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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ボイラの腐食防止装置及び腐食防止方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F23G5/50 N ZAB
F23G5/50 G
F23G5/50 J
F23G5/50 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017157688
(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公開番号】P2019035549
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2019-08-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 翔太
(72)【発明者】
【氏名】平山 敦
(72)【発明者】
【氏名】北川 尚男
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】丹治 和幸
【審判官】西村 泰英
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-257831(JP,A)
【文献】特開2017-20773(JP,A)
【文献】特開2003-83507(JP,A)
【文献】特開2003-83521(JP,A)
【文献】特開2002-22133(JP,A)
【文献】特開平8-35630(JP,A)
【文献】特開平8-189610(JP,A)
【文献】特開2016-90089(JP,A)
【文献】特開2002-349829(JP,A)
【文献】特開2005-315440(JP,A)
【文献】特開平9-60828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00-5/50
F22G 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉への廃棄物の供給量、燃焼室内の廃棄物搬送速度、燃焼空気供給量、燃焼空気温度、焼却炉からの排ガスの一部を燃焼室のみに供給する循環排ガス供給量、及び、燃焼室及び/又はボイラに供給する冷却水供給量のうち少なくとも一つの操作量を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記操作量を制御することを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項2】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置の運転を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記廃棄物供給装置による廃棄物供給量を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項3】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子装置の運転を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記火格子装置による廃棄物搬送速度を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項4】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から燃焼空気を供給する燃焼空気供給装置の運転を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記燃焼空気供給装置による燃焼空気供給量を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項5】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から供給する燃焼空気を予熱する空気予熱装置の運転を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記空気予熱装置による燃焼空気温度を低下させることを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項6】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉から排出された排ガスの一部を廃棄物焼却炉の燃焼室のみに供給する排ガス循環装置の運転を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記排ガス循環装置による燃焼室のみへの循環排ガス供給量を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項7】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、
前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、
廃棄物焼却炉の燃焼室、ボイラの放射室、及び対流伝熱室のうち少なくとも一つに冷却水を供給する冷却水供給装置の運転を制御する制御装置とを備え、
該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記冷却水供給装置による冷却水供給量を増加させることを特徴とするボイラの腐食防止装置。
