(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】給与算出システム及び給与算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20221006BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20221006BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
G06Q10/10 320
(21)【出願番号】P 2022092659
(22)【出願日】2022-06-08
【審査請求日】2022-06-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522227772
【氏名又は名称】株式会社JustOne
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩行
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-068033(JP,A)
【文献】特開2018-151945(JP,A)
【文献】特開2002-133049(JP,A)
【文献】特開2005-135363(JP,A)
【文献】特開2002-041729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0276722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案件に関係する作業員に、固定時給が設定された固定給従業員と、分配金が支給される分配金従業員とのいずれかを各作業員毎に設定する設定制御部と、
前記案件に関係する従業員が行った作業時間を各従業員毎に受け付ける作業時間制御部と、
前記案件に関係する全ての作業員の作業時間が受け付けられると、前記全ての従業員のうち、固定給従業員の作業時間と当該固定給従業員の固定時給とを乗算した乗算値を固定給従業員の人件費として各固定給従業員毎に算出し、全ての固定給従業員の人件費の合計値を全人件費として算出する人件費制御部と、
前記案件に対する金額から、前記全人件費を含む経費を減算した減算値を分配元金として算出する分配元金制御部と、
前記全ての従業員のうち、全ての分配金従業員の作業時間の合計時間を算出し、前記分配元金から前記合計時間で除算した除算値を分配金時給として算出する分配金時給制御部と、
前記分配金従業員の作業時間と前記分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の分配金として各分配金従業員毎に算出する分配金制御部と、
各固定給従業員毎の固定時給と人件費と、前記分配金時給と、各分配金従業員毎の分配金とを表示する表示制御部と、
を備える給与算出システム。
【請求項2】
前記表示された固定給従業員のうち、所定の固定給従業員が選択されると、前記全人件費から、当該選択された選択固定給従業員の人件費を減算した減算値を新規全人件費として算出させ、
前記案件に対する金額から、前記全人件費を前記新規全人件費に変更した経費を減算した減算値を新規分配元金として算出させ、
前記全ての従業員のうち、前記全ての分配金従業員の作業時間と前記選択固定給従業員の作業時間との新規合計時間を算出させ、前記新規分配元金から前記新規合計時間で除算した除算値を新規分配金時給として算出させ、
前記分配金従業員の作業時間と前記新規分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の新規分配金として各分配金従業員毎に算出させるとともに、前記選択固定給従業員の作業時間と前記新規分配金時給とを乗算した乗算値を前記選択固定給従業員の分配金として算出させ、
前記新規分配金時給と、前記選択固定給従業員の分配金とを表示させる、再計算制御部と、
を更に備える、
請求項1に記載の給与算出システム。
【請求項3】
前記表示された分配金従業員のうち、所定の分配金従業員が選択されると、当該選択された選択分配金従業員の作業時間と所定の固定時給とを乗算した乗算値を新規人件費として算出させ、前記全人件費に、前記新規人件費を加算した加算値を新規全人件費として算出させ、
前記案件に対する金額から、前記全人件費を前記新規全人件費に変更した経費を減算した減算値を新規分配元金として算出させ、
前記全ての従業員のうち、前記全ての分配金従業員の作業時間から前記選択分配金従業員の作業時間を減算した減算値を新規合計時間として算出させ、前記新規分配元金から前記新規合計時間で除算した除算値を新規分配金時給として算出させ、
前記分配金従業員の作業時間と前記新規分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の新規分配金として各分配金従業員毎に算出させ、
前記選択分配金従業員の固定時給と、前記新規人件費とを表示させる、再計算制御部と、
を更に備える、
請求項1に記載の給与算出システム。
【請求項4】
案件に関係する作業員のうち、固定時給が設定された固定給従業員と、分配金が支給される分配金従業員とを設定する設定制御工程と、
前記案件に関係する従業員が行った作業時間を各従業員毎に受け付ける作業時間制御工程と、
前記案件に関係する全ての作業員の作業時間が受け付けられると、前記全ての従業員のうち、固定給従業員の作業時間と当該固定給従業員の固定時給とを乗算した乗算値を固定給従業員の人件費として各固定給従業員毎に算出し、全ての固定給従業員の人件費の合計値を全人件費として算出する人件費制御工程と、
前記案件に対する金額から、前記全人件費を含む経費を減算した減算値を分配元金として算出する分配元金制御工程と、
前記全ての従業員のうち、全ての分配金従業員の作業時間の合計時間を算出し、前記分配元金から前記合計時間で除算した除算値を分配金時給として算出する分配金時給制御工程と、
前記分配金従業員の作業時間と前記分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の分配金として各分配金従業員毎に算出する分配金制御工程と、
各固定給従業員毎の固定時給と人件費と、前記分配金時給と、各分配金従業員毎の分配金とを表示する表示制御工程と、
を備える給与算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給与算出システム及び給与算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、従業員の給与管理のためのシステム開発が多種行われている。例えば、特開2021-64163号公報(特許文献1)には、管理項目記憶手段と、データ集計手段と、図表作成手段と、を有するマンアワーシステムが開示されている。管理項目記憶手段は、個人の氏名、仕事内容、仕事時間等の様々な管理項目を記憶し、データ集計手段は、様々な管理項目から所定の管理項目を選択し、当該選択した管理項目を集計する等の加工を行う。図表作成手段は、データ集計手段により加工された管理項目を所定の図表形式に出力する。マンアワーシステムは、複数の所定期間の(1)予算と(2)実績と(3)実績を踏まえた変更後の予算とをそれぞれの所定期間ごとに表示し、複数の所定期間におけるそれまでの期間の(4)累積の予算と(5)累積の実績と(6)実績を踏まえた累積の変更後の予算とをそれぞれの所定期間ごとに表示するグラフを作成する。これにより、個人の働き方を分析でき、働き方改革を実践し、団体の行う仕事内容の改善を図る礎とすることができるとしている。
【0003】
又、特開2022-15646号公報(特許文献2)には、複数の従業員の給与計算を行う給与計算方法が開示されている。給与計算方法は、給与設計ステップと、給与計算ステップと、を含む。給与設計ステップは、情報処理装置が備える給与設計処理部が複数の手当項目に対する給与設計データを生成し、給与計算ステップは、情報処理装置が備える給与計算処理部が、給与設計データ及び各従業員の勤務状況を示す勤務状況データを用いて給与計算を行う。複数の手当項目は、第1手当項目を含み、複数の従業員は、基準期間に応じて給与計算が行われる第1従業員群と、労働時間に応じて給与計算が行われる第2従業員群を含む。そして、第1従業員群の従業員は、契約労働時間が定められ、第1手当項目は、給与計算ステップにおいて、第1従業員群の従業員に対して当該第1手当項目の賃金を用いずに単位時間あたりの賃金が計算される。又、平均契約労働時間は、第1従業員群の少なくとも一人の契約労働時間を基準期間あたりのものに換算した値である。給与設計ステップにおいて、給与設計処理部は、第2従業員群の少なくとも一人の従業員に対して、基準期間に応じて計算された第1手当項目の内部計算値を含めた値を、平均契約労働時間で割ることを含む計算を行って、給与設計データを生成する。これにより、平均契約労働時間(例えば月給制の給与体系での平均月所定労働時間)という概念を導入することにより、基準期間に応じて給与額が定まる従業員と、労働時間に応じて給与額が定まる従業員とに対して、整合した給与体系を構築することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-64163号公報
【文献】特開2022-15646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、日本の人口が減少している中、会社の経営者として人材の確保が重要になっている。ここで、人材を適切に確保するためには、経営者は、従業員に支払う給与(賃金)を公平に決定していかなければならない。従来、給与の設定基準は、従業員の若者よりも高齢者の給与が高くなることが一般的であり、経営者も、その傾向に応じて、高齢者の給与を高く設定することがあった。一方、若者は、高齢者が給与に見合った労働を行っていないと、不公平感や労働意欲の低下につながり、従業員間の不平等感を払拭し難いという課題がある。
