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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ウィンドウ基板及びこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/32 20060101AFI20221006BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20221006BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20221006BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20221006BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20221006BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C03C17/32 A
C03C3/083
C03C21/00 101
C03C27/12 R
G02F1/1333
G09F9/00 302
G09F9/00 313
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2017134712
(22)【出願日】2017-07-10
(65)【公開番号】P2018024567
(43)【公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2016-0102066
(32)【優先日】2016-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】金 明 煥
(72)【発明者】
【氏名】朴 翼 衡
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 盛 珍
(72)【発明者】
【氏名】金 聖 哲
(72)【発明者】
【氏名】李 璋 斗
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾 赫
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0210588(US,A1)
【文献】特表2016-508954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C17/00-17/44
C03C21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面を有し、25μm~100μmの厚さを有するガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面の何れか一面に設けられたコート層と、を含み、
前記ガラス基板の前記コート層を設けられた面は、凹み部を有し、
前記コート層は3μm超10μm以下の厚さを有し、
前記ガラス基板はSiO、Al及びNaOを含み、Al/Naのモル比は1以下であることを特徴とする、ウィンドウ基板。
【請求項2】
前記コート層は10GPa以下の弾性係数を有することを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウ基板。
【請求項3】
前記コート層は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリレート系樹脂、ABS樹脂、及びゴムから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のウィンドウ基板。
【請求項4】
前記ガラス基板の反発力と、前記ガラス基板及び前記コート層の積層体との反発力の差は50%以内であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項5】
前記ガラス基板におけるAl/Naのモル比は0.5以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項6】
前記ガラス基板は、前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面のうちコート層を設けていない残りの一面に5.8gのペンを第1高さから垂直落下させたときに破損しない耐衝撃特性を有し、前記第1高さは3.9cm以上であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項7】
前記ガラス基板は複数個提供されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項8】
前記互いに隣接する2つのガラス基板の間に提供された光学的に透明な粘着剤をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のウィンドウ基板。
【請求項9】
前記複数のガラス基板に応じて前記コート層は複数個提供されたことを特徴とする、請求項7または8に記載のウィンドウ基板。
【請求項10】
前記ガラス基板は前記第1面に前記凹み部を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項11】
前記コート層は前記凹み部を充填することを特徴とする、請求項10に記載のウィンドウ基板。
【請求項12】
前記コート層は上面から突出した突出部を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項13】
前記Alは1mol%~10mol%、前記NaOは10mol%~20mol%、及び前記SiOは55mol%~70mol%で含有されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項14】
前記ガラス基板は、前記第1面及び前記第2面の何れか一面の表面から収縮応力が0となる第1深さまでの間に存在する、第1圧縮応力を有する第1領域を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項15】
前記第1深さは1μm以上で、前記第1圧縮応力は600~1200MPaであることを特徴とする、請求項14に記載のウィンドウ基板。
【請求項16】
前記ガラス基板は、前記第1面と前記第2面のうち前記第1領域を有しない側である残りの一面の表面から収縮応力が0となる第2深さまでの間に存在する、第2圧縮応力を有する第2領域を含み、前記第2深さ及び前記第2圧縮応力は前記第1深さ及び前記第1圧縮応力と相違することを特徴とする、請求項14または15に記載のウィンドウ基板。
【請求項17】
前記ウィンドウ基板は90%以上の光透過率を有することを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項18】
前記ウィンドウ基板は変形時に10N以下の反発力を有することを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項19】
前記ウィンドウ基板のイエローインデックス変化量は280nm~360nmのUVB光線に72時間晒されたとき1.0以下であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項20】
前記第1面及び前記第2面のうち残りの一面に設けられたカバー層をさらに含むことを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項21】
前記カバー層は反射防止層、汚染防止層、または指紋防止層であることを特徴とする、請求項20に記載のウィンドウ基板。
【請求項22】
前記ウィンドウ基板は少なくとも一部が可撓性を有することを特徴とする、請求項1~21のいずれか1項に記載のウィンドウ基板。
【請求項23】
前面に映像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの前面に提供されたウィンドウ基板と、を含み、
前記ウィンドウ基板は、
互いに対向する第1面及び第2面を有し、25μm~100μmの厚さを有するガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面の何れか一面に提供され、μm超過10μm以下の厚さを有して前記ガラス基板と前記表示パネルの間に設けられたコート層と、を含み、
前記ガラス基板の前記コート層を設けられた面は、凹み部を有し、
前記ガラス基板はSiO、Al、及びNaOを含み、Al/Naのモル比は1以下であることを特徴する、表示装置。
【請求項24】
前記ガラス基板におけるAl/Naのモル比は0.5以下であることを特徴とする、請求項23に記載の表示装置。
【請求項25】
前記コート層は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリレート系樹脂、ABS樹脂、及びゴムから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項23または24に記載の表示装置。
【請求項26】
前記表示装置は、前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面のうちコート層を設けていない残りの一面に5.8gのペンを第1高さから垂直落下させたときに前記ガラス基板が破損しない耐衝撃特性を有し、前記第1高さは3.9cm以上であることを特徴とする、請求項23~25のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項27】
前記ガラス基板は複数個提供されることを特徴とする、請求項23~26のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項28】
表示パネルと前記ウィンドウ基板の間に光学的に透明な粘着剤をさらに含むことを特徴とする、請求項23~27のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項29】
前記粘着剤は500gf/in以上の粘着力を有し、100MPa以下の保存弾性率を有し、50%~800%のクリープ特性を有することを特徴とする、請求項28に記載の表示装置。
【請求項30】
前記第1面及び前記第2面のうち残りの一面に提供されたカバー層をさらに含むことを特徴とする、請求項23~29のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項31】
前記カバー層は反射防止層、汚染防止層、または指紋防止層であることを特徴とする、請求項30に記載の表示装置。
【請求項32】
前記表示パネル及び前記ウィンドウ基板は、可撓性を有する第1位置領域及び第1位置領域に隣接する第2位置領域を含むことを特徴とする、請求項23~31のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項33】
前記ガラス基板は前記第1位置領域と前記第2位置領域で相違する厚さを有することを特徴とする、請求項32に記載の表示装置。
【請求項34】
前記ガラス基板は前記第1面に前記凹み部を有することを特徴とする、請求項32または33に記載の表示装置。
【請求項35】
前記凹み部は前記第1位置領域に設けられることを特徴とする、請求項34に記載の表示装置。
【請求項36】
前記ガラス基板は、前記第1面及び前記第2面の何れか一面の表面から収縮応力が0となる第1深さまでの間に存在する、第1圧縮応力を有する第1領域を含み、前記第1深さ及び前記第1圧縮応力は前記第1位置領域及び前記第2位置領域で相違する値を有することを特徴とする、請求項32~35のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウ基板及びこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、平板表示装置を用いた可撓性表示装置が開発されている。上記平板表示装置には、一般的に液晶表示素子(LCD:liquid crystal display)、OLED(organic light-emitting diode)、電気泳動表示装置(EPD;electrophoretic display)などが挙げられる。
【0003】
上記可撓性表示装置は曲がったり折り畳まれる特性を有しており、折り畳んだり巻くことが可能であるため、大画面が実現でき、かつ携帯にも便利である。このような可撓性表示装置は、携帯電話、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション、UMPC(Ultra Mobile PC)、電子書籍、電子新聞などのモバイル装備だけでなく、TV、モニターなどの様々な分野に応用できる。
かような可撓性表示装置においては、たとえば特許文献1および特許文献2に開示されるような可撓性を有するガラス基板を適用することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許公開第10-2015-0119408号明細書
【文献】米国特許第9321679号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、高い耐衝撃性を有する高品質のウィンドウ基板を提供することである。
【0006】
本発明の第二の目的は、上記ウィンドウ基板を採用した表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の目的は、以下の手段によって達成されうる。
【0008】