【請求項8】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉への廃棄物の供給量、燃焼室内の廃棄物搬送速度、燃焼空気供給量、燃焼空気温度、焼却炉からの排ガスの一部を燃焼室のみに供給する循環排ガス供給量、及び、燃焼室及び/又はボイラに供給する冷却水供給量のうち少なくとも一つの操作量を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記操作量を制御することを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【請求項9】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置の運転を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記廃棄物供給装置による廃棄物供給量を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【請求項10】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子装置の運転を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記火格子装置による廃棄物搬送速度を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【請求項11】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から燃焼空気を供給する燃焼空気供給装置の運転を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記燃焼空気供給装置による燃焼空気供給量を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【請求項12】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から供給する燃焼空気を予熱する空気予熱装置の運転を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記空気予熱装置による燃焼空気温度を低下させることを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【請求項13】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉から排出された排ガスの一部を廃棄物焼却炉の燃焼室のみに供給する排ガス循環装置の運転を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記排ガス循環装置による燃焼室のみへの循環排ガス供給量を減少させることを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【請求項14】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、
廃棄物焼却炉の燃焼室、ボイラの放射室、及び対流伝熱室のうち少なくとも一つに冷却水を供給する冷却水供給装置の運転を制御する制御装置を用いて、
排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記冷却水供給装置による冷却水供給量を増加させることを特徴とするボイラの腐食防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの伝熱管に融解、固着した塩化物によるボイラの腐食防止装置及び腐食防止方法に係り、特に、発電設備を有するごみ焼却施設に用いるのに好適な、ボイラの腐食防止装置及び腐食防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電設備を有するごみ焼却施設の運営において、発電量・売電量の維持と向上は、ごみの安定処理に次ぐ最重要項目のひとつである。ごみ焼却施設における発電は、焼却炉でのごみの燃焼から得られる高温の排ガスからボイラにて熱回収を行い、所定の温度・圧力の蒸気を発生させてタービン発電機に導入することにより行われている。ボイラは、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備える放射室、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生し更に過熱する過熱器を有する対流伝熱室とを備えている。
【0003】
放射室には、排ガス流路を囲む鋼製側壁の外側に加温水を流通させ放射加熱により蒸気を発生させる放射伝熱管が放射伝熱面として配設されている。対流伝熱室には、排ガス流路内に排ガスと接触して対流伝熱により蒸気を発生させ更に過熱する伝熱管(過熱器とも称する)が対流伝熱面として配設されている。対流伝熱面は水平方向に伝熱管が複数配設された伝熱管群が高さ方向に複数段配設されて構成されている。対流伝熱室には、排ガス流路内に水を加熱して加温水とする伝熱管を有するエコノマイザが配設されることがある。また、ボイラの下流側にボイラに供給する水を加熱するために排ガス流路内に水を加熱して加温水とする伝熱管を有する別置エコノマイザが連設されることもある。
【0004】
