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  • 特許-蓋材および包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】蓋材および包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20221006BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65D77/20 L
B65D85/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017106342
(22)【出願日】2017-05-30
(65)【公開番号】P2018203265
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】古谷 篤
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020744(JP,A)
【文献】特開2011-189948(JP,A)
【文献】特開2012-051632(JP,A)
【文献】特開平07-068667(JP,A)
【文献】特開2016-087824(JP,A)
【文献】特開2004-142801(JP,A)
【文献】特開2004-299203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより所定の機能を奏する物品を収容する容器に用いられる蓋材であって、
ガスバリア性を有する外層部と、外層部の内側に剥離可能に積層されかつガス透過性を有する内層部とを備えており、
外層部は、外側から順次積層された基材層、バリア層およびポリアミド樹脂フィルムよりなる緩衝層を有しており、
内層部は、容器の開口縁部に熱融着されるシーラント層と、シーラント層の外側に配されてシーラント層を外層部に接着している接着層とを有しており、
接着層がポリエチレン樹脂の押出層よりなるとともに、シーラント層がポリエチレン樹脂フィルムよりなり、かつ、接着層をなすポリエチレン樹脂の融点がシーラント層をなすポリエチレン樹脂の融点よりも5~25℃高くさせられており、かつ、接着層をなすポリエチレン樹脂の融点とシーラント層をなすポリエチレン樹脂の融点との差が25℃以内であることによって緩衝層と接着層との間で界面剥離がなされるようになっており、
緩衝層をなすポリアミド樹脂フィルムは、その両面のうちバリア層側の面にコロナ処理層が形成されているが、接着層側の面にはコロナ処理層が形成されておらず、
内層部の平均密度が0.91~0.93g/cm3であり、かつ、シーラント層の密度が接着層の密度よりも大きいものとなされており、
シーラント層の厚さが30~80μmであり、接着層の厚さが20μm以下であり、かつ、シーラント層および接着層の厚さの和が35~80μmであり、
外層部と内層部との剥離強度が0.4~1.5N/15mmである、
蓋材。
【請求項2】
収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより所定の機能を奏する物品を収容した容器と、容器の開口を覆うように容器の開口縁部に熱融着された蓋材とを備えている包装体であって、
蓋材が、請求項記載の蓋材よりなる、包装体。
【請求項3】
物品が、芳香剤、消臭剤または吸湿剤である、請求項記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓋材に関し、より詳細には、例えば芳香剤、消臭剤、吸湿剤等のような、収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより芳香放出、消臭、吸湿等の所定の機能を奏する物品を収容するための容器に用いられる蓋材に関する。
また、この発明は、上記蓋材と容器とによって芳香剤等の物品を包装してなる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液状の芳香剤を包装する場合、芳香剤の未使用時においては、密封状態とすることが求められる一方、使用時においては、芳香剤がこぼれないようにしながら、収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることで、揮発した芳香成分が外部空間に放出されるようにすることが求められる。
このような液状芳香剤を包装するためにフランジ付きプラスチック成形容器と組み合わせて使用される蓋材として、特許文献1に記載されたものが知られている。
この蓋材は、外側から順次積層された基材フィルム、バリア層、緩衝層、接着層およびシーラント層からなる複合フィルムによって構成されている。接着層は、ポリエチレン樹脂の押出層よりなる。シーラント層は、ポリエチレン樹脂フィルムよりなる。芳香剤の使用時には、蓋材を緩衝層と接着層との間で界面剥離させ、容器側に残った接着層およびシーラント層を介して、容器内の収容空間と外部空間との間でガス交換が行われ、芳香成分が外部空間に放出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5257425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明の場合、蓋材のバリア層とシーラント層との間に所定のフィルムよりなる緩衝層を設けることで、蓋材の内容物耐性を高める点に着目されたものであるが、内容物である芳香剤の使用時において、芳香放出が一定期間安定して行われるようにコントロールする点については考慮されていなかった。