本発明の一実施形態によるウィンドウ基板は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、25μm~100μmの厚さを有するガラス基板と、前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面の何れか一面に設けられたコート層とを含む。ここで、前記ガラス基板はSiO、Al及びNaOを含み、Al/NaOは1以下である。
【0009】
また、前記コート層は0μm超50μm以下の厚さを有してもよい。
【0010】
また、前記コート層は10GPa以下の弾性係数を有してもよい。
【0011】
また、前記コート層は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリレート系樹脂、ABS樹脂、及びゴムから選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
また、前記ガラス基板の反発力と、前記ガラス基板及び前記コート層の積層体と反発力の差は50%以内であってもよい。
【0013】
また、前記ガラス基板のAl/NaOは0.5以下であってもよい。
【0014】
また、前記ガラス基板は、前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面のうち前記コート層を設けていない残りの一面に5.8gのペンを第1高さから垂直落下させたときに破損しない耐衝撃特性を有し、前記第1高さは4cm以上であってもよい。
【0015】
また、前記ガラス基板は複数個提供されてもよい。
【0016】
また、前記互いに隣接する2つのガラス基板の間に提供された光学的に透明な粘着剤をさらに含んでもよい。
【0017】
また、前記複数のガラス基板に応じて前記コート層は複数個提供されてもよい。
【0018】
また、前記ガラス基板は前記第1面と前記第2面の何れかに凹み部を有してもよい。
【0019】
また、前記コート層は前記凹み部を充填してもよい。
【0020】
また、前記コート層は上面から突出した突出部を有してもよい。
【0021】
また、前記ガラス基板は、前記Alを1mol%~10mol%、前記NaOを10mol%~20mol%、及び前記SiOを55mol%~70mol%で含有してもよい。
【0022】
また、前記ガラス基板は、前記第1面及び前記第2面の何れか一面の表面から収縮応力が0となる第1深さまでの間に存在する、第1圧縮応力を有する第1領域を含んでもよい。
【0023】
また、前記第1深さは1μm以上であり、かつ前記第1圧縮応力は600~1200MPaであってもよい。
【0024】
また、前記ガラス基板は、前記第1面と前記第2面のうち前記第1領域を有しない側である残りの一面の表面から収縮応力が0となる第2深さまでの間に存在する、第2圧縮応力を有する第2領域を含み、前記第2深さ及び前記第2圧縮応力は前記第1深さ及び前記第1圧縮応力と相違してもよい。
【0025】
また、前記ウィンドウ基板は90%以上の透過率を有してもよい。
【0026】
また、前記ウィンドウ基板は変形時に10N以下の反発力を有してもよい。
【0027】
また、前記ウィンドウ基板のイエローインデックス変化量は280nm~360nmのUVB光線に72時間晒されたとき1.0以下であってもよい。
【0028】
また、前記第1面及び前記第2面のうち前記コート層を設けていない残りの一面に設けられたカバー層をさらに含んでもよい。ここで、前記カバー層は反射防止層、汚染防止層、または指紋防止層であってもよい。前記指紋防止層の場合、ユーザの指紋がカバー層に残ることを防止する。
【0029】
また、前記ウィンドウ基板は少なくとも一部が可撓性を有してもよい。
【0030】
本発明の第二の目的は、以下の手段によって達成されうる。
【0031】
本発明の一実施形態による表示装置は、前面に映像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの前面に提供されたウィンドウ基板と、を含む。ここで、表示パネルの全面に提供されたウィンドウ基板は、互いに対向する第1面及び第2面を有し、25μm~100μmの厚さを有するガラス基板と、前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面の何れか一面に設けられたコート層とを含み、前記ガラス基板はSiO、Al及びNaOを含み、Al/NaOは1以下である。なお、前記ウィンドウ基板は、上記の第一の目的の達成手段として挙げたいずれかのウィンドウ基板であってもよい。
また、前記ガラス基板は、前記ガラス基板の前記第1面及び前記第2面のうち前記コート層を設けていない残りの一面に5.8gのペンを第1高さから垂直落下させたときに破損しない耐衝撃特性を有し、前記第1高さは3cm以上であってもよい。
【0032】
また、前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に光学的に透明な粘着剤をさらに含んでもよい。ここで、前記粘着剤は500gf/in以上の粘着力を有し、100MPa以下の保存弾性率を有し、50%~800%のクリープ特性を有してもよい。
【0033】
また、前記表示パネル及び前記ウィンドウ基板は、可撓性を有する第1位置領域及び第1位置領域に隣接する第2位置領域を含んでもよい。また、前記ガラス基板は前記第1位置領域と前記第2位置領域とで相違する厚さを有してもよい。また、前記ガラス基板は前記第1面と前記第2面との何れか一面に凹み部を有してもよく、上記凹み部は上記第1位置領域に設けられてもよい。
【0034】
また、前記ガラス基板は、前記第1面及び前記第2面の何れか一面の表面から収縮応力が0となる第1深さまでの間に存在する、第1圧縮応力を有する第1領域を含み、前記第1深さ及び前記第1圧縮応力は前記第1位置領域及び前記第2位置領域で相違する値を有してもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、高い耐衝撃性を有する高品質のウィンドウ基板及びこれを用いた表示装置が提供されうる。より具体的には、本発明によると、耐久性及びユーザの安全が確保されたウィンドウ基板及び当該ウィンドウ基板を含む表示装置が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図2A】本発明の一実施形態によるガラス基板を示す断面図である。
図2B図2Aのガラス基板の表面からの距離に応じた応力のグラフである。
図3A】本発明の一実施形態によるガラス基板を示す断面図である。
図3B図3Aのガラス基板の表面からの距離に応じた応力のグラフである。
図4】既存の発明によるガラス基板と本発明の一実施形態によるガラス基板の耐衝撃特性を示すグラフである。
図5】既存の発明によるウィンドウ基板と本発明の一実施形態によるウィンドウ基板の耐衝撃特性を示すグラフである。
図6】コート層の厚さに応じた耐衝撃特性の変化量を破損高さの変化量で示したものである。
図7A】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図7B】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図7C】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図7D】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図7E】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図7F】本発明の一実施形態によるウィンドウ基板を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図である。
図9A図8のI-I’線に沿った断面図である。
図9B図8の表示装置を折り畳んだときの様子を示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態による表示パネルのブロック図である。
図11図10における1つの画素の回路図である。
図12】既存の発明による表示装置と本発明の一実施形態による表示装置の耐衝撃特性を示すグラフである。
図13A】本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
図13B】本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
図13C】本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
図14】本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図であって、表示領域が2つ提供されたものを示したものである。
図15】本発明の一実施形態による表示装置を示す平面図であって、硬質領域と可撓性領域と折り畳み線のみを概略的に示したものである。
図16A】本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図である。
図16B図16Aの表示装置を折り畳んだときの様子を示す斜視図である。
図17A】本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図である。
図17B図17Aの表示装置を巻いたときの様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は多様に変化してもよく、様々な形態を有することができるため、特定の実施形態を図面に例示し以下で詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解されるべきである。すなわち、本明細書において本発明の一実施形態の態様に係る説明として記載した事項は他の実施形態の態様においても同様に適用しうるものであり、また本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての態様においても同様に適用しうるものとである。
【0038】
各図面を説明するに当たり、類似する構成要素には類似する参照符号を付している。添付の図面における構造物の寸法は、本発明を明確にするために拡大して示している。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語に限定されてはならない。上記用語は一構成要素を他の構成要素と区別するためのみに用いられる。例えば、本発明の権利範囲から外れない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素として命名されてもよく、これと同様に第2構成要素も第1構成要素として命名されてもよい。単数の表現は文脈上明らかに相違する意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0039】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを示すものであるため、1つもしくはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性を事前に排除するものではないと理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるというときは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が介在されている場合も含む。また、本明細書において、ある層、膜、領域、板などの部分が他の部分上(on)に形成されたというときは、上記形成された方向は上部方向のみに限定されず、側面や下部方向に形成されたものを含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるというときは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が介在されている場合も含む。
また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。
【0040】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0041】
<ウィンドウ基板>
本発明の一実施形態はガラス基板を含むウィンドウ基板に関する。ここで、ガラス基板を含む基板は、表示装置に採用されることができ、特に、表示パネルの前面に位置するウィンドウパネルとして用いられるため、本明細書ではウィンドウ基板と称する。しかし、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板の用途はこれに限定されず、透明な絶縁基板を要するところに転用されてもよい。例えば、上記表示装置において素子が実装されるベース基板や、ベース基板に対向する対向基板として用いられてもよい。また、表示基板上に提供されるタッチスクリーンパネルの基板として用いられてもよい。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDを示す断面図である。
【0043】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDは、ガラス基板GLと、上記ガラス基板GLの一面に設けられたコート層CTLと、を含む。
【0044】