【0006】
又、経営者は、従業員のスキルに見合った給与を決定するが、一般的に、専門的な専門職(専門工)と通常の従業員との給与の格差が指摘されている。例えば、従業員が、専門職と同等かそれ以上のスキルを持っており、専門職と同一の労働を行ったとしても、専門職の給与と同等の給与を得ることが出来ない。このことから、不公平感や会社の離職につながり、ここでも、従業員間の不平等感を払拭し難いという課題がある。
【0007】
更に、従業員に対して適正な給与の設定を算出するための適正な算出手段が無いという課題がある。
【0008】
一方、労働環境では、急な業務が入れば、従業員は夜間労働や休日労働等の長時間労働を行う必要があるが、従業員としては、経営者に人材不足や管理不足を指摘し、経営者としては、従業員に能力不足や努力不足を指摘する。そのため、経営者も従業員も双方分かり合えないという課題がある。
【0009】
又、経営者は、従業員を常時監視することは出来ないことから、従業員の勤怠管理は、性善説に基づくしかない状況である。一方、経営者としては、業務を任せやすい従業員とそうでない従業員が存在するため、業務を任せやすい従業員に業務が蓄積し、従業員間で不公平感が生じるという課題がある。
【0010】
更に、従業員には、それぞれ自身にあった働き方をしたいという意識が高まっている。やる気があり、能力が高いタイプの従業員は、どんどん業務を遂行したい傾向がある。マイペースを絶対に崩さないタイプの従業員は、通常の業務だけ遂行して、イレギュラーな業務を嫌う傾向がある。自身の権利のみを主張するタイプの従業員は、自身に与えられた業務のみ遂行する傾向がある。このように、各従業員毎にタイプが異なることから、経営者としては、それぞれのタイプに合った業務を分配し、多様な働き方を認める必要があるものの、どのようにすればよいか具体的な解決策が無いという課題がある。
【0011】
特許文献1に記載の技術では、個人の働き方を分析することが出来るものの、個人の給与について具体的な決定を行うことが出来ないという課題がある。特許文献2に記載の技術では、平均契約労働時間を導入することで、一般的な給与体系を構築することが出来るものの、各従業員毎のスキルに合った給与について具体的な決定を行うことが出来ないという課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、案件に対する分配元金と従業員の作業時間とに基づいて、各従業員毎の設定(スキル)に合った給与を容易に把握することが可能な給与算出システム及び給与算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る給与算出システムは、設定制御部と、作業時間制御部と、人件費制御部と、分配元金制御部と、分配金時給制御部と、分配金制御部と、表示制御部と、を備える。設定制御部は、案件に関係する作業員に、固定時給が設定された固定給従業員と、分配金が支給される分配金従業員とのいずれかを各作業員毎に設定する。作業時間制御部は、前記案件に関係する従業員が行った作業時間を各従業員毎に受け付ける。人件費制御部は、前記案件に関係する全ての作業員の作業時間が受け付けられると、前記全ての従業員のうち、固定給従業員の作業時間と当該固定給従業員の固定時給とを乗算した乗算値を固定給従業員の人件費として各固定給従業員毎に算出し、全ての固定給従業員の人件費の合計値を全人件費として算出する。分配元金制御部は、前記案件に対する金額から、前記全人件費を含む経費を減算した減算値を分配元金として算出する。分配金時給制御部は、前記全ての従業員のうち、全ての分配金従業員の作業時間の合計時間を算出し、前記分配元金から前記合計時間で除算した除算値を分配金時給として算出する。分配金制御部は、前記分配金従業員の作業時間と前記分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の分配金として各分配金従業員毎に算出する。表示制御部は、各固定給従業員毎の固定時給と人件費と、前記分配金時給と、各分配金従業員毎の分配金とを表示する。
【0014】
又、本発明に係る給与算出方法は、設定制御工程と、作業時間制御工程と、人件費制御工程と、分配元金制御工程と、分配金時給制御工程と、分配金制御工程と、表示制御工程と、を備える。本発明に係る給与算出方法の各工程は、本発明に係る給与算出システムの各制御部に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、案件に対する分配元金と従業員の作業時間とに基づいて、各従業員毎の設定に合った給与を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る給与算出システムの機能ブロック図である。
【
図2】本発明に係る給与算出方法の実行手順を示すフローチャートである。
【
図3】給与算出画面の表示の一例を示す図(
図3A)と、ユーザ登録画面の表示とユーザ登録テーブルの一例を示す図(
図3B)と、である。
【
図4】新規見積画面の表示と見積登録テーブルの一例を示す図(
図4A)と、見積条件画面の表示の一例を示す図(
図4B)と、である。
【
図5】従業員設定画面の表示の一例を示す図(
図5A)と、作業員登録テーブルの一例を示す図(
図5B)と、である。
【
図6】作業時間受付画面の表示の一例を示す図(
図6A)と、作業時間登録テーブルの一例を示す図(
図6B)と、である。
【
図7】人件費分配金画面の表示の一例を示す図(
図7A)と、人件費分配金画面の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図(
図7B)と、である。
【
図8】案件一覧画面の表示の一例を示す図(
図8A)と、作業時間受付画面の表示の一例を示す図(
図8B)と、である。
【
図9】作業時間登録テーブルの一例を示す図(
図9A)と、人件費分配金画面の表示の一例を示す図(
図9B)と、である。
【
図10】人件費分配金画面の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図(
図10A)と、案件確認画面の表示の一例を示す図(
図10B)と、である。
【
図11】案件確認画面の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図(
図11A)と、固定給従業員が選択されて分配金従業員として取り扱われた際の案件確認画面の表示の一例を示す図(
図11B)と、である。
【
図12】案件確認画面の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図(
図12A)と、分配金従業員が選択されて固定給従業員として取り扱われた際の案件確認画面の表示の一例を示す図(
図12B)と、である。
【
図13】実際の条件に近い作業員登録テーブルの一例を示す図(
図13A)と、実際の条件に近い作業時間登録テーブルと合計作業時間登録テーブルの一例を示す図(
図13B)と、である。
【
図14】実際の条件に近い場合の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図である。
【
図15】固定給従業員の「社員A」を分配金従業員に変更した場合の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図である。
【
図16】固定給従業員の「社員B」を分配金従業員に変更した場合の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図である。
【
図17】分配金従業員の「社員K」を固定給従業員に変更した場合の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図である。
【
図18】分配金従業員の「社員M」を固定給従業員に変更した場合の人件費と分配金の詳細の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0018】
本発明に係る給与算出システム1は、
図1に示すように、第一の端末装置10と、第二の端末装置11と、給与算出サーバ12と、を備えている。第一の端末装置10と、第二の端末装置11と、給与算出サーバ11とは、ネットワーク13を介して無線又は有線で通信可能に接続されている。尚、ここでは、二つの端末装置10、11でそれぞれ対応可能に構成しているが、一つの端末装置を備えても、三つ以上の端末装置を備えても構わない。
【0019】
ここで、第一の端末装置10と、第二の端末装置11とは、画面を表示する端末表示部(出力部)と、ユーザの操作により所定の指示の入力を受け付ける端末受付部(入力部)と、無線通信用の端末通信部と、データを記憶させる端末記憶部(メモリ)と、各部を制御する端末制御部とを備えている。第一の端末装置10と、第二の端末装置11とは、一般的に使用されるコンピュータであり、例えば、ディスクトップ型端末装置、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)、タブレット型端末装置、携帯用のノートパソコンを挙げることが出来る。
【0020】
又、給与算出サーバ12は、一般的に使用されるコンピュータであり、給与を算出するサーバ算出部と、無線及び有線通信用のサーバ通信部と、データを記憶させるサーバ記憶部と、各部を制御するサーバ制御部とを備えている。
【0021】
