1のリード線締結用ボルト8,9をねじ込んで、その内端でリード線挿通用貫通孔7内に挿入されているリード線押さえ具3の押さえ具本体11をリード線L側に押圧し、当該押さえ具本体11とリード線挿通用貫通孔7の内面との間でリード線Lを挟持締結させることにより、鉄筋Rに対するリード線Lの接続が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の等電位ボンディング金具は、落雷時に鉄筋コンクリート造りの建物内に発生する電位差を抑制して、建物内の各種電気機器を保護するために、鉄筋どうし又は鉄筋と鉄骨とをリード線で接続させる場合に、当該リード線を鉄筋に接続させるための手段として活用出来る。
【符号の説明】
【0019】
1 主金属製挟持具
2 副金属製挟持具
3 リード線押さえ具
4 挟持具本体
5 張出し板状部
6 リード線取付け部
7 リード線挿通用貫通孔
8,9 リード線締結用ボルト
10 押さえ具本体
11 延出部
12 ボルト挿通孔
13,14 貫通ネジ孔
15 鉄筋嵌合用凹溝部
16 帯状天板部
17,18 一対の側板部
17a,18a 側板部の端部
19,20 鉄筋嵌合用凹入部
21 貫通孔
22 鉄筋締結用ボルト
23 貫通ネジ孔
R 鉄筋
L リード線
図1
図2
図3