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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ネット遊具
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A63G31/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021130382
(22)【出願日】2021-08-06
(62)【分割の表示】P 2018198576の分割
【原出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2021175533
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514045278
【氏名又は名称】株式会社岡部
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】岡部 竜一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】小前 秀明
(72)【発明者】
【氏名】廣野 昌幸
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3031682(JP,U)
【文献】特公昭45-029018(JP,B1)
【文献】実開昭50-154061(JP,U)
【文献】登録実用新案第3212662(JP,U)
【文献】特開2001-161880(JP,A)
【文献】実開昭62-119960(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が載ることのできる網状のサポートネット(41または42)と、該サポートネット(41または42)を架空に保持する支持体(11または12)と、該支持体(11または12)の内周面に沿って伸びる丸棒状の掛け棒(21または22)と、該サポートネット(41または42)と該掛け棒(21または22)との間を結ぶロープ(31)と、を有し、
前記支持体(11または12)と前記掛け棒(21または22)との間には、前記ロープ(31)を通すための隙間を確保してあり、該掛け棒(21または22)は接続片(24)を介して該支持体(11または12)に取り付けてあり、該掛け棒(21または22)は、そのあらゆる位置で前記ロープ(31)を引き留めることができ、且つ隣接する前記接続片(24)の間の複数箇所で該ロープ(31)を引き留め可能であり、
前記ロープ(31)は、前記サポートネット(41または42)の外縁と前記掛け棒(21または22)との間をジグザグ状に繰り返して往復するように張り巡らせてあり、該ロープ(31)によって該サポートネット(41または42)を前記支持体(11または12)に引き寄せており、該サポートネット(41または42)は、その外縁のあらゆる位置で該ロープ(31)を引き留め可能であり、該ロープ(31)および該サポートネット(41または42)の伸縮によって該サポートネット(41または42)の揺動を生じ、且つ該ロープ(31)の張力を変えることで該サポートネット(41または42)の揺動を調整可能であり、
前記支持体(11または12)と前記サポートネット(41または42)との間には、前記ロープ(31)を覆い隠す保護マット(51または52)を敷設してあり、
前記支持体(11または12)および前記掛け棒(21または22)は、前記サポートネット(41または42)を取り囲むように配置してあり、且つ前記ロープ(31)を敷設するため、該サポートネット(41または42)の外縁と該掛け棒(21または22)との間には隙間を確保してあり、該サポートネット(41または42)の外縁は該掛け棒(21または22)から離れており、
前記支持体(11または12)は複数の区画に分割してあり、前記掛け棒(21または22)についても該支持体(11または12)の区画に対応して複数に分割してあることを特徴とするネット遊具。
【請求項2】
前記掛け棒(21または22)には筒状の緩衝具(28)を差し込んであり、前記ロープ(31)は該緩衝具(28)の外周面を取り巻くようにして折り返しており、さらに該緩衝具(28)は該掛け棒(21または22)に対して変位可能であることを特徴とする請求項1記載のネット遊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が載ることで非日常的な感覚を得ることのできるネット遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