又、ネットワーク13は、第一の端末装置10と、第二の端末装置11と、給与算出サーバ12とのそれぞれに通信可能に接続する。ネットワーク13は、Wifi(登録商標)のアクセスポイントを介したLAN(Local Area Network)の他、無線基地局を介したWAN(Wide Area Networ)、第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、第5世代(5G)以降の通信方式、Bluetooth(登録商標)等の無線通信ネットワークを挙げることが出来る。
【0022】
又、第一の端末装置10と、第二の端末装置11と、給与算出サーバ12とは、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各制御部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各制御部を実現する。
【0023】
次に、
図2-
図12を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、経営者、管理者などのユーザが、事務所に設置された第一の端末装置10を使って、給与算出画面の表示を指示すると、給与算出サーバ12の表示制御部201は、給与算出画面を第一の端末装置10に表示させる(
図2:S101)。
【0024】
ここで、表示制御部201の表示方法に特に限定は無い。例えば、ユーザが、第一の端末装置10を用いて、給与算出画面のURL(Uniform Resource Locator)の給与算出サーバ12へネットワーク13を介してアクセスすると、給与算出サーバ12の表示制御部201が、第一の端末装置10のアクセスを受けて、給与算出画面を第一の端末装置10に表示させる。
【0025】
その他に、ユーザが、第一の端末装置10を用いて、給与算出画面の専用アプリ(アプリケーション、プログラム、ソフトウェア)をダウンロードし、ダウンロードした専用アプリを起動させると、第一の端末装置10が、専用アプリに基づいて給与算出サーバ12にネットワーク13を介してアクセスし、表示制御部201が、給与算出画面を第一の端末装置10の専用アプリに表示させても良い。
【0026】
又、給与算出画面の構成に特に限定は無いが、例えば、給与算出画面300には、
図3Aに示すように、給与算出画面を示すメッセージ301(例えば、「給与算出画面」)と、ユーザIDに対応するメールアドレス302と、パスワード(PW)303と、ログインキー304と、ユーザ登録キー305とが表示される。
【0027】
ここで、ユーザが、給与算出画面300を初めて表示させる場合は、ユーザ登録するために、ユーザ登録キー305を選択すると、表示制御部201は、ユーザ登録画面を表示して、ユーザ登録を要求する(
図2:S102)。
【0028】
ここで、表示制御部201の要求方法に特に限定は無いが、例えば、ユーザ登録画面306には、
図3Bに示すように、ユーザ登録を示すメッセージ307(例えば、「ユーザ登録画面」)と、メールアドレス308と、パスワード(PW)309と、登録キー310とが表示される。表示制御部201は、ユーザ登録画面306を介して、ユーザからのメールアドレスとPWの入力を促す。
【0029】
そして、ユーザ登録画面306を見たユーザは、第一の端末装置10を操作して、メールアドレス308に所定のメールアドレス311(例えば、「abc」)と、PW309に所望のPW312(例えば、「def」)とを入力し、登録キー310を選択すると、表示制御部201は、入力されたメールアドレス311(「abc」)とPW312(「def」)とを受け付けて、入力された入力メールアドレス311(「abc」)が、既に登録された登録メールアドレスに一致するか否かを判定する。
【0030】
ここで、表示制御部201は、所定のメモリに予め記憶されたユーザ登録テーブル313を参照する。ユーザ登録テーブル313には、既に登録された登録メールアドレス314と、登録パスワード315とが関連付けて記憶されている。表示制御部201は、このユーザ登録テーブル313を用いて判定する。
【0031】
判定の結果、入力メールアドレス311が登録メールアドレス314に一致する場合は、表示制御部201は、入力されたメールアドレス311とPW312を消去して、異なるメールアドレスとPWの入力をユーザに促す。この場合は、入力メールアドレス311が既に登録されている場合に該当するため、この入力メールアドレスは、他のユーザにより既に登録されていることを意味する。一方、判定の結果、入力メールアドレス311が登録メールアドレス314に一致しない場合は、表示制御部201は、これらのメールアドレス311(「abc」)とPW312(「def」)とを関連付けて記憶させることで、ユーザ登録を完了する。ここで、ユーザ登録されたメールアドレス311(「abc」)とPW312(「def」)は、例えば、ユーザ登録テーブル313(又はリスト)に記憶される。
【0032】
さて、ユーザ登録が完了すると、表示制御部201は、再度、給与算出画面300を表示するとともに、ログイン状態とする(
図2:S102YES)。これにより、ユーザは、給与算出画面300から次の画面へ移行することが出来る。
【0033】
一方、既にユーザ登録を完了したユーザが給与算出画面300からログインする場合は、ユーザは、ユーザ登録後のメールアドレスとPWのそれぞれを給与算出画面300から入力すると、表示制御部201が、ユーザから入力されたメールアドレスと、PWとを、ユーザ登録テーブル313に登録された登録メールアドレス314と、これに関連付けられた登録PW315とにそれぞれ照合して、両者のそれぞれが一致すれば、ユーザのログインを行う(
図2:S102YES)。一方、両者のそれぞれが一致しない場合は、表示制御部201は、入力されたメールアドレスとPWを消去して、正しいメールアドレスとPWの入力をユーザに促すことになる(
図2:S102NO)。尚、メールアドレスは、例えば、識別情報IDに代えても構わない。
【0034】
さて、ユーザがログインして、所定の案件(仕事、業務)を登録するための操作を行うと、給与算出サーバ12の見積制御部202は、第一の端末装置10に新規見積画面を表示させる。
【0035】
ここで、新規見積画面の構成に特に限定は無いが、例えば、案件が、所定の建物の工事である場合は、新規見積画面400には、
図4Aに示すように、新規見積を示すメッセージ401(例えば、「新規見積画面」)と、管理会社番号402と、現場名403と、工事内容404と、確定キー405とが表示される。ここで、管理会社番号は、例えば、工事を管理する管理会社に付された識別番号を意味する。管理会社番号や現場名、工事内容のこれらの情報は、案件情報となる。
【0036】
さて、新規見積画面400を見たユーザは、第一の端末装置10を操作して、案件情報として、管理会社番号402に所定の管理会社番号406(例えば、「001」)を入力し、現場名403に所定の現場名407(例えば、「A001」)を入力し、工事内容404に所定の工事内容408(例えば、「施工」)を入力し、確定キー405を選択する(
図2:S103YES)。すると、見積制御部202は、入力された管理会社番号406(「001」)と現場名407(「A001」)と工事内容408(「施工」)とを受け付けて、所定の見積番号(例えば、「aaa」)を発行する(
図2:S104)。そして、見積制御部202は、この見積番号(「aaa」)に、入力された管理会社番号406(「001」)と現場名407(「A001」)と工事内容408(「施工」)とを関連付ける。例えば、見積制御部202は、所定のメモリに予め記憶された見積登録テーブル409を参照する。見積登録テーブル409には、見積番号410と、管理会社番号411と、現場名412と、工事内容413とが関連付けて記憶されている。見積制御部202は、この見積登録テーブル409を用いて、一つの見積番号に案件情報を関連付けていくことが可能となる。
【0037】
さて、見積制御部202が案件情報を受け付けると、次に、見積条件を入力するための見積条件画面を表示させる。ここで、見積条件画面の構成に特に限定は無いが、例えば、見積条件画面414には、
図4Bに示すように、見積番号415(「aaa」)と、管理会社番号416(「001」)と、現場名417(「A001」)と、工事内容418(「施工」)とが表示される。又、見積条件画面414には、現在の状態を示す対応状況419(例えば、「調査・見積前」)と、見積日420と、見積金額421と、見積時の経費422と、確定キー423とが表示される。
【0038】
ここで、見積時の経費422は、案件の種類に応じて適宜設計されるものの、ここでは、管理会社経費422aと、外注発注費422bと、部品発注費422cと、雑費422dとが表示される。管理会社経費422aは、例えば、管理会社のマージン率(%)に変更される場合もあり、管理会社のマージン率の場合は、見積金額に対してマージン率を乗算した乗算値が管理会社経費に該当する。管理会社経費422aの他に、会社に必要な会社固定費を経費422に含めても良い。これらの経費422は、例えば、それぞれの種類に応じて予め用意された複数の項目や数をプルダウン形式で表示させて、ユーザが項目や数を選択することで、経費422の入力が可能になっても良い。
【0039】
さて、見積条件画面414を見たユーザは、案件に対する見積に基づき、第一の端末装置10を操作して、見積条件として、見積日420に所定の日付424(例えば、「2022/2/20」)を入力し、見積金額421に所定の金額425(例えば、「500,000」)を入力する。次に、ユーザは、見積時の経費422について、管理会社経費422aに所定の金額426a(例えば、「50,000」)を入力し、外注発注費422bに所定の金額426b(例えば、「50,000」)を入力し、部品発注費422cに所定の金額426c(例えば、「50,000」)を入力し、雑費422dに所定の金額426d(例えば、「50,000」)を入力し、確定キー423を選択する(