本発明の一実施形態では、説明の便宜上、ウィンドウ基板WDの平面形状が一対の長辺と一対の短辺を有する長方形であると仮定し、上記長辺の延長方向を第1方向D1、上記短辺の延長方向を第2方向D2、上記長辺と短辺の延長方向に垂直な方向を第3方向D3と示した。しかし、上記ウィンドウ基板WDの形状はこれに限定されず、様々な形状を有することができる。例えば、上記ウィンドウ基板WDは、直線の辺を含む閉じた形の多角形、曲線からなる辺を含む円形及び楕円など、直線と曲線からなる辺を含む半円及び半楕円などの様々な形状であってもよい。本発明の一実施形態において、上記ウィンドウ基板WDが直線からなる辺を有する場合、上記各形状の角の少なくとも一部は曲線からなることができる。例えば、上記ウィンドウ基板WDが長方形の場合、互いに隣接する直線の辺が接する部分が所定の曲率を有する曲線に代替されてもよい。すなわち、長方形の頂点部分は、隣接する両端が隣接する2つの直線の辺に連結され、所定の曲率を有する曲線の辺からなることができる。上記曲率は位置によって異なるように設定されてもよい。例えば、上記曲率は曲線が始まる位置及び曲線の長さなどに応じて変更されてもよい。
【0045】
(ガラス基板)
上記ガラス基板GLは、第1面S1と上記第1面S1に対向する第2面S2を有する板状に提供される。すなわち、上記ガラス基板GLは、互いに対向する第1面S1及び第2面S2を有する。上記第1面S1と上記第2面S2の距離は上記ガラス基板GLの厚さで決まる。
【0046】
上記ガラス基板GLはシリケートを含むガラス材質からなる。本発明の一実施形態における上記ガラス材質は、耐久性、表面平滑性、及び透明度に優れるように様々な材料がさらに加わってもよい。例えば、上記ガラス基板GLは、アルミノシリケート、ボロシリケート、ボロアルミノシリケートなどの材料からなってもよい。本発明の一実施形態における上記ガラス基板GLは、アルカリ金属やアルカリ土類金属及びこれらの酸化物などをさらに含んでもよい。
【0047】
本発明の一実施形態において、上記ガラス基板は、ガラス材質としてAl、NaO及びSiOを含む。また、上記ガラス材質はB、MgO、CaO、BaO、SnO、ZrO、NaO、SrOなどをさらに含んでもよい。上記ガラス材質をなす材料のうち上記Al、NaO、及びSiOは多様な組成比で含有されてもよい。ガラス基板は、例えば、Alを1mol%~10mol%、NaOを10mol%~20mol%、及びSiOを55mol%~70mol%として含有することが好ましい。
【0048】
本発明の一実施形態において、Al及びNaOは耐衝撃特性が向上するように適切な比でガラス材質内に含まれてもよい。Al/NaOは1以下である。Al/NaOの比が1超過の場合、ガラス基板GLの耐衝撃特性が低下し、弱い衝撃にも簡単に割れる。本発明の一実施形態において、Al/NaOは0.5以下であることが好ましい。また、Al/NaOは0.2~0.5であることがより好ましく、Al/NaOは0.3~0.4であることがさらに好ましい。
【0049】
本発明の一実施形態における上記ガラス基板GLの材料は、上述した内容に限定されず、様々な他の材料及び多様な比率に変更されてもよい。上記ガラス基板GLは、他の既存のガラス基板GLに比べて相対的に低い弾性率(elastic modulus)を有することができる。
【0050】
本発明の一実施形態における上記ガラス基板GLは、可撓性(flexibility)を有することができるため、曲げられ(curved)、折り畳まれ(fold)、または巻かれる(rolled)ことができる。本発明の一実施形態では、第3方向D3に折り畳まれ、または巻かれることができる。すなわち、上記第1面S1の一部が上記第1面S1の残りの部分と対向する方向に折り畳まれてもよく、また上記ローリングモードでは上記第2面S2の一部が上記第1面S1と対向するように巻かれてもよい。以下では、説明の便宜上、曲げられ、折り畳まれ、または巻かれることを、折り畳まれる、または曲げられるとも表現する。
【0051】
本発明の一実施形態による上記ガラス基板GLは約100μm以下の厚さを有する。上記ガラス基板GLが100μm超過の厚さを有する場合、変形に対する反発力が大きくなり過ぎて曲げることが困難である。本発明の一実施形態において、上記ガラス基板GLは約25μm~約100μmの厚さを有することができる。約25μm以上では強度がより高く、工程時に破損する可能性が低減する。しかし、上記ガラス基板GLの厚さは薄いほど好ましいことから、強度及び工程性に適する限度内では25μm以下に製造されてもよい。屈曲性および強度の両立の観点から、本発明の好ましい一実施形態における上記ガラス基板GLは、約50μm~約80μmの厚さを有する。ここで、破損されたというときは、破壊されたり、傷または亀裂が生じたり、傷または亀裂が伝播したり、破断される等の、本発明に開示されたウィンドウ基板WDが意図する目的で使用できない状態であることを意味する。
【0052】
すなわち、ガラス基板GLを含むウィンドウ基板WDは、相対的に小さい曲率半径で折り畳まれ、または曲げられることができる。
【0053】
上記のように、小さい厚さを有するガラス基板GLでは、ペンのような狭い断面積を有する物体がガラス基板GLの上面に衝撃を与える場合、ガラス基板GLが折り畳まれ、折り畳まれた際には、内側面となる上面よりも外側面となる背面に大きなストレスが加わることがありうるが、上記ストレスによってガラスが破損する屈曲破壊が起こることもありうる。このような屈曲破壊を低減させるためには、上記ガラス基板GLの耐衝撃特性を改善する必要がある。
【0054】
本発明の一実施形態によるガラス基板GLは、ガラス基質として耐衝撃特性を改善するためにイオン交換工程によって化学的に強化されたガラスを用いてもよい。本発明において、「イオン交換工程」とは、上記ガラス基板GLの変形点以下の温度において、ガラス内部のカチオンと、同じ原子価を有するガラスの表面またはその近くに位置するカチオンと、を交換することを意味する。イオン交換工程は、例えば、ガラス内部のカチオン(例えば、Na、Liのようなアルカリ金属カチオン)が外部からの他のカチオン(例えば、Kのようなカチオン)に交換されることを意味する。上記イオン交換工程は、上記ガラスの第1面及び/または第2面から特定の深さに拡張する圧縮応力プロファイルを提供するために用いられうる。上記ガラス基板GLに圧縮応力が加わる場合、圧縮応力が0である基準線と圧縮応力のグラフからなる領域内に傷(flaw)が存在する限り、曲げにおいて高い強度を提供する。
【0055】
本発明の一実施形態においては、ガラス基板GLは、第1面及び第2面の何れか一面の表面から収縮応力が0となる第1深さまでの間に存在する、第1圧縮応力を有する第1領域を含むことが好ましい。また、このとき、ガラス基板GLは、第1面と第2面のうち第1領域を有しない側である残りの一面の表面から収縮応力が0となる第2深さまでの間に存在する、第2圧縮応力を有する第2領域を含むことがより好ましい。
図2Aは本発明の一実施形態によるガラス基板GLを示す断面図である。図2B図2Aのガラス基板GLの表面からの距離に応じた応力のグラフである。
【0056】
図2A及び図2Bを参照すると、上記ガラス基板GLは、上記第1面S1から第1深さDOL1までの間に存在する第1領域RG1と、上記第2面S2から第2深さDOL2までの間に存在する第2領域RG2と、上記第1領域RG1と上記第2領域RG2の間に位置する第3領域RG3と、を含む。
【0057】
上記第1領域RG1において、上記第1深さDOL1は外部のカチオンによってガラス基板GL内部のカチオンが交換された深さである。これにより、上記第1領域RG1は第1厚さT1を有する。上記第1領域RG1には上記イオン交換によって第1圧縮応力CS1が印加される。上記第1圧縮応力CS1は上記第1面S1から第1深さDOL1まで所定の関数に基づいて減少し、上記第1圧縮応力CS1は上記第1深さDOL1で0となる。ここで、上記第1領域RG1に保存された全体圧縮応力は、上記第1面S1からの層の深さ方向への特定の関数下の面積で表すことができる。
【0058】
上記第1領域は、上記ガラス基板GLが第1面S1を外周面として折り畳まれる間にガラス基板GLに生成される引張応力、特に第1面S1の近くで最大値に達する引張応力を相殺することができる。
【0059】
上記第2領域RG2において、上記第2深さDOL2は外部のカチオンによってガラス基板GL内部のカチオンが交換された深さである。これにより、上記第2領域RG2は第2厚さT2を有する。上記第2領域RG2には上記イオン交換により第2圧縮応力CS2が印加される。上記第2圧縮応力CS2は上記第2面S2から第2深さDOL2まで所定の関数に基づいて減少し、第2深さDOL2で第2圧縮応力CS2が0となる。上記第2領域RG2に保存された全体圧縮応力も上記第2面S2からの層の深さ方向への特定の関数下の面積で表すことができる。
【0060】
上記第2領域は、上記ガラス基板GLが第2面S2を外周面として折り畳まれる間にガラス基板GLに生成される引張応力、特に第2面S2の近くで最大値に達する引張応力を相殺することができる。
【0061】
上述した圧縮応力に関する関数は、上記ガラス基板GLの種類、イオン交換されたイオンの種類、イオン交換時の条件などによって変えることができるが、好ましくは、上記第1面S1から上記第3領域RG3方向に向かって減少し、上記第2面S2から上記第3領域RG3の方向に向かって減少するものである。本発明の一実施形態では、説明の便宜上、上記2つの関数を直線で示した。しかし、上記関数の増加または減少はこれに限定されるものではなく、第1深さDOL1や第2深さDOL2までの関数値が一定であったり、減少してから増加したり、増加または減少するなど多様に変わってもよい。
【0062】
本発明の一実施形態において、上記第1深さDOL1及び/または第2深さDOL2は、上記ガラス基板GLの厚さに応じて異なるように設定されてもよい。例えば、上記第1深さDOL1及び/または上記第2深さDOL2は、上記ガラス基板GLの厚さの1/3以下または1/4以下であってもよい。また、上記第1深さDOL1及び第2深さDOL2は、それぞれ異なる深さであっても、同一の深さであってもよい。
【0063】
上記外部のカチオンを第1イオンとし、上記ガラス基板GL内部のカチオンを第2イオンとすると、上記第1イオンはKであり、上記第2イオンはNaまたはLiであってもよい。
【0064】
上記第1圧縮応力CS1と上記第2圧縮応力CS2は、第3領域RG3に保存された中心張力CTによって均衡をなし、上記中心張力CTは引張応力である。
【0065】
本発明の一実施形態において、上記第1深さDOL1は上記第2深さDOL2と実質的に同一である。また、上記ガラス基板GLの上記第1面S1での上記第1圧縮応力CS1は上記第2面S2での上記第2圧縮応力CS2と実質的に同一である。その結果、上記ガラス基板GLの両面での圧縮応力は互いに対称をなす。
【0066】
上記ガラス基板GLが折り畳まれ、または巻かれる場合、内周面に該当する上記第1面S1または第2面S2には圧縮応力が印加され、外周面に該当する上記第2面S2または第1面S1には引張応力が印加される。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態では、上記ガラス基板GLにおける上記第1深さDOL1及び/または第2深さDOL2はそれぞれ1μm以上である。第1深さDOL1及び/または第2深さDOL2は、それぞれ、より好ましくは1μm~15μmである。また、本発明の好ましい一実施形態では、上記ガラス基板GLにおける化学強化により印加される第1圧縮応力CS1及び第2圧縮応力CS2はそれぞれ600Mpa~1200MPaである。上記第1深さDOL1と第2深さDOL2が約1μm以上、及び/または上記第1圧縮応力CS1及び上記第2圧縮応力CS2が範囲内に入る場合は、上記ガラス基板GLに印加される引張応力をより良好に補償することができ、傷による破損が発生する可能性がより低減する。これより、好ましいガラス基板GLの一例としては、第1深さは1μm以上で、前記第1圧縮応力は600~1200MPaであるものが挙げられる。
【0068】
上記ガラス基板GLの第1面S1または第2面S2の一定位置に傷が生じた場合、傷が、圧縮応力が0である基準線と圧縮応力のグラフからなる領域内に存在する場合は、引張応力が圧縮応力により補償されることから、ガラス基板GLは割れず、傷による破損が防止されうる。
【0069】
本発明の一実施形態において、上記ガラス基板GLの両面に対する化学強化は、対称的に行われてもよいが、これに限定されず、非対称的に行われてもよい。特に、上記ガラス基板GLが特定方向に主に折り畳まれる場合、例えば、第1面S1の両端が対向するように主に折り畳まれる場合には、圧縮応力は主に第1面S1に印加され、引張応力は主に第2面S2に印加される。第1面S1と第2面S2に主に印加される応力の種類が異なる場合、これを補償するための化学強化も非対称的に行われることができる。
【0070】
かような用途への使用を考慮した場合は、本発明の一実施形態においては、第2深さ及び第2圧縮応力は第1深さ及び第1圧縮応力と相違することがより好ましい。
図3Aは本発明の一実施形態によるガラス基板GLを示す断面図であり、図3B図3Aのガラス基板GLの表面からの距離に応じた応力のグラフである。
【0071】
図3A及び図3Bを参照すると、本発明の一実施形態によるガラス基板GLは、第1領域S1と第2領域S2が対称ではなく、上記第1領域RG1の第1深さDOL1が上記第2領域RG2の第2深さDOL2より小さい。すなわち、ガラス基板GLの第1深さDOL1は図2A及び図2Bのガラス基板GLの第1深さDOL1より減少した値であるため、ガラス基板GLの第1圧縮応力CS1は図2A及び図2Bの第1圧縮応力CS1より減少した値を有する。その一方で、ガラス基板GLの第2深さDOL2は図2A及び図2Bのガラス基板GLの第2深さDOL2より増加した値であるため、ガラス基板GLの第2圧縮応力CS2は図2A及び図2Bのガラス基板GLの第2圧縮応力CS2より増加した値を有する。
【0072】
これにより、本発明の一実施形態によるガラス基板GLの第2面S2の一定位置に傷が生じた場合は、その傷が、圧縮応力が0である基準線と圧縮応力のグラフからなる領域内に存在することになり、ガラス基板GLの損傷が生じない。すなわち、外周面に該当する上記第2面S2に傷がある状態で引張応力が印加されても、第2圧縮応力CS2がこれを十分に補償することができるため、ガラス基板GLの損傷が防止されうる。