ごみ焼却において発生する排ガス中には、塩素・硫黄・重金属類等を含む小粒径のダストが含まれるが、これらがボイラの放射伝熱面、対流伝熱面に付着すると、その付着ダストが断熱材の役割をするので伝熱効率が低下する。それにより、熱回収効率も低下する。その結果、蒸気発生量が低下し、タービン発電機の発電量が減少する。その他にも、伝熱管同士の間隙が付着ダストにより閉塞し、排ガスの流通に支障が生じることもある。
【0005】
このため、付着したダストを定期的に除去する設備が必要となる。対流伝熱面に付着するダストを除去する技術として、石炭ボイラや多くのボイラでの実績のある装置として蒸気式スートブロワ(特許文献1参照)が挙げられる。蒸気式スートブロワは複数のノズルから水蒸気を伝熱管に向けて噴射し、伝熱管表面に付着したダストを剥離し除去するもので、定期的なタイミングで水蒸気を噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-183069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
廃棄物焼却炉から排出される排ガスには廃棄物に含まれる成分と排ガス中の塩化水素との反応により生成した塩化物が含まれている。廃棄物焼却炉に連設されているボイラの対流伝熱室の過熱器伝熱管表面には、焼却炉より飛散、揮散した塩化物等が付着する。飛散、揮散する塩化物の融点は組成により異なるが、代表的な塩化物である塩化カリウムと塩化ナトリウムの1:1混合塩の融点は657℃であり、この二つの混合塩の融点は657℃が最も低い融点となる。
【0008】
一般的な廃棄物焼却炉において、焼却炉出口の排ガス温度は900℃以上であるため、これらの塩化物は排ガス中に液体あるいは気体の状態で含まれ、ボイラに流入する。排ガスはボイラの放射室内に設けられた水冷壁で構成される放射伝熱面で熱回収されて温度が低下し、下流側の過熱器伝熱管群が設置されている対流伝熱室の入口で排ガス温度が約600~650℃となる。この対流伝熱室の入口の排ガス温度雰囲気は、塩化カリウム・塩化ナトリウム混合塩(塩化物という)の融点以下であるため、混合塩は固体状態となっている。そのため、過熱器伝熱管表面に付着する塩化物は融解、固着せず、他の飛灰などのダストと同様に付着しているだけであるため、通常ダスト除去のために用いられている蒸気式スートブロワにて、過熱器伝熱管表面の付着ダストは容易に除去することが可能である。
【0009】
廃棄物焼却炉を連続運転すると、ボイラ放射伝熱面である水冷壁上にもダストが付着し、堆積する。この付着ダストは堆積厚さが増すにつれて断熱材として作用し、水冷壁の熱回収能力が低下し、排ガス温度を低下させる能力が低下する。そのため、下流側の過熱器伝熱管群が設置されている対流伝熱室の入口に流入する排ガス温度が上昇し、650℃以上になることがある。
【0010】
塩化物の融点は657℃以上であるため、過熱器伝熱管表面に付着した塩化物は、その融点より高い排ガスと接触することで、その一部が融解して伝熱管表面に固着する。融解、固着した塩化物は、蒸気式スートブロワによっても除去できなくなる場合がある。これらの伝熱管表面に融解、固着した塩化物に他の飛散ダストが付着し、時間経過に伴って伝熱管表面に形成された付着ダスト層の厚さが増加すると伝熱管の間隙が狭くなりボイラが閉塞することとなる危険性が増加する。また、過熱器伝熱管表面の付着ダスト層厚さが増加すると、過熱器伝熱管の熱回収能力が低下する。
【0011】
さらに、排ガスに含まれる塩化物が過熱器伝熱管表面に付着して、その一部が融解すると、過熱器伝熱管表面において塩化物中の塩素の作用により伝熱管の腐食、減肉が生じる。伝熱管の腐食、減肉が進行し、法令で定められている減肉量を超過すると過熱器伝熱管を交換する必要がある。この過熱器伝熱管の交換には多大なコストがかかるため、その対策として過熱器伝熱管表面にインコネルやハステロイなどの耐食金属材料を溶射あるいは肉盛して耐食性被覆を行うことで減肉速度を軽減させている。しかし、この耐食金属材料の溶射、肉盛にも多大な費用が必要であり、廃棄物発電施設の設備コストを増大させる問題となっている。
【0012】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたもので、廃棄物焼却炉に連設されるボイラ内の対流伝熱室の過熱器伝熱管に融解、固着する塩化物により生じる伝熱管の腐食防止、また、付着ダスト層の形成によって生じるボイラの閉塞抑制を、効率よくかつ低い設備費、運転費で確実に行うことができるボイラの腐食防止装置及び腐食防止方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実際の廃棄物焼却施設にて過熱器伝熱管表面の付着ダストを採取し分析して明らかにした付着ダストの組成、主要化合物形態と対流伝熱室入口排ガス温度を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
廃棄物焼却施設A、Bのように対流伝熱室入口排ガス温度が650℃より高い場合は、過熱器伝熱管表面の付着ダストの組成はClが高く、Sが低く、主要化合物の化学形態は塩化物のKCl、NaClであった。
【0016】
一方、廃棄物焼却施設Cでは、対流伝熱室入口排ガス温度が比較的低く650℃以下であるが、この場合には過熱器伝熱管表面の付着ダストの組成はClが低くてSが多く、主要化合物の形態はK、Naの硫酸化物であった。
【0017】
これら3箇所の廃棄物焼却施設から採取した付着ダストを用いて過熱器伝熱管と同様の材料の腐食試験を行ったところ、表1に示すように塩化物を含むダストでは腐食速度が大で腐食性が高く、硫酸化物を含むダストでは腐食速度が小で腐食性が低いという結果であった。
【0018】