図2:S105YES)。すると、見積制御部202が、入力された見積条件を受け付けて、案件に対する見積金額が確定する。そして、次に、給与算出サーバ12の設定制御部203は、案件に関係する作業員(労働者、従業員等)に、固定時給が設定された固定給従業員と、分配金が支給される分配金従業員とのいずれかを各作業員毎に設定する(
図2:S106)。
【0040】
ここで、設定制御部203の設定方法に特に限定は無い。例えば、設定制御部203は、従業員設定画面を表示させる。従業員設定画面500には、
図5Aに示すように、作業員501と、固定給従業員の選択キー502と、固定時給503と、分配金従業員の選択キー504と、確定キー505とが表示される。固定給従業員の選択キー502と、分配金従業員の選択キー504とは、いずれか一方しか選択することが出来ないキーであり、固定時給503は、入力可能な項目である。ここでは、作業員501には、予め登録された従業員の名称/氏名(例えば、「ABC」、「DEF」、「GHI」等)が入力されている。
【0041】
さて、従業員設定画面500を見たユーザは、例えば、作業員の労働条件に応じて、固定給従業員の選択キー502又は分配金従業員の選択キー504の選択を各作業員毎に行う。ここでは、ユーザが、「ABC」に分配金従業員の選択キー504を選択し、「DEF」に固定給従業員の選択キー502を選択し、固定時給503に所定の時給503a(例えば、「1,000」)を入力し、「GHI」に分配金従業員の選択キー504を選択し、確定キー505を選択すると、設定制御部203は、作業員のそれぞれに固定給従業員か分配金従業員かを設定する。
【0042】
ここで、設定制御部203は、所定のメモリに予め記憶された作業員登録テーブル506を参照する。作業員登録テーブル506には、
図5Bに示すように、作業員507(例えば、「ABC」)と、固定給従業員508と、固定時給509と、分配金従業員510とが関連付けて記憶されている。設定制御部203は、設定に基づいて、作業員登録テーブル506の各項目に情報を関連付けて記憶させる。例えば、作業員507(「ABC」)が分配金従業員の場合は、設定制御部203は、作業員登録テーブル506における分配金従業員510に、設定を示す情報511(例えば、「OK」)を記憶させる。又、作業員507(例えば、「DEF」)が固定給従業員の場合は、設定制御部203は、作業員登録テーブル506における固定給従業員508に、設定を示す情報511(「OK」)を記憶させるとともに、固定時給509に、設定された時給512(例えば、「1,000」)を記憶させる。このように、設定制御部203が、作業員登録テーブル506に情報を関連付けることで、作業員がどの種類の従業員かを判定することが出来る。固定給従業員や分配金従業員は、作業者のスキルや働き方、意向に対応して設定することも可能である。尚、各作業員毎に固定給従業員か分配金従業員かが予め設定されている場合は、S106の処理を省略しても構わない。
【0043】
さて、設定制御部203の設定が完了すると、給与算出サーバ12の作業時間制御部204は、案件に関係する従業員が行った作業時間を各従業員毎に受け付ける(
図2:S107)。
【0044】
ここで、作業時間制御部204の受付方法に特に限定は無い。例えば、作業時間制御部204は、見積を行った従業員の作業時間を入力するための作業時間受付画面を表示させる。作業時間受付画面は、各従業員毎の日報画面に該当し、作業時間受付画面600には、
図6Aに示すように、見積番号601(「aaa」)と、日付602と、作業担当者603と、作業の開始時刻604と、作業の終了時刻605と、作業中の休憩時間606と、作業時間607と、作業内容608と、確定キー609とが表示される。日付602と、作業担当者603と、作業の開始時刻604と、作業の終了時刻605と、作業中の休憩時間606と、作業内容608とは、入力可能な項目であり、これらを作業条件情報と呼ぶ。
【0045】
さて、作業時間受付画面600を見たユーザは、見積の作業に基づき、第一の端末装置10を操作して、日付602に所定の日付610(例えば、「2022/2/20」)を入力し、作業担当者603に所定の従業員の名称611(例えば、「ABC」)を入力し、開始時刻604に所定の時刻612(例えば、「10:00」)を入力し、終了時刻605に所定の時刻613(例えば、「11:00」)を入力し、休憩時間606に所定の時間614(例えば、「00:30」)を入力し、作業内容608に所定の作業615(例えば、「見積」)を入力する。すると、作業時間制御部204は、終了時刻(「11:00」)から開始時刻(「10:00」)を減算した減算値(「01:00」)を全体の作業時間として算出し、その全体の作業時間から休憩時間(「00:30」)を減算した減算値(「00:30」)を実際の作業時間として算出し、作業時間607に実際の作業時間616(「00:30」)を表示させる。これにより、見積で実際に要した作業時間を簡単に算出して表示させることが出来る。
【0046】
そして、作業時間616(「00:30」)を見たユーザが確定キー609を選択すると、作業時間制御部204は、見積番号601(「aaa」)において従業員611(「ABC」)の作業時間616(「00:30」)を受け付ける(
図2:S107)。
【0047】
ここで、作業時間制御部204は、所定のメモリに予め記憶された作業時間登録テーブル617を参照する。作業時間登録テーブル617には、
図6Bに示すように、見積番号618と、日付619と、作業者620と、開始時刻621と、終了時刻622と、休憩時刻623と、作業時間624とが関連付けて記憶されている。作業時間制御部204は、受け付けた情報に基づいて、作業時間登録テーブル617の各項目に情報を関連付けて記憶させる。このように、作業時間制御部204が、作業時間登録テーブル617に情報を関連付けることで、作業員の作業時間を記録させることが出来る。
【0048】
さて、作業時間制御部204が作業時間の受け付けを完了すると、給与算出サーバ12の人件費制御部205は、全ての従業員のうち、固定給従業員の作業時間と当該固定給従業員の固定時給とを乗算した乗算値を固定給従業員の人件費として各固定給従業員毎に算出し、全ての固定給従業員の人件費の合計値を全人件費として算出する(
図2:S108)。
【0049】
ここで、人件費制御部205の算出方法に特に限定は無い。例えば、人件費制御部205は、作業員登録テーブル506を参照して、全ての従業員のうち、固定給従業員を検索する。ここで、作業員登録テーブル506の作業者507のうち、従業員(「DEF」)が固定給従業員であるため、この従業員(「DEF」)を特定する。次に、人件費制御部205は、作業時間登録テーブル617を参照し、固定給従業員の作業時間を特定するが、現時点では、従業員(「DEF」)の作業時間は「0」である。そのため、人件費制御部205は、従業員(「DEF」)の作業時間(「0」)に従業員(「DEF」)の固定時給(「1,000」)を乗算した乗算値(「0」)を固定給従業員の人件費として算出する。ここでは、固定給従業員は従業員(「DEF」)だけであるため、人件費制御部205は、固定給従業員の人件費(「0」)を全人件費として算出する。
【0050】
さて、人件費制御部205が算出を完了すると、給与算出サーバ12の分配元金制御部206は、案件に対する金額から、全人件費を含む経費を減算した減算値を分配元金として算出する(
図2:S109)。
【0051】
ここで、分配元金制御部206の算出方法に特に限定は無い。例えば、分配元金制御部206は、見積条件から、管理会社経費(「50,000」)と外注発注費(「50,000」)と部品発注費(「50,000」)と雑費(「50,000」)とを取得するとともに、全人件費(「0」)を取得し、全てを加算した加算値(「50,000」+「50,000」+「50,000」+「50,000」+「0」=「200,000」)を経費として算出する。そして、分配元金制御部206は、見積金額(「500,000」)から経費(「200,000」)を減算した減算値(「300,000」)を、各従業員毎に分配するための分配元金として算出する。
【0052】
さて、分配元金制御部203が算出を完了すると、給与算出サーバ12の分配金時給制御部207は、全ての従業員のうち、全ての分配金従業員の作業時間の合計時間を算出し、分配元金から合計時間で除算した除算値を分配金時給として算出する(
図2:S110)。
【0053】
ここで、分配金時給制御部207の算出方法に特に限定は無い。例えば、分配金時給制御部207は、作業員登録テーブル506を参照して、全ての従業員のうち、分配金従業員を検索する。ここで、作業員登録テーブル506の作業者507のうち、従業員(「ABC」、「GHI」)が分配金従業員であるため、これらの従業員(「ABC」、「GHI」)を特定する。次に、分配金時給制御部207は、作業時間登録テーブル617を参照し、分配金従業員の作業時間を特定するが、現時点では、見積を行った従業員「ABC」の作業時間が「00:30」であるため、分配金時給制御部207は、この従業員「ABC」の作業時間「00:30」を合計時間として算出する。そして、分配金時給制御部207は、分配元金(「300,000」)を合計時間(「00:30」)で除算した除算値(「600,000」)を分配金時給として算出する。
【0054】