【0073】
このような化学強化処理された薄型のガラス基板GLの形成には、特に制限されず、様々の方法を用いることができる。ガラス基板GLの製造方法は、例えば、溶融、スロットドロー、圧延、リドロー、及びフロート工程等の方法のうち少なくとも何れか1つであってもよい。
【0074】
ガラス基板GLの製造方法としては、例えば、約100マイクロメートル(μm)以下の厚さを有するガラス母基板を用意し切断、面取り、焼成などを経て所定の形状に加工した後、これを化学強化処理する方法を使用してもよい。
【0075】
また、ガラス基板GLの他の製造方法としては、例えば、一般的な厚さを有するガラス母基板GLを用意し、これを約100μm以下の厚さにするスリミング(slimming)作業をした後、形状加工及び化学強化処理を順に行う方法を使用してもよい。この場合、上記スリミング作業は、機械的及び/または化学的方法で行われてもよい。
【0076】
さらに、ガラス基板GLのさらなる他の製造方法としては、例えば、ガラス母基板を用意し、化学強化処理としてイオン交換塩にガラス母基板を浸漬した後にガラス母基板を加熱する方法を使用してもよい。以下では、イオン交換塩に含まれて、ガラス母基板に含まれているイオンと交換するイオンを第1イオンと、ガラス母基板に含まれているイオンを第2イオンとして説明する。
【0077】
まず、イオン交換により化学強化するガラス母基板を用意する。
【0078】
その後、上記ガラス母基板をイオン交換塩に浸漬する。上記イオン交換塩には、上記ガラス母基板内の第2イオンと交換される第1イオンが含まれる。上記浸漬により上記ガラス母基板の第1面と第2面に上記第1イオンが提供される。本発明の一実施形態では、上記第1イオンはK、上記第2イオンはNaやLiであってもよく、上記第1及び第2イオンはそれぞれKNO及びNaNOの形態であってもよい。
【0079】
次に、上記浸漬されたガラス母基板を第1温度で所定時間加熱し、上記加熱により上記第1面と上記第2面とに提供された第1イオンが、上記第1面と第2面とを通じて上記ガラス母基板内に拡散しガラス母基板内の第2イオンと交換されることで、イオン交換されたガラス基板GLが製造される。その結果、本来ガラス母基板中にあった第2イオンは第3領域にそのまま存在することとなり、第1領域及び第2領域にあった第2イオンは第1イオンと交換される。
【0080】
上記第1温度及び上記第1温度を維持する加熱時間は、特に制限されず、上記イオンの交換程度に応じて異なるように設定されてもよい。本発明の好ましい一実施形態では、上記第1温度は370℃~410℃であり、また、本発明の好ましい一実施形態では、上記加熱時間は1時間~6時間である。
【0081】
上記ガラス母基板は第1面と第2面との何れかの少なくとも一部がスリミングされてもよい。上記ガラス母基板はエッチング液を利用してスリミングしてもよいが、これに限定されるものではなく、上記ガラス母基板の厚さを低減させるものであればよい。エッチング液を使用したスリミング方法としては、例えば、エッチング液を含有したスポンジをガラス母基板の表面に接触させる方法や、エッチング液をスプレーでガラス母基板を一定領域に複数回噴射する方法、または、ガラス母基板をエッチング液に浸漬する方法が挙げられる。ここで、ガラス母基板をエッチング液に浸漬する方法としては、一部領域が繰り返してエッチング液に浸漬されるようにガラス母基板の浸漬部分を調節することができる。
【0082】
本実施形態では、上記ガラス母基板をスリミングする段階がイオン交換後に行われるが、これに限定されず、上記ガラス母基板をスリミングする段階は、上記ガラス母基板がイオン交換塩に浸漬される前に行われてもよい。
【0083】
本発明の一実施形態における上記ガラス基板GLには追加工程がさらに行われてもよく、また、さらに少なくとも1回以上洗浄されてもよい。
【0084】
上記したように、上記ガラス母基板がイオン交換塩に浸漬されることによって、上記ガラス母基板の第1面S1と第2面S2とがイオン交換塩に接触し、ガラス基板GL内のイオンが交換される。上記した工程により製造されたガラス基板GLは、本発明の一実施形態で確認できるように、第1領域RG1と第2領域RG2で所定の深さ及び圧縮応力を有することとなる。
【0085】
上記したように、本発明の一実施形態によるガラス基板GLは、折り畳まれ、または巻かれるとき、引張応力が作用する面に傷があっても損傷が最小化される。特に、本発明の一実施形態によるガラス基板GLが超薄型の基板である場合、例えば、100マイクロメートル以下の厚さである場合、折り畳まれ、または巻かれるとき、引張応力による傷の発生や成長が減少することができる。そして、その結果、ガラス基板GLの破損の可能性も著しく低減する。
【0086】
本発明の一実施形態において、ウィンドウ基板WDが相対的に小さい厚さ(例えば、150μm以下)を有する化学強化されたガラス基板GLを含むことにより、ガラス基板GLの屈曲剛性が低くなり、ウィンドウ基板WDがより容易に折り畳まれ、または曲げられることができるようになる。しかしながら、ウィンドウ基板WDに加わる衝撃によってガラス基板GLが割れ、またはガラス基板GLが飛散する可能性がより高くなるため、ガラス基板GLの割れ防止や、ガラス基板GLの飛散防止のための対策が求められることとなる。
【0087】
(コート層)
上記コート層CTLはガラス基板GL上に配置される。コート層CTLはウィンドウ基板WDの耐衝撃性を向上させ、ガラス基板GLの飛散を防止する機能を有することができる。
【0088】
上記ガラス基板GLの第1面S1と第2面S2の何れか一面にはコート層CTLが設けられる。
【0089】
本発明の一実施形態におけるコート層CTLは、ガラス基板GLの両面のうち表示パネル(不図示)に対向する面上に配置されてもよい。すなわち、コート層CTLは、ガラス基板GLと表示パネルとの間に配置されうる。
【0090】
上記コート層CTLは機能性コート層であって、ガラス基板GL上に配置されうる。上記コート層CTLは、ウィンドウ基板WDの耐衝撃性を向上させ、ガラス基板GLの飛散を防止する機能を有しうる。上記コート層CTLは、ガラス基板GLの一部に衝撃が加わる場合、上記衝撃によってガラス基板GLに発生する引張応力を相殺してガラス基板GLが割れるのを防止し、ガラス基板GLが割れる場合に発生する衝撃エネルギーを吸収して微細なガラスの破片が飛散することを防止することができる。このため、コート層CTLは、上記衝撃エネルギーが吸収できるように弾性材料を含んでいてもよく、曲げられ、または折り畳まれるように柔軟な材質であってもよい。また、ガラス基板GLに直接接触するため、ガラス基板GLとの良好な密着性が求められる場合もありうる。
【0091】
本発明の好ましい一実施形態において、コート層CTLは、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリレート系樹脂、ABS樹脂(acrylonitrile-butadiene-styrene resin)及びゴムから選ばれる少なくとも1つを含む。例えば、コート層CTLは、ポリウレタン(polyurethane;PU)からなるか、上記ポリウレタンにゴムを追加したものまたはアクリルモノマー(acrylic monomer)を追加したものからなってもよい。
【0092】
本発明の一実施形態における上記コート層CTLは、2~4GPaのヤング率を有することができ、上記ヤング率は上述したコート層CTLの材料を変えることで調整することができる。
【0093】
本発明の一実施形態において、上記コート層CTLはガラス基板GLに直接結合されてもよい。上記コート層CTLはガラス基板GL上にコート方式で形成されてもよい。例えば、コート層CTLは、スリップ(slip)コート、バー(bar)コート、スピン(spin)コートなどの方法を用いてガラス基板GL上に形成されることができる。本発明の一実施形態における上記コート層CTLは、ガラス基板GLの全面に対応するように形成されてもよい。
【0094】
本発明の好ましい一実施形態において、上記コート層CTLは、0μm超50μm以下の厚さを有する。上記コート層CTLは、より好ましくは1μm~40μmの厚さを有し、さらに好ましくは1μm~30μmの厚さを有し、よりさらに好ましくは3μm~15μmの厚さを有し、特に好ましくは5μm~15μmの厚さを有し、最も好ましくは、10μ~15μmの厚さを有する。例えば、本発明の好ましい一実施形態における上記コート層CTLは、例えば、3μm~12μmの厚さを有することができ、また、本発明の他の好ましい実施形態における上記コート層CTLは、例えば、3μm~10μmの厚さを有する。上記コート層CTLが設けられない場合には、微細なガラスの破片が飛散する際に発生する衝撃エネルギーを十分に吸収できない恐れがある。また、50μm以下の厚さを有する場合、コート層CTLの屈曲剛性をより減少させることができ、衝撃によるガラス基板GLの変形程度をより減少してガラス基板GLに発生する引張応力をより減少させることができる。
【0095】
上記コート層CTLはガラス基板GLより小さい弾性係数を有してもよい。上述したように、コート層CTLは、ガラス基板GLが飛散する際に発生する衝撃エネルギーを吸収することができるように弾性材料を含むことができる。また、後述する数式1で示されるように、コート層CTLの屈曲剛性はコート層CTLの弾性係数に比例するため、コート層CTLがガラス基板GLより小さい弾性係数を有することで、コート層CTLがウィンドウ基板WDの可撓性特性に影響を与えないことができる。
【0096】
本発明の好ましい一実施形態において、コート層CTLは10GPa以下の弾性係数を有する。本発明の好ましい一実施形態において、コート層CTLの弾性係数は1GPa~約5GPaであり、より好ましくは2GPa~4GPaである。例えば、コート層CTLに直接結合されるガラス基板GLは、約70GPaの弾性係数を有しうる。コート層CTLが1GPa以上の弾性係数を有する場合、衝撃によるガラス基板GLの変形程度がより減少して、ガラス基板GLに発生する引張応力をより減少させることができる。また、コート層CTLが5GPa以下の弾性係数を有する場合、微細なガラスの破片の飛散時に発生する衝撃エネルギーをより十分に吸収することができる。
【0097】
本発明の好ましい一実施形態において、上記コート層CTLの光透過率は約90%以上である。表示パネルの画素から放出される光はウィンドウ基板WDを介してユーザに視認され、上記画素から放出される光はガラス基板GLの全面に対応するコート層CTLを通過することができる。コート層CTLが十分な光透過率を有することにより、表示パネルから放出された光の輝度が低下することを防止することができる。
【0098】
本発明の一実施形態では、ガラス基板GLにコート層CTLが設けられるため、ガラス基板GLと、コート層CTLが設けられたガラス基板GL(コート層CTL及びガラス基板GLの積層体)との反発力の差は50%以内であることが好ましい。本発明の一実施形態における上記反発力の差は10%以内であることがより好ましい。
【0099】
例えば、169.4mm×101.2mmサイズの厚さ70μmのガラス基板GL(Gorilla3 Glass)において、ヤング率は69.3GPaで、曲率半径が5mmである場合、Dは折り畳み時に対向する基板の両端部間の間隔Dは10mmとみることができ、このときの反発力は約7.6Nである。上記ガラス基板GL上にコート層CTLを形成するとき、約3.8N以下の反発力の差が出るようにコート層CTLの材料や厚さなどを選択することができる。
【0100】
(ウィンドウ基板の特性)
上記コート層CTLは、上述したように、ウィンドウ基板WDに衝撃が加わるときのガラス基板GLの割れを防止することにより、ウィンドウ基板WDの耐衝撃性を向上させることができる。
【0101】
これにより、ウィンドウ基板WDは、5.8gの特定のペン(ソシエテ・ビック(Societe Bic)社のFine BiCペン)を、キャップを嵌めて基板面に垂直な状態で高さを変えて自由落下させたときを基準として少なくとも4cmの耐衝撃性を有することができる。すなわち、上記約5.8gのペンを4cm以下の高さからウィンドウ基板WDに向かって落下させるとき、ウィンドウ基板WDが割れないことが好ましい。これより、本発明の好ましい一実施形態は、ウィンドウ基板のガラス基板の第1面及び第2面のうちコート層を設けていない残りの一面に5.8gのペンを第1高さから垂直落下させたときに破損しない耐衝撃特性を有し、第1高さは4cm以上であることが好ましい。特定のペンを用いた耐衝撃特性の検査に対しては後述する。
【0102】
本発明の好ましい一実施形態において、ウィンドウ基板WDは、少なくとも一部が可撓性(flexibility)を有することが好ましく、上記可撓性を有する部分で折り畳まれる。
本発明の一実施形態において、上記した構造を有するウィンドウ基板WDは200,000回の折り畳み信頼性を有することを特徴とする。折り畳み信頼性とは、複数回にわたって折り畳んでも破損しないことを意味し、上記折り畳み信頼性検査はクレムシェル(Clamshell)折り畳み信頼性検査を利用して複数回のサイクルで行われてもよい。
【0103】
上記クレムシェル折り畳み信頼性検査は、ウィンドウ基板WDを平らな状態で両端部が互いに対向するようにしてから再び平らな状態に広げることを1つのサイクルとして、上記サイクルを繰り返して行う。本発明の一実施形態において、ウィンドウ基板WDは、他の装置、例えば、表示装置に適用されるとき複数回にわたって折り畳まれることがあり、複数回の折り畳み時の信頼性を確保するために検査が行われた。上記折り畳み信頼性検査時のウィンドウ基板WDは検査プレート上に置かれる。検査プレートは、固定プレートと、上記固定プレートと1軸または多軸折り畳みギアを介して回転可能な回転プレートと、からなる。上記折り畳み信頼性検査は、上記ウィンドウ基板WDを同じ平面上にある固定プレートと回転プレート上に位置させ、上記ガラス基板GLを平らに保持して所定時間(例えば、約1秒)維持し、上記回転プレートを移動させて上記回転プレートが上記固定プレートと離隔した状態で上記固定プレートに平行になるようにする。これにより、2つのプレートの間にはウィンドウ基板WDが所定曲率で折り畳まれた状態となり、この状態でさらに所定時間(例えば、約1秒)維持する。次に、上記回転プレートを元の状態に戻して上記ウィンドウ基板WDを同じ平面上に位置させてガラス基板GLが初期状態に平らになるようにすることで、1つのサイクルを完了する。ここで、上記折り畳み信頼性検査時の条件は変わってもよい。上記回転プレートが上記固定プレートと離隔し、かつ上記固定プレートに平行のとき、上記回転プレートと上記固定プレートの距離はDであり、D/2は実質的に曲率半径に該当する。上記距離Dは上記折り畳みギアを用いて約1mm~約10mmに制御することができる。
【0104】
例えば、上記ウィンドウ基板WDの厚さ、または、目標とする曲率半径、または、化学強化後の圧縮応力に応じて上記折り畳み信頼性検査の条件が変更されてもよい。また、上記折り畳み信頼性検査は一方向への折り畳み信頼性を検査してもよいが、一方向及びこれと反対の方向への折り畳み信頼性を検査してもよい。
【0105】
本発明の一実施形態におけるウィンドウ基板WDは、85℃の温度及び85%RHの湿度条件で50,000回にわたって折り畳まれたときに破損がないことを特徴とする。また、60℃の温度及び93%RHの湿度条件で50,000回にわたって折り畳まれたときにも破損がないことを特徴とする。
【0106】
本発明の好ましい一実施形態におけるウィンドウ基板WDは90%以上の透過率を有する。ガラス基板GL及び/またはコート層CTLの材料及び厚さなどを調節することで、透過率を調節することができる。本発明の一実施形態において、ウィンドウ基板WDが表示装置に適用される場合、表示装置からの映像を最大に透過させるために透過率も最大限に大きいことが好ましい。本発明の好ましい一実施形態では、少なくとも90%の透過率を有する。
【0107】
本発明の好ましい一実施形態におけるウィンドウ基板WDは、イエローインデックス変化量(△YI)が280nm~360nmのUVB光線に72時間晒されたときでも1.0以下である。ウィンドウ基板WDは、表示装置などの他の装置に適用される場合、UVをはじめとする直射日光に晒されることがあるため、当該条件下でも色変性しないことが好ましく、本発明の好ましい一実施形態によるウィンドウ基板WDは上記条件を満たす。
【0108】
本発明の好ましい一実施形態におけるウィンドウ基板WDは、ヘイズ値が1.0%以下である。
【0109】
本発明の一実施形態におけるウィンドウ基板WDは耐摩耗性を有することを特徴とする。耐摩耗性の評価は、直径20mmのリベロン社(Liberon社)のスチールウール(steel wool#0000)を1.5kgfの荷重でガラス基板GLの上面に密着させて1分当たり45回往復させる方式で行われる。このとき、上記スチールウールの繊維方向は往復運動の方向と同一である。本耐摩耗信頼性の評価はウィンドウ基板WDが表示装置のような他の装置に適用されるとき、使用によるスクラッチなどの傷が発生する可能性があるため、それを考慮したものである。本発明の好ましい一実施形態によるウィンドウ基板WDは、10回のサイクルの間にスクラッチが発生しなかった。
【0110】
本発明の一実施形態におけるウィンドウ基板WDは200,000回の折り畳み信頼性を有することを特徴とする。折り畳み信頼性は複数回にわたって折り畳んでも破損しないことを意味し、上記折り畳み信頼性検査は折り畳み検査と同様に複数回のサイクルで行われてもよい。
【0111】
本発明の一実施形態による上記ガラス基板GLは1~10mm、または1~5mmの曲率半径を有することができるが、この場合でも破損がないことを特徴とする。
【0112】
本発明の好ましい一実施形態によるウィンドウ基板WDは、容易に曲げられ、または折り畳まれるためにウィンドウ基板WDを構成する層が相対的に小さい屈曲剛性(bending stiffness)を有する。単一層の屈曲剛性は以下の数式1により表すことができる。
【0113】
【数1】
【0114】
上記数式1において、上記BSは上記単一層の屈曲剛性を意味し、上記Eは上記単一層の弾性係数(elastic modulus)を意味し、上記THは上記単一層の厚さを意味することができる。
【0115】
ガラス基板GLの屈曲剛性はガラス基板GLの厚さの3乗に比例する。したがって、ガラス基板GLが相対的に小さい屈曲剛性を有するためには、ガラス基板GLの厚さが相対的に小さい必要がある。
【0116】
本発明の好ましい一実施形態におけるウィンドウ基板WDは、ウィンドウ基板WDの変形時に10N以下の反発力を有する。ウィンドウ基板WDは、表示装置などに適用する際に複数回に渡って折り畳まれることがあり、ユーザが上記ウィンドウ基板WDを折り畳むときの反発力はユーザが不便を感じない程度であることが好ましい。
【0117】
上記ガラス基板GLの変形に対する反発力は、下記数式2で定義することができる。
【0118】
【数2】
【0119】
上記数式2において、Eはヤング率(Young’s Modulus)、tはガラスの厚さ、υはポアソン比(Poisson rate)、wはガラス基板GLの幅、及びDは折り畳み時に対向する基板の両端部間の間隔である。上記折り畳み時にはwの幅を有するガラス基板GLの両端部が対向するように折り畳まれる。ここで、Dは実質的にガラス基板GLの曲率半径の2倍であることができ、上記ガラス基板GLは好ましくは1~10mm、より好ましくは1~5mmの曲率半径を有するように設定されてもよく、これに該当するD値を満たすことが好ましい。
【0120】
上記数式2によると、他の条件は同一で、ガラス基板GLの厚さが100μmで、Dが10mmのときの反発力は、ガラス基板GLの厚さが70μmのときに比べて約3倍に該当する。
【0121】
上述した反発力はウィンドウ基板WDを折り畳む時に印加される応力の2乗に比例し、上記折り畳む時に印加される応力は以下の数式3から得られる。
【0122】
【数3】
【0123】
上記数式3において、Eはヤング率(Young’s Modulus)、tはガラスの厚さ、υはポアソン比(Poisson rate)、wはガラス基板GLの幅、及びDは折り畳み時に対向する基板の両端部間の間隔である。上記折り畳み時にはwの幅を有するガラス基板GLの両端部が対向するように折り畳まれる。ここで、Dは実質的にガラス基板GLの曲率半径の2倍であることができる。
【0124】
上述した構造を有する本発明の好ましい一実施形態によるウィンドウ基板WDは、高い破壊強度、例えば、少なくとも700MPa(B10)の破壊強度を有する。上記破壊強度は、傷(flaw)のサイズが3μmである場合でも破損しない程度の強度に該当することができる。ここで、B10は、材料の強度テスト時にWeibull分布の下位10%を示した値である。本発明の好ましい一実施形態では、化学強化により第1及び第2深さが13μm、圧縮応力が750MPaである厚さ70μmのガラス基板GLを曲率半径5mmに折り畳むときの最小強度が約700MPaであった。
【0125】
上述した構造を有する本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDは、高い耐衝撃特性を有する。
【0126】
図4は、既存の発明によるガラス基板GLと本発明の一実施形態によるガラス基板GLの耐衝撃特性を示したグラフである。
【0127】
比較例1は既存の発明によるガラス基板GLの耐衝撃特性であり、参考例1は本発明によるガラス基板GLの耐衝撃特性である。図4において、各ガラス基板は全てベースフィルム上に粘着剤を用いて接着されており、各ガラス基板を除いた条件は全て同一である。
【0128】
上記ベースフィルムには、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてもよい。
【0129】
上記粘着剤は上記ベースフィルムとガラス基板を付着させるためのものである。上記粘着剤は、ガラス基板の下に位置して上記ベースフィルムとガラス基板を1つに付着する役割を担うとともに、常温でベースフィルムとガラス基板に発生するストレスを分散させる。本発明の好ましい実施形態においては、上記粘着剤が、ガラス基板とベースフィルムとの剥離現象を防ぐために、常温(25℃)及び50%の湿度条件下で所定の粘着力、弾性率及びクリープ特性を有さなければならず、上記粘着剤の粘着力が少なくとも500gf/inで、保存弾性率(Storage Modulus)は最大100MPaで、クリープ(creep)特性は50%~800%である。本実験ではこの特性を有する粘着剤を使用した。
【0130】
また、比較例1ではSiO、Al及びNaOを含みAl/NaOが1.54であるガラス基板GLが用いられており、参考例1ではSiO、Al及びNaOを含みAl/NaOが0.33であるガラス基板GLが用いられた。これらのガラス基板は互いに対向する第1面および第2面を有し、厚さが10μmであった。耐衝撃特性は、5.8gの特定のペン(ソシエテ・ビッグ(Societe Bic)社のFine BiCペン)を、キャップを嵌めて基板面に垂直な状態で高さを変えて自由落下させ、破損が生じた高さを測定する方法で確認した。測定は10回行い、その平均値を測定値として採用した。
【0131】
図4を参照すると、比較例1は4.5cm以下の高さで基板に破損が生じたが、参考例1は8.3cmで基板のガラス破損が生じた。これにより、Al/NaOの含量を1以下に維持することで、耐衝撃特性が著しく向上することが確認できる。
【0132】
上述した本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDは、ガラス基板GLにコート層CTLを適用することで耐衝撃特性が改善される。図5は既存の発明によるウィンドウ基板と本発明の一実施形態によるウィンドウ基板の耐衝撃特性を示したグラフである。
【0133】
比較例3は既存の発明によるウィンドウ基板の耐衝撃特性で、実施例2は本発明によるウィンドウ基板の耐衝撃特性である。比較例3ではSiO、Al及びNaOを含みAl/NaOが1.54であるガラス基板GLが用いられ、実施例2ではSiO、Al及びNaOを含みAl/NaO が1.54であるガラス基板GLが用いられた。これらのガラス基板は互いに対向する第1面および第2面を有し、厚さが10μmであった。また、実施例2では、一方の面にエステルアクリレートとウレタンアクリレートオリゴマーのポリマーを含むUV硬化型樹脂からなる10μmのコート層を、UV成形法によって形成した。図5において、各ウィンドウ基板は全てベースフィルム上に粘着剤を用いて接着されており、各ウィンドウ基板を除いた条件は全て同一である。
【0134】
上記ベースフィルムには、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてもよい。
【0135】
上記粘着剤は上記ベースフィルムとウィンドウ基板を付着するためのものである。上記粘着剤は、上述した耐衝撃特性の評価と同様に、ガラス基板の下に位置して上記ベースフィルムとガラス基板を1つに付着する役割を担うとともに、常温でベースフィルムとガラス基板に発生するストレスを分散させる。本発明の好ましい実施形態においては、上記粘着剤が、ガラス基板とベースフィルムとの剥離現象を防ぐために、常温(25℃)及び50%の湿度条件下で所定の粘着力、弾性率及びクリープ特性を有さなければならず、上記粘着剤の粘着力は少なくとも500gf/inで、保存弾性率(Storage Modulus)は最大100MPaで、クリープ(creep)特性は50%~800%である。本実験ではこの特性を有する粘着剤を使用した。
【0136】
図5において、既存の発明によるウィンドウ基板はコート層が適用されていない状態で耐衝撃特性を測定しており、本発明のウィンドウ基板はガラス基板にコート層が適用された状態で耐衝撃特性を測定した。その他、コート層を除いた以外の測定条件は全て同一であった。耐衝撃特性は、上述したように5.8gの特定のペン(ソシエテ・ビッグ社(Societe Bic社)のFine BiCペン)をキャップを嵌めてウィンドウ基板面に垂直な状態で高さを変えて自由落下させ、破損が生じた高さを測定する方法で確認した。測定は10回行い、その平均値を測定値として採用した。
【0137】
図5を参照すると、ガラス基板にコート層が適用されていない比較例3の場合、3.7cmの高さでガラス基板に破損が生じた。これに比べて、ガラス基板にコート層が適用された実施例2では、4.7cmの高さでガラス基板に破損が生じた。これにより、コート層を適用することで耐衝撃特性が著しく向上することが分かる。
【0138】
上記コート層は上記ガラス基板に様々な厚さで適用されてもよく、図6は、図5に示した実施例2の耐衝撃特性の測定において、ウィンドウ基板のコート層の厚さを変更した以外は同様にして測定を行った実験において、コート層の厚さに応じた耐衝撃特性の変化量を破損高さの変化量で示したものである。耐衝撃特性の変化量は、コート層が適用されていないガラス基板とコート層が適用されたガラス基板のBiCペンによる破損高さの差に該当する。
【0139】
図6を参照すると、コート層の厚さが5μm、10μm、及び15μmのときに耐衝撃特性が増加し、40μmでは耐衝撃特性がわずかに減少したが、許容できるレベルであると判断された。
【0140】