廃棄物焼却施設Cで、対流伝熱室入口排ガス温度が650℃以下であることにより、過熱器伝熱管表面の付着ダストは腐食性が低いというような結果が得られる理由について、発明者らが検討した内容を以下に説明する。
【0019】
廃棄物焼却施設のボイラ内を流通する排ガスには、硫黄酸化物SOxが含まれる。このSOxは他に含まれるO2、H2Oなどと共にボイラ内の過熱器伝熱管表面上に付着している塩化物K(Na)Clと反応し、硫酸化物K(Na)2SO4を生成する。
2K(Na)Cl+SO2+1/2O2+H2O → K(Na)2SO4+2HCl …(1)
【0020】
廃棄物焼却施設のボイラの過熱器伝熱管表面においては、この塩化物から硫酸化物が生成する反応は650℃以下の温度雰囲気で容易に進行する。650℃より高い温度では融解した塩化物が付着ダスト層表面を被覆してしまい、ダスト層表面で硫酸化物が生成してもダスト層内部まで排ガス中のSOxなどが到達することが難しく、上記(1)式の反応が進行しにくい。
【0021】
また、対流伝熱室入口排ガス温度が650℃より高い温度では塩化物が融解、固着することにより、対流伝熱室で蒸気式スートブロワを運転しても過熱器伝熱管表面の付着ダスト、特に伝熱管同士の間隙の過熱器伝熱管表面の付着ダストを完全に除去することが困難になる。すると過熱器伝熱管表面に残存するダスト層厚さが増大し、ますますダスト層内の塩化物と排ガスに含まれるSOxなどとの反応が阻害され、硫酸化物への反応が進行しなくなる。
【0022】
これに対して、対流伝熱室入口での排ガス温度が650℃以下の場合は、伝熱管表面の付着ダスト中の塩化物がSOx等と反応して硫酸化物が生成する反応が進行するため、伝熱管表面に塩化物が融解、固着することがなく、蒸気式スートブロワによる過熱器伝熱管表面の付着ダスト除去を良好に行うことができる。そのため、過熱器伝熱管表面のダスト層厚さが増加することを抑制し、かつ塩化物の融解によるダスト層表面の被覆もないので排ガス中のSOxがダスト層内への侵入が容易となり、硫酸化物への反応が進行する。そして、過熱器伝熱管表面に塩化物が融解、固着することを防止できるため、塩化物による伝熱管の腐食、減肉を抑制することができる。
【0023】
対流伝熱室入口での排ガス温度を650℃以下に維持することにより、対流伝熱室の過熱器伝熱管表面に塩化物が融解、固着することを防止でき、塩化物による伝熱管の腐食、減肉を抑制することができることが明らかになった。また、蒸気式スートブロワによる過熱器伝熱管表面の付着ダスト除去を良好に行うことができる。
【0024】
対流伝熱室入口での排ガス温度を650℃以下に維持するように、焼却炉の各操作端の操業制御を後述するように行うことが好ましい。これにより対流伝熱室入口排ガス温度を650℃以下に維持することを着実に行うことができる。
【0025】
対流伝熱室入口での排ガス温度を650℃以下に維持することとしたが、対流伝熱室入口での排ガス温度の好ましい上限値を、廃棄物から生成する塩化物の融点とすることとしてもよい。廃棄物の組成により生成する塩化物の組成は影響され、融点も影響を受けるが、予め生成する塩化物の組成を調べておくことにより融点を把握することができる。
【0026】
対流伝熱室に上流側からスクリーン管、過熱器が配設されている場合には、排ガスはスクリーン管により冷却され最上流側過熱器入口での排ガス温度は対流伝熱室入口での温度に比べて50℃程度低下する。そこで、対流伝熱室入口での排ガス温度を650℃以下に維持することに代えて、対流伝熱室の最上流側過熱器入口での排ガス温度を600℃以下に維持することとしてもよい。対流伝熱室の最上流側過熱器入口での排ガス温度を600℃以下に維持することにより、対流伝熱室の過熱器伝熱管表面に塩化物が融解、固着することを防止でき、塩化物による伝熱管の腐食、減肉を抑制することができる。また、蒸気式スートブロワによる過熱器伝熱管表面の付着ダスト除去を良好に行うことができる。
【0027】
対流伝熱室入口での排ガス温度を過熱器伝熱管表面に付着した塩化物に代表される腐食性ダストをSOx等と反応せしめ低腐食性ダストに変換せしめることができる反応を行わせることができる温度雰囲気とすることにより、過熱器伝熱管の腐食、減肉を防止することができる。
【0028】
本発明は、上記の検討結果に基いてなされたもので、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉への廃棄物の供給量、燃焼室内の廃棄物搬送速度、燃焼空気供給量、燃焼空気温度、焼却炉からの排ガスの一部を燃焼室のみに供給する循環排ガス供給量、及び、燃焼室及び/又はボイラに供給する冷却水供給量のうち少なくとも一つの操作量を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記操作量を制御することにより、前記課題を解決したものである。
【0029】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置の運転を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記廃棄物供給装置による廃棄物供給量を減少させることにより、前記課題を解決したものである。