ここで、分配金について、分配金従業員の他に会社用分配金が存在し、分配金に対して会社の比率(例えば、「10%」)が予め設定されている場合は、分配金時給制御部207は、全体の比率(「100%」)から会社の比率(「10%」)を減算した減算値(「90%」)を分配金従業員の比率として算出し、分配元金(「300,000」)に分配金従業員の比率(「90%」)を乗算した乗算値(「270,000」)を分配金従業員の分配元金として算出する。そして、分配金時給制御部207は、分配金従業員の分配元金(「270,000」)を合計時間(「00:30」)で除算した除算値(「540,000」)を分配金従業員の分配金時給として算出する。一方、分配金時給制御部207は、分配元金(「300,000」)に会社の比率(「10%」)を乗算した乗算値(「30,000」)を会社の分配元金として算出する。このように、分配金従業員の他に会社用分配金を設定することで、会社の未来に投資するための費用を捻出することが出来る。本発明の実施形態では、会社用分配金が存在する場合について説明する。尚、この時点で、分配金従業員の合計時間が「0」の場合は、分配金時給は、算出することが出来ないため、分配元金のみの算出で完了する。
【0055】
さて、分配金時給制御部207が算出を完了すると、給与算出サーバ12の分配金制御部208は、分配金従業員の作業時間と分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の分配金として各分配金従業員毎に算出する(
図2:S111)。
【0056】
ここで、分配金制御部208の算出方法に特に限定は無い。例えば、現時点では、見積を行った分配金従業員(「ABC」)が作業時間(「00:30」)だけ作業しているため、分配金制御部208は、分配金従業員の分配金時給(「540,000」)に分配金従業員(「ABC」)の作業時間(「00:30」)を乗算した乗算値(「270,000」)をこの分配金従業員(「ABC」)の分配金として算出する。これにより、経費の人件費とは異なる利益に近い考え方の分配金を算出することが可能となる。
【0057】
さて、分配金制御部208が分配金を算出すると、表示制御部201は、各固定給従業員毎の固定時給と人件費と、分配金時給と、各分配金従業員毎の分配金とを表示する(
図2:S112)。
【0058】
ここで、表示制御部201の表示方法に特に限定は無い。例えば、表示制御部201は、固定給従業員の人件費と分配金従業員の分配金とを示す人件費分配金画面700を表示させる。人件費分配金画面700には、
図7Aに示すように、見積番号701(「aaa」)と、管理会社番号702(「001」)と、現場名703(「A001」)と、工事内容704(「施工」)と、現在の状態を示す対応状況705(例えば、「見積済」)と、見積日706(「2022/2/20」)と、見積金額707(「500,000」)と、経費708としての管理会社経費708a(「50,000」)と、外注発注費708b(「50,000」)と、部品発注費708c(「50,000」)と、雑費708d(「50,000」)と、全人件費708e(「0」)とが表示される。対応状況705は、情報が入力される毎に変更される。又、人件費分配金画面700には、請求日709と、入金日710と、完了日711とが表示される。これらの情報は後ほど入力される。
【0059】
更に、人件費分配金画面712には、固定給従業員の人件費と分配金従業員の分配金との詳細について、
図7Bに示すように、金額713(「500,000」)と、全人件費714(「0」)と、経費合計715(「200,000」)と、分配元金716(「300,000」)とが表示される。又、固定給従業員の人件費と分配金従業員の分配金とについて、担当者717と、作業時間718と、固定時給719と、人件費720と、分配金時給721と、分配金722と、比率723と、が表示される。ここでは、担当者717が「会社」の場合、作業時間718と、固定時給719と、人件費720と、分配金時給721とのそれぞれは「-」が表示され、分配金722は「30,000」、比率723は「10%」と表示される。一方、担当者717が「ABC」の場合、この担当者717は分配金従業員であるため、作業時間718は「00:30」が表示され、固定時給719と、人件費720とのそれぞれは「-」が表示され、分配金時給721は「540,000」、分配金722は「270,000」、比率723は「90%」と表示される。担当者717が「合計」の場合、分配金722は「300,000」、比率723は「100%」と表示される。これにより、ユーザが一目で固定給従業員の人件費と分配金従業員の分配金とを確認することが可能となる。尚、現時点では、見積の作業者の作業条件情報だけが存在するため、担当者717の「ABC」の分担金722は高額であるが、作業が進行して、追加で作業者の作業条件情報が入力されていくと、担当者717の分担金722は、各作業者毎の作業時間によって低減していくことになる。
【0060】
さて、現時点では、案件の作業が完了しておらず、請求金額は確定していない(
図2:S113NO)。この場合、S107に戻り、作業時間制御部204は、案件に関係する全ての従業員の作業時間の受付を継続する(
図2:S107)。
【0061】
ここで、例えば、ユーザが、案件に対して複数(例えば、二人)の従業員に作業をしてもらい、案件の作業を全て完了させたとする。すると、ユーザは、他の場所に設置された第二の端末装置11を用いて、給与算出サーバ12へネットワーク13を介してアクセスすると、表示制御部201は、第二の端末装置11にユーザ登録画面を表示させる。尚、第二の端末装置11は、第一の端末装置10でも構わない。
【0062】
ユーザは、予め登録したメールアドレスとPWとを入力すると、入力されたメールアドレスとPWとがユーザ登録用のテーブルに登録されたメールアドレスとPWとにそれぞれ一致した場合、表示制御部201は、ユーザのログインを行う。そして、ユーザは、案件の一覧を確認するための操作を行うと、表示制御部201は、第二の端末装置11に案件一覧画面を表示させる。
【0063】
ここで、表示制御部201の表示方法に特に限定は無いが、例えば、表示制御部201は、見積登録テーブル409を参照し、案件一覧画面800を表示させる。案件一覧画面800には、
図8Aに示すように、日付801と、見積番号802と、対応状況803と、現場名804と、工事内容805と、見積金額806と、分配金807と、詳細キー808とが表示される。ここでは、既に発行された見積番号802(「aaa」)における日付801(「2022/2/20」)と、対応状況803(「見積済」)と、現場名804(「A001」)と、工事内容805(「施工」)と、見積金額806(「500,000」)と、分配金807(「300,000」)とが表示される。尚、この案件一覧画面800では、一つの見積番号802(「aaa」)における案件情報が表示されているが、案件が増加すれば、複数の見積番号802における案件情報が表示されることになる。
【0064】
ここで、複数の見積番号802における案件情報が存在する場合で、案件情報の内容が同等の場合、例えば、ユーザが包含キーを選択することで、複数の案件情報を合体して合計して一つの案件情報にまとめても構わない。
【0065】
さて、ユーザは、案件一覧画面800を見ながら、詳細キー808を選択すると、表示制御部201は、この見積番号802(「aaa」)における見積条件画面を第二の端末装置11に表示させる。そこで、ユーザは、案件における従業員の作業時間を入力するための操作を行うと、作業時間制御部204は、見積番号802(「aaa」)における作業時間受付画面を第二の端末装置11に表示させる。
【0066】
ここで、作業時間受付画面809には、
図8Bに示すように、日付811と、作業担当者812と、開始時刻813と、終了時刻814と、休憩時間815と、作業時間816と、作業内容817が表示される。ここでは、既に入力された見積番号802(「aaa」)における日付811(「2022/2/20」)と、作業担当者812(「ABC」)と、開始時刻813(「10:00」)と、終了時刻814(「13:30」)と、休憩時間815(「00:30」)と、作業時間816(「03:00」)と、作業内容817(「見積」)とが表示される。
【0067】
そこで、ユーザは、二人の従業員の作業内容に基づき、第二の端末装置11を操作して、二人の従業員の作業時間の情報を入力する。具体的には、ユーザは、第一の従業員の作業時間として、日付811(「2022/2/21」)と、作業担当者812(「DEF」)と、開始時刻813(「10:00」)と、終了時刻814(「14:00」)と、休憩時間815(「00:30」)と、作業内容817(「現場」)とを入力する。すると、作業時間制御部204は、終了時刻(「14:00」)から開始時刻(「10:00」)を減算した減算値(「04:00」)を全体の作業時間として算出し、その全体の作業時間から休憩時間(「00:30」)を減算した減算値(「03:30」)を実際の作業時間816(「03:30」)として算出して表示させる。
【0068】
又、ユーザは、第二の従業員の作業時間として、日付811(「2022/2/22」)と、作業担当者812(「GHI」)と、開始時刻813(「11:00」)と、終了時刻814(「13:30」)と、休憩時間815(「00:30」)と、作業内容817(「現場」)とを入力する。すると、作業時間制御部204は、終了時刻(「13:30」)から開始時刻(「11:00」)を減算した減算値(「02:30」)を全体の作業時間として算出し、その全体の作業時間から休憩時間(「00:30」)を減算した減算値(「02:00」)を実際の作業時間816(「02:00」)として算出して表示させる。
【0069】
さて、それぞれの作業時間816を確認したユーザは、確定キー818を選択すると、作業時間制御部204は、二人の作業員(「DEF」、「GHI」)の作業時間816(「03:30」、「02:00」)を受け付ける(