本発明の一実施形態によるウィンドウ基板は、上述した形態に限定されるものではなく、他にも様々な機能層が追加されてもよく、様々な他の形態に変形されてもよい。ここで、図5に示されたウィンドウ基板の耐衝撃特性の評価では、特定のペンによる未破損高さが4cm以上と確認された。しかし、図5に示されたウィンドウ基板は別の緩衝部材が備えられていないウィンドウ基板のみを評価しており、実際の表示装置に適用される際には別の緩衝部材などと組み合わせられてもよい。また、図6に示したように、ウィンドウ基板におけるコート層の厚さに応じて耐衝撃特性が変わりうる。従って、上記コート層の厚さや別の緩衝部材の有無によってウィンドウ基板の耐衝撃特性の評価を変えることができるが、このような変更された構成においても、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板における特定のペンによる未破損高さは4cm以上であることが好ましく、4.7cm以上であることがより好ましく、5cm以上であることがさらに好ましく、5.3cm以上であることがよりさらに好ましく、5.5cm以上であることが特に好ましい。
(その他構成)
【0141】
図7A図7Fは、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDの断面図である。
【0142】
図7Aを参照すると、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDは様々な機能層を含んでもよい。上記ウィンドウ基板WDは背面に設けられたコート層CTLの他に、前面に設けられたカバー層CVLをさらに含んでもよい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態は、第1面及び第2面のうちコート層を設けていない残りの一面に設けられたカバー層をさらに含む。
【0143】
本発明の一実施形態において、上記カバー層CVLはガラス基板GLの上面における反射を最小化する反射防止層であってもよい。上記カバー層CVLはユーザの指の跡(例えば、指紋の跡)のような汚染を防止する汚染防止層であってもよいが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の好ましい一実施形態は、カバー層CVLが反射防止層、汚染防止層、または指紋防止層である。また、図7Aでは、上記カバー層CVLが単一層に示されたが、これに限定されず、様々な機能を有する層が複層設けられてもよい。
【0144】
図7Bを参照すると、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDは様々な形状であってもよく、本発明の好ましい一実施形態は、ウィンドウ基板WDのコート層CTLが上面(ガラス基板側とは反対側)から突出した突出部を有している。図示したように、ガラス基板GLの背面のコート層CTLは複数の突起部(突出部)を有することができる。上記突出部は上記コート層CTLと一体に形成されてもよく、一方向の断面が半円、楕円、三角形、長方形、台形などの多様な形態であってもよい。
【0145】
図7Cを参照すると、本発明の好ましい一実施形態は、ウィンドウ基板WDのガラス基板GLが複数個提供される。すなわち、本発明の好ましい一実施形態によるウィンドウ基板WDは、複数のガラス基板GLと、上記ガラス基板の一側に設けられたコート層CTLと、を含む。本実施形態では、3枚のガラス基板、すなわち、第1~第3ガラス基板GLa、GLb、GLcが順に積層されたものを示したが、ガラス基板GLの枚数はこれに限定されず、2枚または4枚以上であってもよい。
【0146】
また、本発明の好ましい一実施形態は、ウィンドウ基板WDに含まれる互いに隣接するガラス基板GLの間には粘着剤が提供される。
【0147】
例えば、上記第1ガラス基板GLaと第2ガラス基板GLbの間には第1粘着剤OCAaが提供されてもよく、上記第2ガラス基板GLbと上記第3ガラス基板GLcの間には第2粘着剤OCAbが提供されてもよい。上記粘着剤は光学的に透明な粘着剤に該当する。このように、本発明の好ましい一実施形態は、ウィンドウ基板の互いに隣接する2つのガラス基板の間に提供された光学的に透明な粘着剤をさらに含む。
【0148】
図7Dを参照すると、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDは、複数のガラス基板と、それぞれのガラス基板GLの一面に設けられたコート層CTLと、を含むことが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態によるウィンドウ基板WDは、複数のガラス基板に応じてコート層が複数個提供される。本実施形態において、3枚のガラス基板、すなわち、第1~第3ガラス基板GLa、GLb、GLcにそれぞれコート層CTL、すなわち、第1~第3コート層CTLa、CTLb、CTLcが対応して順に積層されたものが示されているが、ガラス基板の枚数及びコート層の層数はこれに限定されない。よって、本発明は、一部のガラス基板にはコート層が設けられるが、他のガラス基板にはコート層が設けられなくてもよい。
【0149】
互いに隣接するガラス基板とコート層との間には粘着剤が提供されうる。粘着剤は、好ましくは、光学的に透明な粘着剤である。例えば、上記第1ガラス基板GLaと第2コート層CTLbとの間には第1粘着剤OCAaが提供され、上記第2ガラス基板GLbと上記第3コート層CTLcとの間には第2粘着剤OCAbが提供されうる。上記粘着剤は光学的に透明な粘着剤に該当する。
【0150】
図7E及び図7Fを参照すると、本発明の一実施形態によるウィンドウ基板WDにおいて、ガラス基板GLの一面は様々な形状、例えば、突起部(突出部)や凹み部を有してもよい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態は、ガラス基板GLは第1面と第2面の何れかに凹み部を有する。本実施形態によると、ガラス基板GLは背面に表面から内部方向に凹んだ凹み部RCを有することができる。また、本発明の好ましい一実施形態は、コート層CTLがガラス基板GLの凹み部を充填する。図7Eを参照すると、コート層CTLは上記凹み部RC内を充填するとともに、上記コート層CTLの背面をカバーすることができる。このため、上記コート層CTLの背面は平らに提供されることができる。図7Fを参照すると、コート層CTLは上記凹み部RC内の一部のみを充填しながら、上記コート層CTLの背面をカバーすることができる。これにより、上記コート層CTLの背面にはガラス基板GLの凹み部に対応する領域が凹んだ形態で提供されるため、平らではない形態となる。本実施形態では、特定領域におけるガラス基板GLの厚さが減少することで、折り畳まれ、または曲げられることがより容易となる。
【0151】
上記凹み部RCの形態の断面は、本実施形態では直線状である場合を示したが、これに限定されない。上記凹み部RCの形態は、第1圧縮応力を減少させることができる形状であればよく、様々な形態であってもよい。
【0152】
また、上記凹み部RCは、平面上では上記ガラス基板GL上の多様な位置に様々な大きさで形成されてもよい。例えば、上記凹み部RCはガラス基板GLが折り畳まれる方向または巻かれる方向を考慮し、その方向に相応する領域に形成されてもよい。すなわち、上記ガラス基板GLの一面が内周面になるように折り畳まれ、または曲げられる場合、上記凹み部RCは上記一面(内周面)上に設けられることができる。または、上記凹み部RCは上記ガラス基板GLのほぼ全面上に形成されてもよい。
【0153】
上記凹み部RCが上記ガラス基板GL上の全領域または一部領域に設けられる場合、上記凹み部RCが設けられている領域のガラス基板GLの厚さが減少するため、上記ガラス基板GLで発生する引張応力が小さくなり、その結果、上記ガラス基板GLを巻かれ、折り畳まれ、または曲げられることがより容易となる。上記構造を有するガラス基板GLは、上述した実施形態と同様に第2面S2に引張応力が印加される方式で巻かれ、折り畳まれ、または曲げられる際の傷による破損が防止されうる。
【0154】
<表示装置>
上述したウィンドウ基板WDは様々な装置に適用されてもよく、特に、表示パネルを保護するウィンドウ基板WDとして表示装置に適用されうる。
【0155】
図8は本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図である。図9A図1のI-I’線に沿った断面図であり、図9B図8の表示装置を折り畳んだときの様子を示した断面図である。
【0156】
図8図9A及び図9Bを参照すると、本発明の一実施形態による表示装置は、折り畳まれ、または曲げられることができる表示装置に関するものであってもよい。
【0157】
上記表示装置は様々な形状であってもよく、例えば、平行する2対の辺を有する長方形の板状であってもよい。上記表示装置が長方形の板状である場合、2対の辺の何れか1対の辺が他の一対の辺より長くてもよい。本発明の一実施形態では、説明の便宜上、上記表示装置が1対の長辺と1対の短辺を有する長方形である場合を示し、上記長辺の延長方向を第1方向D1、上記短辺の延長方向を第2方向D2、上記長辺と短辺の延長方向に垂直な方向を第3方向D3と表示した。
【0158】
しかし、上記表示装置の形状はこれに限定されるものではなく、様々な形状を有することができる。例えば、上記表示装置は、直線の辺を含む閉じた形の多角形、曲線からなる辺を含む円形及び楕円など、直線と曲線からなる辺を含む半円及び半楕円などの様々な形状であってもよい。本発明の一実施形態において、上記表示装置が直線からなる辺を有する場合、上記各形状の角のうちの少なくとも一部は曲線からなることができる。例えば、上記表示装置が長方形である場合、互いに隣接する直線の辺が接する部分が所定の曲率を有する曲線に代替されてもよい。すなわち、長方形の頂点部分は互いに隣接するその両端が互いに隣接する2つの直線の辺に連結され、所定の曲率を有する曲線の辺からなってもよい。上記曲率は位置によって異なるように設定されることができる。例えば、上記曲率は曲線が始まる位置と曲線の長さなどに応じて変更されることができる。
【0159】
本発明の好ましい一実施形態の表示装置は、少なくとも一部が可撓性(flexibility)を有してもよく、上記可撓性を有する部分で折り畳まれることができる。すなわち、上記表示装置は、可撓性を有して折り畳まれる可撓性領域(flexible area;FA)と、上記可撓性領域の少なくとも一側に提供されて折り畳まれない硬質領域(rigid area;RA)と、を含んでもよい。
【0160】
ここで、本発明の一実施形態では、折り畳まれない領域を硬質領域RAとしたが、これは説明の便宜のためであり、「硬質」という表現は可撓性がなくて硬い場合だけでなく、可撓性があることはあるが可撓性領域FAより小さい可撓性を有する場合、及び可撓性を有するが折り畳む領域ではない場合を含む。
したがって、本発明の好ましい一実施形態としては、例えば、表示装置は、表示パネル及びウィンドウ基板が、可撓性を有する第1位置領域(可撓性領域FA)及び第1位置領域に隣接する第2位置領域(硬質領域RA)を含むものが挙げられる。
【0161】
また、本発明の一実施形態では、表示装置の全体が可撓性領域FAに該当してもよい。例えば、巻き物状に巻かれる表示装置の場合、表示装置の全体が可撓性領域に該当することができる。
【0162】
本発明の一実施形態では、上記第1方向D1に沿って上記第1硬質領域RA1、上記可撓性領域FA、及び上記第2硬質領域RA2が順に配置されたことが例に挙げた。上記可撓性領域FAは上記第2方向D2に沿って延長される。
【0163】
上記表示装置が折り畳まれる中心線を折り畳み線FLとするとき、上記折り畳み線は上記可撓性領域FA内に提供される。本実施形態では、折り畳み線FLが可撓性領域FAの中心を通り、上記可撓性領域FAが上記折り畳み線FLを基準として線対称であることが開示されているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上記折り畳み線FLは上記可撓性領域FA内に非対称的に提供されてもよい。上記可撓性領域FA及び上記可撓性領域FA上の折り畳み線FLは上記表示パネルDPの映像が表示される領域と重なってもよく、上記表示装置が折り畳まれる場合、上記映像を表示する部分が折り畳まれてもよい。
【0164】
ここで、「折り畳まれる」という用語は、形が固定されたものではなく、元の形から他の形に変形できることを意味し、1つ以上の特定線、すなわち、折り畳み線FLに沿って折り畳まれたり(folded)、曲げられたり(bent)、反られたり(curved)、巻き物状のように巻かれる(rolled)ことを含む。したがって、本発明の一実施形態では、上記2つの硬質領域の一面が互いに平行に位置し対向するように折り畳まれた状態を示したが、これに限定されるものではなく、上記可撓性領域を介して上記2つの硬質領域の面が所定の角度(例えば、鋭角、直角または鈍角)を成して折り畳まれてもよい。
【0165】
上記表示装置において、上記折り畳み線FLは上記可撓性領域FAの延長方向である第2方向に沿って上記可撓性領域FA内に提供されるため、上記表示装置は上記可撓性領域FAで折り畳むことができる。
【0166】
本発明の一実施形態において、上記表示装置が上記折り畳み線FLに沿って折り畳まれるとき、映像が表示される面とその反対面が対向するように折り畳まれうる。そして、このとき、上記ウィンドウ基板WDは上記表示装置が折り畳まれた状態で最外郭に露出されうる。この場合、折り畳まれた状態でも外部に映像が提供されることができ、ユーザは装置が折り畳まれたか否かに関係なく、映像を確認することができる。しかし、上記表示装置の折り畳み方向はこれに限定されず、上記表示装置が上記折り畳み線FLに沿って折り畳まれるとき、図9Bに示されたものとは違って、映像が表示される面が互いに対向するように折り畳まれてもよい。
【0167】