【0032】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子装置の運転を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記火格子装置による廃棄物搬送速度を減少させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0035】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から燃焼空気を供給する燃焼空気供給装置の運転を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記燃焼空気供給装置による燃焼空気供給量を減少させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0038】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から供給する燃焼空気を予熱する空気予熱装置の運転を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記空気予熱装置による燃焼空気温度を低下させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0041】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉から排出された排ガスの一部を廃棄物焼却炉の燃焼室のみに供給する排ガス循環装置の運転を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記排ガス循環装置による燃焼室のみへの循環排ガス供給量を減少させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0044】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止装置であって、前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計と、廃棄物焼却炉の燃焼室、ボイラの放射室、及び対流伝熱室のうち少なくとも一つに冷却水を供給する冷却水供給装置の運転を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と前記最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記冷却水供給装置による冷却水供給量を増加させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0047】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉への廃棄物の供給量、燃焼室内の廃棄物搬送速度、燃焼空気供給量、燃焼空気温度、焼却炉からの排ガスの一部を燃焼室のみに供給する循環排ガス供給量、及び、燃焼室及び/又はボイラに供給する冷却水供給量のうち少なくとも一つの操作量を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記操作量を制御することにより、前記課題を解決したものである。
【0048】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置の運転を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記廃棄物供給装置による廃棄物供給量を減少させることにより、前記課題を解決したものである。
【0051】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子装置の運転を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記火格子装置による廃棄物搬送速度を減少させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0054】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から燃焼空気を供給する燃焼空気供給装置の運転を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記燃焼空気供給装置による燃焼空気供給量を減少させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0057】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉の廃棄物を載せて搬送しながら燃焼させる火格子下から供給する燃焼空気を予熱する空気予熱装置の運転を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記空気予熱装置による燃焼空気温度を低下させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0060】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉から排出された排ガスの一部を廃棄物焼却炉の燃焼室のみに供給する排ガス循環装置の運転を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記排ガス循環装置による燃焼室のみへの循環排ガス供給量を低下させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0063】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた複数の放射室、及び、排ガスが下方から流入する、スクリーン管と、該スクリーン管の下流側で排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する過熱器とを有する対流伝熱室を備えるボイラで、前記対流伝熱室の伝熱管に付着したダストによる伝熱管の腐食を防止するボイラの腐食防止方法であって、廃棄物焼却炉の燃焼室、ボイラの放射室、及び対流伝熱室のうち少なくとも一つに冷却水を供給する冷却水供給装置の運転を制御する制御装置を用いて、排ガス温度計により測定する前記対流伝熱室の前記スクリーン管と該スクリーン管の下流側の最上流側過熱器の間での排ガス温度測定値が600℃より高いとき、該排ガス温度測定値が600℃以下とるように前記冷却水供給装置による冷却水供給量を増加させることにより、同様に前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、ボイラ内の対流伝熱室の過熱器伝熱管に融解、固着する塩化物により生じる伝熱管の腐食を防止し、付着ダスト層の形成によって生じるボイラの閉塞を抑制することを、効率よく、かつ、高コストの耐食金属材料の溶射、肉盛を行なわず、低い設備費、運転費で確実に行うことができ、経済的に有利でかつ安定した廃棄物焼却施設の操業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】第1参考形態の構成を示す図
図2図1の排ガス温度計を対流伝熱室のスクリーン管と最上流側過熱器の間で排ガス温度を測定する排ガス温度計に置き換えた本発明の実施形態の構成を示す図
図3】第2参考形態の構成を示す図
図4】第3参考形態の構成を示す図
図5】第4参考形態の構成を示す図
図6】第5参考形態の構成を示す図
図7】第6参考形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0069】
まず、本発明が適用される、廃棄物焼却炉と連設されるボイラについて説明する。図1に示す如く、焼却炉10に連設され、排ガスから熱回収するためのボイラ30は、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部32、33により区分され、排ガス流れ方向の上流側から、第一放射室36、第二放射室38、及び対流伝熱室40を備えている。焼却炉10から排ガスを受け入れる第一放射室36の排ガス流れの上流部が二次燃焼室14となっており、第一放射室36と第二放射室38とが互いの上部で連通しており、該第二放射室38の下部と対流伝熱室40の下部が連通している。
【0070】
前記ボイラ30は、その構造物の内面は耐火物で形成された内壁となっており、第一放射室36と第二放射室38は内壁をなす前記耐火物の内壁内に、蒸気を流通する配管が密に配列された状態で配設されている。一方、対流伝熱室40には、その内部空間に伝熱管(図示せず)が配設されている。
【0071】
前記ボイラ30は、第一放射室36と第二放射室38と対流伝熱室40の一部で蒸発器を形成し、対流伝熱室40の一部で複数(図では4つ)の過熱器44を形成している。
【0072】
前記第一放射室36及び第二放射室38では、前記耐火物の内壁内に配設された配管が排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面をそれぞれ構成している。
【0073】
前記対流伝熱室40は、排ガス流れ方向の上流側から、スクリーン管42、過熱器44、及び必要に応じてエコノマイザ(図示せず)を備えている。過熱器44は、水平方向に配列した複数の伝熱管を高さ方向に多段に設けた伝熱管群を備え、該伝熱管群が対流伝熱面を構成しており、排ガスとの熱交換により蒸気を発生して更に過熱されるようにされている。スクリーン管42には伝熱管が旗形に備えられ、対流伝熱室40に導入される排ガスを冷却するようにされている。
【0074】
二次燃焼室14で二次燃焼後の焼却炉排ガスは、ボイラ30に導かれ、第一放射室36と第二放射室38の蒸発器で蒸気を発生し、しかる後、対流伝熱室40の過熱器44で前記蒸気を過熱蒸気とする。
【0075】
ボイラ30の下流側には、別置エコノマイザ(以下単にエコノマイザと称する)50が前記対流伝熱室40の上部と接続されている。エコノマイザ50内には伝熱管(図示せず)が配設され、ボイラ30で発生し蒸気タービンの駆動に供された蒸気が復水器で復水された復水を受けて、これを、前記ボイラ30で蒸気を過熱した後の焼却炉排ガスになお残存する保有熱で加熱することによって、排ガスとの熱交換により水が加熱され加温水が生成され、ボイラ30に供給される。前記エコノマイザ50は、その排気部50aが集塵機52に接続されている。
【0076】
集塵機52では、排ガスに含まれるダストが捕集され除塵される。集塵機52には、誘引送風機54が接続されていて、誘引送風機54は焼却炉10から排ガスを誘引し、除塵処理された排ガスを煙突56に送り、排ガスが煙突56から大気に放出される。
【0077】
前記焼却炉10の燃焼室13の一端(図の左端)上部には、廃棄物投入シュート12が設けられ、該燃焼室13の他端(図の右端)上部には、放射室36、38と対流伝熱室40を有するボイラ30が接続され、燃焼室13の他端下部には、焼却灰排出口15が設けられている。
【0078】
廃棄物投入シュート12の下部に、廃棄物8を焼却炉10の燃焼室13に供給する廃棄物供給装置16が設けられていて、廃棄物投入シュート12に投入された廃棄物8が燃焼室13内へ供給される。廃棄物供給装置16は、例えばピストンのような押出機構(図示せず)を有し、その押出し速度、時間当たりの押出回数を制御して廃棄物供給量を制御する。
【0079】
燃焼室13の底部には、廃棄物投入口11側から焼却灰排出口15側に向けて、乾燥火格子18a、燃焼火格子18b及び後燃焼火格子18cで構成される火格子18が設けられている。そして、各火格子18a、18b、18cの下部からは、燃焼空気が供給される。火格子18は、例えば可動部と固定部(図示せず)を有し、火格子18上に供給された廃棄物8を可動部が動いて搬送しながら、廃棄物8を燃焼する。火格子18の可動部の動作速度を制御して廃棄物の搬送速度を制御する。