図2:S107)。
【0070】
ここで、作業時間制御部204は、所定のメモリに予め記憶された作業時間登録テーブル617を参照する。作業時間登録テーブル617には、
図9Aに示すように、見積番号618と、日付619と、作業者620と、開始時刻621と、終了時刻622と、休憩時刻623と、作業時間624とが関連付けて記憶されている。作業時間制御部204は、受け付けた情報に基づいて、作業時間登録テーブル617の各項目に情報を関連付けて記憶させる。ここでは、見積番号618(「aaa」)に対して二人の作業者620(「DEF」、「GHI」)の作業時間624(「03:30」、「02:00」)がそれぞれ追加される。これにより、現場で作業を行った二人の従業員の作業時間を追加することが可能となる。
【0071】
次に、人件費制御部205は、固定給従業員の人件費を各固定給従業員毎に算出し、全ての固定給従業員の人件費の合計値を全人件費として算出する(
図2:S108)。
【0072】
ここで、人件費制御部205は、作業員登録テーブル506を参照して、全ての従業員のうち、固定給従業員を検索するが、ここでは、従業員(「DEF」)が固定給従業員となる。次に、人件費制御部205は、作業時間登録テーブル617を参照し、従業員(「DEF」)の作業時間(「03:30」)を特定し、従業員(「DEF」)の作業時間「03:30」に従業員(「DEF」)の固定時給(「1,000」)を乗算した乗算値「3,500」を固定給従業員の人件費として算出する。ここでは、固定給従業員は従業員(「DEF」)だけであるため、人件費制御部205は、「3,500」を全人件費として算出する。
【0073】
更に、分配元金制御部206は、案件に対する金額から、全人件費を含む経費を減算した減算値を分配元金として算出する(
図2:S109)。
【0074】
ここで、分配元金制御部206は、全人件費を含む全ての経費を加算した加算値(「50,000」+「50,000」+「50,000」+「50,000」+「3,500」=「203,500」)を経費として算出し、見積金額(「500,000」)から経費(「203,500」)を減算した減算値(「296,500」)を分配元金として算出する。
【0075】
そして、分配金時給制御部207は、全ての分配金従業員の作業時間の合計時間を算出し、分配元金から合計時間で除算した除算値を分配金時給として算出する(
図2:S110)。
【0076】
ここで、分配金時給制御部207は、作業員登録テーブル506を参照して、全ての従業員のうち、分配金従業員を検索するが、ここでは、従業員(「ABC」、「GHI」)が分配金従業員となる。次に、分配金時給制御部207は、作業時間登録テーブル617を参照し、従業員(「ABC」、「GHI」)の作業時間(「00:30」、「02:00」)を特定し、特定した作業時間(「00:30」、「02:00」)を合計時間(「02:30」)として算出する。
【0077】
ここで、分配金に対して会社の比率(「10%」)が予め設定されている場合は、分配金時給制御部207は、分配元金(「296,500」)に分配金従業員の比率(「90%」)を乗算した乗算値(「266,850」)を分配金従業員の分配元金として算出し、分配元金(「296,500」)に会社の比率(「10%」)を乗算した乗算値(「29,650」)を会社の分配元金として算出する。そして、分配金時給制御部207は、分配元金(「266,850」)を合計時間(「02:30」)で除算した除算値(「106,740」)を分配金時給として算出する。
【0078】
又、分配金制御部208は、分配金従業員の作業時間と分配金時給とを乗算した乗算値を分配金従業員の分配金として各分配金従業員毎に算出する(
図2:S111)。
【0079】
ここで、分配金従業員(「ABC」、「GHI」)が特定されているため、分配金制御部208は、分配金時給(「106,740」)に分配金従業員「ABC」の作業時間「00:30」を乗算した乗算値(「53,370」)をこの分配金従業員「ABC」の分配金として算出する。又、分配金制御部208は、分配金時給(「106,740」)に分配金従業員「GHI」の作業時間「02:00」を乗算した乗算値(「213,480」)をこの分配金従業員「GHI」の分配金として算出する。
【0080】
そして、表示制御部201は、各固定給従業員毎の固定時給と人件費と、分配金時給と、各分配金従業員毎の分配金とを表示する(
図2:S112)。
【0081】
ここで、表示制御部201は、人件費分配金画面を表示させる。例えば、人件費分配金画面700には、
図9Bに示すように、見積番号701(「aaa」)と、管理会社番号702(「001」)と、現場名703(「A001」)と、工事内容704(「施工」)と、対応状況705(例えば、「着工済」)と、見積日706(「2022/2/20」)と、見積金額707(「500,000」)と、経費708としての管理会社経費708a(「50,000」)と、外注発注費708b(「50,000」)と、部品発注費708c(「50,000」)と、雑費708d(「50,000」)と、全人件費708e(「3,500」)とが表示される。又、人件費分配金画面700には、請求日709と、入金日710と、完了日711とが表示される。
【0082】
更に、人件費分配金画面712には、
図10Aに示すように、金額713(「500,000」)と、全人件費714(「3,500」)と、経費合計715(「203,500」)と、分配元金716(「296,500」)とが表示され、担当者717と、作業時間718と、固定時給719と、人件費720と、分配金時給721と、分配金722と、比率723とが表示される。
【0083】
ここで、担当者717が「会社」の場合、分配金722は「29,650」、比率723は「10%」と表示され、担当者717が「DEF」の固定給従業員の場合、作業時間718は「03:30」、固定時給719は「1,000」、人件費720は「3,500」と表示され、分配金時給721と、分配金722と、比率723とは、「-」が表示される。
【0084】
一方、担当者717が「ABC」の分配金従業員の場合、固定時給719と、人件費720とは、「-」が表示され、作業時間718は「00:30」、分配金時給721は「106,740」、分配金722は「53,370」、比率723は「53,370」/「296,500」×「90%」=「16.2%」と表示される。又、担当者717が「GHI」の分配金従業員の場合、固定時給719と、人件費720とは、「-」が表示され、作業時間718は「02:00」、分配金時給721は「106,740」、分配金722は「213,480」、比率723は「213,480」/「296,500」×「90%」=「64.8%」と表示される。
【0085】
このように、従業員の作業時間の入力に伴って、固定給従業員又は分配金従業員の種類によって、人件費と分配金を各従業員毎に確認することが可能となる。つまり、経営者は、各従業員毎の人件費と分配金を一目で把握することで、どの従業員を固定給従業員又は分配金従業員に設定するかの判断材料とすることが出来るため、各従業員毎のスキルに合った給与を決定していくことが出来る。又、この内容について、従業員自身の人件費又は分配金について各従業員毎に閲覧可能にすることで、従業員でも分配金と固定時給との違いを確認することが出来れば、分配金に基づく業務を行うか固定時給に基づく業務を行うかを選択することが出来るため、自分のタイプに合った業務を選択することが可能となり、多様な働き方を認めることが出来るのである。尚、上述では、一つの案件について、従業員を固定給従業員又は分配金従業員に固定的に設定しているが、これに限らず、例えば、各案件毎に従業員が固定給従業員又は分配金従業員であるかを設定することで、案件の種類に応じた従業員の働き方を適正化することが可能となる。
【0086】
さて、この案件の作業が完了し、ユーザが、請求日709(例えば、「2022/2/23」)を入力して、請求金額を確定するための操作を行うと、表示制御部201は、請求金額を確定する(
図2:S113YES)。これにより、案件に関する情報が確定し、後から変更出来なくなる。尚、一般的に、請求金額は、見積金額と同等になるが、仮に、請求金額は、見積金額と異なる場合は、見積金額を請求金額に代えて、分配元金や各従業員毎の比率、分配金を算出し直すことになる。又、入金日は、請求金額が入金された際に入力され、完了日は、案件が全て完了した際に入力される。
【0087】
そして、ユーザは、案件を確認するための操作を行うと、表示制御部201は、案件確認画面を第二の端末装置11に表示させる。ここで、案件確認画面1000には、
図10Bに示すように、見積番号1001(「aaa」)と、管理会社番号1002(「001」)と、現場名1003(「A001」)と、工事内容1004(「施工」)とが表示される。又、見積日1005(「2022/2/20」)と、見積金額1006(「500,000」)と、請求日1007(「2022/2/23」)とが表示され、見積金額1006(「500,000」)に対する経費の内訳と分配元金(「296,500」)とを示す円グラフ1008とが表示される。これにより、見積金額と経費と分配元金との関係を一見して確認することが出来る。
【0088】
更に、案件確認画面1000には、人件費分配金画面712と同様に、
図11Aに示すように、金額1101(「500,000」)と、全人件費1102(「3,500」)と、経費合計1103(「203,500」)と、分配元金1104(「296,500」)とが表示され、担当者1105と、作業時間1106と、固定時給1107と、人件費1108と、分配金時給1109と、分配金1110と、比率1111とが表示され、担当者1105の近傍には、担当者1105を選択可能なチェックボックス1112が各担当者1105毎に設けられている。