ネット遊具は、ロープなどを素材としたネットを高所に敷設した娯楽設備で、アスレチック場や公園などに設置されており、ネット上から直下の地面を視認でき、高所にいることを実感できるほか、揺れが持続することで特有の浮遊感や緊張感が得られ、非日常的なスリルを味わうことができ、子供を中心に根強い人気を有する。なおネットの敷設方法は様々で、橋梁のように二地点を結ぶものや、ハンモックのように面状に展開するもののほか、大きな傾斜を持たせ、よじ登りを実現できるものもある。
【0003】
ネット遊具は、子供向けの施設などで古くから普及しており、その技術開発の例として後記特許文献が挙げられる。そのうち特許文献1では、上下方向にも広がった遊戯スペースを有し、その構造がきわめて簡単な遊具が開示されている。この遊具は、網体と、これを張設する支柱と、を備えており、網体の一端を閉塞して上下二層にしてあることを特徴とする。また特許文献2では、飽きが来ないように変化性を有する遊戯用ネットが開示されている。この遊戯用ネットは、ネットを取付ロープで張設する構造だが、これとは別に補助ロープを用いることで、ネットを山型や波型などに変形させることができ、子供の興味を持続させ、飽きが来ることを防ぐ。
【0004】
またネット遊具に類似するものとして、トランポリンが挙げられる。トランポリンは、バネなどの弾性部材を用いて高い跳躍を得ることができる構造で、単なる娯楽用具として扱われることもあるが、娯楽要素を排除して高度な技量を競い合う「トランポリン競技」も開催されている。このトランポリンに関する技術開発の例として、特許文献3が挙げられる。この文献では、水上で跳躍運動のできる子供向けの水上跳躍用具が開示されており、不沈構造とした枠体の上部にキャンバスが張設されている。
【0005】
そのほか、森林を利用した大規模なネット遊具の例として、フランス発祥とされるパカブ(非特許文献1)が挙げられる。パカブは、木立を利用してネットを敷設するため、地上からの高さを十分に確保できるほか、木立でネットを支持するため、トランポリンのように上下方向に大きく揺動させることが容易で、ネットに載った人々が協調して飛び跳ねることで揺動が増幅され、通常のネット遊具を超えた娯楽性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】公開実用昭和62-119960号公報
【文献】実用新案登録第3054792号公報
【文献】公開実用昭和49-94732号公報
【文献】商標登録第5992588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
屋外設置のネット遊具は大規模化が容易で、またネットを高所に敷設できるため、非日常性を演出しやすく、娯楽設備として優れている。しかし屋外設置のため、気象条件による影響が避けられず、稼働率の低下や保守作業の増大といった課題がある。そのため近年は、ショッピングセンターや公共施設などにおいて、集客の目玉として屋内型のネット遊具が設置されることがある。屋内型は、天候の影響を受けることなく確実に利用できるため、期待を裏切ることがない。
【0008】
屋内型のネット遊具の魅力を一段と高めるため、ネットを大きく揺動させ、トランポリンのように使用したいとの要望がある。しかし屋内型では、上下の空間に制約があるため、木立でネットを支持するといった簡素な構造を導入することが難しい。そこでトランポリンと同様、バネやゴムなどの弾性部材でネットを支持することが考えられる。ただしこの構造では、ネット遊具が大規模化した場合、大量の弾性部材が必要となり、加えて、弾性部材の両端を引き留める器具類も大量に必要となり、施工時の費用や作業量の増加が避けられない。
【0009】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、大規模化した場合でも施工時の費用や作業量を抑制できるほか、大きな揺動を無理なく実現可能なネット遊具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、人が載ることのできる網状のサポートネットと、該サポートネットを架空に保持する支持体と、該支持体の内周面に沿って伸びる丸棒状の掛け棒と、該サポートネットと該掛け棒との間を結ぶロープと、を有し、前記支持体と前記掛け棒との間には、前記ロープを通すための隙間を確保してあり、該掛け棒は接続片を介して該支持体に取り付けてあり、該掛け棒は、そのあらゆる位置で前記ロープを引き留めることができ、且つ隣接する前記接続片の間の複数箇所で該ロープを引き留め可能であり、前記ロープは、前記サポートネットの外縁と前記掛け棒との間をジグザグ状に繰り返して往復するように張り巡らせてあり、該ロープによって該サポートネットを前記支持体に引き寄せており、該サポートネットは、その外