【0080】
乾燥火格子18aでは、廃棄物8の乾燥と着火と一部燃焼が行われ、また、燃焼火格子18bでは、燃焼を開始した廃棄物8に対して、燃焼空気が供給されて、廃棄物8が燃焼され、廃棄物8の熱分解と部分酸化によりCO、炭化水素類を含む可燃性ガスが発生する。この可燃性ガスと廃棄物8の固定炭素分とが燃焼する。さらに後燃焼火格子18cで廃棄物8の未燃分が燃焼され、焼却灰は焼却灰排出口15より外部へ排出される。
【0081】
燃焼室13から未燃の可燃性ガスを含むガスは、ボイラ30の第一放射室36の下部に位置する二次燃焼室14に流入する。二次燃焼室14で二次燃焼空気が供給され未燃の可燃性ガスが二次燃焼される。
【0082】
火格子18の下方に燃焼空気供給装置20が接続され、火格子18下から燃焼空気を吹き込み、火格子18上の廃棄物8を燃焼させる。燃焼空気供給装置20は送風機22とダンパ24a、24b、24cを備え、空気を火格子18に向け供給する。送風機22の下流側に空気予熱装置23を設けボイラ30で発生させた蒸気との熱交換により燃焼空気を加熱して所定の予熱温度に予熱する。予熱された燃焼空気を供給することにより、廃棄物を乾燥して燃焼を安定して行うこととしている。
【0083】
このように構成された本実施形態では、廃棄物8が焼却炉10へ廃棄物投入口11から投入されると、火格子18(乾燥火格子18a、燃焼火格子18b、後燃焼火格子18c)上で、各火格子18a、18b、18cの下方から燃焼空気を受けて燃焼し、廃棄物8の熱分解、部分酸化により可燃性ガスと燃焼排ガスを発生する。残渣は焼却灰として焼却灰排出口15から排出される。
【0084】
焼却炉10からボイラ30へ導入される排ガスは、第一放射室36の下方から上方へ、第二放射室38の上方から下方へ、対流伝熱室40の下方から上方へ流通される。
【0085】
前記第一放射室36及び第二放射室38に備えられた放射伝熱面で、排ガスからの放射熱を受けて蒸気が発生される。
【0086】
参考形態においては、対流伝熱室40の伝熱管に融解、固着する塩化物によるボイラ30の伝熱管の腐食、減肉を防止するボイラの腐食防止装置として、対流伝熱室40の入口又は第二放射室38出口での排ガス温度を測定する排ガス温度計70と、前記廃棄物供給装置16による焼却炉10へ廃棄物8を供給する量を制御する制御装置72とを備え、該制御装置72は、排ガス温度計70による排ガス温度測定値が所定値、例えば650℃以上であるとき、廃棄物供給量を減らして前記排ガス温度測定値が前記所定値以下となるように廃棄物供給装置16を制御する。
【0087】
具体的には、燃焼室13への廃棄物供給量を減少し廃棄物8の燃焼を緩和して排ガス温度を低下させる。
【0088】
参考形態では、伝熱管が配設されていない対流伝熱室40の入口に排ガス温度計70を設けているので、排ガス温度計70の設置が容易である。
【0089】
なお、図2に示す本発明の実施形態の如く、排ガス温度計74を対流伝熱室40の最上流側(図では一番下)の過熱器44aの入口(スクリーン管42と最上流側の過熱器44aとの間)に設け、制御装置76は、該排ガス温度計74により検出される対流伝熱室40の最上流側過熱器44aの入口での排ガス温度測定値が、対流伝熱室40入口排ガス温度の所定値よりも例えば50℃低い所定値、例えば600℃以上であるとき、廃棄物供給量を減らして前記排ガス温度測定値が前記所定値以下となるように廃棄物供給装置16を制御することできる。
【0090】
次に、図3を参照して第参考形態を説明する。
【0091】
参考形態では、第1参考形態と同様に、排ガス温度計70で測定した対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が所定値より高いとき、前記排ガス温度を所定値以下とするように火格子18による廃棄物搬送速度を制御する。
【0092】
具体的には、前記制御装置72は、前記対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が650℃より高いとき、前記火格子18による廃棄物搬送速度を減少するように前記火格子18を制御し、燃焼室13での廃棄物8の燃焼を緩和して排ガス温度を低下させる。
【0093】
他の点は第1参考形態と同様であるので説明は省略する。
【0094】
次に、図4を参照して第参考形態を説明する。
【0095】
参考形態では、第1参考形態と同様に、排ガス温度計70で測定した対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が所定値より高いとき、前記排ガス温度を所定値以下とするように燃焼空気供給装置20による燃焼空気供給量を制御する。
【0096】
具体的には、前記制御装置72は、前記対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が650℃より高いとき、燃焼空気供給装置20による燃焼空気供給量を減少するように送風機22の送風量を減らすか、及び/又は、ダンパ24a、24b、24cの開度を小として燃焼空気供給装置20を制御し、燃焼室13での廃棄物8の燃焼を緩和して排ガス温度を低下させる。
【0097】
他の点は第1参考形態と同様であるので説明は省略する。
【0098】
次に、図5を参照して第参考形態を説明する。
【0099】
参考形態では、第1参考形態と同様に、排ガス温度計70で測定した対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が所定値より高いとき、前記排ガス温度を所定値以下とするように空気予熱装置23による予熱温度を制御する。