【0089】
さて、ユーザが、人件費1108や分配金1110等を見ながら、例えば、所定の固定給従業員(例えば、「DEF」)の作業時間1106(「03:30」)や固定時給1107(「1,000」)、人件費1108(「3,500」)を見て、人件費1108(「3,500」)が安すぎると考え、
図11Aに示すように、所定の固定給従業員(「DEF」)のチェックボックス1112を選択する(
図2:S114YES)。
【0090】
すると、給与算出システム1の再計算制御部209は、先ず、全人件費(「3,500」)から、当該選択された選択固定給従業員(「DEF」)の人件費(「3,500」)を減算した減算値(「0」)を新規全人件費として算出させ(
図2:S108)、案件に対する金額(「500,000」)から、全人件費を新規全人件費に変更した経費(「203,500」-「3,500」=「200,000」)を減算した減算値(「300,000」)を新規分配元金として算出させる(
図2:S109)。
【0091】
次に、再計算制御部209は、全ての従業員のうち、全ての分配金従業員の作業時間(「02:30」)と選択固定給従業員の作業時間(「03:30」)との新規合計時間(「06:00」)を算出させ、新規分配元金から新規合計時間で除算した除算値(を新規分配金時給として算出させる(
図2:S110)。ここでは、会社の比率(「10%」)があるため、新規分配元金(「300,000」)に分配金従業員の比率(「90%」)を乗算した乗算値(「270,000」)を分配金従業員の分配元金として算出させ、分配金従業員の新規分配元金(「270,000」)から新規合計時間(「06:00」)で除算した除算値(「45,000」)を新規分配金時給として算出させる(
図2:S110)。
【0092】
そして、再計算制御部209は、分配金従業員の作業時間と新規分配金時給(「45,000」)とを乗算した乗算値を分配金従業員の新規分配金として各分配金従業員毎に算出させる(
図2:S111)。ここでは、分配金従業員「ABC」の新規分配金は、新規分配金時給(「45,000」)に作業時間「00:30」を乗算した乗算値(「22,500」)となり、分配金従業員「DEF」の新規分配金は、新規分配金時給(「45,000」)に作業時間「03:30」を乗算した乗算値(「157,500」)となり、分配金従業員「GHI」の新規分配金は、新規分配金時給(「45,000」)に作業時間「02:00」を乗算した乗算値(「90,000」)となる。
【0093】
更に、再計算制御部209は、新規分配金時給と、選択固定給従業員の分配金とを表示させる(
図2:S112)。ここで、
図11Bに示すように、案件確認画面1000には、金額1101(「500,000」)と、全人件費1102(「0」)と、経費合計1103(「200,000」)と、分配元金1104(「300,000」)とが表示されるが、担当者1105が「DEF」の選択固定給従業員の場合、分配金従業員として取り扱った際の情報に切り替えられ、分配金時給1109は「45,000」、分配金1110は「157,500」、比率1111は「157,500」/「270,000」=「58.3%」と表示される。一方、分配金従業員の数が増えることで、分配金時給が低下することから、担当者1105が「ABC」の場合、分配金1110は「22,500」、比率1111は「22,500」/「270,000」=「8.3%」と表示され、担当者1105が「GHI」の場合、分配金1110は「90,000」、比率1111は「90,000」/「270,000」=「33.4%」と表示される。このように、付加価値の高い作業を行っているにもかかわらず、一定時給により、低い人件費を得る固定給従業員を、一時的に分配金従業員として取り扱って再計算させることで、この固定給従業員が分配金従業員である場合のシミュレーションを簡単に行うことが可能となる。そのため、付加価値の高い作業をしている従業員を固定給従業員のままにするか、分配金従業員にするかを決める判断材料として取り扱うことが可能となる。
【0094】
一方、S114において、ユーザが、人件費1108や分配金1110等を見ながら、所定の固定給従業員を選択することなく(
図2:S114NO)、所定の分配金従業員(例えば、「ABC」)の作業時間1106(「00:30」)や分配金1110(「35,370」)を見て、分配金1110(「35,370」)が高すぎると考え、
図12Aに示すように、所定の分配金従業員(「ABC」)のチェックボックス1112を選択する(
図2:S115YES)。
【0095】
すると、再計算制御部209は、先ず、当該選択された選択分配金従業員(「ABC」)の作業時間と所定の固定時給(例えば、「1,000」)とを乗算した乗算値(「500」)を新規人件費として算出させ、全人件費(「3,500」)に、新規人件費(「500」)を加算した加算値(「4,000」)を新規全人件費として算出させる(
図2:S108)。ここで、選択分配金従業員の固定時給の決定方法に特に限定は無いが、例えば、予め設定された値(「1,000」)を用いても良いし、選択分配金従業員の選択の際に、別途、ユーザが入力した値を用いても構わない。
【0096】
次に、再計算制御部209は、案件に対する金額(「500,000」)から、全人件費を新規全人件費に変更した経費(「203,500」+「500」=「204,000」)を減算した減算値(「296,000」)を新規分配元金として算出させる(
図2:S109)。
【0097】
又、再計算制御部209は、全ての従業員のうち、全ての分配金従業員の作業時間(「02:30」)から選択分配金従業員の作業時間(「00:30」)を減算した減算値(「02:00」)を新規合計時間として算出させ、新規分配元金(「296,000」)から新規合計時間(「02:00」)で除算した除算値(「148,000」)を新規分配金時給として算出させる(
図2:S110)。
【0098】
そして、再計算制御部209は、分配金従業員の作業時間と新規分配金時給(「148,000」)とを乗算した乗算値を分配金従業員の新規分配金として各分配金従業員毎に算出させる(
図2:S111)。ここでは、分配金従業員「GHI」の新規分配金は、新規分配金時給(「148,000」)に作業時間(「02:00」)を乗算した乗算値(「296,000」)となる。
【0099】
更に、再計算制御部209は、選択分配金従業員の固定時給と、新規人件費とを表示させる(
図2:S112)。ここで、
図12Bに示すように、案件確認画面1000には、金額1101(「500,000」)と、全人件費1102(「4,000」)と、経費合計1103(「204,000」)と、分配元金1104(「296,000」)とが表示されるが、担当者1105が「ABC」の選択分配金従業員の場合、固定給従業員として取り扱った際の情報に切り替えられ、固定時給1107は「1,000」、人件費1108は「500」と表示される。一方、分配金従業員の数が減ることで、分配金時給が上昇することから、担当者1105が「GHI」の場合、分配金1110は「296,000」、比率1111は「90.0%」と表示される。このように、付加価値の低い作業を行っているにもかかわらず、高い分配金を得る分配金従業員を、一時的に固定給従業員として取り扱って再計算させることで、この分配金従業員が固定給従業員である場合のシミュレーションを簡単に行うことが可能となる。そのため、付加価値の低い作業をしている従業員を分配金従業員のままにするか、固定給従業員にするかを決める判断材料として取り扱うことが可能となる。
【0100】
つまり、本発明では、分配金に基づく給与の場合は、各分配金従業員毎の作業時間の合計時間を基準に分配金が決定されたが、固定時給の場合は、固定給従業員の作業時間の長さのみを基準に給与が決定される。そのため、経営者は、スキルの高い従業員に分配金に基づく給与を支給し、スキルの低い従業員に固定時給に基づく給与を支給することが可能となり、各従業員毎のスキルに合った給与を決定していくことが出来るのである。
【0101】
このように、従業員の給与を一定時給の給与にするか分配金の給与にするかを容易に変更することが出来るため、経営者は、作業時間が長い従業員を分配金の対象から外したり、作業時間が短い従業員を分配金の対象にしたりすることが可能になる。又、経営者は、スキルが高い従業員には分配金の対象とし、スキルが低い従業員には分配金の対象から外したりして、従業員のスキルに合った給与を決定していくことが可能となる。
【0102】
さて、上述では、本発明を簡易な条件にて説明したが、後述では、本発明を実際の条件に近い形で説明する。例えば、一つの案件に対して5人の従業員(「社員A」、「社員B」、「社員K」、「社員L」、「社員M」)が作業したとする。作業員登録テーブル1300には、
図13Aに示すように、従業員1301と、固定給従業員1302と、固定時給1303と、分配金従業員1304とが関連付けて記憶されている。従業員1301のうち、「社員A」、「社員B」について、固定給従業員1302には、設定を示す情報「OK」が関連付けて記憶され、固定時給1303には、「1,000」が関連付けて記憶されている。又、従業員1301のうち、「社員K」、「社員L」、「社員M」について、分配金従業員1304には、設定を示す情報「OK」が関連付けて記憶されている。
【0103】
ここで、5人の従業員が作業を行って、日報画面を介して作業時間登録テーブルに作業時間を記入したとする。作業時間登録テーブル1305には、