【0005】
この発明は、上記の課題に鑑みて考案されたものであって、容器に収容された芳香剤等の物品を使用する際に、同物品による芳香放出等の機能が一定期間安定して奏されるような蓋材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1)収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより所定の機能を奏する物品を収容する容器に用いられる蓋材であって、
ガスバリア性を有する外層部と、外層部の内側に剥離可能に積層されかつガス透過性を有する内層部とを備えており、
内層部は、容器の開口縁部に熱融着されるシーラント層と、シーラント層の外側に配されてシーラント層を外層部に接着している接着層とを有しており、
内層部の平均密度が0.91~0.93g/cmである、蓋材。
【0008】
2)シーラント層がポリオレフィン系樹脂フィルムよりなり、接着層がポリオレフィン系樹脂の押出層よりなる、上記1)の蓋材。
【0009】
3)外層部が、外側から順次積層された基材層、バリア層および緩衝層を有している、上記1)または2)の蓋材。
【0010】
4)緩衝層がポリアミド樹脂フィルムよりなり、ポリアミド樹脂フィルムには、その両面のうちバリア層側の面のみにコロナ処理層が形成されている、上記3)の蓋材。
【0011】
5)外層部と内層部との剥離強度が0.4~1.5N/15mmである、上記1)~4)のいずれか1つの蓋材。
【0012】
6)収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより所定の機能を奏する物品を収容した容器と、容器の開口を覆うように容器の開口縁部に熱融着された蓋材とを備えている包装体であって、
蓋材が、上記1)~5)のいずれか1つの蓋材よりなる、包装体。
【0013】
7)物品が、芳香剤、消臭剤または吸湿剤である、上記6)の包装体。
【発明の効果】
【0014】
上記1)の蓋材は、収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより所定の機能を奏する物品を収容した容器の開口を覆うように、容器の開口縁部に熱融着され、それによって同物品が密封包装された包装体を構成するものである。物品を使用する際には、蓋材の外層部を剥離除去し、容器側に残った内層部を介して、容器内の収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより、容器に収容された物品が所定の機能を奏する。
そして、上記1)の蓋材によれば、内層部が、シーラント層および接着層を有するものであって、その平均密度が0.91~0.93g/cmとなされていることにより、内層部を介して収容空間と外部空間との間で行われるガス交換の速度が一定期間安定して維持され、ひいては容器に収容された物品の機能が一定期間安定して奏されるようにすることができる。
【0015】
上記2)の蓋材によれば、シーラント層がポリオレフィン系樹脂フィルムよりなり、接着層がポリオレフィン系樹脂の押出層よりなるので、加工が容易であって、汎用性を有しており、コストが抑えられる。
【0016】
上記3)の蓋材によれば、物品が未使用の密封包装状態において、外層部のバリア層により高いガスバリア性が得られ、また、内容物である物品が芳香剤等である場合でも、外層部の緩衝層によって、バリア層の劣化やデラミネーションの発生が効果的に抑制される。
【0017】
上記4)の蓋材によれば、外層部の緩衝層が、バリア層側の面のみにコロナ処理が施されたポリアミド樹脂フィルムよりなるので、内層部の耐ピンホール性が向上し、また、蓋材の外層部を内層部と剥離する際に、外層部が破れ難くなり、剥離性が向上する。
【0018】
上記5)の蓋材によれば、外層部と内層部との剥離強度が0.4~1.5N/15mmであるので、未開封時に外層部が不用意に剥がれるおそれがなく、優れた密封性が得られるとともに、開封時の外層部の剥離も容易に行いうる。
【0019】
上記6)の包装体によれば、蓋材の外層部を剥離除去して物品を使用する際、上記のような特徴的構成を有する蓋材の内層部を介して、収容空間と外部空間との間でのガス交換の速度が一定期間安定して維持され、ひいては容器に収容された物品の機能が一定期間安定して奏される。
【0020】
上記7)の包装体によれば、芳香剤、消臭剤または吸湿剤を、これらの機能である芳香放出、消臭または吸湿が一定期間安定して奏されるように包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施形態に係る包装体の全体概略を示す垂直断面図である。
図2】同包装体の部分拡大垂直断面図である。
図3】同包装体の開封後の状態を示す部分拡大垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を、図1図3を参照して説明する。
【0023】
図1は、この発明による包装体の全体概略を示すものである。
図示の包装体(1)は、物品(C)を収容した容器(2)と、容器(2)の開口を覆うように容器(2)の開口縁部(2a)に熱融着された蓋材(3)とを備えているものである。