本発明の一実施形態において、説明の便宜上、上記第1及び第2硬質領域RA1、RA2が類似する面積を有し、上記可撓性領域FAが上記2つの硬質領域RA1、RA2の間に位置したものを図示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記第1及び第2硬質領域RA1、RA2は相違する面積を有することができる。また、上記硬質領域は2つ設けられてもよく、1つまたは3つ以上設けられてもよい。この場合、複数の硬質領域は可撓性領域FAを介して互いに離隔して設けられうる。
【0168】
(ウィンドウ基板)
本発明の一実施形態による表示装置は、表示パネルDPと、上記表示パネルDPの前面に設けられて所定の厚さを有するウィンドウ基板WDと、を含む。
【0169】
上記ウィンドウ基板WDはガラス基板GLとコート層CTLを含んでもよい。ここで、本発明の好ましい一実施形態による表示装置は、ウィンドウ基板WDが、互いに対向する第1面及び第2面を有するガラス基板GLと、ガラス基板GLの第1面及び第2面の何れか一面に提供されるコート層CTLと、を含む。
【0170】
上記ウィンドウ基板WDには上述したウィンドウ基板WDが用いられてもよいため、上述した内容と重なる説明は省略する。
【0171】
上記ウィンドウ基板WDは上記表示パネルDPの形状に対応する板状であってもよく、表示パネルDPの前面の少なくとも一部をカバーする。例えば、上記表示パネルDPが長方形である場合、上記ウィンドウ基板WDもこれに対応する長方形でありうる。または、上記表示パネルDPが円形である場合には、上記ウィンドウ基板WDもこれに対応する円形でありうる。
【0172】
上記ウィンドウ基板WDは、表示パネルからの映像を透過させるとともに外部の衝撃を緩和させることで、上記外部の衝撃により上記表示パネルDPが破損したり、誤動作することを防ぐ。上記外部からの衝撃とは、圧力、ストレスなどで表現できる外部からの力であって、上記表示パネルDPに欠陥を引き起こす力のことである。
【0173】
上記ウィンドウ基板WDは、上述したように上記外部の衝撃を吸収するとともに上記外部の衝撃をその周辺に分散させる弾性力を有することができる。例えば、ウィンドウ基板WDは外部からの衝撃によって変形が生じ、上記外部からの圧力が除去されると、再び元の状態に復元できる弾性力を有することができる。また、上記ウィンドウ基板WDは外部の衝撃に対する変形や破損が少なく耐衝撃特性が良い。
【0174】
上記ウィンドウ基板WDは、点衝撃による表示パネルDPの曲げ変形及び面衝撃による表示パネルDPの圧縮変形及び/または引張変形を緩和する。上記ウィンドウ基板WDは、特に上記表示パネルDPの前面方向(表示装置におけるウィンドウ基板の表示パネル側の面とは反対側の面)から表示パネルDPに印加される衝撃を緩和する。上記表示パネルDPの前面はスタイラスペンのような尖った外部器具との接触が多い。上記外部器具による前面衝撃は表示パネルDPとの接触面積が相対的に狭い。このため、外部器具が上部から落下した場合、その衝撃は、表示パネルDPの狭い面積に高い圧力が印加される点衝撃に該当する。これにより、上記表示パネルDPが衝撃を受ける位置で曲げ変形が生じるようになり、表示パネルDPの曲げ変形は表示パネルDPの明点不良を引き起こす。しかし、本発明の一実施形態による表示装置では、ウィンドウ基板WDによってこのような不良が防止される。
【0175】
上記ウィンドウ基板WDは全体または少なくとも一部が可撓性であってもよい。例えば、上記ウィンドウ基板WDは全体領域で可撓性を有してもよく、上記可撓性領域FAに対応する領域で可撓性を有してもよい。
【0176】
したがって、本発明の好ましい一実施形態としては、例えば、表示装置は、ウィンドウ基板が、可撓性を有する第1位置領域(可撓性領域FA)及び第1位置領域に隣接する第2位置領域(硬質領域)を含む。
【0177】
本発明の一実施形態では、上記ウィンドウ基板WDは可撓性領域FAと硬質領域で相違する厚さ、相違する反発力、相違する耐衝撃特性などを有することができる。上記ウィンドウ基板WDが全体的に可撓性を有しても特定領域(例えば、可撓性領域FA)で繰り返して常温になる場合、特定領域におけるストレスが残りの領域より高くなることがあり、このようなストレスによる破損を防止するためにウィンドウ基板WDが変形されてもよい。
【0178】
これより、本発明の好ましい一実施形態としては、表示装置は、ガラス基板GLが第1位置領域と第2位置領域とで相違する厚さを有する。
【0179】
また、本発明の好ましい一実施形態としては、ガラス基板GLが第1面と第2面との何れか一面に凹み部を有してもよく、本発明のより好ましい実施形態としては、上記凹み部は第1位置領域に設けられる。
【0180】
さらに、本発明の好ましい一実施形態としては、ガラス基板が、第1面及び第2面の何れか一面の表面からから収縮応力が0となる第1深さまでの間に存在する、第1圧縮応力を有する第1領域を含み、第1深さ及び第1圧縮応力は第1位置領域及び第2位置領域で相違する値を有する。
【0181】
例えば、可撓性領域FAにおけるガラス基板GLまたはコート層CTLの厚さは、可撓性領域FAではない部分の厚さより薄くてもよい。または、可撓性領域FAにおけるガラス基板GLの圧縮応力は、可撓性領域FAではない部分における圧縮応力より大きくてもよい。このように、ウィンドウ基板WDの上記可撓性領域FAにおける各指標は異なるように設定されてもよい。
【0182】
(表示パネル)
上記表示パネルDPは前面で任意の視覚情報、例えば、テキスト、ビデオ、写真、2次元または3次元映像などを表示する。上記表示パネルDPの種類は映像が表示できればよく、特に限定されない。
【0183】
上記表示パネルDPは全体または少なくとも一部が可撓性を有することができる。例えば、上記表示パネルDPは全領域で可撓性を有してもよく、上記可撓性領域FAに対応する領域で可撓性を有してもよい。
したがって、本発明の好ましい一実施形態としては、例えば、表示装置は、表示パネルDPが、可撓性を有する第1位置領域(可撓性領域FA)及び第1位置領域に隣接する第2位置領域(硬質領域)を含むものが挙げられる。
【0184】
上記表示パネルDPは、映像が表示される前面とこれと対向する背面を有する板状である。上記表示パネルDPは上記前面に映像を表示する。実施形態によっては、上記表示パネルは前面と背面の両方に映像を表示することができるが、本発明の一実施形態では前面に映像を表示する実施形態を一例として説明する。図面では、映像が表示される前面方向を矢印で示している。
【0185】
上記表示パネルDPは、上記映像が表示される表示領域DAと、上記表示領域DAの少なくとも一側に位置する非表示領域NDAと、を含んでもよい。例えば、上記非表示領域NDAは上記表示領域DAを囲む形に提供されてもよい。
【0186】
上記表示領域DAは複数の画素PXLが提供されて映像が表示される領域である。
【0187】
上記表示領域DAは上記表示装置の形状に対応する形状であってもよい。例えば、上記表示領域DAは、上記表示装置の形状と同様に直線の辺を含む閉じた形の多角形、曲線からなる辺を含む円形及び楕円など、直線と曲線からなる辺を含む半円及び半楕円などの様々な形状であってもよい。本発明の一実施形態における上記表示領域DAは長方形であってもよい。
【0188】
上記画素PXLは表示領域DA上に提供される。上記画素PXLのそれぞれは映像を表示する最小単位であって複数個提供されてもよい。上記画素PXLは白色光及び/またはカラー光を出射することができる。各画素PXLは赤色、緑色、及び青色の何れか1つの色を出射することができるが、これに限定されず、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を出射することができる。
【0189】
上記画素PXLは有機発光層を含む発光素子であってもよいが、これに限定されず、液晶素子、電気泳動素子、電気湿潤素子などの様々な形態で実現されてもよい。
【0190】
図10は本発明の一実施形態による表示パネルDPのブロック図であり、図11図10における1つの画素PXLの回路図である。ただし、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0191】
図10及び図11を参照すると、本発明の一実施形態による表示装置は、表示領域DA上に提供される画素PXLと、上記画素PXLを駆動するゲート駆動部GDV及びデータ駆動部DDVと、上記ゲート駆動部GDV及び上記データ駆動部DDVの駆動を制御するタイミングコントローラTCNと、を含む。
【0192】
各画素PXLは表示領域DA上に提供され、ゲートラインGL、データラインDL、及び駆動電圧ラインDVLからなる配線部と、上記配線部に連結された薄膜トランジスタと、上記薄膜トランジスタに連結された有機発光素子ELと、キャパシタCstと、を含む。
【0193】
上記ゲートラインGLは特定の一方向に沿って設けられる。上記データラインDLは上記ゲートラインGLと交差する他の一方向に沿って設けられる。上記駆動電圧ラインDVLは上記データラインDLと実質的に同じ一方向に沿って設けられる。上記ゲートラインGLは上記薄膜トランジスタにゲート信号を伝達し、上記データラインDLは上記薄膜トランジスタにデータ信号を伝達し、上記駆動電圧ラインDVLは上記薄膜トランジスタに駆動電圧を提供する。
【0194】
上記薄膜トランジスタは、上記有機発光素子ELを制御するための駆動薄膜トランジスタTR2と、上記駆動薄膜トランジスタTR2をスイッチングするスイッチング薄膜トランジスタTR1と、を含んでもよい。本発明の一実施形態では、1つの画素PXLが2つの薄膜トランジスタTR1、TR2を含むものを説明したが、これに限定されず、1つの画素PXLに1つの薄膜トランジスタとキャパシタ、または1つの画素PXLに3つ以上の薄膜トランジスタと複数のキャパシタを備えてもよい。
【0195】
上記スイッチング薄膜トランジスタTR1において、ゲート電極は上記ゲートラインGLに連結され、上記ソース電極は上記データラインDLに連結される。上記スイッチング薄膜トランジスタのドレイン電極は上記駆動薄膜トランジスタTR2のゲート電極に連結される。上記スイッチング薄膜トランジスタTR1は上記ゲートラインGLに印加されるゲート信号に応じて上記データラインDLに印加されるデータ信号を上記駆動薄膜トランジスタTR2に伝達する。
【0196】
上記駆動薄膜トランジスタTR2において、ゲート電極は上記スイッチング薄膜トランジスタのドレイン電極に連結され、ソース電極は上記駆動電圧ラインDVLに連結され、ドレイン電極は上記有機発光素子ELに連結される。
【0197】
上記有機発光素子ELは、発光層(不図示)と、上記発光層を介して対向する第1電極(不図示)及び第2電極(不図示)と、を含む。上記第1電極は上記駆動薄膜トランジスタTR2のドレイン電極と連結される。上記第2電極には共通電圧が印加され、上記発光層(EML)は、上記駆動薄膜トランジスタTR2の出力信号に応じて発光することにより、光を出射または出射しないことで映像を表示する。ここで、上記発光層から出射される光は白色光またはカラー光であってもよい。
【0198】
上記キャパシタCstは駆動薄膜トランジスタTR2の上記ゲート電極と駆動薄膜トランジスタTR2の上記ソース電極との間に連結されてもよく、上記駆動薄膜トランジスタTR2の上記ゲート電極に入力されるデータ信号を充填し維持する。
【0199】
上記タイミングコントローラTCNは、上記表示装置の外部から複数の映像信号RGB及び複数の制御信号CSを受信する。上記タイミングコントローラTCNは上記データ駆動部DDVとのインタフェース仕様に合わせて上記映像信号RGBのデータフォーマットを変換し、変換した映像信号R’G’B’を上記データ駆動部DDVに提供する。また、上記タイミングコントローラTCNは上記複数の制御信号CSに基づいてデータ制御信号D-CS(例えば、出力開始信号、水平開始信号など)及びゲート制御信号G-CS(例えば、垂直開始信号、垂直クロック信号、及び垂直クロックバー信号)を生成する。上記データ制御信号D-CSは上記データ駆動部DDVに提供され、上記ゲート制御信号G-CSは上記ゲート駆動部GDVに提供される。
【0200】
上記ゲート駆動部GDVは上記タイミングコントローラTCNから提供される上記ゲート制御信号G-CSに応答してゲート信号を順に出力する。従って、上記複数の画素PXは上記ゲート信号によって行単位で順に走査されることができる。
【0201】
上記データ駆動部DDVは、上記タイミングコントローラTCNから提供される上記データ制御信号D-CSに応答して上記映像信号R’G’B’をデータ信号に変換して出力する。上記出力されたデータ信号は画素PXLに印加される。
【0202】
従って、各画素PXは上記ゲート信号によってターンオンされ、ターンオンされた上記画素PXは上記データ駆動部DDVから該当データ電圧を受信し所望する階調の映像を表示する。
(表示装置の特性)
【0203】
図12は、既存の発明による表示装置と本発明の一実施形態による表示装置の耐衝撃特性を示したグラフである。
【0204】
比較例4は既存の発明による表示装置の耐衝撃特性であり、参考例3及び実施例4は本発明によるガラス基板の耐衝撃特性である。図12において、各表示装置は有機発光表示モジュールを表示パネルとして使用した。また、上記有機発光表示モジュールは粘着剤を用いてウィンドウ基板に付着されており、ウィンドウ基板を除く全ての条件は同一であった。
【0205】