【0100】
具体的には、前記制御装置72は、前記対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が650℃より高いとき空気予熱装置23による予熱温度を低下するように燃焼空気供給装置20を制御し、燃焼室13での廃棄物8の燃焼を緩和して排ガス温度を低下させる。
【0101】
他の点は第1参考形態と同様であるので説明は省略する。
【0102】
次に、図6を参照して第参考形態を説明する。
【0103】
参考形態では、集塵機52から排出された除塵後の排ガスの一部を抜き出し、焼却炉10の燃焼室13、二次燃焼室14に供給する送風機62、循環排ガス供給ライン64、ガス噴出ノズル65を有する、炉内温度制御用の循環排ガス供給装置(排ガス循環装置とも称する)60を備えている。
【0104】
参考形態において、燃焼室13に供給された循環排ガスは、燃焼室13の炉側壁に設けられたガス噴出ノズル65から燃焼室13内へ供給され、廃棄物8を熱分解すると共に、燃焼室13で火炎温度が過剰に高温になるのを抑制し、燃焼室13で部分酸化により発生した可燃性ガスと燃焼用空気とを十分に攪拌混合するので、燃焼が促進されかつ安定化され、CO発生を低減し、局所的高温場の発生抑制によりサーマルNOxの発生を低減する。
【0105】
更に、ガス噴出ノズル(図示せず)から二次燃焼室14に循環排ガスを供給し、燃焼室13から流入する未燃の可燃ガスと二次燃焼空気との攪拌混合を促進して二次燃焼を促進させる。
【0106】
このようにして、集塵機52で除塵された排ガスの一部が循環排ガスとして二次燃焼室14に供給され、燃焼室13からの未燃ガスと二次燃焼空気との攪拌混合を促進して二次燃焼を促進しかつ安定化させるので、COの発生を低減、局所的高温場の発生抑制により、サーマルNOxの発生を低減させる。
【0107】
従来の循環排ガス供給装置は専ら炉内温度を制御するためのものであり、ボイラ30の腐食を抑制するために排ガス温度を制御することは考えられていなかった。
【0108】
これに対して、本参考形態では、第1参考形態と同様の排ガス温度計70で測定した対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が所定値より高いとき、前記排ガス温度を所定値以下とするように循環排ガス供給装置60による循環排ガス供給量を制御する。
【0109】
具体的には制御装置72は、前記対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が650℃より高いとき、循環排ガス供給装置60の送風機62の送風量を下げて循環排ガス供給量を減少するように循環排ガス供給装置60を制御し、循環排ガスによる燃焼室内の撹拌混合を促進させる作用を低くして、燃焼室13での可燃性ガスの燃焼を緩和して排ガス温度を低下させる。また、循環排ガス供給ライン64又はガス噴出ノズル65の上流側にダンパを設け、ダンパの開度を制御して循環排ガス供給量を制御するようにしてもよい。
【0110】
次に、図7を参照して第参考形態を説明する。
【0111】
参考形態では、焼却炉10の燃焼室13、ボイラ30の第一、第二放射室36、38、対流伝熱室40内へ冷却水を供給する冷却水供給装置66を備えている。前記冷却水供給装置66は、燃焼室13内へ冷却水を例えば水噴射ノズル67から噴霧状に供給し燃焼室内温度が過剰に高温になることを抑制し、廃棄物8が安定して燃焼されるように制御する。また発生する排ガス温度を低下させる。
【0112】
更にボイラ30の第一、第二放射室36、38、対流伝熱室40へ冷却水を噴霧状に供給し排ガス温度を制御する。
【0113】
参考形態では、第1参考形態と同様の排ガス温度計70で測定した対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が所定値より高いとき、前記排ガス温度を所定値以下とするように冷却水供給装置66による冷却水供給量を制御する。
【0114】
具体的には、前記制御装置72は、前記対流伝熱室40入口での排ガス温度測定値が650℃より高いとき、冷却水供給装置66による冷却水供給量を増加するように冷却水供給装置66を制御して、燃焼室13内の温度を低下させ、さらに排ガス温度を低下させる。
【0115】
なお、第2~第6参考形態においても、本発明の実施形態と同様に排ガス温度計70の代わりに排ガス温度計74を入力とする制御装置76を設けて制御に用いても良い。更に、排ガス温度計70と74を併用して動作を確実にしても良い。
【0116】
なお、前記説明では、本発明を都市ごみ焼却炉に連設されたボイラに適用していたが、本発明の適用対象はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0117】
8…廃棄物
10…焼却炉
13…燃焼室
14…二次燃焼室
16…廃棄物供給装置
18、18a、18b、18c…火格子
20…燃焼空気供給装置
22…送風機
23…空気予熱装置
24a、24b、24c…ダンパ
30…ボイラ
36…第一放射室
38…第二放射室
40…対流伝熱室
44…過熱器
44a…最上流側過熱器
50…(別置)エコノマイザ
52…集塵機
54…誘引送風機
56…煙突
60…循環排ガス供給装置(排ガス循環装置)
62…送風機
64…循環排ガス供給ライン
65…ガス噴出ノズル
66…冷却水供給装置
67…水噴射ノズル
70、74…排ガス温度計
72、76…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7