縁のあらゆる位置で該ロープを引き留め可能であり、該ロープおよび該サポートネットの伸縮によって該サポートネットの揺動を生じ、且つ該ロープの張力を変えることで該サポートネットの揺動を調整可能であり、前記支持体と前記サポートネットとの間には、前記ロープを覆い隠す保護マットを敷設してあり、前記支持体および前記掛け棒は、前記サポートネットを取り囲むように配置してあり、且つ前記ロープを敷設するため、該サポートネットの外縁と該掛け棒との間には隙間を確保してあり、該サポートネットの外縁は該掛け棒から離れており、前記支持体は複数の区画に分割してあり、前記掛け棒についても該支持体の区画に対応して複数に分割してあることを特徴とするネット遊具である。
【0011】
本発明によるネット遊具は、支持体と掛け棒とサポートネットとロープの四要素を中心に構成され、一度に複数人が載ることができる大きさを想定している。この四要素のうち、サポートネットは、実際に人が載って飛び跳ねるためのもので、また支持体は、サポートネットを取り囲み、サポートネットを架空に保持する土台となるもので、そしてロープは、サポートネットの外縁を支持体に引き寄せるために用い、さらに掛け棒は、ロープを引き留めるための部品である。なお本発明は、屋内での設置を考慮したものだが、屋外にも問題なく設置可能である。
【0012】
サポートネットは、各種繊維を素材としたヒモ類を所定の間隔で交差させて網状に仕上げたものであり、キャンバスのように隙間なく面状に展開するものではない。そのためサポートネットに人が載ると、網目を通して直下の様子を無理なく視認可能で、確実に浮遊感を得ることができる。当然ながらこの網目は、子供でも手や足などが入り込むことのない間隔に抑制し、十分な安全性を確保する。またサポートネットは、人の荷重に耐えられるよう、その素材や太さを選定するが、揺動を促進させるため、荷重で適度に伸縮することが望ましい。なおサポートネットは、強度の向上や網目の微細化のため、複数枚を積層させることもある。
【0013】
支持体は、サポートネットを取り囲み、これを架空に保持するための枠組であり、必然的にサポートネットよりも一回り大きい環状になる。この環状については、額縁のような四角形状のほか、円形や多角形など自在である。またサポートネットの外縁は、支持体の内周面よりも小さくしてあり、そこに所定の隙間を確保する。なおサポートネットの下には、ある程度の空間を確保する必要があり、支持体の下には、何らかの脚部を設けることがある。
【0014】
ロープは、支持体にサポートネットを引き寄せるためのもので、引張荷重で弾性的に伸縮することを想定しており、サポートネットの揺動を実現する。そしてロープは、サポートネットと支持体との間を単純に結ぶものではなく、一本のロープがこの間をつづら折れ状(ジグザグ状)に繰り返して往復し、サポートネットの外縁全体を引き寄せるものとする。ただしロープは、一本に限定されるものではなく、長さが不足するなどの事情があれば、複数本を継ぎ足していく。
【0015】
掛け棒は、支持体の内周面に沿って伸びる棒状のもので、支持体側でロープを引き留める役割を果たす。さらに掛け棒は、支持体と比較して小断面であり、支持体に対して所定の距離を空けて配置し、そこにロープを通すための隙間が確保される。ただし掛け棒は、支持体と強固に一体化する必要があり、ある程度の間隔を空けて双方を接続する。またロープは、掛け棒を半周だけ取り巻いて折り返すことになるが、折り返しの前後ではロープの方向が異なり、ロープは、サポートネットと掛け棒との間をジグザグ状に進んでいく。なお構造上、掛け棒は複数の区画に分割されることもあるが、その場合でも、分割箇所での隙間をできるだけ狭くし、実質的に環状となるようにする。
【0016】
掛け棒は単純な棒状で、その全域でロープを引き留めることができる。またサポートネットは網状であり、その外縁のあらゆる位置でロープを引き留めることができる。したがってロープは、何らの制約を受けることなく自在に配置可能で、サポートネットの大きさや荷重条件などに基づき、都度、つづら折れの間隔を決定する。なおサポートネットの揺動の調整については、ロープの張力を変えることで実現するが、ロープの張力は必然的に均一に揃うため、バランスよくサポートネットを引き留めることができる。
【0017】
支持体でサポートネットを引き寄せる際は、一本のロープを用い、サポートネットと掛け棒との間をつづら折れ状に張り巡らせていけばよく、その作業は容易である。また支持体は、サポートネットを引き寄せる役割のほか、その上面を通路として利用することもできる。そのほか掛け棒は、汎用の鋼管や丸鋼を流用できるため、製造なども容易である。
【0018】