【0024】
内容物として容器(2)に収容される物品(C)は、収容空間と外部空間との間でガス交換が行われることにより所定の機能を奏するものであって、具体的には、例えば、芳香剤、消臭剤、吸湿剤が挙げられる。
【0025】
容器(2)は、カップ状の樹脂成形体からなり、その上方開口縁部に水平状のフランジ(2a)を有している。但し、容器の形状は、図示のものに限らず、適宜変更可能である。
容器(2)の成形材料としては、単層シートまたは2層以上の複合シートが用いられる。図2および図3に示す容器(2)は、2層構造の複合シートからなり、その外側の層(21)は、例えばポリ塩化ビニル樹脂(PVC)フィルム等の耐熱性を有する材料よりなり、その内側の層(22)は、例えばポリエチレン樹脂(PE)フィルム等の熱融着性を有する材料よりなる。また、外側の層(21)と内側の層(22)との間に、例えばアルミニウム箔等の金属箔よりなるバリア層を介在させてもよく、それによって容器(2)のバリア性を向上させることができる。
【0026】
蓋材(3)は、ガスバリア性を有する外層部(3a)と、外層部(3a)の内側に剥離可能に積層されかつガス透過性を有する内層部(3b)とを備えている。
図示は省略したが、蓋材(3)には、その周縁部の一部から径方向外方に突出したタブが一体的に設けられている。
【0027】
蓋材(3)の外層部(3a)は、外側(図2,3の上側)から順次積層された基材層(31)、バリア層(32)および緩衝層(33)を有している。
基材層(31)は、蓋材(3)の外面を構成するものであって、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)フィルム、ポリエチレンフタレート樹脂(PEN)フィルム等のポリエステル樹脂フィルムよりなる。基材層(31)の厚さは、10~50μm程度となされる。
バリア層(32)は、内容物である物品(C)を使用しない未開封状態において、蓋材(3)にバリア性を付与するためのものであって、例えば、アルミニウム箔やステンレス鋼(SUS)箔の金属箔によって構成される。バリア層(32)の厚さは、5~50μm程度となされる。
緩衝層(33)は、例えば内容物である物品(C)が芳香剤等である場合に、揮発した芳香成分等によってバリア層(32)が劣化したり、バリア層(32)と接着層(34)との間でデラミネーションが発生したりするのを防止する役割を果たす。この緩衝層(33)は、ポリアミド樹脂フィルムによって構成されているのが好ましい。緩衝層(33)を構成するポリアミド樹脂フィルムには、その両面のうちバリア層(32)側の面のみにコロナ処理層(図示略)が形成されているのが好ましく、それによって、内層部(3b)の耐ピンホール性が向上し、また、蓋材(3)の外層部(3a)を剥離開封する際に、外層部(3a)が破れ難くなって、剥離性が向上する。緩衝層(33)の厚さは、10~40μm程度となされる。
【0028】
蓋材(3)の内層部(3b)は、容器(2)のフランジ(2a)に熱融着されたシーラント層(35)と、シーラント層(35)の外側(図2,3の上側)に配されてシーラント層(35)を外層部(3a)の緩衝層(33)に接着している接着層(34)とを有している。
シーラント層(35)は、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)フィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルムよりなる。接着層(34)は、ポリエチレン樹脂(PE)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等のポリオレフィン系樹脂の押出層よりなる。
接着層(34)およびシーラント層(35)を合わせた内層部(3b)の平均密度は、0.91~0.93g/cmとなされている。ここで、内層部(3b)の「平均密度」は、JIS K7112(1999)に規定されたD法(密度こうばい管法)によって測定した各層(35)(34)の密度から算出したものをいう。具体的には、以下の通りとなる。
OG=(DAD×tAD+DSL×tSL)/(tAD+tSL
DOG :内層部(Out Gassing)の平均密度
DAD :接着層(Adhesive)の密度
AD :接着層の厚さ
DSL :シーラント層(Sealant)の密度
SL :シーラント層の厚さ
接着層(34)を構成するポリオレフィン系樹脂は、その融点が、シーラント層(35)を構成するポリオレフィン系樹脂の融点よりも5~25℃高いものであるのが好ましい。ここで、「融点」は、JIS K7121(2012)に規定されたプラスチックの融解温度の測定方法に従って測定されたものをいう。上記融点差が5℃以上であることで、蓋材(3)を容器(2)のフランジ(2a)に熱融着する際に、シーラント層(35)から接着し、接着時に蓋材(3)がずれることがなく、また、上記融点差が25℃以内であることで、緩衝層(33)が溶融することがないため、目的の場所以外から剥離することがない。
シーラント層(35)の厚さは30~80μm程度であるのが好ましく、また、接着層(34)の厚さは20μm程度以下であるのが好ましい。さらに、シーラント層(35)および接着層(34)を合わせた内層部(3b)の総厚が35μm~80μmであることが好ましい。ガス交換の速度は内層部(3b)の厚さによってコントロールすることができ、上記の厚さ範囲にすることで、例えば物品(C)が芳香剤である場合、使用時に適度な香りが放出され、また、内容物である芳香剤を変質しない期間で使い切ることが可能となる。