図13Bに示すように、作業担当者1306と、作業時間1307と、内容1308とが関連付けて記憶されている。各作業担当者1306毎の作業時間1307を合計すると、合計作業時間登録テーブル1309に示すように、各作業担当者1306毎の合計の作業時間1310が算出される。ここでは、「社員A」が「11」(時間)の作業時間、「社員B」が「4」の作業時間、「社員K」が「11」の作業時間、「社員L」が「10」の作業時間、「社員M」が「4」の作業時間であり、合計時間は、「40」となっている。
【0104】
この条件において、請求金額が「200,000」であり、他の経費が「80,000」、会社への経費に相当する会社固定費が「20,000」の場合、
図14に示すように、全人件費は、「社員A」の人件費(「1,000」×「11」=「11,000」)と「社員B」の人件費(「1,000」×「4」=「4,000」)との加算値「15,000」となり、全経費は、「80,000」+「20,000」+「15,000」=「115,000」となり、分配元金は、「200,000」-「115,000」=「85,000」となる。次に、分配金従業員の作業時間の合計時間は、「社員K」の「11」+「社員L」の「10」+「社員M」の「4」=「25」となる。ここで、会社用分配金が存在し、比率が「10%」の場合は、会社の分配金は、「85,000」×「10%」=「8,500」となり、従業員の分配元金は、「85,000」×「90%」=「76,500」となり、分配金時給は、「76,500」/「25」=「3,060」となる。そして、「社員K」の分配金は、「11」×「3,060」=「33,660」となり、「社員L」の分配金は、「10」×「3,060」=「30,600」となり、「社員M」の分配金は、「4」×「3,060」=「12,240」となる。
【0105】
ここで、例えば、固定給従業員の「社員A」が良く働いているため、分配金従業員へ変更するために、この固定給従業員を選択したとする。すると、
図15に示すように、新規全人件費は、先ほどの全人件費(旧人件費)「15,000」から、「社員A」の人件費「11,000」を減算した減算値「4,000」となり、新規全経費は、「115,000」-「11,000」=「104,000」となり、新規分配元金は、「200,000」-「104,000」=「96,000」となる。次に、分配金従業員の作業時間の合計時間は、「社員A」の「11」+「社員K」の「11」+「社員L」の「10」+「社員M」の「4」=「36」となり、会社の分配金は、「9,600」となり、従業員の分配元金は、「86,500」となり、分配金時給は、「86,500」/「36」=「2,400」となる。ここで、「社員A」の分配金は、「11」×「2,400」=「26,400」となる。つまり、選択前の「社員A」の人件費「11,000」と比較すると、「社員A」の給与は向上する。一方、「社員K」の分配金は、「11」×「2,400」=「26,400」となり、「社員L」の分配金は、「10」×「2,400」=「24,000」となり、「社員M」の分配金は、「4」×「2,400」=「9,600」となり、悪化する。
【0106】
今度は、例えば、固定給従業員の「社員B」が効率よく働いているため、分配金従業員へ変更するために、この固定給従業員を選択したとする。すると、
図16に示すように、新規全人件費は、先ほどの全人件費(旧人件費)「15,000」から、「社員B」の人件費「4,000」を減算した減算値「11,000」となり、新規全経費は、「115,000」-「4,000」=「111,000」となり、新規分配元金は、「200,000」-「111,000」=「89,000」となる。次に、分配金従業員の作業時間の合計時間は、「社員B」の「4」+「社員K」の「11」+「社員L」の「10」+「社員M」の「4」=「29」となり、会社の分配金は、「8,900」となり、従業員の分配元金は、「80,100」となり、分配金時給は、「80,100」/「29」=「2,762」となる。ここで、「社員B」の分配金は、「4」×「2,762」=「11,048」となり、同様に、選択前の「社員B」の人件費「4,000」と比較すると、「社員B」の給与は向上する。一方、「社員K」の分配金は、「11」×「2,762」=「30,382」となり、「社員L」の分配金は、「10」×「2,762」=「27,620」となり、「社員M」の分配金は、「4」×「2,762」=「11,048」となり、悪化する。
【0107】
このように、固定給従業員を分配金従業員へ変更させた場合は、変更対象の分配金従業員の給与は改善されるものの、他の分配金従業員の給与は悪化することになる。そのため、固定給従業員を分配金従業員へ変更させる場合は、他の分配金従業員は、注意する必要が出てくる。
【0108】
一方、例えば、分配金従業員の「社員K」が効率的に働いていないため、固定給従業員へ変更するために、この分配金従業員を選択し、固定時給「1,000」を入力したとする。すると、
図17に示すように、新規全人件費は、先ほどの全人件費(旧人件費)「15,000」に、「社員K」の人件費(「11」×「1,000」=「11,000」)を加算した加算値「26,000」となり、新規全経費は、「115,000」+「11,000」=「126,000」となり、新規分配元金は、「200,000」-「126,000」=「74,000」となる。次に、分配金従業員の作業時間の合計時間は、「社員L」の「10」+「社員M」の「4」=「14」となり、会社の分配金は、「7,400」となり、従業員の分配元金は、「66,600」となり、分配金時給は、「66,600」/「14」=「4,757」となる。ここで、「社員K」の人件費は、「11,000」となり、選択前の「社員K」の分配金「33,660」と比較すると、「社員K」の給与は悪化する。一方、「社員L」の分配金は、「10」×「4,757」=「47,570」となり、「社員M」の分配金は、「4」×「4,757」=「19,028」となり、向上する。
【0109】
更に、例えば、分配金従業員の「社員M」が上手く働いていないため、固定給従業員へ変更するために、この分配金従業員を選択し、固定時給「1,000」を入力したとする。すると、
図18に示すように、新規全人件費は、先ほどの全人件費(旧人件費)「15,000」に、「社員M」の人件費(「4」×「1,000」=「4,000」)を加算した加算値「19,000」となり、新規全経費は、「115,000」+「4,000」=「119,000」となり、新規分配元金は、「200,000」-「119,000」=「81,000」となる。次に、分配金従業員の作業時間の合計時間は、「社員K」の「11」+「社員L」の「10」=「21」となり、会社の分配金は、「8,100」となり、従業員の分配元金は、「72,900」となり、分配金時給は、「72,900」/「21」=「3,471」となる。ここで、「社員M」の人件費は、「4,000」となり、選択前の「社員M」の分配金「12,240」と比較すると、「社員M」の給与は悪化する。一方、「社員K」の分配金は、「11」×「3,471」=「38,181」となり、「社員L」の分配金は、「10」×「3,471」=「34,710」となり、向上する。
【0110】
このように、分配金従業員を固定給従業員へ変更させた場合は、変更対象の固定給従業員の給与は悪化するものの、他の分配金従業員の給与は向上することになる。そのため、分配金従業員を固定給従業員へ変更させる場合は、他の分配金従業員は、注意する必要が出てくるのである。このように、従業員の登録状況に応じて、他の従業員の給与にも影響を及ぼすことになるため、本発明では、一緒に仕事をする相手の登録状況について従業員に検討させる機会を与えることも出来るのである。
【0111】
又、本発明の実施形態では、給与算出システム1が各制御部を備えるよう構成したが、各制御部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを装置に読み出させ、装置が各制御部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各制御部が実行する工程をハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、本発明に係る給与算出システム及び給与算出方法は、見積金額により従業員の給与を算出するあらゆる業種に有用であり、案件に対する分配元金と従業員の作業時間とに基づいて、各従業員毎の設定に合った給与を容易に把握することが可能な給与算出システム及び給与算出方法として有効である。
【符号の説明】
【0113】
1 給与算出システム
10 第一の端末装置
11 第二の端末装置
12 給与算出サーバ
13 ネットワーク
201 表示制御部
202 見積制御部
203 設定制御部
204 作業時間制御部
205 人件費制御部
206 分配元金制御部
207 分配金時給制御部
208 分配金制御部
209 再計算制御部
【要約】 (修正有)
【課題】案件に対する分配元金と従業員の作業時間とに基づいて、各従業員毎の設定(スキル)に合った給与を容易に把握する給与算出システム及び方法を提供する。
【解決手段】給与算出システム1において、給与算出サーバの人件費制御部205は、案件に関係する各固定給従業員の作業時間と固定時給とを乗算し人件費として算出し、人件費の合計値を全人件費として算出する。分配元金制御部206は、案件に対する金額から、全人件費を含む経費を減算し分配元金として算出する。分配金時給制御部207は、全ての分配金従業員の作業時間の合計時間を算出し、分配元金から合計時間で除算し分配金時給として算出する。分配金制御部208は、分配金従業員の作業時間と分配金時給とを乗算し分配金従業員の分配金として各分配金従業員毎に算出する。表示制御部201は、各固定給従業員毎の固定時給と人件費と、分配金時給と、各分配金従業員毎の分配金とを表示する。
【選択図】
図1