保護マットは、利用者の安全性を確保するため、支持体とサポートネットとの間に敷設し、ジグザグ状に張り巡らせたロープの周囲に手や足などが入り込むことを防ぐ。そのため保護マットは、支持体とサポートネットとの間に途切れることなく敷設する。保護マットを用いることで、支持体やロープが覆い隠され、周辺の通路とサポートネットとの間を違和感なく一体的に接続することができる。
【0019】
加えて、支持体は複数の区画に分割してあり、掛け棒についても支持体の区画に対応して複数に分割してあることを特徴とする。サポートネットを保持する支持体として各種鋼材を用いる場合、これを複数の区画に分割することで、輸送や据え付けの際、重量物や長大物を取り扱う必要がなくなり、施工時の作業量を抑制できる。
【0020】
そしてこの発明では、支持体の区画に対応して掛け棒も分割してある。そのため、製造段階で支持体に掛け棒を一体化するならば、現地で支持体を据え付けた後、直ちにロープを張り巡らせることができ、施工時の作業量を抑制できる。ただし製造や輸送の都合上、現地で支持体に掛け棒を一体化することもある。なお、掛け棒を複数の区画に分割した場合でも、ロープの引き留め位置に関し、何らの制約を与えないことが望ましい。したがって掛け棒は、分割された支持体の両端を結ぶように配置し、隣接する支持体同士の境界においても、掛け棒が途切れないようにする。
【0021】
請求項2記載の発明は、ロープの健全性を維持するためのもので、掛け棒には筒状の緩衝具を差し込んであり、ロープは緩衝具の外周面を取り巻くようにして折り返しており、さらに緩衝具は掛け棒に対して変位可能であることを特徴とする。ロープは、掛け棒の外周面を半周するようにして折り返すが、掛け棒は金属製であり、しかもロープは激しく伸縮する。そのため、掛け棒とロープが直に接触すると、摩擦によってロープの健全性に影響を与えることも予想される。そこでこの発明では、掛け棒に筒状の緩衝具を差し込み、しかも緩衝具は掛け棒に対し、回転方向と軸方向の両方に変位可能としてある。
【0022】
緩衝具は必然的に円筒状になり、その中心を掛け棒が貫いており、さらに緩衝具の外周面を取り巻くようにロープを接触させる。この緩衝具の詳細形状は限定されないが、ロープの離脱を防ぐため、両端にフランジを設けるか、または中央部が小径の鼓状とすることが望ましい。このように緩衝具を用いることで、ロープが激しく伸縮した場合でも、緩衝具はこれに追従するように変位して摩擦を防ぎ、ロープの健全性を維持する。なお緩衝具は、掛け棒の軸線方向に変位可能であり、ロープの引き留め位置を拘束することはない。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明のように、ネット遊具を支持体と掛け棒とサポートネットとロープで構成し、支持体の内周面に沿って掛け棒を環状に配置することで、掛け棒やサポートネットのあらゆる位置でロープを引き留めることができる。したがって、ジグザグ状に往復するロープの間隔を自在に調整できるほか、ロープの張力は必然的に均一に揃う。このような特徴により、サポートネットの大きさや形状が異なる場合でも、サポートネットを最適な状態で引き寄せることができ、大きく揺動させることも容易である。
【0024】
しかも本発明では、バネなどの弾性部材を用いないため、この弾性部材の両端を引き留める器具類も不要で、大規模化した場合でも、施工時の費用や作業量を抑制できる。なお本発明は、屋内での設置を想定して開発されたものだが、対候性などに考慮するならば、屋外設置も何ら問題はない。
【0025】
また掛け棒は、支持体の内周面に配置する。そのため支持体の上面をそのまま通路として利用することもでき、しかもロープは保護マットで覆い隠されることから、周辺の通路や階段からサポートネットまでが一体的な平面状になり、支持体やロープの存在が覆い隠される。その結果、広い床面の一角だけが揺動するような非日常的な感覚が得られ、従来には存在しないネット遊具を提供できる。
【0026】
加えて、支持体を複数の区画に分割するほか、掛け棒についても支持体の区画に対応して分割し、個々の支持体に掛け棒を一体化することで、輸送や据え付けの際、重量物や長大物を取り扱う必要がなく、施工時の作業量を抑制できる。しかも、製造段階で支持体に掛け棒を一体化するならば、現地で支持体を据え付けた後、直ちにロープを張り巡らせることができ、施工時の作業量を一段と抑制できる。
【0027】
請求項2記載の発明のように、掛け棒に筒状の緩衝具を差し込み、緩衝具の外周面でロープが折り返すような構成にすることで、ロープが激しく伸縮した場合でも、緩衝具はこれに追従するように変位して摩擦を防ぎ、ロープの健全性を維持する。しかも緩衝具は、掛け棒の軸線方向に沿って自在に変位可能であり、あらゆる位置でロープを引き留めることができる点に変わりはない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明によるネット遊具の構成例を示す斜視図で、支持体の内側にサポートネットを配置してあり、双方をロープで一体化してある。