上記粘着剤は上記表示パネルとウィンドウ基板を付着するためのものである。上記粘着剤は、上述した耐衝撃特性の評価と同様に、ウィンドウ基板の下に位置して上記表示パネルとウィンドウ基板を1つに付着する役割をするとともに、常温時に表示パネルとウィンドウ基板に発生する応力を分散させる。本発明の好ましい実施例においては、上記粘着剤が、ウィンドウ基板と表示パネルとの剥離現象を防止するために、常温(25℃)及び50%RHの湿度条件下で所定の粘着力、弾性率、及びクリープ特性を有さなければならず、上記粘着剤の粘着力は少なくとも500gf/inで、保存弾性率(Storage Modulus)は最大100MPaで、クリープ(creep)特性は50%~800%である。本実験ではこの特性を有する粘着剤を使用した。比較例4では、ウィンドウ基板として既存のガラス基板(すなわち、SiO、Al及びNaOを含みAl/NaOが1超のガラス基板)が配置されており、参考例3では、ウィンドウ基板として耐衝撃性が改善されたガラス基板(すなわち、SiO、Al及びNaOを含みAl/NaOが1以下のガラス基板)が配置されており、実施例4では、ウィンドウ基板として耐衝撃が改善されたガラス基板(すなわち、SiO、Al及びNaOを含みAl/NaOが1以下のガラス基板)にコート層が設けられたものが配置された。ここで、これらのガラス基板は互いに対向する第1面および第2面を有し、厚さが10μmであった。また、実施例4では、一方の面にエステルアクリレートとウレタンアクリレートオリゴマーのポリマーを含むUV硬化型樹脂からなる10μmのコート層を形成した。耐衝撃特性は、5.8gの特定のペン(ソシエテ・ビック(Societe Bic)社のFine BiCペン)を、キャップを嵌めて基板面に垂直な状態での高さを変えて自由落下させ、破損が起きた高さを測定する方法で確認した。測定は10回行い、その平均値を測定値として採用した。
【0206】
図12を参照すると、比較例4は3.2cmの高さで基板に破損が生じたが、参考例3及び実施例4ではそれぞれ5.4cm及び8cmで基板に破損が生じた。これにより、本発明の一実施形態による表示装置の耐衝撃特性が著しく改善されたことが確認できる。
【0207】
本発明の一実施形態による表示基板は、上述した形態に限定されるものではなく、表示パネルとウィンドウ基板の他にも様々な機能層が追加されてもよく、様々な他の形態に変形されてもよい。ここで、図12に示されたウィンドウ基板の耐衝撃特性の評価では、特定のペンによって破損されない高さが約5cm以上であることが確認できた。しかし、図12に示された表示装置は、表示パネル及びウィンドウ基板以外には他の緩衝部材が備えられていないものだけを評価した場合であり、実際の表示装置に適用する際には他の種類の表示パネルが使用されたり、別の緩衝部材などと組み合わせられるなど様々な形態に変形されてもよい。そのため、表示パネルの種類、別の緩衝部材の有無、形状の変更等によって表示装置の耐衝撃特性の評価が変わることがあり、本発明の一実施形態による表示装置における特定のペンによる破損されない高さは3cm以上であることができる。本発明の一実施形態によるウィンドウ基板における特定のペンによる未破損高さは、5.5cm以上であることがよりさらに好ましく、7cm以上であることが特に好ましい。
【0208】
本発明の一実施形態による表示装置は、上述した形態に限定されるものではなく、様々な他の形態に変形されてもよい。
【0209】
図13A図13Cは、本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
【0210】
図13Aを参照すると、本発明の一実施形態による表示装置は、表示パネルと、ウィンドウ基板WDと、上記表示パネルDPとウィンドウ基板WDの間に提供されて上記表示パネルDPと上記ウィンドウ基板WDを接着する粘着剤OCAと、をさらに含んでもよい。また、上記粘着剤OCAは光学的に透明な粘着剤であってもよい。すなわち、本発明のより好ましい一実施形態による表示装置は、表示パネルDPとウィンドウ基板WDとの間に光学的に透明な粘着剤をさらに含む。
【0211】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記粘着剤OCAの粘着力は少なくとも500gf/inであり、保存弾性率(Storage Modulus)は最大100MPaであり、クリープ(creep)特性は50%~800%である。
【0212】
上記粘着剤OCAは、ウィンドウ基板WDの直下に位置して表示パネルとウィンドウ基板WDを1つに付着する役割をするとともに、常温時に表示パネルDPとウィンドウ基板WDに発生する応力を分散させる役割も行う。本発明の一実施形態において、ウィンドウ基板WDのヤング率が高い方であり、粘着剤OCAの物性が適切に確保されない場合、ウィンドウ基板WDと表示パネルDP間の剥離が生じる可能性がある。このような剥離現象を防止するために、常温(25℃)及び50%の湿度条件下で粘着力/接着力が高く、クリープ特性が高く、保存弾性率が低い粘着剤OCAが必要である。
【0213】
ここで、クリープ特性はTMAで測定してあり、測定方法は以下の通りである。3Nの力を粘着剤の試片に加えてから初期変形量を測定し、3Nの力を120分間維持した後、最終的な変形量を測定して、初期変形量に対する変形率を下記数式4のように計算する。
【0214】
【数4】
【0215】
上記粘着剤OCAは厚さに応じて物性が変わることがあり、本発明の好ましい一実施形態においては、このような物性変化を排除するための厚さ範囲は10μm~200μmである。
【0216】
本発明の一実施形態では、上記ウィンドウ基板WDの下部に粘着剤OCAを介してすぐ表示パネルDPが配置されたものが開示されているが、本発明の表示装置の構成はこれに限定されるものではない。上記表示装置は、上記ウィンドウ基板WDと表示パネルDPの間に、または他の位置に様々な構成要素をさらに含んでもよい。例えば、上記ウィンドウ基板WDと上記表示パネルDPの間にタッチセンサがさらに含まれたり、偏光板などがさらに含まれてもよい。または、衝撃を緩和するための衝撃緩和層が含まれてもよく、全体表示装置の折り畳み信頼性を確保するために中立面の調整のための機能層が含まれてもよい。したがって、本発明の一実施形態では、上記追加構成要素を互に付着させるために他の粘着剤または粘着層がさらに追加されてもよい。
【0217】
図13B及び図13Cは、図7E図7Fに示されたウィンドウ基板WDを採用した表示装置の断面図である。図13B及び図13Cを参照すると、本発明の好ましい一実施形態の表示装置は、ウィンドウ基板WD内のガラス基板GLの凹み部が上述した第1位置領域、すなわち表示装置内の可撓性領域に対応して提供される。上記凹み部RCは、ガラス基板GLが折り畳まれる方向または巻かれる方向を考慮し、その方向に相応する領域に提供されてもよく、特に巻かれ、折り畳まれ、または曲げられる可撓性領域に提供されうる。上記凹み部RCが上記ガラス基板GL上の全体領域または一部領域に設けられる場合、上記凹み部RCが設けられる領域のガラス基板GLの厚さが減少するため、上記ガラス基板GLで発生する引張応力がより小さくなり、その結果、上記表示装置を巻かれ、折り畳まれ、または曲げられることがより容易になる。
【0218】
本発明の一実施形態による表示装置において、表示領域は分離されず1つとして提供されてもよいが、これに限定されず、表示領域は複数として提供されてもよい。
【0219】
本発明の好ましい一実施形態の表示装置は、表示パネルDP及びウィンドウ基板WDは、可撓性を有する第1位置領域(可撓性領域FA)及び第1位置領域に隣接する第2位置領域(硬質領域RA)を含む。すなわち、本発明の好ましい一実施形態の表示装置は、表示パネルDP及びウィンドウ基板WDの可撓性を有する第1位置領域(可撓性領域FA)の平面上の位置(パネル全面からみた位置)が一部または全部で重複しており、表示パネルDP及びウィンドウ基板WDは、第1位置領域に隣接する第2位置領域(硬質領域RA)の平面上の位置(パネル全面からみた位置)が一部または全部で重複していることが好ましい。この際、表示パネルDP及びウィンドウ基板WDの折り畳み線FLは、共に重複した第1位置領域(可撓性領域FA)内に存在することが好ましく、これらが平面上の位置(パネル全面からみた位置)が同一となることがより好ましい。かような構成によって、表示装置は、可撓性を有する第1位置領域(可撓性領域FA)及び第1位置領域に隣接する第2位置領域(硬質領域RA)を含むことができる。
【0220】
図14は、本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図であって、表示領域が2つ提供されたものを示した。
【0221】
図14を参照すると、表示装置は複数の表示領域を含むことができ、例えば、第1表示領域DA1と第2表示領域DA2を含んでもよい。上記第1表示領域DA1と上記第2表示領域DA2の周りには非表示領域NDAが提供されてもよく、上記第1表示領域DA1と上記第2表示領域DA2は上記非表示領域NDAを介して離隔されてもよい。ここで、表示パネルDPは、平面視では、第1硬質領域RA1と第2硬質領域RA2、及び上記第1硬質領域RA1と上記第2硬質領域RA2の間に配置された可撓性領域FAを含んでもよい。上記可撓性領域FAは、上記第1表示領域DA1と上記第2表示領域DA2の間の非表示領域NDAと重なってもよい。
【0222】
上述した実施形態のように、折り畳み線が表示装置の何れか一辺に平行に提供されてもよいが、これに限定されず、表示装置の形状に関係なく様々な方向に配置されてもよい。例えば、本発明の一実施形態では、表示装置の何れかの一辺に斜めに提供されてもよい。
【0223】
図15は本発明の一実施形態による表示装置を示す平面図であって、硬質領域、可撓性領域及び折り畳み線のみを概略的に示したものである。
【0224】
図15を参照すると、本実施形態では、表示装置が長方形であり、上記折り畳み線FLが上記長方形の対角線に沿って提供されている。上記表示装置では、可撓性領域FAも上記折り畳み線FLに沿って斜め方向に提供され、上記可撓性領域FAの両側には第1硬質領域RA1と第2硬質領域RA2が提供されてもよい。
【0225】
本発明の一実施形態において、折り畳み線は単一線であってもよいが、これに限定されず、複数線であってもよい。
【0226】
図16Aは本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図であり、図16B図16Aの表示装置を折り畳んだときの様子を示す斜視図である。
【0227】
図16A及び図16Bを参照すると、折り畳み線が複数個であり、これにより、表示装置は複数の可撓性領域と複数の硬質領域を有することができる。本実施形態では、上記折り畳み線が第1折り畳み線FL1及び第2折り畳み線FL2と二つ提供されており、これに対応して、第1方向D1に沿って第1硬質領域RA1、第1可撓性領域FA1、第2硬質領域RA2、第2可撓性領域FA2、及び第3硬質領域RA3が順に配置されたものが一例として開示されている。上記第1可撓性領域FA1と上記第2可撓性領域FA2は、それぞれ第1折り畳み線FL1と第2折り畳み線FL2に対応して第2方向D2に沿って設けられてもよい。
【0228】
図16Bに示すように、上記表示装置は、上記第1可撓性領域FA1と上記第2可撓性領域FA2で折り畳まれることができる。ここで、本実施形態の図面には、上記第3硬質領域RA3が上記第1硬質領域RA1と上記第2硬質領域RA2の間に位置するように折り畳まれたものを示したが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、上記第2硬質領域RA2が上記第1硬質領域RA1と第3硬質領域RA3の間に位置するように折り畳まれてもよい。
【0229】
本発明の一実施形態では、上記第1折り畳み線FL1及び第2折り畳み線FL2がともに第2方向D2に沿って設けられたものを示したが、上記第1折り畳み線FL1及び第2折り畳み線FL2の設けられる方向はこれに限定されず、上記第1折り畳み線FL1及び上記第2折り畳み線FL2は異なる方向に沿って設けられてもよい。例えば、上記第1折り畳み線FL1は第1方向D1に、上記第2折り畳み線FL2は第2方向D2に沿って設けられることができる。または、上記第1折り畳み線FL1及び第2折り畳み線FL2がともに第1方向D1に延長されてもよく、上記第1折り畳み線FL1は第1方向D1に、上記第2折り畳み線FL2は上記第1折り畳み線FL1に斜め方向に沿って設けられてもよい。本発明の他の実施形態では、折り畳み線が3つ以上ある場合も同様である。
【0230】
本発明の一実施形態では、表示装置の一方向の最外郭に可撓性領域が提供されることにより表示装置の一部が巻物式に巻かれてもよい。
【0231】
図17Aは本発明の一実施形態による表示装置を示す斜視図であり、図17B図17Aの表示装置を巻いたときの様子を示す斜視図である。
【0232】
図17A及び図17Bを参照すると、表示装置は硬質領域RAと可撓性領域FAを有する。上記可撓性領域FAは上記硬質領域RAの一側に提供されてもよく、上記表示装置の第1方向D1の最外郭に提供されてもよい。上記表示装置は上記可撓性領域FAで巻かれてもよい。
【0233】
本発明の一実施形態によるウィンドウ基板及びこれを用いた表示装置は、様々な電子機器に採用することができる。例えば、上記表示装置は、テレビ、ノート型パソコン、携帯電話、スマートフォン、スマートパッド、ピーエムピー(PMP)、ピーディーエー(PDA)、ナビゲーション、スマートウォッチのような各種ウェアラブル機器などに適用されてもよい。
【0234】
以上では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者または当該技術分野の通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることは理解できるだろう。
【0235】
例えば、本発明の一実施形態によるガラス基板が表示装置に採用されたことを一例として提示したが、これに限定されない。従って、本発明の技術範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0236】
CTL コート層
DP 表示パネル
GL ガラス基板
WD ウィンドウ基板
OCA 粘着剤
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B