【0029】
蓋材(3)を容器(2)のフランジ(2a)に熱融着する方法は、特に限定されないが、好適にはローレットシールが用いられ、それによって高いシール強度が得られる。
【0030】
上記の蓋材(3)は、例えばその摘み部を持って引き上げることにより、外層部(3a)と内層部(3b)との間、すなわち、緩衝層(33)と接着層(34)との間で界面剥離されるようになっている。これにより、外層部(3a)が容器(2)から分離され、内層部(3b)のみが容器(2)側に残り、内層部(3b)を介して、容器(2)内の収容空間と外部空間との間でガス交換が行われ、内容物である芳香剤等の物品(C)が芳香放出等の機能を奏する。
外層部(3a)と内層部(3b)との剥離強度は、好ましくは0.4~1.5N/15mmとなされ、より好ましくは0.6~1.3N/15mmとなされる。剥離強度が0.4N/15mm未満であると、未開封時に外層部(3a)が不用意に剥がれるおそれがある一方、剥離強度が1.5N/15mmを超えると、開封時に外層部(3a)を剥離させ難くなる。ここで、「剥離強度」は、T形に接着した幅15mmの試料どうしを100mm/分で剥離する条件下で測定したものをいう。
【実施例
【0031】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
〈蓋材の作製〉
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム(=基材層)を、JIS H4160(2006)に規定されたA1N30H-Oからなる厚さ9μmのアルミニウム箔(=バリア層)の一方の面に、2液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤を用いて、ドライラミネートした。
次に、上記アルミニウム箔の他方の面に、一方の面のみにコロナ処理が施された厚さ15μmのポリアミド樹脂フィルム(=緩衝層)を、そのコロナ処理層がアルミニウム箔と対向するように、2液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤を用いて、ドライラミネートした。
こうして得られた積層体(=外層部)におけるポリアミド樹脂フィルム側の面に、厚さ50μmのポリエチレン樹脂(PE)フィルム(=シーラント層)を、ポリエチレン樹脂(PE)を用いた押出ラミネートにより積層した。ポリエチレン樹脂の押出層(=接着層)の厚さは15μmとした。ここで、ポリエチレン樹脂フィルムおよびポリエチレン樹脂押出層については、以下の表1に示す密度およびメルトフローレート(MFR)を有するものを使用し、ポリエチレン樹脂フィルムおよびポリエチレン樹脂押出層の積層部分(=内層部)の平均密度が表1の通りとなるようにした。
【0033】
【表1】
【0034】
以上により得られた5種類の積層体を直径45mmの略円形にカットして、実施例1~3および比較例1,2の蓋材を作製した。
【0035】
〈包装体の作製〉
次に、内層側がポリエチレン樹脂(PE)、外層側がポリ塩化ビニル樹脂(PVC)よりなり、図1のようなカップ状に成形された容器(フランジの外径40mm、内径35mm)を複数用意して、各容器に液状の芳香剤を3ccずつ充填した。芳香剤には、A,B,Cの3種類を使用した。
そして、芳香剤A,B,C入りの各容器のフランジ上面に、実施例1~3および比較例1,2の蓋材を、シーラント層がフランジと対向するように配置して、両者を熱融着させた。熱融着は、ローレットシール装置により、加熱温度160℃、加圧力0.2MPa、加熱加圧時間1秒の条件で行った。
以上の工程により、実施例1~3および比較例1,2の包装体を作製した。
【0036】
〈芳香剤の透過率の変化の検証〉
実施例1~3および比較例1,2の包装体の蓋材を、ポリアミド樹脂フィルムとポリエチレン樹脂押出層との間で剥離させて、容器側にポリエチレン樹脂押出層およびポリエチレン樹脂フィルムのみが残った状態とし、この状態で室温環境下に1ヶ月間保管した。
保管中、1週間おきに各包装体の重量を測定して、保管前の重量との差を算出することにより、芳香剤の透過率の変化を確認した。そして、透過率の変化が1ヶ月間で安定しいたものを「○」、不安定であったものを「×」とした。結果を以下の表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
表2の通り、実施例1,2の包装体では、芳香剤の種類にかかわらず、透過率の変化が1ヶ月間安定しており、芳香放出が安定して行われていたことが分かる。また、実施例3の包装体の場合、一部の芳香剤については、透過率の変化が1ヶ月間ほぼ安定していた。一方、比較例1,2の包装体では、透過率の変化が不安定であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明は、例えば芳香剤、消臭剤、吸湿剤等の包装材料として、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
(1):包装体
(2):容器
(2a):フランジ(開口縁部)
(3):蓋材
(3a):外層部
(3b):内層部
(31):基材層
(32):バリア層
(33):緩衝層
(34):接着層
(35):シーラント層
(C):物品
図1
図2
図3