図2図1のネット遊具の利用状態を示す斜視図である。
図3図1のネット遊具に付帯設備を組み込んだ状態を示す斜視図である。
図4図1の支持体や掛け棒などの詳細構造を示す斜視図である。
図5】掛け棒に緩衝具を組み込んだ形態を示す斜視図である。
図6】ネット遊具を円形とした場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明によるネット遊具の構成例を示し、支持体11の内側にサポートネット41を配置してあり、双方をロープ31で一体化してある。この図の支持体11は、矩形断面の鋼材を長方形状に配置したもので、サポートネット41を架空に保持するため、支持体11は、脚部16の上に載せられている。なお図では、内部構造を示すため、支持体11の一部区間を描いていないが、実際には途切れることのない環状である。ただし支持体11は、輸送や据え付けを考慮し、分割面15を境として計八区画で構成されている。そのほかこの図では、支持体11と脚部16を一体化してあるが、分割構造にしてもよい。
【0030】
掛け棒21は、汎用の鋼管や丸鋼を加工したもので、支持体11の内周面に沿って環状に配置してある。ただし掛け棒21は、途切れることのない環状ではなく、分割面15の位置で途切れている。また、支持体11と掛け棒21との間は、ロープ31が余裕で入り込める間隔を確保してあるが、支持体11と掛け棒21を一体化するため、所定の間隔で双方を結ぶ接続片24を配置してある。当然ながら接続片24の配置間隔は、安全性に基づいて決定する。そのほか、この図では掛け棒21を支持体11の上面よりもやや低く配置してあるが、双方をほぼ同じ高さに揃えることもある。
【0031】
サポートネット41は、各種繊維を素材としたヒモ類を所定の間隔で交差させて網状に仕上げたもので、その網目は、手や足などが入り込まないような間隔に調整してあり、網目を通して直下の床面81などを無理なく視認可能である。またサポートネット41の外縁は、掛け棒21よりも一回り小さい長方形状で、その間にロープ31を張り巡らせることで、掛け棒21を介してサポートネット41を支持体11に引き寄せる。ロープ31は、サポートネット41に載った人の荷重で弾性変形を生じることを前提としているが、当然ながら、サポートネット41も、ある程度の弾性変形を生じる。
【0032】
ロープ31は、サポートネット41の外縁と掛け棒21との間をつづら折れ状に繰り返して往復しており、サポートネット41を強力に支持体11に引き寄せているが、荷重によって適度な伸縮を生じるよう、素材や太さを選定している。そのためサポートネット41に人が載ると、ロープ31が引き伸ばされて反力が増し、人の荷重に対抗する。なおロープ31の間隔は、荷重条件に基づいて決定しており、サポートネット41を緩むことなく引き寄せているが、サポートネット41の揺動の調整は、ロープ31の張力を変えることで実現している。
【0033】
支持体11とサポートネット41との間には、ロープ31だけが配置されているため、ロープ31の周囲で手や足などが落下する恐れがある。そこで、支持体11とサポートネット41との間には、保護マット51を敷き詰めて安全性を確保する。保護マット51は、双方の境界を隙間なく埋めるため、途切れることなく環状に配置するほか、何らかの手段で支持体11などに固定し、振動などによる移動を防ぐ必要がある。なお図1は、あくまでも本発明によるネット遊具の構成例であり、支持体11には、H型鋼などの各種鋼材のほか木材も使用可能である。
【0034】
図2は、図1のネット遊具の利用状態を示す。このように、サポートネット41に利用者が載ると、その周辺が下方に突出するほか、ロープ31が引き伸ばされる。この際は、ロープ31のほか、サポートネット41も引き伸ばされるが、ロープ31の張力などを調整することで、利用者が飛び跳ねた際、トランポリンのような挙動を示し、娯楽性が高まる。ただし利用者が多数の場合でも、サポートネット41が床面81に接触することを防ぐ必要があり、また利用者が過度に跳躍しないよう配慮を要する。なおこの図では、構造を示すため、保護マット51は描いていない。
【0035】
図3は、図1のネット遊具に付帯設備を組み込んだ状態を示す。実際のネット遊具では、利用者がサポートネット41に出入りするための通路や、各種の転落防止対策が必要になり、この図では、床面81と支持体11を階段71で接続している。また支持体11には、階段71のある位置を除いて手すり74を取り付けてあり、不用意な転落を防ぐ。
【0036】
支持体11とサポートネット41との間には、途切れることなく保護マット51を敷き詰めてあり、掛け棒21やロープ31などは完全に覆い隠され、この領域で手や足などが落下することはない。さらにこの図では、保護マット51の外縁を支持体11の上面に載せてあり、階段71を上った利用者は、支持体11を視認できない。そのため利用者は、ネット遊具の構造を認識することが難しく、全く新しい遊具のような印象を与えることもできる。なおこの図とは異なり、支持体11とロープ31との間に大きな段差がある場合などには、保護マット51を支持体11の上面に載せないこともある。
【0037】
図4は、図1の支持体11や掛け棒21などの詳細構造を示す。支持体11は、分割面15を境として複数に区画されており、製造や輸送が容易である。そして施工時は、支持体11を解体した状態で現地に輸送し、個々の支持体11を所定の位置に据え付けた後、分割面15を跨ぐようにプレート61を接触させ、プレート61と支持体11を貫くようにボルト62を差し込み、その先端にナット63を螺合させる。プレート61は、支持体11の側面を挟み込むように二枚配置し、この二枚をボルト62とナット63で引き寄せることで、分割面15を挟んで隣接する支持体11同士が一体化する。なおこの図は、支持体11同士を一体化する方法の一例に過ぎず、実際には、様々な方法で双方を一体化することができる。
【0038】
ロープ31を引き留めるための掛け棒21は、汎用の鋼管や丸鋼を加工したもので、支持体11の内周面に沿って配置してある。そして掛け棒21についても、分割面15を境に分断されており、個々の支持体11に対し、その両端を結ぶように掛け棒21を一体化してある。したがって、隣接する支持体11同士を一体化すると、掛け棒21についても、分割面15を挟んで二つが隣接し、実質的に環状になる。なお掛け棒21は、ロープ31が入り込む隙間を確保するため、接続片24を介して支持体11と一体化してあり、接続片24は、個々の支持体11の両端のほか、中間部にも配置して必要な強度を確保してある。
【0039】
図5は、掛け棒21に緩衝具28を組み込んだ形態を示す。緩衝具28は、中央部が小径となった鼓状で、その中心に掛け棒21を差し込み、さらに、緩衝具28の外周面を半周するようにロープ31を接触させると、ロープ31が支持体11で引き留められる。緩衝具28は、掛け棒21に対して揺動可能で、しかも掛け棒21の軸線方向に変位可能で、ロープ31の伸縮などに無理なく追従する。そのためロープ31が摩擦で劣化することを防ぎ、信頼性が向上する。
【0040】
掛け棒21に差し込まれた緩衝具28は、接続片24のある位置を除き、自在に変位できるため、ロープ31の配置を大きく制限することはない。またこの図の構成では、掛け棒21を支持体11と一体化するのに先立ち、掛け棒21に緩衝具28を差し込む必要がある。ただし、緩衝具28の組み込み方法は自在であり、緩衝具28を半割にすることも可能である。
【0041】
図6は、ネット遊具を円形とした場合を示す。本発明によるネット遊具の形状は自在で、このように、支持体12やサポートネット42を円形にすることもできる。ここでの支持体12は、分割面15を境として四区画に分かれており、個々の支持体12は円弧状で、分割面15の下に脚部16を配置してある。また掛け棒22は、支持体12に応じて湾曲しているが、支持体12と同様、分割面15で分断されており、支持体12と掛け棒22は、接続片24を介して一体化している。なおネット遊具の形状は自在で、これまでの長方形や円形のほか、多角形とすることもできる。
【0042】
図6では、支持体12の形状に対応し、サポートネット42の外縁も円形となっており、さらにサポートネット42と掛け棒22との間は、一定の距離を確保してあり、そこを結ぶようにロープ31をジグザグ状に張り巡らせてある。また保護マット52は、ロープ31を完全に覆い隠すよう、内部が切り抜かれた円形となっている。そのほか支持体12の外側には、通路となるスロープ72を配置してある。スロープ72は、支持体12を切れ目なく取り囲む環状とすることで、あらゆる位置からサポートネット42に載ることができる。
【符号の説明】
【0043】
11 支持体(長方形に並ぶもの)
12 支持体(円形に並ぶもの)
15 分割面
16 脚部
21 掛け棒(直線状のもの)
22 掛け棒(全体が湾曲しているもの)
24 接続片
28 緩衝具
31 ロープ
41 サポートネット(長方形)
42 サポートネット(円形)
51 保護マット(額縁状に配置)
52 保護マット(円形に配置)
61 プレート
62 ボルト
63 ナット(プレートの固定に使用)
71 階段
72 スロープ
74 手すり
81 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6